(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-25
(45)【発行日】2023-09-04
(54)【発明の名称】電流リミッタを用いた陰極防食
(51)【国際特許分類】
C23F 13/08 20060101AFI20230828BHJP
C23F 13/02 20060101ALI20230828BHJP
【FI】
C23F13/08
C23F13/02 A
C23F13/02 B
(21)【出願番号】P 2019561870
(86)(22)【出願日】2018-04-26
(86)【国際出願番号】 CA2018050489
(87)【国際公開番号】W WO2019006539
(87)【国際公開日】2019-01-10
【審査請求日】2021-03-17
(32)【優先日】2017-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519395330
【氏名又は名称】ベクター レメディエーション エルティーディー.
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホイットモア,デビッド ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】チャイルド,ジェフリー リチャード
【審査官】▲辻▼ 弘輔
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/075699(WO,A1)
【文献】特公昭55-012189(JP,B2)
【文献】実開昭59-189869(JP,U)
【文献】特開2018-123394(JP,A)
【文献】米国特許第04713158(US,A)
【文献】米国特許第04381981(US,A)
【文献】中国実用新案第2330664(CN,Y)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23F13/00-13/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン導電のコンクリートまたはモルタル材料の鋼補強部材を陰極防食および/または不動態化するための方法であって、該方法は、
イオン導電のコンクリートまたはモルタル材料の鋼補強部材にイオン電流を伝達するための陽極を提供する工程、
鋼補強部材の陰極防食を提供するために陽極と鋼補強部材との間でイオン導電のコンクリートまたはモルタル材料に電流を流させるように、陽極と鋼補強部材との間に電圧差を生成する工程
、および
電流を最大値に制限する電気部品を提供する工程
、
を含み、
イオン導電のコンクリートまたはモルタル材料が硬化していない間に、陽極は鋼補強部材に据え付けられて連結され、
電気部品による電流の制限は、イオン導電のコンクリートまたはモルタル材料の硬化中にイオン導電のコンクリートまたはモルタル材料におけるガス気泡の発生を防ぐ、
方法。
【請求項2】
電気部品はトランジスターを含み、トランジスターを通る電流は最大値に制限される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
電気部品は、トランジスターの基準電流を生成するために蓄積コンポーネントの極の間の電圧差と抵抗器を使用する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
電気部品はトランジスターと抵抗器から成る、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
トランジスターはFETである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
電気部品は、1μA以下の電力を消費するように構成される、請求項1-5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
電流は、電圧源の安定性に応じて最大値から20%以内に制限される、請求項1-6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
電気部品は陽極と、鋼補強部材への電気的接続のためのコネクタを含む複合ユニットの一部を形成する、請求項1-7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
電気部品は、単一の陽極に関連付けられ、および単一の陽極に関してのみ動作する、請求項1-8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
蓄積コンポーネントが、外表面上の陽極を規定する、閉じた、または密閉されたキャニスタ内に含まれる、請求項1-
9のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
陽極はステンレス鋼を含む、請求項1-
10のいずれか1つに記載の方法。
【請求項12】
陽極は、犠牲となるように、鋼補強部材ほど貴ではない材料を含む、請求項
1-11のいずれか1つに記載の方法。
【請求項13】
電気部品は、電気部品と陽極の間に接続された少なくとも1つの導電体を含み、電気部品および導電体を含む陽極構成は、共通体の部品を形成し、
共通体は単一ユニットとして、イオン導電のコンクリートまたはモルタル材料に少なくとも部分的に埋め込まれている、請求項1-12のいずれか1つに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電圧を供給するために電池または電池のバッテリーを使用して、イオン導電材料における金属部を陰極防食および/または不動態化するための方法、および/または陽極アセンブリに関し、とりわけ電極アセンブリによる電流の供給を制限する構成に関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリーを用いる外部電源方式は公知である。そのような外部電源方式は、適切な電源から、陽極と鋼との間の印加電流(impressed current)のために要求される直流電圧へと交流電圧を整流する一般的な整流器を含む他のタイプの電源を用いることができる。このタイプのシステムで使用される太陽光パネルを提供することも公知である。
【0003】
いずれの場合も、そのような外部電源方式は、防食される構造内で電源が、鋼の予期せぬ許容できない腐食または過防食を引き起こさないように保証するために、電源の状態の通常の保全と検査を必要とする。そのような保全が実施され、したがって電源の安全が保証される一方、これは比較的費用のかかるプロセスである。
【0004】
代替的に、防食をもたらす電流が確実に生成されるのに十分に電気陰性である陽極に対して適切な材料を選択することによって、鋼と陽極との間の電圧が提供されるので、電源を必要としない直流電気システムを使用することができる。これらのシステムは大きな成功を収めており、広く使用されている。
【0005】
鉄骨鉄筋コンクリートにおいて使用されるような通常の流電陽極には2つの主要な制約がある。第1の制約は、必要な電流出力に応じて、陽極の耐用年数を制限する陽極当たりの亜鉛の質量に関する。第2の制約は、鋼の腐食を止めるのに十分であることも、ないこともある陽極の実際の電流出力である。電流出力は駆動電圧によって制限されており、本質的に安定した特性であるか、暴露条件、陽極の材齢、および腐食生成物の発生により経時的に変動する。
【0006】
2015年2月24日発行の米国特許第8961746号(Sergi)、2015年3月3日発行の米国特許第8968549号(Sergi)、および2007年9月4日発行の米国特許第7264708号(Whitmore)もまた引用され、当該文献はすべて本譲受人に付与されており、当該文献の開示は、参照によって本明細書に組み込まれ、またはより多くの関連情報のために参照されてもよい。
【発明の概要】
【0007】
本発明の一態様によれば、イオン導電材料において金属鉄筋を防食および/または不動態化するために使用される陽極アセンブリが提供され、該陽極アセンブリは:
イオン導電材料内に少なくとも部分的に取り付けるための陽極体であって;
陽極体は、イオン導電材料を介してイオン電流を金属鉄筋に伝達するための陽極を含み;
陽極がイオン導電材料にイオン的に(ionically)に接続された時に電圧差が陽極と金属鉄筋との間に生成され、それによって陽極と金属鉄筋との間のイオン導電材料に電流を流して金属鉄筋の陰極防食を提供するように構成され、配置される陽極体;および
電流が陽極から金属鉄筋まで流れることができるように、イオン導電材料内で少なくとも部分的に鉄筋によって支持されるように、陽極体を金属鉄筋に固定して据え付けるための装着アセンブリであって;
金属鉄筋の第1の隣接面との係合のために配置された、陽極体から細長いロッド部材の前端へと前方に伸長する細長いロッド部材;
金属鉄筋の第2の対向面に係合するためのフック部材
を含む装着アセンブリ;および
金属鉄筋をその間に留めるために、ロッド部材の前端とフック部材を一緒に引っ張るための連結部を備える。
【0008】
本発明の別の態様によれば、イオン導電材料において金属鉄筋を防食および/または不動態化するために使用される陽極アセンブリが提供され、該陽極アセンブリは:
イオン導電材料内に少なくとも部分的に取り付けるための陽極体であって;
陽極体は、イオン導電材料を介してイオン電流を金属鉄筋に伝達するための陽極を含み;
陽極がイオン導電材料にイオン的に接続された時に電圧差が陽極と金属鉄筋との間に生成され、それによって陽極と金属鉄筋との間のイオン導電材料に電流を流して金属鉄筋の陰極防食を提供するように構成され、配置される陽極体;および
イオン電流が陽極から金属鉄筋まで流れることができるように、イオン導電材料とのイオン接触で支持されるように陽極体を金属鉄筋に固定して据え付けるための装着アセンブリであって;
金属鉄筋の第1の隣接面との係合のために配置された、陽極体から第1の当接部材の前端へと前方に伸長する第1の当接部材;
金属鉄筋の第2の対向面に係合するための第2の当接部材;
を含み、第1の当接部材は、雄ねじを有するその少なくとも一部を有し、および第2の当接部材は、その間に金属鉄筋を留めるために陽極体の方へと第2の当接部材を引っ張るための、雄ねじを係合する雌ねじのある連結部を有する、装着アセンブリを備える。
【0009】
本発明の別の態様によれば、イオン導電材料において金属鉄筋を防食および/または不動態化するために使用される陽極アセンブリが提供され、該陽極アセンブリは:
イオン導電材料内に少なくとも部分的に取り付けるための陽極体であって;
イオン導電材料において金属鉄筋にイオン電流を伝達するための陽極:
電気エネルギーを放出することによって生成された電流を伝達するための第1および第2の極を備えた電気エネルギーの蓄積コンポーネント、を含み;
第1の極は陽極への電気的接続を有する、陽極体;および
イオン電流が蓄積コンポーネントから陽極を通じて金属鉄筋まで流れることができるように、イオン導電材料とのイオン接触で金属鉄筋によって支持されるように陽極体を金属鉄筋に固定して据え付けるための装着アセンブリであって;
金属鉄筋への第2の極の電気的接続のために第2の極に接続され;
金属鉄筋の1つの面に係合するための、陽極体に接続された第1の当接部材;
金属鉄筋の第2の対向面に係合するための第2の当接部材;および
金属鉄筋をその間に留めるために第1および第2の当接部材を一緒に引っ張るための連結部を含む装着アセンブリ、を備える。
【0010】
本構成は特に、コンクリート等の定着材またはモルタル等の他のセメント材に取り付けられた従来の鋼鉄筋に陽極体を取り付けることに関する。しかしながら、該構成は、場合によっては他の位置で使用可能である。
【0011】
本明細の構成のいずれかと共に使用可能な本発明の1つの重要な特徴に従い、フック部材は、鉄筋に沿って長手方向に間隔を置き、かつ鉄筋との一般的な係合のために共に接続された2つの平衡フックを含む。これは、長手方向に間隔を置いた鉄筋の3つの位置の鉄筋を、中間にある1つの面上の第1の当接部またはロッドと、および対向面上のいずれかの側の2つのフック部分と、係合するように作用する。つまり、フック部材は、第1の面に正反対に向いた位置のそれぞれの側で金属鉄筋を係合するために各々配置された、2つの表面部分を好ましくは含む。
【0012】
本明細書の構成のいずれかと共に使用可能な本発明の1つの重要な特徴に従って、陽極体は、細長いロッドまたは第1の当接部材に取り付けられ、その結果、陽極体の回転は、鉄筋の第1の面に対する細長いロッド部材の前端の回転を駆動する。この構成では、好ましくは、細長いロッド部材の前端は、金属鉄筋に食い込むための1つ以上の突部を含む。これは、ロッドの端部の外側円形端、または面自体の上にある1つ以上の突部によって提供可能である。
【0013】
本明細書の構成のいずれかと共に使用することができる本発明の1つの重要な特徴に従って、細長いロッド部材は、第2の当接部材の雌ねじ部分を陽極体の方向に駆動するためにねじとして作用するように、その長さに沿って少なくとも部分的に螺合する。
【0014】
本明細書の構成のいずれかと共に使用することができる本発明の1つの重要な特徴に従って、フック部材は、金属鉄筋をその間に留めるために、ロッド部材または第1の当接およびフック部材または第2の当接の前端へと一緒に引っ張るように細長いロッド部材を係合するための雌ねじ部分を含む。
【0015】
好ましくは、ロッド部材の回転が陽極体に向かってフック部材を動かすように、雌ねじ部はフック部材に固定される。しかしながら、雌部分が、陽極体の方へと第2の当接を駆動するように第2の当接に対してねじを中心に回転するナットを含む、他の構成が使用可能である。
【0016】
本明細書の構成のいずれかと共に使用することができる本発明の1つの重要な特徴に従って、フック部材または第2の当接は、陽極体と金属鉄筋との間の接触を防ぐために陽極体から間隔を置いた位置で細長いロッド部材を係合する。金属鉄筋への電力供給のショートを防ぐために電池または陽極体の一部を形成する電源によって陽極に電力が供給される場合、これは特に重要である。
【0017】
本明細書の構成のいずれかと共に使用することができる本発明の1つの重要な特徴に従って、細長いロッド部材は、金属鉄筋に対して所定の距離と配向で固定して保持するために、陽極体に堅く連結される。このように、陽極体は、コンクリートまたは他の材料を注ぐ前に鉄筋に配置することができる。したがって、陽極体は、金属鉄筋に対して一連の陽極をよりよく配置するために、金属鉄筋および他の隣接する金属鉄筋に対して所要位置で保持される。代替的に、フック部材は、陽極体に堅く連結されてもよく、および螺合する細長い部材は、金属鉄筋に対して所定の距離と配向で陽極体を保持するために使用されてもよい。
【0018】
本明細書に開示される構成は、陽極体と共に使用することができ、陽極体は、犠牲にしてもかまわない、金属鉄筋ほど貴でない物質の陽極を含む。
【0019】
代替的に他の実施形態では、電圧差は、電気エネルギーの放出によって生成される電流を伝達するために2つの極を有する電気エネルギーの蓄積コンポーネントによって、金属鉄筋に電気的に1つの極を接続することによって、および陽極体上の陽極に電気的に別の極を接続することによって、生成される。
【0020】
本発明の一態様によれば、イオン導電材料において金属部を防食および/または不動態化するための方法が提供され、該方法は:
イオン導電材料において金属部へ電流を伝達するための陽極を提供する工程;
金属部の陰極防食を提供するために陽極と金属部との間でイオン導電材料に電流を流させるように、陽極と金属部との間に電圧差を生成する工程;
および電流を最大値に制限する電気部品を提供する工程、を含む。
【0021】
上記の構成は、鉄筋上に陽極体のための機械的なクランプを提供する。この構成は以下の利点を提供することができる:
【0022】
接触は鉄筋に食い込むように作用する;接触は、鉄筋の表面がさびまたはコンクリートの残留物で汚染されている等の清潔でない場合でさえも、十分な連結を行う。
【0023】
クランプは、異なる鉄筋サイズ/直径および腐食によって引き起こされるサイズ/直径に適合可能である。
【0024】
クランプは固い付着を作り出す。
【0025】
クランプは、連結点から間隔を置いた位置で陽極体を支持する。
【0026】
陽極がある鉄筋に近すぎない位置に保持されるため、取り付け装置はより均一な電流分布を促進し、したがって抵抗における差異の減少によってほとんどの電流をより均一に流す。
【0027】
クランプは、ワイヤーラップ接続のように鋼鉄筋の回りを容易に回転することはない。
【0028】
クランプ連結は、鉄筋に対する陽極体の何らかの回転の結果として緩むことはない。
【0029】
陽極体は、重力によって回転する/位置を下げることはない。
【0030】
機械的クランプは、鋳造されることになっているコンクリート/モルタル部分内の選択された鉄筋に、インストーラーによって陽極を配置することを可能にする。
【0031】
コネクタは、第1の当接として標準ねじロッドを有して陽極を製造することを可能にする。
【0032】
電源を使用する構成では、連結は、電源の1つの極を鉄筋に堅く連結し、および他の極が離間しており鋼に接触しないことを保証するように作用し、なぜならこれは、ショートを引き起こし、バッテリーを流出させ、そして鋼に防食を提供しないであろうからである。
【0033】
異なるコネクタが、異なるサイズ範囲のために提供され得る。
【0034】
歯またはナイフ/シャープエッジを、鉄筋に食い込むためにフック部材によって画定された空洞の開口部内に設けることができる。
【0035】
ねじロッドの端部上の凹面端部および追加の歯は、鉄筋に切り込むように作用することができる。
【0036】
これらの特徴は、安全で堅い、物理的かつ電気的な接続を保証する。
【0037】
本発明の別の態様によれば、イオン導電材料において金属部を防食および/または不動態化するための方法が提供され、該方法は:
イオン導電材料において金属部へ電流を伝達するための陽極を提供する工程;
金属部の陰極防食を提供するために陽極と金属部との間でイオン導電材料に電流を流させるように、陽極と金属部との間に電圧差を生成する工程;
および電流を最大値に制限する電気部品を提供する工程、を含む。
【0038】
本発明の別の態様によれば、イオン導電材料において金属部を防食および/または不動態化するために使用される陽極アセンブリが提供され、該陽極アセンブリは:
イオン導電材料において金属部にイオン電流を伝達するための陽極;
電気エネルギーを放出することによって生成された電流を伝達するための第1および第2の極を備えた電気エネルギーの蓄積コンポーネント;
金属部に第1の極を電気的に接続するためのコネクタ;
を含み、第2の極は陽極に接続され;
陽極は、イオン電流が蓄積コンポーネントから陽極を介して金属部へと流れることができるように、イオン導電材料とのイオン的接触で取り付けられるように配置され;
および陽極アセンブリは電流を最大値に制限する電気部品を含む。
【0039】
好ましくは蓄積コンポーネントからの利用可能な最大電圧にさらされるこの構成では、電流は、コンポーネントがレギュレータではなくリミッタとして作用するように、イオン導電材料の導電率に応じて最大値からより低い値まで、電気部品によって変動され得る。このように、リミッタによるパワードロー(power draw)は非常に低くしておくことができる。電流は、電気部品の電圧とシステムの固有抵抗により生じる生来の値よりも高い値では維持されない。
【0040】
このように、電気部品は、容量が制限されており、かつ制限された容量が消費された後は機能しないバッテリー、または他の電源システム、あるいは流電陽極システムの寿命を伸ばすように作用する。
【0041】
好ましくは、電気部品はトランジスターを含み、ここでトランジスターを通る電流は最大値に制限される。トランジスターは従来のトランジスターまたはFETであり得る。この構成では、好ましくは、電気部品は、トランジスターのための基準電圧として、第1と第2の極の間の電圧差、または陽極と金属部との間の電圧差を使用する。もちろん、これはほとんど電流を引くことがなく、その結果、電気部品は1μA以下の電力を消費するように構成される。このように、回路は非常に単純であり、かつもっぱらトランジスターと抵抗器から構成され得る。他の低電力リミッタが使用可能であるが、典型的には、高電力レギュレータは、陽極と鉄筋との間の電流の制限によって節約されるよりも多くの電流を引くがゆえに適切ではない。加えて、他の構成では、第2の犠牲陽極が設けられ、および電気部品は、電気部品用の基準電流を生成するために2つの陽極と抵抗器との間の電圧差を使用する。
【0042】
典型的に、電流は、電圧源の安定性、トランジスターの利得、および抵抗器の抵抗に応じて、最大値を+/-20%、10%、5%、2%以内に制限することができる。
【0043】
好ましくは、電気部品は、陽極と、鉄筋への連結用のコネクタを含む組み合わせユニットの一部、例えば上記のようなタイプの構成を形成する。
【0044】
好ましくは、上記の電流リミッタは、単一の陽極に関連付けられ、かつ単一の陽極に対してのみ動作し、および電流を複数の陽極に制限する、または調整するより大きなシステムの一部ではない。
【0045】
1つの特に好ましい方法では、陽極が金属部に据え付けられて連結される一方で、イオン導電材料は外され、および電気部品による電流の制限は、イオン導電材料の硬化中にガスの発生を防ぐ。設定中のガスの発生は、それがコンクリートに泡を形成するという点で重大な問題である。
【0046】
本明細書に記載された構成は、電気エネルギーの放出によって生成される電流を伝達するための2つの極を有する電気エネルギーの蓄積コンポーネントによって、金属部に1つの極を電気的に接続することによって、および陽極に別の極を電気的に接続することによって電圧差が生成されるシステムで使用することができる。しかしながら、同じ電流制限システムおよび同じ機械的な接続が、犠牲陽極または流電陽極と共に使用可能であり、および、電源によって駆動される印加電流陽極および個別の犠牲陽極の両方が存在する複合システムでも使用可能である。
【0047】
この構成では、好ましくは、陽極と蓄積コンポーネントは共に、イオン導電材料、典型的にはコンクリートに少なくとも部分的に含まれ、または埋められる。この構成では、好ましくは、蓄積コンポーネントは単一ユニットとして、印加電流陽極または非犠牲陽極および/または犠牲陽極に接続される。
【0048】
この構成では、好ましくは、蓄積コンポーネントは、外表面上の陽極を画定する閉じた、または密封されたキャニスタ内に含まれる。この場合、陽極はステンレス鋼から作ることができる。
【0049】
この構成では、場合によっては、長寿命の交換を提供するために、電気エネルギーは、蓄積コンポーネントを再充電することによって、または蓄積コンポーネントを交換することによって、導入可能である。
【0050】
蓄積コンポーネントは、電池または電池のバッテリーであってもよく、またはキャパシタであり得る。
【0051】
したがって上記の構成は、陽極と鉄筋との間の電流を制限するように作用する構成を提供する。この構成は、以下の特徴の1つ以上を提供することができる:
【0052】
それはバッテリーまたは流電陽極からの電流を調整するように作用する。
【0053】
それは、基準電圧として、エネルギー蓄積装置の極にわたる、またはエネルギー蓄積装置と鋼との間の、または流電陽極と鋼との間の電圧差を使用する。
【0054】
それは、従来のトランジスターまたはFETと、トランジスターの調整電圧を決定する抵抗器を含む2つのコンポーネントのみで典型的に形成された、単純な制限システムを提供する。
【0055】
回路はほとんど電力を消費せず、1μA以下であり得る。
【0056】
これらは限定的な容量(限定的な蓄積エネルギー)を有し、かつ限定的な容量が消費された後は機能しないため、バッテリーまたは流電陽極方式に理想的である。
【0057】
電流は、短絡から抵抗までの回路抵抗の広い範囲にわたって制限することができ、ここで利用可能な電圧は、設定電流値をもたらすのに十分である。
【0058】
電流は、電圧源(バッテリー/陽極)の安定性に応じて、+20%、10%、5%、2%以内に調整することができる。
【0059】
電流リミッタは、バッテリーまたはキャパシタ含む複合ユニットの、または陽極とコネクタの一部であり得る。
【0060】
電流リミッタは、低抵抗性のフレッシュな物質を通じた高電流密度放出の有害な効果なく、フレッシュコンクリート/モルタルにおいて、バッテリー/高出力陽極を据え付け、かつ鋼に接続することを可能にする。缶は、ガス泡を生成し、排泄し、鋼への結合を低下させ、およびコンクリート/モルタルに穴/キャピラリを残す、硬化中のガス発生(酸素と水素)を防ぐために使用される。穴/空洞形成は、水と塩類が浸透し、およびCO2がコンクリートを炭素化するための鋼への直通路を可能にする。それらはすべて、鋼の早すぎる腐食をもたらす。
【0061】
上述のように、陽極が金属部に対して犠牲にならない場合、典型的に材料は金属部に対して電気陽性である。しかしながら、陽極のいくつかの部分が犠牲になることもあれば、陽極が完全に犠牲になることもある。
【0062】
本明細書における構成は、陽極が電池または電池のバッテリーに全て接続された複数の関連する陽極の形をとっている場合に、使用することができる。
【0063】
上記で定義されるような蓄積コンポーネントは、電池、バッテリー、または電池のバッテリー/バッテリーであってもよく、あるいはキャパシタ、スーパーキャパシタ、またはウルトラキャパシタであってもよく、これは、従来の電解槽またはバッテリーとは異なる電荷の蓄積のためのシステムを提供する。スーパーキャパシタは、他のキャパシタよりもはるかに高い容量値を備えた高容量の電気化学キャパシタである。これらのキャパシタは典型的に、標準的なキャパシタまたは従来のキャパシタよりも低い電圧制限を有する。それらは典型的に、単位容積または単位質量当たり、標準的なキャパシタよりも10倍から100倍多くのエネルギーを蓄積し、バッテリーよりもはるかに多くの電荷を受け入れて送達することができ、そして充電式バッテリーよりもさらに多くの充放電サイクルを許容する。スーパーキャパシタは、標準的なキャパシタの従来の固体誘電体を使用しない。スーパーキャパシタは、電気二重層容量(electrostatic double-layer capacitance)、または電気化学的疑似容量(electrochemical pseudo-capacitance)、あるいは両方の組み合わせを代わりに使用する。電気二重層キャパシタは、電気化学疑似容量よりもはるかに高い電気二重層容量を備えた炭素の電極または誘導体を使用し、導電性電極の表面と電解質との間の界面におけるヘルムホルツ二重層における電荷の分離を達成する。電荷の分離は、従来のキャパシタにおける分離よりもはるかに小さな、数オングストローム程度(0.3-0.8nm)の分離である。
【0064】
スーパーキャパシタは、一度完全に充電されると高い電荷を蓄積することができるという、通常のキャパシタにおける大きな進歩である。2.7V 200Fスーパーキャパシタの容量では、約500C(A×秒)を超えて電荷を保持することができる。典型的な陰極防食システムは、1日当たり約170~400C/m2の鋼を必要とするため、そのようなキャパシタは完全に充電された時に、一日で1m2以上の鋼を防食するのに十分な電荷を提供することができる。これは2-5mA/m2の電流密度に相当する。例えば、この数値を2倍にするためには、静電容量を約400Fへと2倍にする必要がある。キャパシタが日常的に充電される場合、理論的に、1m2以上の鋼に電流を提供するために間隔をおいて配置されたこの大きさのスーパーキャパシタを利用するシステムは、効果的な陰極防食システムになり得る。日常的な再充電は太陽光パネルによって容易に提供することができるが、例えば、電流の適度に規則的なバーストを生成する他の手段が、スーパーキャパシタのための充電コンポーネントとして使用されてもよい。そのような手段の例は、道路、駐車場、橋、滑走路等に組み込むことができ、それらの上を通る構造物または車両の荷重および/または移動により電流を生成することを可能にする圧電材料であってもよい。
【0065】
すなわち、外部電源方式に電力を直接供給するために、またはバッテリーまたはキャパシタ/スーパーキャパシタを充電/再充電するために、圧電材料が電気の生成に使用されてもよい。
【0066】
いくつかの実施形態では、陽極は、防食される金属部ほど貴でない材料から形成された犠牲陽極である。しかしながら、その他の場合において、陽極は防食される金属部ほど貴ではなく、したがって金属、典型的には鋼と同じ、または鋼よりも貴であり;したがってプロセスの間、部分的にまたは完全に不活性である。陽極が、十分に不活性な材料の陽極から形成される場合、電子が流れている間に著しく腐食することはない。
【0067】
高電流出力が、バッテリーなどの蓄積コンポーネントから要求される。上記のように、1つの極が、防食される金属部に接続される。電子は、金属部の腐食が低減されるように、蓄積コンポーネントから金属部まで流れる。他の極が陽極に接続され、または適切であれば、蓄積コンポーネント自体のケーシングを陽極として使用することができる。亜鉛アルカリ電池の場合、バッテリーの分極性は、バッテリーのケースが適切な材料で作られている場合に陽極として作用し、かつモルタルまたはコンクリートなどのイオン導電材料を介して必要な電流を分散することができるようなものである。大部分のリチウム電池などの他のバッテリーは、典型的に、必要な電流をイオン導電材料に伝達するのに十分に大きくない場合もある、適切な分極性を有する小さな極のみを有する。別個の陽極が、適切な極への接続のために提供され得る。陽極は、バッテリーまたはキャパシタなどの蓄積コンポーネント全体を包み、または被覆してもよい。陽極は、MMOコーティングされたチタン、または他の貴金属、あるいはサブメタル、導電性コーティング、導電性セラミック材等の任意の不活性な導電材料で作ることができ、およびアルカリのモルタル、またはアルカリ溶液が添加され得る砂等の不活性な材料に埋め込むことができる。ステンレス鋼はまた、水酸化リチウムの飽和溶液等のアルカリが添加されたモルタルまたは締固め砂に埋め込まれた時に、適切な電流キャリアになることができる。陽極はまた、防食される金属部ほど貴でない亜鉛等の犠牲材料を含んでもよい。
【0068】
好ましくは、いくつかの実施形態において蓄積コンポーネントは、最初に充電され、またはインサイチュの間に、すなわちイオン導電材料と接触している間に、引き続き再充電される。該構成は、定期的な充電プロセスを果たすために自動切替システムを含んでもよく、または好ましくは含む。例えば、蓄積コンポーネントは、太陽電池によって、または第2のバッテリーもしくは電源などの外部の電力源によって充電することができる。また、場合によっては、引き続き自動的かつ反復して、または定期的に、再充電を実行するように作動するシステムが提供されてもよい。
【0069】
別の場合では、蓄積コンポーネントは、陽極および蓄積コンポーネントを備えた一体型ユニットである再充電用電源によって引き続き再充電される。しかしながら、該システムはまた、構造中の陽極アセンブリまたは1セットの陽極アセンブリの再充電を果たすために必要とされれば、電源が定期的に作動される定期メンテナンスプログラムとして作動してもよい。
【0070】
好ましくは、蓄積コンポーネントは、両方の端子間に、または蓄積コンポーネントの端子への第1の接続と金属部への第2の接続間に、電圧を直接印加することによって引き続き再充電される。
【0071】
一構成において、陽極は犠牲陽極材料を含み、または金属部に対して犠牲である陽極は、犠牲陽極材料が消耗されるまで、電流のブーストを引き起こす犠牲陽極材料の本体に付随するか、もしくはその本体と電気的に接しており、以後、電流放電はその陽極を介する。
【0072】
一構成において、蓄積コンポーネントは、1つの端子への接続、および金属部への第2の接続による据え付けの後に、最初の充電工程において、または後の再充電において、金属部に接続されて充電される。この接続法は、金属部を不動態化する充電工程または再充電工程中に、余分な電流を金属部へ流すように作用し、または金属部の不動態を維持する、あるいは腐食を軽減するために、将来的な電流要求を減らすように作用する。
【0073】
典型的には、蓄積コンポーネントおよび陽極(複数可)を含む単一ユニットは、少なくとも部分的にイオン導電材料に埋められる。しかしながら、陽極が材料とイオン的に接触する取り付けの表面または他の様式への適用が使用され得る。
【0074】
1つの特に好ましい構成では、蓄積コンポーネントは、外装ケースを有する電池を含み、ここで外装ケースは、完全に、または部分的に、陽極材料から形成され、したがって陽極は、同じ材料の外装ケースによって、または外装ケースの外面上のコーティングまたは層として、外装ケースにより形成される。この場合、外装ケースまたは少なくとも外部層は、鋼よりも貴な材料から形成可能である。本構成において、陽極は電池の外装ケースを直接形成し、ここで外装ケースは、電池、電解質、陽極材料、および電池の他のコンポーネントの陰極材料を含み、かつ収容する。つまり、本実施形態において、陽極は、蓄積コンポーネント自体の外部表面上の層またはコーティングによって規定され、または実際に蓄積コンポーネントの外部表面であり、かつ蓄積コンポーネントとは別個の付加的な要素ではない。蓄積コンポーネントが電池である場合、電池の外装ケースは陽極の材料を直接支えることができ、または電池の外装ケースが陽極であることさえある。陽極材料は、面全体を覆ってもよく、または他の領域を露出する部分的な被覆であってもよい。
【0075】
別の場合では、外装ケースと陽極は独立して形成され、かつ陽極は、電池の外装ケースの形に一致する別個の本体を形成する。典型的に、そのような電池は円柱状であるが、他の形状も使用可能である。元の電池がもはや有効でないほど十分に消耗された後、電池が追加のエネルギーを取り入れるために再充電可能であるよりもむしろ交換可能である場合に、本構成は特に適用可能である。
【0076】
別の場合では、陽極は、蓄積コンポーネントの1つの端子に電気的に接続される別個の本体である。
【0077】
上記の特徴は、好ましくは、腐食生成物の膨張力、および鋼の強度の低下により、腐食がコンクリートの崩壊を引き起こし得ることが周知のコンクリート材料またはモルタル材料において、鋼補強部材または構造部材の防食に使用することができる。しかしながら、他の状況での使用も起こり得る。
【0078】
本明細書に使用される用語、印加電流陽極は、金属部ほど貴ではなく、その結果防食される金属部よりも優先的に腐食する材料、典型的には亜鉛から形成される犠牲陽極との区別を意図している。印加電流陽極は、外部電源と併せて使用され、かつ金属部ほど貴ではない必要のある陽極である。典型的に、そのような印加電流陽極は、容易には腐食しないチタン、白金、ニオブ、カーボン、および他の貴金属と酸化物から作られ、または鉄、あるいは亜鉛等のより貴ではない物質から作ることができる。
【0079】
上記方法の動作の犠牲相またはガルバニック相の間の使用に関し、イオン導電性の充填剤は、好ましくは、犠牲陽極の継続的な腐食を確実にするために少なくとも1つの活性剤を含む。しかしながら活性剤は、該システムの他の場所に配置することもできる。適切な充填剤は、固体、ゲル、または液体の形状であり得る。
【0080】
ゲルは、カルボキシメチルセルロース、でんぷんおよびそれらの誘導体、ヒュームドシリカまたは高分子ゲル電解質、例えばベントナイト、プロピレンカーボネート、および/またはアルミナを添加した水酸化カリウム水溶液またはポリ塩化ビニル/酢酸塩-KOH複合材料中のアクリル酸、を含むことができる。これらのゲル中の水酸化アルカリは、適切な活性剤として作用する。
【0081】
適切な活性剤は、犠牲陽極金属に対して腐食性を示す、水酸化アルカリ、湿潤剤、触媒材料、および他の材料を含む。活性剤は、単独または併用して使用されてもよい。
【0082】
上記方法の動作の犠牲相またはガルバニック相の間の使用に関し、イオン導電性の充填剤は、好ましくは、犠牲陽極の腐食が発生し、かつ犠牲陽極上の不動態膜の形成を回避するために、十分に高いpHを有する。代替的に、充填剤はより低いpHを有し、および/または犠牲陽極の腐食の発生、および犠牲陽極上の不動態膜の形成の回避のための他の活性剤を含んでいる。
【0083】
本明細書の陽極および方法は、好ましくは、金属部が鋼であり、イオン導電材料がコンクリートまたはモルタルである場合の使用のために設計されている。
【0084】
印加電流コンポーネントと犠牲コンポーネントを含む陽極装置は、典型的には、コンクリートまたは充填剤によって完全に包まれるように、コンクリートまたは他の固形材料に埋められているが、これは必須ではなく、陽極は、単に部分的に埋められるか、またはコンクリートと直接的あるいは間接的に、物理的あるいはイオン的に接触してもよい。
【0085】
印加電流コンポーネントと犠牲コンポーネントを含む陽極装置は、多孔質材料または多孔性のモルタル材料であり得る封止材料またはイオン導電性の充填剤によって囲まれてもよい。適切な封止材料は、無機または有機であり得、および任意のイオン導電性セメント質のポリマー、非セメント質の材料、またはジオポリマー、あるいは修飾されたポルトランドセメントを含むモルタルであってもよい。封止材料は、固体、ゲル、または液体であってもよく、かつ変形可能であってもよい。
【0086】
電源は、太陽光発電が断続的であるときに、長期の防食を提供するように印加電流陽極および再充電可能な流電陽極を駆動する太陽光パネルを含んでもよい。
【0087】
本明細書で提案される構造と方法は、特に金属部が鋼であり、およびイオン導電材料がコンクリートまたはモルタルである場合を想定して設計されている。しかしながら、同じ構成は、土内のパイプまたは他の構築物等の他の防食システムにおいて、およびそのような陽極を使用可能な他の多数のシステムで使用されてもよい。
【0088】
好ましくは、アセンブリは、2007年6月5日にホイットモアに付与された米国特許第7,226,532号に開示されるような補強層を含み、この出願の開示は、陽極の腐食、犠牲陽極イオンの析出、および凍結、融解、湿潤、乾燥、および熱膨張/熱収縮等の他の物理的/環境的な力によって引き起こされ得る膨張、収縮、および歪み力等の力を抑制し抵抗するために、参照により組み込まれ、または本明細書に開示されないさらなる詳細のために参照されても良い。
【0089】
本明細書で定義され、記載される本発明は、イオン導電材料の金属部を陰極防食および/または不動態化するための方法とは対象的に、アセンブリとしても提供することができる。したがって、本明細書に提示される本発明の以下の定義が本明細書に含まれる。これらの独立した定義の各々は、上記に定義されるような従属的特徴の一つまたは全てと併せて使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0090】
ここで、本発明の実施形態が添付の図面と共に記載される。
【
図1】本発明に係る腐食防止法に使用される陽極アセンブリの断面図である。
【
図2A】電池と共に使用するための電流制限回路、および陽極体への第1の当接の取り付けの拡大図である。基準電流を生成するためにバッテリー電圧を使用する流電陽極との使用のための電流制限回路の概略図である。
【
図2B】電池と共に使用するための電流制限回路、および陽極体への第1の当接の取り付けの拡大図である。2つの陽極を使用する流電陽極との使用のための電流制限回路の概略図であり、ここで第2の陽極は、基準電流を生成するために使用される。
【
図2C】電池と共に使用するための電流制限回路、および陽極体への第1の当接の取り付けの拡大図である。バッテリー供給部を有する印加電流陽極と流電陽極の両方が使用されるシステムとの使用のための電流制限回路の概略図であり、ここで抵抗器にわたる電圧は、FETを制御するために使用される。
【
図3】
図1のものに類似の陽極アセンブリの正面図であり、ここで陽極体は犠牲陽極を使用する。
【
図5】パッチに適用される未設定のフレッシュコンクリートの添加の準備ができている、コンクリートアセンブリにおけるパッチ修復の、
図1のものに類似する陽極アセンブリの平面図である。
【0091】
図において、類似する特徴の参照は、異なる図の対応する部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0092】
図1に示される例において、2016年11月2日出願の先の同時係争中の出願第第15/341532号に示されるように、再充電可能であり得る電池が提供され、その開示は参照されてもよく、または参照により本明細書に組み込まれ、または単純な再充電可能でない電池であってもよい。電池は陽極構造の一部を形成してもよく、または陽極と電池は物理的に分離していてもよい。
図1に示されるように、陽極体(10)は、典型的なアルカリ二酸化マンガン-亜鉛によって規定され、充電式電池は以下の主要ユニットを含む:円筒形の内部空間を画定するスチール缶(12)、缶へとプレスされた複数の空洞の円筒形ペレット(16)によって形成される二酸化マンガン陰極(14)、陽極ゲルで作られ、かつ陰極(14)の空洞の内部に配置された鉛陽極(18)、および陰極(14)から分離している円筒状セパレータ(20)。陽極と陰極との間のイオン導電性(電解質)は、予め決められた量で電池へと添加される水酸化カリウム、KOH、電解質の存在によってもたらされる。他のタイプの充電式電池は、類似の主要コンポーネント(缶、陰極、陽極、セパレータ、および電解質)を含むが、構成要素の組成は異なってもよい。しかしながら、いくつかのタイプの電池は、鉛蓄電池またはリチウム電池等の異なる構造であってもよい。
【0093】
缶(12)の底部は閉じており、および陽端子になる中央円形ピップ(22)を有する。缶(12)の上端は、金属薄板によって形成される陰性キャップ(24)、陰性キャップ(24)に取り付けられ、かつ陽極との電気接触もたらすように陽極ゲルへと浸透している集電子(26)、および缶(12)から陰性キャップ(24)を電気的に絶縁し、かつそれぞれ陰極と陽極の構造体を越えて形成された気層を分離するプラスチック上部(28)を含む電池閉鎖アセンブリによって、空気を通さないように密閉される。
【0094】
セパレータ(20)の材料は、2つの異種材料、すなわち:電解質によって湿潤可能な繊維シート材料で作られる第1の材料(30)、および小さな粒子を通さないがイオン透過性を保持する第2の材料(32)から成る。第1の層に好都合な材料は、吸収性があり、かつ電解質のためのリザーバとなる不織ポリアミド繊維のシート材料である。吸収層のマクロポーラス構造は、放電/充電サイクルの間に亜鉛のデンドライトまたは沈殿物によって内部短絡を防ぐことができない。
【0095】
短絡は、第2の材料(32)によって防食され、この材料は、繊維シート材料へと薄くのばされ、またはコーティングされ得るミクロポーラス材料または非ポーラス材料の層(複数可)であってもよい。1つの適切な材料は、不織ポリアミドシートへと薄くのばされる1つ以上のセロファン膜である。別の適切な材料は、不織ポリアミドシートにコーティングされ、かつ部分的に染み込ませ、複合材料を結果として生じさせる再生セルロースまたはビスコースの1つ以上のコーティングである。
【0096】
他のタイプの充電式電池が使用されてもよい。この構成では、上記のタイプは、コンクリート(41)等のイオン導電材料の鋼鉄筋(40)等の金属部を陰極防食および/または不動態化するための方法で使用される。したがって電池は、外装ケーシング(12)によって画定される第1の端子(42)と第2の端子(43)を含む。第1の端子(42)は、陽極材料(18)へと係合されるピンまたは爪(26)に接続される。端子(42)は、鋼鉄筋(40)に陽極体を機械的かつ電気的に取り付けられる、概して(50)で示される装着アセンブリを通じた、
図1に示される鋼鉄筋(40)への最終的な接続のための端子(42)から伸長する接続ワイヤ(42A)に接続する。
【0097】
図1において、陽極(44)は電池のケーシング(12)上へのコーティングとして適用される。本実施形態において、陽極(44)は不活性材料であり、したがって鋼よりも貴である。そのような材料の例は周知である。したがって、陰極防食プロセスの間、陽極材料(44)は腐食せず、または著しくは腐食しない。
【0098】
本構成において、ケーシング(12)の外側表面上への陽極(44)の適用は、一般的な単一ユニットとして構造を提供し、ここで陽極は電池に直接接続され、および電池を備えた一体式要素を形成する。陽極(44)は1つ以上の層を含んでもよく、および混合金属酸化物(MMO)、触媒、またはサブ酸化物(sub-oxide)の層を含んでもよい。
【0099】
本実施形態において、陽極(44)は防食プロセスにおいて腐食しない不活性材料から形成されるため、本明細書に含まれる陽極と電池は、多孔性のモルタルマトリックス等の介在する封止材料の必要のない、コンクリートまたは他のイオン導電材料へと直接組み込み可能、または埋め込み可能である。いかなる腐食生成物も存在しないため、そのような生成物、またはそれによって生成される膨張力を吸収する必要はない。該プロセスは、犠牲陽極の継続的な腐食に左右されないため、陽極の表面に活性剤は必要性ではない。動作中の不溶性陽極の表面における化学反応は酸を生成する(またはアルカリを消費する)ため、陽極の近くの材料が酸性になることを防止するコンクリートまたは高アルカリ性モルタル等のアルカリ性材料内に陽極を埋めると有益である。望ましい場合は、付加的なアルカリが、陽極が接触しているコンクリートまたは他の材料に添加されてもよい。
【0100】
本明細書に示される装置は、概して(10)で示される陽極体を含み、これは、概して(50)で示される装着アセンブリによって鉄筋(40)に連結される。加えて、陽極体は、概して(51)で示される電流制限システムを含み、これは、陽極体から鉄筋(40)への電流の流れを制限する。
【0101】
先に記載されたように、陽極体は、典型的には電池の外側表面上に陽極(44)、および鉄筋(40)への接続のための電池の端部に設けられた電池の他の端子を有する電池の形態の電源によって規定可能である。
【0102】
以下に記載される他の実施形態において、陽極体が、亜鉛等の鋼鉄筋ほど貴ではない犠牲材料を含む場合に、電池缶は省略可能であり、ここで陽極と鉄筋との間の電圧は、2つの金属成分間の直流電気の電圧を含む。
【0103】
さらに他の実施形態では、陽極体は、印加電流陽極と犠牲陽極の両方の組み合わせを含むことができる。このように、陽極がコンクリートにイオン的に接続された時に、電圧差が陽極(44)と鉄筋(40)との間に生成され、それによって陽極と鉄筋(40)との間のコンクリートに電流を通して、コンクリートの鉄筋の防食および/または不動態化を提供するように、陽極は構成されて配置される。
【0104】
図1、3、および4に示される実施形態では、装着アセンブリ(50)は、陽極体(10)へと1つの端部において取り付けられるねじロッド(53)の形態の第1の当接(52)を含む。ねじロッドの対向端部(54)は、鉄筋(40)の1つの側面を係合するために正面を形成する。
図2と4に示されるように、ねじロッド(53)の端面(54)は、圧縮接触時に鉄筋(40)の面へと食い込むように配置された周辺環状端部(55)と介在突部(56)を含む。
【0105】
装着アセンブリ(50)は、面(59)において鉄筋(40)の対抗する面に概ね係合するために、第2の当接(57)をさらに含む。概して、第2の当接は、面(54)から鉄筋(40)を通じて伸長する直径(61)のいずれかの側の少なくとも2つの位置(59)と(60)の鉄筋(40)の対向面または後面に接触するフック部材を形成する。このように、鉄筋(40)は、安定した係合を提供するために鉄筋システムの軸(62)のまわりに一定間隔で配置される3つの先端(54)、(59)、および(60)と接触する。
【0106】
面(59)と(60)によって画定されるフック部材は、(59)と(60)において面を支える底部交差部材(64)と上部交差部材(65)を備えたC形状の構造(63)の一部を形成する。これらの交差部材は、ねじロッド(53)に平行に伸長する脚(66)を外へと伸ばすことによって相互に連結される。交差部材(64)は、フランジを通るねじ穴(68)を有するねじロッド(53)に対し直角にフランジ(67)を含み、フランジはねじロッド上のナットとして作用し、したがってねじロッド上の回転によってナットが陽極体の方に駆動されて、面(54)へと面(59)と(60)を引っ張り、その間に鉄筋(40)を留める。
【0107】
面(59)と(60)はまた、鉄筋(40)の面に食い込み、かつ面(54)の歯(55)と(56)と協働する歯または他の突部(59A)、あるいは鋭い刃(59B)を伴って形成することができる。このように、強い物理的接続が、第1および第2の当接と鉄筋(40)との間に提供され、さらに、強い電気的接続がロッド(53)と鉄筋(40)との間に提供される。いくつか、またはすべての接触面上のこれらの歯または鋭い刃は、鉄筋の金属との効果的な係合と電気的接触を確実にするために、鉄筋の面における腐食またはコンクリート残留物等の任意の汚染物質に食い込むことができる。つまり、第1と第2の当接部材の各々は、鉄筋の面へと切り込むためのコンポーネントを含み、したがって鉄筋の面を浄化する必要を回避する。
【0108】
本発明の他の独立した特徴に従って、突部と刃が鉄筋の金属との必要な係合を確実に提供するようにするために、接続の効果を測定するセンサーを提供することができる。これは、例えば、接続の抵抗が必要な低レベルの抵抗を確実に満たすように鉄筋と接続上の点を橋渡しすることによって、接続にわたる抵抗を測定することにより行うことができる。この出力は、接続が適切に設定基準を満たしているかどうかに関して、例えば視覚的または聴覚的に、インストーラーに指示を出力するために、インジケータに提供される。
【0109】
フック部材は、ロッド(53)の片側に単一の物体を含むことができる。しかしながら、
図4に最もよく示されるように、フック部材は典型的に、後板(70)によって接続される2つの個別のフック部(68)と(69)によって形成される。このように、ロッド(53)は、(68)と(69)の部分間、および後板(70)に含まれている。(68)と(69)のフック部は各々、鉄筋(40)の後面を係合する面(59)と(60)を含む。したがって第2の当接部材を陽極体の方へ引っ張る力は、両方のフック部上および両方の面(59)と(60)上で引き、ロッド(53)の面(54)からの係合の単一点と協働する4つの係合点を提供する。
【0110】
本実施形態において、雌ねじ部は、フランジ(67)を通るねじ穴によって設けられる。したがって陽極体の方へ第2の当接部材を引き抜くねじ行為は、ロッド(53)を回転させることにより提供される。これは、陽極体を手動でつかみ、およびそれをハンドルとして使用してロッド(53)を回転させることによって、最も効果的に行うことができる。もちろんこれは、ロッド(53)の底部端と陽極体との間の強い接続を必要とする。
図2に示される構成では、この接続は、ロッド(53)の底部端上に取り付けられたベースプレート(71)によって提供され、陽極体の上方端に堅く係合する。犠牲材料の固体陽極(74)を使用する構成では、ロッド(53)は、必要な構造および電気的接続を提供するために陽極体の内部に鋳造することができる。
図3では、固体陽極物体(74)は、腐食生成物を保持し、および本明細書に前述の従来の活性材料を支えるために、モルタル材料(75)の従来の覆いを含む。
【0111】
他の構成(図示せず)では、ロッド(53)に係合した雌ねじ部は、それ自体がフランジ上の第2の当接部材(67)に対して回転することのできる別個のナットによって形成され得る。本実施形態では、ロッドを回転させるのではなく、ナットを回転させて陽極体の方へとフランジ(67)を駆動することができる。ねじ接続の他の構成もまた、陽極体の方へと第2の当接部材を駆動することができる。他の例において、フックは陽極体の一部であり、およびねじは、フックに対して鉄筋をプレスするように回される。
【0112】
ここで
図2に目を向けると、電池の端子(42)と、上記の鉄筋(40)に電気的に接続されるロッド(53)との間の接続がより詳細に示される。
【0113】
端子(42)はワイヤー(42A)に接続され、ワイヤー(42A)はトランジスター(78)に接続される。
【0114】
トランジスター(78)の出力配線(79)は、ロッド(53)に接続されたベースプレート(71)に接続される。トランジスター(78)は、従来のトランジスターであり得、その場合は、トランジスター(78)の基部は、陽極(44)に接続されたバッテリーの正端子へとワイヤー(82)を介して接続された抵抗器(81)を通じて接続されたワイヤー(80)により提供される制御電流を有する。
【0115】
トランジスター(78)はまた、FETであり得、その場合、ワイヤー(80)は抵抗器(81)を介してFETのゲートを制御する。
【0116】
トランジスター(78)が鋼鉄筋(40)に接続され、およびワイヤー(82)が陽極(44)に接続されるため、トランジスター(78)への制御電流は、電池にわたる電圧と抵抗器(81)の抵抗によって決定される。この電圧は典型的に、電池がその寿命の後期になるまで比較的一定であるため、この一定制御電流は、電池から鉄筋(40)へとトランジスターを介して流れる電流の量を制御する。周知のように、抵抗器(81)は、トランジスターを介した電流の流れを最大値に設定するトランジスターの制御に基づき電流を提供するように選択することができる。この最大値は、コンクリートを介した陽極(44)と鉄筋(40)との間の導電率にかかわらず保持される。コンクリートを介する導電率が非常に高いと、例えば最初の設置中に、電流は最大値で保全される。コンクリートを通る導電率がより低いレベルに落ちると、電流は、電池の最大電圧に達するまで望ましいレベルで維持される。導電率がさらに低いレベルに落ちると、トランジスターを通る電流はさらに、導電率に応じて低下し、およびトランジスターの動作では維持されない。したがって抵抗器とトランジスターによって提供される合成回路は、レギュレータとして作用せず、代わりに電流リミッタとしてのみ作用する。
【0117】
図2Aと2Bは、流電陽極と共に使用されている電流制限デバイスの応用を示す。
【0118】
図2Aは、トランジスター(78)に接続された流電陽極(86)を示す。個別のバッテリー(87)は抵抗器(81)に接続され、およびトランジスター(78)に接続されて、トランジスターが鉄筋(40)に流れ込む最大電流を制御するように、トランジスターに制御電流を提供する。
【0119】
図2Bは、トランジスター(78)に接続された流電陽極(88)を示す。この場合、トランジスターへの制御電流は、第2の流電陽極(89)と抵抗器(81)によって提供される。上記の例でのように、制御電流は、鉄筋(40)に流れ込む最大電流を制御する。
【0120】
図2Cは、システムと共に使用するための電流制限回路を示し、このシステムにおいて、バッテリー供給部を有する印加電流陽極(10)と流電陽極(90)の両方が使用され、および抵抗器(81)にわたる電圧はFET(78)を制御するために使用される。陽極(10)と陽極(90)からの出力は、FETの下流に加えられ、またはバッテリーによって生成される陽極(10)からの電流は、電流制限回路を使用して制限される。このように、印加電流陽極からの電流は、必要な防食を提供するのに適した電流を維持するために流電陽極からの電流を「頂上に到達させる(トップアップ)」ために使用される。既知のように、陽極(90)からの電流は、バッテリーからのトップアップの必要時にのみ使用されるように、コンクリートの変化する状態に応じて変動し得る。バッテリーから得られる電流が制限されるため、システムは、バッテリーの寿命を陽極(90)の寿命と一致させることができるように設計可能である。
【0121】
電気回路が通常は閉じているFETを含む場合、FETは、上記の別個のバッテリーまたは別個の流電陽極が機能を停止した後に、流電陽極(86)から鉄筋(40)への電流の流れを妨げることができる。
【0122】
抵抗器(81)の選択によって製造中に設定された最大値への電流のこの制限は、システムの寿命の間、電流が比較的低レベルに留まることを保証することができ、したがって、電流リミッタのない場合の典型的な値よりも電池の寿命を劇的に増やすことができ、これは例えば、約1年から最大で10年のより適切な寿命であり得る。このように、電流は、陰極防食に適しているが、コンクリートを損傷し得る、または電池を早々に空にして望ましい時間枠で防食を提供しないであろう、この望ましい値を上回る過剰な電流が存在することのない値で維持される。
【0123】
この構成は、必要な電圧の生成のために電源として非犠牲印加電流陽極と電池を使用する構成に関して特に価値がある。そのような構成では、陽極(44)と鉄筋(40)との間に生成された電流は、いくつかの場合には、望ましい値を有意に上回ることができる。加えて、鉄筋上への陽極体の機械的装着は、有効な電気的接続を提供する。さらに、陽極体と鉄筋との間の強い物理的接続は、陽極体が重力に対して望ましい配向で配置可能であること、例えば陽極体が必要に応じて鉄筋の片側または鉄筋の上にあること、を保証する。
【0124】
ロッド(53)に端子(42)を接続するために、トランジスター(78)と抵抗器(81)を囲む絶縁カラーまたは保護カラー(83)が提供される。カラーの底部端は、電池の頂端に取り付けられており、およびカラーの頂端は、適切なリセプタクル部分においてベースプレート(71)を受け取る。カラー(83)は、適切なプラスチック材料の絶縁層(84)を囲むことによって、電池(44)に取り付けられる。カラー(83)の内部には、従来のポッティング材(85)が設けられ、これは、接続を維持するために、および水分浸透からの損傷を防ぐために、電気部品とワイヤーを取り囲む。該構造はしたがって、電池が手動でつかまれ、そしてロッド(53)を回転させるために運転ハンドルとして回されることを可能にする方式で、電池にベースプレート(71)が確実に取り付けられるのに十分強い。
【0125】
図5に示されるように、概して(90)で示される陽極体は、コンクリート材料(92)のパッチ修復(91)内に取り付けられる。陽極体は、ロッド(53)とフック部(57)を含む、先に記載されたような装着アセンブリ(50)を含む。本実施形態において、陽極体(90)は、電池(93)と犠牲材料の部分(94)から作られる。電池(93)は、印加電流陽極として作用する外面(95)を有する。電池は端子(96)を有し、端子(96)は、端子(96)からロッド(53)へと電圧を送るダイオード(98)を含むワイヤー(97)によって取り付けられる。初期動作中に、したがって該システムは、主に外部電源方式として動作し、ここで電池は、(95)の陽極と鉄筋(40)との間に流れる電流の大部分を生成する。しかしながら、電池が空になると、陰極防食は、ロッド(53)に直接接続されている犠牲陽極(94)によって引き継がれる。この構成では、ダイオード(98)は、犠牲プロセスを逆転するように作用することができ、代わりにより積極的に鋼を腐食する電池(93)を通じた電流の逆流を防ぐ。電池(93)と陽極(94)は、単に概略的に示される構造装着要素(99)によって適切に接続され、構造装着要素(99)は設置中に電池が陽極から離脱するのを防ぐのに十分に、陽極(94)に物理的に取り付けられる。
【0126】
図5に示されるように、陽極体(90)は、パッチ内の鉄筋(40)の片側へと外向きに立っている。このように、陽極体は、ロッド(53)の長さおよびクランプアセンブリの機械的接続によって画定される鉄筋(40)から間隔を置いた位置で支持される。クランプアセンブリの機械的接続は、追加のコンクリートでのパッチ(91)の充填中に陽極体がその水平な伸長方向に留まることを保証する。追加のコンクリートの設定中に、上記の電流制限システムは、設定されているコンクリートに進入してコンクリートに重大な損傷をもたらし得る、陽極と鉄筋の表面におけるガスの発生を防ぐ。
【0127】
様々な修正が、本明細書で上記されるように本発明になされてもよく、およびその明らかに大きく異なる実施形態が、このような精神と範囲から逸脱することなく特許請求の範囲の精神と範囲内で行われ得るため、添付の明細書に含まれるすべての事項が、例示としてのみ解釈され、限定的意味では解釈されないことが意図される。