(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-25
(45)【発行日】2023-09-04
(54)【発明の名称】バイオプロセスシステム
(51)【国際特許分類】
B01J 4/00 20060101AFI20230828BHJP
C12M 1/12 20060101ALI20230828BHJP
B01D 15/00 20060101ALN20230828BHJP
【FI】
B01J4/00 103
C12M1/12
B01D15/00 Z
(21)【出願番号】P 2020523362
(86)(22)【出願日】2018-10-25
(86)【国際出願番号】 EP2018079354
(87)【国際公開番号】W WO2019081684
(87)【国際公開日】2019-05-02
【審査請求日】2021-09-27
(32)【優先日】2017-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】597064713
【氏名又は名称】サイティバ・スウェーデン・アクチボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【氏名又は名称】崔 允辰
(74)【代理人】
【識別番号】100207158
【氏名又は名称】田中 研二
(72)【発明者】
【氏名】アンナ・カーリン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン-エリック・リンガ
(72)【発明者】
【氏名】マイク・ペータース
(72)【発明者】
【氏名】フレドリク・ルンドストローム
(72)【発明者】
【氏名】マッツ・リモ
【審査官】中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-055306(JP,A)
【文献】特表2016-502911(JP,A)
【文献】特表2009-533154(JP,A)
【文献】特表2004-517680(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0215022(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/00
B01D 15/00
B01J 4/00
C12M 1/00-42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームまたはハウジング(5)を備えるベースステーション(1)であって、前記フレームまたはハウジングが、システム内の流体流を制御するための複数の弁(7a~7f、9a~9d、11a~11f、13a~13e、15a~15f)を備えている、ベースステーション(1)と、
前記複数の弁(7a~7f、9a~9d、11a~11f、13a~13e、15a~15f)に解放可能で、流体的接続可能であるように構成されている使い捨て型チューブセット(21)と、
前記フレームまたはハウジング(5)内に少なくとも部分的に収容可能及びそこから取り外し可能であり、少なくとも1つのポンプ本体部(37)を備える個別移動可能ポンプ保持デバイス(35)であって、前記ポンプ本体部(37)が、前記使い捨て型チューブセット(21)のポンプ接続部(27)に解放可能に接続可能であるように構成されている流体接続部(39)を備えている、個別移動可能ポンプ保持デバイス(35)と、
を含んでなるバイオプロセスシステム(3)において、
前記個別可動ポンプ保持デバイス(35)にはポンプヘッドがなく、
前記ポンプ接続部(27)が使い捨て型ポンプヘッドを備えている、バイオプロセスシステム(3)。
【請求項2】
移動可能ポンプ保持デバイス(35)が車輪付きトロリー(39)を備え、前記フレームまたはハウジング(5)が前記移動可能ポンプ保持デバイス(35)を受け入れるための前記フレームまたはハウジング(5)の底部分(43)に空隙(41)を備える、請求項1に記載のバイオプロセスシステム(3)。
【請求項3】
前記フレームまたはハウジング(5)が、前記フレームまたはハウジング(5)の屋根(47)と一緒に本質的に箱(48)を構成する4つの壁(45a、45b、45c、45d)を備え、前記フレームまたはハウジング(5)の弁(7a~7f、9a~9d、11a~11f、13a~13e、15a~15f)が、前記4つの壁(45a、45b、45c)のうちの少なくとも3つに設けられ、前記4つの壁のうちの第1の壁(45a)が、前記フレームまたはハウジング(5)の底部分(43)の空きスペース(41)内に移動可能ポンプ保持デバイス(35)を受け入れるための開口部(49)を備え、前記4つの壁のうちの第2の壁(45b)が、入口弁接近用開口部(51)を備え、前記開口部を通して前記フレームまたはハウジング内に位置決めされている少なくとも1つの入口弁(7a~7f、9a~9d)への接近が達成される、請求項1または2に記載のバイオプロセスシステム(3)。
【請求項4】
前記フレームまたはハウジング(5)の出口弁(11a~11f)が、前記4つの壁のうちの第3の壁(45c)上に設けられる、請求項3に記載のバイオプロセスシステム(3)。
【請求項5】
少なくとも5つの分離デバイス弁(13a~13e)が、前記使い捨て型チューブセット内の流体の供給を、前記使い捨て型チューブセット(21)に接続されているか、または接続可能であるバイオプロセス分離デバイス(31)の上方流もしくは下方流分離方向またはバイパスのいずれかで制御するために、前記使い捨て型チューブセット(21)を受け入れるために設けられる、請求項1から4のいずれか一項に記載のバイオプロセスシステム(3)。
【請求項6】
前記少なくとも5つの分離デバイス弁(13a~13e)が、4つの壁のうちの第3の壁(45c)内に設けられるが、出口弁(11a~11f)よりも低い位置に設けられる、請求項5に記載のバイオプロセスシステム(3)。
【請求項7】
前記フレームまたはハウジング(5)が、前記使い捨て型チューブセット(21)の使い捨て型空気トラップ(63)のためのホルダー(61)を備え、使い捨て型空気トラップ(63)のための前記ホルダー(61)が、入口弁(7a~7f、9a~9d)の上に設けられる、請求項1から6のいずれか一項に記載のバイオプロセスシステム(3)。
【請求項8】
前記弁のうちの少なくとも1つが、ピンチ弁(7a~7f、9a~9d、11a~11f、13a~13e、15a~15f)である、請求項1から7のいずれか一項に記載のバイオプロセスシステム(3)。
【請求項9】
使い捨て型チューブセット(21)と、前記使い捨て型チューブセット(21)に接続されるか、または接続可能であるバイオプロセス分離デバイス(31)と、をさらに備える請求項1から8のいずれか一項に記載のバイオプロセスシステム(3)。
【請求項10】
前記使い捨て型チューブセット(21)が、
少なくとも1つの入口チューブ(23a~23j)と、
少なくとも1つの出口チューブ(25a~25f)と、
前記入口チューブ(23a~23j)に接続されるとともにポンプ本体部(37)に接続されるように構成されている少なくとも1つのポンプ接続部分(27)と、
少なくとも1つの空気トラップ(63)と、
バイオプロセス分離デバイス(31)に接続するための2つの分離デバイス接続ポイント(71、73)と、
を含むコンポーネントを備え、
前記コンポーネントが、前記少なくとも1つの出口チューブ(25a~25f)と前記少なくとも1つの入口チューブ(23a~23j)との間に流体的に相互接続される、請求項9に記載のバイオプロセスシステム(3)。
【請求項11】
前記空気トラップ(63)が、使い捨て型空気トラップ、たとえば、渦流式空気トラップである、請求項10に記載のバイオプロセスシステム(3)。
【請求項12】
前記使い捨て型チューブセット(21)が、使い捨て型UVセンサー、使い捨て型流量センサー、使い捨て型空気センサー、使い捨て型pH計、使い捨て型導電率計、および使い捨て型圧力計のうちの1つまたは複数をさらに備える、請求項10または11に記載のバイオプロセスシステム(3)。
【請求項13】
前記使い捨て型チューブセット(21)のすべてのコンポーネントが、流体的に相互接続され、前記使い捨て型チューブセット(21)が、前記ベースステーション(1)から一体として取り外すことができる、請求項10から12のいずれか一項に記載のバイオプロセスシステム(3)。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載のバイオプロセスシステム(3)用の使い捨て型チューブセット(21)であって、
少なくとも1つの入口チューブ(23a~23j)と、
少なくとも1つの出口チューブ(25a~25f)と、
使い捨て型ポンプヘッドを備えた少なくとも1つのポンプ接続部分(27)であって、前記入口チューブ(23a~23j)に接続されるとともにポンプ本体部(37)に接続されるように構成されている、少なくとも1つのポンプ接続部分(27)と、
少なくとも1つの空気トラップ(63)と、
バイオプロセス分離デバイス(31)に接続するための2つの分離デバイス接続ポイント(71、73)と、
を含むコンポーネントを備えており、
前記コンポーネントが、前記少なくとも1つの出口チューブ(25a~25f)と前記少なくとも1つの入口チューブ(23a~23j)との間に流体的に相互接続されている、使い捨て型チューブセット(21)。
【請求項15】
使い捨て型UVセンサー、使い捨て型流量センサー、使い捨て型空気センサー、使い捨て型pH計、使い捨て型導電率計、および使い捨て型圧力計のうちの1つまたは複数をさらに備えている、請求項14に記載の使い捨て型チューブセット(21)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオプロセスシステム(bioprocess system)およびバイオプロセスシステムのベースステーション(base station)に関する。
【背景技術】
【0002】
クロマトグラフィーまたは濾過システムなどの大型バイオプロセスシステムでは、システム内の流路は、従来、金属またはプラスチック管としてシステム内に固定されて設けられている。これらの管は、システム内で実行される異なるプロセスの合間に消毒される必要がある。特に、より小型のバイオプロセスシステムにおいて、流路は、今日ではむしろ、多くの場合、使い捨て型フレキシブルチューブとして設けられる。これにより、流路全体が、異なるプロセスの合間に交換することができる。使い捨て型チューブを交換する場合、チューブが接続される必要がある弁およびチューブが接続されるべきポンプへの接近が必要になる。問題は、使い捨て型チューブを交換しやすいように良好に接近することであり得、別の問題は、システムがかさばることであり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、容易に交換することができる使い捨て型チューブセットを備える改善されたバイオプロセスシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
これは、独立請求項に記載のベースステーションおよびバイオプロセスシステムにおいて達成される。
【0005】
本発明の一態様によれば、フレームまたはハウジング(5)を備えるベースステーション(1)であって、前記フレームまたはハウジングが、システム内の流体流を制御するための複数の弁(7a~7f、9a~9d、11a~11f、13a~13e、15a~15f)を備え、使い捨て型チューブセット(21)に解放可能に流体的接続可能であるように構成されている、ベースステーション(1)と、フレームまたはハウジング(5)内に少なくとも部分的に収容可能およびそこから取り外し可能であり、少なくとも1つのポンプ本体部(37)を備える個別移動可能ポンプ保持デバイス(35)であって、前記ポンプ本体部が、使い捨て型チューブセット(21)のポンプ接続部(27)に解放可能に接続可能であるように構成されている流体接続部(39)を備える、個別移動可能ポンプ保持デバイス(35)とを備えるバイオプロセスプロセスが提供される。
【0006】
別の言い方をすると、本発明は、バイオプロセスシステムのベースステーションを提供する。前記ベースステーションは、
バイオプロセスシステムのバイオプロセス分離デバイスを介して使い捨て型チューブセットの少なくとも1つの入口が使い捨て型チューブセットの少なくとも1つの出口に接続されるように、システムの稼働中使い捨て型チューブセットが設けられ得るいくつかの弁を備えるフレームまたはハウジングと、
少なくとも2つの異なる位置に設けることができる移動可能ポンプ保持デバイスであって、そのうちの一方がフレームまたはハウジング内にあり、他方が少なくとも部分的にフレームまたはハウジングの外側にあり、少なくとも1つのポンプ本体部を備え、前記ポンプ本体部が、使い捨て型チューブセットに含まれる使い捨て型ポンプ接続部に接続するように構成されている接続部を備える、移動可能ポンプ保持デバイスとを備える。
【0007】
本発明の別の態様によれば、上で定義されているようなベースステーションと、使い捨て型チューブセットと、バイオプロセス分離デバイスとを備えるバイオプロセスシステムが提供される。
【0008】
これによって、バイオプロセスのポンプは、フレームまたはハウジングの内側と少なくとも部分的にフレームまたはハウジングの外側の両方に設けることができる。これによって、チューブの接続およびメンテナンスのために、ポンプに容易に接近してポンプヘッドを交換することができる。ポンプは、システムの稼働中フレームまたはハウジング内に完全に収まるように設けることもできる。これによって、ポンプヘッドが常にシステムの外側に設けられる必要があり、ポンプのメンテナンスのために接近する必要がある場合に比べてあまりかさばらないシステムが提供される。
【0009】
本発明の一実施形態において、前記移動可能ポンプ保持デバイスは車輪付きトロリーを備え、前記フレームまたはハウジングは前記移動可能ポンプ保持デバイスを受け入れるためのフレームまたはハウジングの底部分に空きスペースを備える。
【0010】
本発明の一実施形態において、前記フレームまたはハウジングは、フレームまたはハウジングの屋根と一緒に本質的に箱を構成する4つの壁を備え、フレームまたはハウジングの弁は前記4つの壁のうちの少なくとも3つに設けられ、前記4つの壁のうちの第1の壁はフレームまたはハウジングの底部分の空きスペース内に移動可能ポンプ保持デバイスを受け入れるための開口部を備え、前記4つの壁のうちの第2の壁は入口弁接近用開口部(inlet valve access opening)を備え、この開口部を通してフレームまたはハウジング内に位置決めされている少なくとも1つの入口弁への接近が達成される。
【0011】
本発明の一実施形態において、フレームまたはハウジングの前記出口弁は、前記4つの壁のうちの第3の壁に設けられる。
【0012】
本発明の一実施形態において、使い捨て型チューブセット内の流体の供給を、使い捨て型チューブセットに接続されているバイオプロセス分離デバイスを介してまたはバイパスして、上方流または下方流に制御するために、使い捨て型チューブセットを受け入れるための少なくとも5つの分離デバイス弁が設けられる。
【0013】
本発明の一実施形態において、前記少なくとも5つの分離デバイス弁は、前記4つの壁のうちの第3の壁内に設けられるが、出口弁よりも低い位置に設けられる。
【0014】
本発明の一実施形態において、前記フレームまたはハウジングは、使い捨て型チューブセットの使い捨て型空気トラップのためのホルダーを備え、使い捨て型空気トラップのための前記ホルダーは、前記入口弁の上に設けられる。
【0015】
本発明の一実施形態において、前記弁はピンチ弁である。
【0016】
本発明の一実施形態において、前記使い捨て型チューブセットは、
少なくとも1つの入口チューブと、
少なくとも1つの出口チューブと、
入口チューブに接続され、ポンプ本体部に接続されるように構成されている少なくとも1つの使い捨て型ポンプ接続部分と、
少なくとも1つの使い捨て型空気トラップと、
バイオプロセス分離デバイスに接続するための2つの分離デバイス接続ポイントと、
を備え、前記少なくとも1つの出口チューブは、使い捨て型チューブセットの他のコンポーネントを介して前記少なくとも1つの入口チューブに接続される。
【0017】
本発明の一実施形態において、前記使い捨て型空気トラップは、使い捨て型渦流式空気トラップ(swirl type air trap)である。
【0018】
本発明の一実施形態において、前記使い捨て型チューブセットは、使い捨て型UVセンサー、使い捨て型流量センサー、使い捨て型空気センサー、使い捨て型pH計、使い捨て型導電率計、および使い捨て型圧力計のうちの1つまたは複数をさらに備える。
【0019】
本発明の一実施形態において、使い捨て型チューブセットのすべてのコンポーネントは接続され、使い捨て型チューブセットは一体としてベースステーションから取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1a】本発明の一実施形態によるバイオプロセスシステムのベースステーションの斜視図を示している。使い捨て型チューブはベースステーションに接続されている。
【
図1b】本発明の一実施形態によるバイオプロセスシステムのベースステーションの斜視図を示している。使い捨て型チューブはベースステーションに接続されている。
【
図2a】本発明の一実施形態によるバイオプロセスシステムの斜視図を示している。
【
図2b】本発明の一実施形態によるバイオプロセスシステムの斜視図を示している。
【
図3a】本発明の一実施形態によるベースステーションの斜視図を示している。ここではベースステーションの移動可能ポンプ保持デバイスはベースステーションのフレームまたはハウジングの外側に設けられている。
【
図3b】本発明の一実施形態によるベースステーションの斜視図を示している。ここではベースステーションの移動可能ポンプ保持デバイスはベースステーションのフレームまたはハウジングの外側に設けられている。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1aおよび
図1bは、本発明の一実施形態によるバイオプロセスシステムのベースステーション1の2つの異なる斜視図を示している。
図2aおよび
図2bは、
図1aおよび
図1bに示されているのと同じベースステーションを示しているが、これはバイオプロセス分離デバイス31にも接続されている。これにより、
図2aおよび
図2bは、本発明の一実施形態によるバイオプロセスシステム3の2つの異なる斜視図を示している。
図3aおよび
図3bは、
図1aおよび
図1bに示されているのと同じベースステーションの2つの異なる斜視図を示しているが、使い捨て型チュービングセットが接続されていない。
【0022】
本発明は、バイオプロセスシステム3のベースステーション1およびそのようなベースステーション1を備えるバイオプロセスシステム3に関する。本発明によるバイオプロセスシステムは、ベースステーション1と、ベースステーションに接続されている使い捨て型チューブセット21と、たとえば、使い捨て型チューブセットに接続されているクロマトグラフィーカラムまたはフィルターなどの、分離デバイス31とを備える。分離デバイス31は、
図1aおよび
図1bに示されていないが、
図2aおよび
図2bに示されている。ベースステーション1は、使い捨て型チューブセットが接続される弁およびポンプ(以下でさらに説明され番号付けされている)を備える。さらに、ベースステーション1は、バイオプロセスの稼働中弁およびポンプを制御するためのある種の制御機能を適宜備える。この制御についてはさらに説明しない。
【0023】
本発明によるベースステーション1は、フレームまたのハウジング5を備え、前記フレームまたはハウジングは、システムの稼働中使い捨て型チューブセット21が、使い捨て型チューブセットの少なくとも1つの入口23a~23jがバイオプロセスシステム3のバイオプロセス分離デバイス31を介して使い捨て型チューブセットの少なくとも1つの出口25a~25fに接続されるように設けられるいくつかの弁7a~7f、9a~9d、11a~11f、13a~13e、15a~15fを備える。本発明のこの実施形態において、使い捨て型チューブセット21の10個の別々の入口23a~23jが設けられる。もちろん、入口の数は変えることができる。本発明のこの実施形態において、入口23a~23jは2つのグループに分けられる。第1のグループは、第1の入口23a~23dと呼ばれる、4つの入口23a~23dを備え、これらは、第2の入口23e~23jと呼ばれる、6つの入口23e~23jを備える第2のグループの上に設けられる。すべての入口23a~23jは、たとえばバッファーおよびサンプルをシステム内に供給するために使用することができる。もちろん、第1および第2の入口23a~23jの数は変えることができる。入口23a~23jの各々は、バイオプロセスシステムの稼働中、ベースステーション1上に設けられている弁7a~7f、9a~9dに接続される。第2の入口23e~23jが接続される弁7a~7fは、第2の入口弁7a~7fと呼ばれ、第1の入口23a~23dが接続される弁9a~9dは、第1の入口弁9a~9dと呼ばれる。もちろん、第1および第2の入口弁9a~9d、7a~7fの数は、ベースステーションにおいて変動し得る。本発明のこの実施形態において、さらに、使い捨て型チューブセット21の6つの異なる出口25a~25fが設けられる。もちろん、出口25a~25fの数は、本発明の範囲内で変動し得る。したがって、本発明のこの実施形態において、6つの出口弁11a~11fは、ベースステーション1内に設けられる。システムの稼働中、使い捨て型チューブセット21の出口25a~25fは、これらの出口弁11a~11fの各々に1つずつ接続されるように設けられる。もちろん、出口弁11a~11fの数も変えることができる。
【0024】
使い捨て型チューブセット21は、システムの稼働中バイオプロセス分離デバイス31に接続される。使い捨て型チューブセット21は、
図1aで見ることができるように、2つの分離デバイス接続ポイント71、73を備える。使い捨て型チューブは、チューブの1つのブランチ75aが分離デバイス接続ポイント71の一方を備え、別のブランチ75bが他の分離デバイス接続ポイント73を備えるように分岐される。さらに、この実施形態において、チューブのバイパスブランチ75cも、他の2つのブランチ75a、75bの間に設けられる。3つのブランチは、分離デバイス接続ポイント71、73の前後で1つのチューブ内に集まる。ベースステーション1は、稼働中使い捨て型チューブの前記ブランチ75a、75b、75cが接続される分離デバイス弁13a~13eを備える。1つの分離デバイス弁が、各分離デバイス接続ポイント71、73の各側に設けられ、1つの分離デバイス弁が、バイパスブランチにも設けられる。分離デバイス弁13a~13eのこの配置構成および分離デバイス31の接続のための使い捨て型チューブセット21の分岐によって、分離デバイス31は、いかなるチューブの再配置も必要とせず、分離デバイス弁13a~13eの制御のみよって、上方流分離(デバイス31を通って上方に向かう液体流)と下方流分離(デバイスを通って下方に向かう液体流)の両方のために接続することができる。さらに、分離デバイス31は、また、バイパスされ得る。しかしながら、上方流分離と下方流分離とを切り替えるこのような可能性のない分離デバイス弁のより単純な配置構成も、本発明の対象範囲内となる。そのようなシステムでは、分離デバイス接続ポイント71、73の周りに使い捨て型チューブの分岐が必要なく、さらに、3つの分離デバイス弁しか必要ない。
【0025】
さらに、
図1aおよび
図1bに示されているようなベースステーション1において、さらに6つの弁15a~15fが設けられる。これらは、使い捨て型チューブセット21の別々のコンポーネントのバイパスまたは接続を可能にするために設けられ、コンポーネントバイパス弁15a~15fとも呼ばれる。本発明のこの実施形態において、使い捨て型チューブセット21の空気トラップ63およびフィルターカートリッジ64は、これらのコンポーネントバイパス弁15a~15fに接続される。これらのコンポーネントのバイパスが必要ない場合、これらの弁は、ベースステーション1内で省かれてよい。この実施形態において、空気トラップ63からの空気抜きチューブを接続することができるフレームまたはハウジング5上に追加の空気抜き弁65も設けられる。
【0026】
ベースステーション1のフレームまたはハウジング5に接続される弁7a~7f、9a~9d、11a~11f、13a~13e、15a~15f、65は、たとえば、ピンチ弁または膜弁であってよい。
【0027】
本発明によれば、ベースステーション1は、移動可能ポンプ保持デバイス35をさらに備える。移動可能ポンプ保持デバイス35は、少なくとも2つの異なる位置に設けることができ、そのうちの一方の位置はフレームまたはハウジング5内にあり、他方は少なくとも部分的にフレームまたはハウジング5の外側にある。移動可能ポンプ保持デバイス35は、少なくとも1つのポンプ本体部37を備える。
図1および
図3に示されている実施形態において、移動可能ポンプ保持デバイス35は2つのポンプ本体部37を備えるが、ポンプ本体部の数は、本発明の範囲内で変えることができる。各ポンプ本体部37は、使い捨て型チューブセット21内に含まれる、使い捨て型ポンプ接続部分27、たとえば、使い捨て型ポンプヘッドに接続するように構成されているポンプ接続部38を備える。
【0028】
図1~
図3に示されているような本発明の実施形態において、移動可能ポンプ保持デバイス35は車輪付きトロリー39を備える。さらに、フレームまたはハウジング5は、前記移動可能ポンプ保持デバイス35を受け入れるためのフレームまたはハウジング5の底部分43に空きスペース41を備える。移動可能ポンプ保持デバイス35用の車輪付きトロリー39の代替的形態は、移動可能ポンプ保持デバイス35がレールに取り付けられ、レールに沿ってフレームまたはハウジング内および少なくとも部分的にフレームまたはハウジングの外側の位置まで移動され得るようにフレームまたはハウジング5にレールを設けることでもよい。しかしながら、移動可能ポンプ保持デバイスを別々に車輪付きトロリー39上に設けることの利点は、稼動しているときにポンプからの振動がシステムの残り部分に伝わらないという点である。これは、ポンプがシステム内に取り付けられている従来のシステムでは問題になることがある。本発明によるポンプ本体部37を移動可能保持デバイス35上に設けることの別の利点は、ポンプがシステム内に完全に隠されているあまりかさばらないシステムを実現することができ、それと同時に、移動可能ポンプ保持デバイス35をフレームまたはハウジング5の外側に移動することによってポンプへの良好な接近を容易に実現することができるという点である。ポンプへの接近は、たとえば、使い捨て型チューブセットを交換すべき場合、およびポンプのメンテナンスが必要な場合、必要である。ポンプがシステムに固定して取り付けられる従来のシステムでは、それらが両方とも接続およびメンテナンスのために接近可能であるように取り付けられる必要がある。これは、おそらく、ポンプの複数の側からの接近を必要とする。これにより、システムは多くの場合にかさばり、ポンプの一部がシステムから突き出ている。これは、部屋内により大きなスペースを必要とする。
【0029】
図1~
図3に示されているような本発明の実施形態において、フレームまたはハウジング5は、フレームまたはハウジング5の屋根47と一緒に本質的に箱48を構成する4つの壁45a、45b、45c、45dを備える。これにより、ベースステーションのコンパクトな設計が実現される。フレームまたはハウジング5の弁7a~7f、9a~9d、11a~11f、13a~13e、15a~15fは、本発明のこの実施形態において、これらの壁45a、45cのうちの2つの上、また壁45bのうちの別の1つの開口部51内に設けられ、これについては以下でさらに説明される。前記4つの壁のうちの第1の壁45aは、フレームまたはハウジング5の底部分43の空きスペース41内に移動可能ポンプ保持デバイス35を受け入れるための開口部49を備える。
図1~
図3に示されている実施形態において、必ずしも必要ではないが、前記4つの壁のうちの第2の壁45bは、フレームまたはハウジングの入口弁7a~7f、9a~9dへの接近が実現される入口弁接近用開口部51を備える。代替的に、入口弁7a~7f、9a~9dは、壁45a、45b、45c、45dのうちの1つに取り付けられて設けられる。しかしながら、
図1~
図3に示されているように壁45bのうちの1つの開口部51内に入口弁7a~7f、9a~9dを設けることの利点は、使い捨て型チューブセット21がベースステーション1に設けられた場合、ベースステーションがあまりかさばらず、入口への接近に都合が良いという点である。さらに、チューブはより短くされ、システムに内側に効率よく収めることができる。使い捨て型チューブセット21内のチューブ長が最小であることは、プロセス効率、サンプルおよび全体的パフォーマンスの節約、ならびに測定精度の点で有利である。これによって、開口部51は、移動可能ポンプ保持デバイス35がフレームまたはハウジング5の内側に設けられる場合、移動可能ポンプ保持デバイス35の近くのフレームまたはハウジング5の底部分43内に適宜設けられる。
図1~
図3に示されているような実施形態において、第2の入口弁7a~7fは、開口部51を囲むフレームまたはハウジング5の下面101上に設けられ、第1の入口弁9a~9dは、開口部51を囲むフレームまたはハウジングの上面103上に設けられる。下面101は傾斜しているように示され、上面は平坦であるように示されているが、両方の面は平坦であっても傾斜していてもよい。これらは、良好な接近ができるための設計上の選択にすぎない。
【0030】
図1~
図3に示されているような実施形態において、第1の壁45aはコンポーネントバイパス弁15a~15fも備え、第3の壁45cは出口弁25a~25fおよび分離デバイス弁13a~13eの両方を備える。第3の壁45cは、箱48の中の第2の壁45bの反対側である。さらに、図面内の方向およびベースステーションが床にどのように設けられるかを参照して、出口弁25a~25fは第3の壁45c上の分離デバイス弁13a~13eの上に設けられる。出口弁25a~25fは、分離デバイス31への接続ポイント71、73の上に位置決めされ、これにより、すべての機器が低い流量であっても動作中に液体を完全に充填されることを確実にする。
【0031】
コンポーネントバイパス弁のうちの3つ15a~15cは、使い捨て型チューブセット21の空気トラップ63の接続用であってよく、コンポーネントバイパス弁のうちの他の3つ15d~15fは、フィルターカートリッジ64の接続用であってよい。空気トラップホルダー61およびフィルターカートリッジホルダー66は、第1の壁45a上に設けられてもよい。空気トラップホルダー61は、ポンプよりも高い位置のフレームまたはハウジング5の第1の壁45a上に設けられてもよい。これにより、入口から空気トラップ63への上昇する流れが生じ、これは空気をシステムから空気トラップを通して抜け出させるのに適している。
【0032】
バイオプロセスシステム3の使い捨て型チューブセット21は、上で述べたように、少なくとも1つの入口チューブ23a~23j、少なくとも1つの出口チューブ25a~25f、入口チューブ23a~23jに接続され、ポンプ本体部37に接続されるように構成されている少なくとも1つの使い捨て型ポンプ接続部分27、たとえば、ポンプヘッドを備える。使い捨て型チューブセット21は、本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つの使い捨て型空気トラップ63とバイオプロセス分離デバイス31に接続するための2つの分離デバイス接続ポイント71、73とをさらに備える。前記少なくとも1つの出口チューブ25a~25fは、使い捨て型チューブセット21の他のコンポーネント27、63、71、73を介して前記少なくとも1つの入口チューブ23a~23jに接続される。
【0033】
使い捨て型空気トラップ63は、本発明の一実施形態において、渦流式空気トラップである。そのような空気トラップは、入口および出口の両方が空気トラップの底部に設けられる従来の空気トラップよりも少ない容積を必要とする。渦流式空気トラップでは、円筒形のハウジングが、周りに流体が循環している内部中心棒を備え、設けられる。円筒形ハウジングへの入口は、ハウジングの壁を通り、ハウジング内に供給される流体がハウジングの壁に沿って供給されるような方向に設けられる。これにより、流体は内部中心棒の周りに渦流を生じる。空気トラップからの出口が、円筒形ハウジングの底部、すなわち、入口の下に設けられる。さらに、ガスを抜くための排気開口部が空気トラップの頂部に設けられる。空気トラップ63は全体がプラスチックから作製され、したがって、使い捨て型チューブセット21の残り部分とともに廃棄可能である。
【0034】
使い捨て型チューブセット21は、以下の使い捨て型コンポーネント、使い捨て型UVセンサー、使い捨て型流量センサー、使い捨て型空気センサー、使い捨て型pH計、使い捨て型導電率計、および使い捨て型圧力計のうちの1つまたは複数をさらに備え得る。本発明によれば、ポンプヘッド、空気トラップ、UVセンサーなどの、上で指定されているようなコンポーネントを有する完全なチューブセットが、使い捨てするのに適した、すなわち、低コストで、ガンマ線照射または別の方法による消毒に適している材料で提供される。さらに、接続されたコンポーネントとともに使い捨て型チューブセット21全体を一体として、すなわち、接続されているすべての部分を取り外すことができる。これにより、製品の容易な取り扱いが達成される。
【符号の説明】
【0035】
1 ベースステーション
3 バイオプロセスシステム
5 フレームまたはハウジング
7a~7f、9a~9d、11a~11f、13a~13e、15a~15f 弁
21 使い捨て型チューブセット
23a~23j 入口
25a~25f 出口
27 ポンプ接続部
31 バイオプロセス分離デバイス
35 個別移動可能ポンプ保持デバイス
37 ポンプ本体部
38 ポンプ接続部
39 流体接続部
39 車輪付きトロリー
41 空きスペース
43 底部分
45a、45b、45c、45d 壁
47 屋根
48 箱
49 開口部
51 開口部
61 空気トラップホルダー
63 空気トラップ
64 フィルターカートリッジ
66 フィルターカートリッジホルダー
71、73 分離デバイス接続ポイント
75a、75b ブランチ
75c バイパスブランチ
101 下面
103 上面