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特許7337392パウチに包装された医薬品を積み重ね解除して散開させるための装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-25
(45)【発行日】2023-09-04
(54)【発明の名称】パウチに包装された医薬品を積み重ね解除して散開させるための装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 39/04 20060101AFI20230828BHJP
   B65G 39/10 20060101ALI20230828BHJP
【FI】
B65G39/04
B65G39/10
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020548849
(86)(22)【出願日】2018-11-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-15
(86)【国際出願番号】 NL2018050785
(87)【国際公開番号】W WO2019108057
(87)【国際公開日】2019-06-06
【審査請求日】2021-09-09
(31)【優先権主張番号】1042664
(32)【優先日】2017-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】520267521
【氏名又は名称】ヂウズ ホールディング ビーブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100105131
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 満
(72)【発明者】
【氏名】ランゲマット ウィレム
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】実開昭64-039213(JP,U)
【文献】特開2004-238066(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0126826(US,A1)
【文献】特開2000-276583(JP,A)
【文献】特開2006-069618(JP,A)
【文献】特開2002-005188(JP,A)
【文献】特開2000-142950(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 13/00-13/12
B65G 39/00-39/20
B65G 47/00-47/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リボン状薬剤ロール(101)に連続して配置されたパウチ(2)内に包装された薬剤を積み重ね解除して散開させるための、薬剤ロール(101)の巻き戻されたパウチ(2)を搬送するように構成された搬送トラック(102)を備える装置(100)であって、
搬送トラック(102)はその上をパウチ(2)が移動可能なセクションを備え、
動作中に、少なくとも1つのパウチ(2)の下側が前記セクションの上側に位置し、
前記セクションは、前記セクション上に位置するパウチ(2)内の薬剤を積み重ね解除して散開させるための手段を備え、
装置(100)は、搬送トラック(102)上に薬剤ロール(101)を供給または放出するための手段(1)と協働するように構成され、
前記薬剤を積み重ね解除して散開させるための手段は、互いに隣接して配置された複数の偏心シャフト(8)を有する偏心トラック(4)を備え、
偏心シャフト(8)はそれぞれ搬送トラック(102)の長手方向に対して実質的に直角に配置され、
各偏心シャフト(8)は1つ以上の偏心体(9)を備え、
前記装置(100)が偏心トラック(4)の上又は下に位置する少なくとも1つのファン(10-1,10-2,10-3,10-4,10-5,10-6,10-7)を有することを特徴とする装置(100)。
【請求項2】
前記偏心体(9)の周縁が前記セクションの横断方向から見て互いに重なり合うように連続する偏心シャフト(8)間の間隔が選択され、少なくとも1つの偏心シャフト(8)が駆動モータ(5)によって駆動可能である、請求項1に記載の装置(100)。
【請求項3】
1つ以上の偏心体(9)が偏心シャフト(8)の長さにわたってスライド可能であり、偏心シャフト(8)の周りで回転可能であり、偏心シャフト(8)に固定可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置(100)
【請求項4】
前記装置(100)は偏心トラック(4)の上に位置する少なくとも1つのファン(10-2、10-3、10-4)を含み、前記偏心トラック(4)の上に位置する前記ファン(10-2、10-3、10-4)の各々の吸引側が前記偏心トラック(4)に向けられていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の装置(100)。
【請求項5】
前記装置(100)は前記偏心トラック(4)の下に位置する少なくとも1つのファン(10-5、10-6、10-7)を含み、前記偏心トラック(4)の下に位置する前記ファン(10-5、10-6、10-7)の各々の吸引側が前記偏心トラック(4)に向けられていることを特徴とする請求項1~のいずれかに記載の装置(100)。
【請求項6】
前記装置(100)はスプール(1)の位置から見て、パウチのための搬送トラックの開始部にセンサ(3)を含み、前記装置(100)は、動作中、パウチが前記センサのすぐ近くに位置していることを前記センサ(3)が検出するとすぐに、供給手段が停止するように構成されることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の装置(100)。
【請求項7】
少なくとも1つの偏心シャフト(8)が六角ロッド材料を有することを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の装置(100)。
【請求項8】
駆動モータ(5)が偏心シャフト(8)の1つを駆動し、他のシャフトは、互いに押し付けられたラバーまたは他の弾性変形可能な素材から製造される駆動ホイール(6)によって駆動可能であることを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の装置(100)。
【請求項9】
前記装置(100)は、所定の角度で偏心シャフト(8)に装着された偏心体(9)を有する少なくとも1つの偏心シャフト(8)を有することを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の装置(100)。
【請求項10】
少なくとも1つの偏心体(9)が丸く、偏心体(9)が偏心シャフト(8)に偏心して取り付けられていることを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載の装置(100)。
【請求項11】
少なくとも1つの偏心体(9)が非円形であることを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載の装置(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
パウチまたはサシェ(又は、小袋/sachet)に包装された薬剤を積み重ね解除し(重ならないようにする/ディスタックする/de-stack)、散開させる(ばらばらにする、ばらけさせる、スプレッディングする、又は、広げる/spreading out)ための装置であって、パウチはリボン状の薬剤ロールに連続して配置され、薬剤ロールの巻かれていないパウチを搬送するように構成された搬送トラックを備え、搬送トラックはパウチが移動可能であり、少なくとも1つのパウチの下側が動作中にセクションの上側に位置するセクションを備え、セクションは動作中にセクション上に位置するパウチ内の薬剤を積み重ね解除して散開させるための手段を備え、装置は搬送トラック上で薬剤ロールを供給または排出するための手段と協働するように構成される、装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ビジョンシステムを使用して、特定の種類および数の丸剤、錠剤および/またはカプセルについて、例えば丸剤、錠剤および/またはカプセル剤を含むパウチの内容物を自動的にチェックする様々な機械が市販されている。以下、これらの機械を検査機とも呼ぶ。
【0003】
薬剤が患者毎、1日毎、および摂取時毎にパウチに包装され、複数のバッグがリボンとして相互に接続される薬剤ロールシステムの使用は、従来技術において長年知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動視覚システムのために、例えば2つの錠剤がパウチ内で互いの上に置かれている場合には数を数えるときにただ1つの錠剤を検出し、したがってエラーメッセージを与えることが可能であり、これは人によってチェックされるときにいわゆる誤ったエラーメッセージであることが分かる。部分的に互いに重なっている2つの錠剤、丸剤、および/またはカプセルはまた、検査機械によって、認識できない形状を有する物体であると見なされ得、これもまた、誤ったエラーメッセージを生じる。このような誤ったエラーメッセージは不必要に、より多くの時間およびより多くの人間の介入を必要とすることは明らかであろう。その結果、誤ったエラーメッセージはまた、薬剤を包装するこの方法を患者のために適用する最初の会社の後に、実際にはBaxterロールとも呼ばれる、薬剤ロールに薬剤を包装する全体的なプロセスのコストを増加させる。パウチの内容物は検査機械によって薬剤の数および種類に関して良好であると評価されるが、例えば、薬剤の積み重ねのために、決定された薬剤のうちの1つの錠剤がパウチ内に存在しすぎることも可能であり、この場合、この錠剤は積み重ねの結果として検査機械によって見落とされる。これは偽のエラーメッセージではない。その結果、過量投与になる可能性があり、これは患者のリスクを伴う。
【0005】
積み重ねられた薬剤によって引き起こされることに加えて、個々の丸剤、錠剤、および/またはカプセルがパウチの表面上に十分に分散されていない場合、検査機械を用いた薬剤パウチの内容物の検査はまた、誤ったエラーメッセージをもたらし得る。そのような場合、検査機械は例えば、互いに密接して横たわる2つの丸剤、錠剤、および/またはカプセルを、未知の形状を有する物体とみなすことができる。
【0006】
通常の市販の検査機では、薬剤ロールが巻かれたスプールがシャフトまたはシャフト状部材の周りに回転可能に配置され、薬剤ロールの自由外端が機械に供給され、カメラユニットを備えた検査機を通って、例えばシリンダまたはローラの搬送系の手段によって搬送される。
【0007】
公知の検査機械の多様なパウチ搬送システムはパウチの前進中に何らかの方法でパウチに張力が作用し、それによってパウチの下側および上側が互いに向かって移動する傾向があり、それによって互いに積み重ねることができる錠剤、丸剤、および/またはカプセルが追加の力で一緒に押圧されるという欠点を有する。
【0008】
薬剤ロールの巻き戻しに必要な力はパウチに張力を加えることによっていくつかの検査機械で生成されなければならないので、薬剤が一緒に押し付けられる力は比較的高くなり得る。
【0009】
このような場合に、検査機械における検査プロセスに悪影響を及ぼさずに、または薬物を損傷する危険を冒さずに、薬物を積み重ね解除することは容易ではないことが分かっている。積み重ね解除するために、または少なくとも積み重ね解除するために、パウチが案内され、振動システムに取り付けられた支持面は、パウチによって形成された帯の巻き戻しがモータでスプールを駆動する手段によって行われるシステムにおいても、様々な従来技術のシステムに適用される。
【0010】
実際には、そのような振動支持面が適用される場合、積み重ねられた薬剤のかなりの割合をデスタックするために、表面の振動の振幅は比較的高くなければならないことが見出されている。これは、薬物に対する損傷の危険性が増大するという結果を有する。
【0011】
公知の装置はいずれも搬送トラック内に板状部を有し、この板状部を振動機構上に配置することにより、この板状部を全体として振動させることができる。このようにして、当業者には明らかなように、パウチ内に位置するピル、錠剤、および/またはカプセルのデスタッキングでは、非常に高い振動振幅および振動数が印加された場合であっても、比較的多数の積み重ねられたピル、錠剤、および/またはカプセルがデスタッキングされない。
【0012】
損傷も比較的頻繁に起こる。スローモーションで再生されたビデオ画像を使用して本特許出願の出願人によって実行された多様な試験および観察はパウチを振動プレートと接触させることが、一般に、限られた範囲でのみ、デスタッキングおよび広がりをもたらすという洞察を彼に提供した。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明による装置は公知の装置の上述の欠点を伴わずに、薬剤の散開および積み重ね解除の度合いが高く、損傷のリスクが低い、信頼性のある解決策を提供する。本発明による装置は、薬剤の積み重ね又は不十分な散開の結果として、検査機械による誤ったエラーメッセージ及び誤ったエラーメッセージのない機会を少なくとも実質的に排除することができる解決策を提供する。
【0014】
この目的のために、本発明は、薬剤を積み重ね解除し、薬剤を散開させるための手段が偏心トラックを備えることを特徴とする装置であって、この偏心トラックは互いに隣接して配置された複数の偏心シャフトを備え、これらのシャフトはそれぞれ、搬送トラックの長手方向に対して実質的に直角に配置され、各偏心シャフトは1つ以上の偏心体を備えることを特徴とする、プリアンブルに記載の装置を提供する。連続する偏心シャフト間の間隔は、セクションの横断方向に見て偏心体の周縁が互いに重なり合うように選択され、少なくとも1つの偏心シャフトが駆動モータによって駆動可能である。
【0015】
これらの技術的手段は、各パウチがパウチの長さ及び幅の両方において、パウチの各位置で異なる態様でタップされるという技術的効果を有する。
【0016】
本発明による装置の一実施形態では、1つまたは複数の偏心体が偏心シャフトの長さにわたってスライド可能であり、偏心シャフトの周りで回転可能であり、偏心シャフト上で固定可能である。
【0017】
本発明による装置のさらなる実施形態では、装置がパウチを偏心トラックと接触した状態に保つために、偏心トラックの上または下に位置する少なくとも1つのファンを備える。
【0018】
本発明による装置の洗練された実施形態では、装置が偏心トラックの上方および/または下方に位置する少なくとも1つのファンを備え、偏心トラックの上方に位置するファンの各々の吸引側と、偏心トラックの下方に位置するファンの各々の吸引側との両方が偏心トラックに向けられる。これらの手段により、装置はパウチの下部及び上部フィルム層を引き離すことができ、それにより、パウチ内に空間が形成される。これにより、積み重ねられた錠剤をより良好に積み重ね解除することができる。非常に薄い可撓性フィルムは、時には医薬パウチを製造するために使用される。パウチの空気が少ないことも可能である。フィルムは非常に薄く、可撓性であるので、2つのフィルム層は変形され、薬剤は、2つの変形されたフィルム層の間に固定されるようになる。ここで、パウチのリボンに対して吸引作用を有するファンを、薬剤パウチのリボンの上方に取り付けることによって、2つのフィルム層は引き離されたままであり、薬剤パウチ内に空間が形成され、それによって、薬剤は、自由に動くことができる。全てのファンは個別に調整可能であり、それによって、偏心体と薬剤パウチとの間の接触、したがって、薬剤との間接的な接触が維持されるように、ファンを調整することができる。
【0019】
供給手段がパウチにかかる引っ張りストレスを防止するのに十分なだけ薬物ロールを常に巻き戻すと同時に、パウチの積み重ねがスプールの下方に形成される程度まで薬物ロールを巻き戻さないことを保証するために、本発明による装置は好ましくはセンサを含み、動作中、パウチがセンサのすぐ近くに位置することをセンサが検出するとすぐに、供給手段が停止するように装置が構成される。
【0020】
本装置の別の実施例では、駆動モータが偏心シャフトの1つを駆動し、他のシャフトは、例えばラバー又は他の弾性変形可能な素材から製造された互いに押し付け合う駆動ホイールによって駆動可能である。この形態の駆動では、互いに隣接する偏心シャフトが反対の回転方向を有する。
【0021】
本発明による装置のさらに別の実施形態では、装置が少なくとも1つの偏心シャフトを有し、偏心体が当該偏心シャフトに対してある角度で取り付けられる。これは、偏心体がパウチと接触するときに、パウチを持ち上げるだけでなく、同時に横方向の移動、すなわちパウチの幅方向の移動も行うことを達成する。この後者の記載された効果は、いくつかの形態の薬物のデスタッキングおよび分散において特に有用であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
次に、本発明による装置について、いくつかの図を参照して説明する。
図面において、同一または類似の部分は、同一または類似の参照番号を有する。
図1図1は、本発明による装置の例示的な実施形態の概略正面斜視図である。
図2図2図1に示される本発明による装置の例示的な実施形態の一部の切欠き概略正面図である。
図3図3図1に示される本発明による装置の例示的な実施形態の一部の概略斜視背面図である。
図4図4は、パウチがその上に横たわる装置の偏心トラックの概略斜視詳細図である。
図5図5は、パウチがその上に横たわり、ファンが偏心トラックの上に配置された偏心トラックの切断概略図である。
図6図6は、パウチがその上に横たわり、ファンが偏心トラックの上下に配置された偏心トラックの切断概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本発明による装置の例示的な実施形態の正面斜視図を示す。この例示的な実施形態では、装置がスプールのコアの周りに巻かれたパウチ2によって形成されたリボンを有するスプール1を備える。パウチの巻き上げられたリボン(以下、薬剤ロールとも呼ぶ)は図1に示す状態ではすでにほぼ完全に巻き出されており、スプールはほぼ空である。
【0024】
図1に示される状況では、パウチによって形成されるリボンの一部が細長い部材として定義される搬送トラック上に横たわり、側面上に平坦に横たわるパウチとも称されるパウチを有するリボンが、その上で、例えば、図1に示される配置に基づいて、通常、装置の左側に位置する検査機械または他のタイプの機械の方向に、引っ張られ、スライドされ、または他の方法で前進され得る。
【0025】
図2は、図1に示された本発明による装置の例示的な実施形態の一部の断面概略正面図を示す。搬送トラック(102)上に薬剤ロール(101)を供給または排出するための手段が好ましくは駆動される駆動手段によって、例えば電気モータによって薬剤ロールを巻き戻すためのスプール1を備える。
【0026】
したがって、本発明による装置は、パウチによって形成されたリボンを引っ張ることによって薬剤ロールを巻き戻す必要がないようにする。駆動装置がパウチにかかる引張応力を防止するのに十分に薬剤ロールを常に巻き戻すことを確実にするために、同時に、パウチのスタックがスプールの下に形成される程度まで薬剤ロールを巻き戻さないようにするために、装置はスプール1の位置から見て、パウチのための搬送トラックの開始部に、例えば容量性近接スイッチまたはフォトセルの形態のセンサ3を含み、センサは、パウチがセンサのすぐ近くに位置することをセンサが検出するとすぐに駆動装置をオフに切り換える。
【0027】
本発明は、スプールを回転させる駆動装置の制御が感度、したがって、スプールの駆動装置のスイッチオン/オフのモーメントがパウチの所望の位置に応じて調節できるように構成されるようにされている。例えば、リボンが実質的に図2に示す位置に類似した位置にあることを確実にすることは、パウチ上に引っ張り応力を発生させることを妨げる。
【0028】
他方の外側端部では、パウチのリボンが例えば検査装置のような装置の下流に配置された機械の搬送システムを更に通って搬送される。
【0029】
図3図1に示される本発明による装置の例示的な実施形態の一部の概略背面斜視図であり、図3では、薬剤ロールの2つの前方パウチ2が装置の搬送トラック内のセクションを形成する偏心トラック4上に横たわっている状態が見える。図3は更に、偏心トラック4のシャフトの駆動モータ5を示しており、これについては、ここで更に説明する。この例示的な実施形態では、駆動モータが偏心トラック4のシャフトのうちの1つを駆動し、他のシャフトは、互いに押し付けられ、例えば、ラバーまたは他の弾性変形可能な物質から製造される駆動ホイール6によっても駆動される。この形態の駆動では、互いに隣接する偏心シャフトが反対の回転方向を有する。
【0030】
偏心トラック4の軸は例えば駆動ベルト又はチェーンのような他の実現可能な方法で駆動することもでき、その場合、全ての偏心シャフトも同じ向きを有することができる。
【0031】
図3はまた、本発明による装置のこの例示的な実施形態のスプール1およびスプール駆動装置7の後側を示す。
【0032】
図4は、パウチを含むリボンからのパウチがその上に置かれた装置の偏心トラック4の一部の概略斜視図である。簡略化のために、パウチ内に位置する薬剤は示されていない。
【0033】
既知の装置の欠点を取り除くための解決策は最終的に、パウチの長さ及び幅の両方の位置でパウチを差別化された方法でタップする(又は、軽くたたく)ことにあることが見出された。これを達成するために、本発明による装置は偏心トラック4を含み、これは回転するように構成された複数の偏心シャフト8を含み、各シャフトはシャフトに対して回転不能であり、シャフトの長さにわたって分配された1つまたは複数の偏心体9を含み、その長さは偏心トラック上を前進するパウチの幅と実質的に一致する。例示的な実施形態では、偏心シャフト8のうちの1つまたは複数が六角形ロッド材料から製造される。
【0034】
図4に示される例示的な実施形態において、偏心シャフト8は部分的に機械加工された六角形の材料を含み、これは、シャフトが図において12面のロッド材料の外観を見えるようにする。しかしながら、12の側面のうち、6つのみが平坦であり、機械加工によって生成された他の6つは凸状である。
【0035】
図4に示す実施形態では、偏心体9が偏心シャフトの直径に適合された偏心的に配置された円形孔を有する円形ディスクを含む。
【0036】
偏心体の回転および意図しない軸方向の変位を防止するために、偏心体に、例えば、6つの平坦な側面のうちの1つで偏心シャフトと係合することができる皿ロックねじを設けることができる。図4に示す偏心トラックの例示的な実施形態の部分では、偏心シャフトが互いに隣り合う2つの偏心シャフト上に取り付けられた偏心の極端な点によってシャフトの回転中に記載された円が互いに重なるように、互いに近接して配置される。
【0037】
従って、この構成では、偏心シャフトの回転を可能にするように、互いに隣り合う2つの偏心シャフト上の偏心が偏心シャフトの長手方向に互いにオフセットして取り付けられる必要がある。
【0038】
偏心トラックの他の実施例は互いに隣接する2つの偏心シャフト上に互いに軸方向にオフセットした偏心を配置する必要なしに、シャフトの回転を可能にするために、偏心シャフト間に十分な相互距離を有する偏心シャフトを含む。
【0039】
シャフトが回転されると、パウチの幅方向において、パウチのこのライン上の異なる位置が、異なる瞬間に偏心体によってタップされることが可能になる。ここで、パウチの問題の点が、偏心体によって接触されたときに上方に移動する距離は例えば、カム9とも呼ばれる偏心体9のサイズ、または偏心体がシャフトに取り付けられる位置によって影響され得る。
【0040】
幅方向の差別化(又は、ばらけさせること)に加えて、本発明による装置は、パウチの長さ方向の差別化も含む。図4にその全長で示される中央パウチは例えば、3つの偏心シャフトによってその長さ方向に支持される図示の位置にある。したがって、偏心シャフトの回転中にパウチの表面がタップされる点の数は、各偏心シャフト8が4つの偏心体を備える場合、例えば12になる。
【0041】
実際には通常、より多数の偏心シャフトが選択されるが、本発明は偏心トラック4が1つの偏心シャフト8のみを備える装置の実施形態も提供する。1つのシャフトあたりの偏心体数はユーザの希望に応じて調整することができ、取り付ける偏心体の厚さに応じて、1つのシャフトに1個の偏心体から、例えば10個以上まで、変化させることができる。
【0042】
図4に示す偏心体は偏心穴を有する円形ディスクからなり、この円形ディスクは、シャフトに偏心体を取り付けるためにシャフトの上をスライドする。
【0043】
もちろん、本発明は偏心シャフトが回転するときに所定の頻度でパウチのタップ/リフティングを交互に実施/不実施させるカムが存在する限り、偏心体が例えば、正方形を含む長方形、三角形、六角形、楕円形、および所望されるか、または有用であると考えられる任意の他の形状を有することもできる。
【0044】
図に示す実施形態では、偏心体によって形成される平面が偏心シャフトの長手方向軸に対して実質的に直角に位置する。しかしながら、本発明はまた、偏心体が取り付けられる偏心シャフトの長手方向軸に対して偏心体の平面が、例えば、50度、60度、70度、または80度の角度、またはそれらの間にある任意の角度を形成する実施形態を含む。これは、偏心体がパウチと接触すると、パウチを持ち上げるだけでなく、同時に横方向の移動、すなわちパウチの幅方向の移動も行うことを達成する。この後者の記載された効果は、いくつかの形態の薬物のデスタッキングおよび分散において特に有用であり得る。このようにして、すなわち直角以外で偏心シャフトに装着される偏心は、本明細書において、ある角度で偏心シャフトに装着される偏心体と称される。
【0045】
図4に示され、ここで議論される例示的な実施形態に基づいて構成された偏心トラック4は、パウチに包装された医薬品の積み重ね解除及び散開に対して特に効果的であることが分かった。パウチのリボンがさらなる手段なしに偏心トラック4上に運ばれるとき、パウチは、少なくとも実質的に偏心トラックの上方で「浮動」し始める傾向を有することができる。浮動の場合、パウチは、十分な程度まで偏心体9と接触せず、したがって、積み重ね解除は最適に進行しない。
【0046】
従来技術の機械は多くの場合、パウチをコンベアトラック内の振動プレートに押し付け続けるために、発泡ゴムローラ又はブラシを備えている。このような公知の機械では、これは再三再四、薬物に対する損傷のより高い機会をもたらす。
【0047】
図5に概略的に示されている破断された例示的な実施形態に示されているように、本発明による装置は、パウチを偏心トラック4と接触させた状態に保つための新しい解決策を含む。この解決策はパウチを偏心トラックの方向に、すなわち下方に空気を吹き付けることを含む。この目的のために、装置は、図示の例示的な実施形態では、12個の偏心シャフト8を含むこの偏心トラックの長さにわたって分散された3つのファン10-1を備える。
【0048】
もちろんのこと、本発明は、回転速度、そして、それによってファンの流量を(必要に応じて個々のファンについても)調節することができる。空気を使用してパウチと偏心体との間の接触をもたらすことは、薬剤に対する損傷の機会を最小限に抑え、一方、パウチは依然として、偏心体によって十分に軽く叩かれて、スタックし得る薬剤を積み重ね解除し、散開させることができる。
【0049】
空気で偏心トラックにパウチを吹き付けることに類似する効果は、空気吸引側を上に向けて偏心トラックの下に1つ以上のファンを配置することによって達成される。したがって、偏心トラックの上方に位置する1つまたは複数のファンへの言及は、1つまたは複数のファンが偏心トラックの下に配置される実施形態への言及でもあり得る。
【0050】
図5に示す例示的な実施形態では全ての偏心シャフトが同数の偏心体を含むわけではなく、図示されたシャフトの幾つかの上では2つ以上の偏心体がカムの少なくとも実質的に同一の位置で一緒に押されていた。可能な変形例の数はほとんど無限であり、本発明は、ユーザが偏心体の数及び位置を自分自身で変更することができるという場合も含む。図5に示される3つのファンの数は単なる例としての役割を果たし、本発明は、装置が偏心トラック上に3つより多い又は少ないファンを備えることができる。
【0051】
図6に示す本発明による装置(100)の実施形態は、偏心トラック(4)の上方に3つのファン(10-2、10-3、および10-4)と、偏心トラック(4)の下方に3つのファン(10-5、10-6、および10-7)とを備える。ファン(10-2、10-3、10-4)の吸込側は、偏心トラック(4)に向けられている。図6では、これらのファン(10-2、10-3、および10-4)の送風方向を直立した矢印で示している。ファン(10-5、10-6、10-7)の吸引側も偏心トラック(4)に向けられる。図6ではこれらのファン(10-5、10-6、および10-7)の送風方向は下向きの矢印で示されている。先に示した図1~5の偏心体9とは対照的に、偏心体9は非円形である。この図6の偏心体9は、三角形、正方形、長方形を含む異なる周辺形状を有する。非円形偏心体9は、偏心シャフト8上に同心的に又は偏心的に配置することができる。ここでの条件は偏心シャフト8の周りの回転中に、偏心体9が所定の周波数で薬物を有するパウチと接触することである
【0052】
用語「および/または」は主に、前および「および/または」の後に記載された事項のうちの1つまたは複数に関連する。例えば、文「事項1および/または事項2」(および同様の文)は事項1および事項2または事項1または事項2に関連することができる。用語「備える」(またはその派生物)が用語「備える」手段「からなる」がそれゆえ、用語「備える」は場合によっては「からなる」からなることができるが、他の場合には少なくとも定義されたタイプおよび任意選択で1つまたは複数の他のタイプを含む「を意味する」ことができる。請求項において、用語「有する」又はその派生語の使用は、請求項に記載された要素又はステップの外に要素又はステップが存在することを排除するものではない。
【0053】
説明において「実質的に直角である」が使用される場合、これは、少なくとも85度~最大95度の範囲内、好ましくは少なくとも88度~最大92度の範囲内の角度を成すことを指し得る。
【0054】
本明細書および特許請求の範囲において、散開、ばらけさせる、スプレッディングする、および広げるという用語は同義語であり、すべて、実質的に水平位置に配置されたパウチ内に位置する個々の丸剤、錠剤、および/またはカプセルの間の中間空間の増加を指す。
【0055】
本明細書で説明され、図面に示される本発明による装置の例示的な実施形態は、本発明の範囲内で可能な多くの実施形態のうちのいくつかにすぎず、したがって、非限定的であると見なされなければならない。
下記は、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載の内容である。
<請求項1>
リボン状薬剤ロール(101)に連続して配置されたパウチ(2)内に包装された薬剤を積み重ね解除して散開させるための、薬剤ロール(101)の巻き戻されたパウチ(2)を搬送するように構成された搬送トラック(102)を備える装置(100)であって、
搬送トラック(102)はパウチ(2)がその上を移動可能なセクションを備え、
動作中に、少なくとも1つのパウチ(2)の下側が前記セクションの上側に位置し、
前記セクションは、前記セクション上に位置するパウチ(2)内の薬剤を積み重ね解除して散開させるための手段を備え、
装置(100)は、搬送トラック(102)上に薬剤ロール(101)を供給または放出するための手段(1)と協働するように構成され、
前記薬剤を積み重ね解除して散開させるための手段は、互いに隣接して配置された複数の偏心シャフト(8)を有する偏心トラック(4)を備え、
偏心シャフト(8)はそれぞれ搬送トラック(102)の長手方向に対して実質的に直角に配置され、
各偏心シャフト(8)は1つ以上の偏心体(9)を備えることを特徴とする装置(100)。
<請求項2>
前記偏心体(9)の周縁が前記セクションの横断方向から見て互いに重なり合うように連続する偏心シャフト(8)間の間隔が選択され、少なくとも1つの偏心シャフト(8)が駆動モータ(5)によって駆動可能である、請求項1に記載の装置(100)。
<請求項3>
1つ以上の偏心体(9)が偏心シャフト(8)の長さにわたってスライド可能であり、偏心シャフト(8)の周りで回転可能であり、偏心シャフト(8)に固定可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置(100)
<請求項4>
装置(100)が偏心トラック(4)の上又は下に位置する少なくとも1つのファン(10-1,10-2,10-3,10-4,10-5,10-6,10-7)を有することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の装置(100)。
<請求項5>
前記装置(100)は偏心トラック(4)の上に位置する少なくとも1つのファン(10-2、10-3、10-4)を含み、前記偏心トラック(4)の上に位置する前記ファン(10-2、10-3、10-4)の各々の吸引側が前記偏心トラック(4)に向けられていることを特徴とする請求項4に記載の装置(100)。
<請求項6>
前記装置(100)は前記偏心トラック(4)の下に位置する少なくとも1つのファン(10-5、10-6、10-7)を含み、前記偏心トラック(4)の下に位置する前記ファン(10-5、10-6、10-7)の各々の吸引側が前記偏心トラック(4)に向けられていることを特徴とする請求項4または5に記載の装置(100)。
<請求項7>
前記装置(100)はセンサ(3)を含み、前記装置(100)は、動作中、パウチが前記センサのすぐ近くに位置していることを前記センサ(3)が検出するとすぐに、前記供給手段が停止するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の装置(100)。
<請求項8>
少なくとも1つの偏心シャフト(8)が六角ロッド材料を有することを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の装置(100)。
<請求項9>
少なくとも1つの偏心シャフト(8)が部分的に機械加工された六角ロッド材料を有することを特徴とする請求項8に記載の装置(100)。
<請求項10>
駆動モータ(5)が偏心シャフト(8)の1つを駆動し、他のシャフトは、互いに押し付けられた例えばラバーまたは他の弾性変形可能な素材から製造される駆動ホイール(6)によって駆動可能であることを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載の装置(100)。
<請求項11>
前記装置(100)は、ある角度で偏心シャフト(8)に装着された偏心体(9)を有する少なくとも1つの偏心シャフト(8)を有することを特徴とする請求項1~10のいずれかに記載の装置(100)。
<請求項12>
少なくとも1つの偏心体(9)が丸く、偏心体(9)が偏心シャフト(8)に偏心して取り付けられていることを特徴とする請求項1~11のいずれかに記載の装置(100)。
<請求項13>
少なくとも1つの偏心体(9)が非円形であることを特徴とする請求項1~12のいずれかに記載の装置(100)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6