(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-25
(45)【発行日】2023-09-04
(54)【発明の名称】防災情報通知システム及び防災情報通知方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20230828BHJP
【FI】
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2021166065
(22)【出願日】2021-10-08
【審査請求日】2022-06-03
(73)【特許権者】
【識別番号】516220309
【氏名又は名称】レイ・フロンティア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】野島 隆志
(72)【発明者】
【氏名】四本松 和悠
(72)【発明者】
【氏名】稲上 克史
【審査官】加舎 理紅子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-105457(JP,A)
【文献】特開2016-070760(JP,A)
【文献】特開2019-061645(JP,A)
【文献】特開2015-175710(JP,A)
【文献】特開2019-139654(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの現在位置を測位して測位情報を出力する測位部とユーザの移動状態を判定して移動状態情報を出力する状態判定部とを含むユーザ端末に防災情報を通知する防災情報通知システムであって、
前記測位情報及び前記移動状態情報を含む行動情報を前記ユーザ端末から取得し、取得した前記行動情報を記憶部に記憶させる行動情報取得部と、
ユーザの前記行動情報について外部データを参照して集計・分析を行う集計分析部と、
防災情報を提供する外部装置から前記防災情報を受信した場合に、ユーザの前記行動情報の分析結果を参照して前記防災情報の通知対象とするユーザを抽出し、抽出したユーザの前記ユーザ端末に前記防災情報を通知する通知部と、
ユーザに対する前記防災情報の通知履歴と、前記防災情報の通知後のユーザの前記行動情報とに基づいて、前記防災情報の通知の効果を分析する通知効果分析部とを含み、
前記外部データは、行政区域、路線図、道路網及びPOI(Point Of Interest)の少なくとも1つであり、
前記集計分析部は、
ユーザの前記行動情報の分析結果として、滞在回数と滞在時間が所定の閾値以上である地域、利用回数が所定の閾値以上である交通機関、利用回数が所定の閾値以上である道路及び利用回数が所定の閾値以上である施設の少なくとも1つを求める、防災情報通知システム。
【請求項2】
ユーザの現在位置を測位して測位情報を出力する測位部とユーザの移動状態を判定して移動状態情報を出力する状態判定部とを含むユーザ端末に防災情報を通知する防災情報通知方法であって、
コンピュータが、前記測位情報及び前記移動状態情報を含む行動情報を前記ユーザ端末から取得し、取得した前記行動情報を記憶部に記憶させる行動情報取得ステップと、
コンピュータが、ユーザの前記行動情報について外部データを参照して集計・分析を行う集計分析ステップと、
コンピュータが、防災情報を提供する外部装置から前記防災情報を受信した場合に、ユーザの前記行動情報の分析結果を参照して前記防災情報の通知対象とするユーザを抽出し
、抽出したユーザの前記ユーザ端末に前記防災情報を通知する通知ステップと、
コンピュータが、ユーザに対する前記防災情報の通知履歴と、前記防災情報の通知後のユーザの前記行動情報とに基づいて、前記防災情報の通知の効果を分析する通知効果分析ステップとを含み、
前記外部データは、行政区域、路線図、道路網及びPOI(Point Of Interest)の少なくとも1つであり、
前記集計分析ステップでは、
コンピュータが、ユーザの前記行動情報の分析結果として、滞在回数と滞在時間が所定の閾値以上である地域、利用回数が所定の閾値以上である交通機関、利用回数が所定の閾値以上である道路及び利用回数が所定の閾値以上である施設の少なくとも1つを求める、防災情報通知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防災情報通知システム及び防災情報通知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ユーザが事前(平時)に防災情報取得地域を指定しておくと、有事に、指定した地域に関連する防災情報を取得できるアプリが知られている。また、災害などの発生時に、携帯端末の現在位置を示す位置情報が通信ホスト装置に伝達され、通信ホスト装置が当該携帯端末の現在位置に従った適切な情報を当該携帯端末に送信する情報通知システムが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のアプリや情報通知システムでは、事前に指定した地域以外の地域に関連する防災情報や、ユーザ端末の現在位置ではないものの自宅や職場等のユーザがよく行く場所に関連する防災情報を取得することはできなかった。
【0005】
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、防災情報をより適切にユーザ端末に通知することが可能な防災情報通知システム及び防災情報通知方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明は、ユーザの現在位置を測位して測位情報を出力する測位部とユーザの移動状態を判定して移動状態情報を出力する状態判定部とを含むユーザ端末に防災情報を通知する防災情報通知システムであって、前記測位情報及び前記移動状態情報を含む行動情報を前記ユーザ端末から取得し、取得した前記行動情報を記憶部に記憶させる行動情報取得部と、ユーザの前記行動情報について外部データを参照して集計・分析を行う集計分析部と、防災情報を提供する外部装置から前記防災情報を受信した場合に、ユーザの前記行動情報の分析結果を参照して前記防災情報の通知対象とするユーザを抽出し、抽出したユーザの前記ユーザ端末に前記防災情報を通知する通知部とを含む防災情報通知システムに関連する。
【0007】
また本発明は、ユーザの現在位置を測位して測位情報を出力する測位部とユーザの移動状態を判定して移動状態情報を出力する状態判定部とを含むユーザ端末に防災情報を通知する防災情報通知方法であって、前記測位情報及び前記移動状態情報を含む行動情報を前記ユーザ端末から取得し、取得した前記行動情報を記憶部に記憶させる行動情報取得ステップと、ユーザの前記行動情報について外部データを参照して集計・分析を行う集計分析ステップと、防災情報を提供する外部装置から前記防災情報を受信した場合に、ユーザの前記行動情報の分析結果を参照して前記防災情報の通知対象とするユーザを抽出し、抽出したユーザの前記ユーザ端末に前記防災情報を通知する通知ステップとを含む防災情報通知方法に関連する。
【0008】
本発明によれば、平時から取得しているユーザの行動情報について集計・分析を行い、有事に、行動情報の分析結果を参照して通知対象とするユーザを抽出し、抽出したユーザ
に防災情報を通知することで、予め防災情報取得地域を指定していなくても、また、ユーザの現在位置に係わらず、的確な防災情報を自動でユーザ端末に通知することができる。
【0009】
(2)また本発明に係る防災情報通知システム及び防災情報通知方法では、前記外部データは、行政区域、路線図、道路網及びPOI(Point Of Interest)の少なくとも1つであってもよい。
【0010】
(3)また本発明に係る防災情報通知システム及び防災情報通知方法では、前記集計分析部は(前記集計分析ステップでは)、ユーザの前記行動情報の分析結果として、ユーザがよく行く地域、よく利用する交通機関、よく利用する道路及びよく利用する施設の少なくとも1つを求めてもよい。
【0011】
(4)また本発明に係る防災情報通知システム及び防災情報通知方法では、ユーザに対する前記防災情報の通知履歴と、前記防災情報の通知後のユーザの前記行動情報とに基づいて、前記防災情報の通知の効果を分析する通知効果分析部(通知効果分析ステップ)を更に含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施形態に係る防災情報通知システムの構成の一例を示す図。
【
図4】集計分析装置の構成の一例を示す機能ブロック図。
【
図6】通知装置の構成の一例を示す機能ブロック図。
【
図7】集計分析装置の処理の流れを示すフローチャート。
【
図8】通知装置の処理の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。用いる図面は説明の便宜上のものである。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0014】
1.構成
図1は、本実施形態に係る防災情報通知システムの構成の一例を示す図である。防災情報通知システム1は、複数の端末10(ユーザ端末)と、集計分析装置20と、通知装置30と、通知効果分析装置40とを含む。端末10は、ユーザが携帯可能な情報端末であり、例えば、スマートフォン、携帯電話、ウェアラブル端末、タブレット型PC、ノート型PC、携帯型ゲーム機などである。集計分析装置20は、ユーザの行動情報(測位情報、移動状態情報)を端末10から取得して記憶部(データベース)に記憶させ、当該行動情報の集計・分析を行う装置である。通知装置30は、外部装置50(自治体やライフライン事業者などの情報発信者が管理する装置)から防災情報を受信し、ユーザの行動情報の分析結果を参照して通知対象とするユーザを抽出し、抽出したユーザの端末10に防災情報を通知する装置である。通知効果分析装置40は、ユーザに対する防災情報の通知の効果を分析する装置である。集計分析装置20は、本発明の行動情報取得部及び集計分析部として機能し、通知装置30は、本発明の通知部として機能し、通知効果分析装置40は、本発明の通知効果分析部として機能する。なお、行動情報取得部として機能する装置を集計分析部として機能する装置とは別に設けてもよい。また、1つ(又は、複数)の装置で行動情報取得部、集計分析部、通知部及び通知効果分析部の機能を実行するようにしてもよい。端末10と集計分析装置20、集計分析装置20と通知装置30、通知装置3
0と通知効果分析装置40及び外部装置50、及び、通知効果分析装置40と端末10及び集計分析装置20は、インターネット60を介して通信可能に構成されている。
【0015】
図2は、端末10の構成の一例を示す機能ブロック図である。端末10は、処理部100と、センサー群110と、記憶部120と、通信部130と、表示部140とを含む。
【0016】
センサー群110は、衛星信号受信回路111と、慣性センサー112と、無線通信部113とを含む。また、センサー群110は、高度計、地磁気センサー、近接センサー、マイクロフォン等を更に含んでもよい。センサー群110は、少なくとも衛星信号受信回路111と慣性センサー112を含んでいればよい。
【0017】
衛星信号受信回路111は、衛星信号アンテナを介してGPS等の測位衛星からの測位衛星信号(軌道情報、時刻情報)を受信し、受信した測位衛星信号を処理部100に出力する。
【0018】
慣性センサー112は、慣性力を検出し、検出した信号をセンサー情報として処理部100に出力する。慣性センサー112は、加速度を検出する加速度センサーを含み、角速度を検出する角速度センサー(ジャイロセンサー)を更に含んでもよい。
【0019】
無線通信部113は、無線通信アンテナを介して外部機器と情報を送受信する。無線通信部113は、近距離無線通信(無線LAN、Bluetooth(登録商標)等)を行う無線通信回路、及び携帯電話回線に接続された基地局と無線通信を行う無線通信回路の少なくとも一方を含む。
【0020】
記憶部120は、処理部100の各部としてコンピュータを機能させるためのプログラムや各種データを記憶するとともに、処理部100のワーク領域として機能し、その機能はハードディスク、RAMなどにより実現できる。
【0021】
通信部130は、集計分析装置20や通知装置30との間で通信を行うための各種制御を行うものであり、その機能は、各種プロセッサ又は通信用ASICなどのハードウェアや、プログラムなどにより実現できる。
【0022】
表示部140は、処理部100で生成された画像を出力するものであり、その機能は、タッチパネルやLCDなどのディスプレイにより実現できる。
【0023】
処理部100は、センサー群110からのセンサー情報、図示しない入力部からの入力情報、プログラムなどに基づいて各種処理を行う。処理部100の機能は各種プロセッサ(CPU、DSP等)などのハードウェアや、プログラムにより実現できる。処理部100は、測位部101と、状態判定部102と、表示制御部103とを含む。
【0024】
測位部101は、衛星信号受信回路111を制御し、衛星信号受信回路111からの測位衛星信号に基づいて、所与の時間間隔で、ユーザ(端末10)の現在位置を測位し、測位情報(緯度、経度)を出力する。また、測位部101は、無線通信部113を介して取得した情報(例えば、SSIDのリスト情報や携帯電話回線の基地局情報)に基づき求めた現在位置を測位情報として出力してもよい。
【0025】
状態判定部102は、測位部101からの測位情報と慣性センサー112からのセンサー情報とに基づいて、所与の時間間隔で、ユーザの移動に関する状態(移動状態)を判定し、判定結果を移動状態情報として出力する。具体的には、状態判定部102は、ユーザの移動状態が、所定範囲内に滞在(停止も含む)している状態(滞在状態)であるか、歩
行している状態(歩行状態)であるか、或いは、車両(自転車、自動車、電車車両など)に乗って移動している状態(車両移動状態)であるかを判定する。例えば、状態判定部102は、測位部101からの測位情報の履歴に基づいて過去所定時間内における複数の測位位置の重心位置から最新の測位位置(現在位置)までの距離Dを算出し、算出した距離Dが所定の閾値TD未満である場合に、ユーザの移動状態が滞在状態であると判定する。また、状態判定部102は、算出した距離Dが所定の閾値TD以上であり、且つ、慣性センサー112(加速度センサー)からのセンサー情報に基づき検出された単位時間当たりの歩数Sが所定の閾値TS以上である場合に、ユーザの移動状態が歩行状態であると判定する。また、状態判定部102は、慣性センサー112(加速度センサー及び/又は角速度センサー)からのセンサー情報に基づく振動パターンが所定の振動パターン(車両移動状態特有の振動パターン)に一致或いは近似し、且つ、測位部101からの測位情報の履歴に基づき算出した移動速度Vが所定の閾値TV以上である場合に、ユーザの移動状態が車両移動状態であると判定する。
【0026】
測位部101からの測位情報と状態判定部102からの移動状態情報は、測位時及び状態判定時のタイムスタンプ(年月日・時分秒)に関連付けられて行動情報として記憶部120に記憶(蓄積)される。
図3に、記憶部120に記憶される行動情報の一例を示す。行動情報は、タイムスタンプに関連付けて、そのときの測位情報と移動状態情報とを格納する。処理部100は、記憶部120に記憶された行動情報を、所与のタイミング(例えば、所定の時間間隔、未送信の行動情報のレコード数が所定数に達したタイミング、集計分析装置20からの送信要求を受信したタイミング)で集計分析装置20に送信する。
【0027】
表示制御部103は、処理部100で行われる種々の処理の結果に基づいて描画処理を行って表示画像を生成し、表示部140に出力する。表示制御部103は、通知装置30から防災情報(通知情報)を受信した場合に、受信した情報(或いは、受信した情報に基づき生成した情報)を表示部140に表示させる。
【0028】
図4は、集計分析装置20の構成の一例を示す機能ブロック図である。集計分析装置20は、処理部200と、記憶部210と、通信部220とを含む。
【0029】
記憶部210は、処理部200の各部としてコンピュータを機能させるためのプログラムや各種データを記憶するとともに、処理部200のワーク領域として機能し、その機能はハードディスク、RAMなどにより実現できる。
【0030】
通信部220は、端末10や通知装置30、通知効果分析装置40との間で通信を行うための各種制御を行うものであり、その機能は、各種プロセッサ又は通信用ASICなどのハードウェアや、プログラムなどにより実現できる。
【0031】
処理部200の機能は各種プロセッサ(CPU、DSP等)などのハードウェアや、プログラムにより実現できる。処理部200は、行動情報取得部201と、集計分析部202とを含む。
【0032】
行動情報取得部201は、端末10からの行動情報を受信(取得)し、取得した行動情報を当該端末10のユーザ(端末ID、ユーザID)に関連付けて記憶部210に記憶させる。
【0033】
集計分析部202は、記憶部210に記憶されたユーザごとの行動情報について、記憶部210に記憶された外部データを参照してユーザごとに集計・分析を行い、ユーザごとの集計・分析結果を集計情報として記憶部210に記憶させる。ここで、外部データとは、行政区域ポリゴン(行政区域を地図上のポリゴンで表現したデータ)、鉄道・バスの路
線図(駅位置、バス停位置、路線位置点列)、道路網(道路位置点列、橋梁位置、トンネル位置)及びPOI(Point Of Interest、施設位置)のデータである。
図5に、記憶部210に記憶される集計情報の一例を示す。集計情報は、ユーザIDに関連付けて、ユーザがよく行く地域(都道府県、市町村、町丁目)、よく利用する交通機関(駅、バス停、路線)、よく利用する道路(一般道路、高速道路、橋梁、トンネル)、及び、よく利用する施設(商業施設、飲食施設、レジャー施設)の情報を格納する。集計分析部202は、ユーザの行動情報を行政区域ポリゴンと照合する(突き合わせる)ことで、ユーザがよく行く地域を求め、ユーザの行動情報を路線図と照合することで、ユーザがよく利用する交通機関を求め、ユーザの行動情報を道路網と照合することで、ユーザがよく利用する道路を求め、ユーザの行動情報をPOIと照合することで、ユーザがよく利用する施設を求める。
【0034】
図6は、通知装置30の構成の一例を示す機能ブロック図である。通知装置30は、処理部300と、記憶部310と、通信部320とを含む。
【0035】
記憶部310は、処理部300の各部としてコンピュータを機能させるためのプログラムや各種データを記憶するとともに、処理部300のワーク領域として機能し、その機能はハードディスク、RAMなどにより実現できる。
【0036】
通信部320は、端末10や集計分析装置20、通知効果分析装置40との間で通信を行うための各種制御を行うものであり、その機能は、各種プロセッサ又は通信用ASICなどのハードウェアや、プログラムなどにより実現できる。
【0037】
処理部300の機能は各種プロセッサ(CPU、DSP等)などのハードウェアや、プログラムにより実現できる。処理部300は、ユーザ抽出部301と、通知処理部302とを含む。
【0038】
ユーザ抽出部301は、防災情報を提供する外部装置50から防災情報を受信した場合に、集計分析装置20の記憶部210に記憶された集計情報(行動情報の集計・分析結果)を参照して、受信した防災情報の通知対象とするユーザを抽出(決定)する。ここで、防災情報とは、例えば、警報・注意報、地震・津波情報、河川水位情報、避難情報、被害情報、通行止め情報、交通機関遅延情報などである。防災情報には、発令場所(地域、交通機関、道路、施設)と発令内容が含まれる。ユーザ抽出部301は、受信した防災情報の発令場所に特定の地域が含まれている場合には、当該地域を「よく行く地域」とするユーザを通知対象として抽出し、受信した防災情報の発令場所に特定の交通機関が含まれている場合には、当該交通機関を「よく利用する交通機関」とするユーザを通知対象として抽出し、受信した防災情報の発令場所に特定の道路が含まれている場合には、当該道路を「よく利用する道路」とするユーザを通知対象として抽出し、受信した防災情報の発令場所に特定の施設が含まれている場合には、当該施設を「よく利用する施設」とするユーザを通知対象として抽出する。
【0039】
通知処理部302は、ユーザ抽出部301によって通知対象として抽出されたユーザの端末10に対して、受信した防災情報(防災情報そのもの、或いは、防災情報を加工した通知情報)を送信する。また、通知処理部302は、防災情報の通知履歴(通知時のタイムスタンプ、通知対象のユーザ、防災情報の発令場所と発令内容)を記憶部310に記憶させる。
【0040】
通知効果分析装置40は、通知装置30の記憶部310に記憶された通知履歴と、集計分析装置20の記憶部210に記憶された行動情報(防災情報の通知後のタイムスタンプの行動情報)とを参照して、防災情報の通知の効果を分析する。例えば、防災情報の通知
後のユーザの行動情報が、当該防災情報の発令場所に近づかない(或いは、発令場所から遠ざかる)傾向を示す場合には、当該防災情報の通知効果が高いと判定し、当該防災情報の発令場所に近づく(或いは、発令場所から遠ざからない)傾向を示す場合には、当該防災情報の通知効果が低いと判定する。
【0041】
2.処理
次に、集計分析装置20の処理の一例について
図7のフローチャートを用いて説明する。集計分析装置20は、
図7に示す処理をユーザごとに実行する。まず、行動情報取得部201は、端末10からユーザの行動情報(測位情報、移動状態情報)を取得する(ステップS10)。
【0042】
次に、集計分析部202は、取得された行動情報について外部データ(行政区域ポリゴン、路線図、道路網、POI)を参照して集計・分析を行う(ステップS11~S22)。ステップS11~S13は、ユーザがよく行く地域を分析する処理であり、ステップS14~S16は、ユーザがよく利用する交通機関を分析する処理であり、ステップS17~S19は、ユーザがよく利用する道路を分析する処理であり、ステップS20~S22は、ユーザがよく利用する施設を分析する処理である。なお、ステップS11~S13、ステップS14~S16、ステップS17~S19及びステップS20~S22の処理を、
図7に示すように並列に実行してもよいし、任意の順番で実行してもよい。
【0043】
よく行く地域を分析する処理では、ユーザの滞在位置(移動状態が「滞在状態」であるときの測位位置)と行政区域ポリゴンとを照合し(ステップS11)、行政区域ごとに滞在回数と滞在時間の合計を算出する(ステップS12)。次に、滞在回数・滞在時間の合計が所定の閾値以上である行政区域を「よく行く地域」とする(ステップS13)。
【0044】
よく利用する交通機関を分析する処理では、ユーザの乗り物位置(移動状態が「車両移動状態」であるときの測位位置)と路線図とを照合し(ステップS14)、路線ごとに利用回数を算出する(ステップS15)。次に、利用回数が所定の閾値以上である路線を「よく利用する交通機関」とする(ステップS16)。
【0045】
よく利用する道路を分析する処理では、ユーザの徒歩・乗り物位置(移動状態が「歩行状態」であるときの測位位置と、移動状態が「車両移動状態」であるときの測位位置)と道路網とを照合し(ステップS17)、道路ごとに利用回数を算出する(ステップS18)。次に、利用回数が所定の閾値以上である道路を「よく利用する道路」とする(ステップS19)。
【0046】
よく利用する施設を分析する処理では、ユーザの徒歩・乗り物位置とPOI(施設位置)とを照合し(ステップS20)、施設ごとに利用回数を算出する(ステップS21)。次に、利用回数が所定の閾値以上である施設を「よく利用する施設」とする(ステップS22)。
【0047】
次に、集計分析部202は、ステップS11~S22の集計・分析結果を集計情報として記憶部210に記憶させる(ステップS23)。
【0048】
次に、通知装置30の処理の一例について
図8のフローチャートを用いて説明する。まず、処理部300は、外部装置50にアクセスし、防災情報が発令されたか否かを監視する(ステップS30)。防災情報が発令された場合(ステップS31のY)には、処理部300は、外部装置50から当該防災情報を取得する(ステップS32)。
【0049】
次に、ユーザ抽出部301は、集計分析装置20の記憶部210に記憶された集計情報
を参照して、発令された防災情報の通知対象とするユーザを抽出する(ステップS33)。すなわち、ユーザ抽出部301は、防災情報の発令場所(地域、交通機関、道路、施設)が「よく行く地域」、「よく利用する交通機関」、「よく利用する道路」及び「よく行く施設」のいずれかに該当する全てのユーザを通知対象として抽出する。次に、通知処理部302は、抽出された各ユーザの端末10に当該防災情報の発令内容を通知し(ステップS34)、記憶部310に記憶された通知履歴を更新する(ステップS35)。
【0050】
本実施形態の防災情報通知システムによれば、平時から取得しているユーザの行動情報について外部データを参照して集計・分析を行い、有事に、行動情報の分析結果を参照して通知対象とするユーザを抽出し、抽出したユーザに防災情報を通知することで、予めユーザが防災情報取得地域を指定していなくても、また、ユーザの現在位置に係わらず、適格な防災情報を自動でユーザの端末10に通知することができる。
【符号の説明】
【0051】
1…防災情報通知システム、10…端末(ユーザ端末)、20…集計分析装置、30…通知装置、40…通知効果分析装置、50…外部装置、60…インターネット、100…処理部、101…測位部、102…状態判定部、103…表示制御部、110…センサー群、111…衛星信号受信回路、112…慣性センサー、113…無線通信部、120…記憶部、130…通信部、140…表示部、200…処理部、201…行動情報取得部、202…集計分析部、210…記憶部、220…通信部、300…処理部、301…ユーザ抽出部、302…通知処理部、310…記憶部、320…通信部