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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-25
(45)【発行日】2023-09-04
(54)【発明の名称】電池パックの排気フィルタシステム
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/30 20210101AFI20230828BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20230828BHJP
   H01M 50/342 20210101ALI20230828BHJP
   H01M 50/383 20210101ALI20230828BHJP
【FI】
H01M50/30
H01M50/204 401E
H01M50/342 201
H01M50/383
H01M50/204 101
H01M50/204 401F
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021576433
(86)(22)【出願日】2020-08-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-29
(86)【国際出願番号】 CN2020111818
(87)【国際公開番号】W WO2022041062
(87)【国際公開日】2022-03-03
【審査請求日】2021-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】521010344
【氏名又は名称】烟台創為新能源科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Yantai Chungway New Energy Technology Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】No. 163 Jinshajiang Road, Economic and Technological Development Zone, Yantai City, Shandong Province, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】張 立磊
(72)【発明者】
【氏名】常 洪波
(72)【発明者】
【氏名】譚 業超
(72)【発明者】
【氏名】劉 云奇
(72)【発明者】
【氏名】時 暁▲とん▼
【審査官】多田 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-161735(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109103392(CN,A)
【文献】国際公開第2020/039722(WO,A1)
【文献】特開平07-245089(JP,A)
【文献】中国実用新案第205360890(CN,U)
【文献】特開昭55-003183(JP,A)
【文献】実開昭56-122265(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/30 - 50/392
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端部が電池パックに接続され、他端部がフィルタ装置に接続される防爆弁と、導入口、排出口、筐体および筐体内に配置され複数のフィルタホールが開設されているフィルタ機構を備えるフィルタ装置とを含み、前記導入口と排出口がそれぞれ筐体の両端に設けられ、
前記フィルタ機構は、フィルタ機構搬送方向に対して垂直な方向の一側に配置されており離間して設置されている少なくとも2つの第1フィルタープレートを備える第1フィルタープレートユニットと、フィルタ機構搬送方向に対して垂直な方向の他側に配置されており離間して設置されている少なくとも2つの第2フィルタープレートを備える第2フィルタープレートユニットとを含み、フィルタ機構搬送方向において、少なくとも2つの第1フィルタープレートは、フィルタホールの穴径の大きい順に配列され、少なくとも2つの第2フィルタープレートは、フィルタホールの穴径の大きい順に配列されることを特徴とする、
電池パックの排気フィルタシステム。
【請求項2】
前記フィルタ機構搬送方向に対して垂直な方向において、前記第1フィルタープレートは、前記第2フィルタープレートとの間に、電池パックの熱暴走した場合における燃焼ガスの通過に用いられる隙間を有することを特徴とする、
請求項1に記載の電池パックの排気フィルタシステム。
【請求項3】
個々の前記第1フィルタープレートにおける穴径の通気面積と、隣接する第2フィルタープレートにおける穴径の通気面積と、個々の前記隙間の有効な通気面積との和は、導入口の断面積よりも大きいフィルタ機構の単層通気面積を構成することを特徴とする、
請求項2に記載の電池パックの排気フィルタシステム。
【請求項4】
前記隙間は、有効な通気面積が導入口の断面積よりも大きいことを特徴とする、
請求項2に記載の電池パックの排気フィルタシステム。
【請求項5】
前記第1フィルタープレートは、前記フィルタ機構搬送方向に沿った前記筐体の長手方向の側壁と、角度が0°より大きく180°より小さい夾角が設置されており、前記第1フィルタープレートの通気面積が導入口の断面積より大きく、第2フィルタープレートは、筐体の長手方向の側壁と、角度が0°より大きく180°より小さい夾角が設置されており、前記第2フィルタープレートの通気面積が導入口の断面積より大きいことを特徴とする、
請求項2に記載の電池パックの排気フィルタシステム。
【請求項6】
前記フィルタホールは、最小直径が0.428mmより小さいことを特徴とする、
請求項1に記載の電池パックの排気フィルタシステム。
【請求項7】
前記導入口に隣接する第1フィルタープレートは、導入口の燃焼ガス直線流路を完全にカバーすることを特徴とする、
請求項1に記載の電池パックの排気フィルタシステム。
【請求項8】
フィルタ機構の搬送方向において、前後に隣接する2つの前記第1フィルタープレートにおけるフィルタホールは、ホール中心がずれるように設置され、前後に隣接する2つの前記第2フィルタープレートにおけるフィルタホールは、ホール中心がずれるように設置されることを特徴とする、
請求項1に記載の電池パックの排気フィルタシステム。
【請求項9】
前記電池パックの排気フィルタシステムは、防爆弁とフィルタ装置との間の接続に用いられる排気管をさらに含むことを特徴とする、
請求項1に記載の電池パックの排気フィルタシステム。
【請求項10】
前記排気管は、耐高圧・耐高温材質であることを特徴とする、
請求項9に記載の電池パックの排気フィルタシステム。
【請求項11】
前記排気管は、ステンレス材質であることを特徴とする、
請求項10に記載の電池パックの排気フィルタシステム。
【請求項12】
前記排気管の断面積≦フィルタ装置の断面積であることを特徴とする、
請求項9に記載の電池パックの排気フィルタシステム。
【請求項13】
前記電池パックの排気フィルタシステムは、フィルタ装置の排出口に接続される消防継手をさらに含むことを特徴とする、
請求項1に記載の電池パックの排気フィルタシステム。
【請求項14】
前記防爆弁は、枠体、枠体に配置され防爆弁と電池パックのシール接続に用いられるシールガスケット、および、枠体に配置され電池パックの熱暴走の場合における圧力放出に用いられる通気性防水膜を含むことを特徴とする、
請求項1に記載の電池パックの排気フィルタシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池パックの熱暴走の技術分野に関し、具体的に、電池パックの排気フィルタシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
2020年5月12日に、工業情報化部により策定されたGB 18384-2020《電気自動車安全要求》、GB 38032-2020《電気バス安全要求》およびGB 30381-2020《電気自動車用動力蓄電池安全要求》の三つの強制的国家標準(以下、“三つの強力な標準”と単に呼ばれる)が国家市場監督管理総局、国家標準化管理委員会から承認、公布され、2021年1月1日から施行される。
【0003】
三つの強力な標準は、電池セルが熱暴走に入ると、電池システムが5分間以内に発火や爆発を起こさないことを規定しており、乗員の安全避難時間を確保する要求が、強制的標準になるため、新エネルギー車に対してより高い安全性を求めている。三元電池の熱暴走を抑え三つの強力な標準の要求を満足することは、新エネルギー車の安全分野における至急に解決しなければならない難題となる。
【0004】
従来の熱暴走の後処理の実施態様は、排気管で外へ単独に排出されるか、排気管と防爆弁より構成されるか、排気管と中和剤または吸着剤(例えば、粗粒子分離層、活性炭層、過マンガン酸カリウム層、活性アルミナ層、微粒子フィルター層)によって燃焼ガスをろ過するフィルタ装置より構成される。上記のいくつかの処理の実施態様において、最後のフィルタ装置より構成されるものは、実際に処理効果が比較的良い。しかし、このような実施態様も、限界があり、電池容量が小さく(例えば20Ahの容量)、熱暴走反応が緩和する場合に、このような実施態様がろ過するのに役立ち、また、大容量セルの熱暴走の場合(例えば40 Ah容量よりも大きい)、特に、三元電池が燃焼ガスを多量に発生しながら激しく燃焼するため、排出される燃焼ガスの圧力が非常に大きく、中和剤または吸着剤のろ過態様が燃焼ガスの放出をひどく妨げるため、過剰圧力によりフィルタ装置を損傷し、ひいては、パワー電池パックのケース本体が破裂し、燃焼する固体粒子が、破裂箇所から飛び出して噴出された可燃性ガスを発火することにより、火災が急速に燃え広がってしまう。
【0005】
そこで、大容量電池または電池モジュールの熱暴走の後処理への対策は、当業者にとって、現在の急務になり、これによって瞬間に発生した多量の燃焼ガスのスムーズな排出を保証するとともに、フィルタ装置や電池パック構造の損害を回避することにある。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、従来の技術の欠点を克服するために、新たな防爆弁と新たなフィルタ装置の最適化設計によって、本願の実施態様の適用性をさらに広げ、大容量電池または小容量電池のいずれであっても、その熱暴走した場合における火災の誘発の課題をうまく解決し、排気がよりスムーズになり、ろ過効果や、電池パックの熱暴走した場合における後処理効果がより良好になる電池パックの排気フィルタシステムを提供する。
【0007】
本発明の目的は、以下の技術的対策によって、一端部が電池パックに接続され、他端部がフィルタ装置に接続される防爆弁と、導入口、排出口、筐体および筐体内に配置され複数のフィルタホールが開設されているフィルタ機構を備えるフィルタ装置とを含み、上記の導入口と排出口がそれぞれ筐体の両端に設けられる電池パックの排気フィルタシステムを達成する。
【0008】
さらに、上記のフィルタ機構は、フィルタ機構搬送方向の一側に配置されており離間して設置されている少なくとも2つの第1フィルタープレートを備える第1フィルタープレートユニットと、フィルタ機構搬送方向の他側に配置されており離間して設置されている少なくとも2つの第2フィルタープレートを備える第2フィルタープレートユニットとを含み、フィルタ機構搬送方向において、少なくとも2つの第1フィルタープレートは、フィルタホールの穴径の大きい順に配列され、少なくとも2つの第2フィルタープレートは、フィルタホールの穴径の大きい順に配列される。
【0009】
さらに、フィルタ機構に垂直な搬送方向において、上記の第1フィルタープレートは、もっとも近接した第2フィルタープレートとの間に、電池パックの熱暴走した場合における燃焼ガスの通過に用いられる隙間が設けられている。
【0010】
さらに、個々の上記の第1フィルタープレートにおける穴径の通気面積と、隣接する第2フィルタープレートにおける穴径の通気面積と、個々の上記の隙間の有効な通気面積との和は、導入口の断面積よりも大きいフィルタ機構の単層通気面積を構成する。
【0011】
さらに、上記の隙間は、有効な通気面積が導入口の断面積よりも大きい。
【0012】
さらに、上記の第1フィルタープレートは、筐体の長手方向の側壁と、角度が0°より大きく180°より小さい夾角が設置されており、上記の第1フィルタープレートの通気面積が導入口の断面積より大きく、第2フィルタープレートは、筐体の長手方向の側壁と、角度が0°より大きく180°より小さい夾角が設置されており、上記の第2フィルタープレートの通気面積が導入口の断面積より大きい。
【0013】
さらに、上記のフィルタホールは、最小直径が0.428mmより小さい。
【0014】
さらに、上記の導入口に隣接する第1フィルタープレートは、導入口の燃焼ガス直線流路を完全にカバーする。
【0015】
さらに、フィルタ機構の搬送方向において、前後に隣接する2つの上記の第1フィルタープレートにおけるフィルタホールは、ホール中心がずれるように設置され、前後に隣接する2つの上記の第2フィルタープレートにおけるフィルタホールは、ホール中心がずれるように設置される。
【0016】
さらに、上記の電池パックの排気フィルタシステムは、防爆弁とフィルタ装置との間の接続に用いられる排気管をさらに含む。
【0017】
さらに、上記の排気管は、耐高圧・耐高温材質である。
【0018】
さらに、上記の排気管は、ステンレス材質である。
【0019】
さらに、上記の排気管の断面積≦フィルタ装置の断面積である。
【0020】
さらに、上記の電池パックの排気フィルタシステムは、フィルタ装置の排出口に接続される消防継手をさらに含む。
【0021】
さらに、上記の防爆弁は、枠体、枠体に配置され防爆弁と電池パックのシール接続に用いられるシールガスケット、および、枠体に配置され電池パックの熱暴走の場合における圧力放出に用いられる通気性防水膜を含む。
【0022】
本発明に記載の電池パックの排気フィルタシステムは、従来の技術に比べて、新たな防爆弁と新たなフィルタ装置の最適化設計によって、本願の実施態様の適用性をさらに広げ、大容量電池または小容量電池のいずれであっても、その熱暴走した場合における火災の誘発の課題をうまく解決し、排気がよりスムーズになり、ろ過効果や、電池パックの熱暴走した場合における後処理効果がより良好になるなどの有用な効果がある。具体的に、防爆弁の通気性防水膜は、爆発した場合に、スムーズに排出して減圧されることによって、塞がれなくなり、また、消防継手に通水後、水を電池パックにスムーズに導入することもできる。新たなフィルタ装置は、第1フィルタープレートユニットと第2フィルタープレートユニットにより二重ろ過を行い、第1フィルタープレートと第2フィルタープレートが千鳥状に設置されることによって、バッフルろ過が行われ、複数の第1フィルタープレートまたは複数の第2フィルタープレートのフィルタホールがずれるように設置されることによって、もう一度バッフルろ過が行われ、上記の排気管の断面積≦フィルタ装置の断面積とすることによって、高圧燃焼ガスの圧力の瞬間放出を保証する。上記の単層通気面積が導入口の断面積よりも大きいことによりスムーズな排気を保証する手段、個々の第1フィルタープレートまたは個々の第2フィルタープレートにおける穴径の通気面積が導入口の断面積よりも大きいことによりスムーズな排気を保証する手段、上記の隙間の有効な通気面積が導入口の断面積よりも大きいことによりスムーズな排気を保証する手段などの上記の3種類の手段では、フィルタホールの閉塞が局所または全体のいずれであっても、高圧燃焼ガスがフィルタ装置から放出不能を防ぎ、電池パックまたはフィルタ装置の損害や爆発を回避することができる。フィルタープレートは、燃焼ガス搬送方向において、穴径が大きい順に配列されることによって、固体粒子や火花などの十分なろ過に役立つ。
以下、本発明は、図面と具体的実施形態に合わせて詳しく説明される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】電池パックの排気フィルタシステムの構造模式図である。
図2】防爆弁の構造模式図である。
図3】フィルタ装置の複数の実施例(3A-3C)の構造模式図である。
図4】隙間の有効な通気面積の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1~4に示されるように、電池パックの排気フィルタシステムは、一端部が電池パック1に接続され、他端部がフィルタ装置4に接続される防爆弁2と、導入口7、排出口6、筐体9および筐体9内に配置され複数のフィルタホール10が開設されているフィルタ機構8を備えるフィルタ装置4とを含み、上記の導入口7と排出口6がそれぞれ筐体9の両端に設けられ、上記のフィルタホール10の最小直径が0.428mmよりも小さい。上記の電池パック1の排気フィルタシステムは、防爆弁2とフィルタ装置4の間の接続に用いられる排気管3と、フィルタ装置4の排出口6に接続される消防継手5とをさらに含む。上記の消防継手5は、標準的な消防継手5が採用され、熱暴走の場合、フィルタ装置4が消防車の到来に乗客を待たせる時間を十分に稼ぐことによって、消防士が消防水を消防継手5に直接に速やかに繋ぐことができる。フィルタ機構8におけるフィルタホール10は、大きい破裂圧力の放出、特に、大容量電池と電池モジュールに瞬間に発生した多量の燃焼ガスの放出をよく保証し、フィルタ装置4、ひいては電池パック1の構造の破損を回避することができる。フィルタホール10の形状は、長尺状、丸穴、角穴などであってよく、個々の第1フィルタープレート13または個々の第2フィルタープレート14における複数のフィルタホールは、穴径が同一でも異なってもよく、前から後ろまで大きい順に並べればよい。
【0025】
上記のフィルタ機構8は、フィルタ機構8の搬送方向の一側に配置されており離間して設置されている少なくとも2つの第1フィルタープレート13を備える第1フィルタープレートユニット11と、フィルタ機構8の搬送方向の他側に配置されており離間して設置されている少なくとも2つの第2フィルタープレート14を備える第2フィルタープレートユニット12とを含み、フィルタ機構8の搬送方向において、少なくとも2つの第1フィルタープレート13は、フィルタホール10の穴径の大きい順に配列され、少なくとも2つの第2フィルタープレート14は、フィルタホール10の穴径の大きい順に配列される。各第1フィルタープレート13において、複数のフィルタホール10が設けられ、各第2フィルタープレート14においても、複数のフィルタホール10が設けられ、個々の第1フィルタープレート13または個々の第2フィルタープレート14における複数のフィルタホール10は、穴径が同一でもよく、フィルタ機構8の搬送方向において、並行して配置されている第2フィルタープレート14が前から後ろまで穴径の大きい順に並べ、並行して配置されている第1フィルタープレート13が前から後ろまで穴径の大きい順に並べ、第2フィルタープレートユニット12または第1フィルタープレートユニット11の段階的ろ過を達成すればよい。フィルタ装置4の導入口7の端に近いフィルタ機構8は、大きい穴径が用いられることで、大きい固体粒子、例えば銅箔、防爆弁2が爆発して燃焼したプラスチック部品などを遮断することができ、搬送方向に向かうにつれて末端の穴径が小さくなり、小さい固体粒子、例えば火花、埃などが小さい穴径によってろ過され、本願の技術的実験によると、多元系電池の熱暴走により噴出された固体粒子は、粒径≧0.428mmのものが95%以上であることを判明し、そのため、フィルタ装置4は、ろ過効果を最適に発揮させ、排出される排ガスに固体粒子がないようにするために、フィルタ装置4における搬送方向の最末端の穴径を0.428mmより小さくすることによって、大きい固体粒子、火花、埃などのろ過機能を発揮するだけではなく、電池パック1の熱暴走の場合の大きい破裂圧力を放出することによって、燃焼ガスのスムーズな排出を保証する。
【0026】
少なくとも2つの上記の第1フィルタープレート13は並行して配置され、少なくとも2つの第2フィルタープレート14は並行して配置されている。第1フィルタープレート13または第2フィルタープレート14の具体的な数は、3つ、4つ、5つなどであってよく、第1フィルタープレート13または第2フィルタープレート14の具体的な数が幾つであるかにかかわらず、フィルタ機構8の搬送方向の末端における第1フィルタープレート13または第2フィルタープレート14の穴径は、0.428mmよりも小さい。第1フィルタープレート13と隣接する第2フィルタープレート14は、千鳥状に設置され、すなわち、隣接する2つの平行な第1フィルタープレート13の間に1つの第2フィルタープレート14が挟まれているが、第2フィルタープレート14は、第1フィルタープレート13に接触せずに第1フィルタープレート13に接続されている筐体9の反対側に設置されている。さらに、フィルタ機構8に垂直な搬送方向において、上記の第1フィルタープレート13ともっとも近接する第2フィルタープレート14の間に、電池パック1の熱暴走した場合における燃焼ガスの通過に用いられる隙間が設けられる。
【0027】
個々の上記の第1フィルタープレート13における穴径の通気面積S1と、隣接する第2フィルタープレート14における穴径の通気面積S2と、個々の上記の隙間の有効な通気面積Sとの和は、導入口7の断面積S3より大きいフィルタ機構8の単層通気面積St1になる。導入口7と排気管3は、直径が同一でも異なってもよい。直径が異なる場合に、上記の単層通気面積St1は、排気管3の直径が導入口7より大きければ、排気管3の断面積S4より大きく、排気管3の直径が導入口7より小さければ、導入口7の断面積S3より大きければよい。単層通気面積St1を計算すると、1つの穴径の面積をn1とし、1つの上記の第1フィルタープレート13または隣接する第2フィルタープレート14にホールが12つ設けられる場合、1つの上記の第1フィルタープレート13における穴径の通気面積がS1=12*n1になり、隣接する第2フィルタープレート14における穴径の通気面積がS2=12*n1になる。隙間の有効な通気面積をSとする場合、St1=12*2* n1+Sになる。第1フィルタープレート13と第2フィルタープレート14の面積を一定とする場合に、異なる穴径に応じて、ホール数を設定することができる。12つのホールは、ただ第1フィルタープレート13または隣接する第2フィルタープレート14の実施例の1つである。
【0028】
上記の隙間の有効な通気面積Sは、導入口7の断面積S3より大きい。有効な通気面積Sとは、燃焼ガスが隙間を通す最小断面積を指し、図4において、第1フィルタープレート13における長手方向の底辺をabとして、上記の底辺abを第1フィルタープレート13の長手方向で第2フィルタープレート14の表面に延長した交線をcdとして、有効な通気面積Sすなわち底辺abと交線cdにより形成される平面面積が示される。
【0029】
上記の第1フィルタープレート13は、筐体9の長手方向の側壁と、0°<β<180°の夾角βが設置され、1つの上記の第1フィルタープレート13の通気面積が導入口7の断面積より大きくなり、第2フィルタープレート14は、筐体9の長手方向の側壁と、0°<β<180°の夾角βが設置され、1つの上記の第2フィルタープレート14の通気面積が導入口7の断面積より大きくなる。導入口7の断面積とは、燃焼ガスの噴出面積であり、1つの上記の第2フィルタープレート14の通気面積または1つの上記の第1フィルタープレート13の通気面積が燃焼ガスの噴出面積より大きく設計される場合に、1つの第1フィルタープレート13または第2フィルタープレート14によって噴出される燃焼ガスの第1段階のろ過を実施することができ、複数の第1フィルタープレート13または第2フィルタープレート14の場合に、噴出される燃焼ガスの多段階のろ過を実施することができるため、ろ過効果が保証される。
【0030】
上記の導入口7に隣接する第1フィルタープレート13は、導入口7の燃焼ガス直線流路を完全にカバーする。これによって、第1フィルタープレート13による燃焼ガスの有効ろ過面積を増大し、カバーが不能であれば、第1フィルタープレート13による燃焼ガスの有効ろ過面積が低下し、燃焼ガス直線流路が第1フィルタープレート13と隣接する第2フィルタープレート14の間に介在し、すなわち、導入口7を経由して噴出される燃焼ガスの一部が第1フィルタープレート13を通してろ過され、他の一部が第2フィルタープレート14を通してろ過され、もう一部が隙間から後のフィルタ機構8に直接に進出しうる場合があり、そのため、第1フィルタープレート13と第2フィルタープレート14のろ過面積の一部が無駄になってしまうことは言うまでもない。
【0031】
フィルタ機構8の搬送方向において、前後に隣接する2つの上記の第1フィルタープレート13におけるフィルタホール10は、ホール中心がずれるように設置され、前後に隣接する2つの上記の第2フィルタープレート14におけるフィルタホール10は、ホール中心がずれるように設置されている。ホール中心がずれるように設置されることによって、燃焼ガスが隣接する2つの第1フィルタープレート13から直接に通過することを回避し、燃焼ガスが隣接する2つの第2フィルタープレート14から直接に通過することも回避すると共に、燃焼ガスが第1フィルタープレートユニット11と第2フィルタープレートユニット12の間にバッフルすることを保証し、より良いろ過を達成する。
【0032】
153Ahの三元電池を例として、実験から、153Ahの三元電池が熱暴走した場合に、燃焼が激しく、防爆弁2のポートの温度が最高1022.20℃になることに気づいたため、大容量電池では、燃焼ガスの排ガスの要求をよく満足させるため、燃焼ガスを排出する上記の排気管3に対して材質を選ぶと共に、瞬間に発生する多量の燃焼ガスが高い圧力を持ち込み、そのため、排気管3は、できるだけ耐高圧のものであって、上記大容量電池の熱暴走の特徴に基づき、ステンレス304の材質、耐高温、耐高圧に最適に選択される。ステンレス304の材質として、特性が優れ、使用要求が満足されている場合、管壁の厚さを薄くすることによって、排気フィルタシステムの全体重量を下がると共に、コストを低下することができる。
【表1】
上記の排気管3の断面積S4≦フィルタ装置4の断面積S5である。
【0033】
図2に示されるように、上記の防爆弁2は、中部に貫通する流路を開設した枠体15と、枠体15の周辺の縁部に設けられるシールガスケット16と、枠体15に実装され流路をカバーするための通気性防水膜17とを含み、シールガスケット16は、防爆弁2と電池パック1との間のシール接続に用いられ、通気性防水膜17は、電池パック1の熱暴走の場合における圧力放出に用いられる。枠体15の周辺の縁部に、ボルトホール18が少なくとも2つ設けられ、防爆弁2が少なくとも2つのボルトホール18を介して電池パック1に接続され、電池パック1の筐体9に、通気性防水膜17の面積に合わせて通気性防水膜17によって完全にカバーされる少なくとも1つのスルーホールが開設されている。本願は、大容量電池と電池モジュールが多量の燃焼ガスを瞬間に発生する特徴について、通気性防水膜17が水から守ると共にガスを透過させるように、従来の防爆弁2を新たに改善し、電池パック1の内外圧のバランスをよく維持し、熱暴走の場合、防爆弁2の通気性防水膜17が爆破され、枠体15の中部に貫通する流路が開かれ、爆発された粒状物が流路を経由して電池パック1からスムーズに排出されることによって、十分に減圧され、燃焼ガスの円滑な排ガスが保証されている。複数のスルーホールの場合、各スルーホールに1つの防爆弁2をそれぞれ実装し、数の対応する排気管を介してフィルタ装置4に一括して接続することができる。スルーホールは、1対1でフィルタ装置4を実装することは言うまでもない。
【0034】
実施例1におけるフィルタ装置は、3Aに示されるように、フィルタ装置4の左側配管がフィルタ装置4の天井部の1/3に近接する燃焼ガス入口の排気管3であって、上層にある第1フィルタープレートユニット11が燃焼ガス入口の直線流路をカバーすることができる。右側配管は、フィルタ装置4の底部の1/3に近接する燃焼ガス出口の排気管3であって、同じく、下層にある第2フィルタープレートユニット12が燃焼ガス出口の直線流路をカバーすることができる。導入口7における第1フィルタープレート13のフィルタホール10は、長尺穴が用いられ、他のフィルタホール10は、丸穴が用いられ、それにより、大きな銅箔、防爆弁2が破裂して燃焼したプラスチックピース、シールガスケット16などを効果的に分けることができる。そして、大きな固体は、フィルタ装置4の底部における空き箇所に滑り落ちる。続く第1フィルタープレート13と第2フィルタープレート14にフィルタホール10が穴径の大きい順に開設されており、段階的ろ過が実現される。前後のフィルタープレートにおいて、フィルタホール10をずれて配置することによって、ろ過効果が効果的に増強されている。第1フィルタープレート13と筐体9の長手方向の天井部の側壁との夾角βは45度であり、第2フィルタープレート14と筐体9の長手方向の底部の側壁との夾角βは45度であり、第1フィルタープレート13が第2フィルタープレート14に交互に垂直するが接触しておらず、かつ、第1フィルタープレート13と第2フィルタープレート14との間に、有効な通気面積が排気管3の断面積S4よりも小さくない隙間が残っているため、排気して減圧する流路がスムーズになることを保証し、第1フィルタープレート13と第2フィルタープレート14が固体粒子により完全に塞がれても排ガスをスムーズに行える。
【0035】
実施例2におけるフィルタ装置では、3Bに示されるように、第1フィルタープレート13と第2フィルタープレート14は、配置角度が135°であり、固体粒子をろ過しつつ、燃焼ガスをスムーズに排出する。フィルタホール10は、長尺穴と丸穴の組み合わせが用いられる。
【0036】
実施例3におけるフィルタ装置では、3Cに示されるように、第1フィルタープレート13と第2フィルタープレート14は、上下で千鳥状に配置され、筐体9の長手方向の側壁との夾角が90度であり、固体粒子を有効に分離してろ過しつつ、燃焼ガスをスムーズに排出することもできる。フィルタホール10は、すべて丸穴が用いられる。
【0037】
減圧排出プロセス:防爆弁2の通気性防水膜17は、電池パック1の熱暴走による多量の燃焼ガスによって爆破され、燃焼ガスは、防爆弁2の流路から排気管3に沿ってフィルタ装置4に流れ込み、フィルタ装置4の筐体9に降圧され、第1フィルタープレートユニット11と第2フィルタープレートユニット12で多段階にろ過されて、バッフルろ過が行われ、目詰まりなく十分にろ過後、消防継手5により最終的に排出される。消防車を消防継手5に接続後、水が消防継手5からフィルタ装置4に流れ込み、フィルタ装置4でフィルタホール10と隙間を経由して防爆弁2の流路に流れ、最終的に電池パック1に入って降温および消火をする。
【0038】
本発明は、当該技術分野における当業者にとって、上記の実施例に限定されないことを理解すべきであり、上記の実施例および明細書は、本発明の原理を説明することに過ぎず、本発明の趣旨または範囲から逸脱しない限り、本発明は、クレームされた本発明の範囲に含まれるさまざまな変更、改善もある。本発明は、クレームされた範囲が添付の請求項およびその等価物によって決定される。
【符号の説明】
【0039】
1 電池パック
2 防爆弁
3 排気管
4 フィルタ装置
5 消防継手
6 排出口
7 導入口
8 フィルタ機構
9 筐体
10 フィルタホール
11 第1フィルタープレートユニット
12 第2フィルタープレートユニット
13 第1フィルタープレート
14 第2フィルタープレート
15 枠体
16 シールガスケット
17 通気性防水膜
18 ボルトホール
図1
図2
図3
図4