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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-25
(45)【発行日】2023-09-04
(54)【発明の名称】採掘坑道母岩の監視及び支保方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 29/00 20060101AFI20230828BHJP
   E21C 41/16 20060101ALI20230828BHJP
   E21F 17/18 20060101ALI20230828BHJP
【FI】
E02D29/00
E21C41/16
E21F17/18
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022567429
(86)(22)【出願日】2022-05-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-18
(86)【国際出願番号】 CN2022092307
(87)【国際公開番号】W WO2022199714
(87)【国際公開日】2022-09-29
【審査請求日】2022-11-04
(31)【優先権主張番号】202111424291.3
(32)【優先日】2021-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518404798
【氏名又は名称】安徽理工大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】弁理士法人キュリーズ
(72)【発明者】
【氏名】▲許▼文松
(72)【発明者】
【氏名】▲趙▼光明
(72)【発明者】
【氏名】孟祥瑞
(72)【発明者】
【氏名】李世▲鋼▼
(72)【発明者】
【氏名】李浩
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼崇岩
(72)【発明者】
【氏名】戚敏▲傑▼
【審査官】高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-252370(JP,A)
【文献】特開2010-210317(JP,A)
【文献】特開2019-167704(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107478370(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107063107(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第101713691(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 29/00
E21C 41/16
E21F 17/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
採掘坑道母岩の監視及び支保方法であって、
分散型光ファイバーの監視周波数に応じて、母岩の歪みを持続的に監視し、母岩歪み監視データを得るステップS10であって、具体的には、予め設定された時間帯において、前記分散型光ファイバーは前記母岩の歪みを継続的に監視し、前記分散型光ファイバーの監視周波数を確定し、前記分散型光ファイバーは、前記監視周波数に応じて、前記母岩の歪みを周期的且つ持続的に監視し、前記母岩歪み監視データを得るステップS10と、
前記母岩歪み監視データを補間して得られた母岩歪みデータに基づいて、坑道に対して領域分割を行い、坑道の径方向における異なる位置での荷重負担領域と、坑道の走行方向における異なる区画における破砕領域の大きさとを得るステップS20であって、具体的には、前記坑道の径方向と走行方向のそれぞれに沿って前記母岩歪み監視データを補間し、対応して坑道の径方向と走行方向に沿った前記母岩歪みデータを得て、前記坑道の径方向と走行方向に沿った前記母岩歪みデータに基づいて、対応して前記坑道の径方向における異なる位置での荷重負担領域と、前記坑道の走行方向における異なる区画における破砕領域の大きさと、を確定するステップ20と、
母岩応力と歪みの関係に応じて、前記母岩歪みデータ、前記坑道の径方向における異なる位置での荷重負担領域及び前記坑道の走行方向における異なる区画における破砕領域の大きさに基づいて、前記母岩の一次支保、二次支保及び補強処理のタイミングと処理方式を確定するステップS30と、を含み、
前記坑道の走行方向における異なる区画における破砕領域の大きさに応じて、前記坑道母岩は、走行方向に沿って、小破砕領域区画、中程度破砕領域区画及び大破砕領域区画に分割され、
前記小破砕領域区画は、LP≦40cmであり、前記中程度破砕領域区画は、40cm<LP≦150cmであり、前記大破砕領域区画は、LP>150cmであり、ここで、LPは坑道母岩の緩んだ領域の厚さであり、
前記坑道の径方向における異なる位置での荷重負担領域に応じて、前記坑道母岩は、破砕領域、塑性領域、弾性領域に分割され、
前記ステップS30は、
前記坑道母岩の岩質に基づいて、対応する母岩応力-歪み曲線を確定すること、
前記母岩歪みデータに基づいて、前記母岩応力と歪みの関係に応じて、母岩応力を算出すること、
前記母岩応力に応じて、前記母岩応力-歪み曲線に基づいて、前記二次支保のタイミングを確定することと、を含み、
前記母岩応力に応じて、前記母岩応力-歪み曲線に基づいて、前記二次支保のタイミングを確定することは、前記母岩の塑性変形段階において、前記母岩歪みデータが第1歪み閾値と第2歪み閾値の間にあることに応答し、坑道掘削過程での前記二次支保のタイミングを確定することを含み、
前記第1歪み閾値は、前記母岩の塑性変形段階において、第1ポイントに対応する歪み値と第2ポイントに対応する歪み値との差の2分の1であり、
前記第2歪み閾値は、前記母岩の塑性変形段階において、前記第1ポイントに対応する歪み値と前記第2ポイントに対応する歪み値との差の4分の3であり、
前記第1ポイントは、母岩が塑性変形を開始する時のポイントであり、
前記第2ポイントは、母岩が降状極限に達する時に対応するポイントであることを特徴とする、採掘坑道母岩の監視及び支保方法。
【請求項2】
前記母岩応力に応じて、前記母岩応力-歪み曲線に基づいて、前記二次支保のタイミングを確定した後、
前記二次支保のタイミング、前記坑道の走行方向における異なる区画における破砕領域の大きさ及び母岩重要荷重負担領域に基づいて、母岩の緩んだ領域の厚さが異なる領域における前記母岩に対して異なる支保を用いた二次支保処理を行うことを含み、
前記母岩重要荷重負担領域は、前記坑道母岩において、1.5倍の母岩原岩応力より大きな母岩応力を有する対応する領域であり、
前記母岩応力は、前記母岩応力と歪みの関係に応じて、前記母岩歪みデータに基づいて算出されることを特徴とする、請求項1に記載の採掘坑道母岩の監視及び支保方法。
【請求項3】
前記母岩の緩んだ領域の厚さが異なる領域における前記母岩に対して異なる支保を用いた二次支保処理を行うことは、
前記塑性領域における前記母岩の岩質に応じて、前記塑性領域を減圧処理すること、
及び/又は、
前記母岩重要荷重負担領域に対して、グラウト注入補強処理を行うこと、
及び/又は、
前記坑道母岩の弾性領域に対して、アンカーケーブルで懸吊支保を行うこと、
及び/又は、
前記中程度破砕領域区画及び前記大破砕領域区画に対して、アンカーケーブルで被覆塑性領域の支保を行うこと、
及び/又は、
前記大破砕領域区画に対して鋼製アーチフレームで支保を行うとともに、前記中程度破砕領域区画及び前記大破砕領域区画に対してコンクリート噴射処理を行い、前記コンクリートを鋼製アーチフレームに被覆することを含むことを特徴とする、請求項2に記載の採掘坑道母岩の監視及び支保方法。
【請求項4】
前記ステップS30は、前記補強処理のタイミングと処理方式として、坑道採掘過程において、前記母岩歪みデータが臨界区間にあることに応答し、前記塑性領域の母岩を減圧処理し、ここで、前記臨界区間は母岩応力-歪み曲線に基づいて確定されこと、
及び/又は、
坑道採掘過程において、前記坑道の走行方向における異なる区画における破砕領域の大きさに基づいて、前記坑道における破砕領域を補強支保することを含むことを特徴とする、請求項1に記載の採掘坑道母岩の監視及び支保方法。
【請求項5】
前記ステップS30において、前記一次支保のタイミングは、坑道掘削過程において、前記母岩歪みが200με/d以下であることに応答し、前記坑道母岩を一次支保することであることを特徴とする、請求項1に記載の採掘坑道母岩の監視及び支保方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、坑道母岩の監視・支保の技術分野に関し、特に採掘坑道母岩の監視及び支保方法に関する。
【背景技術】
【0002】
中国では、鉱井坑道の多くは中程度の、大きな緩んだ領域を有する坑道に属し、ここで、中程度の緩んだ領域を有する坑道では、母岩のバルキングフォースが明らかであり、母岩の変形が大きく且つ亀裂又は他の破壊現象が生じ、深部坑道における母岩の岩質が異なり、地応力の分布が複雑で、且つ従来の岩の弾塑性の力学的理論が分かるように分析しにくく、このため、深部坑道の構造的不安定性メカリズムを研究する難易度が向上する。
【0003】
経験に応じて設計された支保手段によって、破砕領域の範囲を正確に位置決めすることができず、深部坑道の安定性を管理しにくく、これにより、深部坑道の保養が非常に困難になる。また、トンネル支保系に作用する母岩の荷重を明確にすることは、各支保部層を設計、施工する前提であり、難点でもある。実際に施工するとき、経験に頼って関連する支保領域層のパラメータを確定する方法では、管理指標は通常変形であり、それは、実質的には、母岩自体の複雑性と施工過程の時空間欠性により、母岩の荷重を直接取得しにくいが、変形を相対的に正確に監視するためである。現在、深部岩坑道の支保設計に対して、従来の方法は、「アンカリング-被覆-噴射-締結-注入」という結合支保方式を採用し、且つアンカーロッド、アンカーケーブル支保のための間隔・行間隔を短縮し、該支保は母岩の接線応力の集中による影響のみを考慮し、掘削後、母岩の強度劣化、せん断応力分布等の要素を考慮せず、初期支保効果が明らかであるが、後期変形が深刻であり、断面収縮率が大きく、このため、深部坑道の構造的不安定性の問題を解決しにくい。深部坑道の構造的不安定性メカリズム、設計が合理的な構造的支保手段を把握するため、深部坑道の初期支保効果は往々して好ましくなく、ある鉱区では、深部坑道の支保コストが高く、且つ再修理率が高く、長時間使用できないまでなり、深部採掘に対して巨大な経済的損失及び安全生産上の隠れた危険性をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の目的は、上記従来技術に存在する問題を解決し又は軽減するための採掘坑道母岩の監視及び支保方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を実現するために、本願は下記技術的解決手段を提供する。
【0006】
本願は、以下のステップを含む採掘坑道母岩の監視及び支保方法を提供する。
【0007】
ステップS10、分散型光ファイバーの監視周波数に応じて、母岩の歪みを持続的に監視し、母岩歪み監視データを得るステップであって、具体的には、予め設定された時間帯において、前記分散型光ファイバーは前記母岩歪みを継続的に監視し、前記分散型光ファイバーの監視周波数を確定し、
前記分散型光ファイバーは、前記監視周波数に応じて、前記母岩歪みを周期的且つ持続的に監視し、前記母岩歪み監視データを得るステップ。
【0008】
ステップS20、前記母岩歪み監視データを補間して得られた母岩歪みデータに基づいて、坑道に対して領域分割を行い、坑道の異なる位置での荷重負担領域と坑道の異なる区画における破砕領域の大きさを得るステップであって、具体的には、
前記坑道の径方向、走行方向に沿ってそれぞれ前記母岩歪み監視データを補間し、対応して坑道の径方向、走行方向に沿った母岩歪みデータを得て、
前記坑道の径方向、走行方向に沿った母岩歪みデータに基づいて、対応して前記坑道の異なる位置での荷重負担領域及び前記坑道の異なる区画における破砕領域の大きさを確定するステップ。
【0009】
ステップS30、母岩応力と歪みの関係に応じて、前記母岩歪みデータ、前記坑道の異なる位置での荷重負担領域及び前記坑道の異なる区画における破砕領域の大きさに基づいて、前記母岩の一次支保、二次支保及び補強処理のタイミングと処理方式を確定する。
【0010】
(有益な効果)
【0011】
本願では、分散型光ファイバーの監視周波数に応じて、母岩の歪みを持続的に監視し、母岩歪み監視データを得て、母岩歪み監視データを補間して得られた母岩歪みデータに基づいて、坑道に対して領域分割を行い、坑道の異なる位置での荷重負担領域と坑道の異なる区画における破砕領域の大きさを得て、そして、母岩応力と歪みの関係に応じて、母岩歪みデータ、坑道の異なる位置での荷重負担領域及び坑道の異なる区画における破砕領域の大きさに基づいて、母岩の一次支保、二次支保及び補強処理のタイミングと処理方式を確定する。
【0012】
本願では、分散型光ファイバーの監視周波数に応じて、母岩の歪みを持続的に監視し、各時期の母岩の変形及び力受け状況を適時に把握し、且つ監視するデータに基づいて坑道の一次支保、二次支保及び補強処理タイミングを確定し、異なる安定状態にある母岩をそれぞれ支保処理し、及び採掘過程で破砕度が明らかに増加する領域に対して補強支保を行うことにより、坑道の後期変形問題が解消され、坑道の安定性及び安全性が顕著に向上する。
【0013】
本願によって提供される採掘坑道母岩の監視及び支保方法は、分散型光ファイバーセンシング技術を採用し、分散型光ファイバーのブリルアン周波数シフトと歪みの関係に応じて、坑道の異なる位置及び母岩の異なる深さでの歪みを持続的に監視することにより、データがより正確かつ容易に取得され、且つ光ファイバーセンシングは過酷又は極端な条件下で正常に動作可能であり、採掘坑道の環境による影響が小さい。
【0014】
本願によって提供される採掘坑道母岩の監視及び支保方法では、分散型光ファイバーが監視して得られた母岩歪みデータを補間処理し、且つ補間処理した後の母岩歪みデータに基づいて坑道に対して領域分割を行い、坑道の異なる位置での荷重負担領域及び坑道の異なる区画における破砕領域の大きさを得る。従来のデータ処理方法に比べて、本方法はより簡便で、正確であり、且つ可視化して得られた画像が坑道の各領域の母岩の破砕状況を直感的、迅速に観察することができる。
【0015】
本願によって提供される採掘坑道母岩の監視及び支保方法では、分散型光ファイバーが持続的に監視して得られた母岩歪みデータに基づいて、一次支保と二次支保の最適な支保のための具体的なタイミングを確定し、確定された支保タイミングに応じて支保を行い、破砕領域の変形状況及び塑性領域の応力緩和状況を合理的、効果的に制御し、支保系の荷重負担能力が向上する。
【0016】
本願は、分散型光ファイバーセンシング技術によって、支保が完了した坑道母岩の歪み及び応力を周期的且つ持続的に監視し、採掘の影響による坑道における破砕領域の変化状況及び力受けて変化する母岩の状況を正確に把握し、且つ破砕領域の拡張が大きな領域に対して対応する補強支保を行い、及び応力が大きすぎる領域を減圧処理し、採掘応力によって事故が多発する坑道に大きな安全保障を提供する。
【0017】
本願によって提供される採掘坑道母岩の監視及び支保方法は、深部坑道母岩の破砕状況に応じてそれぞれ支保を行い、これにより、小破砕領域が低強度で支保され、大破砕領域が高強度で支保されることを実現し、設定された監視周波数に応じて母岩の歪み、応力を持続的に監視することにより、掘削又は採掘過程において母岩の破砕拡張が大きな領域を補強支保し、且つ破砕領域の拡張が大きな領域を対応して補強支保し、且つ母岩応力が大きすぎる領域を減圧処理し、これにより、坑道の後期変形が回避され、採掘応力によって事故が多発する坑道に大きな安全保障を提供する。従来の経験に応じて設計された支保手段と比較して、本願によって提供される采坑道母岩の監視及び支保方法は、より科学的で、正確であり、坑道全体の支保効果が高まり、鉱区の深部坑道の支保コストが削減され、支保再修理率が低下し、安全性が向上し、良好な社会効果及び経済的利益を有する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本願のフロー概略図である。
図2】本願の技術論理図である。
図3】本願の分散型光ファイバーの坑道での配置方式の断面図である。
図4】本願の坑道の一具体的な位置での深さに伴う母岩歪みの分布図である。
図5】本願の岩層の深さに伴う母岩応力の変化曲線の概略図である。
図6】本願の二次支保のタイミングを確定する概略図である。
図7】本願の坑道の異なる区画における破砕領域の大きさの分布上面図である。
図8】本願の一次支保と二次支保を行った母岩の概略図である。
図9】本願の採掘過程における分散型光ファイバーの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は本願のいくつかの実施例によって提供される採掘坑道母岩の監視及び支保方法のフロー概略図である。図2は本願のいくつかの実施例によって提供される採掘坑道母岩の監視及び支保方法の詳しいフローチャートである。図1、2に示すように、該方法は下記ステップを含む。
【0020】
ステップS10、分散型光ファイバーの監視周波数に応じて、母岩の歪みを持続的に監視し、母岩歪み監視データを得る。
【0021】
本願の実施例では、採掘坑道の掘削又は採掘過程で、分散型光ファイバー29を配置することは、具体的には以下のとおりである。
【0022】
図3に示すように、坑道1の幅、高さ及び形状に応じて、分散型光ファイバー29の間隔・行間隔を設定し、設定された間隔・行間隔に応じて分散型光ファイバー29を配置する。分散型光ファイバー29の間隔・行間隔は以下のとおりである。
【0023】
1)隣接する分散型光ファイバー29の坑道1の径方向に沿った間隔が20-50mであり、1つの坑道1において、地質生産条件の差異が明らかな区間の長さが20mより大きい場合、該区間における坑道1において、少なくとも1つの分散型光ファイバー29を追加して配置する必要がある。
【0024】
2)坑道1の頂部での分散型光ファイバー29の配置数が3つ以上であり、断面の両側と底板の配置数が2つ以上である。
【0025】
本願の実施例では、坑道1の断面天板での分散型光ファイバー29の配置数が3つであり、断面の両側と底板での分散型光ファイバー29の配置数が2つであり、坑道1の径方向に沿って隣接する分散型光ファイバー29の間隔が50mである。
【0026】
分散型光ファイバー29の配置方法は、確定された分散型光ファイバー29の間隔・行間隔に応じて、監視範囲内に坑道削孔を設け、坑道削孔内に分散型光ファイバー29を配置し、且つ削孔に対してグラウト注入と孔封止処理を行うことである。
【0027】
前記坑道削孔の設計及び施工の技術要求は以下のとおりである。
【0028】
1)地下坑道削孔の孔径を50mm未満にせず、坑道1の径方向と90°をなし、その固定焦点の傾斜を1°を超えないようにする。
【0029】
2)削孔を形成した後、地下圧縮空気を利用して削孔を一回パージ処理し、且つ清水で孔洗浄処理を行う。
【0030】
3)分散型光ファイバー29を取り付けた後に、孔封止及びグラウト注入を適時に行い、孔封止長さを1mより大きくし、グラウト注入が終了した後、グラウト注入管を孔内に保持する。
【0031】
分散型光ファイバー29を配置するとき、分散型光ファイバー29に対してグラウト注入処理を行うことにより、分散型光ファイバー29と母岩を一体に貼り合わせ、分散型光ファイバー29が生じる歪みを母岩の歪みに一致させ、即ち、分散型光ファイバー29の歪み値は所在位置での母岩の歪み値に等同する。
【0032】
採掘坑道を掘削するとき、分散型光ファイバー29は掘削作業面から150m離れる前の位置に配置され、採掘中に、作業面での採掘摂動の影響を受ける坑道に分散型光ファイバー29が配置されない場合、分散型光ファイバー29は、採掘作業面14の前に300mから離れる位置に配置され、且つ全ての分散型光ファイバー29は坑道が採掘応力の影響を受ける前に配置されるべきであり、また、作業面の採掘摂動の影響を受ける坑道には、掘削中に分散型光ファイバー29が配置される場合、掘削時に配置される分散型光ファイバー29を使用して坑道母岩15を継続的に監視する。
【0033】
分散型光ファイバー29を配置するとき、分散型光ファイバー29を坑道側部の原岩応力領域に貫入すべきであり、監視深さが一般的に5hより大きく、ここで、hは坑道の高さを示す。監視結果によると、分散型光ファイバー29が母岩塑性領域6に進まない又は母岩弾性領域7に深入する長さが5メートル未満である場合、該領域での分散型光ファイバー29の深さを大きくする。
【0034】
いくつかの任意選択的な実施例では、分散型光ファイバー29を配置した後、坑道母岩15を周期的且つ持続的に監視するために、分散型光ファイバー29の監視周波数を確定する必要がある。具体的には、予め設定された時間帯において、分散型光ファイバー29は、母岩歪みを継続的に監視し、分散型光ファイバー29の監視周波数を確定し、分散型光ファイバー29は、監視周波数に応じて、母岩歪みを周期的且つ持続的に監視し、前記母岩歪み監視データを得る。
【0035】
本願の実施例では、分散型光ファイバー29の監視周波数とは、分散型光ファイバー29の監視周期を指し、即ち、二回の母岩歪みデータの収集時間間隔であり、分散型光ファイバー29の監視周波数は、母岩歪み値の大きさに応じて確定され、詳しく説明すると、分散型光ファイバー29を配置した後、予め設定された時間帯において、分散型光ファイバー29は母岩歪み値を継続的に監視し、母岩歪み値が大きく、母岩の運動が活躍する領域に対して、分散型光ファイバー29の監視周波数を増加させ、設定された監視周波数に応じて母岩歪みを周期的且つ持続的に監視する。
【0036】
具体的な一例において、母岩歪みの経時性を考慮すると、分散型光ファイバー29が監視した1日内の母岩歪み値に基づいて、分散型光ファイバー29の監視周波数を確定し、つまり、1日内の母岩歪み値が500μεより大きい場合、分散型光ファイバー29の監視周波数は1回/d(毎日1回)であり、1日内の母岩歪み値が100με-500μεである場合、分散型光ファイバー29の監視周波数は1回/2d(2日ごとに1回)であり、1日内の母岩歪み値が100με未満である場合、分散型光ファイバー29の監視周波数は(1-2)回/14d(14日ごとに1回か2回監視する)であり、下記表に示すとおりである。
【0037】
【表1】
【0038】
設定された監視周波数に応じて、坑道の異なる位置での母岩破砕状況を持続的に監視する。
【0039】
本願の実施例では、分散型光ファイバー29は、ブリルアン効果を有するセンシング分散型光ファイバー29を採用し、該分散型光ファイバー29は、環境温度及び自体の歪みの変化を反映することができ、採鉱坑道母岩15の温度が一定に傾向するため、本願では、温度の影響を無視し、デフォルトとして、ブリルアン周波数シフトの変更量は分散型光ファイバー29の歪みによって引き起こされる。
【0040】
分散型光ファイバー29のセンシング技術に基づき、ブリルアン周波数シフトと歪みの関係に応じて、
【0041】
【数1】
上記式で母岩歪み監視データを算出する。
【0042】
式中において、vB(ε)は、歪みがεである時のブリルアン周波数の周波数シフト量を示し、vB(0)は歪みが0である時のブリルアン周波数の周波数シフト量を示し、
【数2】
は比例係数を示し、値が約493MHzを取り、εは光ファイバー/母岩の歪み値を示し、即ち、母岩歪み監視データである。
【0043】
本願の実施例では、分散型光ファイバーセンシング技術を採用し、分散型光ファイバーのブリルアン周波数シフトと歪みの関係に応じて、坑道の異なる位置及び母岩の異なる深さでの歪みを持続的に監視することにより、データがより正確かつ容易に取得され、且つ光ファイバーセンシングは過酷又は極端な条件下で正常に動作可能であり、採掘坑道の環境による影響が小さい。
【0044】
ステップS20、前記母岩歪み監視データを補間して得られた母岩歪みデータに基づいて、坑道に対して領域分割を行い、坑道の異なる位置での荷重負担領域及び坑道の異なる区画における破砕領域の大きさを得る。
【0045】
分散型光ファイバー29が母岩歪み監視データを取得した後に、補間法に基づき、母岩歪み監視データを処理し、母岩歪みデータを取得する。
【0046】
具体的な一例において、補間法に基づき、母岩歪み監視データを処理し、具体的には、MATLAB(登録商標)プログラミング:vq=griddata(x,y,z,v,xq,yq,zq,method)によって母岩歪み監視データを補間処理し、母岩歪みデータを取得する。補間方式として、‘Linear’、‘Nearest’、‘Natural’、‘Cubic’又は‘V4’のうちのいずれかを選択可能であることを理解可能である。
【0047】
いくつかの任意選択的な実施例では、母岩歪み監視データを補間処理することは、具体的には、坑道の径方向、走行方向に沿ってそれぞれ母岩歪み監視データを補間し、対応して坑道の径方向、走行方向に沿った母岩歪みデータを取得するということである。
【0048】
坑道の径方向、走行方向に沿った母岩歪みデータに基づいて、対応して坑道の異なる位置での荷重負担領域及び坑道の異なる区画における破砕領域の大きさを確定する。
【0049】
具体的な一例において、坑道の走行方向、坑道の径方向に沿った母岩歪みデータに対して画像を可視化処理し、可視化機能によって坑道の異なる位置での荷重負担領域及び坑道の異なる区画における破砕領域の大きさを直感的に取得する。
【0050】
さらに、坑道の異なる区画における破砕領域の大きさにより、走行方向に沿った坑道は、小破砕領域区画23、中程度破砕領域区画24、大破砕領域区画25の3つの区画に分割され、図7に示すように、その分割標準として、LP≦40cmである場合、小破砕領域区画23とし、40cm<LP≦150cmである場合、中程度破砕領域区画24とし、LP>150cmである場合、大破砕領域区画25とし、ここで、LPは破砕領域の大きさであり、即ち、坑道母岩15の緩んだ領域の厚さである。
【0051】
坑道の異なる位置での荷重負担領域に基づいて、径方向に沿った坑道母岩15は、破砕領域、塑性領域6、弾性領域7に分割され、図4に示すとおりである。説明しておきたいのは、本願の実施例では、破砕領域は坑道母岩15の緩んだ領域であり、分散型光ファイバー29が測定した歪み値に応じて確定され、坑道付近の破壊部の岩体は緩んだ領域の厚さを有し、膨張、変形の特性を持ち、緩んだ領域範囲内の破壊岩体は、ヒンジ接続によって荷重を負担し、荷重負担能力が非常に小さいという点である。分散型光ファイバー29が持続的に監視した結果、坑道の表面から深部まで、母岩の歪み変化量にバラツキが存在し、即ち、緩んだ領域部分(破砕領域)は主に伸縮変形を呈し、塑性領域6、主に荷重負担領域は圧縮変形を呈する。
【0052】
いくつかの任意選択的な実施例では、坑道の異なる位置での荷重負担領域及び坑道の異なる区画における破砕領域の大きさを確定した後に、さらに、坑道の異なる区画における破砕領域の長さ及び位置を自動的にマーキングすることと、破砕領域の外側境界26と塑性領域6の外側境界から坑道までの距離を自動的にマーキングし、且つマーキングされた結果を可視化方式でグラフィックに直感的に表示することと、を含む。
【0053】
分散型光ファイバー29が監視して得られた母岩歪みデータを補間処理し、且つ補間処理した母岩歪みデータに基づいて、坑道に対して領域分割を行い、坑道の異なる位置での荷重負担領域及び坑道の異なる区画における破砕領域の大きさを得る。従来のデータ処理方法に比べて、本方法はより簡便で、正確であり、且つ可視化して得られた画像が坑道の各領域の母岩の破砕状況を直感的、迅速に観察することができる。
【0054】
ステップS30、母岩応力と歪みの関係に応じて、前記母岩歪みデータ、前記坑道の異なる位置での荷重負担領域及び前記坑道の異なる区画における破砕領域の大きさに基づいて、前記母岩の一次支保、二次支保及び補強処理のタイミングと処理方式を確定する。
【0055】
採掘坑道掘削過程において、母岩の破砕による崩落、崩壊等の事故を防止するために、母岩に対して先導支保処理を行う必要があり、先導支保は、具体的には、坑道母岩15に対して先導小導管を採用してグラウト注入補強を行い、地質条件が過酷で、土質が緩んだ領域に対して、先導小導管と先導管棚の共同支保方法を採用し、母岩の安定性を向上させる。
【0056】
いくつかの任意選択的な実施例では、分散型光ファイバー29が持続的に監視して得られた母岩歪みデータに基づいて、一次支保のタイミング及び処理方式を確定する。
【0057】
採掘坑道掘削後、母岩応力が再分布し、採掘坑道での切羽面の移動に伴い、母岩から切羽面まで、母岩の変形速度が上がり、切羽面から一定の距離離れると、母岩が坑道の内部に拡張することなく変形し、破砕領域の変形が安定段階に達することを示す。分散型光ファイバー29が持続的に監視して得られた母岩歪みデータに基づいて、母岩の変形が安定状態になる傾向があるか否かを判断し、具体的には、分散型光ファイバー29が持続的に監視して得られた母岩歪みデータが200με/d時、母岩の変形が安定状態になる傾向があると考えられる。本願の実施例では、母岩の変形が安定状態になる傾向があるタイミングを一次支保に最適な支保タイミングとする。
【0058】
母岩破砕領域の強度が弱いため、母岩の破砕による天板のケービングが発生しやすく、本願の実施例では、確定された一次支保のタイミングに応じて、採用される一次支保処理方式は、図8に示すように、アンカーロッド22を使用して母岩破砕領域を支保し、母岩破砕領域で人工耐圧性アーチを構築するということである。母岩とアンカーロッドの相互作用により、母岩破砕領域で人工耐圧性アーチを構築し、破砕領域層の母岩の安定性及び荷重負担能力を向上させる。
【0059】
一次支保において、使用されるアンカーロッド22の具体的なパラメータは以下のとおりである。
【0060】
a) アンカーロッド22の長さは以下のとおりである。
【数3】
【0061】
式中において、Lはアンカーロッド22の長さ(m)であり、LPは坑道母岩の緩んだ領域の厚さ(m)であり、L1はアンカーロッド22を緩んだ領域以外の安定母岩にアンカーする深さ(m)であり、L2は坑道でのアンカーロッド22の露出長さ(m)である。
【0062】
b) アンカーロッド22の間隔・行間隔を等しくする場合、アンカーロッド22のアンカー力と間隔・行間隔は以下のとおりである。
【数4】
【0063】
式中において、Dはアンカーロッド22の間隔・行間隔(m)であり、Qminはアンカーロッド22の最小アンカー力(kN)であり、γは母岩の重力密度(kN/m3)である。
【0064】
c) アンカーロッド22の直径は以下のとおりである。
【数5】
【0065】
式中において、dはアンカーロッド22の直径(mm)であり、Qはアンカーロッド22のアンカー力(kN)であり、σtはアンカーロッド22の引張強度である。
【0066】
いくつかの任意選択的な実施例では、二次支保のタイミングを確定する前に、まず、坑道母岩15の岩質に基づいて、対応する母岩応力-歪み曲線を確定し、種類、岩質の異なる母岩は、歪みが同一の状況で対応する応力値が異なり、母岩応力-歪み曲線も異なることを理解可能である。
【0067】
母岩歪みデータに基づいて、母岩応力と歪みの関係に応じて、
【数6】
母岩応力を算出する。
【0068】
式中において、σは母岩応力値(N/m2)であり、εは母岩歪み値であり、Eは弾性模量(Pa)であり、Eは異なる母岩深さの岩層のタイプに応じて確定される。
【0069】
いくつかの任意選択的な実施例では、母岩応力を算出した後に、さらに、母岩応力を可視化し、岩層の深さに伴う母岩応力の変化曲線(即ち、岩層の深さに伴う母岩応力の変化状況)を得ることを含み、図5に示すように、得られた岩層の深さに伴う母岩応力の変化曲線において、1.5倍の母岩原岩応力より大きな母岩応力を有する対応する領域を、母岩重要荷重負担領域8とし、それにより、母岩重要荷重負担領域8の位置及び厚さを確定する。説明しておきたいのは、重要荷重負担領域8は、坑道におけるせん断応力集中領域であり、且つ大部分の鉱山の圧力を負担し、母岩の長期的な安定性に対して重要荷重負担作用を果たす領域でもあり、該領域は、荷重負担構造全体のバランスと関係付けられ、せん断破壊が発生すると、主な母岩荷重負担領域が内向きに移動するという点である。
【0070】
図6は本願のいくつかの実施例によって提供される二次支保のタイミングを確定する概略図である。図6に示すように、母岩応力に応じて、母岩応力-歪み曲線に基づき、二次支保のタイミングを確定し、具体的には、母岩応力-歪み曲線に基づいて、第1ポイント(Bポイント)と第2ポイント(Cポイント)の間の区間が母岩の塑性変形段階であり、母岩の塑性変形段階において、母岩の歪みが第1歪み閾値と第2歪み閾値の間にあることに応答して、坑道掘削過程における二次支保のタイミングを確定する。
【0071】
ここで、第1歪み閾値は、母岩の塑性変形段階において、第1ポイント(Bポイント)に対応する歪み値と第2ポイント(Cポイント)に対応する歪み値の差の2分の1である。
【0072】
第2歪み閾値は、母岩の塑性変形段階において、第1ポイント(Bポイント)に対応する歪み値と第2ポイント(Cポイント)に対応する歪み値の差の4分の3である。
【0073】
第1ポイントは、母岩が塑性変形を開始する時のポイントであり、第2ポイントは、母岩が降状極限強度に達する時に対応するポイントである。
【0074】
坑道掘削過程において、母岩の歪みが第1歪み閾値と第2歪み閾値の間にある時を、二次支保に最適な支保タイミングとすることにより、塑性領域6における母岩応力が緩和するとともに、塑性領域6の母岩が依然として一定の自己支保能力を有し、塑性領域6の母岩の自己支保力と二次支保の共同作用により、支保効果が高まる。
【0075】
二次支保のタイミング、坑道の異なる区画における破砕領域の大きさ及び母岩重要荷重負担領域の8域範囲に応じて、異なる領域の母岩に対して異なる二次支保処理を行うことは、具体的には、以下のとおりである。
【0076】
1)最適な支保タイミングに達するとき、まず、塑性領域の母岩の岩質を判断し、塑性領域の母岩の弾性と脆性が高い場合、塑性領域を事前に減圧処理することにより、母岩応力が大きすぎ、且つ蓄積したエネルギーが地圧に衝撃を与えることを防止する。
【0077】
具体的な減圧処理方法は以下のとおりであり、即ち、母岩の塑性領域の応力が大きすぎる領域に減圧孔を設け、減圧孔の末端を母岩重要荷重負担領域8に延在し、減圧孔内に高圧水を注入し、母岩重要荷重負担領域8の周囲の母岩に対して水圧破砕を行い、分散型光ファイバー29が持続的に監視して得られた母岩歪み監視データに基づいて、母岩重要荷重負担領域8の外周母岩に破砕亀裂が発生する時、注水を停止する。
【0078】
2)次に、母岩重要荷重負担領域8の範囲に応じて、重要荷重負担領域8に対してグラウト注入補強処理を行い、グラウト注入した後の重要荷重負担領域9における塑性領域母岩のせん断抵抗能力を向上させる。
【0079】
3)坑道母岩弾性領域7の強度が高く、母岩における大部分の応力が負担され、且つ弾性領域7の深さが大きく、一般的なアンカーロッド22が支保作用を果たしにくく、このため、「アンカーケーブル10による懸吊」の支保方式を採用する。
【0080】
4)中程度破砕領域区画24と大破砕領域区画25に対してアンカーケーブル10によって塑性領域被覆支保を行い、弾性領域7の母岩の安定性を利用し、それを支持層全体の荷重負担基礎とし、坑道全体の荷重負担能力を高める。
【0081】
アンカーケーブル10の具体的なパラメータは下記方法で確定することができる。
【0082】
アンカーケーブル10の長さ:
【数7】
式中において、L5はアンカーケーブル10の長さ(m)であり、LSは坑道から弾性領域7の境界までの垂直距離(m)であり、
【数8】
はアンカーケーブル10が弾性領域7の内部にアンカーした深さ(m)であり、L2は坑道でのアンカーロッド22の露出長さ(m)であり、
アンカーケーブル10の間隔・行間隔:
【数9】
式中において、Saはアンカーケーブル10の間隔・行間隔(m)であり、[σa]は単一のアンカーケーブル10の限界破断力(kN)であり、γは母岩の重力密度(kN/m3)である。
【0083】
5)図8に示すように、大破砕領域区画25に鋼製アーチフレーム支保を行うとともに、中程度破砕領域区画24と大破砕領域区画25に対してコンクリート11噴射処理を行い、前記コンクリートを鋼製アーチフレームに被覆し、コンクリートハウジング12を形成することにより、中程度破砕領域区画24でアンカーロッド22とアンカーケーブル10のアンカー系を形成し、大破砕領域区画25の表層で一層のアーチフレームとコンクリート噴射柱ハウジングを形成し、中程度破砕領域区画24のアンカーロッドケーブルとコンクリートハウジング12の共同支保系、大破砕領域区画25のアンカーロッドケーブルと鋼製アーチフレームコンクリートハウジング12の共同支保系を構築する。
【0084】
分散型光ファイバー29が持続的に監視して得られた母岩歪みデータに基づいて、一次支保と二次支保に最適な支保の具体的なタイミングを確定し、確定された支保タイミングに応じて支保を行い、破砕領域の変形状況及び塑性領域の応力緩和状況を合理的、効果的に制御し、支保系の荷重負担能力が向上する。
【0085】
本願の実施例では、二次支保の後に、初回支保、一次支保及び二次支保の共同作用により、母岩が迅速に安定状態になる傾向にあり、この時、母岩をライニング処理し、ライニング層を坑道の安全ストックとし、ライニング層によって、掘削摂動又はバースト荷重等の後続の荷重による坑道への影響が解消される。前記ライニング処理は従来のライニング方法で完了され、具体的には、一次支持面清掃-防水板ジオテキスタイルの被覆-鉄筋の結束-二次ライニングトロリーの固定-コンクリートの流し込み-脱型-養生。
【0086】
図9は、本願のいくつかの実施例によって提供される採掘過程における分散型光ファイバー29の概略図であり、図9に示すように、坑道採掘過程において、補強処理のタイミングと処理方式を確定する。
【0087】
採掘過程において、分散型光ファイバー29が坑道母岩15を持続的に監視して得られた母岩歪みデータに基づいて、採掘摂動で母岩の緩慢破砕状況、又は、採掘跡領域4の母岩は崩落、崩壊等の運動が発生した時、周辺の坑道母岩15のバースト破砕が激しくなった後の各荷重負担領域の拡張状況を把握する。
【0088】
坑道採掘過程において、母岩歪みデータが臨界区間にあることに応答し、塑性領域の母岩を減圧処理し、ここで、臨界区間は母岩応力-歪み曲線に基づいて確定され、具体的には、採掘過程において、母岩は採掘摂動又は採掘跡領域4の母岩の活動により破砕が激しくなる。母岩応力が臨界区間にあるか否かを判断し、母岩応力が臨界区間にあり、且つ該塑性領域の母岩の弾性と脆性が高い場合、坑道の塑性領域の母岩を減圧処理し、減圧処理方法及び坑道掘削過程において、二次支保を行う時の減圧処理方式が同様である。ここで、臨界区間は、母岩応力-歪み曲線に応じて、母岩歪みデータに基づいて確定され、確定方式として、母岩応力-歪み曲線において、臨界区間は塑性変形段階の2分の1から4分の3の区間である。
【0089】
いくつかの任意選択的な実施例では、採掘過程において、補強処理はさらに、坑道の異なる区画における破砕領域の大きさに応じて、破砕領域の母岩を補強支保することを含み、具体的には、採掘過程において、採掘摂動の影響を受け、坑道母岩15の緩んだ領域の厚さが大きくなり、小破砕領域が緩慢に中程度破砕領域として拡張され、中程度破砕領域が大破砕領域として拡張される。分散型光ファイバー29は坑道母岩15を持続的に監視し、母岩歪みデータを得て、且つ補間及び可視化処理を行い、採掘過程における坑道の異なる位置の荷重負担領域の拡張状況を確定する。
【0090】
坑道採掘過程における坑道母岩15の緩んだ領域の厚さ(拡張された破砕領域の大きさ)に応じて、補強支保方式として、具体的には、小破砕領域が中程度破砕領域として拡張される時、即ち、LP≦40cmから40cm<LP≦150cmに拡張される時、アンカーケーブル10で補強支保を行い、中程度破砕領域が大破砕領域として拡張される時、即ち、40cm<LP≦150cmからLP>150cmに拡張される時、鋼製アーチフレームで補強支保を行い、鋼製アーチフレームコンクリートハウジング12を構築し、大破砕領域区画25の破砕領域の拡大範囲が100cmを超える時、該領域を長いアンカーケーブル10で補強し、ここで、LPは坑道採掘過程における坑道母岩15の緩んだ領域の厚さである。補強支保するアンカーケーブル10のパラメータ、及び、坑道掘削過程において、二次支保に用いられるアンカーケーブル10のパラメータ確定方法は同様である。
【0091】
採掘過程において、減圧処理及び補強支保によって、坑道の後期変形が効果的に回避され、事故の発生が低下し、坑道の安定性が高まる。
【0092】
先導支保、二次支保及び補強処理によって、坑道支保過程が完了される。この時、分散型光ファイバー29は、設定された監視周波数に応じて坑道母岩15を持続的に監視し、即ち、地下坑道を掘削した後に、母岩応力は再分布し、坑道の周辺に接線応力が集中され、また、緩んだ領域の経時性により、小さな緩んだ領域は時間の経過に伴って中程度・大きな緩んだ領域となり、適時且つ効果的に支保しなければ、坑道母岩15が容易に大きく変形して不安定になる。このため、坑道支保を完了した後に、分散型光ファイバー29は依然として確定された監視周波数に応じて持続的に監視し、坑道の安定性及び安全性を確保する。
【符号の説明】
【0093】
1 坑道
2 一次支保方式
3 二次支保方式
4 採掘跡領域
5 破砕領域
6 塑性領域
7 弾性領域
8 重要荷重負担領域
9 グラウト注入した後の重要荷重負担領域
10 アンカーケーブル
11 コンクリート層
12 鋼製アーチフレームコンクリートハウジング
14 採掘作業面
15 坑道母岩
22 アンカーロッド
23 小破砕領域区画
24 中程度破砕領域区画
25 大破砕領域区画
26 破砕領域外側境界
29 分散型光ファイバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9