(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-25
(45)【発行日】2023-09-04
(54)【発明の名称】テクトリゲニン-7-0-キシロシルグルコシドを含む女性更年期症状緩和用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/7048 20060101AFI20230828BHJP
A61K 31/352 20060101ALI20230828BHJP
A61P 15/12 20060101ALI20230828BHJP
A61P 19/10 20060101ALI20230828BHJP
A23L 33/10 20160101ALI20230828BHJP
【FI】
A61K31/7048
A61K31/352
A61P15/12
A61P19/10
A23L33/10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022016457
(22)【出願日】2022-02-04
(62)【分割の表示】P 2018518647の分割
【原出願日】2017-07-18
【審査請求日】2022-02-22
(31)【優先権主張番号】10-2017-0028999
(32)【優先日】2017-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514112488
【氏名又は名称】エルジー ハウスホールド アンド ヘルスケア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ボ-ヨン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ホ-ソン・チョ
(72)【発明者】
【氏名】スン-ラン・ソン
(72)【発明者】
【氏名】ウォン-キョン・イ
(72)【発明者】
【氏名】チャン-イル・チェ
(72)【発明者】
【氏名】サン-ファ・イ
【審査官】新留 素子
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-126853(JP,A)
【文献】特開2013-155154(JP,A)
【文献】Pharmacology & Pharmacy,2013年,Vol.4, No.2,p.255-260
【文献】医学のあゆみ,第253巻, 第13号,2015年,p.1263-1264
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00 ~ 33/44
A61K 36/00 ~ 36/9068
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨粗鬆症である女性更年期症状の予防ま
たは改善用組成物であって、
前記組成物は、
テクトリゲニン、テクトリジン及びテクトリゲニン-7-O-キシロシルグルコシドを1:0.5~20:0.5~20の重量比(テクトリゲニン:テクトリジン:テクトリゲニン-7-O-キシロシルグルコシド)で含むことを特徴とし、
テクトリゲニン、テクトリジン及びテクトリゲニン-7-O-キシロシルグルコシドを一日服用量10~500mgで含むことを特徴とし、
経口投与されることを特徴とする、組成物。
【請求項2】
前記組成物は
、医薬品、
または食
品の形態で提供されることを特徴とする請求項
1に記載の組成物。
【請求項3】
活性成分
としてのテクトリゲニン-7-O-キシロシルグルコシド及び担体を含む、骨粗鬆症である女性更年期症状の予防または改善用組成物であって、
前記組成物は、テクトリゲニン、テクトリジン及びテクトリゲニン-7-O-キシロシルグルコシドを1:0.5~20:0.5~20の重量比(テクトリゲニン:テクトリジン:テクトリゲニン-7-O-キシロシルグルコシド)で含むことを特徴とし、
テクトリゲニン、テクトリジン及びテクトリゲニン-7-O-キシロシルグルコシドを一日服用量10~500mgで含むことを特徴とし、
経口投与されることを特徴とする、組成物。
【請求項4】
前記組成物
は、医薬品、
または食
品の形態で提供されることを特徴とする請求項
3に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、女性更年期症状の予防、改善及び/または治療用組成物に関し、より具体的には、女性更年期症状のうち、特に顔面紅潮及び/または骨粗鬆症の予防、改善及び/または治療に効果的な組成物に関する。また、本発明は、更年期症状の予防、改善及び/または治療のための方法、より具体的には、女性更年期症状のうち、特に顔面紅潮及び/または骨粗鬆症の予防、改善及び/または治療方法に関する。
【0002】
本出願は、2017年3月7日出願の韓国特許出願第10-2017-0028999号に基づく優先権を主張し、該当出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に援用される。
【背景技術】
【0003】
女性の閉経(menopause)とは、遺伝的に決められた、生まれてから約50年という卵巣の寿命が尽きることで現れる月経の中断現象であって、生殖能力の消失を意味し、病的な現象ではなく生理的な変化である。現在、韓国女性の平均寿命は81.2歳(2011年、統計庁)であり、韓国産婦人科学会で規定した韓国女性の平均閉経年齢を50歳と仮定すれば、女性は一生の約1/3以上を女性ホルモンが枯渇した状態で生きていくことを意味する(薬学情報院、キム・ソンチョル)。
【0004】
女性が閉経になれば、女性ホルモンの分泌不均衡及び減少によって、血管系、筋骨格系、泌尿生殖器系及び脳神経など身体全般にわたって変化が起きる。すなわち、血管運動性症状と心理的症状である顔面紅潮、夜間発汗、睡眠障害、疲労感、鬱病、不安感、集中力障害、記憶障害、泌尿生殖系の萎縮による性交痛、頻尿、膠原質減少による皮膚弾力の消失、胸の垂れ、痴ほうなどの多様な疾患などが伴われる。更年期症状には個人差があるが、多くの症状を経験するほど、程度が酷いほど、そして期間が長くなるほど女性の生活の質が低下することが報告されているだけでなく、更年期症状は身体的な老化と共に慢性疾患に進行する可能性が高い。
【0005】
更年期症状の治療にはホルモン療法、薬物療法、運動療法、食事療法を適用できるが、医学的に広く用いられる女性ホルモン治療法は乳房癌などの発病危険を高め、長期間使用すれば、子宮癌、血栓血管疾患、胆嚢疾患、高血圧の発病を増加させる恐れがある。そこで、近年、エストロゲン療法とその他の薬物療法などに代替するため、エストロゲンと類似の機能をすると報告されているフィトエストロゲン(phytoestrogen)に対する研究が活発に行われている。
【0006】
自然閉経を経験した女性の89%は閉経症状のうち少なくとも1つを経験し、更年期症状も多いことが報告されている。そこで、本発明者らは全般的な更年期症状の緩和と更年期による顔面紅潮と骨粗鬆症を効果的に改善できる素材を開発し、テクトリゲニン-7-O-キシロシルグルコシド(tectorigenin-7-O-xylosylglucoside)を含む女性更年期症状の予防または改善用組成物を完成した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記問題点を解決するため、本発明は、女性更年期症状のうち、発汗、顔面紅潮及び/または骨粗鬆症を治療、予防または改善するための組成物を提供することを目的とする。
【0008】
本発明は、女性更年期症状のうち、発汗、顔面紅潮及び/または骨粗鬆症を治療、予防または改善する方法を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、女性更年期症状の治療、緩和効果の発現が持続できる組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施例は、女性更年期症状、発汗、顔面紅潮及び/または骨粗鬆症の治療、予防または改善用組成物を製造するためのテクトリゲニン(tectorigenin)、テクトリジン(tectoridin)、テクトリゲニン-7-O-キシロシルグルコシド(tectorigenin-7-O-xylosylglucoside)またはこれらの混合物の用途を提供する。
【0011】
前記組成物は、機能性食品組成物または薬学用組成物に含まれることが望ましい。
【0012】
本発明は、テクトリゲニン、テクトリジン、テクトリゲニン-7-O-キシロシルグルコシドまたはこれらの混合物を女性更年期症状、発汗、顔面紅潮及び/または骨粗鬆症の治療が必要な患者に投与して前記症状を治療または改善する方法を提供する。また、本発明は、テクトリゲニン、テクトリジン、テクトリゲニン-7-O-キシロシルグルコシドまたはこれらの混合物を女性更年期症状、発汗、顔面紅潮及び/または骨粗鬆症の予防が必要な個体に投与して前記症状を予防する方法を提供する。
【0013】
本発明は、テクトリゲニン-7-O-キシロシルグルコシドを含む女性更年期症状の予防、治療または改善用組成物を提供する。
【0014】
本発明の組成物は、テクトリゲニン、テクトリジンまたはこれらの混合物をさらに含むことができる。
【0015】
前記テクトリゲニン-7-O-キシロシルグルコシドは更年期症状の予防、治療または改善用途として未だ知られていない。
【0016】
特に、前記テクトリゲニン-7-O-キシロシルグルコシドは、顔面紅潮の予防、治療または改善用途として知られていない。
【0017】
本発明の一実施例において、テクトリゲニン-7-O-キシロシルグルコシドを含む顔面紅潮の治療、予防または改善用組成物を提供する。
前記組成物は、テクトリゲニン及びテクトリジンをさらに含むことができる。
【0018】
本発明の他の実施例において、テクトリゲニン-7-O-キシロシルグルコシドを含む骨粗鬆症の治療、予防または改善用組成物を提供する。
【0019】
前記組成物は、テクトリゲニン及びテクトリジンをさらに含むことができる。
本発明のさらに他の実施例において、テクトリゲニン-7-O-キシロシルグルコシドを含む発汗の治療、予防または改善用組成物を提供する。
前記組成物は、テクトリゲニン及びテクトリジンをさらに含むことができる。
【0020】
本発明者らは、テクトリゲニン、テクトリジン及びテクトリゲニン-7-O-キシロシルグルコシドを共に使用するとき、体内持続時間を延ばして、効能持続時間を延ばすことができることを確認し、本発明の完成に至った。
【0021】
本発明のテクトリゲニン-7-O-キシロシルグルコシドの化学式はC27H30O15、分子量は594.52であって、下記化学式1で表すことができる。
【0022】
【0023】
本発明のテクトリゲニンの化学式はC16H12O6、分子量は300.26であって、下記化学式2で表すことができる。
【0024】
【0025】
本発明のテクトリジンの化学式はC22H22O11、分子量は462.40であって、下記化学式3で表すことができる。
【0026】
【0027】
本発明によるテクトリゲニン-7-O-キシロシルグルコシド、テクトリゲニン、テクトリジンの3種化合物は、当業界で公知の方法で化学的に合成するか、又は、市販の物質を使用することができる。
【0028】
本発明において「更年期症状」とは、「更年期症侯群」または「閉経期症状」とも呼ばれる。
【0029】
本発明の組成物は、特に、更年期症状のうち発汗、顔面紅潮、または骨粗鬆症の予防、治療及び/または改善に優れた効果を奏することができる。望ましくは、本発明の組成物は、特に発汗、顔面紅潮及び骨粗鬆症の予防、改善及び/または治療に優れた効果を奏することができる。より望ましくは、本発明の組成物は、特に発汗、顔面紅潮の予防、改善及び/または治療に優れた効果を奏することができる。
【0030】
本発明において「顔面紅潮」とは、閉経女性の75%が経験すると知られている血管運動症状の代表的な症状であり、顔、首、胸部位の肌が急に赤く変わり、全身の不快な熱感と発汗が伴われることを言う。更年期のホルモン変化によって視床下部で熱的中性域(thermoneutral zone)が狭くなることで更年期の血管運動症状が現れ、体温が少し上昇しただけでも熱感を感じるようになる。
【0031】
本発明において「発汗」とは、皮膚の汗腺から汗が分泌される現象であり、急に熱が上昇しながら汗を流す症状を意味する。
【0032】
本発明において「骨粗鬆症」とは、骨の強度が低下して骨折が起きる可能性の高い状態を意味し、遺伝的要因、早期閉経、薬剤または喫煙などが原因になる。したがって、女性の閉経などによってホルモン生産が減少することで現れる「更年期骨粗鬆症」であり得る。「更年期骨粗鬆症」とは、閉経期女性のホルモン生産が減少することで、骨形成に関与する造骨細胞と組織の破壊と吸収に関与する破骨細胞とが不均衡になって発生する骨粗鬆症状を意味する。
【0033】
本発明において「予防」とは、本発明の組成物を投与して目的とする症状を抑制するかまたは遅らせるすべての行為を意味する。
【0034】
本発明において「治療」とは、本発明の組成物を投与して目的とする症状または疾病を好転させるか又は治すすべての行為を意味する。
【0035】
本発明において「改善」とは、本発明の組成物を投与して目的とする症状を投与前より好転させるか又は好ましく変更させるすべての行為を意味する。
【0036】
本発明の組成物に含まれる化合物または混合物の含量は有効量で含むことができる。前記用語「有効量」とは、発汗、顔面紅潮または骨粗鬆症を抑制するか、遅らせるか、または、すでに現れた症状を好転させることのできる化合物または混合物の量を意味する。
【0037】
前記組成物に含まれる前記混合物の含量は、発汗、顔面紅潮または骨粗鬆症を予防、改善または治療できれば、多様な重量で含むことができる。具体的に、全体組成物に対して、テクトリゲニン-7-O-キシロシルグルコシド、テクトリゲニン、テクトリジンの3種の和は、更年期女性の一日服用量を基準に10~500mgで含むことができる。例えば、前記組成物を製剤化する場合、1日1回摂取するとき、1回提供される製剤内に含まれる組成物に前記テクトリゲニン-7-O-キシロシルグルコシド、テクトリゲニン及びテクトリジンを10~500mg含むことができる。
【0038】
前記組成物は、テクトリゲニン、テクトリジン及びテクトリゲニン-7-O-キシロシルグルコシドを1:0.5~20:0.5~20の重量比で含むことができる。1:0.8~15:0.8~15の重量比で含まれることが望ましく、1:1.5~10:1.5~10の重量比で含まれることがより望ましい。
【0039】
各有効成分が下限未満に含まれる場合は、発汗、顔面紅潮または骨粗鬆症の予防、治療または改善効能が発揮されず、上限を超えて含まれる場合は安全性に問題が生じる恐れがある。
【0040】
本発明は、テクトリゲニン-7-O-キシロシルグルコシドを含む組成物を含む、化粧料組成物、薬学組成物、食品組成物を提供することができる。
【0041】
また他の実施例において、本発明は、テクトリゲニン、テクトリジン及びテクトリゲニン-7-O-キシロシルグルコシドの混合物を含む組成物を含む、化粧料組成物、薬学組成物、食品組成物を提供することができる。
【0042】
前記組成物は、化粧品、医薬品、食品または医薬部外品の形態で提供することができる。
【0043】
本発明による薬学的組成物は、薬学的に有効な量のテクトリゲニン-7-O-キシロシルグルコシド;またはテクトリゲニン、テクトリジン及びテクトリゲニン-7-O-キシロシルグルコシドの混合物を単独で含むか、それとも、1つ以上の薬学的に許容可能な担体、賦形剤または希釈剤をさらに含むことができる。前記「薬学的に許容可能な」とは、生理学的に許容され、ヒトに投与するとき、活性成分の作用を阻害せず、胃腸障害、めまいのようなアレルギー反応、またはこれと類似の反応を通常起こさない非毒性の組成物を言う。
【0044】
前記担体、賦形剤または希釈剤の例としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、澱粉、アラビアガム、アルジネート、ゼラチン、カルシウムフォスフェート、カルシウムシリケート、セルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、マグネシウムステアレート及び鉱物油などが挙げられる。また、前記薬学的組成物は、充填剤、抗凝集剤、潤滑剤、湿潤剤、香料、乳化剤または防腐剤などをさらに含むことができる。
【0045】
前記「薬学的に有効な量」とは、陰性対照群に比べてそれ以上の反応を示す量であり、望ましくは、更年期障害の予防、改善及び/または治療の効果を奏するための十分な量を言う。
【0046】
また、本発明の薬学的組成物は、哺乳動物に投与された後、活性成分の迅速、持続、または遅延した放出を提供できるように、当業界で公知の方法を使用して剤形化することができる。剤形は、粉末、顆粒、錠剤、エマルジョン、シロップ、エアロゾル、軟質または硬質ゼラチンカプセル、滅菌注射液、滅菌粉末の形態であり得る。
【0047】
本発明の薬学的組成物の投与経路は、これらに限定されないが、経口的または非経口的に投与することができる。非経口的投与経路としては、例えば、経皮、鼻腔、腹腔、筋肉、皮下または静脈などの様々な経路が含まれ得る。
【0048】
また、本発明の薬学的組成物は、更年期障害の予防、改善及び/または治療効果を有する公知の化合物と並行して投与することができる。
【0049】
さらに他の様態として、本発明は、前記組成物のうちいずれか1つの組成物を含む食品組成物を提供する。
【0050】
本発明の食品組成物は、食品、機能性食品、栄養補助剤、健康食品及び食品添加剤などのすべての天然素材の加工形態を含む。かかる類型の食品組成物は当業界で公知の通常の方法によって多様な形態で製造することができる。
【0051】
例えば、健康食品としては、本発明の組成物自体を、茶、ジュース及びドリンクの形態で製造して飲用するか、又は、顆粒化、カプセル化または粉末化して摂取することができる。また、本発明の食品組成物は、業界で食品組成物に一般に包含できる他の薬効成分及び/または添加剤をさらに含むことができる。
【0052】
例えば、本発明による食品組成物は、水溶性ビタミンとしてチアミン(ビタミンB1)、リボフラビン、アスコルビン酸、ナイアシン及びビタミンB6を含むことができ、脂肪酸としてミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノレン酸などを含むことができ、弱酸成分としてグリコール酸及び酢酸を含むことができ、アミノ酸としてトレオニン、バリン、メチオニン、イソルシン、ルシン、フェニルアラニン、トリプトファン及びリシンの必須アミノ酸8種を含めて、アスパラギン酸、セリン、グルタミン酸、プロリン、グリシン、アラニン、システイン、チロシン、ヒスチジン、アルギニンなどを含むことができる。
【0053】
さらに他の様態として、本発明は、前記組成物のうちいずれか1つの組成物を含む化粧料組成物を提供する。
【0054】
本発明の化粧料組成物に含まれる成分は、本発明の有効成分の外に、化粧料組成物に通常用いる成分を含み、例えば、抗酸化剤、安定化剤、溶解化剤、ビタミン、顔料及び香料のような通常の補助剤、そして担体を含む。
【0055】
本発明による化粧料は、当業界で通常製造される如何なる剤形としても製造することができる。例えば、溶液、懸濁液、乳濁液、ペースト、ゲル、クリーム、ローション、パウダ、せっけん、界面活性剤を含むクレンジング、オイル、粉末ファンデーション、乳濁液ファンデーション、ワックスファンデーション及びスプレーなどに剤形化できるが、これらに限定されることはない。
【0056】
より詳細に、柔軟化粧水、栄養化粧水、栄養クリーム、マッサージクリーム、エッセンス、アイクリーム、クレンジングクリーム、クレンジングフォーム、クレンジングウォーター、パック、スプレーまたはパウダの剤形で製造することができる。
【0057】
本発明の剤形が溶液または乳濁液である場合は、担体成分として溶媒、溶解化剤または乳濁化剤が用いられ、例えば、水、エタノール、イソプロパノール、エチルカーボネート、エチルアセテート、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、1,3‐ブチルグリコールオイル、グリセロール脂肪族エステル、ポリエチレングリコールまたはソルビタンの脂肪酸エステルが挙げられる。
【0058】
本発明の剤形が懸濁液である場合は、担体成分として水、エタノールまたはプロピレングリコールのような液状の希釈剤、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステル及びポリオキシエチレンソルビタンエステルのような懸濁剤、微小結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天またはトラガントなどを用いることができる。
【0059】
本発明の剤形が界面活性剤を含むクレンジングである場合は、担体成分として脂肪族アルコールスルフェート、脂肪族アルコールエーテルスルフェート、スルホコハク酸モノエステル、イセチオネート、イミダゾリニウム誘導体、メチルタウレート、サルコシネート、脂肪酸アミドエーテルスルフェート、アルキルアミドベタイン、脂肪族アルコール、脂肪酸グリセリド、脂肪酸ジエタノールアミド、植物性油、ラノリン誘導体またはエトキシ化グリセロール脂肪酸エステルなどを用いることができる。
【0060】
本発明の剤形がパウダまたはスプレーである場合は、担体成分としてラクトース、タルク、シリカ、アルミニウムヒドロキシド、カルシウムシリケートまたはポリアミドパウダを用いることができ、特に、スプレーである場合は、クロロフルオロヒドロカーボン、プロパン/ブタンまたはジメチルエーテルのような推進体をさらに含むことができる。
【0061】
本発明の剤形がペースト、クリームまたはゲルである場合は、担体成分として動物性油、植物性油、ワックス、パラフィン、澱粉、トラガント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、シリカ、タルクまたは酸化亜鉛などを用いることができる。
【発明の効果】
【0062】
本発明による組成物は、発汗、顔面紅潮及び/または骨粗鬆症の予防、改善及び/または治療に迅速な効果を奏するため、従来更年期症状の予防または改善に使用されるホルモン補充療法(Hormone replacement therapy;HRT)に有用に使用することができる。
【0063】
また、本発明による組成物は、発汗、顔面紅潮、骨粗鬆症に対する従来の治療剤と違って、細胞毒性もなく、食品として使用できるほど副作用が少なく、安全であるため、女性の閉経期以後に現れる発汗症状、顔面紅潮、骨粗鬆症に対する治療剤としてその活用度が高い。
【0064】
本発明の組成物は、テクトリゲニン-7-O-キシロシルグルコシド、テクトリゲニン、テクトリジンの3種混合物を含み、体内持続時間を延ばして効能持続時間を延ばすことができる。したがって、顔面紅潮、発汗の抑制時間をさらに延ばし、骨吸収率の減少にも効果的である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【
図1】本発明の一実施例によるテクトリゲニン-7-O-キシロシルグルコシド、テクトリゲニン、テクトリジンの3種混合物の血管運動症状の改善効果を示したグラフである。
【
図2】本発明の一実施例によるテクトリゲニン-7-O-キシロシルグルコシド、テクトリゲニン、テクトリジンの3種混合物の骨吸収改善効果を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0066】
以下、本発明を具体的に説明するために実施例及び実験例を挙げて詳細に説明する。しかし、本発明による実施例及び実験例は多くの他の形態で変形でき、本発明の範囲が後述する実施例及び実験例に限定されると解釈されてはならない。本発明の実施例及び実験例は当業界で平均的な知識を持つ者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0067】
[試料の用意]
テクトリゲニン-7-0-キシロシルグルコシドはTokiwaから、テクトリゲニンとテクトリジンはSigma-Aldrichから購入して使用した。
【0068】
実施例1.テクトリゲニン-7-O-キシロシルグルコシド、テクトリゲニン、テクトリジンのエストロゲン受容体活性の評価
テクトリゲニン-7-O-キシロシルグルコシド、テクトリゲニン、テクトリジン3種のエストロゲン受容体に対する活性を確認するため、エストロゲン応答配列(Estrogen response element;ERE)レポーターアッセイを行った。実験では、テクトリゲニン、テクトリジン、テクトリゲニン-7-O-キシロシルグルコシドは下記表1の比率で3種の和が10ppmになるように処理した。陰性対照群の測定値を基準(1.0)にして実験結果を表1に示した。
【0069】
【0070】
表1に示されたように、テクトリゲニン-7-O-キシロシルグルコシド、テクトリゲニン、テクトリジンの3種を共に処理した場合、エストロゲン受容体の活性が一層優れることを確認した。特に、テクトリゲニン-7-O-キシロシルグルコシド、テクトリゲニン、テクトリジン3種の処理比率によって活性に差が生じることが分かる。
【0071】
一方、テクトリゲニン、テクトリジン、テクトリゲニン-7-O-キシロシルグルコシドの重量比率が1:0.5~20:0.5~20から外れたときは、エストロゲン受容体の活性が著しく低下することが確認できる。
【0072】
実施例2.血管運動症状の改善効果
血管運動症状は、閉経女性の75%が経験すると知られており、顔面紅潮が代表症状であって、顔、首、頭、胸部位の肌が急に赤く変わり、不快な熱感が伴われることを言う。血管運動症状の変化を確認するため、皮膚温度の変化を指標として評価することができ、動物実験ではラットのしっぽ皮膚の表面温度を測定できる(健康機能食品機能性評価ガイド、「更年期女性の健康に役立つ」編、食品医薬品安全評価院)。
【0073】
11~12週齢の雌Sprague-Dawleyラットを用いて1群10匹は偽手術(sham operation)、2~6群50匹(群当りn=10)は卵巣摘出術(ovariectomy、OVX)を行った。表2のように、群を分けて手術一週間後から各ラットに体重g当り0.01mlずつ毎日、4週間にわたって薬物を経口投与した。陽性対照群として17β-エストラジオール(E2)を投与し、試験群としてはテクトリゲニン、テクトリジン、テクトリゲニン-7-O-キシロシルグルコシドの3種を1:5:5で混合して投与した。投与4週後、赤外線体温測定機を使用してしっぽの付け根から2cm地点で温度を測定し、測定結果を
図1に示した。
【0074】
【0075】
下記表3及び
図1に示されたように、テクトリゲニン-7-O-キシロシルグルコシド、テクトリゲニン、テクトリジンの3種の混合物を投与した結果、エストロゲン欠乏によるしっぽ温度の上昇作用が抑制されることを確認できた。
【0076】
【0077】
具体的に、表3から確認できるように、テクトリゲニン-7-O-キシロシルグルコシド、テクトリゲニン、テクトリジンの3種のうち、テクトリゲニン及びテクトリジンに比べて、テクトリゲニン-7-O-キシロシルグルコシドを投与したとき、しっぽ温度の上昇が多く抑制された。一方、テクトリゲニン-7-O-キシロシルグルコシド、テクトリゲニン、テクトリジンの3種を共に投与した4群及び5群で、しっぽ皮膚温度の上昇が最も多く抑制されることが確認できる。
【0078】
実施例3.骨吸収の改善効果
骨吸収関連指標であるCTX(C-terminal telopeptide of type I collagen)測定のため、実施例2と同じラットで試料を8週間経口投与した後、血清を採取した。血清におけるCTX濃度はRat C-telopeptide of type I collagen ELISA Kit(MyBioSource)を使用してメーカーから提供した方法で測定し、その結果を
図3に示した。
【0079】
図2及び下記表4に示されたように、テクトリゲニン-7-O-キシロシルグルコシド、テクトリゲニン、テクトリジンの3種の混合物を処理した群の場合、OVX群に比べて、CTXの濃度が有意に低下したことが確認でき、骨の吸収が減少したことを類推することができる。
【0080】
【0081】
具体的に、表4から確認できるように、テクトリゲニン-7-O-キシロシルグルコシド、テクトリゲニン、テクトリジンの3種のうち、テクトリゲニン及びテクトリジンに比べて、テクトリゲニン-7-O-キシロシルグルコシドを投与したとき、骨の吸収が多く抑制された。一方、テクトリゲニン-7-O-キシロシルグルコシド、テクトリゲニン、テクトリジンの3種を共に投与した5群で骨の吸収が最も多く抑制されたことが確認できる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明による組成物は、発汗、顔面紅潮及び/または骨粗鬆症の予防、改善及び/または治療に迅速な効果を奏するため、従来更年期症状の予防または改善に使用されるホルモン補充療法(HRT)に有用に使用することができる。
【0083】
また、本発明による組成物は、発汗、顔面紅潮、骨粗鬆症に対する従来の治療剤と違って、細胞毒性もなく、食品として使用できるほど副作用が少なく、安全であるため、女性の閉経期以後に現れる発汗症状、顔面紅潮、骨粗鬆症に対する治療剤として活用することができる。
【0084】
本発明の組成物は、顔面紅潮及び発汗抑制時間をさらに延ばし、骨吸収率の減少にも効果的である。
本発明の組成物は、薬学的、食品、化粧学的組成物などに用いることができる。