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  • 特許-測位方法および測位システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-25
(45)【発行日】2023-09-04
(54)【発明の名称】測位方法および測位システム
(51)【国際特許分類】
   G01S 19/43 20100101AFI20230828BHJP
【FI】
G01S19/43
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019090429
(22)【出願日】2019-05-13
(65)【公開番号】P2020186960
(43)【公開日】2020-11-19
【審査請求日】2022-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】栃村 雄哉
(72)【発明者】
【氏名】吉田 一夫
【審査官】▲高▼場 正光
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-510298(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0355458(US,A1)
【文献】特開2018-159668(JP,A)
【文献】特開2017-173327(JP,A)
【文献】特開2004-286600(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 19/00 - G01S 19/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1周波の測距信号を測位衛星から受信するGPS受信機を搭載した無人移動体の測位方法であって、
基準局において、複数の測位衛星から発せられる2周波の測距信号を受信し、受信した測距信号に基づき基準局の設置位置を測位し、
基準局において、前記測位された設置位置と測位衛星から受信した測距信号とに基づきRTK測位演算用の補正情報を生成し、当該補正情報は、1周波の測距信号を測位衛星から受信するGPS受信機により測距信号が受信されるタイミングに同期して生成され、
基準局から前記補正情報を前記無人移動体に送信し、
無人移動体において、基準局からリアルタイムで受信した補正情報と同期して前記GPS受信機で受信した測距信号の測定誤差を前記補正情報に基づき補正し、無人移動体の位置を算出する、測位方法。
【請求項2】
前記基準局と前記無人移動体とは、ネットワークを介さずに無線通信により直接接続され、前記補正情報は、当該無線通信により送信される、請求項1に記載の測位方法。
【請求項3】
無人移動体は、1周波RTKによる測位を行う、請求項1に記載の測位方法。
【請求項4】
基準局を利用した無人移動体の測位システムであって、
前記基準局は、複数の測位衛星から2周波の測距信号を受信し、受信した測距信号に基づき基準局の設置位置を測位する第1の測位手段と、
前記第1の測位手段により測位された設置位置と測位衛星から受信した測距信号とに基づきRTK測位演算用の補正情報を生成する生成手段と、
前記無人移動体に前記補正情報を送信する送信手段と有し、
前記無人移動体は、前記補正情報を受信する受信手段と、1周波の測距信号を測位衛星から受信するGPS受信機と、前記受信手段を介して前記基準局からリアルタイムで受信した補正情報と同期して前記GPS受信機で受信した測距信号の測定誤差を前記補正情報に基づき補正し、無人移動体の位置を測位する第2の測位手段とを有し、
前記生成手段は、1周波の測距信号を測位衛星から受信するGPS受信機を含み、当該GPS受信機により測距信号が受信されるタイミングに同期して前記補正情報を生成する、測位システム。
【請求項5】
前記第1の測位手段は、PPP対応受信機と2周波対応GNSSアンテナを含む、請求項4に記載の測位システム。
【請求項6】
前記基準局と前記無人移動体とは、ネットワークを介さずに無線通信により直接接続され、前記補正情報は、当該無線通信により送信される、請求項4に記載の測位システム。
【請求項7】
無人移動体は、ドローンである、請求項4に記載の測位システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人移動体の測位方法および測位システムに関し、特に、ドローン等の無人航空機の測位システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば鉄塔に架設された送電線の表面などの点検は、作業者が双眼鏡を使って送電線の表面を直接目視するなどして行っている。このような高所の構造物の点検に空撮機能を備えたドローンを接近させ、カメラで点検箇所を撮影し、作業者が点検箇所を目視するのと変わらない映像を得ることができれば、点検に要するコストを大幅に削減することが可能となる。また、決められた飛行ルートを決められた速度で飛行して離陸地点まで自動で戻り着陸するように機体を制御する自律制御技術の開発が進められ、実用化されつつある。
【0003】
ドローンの飛行を正確に制御するためには、ドローンの現在位置を高精度に測位する必要がある。例えば、特許文献1、2は、ドローンに3つ以上の受信機を搭載してドローンの高精度の測位を可能にし、かつ慣性計測装置(IMU)の搭載を不要にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6445206号公報
【文献】特許第6445207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
無人移動体でのリアルタイムな高精度測位に利用できる技術には、RTK(Real Time Kinematic)やPPP(Precise Point Positioning)が挙げられる。RTKは、基準となるGNSS受信機(基準局)で補正情報を生成し、これを周辺の移動体で利用することにより、移動体においてセンチメータ級の誤差精度の測位が可能になる。
【0006】
RTKにおいて、基準局が自身の設置位置を取得する手法は2通りある。1つは、従来のGPS電波受信(1周波)と、携帯電話回線を介して外部から取得した補正情報により基準局の設置位置を測位する方法である(1周波RTK)。もう1つは、従来のGPS電波と、もう1種類のGPS電波を受信し、外部通信を伴わずに基準局の設置位置を測位する方法である(2周波RTK)。
【0007】
一方、PPPは、周波数の異なる2つのGPS電波(2周波)を受信することで、受信機単体でセンチメータ級の高精度の測位を可能にするシステムである。RTKとの相違点は、基準局を必要としないことである。
【0008】
高架電線の点検や測量のために山間部を飛行するドローンにRTKやPPPの高精度測位技術を適用する場合、次のような課題が生じる。図1に示すように、ドローン10は、鉄塔Tの高架電線Wなどを撮影するために山間部を飛行することがある。ドローン10が1周波RTKによる測位を行う場合、ドローン10は、基準局20から携帯電話回線を介して補正情報Eを受信し、受信した補正情報Eに基づきGPS衛星30から受信したGPS電波の誤差を補正し、ドローン10の現在位置を算出する。しかしながら、山間部には基地局による携帯電話回線の電波が及ばないエリアがあり、ドローン10がこのような電波圏外のエリアを飛行すると、基準局20から補正情報Eを受信することができなくなる。また、基準局20が1周波RTKにより配信局22から配信される補正情報E1を利用して自身の設置位置を測位する場合にも、上記と同様に、基準局20において携帯電話回線が圏外になったり、あるいは受信強度が劣化すると、基準局20は、配信局22から補正情報E1をリアルタイムで受信することができなくなる。その結果、ドローン10は、現在位置を高精度に測位することができず、ドローン10の飛行が不安定になり、高架電線Wを正確に撮影することが難しくなる。
【0009】
一方、特許文献1、2に示すように、ドローンに複数のGNSS受信機および複数のアンテナを搭載したり、あるいはPPPによる測位を行うために2周波対応の受信機およびアンテナを搭載した場合、アンテナが大型になりかつ重量が重くなり、ドローンの飛行時間が減少してしまう。また、小型のドローンには、そのような受信機やアンテナを搭載することができない。
【0010】
本発明は、上記従来の課題を解決し、無人移動体の高精度測位を可能にする測位方法および測位システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る無人移動体の測位方法は、基準局において、複数の測位衛星から発せられる2周波の測距信号を受信し、受信した測距信号に基づき基準局の設置位置を測位し、基準局において、前記測位された設置位置と測位衛星から受信した測距信号とに基づきRTK測位演算用の補正情報を生成し、基準局から前記補正信号を前記無人移動体に送信し、無人移動体において、測位衛星から受信した測距信号と前記補正情報とに基づき無人移動体の位置をリアルタイムで測位する。
【0012】
ある実施態様では、前記基準局と前記無人移動体とは、ネットワークを介さずに無線通信により直接接続され、前記補正情報は、当該無線通信により送信される。ある実施態様では、無人移動体は、1周波RTKによる測位を行う。
【0013】
本発明に係る基準局を利用した無人移動体の測位システムは、前記基準局は、複数の測位衛星から2周波の測距信号を受信し、受信した測距信号に基づき基準局の設置位置を測位する第1の測位手段と、前記第1の測位手段により測位された設置位置と測位衛星から受信した測距信号とに基づきRTK測位演算用の補正情報を生成する生成手段と、前記無人移動体に前記補正情報を送信する送信手段と有し、前記無人移動体は、測位衛星から測距信号を受信する受信手段と、前記補正情報および前記受信手段で受信した測距信号に基づき無人移動体の位置をリアルタイムで測位する第2の測位手段とを有する。
【0014】
ある実施態様では、前記第1の測位手段は、PPP対応受信機と2周波対応GNSSアンテナを含む。ある実施態様では、前記受信手段は、1周波対応GNSSアンテナと受信機とを含む。ある実施態様では、前記基準局と前記無人移動体とは、ネットワークを介さずに無線通信により直接接続され、前記補正情報は、当該無線通信により送信される。ある実施態様では、無人移動体は、ドローンである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、PPPを無人移動体における測位結果として直接利用するのではなく、基準局からの1周波RTK測位用の補正情報として利用することで、無人移動体に搭載するシステムを小型化でき、無人移動体の持続時間を延長させることができる。また、基準局でのPPPと無人移動体でのRTK測位との組み合わせにより、山間部における無人移動体のリアルタイム測位を高精度化し、無人移動体のリアルタイムな位置制御を行うことが可能にある。さらに無人移動体の高精度位置を利用した観測データの取得が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】1周波RTKをドローンに適用したときの課題を説明する図である。
図2】本発明の実施例に係る測位システムの全体構成を示す図である。
図3】本発明の実施例に係る基準局の構成を示すブロック図である。
図4】本発明の実施例に係る無人飛行機の測位に関する構成を示すブロック図である。
図5】本発明の実施例に係る無人飛行機を点検対象物の撮影に用いたときの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の実施の形態について説明する。本発明の無人移動体は、例えば、ドローン、ヘリコプター、飛行船のような無人飛行機、あるいは車輪によって移動するローバーである。無人飛行機は、人間が目視により点検することが難しい、鉄塔に架設された送電線等の点検や土砂崩れなどの自然災害現場の点検や測量などに用いられる。
【実施例
【0018】
以下の実施例では、無人移動体として無人飛行機(ドローン)を例に説明する。図2は、本実施例に係る測位システムの全体構成を示す図である。本実施例の測位システム100は、GNSS(Global Navigation Satellite System)における高精度な位置測定を可能にする。GNSSによる測位は、測位衛星から放送されるGPS電波(測距信号)を受信機で受信し、測位衛星と受信機間の距離を計測し、複数の測位衛星による連立方程式を解くことで受信機の3次元座標を算出する。
【0019】
本実施例では、基準局200は、PPP(高精度単独測位)により設置位置を測位する。PPPは、受信可能な全測位衛星の精密軌道歴とクロックデータ等を測位衛星から補強情報として受信し、受信機と測位衛星間を搬送波で直接測定するものである。受信機は、測距信号に重畳された補強信号を利用して測距誤差を補正し、高精度な自己位置を算出する。他方、無人飛行機300は、1周波RTKにより基準局200から送信された補正情報を利用して自己位置を算出する。
【0020】
図2に示すように、本実施例の測位システム100は、測位衛星STが放送する測距信号を受信し、PPPにより設置位置を測位し、かつPPPにより測位された設置位置に基づきRTK用の補正情報を生成する基準局200と、基準局200から送信される補正信号と測位衛星STから放送される測距信号を受信し、1周波RTKにより自身の現在位置を測位する無人飛行機300とを有する。基準局200と無人飛行機300との間は、携帯電話回線網やインターネット等を利用しない無線通信400で直接接続され、基準局200で生成された補正情報は、無線通信400を介して無人飛行機300にリアルタイムで送信される。
【0021】
図3に、本実施例の基準局200の内部構成を示す。本実施例の基準局200は、PPP対応受信機210、位置算出部220、GPS受信機230、補正情報生成部240および補正情報送信250を含んで構成される。
【0022】
PPP対応受信機210は、基準局200の3次元座標を測位するため、複数の測位可能な衛星STから2周波の測距信号を受信することで受信機の位置を測位する。測位衛星STは、少なくとも周波数f1、f2の2種類の測距信号を放送しており、PPP対応受信機210は、周波数f1、f2の測距信号を受信するための2つのアンテナを備えている。PPP対応受信機210は、測位可能な測位衛星STから受信した2周波の測距信号を処理し(例えば、増幅、中間周波にダウンコンバート、A/D変換など)、処理した測距信号を位置算出部220に出力する。
【0023】
位置算出部220は、周波数の異なる2つの測距信号を用いることで、測距信号に含まれる電波遅延などによる測定誤差を補正し、測定誤差が補正された測距信号を用いて基準局200の設置位置を高精度で算出する。位置算出部220で算出された基準局200の設置位置は、補正情報生成部240に提供される。
【0024】
基準局200はさらに、1周波のGPS受信機230を有する。GPS受信機230は、測位可能な衛星STから放送される測距信号を受信し、受信した測距信号を補正情報生成部240に提供する。なお、PPP対応受信機210で受信された2周波の測距信号からGPS受信機230で受信された測距信号と等価な測距信号を分離できる場合には、破線で示すようにPPP対応受信機210から1つの測距信号を補正情報生成部240に出力させるようにしてもよい。この場合、GPS受信機230は必ずしも必須ではない。
【0025】
補正情報生成部240は、GPS受信機230で受信された測距信号と位置算出部220で算出された基準局200の設置位置とに基づき、RTK測位演算用の補正情報を生成する。補正情報は、無人飛行機300で受信された測距信号の測定誤差を補正するために用いられる。補正情報は、GPS受信機230により測距信号が受信されるタイミングに同期して生成され、例えば、1周波RTK用のフォーマットに従い生成される。
【0026】
補正情報送信部250は、補正情報生成部240で生成された補正情報を無線通信400を介して無人飛行機300にリアルタイムで送信する。
【0027】
図4に、無人飛行機300の測位機能に関する構成を示す。無人飛行機300は、GPS受信機310、補正情報受信部320および位置算出部330を含む。GPS受信機310は、1周波の測距信号を受信するためのアンテナを1つ含み、当該アンテナを介して測位可能な測位衛星STから測距信号を受信する。GPS受信機310は、受信した測距信号を処理し(例えば、増幅、中間周波にダウンコンバート、A/D変換など)、処理した測距信号を位置算出部330へ提供する。
【0028】
補正情報受信部320は、基準局200で生成された補正情報を無線通信400を介してリアルタイムで逐次受信する。補正情報受信部320で受信された補正情報は、リアルタイムで位置算出部330へ提供される。
【0029】
位置算出部330は、GPS受信機310で受信した複数の測距信号に基づき無人飛行機300の3次元座標を算出するが、この際、位置算出部330は、リアルタイムで受信した補正情報と同期してGPS受信機310で受信した測距信号の測定誤差を補正する。これにより、無人飛行機300の高精度の測位が可能になる。位置算出部330で算出された位置情報は、無人飛行機300の飛行制御に利用される。
【0030】
このように本実施例によれば、基準局の設置位置をPPPにより高精度に測位することで、基準局を設置する位置を容易に選択することができる。仮に、基準局を山間部に設置する場合、基準局の緯度、経度を知るためには測量が必要になるが、これと比較してPPPによる測位は容易である。また、無人飛行機は、基準局により生成された補正情報を利用した1周波RTKにより現在位置を測位するため、無人飛行機に搭載するアンテナは1つで済む。これにより、受信機の軽量、小型化を図ることができ、無人飛行機の飛行時間を延長させ、かつ小型の無人飛行機の利用も可能になる。さらに、補正情報の通信に携帯電話回線によるネットワークを利用しないため、携帯電話回線の基地局による電波受信可能エリアに無関係に無人飛行機を飛行させることができる。
【0031】
次に、本実施例の無人飛行機を山間部の高架電線等の撮影に利用するときの構成例を図5に示す。本実施例に係る無人飛行機300は、測位部510、物体検出部520、撮影カメラ530、ロータ駆動部540、記憶部550、通信部560および制御部570を含んで構成される。
【0032】
測位部510は、上記したように1周波RTKにより無人飛行機300の現在位置を測位し、これを制御部570へ提供する。物体検出部520は、例えば、LiDAR(Laser Imaging Detection and Ranging)により点検対象物までの相対的距離および角度を検出し、これを制御部570へ提供する。撮影カメラ530は、機体本体の下部にジンバルを介して取り付けられ、点検対象物である高架電線Wの動画を真上から撮像する。撮影した映像データは記憶部550に格納される。ロータ駆動部540は、制御部570からの駆動信号に基づきプロペラ等に接続されたロータを回転させる。記憶部550は、無人飛行機300を動作させるために必要な種々の情報を記憶する。記憶部550は、例えば、予め用意された飛行情報を記憶したり、制御部570が実行するためのプログラムやソフトウエアを記憶したり、撮影カメラ530で撮像された点検対象物の映像データを記憶する。通信部560は、無人飛行機300と基準局200とを無線通信400で接続し、基準局200からリアルタイムで送信される補正情報を受信し、これを測位部510や制御部570へ提供する。
【0033】
制御部570は、無人飛行機300の各部を制御し、ある実施態様では、制御部570は、ROM/RAMを含むマイクロコントローラ、マイクロプロセッサ等を含み、記憶部550あるいはROM/RAMに格納されたプログラムやソフトウエアを実行することで無人飛行機300の自律飛行や点検対象物の撮影を制御する。
【0034】
制御部570は、測位部510で測位された現在位置を利用し、予め用意された飛行ルートに沿うようにロータ駆動部540を介して飛行を制御し、また、物体検出部520の検出結果に基づき、点検対象物である高架電線Wと一定の距離および角度を保つように高架電線Wを追尾し、撮影カメラ530により高架電線Wを撮影する。
【0035】
本実施例によれば、基準局からの補正情報の送受信に携帯電話回線を利用せず、基準局200と無人飛行機300とはピアツーピアによる無線通信400で接続されているため、携帯電話回線の基地局によってカバーされないエリアに無関係に、無人飛行機300の飛行ルートを設定し、点検対象物の撮影を行うことができる。
【0036】
なお、無人飛行機100は、点検対象物の撮影に限らず、災害地などの撮影や地図等の測量などにも利用することができる。
【0037】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨の範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0038】
100:測位システム 200:基準局
210:PPP対応受信機 220:位置算出部
230:GPS受信機 240:補正情報生成部
250:補正情報送信部 300:無人飛行機
310:GPS受信機 320:補正情報受信部
330:位置算出部
図1
図2
図3
図4
図5