(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-25
(45)【発行日】2023-09-04
(54)【発明の名称】投薬機構
(51)【国際特許分類】
A61M 5/142 20060101AFI20230828BHJP
【FI】
A61M5/142 500
(21)【出願番号】P 2022052990
(22)【出願日】2022-03-29
(62)【分割の表示】P 2017525460の分割
【原出願日】2016-06-24
【審査請求日】2022-03-29
(31)【優先権主張番号】P 2015128966
(32)【優先日】2015-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591117413
【氏名又は名称】株式会社菊池製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100180080
【氏名又は名称】坂本 幸男
(72)【発明者】
【氏名】水谷 道
(72)【発明者】
【氏名】岡本 憲彦
【審査官】川上 佳
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/077308(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0130341(US,A1)
【文献】特開2008-289635(JP,A)
【文献】特開2005-095577(JP,A)
【文献】実公平03-027646(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/142
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤容器に充填された液状の薬剤を患者に投与するための投薬機構であって、
基部ユニットと、該基部ユニットに対し回動可能に接続される蓋部ユニットと、前記基部ユニットに対して着脱でき、薬剤を前記薬剤容器から吸引して患者へと吐出するポンプユニットとを備え、
前記基部ユニットが、前記ポンプユニットを格納するための凹部を有し、
前記蓋部ユニットが、前記基部ユニットに対し、前記ポンプユニットが前記凹部に格納された状態で該凹部の開口側を閉じるようにして重ね合わされることができるよう構成され、
前記蓋部ユニットが前記基部ユニットに対し閉じるようにして重ね合わされると、前記ポンプユニットが、前記凹部内に格納された状態で、
前記基部ユニットと前記蓋部ユニットとの間で圧接により保持されることにより、該ポンプユニットと前記基部ユニットとの間の
電力の導通が確保される、投薬機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、日本国特願2015-128966号に基づく優先権を主張し、引用によって本願明細書の記載に組み込まれる。
【0002】
本発明は、薬剤容器に充填された液状の薬剤を患者に投与するための投薬機構に関するものである。
【背景技術】
【0003】
薬剤容器に充填された液状の薬剤(薬液)を患者に投与するための投薬機構として、例えば特許文献1に記載の輸液ポンプ装置がある。この輸液ポンプ装置は、ポンプを駆動させる本体(特許文献1では「電源ユニット」)に対してポンプユニットが取り付け・取り外し可能に構成されている。
【0004】
特許文献1に記載されたポンプユニットは本体に対して嵌め込むようにして取り付けられる。しかし、投薬機構に何かが衝突した場合等、外部から衝撃や振動を受けることによりポンプユニットが本体から外れてしまうことがある。そうなると、投薬が中断してしまう可能性があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、ポンプユニットを本体に確実に配置できる投薬機構を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、薬剤容器に充填された液状の薬剤を患者に投与するための投薬機構であって、基部ユニットと、該基部ユニットに対し回動可能に接続される蓋部ユニットと、前記基部ユニットに対して着脱でき、薬剤を前記薬剤容器から吸引して患者へと吐出するポンプユニットとを備え、前記基部ユニットが、前記ポンプユニットを格納するための凹部を有し、前記蓋部ユニットが、前記基部ユニットに対し、前記ポンプユニットが前記凹部に格納された状態で該凹部の開口側を閉じるようにして重ね合わされることができるよう構成され、前記蓋部ユニットが前記基部ユニットに対し閉じるようにして重ね合わされると、前記ポンプユニットが、前記凹部内に格納された状態で、該ポンプユニットと前記基部ユニットとの間の導通が確保される、投薬機構である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明における一実施形態の投薬経路を示す概略図である。
【
図2A】本実施形態の投薬機構の本体とポンプユニットとを示し、基部ユニットに対し蓋部ユニットを開いた状態の平面視概略図である。
【
図2B】本実施形態の投薬機構の本体とポンプユニットとを示し、基部ユニットに対し蓋部ユニットを開いた状態の縦断面視概略図である。
【
図2C】本実施形態の投薬機構の本体とポンプユニットとを示し、基部ユニットに対し蓋部ユニットを閉じた状態の縦断面視概略図である。
【
図3A】本実施形態の投薬機構の本体のうち基部ユニットとポンプユニットを示す正面図である。
【
図3B】本実施形態の投薬機構の本体のうち基部ユニットとポンプユニットを示す右側面図である。
【
図3C】本実施形態の投薬機構の本体のうち基部ユニットとポンプユニットを示す、
図3AのA-A矢視の縦断面図である。
【
図3D】本実施形態の投薬機構の本体のうち基部ユニットとポンプユニットを示す背面図である。
【
図4】本実施形態の投薬機構の本体とポンプユニットとの電気接続を示す概略図である。
【
図5A】本発明における他の実施形態の本体とポンプユニットとを示し、基部ユニットに対し蓋部ユニットを開いた状態の縦断面視概略図である。
【
図5B】本発明における他の実施形態の本体とポンプユニットとを示し、基部ユニットに対し蓋部ユニットを閉じた状態の縦断面視概略図である。
【
図6A】本発明における他の実施形態のポンプユニット及びこのポンプユニットが取り付けられた本体を示す。
【
図6B】本発明における他の実施形態のポンプユニット及びこのポンプユニットが取り付けられた本体を示す。
【
図6C】本発明における他の実施形態のポンプユニット及びこのポンプユニットが取り付けられた本体を示す。
【
図6D】本発明における他の実施形態のポンプユニット及びこのポンプユニットが取り付けられた本体を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本発明につき、一実施形態を取り上げて説明を行う。本実施形態の投薬機構1は、本体2と、本体2に着脱できるポンプユニット3とを備える。この投薬機構1は、
図1に示すように、輸液バッグ等の薬剤容器F1から患者Pへと至る投薬経路Fの途中に取り付けられる。
【0010】
本体2は、
図2A~
図2Cに示すようにポンプユニット3を保持して、種々の検知、制御、管理を行うための部分である。本体2に保持されたポンプユニット3には、
図1に示すように薬剤容器側チューブF2と患者側チューブF5とが接続される。なお、
図2A~
図2Cでは本体2及びポンプユニット3を概略的に示しているため、
図2A~
図2Cに示された形態は
図3A~
図3Dに示された形態と一致しない部分がある。
【0011】
図2A~
図2Cに示すように、本体2は一方側ユニットとしての基部ユニット211と、他方側ユニットとしての蓋部ユニット212とを備える。基部ユニット211は、センサによる検知及びポンプユニット3の制御を行う部分である。そして、蓋部ユニット212は使用者による操作が行われ、また、各種情報が表示される部分である。このため、図示していないが、蓋部ユニット212の外面には操作ボタン及び表示部が設けられている。表示部には液晶パネル等、種々の表示手段を用いることができる。また、タッチパネルを用いることで、操作ボタン及び表示部を一体とすることもできる。
【0012】
本実施形態では、基部ユニット211にポンプユニット3が嵌め込まれる。基部ユニット211及び蓋部ユニット212は中空の箱状で、平面視が略長方形とされている。基部ユニット211と蓋部ユニット212とは、両ユニット211,212の平面視における一つの辺をつなぐように設けられたヒンジ213,213を介して回動可能に接続されている。両ユニット211,212が開いた状態を
図2A及び
図2Bに示し、閉じた状態を
図2Cに示す。投薬機構1の使用時には、基部ユニット211にポンプユニット3を嵌め込んだ状態で、基部ユニット211と蓋部ユニット212とが重ね合わせられて閉じられる。この閉じられた状態で、基部ユニット211の内面2111と蓋部ユニット212の内面2121とは対向して当接する。各内面2111,2121は本実施形態では平面とされている。両ユニット211,212が閉じられた状態を維持するため、ヒンジ213が設けられた側と反対の辺には、両ユニット211,212を閉じた状態で固定できるロック部214が設けられている。
【0013】
蓋部ユニット212の内面2121は、基部ユニット211と蓋部ユニット212とを閉じた際にポンプユニット3の吸引側チューブ33及び吐出側チューブ34の側面に当接する。また、蓋部ユニット212の内面2121にはゴム製の押圧パッド2122が貼り付けられている。押圧パッド2122は、基部ユニット211と蓋部ユニット212とを閉じた際にポンプユニット3のケース37に当接する。この当接により、ケース37が基部ユニット211に形成されたポンプユニット配置凹部22の底面側に押される。このため、
図4に示す本体側電気接点27M,27C,27Gとポンプユニット側電気接点38M,38C,38Gとの導通が確保される。
【0014】
図3A~
図3Dに示すように、本体2の基部ユニット211は、ポンプユニット3を嵌められる凹部であるポンプユニット配置凹部22を備えている。なお、
図3A~
図3Dに示された上方側が投薬機構1の使用時における薬剤容器F1側(吸引側)であり、同下方側が使用時における患者P側(吐出側)となる。本実施形態では、ポンプユニット配置凹部22が基部ユニット211にのみ設けられている。ただしこれに限定されず、
図5A及び
図5Bに示すように、ポンプユニット配置凹部22が基部ユニット211と蓋部ユニット212との両方に設けられることもできる。
【0015】
図4に示すように、ポンプユニット配置凹部22の底面には複数の本体側電気接点27M,27C,27Gが設けられている。本体側電気接点27M,27C,27Gはポンプユニット側電気接点38M,38C,38Gに対応して複数設けられている。本実施形態では3個設けられている。ただし、4個以上とすることもできる。
【0016】
ポンプユニット配置凹部22にポンプユニット3を嵌めた際に、各本体側電気接点27M,27C,27Gと各ポンプユニット側電気接点38M,38C,38Gとが導通する。これにより、本体側電気接点27M,27C,27Gからポンプユニット3へと、ポンプ31を駆動するための駆動電力を供給できる。更に、接地部Gに接続されることでポンプユニット3の接地がなされ、また、後述のようにポンプ31の導通確認が可能となる。
【0017】
図3A~
図3Dにおける、ポンプユニット配置凹部22の上下には、ポンプユニット3の吸引側チューブ33及び吐出側チューブ34を配置するチューブ配置溝23が形成されている。
【0018】
本体2の基部ユニット211には、ポンプユニット3の送液状況を検知できるセンサが設けられている。このセンサとして本実施形態では、圧力センサ24と気泡センサ25とが設けられている。圧力センサ24は、本体2における薬剤容器F1側と患者P側との2箇所に設けられている。ただし、薬剤容器F1側または患者P側の1箇所にだけ設けられることもできる。
【0019】
各圧力センサ24は、本体2に取り付けられたポンプユニット3における吸引側チューブ33及び吐出側チューブ34に対応する位置に設けられている。この圧力センサ24は、チューブ内の圧力が上昇するとチューブが膨張することでチューブの径寸法が拡大し、チューブ内の圧力が低下するとチューブが収縮することでチューブの径寸法が縮小する現象を利用し、吸引側チューブ33及び吐出側チューブ34の径寸法変化により各チューブ33,34内の圧力変化を検出するものである。
【0020】
具体的に、各圧力センサ24には、
図3A及び
図3Cに示すように、チューブ33,34が嵌る溝を有する可動ブロック241が正面側と背面側との間で移動可能に設けられている。この可動ブロック241の背面側には、受けた荷重に引例して電圧を出力できる素子242が、可動ブロック241に当接して配置されている。チューブ33,34は本体2の蓋部ユニット212における内面2121により正面側への移動が規制されている。このため、チューブ33,34の拡大・縮小に応じて可動ブロック241が移動し、前記素子242にかかる荷重に応じて前記素子242から出力される電圧が変化することにより、各チューブ33,34内の圧力変化を検出できる。
【0021】
チューブ33,34が拡大すると蓋部ユニット212における内面2121に当接する。このため、当接後は各圧力センサ24に対してチューブ33,34が正面側にずれることがないので、各圧力センサ24における圧力変化が正確に検出される。
【0022】
もし、チューブが折り曲げられたこと等により投薬経路Fの途中区間で閉塞が生じた場合、ポンプユニット3におけるポンプ31よりも上流側の閉塞では、薬剤容器F1側から薬液が流れにくい状態のままポンプ31が吸引を行うため、ポンプ31の駆動の継続により、内部が負圧になって吸引側チューブ33が収縮する。一方、ポンプ31よりも下流側の閉塞では、患者P側に薬液が流れにくい状態でポンプ31が吐出するため、ポンプ31の駆動の継続により、内部が正圧になって吐出側チューブ34が膨張する。このため、圧力センサ24の検知により閉塞発生を把握できる。なお、閉塞解除後に不都合が生じないよう、ポンプユニット3には、閉塞時に生じる過剰薬液を逃がすための逃がし流路として、
図1に示すようにバイパス配管35とバイパス開閉弁36とが設けられていてもよい。
【0023】
これらの他、本体2の基部ユニット211には、例えばポンプユニット3のポンプ制御及び各センサの検知結果の処理及び記憶等を行う制御部261、電池を配置する内部電源部262、外部電源入力ジャック263、薬剤容器F1よりも患者P側に位置する、図示しない点滴筒に取り付けられた、滴下量等を検出する流量センサの検出値を入力する流量ジャック264、投薬履歴データやセンサ検知結果の出力等を行う通信用ジャック265を備えていてもよい。また、本体2の蓋部ユニット212には、図示していないが、アラーム音等を発するためのスピーカーやアラーム表示等を行うLEDランプ、蓋部ユニット212が開放されたことを検知するセンサ、種々の情報を表示する液晶表示部を備えていてもよい。また本体2には、患者Pの身体に本体2を装着するためのバンド等を取り付けるための部分、医療機関で用いられる点滴スタンド等に取り付けるための部分を備えることもできる。
【0024】
図1に示すように、ポンプユニット3は、ポンプ31、フリーフロー防止弁32、吸引側チューブ(吸引側配管)33、吐出側チューブ(吐出側配管)34等を備える。ポンプ31、フリーフロー防止弁32はケース37(
図3A及び
図3C参照)に収められて一体とされている。このため、ポンプユニット3の本体2への着脱が容易である。吸引側チューブ33及び吐出側チューブ34の先端には、薬剤容器F1または患者Pから延びるチューブF2,F5に接続できるコネクタ331,341を備える。
【0025】
図4に示すように、ケース37の背面には本体側電気接点27M,27C,27Gに電気的に接続できるポンプユニット側電気接点38M,38C,38Gが形成されている。よって、ケース37の背面を本体2のポンプユニット配置凹部22の底面に一致させ、本体側電気接点27M,27C,27Gとポンプユニット側電気接点38M,38C,38Gとを電気的に接続することにより、ポンプ31に通電して駆動可能な状態にすることができる。
【0026】
ポンプ31は、液状の薬剤(薬液)を薬剤容器F1から吸引して患者Pへと吐出することができる。ポンプの方式としては、例えばピストンポンプ、ローラーポンプ、ダイヤフラム式ポンプが挙げられるが、モータが不要なダイヤフラム式ポンプが好ましい。このため本実施形態ではダイヤフラム式のポンプが用いられている。ポンプ31としてダイヤフラム式のポンプを採用することで、モータが不要になるため、ポンプを小型化できる。このため、ポンプユニット3も小型化できるので投薬機構1を軽量化できる。よって、患者Pが投薬機構1を携帯する際の負担が小さくなり、特に薬液の常時投与が必要な患者Pにとってメリットが大きい。また、ダイヤフラム式のポンプでは薬液吐出量の制御を高精度で行える。本実施形態のポンプ31には、集積化デバイスに関するMEMS技術を利用したポンプであって、例えば日本国特開2013-117211号公報に記載された、圧電素子(ピエゾ素子)を備えたマイクロポンプが用いられる。
【0027】
フリーフロー防止弁32は、ポンプ31が駆動していない場合に、重力により生じる薬液の圧力により、ポンプ31を通過する意図しない流れが生じることを防止するため設けられている。
【0028】
吸引側チューブ33は、ポンプ31から薬剤容器F1側へ延びるチューブである。吐出側チューブ34は、ポンプ31から患者P側へ延びるチューブである。これらチューブ33,34は、例えばシリコンゴム等の軟質樹脂から形成されている。これらチューブ33,34の径寸法変化が本体2の圧力センサ24で検知されるため、材質(樹脂の配合、密度等)、管厚、管径につき、少なくとも圧力センサ24に配置される部分ではあらかじめ定められた誤差範囲内で形成されている必要がある。なお、本実施形態と異なり、配管を用いて圧力変化を検出しない場合には、ポンプユニット3に軟質のチューブを用いずに硬質のパイプを用いることもできる。
【0029】
なお、本実施形態の吸引側チューブ33と吐出側チューブ34とは、
図2A及び
図3Aに示すようにケース37を通るように略一直線上に配置されている。ただしこれに限らず、例えば
図6Aに示すように両チューブ33,34がケース37から図示上方に延びる形態、
図6Bに示すように両チューブ33,34がケース37から図示左方に延びる形態、
図6Cに示すように吸引側チューブ33がケース37から図示上方に延び、吐出側チューブ34がケース37から図示左方に延びる形態、
図6Dに示すように両チューブ33,34がケース37から図示下方に延びる形態など、ケース37に対し、種々の形態で設けることができる。
【0030】
各チューブ33,34の先端にはコネクタ331,341を備える。コネクタ331,341は硬質樹脂製の汎用品であり、例えばねじ込みにより、
図1に示すように、薬剤容器側チューブF2と患者側チューブF5(各々、ポンプユニット3のコネクタ331,341に接続できるような、「オス」「メス」の関係にある形状のコネクタF3,F4を備える)とに接続される。コネクタ331,341により、ポンプユニット3と薬剤容器側チューブF2とを分離でき、かつ、ポンプユニット3と患者側チューブF5とを分離できるので、投薬機構1に対する薬剤容器F1及び患者Pの距離を自由に設定できる。よって、患者Pが投薬機構1を携帯する際にチューブF2,F5が邪魔になりにくい。
【0031】
本実施形態のポンプユニット3は使い捨てすることができる。このため、投薬機構1を衛生的かつ安全に使用できる。薬剤の種類や使用状況にもよるが、ポンプユニット3は通常3日程度、長い場合は30日程度で取り換えられる。ポンプユニット3を使い捨てとすることで、医療機関において臨床工学技士(ME)が行う吐出精度の検査が不要になる。よって、医療機関における投薬機構1の管理が容易になり、将来的には臨床工学技士の手を必要とせず、病棟単位で看護師等により投薬機構1を管理できるようになる可能性がある。
【0032】
次に、この投薬機構1の使用方法について簡単に述べる。まず、薬剤容器F1から延びるチューブF2と患者P側から延びるチューブF5(針F6が備えられていない場合はチューブF5に取り付けておく)をポンプユニット3に接続する。そして、チューブF2とチューブF5とが接続された状態のポンプユニット3を本体2に装着し、
図1に示す状態とする。また必要な場合、点滴筒や流量センサを装着する。次に、投薬経路Fの気泡を抜く。そして針F6を患者Pに刺す。次にポンプ31の駆動を開始させる。これにより、ポンプ31によって薬液が患者Pの体内に送られる。
【0033】
本実施形態では、ポンプユニット3を、本体2への装着状態で一方側ユニットとしての基部ユニット211と他方側ユニットとしての蓋部ユニット212との間に設けている。このように構成することで、基部ユニット211と蓋部ユニット212とでポンプユニット3を支持できる。よって、ポンプユニット3が本体2から外れてしまうことを抑制できる。
【0034】
より具体的に、ポンプユニット3は、本体2への装着状態で基部ユニット211と蓋部ユニット212との間に挟み込まれて圧接される。このようにポンプユニット3を基部ユニット211と蓋部ユニット212との間に圧接により保持されるように構成することで、ポンプユニット3の本体2からの外れを確実に抑制することができる。
【0035】
また、前記圧接による保持により、ポンプユニット3が本体2における基部ユニット211に対して押圧される。この押圧により、各本体側電気接点27M,27C,27Gと各ポンプユニット側電気接点38M,38C,38Gとが確実に当接する。ちなみに本実施形態では、蓋部ユニット212の内面2121に押圧パッド2122が貼り付けられているので、押圧パッド2122の厚み分、前記押圧を強くなすことができる。このようにして、ポンプユニット3の本体2に対する駆動電力の導通が確保される。よって、基部ユニット211と蓋部ユニット212とが開けられない限り、ポンプ31への駆動電力の導通が確保されるので、安定的な導通が可能となる。
【0036】
また、ポンプユニット3が備える複数の電気接点は、ポンプ31に駆動電力が供給される接点38M、接地用接点38G、ポンプ31の導通を確認するための接点(導通確認用接点)38Cを含む。
【0037】
導通確認用接点38Cは、
図4に示すように接地線に接続されるように設けられている。具体的には、ポンプ31から接地用接点38Gに至る電気配線から分岐した電気配線が導通確認用接点38Cに接続されている。また、本体2側の導通確認用接点27Cは制御部261に接続されており、本体2側の接地用接点27Gに接続された電気配線が分岐して制御部261に接続されている。これにより、制御部261から発した監視用電流を、ポンプユニット3内を通して制御部261に戻すことができる。
【0038】
基部ユニット211から蓋部ユニット212が離れた場合等には、導通確認用接点38C,27Cが離れ、前記監視用電流が流れない非導通状態となる。この非導通状態を制御部261が検知することにより、本体2にアラーム表示を表示したり、本体2からアラーム音を発したりすることで、使用者等に蓋部ユニット212を閉じる等の是正への注意を促すことができる。
【0039】
ここで、本実施形態のポンプ31は圧電素子(ピエゾ素子)を備えたマイクロポンプであるため、ポンプ31に対する駆動電力の供給は駆動周波数に応じ間欠的(オンオフが繰り返される)になされている。このように、駆動電力は流れないことがあるため、駆動電力を直接的に監視しようとしても常時監視は不可能である。更に、薬液吐出量を小さく設定した場合には駆動周波数が小さくなるので、駆動電力を直接的に監視しようとすると監視間隔が間延びしてしまう。また、ポンプ31の駆動に影響が出ることから、制御部からポンプ31に監視用電流を常時流すこともできない。
【0040】
一方、本実施形態の導通確認用接点38C,27Cのようにポンプ31の導通確認専用の接点を設けることで、ポンプ31に対する駆動電力の供給とは別個に導通確認が可能となる。このため常時監視が可能となる。また、ポンプユニット3を本体2に装着した直後等、駆動前であってポンプ31に駆動電力が供給されていない場合でもポンプ31の導通確認を行うことができる。このようにポンプ31の導通確認専用の接点を設けることのメリットは大きい。
【0041】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0042】
最後に、前記実施形態(変形した形態を含む)の構成及び作用についてまとめておく。前記実施形態は、薬剤容器F1に充填された液状の薬剤を患者Pに投与するための投薬機構1であって、一方側ユニット(基部ユニット)211と、該一方側ユニット(基部ユニット)211に対して投薬機構1の使用時に重ね合わされる他方側ユニット(蓋部ユニット)212とを有する本体2、及び、該本体2に対して着脱できるポンプユニット3を備え、前記ポンプユニット3が、薬剤を前記薬剤容器F1から吸引して患者Pへと吐出するポンプ31を備え、前記本体2への装着状態で、前記一方側ユニット(基部ユニット)211と前記他方側ユニット(蓋部ユニット)212との間に保持される投薬機構1である。
【0043】
この構成によれば、一方側ユニット(基部ユニット)211と他方側ユニット(蓋部ユニット)212とでポンプユニット3を支持できる。よって、ポンプユニット3が本体2から外れてしまうことを抑制できる。
【0044】
そして、前記ポンプユニット3は、前記本体2への装着状態で前記一方側ユニット(基部ユニット)211と前記他方側ユニット(蓋部ユニット)212との間に圧接により保持されることができる。
【0045】
この構成によれば、一方側ユニット(基部ユニット)211と他方側ユニット(蓋部ユニット)212との間の圧接による保持により、ポンプユニット3の外れを確実に抑制することができる。
【0046】
そして、前記ポンプユニット3は、前記本体2への装着状態で前記一方側ユニット(基部ユニット)211と前記他方側ユニット(蓋部ユニット)212との間に圧接により保持されることにより、前記ポンプユニット3と前記基部ユニット211との駆動電力の導通が確保されることができる。
【0047】
この構成によれば、一方側ユニット(基部ユニット)211と他方側ユニット(蓋部ユニット)212とが開けられない限り、ポンプユニット3と基部ユニット211との駆動電力の導通が確保される。よって、安定的な導通が可能となる。
【0048】
そして、前記ポンプユニット3は前記本体2に接続される複数の電気接点を備え、前記複数の電気接点は、前記ポンプ31に駆動電力が供給される接点38M、接地用接点38G、前記導通を確認するための接点38Cを含むことができる。
【0049】
この構成によれば、ポンプ31の導通を確認するための接点38M,38G,38Cを設けることで、ポンプ31への駆動電力の供給とは別個に導通確認が可能となる。
【0050】
以上、前記実施形態によると、ポンプユニット3が本体2から外れてしまうことを抑制できる。よって、ポンプユニット3を本体2に確実に配置できる。
【符号の説明】
【0051】
1 投薬機構
2 本体
211 一方側ユニット、基部ユニット
212 他方側ユニット、蓋部ユニット
3 ポンプユニット
31 ポンプ
38M ポンプユニットの電気接点(駆動電力が供給される接点)
38G ポンプユニットの電気接点(接地用接点)
38C ポンプユニットの電気接点(導通を確認するための接点)
F1 薬剤容器
P 患者