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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-25
(45)【発行日】2023-09-04
(54)【発明の名称】組合せ秤
(51)【国際特許分類】
   G01G 19/387 20060101AFI20230828BHJP
【FI】
G01G19/387 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022516547
(86)(22)【出願日】2020-04-22
(86)【国際出願番号】 JP2020017302
(87)【国際公開番号】W WO2021214906
(87)【国際公開日】2021-10-28
【審査請求日】2022-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000208444
【氏名又は名称】大和製衡株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086737
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 和秀
(72)【発明者】
【氏名】津川 久志
【審査官】岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-120121(JP,A)
【文献】特開2012-154905(JP,A)
【文献】米国特許第5270495(US,A)
【文献】国際公開第93/23724(WO,A1)
【文献】特開昭60-154120(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 1/00-23/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被計量物を搬送すると共に、搬送停止状態で前記被計量物が手動で供給される複数の計量コンベヤと、
前記複数の計量コンベヤにそれぞれ対応して設けられ、前記計量コンベヤ上の被計量物の重量をそれぞれ計量するための複数の重量センサと、
前記計量コンベヤから排出される被計量物が供給され、供給される被計量物を搬送して排出する集合コンベヤと、
前記重量センサで計量される重量値に基づいて、前記計量コンベヤに供給されている被計量物の重量の合計が所定重量範囲内となる前記計量コンベヤの組合せからなる排出組合せを選択する組合せ演算を行うと共に、前記複数の計量コンベヤ及び前記集合コンベヤの駆動を制御する制御部とを備え、該制御部は、前記排出組合せに選択された計量コンベヤを駆動して被計量物を前記集合コンベヤに排出する組合せ秤であって、
前記制御部は、前記組合せ演算によって前記排出組合せに選択された計量コンベヤの駆動が開始される迄の待機状態で、前記排出組合せに選択された計量コンベヤの被計量物の重量が変動したときには、前記組合せ演算を行って新たな前記排出組合せを選択するものであり、
前記制御部は、前記組合せ演算によって前記排出組合せに選択された計量コンベヤの駆動が開始された搬送状態で、前記排出組合せに選択された計量コンベヤの被計量物の重量が変動したときには、重量が変動した計量コンベヤ及び前記集合コンベヤの少なくともいずれか一方のコンベヤの駆動を停止し、又は、前記少なくともいずれか一方のコンベヤの搬送方向を逆にして駆動する、
組合せ秤。
【請求項2】
前記制御部は、前記組合せ演算によって前記排出組合せに選択された計量コンベヤの駆動が開始された搬送状態で、前記排出組合せに選択された計量コンベヤの被計量物の重量が変動したときには、前記集合コンベヤの駆動を停止し、又は、前記集合コンベヤの搬送方向を逆にして駆動する、
請求項1に記載の組合せ秤。
【請求項3】
前記制御部は、排出要求信号の入力に応答して、前記排出組合せに選択された計量コンベヤの駆動を開始する、
請求項1に記載の組合せ秤。
【請求項4】
前記制御部は、排出要求信号の入力に応答して、前記排出組合せに選択された計量コンベヤの駆動を開始する、
請求項2に記載の組合せ秤。
【請求項5】
前記制御部によって制御される報知部を備え、前記制御部は、前記少なくともいずれか一方のコンベヤの駆動を停止し、又は、前記少なくともいずれか一方のコンベヤの搬送方向を逆にして駆動するときには、計量コンベヤへ被計量物が誤って供給されたことを、前記報知部によって報知する、
請求項1ないし4のいずれか一項に記載の組合せ秤。
【請求項6】
前記複数の計量コンベヤは並列配置され、
前記集合コンベヤは、前記計量コンベヤから排出される被計量物を、前記複数の計量コンベヤの並列方向に沿って搬送するものであり、
前記集合コンベヤを挟むように該集合コンベヤの両側に、前記複数の計量コンベヤからなる計量コンベヤ群がそれぞれ設けられる、
請求項1ないし4のいずれか一項に記載の組合せ秤。
【請求項7】
前記複数の計量コンベヤは並列配置され、
前記集合コンベヤは、前記計量コンベヤから排出される被計量物を、前記複数の計量コンベヤの並列方向に沿って搬送するものであり、
前記集合コンベヤを挟むように該集合コンベヤの両側に、前記複数の計量コンベヤからなる計量コンベヤ群がそれぞれ設けられる、
請求項5に記載の組合せ秤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被計量物を所定重量範囲の重量となるように組合せ計量して排出する組合せ秤に関する。
【背景技術】
【0002】
組合せ秤は、計量部への被計量物の供給方法及び排出方法の違いにより、自動式、半自動式、手動式に大別することができる。手動式の組合せ秤では、被計量物の供給と排出とが人手によって行われる。また、半自動式の組合せ秤では、被計量物の供給は人手によって行われ、被計量物の排出は自動で行われる。また、自動式の組合せ秤では、被計量物の供給と排出が自動で行われる。
【0003】
組合せ秤への被計量物の供給を自動で行うことができない被計量物あるいは自動で行うことに適さない被計量物に対して、手動式あるいは半自動式の組合せ秤が用いられる。
【0004】
従来の半自動式の組合せ秤、例えば、特許文献1に記載の組合せ秤では、本体フレームの上部の天板に、複数の投入口が設けられている。作業者が、これら各投入口に被計量物を投入すると、各投入口の下方位置にある計量部としての各計量ホッパに被計量物が供給されて、重量が計量される。
【0005】
各計量ホッパに供給された被計量物の重量に基づく組合せ演算を行って、所定重量範囲内となる計量ホッパの排出組合せを選択する。選択した排出組合せの計量ホッパのゲートを開くことによって、被計量物を搬送コンベヤ上に落下排出する。この搬送コンベヤによって所定重量範囲内の被計量物を搬送して、包装機等の後段装置へ排出して、1パックの重量が所定重量範囲内の被計量物のパックを製造している。
【0006】
このような半自動式の組合せ秤では、計量ホッパに投入された被計量物の計量が完了したときから、組合せ演算によって選択された排出組合せの計量ホッパから被計量物を排出する迄の間に、排出組合せの計量ホッパに、例えば作業者のミスによって別の被計量物が追加投入される可能性がある。このように計量ホッパに別の被計量物が追加投入された場合、排出組合せに選択された計量ホッパの被計量物と共に追加投入された被計量物が、搬送コンベヤに排出されることになる。したがって、搬送コンベヤの後段の包装機等では、所定重量範囲内となる適正な被計量物以外に、追加投入された被計量物を含めて1つにパックされる、すなわち、誤計量が生じることになる。
【0007】
この誤計量を防止するために、特許文献1の半自動式の組合せ秤では、排出組合せに選択された計量ホッパから被計量物が排出される迄の間、排出組合せに選択された計量ホッパの被計量物の重量の合計値を繰り返し算出する。算出した合計値が、所定重量範囲内であるか否かを判定し、所定重量範囲外になると、被計量物が新たに追加投入されたとして、再度、組合せ演算を行うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】実開平6-10825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特許文献1の半自動式の組合せ秤では、排出組合せの計量ホッパが排出動作を開始する迄、すなわち、計量ホッパのゲートが開放される迄に、追加投入された被計量物については、再度、組合せ演算が行われるので、誤計量は防止できる。
【0010】
しかし、作業者のミスによる被計量物の追加投入のタイミングが、計量ホッパの排出動作が開始されてゲートが開放されたタイミングであるときには、排出組合せに選択された計量ホッパの被計量物と共に追加投入された被計量物が、そのまま搬送コンベヤ上に落下排出されることになる。このため、搬送コンベヤによって、排出組合せに選択された計量ホッパの被計量物と共に追加投入された被計量物が、後段の包装機等に排出されることになる。したがって、後段の包装機等では、所定重量範囲内となる適正な被計量物以外に、追加投入された被計量物を含めて1つにパックされ、誤計量が生じる。
【0011】
本発明は、このような点に着目してなされたものであって、計量部が排出動作を開始した後に生じる誤計量を防止できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明では次のように構成している。
【0013】
(1)本発明に係る組合せ秤は、被計量物を搬送すると共に、搬送停止状態で前記被計量物が手動で供給される複数の計量コンベヤと、前記複数の計量コンベヤにそれぞれ対応して設けられ、前記計量コンベヤ上の被計量物の重量をそれぞれ計量するための複数の重量センサと、前記計量コンベヤから排出される被計量物が供給され、供給される被計量物を搬送して排出する集合コンベヤと、前記重量センサで計量される重量値に基づいて、前記計量コンベヤに供給されている被計量物の重量の合計が所定重量範囲内となる前記計量コンベヤの組合せからなる排出組合せを選択する組合せ演算を行うと共に、前記複数の計量コンベヤ及び前記集合コンベヤの駆動を制御する制御部とを備え、該制御部は、前記排出組合せに選択された計量コンベヤを駆動して被計量物を前記集合コンベヤに排出する組合せ秤であって、
前記制御部は、前記組合せ演算によって前記排出組合せに選択された計量コンベヤの駆動が開始される迄の待機状態で、前記排出組合せに選択された計量コンベヤの被計量物の重量が変動したときには、前記組合せ演算を行って新たな前記排出組合せを選択するものであり、
前記制御部は、前記組合せ演算によって前記排出組合せに選択された計量コンベヤの駆動が開始された搬送状態で、前記排出組合せに選択された計量コンベヤの被計量物の重量が変動したときには、重量が変動した計量コンベヤ及び前記集合コンベヤの少なくともいずれか一方のコンベヤの駆動を停止し、又は、前記少なくともいずれか一方のコンベヤの搬送方向を逆にして駆動する。
【0014】
本発明の組合せ秤によると、組合せ演算によって排出組合せに選択された計量コンベヤの駆動が開始される迄の待機状態において、排出組合せに選択された計量コンベヤ上に、例えば、作業者が誤って被計量物を追加で供給したり、あるいは、作業者が誤って計量コンベヤ上の被計量物の一部を取り除くなどして、計量コンベヤ上の被計量物の重量が変動したときには、組合せ演算を行って新たな排出組合せを選択する、すなわち、組合せ演算をやり直して新たな排出組合せを選択する。したがって、被計量物が追加されたり、あるいは、被計量物の一部が取り除かれるなどした計量コンベヤの被計量物が、新たな排出組合せに選択されずに、そのまま集合コンベヤへ搬送されることはなく、誤計量を防止することができる。
【0015】
更に、組合せ演算によって排出組合せに選択された計量コンベヤの駆動が開始された搬送状態において、排出組合せに選択された計量コンベヤ上に、作業者が誤って被計量物を追加で供給したり、あるいは、作業者が誤って計量コンベヤ上の被計量物の一部を取り除くなどして、計量コンベヤ上の被計量物の重量が変動したときには、重量が変動した計量コンベヤ及び集合コンベヤの少なくともいずれか一方のコンベヤの駆動を停止し、又は、前記少なくともいずれか一方のコンベヤの搬送方向を逆にして駆動する。
【0016】
したがって、被計量物が追加されたり、あるいは、被計量物の一部が取り除かれるなどした計量コンベヤの被計量物は、計量コンベヤ及び集合コンベヤの少なくともいずれか一方のコンベヤの駆動の停止によって、計量コンベヤ上又は集合コンベヤ上に留まらせることができ、あるいは、前記少なくともいずれか一方のコンベヤの逆方向の搬送によって、本来の搬送方向とは逆方向に搬送して回収することができる。これによって、被計量物が追加されたり、あるいは、被計量物の一部が取り除かれるなどした計量コンベヤの被計量物が、集合コンベヤの後段の包装機等へ排出されることはなく、誤計量を防止することができる。
【0017】
特に本発明では、被計量物が追加されたり、あるいは、被計量物の一部が取り除かれるなどした計量コンベヤの被計量物が、集合コンベヤに排出されても、集合コンベヤの駆動を停止し、あるいは、集合コンベヤの搬送方向を逆にして駆動することによって、集合コンベヤの後段の包装機等へ排出されることはなく、誤計量を防止することができる。
【0018】
(2)本発明の好ましい実施態様では、前記制御部は、前記組合せ演算によって前記排出組合せに選択された計量コンベヤの駆動が開始された搬送状態で、前記排出組合せに選択された計量コンベヤの被計量物の重量が変動したときには、前記集合コンベヤの駆動を停止し、又は、前記集合コンベヤの搬送方向を逆にして駆動する。
【0019】
この実施態様によると、組合せ演算によって排出組合せに選択された計量コンベヤの駆動が開始された搬送状態において、排出組合せに選択された計量コンベヤ上に、例えば、作業者が誤って被計量物を追加で供給したり、あるいは、作業者が誤って計量コンベヤ上の被計量物の一部を取り除くなどして、計量コンベヤ上の被計量物の重量が変動したときには、集合コンベヤの駆動を停止し、あるいは、集合コンベヤの搬送方向を逆にして駆動するので、被計量物が追加されたり、あるいは、被計量物の一部が取り除かれるなどした計量コンベヤの被計量物が、集合コンベヤによって本来の搬送方向である後段の包装機等へ搬送されることはなく、誤計量を防止することができる。
【0020】
(3)本発明の他の実施態様では、前記制御部は、排出要求信号の入力に応答して、前記排出組合せに選択された計量コンベヤの駆動を開始する。
【0021】
この実施態様によると、制御部は、集合コンベヤの後段の包装機等から出力される排出要求信号の入力に応答して、排出組合せに選択された計量コンベヤの駆動を開始して、計量コンベヤ上の被計量物を集合コンベヤへ排出することができる。これによって、集合コンベヤは、排出組合せに選択された計量ホッパからの被計量物を搬送して、後段の包装機等へ排出することができる。
【0022】
(4)本発明の更に他の実施態様では、前記制御部によって制御される報知部を備え、前記制御部は、前記少なくともいずれか一方のコンベヤの駆動を停止し、又は、前記少なくともいずれか一方のコンベヤの搬送方向を逆にして駆動するときには、計量コンベヤへ被計量物が誤って供給されたことを、前記報知部によって報知する。
【0023】
上記のように、排出組合せに選択された計量コンベヤの駆動が開始された搬送状態において、排出組合せに選択された計量コンベヤ上に、例えば、作業者が誤って被計量物を追加で供給したり、あるいは、作業者が誤って計量コンベヤ上の被計量物の一部を取り除くなどした場合には、重量が変動した計量コンベヤ及び集合コンベヤの少なくともいずれか一方のコンベヤの駆動を停止し、又は、前記少なくともいずれか一方のコンベヤの搬送方向を逆にして駆動する。
【0024】
この実施態様によると、計量コンベヤ及び集合コンベヤの少なくともいずれか一方のコンベヤの駆動を停止し、又は、前記少なくともいずれか一方のコンベヤの搬送方向を逆にして駆動するときには、報知部によって、計量コンベヤへ被計量物が誤って供給されたことが報知されるので、作業者は、コンベヤの駆動が停止し、あるいは、逆方向に駆動された原因を容易に認識して適切な措置をとることができる。
【0025】
(5)本発明の他の実施態様では、前記複数の計量コンベヤは並列配置され、前記集合コンベヤは、前記計量コンベヤから排出される被計量物を、前記複数の計量コンベヤの並列方向に沿って搬送するものであり、前記集合コンベヤを挟むように該集合コンベヤの両側に、前記複数の計量コンベヤからなる計量コンベヤ群がそれぞれ設けられる。
【0026】
この実施態様によると、集合コンベヤの両側に計量コンベヤ群を配置することによって、集合コンベヤの長さを短くでき、被計量物の排出時間の短縮化及び組合せ秤のコンパクト化を図ることができる。
【発明の効果】
【0027】
このように、本発明によれば、組合せ演算によって排出組合せに選択された計量コンベヤの駆動が開始される迄の待機状態において、作業者による被計量物の誤った供給によって、計量コンベヤ上の被計量物の重量が変動したときには、組合せ演算を行って新たな排出組合せを選択する。これによって、重量が変動した計量コンベヤ上の被計量物が、新たな排出組合せに選択されずに、そのまま集合コンベヤへ搬送されることはなく、誤計量を防止することができる。
【0028】
また、組合せ演算によって排出組合せに選択された計量コンベヤの駆動が開始された搬送状態において、作業者による被計量物の誤った供給によって、計量コンベヤ上の被計量物の重量が変動したときには、重量が変動した計量コンベヤ及び集合コンベヤの少なくともいずれか一方のコンベヤの駆動を停止し、又は、前記少なくともいずれか一方のコンベヤの搬送方向を逆にして駆動する。これによって、重量が変動した計量コンベヤ上の被計量物が、集合コンベヤの後段の包装機等へ排出されることはなく、誤計量を防止することができる。
【0029】
特に本発明では、重量が変動した計量コンベヤの被計量物が、集合コンベヤに排出されても、集合コンベヤの駆動を停止し、あるいは、集合コンベヤの搬送方向を逆にして駆動することによって、集合コンベヤの後段の包装機等へ排出されることはなく、誤計量を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は本発明の一実施形態の組合せ秤の平面図である。
図2図2図1の組合せ秤の正面図である。
図3図3図1の組合せ秤のブロック図である。
図4図4図1の組合せ秤の動作説明に供するフローチャートである。
図5図5図4に続くフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0032】
図1は、本発明の一実施形態に係る組合せ秤の平面図であり、図2は、その正面図である。
【0033】
この実施形態の組合せ秤1は、作業者が被計量物を手作業で供給し、所定重量範囲内となる被計量物の排出を自動で行う半自動式の組合せ秤である。この組合せ秤1は、被計量物を矢符A方向へ搬送するベルトコンベヤからなる集合コンベヤ2と、この集合コンベヤ2の搬送方向に沿って2列に配設された複数台、この例では12台のベルトコンベヤからなる計量コンベヤ3と、図2に示す架台4上に支持された装置本体部5と、運転制御用パラメータ等の設定や作動状況の表示などを行うタッチパネル式の操作設定表示器6などを備えている。
【0034】
各計量コンベヤ3の側方には、図1に示すように、報知部としての表示灯8がそれぞれ設けられている。この表示灯8の点滅等によって、作業者が計量コンベヤ3へ被計量物を誤って供給したことの報知などを行う。なお、9は、組合せ秤1を緊急停止するための非常停止スイッチである。
【0035】
集合コンベヤ2は、組合せ演算によって排出組合せに選択された計量コンベヤ3から排出された被計量物を、図1に示される矢符A方向へ搬送して、後段の装置、例えば、包装機(図示せず)へ排出し、排出された被計量物は、包装機で袋詰めされる。
【0036】
被計量物は、特に限定されないが、例えば、カット野菜、シイタケ、人参等の野菜類、切り身等の魚や肉などの食料品が好適である。
【0037】
計量コンベヤ3は、集合コンベヤ2の両側に、該集合コンベヤ2の搬送方向に沿って6台ずつ2列に直線状に並列配置されて、2つの計量コンベヤ群を構成している。各計量コンベヤ3の搬送方向は、矢符Bで示されるように、集合コンベヤ2の搬送方向Aに直交する方向である。計量コンベヤ3と集合コンベヤ2とは、そのコンベヤ間の段差が小さくなっており、計量コンベヤ3から排出される被計量物が、集合コンベヤ2上へ移載されるときの衝撃を少なくすることができる。
【0038】
2列の計量コンベヤ3群を挟むように、その両側、すなわち、図1において、下の列の計量コンベヤ3群の下側、及び、上の列の計量コンベヤ3群の上側には、図示しない投入台がそれぞれ配置されている。これら投入台上に、被計量物が溜められている。
【0039】
作業者は、投入台上に溜められている被計量物を、搬送停止状態の空の計量コンベヤ3上に手作業、すなわち、手動で供給載置する。
【0040】
各計量コンベヤ3は、その下方にそれぞれ設置された各駆動モータによって駆動されるように構成されている。各計量コンベヤ3及び駆動モータ等が、装置本体部5内に設置されたロードセルなどの各重量センサ(図示せず)によってそれぞれ支持されている。各重量センサからの荷重信号が、後述の制御部に与えられ、この制御部によって、計量コンベヤ3上の被計量物の重量が算出されると共に、各計量コンベヤ3に供給された被計量物の排出が制御される。
【0041】
図3は、この実施形態の組合せ秤1の概略構成を示すブロック図であり、図1図2に対応する部分には、同一の参照符号を付す。
【0042】
この組合せ秤1は、各計量コンベヤ3及び集合コンベヤ2をそれぞれ駆動する第1,第2コンベヤ駆動回路部10,11、各表示灯8を駆動する表示灯駆動回路部12、重量センサ16からのアナログ荷重信号をA/D変換するA/D変換部13、このA/D変換部13からのデジタル荷重信号をフィルタリング処理して組合せ演算を行うと共に、各部を制御する制御部14、及び、I/O回路部15等を備えている。
【0043】
各計量コンベヤ3は、上記のようにロードセル等の重量センサ16によって支持されている。これら重量センサ16によって計量コンベヤ3上の被計量物の重量が検出され、その検出信号であるアナログ荷重信号は、上記A/D変換部13でデジタル荷重信号に変換され、制御部14に送られる。
【0044】
制御部14は、CPU等からなる演算制御部17と、RAM及びROM等のメモリからなる記憶部18とを有している。記憶部18には、運転用プログラム、動作パラメータのデータ、計量データ等が記憶される。
【0045】
制御部14は、演算制御部17が記憶部18に記憶されている運転用プログラムを実行することにより、組合せ秤1の全体の制御を行うと共に、組合せ演算等の処理を行う。
【0046】
制御部14は、第1コンベヤ駆動回路部10を介して各計量コンベヤ3の駆動を制御し、第2コンベヤ駆動回路部11を介して集合コンベヤ2の駆動を制御する、すなわち、被計量物の排出制御を行う。また、制御部14は、I/O回路部15を介して後段の包装機からの排出要求信号を取込み、被計量物の排出が完了すると、後段の包装機へ排出完了信号を出力する。制御部14は、操作設定表示器6から設定操作に応じた信号が入力されると共に、操作設定表示器6へ表示するデータ等の表示信号を出力する。
【0047】
上記のような構成を有する組合せ秤1では、作業者は、搬送停止状態の空の計量コンベヤ3上に、被計量物を手動で供給載置する。上記制御部14は、A/D変換部13からのデジタル荷重信号をフィルタリング処理し、被計量物の重量値を取得して、組合せ演算を行う。この組合せ演算では、各計量コンベヤ3上の被計量物の重量を種々組合せた合計重量である組合せ重量が、所定重量範囲内となる計量コンベヤ3の組合せである排出組合せを選択する。所定重量範囲内になる排出組合せが複数存在する場合には、その複数の排出組合せの内、組合せ重量と目標組合せ重量との差の絶対値が最小である排出組合せを選択する。そして、制御部14は、後段の包装機から排出要求信号の入力に応答して、排出組合せに選択された計量コンベヤ3の駆動を開始すると共に、集合コンベヤ2の駆動を開始する。計量コンベヤ3を第1所定時間に亘って駆動することよって、計量コンベヤ3上の被計量物が、集合コンベヤ2上へ排出される。集合コンベヤ2を第2所定時間に亘って駆動することによって、計量コンベヤ3から排出された被計量物が、後段の包装機へ搬送されて排出される。制御部14は、所定のタイミングで後段の包装機へ排出完了信号を出力する。上記のような動作が繰り返し行われる。
【0048】
上記の動作において、被計量物が供給載置された計量コンベヤ3が、排出組合せに選択された場合には、排出要求信号の入力がある迄は、計量コンベヤ3は駆動されない待機状態となる。
【0049】
この待機状態では、既に計量コンベヤ3上に被計量物が載置されている、すなわち、計量コンベヤ3は空ではないので、作業者は、例えば、その計量コンベヤ3上に、被計量物を追加で供給したり、既に載置されている被計量物の一部を取り除くといったことをしてはならない。
【0050】
しかし、必要な生産量を確保するために、焦って作業を行っている不慣れな作業者などは、計量コンベヤ3上の被計量物の量が少ない、あるいは、被計量物の量が多いと判断して、待機状態の計量コンベヤ3上に、誤って被計量物を追加で供給したり、あるいは、計量コンベヤ3上の被計量物の一部を取り除いたりすることがある。
【0051】
このように待機状態の計量コンベヤ3上に、誤って被計量物が追加されたり、あるいは、被計量物の一部が取り除かれた後に、後段の包装機からの排出要求信号の入力に応答して、待機状態の計量コンベヤ3の駆動が開始されると、排出組合せに選択された際の被計量物の重量よりも重い、あるいは、軽い重量の被計量物が計量コンベヤ3によって搬送されて集合コンベヤ2に排出され、誤計量が生じる。
【0052】
また、上記のような不慣れな作業者などは、待機状態に限らず、計量コンベヤ3の駆動が開始された搬送状態の計量コンベヤ3上に、慌てて被計量物を追加で供給したり、あるいは、被計量物の一部を取り除いたりすることがあり、このような場合にも誤計量が生じることになる。
【0053】
この実施形態では、上記のような待機状態の計量コンベヤ3や駆動が開始された搬送状態の計量コンベヤ3への作業者による被計量物の誤った供給による誤計量を防止するために、次のようにしている。
【0054】
すなわち、この実施形態では、排出組合せに選択された計量コンベヤ3上の被計量物の重量を監視し、待機状態で被計量物の重量に変動があったときには、排出組合せをキャンセルして組合せ演算を再度行って、新たな排出組合せを選択するようにしている。この新たに選択された排出組合せの計量コンベヤについても同様に重量を監視して、待機状態で被計量物の重量に変動があったときには、排出組合せをキャンセルして組合せ演算を再度行って、新たな排出組合せを選択する
これによって、排出組合せに選択された時点の重量から重量変動のあった計量コンベヤ3の被計量物が、新たな排出組合せに選択されることなく、集合コンベヤ2に搬送されることがなく、誤計量を防止することができる。
【0055】
また、排出組合せに選択された計量コンベヤ3の駆動が開始された搬送状態においても、駆動が開始された計量コンベヤ3上の被計量物の重量を監視し、被計量物の重量に変動があったときには、報知部としての表示灯8を、例えば、点滅して、計量コンベヤ3への被計量物の誤った供給があったことを報知すると共に、集合コンベヤ2を停止させ、あるいは、集合コンベヤ2の搬送方向を逆にして被計量物を逆方向に排出するようにしている。
【0056】
これによって、排出組合せに選択された時点の重量から重量変動のあった計量コンベヤ3の被計量物が、集合コンベヤ2によって本来の搬送方向である後段の包装機へ搬送されるのを阻止することができるので、誤計量を防止することができる。
【0057】
なお、計量コンベヤ3への被計量物の誤った供給があったことの報知は、表示灯8による表示に限らず、ブザ等の音による報知などであってもよく、それらを組合せてもよい。
【0058】
次に、この実施形態の組合せ秤の上記誤計量防止の動作の一例を、図4のフローチャートに基づいて説明する。
【0059】
先ず、組合せ秤の運転を開始して、作業者が、搬送停止状態の空の計量コンベヤ3上に被計量物を供給載置する(ステップS1)。計量コンベヤ3に対応する重量センサ16からの荷重信号はA/D変換され(ステップS2)、更にフィルタリング処理され(ステップS3)、荷重信号が安定して重量値が確定する(ステップS4)。計量コンベヤ3の被計量物の確定した重量値に基づいて組合せ演算を行い(ステップS5)、被計量物を排出すべき計量コンベヤ3の排出組合せが選択されたか否か、すなわち、排出組合せが成立したか否かを判断し(ステップS6)、排出組合せが成立しなかったときは、上記ステップS2に戻る。
【0060】
ステップS6で排出組合せが成立したときには、後段の包装機から排出要求信号が入力されたか否かを判断し(ステップS7)、排出要求信号が入力されたときには、後述の図5の排出処理に移行し、排出要求信号の入力がないときには、待機状態であるとして、ステップS8に移る。
【0061】
ステップS8では、排出組合に選択されている計量コンベヤ3に対応する重量センサ16からの荷重信号がA/D変換され、更にフィルタリング処理され(ステップS9)、重量値が確定する(ステップS10)。確定した重量値が、排出組合せに選択された時点の重量値に対して変動したか否か、すなわち、重量値の増減があるか否かを判断し(ステップS11)、重量値の増減がないときには、ステップS7に戻る。また、ステップS11で、重量値の増減があったときには、待機状態において、作業者のミスによって、例えば、計量コンベヤ3へ被計量物が追加供給された、あるいは、計量コンベヤ3の被計量物の一部が取り除かれたとして、選択されている排出組合せをキャンセルし(ステップS12)、ステップS2に戻り、重量値を取込んで再度の組合せ演算を行う。
【0062】
上記ステップS6で排出組合せが成立し、上記ステップS7で、後段の包装機から排出要求信号の入力があると、図5に示される、排出組合せに選択された計量コンベヤ3から被計量物を排出する処理に移行する。
【0063】
図5に示すように、排出組合せに選択された計量コンベヤ3の駆動を開始し(ステップS13)、駆動した計量コンベヤ3に対応する重量センサ16からの荷重信号がA/D変換され(ステップS14)、更にフィルタリング処理される(ステップS15)。このフィルタリング処理は、計量コンベヤ3を駆動している搬送状態でのフィルタリング処理であるので、上記ステップS3,S9のような計量コンベヤ3を停止させた静止状態でのフィルタリング処理とは異なり、フィルタ係数を、計量コンベヤ3の振動ノイズを減衰させるのに適した係数値に変更して行う。このフィルタリング処理後の重量値が確定すると(ステップS16)、その重量値が、排出組合せに選択された時点の重量値に対して減少したか否かを判断する(ステップS17)。
【0064】
ステップS17で、重量値が減少したときには、その重量値が零g付近まで減少したか否かを判断し(ステップS18)、重量値が零g付近まで減少したときには、計量コンベヤ3上の被計量物が正常に集合コンベヤ2に排出されたとして終了する(ステップS19)。
【0065】
ステップS18で、重量値が減少したものの、重量値が零g付近まで減少しなかったときには、排出組合せに選択された計量コンベヤ3の駆動が開始された搬送状態で、作業者のミスによって、計量コンベヤ3の被計量物の一部が取り除かれた、すなわち、誤った被計量物の供給があったとして、表示灯8を点滅させて報知して、集合コンベヤ2を停止させ、あるいは、集合コンベヤ2を逆方向へ駆動して集合コンベヤ2上の被計量物を逆方向へ搬送して図示しない回収容器に回収する(ステップS22)。集合コンベヤ2を停止させた場合には、作業者によって集合コンベヤ2上の被計量物が回収される。
【0066】
上記ステップS17で、重量値が、排出組合せに選択された時点の重量値に対して減少しなかったときには、重量値が、排出組合せに選択された時点の重量値に対して増加したか否かを判断し(ステップS20)、重量値が増加したときには、排出組合せに選択された計量コンベヤ3の駆動が開始された搬送状態で、作業者のミスによって、計量コンベヤ3へ被計量物を追加で供給した、すなわち、誤って被計量物が供給されたとして、表示灯8を点滅させて報知して、集合コンベヤ2を停止させ、あるいは、集合コンベヤ2を逆方向へ回転駆動して集合コンベヤ2上の被計量物を逆方向へ搬送して回収容器に回収する(ステップS21)。
【0067】
上記ステップS20で、重量値の増加がなかったときには、重量値の変動がなかったとして、ステップS14に戻る。
【0068】
以上のように本実施形態によれば、組合せ演算によって排出組合せに選択された計量コンベヤ3の駆動が開始される迄の待機状態で、排出組合せに選択された計量コンベヤ3上に、作業者が誤って被計量物を追加で供給したり、あるいは、作業者が誤って計量コンベヤ3上の被計量物の一部を取り除くなどしたときには、組合せ演算をやり直して新たな排出組合せを選択する。これによって、被計量物が誤って供給された計量コンベヤ3上の被計量物が、新たな排出組合せに選択されることなく、そのまま集合コンベヤ2に搬送されることはなく、誤計量を防止することができる。
【0069】
また、組合せ演算によって排出組合せに選択された計量コンベヤ3の駆動が開始された搬送状態で、排出組合せに選択された計量コンベヤ3上に、作業者が誤って被計量物を追加で供給したり、あるいは、作業者が誤って計量コンベヤ3上の被計量物の一部を取り除くなどしたときには、表示灯8を点滅して、被計量物が誤って供給されたことを報知すると共に、集合コンベヤ2の駆動を停止し、又は、その搬送方向を逆にして駆動する。これによって、被計量物が誤って供給された計量コンベヤ3の被計量物は、集合コンベヤ2上に留まる、あるいは、集合コンベヤ2によって、本来の搬送方向とは逆方向に搬送して回収することができる。したがって、被計量物が誤って供給された計量コンベヤ3の被計量物が、集合コンベヤ2の後段の包装機へ排出されることはなく、誤計量を防止することができる。
【0070】
特に、被計量物が追加されたり、あるいは、被計量物の一部が取り除かれるなどした計量コンベヤ3の被計量物が、集合コンベヤ2に排出されても、集合コンベヤ2の駆動を停止し、あるいは、集合コンベヤ2の搬送方向を逆にして駆動することによって、集合コンベヤ2の後段の包装機へ排出されることはなく、誤計量を防止することができる。
【0071】
上記実施形態では、排出組合せに選択された計量コンベヤ3の駆動が開始された搬送状態で、排出組合せに選択された計量コンベヤ3上に、被計量物が誤って供給されたときには、集合コンベヤ2の駆動を停止し、又は、その搬送方向を逆にして駆動したが、他の実施形態として、例えば、計量コンベヤ3の搬送距離が比較的長く、誤って供給された被計量物が計量コンベヤ3上にある間に、計量コンベヤ3の駆動を停止し、又は、その搬送方向を逆にして駆動するようにしてもよい。あるいは、計量コンベヤ3及び集合コンベヤ2の両コンベヤ3,2の駆動を停止し、又は、その搬送方向を逆にして駆動してもよい。
【0072】
上記実施形態では、集合コンベヤ2の後段には、包装機が配置されたが、他の実施形態として、例えば、集合コンベヤ2から排出される被計量物を、作業者が包装袋等で受取るようにし、作業者が、近くのスイッチを操作して、組合せ秤1に排出要求信号を入力するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0073】
1 組合せ秤
2 集合コンベヤ
3 計量コンベヤ
6 操作設定表示器
8 表示灯(報知部)
14 制御部
図1
図2
図3
図4
図5