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特許7337485フィルタの状態に基づく監視をするためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-25
(45)【発行日】2023-09-04
(54)【発明の名称】フィルタの状態に基づく監視をするためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 46/42 20060101AFI20230828BHJP
   F02C 7/052 20060101ALI20230828BHJP
   F01D 21/14 20060101ALI20230828BHJP
   F01D 21/10 20060101ALI20230828BHJP
【FI】
B01D46/42 A
F02C7/052
F01D21/14 C
F01D21/14 E
F01D21/10
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018100271
(22)【出願日】2018-05-25
(65)【公開番号】P2019010638
(43)【公開日】2019-01-24
【審査請求日】2021-05-14
(31)【優先権主張番号】15/608,591
(32)【優先日】2017-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】ブラッドリー・アーロン・キッペル
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・コンラッド・フレーゼ
【審査官】目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第08747533(US,B1)
【文献】特開昭61-101221(JP,A)
【文献】特開2012-110862(JP,A)
【文献】国際公開第2011/145186(WO,A1)
【文献】特開2001-087612(JP,A)
【文献】特開昭59-055328(JP,A)
【文献】特開昭57-171408(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D46/00-46/90
F01D17/00-21/20
F02C7/052
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンシステムの吸気部(16)とプロセッサ(36,38)とを含むシステムであって、
前記吸気部(16)は、
フィルタ(42)と、
2以上の歪みゲージ(23)と、を含み、
前記2以上の歪みゲージ(23)は、少なくとも第1の歪みゲージ(23)と第2の歪みゲージ(23)を含み、
前記第1の歪みゲージ(23)は前記フィルタ(42)の第1の場所に配置され、
前記第2の歪みゲージ(23)は前記フィルタ(42)の第2の場所に配置され、
前記プロセッサ(36,38)は、
前記第1の歪みゲージ(23)から前記フィルタ(42)の第1の経時的な歪み情報を受け取り、
前記第2の歪みゲージ(23)から前記フィルタ(42)の第2の経時的な歪み情報を受け取り、
前記第1の経時的な歪み情報と前記第2の経時的な歪み情報とに少なくとも部分的に基づいて前記フィルタ(42)の動作状態を判定するように構成され、
前記動作状態の判定は、前記第1の経時的な歪み情報及び/または前記第2の経時的な歪み情報の変化が所定のしきい値時間よりも速く変化することを特定することに少なくとも部分的に基づく、
システム。
【請求項2】
前記フィルタ(42)は、
フレーム(153)と、
フィルタリング要素(62,154)と、
を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
ガスタービンシステムの吸気部(16)とプロセッサ(36,38)とを含むシステムであって、
前記吸気部(16)は、
フィルタ(42)を含み、前記フィルタ(42)は、
フィルタリング要素(62,154)と、
前記フィルタリング要素(62,154)を支持するフレーム(153)と、
少なくとも第1の歪みゲージ(23)と第2の歪みゲージ(23)とを含む2以上の歪みゲージ(23)と、を含み、
前記第1の歪みゲージ(23)は前記フィルタ(42)の第1の場所に配置され、
前記第2の歪みゲージ(23)は前記フィルタ(42)の第2の場所に配置され、
前記プロセッサ(36,38)は、
前記第1の歪みゲージ(23)から前記フィルタ(42)の第1の経時的な歪み情報を受け取り、
前記第2の歪みゲージ(23)から前記フィルタ(42)の第2の経時的な歪み情報を受け取り、
前記第1の経時的な歪み情報と前記第2の経時的な歪み情報とに少なくとも部分的に基づいて前記フィルタ(42)の動作状態を判定するように構成され、
前記動作状態の判定は、前記第1の経時的な歪み情報及び/または前記第2の経時的な歪み情報の変化が所定のしきい値時間よりも速く変化することを特定することに少なくとも部分的に基づく、
システム。
【請求項4】
ガスタービンシステムの吸気部(16)とプロセッサ(36,38)とを含むシステムであって、
前記吸気部(16)は、
取り付け面(66,160)と、
前記取り付け面(66,160)と併せて封止を形成するフィルタ(42)と、を含む、吸気部(16)であって、前記フィルタ(42)は、
フィルタリング要素(62,154)と、
前記取り付け面(66,160)の第1の場所に近接して配置された第1の歪みゲージ(23)と前記取り付け面(66,160)の第2の場所に近接して配置された第2の歪みゲージ(23)とを含む2以上の歪みゲージ(23)を含み、
前記プロセッサ(36,38)は、
前記第1の歪みゲージ(23)から前記フィルタ(42)の第1の経時的な歪み情報を受け取り、
前記第2の歪みゲージ(23)から前記フィルタ(42)の第2の経時的な歪み情報を受け取り、
前記第1の経時的な歪み情報と前記第2の経時的な歪み情報とに少なくとも部分的に基づいて前記フィルタ(42)の動作状態を判定するように構成され、
前記動作状態の判定は、前記第1の経時的な歪み情報及び/または前記第2の経時的な歪み情報の変化が所定のしきい値時間よりも速く変化することを特定することに少なくとも部分的に基づく、
システム。
【請求項5】
前記第1の場所は前記フレーム(153)上であり、前記第1の経時的な歪み情報は前記フィルタ(42)の前記フレーム(153)上の歪みを含み、
前記フィルタ(42)は、前記フィルタ(42)の近位端の前記吸気部(16)の取り付け面(66,160)に対して前記フレーム(153)を使用して前記フィルタリング要素(62,154)を選択的に定位置に保持するように構成された前記フィルタ(42)の遠位端にあるエンドキャップを含む、請求項2または3に記載のシステム。
【請求項6】
前記第2の歪みゲージ(23)は、前記フィルタ(42)と併せて封止を形成する取り付け面(66,160)に配置され、前記第2の経時的な歪み情報は、前記フィルタ(42)によって前記取り付け面(66,160)に及ぼされる歪みに少なくとも部分的に基づき、
前記第2の歪みゲージ(23)は、前記フィルタ(42)の縁部(164)の下に配置される、請求項1乃至5のいずれかに記載のシステム。
【請求項7】
前記動作状態は、前記フィルタ(42)の清浄度状態及び/または封止状態を含む、請求項1乃至6のいずれかに記載のシステム。
【請求項8】
前記プロセッサ(36,38)は、前記システムを組み込む前記ガスタービンシステム(10)のオペレータに前記動作状態を示す信号を送信するように構成される、請求項1乃至7のいずれかに記載のシステム。
【請求項9】
前記フィルタ(42)は、円錐/円筒形フィルタ、円錐形フィルタ、円筒形フィルタ、vセルフィルタ(152)、チューブフィルタ、カートリッジフィルタ、パネルフィルタ、バッグフィルタ、ボックスフィルタ、またはこれらの組み合わせを含む、請求項1乃至8のいずれかに記載のシステム。
【請求項10】
前記フィルタ(42)の長手方向軸(44)は、重力とほぼ整列し、前記1つまたは複数の歪みゲージ(23)は、前記エンドキャップに近接する前記フレーム(153)上に配置される、請求項5に記載のシステム。
【請求項11】
前記プロセッサ(36,38)は、前記動作状態の視覚インジケータを表示させ、
前記第1の経時的な歪み情報と前記第2の経時的な歪み情報とに少なくとも部分的に基づいて、前記システムを含むガスタービンシステム(10)のメンテナンスを示す信号を送信するように構成される、請求項1乃至10のいずれかに記載のシステム。
【請求項12】
前記フィルタ(42)は、前記フィルタ(42)のフレーム(153)上に配置された追加の1つまたは複数の歪みゲージ(23)を含み、前記プロセッサ(36,38)は、
前記追加の1つまたは複数の歪みゲージ(23)から前記フィルタ(42)の第3の経時的な歪み情報を受け取り、
前記第3の経時的な歪み情報に少なくとも部分的に基づいて前記フィルタ(42)の清浄度状態を判定するようにさらに構成される、請求項1乃至11のいずれかに記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される主題は、フィルタリングに関し、より詳細には、状態に基づく監視を使用して機械の部品のフィルタの状態を判定することに関する。
【背景技術】
【0002】
ターボ機械システム(例えば、ガスタービンシステム)は、処理に関与する様々な部品およびサブシステムを含むことができる。例えば、ターボ機械は、負荷、シャフト、フィルタハウス、燃料ライン、燃焼器、タービン、および排気システムなどを含むことができる。部品およびサブシステムは、負荷(例えば、発電機)を駆動するシャフトを回転させることによって作業出力を生成するために連動して動作することができる。時間が経つにつれて、部品およびサブシステムは、使用または物質の蓄積などにより劣化する可能性がある。例えば、ターボ機械システムのフィルタハウス内のフィルタは、微粒子を蓄積することによって劣化し、それによってターボ機械システムの動作に悪影響を与える吸気システムの圧力低下を引き起こすおそれがある。さらに、フィルタは、蓄積された微粒子の重量のために適切に封止することができず、フィルタ処理されていない空気がターボ機械システムに入ることができ、したがって、部品のさらなる摩耗、部品の損傷、および/またはターボ機械システムの効率の低下をまねく。多くの場合、部品およびサブシステムのメンテナンスは、フィルタを検査および/または交換するために静的にスケジュールすることができる。しかしながら、静的スケジュールに従うとターボ機械システムの性能に影響を与える欠陥状態(例えば、劣化、汚れ、非封止)に実際に到達する前に、部品を交換することによって、非効率的なリソースの使用につながる場合がある。同様に、既に欠陥状態になった後に部品を交換する静的スケジュールに従うと、ターボ機械システム内での振動およびサージマージンの低下などの動作の非効率性および他の圧縮機動作の問題が生じる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第9387426号明細書
【発明の概要】
【0004】
最初に特許請求する主題の範囲に相応する特定の実施形態を以下に要約する。これらの実施形態は特許請求する主題の範囲を限定しようとするものではなく、むしろ、これらの実施形態は本主題の可能性のある形態の概要を提供しようとするものにすぎない。実際、本主題は、以下に記載する実施形態に類似してもよく、あるいは異なってもよい様々な形態を含むことができる。
【0005】
一実施形態では、システムは、フィルタと1つまたは複数の歪みゲージとを含む吸気部を含む。システムはまた、1つまたは複数の歪みゲージからフィルタの歪み情報を受け取り、歪み情報に少なくとも部分的に基づいてフィルタの動作状態を判定するように構成されたプロセッサを含む。
【0006】
別の実施形態では、システムはフィルタを含む吸気部を含む。フィルタは、フィルタリング要素と、フィルタリング要素を支持するフレームと、フレーム上に配置された1つまたは複数の歪みゲージと、を含む。システムはまた、1つまたは複数の歪みゲージからフィルタの歪み情報を受け取り、歪み情報に少なくとも部分的に基づいてフィルタの動作状態を判定するように構成されたプロセッサを含む。
【0007】
さらなる実施形態では、システムは、吸気部と、取り付け面と、取り付け面と併せて封止を形成するフィルタと、を含む。フィルタは、フィルタリング要素と、取り付け面に近接して配置された1つまたは複数の歪みゲージと、を含む。システムはまた、1つまたは複数の歪みゲージからフィルタの歪み情報を受け取り、歪み情報に少なくとも部分的に基づいてフィルタの動作状態を判定するように構成されたプロセッサを含む。
【0008】
本主題のこれらの、ならびに他の特徴、態様および利点は、添付の図面を参照しつつ以下の詳細な説明を読めば、よりよく理解されよう。添付の図面では、図面の全体にわたって、類似する符号は類似する部分を表す。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態による、ガスタービンシステムの1つまたは複数の部品の状態に基づく監視を可能にするガスタービンシステムのブロック図である。
図2】一実施形態による、図1のガスタービンシステムの吸気部のブロック図である。
図3】一実施形態による、図2の吸気部の水平円錐/円筒形フィルタの概略図である。
図4】一実施形態による、図2の吸気部の垂直円錐/円筒形フィルタの概略図である。
図5】一実施形態による、図2の吸気部のvセルフィルタの概略図である。
図6】一実施形態による、フィルタの動作状態を判定するのに適した処理の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下で、本主題の1つまたは複数の具体的な実施形態を説明する。これらの実施形態の簡潔な説明を提供しようと努力しても、実際の実施のすべての特徴を本明細書に記載することができるというわけではない。エンジニアリングまたは設計プロジェクトのような実際の実施の開発においては、開発者の特定の目的を達成するために、例えばシステム関連および事業関連の制約状態への対応など実施に特有の決定を数多くしなければならないし、また、これらの制約状態は実施ごとに異なる可能性があることを理解されたい。さらに、このような開発作業は複雑で時間がかかるかもしれないが、にもかかわらず、この開示の利益を得る当業者にとっては、設計、製作、および製造の日常的な仕事であることを理解されたい。
【0011】
本発明の主題の様々な実施形態の要素を導入するとき、冠詞「1つの(a、an)」、「この(the)」、および「前記(said)」は、1つまたは複数の要素が存在することを意味するように意図されている。「備える」、「含む」、および「有する」という用語は、記載された要素以外の追加の要素が存在する可能性を含む、および意味することを意図する。
【0012】
フィルタは、フィルタの内側の空気からフィルタの外側の空気を分離する。フィルタを通って吸入された空気は、より清浄になり、フィルタのフィルタリング要素上または外部環境に粒子を残す。前述したように、機械または機械のシステム(例えば、ガスタービンシステム)の性能および正常動作は、フィルタ(例えば、入口フィルタ)などのその部品の劣化によって影響され得る。以下の議論では、ガスタービンシステムのフィルタ処理に言及しているが、いくつかの実施形態では、以下に説明するこのようなフィルタ処理技術は、フィルタ処理(例えば、任意の吸気システム)を利用する任意のシステムに適用することができる。例えば、1つまたは複数のフィルタが過剰の微粒子を蓄積すると、吸気システムの圧力低下が増加し、効率を低下させ、および/またはガスタービンシステムのエネルギー出力を低下させる。さらに、上述したように、いくつかのフィルタは、ガスタービンシステムの吸気部の取り付け面との封止を失うことがある。したがって、フィルタとフィルタが配置されている取り付け面との間の封止が不完全であると、粒子を有するフィルタ処理されていない空気がフィルタの周りを流れてガスタービンシステムに流れる可能性がある。さらに、フィルタを通過するかまたはフィルタの周りを通過して入口ダクトに入る粒子は、最終的に、ターボ機械の他の部品(例えば、圧縮機の1つまたは複数のブレード)に着陸し、それによって1つまたは複数の部品の汚れを引き起こし、ガスタービンシステムの性能に影響を与える。多くの場合、フィルタは、予め設定された静的スケジュールに基づいて維持または交換される。しかしながら、そのような静的スケジュールに基づく監視は、少なくとも、上述の理由により非効率的である可能性がある。さらに、フィルタの以前の監視は、すべてのフィルタ、またはフィルタの完全な段階に基づいている場合がある。したがって、本明細書で開示される方法は、個々のレベルでフィルタの状態を判定することによって、フィルタの監視の細分性を高めることができる。
【0013】
したがって、本開示の特定の実施形態は、歪み情報を使用するガスタービンシステムの個々の部品(例えば、フィルタ、入口フィルタ)の状態に基づいた監視に関する。歪み情報は、清浄状態および/または封止状態など、ガスタービンシステムのフィルタの1つまたは複数の状態を観察するために使用することができる。フィルタの状態のこのような監視は、メンテナンス作業をより微妙なスケジューリングで実行することを可能にすることを理解されたい。すなわち、個々のフィルタごとに歪み情報を収集することができ、各フィルタのメンテナンスを個別に提供することができる。
【0014】
上述したように、フィルタの劣化は、予期しない圧力低下、ガスタービンシステムの効率の低下、部品の汚れの増加をもたらし、および/または劣化したフィルタを取り替えるためのガスタービンシステムの停止時間をもたらすことがある。したがって、歪み情報を利用して、1つまたは複数の予防措置を実行するために個々のフィルタ(またはフィルタのサブセット)の劣化を観察することができる。コントローラは、フィルタハウスの複数のフィルタ処理段階において、1つまたは複数のフィルタに関連する歪み情報を受け取ることができる。コントローラは、歪み情報に基づいて1つまたは複数のフィルタの動作状態を判定することができる。1つまたは複数の入口フィルタの動作状態を用いて1つまたは複数の予防措置を実行することができ、それは例えば、ガスタービンシステムの停止、1つまたは複数のフィルタのメンテナンスのスケジューリングおよび/または交換のスケジューリング、吸気口のフィルタのセルフクリーニングシステムを駆動すること、フィルタの封止を修理することなどである。そのような予防措置は、ガスタービンシステムに対する予期せぬ停止時間の可能性を低減することができ、および/またはフィルタ処理されていない空気の入口ダクトもしくは入口内の圧力低下を低減することによってガスタービンシステムの性能を改善することができる。
【0015】
ここで図面を参照すると、図1は、一実施形態による、ガスタービンシステム10の1つまたは複数の部品の状態に基づく監視を可能にするガスタービンシステム10のブロック図である。ガスタービンシステム10は、タービン12および後処理システム14を含む。特定の実施形態において、ガスタービンシステム10は、発電システムであってよい。ガスタービンシステム10は、ガスタービンシステム10を作動させるために、天然ガスおよび/または水素富化合成ガスなどの液体または気体の燃料を使用することができる。図示するように、ガスタービンシステム10は、吸気部16、圧縮機18、燃焼システム20、およびタービン12を含む。タービン12は、シャフト19を介して圧縮機18に駆動連結することができる。動作時に、空気が吸気部16を通ってガスタービンシステム10に入り(矢印17によって示されている)、圧縮機18で加圧される。
【0016】
吸気部16は、フィルタ(例えば入口フィルタ)のいくつかのフィルタ処理段階を含むフィルタハウスを含むことができる。特定の実施形態では、各段階のフィルタは、異なるペースまたは速度で劣化する(例えば、粒子が蓄積され、および/または封止品質を失う)。例えば、前フィルタ処理段階のフィルタ(例えば、入ってくる空気にさらされる最初のフィルタ)は最も速く劣化し、最も寿命が短くなる場合があるが、それは、これらの入口フィルタには、後フィルタ処理段階での後続の入口フィルタよりも多くの粒子が蓄積され、清浄度および封止品質が低下するからである。そのために、フィルタハウス内の最終フィルタ処理段階の入口フィルタには、先行段階の入口フィルタと比較して、最も遅い速度で粒子が蓄積されるので、寿命が最も長くなり得る。また、入口フィルタは、それらが位置する環境に基づいて異なる速度で劣化する場合がある。例えば、海岸または塩水の近くに配置された入口フィルタは、内陸にある入口フィルタよりも粒子がより速く蓄積され、より速く劣化する可能性がある。また、湿度の高い気候や降水量が多い気候では、入口フィルタがより乾燥した気候の入口フィルタと比較して湿潤で粘着性が高いため、より早く劣化する可能性がある。入口フィルタに粒子が蓄積されると、吸気部16を通過する空気が少なくなり、圧力低下が生じることがある。圧力低下は、ガスタービンシステム10の性能低下を引き起こすおそれがある。
【0017】
さらに、上述したように、フィルタ上の微粒子の重量または他の理由により、いくつかのフィルタは、ガスタービンシステム10の吸気部16の取り付け面との封止を失うことがある。したがって、フィルタとフィルタが配置されている取り付け面との間の封止が不完全であると、粒子を有するフィルタ処理されていない空気がフィルタの周りを流れてガスタービンシステム10に流れるおそれがある。したがって、本開示のいくつかの実施形態は、各フィルタの動作状態(例えば、清浄度状態、封止状態)の判定を可能にするために、各フィルタ処理段階における複数の入口フィルタの各フィルタの状態に基づく監視、ならびに1つまたは複数の予防措置(例えば、セルフクリーニングシステムの駆動、メンテナンスのスケジューリングおよび/または交換のスケジューリングなど)を可能にする。
【0018】
圧縮機18は、シャフト19に結合したいくつかの圧縮機ブレードを含むことができる。シャフト19の回転が、圧縮機ブレードの回転を引き起こすことにより、空気を圧縮機18へと引き込み、空気を燃焼システム20に入る前に圧縮する。前述したように、圧縮機ブレードは、吸気部16のフィルタハウスを通過する粒子を蓄積させて、劣化する(例えば、汚れる)可能性がある。
【0019】
圧縮空気が圧縮機18を出て燃焼システム20に入るとき、圧縮空気を、1つまたは複数の燃焼缶における燃焼のために燃料21と混合することができる。例えば、燃焼缶は、最適な燃焼、排出物、燃料消費、および動力出力などのために適切な速度で燃焼缶に燃料-空気混合物を噴射することができる1つまたは複数の燃料ノズルを含むことができる。空気および燃料21の燃焼は、高温の加圧された排気ガスを生じさせ、後にこの排気ガスを、タービン12において1つまたは複数のタービンブレードを駆動するために利用することができる。動作時、タービン12に流入してタービン12を通過する燃焼ガスが、タービンブレードに衝突しつつタービンブレードの間を流れることによってタービンブレードを駆動し、したがってシャフト19を回転させて発電プラントの発電機などの負荷22を駆動する。さらに、上述したように、シャフトの回転により、圧縮機18内のブレードが、吸気部16によって受け取られた空気を引き込み、加圧する。
【0020】
タービン12を通って流れる燃焼ガスを、タービン12の下流端15から排気ガスの流れとして放出することができる。排気ガスの流れは、後処理システム14に向かって下流方向に流れ続けることができる。例えば、下流端15を、後処理システム14に流体結合させることができる。燃焼プロセスの結果として、排気ガスは、窒素酸化物(NO)、硫黄酸化物(SO)、炭素酸化物(CO)、および未燃焼の炭化水素などの特定の副生成物を含む可能性がある。特定の規制ゆえに、後処理システム14を使用して、ガスタービンシステム10から排気ガスの流れを放出する前に、そのような副生成物の濃度を低減または実質的に最小化することができる。
【0021】
1つまたは複数の歪みゲージ(例えば、センサ)23が、ガスタービンシステム10の特定の部品に含まれてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、1つまたは複数の歪みゲージ23を吸気部16(例えば、フィルタハウス内、フィルタハウスの前、フィルタハウスの中央、および/またはフィルタハウスの後)に含めることができる。いくつかの実施形態では、歪みゲージ23は、フォイル歪みゲージ、ワイヤ歪みゲージ、半導体歪みゲージ、拡散半導体歪みゲージ、光電歪みゲージ、金属ワイヤタイプ歪みゲージ、磁歪歪みゲージなどの任意のタイプの歪みゲージを含むことができる。さらに、図3図5を参照して以下に説明するように、1つまたは複数の歪みゲージ場所に1つまたは複数の歪みゲージが配置されてもよいことを理解されたい。本明細書で開示される技術における信頼性を高めるために、より多くの歪みゲージ23を使用してもよいし、コストをより少なくするために、より少ない歪みゲージ23を使用してもよい。
【0022】
歪みゲージ23は、歪みゲージ23を無線(例えば、Bluetooth(登録商標)Low Energy、ZigBee(登録商標)、WiFi(登録商標))または有線接続(例えば、Ethernet)を介してコントローラ24および/またはコンピューティングデバイス26に通信可能に接続できる通信回路を含むことができる。いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイス26は、ラップトップ、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ、またはヒューマンマシンインターフェースなどを含むことができる。いくつかの実施形態では、コントローラ24およびコンピューティングデバイス26は、ターボ機械を制御する機能を実行する単一のコンピューティングデバイスであってもよい。
【0023】
歪みゲージ23は、歪み情報(例えば、歪み、圧縮力、張力)などを示す信号などをコントローラ24および/またはコンピューティングデバイス26に送信することができる。コントローラ24および/またはコンピューティングデバイス26は、信号に基づいてフィルタ状態ロジック28のパラメータとして測定値を受け取ることができる。このように、コントローラ24および/またはコンピューティングデバイス26は、それぞれ、フィルタ状態ロジック28を実施するコンピュータ命令を格納する1つまたは複数の有形の非一時的なコンピュータ可読媒体(例えば、メモリ32、34)を含むことができる。フィルタ状態ロジック28は、コンピューティングデバイス26のメモリ34に格納されるように示されているが、いくつかの実施形態では、フィルタ状態ロジック28をコントローラ24のメモリ32にも格納してもよいし、またはフィルタ状態ロジック28をコントローラ24のメモリ32だけに格納してもよい。さらに、コントローラ24および/またはコンピューティングデバイス26は、信号を受信してプロセッサ36および38に送信するよう構成されたネットワークインターフェースなどの通信回路を含むことができる。さらに、いくつかの実施形態では、フィルタ状態ロジック28は、ハードウェア実装を使用して少なくとも部分的に具現化されてもよい。例えば、フィルタ状態ロジックは、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)および/または他の特定の回路を含むことができる。
【0024】
プロセッサ36、38は、コンピュータ実行可能コードを実行することができる任意のタイプのコンピュータプロセッサまたはマイクロプロセッサであってもよい。さらに、プロセッサ36、38は、複数のプロセッサまたはマイクロプロセッサ、1つまたは複数の「汎用」プロセッサまたはマイクロプロセッサ、1つまたは複数の専用プロセッサまたはマイクロプロセッサ、ならびに/あるいは1つまたは複数の特定用途向け集積回路(ASICS)、あるいはそれらの何らかの組み合わせを含むことができる。
【0025】
メモリ32、34は、プロセッサ実行可能命令、コード、またはデータなどを格納するメディアとして機能することができる任意の適切な製品であってもよい。これらの製品は、本開示の技術を実行するためにそれぞれのプロセッサ36、38によって使用されるプロセッサ実行可能コードまたはルーチンを格納することができるコンピュータ可読媒体(例えば、任意の適切な形態のメモリまたはストレージ)を表すことができる。例えば、メモリ32、34は、揮発性メモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM))、不揮発性メモリ(例えば、読み出し専用メモリ(ROM))、フラッシュメモリ、ハードドライブ、または、他の任意の適切な光学的、磁気的、もしくは固体状態の記憶媒体、またはそれらの組み合わせを含むことができる。メモリ32、34はまた、任意のデータ(例えば、性能データ、センサデータ、ガスタービンシステム10が位置する環境の局所的条件、メンテナンスおよび/または修理のスケジュール)、データの解析、フィルタ状態ロジック28などを格納するために用いることができる。
【0026】
一般に、プロセッサ36および/または38は、フィルタの状態(例えば、清浄度状態、封止状態)を判定および/または予測することができるフィルタ状態ロジック28を実行して、1つまたは複数の予防措置を実行することができる。フィルタ状態ロジック28は、フィルタの状態を判定するために、1つまたは複数のフィルタ状態モデル(例えば、物理に基づく、数学的な)を生成および/または更新することができる。フィルタ状態を判定するために、フィルタ状態モデルは1つまたは複数のパラメータを考慮することができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のパラメータは、1つまたは複数のフィルタについて歪みゲージ23によって得られた歪み情報を含むことができる。1つまたは複数のパラメータは、各フィルタが修復、洗浄、または交換された後の期間も含むことができる。1つまたは複数のパラメータは、各歪みゲージ23が配置される場所(例えば、位置)をさらに含むことができる。したがって、フィルタ状態モデルは、これらのパラメータに基づいてフィルタ状態を個別にかつ全体として判定することができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、フィルタ状態モデルは、ガスタービンシステム10が動作している間にリアルタイムで動作することができる。それに加えてまたはその代わりに、フィルタ状態モデルは、(例えば、ガスタービンシステム10が最後に動作したときから)格納された歪み情報を用いてガスタービンシステム10がオフラインまたは停止している間に動作することができる。フィルタ状態モデルは、新しいデータ(例えば、歪みゲージ23、ガスタービンシステムの出力および効率など)に基づいてフィルタ状態モデルのパラメータを更新するという点で適応性があり得る。例えば、歪みゲージ23からの測定値(例えば、歪み情報)を含む信号は、ガスタービンシステム10が動作している間に、コンピューティングデバイス26および/またはコントローラ24を循環することができる。信号は、定期的に、オンデマンドで、測定値が変化する場合などに送信することができる。フィルタ状態モデルは、ガスタービンシステム10の動作が継続し、追加の歪み情報が蓄積され、処理されるにつれて、忠実度を向上させ続けることができる。さらに、後で収集された歪み情報を用いて、フィルタ状態モデル予測を検証することができる。すなわち、フィルタ状態モデルが、30稼働時間内にフィルタにある程度の欠陥が生じると予測した場合には、30時間以内に歪み情報を読み込み、フィルタ状態モデルに基づく予測が正確であったかどうかを判定することができる。そうでなければ、フィルタ状態モデルをそれに応じて調整することができる。さらに、本明細書で開示された技術は、フィルタ状態ロジック28を介して、またはフィルタ状態モデルの有無にかかわらず実行することができることを理解されたい。
【0029】
各ガスタービンシステム10は様々な物理的位置に配置することができるので、ガスタービンシステム10の部品の劣化速度は、局所的状態が変化するために変化する可能性がある。例えば、海岸に近い場所のフィルタは、空気中のより高い湿度のために、内陸部のフィルタと比較して、吸気システムに大きな圧力低下率をもたらす可能性がある。さらに、建設現場または砂漠に近い場所のフィルタは、建設現場または砂漠の近くの空気中の過剰な塵粒子のために、吸気システムが、建設現場または砂漠から離れた場所のフィルタと比較して、より大きな圧力低下率を有するようになる。したがって、フィルタ状態ロジック28は、各ガスタービンシステム10の物理的位置にかかわらず、健全なフィルタのみが吸気部16で使用されるように、フィルタの状態を識別するのに特に有用であり得る。
【0030】
いくつかの実施形態では、クラウドベースのシステムは、ガスタービンシステム10によって共有されるデータについて解析を実行することができる。例えば、クラウドベースのシステムは、各ガスタービンシステム10からセンサデータを受け取ることができる。クラウドベースのシステムは、特定のデータ(例えば、歪み情報、フィルタの判定された状態)のための中央リポジトリとして、およびフィルタ状態ロジック28を実行する様々なコンピューティングデバイス26および/またはコントローラ24と通信する中央処理システムとして機能することができる。特定の実施形態では、コンピューティングデバイス26は、クラウドベースのシステムの一部であってもよく、および/またはガスタービンシステム10から離れて配置されてもよい。
【0031】
いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイス26および/またはコントローラ24は、ディスプレイ39を利用することができる。ディスプレイ39は、判定されたフィルタ状態などに基づく視覚インジケータなどの様々なグラフィック要素を表示するために使用することができる。さらに、ディスプレイ39を使用して、判定されたフィルタ状態および/または1つまたは複数の予防措置(例えば、判定されたフィルタ状態に基づくフィルタの定期メンテナンスおよび/または交換など)の結果を表示することができる。
【0032】
吸気部16をより詳細に見ると、図2は、図1のガスタービンシステム10のブロック図であり、一実施形態による、様々な入力を受けるフィルタ状態ロジック28を示す。図示するように、ガスタービンシステム10の吸気部16は、フィルタ42を含むフィルタハウス40を含む。フィルタ42はそれぞれ、重力46に対して実質的に垂直に延びる長手方向軸44を含むことができる。しかし、他の実施形態では、フィルタ42の長手方向軸44は、重力46と実質的に平行であってもよく、または重力46と実質的に交差していてもよい。フィルタ42は、円錐/円筒形フィルタ、円錐形フィルタ、円筒形フィルタ、vセルフィルタ、チューブフィルタ、カートリッジフィルタ、コンパクトフィルタ、パネルフィルタ、バッグフィルタ、ボックスフィルタ、ディーププリーツフィルタ、ミニプリーツフィルタなどであってもよい。
【0033】
前述したように、フィルタハウス40のフィルタ42は、空気がガスタービンシステムの入口ダクト48に入る前に空気から粒子をフィルタ処理する。入口ダクト48の構造は、ガスタービンシステム10の性能が損なわれる前に、特定のレベルの負圧をとるよう設計することができる。フィルタハウス40内の1つまたは複数のフィルタ処理段階において1つまたは複数のフィルタに蓄積した粒子によってフィルタハウス40が劣化すると、入口ダクト48内の圧力が低下する可能性がある。さらに、フィルタ42の封止が損なわれて、フィルタ処理されていない空気がガスタービンシステム10に入ることが可能になると、ガスタービンシステム10の性能は抑制されるおそれがある。したがって、フィルタ状態ロジック28は、各フィルタに関連する歪み情報を監視することによって、フィルタ状態モデルを生成および/または更新して、1つまたは複数のフィルタ処理段階のそれぞれにおける各フィルタ42の状態(例えば、清浄度状態、封止状態)を判定することができる。
【0034】
入力は、1つまたは複数の歪みゲージ23からの歪み情報を含むことができる。図示するように、歪みゲージ23は、フィルタ42に近接して配置する(例えば、フィルタ42の内側に配置する、それと同じ表面上に配置する、それのしきい値距離内に、および/またはその下に配置する)ことができ、フィルタ42に関連する歪みを測定するように構成することができる。特定の実施形態では、1つのみのまたは複数の歪みゲージ23を使用することができることに留意されたい。例えば、1つまたは複数の歪みゲージを各フィルタ42上に配置して、フィルタの一般的な状態段階のみを判定することができる監視システムと比較して、各フィルタ42の状態の判定の細分性を高めることができる。
【0035】
歪みゲージ23は、コントローラ24および/またはコンピューティングデバイス26に通信可能に結合され、歪み情報を示す信号をコントローラ24および/またはコンピューティングデバイス26に送信するように構成することができる。いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイス26のプロセッサ38は、フィルタ状態ロジック28を実行し、コントローラ24から歪み情報を受け取ることができる。いくつかの実施形態では、歪みゲージ23は、フィルタ状態ロジック28を実行するコンピューティングデバイス26と直接無線で結合されてもよく、および/またはコントローラ24を介してコンピューティングデバイス26に送信される歪み情報を送信してもよい。
【0036】
ガスタービンシステム10が動作すると、フィルタ状態ロジック28は、ガスタービンシステム10の歪みゲージ23で測定された歪み情報によりフィルタ状態モデルを更新することができる。すなわち、過去のデータを歪みゲージ23からフィルタ状態ロジック28に送り、フィルタ状態モデルが正確であるかどうかを判定することができる。したがって、フィルタ状態ロジック28は、ガスタービンシステム10の変更された状態に基づいて、リアルタイムまたはほぼリアルタイムでフィルタ状態モデルを更新することができる。さらに、フィルタ状態ロジック28は、フィルタ状態モデルが正確であるかどうかを判定するために、続いて得られた歪み情報を使用することができる。結果として、フィルタ状態モデルは、経時的な測定データ(例えば、歪み情報)に基づいてその判定の忠実度を向上させることができる。フィルタ状態モデルは、フィルタ42の状態(例えば、清浄度状態、封止状態)を出力し、ならびに/あるいはこれらの状態に基づいて予防措置を実行および/または推奨することができる。
【0037】
図3は、吸気部16の水平円錐/円筒形フィルタ60の概略図である。図示するように、水平円錐/円筒形フィルタは、重力46に対して実質的に垂直(例えば、10%以内)である長手方向軸44を有する。図示するように、水平円錐/円筒形フィルタ60は、図2を参照して説明したフィルタ42であってもよい。水平円錐/円筒形フィルタ60は、支持構造体64の上部に配置されたフィルタリング要素62を含む。さらに、フィルタリング要素62および支持構造体64は、取り付け点68を介して吸気部16の取り付け面66に結合される。取り付け面66は開口部70を含むことができ、フィルタリング要素62を通って水平円錐/円筒形フィルタ60の内部空間72に引き込まれた空気が、開口部70を通り、圧縮機18などのガスタービンシステム10の下流部分に流入することができる。
【0038】
空気が水平円錐/円筒形フィルタ60を通過するにつれて、粒子が水平円錐/円筒形フィルタ60の外面74上に蓄積することがある。このようにして、水平円錐/円筒形フィルタ60はより重くなり、重力46の影響をより受けることになる。したがって、支持構造体64と取り付け面66との間の取り付け点68は、より歪みを受ける可能性がある。歪みゲージ(例えば、上述したような歪みゲージ23)は、支持構造体64の表面上またはその内部に取り付け面66に隣接して(例えば、直接隣接して、しきい値距離内に)配置されて、フィルタリング要素62への粒子の蓄積に関する歪み情報を収集することができる。水平円錐/円筒形フィルタ60に粒子がより多く蓄積するにつれて、支持構造体64を通る歪みは、水平円錐/円筒形フィルタ60の清浄度状態を示すことができる。
【0039】
例えば、特定の実施形態では、支持構造体64の上面81の第1の場所80に歪みゲージ23を配置して、支持構造体64を通る張力(例えば、伸張力、歪み)を測定することができる。すなわち、水平円錐/円筒形フィルタ60に粒子がより多く蓄積するにつれて、第1の場所80の歪みゲージ23は、上面81がより大きい張力を受けることを測定することができる。以下にさらに説明するように、歪み情報を収集して解析して、水平円錐/円筒形フィルタ60の清浄度状態を判定することができる。張力を測定するために、1つまたは複数の歪みゲージ23を第1の場所80の1つまたは複数に配置することができる。
【0040】
それに加えてまたはその代わりに、特定の実施形態では、支持構造体64の下面83上の第2の場所82に歪みゲージ23を配置して、支持構造体64を通る圧縮力(例えば、短縮力、歪み)を測定することができる。すなわち、水平円錐/円筒形フィルタ60に粒子がより多く蓄積するにつれて、第2の場所82の歪みゲージ23は、支持構造体64の下面83におけるより大きな圧縮力を測定することができる。以下にさらに説明するように、歪み情報を収集し、フィルタ状態モデルを介して解析して、水平円錐/円筒形フィルタ60の清浄度状態を判定することができる。圧縮力を測定するために、1つまたは複数の歪みゲージ23を第2の場所82の1つまたは複数に配置することができる。このようにして、歪みゲージ23の圧縮を監視し、水平円錐/円筒形フィルタ60の粒子の蓄積および劣化を示すように判定することができる。歪みゲージ23は、使用される歪みゲージ23の上記の位置にかかわらず、水平円錐/円筒形フィルタ60に蓄積された粒子の量に比例する、水平円錐/円筒形フィルタ60に下方向に作用する力を測定する。
【0041】
さらに、特定の実施形態では、歪みゲージ23は、水平円錐/円筒形フィルタ60の封止状態を監視するために、取り付け面66上の第3の場所90に配置されてもよい。上述したように、水平円錐/円筒形フィルタ60は、取り付け面66との適切な封止を形成しないことがあり得る。例えば、水平円錐/円筒形フィルタ60の封止は、設置中に適切に形成されないか、またはガスタービンシステム10の動作中に失われることがあり、フィルタ処理されていない空気がガスタービンシステム10に流入する場合がある。したがって、圧縮力を、第3の場所90の一方または両方において歪みゲージ23により監視することができる。いくつかの実施形態では、第3の場所90に配置された歪みゲージについて現在の歪み情報値と過去の歪み情報値との間の距離(例えば、歪み情報の前日の平均、歪み情報の前週の平均、歪み情報中の歪み情報の前月の中央値など)がしきい値距離よりも大きく、かつ/またはしきい値間隔(例えば、5分、1時間、1日など)よりも速く発生する場合には、フィルタ状態モデルは、フィルタの状態(例えば、封止状態)が不良であると判定することができる。すなわち、そのような実施形態では、第3の場所90の歪みゲージ23から受け取った歪み情報に急激な変化が生じた場合には、その変化は、水平円錐/円筒形フィルタ60と取り付け面66との間の封止の喪失に起因する可能性がある。しきい値およびしきい値間隔は、過去のデータ、ユーザ入力、動作状態などに少なくとも部分的に基づいて選択することができる。
【0042】
特定の実施形態では、第3の場所90に配置された歪みゲージ23の歪み情報の変化がしきい値以下であり、かつ/またはしきい値間隔よりもゆっくりと起こる場合には、フィルタ状態モデルは、水平円錐/円筒形フィルタ60の封止が実質的に影響されないと判定することができる。封止状態は、水平円錐/円筒形フィルタ60が吸気部16に設置された後に監視することができ、および/またはガスタービンシステム10の寿命にわたって監視することができる。さらに、2つの第3の場所90が示されているが、歪みゲージ23を水平円錐/円筒形フィルタ60に近接した取り付け面66の任意の部分に配置することができ、そのようにして、歪みゲージ23が水平円錐/円筒形フィルタ60の封止状態を示す圧縮力および張力を監視するために使用される歪み情報を収集することができることを理解されたい。この目的のために、1つまたは複数の歪みゲージ23を、1つまたは複数の第3の場所90の各場所で利用することができる。第3の場所90は封止状態に関して説明されているが、上側の第3の場所90の歪みゲージ23は、下側の第3の場所90の歪みゲージ23が圧縮の同様の増加を検出した場合には、清浄度を圧縮力の喪失に帰することもできる。
【0043】
それに加えてまたはその代わりに、特定の実施形態では、上述の技術は、水平円錐/円筒形フィルタ60の状態を示す歪み情報を送信するために、フィルタリング要素62の表面および/またはフィルタリング要素62内に配置された歪みゲージ23に適用されてもよい。特定の実施形態では、水平円錐/円筒形フィルタ60の状態の判定の信頼性を高めるために、より大きい量の歪みゲージ23を吸気部16で利用することができるが、より少ない量の歪みゲージ23を利用することにより、本明細書に記載された技術を使用することに関連するコストを低減することができる。したがって、本明細書で開示された技術は、様々な信頼性およびコスト要件について個々の水平円錐/円筒形フィルタ60の状態(例えば、清浄度状態、封止状態)を判定するためにスケーラブルである。
【0044】
図4は、一実施形態による、図2の吸気部16の垂直円錐/円筒形フィルタ100の概略図である。図3の水平円錐/円筒形フィルタ60と同様に、同様の符号を付された同様の要素を有し、垂直円錐/円筒形フィルタ100のフィルタリング要素62を通って空気が引き込まれ、フィルタリング要素62の外面74上に粒子が残る。このようにして、フィルタ処理された空気は、垂直円錐/円筒形フィルタ100の内部の内部空間72に入り、次いで、取り付け面66と垂直円錐/円筒形フィルタ100との間の開口部70を通って進むことができる。フィルタリング要素62が保持ナット102(例えば、ウイングナット、構造ナット、ロックナットなど)を介して支持構造体64上に保持されるように、垂直円錐/円筒形フィルタ100内に配置された支持構造体64は、垂直円錐/円筒形フィルタ100の長手方向端部104に配置される。さらに、垂直円錐/円筒形フィルタ100の長手方向軸44は、重力46と実質的に平行(例えば、10%以内)である。垂直円錐/円筒形フィルタ100は、上述した1つまたは複数のフィルタ42の任意の組み合わせを含むことができる。
【0045】
特定の実施形態では、垂直円錐/円筒形フィルタ100は、垂直円錐/円筒形フィルタ100の状態を判定するために使用される歪み情報を収集するために、特定の場所に配置された歪みゲージ23も含むことができる。歪みゲージ23は、垂直円錐/円筒形フィルタ100の清浄度状態および/または封止状態を監視するために、その場所に配置されてもよい。
【0046】
例えば、歪みゲージ23は、垂直円錐/円筒形フィルタ100の清浄度状態を監視するために、取り付け面66に近接する支持構造体64の第4の場所110、および/または垂直円錐/円筒形フィルタ100の長手方向端部104に近接する第5の場所112に配置することができる。歪みゲージ23は、支持構造体64の表面114上またはその中に配置されてもよい。したがって、垂直円錐/円筒形フィルタ100に粒子がより多く蓄積すると、垂直円錐/円筒形フィルタ100の重量が大きくなり、第4の場所110および第5の場所112の歪みゲージ23に張力(例えば、伸張力)が生じる。このようにして、第4の場所110および第5の場所112における歪みゲージ23の張力を監視し、垂直円錐/円筒形フィルタ100の粒子の蓄積および劣化を示すように判定することができる。実際、歪みゲージ23は、支持構造体64に沿ったどこにでも配置することができ、支持構造体64が受ける張力の量を判定することができる。
【0047】
それに加えてまたはその代わりに、1つまたは複数の歪みゲージ23を、保持ナット102上、またはその付近に(例えば、第6の場所に)配置してもよい。垂直円錐/円筒形フィルタ100の重量が増加すると、保持ナット102上の圧縮力が増加する。したがって、保持ナット102上の歪みゲージ23の圧縮力を監視し、垂直円錐/円筒形フィルタ100の粒子の蓄積および劣化を示すように判定することができる。
【0048】
さらに、特定の実施形態では、垂直円錐/円筒形フィルタ100の封止状態を監視するために、歪みゲージ23を取り付け面66上の第7の場所120に配置することができる。上述したように、垂直円錐/円筒形フィルタ100は、設置中に取り付け面66と適切に封止しないことがあり、かつ/またはガスタービンシステムの動作中に封止が失われることがあり、それによってフィルタ処理されていない空気がガスタービンシステム10に流入する場合がある。したがって、圧縮力は、垂直円錐/円筒形フィルタ100の近くまたはその下の取り付け面66上の第7の場所120の一方または両方にある歪みゲージ23により監視することができる。第7の場所120に配置された歪みゲージ23の歪み情報の減少がしきい値よりも大きく、かつ/またはしきい値時間(例えば、5分、1時間、1日など)よりも速く発生する場合には、フィルタ状態モデルは、垂直円錐/円筒形フィルタ100の封止状態が不良であると判定することができる。特定の実施形態では、フィルタ状態モデルは、第7の場所に配置された歪みゲージ23の歪み情報の減少がしきい値よりも大きく、かつ/またはしきい値時間よりもゆっくり発生する場合には、フィルタの清浄度状態が不良であることをさらに判定することができる。
【0049】
しきい値およびしきい値間隔は、過去のデータ、ユーザ入力、動作状態などに少なくとも部分的に基づいて選択することができる。特定の実施形態では、第7の場所120に配置された歪みゲージ23の歪み情報の変化がしきい値以下であり、かつ/またはしきい値間隔よりもゆっくりと起こる場合には、フィルタ状態モデルは、垂直円錐/円筒形フィルタ100の封止が影響されないと判定することができる。封止状態は、垂直円錐/円筒形フィルタ100が吸気部16に設置された後に監視することができ、および/またはガスタービンシステム10の寿命にわたって監視することができる。
【0050】
それに加えてまたはその代わりに、特定の実施形態では、上述の技術は、垂直円錐/円筒形フィルタ100の状態を示す歪み情報を送信するために、フィルタリング要素62の表面および/またはフィルタリング要素62内に配置された歪みゲージ23に適用されてもよい。さらに、2つの第7の場所120が示されているが、歪みゲージ23を垂直円錐/円筒形フィルタ100に近接した取り付け面66の任意の部分に配置することができ、そのようにして、歪みゲージ23が垂直円錐/円筒形フィルタ100の封止状態を示す圧縮力を監視することができることを理解されたい。このために、1つまたは複数の歪みゲージ23が、1つまたは複数の第7の場所120の各場所に配置されてもよい。より大きい量の歪みゲージ23は、垂直円錐/円筒形フィルタ100の状態の判定の信頼性を高めることができるが、より少ない量の歪みゲージ23は、本明細書に記載の技術を使用することに関連するコストを低減することができる。
【0051】
図5は、図2の吸気部16のvセルフィルタシステム150の概略図である。vセルフィルタシステム150は、図3および図4を参照して説明した円錐/円筒形フィルタ60、100に加えて、またはその代わりに、吸気部16に配置されたフレーム153に取り付けられたvセルフィルタ152を含むことができる。vセルフィルタ152は、形状が実質的に矩形であってもよいし、ガスタービンシステム10に入る空気から粒子をフィルタ処理するのに適した他の任意の形状であってもよい。図示するように、vセルフィルタ152のフィルタリング要素154は、1つまたは複数の凹部156を含む。空気がvセルフィルタ152を通って引き込まれると、粒子が凹部156の外面158上に堆積することができる。したがって、vセルフィルタ152の清浄度状態が不良であると、vセルフィルタ152は重くなり、重力46の影響をより大きく受ける可能性がある。同様に、粒子の重量の追加または他の発生により、vセルフィルタ152とフレーム153との封止が損なわれる可能性がある。上述した円錐/円筒形フィルタ60、100と同様に、歪みゲージ23をフレーム上の様々な場所に配置して、個々のvセルフィルタ152の状態を監視することができる。
【0052】
vセルフィルタ152は、フレーム153の表面162上のそれぞれの取り付け面160に取り付けることができる。各取り付け面160は、vセルフィルタ152の縁部164を受け入れることができる。矩形のvセルフィルタ152では、4つの縁部164をフレーム153の取り付け面160に位置合わせして結合し(例えば、接着剤、ボルト、ねじ、スロット、ばねクリップなどにより)、封止を形成することができる。さらに、取り付け面160の上縁部には第8の場所170を配置することができ、取り付け面160の左縁部には第9の場所174を配置することができ、取り付け面160の右縁部には第10の場所178を配置することができ、取り付け面160の下縁部には第11の場所182を配置することができる。このようにして、vセルフィルタ152の各縁部164は、それぞれの場所に対応する。
【0053】
vセルフィルタ152の状態を判定するために使用される歪み情報を提供するために、歪みゲージ23を場所の1つまたは複数に配置することができる。個々のvセルフィルタの封止状態を判定するために、歪みゲージ23を第8、第9、第10および/または第11の場所170、174、178、182のうちの1つまたは複数に配置することができる。円錐/円筒形フィルタ60、100を参照して上述したのと同様に、vセルフィルタは、設置中に取り付け面160と適切に封止しないことがあり、かつ/またはガスタービンシステム10の動作中に封止が失われることがあり、フィルタ処理されていない空気がガスタービンシステム10に流入する場合がある。したがって、圧縮力を、第8、第9、第10および/または第11の場所170、174、178、182のうちの1つまたは複数において、歪みゲージ23により監視することができる。第8、第9、第10および/または第11の場所170、174、178、182のうちの1つまたは複数に配置された歪みゲージ23について現在の歪み情報値と過去の歪み情報値との間の距離(例えば、歪み情報の前日の平均、歪み情報の前週の平均、歪み情報中の歪み情報の前月の中央値など)がしきい値距離よりも大きく、かつ/またはしきい値間隔(例えば、5分、1時間、1日など)よりも速く発生する場合には、フィルタ状態モデルは、フィルタの状態(例えば、封止状態)が不良であると判定することができる。すなわち、第8、第9、第10および/または第11の場所170、174、178、182のうちの1つまたは複数における歪みゲージ23から受け取った歪み情報に急激な変化が生じた場合には、その変化は、vセルフィルタ152と取り付け面160との間の封止の喪失に起因する可能性がある。しきい値およびしきい値間隔は、過去のデータ、ユーザ入力、動作状態などに少なくとも部分的に基づいて選択することができる。
【0054】
それに加えてまたはその代わりに、vセルフィルタ152の清浄度状態を判定するために使用される歪み情報を提供するために、歪みゲージ23を場所の1つまたは複数に配置することができる。例えば、歪みゲージ23は、vセルフィルタ152と取り付け面160との間の圧縮力を監視するために、第8の場所170および/または第11の場所182に配置することができる。粒子がvセルフィルタ152上に蓄積すると、vセルフィルタの重量が増加し、第11の場所182に配置された1つまたは複数の歪みゲージ23に加えられる力が増加し、その結果、第8の場所170に配置された1つまたは複数の歪みゲージ23に加えられる力が減少する。圧縮力は、vセルフィルタ152の清浄度状態を判定するために経時的に監視することができる。さらに、特定の実施形態では、フィルタ状態モデルは、第8、第9、第10および/または第11の場所170、174、178、182の1つまたは複数に配置された歪みゲージ23の歪み情報の減少が、しきい値よりも大きく、かつ/またはしきい値時間よりもゆっくり発生する場合には、フィルタの清浄度状態が不良であることをさらに判定することができる。それに加えてまたはその代わりに、特定の実施形態では、上述の技術は、vセルフィルタ152の状態を示す歪み情報を送信するために、vセルフィルタ152の表面および/またはvセルフィルタ152内に配置された歪みゲージ23に適用されてもよい。
【0055】
図6は、一実施形態による、フィルタ(例えば、円錐/円筒形フィルタ、vセルフィルタなど)の動作状態(例えば、状態、清浄度状態、封止状態)を判定するのに適した処理200の流れ図である。処理200の以下の説明は、コンピューティングデバイス26のプロセッサ38を参照して説明されるが、処理200は、コントローラ24またはクラウドベースのシステムなどの他のデバイス上に配置された他のプロセッサによって実行することができることに留意されたい。さらに、以下の処理200は、実行することができる多数の動作を記述するが、処理200は様々な適切な順序で実行してもよく、すべての動作が実行されなくてもよいことに留意されたい。処理200は、コンピューティングデバイス26によって完全に実行してもよく、または実行がコンピューティングデバイス26および/またはコントローラ24の間で分散されてもよいことを理解されたい。
【0056】
ここで処理200を参照すると、プロセッサ(例えば、図1のプロセッサ38)が歪み情報を受信することができる(ブロック202)。前述したように、歪み情報を、様々な場所の歪みゲージ23から送信することができる。例えば、歪みゲージ23は、フィルタハウス40の近接フィルタに関する歪み情報を送信するために、第1~第11の場所の1つまたは複数に配置されてもよい。
【0057】
プロセッサ38はまた、歪み情報に基づいてフィルタの動作状態を判定することができる(ブロック204)。いくつかの実施形態では、プロセッサ38は、歪み情報を使用してフィルタ状態モデルを生成および/または更新することができる。次いで、プロセッサ38は、フィルタ状態モデルを利用して、特定の場所における歪みゲージ23からの歪み情報を監視し解析することができる。例えば、水平円錐/円筒形フィルタ60の第1の場所80に歪みゲージが配置されている場合には、フィルタ状態モデルは、歪み情報を解析して、張力がしきい値を超えているかどうかを判定することができる。歪み情報がしきい値を超えている場合、または他の歪み情報がそのしきい値によりしきい値間隔より速く変化する場合は、フィルタ状態モデルは、フィルタの状態(例えば、清浄度状態)が不良であると判定することができる。
【0058】
さらに、プロセッサ38は、フィルタ状態の判定を出力し、ならびに/あるいは判定されたフィルタ状態に基づいて1つまたは複数の予防措置を実行および/または推奨することができる。個々のフィルタの状態は、インジケータ、仮想バロメータ、または任意の適切なグラフィック要素として表示することができる。
【0059】
また、予防措置は、1つまたは複数のフィルタの判定された状態に関連して変化してもよい。例えば、しきい値量のフィルタが清浄度状態または封止状態の不良を有すると判定された場合には、プロセッサ38は、ガスタービンシステム10を停止して、メンテナンス、警報の表示、および/または不良フィルタの交換をできるだけ早く実行することができる。いくつかの実施形態では、予防措置は、各不良フィルタのメンテナンスをスケジューリングすること、および/または交換をスケジューリングすることを含むことができる。一部のガスタービンシステム10には、吸気部16内にセルフクリーニングシステムを含むことができる。セルフクリーニングシステムは、フィルタが清浄でない状態を有すると判定された場合にフィルタハウス40内のフィルタから粒子を吹き飛ばすことを試みるために、動作中に空気が吸気部16に流入する方向とは反対の方向に高速で空気を断続的に吹き付けることができる。セルフクリーニングシステムは予防措置のためのメンテナンスの一形態としてスケジューリングすることができる。したがって、歪み情報に基づいてセルフクリーニングシステムを駆動することができる。さらに、プロセッサ38は、毎回同じ順序ではなく、フィルタハウス40のフィルタ、段階、領域、またはゾーンによってセルフクリーニングシステムの実行を駆動することができる。それに加えてまたはその代わりに、セルフクリーニングシステムは、予め設定された順序で実行されてもよく、および/または清浄度状態に対するクリーニングしきい値を超えたフィルタのみをクリーニングしてもよい。
【0060】
さらに、プロセッサ38は、フィルタ状態モデルを使用して、フィルタハウス40の各フィルタ処理段階における各フィルタの劣化率を予測することができる。すなわち、フィルタ状態モデルは、経時的に歪み情報の変化を監視し、フィルタの状態がいつ不良になり得るかを予測することができる。したがって、予防措置は、選択されたフィルタまたはフィルタ処理段階のすべてのフィルタのメンテナンス作業および/または交換作業のスケジュールを決定することを含むことができる。
【0061】
プロセッサ38は、ガスタービンシステム10が動作している間に歪み情報を受信し続け、受信したデータを使用してフィルタ状態モデルを更新することができる。このように、フィルタ状態モデルは、ガスタービンシステム10の変化する状態に適応する。理解されるように、開示技術は、より細かいレベル(例えば、個々のフィルタごと)で、より良好なフィルタメンテナンスおよび/または交換スケジューリングを可能にすることができる。また、開示された技術は予防メンテナンスを可能にすることができる。さらに、開示された技術は、フィルタが不良になると直ちに不良フィルタをメンテナンスおよび/または交換することにより、より高いガスタービンシステムの信頼性を提供することができる。
【0062】
技術的効果には、フィルタハウス40内の個々のフィルタの状態に基づく監視を可能にすることが含まれる。特に、歪み情報に基づくフィルタ状態モデルを使用して、フィルタハウスのフィルタ処理段階における個々のフィルタについて、1つまたは複数の状態(例えば、清浄度状態、封止状態)を予測することができる。歪み情報に基づいて、とりわけ、セルフクリーニングシステムの制御、メンテナンスのスケジューリングおよび/または交換のスケジューリング、ガスタービンシステム10のシャットダウンなどの1つまたは複数の予防措置を実行することができる。このように、開示した実施形態は、他の利益の中でも特に、メンテナンススケジューリングおよびガスタービンシステム効率を向上させ、予防メンテナンスを可能にし、ガスタービンシステム10のダウンタイムを低減する(例えば、信頼性をより高める)効果を有する。
【0063】
本明細書は、本主題を最良の態様を含めて開示するとともに、あらゆる装置またはシステムの製作および使用ならびにあらゆる組み込まれた方法の実行を含む本主題の実施を当業者にとって可能にするために、いくつかの実施例を使用している。本主題の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定められ、当業者であれば想到できる他の実施例を含むことができる。そのような他の実施例は、特許請求の範囲の文言から相違しない構造要素を有しており、あるいは特許請求の範囲の文言から実質的に相違しない同等な構造要素を含むならば、特許請求の範囲の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0064】
10 ガスタービンシステム
12 タービン
14 後処理システム
15 下流端
16 吸気部
17 矢印
18 圧縮機
19 シャフト
20 燃焼システム
21 燃料
22 負荷
23 歪みゲージ
24 コントローラ
26 コンピューティングデバイス
28 フィルタ状態ロジック
32 メモリ
34 メモリ
36 プロセッサ
38 プロセッサ
39 ディスプレイ
40 フィルタハウス
42 フィルタ
44 長手方向軸
46 重力
48 入口ダクト
60 水平円錐/円筒形フィルタ
62 フィルタリング要素
64 支持構造体
66 取り付け面
68 取り付け点
70 開口部
72 内部空間
74 外面
80 第1の場所
81 上面
82 第2の場所
83 下面
90 第3の場所
100 垂直円錐/円筒形フィルタ
102 保持ナット
104 長手方向端部
110 第4の場所
112 第5の場所
114 表面
120 第7の場所
150 vセルフィルタシステム
152 vセルフィルタ
153 フレーム
154 フィルタリング要素
156 凹部
158 外面
160 取り付け面
162 表面
164 縁部
170 第8の場所
174 第9の場所
178 第10の場所
182 第11の場所
200 処理
202 ブロック
204 ブロック
図1
図2
図3
図4
図5
図6