(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-25
(45)【発行日】2023-09-04
(54)【発明の名称】集合住宅インターホンシステム
(51)【国際特許分類】
H04M 9/00 20060101AFI20230828BHJP
G08B 25/04 20060101ALI20230828BHJP
【FI】
H04M9/00 D
H04M9/00 H
G08B25/04 J
(21)【出願番号】P 2019053495
(22)【出願日】2019-03-20
【審査請求日】2021-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】竹下 隆一朗
(72)【発明者】
【氏名】安藤 孝司
【審査官】山岸 登
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-024427(JP,A)
【文献】特開2004-180140(JP,A)
【文献】特開2004-360200(JP,A)
【文献】特開2004-120521(JP,A)
【文献】特開2008-208656(JP,A)
【文献】特開2009-081554(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0310381(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B1/00-85/28
G06Q50/00
G08B23/00-31/00
H04M3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-11/10
H04N7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ及び来訪者が住戸を選択して居住者を呼び出す機能を備えた集合玄関機と、個々の住戸に設置されて前記集合玄関機からの呼び出しに居住者が応答する機能を備えた居室親機と、前記集合玄関機と前記居室親機との間の通信を制御する制御機とを有する集合住宅インターホンシステムであって、
集合住宅のエントランスドアを解錠させる解錠ID及び配達先の住戸番号情報が記録されて、解錠する際に使用する解錠手段を宅配業者が携行すると共に、前記集合玄関機には前記解錠手段から情報を読み取る読取部が設けられ、
更に前記集合玄関機或いは前記制御機には、前記集合玄関機に入力された情報が所定の条件を満たしたら前記エントランスドアを解錠する認証制御部と、
前記集合玄関機のカメラの撮像映像を録画する映像保存部と、
宅配業者が来た旨を
通知する宅配情報を前記居室親機に
送信する通知制御部とが設けられ、
前記認証制御部は、前記解錠IDの入力を受けたら前記カメラの撮像映像の前記映像保存部への保存を開始し、正しい前記解錠IDの入力、前記カメラの撮像映像から宅配業者の顔情報の入力、配達先の住戸番号の入力のうち、少なくとも正しい前記解錠ID及び配達先の住戸番号が入力されたら、前記エントランスドアを解錠すると共に、前記通知制御部が、入力された住戸番号に対応する前記居室親機に宅配業者が来た旨を通知することを特徴とする集合住宅インターホンシステム。
【請求項2】
前記集合玄関機のカメラの撮像映像から顔を検出する顔検出部を有し、
前記認証制御部は、前記顔検出部が顔を検出できなければ、前記エントランスドアを解錠しないことを特徴とする請求項1記載の集合住宅インターホンシステム。
【請求項3】
宅配業者の顔を登録した顔画像記憶部を有すると共に、前記集合玄関機のカメラの撮像映像から顔を登録画像と比較して認証する顔認証部を有し、
前記認証制御部は、配達に来た宅配業者の顔を認証できなければ、前記エントランスドアを解錠しないことを特徴とする請求項1記載の集合住宅インターホンシステム。
【請求項4】
前記顔画像記憶部及び前記顔認証部は、クラウドサーバに設けられ、
前記集合玄関機、前記制御機の何れかから前記集合玄関機のカメラの撮像映像が通信ネットワークを介してクラウドサーバに送信されて判断されることを特徴とする請求項3記載の集合住宅インターホンシステム。
【請求項5】
前記解錠手段に記録された前記解錠IDは、有効時間が設定されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の集合住宅インターホンシステム。
【請求項6】
前記通知制御部は、前記宅配情報と共に前記集合玄関機のカメラの撮像映像を送信することを特徴とする
請求項1乃至5の何れかに記載の集合住宅インターホンシステム。
【請求項7】
個々の住戸玄関にはカメラ及び居住者を呼び出す機能を備えた玄関子機が設けられ、
前記宅配情報を受信した前記居室親機は、受信した時点から所定時間の間、前記玄関子機のカメラの撮像映像を前記居室親機に設けられている録画部に録画する親機制御部を有す
ることを特徴とする
請求項1乃至6の何れかに記載の集合住宅インターホンシステム。
【請求項8】
個々の住戸玄関には、カメラ及び居住者を呼び出す機能を備えた玄関子機が設けられると共に、当該玄関子機には人感センサが設けられており、
前記宅配情報を受信した前記居室親機は、受信した時点から前記人感センサが人物を感知するまでの間、或いは前記人感センサが人物を感知してから一定時間が経過するまでの間、前記玄関子機のカメラの撮像映像を前記居室親機に設けられている録画部に録画することを特徴とする
請求項1乃至6の何れかに記載の集合住宅インターホンシステム。
【請求項9】
前記解錠手段が、ICカード、或いはNFC機能を備えた携帯端末であることを特徴とする請求項1乃至
8の何れかに記載の集合住宅インターホンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は集合住宅インターホンシステムに関し、特に宅配業者の業務負担を削減できる機能を備えた集合住宅インターホンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
集合住宅では、受取人が不在であっても荷物の配達が可能となる宅配ロッカーが設置されている。そして、この宅配ロッカーと通信して情報を入手し、宅配物情報を居室親機で把握できる集合住宅インターホンシステムがある(例えば、特許文献1参照)。
一方で、宅配ロッカーを備えた集合住宅であっても、配達先が在宅である場合はエントランスドアを居住者側から解錠してもらい、居住エリアに進んで届けていたし、宅配ロッカーに空きが無い場合は再配達が発生した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、宅配集合住宅の住戸に配達する場合は、宅配ロッカーがあっても集合玄関機から居住者を呼び出す操作が必要あったし、届け先が不在で宅配ロッカーに空きが無い場合は、一旦持って帰り再配達しなければならず、宅配業者の業務負担を軽減するには十分ではなかった。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、宅配業者であれば居住者を呼び出すことなくエントランスドアを解錠して居住エリアに進むことができ、また宅配ロッカーを使用しない配達を可能とした集合住宅インターホンシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、カメラ及び来訪者が住戸を選択して居住者を呼び出す機能を備えた集合玄関機と、個々の住戸に設置されて集合玄関機からの呼び出しに居住者が応答する機能を備えた居室親機と、集合玄関機と居室親機との間の通信を制御する制御機とを有する集合住宅インターホンシステムであって、集合住宅のエントランスドアを解錠させる解錠ID及び配達先の住戸番号情報が記録されて、解錠する際に使用する解錠手段を宅配業者が携行すると共に、集合玄関機には解錠手段から情報を読み取る読取部が設けられ、更に集合玄関機或いは制御機には、集合玄関機に入力された情報が所定の条件を満たしたらエントランスドアを解錠する認証制御部と、集合玄関機のカメラの撮像映像を録画する映像保存部と、宅配業者が来た旨を通知する宅配情報を居室親機に送信する通知制御部とが設けられ、認証制御部は、解錠IDの入力を受けたらカメラの撮像映像の映像保存部への保存を開始し、正しい解錠IDの入力、カメラの撮像映像から宅配業者の顔情報の入力、配達先の住戸番号の入力のうち、少なくとも正しい解錠ID及び配達先の住戸番号が入力されたら、エントランスドアを解錠すると共に、通知制御部が、入力された住戸番号に対応する居室親機に宅配業者が来た旨を通知することを特徴とする。
この構成によれば、解錠IDの入力、カメラの撮像映像から宅配業者の顔情報の入力、配達先の住戸番号の入力のうち、少なくとも解錠手段の情報及び配達先の住戸番号を集合玄関機が読み取ることによりエントランスドアが解錠されるため、宅配業者は居住者を呼び出して解錠して貰う必要が無く、スムーズに居住エリアに進むことができる。よって、配達先居住者の在/不在に関わらず宅配ロッカーを使用しない配達が可能となる。
一方、解錠操作した宅配業者は撮像されて映像が録画保存されるため、セキュリティを確保できる。
また、解錠手段の情報を読み取らせるだけで、配達先の住戸に宅配業者が来た旨が通知されるため、在宅者が居る場合はそれを認識できるし、不在であっても帰宅した際に宅配業者が来たことを認識できる。更に、住戸番号を宅配業者が入力する必要が無く、宅配業者の負担を軽減できる。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構成において、集合玄関機のカメラの撮像映像から顔を検出する顔検出部を有し、認証制御部は、顔検出部が顔を検出できなければ、エントランスドアを解錠しないことを特徴とする。
この構成によれば、解錠手段を使用して解錠操作しても、顔を隠して入ろうとした人物に対しては解錠しないためセキュリティを確保できる。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1に記載の構成において、宅配業者の顔を登録した顔画像記憶部を有すると共に、集合玄関機のカメラの撮像映像から顔を登録画像と比較して認証する顔認証部を有し、認証制御部は、配達に来た宅配業者の顔を認証できなければ、エントランスドアを解錠しないことを特徴とする。
この構成によれば、解錠手段を携行しても登録された人物でないと判断されたら解錠しないため、高いセキュリティ性を持たせることができる。
【0009】
請求項4の発明は、請求項3に記載の構成において、顔画像記憶部及び顔認証部は、クラウドサーバに設けられ、集合玄関機、制御機の何れかから集合玄関機のカメラの撮像映像が通信ネットワークを介してクラウドサーバに送信されて判断されることを特徴とする。
この構成によれば、宅配業者登録部、顔認証部はクラウドサーバに設けられるため、複数の集合住宅に対して1つの顔認証部で対処でき、コストダウンを図ることができる。また、宅配業者の登録はクラウドサーバに対して行えば良く登録作業がし易い。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1乃至4の何れかに記載の構成において、解錠手段に記録された解錠IDは、有効時間が設定されていることを特徴とする。
この構成によれば、一定時間が経過したら解錠IDは無効となるため、セキュリティを確保できる。
【0013】
請求項6の発明は、請求項1乃至5の何れかに記載の構成において、通知制御部は、宅配情報と共に集合玄関機のカメラの撮像映像を送信することを特徴とする。
この構成によれば、宅配業者の映像を配達先の居室親機でも保存でき、居住者は容易に宅配業者を確認でき、セキュリティアップに役立つ。
【0014】
請求項7の発明は、請求項1乃至6の何れかに記載の構成において、個々の住戸玄関にはカメラ及び居住者を呼び出す機能を備えた玄関子機が設けられ、宅配情報を受信した居室親機は、受信した時点から所定時間の間、玄関子機のカメラの撮像映像を居室親機に設けられている録画部に録画する親機制御部を有することを特徴とする。
この構成によれば、エントランスドアが開いたら、配達先住戸の玄関子機カメラが起動して、その撮像映像が録画される。よって、住戸玄関に置き配される場合は映像でその状況が記録されるため、受取人である居住者は荷物が配達されたことを録画映像から認識できるし、宅配業者は配達した事実を残せるため、両者にとって都合が良い。
【0015】
請求項8の発明は、請求項1乃至6の何れかに記載の構成において、個々の住戸玄関には、カメラ及び居住者を呼び出す機能を備えた玄関子機が設けられると共に、当該玄関子機には人感センサが設けられており、宅配情報を受信した居室親機は、受信した時点から人感センサが人物を感知するまでの間、或いは人感センサが人物を感知してから一定時間が経過するまでの間、玄関子機のカメラの撮像映像を居室親機に設けられている録画部に録画することを特徴とする。
この構成によれば、宅配業者がエントランスドアを開けたら、配達先住戸の玄関に設けられたカメラが起動して一定時間録画されるため、荷物が置き配される場合は映像で残すことが可能であり、その後の荷物の盗難等の際に役立つ。
【0016】
請求項9の発明は、請求項1乃至8の何れかに記載の構成において、解錠手段が、ICカード、或いはNFC機能を備えた携帯端末であることを特徴とする。
この構成によれば、解錠手段を別途作製する必要がなく、集合玄関機の所定の読取部に翳せば解錠情報を入力してエントランスドアを解錠でき、簡易な操作で解錠できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、解錠手段の情報を集合玄関機が読み取ることによりエントランスドアが解錠されるため、宅配業者は居住者を呼び出して解錠して貰う必要が無く、スムーズに居住エリアに進むことができる。よって、配達先居住者の在/不在に関わらず宅配ロッカーを使用しない配達が可能となる。
一方、解錠操作した宅配業者は撮像されて映像が保存されるため、セキュリティを確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係る集合住宅インターホンシステムの一例を示す構成図である。
【
図5】集合住宅インターホンシステムの他の形態を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係る集合住宅インターホンシステムの一例を示す構成図であり、1はエントランスに設置されて居住者を呼び出すための集合玄関機、2は各住戸に設置されて呼び出しに応答するための居室親機、3は管理人室に設置されて居住者等と通話するための管理室親機、4は個々の住戸玄関に設置されて居住者を呼び出すための玄関子機、5は機器間の通信を制御する制御機、6は集合住宅のエントランスに設置されてエントランスから居住エリアに入るためのエントランスドア、7は宅配業者が携行してエントランスドア6の電気錠(図示せず)を解錠するための解錠手段としての携帯端末である。
また、Mは宅配物、Sは宅配業者を示している。
【0020】
集合玄関機1、管理室親機3は、伝送線L1,L2を介して制御機5に接続され、居室親機2は親機幹線L3を介して制御機5に接続されている。また、エントランスドア6は伝送線L4により制御機5に接続されている。尚、宅配ロッカーと連動して、宅配ロッカーの情報を入手する機能を備えているシステムもあるが、本システムではその構成は省略することとする。
【0021】
図2は
図1の集合玄関機1のブロック図を示している。
図2に示すように、住戸を選択する操作部11、マイク及びスピーカを備えた通話部12、宅配業者や来訪者を撮像するカメラ13、操作内容やメッセージを表示する表示部14、携帯端末7から解錠IDを読み取る読取部15、カメラ13の撮像映像から顔を検出する顔検出部16、入力された解錠IDの正否を判断すると共に集合玄関機1を制御する集合玄関機CPU17、制御機5と通信する集合玄関機通信IF18、解錠ID等を記憶するID情報記憶部19等を備えている。
【0022】
図3は
図1の居室親機2のブロック図を示している。
図3に示すように、映像及び各種情報を表示する表示部21、応答操作及び各種操作をする操作部22、マイク及びスピーカを備えた通話部23、映像を録画する録画部24、居室親機2を制御する親機CPU25、制御機5及び玄関子機4と通信する親機通信IF26等を備えている。
【0023】
図4は
図1の制御機5のブロック図を示している。
図4に示すように、住戸番号と居室親機2との関連付け等を記憶する記憶部51、映像保存部52、制御機5を制御する制御機CPU53、各機器と通信する制御機通信IF54等を備えている。
【0024】
携帯端末7は、NFC(Near Field Communication)機能を内蔵した例えばスマートフォンが使用でき、集合玄関機1の読取部15に翳せば記録されている情報を読取部15に送信することができる。
【0025】
尚、配達に先立ち、宅配業者は配送センター等に設置されている入力装置(図示せず)を使用して、集合住宅に配達する荷物の配達先住所情報等を携帯端末7に入力する。このとき、予め登録されている解錠IDの情報、及び配達先住戸番号情報等が入力される。
但し、入力された解錠IDは日時情報と共に読み込まれ、24時間等の有効時間が設定されており、所定の時間が経過したら読み取り不可となるよう設定されている。この有効時間の設定は、携帯端末7で行っても良いし、読取部15を備えた集合玄関機1で行っても良い。
【0026】
このように構成された集合住宅インターホンシステムは以下のように動作する。但し、来訪者が居住者を呼び出して通話し、エントランスドアが解錠される等の集合住宅インターホンシステム本来の動作については、従来と同様であるので説明を省略し、ここでは配達に来た宅配業者による操作及び動作を説明する。
解錠ID及び住戸番号が記録された携帯端末7を携行している宅配業者は、配達先の集合住宅に到着したら、まず集合玄関機1の読取部15に携帯端末7を翳す。すると読取部15は、翳された携帯端末7から自身に関連付けられている情報を読み取る。具体的に集合玄関機1が設置されている集合住宅はID登録されており、自身の集合住宅に関連付けられている情報が選択されて読み取られる。
【0027】
こうして解錠ID及び配達先の住戸番号情報が読み取られると、集合玄関機CPU17の制御により以下のように動作する。解錠IDの入力を受けて、まずカメラ13が起動して、その撮像映像の録画が開始される。映像は制御機5に送信されて映像保存部52に保存される。
そして、読み取った解錠ID情報がID情報記憶部19に登録されている情報に一致したら正しい解錠IDであると認識し、次に顔検出部16が撮像映像から宅配業者の顔を検出する。顔検出部16が顔を検出したら、エントランスドア6が解錠される。
顔の検出は、顔を隠して入ろうとする不審者を排除するために行われ、集合玄関機1の前に従来通り立てば、カメラ13の撮像映像から顔は検出でき、スムーズに解錠制御される。こうして宅配業者の顔情報が映像保存部52に保存されることで、宅配業者が誰か判別し易く、高いセキュリティの確保に有効である。
【0028】
尚、この実施形態では、集合玄関機1が読み取った解錠ID情報が正しくない場合は、他の条件が揃っても録画を実施するのみで、エントランスドア6を解錠しない制御を実施しているが、解錠IDが入力されたらその時点でエントランスドア6を解錠しても良い。解錠IDが正しいと認識した時点で宅配業者を撮像した映像が録画されるため、セキュリティが大きく劣化することは無い。
【0029】
そしてエントランスドア6が解錠したら、集合玄関機1から読み取った住戸番号の居室親機2に宅配業者が来た旨を知らせるための宅配情報が送信される。宅配情報は制御機5を介して送信され、このとき映像保存部52に保存された宅配業者の映像も合わせて送信される。
この情報を受信した居室親機2は、例えば「宅配物が来ました」を表示し、送信された映像は居室親機2の録画部24に保存される。
【0030】
また居室親機2は、宅配情報を受けて自住戸の玄関子機4に設けられているカメラ4aを起動して、その撮像映像を居室親機2の録画部24に録画保存する。この録画は例えば10分等一定時間実施される。この結果、その間宅配業者が現れて荷物が置き配されたら録画映像でそれを認識できる。但し、配達先が在宅の場合は、直接居住者に渡される。居住者は宅配情報を予め受けているため、宅配業者はスムーズに荷物を渡すことができる。
【0031】
尚、玄関子機4に人感センサが設けられている場合は、人感センサを活用して録画を終了させても良い。具体的に、宅配情報を受けて玄関子機4のカメラ4aを起動して撮像映像の録画を開始するが、人感センサが感知動作したら、或いは感知してから10秒等一定時間経過したら録画を終了させても良い。こうすることで、置き配される場合は宅配業者が現れて荷物を置くまでの映像を録画でき、置き配された荷物の確認に活用できる。
【0032】
このように、携帯端末7の情報を集合玄関機1が読み取ることでエントランスドア6が解錠されるため、宅配業者は居住者を呼び出して解錠して貰う必要が無く、スムーズに居住エリアに進むことができる。よって、配達先の居住者の在/不在に関わらず宅配ロッカーを使用しない配達が可能となる。
そして、解錠操作した宅配業者は撮像されて映像が保存されるため、セキュリティを確保できる。
また、携帯端末7を使用して解錠操作しても、顔を隠して入ろうとした人物に対しては解錠しないし、一定時間が経過したら携帯端末7の解錠IDは無効となるため、セキュリティを維持できる。
更に、携帯端末7の情報を読み取らせることで、配達先の住戸番号が入力されて配達先の住戸に宅配業者が来た旨が通知されるため、別途住戸番号を入力する必要が無く宅配業者の負担を軽減できる。
加えて、宅配業者の映像は配達先の居室親機でも保存されるため、居住者は容易に宅配業者を確認でき、セキュリティアップに役立つ。
また、エントランスドア6が開いたら、配達先住戸の玄関子機4のカメラ4aが起動して、その撮像映像が録画されるため、住戸玄関に置き配される場合は映像でその状況が記録され、受取人である居住者は荷物が配達されたことを録画映像から認識できるし、宅配業者は配達した事実を残すことができ、両者にとって都合が良い。
【0033】
尚、携帯端末7には解錠IDと住戸番号を記録し、双方を集合玄関機1に読み取らせているが、携帯端末7に記録する情報は解錠IDのみでも良く、住戸番号は宅配者が集合玄関機1の操作部11を操作して入力する構成としても良い。この場合、例えば解錠IDを認証したら録画を開始し、その後住戸番号が入力されたらエントランスドア6を解錠するよう制御すれば良い。
また、解錠手段として携帯端末7を使用しているが、同様に解錠ID及び住戸番号を記憶できるICカードを使用しても良く、解錠手段を別途作製する必要がなく、集合玄関機1の読取部15に翳せば解錠情報を入力してエントランスドア6を解錠でき、簡易な操作で解錠できる。
【0034】
図5は集合住宅インターホンシステムの他の例を示している。上記形態とは、通信ネットワークNを介して制御機5aと通信を実施するクラウドサーバ8を具備し、宅配業者の顔認証を行う点が相違している。以下、上記
図1の形態との差異を中心に説明する。
尚、
図5に示す集合玄関機1a、制御機5aは、上記実施形態の集合玄関機1、制御機5と以下のように構成が異なっている。
【0035】
図6は、
図5の集合玄関機1aのブロック図を示し、上記
図2の集合玄関機1とは顔検出部が無い点が相違している。また、
図7は
図5の制御機5aのブロック図を示し、上記
図4とは通信ネットワークNを介してクラウドサーバ8と通信する外部通信IF55を備えている点が相違している。
【0036】
そして、
図8はクラウドサーバ8のブロック図を示している。
図8に示すように、クラウドサーバ8は、顔画像データを基に人物を認証する顔認証部81、宅配業者の顔画像が蓄積された顔画像記憶部82、クラウドサーバ8を制御するサーバCPU83、制御機5と通信するサーバ通信IF84等を備えている。
顔画像記憶部82に蓄積される情報は、宅配に携わる複数の宅配業者の顔画像であり、宅配業者により予め入力され、また更新される。
【0037】
以下、宅配業者による操作及び動作を、顔認証を伴う動作を中心に説明する。解錠ID及び住戸番号が記録された携帯端末7を携行している宅配業者が、集合玄関機1aの読取部15に携帯端末7を翳すと、読取部15が携帯端末7から自身に関連付けられている集合住宅の情報を読み取る。読み取った情報に基づいて集合玄関機CPU17の制御により、以下の様に動作する。
【0038】
まず、カメラ13が撮像を開始し、撮像映像が制御機5の映像保存部52に保存される。そして、読取部15が読み取った解錠IDが正しい情報であれば、次に顔認証が行われる。
顔認証は、撮像映像が制御機5からクラウドサーバ8に送信され、顔認証部81が映像から顔画像を抽出して、登録されている顔画像と一致する顔があるか判定が行われる。
登録されている複数の顔画像の中に一致する顔画像があったら、即ち宅配業者が登録されている人物であったら、正しい宅配業者であると判断して許可信号が制御機5に返信される。
【0039】
この許可信号を受信した制御機5は、制御機CPU53の制御によりエントランスドア6を解錠し、宅配業者は居住エリアに進むことが可能となる。
その後の、居室親機2への通知、及び玄関子機4の動作は上記形態と同様であり、配達先の居室親機2では、玄関子機4のカメラ4aの撮像映像の録画等が行われる。
【0040】
このように、携帯端末7を携行しても顔認証を実施し、顔が登録されていなければ不可判定が成されてエントランスドア6が解錠されないため、高いセキュリティ性を持たせることができる。
また、顔画像記憶部82、顔認証部81は、クラウドサーバ8に設けられているため、複数の集合住宅に対して1つの顔認証部81で対処することができ、コストダウンを図ることができるし、宅配業者の登録は一括してクラウドサーバ8に対して行えば良く登録作業がし易い。
【0041】
尚、上記実施形態では、制御機5aがクラウドサーバ8と通信を実施しているが、集合玄関機1が直接クラウドサーバ8と通信しても良い。
また、何れの実施形態も、集合玄関機1に入力された解錠IDの可否を集合玄関機1が判定しているが、ID情報記憶部19を制御機5に設けて制御機5に判定させても良い。また、集合玄関機1の前に現れた宅配業者の撮像映像を保存する映像保存部52を制御機5に設けているが、集合玄関機1に設けても良い。
【符号の説明】
【0042】
1,1a・・集合玄関機、2・・居室親機、4・・玄関子機、4a・・カメラ、5,5a・・制御機、6・・エントランスドア、7・・携帯端末(解錠手段)、8・・クラウドサーバ、13・・カメラ、15・・読取部、16・・顔検出部、17・・集合玄関機CPU(認証制御部、通知制御部)24・・録画部、25・・親機CPU(親機制御部)、52・・映像保存部、81・・顔認証部、82・・顔画像記憶部、N・・通信ネットワーク。