(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-25
(45)【発行日】2023-09-04
(54)【発明の名称】カーテンウォールユニット
(51)【国際特許分類】
E04B 2/88 20060101AFI20230828BHJP
E04B 1/70 20060101ALI20230828BHJP
【FI】
E04B2/88
E04B1/70 D
(21)【出願番号】P 2019123916
(22)【出願日】2019-07-02
【審査請求日】2021-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110319
【氏名又は名称】根本 恵司
(72)【発明者】
【氏名】奈良 栄達
(72)【発明者】
【氏名】三宅 玲子
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-253734(JP,A)
【文献】特開2005-127028(JP,A)
【文献】特開2007-197922(JP,A)
【文献】特開2017-141628(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 2/88-2/96
E04B 1/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体の開口部に配置された室外側パネル体と室内側パネル体の間に中間空気層が1つのみ形成され
、上下方向と左右方向のそれぞれに並べて配置されてカーテンウォールを構成するカーテンウォールユニットであって、
前記枠体は、前記中間空気層に給気する給気口が設けられた下枠と、前記中間空気層から排気する排気口が設けられた上枠と、を有し、
前記給気口は、前記下枠の下側と前記中間空気層に向かって開口し、
前記排気口は、前記上枠の上側と前記中間空気層に向かって開口し、
前記給気口と前記排気口は、左右方向において互いに異なる位置に設けられ
て、上下の前記カーテンウォールユニットの間の横目地部で左右方向に互いにずらして配置されるカーテンウォールユニット。
【請求項2】
請求項1に記載されたカーテンウォールユニットにおいて、
前記給気口は、前記下枠の長手方向の両端部側の2箇所に設けられ、
前記排気口は、前記上枠の長手方向の中央部側の1箇所に設けられたカーテンウォールユニット。
【請求項3】
請求項1に記載されたカーテンウォールユニットにおいて、
前記給気口は、前記下枠の長手方向の中央部側の1箇所に設けられ、
前記排気口は、前記上枠の長手方向の両端部側の2箇所に設けられたカーテンウォールユニット。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載されたカーテンウォールユニットにおいて、
前記カーテンウォールユニットを上下に並べて設置したときに、上側の前記カーテンウォールユニットの前記下枠と下側の前記カーテンウォールユニットの前記上枠の間に通気口と通気路が形成され、前記通気口は、前記カーテンウォールユニットの室外側に向かって開口し、前記通気路により、上側の前記カーテンウォールユニットの前記給気口及び下側の前記カーテンウォールユニットの前記排気口に連通するカーテンウォールユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の壁部に並べて設置されるカーテンウォールユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、室外側パネル体と室内側パネル体の間に中間空気層が形成されたカーテンウォールユニットが知られている。中間空気層を有するカーテンウォールユニットでは、換気口である給気口と排気口を介して、中間空気層を換気し、建物の窓部の熱環境等を改善している。また、従来、下部換気口(給気口)への外気の流入方向と上部換気口(排気口)からの空気の流出方向とを互いに異ならせて、区画中間層(中間空気層)を自然換気するダブルスキンカーテンウォールが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された従来のダブルスキンカーテンウォールでは、上部換気口と下部換気口は、それぞれ側面材又は外側面材に開口する。ところが、側面材と外側面材には、雨水が当たることで、水膜が形成される。そのため、上部換気口と下部換気口に水が入る虞がある。これに対し、上下の区間中間層の間の横目地部には、雨水が入り難い。しかしながら、従来のダブルスキンカーテンウォールでは、上下の区間中間層の間の横目地部で、給気と排気を行えず、上部換気口と下部換気口から区画中間層に水が浸入することが懸念される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記従来の問題に鑑みなされたもので、その目的は、カーテンウォールユニットの給気口と排気口から中間空気層への水の浸入を抑制するとともに、上下に並べて設置されるカーテンウォールユニットの間の横目地部における給気機能と排気機能を確保することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、枠体の開口部に配置された室外側パネル体と室内側パネル体の間に中間空気層が1つのみ形成され、上下方向と左右方向のそれぞれに並べて配置されてカーテンウォールを構成するカーテンウォールユニットであって、前記枠体は、前記中間空気層に給気する給気口が設けられた下枠と、前記中間空気層から排気する排気口が設けられた上枠と、を有し、前記給気口は、前記下枠の下側と前記中間空気層に向かって開口し、前記排気口は、前記上枠の上側と前記中間空気層に向かって開口し、前記給気口と前記排気口は、左右方向において互いに異なる位置に設けられて、上下の前記カーテンウォールユニットの間の横目地部で左右方向に互いにずらして配置されるカーテンウォールユニットである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、カーテンウォールユニットの給気口と排気口から中間空気層への水の浸入を抑制できるとともに、上下に並べて設置されるカーテンウォールユニットの間の横目地部における給気機能と排気機能を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態のカーテンウォールユニットを示す正面図である。
【
図2】第1実施形態のカーテンウォールユニットの縦断面図である。
【
図3】第1実施形態のカーテンウォールユニットの排気口の周辺部分を示す縦断面図である。
【
図4】第1実施形態のカーテンウォールユニットの給気口の周辺部分を示す縦断面図である。
【
図5】第1実施形態のカーテンウォールユニットの下枠を示す平面図である。
【
図6】第1実施形態のカーテンウォールユニットの上枠を示す平面図である。
【
図7】第2実施形態のカーテンウォールユニットを示す正面図である。
【
図8】第2実施形態のカーテンウォールユニットの下枠を示す平面図である。
【
図9】第2実施形態のカーテンウォールユニットの上枠を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のカーテンウォールユニットの一実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態のカーテンウォールユニットは、ダブルスキン構造のカーテンウォールユニット(ダブルスキンカーテンウォールユニット)であり、建物の壁部に用いられて、建物の室内(屋内)と室外(屋外)の間に設置される。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態のカーテンウォールユニット1を示す正面図であり、建物10の壁部11に設置された複数のカーテンウォールユニット1を室外側からみて示している。
図2は、第1実施形態のカーテンウォールユニット1の縦断面図であり、建物10の一部とカーテンウォールユニット1を示している。
【0011】
図示のように、建物10に設置したカーテンウォールユニット1を正面からみたときに(
図1参照)、上下となる方向が上下方向であり、左右となる方向が左右方向である。
図1では、上下方向は垂直方向であり、左右方向は水平方向である。室内外方向S(
図2参照)は、建物10に設置したカーテンウォールユニット1の奥行方向(屋内外方向)である。このように、カーテンウォールユニット1に関する方向は、カーテンウォールユニット1を建物10に設置した状態での方向(上下方向、左右方向、室内外方向S等)で特定する。また、カーテンウォールユニット1に関して室内側、室外側とは、建物10に設置した状態のカーテンウォールユニット1の室内側、室外側である。
【0012】
カーテンウォールユニット1は、カーテンウォールを構成するユニットであり、上下方向と左右方向のそれぞれに並べて配置されて、隣り合うカーテンウォールユニット1と互いに組み合わされている。また、カーテンウォールユニット1は、窓部1A(ビジョン部)(
図2参照)と、腰部1B(スパンドレル部)と、1つの室外側パネル体2と、2つの室内側パネル体3A、3B(第1室内側パネル体3A、第2室内側パネル体3B)と、パネル体2、3A、3Bを囲む枠体4を備えている。
【0013】
窓部1Aは、カーテンウォールユニット1の下側部分であり、建物10の開口部12に設けられている。腰部1Bは、カーテンウォールユニット1の上側部分であり、建物10の上下階の間の箇所に設けられている。窓部1Aと腰部1Bは、上下に並べて形成されている。パネル体2、3A、3Bは、方形状のパネル状部材であり、枠体4の内側(開口部)に配置されて、枠体4に連結されている。室外側パネル体2は、枠体4の開口部で室外側に配置されるアウタースキンであり、室内側パネル体3A、3Bは、枠体4の開口部で室内側に配置されるインナースキンである。
【0014】
室外側パネル体2は、ガラスパネル体であり、枠体4の開口部で全面にわたって設けられて、窓部1Aと腰部1Bにおいて室内側パネル体3A、3Bの室外側に配置されている。第1室内側パネル体3Aは、ガラスパネル体であり、窓部1Aに設けられて、室外側パネル体2の室内側に配置されている。ガラスパネル体は、1枚又は複数枚の板状のガラスを有するパネル体であり、例えば、板ガラス、複層ガラス、又は、合わせガラスである。ここでは、室外側パネル体2は、板ガラスであり、第1室内側パネル体3Aは、開閉可能な障子に取り付けられた複層ガラスである。第2室内側パネル体3Bは、耐火パネルであり、腰部1Bに設けられて、室外側パネル体2の室内側に配置されている。
【0015】
枠体4は、開口部を形成する開口枠であり、方形状に枠組みされた4つの枠5~7(上枠5、下枠6、左右の縦枠7)と、無目8を有している。枠5~7と無目8は、例えば、押出成形により形成された金属(例えば、アルミニウム合金)製の形材からなる。上枠5と下枠6は、それぞれ枠体4の上縁部と下縁部で左右方向(横方向)に延びる横枠であり、左右の縦枠7は、枠体4の両側の側縁部で上下方向(縦方向)に延びる。無目8は、上枠5と下枠6の間で左右方向に延び、左右の縦枠7に架け渡されて、左右の縦枠7に取り付けられている。
【0016】
室外側パネル体2は、枠体4の枠5~7に囲まれて、枠5~7に連結されている。無目8は、枠体4の開口部で室外側パネル体2の室内側に設けられて、窓部1Aと腰部1Bの間に位置している。窓部1Aにおいて、第1室内側パネル体3Aは、下枠6、左右の縦枠7、及び、無目8に囲まれて、下枠6、左右の縦枠7、及び、無目8に連結されている。腰部1Bにおいて、第2室内側パネル体3Bは、上枠5、左右の縦枠7、及び、無目8に囲まれて、上枠5、左右の縦枠7、及び、無目8に連結されている。室外側パネル体2と室内側パネル体3A、3Bは、室内外方向Sに間隔を開けて、互いに対向して配置されている(
図2参照)。
【0017】
カーテンウォールユニット1は、室外側パネル体2と室内側パネル体3A、3Bの間に形成された1つの中間空気層9と、中間空気層9内に配置されたブラインド1Cを備えている。中間空気層9は、枠体4、室外側パネル体2、及び、室内側パネル体3A、3Bにより形成された1つの空間であり、枠体4の開口部の全体にわたって1つのみ形成されている。従って、室外側パネル体2と室内側パネル体3A、3Bの間には、複数の中間空気層は形成されず、中間空気層9が1つのみ形成されている。
【0018】
下枠6には、少なくとも1つの給気口20が形成され、上枠5には、少なくとも1つの排気口21が形成されている。給気口20と排気口21は、互いに左右方向の位置をずらして形成されており、枠体4において(
図1参照)、給気口20の左右方向位置と排気口21の左右方向位置は、互いに異なる。給気口20と排気口21を介して、中間空気層9が換気される。なお、
図1、
図2では、給気口20と排気口21における空気の流れを模式的に矢印で示している。
【0019】
図3は、第1実施形態のカーテンウォールユニット1の排気口21の周辺部分を示す縦断面図であり、
図1のX1-X1線で切断した2つのカーテンウォールユニット1を示している。
図4は、第1実施形態のカーテンウォールユニット1の給気口20の周辺部分を示す縦断面図であり、
図1のX2-X2線で切断した2つのカーテンウォールユニット1を示している。
【0020】
図示のように、カーテンウォールユニット1は、上下に並べて設置されて、互いの間に通気口22と通気路23を形成する。通気口22と通気路23は、上側のカーテンウォールユニット1の下枠6と下側のカーテンウォールユニット1の上枠5の間に形成されており、下枠6と上枠5の長手方向(左右方向)の全体にわたって設けられている。通気口22は、カーテンウォールユニット1の室外側に向かって開口し、通気路23により、給気口20及び排気口21に連通する。通気口22と通気路23は、1つのカーテンウォールユニット1の上側と下側に形成される。
【0021】
通気路23は、通気口22と給気口20の間、及び、通気口22と排気口21の間に形成されている。中間空気層9は、下枠6の給気口20、上枠5の排気口21、上側と下側の通気路23、及び、上側と下側の通気口22を介して、カーテンウォールユニット1の室外側の空間(屋外)に連通する。給気口20と排気口21は、中間空気層9を換気する換気口である。換気口は、左右の縦枠7、パネル体2、3A、3B、及び、無目8には設けられず、枠体4の下枠6と上枠5にのみ設けられている。
【0022】
給気口20(
図4参照)は、中間空気層9に給気する枠体4の下部換気口であり、下枠6を上下方向に貫通している。給気口20は、下枠6の下側と中間空気層9に向かって開口して、カーテンウォールユニット1の下側の通気口22と中間空気層9に連通する。給気口20により、空気は、中間空気層9の外側から中間空気層9の内側に供給される。排気口21(
図3参照)は、中間空気層9から排気する枠体4の上部換気口であり、上枠5を上下方向に貫通している。排気口21は、上枠5の上側と中間空気層9に向かって開口して、カーテンウォールユニット1の上側の通気口22と中間空気層9に連通する。排気口21により、空気は、中間空気層9の内側から中間空気層9の外側に排出される。
【0023】
カーテンウォールユニット1を上下に並べて設置したときに、上側のカーテンウォールユニット1の下枠6と下側のカーテンウォールユニット1の上枠5は、通気口22及び通気路23を形成した状態で、上下方向において互いに対向して配置される。下枠6は、ヒレ状のレインバリア30と、レインバリア30の室内側に配置されたチューブ状のウインドバリア31と、下枠6の長手方向に延びる貫通口32と、貫通口32の一部を塞ぐ板状の塞ぎ材33を有している。
【0024】
下枠6のレインバリア30とウインドバリア31は、貫通口32及び給気口20よりも室内側に位置し、下枠6の下面部に取り付けられて、下枠6から下側に向かって突出している。下枠6の貫通口32は、下枠6を上下方向に貫通し、左右の縦枠7の間で、下枠6の長手方向の全体にわたって形成されている。また、貫通口32は、下枠6の下側と中間空気層9に向かって開口して、カーテンウォールユニット1の下側の通気口22と中間空気層9に連通する。
【0025】
下枠6の給気口20を設けない箇所(
図3参照)で、下枠6の塞ぎ材33は、貫通口32に配置されて、下枠6に取り付けられ、貫通口32を塞ぐ。塞ぎ材33により、貫通口32の長手方向の一部(給気口20以外の部分)が塞がれる。下枠6の給気口20を設ける箇所(
図4参照)では、塞ぎ材33を貫通口32に配置せずに、貫通口32を開口した状態で残す。塞ぎ材33により、貫通口32の長手方向の一部(給気口20の部分)は塞がれない。給気口20は、貫通口32の塞ぎ材33で塞がれない部分であり、塞ぎ材33により、下枠6(貫通口32)の長手方向の少なくとも1箇所に設けられる。貫通口32及び給気口20は、下枠6の室内外方向Sにおける中間領域に設けられている。
【0026】
上枠5は、ヒレ状のレインバリア40と、レインバリア40の室内側に配置されたチューブ状のウインドバリア41と、上枠5の長手方向に延びる貫通口42と、貫通口42の一部を塞ぐ板状の塞ぎ材43と、水受け部44を有している。上枠5のレインバリア40とウインドバリア41は、貫通口42及び排気口21よりも室内側に位置し、上枠5の上面部に取り付けられて、上枠5から上側に向かって突出している。上枠5のレインバリア40は、下枠6のレインバリア30と当接し、上枠5のウインドバリア41は、下枠6のウインドバリア31と当接する。
【0027】
各カーテンウォールユニット1において、レインバリア30、40を含むレインバリアがカーテンウォールユニット1の外周部に沿って環状に設けられ、ウインドバリア31、41を含むウインドバリアがカーテンウォールユニット1の外周部に沿って環状に設けられている。上下のカーテンウォールユニット1の間の横目地部では、レインバリア30、40とウインドバリア31、41により、給気口20、排気口21、及び、通気路23よりも室内側の部分が封止される。上枠5の貫通口42は、上枠5を上下方向に貫通し、左右の縦枠7の間で、上枠5の長手方向の全体にわたって形成されている。また、貫通口42は、上枠5の上側と中間空気層9に向かって開口して、カーテンウォールユニット1の上側の通気口22と中間空気層9に連通する。
【0028】
上枠5の排気口21を設けない箇所(
図4参照)で、上枠5の塞ぎ材43は、貫通口42に配置されて、上枠5に取り付けられ、貫通口42を塞ぐ。塞ぎ材43により、貫通口42の長手方向の一部(排気口21以外の部分)が塞がれる。上枠5の排気口21を設ける箇所(
図3参照)では、塞ぎ材43を貫通口42に配置せずに、貫通口42を開口した状態で残す。塞ぎ材43により、貫通口42の長手方向の一部(排気口21の部分)は塞がれない。排気口21は、貫通口42の塞ぎ材43で塞がれない部分であり、塞ぎ材43により、上枠5(貫通口42)の長手方向の少なくとも1箇所に設けられる。貫通口42及び排気口21は、上枠5の室内外方向Sにおける中間領域に設けられている。
【0029】
上枠5の水受け部44は、貫通口42及び排気口21の室外側に位置して、上側に向かって突出する。上下のカーテンウォールユニット1の間の横目地部で、上枠5の貫通口42、排気口21、及び、水受け部44は、上側のカーテンウォールユニット1の下枠6の貫通口32及び給気口20に対して下側に配置される。通気路23は、通気口22から水受け部44に向かって室内外方向Sに沿って形成され、水受け部44の室外側で、水受け部44に沿って上側に屈曲して、給気口20及び排気口21まで形成される。通気口22から通気路23の内側に雨水が浸入したときに、水受け部44は、給気口20及び排気口21に向かう雨水を受けて、通気路23内で雨水を受け止める。
【0030】
図5は、第1実施形態のカーテンウォールユニット1の下枠6を示す平面図であり、
図3のX3-X3線でみたカーテンウォールユニット1を示している。
図6は、第1実施形態のカーテンウォールユニット1の上枠5を示す平面図であり、
図4のX4-X4線でみたカーテンウォールユニット1を示している。
図5では、下枠6の給気口20にハッチングを付し、
図6では、上枠5の排気口21にハッチングを付している。
【0031】
図示のように、給気口20と排気口21の枠体4における左右方向の位置をみたときに、給気口20と排気口21は、左右方向において互いに異なる位置に設けられて、左右方向にずらして配置されている。枠体4を上下方向の一方側からみたときに、下枠6と上枠5が上下方向に重なる状態で、下枠6の給気口20と上枠5の排気口21は、互いに重ならずに、左右方向の異なる位置に設けられる。上下のカーテンウォールユニット1の間の横目地部では、上側のカーテンウォールユニット1の給気口20と下側のカーテンウォールユニット1の排気口21は、上下方向において互いに対向せずに、左右方向に互いにずらして配置される。
【0032】
下枠6は、2つの給気口20を有している(
図5参照)。給気口20は、下枠6の長手方向(左右方向)に離隔して、下枠6の長手方向の両端部側の2箇所に設けられている。給気口20は、下枠6の中間空気層9を形成する部分(左右の縦枠7の間の部分)において、下枠6の長手方向のそれぞれの端部を含む両側の端部領域に形成されている。下枠6の長手方向の中央部を含む中央領域では、下枠6の貫通口32が塞ぎ材33で塞がれており、給気口20が設けられていない。
【0033】
上枠5は、1つの排気口21を有している(
図6参照)。排気口21は、上枠5の長手方向(左右方向)の両端部から離隔して、上枠5の長手方向の中央部側の1箇所に設けられている。排気口21は、上枠5の中間空気層9を形成する部分(左右の縦枠7の間の部分)において、上枠5の長手方向の中央部を含む中央領域に形成されている。上枠5の長手方向のそれぞれの端部を含む両側の端部領域では、上枠5の貫通口42が塞ぎ材43で塞がれており、排気口21が設けられていない。
【0034】
給気口20と排気口21の枠体4における左右方向の位置をみたときに、給気口20は、排気口21に対して左右方向における両側の位置に設けられ、排気口21は、左右方向において2つの給気口20の間の位置に設けられている。また、給気口20は、下枠6に左右対称に形成され、排気口21は、上枠5に左右対称に形成されている。給気口20と排気口21は、枠体4において左右対称に設けられている。
【0035】
建物10の壁部11にカーテンウォールユニット1を上下に並べて設置したときに(
図1参照)、空気は、カーテンウォールユニット1の室外側の空間から通気口22に入り(
図4参照)、通気路23を下枠6の給気口20に向かって流れる。また、空気は、給気口20を通って、室外側パネル体2と室内側パネル体3A、3Bの間の中間空気層9に供給される。空気は、中間空気層9内で暖められて、中間空気層9内を下側(下枠6側)から上側(上枠5側)に向かって流れる。続いて(
図3参照)、空気は、上枠5の排気口21を通って、中間空気層9から排出される。空気は、通気路23を通気口22に向かって流れ、通気口22を通って、カーテンウォールユニット1の室外側の空間に排出される。これにより、中間空気層9が換気される。
【0036】
上下に並べて設置されたカーテンウォールユニット1の間の横目地部で、給気口20と排気口21を左右方向において異なる位置に設けたため、下側のカーテンウォールユニット1の排気口21から排出された空気が上側のカーテンウォールユニット1の給気口20に流入するのが抑制される。また、給気口20に供給される空気と排気口21から排出された空気が左右方向の異なる位置で流れて、給気口20への空気の供給と排気口21からの空気の排出が円滑に行われる。そのため、上下に並べて設置されたカーテンウォールユニット1の間の横目地部において、給気口20による給気機能と排気口21による排気機能を確保して、中間空気層9の給気と排気を効率よく行うことができる。上下のカーテンウォールユニット1の間の横目地部には雨水が入り難いため、給気口20と排気口21から中間空気層9への水の浸入を抑制することもできる。
【0037】
上下のカーテンウォールユニット1の枠体4の間の横目地部に給気口20と排気口21が位置しており、カーテンウォールユニット1の外観上、枠体4がフレームのみのシンプルなデザインになる。そのため、枠体4及びカーテンウォールユニット1の見栄えをよくすることができる。
【0038】
下枠6の2つの給気口20と上枠5の1つの排気口21により、中間空気層9の左右方向の両側で同様に換気して、中間空気層9の換気効率を向上することができる。また、中間空気層9内の空気及び熱を円滑に排出して、中間空気層9内に熱だまりが生じるのを抑制することができる。
【0039】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態のカーテンウォールユニット1について説明する。第2実施形態のカーテンウォールユニット1に関し、第1実施形態のカーテンウォールユニット1と同じ事項の説明は省略する。また、第2実施形態のカーテンウォールユニット1の構成に関し、第1実施形態のカーテンウォールユニット1の構成に相当する構成には、第1実施形態のカーテンウォールユニット1の構成と同じ名称及び符号を用いる。
【0040】
図7は、第2実施形態のカーテンウォールユニット1を示す正面図であり、
図1と同様に、複数のカーテンウォールユニット1を室外側からみて示している。
図示のように、第2実施形態のカーテンウォールユニット1では、給気口20の数と左右方向の位置、排気口21の数と左右方向の位置が第1実施形態(
図1参照)と相違する。なお、
図7のX5-X5線で切断した給気口20の周辺部分を示す縦断面図は、
図4に示す縦断面図であり、
図7のX6-X6線で切断した排気口21の周辺部分を示す縦断面図は、
図3に示す縦断面図である。
【0041】
図8は、第2実施形態のカーテンウォールユニット1の下枠6を示す平面図であり、
図5と同様に下枠6を示している。
図示のように、下枠6は、1つの給気口20を有している。給気口20は、下枠6の長手方向の両端部から離隔して、下枠6の長手方向の中央部側の1箇所に設けられている。給気口20は、下枠6の中間空気層9を形成する部分において、下枠6の長手方向の中央部を含む中央領域に形成されている。下枠6の長手方向のそれぞれの端部を含む両側の端部領域では、下枠6の貫通口32が塞ぎ材33で塞がれており、給気口20が設けられていない。
【0042】
図9は、第2実施形態のカーテンウォールユニット1の上枠5を示す平面図であり、
図6と同様に上枠5を示している。
図示のように、上枠5は、2つの排気口21を有している。排気口21は、上枠5の長手方向に離隔して、上枠5の長手方向の両端部側の2箇所に設けられている。排気口21は、上枠5の中間空気層9を形成する部分において、上枠5の長手方向のそれぞれの端部を含む両側の端部領域に形成されている。上枠5の長手方向の中央部を含む中央領域では、上枠5の貫通口42が塞ぎ材43で塞がれており、排気口21が設けられていない。給気口20と排気口21の枠体4における左右方向の位置をみたときに、給気口20は、左右方向において2つの排気口21の間の位置に設けられ、排気口21は、給気口20に対して左右方向における両側の位置に設けられている。
【0043】
下枠6の1つの給気口20と上枠5の2つの排気口21により、中間空気層9の左右方向の両側で同様に換気して、中間空気層9の換気効率を向上することができる。また、中間空気層9内の空気及び熱を円滑に排出して、中間空気層9内に熱だまりが生じるのを抑制することができる。中間空気層9の上部において、2つの排気口21により、左右の角部の空気を円滑に排出して、左右の角部に空気及び熱がたまるのを抑制することもできる。そのため、中間空気層9内に熱だまりが生じるのをより抑制することができる。
【0044】
なお、下枠6に1つの給気口20を設け、上枠5に1つの排気口21を設けるようにしてもよい。また、下枠6に複数の給気口20を設け、上枠5に複数の排気口21を設けるようにしてもよい。給気口20と排気口21は、それぞれの数によらず、左右方向において互いに異なる位置に設けられる。
【0045】
以上のとおり、カーテンウォールユニットは、枠体の開口部に配置された室外側パネル体と室内側パネル体の間に中間空気層が1つのみ形成されたカーテンウォールユニットであって、
前記枠体は、前記中間空気層に給気する給気口が設けられた下枠と、前記中間空気層から排気する排気口が設けられた上枠と、を有し、
前記給気口と前記排気口は、左右方向において互いに異なる位置に設けられたカーテンウォールユニットである。
このカーテンウォールユニットでは、カーテンウォールユニットの給気口と排気口から中間空気層への水の浸入を抑制できるとともに、上下に並べて設置されるカーテンウォールユニットの間の横目地部における給気機能と排気機能を確保することができる。
【0046】
前記給気口は、前記下枠の長手方向の両端部側の2箇所に設けられ、
前記排気口は、前記上枠の長手方向の中央部側の1箇所に設けられる。
下枠の2つの給気口と上枠の1つの排気口により、中間空気層の左右方向の両側で同様に換気して、中間空気層の換気効率を向上することができる。
【0047】
前記給気口は、前記下枠の長手方向の中央部側の1箇所に設けられ、
前記排気口は、前記上枠の長手方向の両端部側の2箇所に設けられる。
下枠の1つの給気口と上枠の2つの排気口により、中間空気層の左右方向の両側で同様に換気して、中間空気層の換気効率を向上することができる。
【符号の説明】
【0048】
1・・・カーテンウォールユニット、1A・・・窓部、1B・・・腰部、1C・・・ブラインド、2・・・室外側パネル体、3A・・・第1室内側パネル体、3B・・・第2室内側パネル体、4・・・枠体、5・・・上枠、6・・・下枠、7・・・縦枠、8・・・無目、9・・・中間空気層、10・・・建物、11・・・壁部、12・・・開口部、20・・・給気口、21・・・排気口、22・・・通気口、23・・・通気路、30・・・レインバリア、31・・・ウインドバリア、32・・・貫通口、33・・・塞ぎ材、40・・・レインバリア、41・・・ウインドバリア、42・・・貫通口、43・・・塞ぎ材、44・・・水受け部、S・・・室内外方向。