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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-25
(45)【発行日】2023-09-04
(54)【発明の名称】入力検出装置および入力検出方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20230828BHJP
【FI】
G06F3/041 600
G06F3/041 520
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019130010
(22)【出願日】2019-07-12
(65)【公開番号】P2021015474
(43)【公開日】2021-02-12
【審査請求日】2022-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(72)【発明者】
【氏名】須藤 俊一
(72)【発明者】
【氏名】大野 賢
【審査官】木内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-257658(JP,A)
【文献】国際公開第2014/112080(WO,A1)
【文献】特開2016-006610(JP,A)
【文献】特開2013-037497(JP,A)
【文献】国際公開第2013/089048(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/03
G06F 3/041 - 3/047
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触検出可能領域に対する接触およびその接触位置を検出する接触検出部と、
前記接触検出可能領域を含む押下検出可能領域に対して押下力が加わったことおよびその押下力を検出する押下検出部と、
前記接触検出部により接触が検出された後に前記押下検出部により押下力が加わったことが検出され、その後、押下力が判定基準値以上となった場合、前記接触検出部により検出された接触を有効とする一方、前記接触検出部により接触が検出される前に前記押下検出部により押下力が加わったことが検出された場合、特別モードへ移行し、前記特別モードへ移行後に前記接触検出部により接触が検出された場合、前記特別モードにおいて設定される所定の条件が成立したか否かを監視し、成立したときに当該接触を有効とする操作判定部とを備え、
前記操作判定部は、
前記特別モードへ移行後に前記接触検出部により接触が検出された場合、当該接触の継続時間が一定時間以上となったか否かを監視し、当該接触の継続時間が一定時間以上となったときに、そのときの押下力にかかわらず当該接触を有効とする
ことを特徴とする入力検出装置。
【請求項2】
接触検出可能領域に対する接触およびその接触位置を検出する接触検出部と、
前記接触検出可能領域を含む押下検出可能領域に対して押下力が加わったことおよびその押下力を検出する押下検出部と、
前記接触検出部により接触が検出された後に前記押下検出部により押下力が加わったことが検出され、その後、押下力が判定基準値以上となった場合、前記接触検出部により検出された接触を有効とする一方、前記接触検出部により接触が検出される前に前記押下検出部により押下力が加わったことが検出された場合、特別モードへ移行し、前記特別モードへ移行後に前記接触検出部により接触が検出された場合、前記特別モードにおいて設定される所定の条件が成立したか否かを監視し、成立したときに当該接触を有効とする操作判定部とを備え、
前記操作判定部は、
前記特別モードへ移行後に前記接触検出部により接触が検出された場合、当該接触の継続時間が一定時間以上となったか否かを監視し、当該接触の継続時間が一定時間以上となったときに押下力が一定量以上の場合か、または、当該接触の継続時間が一定時間以上となった後、押下力が一定量以上となった場合に当該接触を有効とする
ことを特徴とする入力検出装置。
【請求項3】
接触検出可能領域に対する接触およびその接触位置を検出する接触検出部と、
前記接触検出可能領域を含む押下検出可能領域に対して押下力が加わったことおよびその押下力を検出する押下検出部と、
前記接触検出部により接触が検出された後に前記押下検出部により押下力が加わったことが検出され、その後、押下力が判定基準値以上となった場合、前記接触検出部により検出された接触を有効とする一方、前記接触検出部により接触が検出される前に前記押下検出部により押下力が加わったことが検出された場合、特別モードへ移行し、前記特別モードへ移行後に前記接触検出部により接触が検出された場合、前記特別モードにおいて設定される所定の条件が成立したか否かを監視し、成立したときに当該接触を有効とする操作判定部とを備え、
前記操作判定部は、
前記特別モードに移行した場合、前記判定基準値を上回る補正基準値を設定し、前記特別モードへ移行後に前記接触検出部により接触が検出された場合、前記押下検出部により検出される押下力が前記補正基準値以上となったか否かを監視し、記前記押下検出部により検出される押下力が前記補正基準値以上となったときに当該接触を有効とする一方、
前記特別モードに移行した後、前記押下検出部により検出された押下力の増加に応じて、この押下力の増加の割合以下の割合で、前記補正基準値が最大値に至るまで前記補正基準値を増加させる
ことを特徴とする入力検出装置。
【請求項4】
接触検出可能領域に対する接触およびその接触位置を検出する接触検出部と、
前記接触検出可能領域を含む押下検出可能領域に対して押下力が加わったことおよびその押下力を検出する押下検出部と、
前記接触検出部により接触が検出された後に前記押下検出部により押下力が加わったことが検出され、その後、押下力が判定基準値以上となった場合、前記接触検出部により検出された接触を有効とする一方、前記接触検出部により接触が検出される前に前記押下検出部により押下力が加わったことが検出された場合、特別モードへ移行し、前記特別モードへ移行後に前記接触検出部により接触が検出された場合、前記特別モードにおいて設定される所定の条件が成立したか否かを監視し、成立したときに当該接触を有効とする操作判定部とを備え、
前記操作判定部は、前記接触検出部により接触が検出される前に前記押下検出部により押下力が加わったことが検出された場合、前記押下検出部により検出される押下力が閾値以上となったとき、または、押下力が加わってからの経過時間が閾値以上となったときに前記特別モードに移行する
ことを特徴とする入力検出装置。
【請求項5】
接触検出可能領域に対する接触およびその接触位置を検出する接触検出部と、
前記接触検出可能領域を含む押下検出可能領域に対して押下力が加わったことおよびその押下力を検出する押下検出部と、
前記接触検出部により接触が検出された後に前記押下検出部により押下力が加わったことが検出され、その後、押下力が判定基準値以上となった場合、前記接触検出部により検出された接触を有効とする一方、前記接触検出部により接触が検出される前に前記押下検出部により押下力が加わったことが検出された場合、特別モードへ移行し、前記特別モードへ移行後に前記接触検出部により接触が検出された場合、前記特別モードにおいて設定される所定の条件が成立したか否かを監視し、成立したときに当該接触を有効とする操作判定部と、
前記特別モードへ移行したときに、前記特別モードへ移行したことを報知する報知部とを備える
ことを特徴とする入力検出装置。
【請求項6】
前記接触検出可能領域は、車両に搭載された表示入力装置の前面において接触を検出可能な最大の領域であり、
前記押下検出可能領域は、前記接触検出可能領域と、前記接触検出可能領域を囲む枠状の領域とを含む領域である
ことを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の入力検出装置。
【請求項7】
前記表示入力装置は、板状の筐体を有し、前記筐体の側面が露出した状態で前記車両に搭載される
ことを特徴とする請求項に記載の入力検出装置。
【請求項8】
接触検出可能領域に対する接触およびその接触位置を検出する接触検出部と、前記接触検出可能領域を含む押下検出可能領域に対して押下力が加わったことおよびその押下力を検出する押下検出部とを有する入力検出装置による入力検出方法であって、
前記入力検出装置の操作判定部が、前記接触検出部により接触が検出されたか否かを監視しつつ、前記押下検出部により押下力が加わったことが検出されたか否かを監視する第1のステップと、
前記入力検出装置の操作判定部が、前記第1のステップの結果に基づいて処理を実行する第2のステップとを含み、
前記第2のステップにおいて、前記操作判定部は、前記接触検出部により接触が検出された後に前記押下検出部により押下力が加わったことが検出され、その後、押下力が判定基準値以上となった場合、前記接触検出部により検出された接触を有効とする一方、前記接触検出部により接触が検出される前に前記押下検出部により押下力が加わったことが検出された場合、特別モードへ移行し、前記特別モードへ移行後に前記接触検出部により接触が検出された場合、当該接触の継続時間が一定時間以上となったか否かを監視し、当該接触の継続時間が一定時間以上となったときに、そのときの押下力にかかわらず当該接触を有効とする
ことを特徴とする入力検出方法。
【請求項9】
接触検出可能領域に対する接触およびその接触位置を検出する接触検出部と、前記接触検出可能領域を含む押下検出可能領域に対して押下力が加わったことおよびその押下力を検出する押下検出部とを有する入力検出装置による入力検出方法であって、
前記入力検出装置の操作判定部が、前記接触検出部により接触が検出されたか否かを監視しつつ、前記押下検出部により押下力が加わったことが検出されたか否かを監視する第1のステップと、
前記入力検出装置の操作判定部が、前記第1のステップの結果に基づいて処理を実行する第2のステップとを含み、
前記第2のステップにおいて、前記操作判定部は、前記接触検出部により接触が検出された後に前記押下検出部により押下力が加わったことが検出され、その後、押下力が判定基準値以上となった場合、前記接触検出部により検出された接触を有効とする一方、前記接触検出部により接触が検出される前に前記押下検出部により押下力が加わったことが検出された場合、特別モードへ移行し、前記特別モードへ移行後に前記接触検出部により接触が検出された場合、当該接触の継続時間が一定時間以上となったか否かを監視し、当該接触の継続時間が一定時間以上となったときに押下力が一定量以上の場合か、または、当該接触の継続時間が一定時間以上となった後、押下力が一定量以上となった場合に当該接触を有効とする
ことを特徴とする入力検出方法。
【請求項10】
接触検出可能領域に対する接触およびその接触位置を検出する接触検出部と、前記接触検出可能領域を含む押下検出可能領域に対して押下力が加わったことおよびその押下力を検出する押下検出部とを有する入力検出装置による入力検出方法であって、
前記入力検出装置の操作判定部が、前記接触検出部により接触が検出されたか否かを監視しつつ、前記押下検出部により押下力が加わったことが検出されたか否かを監視する第1のステップと、
前記入力検出装置の操作判定部が、前記第1のステップの結果に基づいて処理を実行する第2のステップとを含み、
前記第2のステップにおいて、前記操作判定部は、前記接触検出部により接触が検出された後に前記押下検出部により押下力が加わったことが検出され、その後、押下力が判定基準値以上となった場合、前記接触検出部により検出された接触を有効とする一方、前記接触検出部により接触が検出される前に前記押下検出部により押下力が加わったことが検出された場合、特別モードへ移行して前記判定基準値を上回る補正基準値を設定し、前記特別モードへ移行後に前記接触検出部により接触が検出された場合、前記押下検出部により検出される押下力が前記補正基準値以上となったか否かを監視し、記前記押下検出部により検出される押下力が前記補正基準値以上となったときに当該接触を有効とする一方、前記特別モードに移行した後、前記押下検出部により検出された押下力の増加に応じて、この押下力の増加の割合以下の割合で、前記補正基準値が最大値に至るまで前記補正基準値を増加させる
ことを特徴とする入力検出方法。
【請求項11】
接触検出可能領域に対する接触およびその接触位置を検出する接触検出部と、前記接触検出可能領域を含む押下検出可能領域に対して押下力が加わったことおよびその押下力を検出する押下検出部とを有する入力検出装置による入力検出方法であって、
前記入力検出装置の操作判定部が、前記接触検出部により接触が検出されたか否かを監視しつつ、前記押下検出部により押下力が加わったことが検出されたか否かを監視する第1のステップと、
前記入力検出装置の操作判定部が、前記第1のステップの結果に基づいて処理を実行する第2のステップとを含み、
前記第2のステップにおいて、前記操作判定部は、前記接触検出部により接触が検出された後に前記押下検出部により押下力が加わったことが検出され、その後、押下力が判定基準値以上となった場合、前記接触検出部により検出された接触を有効とする一方、前記接触検出部により接触が検出される前に前記押下検出部により押下力が加わったことが検出された場合、前記押下検出部により検出される押下力が閾値以上となったとき、または、押下力が加わってからの経過時間が閾値以上となったときに特別モードへ移行し、前記特別モードへ移行後に前記接触検出部により接触が検出された場合、前記特別モードにおいて設定される所定の条件が成立したか否かを監視し、成立したときに当該接触を有効とする
ことを特徴とする入力検出方法。
【請求項12】
接触検出可能領域に対する接触およびその接触位置を検出する接触検出部と、前記接触検出可能領域を含む押下検出可能領域に対して押下力が加わったことおよびその押下力を検出する押下検出部とを有する入力検出装置による入力検出方法であって、
前記入力検出装置の操作判定部が、前記接触検出部により接触が検出されたか否かを監視しつつ、前記押下検出部により押下力が加わったことが検出されたか否かを監視する第1のステップと、
前記入力検出装置の操作判定部が、前記第1のステップの結果に基づいて処理を実行する第2のステップとを含み、
前記第2のステップにおいて、前記操作判定部は、前記接触検出部により接触が検出された後に前記押下検出部により押下力が加わったことが検出され、その後、押下力が判定基準値以上となった場合、前記接触検出部により検出された接触を有効とする一方、前記接触検出部により接触が検出される前に前記押下検出部により押下力が加わったことが検出された場合、特別モードへ移行し、前記特別モードへ移行後に前記接触検出部により接触が検出された場合、前記特別モードにおいて設定される所定の条件が成立したか否かを監視し、成立したときに当該接触を有効とし、
前記第2のステップにおいて、前記入力検出装置の報知部は、前記特別モードへ移行したときに、前記特別モードへ移行したことを報知する
ことを特徴とする入力検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力検出装置および入力検出方法に関し、特に、接触と共に押下力を検出する入力検出装置に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、タッチパネル付きディスプレイに表示されたGUI(Graphical User Interface)等をユーザがタッチ操作した際に、タッチパネルへの接触に加えて押下力を検出し、接触を検出したときにすぐにその接触を有効とするのではなく、押下力が閾値以上となったときに初めて、その接触が有効であると判定する入力検出装置が知られている。押下力の検出を接触の有効/無効の判定に追加することで、対象を押し込むように押下する押下操作をユーザが行った場合にのみ接触が有効となり、ユーザに確実な操作を要求し、誤操作の発生を抑制することができる。
【0003】
なお、特許文献1には、タッチパネルへの接触と押下力とを検出することによって所定の動作を実行するようになされた入力装置が開示されている。すなわち、特許文献1に記載の入力装置は、画像を表示する表示部と、表示部の表示面の上面に重ねて配置されたタッチパネルと、表示部の表示面の下面に重ねて配置された圧力センサとを備え、タッチパネルへの接触を検出することで第1の動作を実行し、タッチパネルへの接触と圧力センサに加わる圧力とを検出することで第2の動作を実行する。
【0004】
また、特許文献2には、スマートフォン等の携帯端末の側部であって、ユーザが筐体を把持したときに押圧力が伝わる位置に押圧センサを設け、タッチパネルから出力される信号が無効とされているときに、押圧センサにより所定の態様で押圧検出値が検出されている場合(ユーザが携帯端末を把持している場合を含む)にのみ当該信号が有効となるようにし、これにより携帯端末の誤動作を防止する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-163363号公報
【文献】特開2014-142813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来の入力検出装置では、接触が検出されており、かつ、押下力が閾値以上の場合には一律に検出された接触が有効とされる。このため、ユーザにより押下操作が行われる前に、何らかの原因で閾値以上の押下力が押下検出可能領域に対して既に加わっている場合、押下操作に基づく接触が検出されるとすぐに、検出された接触が有効とされ、押下操作に応じた処理が実行されることになる。この場合、軽いタッチで瞬間的に接触が有効になってしまうため、押し込むように押下操作を行って初めて接触が有効になると認識しているユーザが、通常と異なる態様で接触の有効/無効に関する処理が行われているとの印象を抱き、不具合が発生したと誤って認識してしまう可能性がある。
【0007】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、押下検出可能領域に押下力が加わっていることが検出されている状態でユーザにより押下操作が行われた場合であっても、通常時と大きく異なる態様で接触が有効とされることを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決するために、本発明では、接触が検出された後に押下力が加わったことが検出され、その後、押下力が判定基準値以上となった場合、当該接触を有効とする。一方、本発明では、接触が検出される前に押下力が加わったことが検出された場合、特別モードへ移行し、特別モードへ移行後に接触が検出された場合、特別モードにおいて設定される所定の条件が成立したか否かを監視し、所定の条件が成立したときに検出された接触を有効とする。
【発明の効果】
【0009】
上記のように構成した本発明によれば、押下力が検出される前に接触が検出される通常時は、接触があった後、判定基準値以上の押下力が検出されて初めて検出された接触が有効とされるため、ユーザが押下操作を行ったときに、接触を有効と判定できる。一方、押下力が検出されている状態で接触が検出された場合は、接触が検出されたときにすぐに当該接触が有効とされるのではなく、特別モードにおいて設定される所定の条件が成立したときに初めて当該接触が有効とされる。このため、この場合に、軽いタッチに応じて瞬間的に接触が有効になることがなく、接触が有効とされるためには、所定の条件が成立するまでの期間、接触を継続するという押下操作に準じた意図的な操作をする必要が生じる。従って、この場合に、通常時と大きく異なる態様で接触が有効とされることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態に係る入力検出装置を適用した車載装置が、車両の車室に設けられた様子を示す図、および、表示入力装置の正面図である。
図2】車両において車載装置が設けられた場所を横から見た様子を示す図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る入力検出装置を適用した車載装置の構成例を示す図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る入力検出装置を適用した演算処理装置の機能構成例を示すブロック図である。
図5】検出接触が有効とされるまでの状態の変化を示すタイミングチャートである。
図6】本発明の第1実施形態に係る入力検出装置を適用した演算処理装置の動作例を示すフローチャートである。
図7】本発明の第1実施形態に係る入力検出装置を適用した演算処理装置の動作例を示すフローチャートである。
図8】本発明の第2実施形態に係る入力検出装置を適用した演算処理装置の機能構成例を示すブロック図である。
図9】時間の経過に伴う検出押下力の変化を示す図である。
図10】本発明の第2実施形態に係る入力検出装置を適用した演算処理装置の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1(A)は、本実施形態に係る入力検出装置1(図4)を適用した車載装置2が、車両の車室に設けられた様子を示す図である。図1(B)は、車載装置2が備える表示入力装置3の正面図である。図2は、車両の車室において車載装置2が設けられた場所を横から見た様子を示す図である。
【0012】
図2に示すように、本実施形態に係る車載装置2は、表示入力装置3と、本実施形態に係る入力検出装置1を含む演算処理装置4とを備えている。演算処理装置4の筐体は、ダッシュボードの所定の位置に設けられた収納空間5に収納されている。表示入力装置3は、板状の筐体6を有しており、収納空間5の外側で、支持部材7を介して演算処理装置4に支持されている。
【0013】
表示入力装置3は、画像を表示する機能、および、タッチ操作によるユーザの入力を受け付ける機能を備える装置である。上述したように、表示入力装置3は、収納空間5に収納されておらず、収納空間5の外側に配置されている。このため、表示入力装置3の筐体6の側面は露出しており、ユーザは、筐体6の側方から筐体6を把持することができる。
【0014】
図1(B)に示すように、表示入力装置3の前面には、ユーザのタッチ操作を検出可能な最大の領域である接触検出可能領域8が形成されている。更に表示入力装置3の前面において、接触検出可能領域8と、この接触検出可能領域8を囲む枠状の枠部9の前面の領域である枠部前面領域10とにより構成される領域には押下検出可能領域11が形成されている。押下検出可能領域11は、表示入力装置3の前面の全域と等しい。接触検出可能領域8および押下検出可能領域11については後に詳述する。
【0015】
図3は、車載装置2の構成例を模式的に示す図である。図3に示すように、車載装置2は、演算処理装置4および表示入力装置3とを備えて構成されており、表示入力装置3は、タッチパネル13、表示パネル14および押下力検出センサ15を備えて構成されている。図3は、タッチパネル13、表示パネル14および押下力検出センサ15の関係を明確にし、更にこれらの部材と接触検出可能領域8および押下検出可能領域11との関係を明確にすることを目的とする図であり、表示入力装置3の各部材を単純化して模式的に表している。図3において図中で上に向かう方向が表示入力装置3の前面側である。
【0016】
図3に示すように、表示入力装置3の前面において、タッチパネル13の前面の全域に対応する領域にはタッチパネル13により接触を検出可能な接触検出可能領域8が形成されている。タッチパネル13は、接触検出可能領域8に対する接触を検出し、その接触位置を示す接触位置情報を出力する。タッチパネル13は、接触を検出している間、継続して接触位置情報を出力する。
【0017】
タッチパネル13の裏面側には表示パネル14が設けられている。表示パネル14は、演算処理装置4により生成される画像を表示するものであり、例えば液晶パネルまたは有機ELパネル等により構成される。
【0018】
タッチパネル13および表示パネル14の周囲には、これら部材を囲むように枠部9が設けられており、タッチパネル13および表示パネル14は枠部9に支持されている。
【0019】
表示入力装置3において、表示パネル14の裏面側には押下力検出センサ15が設けられている。図3に示すように、押下力検出センサ15の前面の全域に相当する領域は、接触検出可能領域8(タッチパネル13の前面の全域)と、接触検出可能領域8を囲む枠部9の前面の領域である枠部前面領域10とを含んで構成される。つまり、押下力検出センサ15の前面の全域は、表示入力装置3の前面の全域に等しい。表示入力装置3の前面において、押下力検出センサ15の前面の全域に相当する領域、つまり、表示入力装置3の前面の全域には、押下検出可能領域11が形成されている。押下力検出センサ15は、押下検出可能領域11に押下力が加わったことを検出し、押下力を示す押下力情報を出力する。押下力検出センサ15は、押下検出可能領域11に押下力が加わっている間、継続して押下力情報を出力する。このように、押下検出可能領域11は、押下力検出センサ15により押下を検出可能な最大の領域である。
【0020】
このように、本実施形態では、押下検出可能領域11は、接触検出可能領域8を含み、かつ、枠部前面領域10の分、接触検出可能領域8よりも広い。そして、押下力検出センサ15は、押下検出可能領域11に対して押下力が加わった場合に、そのことを検知する。従って、枠部前面領域10に対して押下力が加わった場合にも、接触検出可能領域8に対して押下力が加わった場合と同様に、押下力検出センサ15から押下力情報が出力される。このため、押下力検出センサ15から出力される押下力情報からは、表示入力装置3に対する押下が押下検出可能領域8に対して行われたものであるのか、それとも枠部前面領域10に対して行われたものであるかの区別はできない。
【0021】
タッチパネル13が出力する接触位置情報、および、押下力検出センサ15が出力する押下力情報は、演算処理装置4に供給される。
【0022】
図4は、本実施形態に係る入力検出装置1を含む演算処理装置4の機能構成例を示すブロック図である。図4に示すように、本実施形態に係る演算処理装置4は、その機能構成として、接触検出部20、押下検出部21、操作判定部22、報知部23、処理実行部24および表示制御部25を備えている。このうち、接触検出部20、押下検出部21、操作判定部22および報知部23により、本実施形態に係る入力検出装置1が構成される。
【0023】
上記各機能ブロック20~25は、ハードウェア、DSP(Digital Signal Processor)、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。例えばソフトウェアによって構成する場合、上記各機能ブロック20~25は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記録媒体に記憶されたプログラムが動作することによって実現される。
【0024】
接触検出部20は、タッチパネル13から供給される接触位置情報に基づいて、接触検出可能領域8に対する接触、および、その接触位置を検出する。以下、接触検出部20により接触検出可能領域8に対する接触が検出されている状態を「接触検出状態」といい、逆に接触検出部20により接触検出可能領域8に対する接触が検出されていない状態を「接触非検出状態」という。接触検出部20は、検出した接触位置を示す検出接触位置情報を処理実行部24に出力する。また、接触検出部20は、接触検出状態へ変移したとき、および、接触非検出状態へ変移したときに、状態が変移したことを操作判定部22に通知する。
【0025】
押下検出部21は、押下力検出センサ15から供給される押下力情報に基づいて、押下検出可能領域11に対して押下力が加わったこと、および、その押下力を検出する。以下、押下検出部21により押下検出可能領域11に対して押下力が加わっていることが検出されている状態を「押下検出状態」といい、逆に押下検出部21により押下検出可能領域11に対して押下力が加わっていることが検出されていない状態を「押下非検出状態」という。押下検出部21は、検出した押下力を示す検出押下力情報を操作判定部22に出力する。また、押下検出部21は、押下検出状態へ変移したとき、および、押下非検出状態へ変移したときに、状態が変移したことを操作判定部22に通知する。
【0026】
操作判定部22は、接触検出部20により接触が検出された後に押下検出部21により押下力が加わったことが検出され、その後、押下力が判定基準値以上となった場合、接触検出部20により検出された接触を有効とする。一方、操作判定部22は、接触検出部20により接触が検出される前に押下検出部21により押下力が加わったことが検出された場合、特別モードへ移行し、特別モードへ移行後に接触検出部20により接触が検出された場合、特別モードにおいて設定される所定の条件が成立したときに当該接触を有効とする。特に、本実施形態に係る操作判定部22は、特別モードへ移行後に接触検出部20により接触が検出された場合、当該接触の継続時間が一定時間以上となったときに、そのときの押下力にかかわらず当該接触を有効とする。以下、操作判定部22の処理について詳述する。
【0027】
ここで、本実施形態では、ユーザは、アイコンやブロック等の、表示パネル14のGUIに表示されたオブジェクトをタッチ操作により選択する場合、押下操作を行うべきことを認識している。押下操作とは、接触検出可能領域8の所望の位置に軽く触れるだけではなく、当該所望の位置に触れた後、押し込むように当該所望の位置を押下する操作のことをいう。後に明らかとなる通り、押下検出可能領域11に何ら押下力が加わっていない状態で押下操作が行われ、これに応じて接触検出部20により接触が検出された場合、押下検出部21により検出される押下力が判定基準値L1以上となったときに当該接触が有効とされる。
【0028】
以下の操作判定部22の処理の説明では、操作判定部22は、接触検出部20からの通知および押下検出部21からの通知に基づいて、接触検出状態と接触非検出状態との間での変移、および、押下検出状態と押下非検出状態との間での変移を随時認識しているものとする。また、操作判定部22は、押下検出部21から入力する検出押下力情報に基づいて、押下検出部21が検出した押下力を随時認識しているものとする。以下、操作判定部22が検出押下力情報に基づいて認識する押下力(=その時点で押下検出可能領域11に実際に加わっている押下力)のことを「検出押下力」という。
【0029】
今、接触非検出状態であり、かつ押下非検出状態であるとする。この状態において、操作判定部22は、接触検出状態へと変移したか否かを監視しつつ、押下検出状態へと変移したか否かを監視する。以下、この処理を「初期監視処理」という。押下検出状態へと変移する前に接触検出状態へと変移した場合、押下検出可能領域11に対して何ら押下力が加わっていない状況であり、この状況下でユーザが接触検出可能領域8に対して押下操作を行った可能性がある。これを踏まえ、この場合、操作判定部22は、更に接触非検出状態となったか否かを監視しつつ、検出押下力が判定基準値L1以上となったか否かを監視する。
【0030】
接触非検出状態となることなく、検出押下力が判定基準値L1以上となった場合、操作判定部22は、接触検出部20により検出された接触が押下操作に基づくものであると判定し、当該接触を有効とする。以下、接触検出部20により検出された接触を「検出接触」という。検出接触を有効とした場合、操作判定部22は、検出接触を有効としたことを通知する有効通知情報を処理実行部24に出力する。
【0031】
図5は、押下検出状態へと変移する前に接触検出状態へと変移した場合に、操作判定部22により検出接触が有効とされるまでの、接触検出状態と接触非検出状態との時間の経過に伴う変化(図5(a))、および、検出押下力が判定基準値L1を下回っている状態(以下「基準未満状態」という)と検出押下力が判定基準値L1以上の状態(以下「基準以上状態」という)との時間の経過に伴う変化(図5(B))を示すタイミングチャートである。
【0032】
図5では、タイミングT5-0では、接触非検出状態かつ基準未満状態である。その後、タイミングT5-1で接触検出状態へと変移し、更にその後、タイミングT5-2で基準以上状態へと変移している。この場合、操作判定部22は、タイミングT5-2において、検出接触が押下操作に基づくものであると判定し、検出接触を有効とする。なお、タイミングT5-3で基準未満状態となり、タイミングT5-4で接触非検出状態となっている。
【0033】
一方、検出押下力が判定基準値L1以上となる前に接触非検出状態となった場合、ユーザが接触検出可能領域8に軽くタッチ操作したか、何らかの物体が接触検出可能領域8に偶発的に接触したことが考えられる。この場合、操作判定部22は、接触非検出状態かつ押下非検出状態となった後に、再び初期監視処理の実行を開始する。
【0034】
このように、操作判定部22は、接触検出部20により接触が検出された後に押下検出部21により押下力が加わったことが検出され、その後、押下力が判定基準値L1以上となった場合に、検出接触を有効とする。これにより、接触検出可能領域8への軽いタッチ操作や、偶発的な意図しない軽い接触が行われた場合に、検出接触が有効となることをできるだけ排除し、理想的にはユーザが押下操作を行った場合にのみ、その押下操作に基づく検出接触を有効とすることができる。
【0035】
一方、接触検出状態へと変移する前に、押下検出状態へと変移した場合、接触検出可能領域8ではなく、枠部前面領域10に対して押下力が加わっている状態である。接触検出可能領域8に対して押下力が加わっている場合、先に接触検出状態となるはずだからである。本実施形態では、枠部前面領域10に対して押下力が加わる代表的なケースとして、以下のケースがある。
【0036】
すなわち、図1、2を用いて説明したように、本実施形態に係る表示入力装置3は、筐体6の側面が露出しており、ユーザは、筐体6の側方から筐体6を把持することができる。そして、ユーザは、接触検出可能領域8に押下操作を行う際に、安定的に押下操作を行うため、筐体6の側方から一方の手の「手の平」の部分で筐体6を把持し、筐体6に対して当該一方の手の位置を位置決めしつつ、当該一方の手の親指で押下操作を試みる場合がある。その際、筐体6を把持する手が枠部前面領域10を奥へ向かって押し込み、これに起因して枠部前面領域10に対して押下力が加わることがある。ただし、枠部前面領域10に対して押下力が加わるケースはこのケースに限られるわけではなく、例えば、一方の手で表示入力装置3の筐体6を把持し、他方の手の指で押下操作を試みる場合に、枠部前面領域10に対して押下力が加わることがある。
【0037】
さて、接触検出状態へと変移する前に、押下検出状態へと変移した場合、操作判定部22は、更に押下非検出状態へと変移したか否かを監視しつつ、検出押下力が押下力閾値OT1以上となったか否かを監視する。なお、押下力閾値OT1は、判定基準値L1よりも小さい。検出押下力が押下力閾値OT1以上となったか否かの監視は、枠部前面領域10に対する押下が瞬間的なもの(例えば、車両の振動に由来する押下)である場合に動作モードが特別モード(後述)へ移行することを防止するために行われる処理である。これを踏まえ、押下力閾値OT1は、検出押下力がこの閾値以上となった場合、以後も枠部前面領域10に対する押下が継続すると推測できるような値に設定される。なお、検出押下力が押下力閾値OT1以上となったか否かの判定に代えて、押下検出状態へと変移した後の経過時間が予め定められた時間閾値以上となったか否かを監視する構成でもよい。押下検出状態がある程度の時間、継続した場合、以後も枠部前面領域10に対する押下が継続すると推測できるからである。
【0038】
なお、検出押下力が押下力閾値OT1となったか否かの判定は行わない構成でもよい。この構成の場合、押下検出状態へと変移した場合に特別モード(後述)へ移行することになる。
【0039】
検出押下力が押下力閾値OT1以上となることなく、押下非検出状態へと変移した場合、枠部前面領域10に何らかの原因で押下力が加わったものの、すぐに枠部前面領域10に対する押下が解除された状態である。この場合、操作判定部22は、接触非検出状態かつ押下非検出状態となった後に、再び初期監視処理の実行を開始する。
【0040】
一方、検出押下力が押下力閾値OT1となった場合、操作判定部22は、動作モードを特別モードへ移行する。動作モードを特別モードへ移行した後、操作判定部22は、特定モードへ移行したことを報知部23に通知する。更に操作判定部22は、押下非検出状態へと変移したか否かを監視しつつ、接触検出状態へと変移したか否かを監視する。接触検出状態へと変移することなく、押下非検出状態へと変移した場合、接触検出可能領域8に対する接触が行われる前に枠部前面領域10に対する押下が解除された状態である。この場合、操作判定部22は、特別モードへの移行を解除し、特別モードへの移行を解除したことを報知部23に通知する。更に操作判定部22は、接触非検出状態かつ押下非検出状態となった後に、再び初期監視処理の実行を開始する。
【0041】
一方、押下非検出状態へと変移することなく、接触検出状態へと変移した場合、ユーザが接触検出可能領域8に対して押下操作を開始したことが想定される。特に本実施形態では、ユーザが一方の手で表示入力装置3の筐体6を把持しつつ、当該一方の手の親指により押下操作を開始した可能性がある。この場合、操作判定部22は、以下の処理を実行する。
【0042】
すなわち、操作判定部22は、押下非検出状態へと変移したか否かを監視し、押下検出状態のまま接触非検出状態へと変移したか否かを監視し、更に接触検出状態の継続時間が時間閾値TT1となったか否かを監視する。本実施形態では、「接触検出状態の継続時間が時間閾値TT1となったこと」という条件が、特許請求の範囲の「特別モードにおいて設定される所定の条件」に相当する。
【0043】
接触検出状態の継続時間が時間閾値TT1となる前に、押下非検出状態へと変移した場合、押下検出可能領域11に対して何ら押下力が加わっていない状態となったということである。この場合、同時に接触非検出状態へと変移すると考えられるため、操作判定部22は、特別モードへの移行を解除し、特別モードへの移行を解除したことを報知部23に通知する。更に操作判定部22は、再び初期監視処理の実行を開始する。
【0044】
一方、接触検出状態の継続時間が時間閾値TT1となる前に、押下検出状態のまま接触非検出状態へと変移した場合、枠部前面領域10への押下が継続しつつ、接触検出可能領域8への接触が解除されたということである。この場合、ユーザが表示入力装置3の筐体6を把持しつつ、押下操作を一旦取りやめた可能性がある。これを踏まえ、この場合、操作判定部22は、経過時間の計測をクリアする。そして、操作判定部22は、押下検出状態のまま再び接触検出状態へと変移したか否かを監視しつつ、押下非検出状態へと変移したか否かを監視する。押下検出状態のまま再び接触検出状態へと変移した場合、ユーザが再び押下操作を開始した可能性がある。このため、この場合、操作判定部22は、再び、押下非検出状態へと変移したか否かを監視し、押下検出状態のまま接触非検出状態へと変移したか否かを監視し、更に接触検出状態の継続時間が時間閾値TT1となったか否かを監視する。一方、押下非検出状態へと変移した場合、操作判定部22は、特別モードへの移行を解除し、特別モードへの移行を解除したことを報知部23に通知する。更に操作判定部22は、再び初期監視処理の実行を開始する。
【0045】
押下非検出状態へと変移せず、かつ、押下検出状態のまま接触非検出状態へと変移することなく、接触検出状態の継続時間が時間閾値TT1となった場合、操作判定部22は、検出接触を有効とし、検出接触を有効としたことを通知する有効通知情報を処理実行部24に出力する。なお、本実施形態では、操作判定部22は、接触検出状態の継続時間が時間閾値TT1となった時点における検出押下力の値にかかわらず、検出接触を有効とする。更に、操作判定部22は、特別モードへの移行を解除し、特別モードへの移行を解除したことを報知部23に通知する。
【0046】
このように、本実施形態では、接触検出部20により接触が検出される前に押下検出部21により押下力が加わったことが検出された場合、特別モードへ移行し、特別モードへ移行後に接触検出部20により接触が検出された場合、当該接触の継続時間が時間閾値TT1となったか否かを監視し、当該接触の継続時間が時間閾値TT1以上となったときに、そのときの押下力にかかわらず当該接触を有効とする。このような処理が行われることにより以下の効果を奏する。
【0047】
すなわち、特別モードへ移行した状況で接触検出状態となった場合、接触検出状態となった時点で、検出押下力が判定基準値L1以上となっている可能性がある。仮に、接触検出部20により接触が検出されており、かつ、検出押下力が判定基準値L1以上である場合に、一律に検出接触を有効とする構成とした場合、接触検出状態となった時点で検出押下力が判定基準値L1以上となっていると、すぐにこの検出接触が有効とされ、検出接触に応じた処理が実行されることになる。この場合、軽いタッチに応じて瞬間的に検出接触が有効になってしまうため、押し込むように接触検出可能領域8を押下する押下操作を行って初めて検出接触が有効になると認識しているユーザが、通常と異なる態様で検出接触の有効/無効の判定が行われているとの印象を抱き、不具合が発生したと誤って認識してしまう可能性がある。
【0048】
一方で、本実施形態によれば、特別モードへ移行後に接触検出部20により接触が検出された場合、当該接触の検出に応じてすぐに検出接触が有効とされるのではなく、時間閾値TT1以上の継続的な接触が行われて初めて検出接触が有効とされる。このため、軽いタッチに応じて瞬間的に検出接触が有効になることがなく、接触が有効とされるためには、時間閾値TT1以上の時間が経過するまで接触を継続するという押下操作に準じた意図的な操作をする必要が生じる。このため、本実施形態によれば、接触検出部20により接触が検出される前に押下検出部21により押下力が加わったことが検出された場合にも、通常時と大きく異なる態様で接触が有効とされることを抑制することができる。
【0049】
なお、本実施形態では、操作判定部22は、接触検出状態の継続時間が時間閾値TT1となった時点における検出押下力の値にかかわらず、検出接触を有効とする。これは以下の理由による。すなわち、本実施形態では、枠部前面領域10に対して押下力が加わっている状態で、時間閾値TT1以上、接触検出可能領域8に接触があった場合、ユーザが、表示入力装置3の筐体6を把持しつつ、押下操作を行ったものと想定される。これを踏まえ、接触検出状態の継続時間が時間閾値TT1となった場合には、ユーザにより押下操作が行われたものとみなして、その時点の検出押下力の値にかかわらず、検出接触を有効としている。
【0050】
報知部23は、操作判定部22から動作モードを特定モードへ移行したことの通知を受けてから、特定モードへの移行を解除したことの通知を受けるまでの期間、特定モードへ移行した状態であることをユーザに報知する。本実施形態では、報知部23は、表示パネル14に表示されたGUIのオブジェクトの形状や、色等の態様を所定のルールに従って変化させることにより、特定モードへ移行した状態であることをユーザに報知する。ユーザは、GUIのオブジェクトの形状や、色等の態様が変化したことを認識することにより、特定モードへ移行した状態であることを認識できる。なお、報知部23の報知方法は本実施形態で例示した方法に限られない。例えば、報知部23が、特定モードへ移行した状態であることを示す情報を表示パネル14のGUI上にポップアップにより表示するようにしてもよく、また、音声を利用して報知するようにしてもよい。
【0051】
処理実行部24は、操作判定部22から有効通知情報を入力した場合、検出接触が有効であることを認識し、有効通知情報を入力した時点で接触検出部20から入力されている検出接触位置情報に基づいて接触位置を認識する。次いで、処理実行部24は、表示パネル14のGUIにおいて、接触位置に表示されているオブジェクトに対応した所定の処理を実行する。
【0052】
表示制御部25は、処理実行部24による所定の処理の実行結果に基づいて、処理実行部24により生成された画像を表示パネル14に表示させるように制御する。これにより、押下検出可能領域11に対するユーザの押下操作に応じて、表示パネル14に表示される画像が切り替えられる。
【0053】
次に、本実施形態に係る入力検出装置1を含む演算処理装置4の動作例ついて図6図7のフローチャートFAを用いて説明する。フローチャートFAは、初期監視処理を開始した後の操作判定部22の動作例を示すフローチャートである。フローチャートFAの開始時点では、接触非検出状態であり、かつ押下非検出状態であるものとする。
【0054】
図6に示すように、操作判定部22は、接触検出状態へと変移したか否かを監視しつつ(ステップSA1)、押下検出状態へと変移したか否かを監視する(ステップSA2)。押下検出状態へと変移する前に接触検出状態へと変移した場合(ステップSA1:YES)、操作判定部22は、更に接触非検出状態となったか否かを監視しつつ(ステップSA3)、検出押下力が判定基準値L1以上となったか否かを監視する(ステップSA4)。
【0055】
接触非検出状態となることなく、検出押下力が判定基準値L1以上となった場合(ステップSA4:YES)、操作判定部22は、接触検出部20により検出された接触が押下操作に基づくものであると判定し、当該接触を有効とする(ステップSA5)。次いで、操作判定部22は、検出接触を有効としたことを通知する有効通知情報を処理実行部24に出力する(ステップSA6)。ステップSA6の処理後、フローチャートFAは終了する。一方、検出押下力が判定基準値L1以上となる前に接触非検出状態となった場合(ステップSA3:YES)、フローチャートFAは終了する。
【0056】
一方、接触検出状態へと変移する前に、押下検出状態へと変移した場合(ステップSA2:YES)、操作判定部22は、更に押下非検出状態へと変移したか否かを監視しつつ(ステップSA7)、検出押下力が押下力閾値OT1以上となったか否かを監視する(ステップSA8)。検出押下力が押下力閾値OT1以上となることなく、押下非検出状態へと変移した場合(ステップSA7:YES)、フローチャートFAは終了する。
【0057】
図7に示すように、押下非検出状態へ変移することなく、検出押下力が閾値OT1となった場合(ステップSE8:YES)、操作判定部22は、動作モードを特別モードへ移行する(ステップSA9)。次いで、操作判定部22は、特定モードへ移行したことを報知部23に通知する(ステップSA10)。
【0058】
更に操作判定部22は、押下非検出状態へと変移したか否かを監視しつつ(ステップSA11)、接触検出状態へと変移したか否かを監視する(ステップSA12)。接触検出状態へと変移することなく、押下非検出状態へと変移した場合(ステップSA11:YES)、操作判定部22は、特別モードへの移行を解除し(ステップSA13)、特別モードへの移行を解除したことを報知部23に通知する(ステップSA14)。ステップSA14の処理後、フローチャートFAは終了する。
【0059】
一方、押下非検出状態へと変移することなく、接触検出状態へと変移した場合(ステップSA12:YES)、操作判定部22は、押下非検出状態へと変移したか否かを監視し(ステップSA15)、押下検出状態のまま接触非検出状態へと変移したか否かを監視し(ステップSA16)、更に接触検出状態の継続時間が時間閾値TT1となったか否かを監視する(ステップSA17)。接触検出状態の継続時間が時間閾値TT1となる前に、押下非検出状態へと変移した場合(ステップSA15:YES)、操作判定部22は、特別モードへの移行を解除し(ステップSA18)、特別モードへの移行を解除したことを報知部23に通知する(ステップSA19)。ステップSA19の処理後、フローチャートFAは終了する。
【0060】
一方、接触検出状態の継続時間が時間閾値TT1となる前に、押下検出状態のまま接触非検出状態へと変移した場合(ステップSA16:YES)、操作判定部22は、経過時間の計測をクリアする(ステップSA20)。次いで、操作判定部22は、押下検出状態のまま再び接触検出状態へと変移したか否かを監視しつつ(ステップSA21)、押下非検出状態へと変移したか否かを監視する(ステップSA22)。押下検出状態のまま再び接触検出状態へと変移した場合(ステップSA21:YES)、処理手順はステップSA15へ戻る。一方、押下非検出状態へと変移した場合(ステップSA22:YES)、処理手順はステップSA18へ移行する。
【0061】
一方、押下非検出状態へと変移せず、かつ、押下検出状態のまま接触非検出状態へと変移することなく、押下非検出状態または接触非検出状態へと変移することなく、接触検出状態の継続時間が時間閾値TT1となった場合(ステップSA17:YES)、操作判定部22は、検出接触を有効とし(ステップSA23)、検出接触を有効としたことを通知する有効通知情報を処理実行部24に出力する(ステップSA24)。次いで、操作判定部22は、特別モードへの移行を解除し(ステップSA25)、特別モードへの移行を解除したことを報知部23に通知する(ステップSA26)。ステップSA26の処理後、フローチャートFAは終了する。
【0062】
<第1実施形態の変形例>
次に、第1実施形態の変形例について説明する。上述した第1実施形態では、特別モードへ移行した後、接触検出状態の継続時間が時間閾値TT1となった場合、操作判定部22は、接触検出状態の継続時間が時間閾値TT1となった時点での検出押下力の値にかかわらず、検出接触を有効としていた。この点に関し、操作判定部22が、接触検出状態の継続時間が時間閾値TT1となり、そのときの検出押下力が一定量以上の場合か、更にその後に検出押下力が一定量以上となった場合に、検出接触を有効とする構成でもよい。一定量は、判定基準値L1と同等の値とされる。
【0063】
ここで、接触検出状態の継続時間が時間閾値TT1となった時点で検出押下力が一定量を下回っている場合、検出接触は、ユーザの押下操作に基づくものではないと想定される。これを踏まえ、この変形例によれば、ユーザによる押下操作以外に事象に由来する検出接触が有効とされることを排除する可能性を高めることができる。
【0064】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。以下の第2実施形態において、第1実施形態と同じ要素については同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0065】
図8は、本実施形態に係る入力検出装置1Aを含む演算処理装置4Aの機能構成例を示すブロック図である。図4図8との比較で明らかな通り、本実施形態に係る演算処理装置4Aは、第1実施形態に係る操作判定部22に代えて操作判定部22Aを備えている。
【0066】
本実施形態に係る演算処理装置4Aでは、特別モードに移行した後の操作判定部22Aの処理が、第1実施形態と異なっている。このことを踏まえ、以下では、特別モードに移行した後の操作判定部22Aの処理について説明する。なお、操作判定部22Aは、特別モードへ移行した場合、および、特別モードへの移行を解除した場合、第1実施形態に係る操作判定部22と同様、報知部23に通知を行う。ただし、以下の説明では操作判定部22Aによる報知部23への報知については省略する。
【0067】
操作判定部22Aは、特別モードに移行した場合、判定基準値L1を上回る補正基準値を設定し、特別モードへ移行後に接触検出部20により接触が検出された場合、押下検出部21により検出される押下力が補正基準値以上となったか否かを監視し、押下検出部21により検出される押下力が補正基準値以上となったときに当該接触に対応する操作を有効とする。より詳細には、操作判定部22Aは、特別モードに移行した後、押下検出部21により検出された押下力の増加に応じて、補正基準値を増加させる。さらに詳細には、操作判定部22Aは、特別モードに移行した後、押下検出部21により検出された押下力の増加に応じて、この押下力の増加の割合以下の割合で、補正基準値が最大値に至るまで補正基準値を増加させる。以下、操作判定部22Aの処理について詳述する。
【0068】
図9の各図は、接触検出状態へと変移する前に、押下検出状態へと変移した場合における、時間の経過に伴う検出押下力の変化を示す図である。図9(B)は更に補正基準値L2(後述)の変化を示している。まず、図9(A)を用いて、仮に、補正基準値L2の設定が行われず、「接触検出部20により接触が検出されており、かつ、検出押下力が判定基準値L1以上である」ときに一律に検出接触を有効とする構成とした場合に、検出接触が有効とされるタイミングを説明する。
【0069】
押下力閾値OT1を超えるような押下力が枠部前面領域10に対して加わった場合、図9(A)に示すように、検出押下力は、検出可能な押下力の最大値に至るまでは時間の経過と共に大体同じ割合で徐々に大きくなっていく。図9(A)において、タイミングT8-0は、枠部前面領域10への押下が開始されたタイミングであり、タイミングT8-2で検出押下力が判定基準値L1を超えている。タイミングT8-3は接触検出部20により接触が検出されたタイミングであり、タイミングT8-3の時点では、検出押下力が判定基準値L1を上回っている。このため、上記構成の場合には、接触検出部20により接触が検出されたタイミングT8-3において検出接触が有効とされる。
【0070】
さて、本実施形態に係る操作判定部22Aは、特別モードに移行した場合、検出押下力の単位時間あたりの予測変化量(予測増加量)を算出する。以下、検出押下力の単位時間あたりの予測変化量を、単に「予測変化量」という。ここで特別モードに移行したタイミングは、検出押下力が押下力閾値OT1に至ったタイミングである。これを踏まえ、操作判定部22Aは、押下検出状態へと変移してから特別モードに移行するまで(=検出押下力が押下力閾値OT1に至るまで)の期間における検出押下力の変化率を算出し、これを予測変化量とする。上述したように、検出押下力は、時間の経過と共に大体同じ割合で徐々に大きくなっていくため、特別モードへ移行した後、検出押下力は、算出された予測変化量に従って徐々に増加していくものと予測される。
【0071】
予測変化量を算出した後、操作判定部22Aは、予測変化量に基づいて、補正基準値変化量を算出する。補正基準値変化量とは、時間の経過に応じて補正基準値L2を変化させる際の、単位時間あたりの補正基準値L2の変化量のことである。操作判定部22Aは、補正基準値変化量の増加の割合が、予測変化量の増加の割合と同じか、若干小さくなるように、所定のルールに従って補正基準値変化量を算出する。例えば、操作判定部22Aは、補正基準値変化量の増加の割合が、予測変化量の増加の割合の9/10程度となるように、補正基準値変化量を算出する。
【0072】
そして、操作判定部22Aは、特別モードに移行した後、判定基準値L1の値を補正基準値L2の初期値とし、初期値の補正基準値L2を時間の経過に応じて補正基準値変化量に従って変化(増加)させた値を補正基準値L2として設定する。従って、補正基準値L2は、時間の経過に応じて、検出押下力が増加する割合と同じか若干小さい割合で徐々に増加していく。操作判定部22Aは、補正基準値L2が最大値となった場合には、時間の経過に応じた補正基準値L2の増加を停止し、以後、この最大値を補正基準値L2の値とする。
【0073】
以上のように補正基準値L2を設定した上で、操作判定部22Aは、特別モードへ移行した後、押下非検出状態へと変移したか否かを監視しつつ、接触検出状態へと変移したか否かを監視する。接触検出状態へと変移することなく、押下非検出状態へと変移した場合、操作判定部22Aは、特別モードへの移行を解除し、接触非検出状態かつ押下非検出状態となった後に、再び初期監視処理の実行を開始する。
【0074】
一方、押下非検出状態へと変移することなく、接触検出状態へと変移した場合、操作判定部22Aは、以下の処理を実行する。すなわち、操作判定部22Aは、押下非検出状態へと変移したか否かを監視し、押下検出状態のまま接触非検出状態へと変移したか否かを監視し、更に検出押下力が補正基準値L2以上となったか否かを監視する。本実施形態では、「検出押下力が補正基準値L2以上となったこと」という条件が、特許請求の範囲の「特別モードにおいて設定される所定の条件」に相当する。
【0075】
検出押下力が補正基準値L2以上となる前に、押下非検出状態へと変移した場合、操作判定部22Aは、特別モードへの移行を解除する。
【0076】
一方、検出押下力が補正基準値L2以上となる前に、押下検出状態のまま接触非検出状態へと変移した場合、操作判定部22Aは、押下検出状態のまま再び接触検出状態へと変移したか否かを監視しつつ、押下非検出状態へと変移したか否かを監視する。押下検出状態のまま再び接触検出状態へと変移した場合、操作判定部22Aは、再び、押下非検出状態へと変移したか否かを監視し、押下検出状態のまま接触非検出状態へと変移したか否かを監視し、更に検出押下力が補正基準値L2以上となったか否かを監視する。一方、押下非検出状態へと変移した場合、操作判定部22Aは、特別モードへの移行を解除する。
【0077】
また、押下非検出状態へと変移せず、かつ、押下検出状態のまま接触非検出状態へと変移することなく、検出押下力が補正基準値L2以上となった場合、操作判定部22Aは、検出接触を有効とし、検出接触を有効としたことを通知する有効通知情報を処理実行部24に出力する。
【0078】
ここで、枠部前面領域10に対する押下と、接触検出可能領域8に対する接触とに関連性がある場合、特別モードに移行した後、接触検出可能領域8に対して接触が行われるまでにかかる時間は、特別モードに移行した後、検出押下力が補正基準値L2となるまでに要する時間よりも短いと推測される。特に、第1実施形態で説明したように、枠部前面領域10に押下力が加わり、その後に接触検出部20により接触が検出される代表的なケースは、ユーザが表示入力装置3を把持しつつ押下操作を行うケースである。このケースでは、動作モードが特別モードに移行した後、押下操作が開始されるまでにかかる時間は短く、当該時間は、特別モードに移行した後、検出押下力が補正基準値L2となるまでに要する時間よりも短いと強く推測される。以上を踏まえ、接触検出状態へと変移した時点では、基本的には検出押下力が補正基準値L2を下回った状態であり、接触検出状態へと変移した場合に、すぐに検出接触が有効とされず、接触検出状態へと変移した後、ある程度の時間を経て検出接触が有効とされる。
【0079】
図9(B)を用いて、本実施形態において検出接触が有効とされるタイミングを説明する。図9(B)において二点鎖線は判定基準値L1を示し、破線は補正基準値L2を表している。図9(B)では、タイミングT8-0において枠部前面領域10に対する押下が開始され、タイミングT8-1で検出押下力が押下力閾値OT1以上となり、動作モードが特別モードへ移行している。図9(B)において破線で示すように、タイミングT8-1において補正基準値変化量が算出され、タイミングT8-1以降、補正基準値L2は、最大値に至るまでの間、補正基準値変化量に従って時間の経過と共に変化する。
【0080】
図9(B)では、タイミングT8-3において接触検出状態となっている。このタイミングT8-3では、検出押下力は、判定基準値L1を上回っているものの、補正基準値L2を下回っている。その後、タイミングT8-4において、補正基準値L2は最大値に達し、以降、補正基準値L2は変化しない。一方、タイイングT8-4以降も検出押下力は増加していく。その後、タイミングT8-5において、検出押下力は補正基準値L2に至る。このタイミングT8-5において操作判定部22Aにより検出接触が有効とされる。図9(B)に示すように、接触検出状態となったタイミングT8-3と、検出接触が有効とされるタイミングT8-5と間には、時間差が発生する。
【0081】
以上のように、本実施形態では、操作判定部22Aは、特別モードに移行した場合、その後に接触検出部20により接触が検出されたとしたときに、判定基準値L1を上回る補正基準値L2を設定する。そして、操作判定部22Aは、特別モードへ移行後に接触検出部20により接触が検出された場合、押下検出部21により検出される押下力が補正基準値L2以上となったときに当該接触を有効とする。このような処理が行われることにより以下の効果を奏する。
【0082】
すなわち、特別モードへ移行後に接触検出部20により接触が検出された場合、当該接触の検出に応じてすぐに検出接触が有効とされるのではなく、検出押下力が補正基準値L2以上となるまで、継続的な接触が行われて初めて検出接触が有効とされる。このため、軽いタッチに応じて瞬間的に検出接触が有効になることがなく、検出接触が有効とされるためには、検出押下力が補正基準値L2以上となるまで接触を継続するという押下操作に準じた意図的なタッチ操作をする必要が生じる。以上を踏まえ、本実施形態によれば、接触検出部20により接触が検出される前に押下検出部21により押下力が加わったことが検出された場合にも、通常時と大きく異なる態様で接触が有効とされることを抑制することができる。
【0083】
なお、本実施形態では、補正基準値変化量の増加の割合を、予測変化量の増加の割合と同じか、若干小さくなるようにしている。これにより以下の効果を奏する。すなわち、この構成によれば、特別モードに移行した後、検出押下力が最大値となるまでの期間、検出押下力と補正基準値L2との差を同程度に保つことができる。これにより、この期間のどのタイミングで押下操作が行われた場合であっても、接触検出可能領域8への接触があってから検出接触が有効とされるまでに要する時間を同程度にすることができる。特に、補正基準値変化量の増加の割合を、予測変化量の増加の割合より若干小さくすることによって、検出押下力と補正基準値L2との差を同程度に保ちつつ、補正基準値変化量に係る割合を予測変化量に係る割合よりも大きくする場合と比較して、補正基準値L2が最大値に至るまでに要する時間を長くし、検出押下力と補正基準値L2との差が同程度となる期間をより長くすることができる。
【0084】
次に、本実施形態に係る入力検出装置1Aを含む演算処理装置4Aの動作例について図10のフローチャートFBを用いて説明する。フローチャートFBは、動作モードが特別モードに移行した後の操作判定部22Aの動作例を示す処理である。本実施形態に係る操作判定部22Aは、フローチャートFAのステップSA9~ステップSA26(図7)に代えて、フローチャートFBの処理を実行する。
【0085】
図10に示すように、操作判定部22Aは、特別モードに移行した後(ステップSB1)、検出押下力の単位時間あたりの予測変化量(予測増加量)を算出する(ステップSB2)。次いで、操作判定部22Aは、予測変化量に基づいて、補正基準値変化量を算出する(ステップSB3)。次いで、操作判定部22Aは、時間の経過に応じて補正基準値を変化させる処理を開始する(ステップSB4)。上述したように、操作判定部22Aは、判定基準値L1の値を補正基準値L2の初期値とし、初期値の補正基準値L2を時間の経過に応じて補正基準値変化量に従って変化させた値を補正基準値L2として設定する。
【0086】
次いで、操作判定部22Aは、押下非検出状態へと変移したか否かを監視しつつ(ステップSB5)、接触検出状態へと変移したか否かを監視する(ステップSB6)。接触検出状態へと変移することなく、押下非検出状態へと変移した場合(ステップSB5:YES)、操作判定部22Aは、特別モードへの移行を解除し(ステップSB7)、特別モードへの移行を解除したことを報知部23に通知する(ステップSB8)。ステップSB8の処理後、フローチャートFBは終了する。
【0087】
一方、押下非検出状態へと変移することなく、接触検出状態へと変移した場合(ステップSB6:YES)、操作判定部22Aは、押下非検出状態へと変移したか否かを監視し(ステップSB9)、押下検出状態のまま接触非検出状態へと変移したか否かを監視し(ステップSB10)、更に検出押下力が補正基準値L2以上となったか否かを監視する(ステップSB11)。
【0088】
さて、検出押下力が補正基準値L2以上となる前に、押下非検出状態へと変移した場合(ステップSB9:YES)、操作判定部22Aは、特別モードへの移行を解除し(ステップSB12)、特別モードへの移行を解除したことを報知部23に通知する(ステップSB13)。ステップSB13の処理後、フローチャートFBは終了する。
【0089】
一方、検出押下力が補正基準値L2以上となる前に、押下検出状態のまま接触非検出状態へと変移した場合(ステップSB10:YES)、操作判定部22Aは、押下検出状態のまま再び接触検出状態へと変移したか否かを監視しつつ(ステップSB14)、押下非検出状態へと変移したか否かを監視する(ステップSB15)。押下検出状態のまま再び接触検出状態へと変移した場合(ステップSB14:YES)、処理手順はステップSB9へ戻る。一方、押下非検出状態へと変移した場合(ステップSB15)、処理手順はステップSB12へ移行する。
【0090】
押下非検出状態へと変移せず、かつ、押下検出状態のまま接触非検出状態へと変移することなく、検出押下力が補正基準値L2以上となった場合(ステップSB11:YES)、操作判定部22は、検出接触を有効とし(ステップSB16)、検出接触を有効としたことを通知する有効通知情報を処理実行部24に出力する(ステップSB17)。次いで、操作判定部22は、特別モードへの移行を解除し(ステップSB18)、特別モードへの移行を解除したことを報知部23に通知する(ステップSB19)。ステップSB19の処理後、フローチャートFBは終了する。
【0091】
<第2実施形態の変形例>
次に、第2実施形態の変形例について説明する。第2実施形態では、操作判定部22Aは、時間の経過に従って補正基準値を徐々に変化させた。また、補正基準値変化量の増加の割合は、予測変化量の増加の割合と同じか、若干小さかった。これら点に関し、補正基準値を、経過と共に変化する変動値とせず、補正基準値の最大値または最大値よりも小さい固定値としてもよい。また、補正基準値変化量の増加の割合を、予測変化量の増加の割合よりも大きくしてもよい。また、補正基準値変化量の増加の割合を予め定められた値としてもよい。
【0092】
以上、第1、第2実施形態を説明したが、上記各実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【0093】
例えば、上記各実施形態では、車両において、表示入力装置3が設けられる態様を図1図2を用いて具体的に説明したが、表示入力装置3が設けられる態様は例示した態様に限られない。一例として、表示入力装置3は、収納空間5にはめ込まれて使用されるものでもよい。この場合であっても、枠部前面領域10が接触可能な状態で露出するため、接触検出部20に対する接触よりも前に枠部前面領域10に対して押下力が加わる事態が生じ得る。また、入力検出装置1、2Aは、車両に設けられた装置である必要はない。
【0094】
また、第1実施形態において、入力検出装置1の機能ブロックが実行すると説明した処理の一部または全部を、入力検出装置1と外部装置とが協働して実行する構成としてもよい。この場合、入力検出装置1と外部装置とが協働して「入力検出装置」として機能する。一例として、操作判定部22の処理の一部または全部を、入力検出装置1とネットワークを介して通信可能なクラウドサーバが実行する構成としてもよい。以上のことは第2実施形態についても同様である。
【符号の説明】
【0095】
1、1A 入力検出装置
5 収納空間
6 筐体
11 押下検出可能領域
20 接触検出部
21 押下検出部
22、22A 操作判定部
23 報知部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10