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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-25
(45)【発行日】2023-09-04
(54)【発明の名称】穿刺支援装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/00 20060101AFI20230828BHJP
【FI】
A61B8/00
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019203699
(22)【出願日】2019-11-11
(65)【公開番号】P2021074295
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】中内 章一
(72)【発明者】
【氏名】嶺 喜隆
(72)【発明者】
【氏名】樋口 治郎
(72)【発明者】
【氏名】小林 豊
(72)【発明者】
【氏名】中井 淳
(72)【発明者】
【氏名】手塚 和男
(72)【発明者】
【氏名】中屋 重光
【審査官】冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-154826(JP,A)
【文献】特開2014-204904(JP,A)
【文献】特開2014-004212(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0150591(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0112549(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 - 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
穿刺計画に基づいて設定される被検体に対する穿刺位置の情報を取得する取得部と、
前記穿刺位置の情報に基づく超音波スキャンの座標空間における前記穿刺計画時の前記被検体の位置情報と、前記被検体から収集されたリアルタイムの超音波画像に基づく前記超音波スキャンの座標空間における被検体の位置情報との差分を算出する算出部と、
前記穿刺計画に基づいて前記被検体に対して刺入される穿刺針を保持するロボットアームの位置を、前記差分を用いて調整するように制御する制御部と、
を備える、穿刺支援装置。
【請求項2】
前記算出部は、前記穿刺位置の情報における前記被検体の所定領域と前記穿刺針との位置関係と、前記リアルタイムの超音波画像に基づく被検体の位置に対して前記穿刺位置の情報で前記穿刺針を刺入した場合の当該穿刺針と前記所定領域との位置関係との差分を算出し、
前記制御部は、前記位置関係の差分に応じて、前記穿刺計画に基づいて配置された前記ロボットアームの位置を移動させるように制御する、請求項1に記載の穿刺支援装置。
【請求項3】
前記被検体の生体情報を取得する生体情報取得部をさらに備え、
前記制御部は、前記生体情報に基づいて、前記ロボットアームをさらに調整するように制御する、請求項1又は2に記載の穿刺支援装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記生体情報に基づいて前記被検体の体動を検出し、前記被検体の体動が相対的に少ないタイミングで前記ロボットアームに保持された穿刺針の刺入を開始するように制御する、請求項3に記載の穿刺支援装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記生体情報に基づいて前記被検体の体動を検出し、前記被検体の体動に合わせて前記穿刺針を保持したロボットアームの位置を調整するように制御する、請求項3に記載の穿刺支援装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記被検体の体動のうち前記穿刺針の刺入方向の動きに合わせて、前記ロボットアームの前記穿刺針の刺入方向の位置を調整するように制御する、請求項5に記載の穿刺支援装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記超音波画像に対する操作に応じて、前記穿刺針を保持したロボットアームの位置を調整するように制御する、請求項1~6のいずれか1つに記載の穿刺支援装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記リアルタイムの超音波画像を収集する超音波プローブを保持するプローブ用ロボットアームと、前記穿刺針を保持するロボットアームとの位置関係に基づいて、前記穿刺針が前記リアルタイムの超音波画像に描出されるように、前記プローブ用ロボットアームの位置を調整するように制御する、請求項1~7のいずれか1つに記載の穿刺支援装置。
【請求項9】
前記リアルタイムの超音波画像に描出させる穿刺針を選択するためのボタンを入力インターフェースに表示させる表示制御部をさらに備え、
前記表示制御部は、前記リアルタイムの超音波画像を収集する超音波プローブを保持するプローブ用ロボットアームと、前記穿刺針を保持するロボットアームとの位置関係に基づいて前記リアルタイムの超音波画像に穿刺針を描出可能か否か判定し、描出可能である穿刺針に対応するボタンを前記入力インターフェースに表示させる、請求項8に記載の穿刺支援装置。
【請求項10】
前記表示制御部は、前記リアルタイムの超音波画像に複数の穿刺針が同時に描出可能である場合に、前記複数の穿刺針を同時に描出させるためのボタンを前記入力インターフェースに表示させる、請求項9に記載の穿刺支援装置。
【請求項11】
前記リアルタイムの超音波画像は、2次元又は3次元の画像である、請求項1~10のいずれか1つに記載の穿刺支援装置。
【請求項12】
前記穿刺針の情報及び画像情報を提示するように制御する表示制御部をさらに備える、請求項1~11のいずれか1つに記載の穿刺支援装置。
【請求項13】
前記制御部は、術者による音声入力に基づいて、前記穿刺針を保持するロボットアーム及び前記リアルタイムの超音波画像を収集する超音波プローブを保持するプローブ用ロボットアームの位置を調整するように制御する、請求項1~12のいずれか1つに記載の穿刺支援装置。
【請求項14】
穿刺計画に基づいて設定される被検体に対する穿刺位置の情報を取得する取得部と、
前記穿刺位置の情報における前記被検体の位置情報と、前記被検体から収集されたリアルタイムの超音波画像に基づく被検体の位置情報との差分を算出する算出部と、
前記穿刺計画に基づいて前記被検体に対して刺入される穿刺針を保持するロボットアームの位置を、前記差分を用いて調整するように制御する制御部と、
前記リアルタイムの超音波画像に描出させる穿刺針を選択するためのボタンを入力インターフェースに表示させる表示制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記リアルタイムの超音波画像を収集する超音波プローブを保持するプローブ用ロボットアームと、前記穿刺針を保持するロボットアームとの位置関係に基づいて、前記穿刺針が前記リアルタイムの超音波画像に描出されるように、前記プローブ用ロボットアームの位置を調整するように制御し、
前記表示制御部は、前記リアルタイムの超音波画像を収集する超音波プローブを保持するプローブ用ロボットアームと、前記穿刺針を保持するロボットアームとの位置関係に基づいて前記リアルタイムの超音波画像に穿刺針を描出可能か否か判定し、描出可能である穿刺針に対応するボタンを前記入力インターフェースに表示させる、穿刺支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書等に開示の実施形態は、穿刺支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被検体の体内の様子を容易に観察するために、体表から体内へ超音波を送信し、その反射波に基づいて超音波画像を表示する超音波診断装置が広く用いられる。例えば、超音波診断装置は、超音波画像を略リアルタイムでモニタに表示できることから、生体組織検査やラジオ波焼灼治療(RFA:Radio Frequency Ablation)、不可逆電気穿孔法(IRE:Irreversible Electroporation)を用いた治療等、穿刺が行われる場合に利用される。
【0003】
このような穿刺針による穿刺では、事前に撮像したCT(Computed Tomography)やMRI(Magnetic Resonance Imaging)等の画像に基づいて穿刺計画が立てられ、治療時に超音波画像をガイドにしながら、穿刺針が挿入される。ここで、超音波画像をガイドに穿刺を行う場合、穿刺針が超音波画像内に描出されるように、穿刺針の角度を固定するニードルアダプターが用いられる場合がある。ニードルアダプターを用いることで、穿刺針が超音波画像と同じ面に存在することとなるため、穿刺中の針視認が困難な場合に有用である。
【0004】
また、超音波画像による穿刺のガイドでは、超音波で患部の描出が難しい場合があるため、穿刺計画の作成に用いたCTやMRI等の画像とリアルタイムの超音波画像とを位置合わせして、両者のプレーンの角度や位置を一致させて表示させるFusion機能が用いられる場合がある。
【0005】
また、近年、治療を目的とした穿刺では、複数の針を同時に挿入して行う方法が広まってきている。例えば、患部が大きく、一度の治療ではまかなえない場合や、治療方法によっては原理的に複数本必要な場合などに、複数の穿刺針が用いられる。複数の穿刺針を用いた穿刺の一例としては、例えば、ナノナイフ(Nanoknife(登録商標))とも呼ばれる不可逆電気穿孔法が挙げられる。ナノナイフでは電極ごとに針が異なることから、最低でも2本の同時穿刺が必要であり、6本の同時穿刺が行われる場合もある。ナノナイフでは、穿刺後、30分から1時間ほどパルス波を照射することで電極間にあるターゲットに対して治療を行う。このような複数穿刺は、施術の複雑さから事前の計画を行うことなく実施することは困難であり、CT、MRI、超音波画像を使って事前に穿刺計画が行われる。穿刺は、この穿刺計画に沿いながら、リアルタイム超音波画像をガイドに行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2019-13788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本明細書等に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、穿刺に係る負荷を低減することである。ただし、本明細書等に開示の実施形態により解決される課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を、本明細書等に開示の実施形態が解決する他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の穿刺支援装置は、取得部と、算出部と、制御部とを備える。取得部は、穿刺計画に基づいて設定される被検体に対する穿刺位置の情報を取得する。算出部は、前記穿刺位置の情報における前記被検体の位置情報と、前記被検体から収集されたリアルタイムの超音波画像に基づく被検体の位置情報との差分を算出する。制御部は、前記穿刺計画に基づいて前記被検体に対して刺入される穿刺針を保持するロボットアームの位置を、前記差分を用いて調整するように制御する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1の実施形態に係る穿刺支援システムの一例を模式的に示す図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、第1の実施形態に係るロボットアーム装置の構成の一例を示すブロック図である。
図4図4は、第1の実施形態に係る穿刺針を保持するアームの一例を示す図である。
図5図5は、第1の実施形態に係る超音波プローブを保持するアームの一例を示す図である。
図6図6は、第1の実施形態に係る手技の手順を説明するためのフローチャートである。
図7図7は、第1の実施形態に係る穿刺計画の一例を模式的に示した図である。
図8図8は、第1の実施形態に係るFusion機能の一例を説明するための図である。
図9図9は、第1の実施形態に係る超音波画像を介した位置の指定の一例を示す図である。
図10図10は、第1の実施形態に係る表示制御機能による処理の一例を示す図である。
図11図11は、第1の実施形態に係る表示制御機能による処理の一例を示す図である。
図12図12は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の処理の手順を説明するためのフローチャートである。
図13図13は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の処理の手順を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本願に係る穿刺支援装置の実施形態を詳細に説明する。なお、本願に係る穿刺支援装置は、以下に示す実施形態によって限定されるものではない。また、以下の説明において、同様の構成要素には共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。
【0011】
(第1の実施形態)
まず、本願に係る穿刺支援装置を含む穿刺支援システムについて説明する。穿刺支援システムは、超音波診断装置とロボットアーム装置とを含み、ロボットアーム装置が保持した穿刺針を穿刺支援装置の制御によって調整する。図1は、第1の実施形態に係る穿刺支援システム1000の一例を模式的に示す図である。例えば、図に示すように、穿刺支援システム1000は、超音波診断装置(US装置)1と、ロボットアーム装置200とを含み、被検体に対する穿刺を支援する。
【0012】
超音波診断装置100は、超音波プローブ12を有し、超音波プローブ12によって送受信される超音波に基づいて超音波画像を生成する。例えば、超音波診断装置100は、超音波プローブ12によってスキャンされた被検体の穿刺対象の部位の超音波画像を生成する。
【0013】
ロボットアーム装置200は、例えば、ロボットアーム制御装置21と、アーム22aと、アーム22bと、アーム22cとを有する。アーム22aは、穿刺針31を保持し、ロボットアーム制御装置21による制御に基づいて、位置を変化させたり、穿刺針31を刺入方向(穿刺針31の長手方向)に移動させたりする。アーム22bは、穿刺針32を保持し、ロボットアーム制御装置21による制御に基づいて、位置を変化させたり、穿刺針31を刺入方向(穿刺針31の長手方向)に移動させたりする。アーム22cは、超音波プローブ12を保持し、ロボットアーム制御装置21による制御に基づいて、位置を変化させることで、被検体に対する超音波スキャンを実行させる。
【0014】
ロボットアーム制御装置21は、アーム22a、アーム22b及びアーム22cの位置を移動させることで、被検体に対する穿刺針31、穿刺針32及び超音波プローブ12の位置を調整する。ここで、ロボットアーム制御装置21は、穿刺支援装置から受信する制御信号に基づいて、アーム22a、アーム22b及びアーム22cの位置を制御することができる。すなわち、ロボットアーム制御装置21は、穿刺支援装置から受信した制御信号に含まれるアームの移動量に基づいて、アーム22a、アーム22b及びアーム22cを移動させる。なお、アーム22a、アーム22b及びアーム22cと被検体との位置関係は、被検体に取り付けられた位置センサ61bによって取得される位置情報に基づいて把握することが可能である。
【0015】
穿刺支援装置は、ロボットアーム装置200に対して制御信号を送信することで、ロボットアーム装置200のアーム22a、アーム22b及びアーム22cの位置を調整して、被検体に対する穿刺を支援する。ここで、本願に係る穿刺支援装置は、穿刺に係る負荷を低減することができる。具体的には、穿刺支援装置は、穿刺計画に沿って行う穿刺において、術者に係る負荷を低減することを可能にする。
【0016】
上述したように、穿刺を行う場合には、事前に撮像したCT(Computed Tomography)やMRI(Magnetic Resonance Imaging)等の3次元の画像に基づいて穿刺計画が立てられ、この穿刺計画に沿って穿刺が実行される。しかしながら、穿刺計画では、被検体内の臓器を剛体として扱うため、穿刺時における被検体の体位や呼吸の変化による臓器の変形が原因でズレが生じ、穿刺針の刺入が必ずしも計画通りに実施できるとは限らない。したがって、このズレを補正することが必要になるが、リアルタイムで収集する超音波画像の2次元情報からでは、補正方向や補正量を的確に把握することが困難である。また、リアルタイムの超音波画像を収集するためには、穿刺針の位置による制限が加わることから、超音波プローブの位置や角度の調整が難しくなる。また、Fusion機能を用いることで、補正方向や補正量を算出することができるが、算出した補正方向や補正量を、穿刺針の位置や角度に対してどのように適用させるべきかを把握することも容易ではない。
【0017】
また、複数穿刺を行う場合には、術者には高いスキルが求められる。かかる場合、術者には、例えば、体内に配置される複数の穿刺針と臓器の関係とを3次元的に把握することや、穿刺針の視認が可能かつ穿刺のために適切な位置に超音波プローブを配置してスキャンを行うこと等が求められる。
【0018】
このように、穿刺では、術者に対して様々な負荷がかかることから、本願に係る穿刺支援装置は、ロボットアーム装置200を制御して、穿刺針を穿刺計画に沿った穿刺位置に配置するとともに、リアルタイムの超音波画像をもとに穿刺針の位置を調整することで、穿刺に係る負荷を低減することを可能にする。また、さらに、穿刺支援装置は、生体信号センサ62によって取得される情報に基づいて被検体の体動を検出し、検出した体動に合わせてロボットアーム装置200を制御することも可能である。
【0019】
以下、本願の第1の実施形態の詳細について説明する。なお、第1の実施形態では、本願に係る穿刺支援装置が超音波診断装置に含まれる場合を例に挙げて説明するが、実施形態はこれに限定されるものではない。すなわち、以下で説明する超音波診断装置で実行される各種処理を上記した穿刺支援システム1000におけるいずれの装置において実行される場合でもよい。また、上記した穿刺支援システム1000に対してさらに穿刺支援装置が接続され、接続された穿刺支援装置が以下で説明する超音波診断装置で実行される各種処理を実行する場合でもよい。
【0020】
図2は、第1の実施形態に係る超音波診断装置100の構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、本実施形態に係る超音波診断装置100は、超音波プローブ12と、ディスプレイ13と、入力インターフェース14と、装置本体15とを有し、超音波プローブ12と、ディスプレイ13と、入力インターフェース14とが装置本体15と通信可能に接続される。そして、本実施形態に係る超音波診断装置100は、さらに、ロボットアーム装置200と通信可能に接続される。
【0021】
また、超音波診断装置100は、位置センサ61a、位置センサ61b、トランスミッタ61c、生体信号センサ62と接続される。
【0022】
位置センサ61aは、例えば、磁気センサであり、超音波プローブ12に取り付けられる。位置センサ61bは、例えば、磁気センサであり、被検体に取り付けられる。トランスミッタ61cは、自装置を中心として外側に向かって磁場を形成する装置であり、装置本体15の近傍の任意の位置に配置される。位置センサ61a、位置センサ61b及びトランスミッタ61cは、超音波プローブ12の位置情報と被検体の位置情報とを検出するための位置検出システムである。
【0023】
位置センサ61aは、トランスミッタ61cによって形成された3次元の磁場の強度と傾きとを検出する。そして、位置センサ61aは、検出した磁場の情報に基づいて、トランスミッタ61cを原点とする空間における自装置の位置(座標及び角度)を算出し、算出した位置を装置本体15に送信する。ここで、位置センサ61aは、自装置が位置する3次元の座標及び角度を、超音波プローブ12の3次元位置情報として、装置本体15に送信する。これにより、装置本体15は、トランスミッタ61cを原点とする空間における超音波画像の位置を算出することができる。
【0024】
また、位置センサ61bは、被検体上に複数配置され、トランスミッタ61cによって形成された3次元の磁場の強度と傾きとを検出する。そして、位置センサ61bは、検出した磁場の情報に基づいて、トランスミッタ61cを原点とする空間における自装置の位置(座標及び角度)を算出し、算出した位置を装置本体15に送信する。ここで、位置センサ61bは、自装置が位置する3次元の座標及び角度を、被検体の3次元位置情報として、装置本体15に送信する。装置本体15は、複数の位置センサ61bからそれぞれ受信した被検体の3次元位置情報(被検体における各位置センサ61bが取り付けられた位置の3次元位置情報)と、予め入力された被検体の形状及びサイズの情報とから、トランスミッタ61cを原点とする空間における被検体の各位置を算出することができる。
【0025】
なお、本実施形態は、上記の位置検出システム以外のシステムにより、超音波プローブ12及び被検体の位置情報を取得する場合であっても適用可能である。例えば、本実施形態は、ジャイロセンサや加速度センサ等を用いて、超音波プローブ12及び被検体の位置情報を取得する場合でも良い。
【0026】
生体信号センサ62は、被検体の呼吸を検出するセンサや、ECG(electrocardiogram)を検出するセンサ、体表の動きを検出する体表センサ等である。生体信号センサ62は、被検体から取得した呼吸情報、ECG情報、体表の動き情報を装置本体15に送信する。
【0027】
超音波プローブ12は、装置本体15に含まれる送受信回路151に接続される。超音波プローブ12は、例えば、プローブ本体に複数の圧電振動子を有し、これら複数の圧電振動子は、送受信回路151から供給される駆動信号に基づき超音波を発生する。また、超音波プローブ12は、被検体からの反射波を受信して電気信号に変換する。また、超音波プローブ12は、プローブ本体において、圧電振動子に設けられる整合層と、圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材等を有する。なお、超音波プローブ12は、装置本体15と着脱自在に接続される。例えば、超音波プローブ12は、セクタ型、リニア型又はコンベックス型などの超音波プローブである。
【0028】
超音波プローブ12から被検体に超音波が送信されると、送信された超音波は、被検体の体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、反射波信号として超音波プローブ12が有する複数の圧電振動子にて受信される。受信される反射波信号の振幅は、超音波が反射される不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。なお、送信された超音波パルスが、移動している血流や心臓壁等の表面で反射された場合の反射波信号は、ドプラ効果により、移動体の超音波送信方向に対する速度成分に依存して、周波数偏移を受ける。
【0029】
なお、本実施形態は、複数の圧電振動子が一列で配置された1次元超音波プローブである超音波プローブ12により、被検体を2次元でスキャンする場合であっても、1次元超音波プローブの複数の圧電振動子を機械的に揺動する超音波プローブ12や複数の圧電振動子が格子状に2次元で配置された2次元超音波プローブである超音波プローブ12により、被検体を3次元でスキャンする場合であっても、適用可能である。
【0030】
ディスプレイ13は、超音波診断装置100の操作者が入力インターフェース14を用いて各種設定要求を入力するためのGUI(Graphical User Interface)を表示したり、装置本体15において生成された超音波画像等を表示したりする。また、ディスプレイ13は、装置本体15の処理状況や処理結果を操作者に通知するために、各種のメッセージや表示情報を表示する。また、ディスプレイ13は、スピーカーを有し、音声を出力することもできる。
【0031】
入力インターフェース14は、所定の位置(例えば、関心領域等)の設定等を行うためのトラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチモニタ、光学センサを用いた非接触入力回路、及び音声入力回路等によって実現される。入力インターフェース14は、後述する処理回路155に接続されており、操作者から受け付けた入力操作を電気信号へ変換し処理回路155へと出力する。なお、本明細書において入力インターフェース14は、マウス、キーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路155へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェースの例に含まれる。
【0032】
装置本体15は、送受信回路151と、Bモード処理回路152と、ドプラ処理回路153と、メモリ154と、処理回路155と、通信インターフェース156とを有する。図2に示す超音波診断装置1においては、各処理機能がコンピュータによって実行可能なプログラムの形態でメモリ154へ記憶されている。送受信回路151、Bモード処理回路152、ドプラ処理回路153、及び、処理回路155は、メモリ154からプログラムを読み出して実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の各回路は、読み出したプログラムに対応する機能を有することとなる。
【0033】
送受信回路151は、パルス発生器、送信遅延回路、パルサ等を有し、超音波プローブ12に駆動信号を供給する。パルス発生器は、所定のレート周波数で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。また、送信遅延回路は、超音波プローブ12から発生される超音波をビーム状に集束し、かつ送信指向性を決定するために必要な圧電振動子ごとの遅延時間を、パルス発生器が発生する各レートパルスに対し与える。また、パルサは、レートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ12に駆動信号(駆動パルス)を印加する。すなわち、送信遅延回路は、各レートパルスに対し与える遅延時間を変化させることで、圧電振動子面から送信される超音波の送信方向を任意に調整する。
【0034】
なお、送受信回路151は、後述する処理回路155の指示に基づいて、所定のスキャンシーケンスを実行するために、送信周波数、送信駆動電圧等を瞬時に変更可能な機能を有している。特に、送信駆動電圧の変更は、瞬間にその値を切り替え可能なリニアアンプ型の発信回路、又は、複数の電源ユニットを電気的に切り替える機構によって実現される。
【0035】
また、送受信回路151は、プリアンプ、A/D(Analog/Digital)変換器、受信遅延回路、加算器等を有し、超音波プローブ12が受信した反射波信号に対して各種処理を行って反射波データを生成する。プリアンプは、反射波信号をチャネル毎に増幅する。A/D変換器は、増幅された反射波信号をA/D変換する。受信遅延回路は、受信指向性を決定するために必要な遅延時間を与える。加算器は、受信遅延回路によって処理された反射波信号の加算処理を行なって反射波データを生成する。加算器の加算処理により、反射波信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調され、受信指向性と送信指向性とにより超音波送受信の総合的なビームが形成される。
【0036】
Bモード処理回路152は、送受信回路151から反射波データを受信し、対数増幅、包絡線検波処理等を行なって、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。
【0037】
ドプラ処理回路153は、送受信回路151から受信した反射波データから速度情報を周波数解析し、ドプラ効果による血流や組織、造影剤エコー成分を抽出し、速度、分散、パワー等の移動体情報を多点について抽出したデータ(ドプラデータ)を生成する。例えば、移動体は、血管内を流動する血液や、リンパ管内を流動するリンパ液等の流体である。
【0038】
なお、Bモード処理回路152及びドプラ処理回路153は、2次元の反射波データ及び3次元の反射波データの両方について処理可能である。すなわち、Bモード処理回路152は、2次元の反射波データから2次元のBモードデータを生成し、3次元の反射波データから3次元のBモードデータを生成する。また、ドプラ処理回路153は、2次元の反射波データから2次元のドプラデータを生成し、3次元の反射波データから3次元のドプラデータを生成する。3次元のBモードデータは、3次元走査範囲の各走査線上で設定された複数の点(サンプル点)それぞれに位置する反射源の反射強度に応じた輝度値が割り当てられたデータとなる。また、3次元のドプラデータは、3次元走査範囲の各走査線上で設定された複数の点(サンプル点)それぞれに、血流情報(速度、分散、パワー)の値に応じた輝度値が割り当てられたデータとなる。
【0039】
また、Bモード処理回路152及びドプラ処理回路153は、複数の2次元の反射波データを合成して3次元の反射波データを生成し、生成した反射波データから3次元のデータを生成することもできる。例えば、Bモード処理回路152は、複数の2次元の反射波データを合成して3次元の反射波データを生成し、生成した3次元の反射波データから3次元のBモードデータを生成する。また、ドプラ処理回路153は、複数の2次元の反射波データを合成して3次元の反射波データを生成し、生成した3次元の反射波データから3次元のドプラデータを生成する。
【0040】
メモリ154は、処理回路155が生成した表示用の画像データを記憶する。また、メモリ154は、Bモード処理回路152やドプラ処理回路153が生成したデータを記憶することも可能である。また、メモリ154は、超音波送受信、画像処理及び表示処理を行なうための制御プログラムや、診断情報(例えば、患者ID、医師の所見等)や、診断プロトコルや各種ボディーマーク等の各種データを記憶する。また、メモリ154は、位置センサ61a、位置センサ61b、生体信号センサ62から受信した各種情報を記憶する。
【0041】
通信インターフェース156は、処理回路155に接続されており、超音波診断装置100と各装置との間で行われる通信を制御する。具体的には、通信インターフェース156は、各装置から各種の情報を受信し、受信した情報を処理回路155に出力する。例えば、通信インターフェース156は、ネットワークカードやネットワークアダプタ、NIC(Network Interface Controller)等によって実現される。例えば、通信インターフェース156は、処理回路155から受け付けた制御信号をロボットアーム装置200に対して送信する。
【0042】
処理回路155は、超音波診断装置100の処理全体を制御する。具体的には、処理回路155は、図2に示す制御機能155a、画像生成機能155b、取得機能155c、算出機能155d、アーム制御機能155e、表示制御機能156fに対応するプログラムをメモリ154から読み出して実行することで、種々の処理を行う。例えば、処理回路155は、各プログラムをメモリ154から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路155は、図2の処理回路155内に示された各機能を有することとなる。
【0043】
ここで、制御機能155aは、取得部の一例である。取得機能155cは、生体情報取得部の一例である。また、算出機能155dは、算出部の一例である。また、アーム制御機能155eは、制御部の一例である。また、表示制御機能156fは、表示制御部の一例である。なお、本実施形態においては、単一の処理回路155にて、以下に説明する各処理機能が実現されるものとして説明するが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。
【0044】
制御機能155aは、入力インターフェース14を介して操作者から入力された各種設定要求や、メモリ154から読込んだ各種制御プログラム及び各種データに基づき、送受信回路151、Bモード処理回路152、ドプラ処理回路153の処理を制御する。
【0045】
また、制御機能155aは、通信インターフェース156を介して、事前に計画された穿刺計画の情報を取得する。例えば、制御機能155aは、CT装置や、MRI装置、超音波診断装置によって収集された3次元の医用画像データの基づいて立てられた穿刺計画を取得する。すなわち、制御機能155aは、穿刺計画に基づいて設定される被検体に対する穿刺位置の情報を取得する。
【0046】
画像生成機能155bは、Bモード処理回路152及びドプラ処理回路153が生成したデータから超音波画像データを生成する。すなわち、画像生成機能155bは、Bモード処理回路152が生成した2次元のBモードデータから反射波の強度を輝度にて表したBモード画像データを生成する。Bモード画像データは、超音波走査された領域内の組織形状が描出されたデータとなる。また、画像生成機能155bは、ドプラ処理回路153が生成した2次元のドプラデータから移動体情報を表すドプラ画像データを生成する。ドプラ画像データは、速度画像データ、分散画像データ、パワー画像データ、又は、これらを組み合わせた画像データである。ドプラ画像データは、超音波走査された領域内を流動する流体に関する流体情報を示すデータとなる。
【0047】
ここで、画像生成機能155bは、一般的には、超音波走査の走査線信号列を、テレビ等に代表されるビデオフォーマットの走査線信号列に変換(スキャンコンバート)し、表示用の超音波画像データを生成する。具体的には、画像生成機能155bは、超音波プローブ12による超音波の走査形態に応じて座標変換を行なうことで、表示用の超音波画像データを生成する。また、画像生成機能155bは、スキャンコンバート以外に種々の画像処理として、例えば、スキャンコンバート後の複数の画像フレームを用いて、輝度の平均値画像を再生成する画像処理(平滑化処理)や、画像内で微分フィルタを用いる画像処理(エッジ強調処理)等を行なう。また、画像生成機能155bは、超音波画像データに、種々のパラメータの文字情報、目盛り、ボディーマーク等を合成する。
【0048】
すなわち、Bモードデータ及びドプラデータは、スキャンコンバート処理前の超音波画像データであり、画像生成機能155bが生成するデータは、スキャンコンバート処理後の表示用の超音波画像データである。なお、Bモードデータ及びドプラデータは、生データ(Raw Data)とも呼ばれる。
【0049】
更に、画像生成機能155bは、Bモード処理回路152が生成した3次元のBモードデータに対して座標変換を行なうことで、3次元のBモード画像データを生成する。また、画像生成機能155bは、ドプラ処理回路153が生成した3次元のドプラデータに対して座標変換を行なうことで、3次元のドプラ画像データを生成する。すなわち、3次元のBモードデータ及び3次元のドプラデータは、スキャンコンバート処理前のボリュームデータであり、3次元のBモード画像データ及び3次元のドプラ画像データは、スキャンコンバート後のボリュームデータである。
【0050】
更に、画像生成機能155bは、ボリュームデータをディスプレイ13にて表示するための各種の2次元画像データを生成するために、ボリュームデータに対してレンダリング処理を行なうことができる。
【0051】
取得機能155cは、位置センサ61aによって取得された超音波プローブ12の3次元位置情報を取得する。また、取得機能155cは、複数の位置センサ61bによって取得された被検体の3次元位置情報をそれぞれ取得する。また、取得機能155cは、生体信号センサ62によって取得された呼吸情報、心電図、体表の動き情報などを取得する。
【0052】
算出機能155dは、穿刺計画時の被検体の位置情報と、穿刺実施時の被検体の位置情報とのズレを算出する。具体的には、算出機能155dは、穿刺計画時の体表と臓器の位置関係と、穿刺実施時の体表と臓器の位置関係とのズレを算出する。例えば、算出機能155dは、穿刺位置の情報における被検体の位置情報と、被検体から収集されたリアルタイムの超音波画像に基づく被検体の位置情報との差分を算出する。
【0053】
アーム制御機能155eは、算出機能155dによって算出された位置情報のズレに基づいて、穿刺針を保持するロボットアーム装置200を制御する。具体的には、アーム制御機能155eは、まず、穿刺計画時の位置情報に基づく位置に穿刺針を配置するように、ロボットアーム装置200に対して制御信号を送信する。そして、アーム制御機能155eは、算出機能155dによって算出されたズレに応じて、穿刺針の位置や角度を調整するように、ロボットアーム装置200を制御する。例えば、アーム制御機能155eは、穿刺計画に基づいて被検体に対して刺入される穿刺針を保持するアームの位置を、差分を用いて調整するように、ロボットアーム装置200に対して制御信号を送信する。
【0054】
表示制御機能155fは、メモリ154が記憶する表示用の超音波画像データ(以下、超音波画像とも記す)をディスプレイ13にて表示するように制御する。また、表示制御機能155fは、処理結果をディスプレイ13にて表示するように制御する。また、表示制御機能155fは、入力インターフェース14のタッチモニタにおける種々の情報の表示を制御する。
【0055】
図3は、第1の実施形態に係るロボットアーム装置200の構成の一例を示すブロック図である。図3に示すように、本実施形態に係るロボットアーム装置200は、ロボットアーム制御装置21と、アーム22aと、アーム22bと、アーム22cとを有する。また、ロボットアーム装置200は、アーム22a、アーム22b及びアーム22cに、位置センサ23a、位置センサ23b及び位置センサ23cを備える。そして、本実施形態に係るロボットアーム装置200は、さらに、超音波診断装置100と通信可能に接続される。また、ロボットアーム装置200は、生体信号センサ62と接続される。
【0056】
なお、図3においては、アーム22a、アーム22b及びアーム22cの3本のアームを有するロボットアーム装置200を示しているが、実施形態はこれに限定されるものではなく、穿刺針を保持するアームと超音波プローブ12を保持するアームとを有するものであればアームの本数は任意である。例えば、穿刺針を保持するアームを1本又は3本以上有する場合でもよく、超音波プローブ12を保持するアームを2本以上有する場合でもよい。
【0057】
アーム22aは、穿刺針31を保持し、ロボットアーム制御装置21による制御のもと、穿刺針31を移動させる。具体的には、アーム22aは、穿刺針31を保持する保持部と、アームを駆動させるための駆動機構を有する。アーム22aは、モータやアクチュエータ等の駆動機構を備えた複数の可動部が、ロボットアーム制御装置21から受け付けた制御に応じて動くことによって、先端側に保持する穿刺針31を所望の位置に移動させる。ここで、アーム22aは、被検体に対して3次元の任意の位置に穿刺針31を配置することが可能となるように構成される。
【0058】
アーム22bは、穿刺針32を保持し、ロボットアーム制御装置21による制御のもと、穿刺針32を移動させる。具体的には、アーム22bは、穿刺針32を保持する保持部と、アームを駆動させるための駆動機構を有する。アーム22bは、モータやアクチュエータ等の駆動機構を備えた複数の可動部が、ロボットアーム制御装置21から受け付けた制御に応じて動くことによって、先端側に保持する穿刺針32を所望の位置に移動させる。ここで、アーム22bは、被検体に対して3次元の任意の位置に穿刺針32を配置することが可能となるように構成される。
【0059】
ここで、アーム22a及びアーム22bは、穿刺針31及び穿刺針32を針の長手方向に移動させることもできる。すなわち、アーム22a及びアーム22bは、ロボットアーム制御装置21の制御のもと、自動で穿刺針の挿入及び抜去を行うように構成することができる。図4は、第1の実施形態に係る穿刺針を保持するアームの一例を示す図である。例えば、アーム22aは、図4に示すように、アームの先端側にゴム製ローラー221を有する。ゴム製ローラー221は、モータやアクチュエータ等の駆動機構と接続され、複数のローラーの間に穿刺針31を挟むように保持し、複数のローラーの回転によって穿刺針31を針の長手方向に移動させる。
【0060】
ここで、ゴム製ローラー221は、穿刺針31が針の長手方向以外の方向に動かないように、穿刺針31を保持する。また、ゴム製ローラー221は、例えば、cm単位で穿刺針31を移動させることができる。すなわち、ゴム製ローラー221は、cm単位で穿刺針31を移動させるように、ローラーの回転が制御される。
【0061】
ここで、ゴム製ローラー221は、さらに、保持する穿刺針31を自動で開放することができる。例えば、ゴム製ローラー221は、圧力センサを有し、いずれかのローラーに対して閾値以上の圧力がかかった場合に、保持する穿刺針31を自動で開放する。これにより、例えば、被検体の体動や、アーム22aに対して外部から力がかかった場合などに対して、安全性を確保することができる。
【0062】
なお、アーム22bにおいても、上記したアーム22aの例と同様に、アームの先端側にゴム製ローラーを有することで、自動で穿刺針の挿入及び抜去を行うことができる。なお、アーム22a及びアーム22bは、入力インターフェース212を介して、穿刺針の保持力を調整することができる。例えば、術者は、入力インターフェース212を介して穿刺針の保持力を弱めることで、穿刺針31及び穿刺針32を手動で挿入させることができる。
【0063】
アーム22cは、超音波プローブ12を保持し、ロボットアーム制御装置21による制御のもと、超音波プローブ12を移動させる。具体的には、アーム22cは、超音波プローブ12を保持する保持部と、アームを駆動させるための駆動機構を有する。アーム22cは、モータやアクチュエータ等の駆動機構を備えた複数の可動部が、ロボットアーム制御装置21から受け付けた制御に応じて動くことによって、先端側に保持する超音波プローブ12を所望の位置に移動させる。ここで、アーム22cは、被検体に対して3次元の任意の位置に超音波プローブ12を配置することが可能となるように構成される。
【0064】
図5は、第1の実施形態に係る超音波プローブ12を保持するアームの一例を示す図である。例えば、図5に示すように、アーム22cは、先端側に超音波プローブ12を保持する。そして、アーム22cは、ロボットアーム制御装置21による制御のもと、アームの駆動機構が駆動することで、超音波プローブ12をX軸方向、Y軸方向、Z軸方向に移動させる。さらに、アーム22cは、ロボットアーム制御装置21による制御のもと、保持部の駆動機構が駆動することで、超音波プローブ12を矢印41~43の方向に回転させ、超音波プローブ12の向きを変化させる。
【0065】
ここで、アーム22cの保持部は、さらに、保持する超音波プローブ12を自動で開放することができる。例えば、アーム22cの保持部は、圧力センサを有し、保持部に対して閾値以上の圧力がかかった場合に、保持する超音波プローブ12を自動で開放する。これにより、例えば、超音波スキャンの状態が悪い場合に、術者が超音波プローブ12をつかみいずれかの方向に力を加えることで、超音波プローブ12を容易に外すことができる。
【0066】
また、アーム22cの保持部は、さらに、自動で超音波プローブ12を保持するように構成することもできる。具体的には、術者が超音波プローブ12を保持部に近づけることで、アーム22cの保持部は、超音波プローブ12を掴んで保持する。かかる場合には、例えば、アーム22cの保持部が非接触式のセンサなどを備え、非接触式のセンサからの信号に応じて、制御機能213aが、アーム22cの保持部を動かす。
【0067】
図3に戻って、位置センサ23aは、トランスミッタ61cによって形成された3次元の磁場の強度と傾きとを検出する。そして、位置センサ23aは、検出した磁場の情報に基づいて、トランスミッタ61cを原点とする空間における自装置の位置(座標及び角度)を算出し、算出した位置をロボットアーム制御装置21に送信する。ここで、位置センサ23aは、自装置が位置する3次元の座標及び角度を、アーム22aの3次元位置情報として、ロボットアーム制御装置21に送信する。ロボットアーム制御装置21は、位置センサ23aが取り付けられた位置と、予め入力されたアーム22aの形状及びサイズの情報とから、トランスミッタ61cを原点とする空間におけるアーム22aの位置を算出することができる。
【0068】
同様に、位置センサ23b及び位置センサ23cは、トランスミッタ61cによって形成された3次元の磁場の強度と傾きとをそれぞれ検出する。そして、位置センサ23b及び位置センサ23cは、検出した磁場の情報に基づいて、トランスミッタ61cを原点とする空間における自装置の位置(座標及び角度)をそれぞれ算出し、算出した位置をロボットアーム制御装置21にそれぞれ送信する。ロボットアーム制御装置21は、位置センサ23b及び位置センサ23cが取り付けられた位置と、予め入力されたアーム22b及びアーム22cの形状及びサイズの情報とから、トランスミッタ61cを原点とする空間におけるアーム22b及びアーム22cの位置を算出することができる。
【0069】
穿刺針31及び穿刺針32は、例えば、ラジオ波を発生する電磁針であり、穿刺針31及び穿刺針32が発生するラジオ波の出力を制御する治療装置と接続される。この治療装置は、穿刺針31及び穿刺針32の温度や、ラジオ波の出力、焼灼領域のインピーダンスをモニタ可能であり、術者は、治療装置を操作して、穿刺針31及び穿刺針32を用いたRFAを進める。
【0070】
また、穿刺針31及び穿刺針32は、例えば、治療対象の組織に電流を流す電極針であり、穿刺針31及び穿刺針32が発生する電流の出力を制御する治療装置と接続される。ここで、この治療装置は、穿刺針31と穿刺針32と間で電流を流すことで穿刺針31及び穿刺針32の間にある治療対象の組織に電流を流して治療を行う。
【0071】
ロボットアーム制御装置21は、通信インターフェース211と、入力インターフェース212と、処理回路213とを有する。
【0072】
通信インターフェース211は、処理回路213に接続されており、ロボットアーム制御装置21と各装置との間で行われる通信を制御する。具体的には、通信インターフェース211は、各装置から各種の情報を受信し、受信した情報を処理回路213に出力する。例えば、通信インターフェース211は、ネットワークカードやネットワークアダプタ、NIC(Network Interface Controller)等によって実現される。例えば、通信インターフェース211は、超音波診断装置100から制御信号を受け付け、受け付けた制御信号を処理回路213に対して出力する。
【0073】
入力インターフェース212は、各種設定等を行うためのトラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチモニタ、光学センサを用いた非接触入力回路、及び音声入力回路等によって実現される。入力インターフェース212は、処理回路213に接続されており、操作者から受け付けた入力操作を電気信号へ変換し処理回路213へと出力する。なお、本明細書において入力インターフェース212は、マウス、キーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路213へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェースの例に含まれる。
【0074】
処理回路213は、ロボットアーム制御装置21の処理全体を制御する。具体的には、処理回路213は、図3に示す制御機能213a、演算機能213b、取得機能213cに対応するプログラムを図示しないメモリから読み出して実行することで、種々の処理を行う。例えば、処理回路213は、各プログラムを図示しないメモリから読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路213は、図3の処理回路213内に示された各機能を有することとなる。
【0075】
なお、本実施形態においては、単一の処理回路213にて、以下に説明する各処理機能が実現されるものとして説明するが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。
【0076】
制御機能213aは、アーム22a、アーム22b及びアーム22cの駆動機構に対して制御信号を送信することで、アーム22a、アーム22b及びアーム22cの駆動を制御する。具体的には、制御機能213aは、演算機能213bから受け付けたアームの移動情報(移動方向及び移動量)に基づく制御信号を駆動機構に送信することで、各アームを移動させる。また、制御機能213aは、通信インターフェース211を介して超音波診断装置100から受け付けたアームの移動情報に基づく制御信号を駆動機構に送信することで、各アームを移動させる。なお、超音波診断装置100から受け付けるアームの移動情報については、後に詳述する。
【0077】
演算機能213bは、アーム22a、アーム22b及びアーム22cの現在の位置(3次元座標)と、移動先の位置(3次元座標)とからアームの移動情報を算出して、算出したアームの移動情報を制御機能213aに送信する。例えば、演算機能213bは、各アームの現在の位置と、入力インターフェース212を介して入力された移動先の位置とから移動方向及び移動量を算出して、制御機能213aに送信する。また、例えば、演算機能213bは、各アームの現在の位置と、通信インターフェース211を介して超音波診断装置100から受け付けた移動先の位置とから移動方向及び移動量を算出して、制御機能213aに送信することもできる。
【0078】
取得機能213cは、位置センサ23aによって取得されたアーム22aの3次元位置情報を取得する。また、取得機能213cは、位置センサ23bによって取得されたアーム22bの3次元位置情報を取得する。また、取得機能213cは、位置センサ23cによって取得されたアーム22cの3次元位置情報を取得する。また、取得機能213cは、生体信号センサ62によって取得された呼吸情報、心電図、体表の動き情報などを取得する。取得機能213cは、取得した3次元位置情報や、呼吸情報、心電図、体表の動き情報などを、制御機能213a及び演算機能213bに送信する。
【0079】
以上、第1の実施形態に係る穿刺支援システム1000の全体構成について説明した。次に、第1の実施形態に係る穿刺支援装置(超音波診断装置100)の詳細について説明する。ここで、まず、図6を用いて、本願の穿刺支援装置を用いた手技の手順を説明する。図6は、第1の実施形態に係る手技の手順を説明するためのフローチャートである。ここで、図6におけるステップS101~S102は、穿刺計画を立てる際に実施される手順であり、ステップS103~S109は、実際に穿刺による治療が実施される際に実施される手順である。
【0080】
図6に示すように、本願の穿刺支援装置を用いた手技では、例えば、術者は、まず、CT装置や、MRI装置、超音波診断装置100などを用いて、3次元画像データ(ボリュームデータ)を収集する(ステップS101)。そして、術者は、収集された3次元画像データを用いて、穿刺位置を計画する(ステップS102)。
【0081】
図7は、第1の実施形態に係る穿刺計画の一例を模式的に示した図である。例えば、術者は、CT装置や、MRI装置、超音波診断装置100などを用いて収集した3次元画像データを観察して、治療対象となるターゲットの位置を特定する。そして、術者は、ターゲットの形状及びサイズと、周囲の臓器及び骨などの位置とを考慮して、挿入する穿刺針の位置及び本数を決定する。例えば、術者は、血管や、種々の臓器、骨などを避けつつ、ターゲットに対して適切な治療が行うことができるように、各穿刺針の体表上での挿入位置及び角度を決定する。すなわち、穿刺計画では、ボリュームデータの座標において、穿刺針を挿入する体表上の位置と、穿刺針の挿入角度が決定される。
【0082】
上述したように穿刺計画が立てられた後、術者は、ロボットアーム装置200を操作して計画された穿刺位置に穿刺針をセットするとともに(ステップS103)、ロボットアーム装置200に超音波プローブ12を保持させて超音波画像を収集させる(ステップS104)。
【0083】
超音波診断装置100は、収集した超音波画像に基づく被検体の位置と、計画された位置との間で相違があるか否かを確認して(ステップS105)、位置ずれがあるか否かを判定する(ステップS106)。ここで、位置ずれがある場合(ステップS106肯定)、超音波診断装置100は、位置ずれを修正する(ステップS107)。位置ずれを修正した後、或いは、位置ずれが無い場合(ステップS106否定)、術者は、穿刺を実施して(ステップS108)、治療を実施する(ステップS109)。
【0084】
上述したように、第1の実施形態に係る穿刺支援装置(超音波診断装置100)は、超音波画像を用いて、穿刺計画時と穿刺時との位置ずれを検出し、検出した位置ずれを修正する。ここで、超音波診断装置100は、穿刺計画時と穿刺時との位置ずれを検出するため、Fusion機能を用いる。
【0085】
具体的には、超音波診断装置100の制御機能155aは、超音波画像と穿刺計画に用いられたボリュームデータとの位置合せを実行する。より具体的には、制御機能155aは、超音波画像が収集された3次元空間(トランスミッタ61cによって形成された第1座標空間)と、ボリュームデータが収集された3次元空間(第2座標空間)との座標の対応関係を決定する。すなわち、制御機能155aは、第1座標空間における超音波画像の位置(座標)に対応する第2座標空間の位置(座標)を決定する。
【0086】
一例を挙げると、制御機能155aは、超音波画像に含まれる部位とボリュームデータにおいて対応する部位とを略同一の位置に合わせ、その時のボリュームデータの座標空間(第2座標空間)における超音波画像の位置を決定する。これにより、超音波診断装置100は、図8に示すように、リアルタイムで収集されている超音波画像(図中右側)と略同一位置の参照画像(図中左側)をボリュームデータから生成して表示させることができる。また、Fusion機能を用いることにより、表示制御機能155fは、リアルタイムで収集されている超音波画像上に、穿刺計画で計画された穿刺位置のガイドラインを表示させることもできる。なお、図8は、第1の実施形態に係るFusion機能の一例を説明するための図である。
【0087】
このように、制御機能155aによって第1座標空間と第2座標空間との位置関係が対応付けられることにより、算出機能155dは、穿刺計画時と穿刺時の位置ずれを検出することができる。具体的には、算出機能155dは、ボリュームデータの座標空間(第2の座標空間)内で計画された穿刺針の挿入位置(体表上の座標)を、第1座標空間の位置に変換し、変換後の挿入位置から穿刺計画で計画された角度で穿刺針を挿入した場合の穿刺計画とのずれを算出する。
【0088】
すなわち、算出機能155dは、穿刺計画における被検体の所定領域と穿刺針との位置関係と、リアルタイムの超音波画像に基づく被検体の位置に対して穿刺計画で穿刺針を刺入した場合の当該穿刺針と所定領域との位置関係との差分を算出する。例えば、算出機能155dは、第1座標空間において穿刺計画に沿った挿入位置及び角度で穿刺針を挿入した場合のターゲットと穿刺針との位置関係と、計画した位置関係との差分を算出する。
【0089】
アーム制御機能155eは、位置関係の差分に応じて、穿刺計画に基づいて配置されたロボットアームの位置を移動させるように制御する。具体的には、アーム制御機能155eは、まず、Fusion機能によって第1座標空間と第2座標空間とが関連付けられると、穿刺計画で設定された挿入位置に対応する第1座標空間上での位置を特定し、特定した位置から穿刺計画で設定された挿入角度で穿刺針を挿入するように、穿刺針を保持するアームの位置を移動させる。
【0090】
なお、アーム制御機能155eは、位置センサ61bから取得される被検体の体表の位置と、位置センサ23a及び位置センサ23bから取得されるアーム22a及びアーム22bの位置と、穿刺針31及び穿刺針32の形状とサイズとから、被検体とアーム及び穿刺針との位置関係を把握することができ、これにより、アーム22a及びアーム22bを正確に移動させることができる。
【0091】
そして、アーム制御機能155eは、穿刺計画に沿って配置されたアームによって保持される穿刺針がインプレーン表示される位置に超音波プローブ12を配置するように、アーム22cの位置を移動させる。ここで、アーム制御機能155eは、他の穿刺針やアーム、骨の位置などを考慮して、アームを移動させることができる。穿刺針のインプレーン画像は、穿刺針の周囲360°で収集することができるが、他の穿刺針やアーム、さらに骨の位置によって収集することができる範囲が狭められる。
【0092】
そこで、アーム制御機能155eは、アーム22a及びアーム22bの位置、穿刺針31及び穿刺針32の位置、及び、穿刺計画時のボリュームデータから推定される被検体内の骨の位置とから、アーム22cの移動先を決定する。例えば、アーム制御機能155eは、骨が画像内に入ると推定される位置(方向)を除外し、さらに、アーム22a及びアーム22bの位置、及び、穿刺針31及び穿刺針32の位置とから、超音波プローブ12を配置することが難しい位置を除外する。そして、アーム制御機能155eは、除外後の範囲から位置を選択してアーム22cを移動させる。
【0093】
なお、アーム制御機能155eは、位置センサ61bから取得される被検体の体表の位置と、位置センサ23cから取得されるアーム22cの位置と、位置センサ61aから取得される超音波プローブ12の位置と、超音波プローブ12の形状及びサイズとから、被検体とアーム及び超音波プローブ12との位置関係を把握することができ、これにより、アーム22cを正確に移動させることができる。
【0094】
上述したようにアーム制御機能155eが、穿刺針のインプレーン画像を収集すると、算出機能155dが、穿刺計画に沿った挿入位置及び角度で穿刺針を挿入した場合のターゲットと穿刺針との位置関係と、計画した位置関係との差分を算出する。なお、超音波プローブ12によって収集されるインプレーン画像は、穿刺針が実際に挿入される前の画像であり、超音波画像には穿刺針は描出されていない。
【0095】
例えば、算出機能155dは、穿刺計画に応じた挿入位置及び角度で穿刺針を挿入した場合の超音波画像内での穿刺針の位置を特定し、特定した位置とターゲットとの位置関係を算出する。ここで、例えば、インプレーン画像内にターゲットが含まれている場合には、算出機能155dは、超音波画像内での穿刺針とターゲットとの位置関係を算出する。一方、インプレーン画像内にターゲットが含まれていない場合には、算出機能155dは、現在のスキャン位置の周囲をさらにスキャンするように、アーム制御機能155eに信号を送信する。
【0096】
アーム制御機能155eは、算出機能155dから信号を受信すると、現在のスキャン位置の周囲をスキャンするように、アーム22cを制御する。ここで、アーム制御機能155eの制御によって各位置で収集された複数の超音波画像は、位置情報がそれぞれ付帯される。算出機能155dは、各位置で収集された複数の超音波画像からインプレーン画像でターゲットが含まれる超音波画像を抽出して、抽出した超音波画像を用いて穿刺針の位置とターゲットとの位置関係を算出する。
【0097】
ここで、算出機能155dは、ボリュームデータを用いて、穿刺針の位置とターゲットとの位置関係を算出することもできる。上述したように、アーム制御機能155eの制御によって各位置で収集された複数の超音波画像は、位置情報がそれぞれ付帯される。そこで、画像生成機能155bは、収集された複数の超音波画像を、位置情報に基づいて合成することで、ボリュームデータを生成する。算出機能155dは、ボリュームデータ内のターゲット及び穿刺針の位置を抽出して、穿刺針の位置とターゲットとの位置関係を算出する。これにより、インプレーン画像でターゲットが含まれる超音波画像がない場合でも、算出機能155dは、穿刺針の位置とターゲットとの位置関係を算出することができる。なお、ボリュームデータを合成する場合には、超音波画像が収集されるごとに更新されるようにしてもよい。
【0098】
そして、算出機能155dは、算出した位置関係と、穿刺計画における穿刺針とターゲットとの位置関係とを比較して、差分を算出する。具体的には、算出機能155dは、算出した位置関係と、穿刺計画における穿刺針とターゲットとの位置関係との差分を算出して、算出した位置関係を穿刺計画時の位置関係とするためのアームの移動方向及び移動量を算出する。そして、算出機能155dは、算出した移動方向及び移動量をアーム制御機能155eに送信する。なお、穿刺計画における穿刺針とターゲットとの位置関係との差分が無い場合には、移動量は「0」となる。
【0099】
アーム制御機能155eは、算出機能155dから受信した移動方向及び移動量に基づいて、アームの位置を移動させる。これにより、穿刺時の体内の臓器の位置が、穿刺計画時の位置と異なっている場合でも穿刺針を正確に配置することができる。
【0100】
なお、アーム22a及びアーム22bが自動で穿刺針を移動させることができる場合、アーム制御機能155eは、算出機能155dから受信した移動方向及び移動量に基づいてアームの位置を移動させた後、穿刺針を体表の方向に移動するようにゴム製ローラー221を駆動することで、穿刺針を体内に挿入させることができる。
【0101】
ここで、アーム制御機能155eは、取得機能155cによって取得される生体情報に基づいて、アームの動きを制御することができる。例えば、アーム制御機能155eは、生体情報に基づいて被検体の体動を検出し、被検体の体動が相対的に少ないタイミングでアーム22a及びアーム22bに保持された穿刺針31及び穿刺針32の刺入を開始するように制御する。例えば、アーム制御機能155eは、被検体から取得した呼吸情報やECG、体表の動きの情報に基づいて、被検体の動きが小さいタイミングを特定し、特定したタイミングでゴム製ローラー221を駆動するように制御する。これにより、動きの影響を低減した穿刺針の挿入を行うことができる。
【0102】
また、例えば、アーム制御機能155eは、生体情報に基づいて被検体の体動を検出し、被検体の体動に合わせて穿刺針を保持したアーム22a及びアーム22bの位置を調整するように制御する。穿刺針31及び穿刺針32は、治療が終了するまでアーム22a及びアーム22bによって保持された状態である。したがって、穿刺針が挿入された状態で被検体が動くと穿刺針が挿入された部位に負荷がかかる。そこで、アーム制御機能155eは、取得機能155cによって取得された生体情報(例えば、体表の動きを示す情報)に基づいて、被検体が動く方向を検出し、検出した動きと同一の方向に穿刺針が動くように、アームの位置を調整する。
【0103】
例えば、腹部は、呼吸によって体表が穿刺針の挿入方向に往復するように動くため、穿刺針の位置を固定した状態の場合、呼吸に伴って穿刺針が深く刺さったり、抜けたりするようになる。そこで、アーム制御機能155eは、被検体の体動のうち穿刺針の挿入方向の動きに合わせて、アーム22a及びアーム22bの穿刺針の挿入方向の位置を調整するように制御する。
【0104】
このように、体動にあわせて穿刺針を保持するアームを移動させることで、呼吸によってターゲットの位置が規則的に移動する場合でも、ターゲットと穿刺針との位置関係を一定に保つことができる。
【0105】
なお、アーム制御機能155eは、穿刺針31及び穿刺針32を保持するアーム22a及びアーム22bだけではなく、超音波プローブ12を保持するアーム22cについても、生体情報に基づく制御を行うことができる。すなわち、アーム制御機能155eは、体表の動きに追従してアーム22cを移動させることで、超音波プローブ12の体表への接触状態を一定に保つことができる。
【0106】
上述したように、アーム制御機能155eは、アーム22a、アーム22b、アーム22cの位置を自動で調整することができる。さらに、アーム制御機能155eは、術者からの指示に応じてアーム22a、アーム22b、アーム22cの位置を移動させることもできる。
【0107】
例えば、アーム制御機能155eは、超音波画像に対する操作に応じて、アーム22a、アーム22b、アーム22cの位置を移動させる。一例を挙げると、術者が超音波画像に対して位置を指定すると、アーム制御機能155eは、指定された位置にアームを移動させるように制御する。
【0108】
図9は、第1の実施形態に係る超音波画像を介した位置の指定の一例を示す図である。例えば、図9に示すように、術者が超音波画像上の複数の穿刺針停止位置を指定すると、アーム制御機能155eは、指定された位置で穿刺針の先端が停止するようにアームの移動を制御する。すなわち、アーム制御機能155eは、超音波画像上で指定された各穿刺針停止位置の第1座標空間内の座標を取得し、取得した座標に穿刺針の先端が位置するように穿刺針の移動を制御する。
【0109】
例えば、腫瘍の治療をおこなった後、穿刺針を抜去する場合には、穿刺針が抜けてくる経路に腫瘍細胞を残さないように、穿刺針を少しずつ後退させ、経路の各位置で焼灼を行いながら穿刺針が抜去される。このような場合に、超音波画像上で位置を指定するだけで、自動で穿刺針の抜去を行うことができる。
【0110】
なお、位置の指定に用いられる画像は、2次元の超音波画像だけではなく、穿刺計画に用いられたボリュームデータから生成されたレンダリング画像や、リアルタイム中に収集した超音波画像を用いて生成されたボリュームデータに基づく超音波画像が用いられる場合でもよい。また、位置の指定は、任意の位置に点や線を配置するだけなく、穿刺のガイドラインを移動させることで行われる場合でもよい。さらに、術者の音声入力に基づいて位置が指定される場合もよい。
【0111】
また、上述したインプレーン画像の収集を、術者の指定に応じて行うこともできる。例えば、複数の穿刺針を用いた手技では、穿刺針を配置した後も位置のずれが無いかを確認するため、各穿刺針についてインプレーン画像が観察される。
【0112】
そこで、表示制御機能155fは、リアルタイムの超音波画像に描出させる穿刺針を選択するためのボタンを入力インターフェース14に表示させる。例えば、表示制御機能155fは、リアルタイムの超音波画像を収集する超音波プローブ12を保持するアーム22cと、穿刺針を保持するアーム22a及びアーム22bとの位置関係に基づいてリアルタイムの超音波画像に穿刺針を描出可能か否か判定し、描出可能である穿刺針に対応するボタンを入力インターフェース14に表示させる。
【0113】
図10は、第1の実施形態に係る表示制御機能155fによる処理の一例を示す図である。例えば、表示制御機能155fは、穿刺針A、穿刺針B、穿刺針Cの3本の穿刺針について、インプレーン画像を表示させるためのボタンを、入力インターフェース14であるタッチモニタ(タッチコマンドスクリーン)に表示させる。術者は、ボタンA~Cのいずれかをタッチすることにより、穿刺針A、穿刺針B及び穿刺針Cのインプレーン画像を切り替えて表示させることができる。すなわち、アーム制御機能155eは、タッチされたボタンに対応する穿刺針のインプレーン画像が収集されるように、保持するアームを移動させる。表示制御機能155fは、移動後に収集された超音波画像をディスプレイ13に表示させる。
【0114】
また、複数の穿刺針が用いられる場合には、穿刺針の相対的な位置関係や、超音波プローブの性能によって、複数の穿刺針が同一画像内にインプレーンとなる場合がある。そこで、表示制御機能155fは、リアルタイムの超音波画像に複数の穿刺針が同時に描出可能である場合に、複数の穿刺針を同時に描出させるためのボタンを入力インターフェース14に表示させる。すなわち、表示制御機能155fは、複数の穿刺針が同一画像内にインプレーンとなるか否かを判定して、同一画像内にインプレーンとなる場合には、複数の穿刺針が同一画像内に描出されたインプレーン画像を表示させるためのボタンをタッチモニタに表示させる。
【0115】
図11は、第1の実施形態に係る表示制御機能155fによる処理の一例を示す図である。例えば、表示制御機能155fは、穿刺針B及び穿刺針Cが同一画像内にインプレーンとなる場合に、図11に示すように、ボタンA~Cに加えて、ボタン(B,C)を表示させる。
【0116】
なお、収集するインプレーン画像の指定は、上述したタッチモニタのボタンだけではなく、アームを識別するための識別情報(例えば、アームごとに予め付与した番号など)が入力されることで行われてもよい。或いは、アームごとにそれぞれスイッチが設けられ、スイッチが押下されることで、収集するインプレーン画像が指定されてもよい。
【0117】
次に、図12図13を用いて、第1の実施形態に係る超音波診断装置100の処理について説明する。図12図13は、第1の実施形態に係る超音波診断装置100の処理の手順を説明するためのフローチャートである。ここで、図12は、2本の穿刺針を挿入する場合の処理について示す。図12に示すステップS201及びステップS211は、超音波診断装置100の処理前後に術者によって実施される手順を示す。
【0118】
ステップS202は、処理回路155がメモリ154から制御機能155aに対応するプログラムを読み出して実行されるステップである。ステップS203~S204、S206~S207、S209~S210は、処理回路155がメモリ154からアーム制御機能155eに対応するプログラムを読み出して実行されるステップである。ステップS205、S208は、処理回路155がメモリ154から算出機能155d及びアーム制御機能155eに対応するプログラムを読み出して実行されるステップである。
【0119】
図13に示すステップS301及びステップS309は、超音波診断装置100の処理前後に術者によって実施される手順を示す。ステップS302~S307は、処理回路155がメモリ154から取得機能155c、算出機能155d及びアーム制御機能155eに対応するプログラムを読み出して実行されるステップである。ステップS308は、処理回路155がメモリ154からアーム制御機能155eに対応するプログラムを読み出して実行されるステップである。
【0120】
第1の実施形態に係る超音波診断装置100では、図12に示すように、術者が患者を術台に載せ、位置センサ61bを取り付けて位置を確定させると(ステップS201)、処理回路155が、穿刺計画に基づき、穿刺位置を設定する(ステップS202)。そして、処理回路155は、穿刺針31を保持するアーム22aを初期位置に設定して(ステップS203)、アーム22aの穿刺針31が超音波診断装置に表示されるように、アーム22cを制御して超音波プローブ12の位置を設定する(ステップS204)。
【0121】
その後、処理回路155は、アーム22aに接続された穿刺針31が計画通りの位置か否かを判定する(ステップS205)。ここで、計画通りの位置ではない場合には(ステップS205否定)、処理回路155は、リアルタイムの超音波画像に基づいて、穿刺針31の位置を制御する(ステップS206)。
【0122】
ステップS205の判定において、計画通りの位置である場合には(ステップS205肯定)、処理回路155は、アーム22bの穿刺針32が超音波診断装置に表示されるように、アーム22cを制御して超音波プローブ12の位置を設定する(ステップS207)。
【0123】
その後、処理回路155は、アーム22bに接続された穿刺針32が計画通りの位置か否かを判定する(ステップS208)。ここで、計画通りの位置ではない場合には(ステップS208否定)、処理回路155は、リアルタイムの超音波画像に基づいて、穿刺針32の位置を制御する(ステップS209)。
【0124】
ステップS208の判定において、計画通りの位置である場合には(ステップS208肯定)、処理回路155は、穿刺手術が完了したか否かを判定する(ステップS209)。ここで、完了していない場合には(ステップS209否定)、処理回路155は、ステップS204に戻って、処理を継続する。一方、完了している場合には(ステップS209肯定)、術者が、穿刺針、超音波プローブ12などを患者から外す(ステップS211)。
【0125】
また、第1の実施形態に係る超音波診断装置100では、図13に示すように、術者が患者を術台に載せ、位置センサ61bを取り付けて位置を確定させると(ステップS301)、処理回路155が、生体情報に基づいて、相対的に体動の少ないタイミングを件検出する(ステップS202)。なお、図示していないが、ステップS301とS302との間には、図12で示したステップS202~S209の処理が実行される。
【0126】
そして、処理回路155は、検出したタイミングで穿刺を開始して、穿刺針31及び穿刺針32を配置する(ステップS303)。そして、処理回路155は、アーム22aの穿刺針31が体動によってズレが生じるか否かを判定する(ステップS304)。ここで、ズレが生じる場合には(ステップS304肯定)、処理回路155は、体動に合わせてアーム22aをコントロールして、穿刺針31の位置を制御する(ステップS305)。
【0127】
その後、処理回路155は、アーム22bの穿刺針32が体動によってズレが生じるか否かを判定する(ステップS306)。ここで、ズレが生じる場合には(ステップS306肯定)、処理回路155は、体動に合わせてアーム22bをコントロールして、穿刺針32の位置を制御する(ステップS307)。
【0128】
そして、処理回路155は、穿刺手術が完了したか否かを判定する(ステップS308)。ここで、完了していない場合には(ステップS308否定)、処理回路155は、ステップS304に戻って、処理を継続する。一方、完了している場合には(ステップS308肯定)、術者が、穿刺針、超音波プローブ12などを被検体から外す(ステップS309)。
【0129】
上述したように、第1の実施形態によれば、制御機能155aは、穿刺計画に基づいて設定される被検体に対する穿刺位置の情報を取得する。算出機能155dは、穿刺位置の情報における被検体の位置情報と、被検体から収集されたリアルタイムの超音波画像に基づく被検体の位置情報との差分を算出する。アーム制御機能155eは、穿刺計画に基づいて被検体に対して刺入される穿刺針を保持するアームの位置を、差分を用いて調整するように制御する。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置100は、穿刺時の実際の位置に基づいて、穿刺針の位置を調整することができ、穿刺に係る負荷を低減することを可能にする。
【0130】
また、第1の実施形態によれば、算出機能155dは、穿刺位置の情報における被検体の所定領域と穿刺針との位置関係と、リアルタイムの超音波画像に基づく被検体の位置に対して穿刺位置の情報で穿刺針を刺入した場合の当該穿刺針と所定領域との位置関係との差分を算出する。アーム制御機能155eは、位置関係の差分に応じて、穿刺計画に基づいて配置されたアームの位置を移動させるように制御する。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置100は、穿刺針とターゲットとの位置関係を穿刺計画に沿ったものに調整することができ、正確な穿刺を容易に実現することを可能にする。
【0131】
また、第1の実施形態によれば、取得機能155cは、被検体の生体情報を取得する。アーム制御機能155eは、生体情報に基づいて、アームをさらに調整するように制御する。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置100は、生体情報に合わせたアームの移動を実現させることを可能にする。
【0132】
また、第1の実施形態によれば、アーム制御機能155eは、生体情報に基づいて被検体の体動を検出し、被検体の体動が相対的に少ないタイミングでアームに保持された穿刺針の刺入を開始するように制御する。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置100は、精度の高い穿刺針の挿入を行うことを可能にする。
【0133】
また、第1の実施形態によれば、アーム制御機能155eは、生体情報に基づいて被検体の体動を検出し、被検体の体動に合わせて穿刺針を保持したアームの位置を調整するように制御する。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、呼吸などの生体情報に合わせてアームを移動させることを可能にする。
【0134】
また、第1の実施形態によれば、アーム制御機能155eは、被検体の体動のうち穿刺針の刺入方向の動きに合わせて、アームの穿刺針の刺入方向の位置を調整するように制御する。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置100は、呼吸に伴う穿刺針の移動を抑止することを可能にする。
【0135】
また、第1の実施形態によれば、アーム制御機能155eは、超音波画像に対する操作に応じて、穿刺針を保持したロボットアームの位置を調整するように制御する。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置100は、所望の位置へのアームの移動を容易に行うことを可能にする。
【0136】
また、第1の実施形態によれば、アーム制御機能155eは、リアルタイムの超音波画像を収集する超音波プローブを保持するアームと、穿刺針を保持するアームとの位置関係に基づいて、穿刺針がリアルタイムの超音波画像に描出されるように、超音波プローブを保持するアームの位置を調整するように制御する。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置100は、インプレーン画像の収集の自由度を高めることを可能にする。
【0137】
また、第1の実施形態によれば、表示制御機能155fは、リアルタイムの超音波画像に描出させる穿刺針を選択するためのボタンを入力インターフェース14に表示させる。表示制御機能155fは、リアルタイムの超音波画像を収集する超音波プローブ12を保持するアームと、穿刺針を保持するアームとの位置関係に基づいてリアルタイムの超音波画像に穿刺針を描出可能か否か判定し、描出可能である穿刺針に対応するボタンを入力インターフェース14に表示させる。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置100は、インプレーン画像の表示を容易に行うことを可能にする。
【0138】
また、第1の実施形態によれば、表示制御機能155fは、リアルタイムの超音波画像に複数の穿刺針が同時に描出可能である場合に、複数の穿刺針を同時に描出させるためのボタンを入力インターフェース14に表示させる。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置100は、複数の穿刺針を含むインプレーン画像の表示を容易に行うことを可能にする。
【0139】
また、第1の実施形態によれば、アーム制御機能155eは、術者による音声入力に基づいて、穿刺針を保持するアーム及びリアルタイムの超音波画像を収集する超音波プローブを保持するアームの位置を調整するように制御する。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置100は、アームの移動を容易に行うことを可能にする。
【0140】
(その他の実施形態)
さて、これまで第1の実施形態について説明したが、上述した第1の実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
【0141】
上述した実施形態では、リアルタイムで収集する超音波画像が2次元画像である場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、3次元の超音波画像がリアルタイムで収集される場合でもよい。
【0142】
また、上述した実施形態では、表示制御機能155fが、ボリュームデータから生成したレンダリング画像や、リアルタイムの超音波画像を表示させる場合について説明した。しかしながら、表示制御機能155fは、その他種々の情報を表示させることができる。例えば、表示制御機能155fは、穿刺計画に用いたボリュームデータから生成したレンダリング画像に対して実際の穿刺針の位置を示した画像を表示させることができる。
【0143】
すなわち、表示制御機能155fは、位置センサに基づくアーム22a(アーム22b)の位置や超音波画像に描出された穿刺針の位置に基づいて、第1座標空間内での穿刺針31(穿刺針32)の位置を特定する。そして、表示制御機能155fは、特定した位置に対応するボリュームデータ内の位置をさらに特定する。これにより、表示制御機能155fは、レンダリング画像内に穿刺針を示した画像を表示させることができる。
【0144】
また、表示制御機能155fは、穿刺針の情報及び画像情報を提示するように制御する。例えば、表示制御機能155fは、穿刺計画に用いたボリュームデータから生成したレンダリング画像を表示するとともに、穿刺針31、穿刺針32、超音波プローブ12、アーム22a、アーム22b、アーム22cの位置をアニメーションで表示させ、さらに、超音波プローブ12のスキャン位置を表示させることで、ライブシェーマ機能を実現することもできる。
【0145】
また、上述した実施形態では、Fusion機能を用いて位置を調整する場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、Fusion機能を用いない場合でもよい。かかる場合には、例えば、穿刺計画時に臓器、体表、骨、大きな血管などについてセグメンテーションが実行される。そして、リアルタイムで収集される超音波画像上でターゲットが指定される。
【0146】
アーム制御機能155eは、位置センサ61bから取得される被検体の位置情報に対して、穿刺計画でセグメンテーションの情報を適用することで、第1座標空間における臓器、骨、大きな血管の位置を特定する。そして、アーム制御機能155eは、リアルタイムの超音波画像で指定されたターゲットの位置と、特定した第1座標空間における臓器、骨、大きな血管の位置とに基づいて、穿刺針の挿入位置及び角度を決定する。すなわち、アーム制御機能155eは、骨や、血管などを避けた穿刺経路を決定する。これにより、アーム制御機能155eは、Fusion機能を用いることなく、穿刺針の位置を自動で調整することができる。
【0147】
また、アーム制御機能155eは、術者が超音波画像上でターゲット及び挿入位置を指定すると、指定された挿入位置から指定されたターゲットに向けて穿刺針を挿入することができるようにアームの位置を制御することもできる。
【0148】
また、アーム制御機能155eは、超音波画像の画像情報に基づいてアームを制御することもできる。例えば、インプレーン画像において、画像上の針が存在する位置の画素値が特異的に高くない場合に、アーム制御機能155eは、超音波プローブ12のあおり角を変化させ、輝度値の変化から最大輝度の角度であおりを停止させるように制御する。
【0149】
また、表示制御機能155fは、超音波プローブ12を保持するアーム22cの位置に応じて、自動でアプリケーションを起動させることができる。例えば、アーム22cがインプレーン画像を表示させる位置に配置された場合に、針強調モードや、針ナビゲーション、穿刺ラインなどのアプリケーションを自動で起動させ、表示を行う。
【0150】
上述した実施形態では、本願に係る穿刺支援装置が超音波診断装置100に組み込まれる場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、本願に係る穿刺支援装置が、ロボットアーム装置200に組み込まれる場合でもよい。かかる場合には、上記した各機能が処理回路213によって実行される。
【0151】
なお、上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサはメモリに保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、メモリにプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。
【0152】
なお、上記の実施形態の説明で図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。更に、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0153】
また、上述した実施形態で説明した制御方法は、あらかじめ用意された制御プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。この制御プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、この制御プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO、DVD、USBメモリ及びSDカードメモリ等のFlashメモリ等のコンピュータで読み取り可能な非一時的な記録媒体に記録され、コンピュータによって非一時的な記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
【0154】
以上、説明したとおり、実施形態によれば、穿刺に係る負荷を低減することを可能にする。
【0155】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0156】
100 超音波診断装置
155、213 処理回路
155a 制御機能
155c 取得機能
155d 算出機能
155e アーム制御機能
155f 表示制御機能
図1
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