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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-25
(45)【発行日】2023-09-04
(54)【発明の名称】センサ
(51)【国際特許分類】
   G01R 15/16 20060101AFI20230828BHJP
   G01R 19/00 20060101ALI20230828BHJP
   G01R 1/06 20060101ALI20230828BHJP
【FI】
G01R15/16
G01R19/00 B
G01R1/06 F
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020008525
(22)【出願日】2020-01-22
(65)【公開番号】P2021063787
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-11-25
(31)【優先権主張番号】P 2019188487
(32)【優先日】2019-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000227180
【氏名又は名称】日置電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104787
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 伸司
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 主吏
(72)【発明者】
【氏名】笠井 真
【審査官】永井 皓喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-181127(JP,A)
【文献】特開2018-112475(JP,A)
【文献】特開2019-113437(JP,A)
【文献】米国特許第6756799(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 15/16
G01R 19/00
G01R 1/06
G01R 31/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状に形成された電極保持部と、
前記電極保持部に挿入された状態で当該電極保持部によって保持されると共に、検出対象の被覆電線における導線に対して当該被覆電線の絶縁被覆を介して近接させられて当該導線と容量結合させられる電極と、
前記電極を保持した状態の前記電極保持部を挿入可能な筒状に形成されると共に先端部における周壁の一部が切り欠かれた切欠きに前記被覆電線を挿入可能に構成された電線挿入部とを備え、
前記電極保持部および前記電線挿入部の筒長方向に沿って当該電極保持部に対して当該電線挿入部を相対的に移動可能に構成されると共に、当該電線挿入部に挿入された前記被覆電線に対して当該電極保持部によって保持された前記電極を相対的に接近させることで前記導線に対して容量結合させられた前記電極を介して当該被覆電線についての被検出量を当該導線に対して非接触の状態で検出可能に構成されたセンサであって、
前記電極保持部の先端部から当該電極保持部の基端部に向かう向きで当該電極保持部に対して前記電線挿入部を付勢する付勢部材を備え、
前記電極保持部は、当該電極保持部の前記先端部から前記電極の先端部が露出するように当該電極を保持すると共に、当該電極保持部の基端部が前記筒長方向で前記電線挿入部の基端部から突出させられて当該電極保持部の当該基端部に当該センサを把持するための把持部が設けられているセンサ。
【請求項2】
前記電線挿入部の前記基端部には、当該電線挿入部の筒径方向で外向きに突出している操作用突出部が設けられている請求項1記載のセンサ。
【請求項3】
前記電極は、前記電極保持部に対する前記電線挿入部の相対的な移動によって当該電極の前記先端部が当該電極保持部および当該電線挿入部の筒径方向で前記切欠きにおける当該電線挿入部の前記基端部寄りの縁部に重なる位置に配置された状態において前記操作用突出部よりも当該電線挿入部の前記先端部寄りに当該電極の基端部が位置する長さに形成されると共に、当該電極保持部内において当該電極の当該基端部が当該センサを測定器に接続するための接続用電線の芯線に接続されている請求項2記載のセンサ。
【請求項4】
前記電極保持部は、導電性材料で筒状に形成された保持部本体と、当該保持部本体および前記電極の間に配設されて当該保持部本体および当該電極を相互に絶縁しつつ当該保持部本体と相俟って当該電極を保持するセンサ側絶縁体とを備えると共に、前記電極の前記先端部が前記筒径方向で前記切欠きにおける前記基端部寄りの縁部に重なる位置に配置された状態において当該筒径方向で前記操作用突出部と重なる部位において前記保持部本体が前記接続用電線のシールド線に接続されている請求項3記載のセンサ。
【請求項5】
前記電極は、前記電極保持部に対する前記電線挿入部の相対的な移動によって当該電極の前記先端部が当該電極保持部および当該電線挿入部の筒径方向で前記切欠きにおける当該電線挿入部の前記基端部寄りの縁部に重なる位置に配置された状態において当該電線挿入部の前記筒長方向における前記先端部側の1/2の範囲内に当該電極の基端部が位置する長さに形成されると共に、当該電極保持部内において当該電極の当該基端部が当該センサを測定器に接続するための接続用電線の芯線に接続されている請求項1記載のセンサ。
【請求項6】
前記電極保持部は、導電性材料で筒状に形成された保持部本体と、当該保持部本体および前記電極の間に配設されて当該保持部本体および当該電極を相互に絶縁しつつ当該保持部本体と相俟って当該電極を保持するセンサ側絶縁体とを備えると共に、前記電極の前記先端部が前記筒径方向で前記切欠きにおける前記基端部寄りの縁部に重なる位置に配置された状態において当該電線挿入部の前記筒長方向における前記基端部側の1/2の範囲と当該筒径方向で重なる部位において前記保持部本体が前記接続用電線のシールド線に接続されている請求項5記載のセンサ。
【請求項7】
前記電極保持部は、前記芯線および前記シールド線の間の電線側絶縁体の外周面が前記筒長方向における前記電極および当該芯線の接続部位と前記保持部本体および当該シールド線の接続部位との間において当該保持部本体の内周面に接するように当該保持部本体が構成されている請求項4または6記載のセンサ。
【請求項8】
前記電極保持部の前記基端部から前記先端部に向かって当該電極保持部に対して前記電線挿入部を相対的に移動させるときに、前記電極の前記先端部が当該電極保持部および当該電線挿入部の筒径方向で前記切欠きにおける当該電線挿入部の前記基端部寄りの縁部に重なる位置において、当該電極保持部に対する当該電線挿入部の相対的な移動に要する操作力を変化させる第1の操作力変化機構が当該電極保持部および当該電線挿入部に設けられている請求項1から7のいずれかに記載のセンサ。
【請求項9】
前記電極保持部の前記先端部から前記基端部に向かって当該電極保持部に対して前記電線挿入部を相対的に移動させるときに、前記電極の前記先端部が当該電極保持部および当該電線挿入部の筒径方向で前記切欠きにおける当該電線挿入部の前記基端部寄りの縁部に重なる位置において、当該電極保持部に対する当該電線挿入部の相対的な移動に要する操作力を変化させる第2の操作力変化機構が当該電極保持部および当該電線挿入部に設けられている請求項1から8いずれかに記載のセンサ。
【請求項10】
前記電線挿入部は、当該電線挿入部の前記先端部の外径が当該電線挿入部の前記基端部の外径よりも細径となるように形成されている請求項1から9のいずれかに記載のセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被覆電線についての被検出量を被覆電線の導線に対して非接触の状態で検出可能なセンサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のセンサとして、出願人は、測定対象電線(電圧検出対象の被覆電線)について、芯線に対して非接触の状態で電圧を検出可能な電圧検出プローブ(以下、単に「検出プローブ」ともいう)を下記の特許文献に開示している。
【0003】
この検出プローブは、使用者によって把持されるグリップ部と、シールドケーブルを介して本体ユニットに接続される検出電極ユニットとを備えて構成されている。また、検出電極ユニットは、測定対象電線を挿入可能な挿入凹部(切欠き)が形成された第1シールド筒体と、表面が絶縁被覆で覆われると共に第1シールド筒体に対してスライド可能に挿入された検出電極と、グリップ部の内側に固定されると共に第1シールド筒体が挿通されて固定された第2シールド筒体と、検出電極に連結されると共に第1シールド筒体、第2シールド筒体およびグリップ部に対して検出電極をスライドさせるための操作レバーと、検出電極を先端部側に向けて付勢する付勢部材とを備えている。
【0004】
この検出プローブを使用して測定対象電線における芯線の電圧を検出する際には、測定対象電線に検出プローブを装着する。具体的には、まず、グリップ部を把持した状態で操作レバーを手前側に引き寄せる。この際には、検出電極が付勢部材の付勢力に抗して第1シールド筒体内で手前側にスライドさせられる結果、挿入凹部(切欠き)内への測定対象電線の挿入が可能な状態となる。次いで、操作レバーを押さえながら挿入凹部内に測定対象電線を挿入する。続いて、操作レバーから手を離す。この際には、付勢部材の付勢力によって検出電極が第1シールド筒体の先端側に向かってスライドさせられる結果、検出電極の先端面と第1シールド筒体の先端側切欠き面(内側端面)との間で測定対象電線が挟持された状態となる。以上により、検出プローブの装着作業が完了し、測定対象電線(芯線)の電圧を検出可能な状態となる。
【0005】
一方、出願人は、上記の検出プローブとは動作原理が異なる他の検出プローブを下記の特許文献に開示している。具体的には、上記の検出プローブでは、グリップ部と一体化された状態の第1シールド筒体に対して、操作レバーの操作によって検出電極をスライドさせる構成が採用されているが、他の形態の検出プローブでは、検出電極をグリップ部に固定すると共に、第1シールド筒体をグリップ部に対してスライド可能に配設し、操作レバーの操作によって検出電極に対して第1シールド筒体をスライドさせる構成が採用されている。この検出プローブにおいても、挿入凹部(切欠き)内に挿入した測定対象電線を検出電極の先端面と第1シールド筒体の先端側切欠き面との間で挟持した状態とすることで、測定対象電線(芯線)の電圧を検出可能な状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-009576号公報(第7-20頁、第1-19図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、出願人が上記の特許文献に開示している検出プローブには、以下のような改善すべき課題が存在する。
【0008】
具体的には、出願人が開示している両検出プローブでは、検出電極ユニットにおける検出電極、第1シールド筒体および第2シールド筒体等がグリップ部の内側に配設されると共に、グリップ部の外側に突出させられた操作レバーの操作によって、第1シールド筒体に対する検出電極のスライド、または、検出電極に対する第1シールド筒体のスライドを行うことが可能に構成されている。したがって、出願人が開示している検出プローブでは、第1シールド筒体に対する検出電極のスライド、または、検出電極に対する第1シールド筒体のスライドが可能な状態で、検出電極、第1シールド筒体および第2シールド筒体等をグリップ部の内側に配設したことで、グリップ部の外径が大きくなっている。
【0009】
このため、出願人が開示している検出プローブでは、狭い場所に設置されている測定対象電線に装着する際に大径のグリップ部が邪魔となり、装着作業が困難となることがある。また、複数の測定対象電線に対して複数の検出プローブを装着する際に、大径のグリップ部同士が当接するため、検出電極や第1シールド筒体を互いに近接させて各検出プローブを配置するのが困難となっている。したがって、これらの点を改善するのが好ましい。
【0010】
本発明は、かかる改善すべき課題に鑑みてなされたものであり、狭い場所に設置された被覆電線に対しても容易に装着が可能で、複数の測定対象電線に対して複数の検出プローブを十分に近接させて配置可能なセンサを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成すべく請求項1記載のセンサは、筒状に形成された電極保持部と、前記電極保持部に挿入された状態で当該電極保持部によって保持されると共に、検出対象の被覆電線における導線に対して当該被覆電線の絶縁被覆を介して近接させられて当該導線と容量結合させられる電極と、前記電極を保持した状態の前記電極保持部を挿入可能な筒状に形成されると共に先端部における周壁の一部が切り欠かれた切欠きに前記被覆電線を挿入可能に構成された電線挿入部とを備え、前記電極保持部および前記電線挿入部の筒長方向に沿って当該電極保持部に対して当該電線挿入部を相対的に移動可能に構成されると共に、当該電線挿入部に挿入された前記被覆電線に対して当該電極保持部によって保持された前記電極を相対的に接近させることで前記導線に対して容量結合させられた前記電極を介して当該被覆電線についての被検出量を当該導線に対して非接触の状態で検出可能に構成されたセンサであって、前記電極保持部の先端部から当該電極保持部の基端部に向かう向きで当該電極保持部に対して前記電線挿入部を付勢する付勢部材を備え、前記電極保持部は、当該電極保持部の前記先端部から前記電極の先端部が露出するように当該電極を保持すると共に、当該電極保持部の基端部が前記筒長方向で前記電線挿入部の基端部から突出させられて当該電極保持部の当該基端部に当該センサを把持するための把持部が設けられている。
【0012】
請求項2記載のセンサは、請求項1記載のセンサにおいて、前記電線挿入部の前記基端部には、当該電線挿入部の筒径方向で外向きに突出している操作用突出部が設けられている。
【0013】
請求項3記載のセンサは、請求項2記載のセンサにおいて、前記電極は、前記電極保持部に対する前記電線挿入部の相対的な移動によって当該電極の前記先端部が当該電極保持部および当該電線挿入部の筒径方向で前記切欠きにおける当該電線挿入部の前記基端部寄りの縁部に重なる位置に配置された状態において前記操作用突出部よりも当該電線挿入部の前記先端部寄りに当該電極の基端部が位置する長さに形成されると共に、当該電極保持部内において当該電極の当該基端部が当該センサを測定器に接続するための接続用電線の芯線に接続されている。
【0014】
請求項4記載のセンサは、請求項3記載のセンサにおいて、前記電極保持部は、導電性材料で筒状に形成された保持部本体と、当該保持部本体および前記電極の間に配設されて当該保持部本体および当該電極を相互に絶縁しつつ当該保持部本体と相俟って当該電極を保持するセンサ側絶縁体とを備えると共に、前記電極の前記先端部が前記筒径方向で前記切欠きにおける前記基端部寄りの縁部に重なる位置に配置された状態において当該筒径方向で前記操作用突出部と重なる部位において前記保持部本体が前記接続用電線のシールド線に接続されている。
【0015】
請求項5記載のセンサは、請求項1記載のセンサにおいて、前記電極は、前記電極保持部に対する前記電線挿入部の相対的な移動によって当該電極の前記先端部が当該電極保持部および当該電線挿入部の筒径方向で前記切欠きにおける当該電線挿入部の前記基端部寄りの縁部に重なる位置に配置された状態において当該電線挿入部の前記筒長方向における前記先端部側の1/2の範囲内に当該電極の基端部が位置する長さに形成されると共に、当該電極保持部内において当該電極の当該基端部が当該センサを測定器に接続するための接続用電線の芯線に接続されている。
【0016】
請求項6記載のセンサは、請求項5記載のセンサにおいて、前記電極保持部は、導電性材料で筒状に形成された保持部本体と、当該保持部本体および前記電極の間に配設されて当該保持部本体および当該電極を相互に絶縁しつつ当該保持部本体と相俟って当該電極を保持するセンサ側絶縁体とを備えると共に、前記電極の前記先端部が前記筒径方向で前記切欠きにおける前記基端部寄りの縁部に重なる位置に配置された状態において当該電線挿入部の前記筒長方向における前記基端部側の1/2の範囲と当該筒径方向で重なる部位において前記保持部本体が前記接続用電線のシールド線に接続されている。
【0017】
請求項7記載のセンサは、請求項4または6記載のセンサにおいて、前記電極保持部は、前記芯線および前記シールド線の間の電線側絶縁体の外周面が前記筒長方向における前記電極および当該芯線の接続部位と前記保持部本体および当該シールド線の接続部位との間において当該保持部本体の内周面に接するように当該保持部本体が構成されている。
【0018】
請求項8記載のセンサは、請求項1から7のいずれかに記載のセンサにおいて、前記電極保持部の前記基端部から前記先端部に向かって当該電極保持部に対して前記電線挿入部を相対的に移動させるときに、前記電極の前記先端部が当該電極保持部および当該電線挿入部の筒径方向で前記切欠きにおける当該電線挿入部の前記基端部寄りの縁部に重なる位置において、当該電極保持部に対する当該電線挿入部の相対的な移動に要する操作力を変化させる第1の操作力変化機構が当該電極保持部および当該電線挿入部に設けられている。
【0019】
請求項9記載のセンサは、請求項1から8のいずれかに記載のセンサにおいて、前記電極保持部の前記先端部から前記基端部に向かって当該電極保持部に対して前記電線挿入部を相対的に移動させるときに、前記電極の前記先端部が当該電極保持部および当該電線挿入部の筒径方向で前記切欠きにおける当該電線挿入部の前記基端部寄りの縁部に重なる位置において、当該電極保持部に対する当該電線挿入部の相対的な移動に要する操作力を変化させる第2の操作力変化機構が当該電極保持部および当該電線挿入部に設けられている。
【0020】
請求項10記載のセンサは、請求項1から9のいずれかに記載のセンサにおいて、前記電線挿入部は、当該電線挿入部の前記先端部の外径が当該電線挿入部の前記基端部の外径よりも細径となるように形成されている。
【発明の効果】
【0021】
請求項1記載のセンサによれば、電極保持部の基端部を筒長方向で電線挿入部の基端部から突出させてセンサを把持するための把持部を電極保持部の基端部に設けたことにより、被覆電線を挿入する切欠きが形成された電線挿入部とセンサを把持するための把持部とが電極保持部および電線挿入部の筒長方向で並んだ配置となるため、把持部の内側に電線挿入部等が配設された構成と比較して、把持部の外径を十分に小さくすることができる。これにより、センサの使用時(装着時および取外し時)に把持部が邪魔とならないため、狭い場所に設置された被覆電線に対しても容易に装着することができ、複数の被覆電線に対して複数のセンサを十分に近接させて配置することもできる。
【0022】
請求項2記載のセンサによれば、電線挿入部の基端部に、電線挿入部の筒径方向で外向きに突出している操作用突出部を設けたことにより、操作用突出部が設けられていない構成と比較して、把持部を把持した状態で電極保持部に対して電線挿入部を確実かつ容易に移動させることができる。
【0023】
請求項3記載のセンサでは、電極が、電極保持部に対する電線挿入部の相対的な移動によって電極の先端部が電極保持部および電線挿入部の筒径方向で切欠きにおける電線挿入部の基端部寄りの縁部に重なる位置に配置された状態において操作用突出部よりも電線挿入部の先端部寄りに電極の基端部が位置する長さに形成されると共に、電極保持部内において電極の基端部がセンサを測定器に接続するための接続用電線の芯線に接続されている。
【0024】
また、請求項5記載のセンサでは、電極が、電極保持部に対する電線挿入部の相対的な移動によって電極の先端部が電極保持部および電線挿入部の筒径方向で切欠きにおける電線挿入部の基端部寄りの縁部に重なる位置に配置された状態において電線挿入部の筒長方向における先端部側の1/2の範囲内に電極の基端部が位置する長さに形成されると共に、電極保持部内において電極の基端部がセンサを測定器に接続するための接続用電線の芯線に接続されている。
【0025】
したがって、請求項3,5記載のセンサによれば、ノイズの混入を好適に阻止可能なシールド線(網線)で周囲を取り囲んだ状態で電極保持部によって保持する構成を採用するのが困難な電極を短くしたことで電極に対してノイズが混入し難くなり、これにより、電極を介して検出する被検出量を高精度に検出することができる。
【0026】
請求項4記載のセンサでは、電極の先端部が筒径方向で切欠きにおける基端部寄りの縁部に重なる位置に配置された状態において筒径方向で操作用突出部と重なる部位において電極保持部の保持部本体が接続用電線のシールド線に接続されている。また、請求項6記載のセンサでは、電極の先端部が筒径方向で切欠きにおける基端部寄りの縁部に重なる位置に配置された状態において電線挿入部の筒長方向における基端部側の1/2の範囲と筒径方向で重なる部位において電極保持部の保持部本体が接続用電線のシールド線に接続されている。
【0027】
したがって、請求項4,6記載のセンサによれば、保持部本体においてシールド線との接続のために構造が複雑化したり、十分な強度を確保するのが困難となったりする傾向がある部位を電極保持部の基端部寄りに配置した分だけ、電極保持部における先端部寄りの部位を十分に小径化し、かつ十分な強度を確保することができる。これにより、電極保持部を挿通させる電線挿入部における先端部寄りの部位を十分に小径化することができる結果、センサの使用時(装着時および取外し時)に、狭い場所に設置された被覆電線に対して一層容易に装着することができ、複数の被覆電線に対して複数のセンサを一層近接させて配置することができる。また、電線挿入部内での電極保持部の変形を好適に回避できる結果、電極保持部に対して電線挿入部をスムースに移動させ得る状態を好適に維持することができる。
【0028】
請求項7記載のセンサによれば、電線側絶縁体の外周面が筒長方向における電極および芯線の接続部位と保持部本体およびシールド線の接続部位との間において保持部本体の内周面に接するように電極保持部の保持部本体を構成したことにより、保持部本体内における電線側絶縁体、および電線側絶縁体内の芯線の遊動を回避することができる。
【0029】
請求項8記載のセンサでは、電極保持部の基端部から先端部に向かって電極保持部に対して電線挿入部を相対的に移動させるときに、電極の先端部が電極保持部および電線挿入部の筒径方向で切欠きにおける電線挿入部の基端部寄りの縁部に重なる位置において、電極保持部に対する電線挿入部の相対的な移動に要する操作力を変化させる第1の操作力変化機構が電極保持部および電線挿入部に設けられている。
【0030】
したがって、請求項8記載のセンサによれば、電線挿入部の切欠き内に電極保持部が位置しているか否かを目視によって確認するのが困難な状況下においても、電極保持部に対する電線挿入部の移動に要する力が変化したときに、電極保持部によって保持されている電極の先端部が電線挿入部における切欠きの形成位置の範囲内に存在しない状態に移行しようとしていることを確実かつ容易に認識することができる。これにより、被覆電線に対するセンサの装着時には、電極の先端部や電極保持部の先端部に被覆電線を接触させることなく、切欠き内に被覆電線をスムースに挿入することができ、被覆電線からのセンサの取り外し時には、電極の先端部や電極保持部の先端部に被覆電線を接触させることなく、切欠き内の被覆電線をスムースに離脱させることができる。
【0031】
請求項9記載のセンサでは、電極保持部の先端部から基端部に向かって電極保持部に対して電線挿入部を相対的に移動させるときに、電極の先端部が電極保持部および電線挿入部の筒径方向で切欠きにおける電線挿入部の基端部寄りの縁部に重なる位置において、電極保持部に対する電線挿入部の相対的な移動に要する操作力を変化させる第2の操作力変化機構が電極保持部および電線挿入部に設けられている。
【0032】
したがって、請求項9記載のセンサによれば、電線挿入部の切欠き内に電極保持部が位置しているか否かを目視によって確認するのが困難な状況下においても、電極保持部に対する電線挿入部の移動に要する力が変化したときに、電極保持部によって保持されている電極の先端部が電線挿入部における切欠きの形成位置の範囲内に存在する状態に移行しようとしていることを確実かつ容易に認識することができる。これにより、被覆電線に対するセンサの装着時に、切欠き内の被覆電線に対して電極保持部によって保持されている電極の先端部を確実に接触させた状態とすることができる。
【0033】
請求項10記載のセンサによれば、先端部の外径が基端部の外径よりも細径となるように電線挿入部を形成したことにより、センサの使用時(装着時および取外し時)に、狭い場所に設置された被覆電線に対して一層容易に装着することができ、複数の被覆電線に対して複数のセンサを一層近接させて配置することができると共に、電線挿入部の基端部側を太径としたことで十分な強度を確保することができ、破損が生じる事態を好適に回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】電圧センサ1の外観斜視図である。
図2】電圧センサ1の他の外観斜視図である。
図3】左図は、先端部3aから基端部3bに向かって電極保持部3に対して電線挿入部4を移動させた状態の電圧センサ1の断面図であり、右図は、基端部3bから先端部3aに向かって電極保持部3に対して電線挿入部4を移動させた状態の電圧センサ1の断面図である。
図4】電極2を保持した状態の電極保持部3、電線挿入部4およびコイルスプリング5を分離させた状態の電圧センサ1の外観斜視図である。
図5】電極2、各構成要素を分離させた状態の電極保持部3、および信号ケーブル6の断面図である。
図6】各構成要素を分離させた状態の電線挿入部4の断面図である。
図7】電極2を保持している状態の電極保持部3に対する電線挿入部4のスライド操作について説明するための部分断面図である。
図8】電極2を保持している状態の電極保持部3に対する電線挿入部4のスライド操作について説明するための他の部分断面図である。
図9】電極2を保持している状態の電極保持部3に対する電線挿入部4のスライド操作について説明するためのさらに他の部分断面図である。
図10】電極2を保持している状態の電極保持部3に対する電線挿入部4のスライド操作について説明するためのさらに他の部分断面図である。
図11】電極2を保持している状態の電極保持部3に対する電線挿入部4のスライド操作について説明するためのさらに他の部分断面図である。
図12】電圧センサ1Aにおける電線挿入部54の外観図である。
図13】電圧センサ1Bの外観斜視図である。
図14】電圧センサ1Bの他の外観斜視図である。
図15】左図は、先端部63aから基端部63bに向かって電極保持部63に対して電線挿入部64を移動させた状態の電圧センサ1Bの断面図であり、右図は、基端部63bから先端部63aに向かって電極保持部63に対して電線挿入部64を移動させた状態の電圧センサ1Bの断面図である。
図16】電極62を保持した状態の電極保持部63の外観斜視図である。
図17】電極62、各構成要素を分離させた状態の電極保持部63、および信号ケーブル6の断面図である。
図18】電圧センサ1Bにおける電極62と信号ケーブル6における芯線6aとの接続部位近傍の断面図である。
図19】電圧センサ1Bにおける電極保持部63の保持部本体71(連結部材71c1)と信号ケーブル6におけるシールド線6cとの接続部位近傍の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、センサの実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0036】
図1~3に示す電圧センサ1は、「センサ」の一例であって、導線(芯線)が絶縁被覆で覆われて絶縁された被覆電線X(「被覆電線」の一例:図10,11参照)の導線に対して供給されている電圧(「被覆電線についての被検出量」の一例)を導線に対して非接触の状態で検出可能に構成されている。この電圧センサ1は、図4に示すように、電極2、電極保持部3、電線挿入部4、コイルスプリング5および信号ケーブル6を備え、検出対象の被覆電線Xに装着可能に(被覆電線Xを挿入可能に)構成されると共に、信号ケーブル6(「接続用電線」の一例)によって測定装置(図示せず)に接続可能に構成されている。
【0037】
電極2は、「電極」の一例であって、導電性を有する金属材料で柱状(本例では円柱状)に形成され、後述するように電線挿入部4に挿入された被覆電線Xに先端部2a(先端面)が押し付けられた状態で、被覆電線Xの絶縁被覆を介して被覆電線Xの導線と容量結合させられる。この電極2は、図4に示すように、電極保持部3における後述の保持部本体11から先端部2a(先端面)が露出するように保持部本体11に挿通させられて保持部本体11と一体化されると共に、図3に示すように、保持部本体11内において基端部2bに信号ケーブル6の電線(芯線)が接続されている。
【0038】
電極保持部3は、「電極保持部」の一例であって、全体として筒状(本例では、円筒状)に形成されている。この電極保持部3は、図3,5に示すように、保持部本体11、絶縁体12a,12b、圧接用スリーブ13および把持部14を備え、その先端部3aから電極2の先端部2a(先端面)が露出するように電極2を保持すると共に、信号ケーブル6の端部(電極2に接続される側の端部)を挿通可能に構成されている。また、保持部本体11は、一例として、電極保持部3の先端部3aを構成する先端部側部材11aと、把持部14と相俟って電極保持部3の基端部3bを構成する基端部側部材11bと、先端部側部材11aおよび基端部側部材11bを連結する連結部材11cとの3つの部材を備えて構成されている。
【0039】
この場合、各部材11a~11cは、一例として、導電性を有する金属材料で電極2や信号ケーブル6を挿通可能な筒状(円筒状)に形成されている。また、基端部側部材11bには、コイルスプリング5の一端部が当接させられる凸部21が形成されると共に、電線挿入部4における後述のスナップリング34と相俟って「第1の操作力変化機構」および「第2の操作力変化機構」を構成する凸部22が形成されている。
【0040】
絶縁体12a,12bは、電極2と保持部本体11(先端部側部材11a)とを相互に絶縁しつつ保持部本体11(先端部側部材11a)と相俟って電極2を保持可能に筒状(円筒状)に形成されている。この場合、本例の電圧センサ1では、図3に示すように、絶縁体12a,12bによって保持部本体11(先端部側部材11a)内に電極2を保持することで、電極2、保持部本体11および絶縁体12a,12bが一体化された状態となっている。圧接用スリーブ13は、先端部側部材11aの基端部に嵌着可能な円筒状に形成されており、信号ケーブル6におけるシールド線(網線)が被された状態の先端部側部材11a(基端部)に嵌着されることでシールド線を先端部側部材11a(保持部本体11)に圧接させて電気的に接続した状態を維持する。
【0041】
把持部14は、保持部本体11の基端部側部材11bにおける基端部3b側の部位と相俟って「把持部」を構成する部材であって、電圧センサ1の使用時(被覆電線Xに対する装着時や被覆電線Xからの取外し時)に使用者が電圧センサ1を把持するためのグリップ部として機能すると共に、保持部本体11(連結部材11c)から引き出された信号ケーブル6の屈曲を防止するための保護部材として機能するように弾性樹脂で円筒状に形成されている。
【0042】
電線挿入部4は、「電線挿入部」の一例であって、図3,6に示すように、挿入部本体31、操作用ノブ32、スプリング押さえ33およびスナップリング34を備えている。挿入部本体31は、一例として、ステンレス鋼によって電極保持部3を挿通可能な筒状(本例では円筒状)に形成されている。この挿入部本体31は、電線挿入部4における先端部4aの「周壁」を構成する部材であって、その一部が切り欠かれて側面視L字状の切欠き41(「切欠き」の一例)が設けられて、被覆電線Xを切欠き41に挿入可能に構成されると共に、先端部4a側の端部が半球状に形成されている。
【0043】
操作用ノブ32は、後述するように電極保持部3に対して電線挿入部4を移動(スライド)させる際に使用者によって操作される部位であって、一例として、絶縁性樹脂材料によって電極保持部を挿通可能な筒状(本例では円筒状)に形成されて挿入部本体31に装着可能に構成されている。この操作用ノブ32には、「電線挿入部の筒径方向で外向きに突出している操作用突出部」の一例である突出部32aが形成されると共に、スプリング押さえ33を螺合可能な雌ネジが形成されている。
【0044】
スプリング押さえ33には、操作用ノブ32に形成された雌ネジに螺合可能な雄ネジが形成されている。このスプリング押さえ33は、操作用ノブ32に取り付けられることで電線挿入部4の基端部4bを構成すると共に、後述するように電極保持部3と共に電線挿入部4(操作用ノブ32)内に収容されるコイルスプリング5の他端部(電極保持部3の基端部側部材11bにおける凸部21に当接させられる一端部とは逆側の端部)が当接させられる。スナップリング34は、前述したように、電極保持部3の基端部側部材11bにおける凸部22と相俟って「第1の操作力変化機構」および「第2の操作力変化機構」を構成する部材であって、操作用ノブ32の内周面に形成された嵌入溝32b(図4参照)に嵌入されることで操作用ノブ32に装着される。
【0045】
コイルスプリング5は、「付勢部材」の一例であって、図3,7~11に示すように、電極保持部3を挿通させた状態(基端部側部材11bの周囲に配置された状態)で電線挿入部4内に挿入されることにより、一端部が基端部側部材11bの凸部21に当接させられ、かつ他端部がスプリング押さえ33に当接させられる。このコイルスプリング5は、その弾性復元力(伸長方向への付勢力)によって、電極保持部3の先端部3aから基端部3bに向かう向き(各図に示す矢印Bの向き)で電極保持部3に対して電線挿入部4を付勢する。
【0046】
この電圧センサ1は、被覆電線Xに対する装着時や、被覆電線Xからの取り外し時に、電極保持部3および電線挿入部4の筒長方向に沿って電極保持部3に対して電線挿入部4を移動(スライド)させることで、電線挿入部4の切欠き41に対する被覆電線Xの挿入や、切欠き41に挿入された被覆電線Xの切欠き41からの離脱が可能に構成されている。また、この電圧センサ1は、被覆電線Xに装着された状態、すなわち、電線挿入部4の切欠き41に被覆電線Xが挿入された状態で、電極保持部3によって保持されている電極2を切欠き41に挿入されている被覆電線Xに対して相対的に接近させることで被覆電線Xの導線(芯線)に対して電極2が容量結合させられ、そのような電極2を介して被覆電線Xについての被検出量(電極2の電圧)を検出することができるように構成されている。
【0047】
さらに、本例の電圧センサ1では、電極保持部3の基端部3bが電極保持部3および電線挿入部4の筒長方向で電線挿入部4の基端部4bから突出させられており、基端部3bにおいて基端部4bから突出させられている部位(基端部側部材11bの端部)に把持部14が取り付けられて「把持部」が構成されている「電極保持部の基端部にセンサを把持するための把持部が設けられている」との構成の一例)。
【0048】
なお、本例の電圧センサ1の構成とは相違するが、保持部本体11(電極2や信号ケーブル6を挿通させる部材)に把持部14などの別部材を装着しない構成を採用したときには、電極保持部3に対して電線挿入部4を移動させていない状態(コイルスプリング5の付勢力によって電極保持部3に対して電線挿入部4が矢印Bの向きに移動させられている状態)において、保持部本体11(基端部側部材11b)における電線挿入部4の基端部4bから突出している部位(図3に示す両矢印Cの範囲)が「把持部」を構成する。
【0049】
また、本例の電圧センサ1では、前述の特許文献に出願人が開示している検出プローブと比較して、電極2の全長が短くなっている。具体的には、本例の電圧センサ1における電極2は、電極保持部3に対する電線挿入部4の相対的な移動によって電極2の先端部2aが電極保持部3および電線挿入部4の筒径方向で切欠き41における基端部4b寄りの縁部に重なる位置に配置された状態(図3右図、および図9に示す状態)において、電線挿入部4の操作用ノブ32における突出部32aよりも電線挿入部4の先端部4a寄りに基端部2bが位置する長さであって、電線挿入部4の筒長方向における先端部4a側の1/2の範囲内に基端部2bが位置する長さとなるように形成されている。
【0050】
この場合、電極2が接続される信号ケーブル6は、電極2に接続される導線(芯線)が、シールド線(網線)によってシールドされており、導線に対するノイズの混入が阻止されている。したがって、本例の電圧センサ1では、十分に短く形成された電極2の基端部2bに電極保持部3内において信号ケーブル6の導線(芯線)を接続する構成を採用したことで、電極2を介して検出する信号にノイズが混入し難くなっている。
【0051】
さらに、本例の電圧センサ1では、電線挿入部4の先端部4aの外径(本例では、挿入部本体31における先端部4a側の外径)が、電線挿入部4の基端部4bの外径(本例では、操作用ノブ32における突出部32a以外の部位や、スプリング押さえ33の外径)よりも細径となるように形成されている。また、本例の電圧センサ1における電線挿入部4では、挿入部本体31(操作用ノブ32よりも先端部4a側の部位)における先端部4a側の外径が、挿入部本体31における基端部4b側の外径よりも細径となるように形成されている。具体的には、挿入部本体31は、基端部4b側から先端部4a側に向かって段階的に外径が細くなる構成が採用されている。
【0052】
これにより、本例の電圧センサ1では、被覆電線Xに接近させる必要がある先端部4aについては、複数の電圧センサ1を十分に近接配置することが可能で、被覆電線Xからやや離れた場所に位置させられる基端部4b側の部位については、十分な太さに形成することで十分な強度を得ることが可能となっている。
【0053】
この電圧センサ1を使用して被覆電線Xの導線に印加されている電圧を検出して電圧値を測定する際には、電圧センサ1を被覆電線Xに装着する。この場合、本例の電圧センサ1では、電極保持部3と電線挿入部4との間に配設されたコイルスプリング5の付勢力によって電極保持部3の先端部3aから基端部3bに向かう向きで電極保持部3に対して電線挿入部4が付勢されている。このため、被覆電線Xに装着されていない非装着状態の電圧センサ1では、図7に示すように、電極保持部3の先端部3aが電線挿入部4の先端部4aにおける切欠き41の形成位置に位置した状態となっており、切欠き41に対して被覆電線Xを挿入することができなくなっている。
【0054】
したがって、被覆電線Xに対する装着時には、まず、電極保持部3における把持部14を把持すると共に、電線挿入部4の操作用ノブ32における突出部32aを矢印Aの向き(電極保持部3の基端部3bから先端部3aに向かう向き)に押し出すことにより、コイルスプリング5の付勢力に抗して電極保持部3に対して電線挿入部4を矢印Aの向きに移動(スライド)させる。
【0055】
この際に、本例の電圧センサ1では、図8に示すように、電極保持部3に対する電線挿入部4の矢印Aの向きへの移動によって電極保持部3によって保持されている電極2の先端部2a(先端面)が電線挿入部4における切欠き41の中央部に位置する状態となったときに、電線挿入部4の操作用ノブ32における嵌入溝32bに嵌入されたスナップリング34が、電極保持部3の基端部側部材11bに形成された凸部22における基端部3b側の端部に接触する。また、電極保持部3に対して電線挿入部4を矢印Aの向きへさらに移動させたときには、スナップリング34が拡径するようにして変形した状態で凸部22の突端面を摺動させられるため、電極保持部3に対して電線挿入部4を移動させるのに要する操作力が、図8に示す状態となるまでの操作力よりも大きくなる。
【0056】
さらに、電極保持部3に対して電線挿入部4を矢印Aの向きへさらに移動させることで、図9に示すように、電極2の先端部2a(先端面)が電極保持部3および電線挿入部4の筒径方向で切欠き41における基端部4b寄りの縁部に重なる位置に達したときに、スナップリング34が凸部22よりも先端部3a側に位置した状態となって縮径する。したがって、電極保持部3に対して電線挿入部4を矢印Aの向きにさらに移動させるのに要する操作力が、図9に示す状態となるまでの操作力よりも小さくなる(電極保持部3の凸部22と電線挿入部4のスナップリング34とが「第1の操作力変化機構」として機能する構成の一例)。
【0057】
これにより、電極保持部3に対して電線挿入部4を矢印Aの向きに押し出している使用者は、電線挿入部4の切欠き41内に電極保持部3が位置しているか否かを目視によって確認するのが困難な状況下においても、電極保持部3に対する電線挿入部4の移動に要する力が一旦大きくなってから小さくなったときに、電極保持部3によって保持されている電極2の先端部2aが電線挿入部4における切欠き41の形成位置よりも基端部4b側に位置した状態となったことを確実かつ容易に認識することができる。
【0058】
したがって、電極保持部3に対する電線挿入部4の矢印Aの向きへの移動に要する操作力が小さくなったと感じた直後に電極保持部3に対する電線挿入部4の移動を停止させる(先端部3aを押し出すのを止める)ことにより、図10に示すように、電極保持部3によって保持されている電極2の先端部2aが電極保持部3および電線挿入部4の筒径方向で切欠き41から視認できない位置に位置した状態となる。これにより、電極2の先端部2aや電極保持部3の先端部3aに対して接触させることなく、切欠き41内に被覆電線Xを挿入することが可能な状態となる。
【0059】
次いで、図10に示すように切欠き41内に被覆電線Xを挿入する。この場合、本例の電圧センサ1では、前述したように、電極保持部3において電線挿入部4の基端部4bから突出させられている基端部3bに「把持部(把持部14)」が設けられて、電線挿入部4および「把持部(把持部14)」が、電極保持部3や電線挿入部4の筒長方向で並んだ状態となっている。これにより、電線挿入部4や「把持部(把持部14)」の外径が十分に小さくなっている(電圧センサ1が全体として細長くなっている)ため、被覆電線Xが狭い場所に設置されていたとしても、電圧センサ1における切欠き41の形成部位(電線挿入部4の先端部4a)を被覆電線Xの設置場所に容易に差し入れて切欠き41内に被覆電線Xを挿入することができる。また、複数の被覆電線Xに対して複数の電圧センサ1をそれぞれ装着する場合においても、各電圧センサ1における切欠き41の形成部位(電線挿入部4の先端部4a)を十分に接近させた状態で切欠き41に被覆電線Xをそれぞれ挿入することができる。
【0060】
続いて、操作用ノブ32の突出部32aに対して加えている力(電極保持部3に対して電線挿入部4を矢印Aの向きに移動させようとする操作力)を弱める。この際に、本例の電圧センサ1では、コイルスプリング5の付勢力によって電極保持部3の先端部3aから基端部3bに向かう向き(矢印Bの向き)で電極保持部3に対して電線挿入部4が付勢されている。したがって、突出部32aを矢印Aの向きに押し出す向きに加えている操作力がコイルスプリング5の付勢力よりも小さくなったときに、電極保持部3に対して電線挿入部4が矢印Bの向きに移動させられる。
【0061】
また、電極保持部3に対して電線挿入部4が矢印Bの向きに移動させられることで、図9に示すように、電極2の先端部2a(先端面)が電極保持部3および電線挿入部4の筒径方向で切欠き41における基端部4b寄りの縁部に重なる位置に達したときに、スナップリング34が凸部22よりも先端部3a側に位置した状態となる。さらに、電極保持部3に対して電線挿入部4が矢印Bの向きへさらに移動させられたときには、スナップリング34が拡径するようにして変形した状態で凸部22の突端面を摺動させられる。
【0062】
したがって、電極保持部3に対して電線挿入部4を矢印Bの向きにさらに移動させるのに要する力が、図9に示す状態となるまでの力よりも大きくなる(電極保持部3の凸部22と電線挿入部4のスナップリング34とが「第2の操作力変化機構」として機能する構成の一例)。これにより、電極保持部3に対して電線挿入部4を矢印Bの向きに移動させようとしている使用者は、電線挿入部4の切欠き41内に電極保持部3が位置する状態となったか否かを目視によって確認するのが困難な状況下においても、電極保持部3に対する電線挿入部4の移動に要する力が大きくなったとき(コイルスプリング5の付勢力によって電極保持部3に対して電線挿入部4を移動させている本例では、コイルスプリング5による電線挿入部4の移動力が弱まったとき)に、電極保持部3によって保持されている電極2の先端部2aが電線挿入部4における切欠き41の形成位置の範囲内に達したことを確実かつ容易に認識することができる。
【0063】
さらに、電極保持部3に対して電線挿入部4が矢印Bの向きへさらに移動させられたときには、図11に示すように、電極保持部3によって保持されている電極2の先端部2a(先端面)が被覆電線Xの絶縁被覆に接した状態となる。この場合、この電圧センサ1を装着する(電圧センサ1によって電圧を検出する)対象として想定されている範囲内の太さの被覆電線Xが切欠き41内に挿入されている状態では、電極2の先端部2aが絶縁被覆に接する状態となるまで電線挿入部4に対して電極保持部3が相対的に移動させられたときに、スナップリング34が凸部22よりも基端部3b側に位置した状態となって縮径する。したがって、電極保持部3に対して電線挿入部4を矢印Bの向きにさらに移動させるのに要する力が、スナップリング34が凸部22の突端面を摺動させられているときよりも小さくなる。
【0064】
これにより、電極保持部3に対して電線挿入部4を矢印Bの向きに移動させようとするコイルスプリング5の付勢力が、電極2の先端部2a(先端面)に被覆電線Xの絶縁被覆を押し付ける力として効率良く作用する結果、被覆電線Xに対して電極2が十分な押付け力で押し付けられた状態となる。以上により、被覆電線Xの導線に対して電極2が好適な状態で容量結合され、被覆電線Xに対する電圧センサ1の装着が完了する。この後、信号ケーブル6を介して接続されている測定装置の図示しない操作部を操作することにより、測定処理を開始させる。なお、この種のセンサを使用した電圧の測定方法については当業者間において公知のため、詳細な説明を省略する。
【0065】
一方、被覆電線Xについての測定処理を再び実行する必要がなくなったときには、被覆電線Xから電圧センサ1を取り外す。具体的には、まず、電極保持部3における把持部14を把持すると共に、電線挿入部4の操作用ノブ32における突出部32aを矢印Aの向き(電極保持部3の基端部3bから先端部3aに向かう向き)に押し出すことにより、電極保持部3に対して電線挿入部4を矢印Aの向きに移動(スライド)させる。
【0066】
この際に、本例の電圧センサ1では、電極保持部3に対して電線挿入部4を矢印Aの向きへさらに移動させたときに、スナップリング34が拡径するようにして変形した状態で凸部22の突端面を摺動させられるため、電極保持部3に対して電線挿入部4を移動させるのに要する操作力が大きくなる。また、電極保持部3に対して電線挿入部4を矢印Aの向きへさらに移動させることで、図9に示すように、電極2の先端部2a(先端面)が電極保持部3および電線挿入部4の筒径方向で切欠き41における基端部4b寄りの縁部に重なる位置に達したときに、スナップリング34が凸部22よりも先端部3a側に位置した状態となって縮径する。したがって、電極保持部3に対して電線挿入部4を矢印Aの向きにさらに移動させるのに要する操作力が、図9に示す状態となるまでの操作力よりも小さくなる。
【0067】
これにより、電極保持部3に対して電線挿入部4を矢印Aの向きに押し出している使用者は、電線挿入部4の切欠き41内に電極保持部3が位置しているか否かを目視によって確認するのが困難な状況下においても、電極保持部3に対する電線挿入部4の移動に要する力が一旦大きくなってから小さくなったときに、電極保持部3によって保持されている電極2の先端部2aが電線挿入部4における切欠き41の形成位置よりも基端部4b側に位置した状態となったことを確実かつ容易に認識することができる。
【0068】
したがって、電極保持部3に対する電線挿入部4の矢印Aの向きへの移動に要する操作力が小さくなったと感じた直後に電極保持部3に対する電線挿入部4の移動を停止させる(先端部3aを押し出すのを止める)ことにより、図10に示すように、電極保持部3によって保持されている電極2の先端部2aが電極保持部3および電線挿入部4の筒径方向で切欠き41から視認できない位置に位置した状態となる。これにより、電極2の先端部2aや電極保持部3の先端部3aに対して接触させることなく、切欠き41内の被覆電線Xを切欠き41から離脱させることが可能な状態となる。次いで、切欠き41内の被覆電線Xを電線挿入部4の外に位置させるようにして、被覆電線Xおよび/または電圧センサ1を移動させる。以上により、被覆電線Xからの電圧センサ1の取り外しが完了する。
【0069】
このように、この電圧センサ1によれば、電極保持部3の基端部3bを筒長方向で電線挿入部4の基端部4bから突出させて電圧センサ1を把持するための「把持部(本例では、把持部14)」を電極保持部3の基端部3bに設けたことにより、被覆電線Xを挿入する切欠き41が形成された電線挿入部4と電圧センサ1を把持するための「把持部(把持部14)」とが電極保持部3および電線挿入部4の筒長方向で並んだ配置となるため、「把持部(グリップ部)」の内側に「電線挿入部」等が配設された構成と比較して、「把持部(把持部14)」の外径を十分に小さくすることができる。これにより、電圧センサ1の使用時(装着時および取外し時)に「把持部(把持部14)」が邪魔とならないため、狭い場所に設置された被覆電線Xに対しても容易に装着することができ、複数の被覆電線Xに対して複数の電圧センサ1を十分に近接させて配置することもできる。
【0070】
また、この電圧センサ1によれば、電線挿入部4の基端部4b(本例では、操作用ノブ32)に、電線挿入部4の筒径方向で外向きに突出している突出部32aを設けたことにより、突出部32aが設けられていない構成と比較して、「把持部(把持部14)」を把持した状態で電極保持部3に対して電線挿入部4を確実かつ容易に移動させることができる。
【0071】
さらに、この電圧センサ1では、電極2が、電極保持部3に対する電線挿入部4の相対的な移動によって電極2の先端部2aが電極保持部3および電線挿入部4の筒径方向で切欠き41における電線挿入部4の基端部4b寄りの縁部に重なる位置に配置された状態において突出部32aよりも電線挿入部4の先端部4a寄りに基端部2bが位置する長さに形成されると共に、電極保持部3内において電極2の基端部2bが信号ケーブル6の電線(芯線)に接続されている。
【0072】
また、この電圧センサ1では、電極2が、電極保持部3に対する電線挿入部4の相対的な移動によって電極2の先端部2aが電極保持部3および電線挿入部4の筒径方向で切欠き41における電線挿入部4の基端部4b寄りの縁部に重なる位置に配置された状態において電線挿入部4の筒長方向における先端部4a側の1/2の範囲内に基端部2bが位置する長さに形成されると共に、電極保持部3内において電極2の基端部2bが信号ケーブル6の電線(芯線)に接続されている。
【0073】
したがって、この電圧センサ1によれば、ノイズの混入を好適に阻止可能なシールド線(網線)で周囲を取り囲んだ状態で電極保持部3によって保持する構成を採用するのが困難な電極2を短くしたことで電極2に対してノイズが混入し難くなり、これにより、電極2を介して検出する被検出量(本例では、電圧)を高精度に検出することができる。
【0074】
また、この電圧センサ1では、電極保持部3の基端部3bから先端部3aに向かって電極保持部3に対して電線挿入部4を相対的に移動させるときに、電極2の先端部2aが電極保持部3および電線挿入部4の筒径方向で切欠き41における電線挿入部4の基端部4b寄りの縁部に重なる位置において、電極保持部3に対する電線挿入部4の相対的な移動に要する操作力を変化させる「第1の操作力変化機構(本例では、電極保持部3における連結部材11cの凸部22、および電線挿入部4に嵌着されたスナップリング34)」が電極保持部3および電線挿入部4に設けられている。
【0075】
したがって、この電圧センサ1によれば、電線挿入部4の切欠き41内に電極保持部3が位置しているか否かを目視によって確認するのが困難な状況下においても、電極保持部3に対する電線挿入部4の移動に要する力が変化したときに、電極保持部3によって保持されている電極2の先端部2aが電線挿入部4における切欠き41の形成位置の範囲内に存在しない状態に移行しようとしていることを確実かつ容易に認識することができる。これにより、被覆電線Xに対する電圧センサ1の装着時には、電極2の先端部2aや電極保持部3の先端部3aに被覆電線Xを接触させることなく、切欠き41内に被覆電線Xをスムースに挿入することができ、被覆電線Xからの電圧センサ1の取り外し時には、電極2の先端部2aや電極保持部3の先端部3aに被覆電線Xを接触させることなく、切欠き41内の被覆電線Xをスムースに離脱させることができる。
【0076】
さらに、この電圧センサ1では、電極保持部3の先端部3aから基端部3bに向かって電極保持部3に対して電線挿入部4を相対的に移動させるときに、電極2の先端部2aが電極保持部3および電線挿入部4の筒径方向で切欠き41における電線挿入部4の基端部4b寄りの縁部に重なる位置において、電極保持部3に対する電線挿入部4の相対的な移動に要する操作力を変化させる「第2の操作力変化機構(本例では、電極保持部3における連結部材11cの凸部22、および電線挿入部4に嵌着されたスナップリング34)」が電極保持部3および電線挿入部4に設けられている。
【0077】
したがって、請求項6記載の電圧センサ1によれば、電線挿入部4の切欠き41内に電極保持部3が位置しているか否かを目視によって確認するのが困難な状況下においても、電極保持部3に対する電線挿入部4の移動に要する力が変化したときに、電極保持部3によって保持されている電極2の先端部2aが電線挿入部4における切欠き41の形成位置の範囲内に存在する状態に移行しようとしていることを確実かつ容易に認識することができる。これにより、被覆電線Xに対する電圧センサ1の装着時に、切欠き41内の被覆電線Xに対して電極保持部3によって保持されている電極2の先端部2aを確実に接触させた状態とすることができる。
【0078】
また、この電圧センサ1によれば、先端部4aの外径が基端部4bの外径よりも細径となるように電線挿入部4を形成したことにより、電圧センサ1の使用時(装着時および取外し時)に、狭い場所に設置された被覆電線Xに対して一層容易に装着することができ、複数の被覆電線Xに対して複数の電圧センサ1を一層近接させて配置することができると共に、基端部4b側を太径としたことで十分な強度を確保することができ、破損が生じる事態を好適に回避することができる。
【0079】
なお、「センサ」の構成は、上記の電圧センサ1の構成の例に限定されない。例えば、基端部4b側から先端部4a側に向かって外径が段階的に小さくなっている(細くなっている)挿入部本体31を有する電線挿入部4を備えた構成を例に挙げて説明したが、図12に示す電圧センサ1A(「センサ」の他の一例)における電線挿入部54(「電線挿入部」の他の一例)のように、基端部側から先端部側に向かって外径が徐々に小さくなっている(細くなっている)挿入部本体31Aを備えて「電線挿入部」を構成することもできる。なお、電圧センサ1Aにおける電線挿入部54以外の各構成要素は、前述の電圧センサ1の各構成要素と同様のため、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0080】
このような構成を採用した電圧センサ1Aにおいても、前述した電圧センサ1と同様にして、電圧センサ1Aの使用時(装着時および取外し時)に、狭い場所に設置された被覆電線Xに対して容易に装着することができ、複数の被覆電線Xに対して複数の電圧センサ1を十分に近接させて配置することができると共に、電線挿入部54の基端部側を太径としたことで十分な強度を確保することができ、破損が生じる事態を好適に回避することができる。
【0081】
一方、図13~15に示す電圧センサ1Bは、「センサ」のさらに他の一例であって、前述の電圧センサ1,1Aと同様にして、被覆電線Xの導線に対して供給されている電圧を導線に対して非接触の状態で検出可能に構成されている。この電圧センサ1Bは、電圧センサ1における電極2、電極保持部3および電線挿入部4に代えて、電極62、電極保持部63および電線挿入部64を備えている。なお、電圧センサ1Bにおいて電圧センサ1の各構成要素と同様の構成要素については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0082】
電極62は、「電極」の他の一例であって、導電性を有する金属材料で柱状(本例では円柱状)に形成され、後述するように電線挿入部64に挿入された被覆電線Xに先端部62a(先端面)が押し付けられた状態で、被覆電線Xの絶縁被覆を介して被覆電線Xの導線と容量結合させられる。この電極62は、図15,16,18に示すように、電極保持部63における後述の保持部本体71から先端部62aが露出するように保持部本体71に挿通させられて保持部本体71と一体化されると共に、図18に示すように、保持部本体71内において基端部62bに信号ケーブル6の芯線6aが接続されている。この場合、本例の電圧センサ1Bでは、図15に示すように、電極保持部63の先端部63a寄りの位置で電極62に芯線6aが接続されているため、電極62の長さが電圧センサ1の電極2よりもさらに短くなっている。
【0083】
電極保持部63は、「電極保持部」の他の一例であって、全体として筒状(本例では、円筒状)に形成されている。この電極保持部63は、図15,17に示すように、電圧センサ1の電極保持部3における保持部本体11および絶縁体12a,12bに代えて、保持部本体71および絶縁体12を備え、図15に示すように、その先端部63aから先端部62a(先端面)が露出するように電極62を保持すると共に、信号ケーブル6の端部(電極62に接続される側の端部)を挿通可能に構成されている。また、保持部本体71は、図15,17に示すように、電圧センサ1の保持部本体11における先端部側部材11a、基端部側部材11bおよび連結部材11cに代えて、先端部側部材71a、基端部側部材71bおよび連結部材71c1,71c2の4つの部材を備えて構成されている。
【0084】
なお、図17では、電極62、電極62に接続された信号ケーブル6、および電極62や信号ケーブル6を保持する電極保持部63について、電極62や信号ケーブル6の長手方向および電極保持部63の筒長方向(同図における左右方向)における各構成要素の完成状態における位置を変化させることなく、各構成要素を同図における上下方向に分離させた状態を図示している。この場合、信号ケーブル6については、電極62や保持部本体71との接続、および保持部本体71による保持を考慮して、同図に示すように、矢印L6aの範囲に芯線6aが存在し、矢印L6bの範囲に絶縁体6b(「電線側絶縁体」の一例)が存在し、矢印L6cの範囲にシールド線6c(網線:「シールド線」の一例)が存在し、かつ矢印L6dの範囲に絶縁被覆6dが存在するように各構成要素6a~6dがそれそれ切断されている。
【0085】
また、保持部本体71の各部材71a,71b,71c1,71c2は、一例として、導電性を有する金属材料で電極62や信号ケーブル6を挿通可能な筒状(円筒状)に形成されている。先端部側部材71aは、絶縁体12を介して電極62を保持可能に構成されている。また、基端部側部材71bは、電圧センサ1の保持部本体11における基端部側部材11bとほぼ同様に形成されている。さらに、連結部材71c1は、信号ケーブル6における芯線6aおよび絶縁体6bを挿通可能に形成されている。
【0086】
さらに、連結部材71c1は、先端部63a側の端部が先端部側部材71a内に挿入されて先端部側部材71aと電気的に接続されると共に、基端部63b側の端部が信号ケーブル6のシールド線6cに対して電気的に接続される。この場合、連結部材71c1における基端部63b側の端部には、一例として、図19に矢印L71で示す範囲に筒長方向に沿って長いスリットが複数設けられており、シールド線6cに対する連結部材71c1の接続に際して連結部材71c1(スリットの形成部位)を容易に変形させる(かしめる)ことが可能となっている。また、本例の電圧センサ1Bでは、連結部材71c1の内径が絶縁体6bの外径と同径となっており、これにより、後述するように、絶縁体6bの外周面が、電極62および芯線6aの接続部位と保持部本体71(連結部材71c1)およびシールド線6cの接続部位との間において保持部本体71(連結部材71c1)の内周面に接した状態となるように構成されている。
【0087】
さらに、連結部材71c2は、連結部材71c1を挿通可能で、かつ基端部側部材71bに嵌入可能に形成されて、保持部本体71c1に対して基端部側部材71bを位置決めしつつ、連結部材71c1および基端部側部材71bを電気的に相互に接続可能に構成されている。
【0088】
絶縁体12は、「保持部本体および電極の間に配設されて保持部本体および電極を相互に絶縁しつつ保持部本体と相俟って電極を保持するセンサ側絶縁体」の一例であって、電極62と保持部本体71(先端部側部材71a)とを相互に絶縁しつつ保持部本体71(先端部側部材71a)と相俟って電極62を保持可能に筒状(円筒状)に形成されている。この場合、本例の電圧センサ1では、図15,18に示すように、絶縁体12によって保持部本体71(先端部側部材71a)内に電極62を保持することで、電極62、保持部本体71および絶縁体12が一体化された状態となっている。
【0089】
電線挿入部64は、「電線挿入部」のさらに他の一例であって、図13~15に示すように、電圧センサ1における電線挿入部4の挿入部本体31に代えて挿入部本体31Bを備えている。この場合、本例の電圧センサ1Bでは、後述するように、電極保持部63の基端部63b寄りの位置において保持部本体71(連結部材71c1)とシールド線6cとを接続している。このため、電極保持部63(保持部本体71)の筒長方向における先端部63a側の略1/2に亘って電極保持部63(保持部本体71)の外径が小さくなっており、この電極保持部63が挿入される挿入部本体31Bについても、先端部63aから操作用ノブ32の取付け部位の近傍まで外径が十分に小さくなっている。
【0090】
この電圧センサ1Bは、前述の電圧センサ1と同様にして、被覆電線Xに対する装着時や、被覆電線Xからの取り外し時に、電極保持部63および電線挿入部64の筒長方向に沿って電極保持部63に対して電線挿入部64を移動(スライド)させることが可能に構成されている。また、本例の電圧センサ1Bでは、電極保持部63の基端部63bが電極保持部63および電線挿入部64の筒長方向で電線挿入部64の基端部64bから突出させられており、基端部63bにおいて基端部64bから突出させられている部位(基端部側部材71bの端部)に把持部14が取り付けられて「把持部」が構成されている(「電極保持部の基端部にセンサを把持するための把持部が設けられている」との構成の他の一例)。この場合、保持部本体71に把持部14などの別部材を装着しない構成を採用したときには、電極保持部63に対して電線挿入部64を移動させていない状態において、保持部本体71(基端部側部材71b)における電線挿入部64の基端部64bから突出している部位(図15に示す両矢印Cの範囲)が「把持部」を構成する。
【0091】
また、本例の電圧センサ1Bでは、前述の特許文献に出願人が開示している検出プローブと比較して、電極62の全長が短くなっている。具体的には、本例の電圧センサ1Bにおける電極62は、電極保持部63に対する電線挿入部64の相対的な移動によって電極62の先端部62aが電極保持部63および電線挿入部64の筒径方向で切欠き41における基端部64b寄りの縁部に重なる位置に配置された状態(図15右図に示す状態)において、電線挿入部64の操作用ノブ32における突出部32aよりも電線挿入部64の先端部64a寄りに基端部62bが位置する長さであって、かつ電線挿入部64の筒長方向における先端部64a側の1/2の範囲内に基端部62bが位置する長さとなるように形成されている。
【0092】
この場合、この種の「センサ」では、「電極」と被覆電線Xの電線との容量結合についての製品毎のばらつきが生じることのないように、「電極」の大きさや形状の製品毎のばらつきを十分に小さくする必要がある。したがって、電圧センサ1,1Aの電極2や電圧センサ1Bの電極62は、一例として、金属塊を切削加工によって成形することで所望の大きさおよび形状に形成されている。このため、出願人が開示している検出プローブの電極よりも短い上記の電極2,62は、1本あたりの切削加工に要する時間が短く、1本あたりの加工時に生じる切削屑(廃棄される材料)も少量のため、低コストで製作することができる。これにより、電圧センサ1,1A,1Bの製造コストを十分に低減することが可能となっている。
【0093】
また、本例の電圧センサ1Bでは、図15,19に示すように、電極保持部63に対する電線挿入部64の相対的な移動によって電極62の先端部62aが電極保持部63および電線挿入部64の筒径方向で切欠き41における基端部64b寄りの縁部に重なる位置に配置された状態(図15右図に示す状態)において、筒径方向で操作用ノブ32と重なり、かつ電線挿入部64の筒長方向における基端部64b側の1/2の範囲と筒径方向で重なる部位で保持部本体71(連結部材71c1)が信号ケーブル6のシールド線6cに接続されている。
【0094】
この場合、シールド線6cは、細径の導線で構成されているため、「保持部本体」に対して接続するために絶縁被覆6dから露出させた状態(絶縁被覆6dによって覆われていない状態)において変形し易い。また、絶縁体6bについても信号ケーブル6の可撓性を損なうことのないように弾性変形可能な材料で形成されている。このため、「保持部本体」を変形させてシールド線6cを「保持部本体」に接続する構成(「保持部本体」をかしめてシールド線6cに接続する構成)を採用したときには、大きく変形する絶縁体6bやシールド線6cに合わせて「保持部本体」を大きく変形可能とすることで、「保持部本体」におけるシールド線6cとの接続部位について十分な強度を確保するのが困難となる。また、シールド線6cの変形に起因する「保持部本体」からの離脱を回避可能な部材(例えば、前述の電圧センサ1における圧接用スリーブ13等)を用いてシールド線6cを「保持部本体」に接続する構成を採用したときには、そのような部材を別途配設する分だけ、「保持部本体」におけるシールド線6cとの接続部位の構成が複雑化して小径化が困難となる。
【0095】
一方、本例の電圧センサ1Bでは、電極保持部63において電線挿入部64の筒長方向における先端部64a側の1/2の範囲と筒径方向で重なる部位や、電極保持部63において電線挿入部64の操作用ノブ32よりも先端部64a側の部位と筒径方向で重なる部位においてシールド線6cを「保持部本体」に接続することなく、上記のような部位において保持部本体71(連結部材71c1)が信号ケーブル6のシールド線6cに接続されている。したがって、本例の電圧センサ1Bでは、電極保持部63において電線挿入部64の筒長方向における先端部64a側の1/2の範囲と筒径方向で重なる部位や、電極保持部63において電線挿入部64の操作用ノブ32よりも先端部64a側の部位と筒径方向で重なる部位において、十分な強度を確保するのが困難となったり、保持部本体71(連結部材71c1)をシールド線6cに接続可能とするために構成が複雑化して小径化が困難となったりする事態が回避されている。
【0096】
これにより、本例の電圧センサ1Bでは、電極保持部63において電線挿入部64の筒長方向における先端部64a側の1/2の範囲と筒径方向で重なる部位や、操作用ノブ32よりも先端部64a側の部位と筒径方向で重なる部位について、十分な強度を確保することができ、電極保持部63に対して電線挿入部64をスムースに移動させ得る状態を好適に維持することが可能となっている。また、本例の電圧センサ1Bでは、電極保持部63において電線挿入部64の筒長方向における先端部64a側の1/2の範囲と筒径方向で重なる部位や、操作用ノブ32よりも先端部64a側の部位と筒径方向で重なる部位について、十分に小径化することが可能となっており、結果として、被覆電線Xに接近させる必要がある電線挿入部64の筒長方向における先端部64a側の1/2の範囲や、操作用ノブ32よりも先端部64a側の部位についても十分に小径化することが可能となっている。これにより、複数の電圧センサ1Bを十分に近接配置することが可能となっている。
【0097】
また、先端部側部材11aの基端部に圧接用スリーブ13を介してシールド線6cを圧接して接続した前述の電圧センサ1,1Aとは異なり、本例の電圧センサ1Bでは、一例として、絶縁被覆6dを除去することで露出させられた状態のシールド線6cを芯線6aおよび絶縁体6bと共に連結部材71c1の基端部に挿入し、その状態において連結部材71c1の基端部をかしめる(内側に向かって縮径させるようにして変形させる)ことで連結部材71c1の内面をシールド線6cに押し付けて電気的に接続する構成を採用している。これにより、圧接用スリーブ13が不要となる分だけ、電圧センサ1Bの製造コストを十分に低減することが可能となっている。
【0098】
また、本例の電圧センサ1Bでは、前述したように、信号ケーブル6の絶縁体6bの外周面が、電極62および芯線6aの接続部位と保持部本体71(連結部材71c1)およびシールド線6cの接続部位との間(図17における矢印L6bの範囲のうちの矢印L6cの範囲を除く部位)において保持部本体71(連結部材71c1)の内周面に接するように構成されている。
【0099】
この場合、本例の電圧センサ1Bの構成とは異なり、絶縁体6bの外周面と保持部本体71(連結部材71c1)の内周面との間に大きな隙間が生じた状態となる構成においては、保持部本体71(連結部材71c1)内で芯線6aおよび絶縁体6bが径方向に遊動することがある。このような場合には、電極62が接続されている芯線6aと保持部本体71との間の距離が遊動に伴って変化するため、電極62および芯線6aと、保持部本体71との間の容量結合の状態が変化する結果、被覆電線Xの導線に対して供給されている電圧を正確に検出するのが困難となるおそれがある。
【0100】
これに対して、本例の電圧センサ1Bでは、保持部本体71(連結部材71c1)の内周面と絶縁体6bの外周面とが接するように保持部本体71内に芯線6aおよび絶縁体6bが挿入されていることで、芯線6aおよび絶縁体6bが保持部本体71内で遊動することがないため、電極62および芯線6aと、保持部本体71との間の容量結合の状態が変化する事態が回避されている。
【0101】
なお、本例の電圧センサ1Bの構成に代えて、「電極保持部の保持部本体」の内周面が「接続用電線のシールド線」の外周面に接するように「電極保持部」を構成したり、「電極保持部の保持部本体」の内周面が「接続用電線の絶縁被覆」の外周面に接するように「電極保持部」を構成したりすることで、「保持部本体」と「接続用電線の芯線」との距離の変化(容量結合の状態の変化)を規制することができる可能性がある。
【0102】
しかしながら、「絶縁被覆」で覆われていない「シールド線」は「電線側絶縁体」に対して位置ずれし易いため、「保持部本体」の内周面が「シールド線」の外周面に接するような構成を採用しようとしたときには、「センサ」の組立てに際して、「シールド線」を位置ずれさせることなく、「芯線」、「電線側絶縁体」および「シールド線」を「保持部本体」内に挿入するのが困難となる。また、「保持部本体」の内周面が「絶縁被覆」の外周面に接するような構成を採用したときには、「絶縁被覆」を含む「接続用導線」の全体を「保持部本体」内に挿入することとなるため、「保持部本体」の小径化が困難となる。したがって、本例の電圧センサ1Bのように、保持部本体71の内周面が絶縁体6bの外周面に接するような構成を採用するのが好ましい。
【0103】
このように、この電圧センサ1Bでは、電極62の先端部62aが筒径方向で切欠き41における基端部64b寄りの縁部に重なる位置に配置された状態において筒径方向で操作用ノブ32と重なる部位において電極保持部63の保持部本体71(本例では、連結部材71c1)が信号ケーブル6のシールド線6cに接続されている。また、この電圧センサ1Bでは、電極62の先端部62aが筒径方向で切欠き41における基端部64b寄りの縁部に重なる位置に配置された状態において電線挿入部64の筒長方向における基端部64b側の1/2の範囲と筒径方向で重なる部位において電極保持部63の保持部本体71(本例では、連結部材71c1)が信号ケーブル6のシールド線6cに接続されている。
【0104】
したがって、この電圧センサ1Bによれば、保持部本体71においてシールド線6cとの接続のために構造が複雑化したり、十分な強度を確保するのが困難となったりする傾向がある部位を電極保持部63の基端部63b寄りに配置した分だけ、電極保持部63における先端部63a寄りの部位を十分に小径化し、かつ十分な強度を確保することができる。これにより、電極保持部63を挿通させる電線挿入部64における先端部64a寄りの部位を十分に小径化することができる結果、電圧センサ1Bの使用時(装着時および取外し時)に、狭い場所に設置された被覆電線Xに対して一層容易に装着することができ、複数の被覆電線Xに対して複数の電圧センサ1Bを一層近接させて配置することができる。また、電線挿入部64内での電極保持部63の変形を好適に回避できる結果、電極保持部63に対して電線挿入部64をスムースに移動させ得る状態を好適に維持することができる。
【0105】
また、この電圧センサ1Bによれば、絶縁体6bの外周面が筒長方向における電極62および芯線6aの接続部位と保持部本体71(本例では、連結部材71c1)およびシールド線6cの接続部位との間において保持部本体71(連結部材71c1)の内周面に接するように電極保持部63の保持部本体71を構成したことにより、保持部本体71(連結部材71c1)内における絶縁体6b、および絶縁体6b内の芯線6aの遊動を回避することができる。
【0106】
加えて、被覆電線Xの電圧を「被検出量」として検出する際に使用可能な電圧センサ1,1A,1Bの構成を例に挙げて説明したが、電圧以外の任意の電気的パラメータを「被検出量」として検出可能な「センサ」において電圧センサ1,1A,1B等と同様の構成を採用することもできる(図示せず)。
【符号の説明】
【0107】
1,1A,1B 電圧センサ
2,62 電極
2a,3a,4a,62a,63a,64a 先端部
2b,3b,4b,62b,63b,64b 基端部
3,63 電極保持部
4,54,64 電線挿入部
5 コイルスプリング
6 信号ケーブル
6a 芯線
6b 絶縁体
6c シールド線
6d 絶縁被覆
11,71 保持部本体
11a,71a 先端部側部材
11b,71b 基端部側部材
11c,71c1,71c2 連結部材
12,12a,12b 絶縁体
13 圧接用スリーブ
14 把持部
21,22 凸部
31,31A,31B 挿入部本体
32 操作用ノブ
32a 突出部
32b 嵌入溝
33 スプリング押さえ
34 スナップリング
41 切欠き
X 被覆電線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19