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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-25
(45)【発行日】2023-09-04
(54)【発明の名称】連絡水路用の弁体ユニット
(51)【国際特許分類】
   A01G 25/00 20060101AFI20230828BHJP
   E02B 13/02 20060101ALI20230828BHJP
【FI】
A01G25/00 601C
A01G25/00 501F
E02B13/02 A
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020045753
(22)【出願日】2020-03-16
(65)【公開番号】P2021145568
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079968
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 光司
(72)【発明者】
【氏名】加納 一啓
【審査官】中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-165693(JP,A)
【文献】特開2018-170978(JP,A)
【文献】特開平09-023766(JP,A)
【文献】特開平02-117328(JP,A)
【文献】特開平11-061790(JP,A)
【文献】特開2004-147626(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2006-0022502(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 25/00
E02B 11/00
E02B 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場に隣接した用水路から圃場へ用水を供給する連絡水路に取り付けられる弁体ユニットであって、
前記連絡水路の内部と通じる流路を内部に有するとともに前記流路を開閉する弁体を有する本体と、前記本体と分離可能に連結されて前記連絡水路の前記圃場側の端部に固定される固定体と、土壌に打ち込まれる維持部材と結合される結合部とを備え
前記固定体に、前記結合部が設けられる、連絡水路用の弁体ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、用水路から圃場への連絡水路用の弁体ユニットに関するものであり、特に、ウォーターハンマーによる弊害を抑制することができる、弁体ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、用水路から水田に用水を供給するために、取水筒を設けていた。例えば、図19に示される水田用半手動式給水器44においては(特許文献1参照)、取水筒45が、自然流水路41(用水路)から水田42へと渡されるようにして、畦43上に設けられ、その取水筒45の内部に、上端を軸46によって支持された開閉弁47が配されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-098958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記従来の水田用半手動式給水器44においては、開閉弁47が閉じた際に(図19参照)、ウォーターハンマーによって、取水筒45が自然流水路41(用水路)から抜け出てしまう虞があった。
【0005】
この発明は、上記した従来の欠点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、ウォーターハンマーによる弊害を抑制することができる、連絡水路用の弁体ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る連絡水路用の弁体ユニットは、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係る連絡水路用の弁体ユニットは、圃場に隣接した用水路から圃場へ用水を供給する連絡水路に取り付けられる弁体ユニットである。この弁体ユニットは、前記連絡水路の内部と通じる流路を内部に有するとともに前記流路を開閉する弁体を有する本体と、前記本体と分離可能に連結されて前記連絡水路の前記圃場側の端部に固定される固定体と、土壌に打ち込まれる維持部材と結合される結合部とを備える。そこで、前記固定体に、前記結合部が設けられる。
【0007】
この弁体ユニットによると、弁体ユニットは、用水路から圃場へ用水を供給する連絡水路に取り付けられる。この弁体ユニットは、弁体を有する本体と、結合部とを備えており、その結合部が、土壌に打ち込まれた維持部材と結合される。この維持部材との結合により、弁体ユニットは、連絡水路に取り付けられた位置に保持される。このため、弁体で本体の内部の流路を閉鎖した際のウォーターハンマーによる、弁体ユニットが連絡水路から外れたり、弁体ユニットとともに連絡水路が用水路から外れたりする弊害を、維持部材との結合により抑制することができる。
【0008】
また、弁体ユニットは、本体と分離可能な固定体を備えることで、弁体ユニットを取り外す場合に、連絡水路ごと取り外すことなく、本体のみを取り外すことができ、弁体のメンテナンスが容易となる。
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
【発明の効果】
【0013】
この発明に係る連絡水路用の弁体ユニットによれば、次の効果がある。
【0014】
請求項1に記載された連絡水路用の弁体ユニットによれば、ウォーターハンマーによる、弁体ユニットが連絡水路から外れたり、弁体ユニットとともに連絡水路が用水路から外れたりする弊害を、維持部材との結合により抑制することができる。
【0015】
【0016】
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】この発明の一実施の形態の、給水路構造の斜視図である。
図2】弁体ユニットの、平面側からの斜視図である。
図3】同じく、裏面側からの斜視図である。
図4】同じく、正面図である。
図5】同じく、平面図である。
図6】同じく、縦断面図である。
図7】同じく、本体と固定体とを分離した縦断面図である。
図8図4におけるA-A線による断面図である。
図9図4におけるB-B線による断面図である。
図10】固定体の、正面図である。
図11】弁体の、表側からの斜視図である。
図12】同じく、裏側からの斜視図である。
図13】操作ハンドルを示し、(a)は、斜視図、(b)は、断面図である。
図14】弁体が開位置にあるときの弁体ユニットの、斜視図である。
図15】同じく、縦断面図である。
図16】作動指示体における出没体が前進位置にあって操作ハンドルを係止して、弁体が開位置にある、図9相当図である。
図17】作動指示体における出没体が後退位置にあって操作ハンドルへの出没体の係止が外れて、弁体が閉位置にある、図9相当図である。
図18】この発明の他の実施の形態の、給水路構造の斜視図である。
図19】従来の水田用半手動式給水器を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1図17は、本発明の一実施の形態を示す。図中符号1は、圃場を示す。2は、土壌を示す。3は、前記圃場1に隣接した用水路(図示を省略)から圃場1へ用水を供給する連絡水路を示す。4は、前記連絡水路3に取り付けられる連絡水路用の弁体ユニットを示す。5は、圃場1への給水路構造を示す。
【0020】
図1は、圃場1への給水路構造5を示す。この給水路構造5においては、圃場1へ用水を供給する流路6aを内部に有する給水路6(詳しくは、直線状の給水路)が、圃場1に隣接した用水路にその一端が差し込まれ、他端が圃場1へ向けて開放するように設置されている。この給水路6には、内部の流路6aを開閉する弁体7が設けられる。つまり、弁体7は、流路6a(詳しくは、後述の流路10a)を開放する開位置と、閉鎖する閉位置との間を移動する。そして、給水路6には、軸方向移動抵抗部8が突き出るように設けられる。そこで、軸方向移動抵抗部8の少なくとも一部が、土壌2(詳しくは、用水路から圃場1までの間の土壌または圃場1内の土壌であって、図示実施の形態においては、圃場1内の土壌)に埋められて、その軸方向移動抵抗部8が、給水路6がその軸方向に移動することに対して抵抗する。
【0021】
詳細には、この給水路構造5にあっては、圃場1に隣接した用水路から圃場1へ用水を供給する連絡水路3(詳しくは、管体からなる直管状の連絡水路)の圃場1側の端部に、連絡水路3を開閉する弁体ユニット4が設けられている。すなわち、これら連絡水路3と弁体ユニット4とで、前記給水路6が形成される。そして、弁体ユニット4は、土壌2(詳しくは、用水路から圃場1までの間の土壌または圃場1内の土壌であって、図示実施の形態においては、圃場1内の土壌)に打ち込まれた維持部材9と結合されている。そこで、この弁体ユニット4(詳しくは、後述する結合部12)が結合される維持部材9が、前述の軸方向移動抵抗部8となる。
【0022】
弁体ユニット4は、連絡水路3の内部と通じる流路10aを内部に有するとともにその流路10aを開閉する弁体7(つまり、前述の給水路6内の流路6aを開閉する弁体)を有する本体10と、連絡水路3への取付部11と、土壌2に打ち込まれる維持部材9と結合される結合部12とを備える。詳細には、取付部11は、本体10と分離可能に連結されて連絡水路3の前記圃場1側の端部に固定される固定体11aからなる。そして、その固定体11aに、前記結合部12が設けられる。
【0023】
また、圃場1には、その圃場1内の水位が所定水位になったことを検知する水位計ユニット(図示を省略)が、設置される。そして、水位計ユニットと弁体ユニット4との間に、水位計ユニットによる所定水位の検知を弁体ユニット4に伝達して、流路10aを開放する開位置(図15図16参照)から閉鎖する閉位置(図6図17参照)への弁体7の移動を許可する伝達体13が設けられる。そこで、弁体ユニット4(詳しくは、本体10)は、伝達体13を接続可能な接続部14を有する。
【0024】
具体的には、弁体ユニット4においては、前記本体10は、内部に前記弁体7が配置される筒状の弁体ケース15を備える。そして、前述したように、取付部11は、本体10と分離可能に連結される固定体11aからなるが、この固定体11aが、弁体ケース15と互いの内部が連通するように筒状に形成され、その固定体11aと弁体ケース15(ひいては、本体10)とが、分離可能に連結される。
【0025】
本体10にあっては、前記弁体ケース15は、流路10aの下流寄りの部分が膨出して(詳しくは、概略方形状に膨出して)形成されており、その膨出部15aの部分で分割された、第1弁体ケース151と第2弁体ケース152とからなって、それら第1および第2弁体ケース151、152が、ビス16により一体化されている。そして、第2弁体ケース152は、膨出部15aに続く上側部分が膨出して(詳しくは、概略方形状に膨出して)形成された、上側膨出部15bとなっている。ここで、第1弁体ケース151は、本体10内の流路10aの下流側に位置し、第2弁体ケース152は、流路10aの上流側に位置する。そこで、この弁体ケース15における第2弁体ケース152側に、前記固定体11aが組み付けられる。そして、弁体ケース15(詳しくは、第1弁体ケース151)の内側に、弁体7(詳しくは、後述する弁本体7a)が当接する弁座15cが設けられる。
【0026】
また、弁体ケース15は、弁体7を軸支するための軸部17を支持する軸受け部15dを有する。この軸受け部15dは、弁体ケース15の内外を貫通する孔からなり、弁体ケース15の、前記流路10aを挟む両側部(詳しくは、第1弁体ケース151の、流路10aを挟む両側部の上部部分)に設けられる。
【0027】
弁体7は、弁本体7aと、軸部構成部7bとを備え、それら弁本体7aと軸部構成部7bとが繋ぎ部7cによって繋がっている。弁本体7aは、円板状に形成される。そして、弁本体7aの周縁側が斜めに折れ曲がって形成され、その折れ曲がった部分が、弁座15cに当接することで、本体10内の流路10a(ひいては、給水路6内の流路6a)を閉鎖する(図6参照)。
【0028】
軸部構成部7bは、弁体ケース15(詳しくは、第1弁体ケース151)の内側において、各端が、軸受け部15dと対向位置する。そして、軸部構成部7bの各端には、孔7dがあけられている。そこで、弁体7は、前記閉位置においては、用水が圃場1へと流出する流出口15eに一部が掛かるようにして膨出部15aに配置され、前記開位置においては、膨出部15aから上側膨出部15bに渡る上部部分に収容される。また、軸部構成部7bには、中央位置に棒状の芯材7eが設けられる。そこで、この芯材7eの外周には、付勢部材となるトーションスプリング18が、装着される。このトーションスプリング18は、一端が、弁体7の裏面(詳しくは、弁本体7aの裏面に設けられたスプリング受け7f)に支えられ、他端が、弁体ケース15(詳しくは、第1弁体ケース151)の天面に支えられて、弁体7を、前記開位置から前記閉位置に向かう閉方向に付勢する。
【0029】
また、本体10は、操作ハンドル19を有する。この操作ハンドル19は、円錐台形状の基部19aと、その裏面から突出して前記軸部17の一部となる第1軸部分19bと、基部19aの側面から延設されたハンドル部19cとを備える。図8に示すように、この操作ハンドル19は、第1軸部分19bが、弁体ケース15の一方の軸受け部15dに挿入されて、弁体7の軸部構成部7bの一端に取付け固定され、こうして、操作ハンドル19は、軸部構成部7bの一端(ひいては、弁体7)に連結される。軸部構成部7bの他端においては、前記軸部17の一部となる第2軸部分20aを有する軸部材20が、弁体ケース15の他方の軸受け部15dに挿入されて、軸部構成部7bの他端に取付け固定される。こうして、弁体7と操作ハンドル19(図示実施の形態においては、加えて、軸部材20)とは、一体化されて、操作ハンドル19は、弁体7の回動移動にあわせて(詳しくは、弁体7と一体となって)回動し、弁体7が閉位置にあるとき、ハンドル部19cが下方を向く閉弁姿勢となり、弁体7が開位置にあるとき、ハンドル部19cが水平方向を向く開弁姿勢となる。
【0030】
詳細には、操作ハンドル19における、基部19aおよび第1軸部分19bには、基部19a側から第1大径孔19dがあけられ、第1軸部分19b側から第2大径孔19eがあけられ、さらに、内部には、第1大径孔19dと第2大径孔19eとを連通するように小径孔19fがあけられている。そこで、ビス21が、第1大径孔19dと小径孔19fとを通り、第2大径孔19eに挿入された軸部構成部7bの一端に設けられた孔7dにねじ込まれることで、第1軸部分19bは、軸部構成部7bの一端に取付け固定されて、操作ハンドル19は、軸部構成部7bの一端(ひいては、弁体7)に連結される。そして、軸部材20には、おもて面側から第1大径孔20bがあけられ、うら面側から第2大径孔20cがあけられ、さらに、内部には、第1大径孔20bと第2大径孔20cとを連通するように小径孔20dがあけられている。そこで、ビス22が、第1大径孔20bと小径孔20dとを通り、第2大径孔20cに挿入された軸部構成部7bの他端に設けられた孔7dにねじ込まれることで、第2軸部分20a(軸部材20)は、軸部構成部7bの他端に取付け固定される。
【0031】
また、操作ハンドル19は、ハンドル部19cの延設方向が、第1軸部分19bの突出方向と直交する方向となっており、そのハンドル部19cの先端部分、つまりは操作ハンドル19の先端部分は、第1軸部分19bの突出方向に位置ずれして偏平状に形成されている。そして、その先端部分には、被係止孔19gがあけられている。
【0032】
接続部14は、弁体ケース15(本体10)の、流路10aを挟む側部に設けられる。詳細には、接続部14は、第2弁体ケース152の上側膨出部15bの、流路10aを挟む側部において、軸受け部15d(ひいては、操作ハンドル19の基部19a)と同じ高さ位置に突出して形成され、その接続部14には、孔14aがあけられている。図示実施の形態においては、この接続部14に、伝達体13が、接続補助部材23を介して接続される。つまり、接続部14に、接続補助部材23が取り付けられ、その接続補助部材23に、伝達体13が連結(詳しくは、着脱可能に連結)される。詳細には、接続補助部材23には、取付孔23aがあけられており、ビス24が、その取付孔23aを通り、接続部14に設けられた孔14aにねじ込まれることで、接続補助部材23は、接続部14に取り付けられる。
【0033】
また、接続補助部材23は、弁体7が開位置にあるときの操作ハンドル19(詳しくは、操作ハンドル19の先端部分)を受け入れる受入れ凹部23bを有する。詳細には、接続補助部材23は、略円柱状の基端部23cと、その基端部23cの先端から突出する略円筒状の筒部23dとを備え、前記受入れ凹部23bは、筒部23dの後方であって前記基端部23cに設けられる。前記取付孔23aは、裏面から受入れ凹部23bに貫通するように設けられる。そして、受入れ凹部23bには、取付孔23aと交差するように、溝23eが設けられ、この溝23eに、ビス24の頭部が嵌まり込む。筒部23dは、伝達体13(詳しくは、後述する作動指示体26)が連結される被連結部となるものであり、その内周面には、雌ねじ23fが形成されている。そして、筒部23d内と受入れ凹部23bとを連通するように孔23gがあけられている。
【0034】
固定体11aは、連絡水路3側の端に、外方に突出する鍔部11bを有し、さらに、その鍔部11bに隣接した溝11cを有している。そこで、これら鍔部11bと溝11cとが、前述の結合部12となる。図示実施の形態においては、維持部材9は、土壌2に打ち込まれる杭9aからなり、その杭9aが、鍔部11bに当接し、かつ、溝11cに嵌まるようにして、それら鍔部11bと溝11cに係合し、その係合によって、鍔部11bと溝11c(結合部12)は、杭9a(維持部材9)と結合される。詳細には、杭9aは、一対設けられ、それら杭9a、9aが、固定体11a(ひいては、弁体ユニット4)を挟む位置に配置される。
【0035】
また、固定体11aは、自身を連絡水路3に固定するための取付孔11dを有している。そこで、固定体11aは、取付孔11dを通って連絡水路3にねじ込まれたり打ち込まれたりするビス等の固着具(図示せず)により、連絡水路3に固定され、ひいては、弁体ユニット4が連絡水路3に取り付けられる。もっとも、固定体11aは、連絡水路3に、ビス等の固着具を用いることなく接着によって固定されてもよく、また、ビス等の固着具に加えて接着によって固定されてもよい。
【0036】
弁体ケース15(本体10)と固定体11aとの組み付けにおいては、固定体11aの一部が、弁体ケース15(詳しくは、第2弁体ケース152)の端部に挿入される。ここで、固定体11aには、弁体ケース15に挿入される部分の外周面に、ガイド溝11eが形成されている(図10参照)。このガイド溝11eは、固定体11aの先端から斜め方向に延びる第1ガイド溝11fと、その第1ガイド溝11fに続いて周方向に延びる第2ガイド溝11gとを備えている。一方、弁体ケース15(詳しくは、第2弁体ケース152)の内周面には、ガイド溝11eに係合する突部15xが設けられている(図7参照)。そこで、固定体11aが弁体ケース15(本体10)に挿入されるように、本体10を押し進め、突部15xが第1ガイド溝11fに進入したところで、本体10を回動(図示実施の形態においては、時計回り方向に回動)すると、突部15xが第1ガイド溝11fに案内されて、本体10は、固定体11a側に引き込まれる。そして、さらに本体10を回動(図示実施の形態においては、時計回り方向に回動)することで、突部15xが第2ガイド溝11g内を移動する。
【0037】
そして、固定体11aには、連結部材25が設けられる。この連結部材25は、固定体11aに、その軸心方向にスライド可能に取り付けられている。詳細には、連結部材25は、断面コ字状に形成され、固定体11aの外周面に形成された支持突起11hを覆うように嵌められて、先端部分が、弁体ケース15(本体10)側に突出する第1位置(図6参照)と、弁体ケース15(本体10)から控えた第2位置(図7参照)との間を、スライド可能となっている。一方、弁体ケース15(本体10)の外周面には、係合突起15fが形成されている。そこで、固定体11aに対し本体10を回動し終えた状態で、連結部材25を前記第2位置から前記第1位置にスライドすると、その連結部材25が、係合突起15fを覆うようにしてその係合突起15fに係合する。これにより、本体10は、自身の回動が阻止されて、その本体10と固定体11aとが連結される。また、本体10と固定体11aとが連結された状態から、連結部材25を前記第1位置から前記第2位置にスライドすることで、係合突起15fへの連結部材25の係合が解除され、さらに、本体10を回動(図示実施の形態においては、反時計回り方向に回動)することで、ガイド溝11eへの前記突部15xの係合が解除されて、本体10を固定体11aから取り外すことができる。
【0038】
伝達体13は、アウターチューブ13a内に配されたインナーワイヤー13bを備えている。このインナーワイヤー13bは、水位計ユニットによる所定水位の検知によりその水位計ユニット側に引き込まれるように作動する。また、伝達体13には、その先端に、作動指示体26が設けられる。この作動指示体26は、出没体27と、その出没体27をスライド可能に収容する指示体ケース28とを備える。詳細には、指示体ケース28は、その外周面に雄ねじ28aが設けられており、その雄ねじ28aを接続補助部材23の雌ねじ23fにねじ込むことで、作動指示体26(伝達体13)は、接続補助部材23に連結され、ひいては、弁体ユニット4の接続部14に接続される。
【0039】
出没体27は、前記スライドにより、先端に備わる係止部27aが、指示体ケース28から突出して(図16参照)、接続補助部材23に設けられた孔23gを通り、開弁姿勢にある操作ハンドル19の被係止孔19gに進入する。
【0040】
また、出没体27は、後端側に前記インナーワイヤー13bが接続されるワイヤー接続部27bを有して、インナーワイヤー13bが水位計ユニット側に引き込まれることで、出没体27が、突出状態となる前進位置から引き下がった後退位置に移動して、操作ハンドル19(詳しくは、被係止孔19g)への出没体27(詳しくは、係止部27a)の係止が外れて、付勢部材であるトーションスプリング18の付勢により、操作ハンドル19に連動する弁体7が開位置(図16参照)から閉位置(図17参照)に移動する。なお、図示実施の形態においては、出没体27が、指示体ケース28に収容されることから、インナーワイヤー13bは、指示体ケース28内に引き入れられて、出没体27のワイヤー接続部27bに接続される。そして、アウターチューブ13aは、指示体ケース28に支持される。
【0041】
次に、以上の構成からなる連絡水路用の弁体ユニット4、および圃場1への給水路構造5の作用効果について説明する。弁体ユニット4は、用水路から圃場1へ用水を供給する連絡水路3に取り付けられる。この弁体ユニット4は、弁体7を有する本体10と、連絡水路3への取付部11と、結合部12とを備えており、その結合部12が、土壌2に打ち込まれた維持部材9と結合される。この維持部材9との結合により、弁体ユニット4は、連絡水路3に取り付けられた(つまりは、連絡水路3に設けられた)位置に保持される。このため、弁体7で本体10の内部の流路10aを閉鎖した際(つまりは、弁体ユニット4で連絡水路3を閉鎖した際)のウォーターハンマーによる、弁体ユニット4が連絡水路3から外れたり、弁体ユニット4とともに連絡水路3が用水路から外れたりする弊害を、維持部材9との結合により抑制することができる。そして、特に、連絡水路3が直管状である場合には、上記ウォーターハンマーによって、弁体ユニット4とか連絡水路3が、用水路から離間する方向に移動するのを、維持部材9との結合により防止することができる。
【0042】
また、連絡水路3と弁体ユニット4とで、給水路6が形成される。そこで、弁体ユニット4(詳しくは、結合部12)と結合された維持部材9が、軸方向移動抵抗部8となって、少なくとも一部が土壌2に埋められたその軸方向移動抵抗部8により、給水路6は、用水路に差し込まれた位置に保持される。このため、弁体7で給水路6の内部の流路6a(詳しくは、流路10a)を閉鎖した際のウォーターハンマーによる、給水路6が用水路から外れたりする弊害を、軸方向移動抵抗部8により抑制することができる。そして、特に、給水路6が直線状である場合には、上記ウォーターハンマーによって、給水路6が、用水路から離間する方向に移動するのを、軸方向移動抵抗部8により防止することができる。
【0043】
また、弁体ユニット4において、取付部11が、本体10と分離可能な固定体11aからなることから、弁体ユニット4を取り外す場合に、連絡水路3ごと取り外すことなく、本体10のみを取り外すことができ、弁体7のメンテナンスが容易となる。さらに、土壌2に打ち込まれた維持部材9と結合された結合部12が、固定体11aに設けられることから、維持部材9を土壌2側に残して、本体10を取り外すことができる。
【0044】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、維持部材9は、杭9aからならなくても、図18に示すように、土壌2に打ち込まれる一対の杭9b、9bと、それら杭9b、9bを繋ぐ紐9cとからなって、その紐9cが、鍔部11bに当接し、かつ、溝11cに嵌まるようにして、固定体11a(ひいては、弁体ユニット4)に回されるように配置されてもよい。
【0045】
また、弁体ユニット4において、結合部12は、固定体11aに設けられなくても、本体10に設けられてもよい。
【0046】
また、取付部11は、本体10と分離可能に連結される固定体11aからなるが、弁体ケース15(詳しくは、第2弁体ケース152)と一体に形成されることで、本体10とは分離不能に設けられてもよい。
【0047】
また、軸方向移動抵抗部8は、土壌2に打ち込まれる維持部材9でなくても、例えば、給水路6(つまり、連絡水路3とか弁体ユニット4)に突出するように設けられる鍔とかフランジからなって、その鍔とかフランジの少なくとも一部が、土壌2に埋められてもよい。また、この鍔とかフランジは、給水路6(詳しくは、連絡水路3とか固定体11aとか弁体ケース15)に一体に設けられてもよく、また、接着等で取り付けられてもよい。
【0048】
また、給水路6は、連絡水路3と、その連絡水路3とは別体の弁体ユニット4とで構成されなくても、連絡水路3と弁体ケース15とを一体物とするなどして、連絡水路3と弁体ユニット4とを一体となるように形成してもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 圃場
2 土壌
3 連絡水路
4 弁体ユニット
5 給水路構造
6 給水路
6a 流路
7 弁体
8 軸方向移動抵抗部
9 維持部材
10 本体
10a 流路
11a 固定体
12 結合部
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