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特許7337778抗微生物粒子を含む組成物および医療機器
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-25
(45)【発行日】2023-09-04
(54)【発明の名称】抗微生物粒子を含む組成物および医療機器
(51)【国際特許分類】
   A61K 6/831 20200101AFI20230828BHJP
   A61K 6/871 20200101ALI20230828BHJP
   A61K 6/884 20200101ALI20230828BHJP
【FI】
A61K6/831
A61K6/871
A61K6/884
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020512539
(86)(22)【出願日】2018-08-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-12
(86)【国際出願番号】 IL2018050969
(87)【国際公開番号】W WO2019043713
(87)【国際公開日】2019-03-07
【審査請求日】2021-04-05
(31)【優先権主張番号】62/551,806
(32)【優先日】2017-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/551,813
(32)【優先日】2017-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/644,604
(32)【優先日】2018-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518301279
【氏名又は名称】ノビオ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100203035
【弁理士】
【氏名又は名称】五味渕 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【弁理士】
【氏名又は名称】今藤 敏和
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ザルツマン,ネイサン
(72)【発明者】
【氏名】ワイス,エルビン・アイ
【審査官】柴原 直司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0004202(US,A1)
【文献】Biomacromolecules, (2017), 18, [1], p.44-55
【文献】Polym. Adv. Technol., (2014), 26, [6], p.689-692
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 27/00-27/60
A61K 6/00-6/90
A01N 55/10
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗微生物粒子とポリマー材料を含む歯科修復コンポジットであって、前記粒子は
(i)無機コアと;
(ii)前記コアに化学的に結合した抗微生物活性単位と
を含み;
前記抗微生物活性単位は直接的(結合を介して)または間接的に(第3のリンカーを介して)前記コアに接続されており;
前記抗微生物活性単位は抗微生物活性基を含むモノマー単位を含み;
各抗微生物活性単位当たりの前記抗微生物活性基の数は1~200であり;
前記粒子が構造(1)によって表される、前記コンポジット:
【化1】
(式中、
コアは無機材料であり;
は第1のリンカーまたは結合であり;
は第2のリンカーであり;
は第3のリンカーまたは結合であり;
およびR’はそれぞれ独立に、アルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、複素環、アルケニル、アルキニルまたはこれらの任意の組み合わせであり;
およびR’はそれぞれ独立に、アルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、複素環、アルケニル、アルキニルまたはこれらの任意の組み合わせであり;
およびR’はそれぞれ独立に、何もない、水素、アルキル、テルペノイド部分、シクロアルキル、アリール、複素環、アルケニル、アルキニルまたはこれらの任意の組み合わせであり;RまたはR’が何もない場合、窒素は帯電しておらず;
およびXはそれぞれ独立に、結合、アルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンであり;
pはコア表面の1平方nm(nm)当たりの抗微生物活性単位の数を定義し、前記密度は、粒子のコア表面の1平方nm(nm)当たり0.01~20の抗微生物活性単位であり;
はそれぞれ独立に、0~200の整数であり;
はそれぞれ独立に、0~200の整数であり;
+n≧1であり;
mは1~200の整数であり、繰り返し単位は同じであるまたは異なり;
前記L、L、Lまたはこれらの任意の組み合わせは、C~C18アルキレン、
アルケニレン、アルキニレンまたはアリールであり、さらに、ホスフェート、ホスホネート、シロキサン、シラン、エーテルアセタール、アミド、アミン、無水物またはエステルを含む官能基を含んでいてもよい)。
【請求項2】
前記粒子が構造(2)によって表される、請求項1に記載のコンポジット:
【化2】
【請求項3】
前記粒子が構造(3)によって表される、請求項1に記載のコンポジット:
【化3】
【請求項4】
前記粒子が前記ポリマー材料に分散している、請求項1から3のいずれか一項に記載のコンポジット。
【請求項5】
+n≧2である、請求項1から4のいずれか一項に記載のコンポジット。
【請求項6】
+n=1およびm=1である、請求項1から4のいずれか一項に記載のコンポジット。
【請求項7】
前記粒子の前記コアがシリカを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のコンポジット。
【請求項8】
前記シリカが多面体オリゴマーシルセスキオキサン(POSS)、非晶質シリカ、高密度シリカ、エアロゲルシリカ、多孔質シリカ、メソポーラスシリカおよびヒュームドシリカである、請求項7に記載のコンポジット。
【請求項9】
前記ポリマー材料が有機ポリマー、無機ポリマーまたはこれらの任意の組み合わせを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のコンポジット。
【請求項10】
前記有機ポリマーがヒドロゲル、ポリオレフィン、エポキシ樹脂、アクリレート樹脂またはこれらの任意の組み合わせを含む、請求項9に記載のコンポジット。
【請求項11】
前記ヒドロゲルがポロキサマーまたはアルギン酸塩である、請求項10に記載のコンポジット。
【請求項12】
前記無機ポリマーが、シリコーンポリマーセラミック、金属、またはこれらの任意の組み合わせを含む、請求項9に記載のコンポジット。
【請求項13】
前記ポリマー材料に対する前記粒子の重量比が0.25~5%である、請求項1から12のいずれか一項に記載のコンポジット。
【請求項14】
前記粒子が異なる粒子の混合物である、請求項1から13のいずれか一項に記載のコンポジット。
【請求項15】
ポリマー材料が、ビス-GMA(ビスフェノールA-グリシジルメタクリレート)、UDMA(ウレタンジメタクリレート)、TEGDMA(トリエチレングリコールジメタクリレート)、カンファーキニン、エチル-4-ジメチルアミノベンゾエート(EDMAB)、ヒュームドシリカおよびシラン化ガラスフィラーを含む、請求項1から14のいずれか一項に記載のコンポジット。
【請求項16】
抗微生物粒子が下記構造
【化4】
(式中、nは1~200である。)
によって表される、請求項1から15のいずれか一項に記載のコンポジット。
【請求項17】
ペーストである、請求項1から16のいずれか一項に記載のコンポジット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微生物増殖を抑制するための、抗微生物活性粒子を含む組成物および医療機器に関する。本発明はさらに、このような組成物および医療機器を製造する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
ある個体の皮膚、消化管および口腔内の細菌の圧倒的な多様性が十分に記載されており、多微生物バイオフィルムが標準である複雑な生態系を解剖学的かつ動的に実証している。
【0003】
生物の外側と内側の組織に形成されたバイオフィルムは、感染性疾患の主因である。例えば、口腔では、歯の硬組織または軟組織に形成されたバイオフィルムが虫歯および歯周病の主因である(Sbordone L.,Bortolaia C.,Clin Oral Investig 2003;7:181-8)。細菌バイオフィルムは、自然表面と人工表面の両方に形成する。
【0004】
生物に接触する人工表面は、バイオフィルムと戦うための主要な自然機構である上皮脱落がなく、よって、バイオフィルム蓄積が、生命を脅かす合併症を引き起こす可能性のある医学的問題の主因になっているため、近年、これらの表面には特別な注意が払われている。細菌を蓄積する表面の感受性に影響を及ぼす2つの主要な因子:表面粗さと使用される材料の特性である表面自由エネルギー。表面の粗さは、表面自由エネルギーよりも細菌の付着に大きな影響を及ぼす。これに関連して、人工修復材料は、典型的には自然表面よりも表面粗さが大きいので、細菌蓄積を生じやすい。したがって、バイオフィルム形成を減少させる新たな材料の開発は重要なトピックである。
【0005】
抗バイオフィルム特性を有する材料の開発の究極の目標は、健康を改善し、疾患発生を減少させることである。既存の医療機器のいずれも、バイオフィルムの即時かつ包括的な除去も二次感染の予防も保証できない。
【0006】
例えば、口腔防御を維持するために、以下の抗バイオフィルム特性を有する歯科材料が求められている:(1)微生物の初期結合の阻害、(2)バイオフィルム成長の防止、(3)バイオフィルムの微生物代謝への影響、(4)バイオフィルム細菌の殺傷、および(5)バイオフィルムの脱離(Busscher HJ,Rinastiti M,Siswomihardjo W,van der Mei HC.,J Dent Res,2010;89:657-65;Marsh PD.J Dent,2010;38)。
【0007】
レジンコンポジットは、疎水性樹脂マトリックスおよび疎水性の低いフィラー粒子からなる複雑な歯科材料であり、これはレジンコンポジット表面が決して均質な界面でなく、マトリックスが豊富で、フィラーが乏しい領域、ならびにマトリックスが乏しく、フィラーが豊富な領域を生じるものであることを意味している(Ionescu A,Wutscher E,Brambilla E,Schneider-Feyrer S,Giessibl FJ,Hahnel S.;Eur J Oral Sci 2012;120:458-65)。
【0008】
コンポジット上のバイオフィルムは、表面劣化を引き起こし得る。研磨、ならびにレジンコンポジットの組成の違いが、レジンコンポジット表面上のバイオフィルム形成に影響を及ぼし得る(Ono M.et al.,Dent Mater J,2007;26:613-22)。研磨によって駆動されるレジンコンポジットの表面劣化が、粗さの増加、微小硬さの変化、およびインビトロでのバイオフィルムへの曝露時のフィラー粒子曝露につながる。さらに、コンポジット上のバイオフィルムは、表面劣化を引き起こし得る。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【文献】Sbordone L.,Bortolaia C.,Clin Oral Investig 2003;7:181-8
【文献】Busscher HJ,Rinastiti M,Siswomihardjo W,van der Mei HC.,J Dent Res,2010;89:657-65
【文献】Marsh PD.J Dent,2010;38
【文献】Ionescu A,Wutscher E,Brambilla E,Schneider-Feyrer S,Giessibl FJ,Hahnel S.;Eur J Oral Sci 2012;120:458-65
【文献】Ono M.et al.,Dent Mater J,2007;26:613-22
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
費用対効果が高く、非毒性であり、汚染された表面に適用しやすい広範な抗微生物活性コンポジット、医薬組成物および医療機器が依然として必要とされており、これらを有することが有利となるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一実施形態では、本発明は、抗微生物粒子を含む組成物であって、粒子は
(i)無機または有機コアと;
(ii)コアに化学的に結合した抗微生物活性単位と
を含み;
抗微生物活性単位は直接的(結合を介して)または間接的に(第3のリンカーを介して)コアに接続されており;
抗微生物活性単位は抗微生物活性基を含むモノマー単位を含み;
各抗微生物活性単位当たりの抗微生物活性基の数は1~200である
組成物に関する。
【0012】
一実施形態では、本発明は、抗微生物粒子を含む医療機器であって、粒子は
(i)無機または有機コアと;
(ii)コアに化学的に結合した抗微生物活性単位と
を含み;
抗微生物活性単位は直接的(結合を介して)または間接的に(第3のリンカーを介して)コアに接続されており;
抗微生物活性単位は抗微生物活性基を含むモノマー単位を含み;
各抗微生物活性単位当たりの抗微生物活性基の数は1~200である
医療機器に関する。
【0013】
別の実施形態では、抗微生物粒子が構造(1)によって表される:
【化1】
【0014】
(式中、
コアは有機ポリマーまたは無機材料であり;
は第1のリンカーまたは結合であり;
は第2のリンカーであり;
は第3のリンカーまたは結合であり;
およびR’はそれぞれ独立に、アルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、複素環、アルケニル、アルキニルまたはこれらの任意の組み合わせであり;
およびR’はそれぞれ独立に、アルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、複素環、アルケニル、アルキニルまたはこれらの任意の組み合わせであり;
およびR’はそれぞれ独立に、何もない、水素、アルキル、テルペノイド部分、シクロアルキル、アリール、複素環、共役アルキル、アルケニル、アルキニルまたはこれらの任意の組み合わせであり;RまたはR’が何もない場合、窒素は帯電しておらず;
およびXはそれぞれ独立に、結合、アルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンであり;
pはコア表面の1平方nm(nm)当たりの抗微生物活性単位の数を定義し、前記密度は、粒子のコア表面の1平方nm(nm)当たり0.01~20の抗微生物単位であり;
はそれぞれ独立に、0~200の整数であり;
はそれぞれ独立に、0~200の整数であり;
+n≧1であり;
mは1~200の整数であり、繰り返し単位は同じであるまたは異なる)。
【0015】
本発明と見なされる主題は、本明細書の結論部分で特に指摘され、明確に請求される。しかしながら、本発明は、その目的、特徴および利点と共に、構成と動作方法の両方に関して、添付の図面と共に読むと、以下の詳細な説明を参照することによって最もよく理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1A】抗微生物活性粒子スキームを示している。図1Aは、1抗微生物活性単位当たりのオリゴマー/ポリマー骨格を示す図である。図1Bは、1抗微生物活性単位当たりのモノマー骨格を示す図である。図1Cは、詳細なモノマー単位スキームを示す図である。
図1B】抗微生物活性粒子スキームを示している。図1Aは、1抗微生物活性単位当たりのオリゴマー/ポリマー骨格を示す図である。図1Bは、1抗微生物活性単位当たりのモノマー骨格を示す図である。図1Cは、詳細なモノマー単位スキームを示す図である。
図1C】抗微生物活性粒子スキームを示している。図1Aは、1抗微生物活性単位当たりのオリゴマー/ポリマー骨格を示す図である。図1Bは、1抗微生物活性単位当たりのモノマー骨格を示す図である。図1Cは、詳細なモノマー単位スキームを示す図である。
図2】抗微生物活性基が少なくとも1つのテルペノイド部分を含む第三級アミンまたは第四級アンモニウム基であり、抗微生物単位が1つのモノマー単位(図1Bに示されるモノマー骨格)を有する本発明による粒子を調製するための代表的なスキームを示す図である。円は有機または無機コアを表し、R-Y・・・RはC~Cアルキルであり、Yはハロゲンまたはスルホネートなどの脱離基である。
図3】抗微生物単位が1つのモノマー単位(図1Bに示されるモノマー骨格)を有する、アミノ官能性リンカーを介してコア(円によって表される)を有するシンナミル基を有する本発明の粒子を調製するための代表的なスキームを示す図である。第三級アミンの第四級アンモニウム基への変換は任意であり、第三級アミンと基R-Y(式中、RはC~Cアルキルであり、Yはハロゲンまたはスルホネートなどの脱離基である)の反応を伴う。
図4】抗微生物単位が1つのモノマー単位(図1Bに示されるモノマー骨格)を有する、第四級アンモニウム塩(QAS)官能化粒子を調製するための3つの経路の代表的なスキームを示す。円は有機または無機コアを表す。図4Aは、第三級アミンを得るための還元的アミノ化、引き続いてアルキル化反応によるものを示す図である。図4Bは、段階的アルキル化反応によるものを示す図である。図4Cは、脱離基(例えば、Clまたは他のハロゲン)で官能化されたリンカーを第三級アミンと反応させることによるものを示す図である。RおよびRはメチル、エチル、プロピルまたはイソプロピルなどのC~Cアルキルを表す。RおよびRは異なる基であっても同じ基であってもよい。Yは任意の脱離基、例えばCl、BrもしくはI、またはスルホネート(例えばメシル、トシル)を表す。
図5】抗微生物単位が1つのモノマー単位(図1Bに示されるモノマー骨格)を有する、本発明の粒子を調製するための固体支持体法および溶液法のスキームを示す図である。円は有機または無機コアを表す。Q、QおよびQはエトキシ、メトキシ、メチル、エチル、水素、スルホネートおよびハロゲン化物からなる群から独立に選択され、Q、QおよびQの少なくとも1つはエトキシ、メトキシ、スルホネート(例えば、メシル、トシル)およびハロゲン化物から選択される脱離基である。明快にするために、スキームは、Q、QおよびQが脱離基を表し;Qが抗微生物基を表し;WがNH、ハロゲン化物、スルホネートおよびヒドロキシルからなる群から選択され;nが1~16の整数である場合を示している。
図6】抗微生物部分が1つのモノマー単位(図1Bに示されるモノマー骨格)を有する、固体支持体法と溶液法の両方による12-(トリエトキシシリル)-ドデカン-1-アミンリンカーを利用して官能化されたコア粒子(円として表される)を有するジシンナミル基を調製するための代表的なスキームを示す図である。nは1~16の整数である。
図7】抗微生物単位がオリゴマーまたはポリマー骨格(2つ以上のモノマー単位)を有する、固体支持体法による本発明による粒子を調製するための代表的なスキームを示す図である。円はコアを表す。出発材料は表面がヒドロキシル基で終結したコアであり;Q101、Q102およびQ103ならびに独立にアルコキシ、アルキルまたはアリール;LGはCl、Br、I、メシレート、トシレートまたはトリフレートであり;HalはCl、BrまたはIであり;q、q、qおよびqは独立に、0~16の整数であり;RおよびRはそれぞれ独立に、アルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、複素環、共役アルキル、アルケニルまたはこれらの任意の組み合わせであり;Rは何もない、水素、アルキル、テルペノイド部分、シクロアルキル、アリール、複素環、アルケニル、アルキニルまたはこれらの任意の組み合わせである。
図8A】トリアルコキシシランリンカーの自己重合を示している。図8Aは、固体支持体法を介したトリアルコキシシランリンカーの自己重合を示す図である。図8Bは、溶液中のトリアルコキシシランリンカーの自己重合を示す図である。図8Cは、シラン基の重合と単純なシラン化の比較を示す図である。
図8B】トリアルコキシシランリンカーの自己重合を示している。図8Aは、固体支持体法を介したトリアルコキシシランリンカーの自己重合を示す図である。図8Bは、溶液中のトリアルコキシシランリンカーの自己重合を示す図である。図8Cは、シラン基の重合と単純なシラン化の比較を示す図である。
図8C】トリアルコキシシランリンカーの自己重合を示している。図8Aは、固体支持体法を介したトリアルコキシシランリンカーの自己重合を示す図である。図8Bは、溶液中のトリアルコキシシランリンカーの自己重合を示す図である。図8Cは、シラン基の重合と単純なシラン化の比較を示す図である。
図9】抗微生物単位が2つ以上のモノマー単位を有する(すなわち、オリゴマーまたはポリマー骨格を有する)、溶液法における本発明による粒子を調製するための代表的なスキームを示す図である。円はコアを表す。出発材料は表面がヒドロキシル基で終結したコアであり;Q101、Q102およびQ103ならびに独立にアルコキシ、アルキルまたはアリール;LGはCl、Br、I、メシレート、トシレートまたはトリフレートであり;HalはCl、BrまたはIであり;q、q、qおよびqは独立に、0~16の整数であり;RおよびRはそれぞれ独立に、アルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、複素環、共役アルキル、アルケニルまたはこれらの任意の組み合わせであり;Rは何もない、水素、アルキル、テルペノイド部分、シクロアルキル、アリール、複素環、アルケニル、アルキニルまたはこれらの任意の組み合わせである。
図10】抗微生物単位が2つ以上のモノマー単位を有する(すなわち、オリゴマーまたはポリマー骨格を有する)、固体支持体法における、抗微生物活性基としてジメチルエチルアンモニウムを含む本発明によるシリカ系抗微生物粒子を調製するためのスキームを示す図である。
図11】抗微生物単位が2つ以上のモノマー単位を有する(すなわち、オリゴマーまたはポリマー骨格を有する)、溶液法における、抗微生物活性基としてジメチルエチルアンモニウムを含む本発明によるシリカ系抗微生物粒子を調製するためのスキームを示す図である。
図12】グラハム陽性菌黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(S.aureus)に対する、何も含まないポリプロピレンマトリックス(PP)および1%wt/wtシリカ系抗微生物粒子を含むポリプロピレンマトリックス(PP+1%NP)、または2%wt/wtの1nm当たり170個のジメチルオクチルアンモニウム基で官能化された(構造1;(n+n)×m×p=170)シリカ系抗微生物粒子を含むポリプロピレンマトリックス(PP+2%NP)の抗微生物活性を示す図である。埋め込まれた粒子は平均で直径186nmであり、結果を黄色ブドウ球菌(S.aureus)の自然な増殖と比較する。
図13】グラハム陰性菌緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)(P.aeruginosa)に対する、何も含まないポリプロピレンマトリックス(PP)および1%wt/wtシリカ系抗微生物粒子を含むポリプロピレンマトリックス(PP+1%NP)、および2%wt/wtの1nm当たり170個のジメチルオクチルアンモニウム基で官能化された(構造1;(n+n)×m×p=170)シリカ系抗微生物粒子を含むポリプロピレンマトリックス(PP+2%NP)の抗微生物活性を示す図である。埋め込まれた粒子は平均で直径186nmであり、結果を緑膿菌(P.aeruginosa)の自然な増殖と比較する。
図14】グラハム陰性菌緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)(P.aeruginosa)に対する、何も含まないポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)マトリックスおよび1%wt/wtの1nm当たり170個のジメチルオクチルアンモニウム基で官能化された(構造1;(n+n)×m×p=170)シリカ系抗微生物粒子を含むポリ(メチルメタクリレート)マトリックス(PMMA+1%NP)の抗微生物活性を示す図である。埋め込まれた粒子は平均で直径13μmであり、結果を緑膿菌(P.aeruginosa)の自然な増殖と比較する。
図15】グラハム陽性菌黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(S.aureus)に対する、何も含まないポリ(メチルメタクリレート)マトリックス(PMMA)および1%wt/wtの1nm当たり170個のジメチルオクチルアンモニウム基で官能化された(構造1;(n+n)×m×p=170)シリカ系抗微生物粒子を含むポリ(メチルメタクリレート)マトリックス(PMMA+1%NP)の抗微生物活性を示す図である。埋め込まれた粒子は平均で直径13μmであり、結果を黄色ブドウ球菌(S.aureus)の自然な増殖と比較する。
図16】グラハム陰性菌緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)(P.aeruginosa)に対する、何も含まないポリ(メチルメタクリレート)マトリックス(PMMA)および1nm当たり170個のジメチルオクチルアンモニウム基で官能化された(構造1;(n+n)×m×p=170)シリカ系抗微生物粒子を含むポリ(メチルメタクリレート)マトリックス(PMMA+1%NP)の抗微生物活性を示す図である。埋め込まれた粒子は平均で直径186nmであり、結果を緑膿菌(P.aeruginosa)の自然な増殖と比較する。
図17】グラハム陽性菌黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(S.aureus)に対する、何も含まないポリ(メチルメタクリレート)マトリックス(PMMA)および
【化2】
のモノマー骨格を有する、ジシンナミルアミン基で官能化されたシリカ系抗微生物粒子を含むポリ(メチルメタクリレート)マトリックス(PMMA+1%NP)の抗微生物活性を示す図である。埋め込まれた粒子は平均で直径186nmおよびp=4であり、結果を黄色ブドウ球菌(S.aureus)の自然な増殖と比較する。
図18】グラハム陽性菌フェカリス菌(Enterococcus faecalis)(E.faecalis)に対する、何も含まないポリ(メチルメタクリレート)マトリックス(PMMA)および1%wt/wt磁鉄鉱(Fe)系抗微生物粒子を含むポリ(メチルメタクリレート)マトリックス(PMMA+1%NP)、または2%wt/wtの1nm当たり170個のジメチルオクチルアンモニウム基で官能化された(構造1;(n+n)×m×p=170)磁鉄鉱(Fe)系抗微生物粒子を含むポリ(メチルメタクリレート)マトリックス(PMMA+2%NP)の抗微生物活性を示す図である。埋め込まれた粒子は平均で直径78nmであり、結果をフェカリス菌(E.faecalis)の自然な増殖と比較する。
図19】グラハム陽性菌フェカリス菌(Enterococcus faecalis)(E.faecalis)に対する、何も含まないポリ(メチルメタクリレート)マトリックス(PMMA)および2%wt/wt(PMMA+2%NP)または3%wt/wt(PMMA+3%NP)の1nm当たり170個のジメチルオクチルアンモニウム基で官能化された(構造1;(n+n)×m×p=170)シリカ系抗微生物粒子を含むポリ(メチルメタクリレート)マトリックスの抗微生物活性を示す図である。埋め込まれた粒子は平均で直径186nmであり、結果をフェカリス菌(E.faecalis)の自然な増殖と比較する。
図20A】非修飾ポリマーと比較した、官能化抗菌粒子を含む修飾ポリマーのヤング率を測定する機械的特性試験。図20Aは、対照(unifast)、QSiおよびQPEIの円柱形標本の画像である。図20Bは、修飾標本および非修飾標本の圧縮強度試験を示す図である。対照:非修飾材料(Unifast対照)、QSi:1nm当たり170個のジメチルオクチルアンモニウム基で官能化された(構造1;(n+n)×m×p=170)シリカ粒子およびQPEI:第四級アンモニウムポリエチレンイミン。
図20B】非修飾ポリマーと比較した、官能化抗菌粒子を含む修飾ポリマーのヤング率を測定する機械的特性試験。図20Aは、対照(unifast)、QSiおよびQPEIの円柱形標本の画像である。図20Bは、修飾標本および非修飾標本の圧縮強度試験を示す図である。対照:非修飾材料(Unifast対照)、QSi:1nm当たり170個のジメチルオクチルアンモニウム基で官能化された(構造1;(n+n)×m×p=170)シリカ粒子およびQPEI:第四級アンモニウムポリエチレンイミン。
図21A】何も使用しないで(Unifast)または8%ナノ粒子(NP):シリカ+第四級ジメチルオクチルアンモニウム基(QSi)およびPEI+第四級ジメチルオクチルアンモニウム(QPEI)を使用して調製されたUnifast Trad(自己硬化、メチルメタクリレート樹脂)の修飾および非修飾標本の抗微生物活性を示している。図21Aは、グラハム陽性菌フェカリス菌(E.faecalis)に対する抗微生物活性を示す図である。結果をフェカリス菌(E.faecalis)の自然な増殖と比較する。図21Bは、グラハム陽性菌黄色ブドウ球菌(S.aureus)に対する抗微生物活性を示す図である。結果を黄色ブドウ球菌(S.aureus)の自然な増殖と比較する。
図21B】何も使用しないで(Unifast)または8%ナノ粒子(NP):シリカ+第四級ジメチルオクチルアンモニウム基(QSi)およびPEI+第四級ジメチルオクチルアンモニウム(QPEI)を使用して調製されたUnifast Trad(自己硬化、メチルメタクリレート樹脂)の修飾および非修飾標本の抗微生物活性を示している。図21Aは、グラハム陽性菌フェカリス菌(E.faecalis)に対する抗微生物活性を示す図である。結果をフェカリス菌(E.faecalis)の自然な増殖と比較する。図21Bは、グラハム陽性菌黄色ブドウ球菌(S.aureus)に対する抗微生物活性を示す図である。結果を黄色ブドウ球菌(S.aureus)の自然な増殖と比較する。
図22】血液寒天でインプリント法によって評価される抗微生物活性を示す図である。測定した試料は、1)ジメチルアミン官能化シリカ粒子;および2)2つのシンナミル基を有する第三級アミンで官能化されたシリカ粒子である。
図23】0.5~2%wt/wtのQPEI粒子(国際公開第2008/0226728号でPEIとして記載されている)を組み込んだ場合の、ポリジメチルシロキサン材料上でのフェカリス菌(E.faecalis)の抑制を示す図である。
図24】グラハム陽性菌フェカリス菌(Enterococcus faecalis)(E.faecalis)に対する、1nm当たり170個のジメチルオクチルアンモニウム基で官能化された(構造1:(n+n)×m×p=170)シリカ系抗菌粒子を含む歯科用コンポジット(実施例16)の抗微生物活性を示す図である。埋め込まれた粒子は平均で直径186nmであり、結果をフェカリス菌(E.faecalis)の自然な増殖と比較する。
図25】グラハム陽性菌フェカリス菌(E.faecalis)に対する、何も含まない歯科用コンポジット(実施例16)および
【化3】
のモノマー骨格を有する、ジシンナミルアミン基で官能化されたシリカ系抗菌粒子(PMMA+1%NP)を含む歯科用コンポジット(SNP-Cial)の抗微生物活性を示す図である。埋め込まれた粒子は平均で直径186nmおよびp=4であり、結果をフェカリス菌(E.faecalis)の自然な増殖と比較する。
【0017】
説明を簡単かつ明確にするために、図に示される要素は必ずしも縮尺通りに描かれていないことが理解されるだろう。例えば、要素のいくつかの寸法は、明確にするために他の要素に比べて誇張されている場合がある。さらに、適切であると考えられる場合、対応する要素または類似の要素を示すために、参照番号を図の間で繰り返すことがある。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の詳細な説明では、本発明の完全な理解を提供するために、多数の具体的詳細を示す。しかしながら、これらの具体的な詳細なしで本発明を実施できることが当業者によって理解されるだろう。他の例では、本発明を不明瞭にしないために、周知の方法、手順および構成要素を詳細に記載しなかった。
【0019】
一実施形態では、本発明は、抗微生物粒子を含む組成物であって、粒子は
(i)無機または有機コアと;
(ii)コアに化学的に結合した抗微生物活性単位と
を含み;
抗微生物活性単位は直接的(結合を介して)または間接的に(第3のリンカーを介して)コアに接続されており;
抗微生物活性単位は抗微生物活性基を含むモノマー単位を含み;
各抗微生物活性単位当たりの抗微生物活性基の数は1~200である
組成物に関する。
【0020】
一実施形態では、本発明は、ポリマー材料と、抗微生物粒子とを含む組成物であって、粒子は
(i)無機または有機コアと;
(ii)コアに化学的に結合した抗微生物活性単位と
を含み;
抗微生物活性単位は直接的(結合を介して)または間接的に(第3のリンカーを介して)コアに接続されており;
抗微生物活性単位は抗微生物活性基を含むモノマー単位を含み;
各抗微生物活性単位当たりの抗微生物活性基の数は1~200である
組成物に関する。
【0021】
一実施形態では、本発明は、抗微生物粒子を含む医療機器であって、粒子は
(i)無機または有機コアと;
(ii)コアに化学的に結合した抗微生物活性単位と
を含み;
抗微生物活性単位は直接的(結合を介して)または間接的に(第3のリンカーを介して)コアに接続されており;
抗微生物活性単位は抗微生物活性基を含むモノマー単位を含み;
各抗微生物活性単位当たりの抗微生物活性基の数は1~200である
医療機器に関する。
【0022】
抗微生物粒子
いくつかの実施形態では、抗微生物粒子が、(i)無機または有機コアと;(ii)コアに化学的に結合した抗微生物活性部分とを含む。一実施形態では、抗微生物活性部分が1つのモノマー単位を含む。一実施形態では、抗微生物活性部分が2つ以上のモノマー単位を含む。別の実施形態では、2つ以上のモノマー単位を有する抗微生物活性部分が、2つ以上のリンカーを含む。別の実施形態では、抗微生物活性単位が2~200個のモノマー単位を有する。別の実施形態では、抗微生物活性単位が2~5個のモノマー単位を有する。別の実施形態では、抗微生物活性単位が5~10個のモノマー単位を有する。別の実施形態では、抗微生物活性単位が10~20個のモノマー単位を有する。別の実施形態では、抗微生物活性単位が20~50個のモノマー単位を有する。別の実施形態では、抗微生物活性単位が50~100個のモノマー単位を有する。別の実施形態では、抗微生物活性単位が100~200個のモノマー単位を有する。
【0023】
一実施形態では、抗微生物活性単位が2つ以上のモノマー単位を含む。別の実施形態では、モノマー単位が、第1のリンカー、第2のリンカーまたは両方を介して互いに接続されている。別の実施形態では、各モノマー単位が抗微生物活性基を含む。別の実施形態では、抗微生物活性単位が、少なくとも1つの抗微生物活性基を含む。別の実施形態では、抗微生物活性単位が、少なくとも2つの抗微生物活性基を含む。別の実施形態では、図1A図1Bおよび図1Cが、本発明の抗微生物活性粒子を概略的に示している(図1A:2つ以上のモノマー;図1B:1つのモノマー単位および図1C:1つのモノマーの詳細なスキーム)。
【0024】
いくつかの実施形態では、抗微生物粒子が構造(1)によって表される:
【化4】
【0025】
(式中、
コアは有機ポリマーまたは無機材料であり;
は第1のリンカーまたは結合であり;
は第2のリンカーであり;
は第3のリンカーまたは結合であり;
およびR’はそれぞれ独立に、アルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、複素環、アルケニル、アルキニルまたはこれらの任意の組み合わせであり;
およびR’はそれぞれ独立に、アルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、複素環、アルケニル、アルキニルまたはこれらの任意の組み合わせであり;
およびR’はそれぞれ独立に、何もない、水素、アルキル、テルペノイド部分、シクロアルキル、アリール、複素環、共役アルキル、アルケニル、アルキニルまたはこれらの任意の組み合わせであり;RまたはR’が何もない場合、窒素は帯電しておらず;
およびXはそれぞれ独立に、結合、アルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンであり;
pはコア表面の1平方nm(nm)当たりの抗微生物活性単位の数を定義し、前記密度は、粒子のコア表面の1平方nm(nm)当たり0.01~20の抗微生物単位であり;
はそれぞれ独立に、0~200の整数であり;
はそれぞれ独立に、0~200の整数であり;
+n≧1であり;
mは1~200の整数であり、繰り返し単位は同じであるまたは異なる)。
【0026】
いくつかの実施形態では、抗微生物粒子が構造(2)によって表される:
【化5】
【0027】
(式中、
コアは有機ポリマーまたは無機材料であり;
は第1のリンカーまたは結合であり;
は第2のリンカーであり;
は第3のリンカーまたは結合であり;
およびR’はそれぞれ独立に、アルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、複素環、アルケニル、アルキニルまたはこれらの任意の組み合わせであり;
およびR’はそれぞれ独立に、アルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、複素環、アルケニル、アルキニルまたはこれらの任意の組み合わせであり;
およびXはそれぞれ独立に、結合、アルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンであり;
pはコア表面の1平方nm(nm)当たりの抗微生物活性単位の数を定義し、前記密度は、粒子のコア表面の1平方nm(nm)当たり0.01~20の抗微生物単位であり;
はそれぞれ独立に、0~200の整数であり;
はそれぞれ独立に、0~200の整数であり;
+n≧1であり;
mは1~200の整数であり、繰り返し単位は同じであるまたは異なる)。
【0028】
別の実施形態では、各抗微生物活性部分当たりの抗微生物活性基の数が少なくとも2である、すなわち、n+n≧2およびm≧1である。別の実施形態では、各抗微生物活性部分当たりの抗微生物活性基の数が1である、すなわち、n+n=1およびm=1である。
【0029】
いくつかの実施形態では、抗微生物粒子が構造(3)によって表される:
【化6】
【0030】
(式中、
コアは有機ポリマーまたは無機材料であり;
は第1のリンカーまたは結合であり;
は第2のリンカーであり;
は第3のリンカーまたは結合であり;
およびR’はそれぞれ独立に、アルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、複素環、アルケニル、アルキニルまたはこれらの任意の組み合わせであり;
およびR’はそれぞれ独立に、アルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、複素環、アルケニル、アルキニルまたはこれらの任意の組み合わせであり;
およびXはそれぞれ独立に、結合、アルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンであり;
pはコア表面の1平方nm(nm)当たりの抗微生物活性単位の数を定義し、前記密度は、粒子のコア表面の1平方nm(nm)当たり0.01~20の抗微生物単位であり;
はそれぞれ独立に、0~200の整数であり;
はそれぞれ独立に、0~200の整数であり;
+n≧1であり;
mは1~200の整数であり、繰り返し単位は同じであるまたは異なる)。
【0031】
別の実施形態では、各抗微生物活性部分当たりの抗微生物活性基の数が少なくとも2である、すなわち、n+n≧2およびm≧1である。別の実施形態では、各抗微生物活性部分当たりの抗微生物活性基の数が1である、すなわち、n+n=1およびm=1である。
【0032】
別の実施形態では、構造(1)~(3)の粒子が、1抗微生物活性単位当たり1つのモノマー単位を含む。別の実施形態では、構造(1)~(3)の粒子が、1抗微生物活性単位当たり2つ以上の抗微生物活性基を含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、抗微生物粒子が構造(4)によって表される:
【化7】
【0034】
(式中、
コアは有機ポリマーまたは無機材料であり;
は第1のリンカーまたは結合であり;
は第3のリンカーまたは結合であり;
はアルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、複素環、アルケニル、アルキニルまたはこれらの任意の組み合わせであり;
はアルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、複素環、アルケニル、アルキニルまたはこれらの任意の組み合わせであり;
は何もない、水素、アルキル、テルペノイド部分、シクロアルキル、アリール、複素環、アルケニル、アルキニルまたはこれらの任意の組み合わせであり;RまたはR’が何もない場合、窒素は帯電しておらず;
Xは結合、アルキル、アルケニルまたはアルキニルであり;
X’は何もないまたは水素であり;
pはコア表面の1平方nm(nm)当たりの抗微生物活性単位の数を定義し、前記密度は、粒子のコア表面の1平方nm(nm)当たり0.01~20の抗微生物単位であり;
およびXが結合である場合、窒素はコアの一部であり;
、R、Rの少なくとも1つは疎水性である)。
【0035】
いくつかの実施形態では、抗微生物粒子が構造(5)によって表される:
【化8】
【0036】
(式中、
コアは有機ポリマー材料または無機材料であり;
は第1のリンカーまたは結合であり;
は第3のリンカーまたは結合であり;
はアルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、複素環、アルケニル、アルキニルまたはこれらの任意の組み合わせであり;
はアルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、複素環、アルケニル、アルキニルまたはこれらの任意の組み合わせであり;
Xは結合、アルキル、アルケニルまたはアルキニルであり;
X’は何もないまたは水素であり;
pはコア表面の1平方nm(nm)当たりの抗微生物活性単位の数を定義し、前記密度は、粒子のコア表面の1平方nm(nm)当たり0.01~20の抗微生物単位であり;
およびXが結合である場合、窒素はコアの不可欠な部分であり;
、Rの少なくとも1つは疎水性である)。
【0037】
いくつかの実施形態では、抗微生物粒子が構造(6)によって表される:
【化9】
【0038】
(式中、
コアは有機ポリマー材料または無機材料であり;
は第1のリンカーまたは結合であり;
は第3のリンカーまたは結合であり;
はアルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、複素環、アルケニル、アルキニルまたはこれらの任意の組み合わせであり;
はアルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、複素環、アルケニル、アルキニルまたはこれらの任意の組み合わせであり;
Xは結合、アルキル、アルケニルまたはアルキニルであり;
X’は何もないまたは水素であり;
pはコア表面の1平方nm(nm)当たりの抗微生物活性単位の数を定義し、前記密度は、粒子のコア表面の1平方nm(nm)当たり0.01~20の抗微生物単位であり;
およびXが結合である場合、窒素はコアの不可欠な部分であり;
、Rの少なくとも1つは疎水性である)。
【0039】
本発明の抗微生物粒子の具体例としては以下が挙げられる:
【化10】
【化11】
【0040】
(式中、n=1~200であり;「SNP」は本発明の粒子のシリカコアを指し;pはコア表面の1平方nm(nm)当たりの抗微生物活性単位の数を定義し、前記密度は、粒子のコア表面の1平方nm(nm)当たり0.01~20の抗微生物単位である)。別の実施形態では、n=1~3である。別の実施形態では、n=3~20である。別の実施形態では、n=20~50である。別の実施形態では、n=50~100である。別の実施形態では、n=100~200である。
【0041】
いくつかの実施形態では、「抗微生物活性基」という用語および「モノマー抗微生物活性基」という用語は同じものを指し、以下の式によって表されるプロトン化第三級アミン、第三級アミンまたは第四級アンモニウムを含む:
【化12】
【化13】
【0042】
または
【化14】
【0043】
(式中、
はアルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、複素環、アルケニル、アルキニルまたはこれらの任意の組み合わせであり;
はアルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、複素環、アルケニル、アルキニルまたはこれらの任意の組み合わせであり;
は何もない、水素、アルキル、テルペノイド部分、シクロアルキル、アリール、複素環、アルケニル、アルキニルまたはこれらの任意の組み合わせであり;RまたはR’が何もない場合、窒素は帯電していない)。
【0044】
別の実施形態では、R、RまたはRの少なくとも1つが疎水性である。
【0045】
別の実施形態では、各抗微生物活性単位当たりの抗微生物活性基の数が少なくとも2である、すなわち、n+n≧2およびm≧1である。別の実施形態では、各抗微生物活性単位当たりの抗微生物活性基の数が1である、すなわち、n+n=1およびm=1である。
【0046】
別の実施形態では、構造(4)~(6)の粒子が、1抗微生物活性単位当たり1つのモノマー単位を含む。別の実施形態では、構造(1)~(3)の粒子が、1抗微生物活性単位当たり1つまたは2つ以上の抗微生物活性基を含む。
【0047】
本発明の抗微生物活性基は、コア表面の10平方nm当たり少なくとも1つの抗微生物活性基の表面密度でコアに化学的に結合している。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり少なくとも1つの抗微生物基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり0.001~300の抗微生物基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり0.001~250の抗微生物基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり0.001~200の抗微生物基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり0.001~150の抗微生物基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり0.001~100の抗微生物基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり0.001~50の抗微生物基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり0.001~20の抗微生物基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり0.001~17の抗微生物基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり0.001~15の抗微生物基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり0.001~10の抗微生物基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり0.001~4の抗微生物基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり0.001~1の抗微生物基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり50~100の抗微生物基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり100~150の抗微生物基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり150~200の抗微生物基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり200~250の抗微生物基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり250~300の抗微生物基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり1~4の抗微生物基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり1~6の抗微生物基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり1~20の抗微生物基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり1~10の抗微生物基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり1~15の抗微生物基である。
【0048】
いくつかの実施形態では、各抗微生物活性単位当たりの抗微生物活性基の数[(n+n)×m]が1~200である。別の実施形態では、各抗微生物活性単位当たりの抗微生物活性基の数が1~150である。別の実施形態では、各抗微生物活性単位当たりの抗微生物活性基の数が1~100である。別の実施形態では、各抗微生物活性単位当たりの抗微生物活性基の数が1~50である。別の実施形態では、各抗微生物活性単位当たりの抗微生物活性基の数が1~30である。別の実施形態では、各抗微生物活性単位当たりの抗微生物活性基の数が1~20である。別の実施形態では、各抗微生物活性単位当たりの抗微生物活性基の数が1~10である。別の実施形態では、各抗微生物活性単位当たりの抗微生物活性基の数が50~100である。別の実施形態では、各抗微生物活性単位当たりの抗微生物活性基の数が100~150である。別の実施形態では、各抗微生物活性単位当たりの抗微生物活性単位の数が150~200である。
【0049】
いくつかの実施形態では、各抗微生物活性単位当たりのモノマー単位の数が1~200である。別の実施形態では、各抗微生物活性単位当たりのモノマー単位の数が1~150である。別の実施形態では、各抗微生物活性単位当たりのモノマー単位の数が1~100である。別の実施形態では、各抗微生物活性単位当たりのモノマー単位の数が1~50である。別の実施形態では、各抗微生物活性単位当たりのモノマー単位の数が1~30である。別の実施形態では、各抗微生物活性単位当たりのモノマー単位の数が1~20である。別の実施形態では、各抗微生物活性単位当たりのモノマー単位の数が1~10である。別の実施形態では、各抗微生物活性単位当たりのモノマー単位の数が50~100である。別の実施形態では、各抗微生物活性単位当たりのモノマー単位の数が100~150である。別の実施形態では、各抗微生物活性単位当たりのモノマー単位の数が150~200である。
【0050】
別の実施形態では、構造(1)~(6)の粒子が無機コアを有する。別の実施形態では、構造(1)~(6)の粒子が有機コアを有する。別の実施形態では、有機コアがポリマー有機コアである。別の実施形態では、コアが不活性である。一実施形態では、構造(1)~(3)によって表される本発明の粒子が、-N(R)(R)(R)、-NH(R)(R)、-N(R)(R)-N(R’)(R’)(R’)、-NH(R’)(R’)または-N(R’)(R’)の抗微生物活性基を含む。一実施形態では、Rおよび/またはR’、Rおよび/またはR’ならびにRおよび/またはR’が同じであるまたは異なり、独立に、アルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、複素環、アルケニル、アルキニルまたはこれらの任意の組み合わせである。別の実施形態では、R、RおよびRが独立に、アルキルである。別の実施形態では、Rおよび/またはR’、Rおよび/またはR’ならびにRおよび/またはR’が独立に、テルペノイドである。別の実施形態では、Rおよび/またはR’、Rおよび/またはR’ならびにRおよび/またはR’が独立に、シクロアルキルである。別の実施形態では、Rおよび/またはR’、Rおよび/またはR’ならびにRおよび/またはR’が独立に、アリールである。別の実施形態では、Rおよび/またはR’、Rおよび/またはR’ならびにRおよび/またはR’が独立に、複素環である。別の実施形態では、Rおよび/またはR’、Rおよび/またはR’ならびにRおよび/またはR’が独立に、アルケニルである。別の実施形態では、Rおよび/またはR’、Rおよび/またはR’ならびにRおよび/またはR’が独立に、アルキニルである。別の実施形態では、Rが何もない。別の実施形態では、Rおよび/またはR’が水素である。別の実施形態では、Rおよび/またはR’、Rおよび/またはR’ならびにRおよび/またはR’の少なくとも1つが疎水性アルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、複素環、アルケニル、アルキニルまたはこれらの任意の組み合わせである。各々が本発明の別個の実施形態を表す。
【0051】
別の実施形態では、RおよびR’が同じである。別の実施形態では、RおよびR’が同じである。別の実施形態では、RおよびR’が同じである。別の実施形態では、RおよびR’が異なる。別の実施形態では、RおよびR’が異なる。別の実施形態では、RおよびR’が異なる。
【0052】
本明細書で使用される場合、「アルキル」または「アルキレン」という用語は、特に明記しない限り、最大約24個の炭素を含む任意の直鎖または分岐鎖アルキル基を指す。一実施形態では、アルキルがC~C炭素を含む。一実施形態では、アルキルがC~C炭素を含む。一実施形態では、アルキルがC~C炭素を含む。別の実施形態では、アルキルがC~C炭素を含む。別の実施形態では、アルキルがC~C炭素を含む。別の実施形態では、アルキルがC~C10炭素を含む。別の実施形態では、アルキルがC~C12炭素を含む。別の実施形態では、アルキルがC~C炭素を含む。別の実施形態では、アルキルがC~C10炭素を含む。別の実施形態では、アルキルがC~C18炭素を含む。別の実施形態では、アルキルがC~C24炭素を含む。別の実施形態では、アルキルがC~C18炭素を含む。別の実施形態では、アルキルがC~C18炭素を含む。別の実施形態では、分岐アルキルが1~5個の炭素のアルキル側鎖によって置換されたアルキルである。一実施形態では、アルキル基が非置換であってもよい。別の実施形態では、アルキル基が、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、カルボニル、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、シアノ、ニトロ、COH、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシル、チオおよび/またはチオアルキルによって置換されていてもよい。別の実施形態では、疎水性アルキルが、少なくとも4個の炭素を有するアルキルを指す。別の実施形態では、疎水性アルキルがC~C24アルキルを指す。別の実施形態では、疎水性アルキルがC~Cアルキルを指す。別の実施形態では、疎水性アルキルがCアルキルを指す。別の実施形態では、疎水性アルキルがCアルキルを指す。別の実施形態では、疎水性アルキルがCアルキルを指す。別の実施形態では、疎水性アルキルがCアルキルを指す。別の実施形態では、疎水性アルキルがCアルキルを指す。
【0053】
本明細書で使用される場合、「アリール」という用語は、別の基に直接結合しており、置換されていても非置換でもよい任意の芳香環を指す。アリール基は単独の置換基であってもよいし、またはアリール基はアリールアルキル、アリールアミノ、アリールアミド等などより大きな置換基の成分であってもよい。例示的なアリール基には、限定されないが、フェニル、トリル、キシリル、フラニル、ナフチル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チオフェン-イル、ピロリル、フェニルメチル、フェニルエチル、フェニルアミノ、フェニルアミド等が含まれる。置換には、それだけに限らないが、F、Cl、Br、I、C~C直鎖もしくは分岐アルキル、C~C直鎖もしくは分岐ハロアルキル、C~C直鎖もしくは分岐アルコキシ、C~C直鎖もしくは分岐ハロアルコキシ、CF、CN、NO、-CHCN、NH、NH-アルキル、N(アルキル)、ヒドロキシル、-OC(O)CF、-OCHPh、-NHCO-アルキル、COOH、-C(O)Ph、C(O)O-アルキル、C(O)H、または-C(O)NHが含まれる。別の実施形態では、疎水性アリールが、少なくとも6個の炭素を有するアリールを指す。
【0054】
「アルケニル」または「アルケニレン」という用語は、少なくとも2個の炭素原子と少なくとも1つの二重結合を含む物質を指す。一実施形態では、アルケニルが2~7個の炭素原子を有する。別の実施形態では、アルケニルが2~12個の炭素原子を有する。別の実施形態では、アルケニルが2~10個の炭素原子を有する。別の実施形態では、アルケニルが3~6個の炭素原子を有する。別の実施形態では、アルケニルが2~4個の炭素原子を有する。別の実施形態では、アルケニルが4~8個の炭素原子を有する。別の実施形態では、疎水性アルケニルが、少なくとも4個の炭素を有するアルケニルを指す。別の実施形態では、疎水性アルケニルがC~Cアルケニルを指す。
【0055】
「アルキニル」または「アルキニレン」という用語は、少なくとも2個の炭素原子と少なくとも1つの三重結合を含む物質を指す。一実施形態では、アルキニルが2~7個の炭素原子を有する。別の実施形態では、アルキニルが2~12個の炭素原子を有する。別の実施形態では、アルキニルが2~10個の炭素原子を有する。別の実施形態では、アルキニルが3~6個の炭素原子を有する。別の実施形態では、アルキニルが2~4個の炭素原子を有する。別の実施形態では、アルキニルが3~6個の炭素原子を有する。別の実施形態では、アルキニルが4~8個の炭素原子を有する。別の実施形態では、疎水性アルキニルが、少なくとも4個の炭素を有するアルキニルを指す。別の実施形態では、疎水性アルキニルがC~Cアルケニルを指す。
【0056】
「アルコキシ」という用語は、一実施形態では、酸素に結合した上に定義されるアルキルを指す。アルコキシ基の非限定的な例としては、メトキシ、エトキシおよびイソプロポキシが挙げられる。
【0057】
「シクロアルキル」基は、一実施形態では、飽和であっても不飽和であってもよく、置換されていても非置換であってもよい、環原子として炭素原子を含む環構造を指す。別の実施形態では、シクロアルキルが3~12員環である。別の実施形態では、シクロアルキルが6員環である。別の実施形態では、シクロアルキルが5~7員環である。別の実施形態では、シクロアルキルが3~8員環である。別の実施形態では、シクロアルキル基が、非置換であっても、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、カルボニル、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、シアノ、ニトロ、COH、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシル、チオおよび/またはチオアルキルによって置換されていてもよい。別の実施形態では、シクロアルキル環が、別の飽和または不飽和のシクロアルキルまたは複素環式3~8員環に縮合していてもよい。別の実施形態では、シクロアルキル環が飽和環である。別の実施形態では、シクロアルキル環が不飽和環である。シクロアルキル基の非限定的な例としては、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロプロピル、シクロプロペニル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロブチル、シクロブテニル、シクロクチル、シクロオクタジエニル(COD)、シクロオクタエン(COE)等が挙げられる。別の実施形態では、疎水性シクロアルキルが、少なくとも6個の炭素を有するシクロアルキルを指す。
【0058】
「複素環」基は、一実施形態では、環の一部として、炭素原子に加えて、硫黄、酸素、窒素またはこれらの任意の組み合わせを含む環構造を指す。別の実施形態では、複素環が3~12員環である。別の実施形態では、複素環が6員環である。別の実施形態では、複素環が5~7員環である。別の実施形態では、複素環が3~8員環である。別の実施形態では、複素環基が、非置換であっても、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、カルボニル、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、シアノ、ニトロ、COH、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシル、チオおよび/またはチオアルキルによって置換されていてもよい。別の実施形態では、複素環が、別の飽和または不飽和のシクロアルキルまたは複素環式3~8員環に縮合していてもよい。別の実施形態では、複素環式環が飽和環である。別の実施形態では、複素環式環が不飽和環である。複素環式環の非限定的な例としては、ピリジン、ピペリジン、モルホリン、ピペラジン、チオフェン、ピロール、ベンゾジオキソールまたはインドールが挙げられる。別の実施形態では、疎水性複素環式基が、少なくとも6個の炭素を有する複素環を指す。
【0059】
一実施形態では、構造(1)のR、RおよびRの少なくとも1つならびに/あるいはR’、R’およびR’の少なくとも1つが疎水性である。一実施形態では、構造(2)および(3)のRおよびRの少なくとも1つならびに/あるいはR’およびR’の少なくとも1つが疎水性である。
【0060】
「疎水性」という用語は、少なくとも4個の炭素を有するアルキル、アルケニルもしくはアルキニルを指す、または疎水性という用語は、テルペノイド、少なくとも6個の炭素を有するシクロアルキル、アリールもしくは複素環を指す。各可能性が本発明の別個の実施形態を表す。
【0061】
一実施形態では、構造(1)のR、RおよびRの少なくとも1つならびに/あるいはR’、R’およびR’の少なくとも1つがC~C24アルキル、C~C24アルケニル、C~C24アルキニルまたはテルペノイドである。一実施形態では、構造(2)および(3)のRおよびRの少なくとも1つならびに/あるいはR’およびR’の少なくとも1つがC~C24アルキル、C~C24アルケニル、C~C24アルキニルまたはテルペノイドである。各可能性が本発明の別個の実施形態を表す。
【0062】
一実施形態では、構造(1)のR、RおよびRの少なくとも1つならびに/あるいはR’、R’およびR’の少なくとも1つがC~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルキニルまたはテルペノイドである。一実施形態では、構造(2)および(3)のRおよびRの少なくとも1つならびに/あるいはR’およびR’の少なくとも1つがC~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルキニルまたはテルペノイドである。各可能性が本発明の別個の実施形態を表す。
【0063】
一実施形態では、構造(1)~(6)のRおよび/またはR’がテルペノイドである。別の実施形態では、Rおよび/またはR’がテルペノイドであり、Rおよび/またはR’がC~Cアルキルである。別の実施形態では、コアが有機ポリマーコアであり、Rおよび/またはR’が何もなく、Rおよび/またはR’がテルペノイドである。別の実施形態では、コアが有機ポリマーコアであり、Rおよび/またはR’が水素であり、Rおよび/またはR’がテルペノイドである。別の実施形態では、コアが無機コアであり、Rおよび/またはR’が何もなく、Rおよび/またはR’がテルペノイドである。別の実施形態では、コアが無機コアであり、Rおよび/またはR’が水素であり、Rおよび/またはR’がテルペノイドである。別の実施形態では、コアが無機コアであり、Rおよび/またはR’がC~C24アルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、複素環、共役C~C24アルキル、C~C24アルケニル、C~C24アルキニルまたはこれらの任意の組み合わせであり、Rおよび/またはR’がテルペノイドである。
【0064】
一実施形態では、構造(1)~(6)の「p」がコア表面の1平方nm当たりの抗微生物活性単位の表面密度を定義する。別の実施形態では、「p」がコア表面の1平方nm当たり0.01~30の抗微生物活性単位である。別の実施形態では、「p」がコア表面の1平方nm当たり0.01~20の抗微生物活性単位である。別の実施形態では、「p」がコア表面の1平方nm当たり0.01~10の抗微生物活性単位である。別の実施形態では、「p」がコア表面の1平方nm当たり0.01~15の抗微生物活性単位である。別の実施形態では、「p」がコア表面の1平方nm当たり0.01~5の抗微生物活性単位である。
【0065】
一実施形態では、構造(1)~(6)のnが0~200である。別の実施形態では、nが0~10である。別の実施形態では、nが10~20である。別の実施形態では、nが20~30である。別の実施形態では、nが30~40である。別の実施形態では、nが40~50である。別の実施形態では、nが50~60である。別の実施形態では、nが60~70である。別の実施形態では、nが70~80である。別の実施形態では、nが80~90である。別の実施形態では、nが90~100である。別の実施形態では、nが100~110である。別の実施形態では、nが110~120である。別の実施形態では、nが120~130である。別の実施形態では、nが130~140である。別の実施形態では、nが140~150である。別の実施形態では、nが150~160である。別の実施形態では、nが160~170である。別の実施形態では、nが170~180である。別の実施形態では、nが180~190である。別の実施形態では、nが190~200である。
【0066】
一実施形態では、構造(1)~(6)のnが0~200である。別の実施形態では、nが0~10である。別の実施形態では、nが10~20である。別の実施形態では、nが20~30である。別の実施形態では、nが30~40である。別の実施形態では、nが40~50である。別の実施形態では、nが50~60である。別の実施形態では、nが60~70である。別の実施形態では、nが70~80である。別の実施形態では、nが80~90である。別の実施形態では、nが90~100である。別の実施形態では、nが100~110である。別の実施形態では、nが110~120である。別の実施形態では、nが120~130である。別の実施形態では、nが130~140である。別の実施形態では、nが140~150である。別の実施形態では、nが150~160である。別の実施形態では、nが160~170である。別の実施形態では、nが170~180である。別の実施形態では、nが180~190である。別の実施形態では、nが190~200である。
【0067】
一実施形態では、構造(1)~(6)のmが1~200である。別の実施形態では、mが1~10である。別の実施形態では、mが10~20である。別の実施形態では、mが20~30である。別の実施形態では、mが30~40である。別の実施形態では、mが40~50である。別の実施形態では、mが50~60である。別の実施形態では、mが60~70である。別の実施形態では、mが70~80である。別の実施形態では、mが80~90である。別の実施形態では、mが90~100である。別の実施形態では、mが100~110である。別の実施形態では、mが110~120である。別の実施形態では、mが120~130である。別の実施形態では、mが130~140である。別の実施形態では、mが140~150である。別の実施形態では、mが150~160である。別の実施形態では、mが160~170である。別の実施形態では、mが170~180である。別の実施形態では、mが180~190である。別の実施形態では、mが190~200である。
【0068】
一実施形態では、本発明の抗微生物活性基が以下から選択され得る:(a)少なくとも1つのテルペノイド部分を含む第三級アミン(すなわち、Rおよび/またはR’が何もない)または第三級アンモニウム(すなわち、Rおよび/またはR’が水素である)(b)少なくとも1つのテルペノイド部分を含む第四級アンモニウム基(c)4~24個の炭素原子を有する少なくとも1つのアルキル基を含む第四級アンモニウム基;および(d)4~24個の炭素原子を有する少なくとも1つのアルキル基を含む第三級アミン(すなわち、Rおよび/またはR’は何もない)または第三級アンモニウム(すなわち、Rおよび/またはR’は水素である)。各可能性が本発明の別個の実施形態を表す。
【0069】
一実施形態では、構造(1)~(6)によって表される本発明の粒子が、抗微生物活性単位と、不活性コアとを含み、抗微生物活性単位およびコアは間接的に結合している。
【0070】
いくつかの実施形態では、L、LまたはLがそれぞれ独立に、同じまたは異なるリンカーである。いくつかの実施形態では、L、LおよびLが任意の可能な方法で互いに接続されている。いくつかの実施形態では、Lが何もなく、LまたはLがコアに共有結合的に接続されている。別の実施形態では、Lがコアに共有結合的に接続されており、LまたはLがLに接続されている。別の実施形態では、LがX、X’およびLまたはコアに接続されている。別の実施形態では、「リンカー」が、このようなリンカーに隣接している少なくとも2つの他の化学部分を接続することができる任意の可能な化学部分を含む。別の実施形態では、抗微生物活性単位のモノマー単位が、第1および/または第2のリンカー(LまたはL)と、抗微生物基とを含む。別の実施形態では、Lおよび/またはLが抗微生物活性単位の骨格である。いくつかの実施形態では、リンカーが官能基を含む。別の実施形態では、リンカーが2つの(同じまたは異なる)官能基を含む。別の実施形態では、官能基が、ホスフェート、ホスホネート、シロキサン、シラン、エーテルアセタール、アミド、アミン、無水物、エステル、ケトン、または前記部分のいずれかで官能化された1または複数の芳香環を含む。各可能性が本発明の別個の実施形態を表す。
【0071】
別の実施形態では、LまたはLが、少なくとも1つのカルボキシル部分で置換されたC1~C18アルキレン、アルケニレン、アルキニレンまたはアリールであり、カルボキシル末端がコアに結合している。このリンカーは、少なくとも1つのカルボキシル部分で置換され、抗微生物活性基[-N(R)(R)(R)、-NH(R)(R)、-N(R)(R)-N(R’)(R’)(R’)、-NH(R’)(R’)または-N(R’)(R’)(構造(1)~(6)に定義される)]に修飾されたアミノ末端を有するC1~C18アルキレンから誘導され得る。このリンカーは、2~18個の炭素原子の鎖長を有する天然もしくは合成起源のアミノ酸(ポリペプチド)、または前記アミノ酸のハロゲン化アシルから誘導され得る。このようなアミノ酸の非限定的な例は、18-アミノオクタデカン酸および18-アミノステアリン酸である。別の実施形態では、LまたはLが、少なくとも1つのアミンまたはアミド部分で置換されたC1~C18アルキレンである。
【0072】
別の実施形態では、L、L、Lまたはこれらの任意の組み合わせが、C1~C18アルキレン、アルケニレン、アルキニレンまたはアリールである。このリンカーは、ハロゲン部分をコアに結合する官能基に置き換えること、およびハロゲン部分を置き換えて[-N(R)(R)(R)、-NH(R)(R)、-N(R)(R)-N(R’)(R’)(R’)、-NH(R’)(R’)または-N(R’)(R’)(構造(1)~(6)に定義される)]を得ることによって、それぞれ、コアおよび抗微生物活性基で各末端が官能化されたジハロアルキレンから誘導され得る。
【0073】
別の実施形態では、L、L、Lまたはこれらの任意の組み合わせが、4,4-ビフェノール、ジ安息香酸、ジ安息香酸ハロゲン化物、ジ安息香酸スルホネート、テレフタル酸、テトラフタル酸ハロゲン化物、およびテレフタル酸スルホネートという非限定的な例から誘導される芳香族基である。このリンカーは、その官能基(すなわち、ヒドロキシル、カルボキシまたはスルホネート)を通して、それぞれコアおよび抗微生物活性基で官能化される。別の実施形態では、このリンカーが、一端でコアに直接的にまたは第3のリンカー(L)を介して間接的に結合しており、他端で抗微生物活性基[-N(R)(R)(R)、-NH(R)(R)、-N(R)(R)-N(R’)(R’)(R’)、-NH(R’)(R’)または-N(R’)(R’)(構造(1)~(6)に定義される)]に修飾されている。
【0074】
別の実施形態では、L、L、Lまたはこれらの任意の組み合わせが、トリアルコキシアルキルシラン、トリアルコキシアリールシラン、トリハロアルキルシラン、トリハロアリールシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)およびN-2アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシランという非限定的な例から誘導および/または選択されるシロキサンまたはシラン基である。このリンカーは、その官能基(すなわち、ヒドロキシル、シロキサン、カルボキシ、アミドまたはスルホネート)を通して、それぞれコアおよび抗微生物活性基で官能化される。別の実施形態では、このリンカーが、一端でコアに直接的にまたは第3のリンカー(L3)を介して間接的に結合しており、他端で抗微生物活性基[-N(R)(R)(R)、-NH(R)(R)、-N(R)(R)-N(R’)(R’)(R’)、-NH(R’)(R’)または-N(R’)(R’)(構造(1)~(6)に定義される)]に修飾されている。
【0075】
一実施形態では、本発明の抗微生物活性基が以下から選択され得る:(a)少なくとも1つのテルペノイド部分を含む第三級アミン(すなわち、Rおよび/またはR’が何もない)または第三級アンモニウム(すなわち、Rおよび/またはR’が水素である)(b)少なくとも1つのテルペノイド部分を含む第四級アンモニウム基(c)4~24個の炭素原子を有する少なくとも1つのアルキル基を含む第四級アンモニウム基;および(d)4~24個の炭素原子を有する少なくとも1つのアルキル基を含む第三級アミン(すなわち、Rおよび/またはR’は何もない)または第三級アンモニウム(すなわち、Rおよび/またはR’は水素である)。各可能性が本発明の別個の実施形態を表す。
【0076】
このリンカーは、その官能基(すなわち、ヒドロキシル、シロキサン、カルボキシ、アミドまたはスルホネート)を通して、それぞれコアおよび抗微生物活性基で官能化される。別の実施形態では、このリンカーが、一端でコアに直接的にまたは第3のリンカー(L3)を介して間接的に結合しており、他端で抗微生物活性基[-N(R)(R)(R)、-NH(R)(R)、-N(R)(R)-N(R’)(R’)(R’)、-NH(R’)(R’)または-N(R’)(R’)(構造(1)~(6)に定義される)]に修飾されている。
【0077】
別の実施形態では、本発明の抗微生物活性単位内のモノマー単位が、式IAの構造:
【化15】
【0078】
(式中、
およびRは独立に、直鎖もしくは分岐アルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、アルキニルまたはこれらの任意の組み合わせであり;
は何もない、直鎖もしくは分岐アルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、アルキニルまたはこれらの任意の組み合わせであり;Rが何もない場合、窒素は帯電しておらず、
qは0~16の整数である)
によって表され、
前記モノマー単位が、直接または第3のリンカー(L3)を介して無機コアの表面に化学的に結合している。
【0079】
別の実施形態では、本発明の抗微生物活性単位内のモノマー単位が、式IBの構造:
【化16】
【0080】
(式中、
およびRは独立に、直鎖もしくは分岐アルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、アルキニルまたはこれらの任意の組み合わせであり;
は何もない、直鎖もしくは分岐アルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、アルキニルまたはこれらの任意の組み合わせであり;Rが何もない場合、窒素は帯電しておらず、
qおよびqは独立に、0~16の整数である)
によって表され、
前記モノマー単位が、直接または第3のリンカー(L3)を介して無機コアの表面に化学的に結合している。
【0081】
別の実施形態では、本発明の抗微生物活性単位内のリンカー分子が、式ICの構造:
【化17】
【0082】
(式中、
201、Q202およびQ203はアルコキシ、メチル、エチル、水素、スルホネートおよびハロゲン化物からなる群から独立に選択され、Q201、Q202およびQ203の少なくとも1つはエトキシ、メトキシ、スルホネート(例えば、メシル、トシル)およびハロゲン化物から選択され;
qは0~16の整数である)
によって表され;
リンカー分子が、ケイ素原子を通して無機コアの表面に化学的に結合することができ、
抗微生物活性基が、上記のように、少なくとも1つのテルペノイド基を含む抗微生物活性第三級アミンまたは第四級アンモニウム基を得るために、第一級アミンを官能化することによって導入される。
【0083】
別の実施形態では、本発明の抗微生物活性単位内のリンカー分子が、式IDの構造:
【化18】
【0084】
(式中、
201、Q202およびQ203はアルコキシ、メチル、エチル、水素、スルホネートおよびハロゲン化物からなる群から独立に選択され、Q201、Q202およびQ203の少なくとも1つはエトキシ、メトキシ、スルホネート(例えば、メシル、トシル)およびハロゲン化物から選択され;
WはNH、ハロゲン化物、スルホネートおよびヒドロキシルからなる群から選択され;
qは0~16の整数である)
によって表され;
前記リンカーが、ケイ素原子を通して前記無機コアの表面に化学的に結合することができ;
抗微生物活性基が、基Wを抗微生物活性基で置換する、または基Wを抗微生物活性基に変換することによって導入される。
【0085】
本発明の粒子は、強化された抗微生物活性を示す。いかなる理論にも機構にも拘束されることはないが、このような活性は、所与のコアの表面上に密集した抗微生物基の存在、ならびにホスト材料の表面上に詰まっている高密度の粒子に起因すると仮定できる。この密度は、本発明の粒子中の各抗微生物活性単位が増加する数の抗微生物活性基を含むにつれて増加し、活性官能基の高い局所濃度をもたらし、抗微生物活性基の高い有効濃度をもたらし、比較的少量の粒子を使用して、有効な細菌消滅を達成することを可能にする。抗微生物基の密集は、とりわけ、各粒子表面から突出する多数の抗微生物活性単位によるものである。したがって、抗微生物基は、粒子の利用可能な表面積の大部分(表面を覆う幅寸法)をカバーする。抗微生物基の表面密度は、抗微生物抑制効果を促進する高い有効濃度をもたらす。本発明の原理によると、高い表面密度は高い抗微生物効率を規定する。
【0086】
本明細書で使用される「ナノ粒子」という用語は、約1000nm未満の直径を有する粒子を指す。本明細書で使用される「微粒子」という用語は、約1000nm以上の直径を有する粒子を指す。
【0087】
本発明の抗微生物粒子は、約5~約100000nmの直径を有することを特徴とし、したがって、ナノ粒子組成物と微粒子組成物の両方を包含する。約10~約50000nmの粒子が好ましい。他の実施形態では、粒子の直径が1000nm超である。他の実施形態では、粒子の直径が10000nm超である。他の実施形態では、粒子の直径が1000~50000nmである。他の実施形態では、粒子の直径が5~250nmである。他の実施形態では、粒子の直径が5~500nmである。別の実施形態では、粒子の直径が5~1000nmである。他の粒径範囲が適用可能であり、本発明の範囲内に包含されることは、当業者には明らかである。
【0088】
テルペノイド基を含む抗微生物活性基
一実施形態では、本発明の抗微生物活性基が、少なくとも1つのテルペノイド基を含み、(a)少なくとも1つのテルペノイド部分を含む第三級アミン(Rおよび/またはR’は何もない)または第三級アンモニウム(Rおよび/またはR’はHである);および(b)少なくとも1つのテルペノイド部分を含む第四級アンモニウム基から選択される。
【0089】
いくつかの実施形態では、式(1)~(6)の抗微生物活性基が、(a)各第三級アミン/アンモニウムの窒素原子がXまたはXへの少なくとも1つの結合およびテルペノイド部分への1つの結合を有する、第三級アミン(Rおよび/またはR’は何もない)または第三級アンモニウム(Rおよび/またはR’はHである);(b)各第三級アミン/アンモニウムの窒素原子がXまたはXへの1つの結合、および互いに同じであっても異なっていてもよいテルペノイド部分への2つの結合を有する第三級アミン(Rおよび/またはR’は何もない)または第三級アンモニウム(Rおよび/またはR’はHである)、または前記第三級アミンの塩;(c)各第四級アンモニウム基の窒素原子がXまたはXへの少なくとも1つの結合および互いに同じであっても異なっていてもよいテルペノイド部分への1つまたは2つの結合を有する、第四級アンモニウム基から選択される;各可能性が本発明の別個の実施形態を表す。
【0090】
「イソプレノイド」としても知られる「テルペノイド」という用語は、5炭素イソプレン単位から誘導される天然に存在する化合物の大きなクラスを指す。
【0091】
一実施形態では、少なくとも1つのテルペノイド部分が、シンナムアルデヒド、ケイヒ酸、クルクミン、ビスシドンまたはシンナミルアルコールから誘導されるシナミル(cinammyl)基である。別の実施形態では、少なくとも1つのテルペノイド部分が、樟脳、ハロゲン化ボルニルまたはボルニルアルコールから誘導されるボルニル基である。別の実施形態では、少なくとも1つのテルペノイド部分がシトラールから誘導される。別の実施形態では、少なくとも1つのテルペノイド部分がペリルアルデヒドから誘導される。各可能性が本発明の別個の実施形態を表す。
【0092】
シンナムアルデヒドは、ニッケイ属(Cinnamomum)から抽出される天然アルデヒドである。これは、低い毒性ならびに種々の細菌および真菌に対する有効性で知られている。
【0093】
樟脳はクスノキ(クスノキ(Cinnamomum camphora))およびカプールの木の木材中に見られる。樟脳はまた、クスノキ科のいくつかの他の関連樹木、例えばオコテア・ウサンバレンシス(Ocotea usambarensis)、ならびに他の天然資源にも生じる。樟脳は、テレビン油から合成的に製造することもできる。樟脳は、RまたはSエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、およびラセミ混合物として見い出すことができる。各可能性が本発明の別個の実施形態を表す。
【0094】
シトラール、または3,7-ジメチル-2,6-オクタジエナールまたはレモナールは、2つのジアステレオマーテルペノイドの混合物である。2つの化合物は二重結合異性体である。E異性体はゲラニアールまたはシトラールAとして知られている。Z異性体はネラールまたはシトラールBとして知られている。シトラールは抗微生物活性を有することが知られている。
【0095】
ペリラアルデヒドとしても知られるペリルアルデヒドは、一年草シソで最も、ならびに多種多様な他の植物および精油でも見られる天然テルペノイドである。
【0096】
テルペノイドの他の例としては、それだけに限らないが、ウコンおよびカラシの種子に見られるクルクミノイド、オガルカヤ属(Cymbopogon)(レモングラス)に見られるシトロネラール、ならびにオリガヌム・ヴルガレ(Origanum vulgare)(オレガノ)、タイム、コショウソウ、ワイルドベルガモットおよびリピア・グラベオレンス(Lippia graveolens)に見られるカルバクロールが挙げられる。各可能性が本発明の別個の実施形態を表す。
【0097】
上記実施形態によると、抗微生物活性テルペノイド部分が、以下からなる群から選択される。
【化19】
【化20】
【化21】
【化22】
【0098】
またはこれらの任意の組み合わせ;
【化23】
【化24】
【化25】
【0099】
各可能性が本発明の別個の実施形態を表す。
【0100】
本発明の原理による官能性抗微生物活性第三級アミン基またはそのプロトン化形態の非限定的な例は以下である:
【化26】
【化27】
【0101】
(式中、Rはアルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、複素環、アルケニル、アルキニルまたはこれらの任意の組み合わせである)。
【0102】
本発明の原理による抗微生物活性第四級アンモニウム基の非限定的な例は以下である:
【化28】
【化29】
【0103】
(式中、Rはアルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、複素環、アルケニル、アルキニルまたはこれらの任意の組み合わせであり;
はアルキル、テルペノイド部分、シクロアルキル、アリール、複素環、アルケニル、アルキニルまたはこれらの任意の組み合わせである)。
【0104】
本発明の抗微生物活性基は、上記のように、第三級アミンの形態、またはプロトン化された前記第三級アミンの形態、または第四級アンモニウム塩の形態であり得る。アンモニウム基は正に帯電しているので、その電荷はアニオンと釣り合う。好ましくは、本発明による粒子では、このアニオンがハロゲン化物、例えばフッ化物、塩化物、臭化物またはヨウ化物であり、およびフッ化物が最も好ましい。他の可能なアニオンには、それだけに限らないが、重炭酸、硝酸、リン酸、酢酸、フマル酸、コハク酸および硫酸が含まれる。各可能性が本発明の別個の実施形態を表す。
【0105】
1つの長いアルキル基を含む抗微生物活性基。
【0106】
別の実施形態によると、本発明の抗微生物活性基[-N(R)(R)(R)、-NH(R)(R)、-N(R)(R)-N(R’)(R’)(R’)、-NH(R’)(R’)または-N(R’)(R’)(構造(1)~(6)に定義される)]が、各アミン/アンモニウム基の窒素原子がXまたはXへの少なくとも1つの結合、4~24個の炭素原子を有するアルキル基(Rおよび/またはR’)への少なくとも1つの結合を有する第四級アンモニウム基、第三級アミンまたは第三級アンモニウムである。別の実施形態では、各アミン/アンモニウム基の窒素原子が、コアへの1つの結合、4~24個の炭素原子を有するアルキル基(Rおよび/またはR’)への1つの結合を有する。
【0107】
アンモニウム基は正に帯電しているので、その電荷はアニオンと釣り合うはずである。上記の対イオンのいずれかを使用して、第四級アンモニウム基を釣り合わせることができる。
【0108】
いくつかの実施形態では、各第四級アンモニウムまたは第三級アンモニウム基の窒素原子が、(i)XまたはXへの少なくとも1つの結合、および(ii)4~24個の炭素原子を有するアルキル基への少なくとも1つの結合を有する。
【0109】
いくつかの実施形態では、式(1)~(6)の抗微生物活性基が、(a)各第三級アミン/アンモニウムの窒素原子がXまたはXへの少なくとも1つの結合および4~24個の炭素原子を有するアルキル基への1つの結合を有する、第三級アミン(Rおよび/またはR’は何もない)または第三級アンモニウム(Rおよび/またはR’はHである);(b)各第三級アミン/アンモニウムの窒素原子がXまたはXへの1つの結合、および互いに同じであっても異なっていてもよい4~24個の炭素原子を有するアルキル基への2つの結合を有する第三級アミン(Rおよび/またはR’は何もない)または第三級アンモニウム(Rおよび/またはR’はHである)、または前記第三級アミンの塩;(c)各第四級アンモニウム基の窒素原子がXまたはXへの少なくとも1つの結合および互いに同じであっても異なっていてもよい4~24個の炭素原子を有するアルキル基への1つまたは2つの結合を有する、第四級アンモニウム基から選択される。各可能性が本発明の別個の実施形態を表す。
【0110】
「第四級アンモニウム基」という用語は、窒素原子とそこに結合した4つの置換基(水素とは異なる)からなる原子群を指す。別の実施形態では、「第四級アンモニウム基」が、窒素原子と各基が炭素原子を通して窒素に結合している4つの基からなる原子群を指す。「長いアルキル基」または鎖という用語は、第四級アンモニウム基の窒素原子上で置換され、4~24個の炭素原子を有するこのようなアルキル基または鎖を指す。いくつかの現在好ましい実施形態では、アルキル基が4~18個の炭素原子を有するアルキル基である。いくつかの現在好ましい実施形態では、アルキル基が4~8個の炭素原子を有するアルキル基である。いくつかの現在好ましい実施形態では、アルキル基が4~10個の炭素原子を有するアルキル基である。他の現在好ましい実施形態では、アルキル基が6、7または8個の炭素原子を有するアルキル基であり、各可能性が本発明の別個の実施形態を表す。
【0111】
有機ポリマーコア
いくつかの実施形態では、抗微生物粒子のコアが有機ポリマーコアである。一実施形態では、有機コアが少なくとも1つの脂肪族ポリマーを含む。本発明の範囲内で使用される「脂肪族ポリマー」は、芳香族側基を含む(がこれに限定されない)種々の側基で置換され得る脂肪族モノマーでできたポリマーを指す。本発明による粒子に含まれ得る脂肪族ポリマーは、ポリマー骨格の一部として窒素原子(ならびに他のヘテロ原子)を含む。一実施形態では、粒子のコアが、構造1について定義されるR、Rおよび/またはRで置換され得るアミンを含む;あるいはアミンに化学的に修飾され、次いで、構造1について定義されるR、Rおよび/またはRで置換されるイミンを含む有機ポリマーコアである。脂肪族ポリマーの非限定的な例は、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリビニルアミン(PVA)、ポリ(アリルアミン)(PAA)、ポリ(アミノエチルアクリレート)、ぶら下がったアルキル-アミノ基を有するポリペプチド、およびキトサンである。各可能性が本発明の別個の実施形態を表す。1つの現在好ましい実施形態では、ポリマーがポリエチレンイミン(PEI)である。
【0112】
別の実施形態では、有機コアが、以下の群:ポリスチレン、アミノメチル化スチレンポリマー、芳香族ポリエステル、好ましくはポリエチレンテレフタレート、およびポリビニルピリジンから選択される少なくとも1つの芳香族ポリマーを含む。
【0113】
ポリマーコアは、直接(すなわち、構造(1)~(3)中:Lは結合である)またはリンカーを介して抗微生物活性部分に結合し得る。各可能性が本発明の別個の実施形態を表す。
【0114】
一実施形態では、有機ポリマーコアが、2つ以上の異なる有機ポリマーの組み合わせを含む。別の実施形態では、有機ポリマーコアがコポリマーを含む。
【0115】
いくつかの実施形態では、抗微生物活性単位が、直接(Lは結合である)またはリンカー(L)を介して有機ポリマーコアに結合している。これらの実施形態では、リンカーが以下から選択され得る:
(a)少なくとも1つのカルボキシル部分で置換されたC1~C18アルキレン。このリンカーは、カルボキシル末端がコアに結合しており、アミノ末端が抗微生物活性基[-N(R)(R)(R)、-NH(R)(R)、-N(R)(R)-N(R’)(R’)(R’)、-NH(R’)(R’)または-N(R’)(R’)(構造(1)~(6)に定義される)]に修飾された、少なくとも1つのカルボキシル部分および少なくとも1つのアミノ部分で置換されたアルキレンから誘導され得る。このリンカーは、2~18個の炭素原子の鎖長を有する天然もしくは合成起源のアミノ酸、または前記アミノ酸のハロゲン化アシルから誘導され得る。このようなアミノ酸の非限定的な例は、18-アミノオクタデカン酸および18-アミノステアリン酸である;
(b)C1~C18アルキレン。このリンカーは、ハロゲン部分をコアに結合する官能基に置き換えること、およびハロゲン部分を置き換えて[-N(R)(R)(R)、-NH(R)(R)、-N(R)(R)-N(R’)(R’)(R’)、-NH(R’)(R’)または-N(R’)(R’)(構造(1)~(6)に定義される)]を得ることによって、それぞれ、コアおよび抗微生物活性基で各末端が官能化されたジハロアルキレンから誘導され得る;および
(c)4,4-ビフェノール、ジ安息香酸、ジ安息香酸ハロゲン化物、ジ安息香酸スルホネート、テレフタル酸、テトラフタル酸ハロゲン化物、およびテレフタル酸スルホネートから誘導される芳香族分子。このリンカーは、その官能基(すなわち、ヒドロキシル、カルボキシまたはスルホネート)を通して、それぞれコアおよび抗微生物活性基で官能化される。別の実施形態では、このリンカーが、一端でコアに結合しており、他端で抗微生物活性基[-N(R)(R)(R)、-NH(R)(R)、-N(R)(R)-N(R’)(R’)(R’)、-NH(R’)(R’)または-N(R’)(R’)(構造(1)~(6)に定義される)]に修飾されている。別の実施形態では、リンカーが、アルキル、アルケニル、リン酸アルキル、アルキルシロキサン、カルボキシレート、エポキシ、ハロゲン化アシルおよび無水物、またはこれらの組み合わせを含み、官能基がコアに結合している。各可能性が本発明の別個の実施形態を表す。
【0116】
種々のポリマー鎖が、それ自体が種々のポリマー特性の蓄積となり得る一定範囲の特性を提供し、予想外の相乗特性を提供さえし得る。このような混合ポリアミン粒子の例としては、ジハロアルカンを介したポリエチレンイミンおよびポリ(4-ビニルピリジン)などの脂肪族および芳香族ポリアミンの架橋;直鎖短鎖ポリエチレンイミンと分岐高分子量ポリエチレンイミンの混合物;架橋ポリビニルピリジン粒子内に埋め込まれたポリエチレンイミンなどのポリアミン足場内のポリアミンの相互貫入組成物、またはポリスチレン粒子などの低密度非アミン足場へのポリアミンの相互貫入が挙げられる。換言すれば、化学的架橋または物理的架橋(相互貫入ネットワーク)によって、粒子を形成する目的でポリアミン組み合わせを使用すると、様々な特性の構造を得ることができる(ある細菌を別の種類の細菌と比較してよく殺傷することができるなど)。このような特性は、本質的に相加的または相乗的であり得る。
【0117】
1つの具体的な実施形態では、有機ポリマーコアが架橋剤で架橋されている。好ましい架橋度は1%~20%であり、約2%~約5%の架橋である場合が好ましい。架橋は、ポリマーのアンフォールディングおよび粒子を形成する種々のポリマー鎖の分離を防止し得る。
【0118】
架橋は、有機合成およびポリマー科学の当業者に知られ得るように、それ自体が当技術分野で知られている種々の薬剤および反応によって及ぼされ得る。例えば、架橋は、ジブロモエタン、ジブロモシクロヘキサン、またはビスブロモメチルベンゼンなどのジハロアルカンでポリマー鎖をアルキル化することによって及ぼされ得る。あるいは、還元的アミノ化による架橋を使用してもよい。この方法では、第一級アミンを含むポリアミンをジケトンまたはアルカンジアルデヒドと反応させてイミン架橋剤を形成し、次いで、これを対応するアミンにさらに水素化する。このアミンをさらに反応させて、抗微生物有効性第四級アンモニウム基を形成する。このような方法では、ジハロアルカンまたはジアルデヒドの代わりに、トリもしくはポリハロアルカンまたはポリアルデヒドまたはポリケトンを使用する。
【0119】
本発明によるポリマーコアを調製するのに有用な好ましいポリマーは、10%未満の架橋剤を使用して架橋され得る30モノマー単位、好ましくは100モノマー単位でできた鎖を有するものである。ポリマーが長いほど、不溶性コアを得るために必要な架橋結合が少なくなる。不溶性コアを形成するのに必要な架橋が少量であるので、分岐ポリマーが架橋に好ましい。
【0120】
いくつかの実施形態では、有機ポリマーコア中のアミン基の少なくとも約10%が、本明細書に記載される抗微生物活性第三級アミン/アンモニウムまたは第四級アンモニウム基またはその塩である。
【0121】
一実施形態では、本発明による抗微生物粒子が、ホストポリマーまたはそのモノマーと反応することができる官能基を有する。このような官能基は、粒子がホスティング材料に化学的に結合できるように設計される。
【0122】
無機コア
いくつかの実施形態では、本発明の抗微生物粒子のコアが、1つまたは複数の無機材料を含む無機コアである。無機コアは、有機ポリマーコアに対するいくつかの利点を有する:1)高温での安定性が高い;2)種々の溶媒および試薬に対する化学的安定性が高い;3)機械的強度の改善;4)両親媒性のために、コンポジットの取り扱い品質が良い;および5)低コスト。
【0123】
無機コアの追加の利点は、ポリマーマトリックス(ホスト)内のポリマー材料への官能化粒子の挿入に関連している。ラジカル重合によって製造される有機コア(例えば、アクリレート樹脂)と対照的に、重合反応を妨害する傾向がある有機ポリマーコアと対照的に、無機コアは重合プロセスを妨害しないので、最終基質の機械的特性を危険にさらさない。
【0124】
一実施形態では、無機コアが、シリカ、金属、金属酸化物またはゼオライトを含む。各可能性が本発明の別個の実施形態を表す。
【0125】
一実施形態では、本発明の粒子のコアがシリカ(SiO)を含む。シリカは当技術分野で既知の任意の形態であってよく、その非限定的な例としては、多面体オリゴマーシルセスキオキサン(POSS)、非晶質シリカ、高密度シリカ、エアロゲルシリカ、多孔質シリカ、メソポーラスシリカおよびヒュームドシリカが挙げられる。
【0126】
粒子表面上の活性基の表面密度は、抗微生物活性に対して比例した影響を及ぼす。これは、有機粒子と無機粒子の両方に同様に当てはまる。別の実施形態では、本発明の粒子のコアが、ケイ酸塩(SiO -4)のガラスまたはセラミックを含む。ケイ酸塩の非限定的な例としては、アルミノケイ酸塩、ホウケイ酸塩、ケイ酸バリウム、ホウケイ酸バリウムおよびホウケイ酸ストロンチウムが挙げられる。
【0127】
別の実施形態では、本発明の粒子のコアが、銀、金、白金、パラジウム、銅、亜鉛および鉄の群から選択される表面活性化金属を含む。
【0128】
別の実施形態では、本発明の粒子のコアが、二酸化ジルコニウム、二酸化チタン、二酸化バナジウム、酸化亜鉛、酸化銅および磁鉄鉱の群から選択される金属酸化物を含む。
【0129】
無機コアは、典型的には、低空隙率の固体均一形態、または約1~約30nmの孔径直径を有する多孔質形態を有する。
【0130】
別の実施形態では、本発明の粒子のコアが、天然または人工ゼオライトを含む。
【0131】
一実施形態では、コアが、直接(すなわち、構造(1)~(3)中:Lは結合である)またはリンカー(L)を介して抗微生物単位に結合し得る。好ましくは、シリカ(SiO)系無機コアは、リンカー(L)を通して抗微生物部分に結合し得るが、ケイ酸塩(SiO -4)のガラスもしくはセラミック、金属または金属酸化物は、直接(すなわち、構造(1)~(3)中:Lは結合である)抗微生物単位に結合し得る。
【0132】
いくつかの実施形態では、無機コアが、抗微生物単位に直接(すなわち、構造(1)~(3)中:Lは結合である)結合している。他の実施形態では、無機コアが、リンカーを通して抗微生物単位に結合している。いくつかの実施形態では、リンカーが以下の群から選択される:C1~C18アルキレン;少なくとも1つのシランまたはアルコキシシラン部分で置換されたC1~C18アルキレン;少なくとも1つのホスフェート部分で置換されたC1~C18アルキレン;少なくとも1つの無水物部分で置換されたC1~C18アルキレン;少なくとも1つのカルボキシレート部分で置換されたC1~C18アルキレン;および少なくとも1つのグリシジル部分で置換されたC1~C18アルキレン。各可能性が本発明の別個の実施形態を表す。
【0133】
上記の粒子の無機コアは、一般に、球、不定形多角形、浅いフレーク状、およびロッドから選択される形態であり得る。いくつかの代表的な実施形態では、無機コアが球状であり、約5~約100000nmの直径を有する。いくつかの代表的な実施形態では、無機コアが球状であり、約1000~100000nmの直径を有する。いくつかの代表的な実施形態では、無機コアが球状であり、約1~約100nmの孔径で約100~1000nmの直径を有する。別の実施形態では、無機球状コアが、約1~約50nmの孔径を有する。別の実施形態では、無機球状コアが、約1~約30nmの孔径を有する。別の実施形態では、無機粒子が、約5~約1000nmの直径および約10~約1000000nmの長さを有するロッドの形態である。別の実施形態では、長さが50~100000nmである。別の実施形態では、長さが100~250000nmである。別の実施形態では、長さが200~500000nmであり、孔径が約1~約50nmである。各可能性が本発明の別個の実施形態を表す。
【0134】
抗微生物活性部分1つ当たり1つのモノマー単位を含む抗微生物粒子の調製
本発明の粒子は、コアの性質、抗微生物活性基、およびリンカーの存在または非存在に応じて、種々の方法に従って調製され得る。調製方法のいくつかの非限定的な例を以下に提供する。
【0135】
一実施形態では、本発明は、抗微生物粒子を調製する方法であって、粒子が1抗微生物活性単位当たり1つのモノマー単位を含む方法を提供する。以下では、このような方法を詳細に提示する。
【0136】
抗微生物活性基が少なくとも1つのテルペノイド部分を含む第三級アミンまたは第四級アンモニウム基である、本発明による粒子を調製する代表的な方法が図2に表されている。図2によると、本明細書で定義されるコアは、第一級アミンで官能化されている。第一級アミンはアルデヒドと反応して最初に式(A’)のイミン(シッフ塩基)中間体を生成し、次いで、還元的アミノ化条件下で第2のアルデヒドと反応して式(B’)の第三級アミンを生成する。RC(=O)HおよびR’C(=O)Hはそれぞれ、テルペノイドであるまたはテルペノイドから誘導されるアルデヒドを表す。RC(=O)HとR’C(=O)Hは同じであっても互いに異なっていてもよい。第三級アミンの第四級アンモニウム基への変換は任意であり、第三級アミンと基R-Y(式中、RはC~Cアルキルであり、Yはハロゲンまたはスルホネートなどの脱離基である)の反応を伴う。
【0137】
この群
【化30】
【0138】
は、以下の1つまたは複数を表し得ることが理解される:
1.NHに直接結合した有機コア。
【0139】
2.本明細書に記載されるリンカーを通してNHに結合した有機コア。
【0140】
3.NHに直接結合した無機コア。
【0141】
4.本明細書に記載されるリンカーを通してNHに結合した無機コア。
【0142】
例示される反応(図2)は、「ワンポット合成」であってもよく、または第1のステップで形成された中間体の単離を伴う2つの連続した反応を含んでもよい。第1のステップは、アミン官能化コアを、還元剤の存在下でテルペノイド部分、この場合はNaBHの存在下でシンナミルと反応させることによる、イミン(シッフ塩基)である中間体(A’)の形成である。所望であれば、この段階でイミン官能化コアを単離することができる。あるいは、還元剤の存在下で中間体(A’)をテルペノイド部分とさらに反応させると、2つのテルペノイド部分を含む第三級アミン(B’)が得られる。第四級アンモニウムを得るために、図2に記載されるように追加のアルキル化ステップが実施される。
【0143】
図3に提示される方法はシンナムアルデヒドを使用しているが、他のアルデヒドにも適用可能である。よって、いくつかの実施形態では、本発明は、(i)無機コアまたは有機ポリマーコアと、(ii)好ましくは10平方nm当たり少なくとも1つのイミン基の表面密度で、コアに化学的に結合したイミン部分とを含む粒子であって、イミン基はテルペノイド部分を含む粒子を提供する。イミン部分は一般に、図2の式(B’)の構造によって表される。より具体的な実施形態は、図3の式(B)の構造である。本明細書に記載される他のテルペノイド基を含む他のイミン中間体化合物も本発明によって包含されることが当業者によって理解される。
【0144】
抗微生物活性基が4~18個の炭素原子を有する1つのアルキル基を含む第四級アンモニウム基である、本発明による粒子を調製する代表的な方法が、図4に提示される。この方法は、第四級アンモニウム塩(QAS)官能化粒子を調製する3つの経路を含む。A)最初に第三級アミンを得るための還元的アミノ化の利用、引き続いてアルキル化反応、B)段階的アルキル化反応;およびC)脱離基(例えば、Clまたは他のハロゲン)で官能化されたリンカーを第三級アミンと反応させること。RおよびRはメチル、エチル、プロピルまたはイソプロピルなどのC~Cアルキルを表す。RおよびRは異なる基であっても同じ基であってもよい。Yは任意の脱離基、例えばCl、BrもしくはI、またはスルホネート(例えばメシル、トシル)を表す。
【0145】
この群
【化31】
【0146】
は、図2および3について前述した意味のいずれか1つを持っていることが理解されます。
【0147】
この群
【化32】
【0148】
は、以下の1つまたは複数を表し得ることが理解される:
1.Yに直接結合した有機コア。
【0149】
2.本明細書に記載されるリンカーを通してYに結合した有機コア。
【0150】
3.Yに直接結合した無機コア。
【0151】
4.本明細書に記載されるリンカーを通してYに結合した無機コア。
【0152】
コア官能化は、固体支持体法または溶液法によって行われ得る(図2図6)。
【0153】
抗微生物活性部分1つ当たり1つのモノマー単位を含む抗微生物粒子を調製する方法としての固体支持体
官能化粒子の調製は、2つの一般的なステップで行われる。最初に、脱離基の加水分解を介してリンカー分子を粒子表面上で縮合させて(表面官能化)、式(図5、D’)の中間体を生成する。第2に、リンカー分子の官能性部位が、(図2図4)のいずれか1つに言及されるさらなる官能化(リンカー官能化)を受けて、式(E’)の官能化粒子を生成する。
【0154】
抗微生物活性部分1つ当たり1つのモノマー単位を含む抗微生物粒子を調製する方法としての溶液法
この方法では、リンカー分子を最初に抗微生物活性基で官能化して、式(図5、F’)の中間体を生成する。第2の段階では、中間体(F’)を粒子の固体表面上に沈降させて(表面官能化)、式(図5、E’)の官能化粒子を生成する。
【0155】
この方法は、シンナムアルデヒドについて図6に例示されているが、他のアルデヒドにも適用可能である。
【0156】
1抗微生物活性単位当たり2つ以上のモノマー単位を含む抗微生物粒子の調製
一実施形態では、本発明は、本発明のコンポジットの粒子を調製するための方法であって、粒子が1抗微生物活性単位当たり2つ以上のモノマー単位を含む方法を提供する。以下では、このような方法を詳細に提示する。
【0157】
1抗微生物活性単位当たり2つ以上のモノマー単位を含む抗微生物粒子を調製する方法としての固体支持体
固体支持体法はいくつかの段階を含む。最初に、脱離基の(酸触媒)加水分解を介してリンカー分子(数パーセントの希釈溶液)を粒子表面上で縮合させると(表面官能化)、結果としてリンカーがコアに結合する(図7、ステップ1)。第2に、結合したリンカーを伸長する。別の実施形態では、この段階が、1つ以上のステップを介して合成的に達成される。別の実施形態では、伸長が、二官能化アルカンおよびジアミノアルカンの連続添加によって達成され、(結合したリンカーおよびジアミノアルカンの)アミンが二官能化アルカンの求電子中心を攻撃する(図7、ステップ2および3)。別の実施形態では、このような連続添加を1~10回繰り返してもよい。最後に、抗微生物活性基(通常はアルキレン鎖に結合している)を、結果として結合および伸長したリンカーにグラフトする。別の実施形態では、結合および伸長したリンカー上のアミンが、グラフトされる抗微生物活性基の分子のハロゲン化アシル部分を攻撃すると、グラフトが達成される(図7、ステップ4)。
【0158】
別の実施形態では、同じトリアルコキシシランリンカー分子が最初に使用されるが、より高濃度(10重量%以上)であり、塩基性触媒作用下で最初に自己重合する(図8A)。固体支持リンカーの官能化は、1抗微生物活性単位当たりさらに1つのモノマー単位を含む粒子について前記の手順と同様に進行する(図2図5)。
【0159】
1抗微生物活性単位当たり2つ以上のモノマー単位を含む抗微生物粒子を調製する方法としての溶液法
溶液法はいくつかの段階を含む。第1のステップは、リンカー分子の伸長を伴う。別の実施形態では、このステップが、1つ以上のステップを介して合成的に達成される。別の実施形態では、伸長が、二官能化アルカンおよびジアミノアルカンの連続添加によって達成され、(リンカーおよびジアミノアルカンの)アミンが二官能化アルカンの求電子中心を攻撃する(図9、ステップ1および2)。別の実施形態では、このような連続添加を1~10回繰り返してもよい。第2の段階では、抗微生物活性基(通常はアルキレン鎖に結合している)を、結果として伸長したリンカーにグラフトする。別の実施形態では、伸長したリンカー上のアミンが、グラフトされる抗微生物活性基の分子のハロゲン化アシル部分を攻撃すると、グラフトが達成される(図9、ステップ3)。最後に、伸長した抗微生物活性リンカーを、その官能化を介してコアに結合する。このステップでは、脱離基の(酸触媒)加水分解を介してリンカー分子(数パーセントの希釈溶液)を粒子表面上で縮合させると(表面官能化)、結果としてリンカーがコアに結合する(図9、ステップ4)。
【0160】
この方法は、ジメチルエチルアンモニウムで官能化されたシリカについて図10図11に例示されているが、他のヒドロキシル末端コアおよび抗微生物活性基にも適用可能である。
【0161】
別の実施形態では、同じトリアルコキシシランリンカー分子が最初に使用されるが、より高濃度(10重量%以上)であり、塩基性触媒作用下で最初に自己重合する(図8B)。リンカーの官能化は、抗微生物活性部分1つ当たりさらに1つのモノマー単位を含む粒子について前記の手順と同様に進行する(図2図5)。
【0162】
コア粒子の調製
いくつかの実施形態では、抗微生物活性部分1つ当たり1つまたは複数のモノマー単位を含む本発明のコンポジットの粒子が、以下に従って調製されるコアを含む。
【0163】
多孔質シリカ材料は、SiClとアルコールまたは水の反応、引き続いて遠心分離を使用した乾燥および/または気流を利用したもしくは真空条件下での加熱によって調製することができる。高密度ヒュームドシリカ粒子(発熱性)は、SiClの熱分解によって調製した。
【0164】
シリカコア材料の代替調製方法は、アルコールまたは水溶液の存在下、および塩基性(ストーバー)または酸性触媒条件下で、テトラエチルオルトシリケート(TEOS)またはテトラメチルオルトシリケート(TMS)の加水分解によって行うことができる。
【0165】
メソポーラスシリカ粒子は、低温、好ましくは60℃を超えない温度でTEOSまたはTMSを加水分解し、引き続いて遠心分離により脱水および/または気流もしくは真空条件下で蒸発させることによって調製することができる。
【0166】
高密度粒子は、焼成と呼ばれる方法での強い加熱を利用して調製することができる。通常、このような方法は約250℃の高温で行われる。
【0167】
本発明の粒子を含む組成物
いくつかの実施形態では、本発明の組成物が、本発明の抗微生物粒子と、有機ポリマー、無機ポリマーまたはこれらの任意の組み合わせを含むポリマー材料とを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される粒子がポリマー材料に分散している。別の実施形態では、粒子がポリマー材料内に均一に分散している。別の実施形態では、粒子がポリマー材料の表面に見られる。別の実施形態では、粒子がポリマー材料を被覆する。別の実施形態では、粒子がポリマー材料と弱くまたは物理的に(機械的に)相互作用する。別の実施形態では、抗微生物粒子がポリマー材料内に機械的に埋め込まれている。別の実施形態では、これらの粒子が、複雑なネットワーク外への移動を防ぐポリマー鎖間に三次元的に「ロック」される。これらの粒子の強い疎水性も、生理学、歯科、整形外科、または他の医学用途の場合などに、粒子が親水性周囲に移動するのを防ぐ役割を果たす。別の実施形態では、ポリマー材料が粒子に対して不活性であり、粒子と反応しない。一実施形態では、粒子がポリマー材料の部分と反応することができる官能基を含む。別の実施形態では、粒子がポリマー材料と化学的に相互作用する。別の実施形態では、粒子が異なる粒子の混合物である。
【0168】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物が、本発明の抗微生物粒子と、有機ポリマー、無機ポリマーまたはこれらの任意の組み合わせを含むポリマー材料とを含む。別の実施形態では、ポリマー材料が熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマーまたはこれらの任意の組み合わせを含む。別の実施形態では、有機ポリマーが、ヒドロゲル、ポリオレフィン、例えばポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン、ポリスチレンおよびポリプロピレン、エポキシ樹脂、アクリレート樹脂、例えばポリメチルメタクリレート、ポリウレタンまたはこれらの任意の組み合わせを含む。別の実施形態では、無機ポリマーが、ポリジメチルシロキサン(PDMS)などのシリコーンポリマー、セラミック、金属、またはこれらの任意の組み合わせを含む。別の実施形態では、ヒドロゲルがポロキサマーまたはアルギン酸塩である。別の実施形態では、市販のポロキサマーが使用される、またはこれがポリマーと他の試薬との間の反応によって形成される。別の実施形態では、ポリマーが、反応性末端基(PEG-ジグリシジルエーテル中のエポキシドなど)を有するポリ(エチレングリコール)(PEG)であり、試薬が、複数の反応部位(例えば、ジエチレントリアミン)を有する。各可能性が本発明の別個の実施形態を表す。
【0169】
いくつかの実施形態では、ポリマー材料に対する粒子の重量比が0.25~5%である。別の実施形態では、重量比が0.5~2%である。別の実施形態では、重量比が1~5%である。
【0170】
本発明の文脈で使用される別のポリマー材料は、歯科用、外科用、外科用(chirurgical)および整形外科用の複合材料に使用される樹脂である。このような用途では、抗微生物粒子を最初に樹脂部品内に分散させる、またはフィラーもしくは他の固体成分(もしあれば)と同時に添加することができるだろう。これらの樹脂のほとんどが、インビボで重合を受けるアクリルまたはエポキシ型モノマーである。
【0171】
本発明の組成物の調製
いくつかの実施形態では、本発明のコンポジットが、抗微生物粒子を本発明のポリマー材料に埋め込むことによって調製される。別の実施形態では、1つのタイプの粒子がポリマー材料に埋め込まれる。別の実施形態では、異なる粒子タイプの組み合わせがポリマー材料に埋め込まれる。いくつかの実施形態では、埋め込みが種々の方法論によって達成され得る。
【0172】
いくつかの実施形態では、官能化微粒子をポリマー材料に埋め込むことが、2つの方法論によってなされる:A)押出技術:粒子を押出機、好ましくは二軸押出機で溶融熱可塑性ポリマーに添加する。B)熱可塑性または熱硬化性ポリマーを、還流条件下、有機溶媒(非限定的な例としてはキシレン、トルエン、これらの誘導体またはこれらの組み合わせが挙げられる)中で加熱して、ポリマーの完全な溶解を達成する。次いで、抗微生物粒子をポリマーに使用されるのと同じ溶媒に分散させ、混合物を、オーバーヘッドスターラーまたはホモジナイザーを使用して溶解したポリマーに添加する。ポリマー内に粒子が完全に分散した後、従来の蒸留または蒸発法を使用して溶媒を蒸発させる。
【0173】
いくつかの実施形態では、官能基化された微粒子をシリコーン系ポリマー材料に埋め込むことが、いくつかの方法論によって達成される:A)粒子を非重合または予備重合シリコーンに組み込んだ後、最終濃度0.5~8重量%粒子/シリコーンポリマーで最終硬化する、シリコーン前駆体の室温加硫(RTV)を達成する。別の実施形態では、硬化が水分によって活性化される。別の実施形態では、硬化が熱によって活性化される。B)重合混合物の2つの成分を混合することによって重合を誘導する、シリコーン前駆体のRTVを達成する。別の実施形態では、粒子を、最終濃度0.5~8重量%粒子/シリコーンポリマーで両方の部分に組み込む、または2倍の濃度の部分の1つで、最終濃度0.5~8重量%粒子/シリコーンポリマーを得る。
【0174】
よって、いくつかの実施形態によると、本発明は、粒子が材料に埋め込まれる、上記のポリマー材料に複数の抗微生物粒子を埋め込むことを含む組成物を調製する方法であって、上記の粒子を、押出を利用して溶融ポリマー材料に、または溶媒中のポリマー溶液に添加するステップを含む、あるいは粒子およびポリマー前駆体を用いた重合を介する方法を提供する。
【0175】
いくつかの実施形態では、本発明による粒子が、1平方マイクロメートル当たり約0.1~約100個の粒子の表面濃度で、ポリマー材料の外表面上に均一に分布している。別の実施形態では、本発明による粒子が、1平方マイクロメートル当たり約1~約100個の粒子の表面濃度で、ポリマー材料の外表面上に均一に分布している。「均一な分布」という用語は、1平方μm当たりの粒子数の標準偏差が、1平方マイクロメートル当たりの粒子の平均数以下であることを特徴とする分布を示すために使用される。再現性および製品仕様のために、均一な分布が好ましい。分布が均一でない場合、製品は異なる領域で異なる特性を示す場合がある。外表面から離れた粒子の分布、すなわち、それらのバルク濃度は、外表面上の分布と同様であり得る。原則として、粒子の全表面は、好ましくは、材料の表面の最大で約20%、好ましくは材料の表面の1%~15%、より好ましくは1%~5%、最も好ましくは約1%~3%を占める。
【0176】
いくつかの実施形態によると、平均して、ポリマー材料の外表面のあらゆる平方マイクロメートルが、本発明の少なくとも1つの粒子を有する。
【0177】
組成物およびその使用方法
本発明の別の態様によると、細菌を本発明の抗微生物粒子、または本発明の(1または複数の)粒子を含む組成物もしくは医薬組成物と接触させることによって、細菌を抑制する方法が提供される。「抑制」という用語は、細菌の少なくとも99%、好ましくは細菌の99.9%、最も好ましくは99.99%の破壊、すなわち消滅;細菌の増殖速度の低下;細菌の集団のサイズの減少;細菌の増殖の防止;細菌に回復不能な損傷を引き起こすこと;このような細菌のバイオフィルムの破壊;既存のバイオフィルムの一部または全体に、短期的または長期的に損傷を誘導すること;このようなバイオフィルムの形成を防止すること;バイオフィルム管理の誘導;あるいはこのような集団またはバイオフィルムに影響を及ぼし、それに即時または長期の損傷(部分的または完全な)を与え得る他の種類の結果をもたらすことを指す。
【0178】
「バイオフィルム」という用語は、固体表面に付着した生物種(細菌)の集団を指す。
【0179】
「抗微生物」および「抗菌」という用語は、本明細書で互換的に使用される。本発明の第四級アンモニウムおよび第三級アミン基[-N(R)(R)(R)、-NH(R)(R)、-N(R)(R)-N(R’)(R’)(R’)、-NH(R’)(R’)または-N(R’)(R’)(構造(1)~(3)に定義される)]は、抗微生物活性を提供する。第四級アンモニウムの活性は、どのpHでも強いままである。第三級アミンは高いpKa値を有するため、ほとんど全てのpHレベル(最大10であるがそれより高くはない)で活性である。皮膚もしくは粘膜と接触して使用される場合、または医薬組成物として使用される場合、第三級アミンならびに第三級アンモニウム官能基は、軟部組織の刺激などの望ましくない副作用を引き起こす可能性が低い。
【0180】
好ましい実施形態では、抑制が、細菌を、最大5%w/w、より好ましくは最大1%の本発明による粒子、またはそれらを含む組成物を含有するマトリックスと接触させることによって達成される。
【0181】
一実施形態では、本発明は、上で言及される抗微生物粒子を含む組成物または医薬組成物をさらに提供する。別の実施形態では、組成物/医薬組成物が1つのタイプの粒子を含む。別の実施形態では、組成物/医薬組成物が異なる粒子タイプの組み合わせを含む。一実施形態では、本発明の組成物/医薬組成物の非限定的な例が、歯科用接着剤、骨セメント、歯科修復材料、例えば虫歯空洞を充填するためのあらゆる種類のコンポジット、根管治療で根管空間を充填するための歯内充填材料(セメントおよびフィラー)、暫定的および最終的な歯の修復または歯の置換に使用される材料(それだけに限らないが、インレー、アンレー、クラウン、部分床義歯(固定または取り外し可能)歯科インプラントを含む)、ならびに種々の既知の目的で歯科で使用される永久および一時セメント、歯科および整形外科用樹脂ベースセメント、シーラー、複合材料、接着剤およびセメント、歯科修復コンポジット、骨セメント、練り歯磨き、ローション、手指消毒剤、皮膚科、創傷ケアまたは化粧品産業で使用される軟膏およびクリーム、医療および研究室用のプラスチックウェア;主に乳製品ならびに生鮮肉および魚用の食品包装;医薬品包装、バイオフィルムの成長を防止する、または内部のバイオフィルムもしくは細菌を処理、分解および/または殺傷する船舶用塗料、浴室用塗料、病院およびクリーンルーム用塗料;水濾過媒体などである。各可能性が本発明の別個の実施形態を表す。いくつかの実施形態では、粒子またはそれを含む組成物が、歯科および整形外科用樹脂ベースセメント、シーラー、複合材料、接着剤、およびセメント;歯科および整形外科用金属製インプラントおよびワイヤー;外科縫合;カテーテル、金属製手術器具、非外科医療機器に使用される。各可能性が本発明の別個の実施形態を表す。
【0182】
一実施形態では、本発明の組成物またはコンポジットが、本発明の粒子を含む、歯の表面、歯の修復物またはクラウンに適用されるワニスまたはグレーズである。別の実施形態では、ワニスまたはグレーズが、歯の表面、歯の修復物またはクラウンに保護コーティング、ラッカー;表面上光沢のある外観を提供する。別の実施形態では、ワニスが、局所用フッ化物療法の一種として、歯の表面に適用されるフッ化物の高濃度形態であるフッ化物ワニスである。別の実施形態では、グレージングの目的が、焼成磁器の表面の開いた孔を密閉することである。歯科用グレーズは、光沢のある表面を生成するために、焼成クラウン表面に適用される無色のガラス粉末で構成される。素焼きのまたはトリミングされた磁器も、接触する軟部組織の炎症を引き起こす可能性がある。
【0183】
一実施形態では、本発明の組成物/医薬組成物が、クリーム、軟膏、ペースト、ドレッシングおよびゲルからなる群から選択される形態であり、より好ましくは、組成物が局所施用または投与用に製剤化される。別の実施形態では、組成物が、口腔への投与を意図している。組成物は練り歯磨きとして配合されてもよい、および/または以下からなる群から選択される表面もしくは医療機器に適用されてもよい:義歯クリーナー、衛生的処置後のドレッシングまたはゲル、粘膜接着剤ペースト、歯科用接着剤、歯、虫歯空洞を充填するための歯科修復コンポジット、根管治療で根管空間を充填するための歯科修復歯内充填材料、暫定的および最終的な歯の修復または歯置換に使用される歯科修復材料、歯科インレー、歯科アンレー、クラウン、部分床義歯、完全床義歯、歯科インプラント、および歯科インプラントアバットメント。
【0184】
一実施形態では、医薬組成物が、少なくとも1つの医薬品有効成分をさらに含む。別の実施形態では、医薬品有効成分の非限定的な例として、鎮痛剤、抗生物質、抗凝固剤、抗鬱薬、抗がん剤、抗てんかん薬、統合失調症治療薬、抗ウイルス剤、鎮静剤および抗糖尿病薬が挙げられる。別の実施形態では、鎮痛剤の非限定的な例として、パラセタモール、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、モルヒネ、およびオキシコドンが挙げられる。別の実施形態では、抗生物質の非限定的な例として、ペニシリン、セファロスポリン、シプロフロキサシンおよびエリスロマイシンが挙げられる。別の実施形態では、抗凝固剤の非限定的な例として、ワルファリン、ダビガトラン、アピキサバンおよびリバロキサバンが挙げられる。別の実施形態では、抗鬱薬の非限定的な例として、セルトラリン、フルオキセチン、シタロプラムおよびパロキセチンが挙げられる。別の実施形態では、抗がん剤の非限定的な例として、カペシタビン、マイトマイシン、エトポシドおよびペンブロリズマブが挙げられる。別の実施形態では、抗てんかん薬の非限定的な例として、アセタゾラミド、クロバザム、エトスクシミドおよびラコサミドが挙げられる。別の実施形態では、統合失調症治療薬の非限定的な例として、リスペリドン、ジプラシドン、パリペリドンおよびルラシドンが挙げられる。別の実施形態では、抗ウイルス剤の非限定的な例として、アマンタジン、リマンタジン、オセルタミビルおよびザナミビルが挙げられる。別の実施形態では、鎮静剤の非限定的な例として、アルプラゾラム、クロラゼペート、ジアゼパムおよびエスタゾラムが挙げられる。別の実施形態では、抗糖尿病薬の非限定的な例として、グリメピリド、グリクラジド、グリブリドおよびグリピジドが挙げられる。
【0185】
別の実施形態では、医薬組成物が、賦形剤をさらに含む。別の実施形態では、賦形剤が、結合剤、コーティング、潤滑剤、香味料、防腐剤、甘味料、ビヒクルおよび崩壊剤を含む。別の実施形態では、結合剤の非限定的な例として、糖類、ゼラチン、ポリビニルピロリドン(PVP)およびポリエチレングリコール(PEG)が挙げられる。別の実施形態では、コーティングの非限定的な例として、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、多糖類およびゼラチンが挙げられる。別の実施形態では、潤滑剤の非限定的な例として、タルク、ステアリン、シリカおよびステアリン酸マグネシウムが挙げられる。別の実施形態では、崩壊剤の非限定的な例として、架橋ポリビニルピロリドン、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(クロスカルメロースナトリウム)および加工デンプンデンプングリコール酸ナトリウムが挙げられる。
【0186】
一実施形態では、本発明は、上に言及される抗微生物粒子が埋め込まれた熱可塑性ポリマーおよび/またはヒドロゲルを含む包装組成物に関する。別の実施形態では、熱可塑性ポリマーおよび/またはヒドロゲルが、2つ以上の異なる粒子の混合物が埋め込まれている。別の実施形態では、包装組成物が、食品、飲料、医薬品成分、医療機器、手術前の外科用器具、手術前器具、化粧品、および滅菌器具/材料の包装に使用される。
【0187】
一実施形態では、包装組成物が、上に言及される粒子が埋め込まれた熱可塑性ポリマーおよび/またはヒドロゲルを含む。別の実施形態では、熱可塑性ポリマーが、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン、ポリプロピレン、シリコーン、エポキシ樹脂またはアクリルポリマーである。別の実施形態では、熱可塑性ポリマーがポリメチルメタクリレートまたはポリウレタンである。
【0188】
別の実施形態では、包装組成物が、結合剤、コーティング、潤滑剤および崩壊剤をさらに含む。別の実施形態では、結合剤の非限定的な例として、糖類、ゼラチン、ポリビニルピロリドン(PVP)およびポリエチレングリコール(PEG)が挙げられる。別の実施形態では、コーティングの非限定的な例として、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、多糖類およびゼラチンが挙げられる。別の実施形態では、潤滑剤の非限定的な例として、タルク、ステアリン、シリカおよびステアリン酸マグネシウムが挙げられる。別の実施形態では、崩壊剤の非限定的な例として、架橋ポリビニルピロリドン、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(クロスカルメロースナトリウム)および加工デンプンデンプングリコール酸ナトリウムが挙げられる。
【0189】
一実施形態では、包装組成物が、医薬成分を包装するために使用される。別の実施形態では、医薬成分の非限定的な例として、鎮痛剤、抗生物質、抗凝固剤、抗鬱薬、抗がん剤、抗てんかん薬、統合失調症治療薬、抗ウイルス剤、鎮静剤および抗糖尿病薬が挙げられる。別の実施形態では、鎮痛剤の非限定的な例として、パラセタモール、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、モルヒネおよびオキシコドンが挙げられる。別の実施形態では、抗生物質の非限定的な例として、ペニシリン、セファロスポリン、シプロフロキサシンおよびエリスロマイシンが挙げられる。別の実施形態では、抗凝固剤の非限定的な例として、ワルファリン、ダビガトラン、アピキサバンおよびリバロキサバンが挙げられる。別の実施形態では、抗鬱薬の非限定的な例として、セルトラリン、フルオキセチン、シタロプラムおよびパロキセチンが挙げられる。別の実施形態では、抗がん剤の非限定的な例として、カペシタビン、マイトマイシン、エトポシドおよびペンブロリズマブが挙げられる。別の実施形態では、抗てんかん薬の非限定的な例として、アセタゾラミド、クロバザム、エトスクシミドおよびラコサミドが挙げられる。別の実施形態では、統合失調症治療薬の非限定的な例として、リスペリドン、ジプラシドン、パリペリドンおよびルラシドンが挙げられる。別の実施形態では、抗ウイルス剤の非限定的な例として、アマンタジン、リマンタジン、オセルタミビルおよびザナミビルが挙げられる。別の実施形態では、鎮静剤の非限定的な例として、アルプラゾラム、クロラゼペート、ジアゼパムおよびエスタゾラムが挙げられる。別の実施形態では、抗糖尿病薬の非限定的な例として、グリメピリド、グリクラジド、グリブリドおよびグリピジドが挙げられる。
【0190】
一実施形態では、包装組成物が、食品成分の包装に使用される。別の実施形態では、本発明の包装材料で包装される食品成分の非限定的な例として、生鮮食品、防腐剤、甘味料、着色添加物、香味料および香辛料、栄養素、乳化剤、結合剤および増粘剤が挙げられる。別の実施形態では、生鮮食品の非限定的な例として、肉、家禽、魚、乳製品、果物および野菜が挙げられる。別の実施形態では、防腐剤の非限定的な例として、アスコルビン酸、クエン酸、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸カルシウム、エリソルビン酸ナトリウム、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、銀、クロルヘキシジン、トリクロザン(trichlozan)および亜硝酸ナトリウムが挙げられる。別の実施形態では、甘味料の非限定的な例として、スクロース(糖)、グルコース、フルクトース、ソルビトール、マンニトールおよびコーンシロップが挙げられる。別の実施形態では、着色添加物の非限定的な例として、オレンジB、シトラスレッド2号、アナトー抽出物、ベータカロテン、ブドウ皮抽出物、コチニール抽出物またはカルミンおよびパプリカオレオレジンが挙げられる。別の実施形態では、香味料および香辛料の非限定的な例として、グルタミン酸ナトリウム、グリシンスラット(glycine slats)、イノシン酸、酢酸イソアミル、およびリモネン、およびヘキサン酸アリルが挙げられる。別の実施形態では、栄養素の非限定的な例として、チアミン塩酸塩、リボフラビン(ビタミンB)、ナイアシン、ナイアシンアミド、葉酸塩または葉酸が挙げられる。別の実施形態では、乳化剤の非限定的な例として、大豆レシチン、モノおよびジグリセリド、卵黄、ポリソルベート、ならびにモノステアリン酸ソルビタンが挙げられる。別の実施形態では、結合剤および増粘剤の非限定的な例として、ゼラチン、ペクチン、グアーガム、カラギーナン、キサンタンガムおよび乳清が挙げられる。
【0191】
一実施形態では、本発明は、バイオフィルム形成を抑制または防止する方法であって、本発明の組成物を、感受性または感染した表面または医療機器に適用するステップを含む方法を提供する。
【0192】
別の実施形態では、本発明は、バイオフィルム形成を抑制または防止するのに使用するための本発明の組成物を提供する。
【0193】
一実施形態では、本発明は、バイオフィルム形成または成長を抑制または防止する方法であって、(上に言及される本発明の組成物を含む)本発明の医療機器を処理される表面に配置するステップを含む方法を提供する。別の実施形態では、医療機器が創傷被覆材である。
【0194】
別の実施形態では、本発明は、バイオフィルム形成または成長を抑制または防止するのに使用するための本発明の医療機器を提供する。
【0195】
一実施形態では、本発明は、細菌を抑制する方法であって、細菌を本発明の医薬組成物または包装組成物またはコンポジットと接触させるステップを含む方法を提供する。
【0196】
別の実施形態では、本発明は、細菌の抑制に使用するための医薬組成物または包装組成物を提供する。
【0197】
一実施形態では、本発明は、内部のバイオフィルムまたは細菌を処理、分解または殺傷する方法であって、本発明の医薬もしくは包装組成物またはコンポジットを、感受性または感染した表面または医療機器に適用するステップを含む方法を提供する。
【0198】
別の実施形態では、本発明は、内部のバイオフィルムまたは細菌を処理、分解または殺傷するのに使用するための本発明のコンポジットまたは医薬もしくは包装組成物を提供する。
【0199】
医療分野以外の用途としては、例えば衣類(例えば、スポーツまたは屋外活動用;細菌によって誘発される汗臭を防ぐため)、細菌が集まる傾向のあるアスリートシューズまたは靴の内側、スポーツウェアおよび屋外活動用衣類、歯ブラシおよびヒトの体と接触するいずれかのブラシ、空気および水フィルター、水処理および配水システム、ペットケージ、ならびにその他の獣医用品等があるだろう。
【0200】
いくつかの実施形態では、本発明の抗微生物組成物またはコンポジットが、接触した細菌の少なくとも約99%、好ましくは接触した細菌の少なくとも約99.99%の消滅を及ぼす。
【0201】
さらに驚くべきことに、本発明の組成物/コンポジット/医療機器内の粒子が、浸出することなく、ホスティングマトリックスの特性を変化させることなく、長期にわたって高い抗微生物特性を維持することが発見された。このような粒子は、所与の粒子の表面上に密集した抗菌基の存在に起因する抗菌活性増強を示す。
【0202】
本発明の医療機器
一実施形態では、本発明は、本発明の組成物を含む医療機器をさらに提供する。一実施形態では、本発明の医療機器の非限定的な例が、カテーテル、ステント、外科用メッシュ、乳房インプラント、関節置換、人工骨、人工血管、人工心臓弁(心臓学)、人工皮膚、形成外科インプラントまたは補綴、子宮内器具(婦人科)、神経外科シャント、コンタクトレンズ(眼科)、眼内レンズ、眼球補綴、尿道ステント、皮下(整形外科または歯科など)インプラント用コーティング、インスリンポンプ、避妊用具、ペースメーカー、静脈内注入に使用されるチューブおよびカニューレ、透析に使用されるチューブおよびカニューレ、外科的ドレナージチューブ、尿道カテーテル、気管内チューブ、創傷被覆材(ドレッシングおよび絆創膏)および治療(例えば、バイオフィルムおよび細菌を減少させて創傷治癒を助ける創傷ケア用のゲル、軟膏、ペーストおよびクリーム)材料、縫合糸、血管および尿路系に一時的または恒久的に挿入されるあらゆる種類のカテーテル、脳用途に使用するためのシャント、手術用手袋、耳の検査用チップ、スタトスコープの端および医療関係者が使用するその他の要素;歯ブラシ、つまようじ、デンタルフロス、歯間ブラシおよび舌ブラシ、外科用縫合糸、金属製手術器具、非外科用医療機器、歯科用および整形外科用金属製インプラントおよびワイヤー、ならびに外科用ドレーン、注射器、トレイ、チップ、手袋および一般的な医療または歯科処置で使用される他の付属品である。
【0203】
一実施形態では、本発明は、歯科用器具を含む医療機器をさらに提供する。一実施形態では、本発明は、歯科矯正用器具を含む医療機器をさらに提供する。歯科用器具および歯科矯正用器具は、本発明の粒子および組成物を含む。いくつかの実施形態では、歯科矯正用器具が、歯の整列を加速するためのアライナー、ブラケット、歯科用アタッチメント、ブラケット補助具、リガチャータイ、ピン、ブラケットスロットキャップ、ワイヤー、ねじ、マイクロステープル、ブラケットおよびアタッチメントおよびその他の歯科矯正器具用のセメント、義歯、部分義歯、歯科インプラント、歯周探針、歯周チップ、フィルム、または歯の間のスペースを含む。いくつかの実施形態では、歯科用器具が、歯研削(ブラキサー(bruxer)、歯ぎしり)を防止するために使用されるマウスガード、ナイトガード、睡眠時無呼吸の治療/予防に使用される口腔装置、スポーツ活動で使用されるティースガードを含む。
【0204】
一実施形態では、本発明は、骨固定および安定化に使用される整形外科外部固定ねじおよびワイヤーなどの経皮医療機器、ならびにねじ保持またはセメント保持歯科補綴物用の治療用キャップ、アバッチメント(マルチユニットなど)などの歯科インプラントで使用される経粘膜要素をさらに提供する。
【0205】
一実施形態では、本発明は、それだけに限らないが、結腸鏡、胃内視鏡、十二指腸内視鏡、気管支鏡、膀胱鏡、ENTスコープ、腹腔鏡、喉頭鏡、および患者の体の任意の部分を含む患者の体の内側を検査または治療するための同様の器具および付属品を含む内視鏡(剛性および可撓性)、ならびに体組織または体液と接触する処置に使用される他の装置;それを通して流体、空気またはガスが患者に送り込まれるまたは吸い出され、患者によって汚染され得るまたは他の患者からの汚染物質を運び得るチューブ、ポンプ、容器およびコネクタ(体の内側または外側で使用される);このような機器の再処理、洗浄、輸送および保管に使用され、ホスト生物学的汚染物質を伝達し得るブラシ、トレイ、カバー、チューブ、コネクタキャビネットおよびバッグなどのアイテム、ならびに歯科または医療処置で使用される空気または水用のフィルター、病院表面(床、テーブルトップなど)、ドレープ、カーテン、リネン、ハンドルなどを含む医療機器をさらに提供する。
【0206】
抗微生物特性は、患者から患者へ、または患者から検査員への相互汚染から患者および医療スタッフを保護することができる。手術室に入る医薬品およびアイテムのための自己滅菌包装も有益である。
【0207】
一実施形態では、本発明は、コンポジットを含む医療機器を調製する方法をさらに提供する。別の実施形態では、医療機器が、本発明のコンポジットの流体相を提供するステップ;流体を成形するステップ;および成形された流体を硬化させ、所望の医療機器を得るステップを介して調製される。別の実施形態では、医療機器が、コンポジットの固相を提供するステップ;および固体を成形して、所望の医療機器を得るステップを介して調製される。別の実施形態では、成形が、押出または造型を介して達成される。別の実施形態では、コンポジットの流体相が、溶融コンポジットまたは溶媒に溶解したコンポジットを含む。
【0208】
本発明の文脈で使用される別のポリマー材料は、歯科用、外科用、外科用(chirurgical)および整形外科用の複合材料に使用される樹脂である。このような用途では、抗微生物粒子を最初に樹脂部品内に分散させる、またはフィラーもしくは他の固体成分(もしあれば)と同時に添加することができるだろう。これらの樹脂のほとんどが、インビボで重合を受けるアクリルまたはエポキシ型モノマーである。
【0209】
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態をさらに十分に説明するために提示される。しかしながら、これらは決して本発明の広い範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0210】
[実施例]
[実施例1]
非晶質SiO(シリカ)のコア粒子の調製
二酸化ケイ素コア粒子を、アルカリ条件下でのテトラアルコキシシリケートの加水分解によって調製した。9重量部のエタノール、0.4部の脱イオン水および0.1部のアンモニアを混合し、pHを10~14の範囲内に維持することによって、反応溶液を調製した。粒径および反応速度の制御を、反応溶液中の水およびアンモニアの濃度を調整することによって達成する。0.5部のテトラエチルオルトシリケート(TEOS)を、1000RPMで1時間撹拌しながら、溶液に一度に添加した。反応混合物は最初不透明になり、引き続いて白色固体沈殿が生じて、反応の終点を示し、一次粒子の凝集体が形成した。粒子を遠心濾過によって回収し、20部の脱イオン水ですすぎ、凍結乾燥または加熱を使用して乾燥した。「ピルハナ(pirhana)溶液」として一般的に知られている硫酸/過酸化水素溶液で粒子を短時間すすぐことによって、さらなる表面活性化を行ってもよい。この最後のステップが、粒子の表面のほとんどをヒドロキシル形態に変換し、効率的な表面官能化を促進する。
【0211】
[実施例2]
シリカ粒子の形態学的特性評価
窒素吸着法を使用して、Barrett-Joyner_Halenda(BJH)モデルを利用することにより、多孔質二酸化ケイ素粒子の形態を決定した。非官能化メソポーラス二酸化ケイ素粒子をMilli-Q水ですすぎ、乾燥させ、次いで、脱気した。BJHモデルを適用することにより、吸着/脱着等温線から孔径を得た。動的光散乱法を使用して平均粒径を測定した。したがって、前記粒子は直径186nmであり、5.0nmの孔径を有する。
【0212】
[実施例3]
磁鉄鉱コア粒子の調製
磁鉄鉱(Fe)粒子を、NHOH(pH約12)を利用した塩基性条件で、水溶液中のFeCl(1mol当量)およびFeCl(0.5mol当量)からのFe2+およびFe3+イオンの共沈によって調製した。沈殿後、粒子を一定の磁場の下で回収した。官能化の前に、粒子をMili-Q水ですすぎ、引き続いて真空乾燥した。得られた磁鉄鉱粒子の表面活性化を、粒子を硝酸または硫酸および過酸化水素溶液で短時間すすぐことによって行った。最後のステップで、粒子の表面のほとんどがヒドロキシ形態に変換され、コアのさらなる官能化が可能になった。
【0213】
[実施例4]
無機コア粒子の表面官能化
固体支持体法
固体支持体法では、いくつかの段階を使用した。最初に、メトキシ基の加水分解を介してリンカー3-アミノプロピルトリメトキシシランを粒子表面上で縮合させると(表面官能化)、結果としてリンカーがシリカコアに結合した(図10、ステップ1)。第2に、1,2-ジクロロエタンおよび1,2-ジアミノエタンの連続添加によって、結合したリンカーを伸長した(図10、ステップ2および3)。場合によっては、抗微生物基の所望の数に応じて、このような連続添加を数回繰り返した。最後に、抗微生物活性基を、臭化アシル部分を介して、結果として結合および伸長したリンカーにグラフトした(図10、ステップ4)。
【0214】
溶液法
溶液法では、いくつかの段階を使用した。最初の段階で、1,2-ジクロロエタンおよび1,2-ジアミノエタンの連続添加によって、リンカー分子を伸長した(図11、ステップ1および2)。場合によっては、抗微生物基の所望の数に応じて、このような連続添加を数回繰り返した。第2の段階で、抗微生物活性基を、臭化アシル部分を介して、結果として結合および伸長したリンカーにグラフトした(図11、ステップ3)。最後に、伸長した抗微生物活性リンカーを、その官能化を介してシリカコアに結合した。この段階では、メトキシ基の加水分解を介してリンカー分子を粒子表面上で縮合させると(表面官能化)、結果としてリンカーがコアに結合した(図11、ステップ4)。
【0215】
シリカ粒子の官能化を2段階で実施した。最初に、第一級アミン官能化シリカ粒子を調製した。第一級アミンを、還元的アミノ化によって官能化して、テルペノイド基を含む第三級アミン、あるいは1つの8炭素の伸長アルキル鎖を含む第四級アンモニウム基を生成した。
【0216】
無機コア(例えば、SiO、Fe)の前処理は、溶媒または他のリガンドなどの残留有機材料のいずれかを除去するために不可欠であり、表面を、官能化(シラン化)を受ける準備ができた活性ヒドロキシル基に変換する。前処理は、周囲条件または高温で少なくとも5分間、好ましくは60℃で少なくとも30分間、粒子を過酸化水素の硫酸中20~40%溶液あるいは20~40%の硫酸中NH溶液ですすぐことを含んでいた。
【0217】
シラン基の重合(図8C、モードB)と単純なシラン化(図8C、モードA)を、乾燥粒子を無水トルエンに浸漬する(粒子1~10g;トルエン50ml)ことによって行った。触媒酸(好ましくは酢酸または塩酸)の存在下、粒子1g当たり少なくとも10mmolの比で過剰のシランカップリング剤(例えば、APTES)を添加した。カップリング/重合を60℃で1時間行い、次いで、120℃に加熱し、還流下で少なくとも3時間撹拌した。反応中のシランカップリング剤の濃度、酸、温度、および時間によって、官能化のモード(モードAとモードB)および表面密度の全体的な程度が決まる。
【0218】
[実施例5]
官能化シリカ粒子を含むマトリックスの抗微生物活性
抗微生物試験条件-直接接触試験
8ウェルのセットで各試験材料試料に10μlの細菌懸濁液を適用することによって、細菌と試験材料との間の直接接触を達成した。プレートを垂直位置で、37℃で1時間インキュベートした。このインキュベーション期間中に、懸濁液の液体が蒸発し、細菌の薄層が得られ、細菌と試験材料との間の直接接触が保証された。次いで、プレートを水平に置き、材料を含有する各ウェルに220μlのブレインハートインフュージョンブロスを添加した。全ての試験を、黄色ブドウ球菌(Stapilococcus aureus)(S.aureus)およびフェカリス菌(Enterococcus faecalis)(E.faecalis)をグラハム陽性菌の代表として、また緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)(P.aeruginosa)をグラハム陰性菌の代表として使用して行った。
【0219】
温度制御されたマイクロプレート分光光度計(VERSAmax、Molecular Devices Corporation、Menlo Oaks Corporate Centre、Menlo Park、CA、米国)を使用して、細菌増殖の反応速度測定を行った。マイクロタイタープレートを37℃の分光光度計に入れ、全ての読み取り前に5秒間ボルテックスした。細菌増殖を、24時間、20分毎に650nmで、各ウェルのOD変化によって推定した。
【0220】
試料調製
1)第四級アンモニウム官能化シリカ粒子を含むポリプロピレン
第四級ジメチルオクチルアンモニウムで官能化された平均直径186 nmのシリカ粒子をポリプロピレンに埋め込んだ。0、1、2%wt/wtの粒子で、ポリプロピレンと官能化シリカ粒子を熱成形することによって、ポリマーフィルムの試料を調製した。調製したフィルムの5×10mm試料を、各ウェルの内側の側壁に触れるマイクロタイタープレートのウェルに配置した。
【0221】
抗菌試験の結果は、1および2%wt/wtの粒子を含有するポリプロピレン試料について実験中、一貫して低いOD(0.1)レベルを示したが、粒子を含有しないポリプロピレン試料および黄色ブドウ球菌(S.aureus)を含有する対照試料は、有意なOD増加(0.7)(図12)を示した。
【0222】
緑膿菌(P.aeruginosa)の存在下でも同様の結果が得られ、2%wt/wtの粒子を含有するポリプロピレン試料は低いODレベル(0.05)を示し、1%wt/wtの粒子を含有する試料はわずかに高いODレベル(0.15)を示した。対照的に、粒子を含有しないポリプロピレン試料および緑膿菌(P.aeruginosa)を含有する対照試料は、有意なOD増加(0.7)を示した(図13)。
【0223】
これらの結果は、第四級アンモニウム官能化シリカ粒子を利用した修飾ポリプロピレン基質によって得られる抗微生物効果を明らかにしている。この実験で使用した粒子は、コアの表面の1nm当たり170個という多数の抗微生物活性官能基(170=(n+n)×m×p;n、n、mおよびpは構造1で定義される)がグラフトしていた。
【0224】
2)第四級アミン官能化シリカ粒子を含むポリ(メチルメタクリレート)
第四級ジメチルオクチルアンモニウムで官能化された平均直径13μmのシリカ粒子を、市販の歯科用重合性メチルメタクリレート(Unifast Trad、GC America inc)に0および1%wt/wtの濃度で埋め込んだ。製造業者の指示に従って、メチルメタクリレートをシリコーンるつぼ中でそれぞれ2g/mlの液体/粉末比で混合し、次いで、37℃で24時間マイクロタイターウェルの側壁で重合させた後、微生物試験をした。この実験で使用した粒子は、コアの表面の1nm当たり170個という多数の抗微生物活性官能基がグラフトしていた(170=(n+n)×m×p;n、n、mおよびpは構造1で定義される)。
【0225】
抗菌試験の結果は、1%wt/wtの粒子を含有するメチルメタクリレート(PMMA)試料について実験中、一貫して低いOD(0.1)レベルを示したが、粒子を含有しないPMMA試料および緑膿菌(P.aeruginosa)を含有する対照試料は、有意なOD増加(0.8)(図14)を示した。
【0226】
黄色ブドウ球菌(S.aureus)の存在下でも同様の結果が得られ、1%wt/wtの粒子を含有するPMMA試料は低いODレベル(0.1)を示し、粒子を含有しない試料および黄色ブドウ球菌(S.aureus)を含有する対照試料は有意なOD増加(0.8)を示した(図15)。
【0227】
これらの結果は、第四級アンモニウム官能化シリカマクロサイズ粒子を利用した修飾PMMA基質によって得られる抗微生物効果を明らかにしている。
【0228】
3)第三級アミン官能化シリカ粒子を含むポリ(メチルメタクリレート)
ジシンナミルアミン(第三級アミン)で官能化された平均直径186nmのシリカ粒子を、市販の歯科用重合性メチルメタクリレート(Unifast Trad、GC America Inc)に0および1%wt/wtの濃度で埋め込んだ。製造業者の指示に従って、メチルメタクリレートをシリコーンるつぼ中でそれぞれ2g/mlの液体/粉末比で混合し、次いで、37℃で24時間マイクロタイターウェルの側壁で重合させた後、微生物試験をした。この実験で使用した粒子は、コアの表面の1nm当たり170個という多数の抗微生物活性官能基がグラフトしていた(170=(n+n)×m×p;n、n、mおよびpは構造1で定義される)。
【0229】
抗菌試験の結果は、1%wt/wtの粒子を含有するメチルメタクリレート(PMMA)試料について実験中、一貫して低いODレベルを示したが、粒子を含有しないPMMA試料および緑膿菌(P.aeruginosa)を含有する対照試料は、有意なOD増加(図16)を示した。
【0230】
黄色ブドウ球菌(S.aureus)の存在下でも同様の結果が得られ、1%wt/wtの粒子を含有するPMMA試料は低いODレベル(0.1)を示し、粒子を含有しない試料および黄色ブドウ球菌(S.aureus)を含有する対照試料は有意なOD増加(0.7)を示した(図17)。
【0231】
これらの結果は、ジテルペノイド(第三級アミン)官能化シリカコア系粒子を利用した修飾PMMA基質によって得られる抗微生物効果を明らかにしている。
【0232】
4)第四級アミン官能化磁鉄鉱粒子を含むポリ(メチルメタクリレート)
第四級ジメチルオクチルアンモニウムで官能化された平均直径78nmの磁鉄鉱(Fe)粒子(実施例3に記載されるように調製した)を、市販の歯科用重合性メチルメタクリレート(Unifast Trad、GC America inc)に0、1および2%wt/wtの濃度で埋め込んだ。製造業者の指示に従って、PMMAをシリコーンるつぼ中でそれぞれ2g/mlの液体/粉末比で混合し、次いで、37℃で24時間マイクロタイターウェルの側壁で重合させた後、微生物試験をした。
【0233】
抗菌試験の結果は、1および2%wt/wtの粒子を含有するメチルメタクリレート(PMMA)試料について実験中、一貫して低いODレベル(0.1)を示したが、粒子を含有しないPMMA試料およびフェカリス菌(E.faecalis)を含有する対照試料は、有意なOD増加(0.8)(図18)を示した。
【0234】
これらの結果は、第四級アンモニウム官能化磁鉄鉱コア系粒子を利用した修飾PMMA基質によって得られる抗微生物効果を明らかにしている。
【0235】
5)第四級アミン官能化シリカ粒子を含むポリ(メチルメタクリレート)
ジシンナミルメチル置換基を含む第四級アンモニウムで官能化された平均直径186nmのシリカ粒子(実施例4に記載されるように調製した)を、市販の歯科用重合性メチルメタクリレート(Unifast Trad)に0、2および3%wt/wtの濃度で埋め込んだ。製造業者の指示に従って、PMMAをシリコーンるつぼ中でそれぞれ2g/mlの液体/粉末比で混合し、次いで、37℃で24時間マイクロタイターウェルの側壁で重合させた後、微生物試験をした。ポリマー材料の液体部分と固体部分の両方を製造元の指示に従って操作し、次いで、37℃で24時間マイクロタイターウェルの側壁で重合させた後、抗微生物試験をした。
【0236】
抗菌試験の結果は、3%wt/wtの粒子を含有するメチルメタクリレート(PMMA)試料について実験中、低いOD(0.1)レベルを示し、2%wt/wtの粒子を含有する試料について、わずかに高いレベルを示した。対照的に、粒子を含有しないPMMA試料およびフェカリス菌(E.faecalis)を含有する対照試料は、有意なOD増加(0.7)を示した(図19)。
【0237】
これらの結果は、ジテルペノイド第四級アンモニウム官能化シリカコア系粒子を利用した修飾PMMA基質によって得られる抗微生物効果を明らかにしている。
【0238】
[実施例6]
官能化粒子を含む樹脂の機械的試験
ポリプロピレンパイプ状型を使用して、直径0.4mmおよび長さ10mmのポリメチルメタクリレート(Unifast Trad)円柱形標本を調製した。標本を型内で、室温で1時間重合させ、次いで、37°Cで24時間DDW中で保管した後、試験した。各試験群は、8%wt/wtのNPを含む硬化セメントの標本10個を含んでいた。官能基化粒子を含まないポリマー標本を使用して、対照群を得た。変位速度1mm/分で動作する万能試験機(Instron 3366、Canton、MA)を使用して圧縮強度試験を行った。圧縮強度およびヤング率を計算したMerlinソフトウェアでデータを即座に分析した。
【0239】
試験したNPを以下のようにマークした:
1)SiCial-8重量%の直径186nmの2つのシンナミル置換基を有する第三級アミン官能基で官能化された二酸化ケイ素粒子(実施例4で定義されるように調製)を含有。
【0240】
2)QPEI-8重量%の24nmのジメチルオクチル第四級アンモニウム官能化PEI粒子(実施例5で定義されるように調製)を含有。
【0241】
3)非修飾ポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂の試料を対照として使用した。
【0242】
結果は、応力条件下でのシリカ系粒子を含む修飾アクリレート樹脂の比較的高い安定性を示した。非修飾PMMA、SiCialおよびQPEIの圧縮強度は、それぞれ56.61、78.79および0.43MPaである。シリカ官能化抗菌粒子の埋め込みは、樹脂の機械的特性を危険にさらさず、ポリマー官能化樹脂(QPEI)と比較して応力安定性の点で有利であるように思われた(図20B)。
【0243】
[実施例7]
官能化粒子を含む樹脂の抗菌試験
実施例7に記載される試料を、上に記載される(実施例6)直接接触試験によって、抗菌活性について試験した。
【0244】
結果は、フェカリス菌(E.faecalis)(図21A)および黄色ブドウ球菌(S.aureus)(図21B)の存在下で描かれるように、非修飾樹脂対照試料および細菌の自然増殖と比較して、官能化シリカ系粒子およびPEI系粒子の埋め込みによる修飾樹脂の強力な抗菌効果を示している。
【0245】
[実施例8]
インプリント法による抗菌試験
ヒドロキシル化ガラス表面への官能化シリカ系粒子を含有する溶液の噴霧を利用して、3枚のスライドガラスをコーティングした。シラン基は、脱離基の加水分解時に官能化粒子をスライドに固定し、スライドを高温でさらに乾燥させて、粒子を表面上で完全に縮合させた。ガラスを以下のようにマークした:1)ジメチルアミン官能化シリカ粒子;2)2つのシンナミル基を有する第三級アミンで官能化されたシリカ粒子。
【0246】
黄色ブドウ球菌(S.aureus)懸濁液を各官能化スライドに均一に適用した。スライドを、15分間、寒天に向き合った血液寒天ペトリ皿と接触させて配置した。その後、スライドを取り外し、ペトリ皿を37℃で24時間維持してコロニーを形成させた。
【0247】
結果は、官能化スライド2と接触するペトリ皿上にコロニーが形成されないことを明らかにし、2つのシンナミル基を含む第三級アミンの有利な抗菌活性を示した(図22)。
【0248】
[実施例9]
コアへの抗菌活性基の負荷度の決定。
【0249】
図23は、コアへの抗微生物基の負荷濃度を決定する様々な方法のスキームを提示している。
【0250】
方法1-粒子の表面へのアミン負荷の程度。直径180nmの乾燥アミン官能化シリカ粒子粉末1.0gを無水トルエン20mlに浸漬した。次いで、フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)クロリド0.1g(1.9mmol)を添加した。混合物を60℃で連続撹拌しながら12時間反応させた。得られた粒子を濾過し、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)5mlで3回すすぎ、次いで、ジエチルエーテル5mlで3回すすぎ、次いで、真空中で乾燥させた。Fmocの剥離を、Fmoc標識粒子0.01gを、ピペリジンのNMP中20体積%溶液2mlに浸漬することによって行い、30分間振盪し、引き続いて溶媒を濾過した。この手順をもう一度繰り返して、両溶液を合わせた(合計4mlの溶液に)。溶液中のFmocの濃度を、301nmの分光光度計の吸光度を使用して決定し、ベールの法則A=EbC(式中、Aは吸光度であり、Eはモル吸収定数(6300cm-1-1)であり、bは経路長(1cm)であり、Cはモル濃度である)に従って計算した。分光測定読み取り前に、溶液をNMPに1:100比で希釈した。
【0251】
結果:A=1.1、したがってC=100×(1.7×10-4)M=0.017M。したがって、N(モル)=0.017M×0.004L=6.98X10-5モル。したがって、総負荷は6.98×10-5mol/0.01g=0.007モル/grである。粒子の完全な球幾何学を仮定すると、単一粒子のシェル表面積は102000nmであり、粒子平均体積は3050000nmである。アルキメデス法を使用して計算される粒子密度は2.5g/(1×1021nm)であり、単一粒子の質量は7.6×10-16gとなる。したがって、官能基の負荷は、((7.6×10-16g)×(0.007モル/g))/102000nm=5.2×10-23モル/nmであり、これは1nm当たりおよそ31アミン/アンモニウムである。
【0252】
方法2-2つのシンナミル基で置換された官能性第三級アミンの程度。ジシンナミルアミンで官能化された186nmシリカ粒子0.001gを無水エタノール100mlに浸漬した。分光光度法読み取りは、327nmの波長で行った。E(シンナムアルデヒド)=25118cm-1-1。全ての計算は、方法1に記載されるように実施した。
【0253】
結果:A=1.5、したがって、総第三級アミン数は6.0×10-6モルであり、これは3.0×10-3モル/gである。
【0254】
したがって、官能基負荷は1nm当たりおよそ13アミン/アンモニウムである。
【0255】
両方法は、あらゆる種類の無機および有機コア粒子に適用可能であるが、有機粒子(ポリマー粒子)の場合、Fmoc官能化を架橋ステップの後に実施する。
【表1】
【0256】
上記の表に示されるように、本発明のポリメチルメタクリレート修飾粒子は、無機コアと有機コアの両方に対して抗菌活性を示した。より高密度の官能基が粒子表面に詰め込まれるほど、有機コアと無機コアの両方について、および第四級アンモニウム塩と第三級アミン(テルペノイド)の両方について、両試験生物に対する抗菌活性が強くなる。このようなより高密度の詰め込みは、抗微生物活性部分1つ当たりの抗微生物活性基の数が増加するにつれて見られる;例えば、各無機コアの最初の(上部)項目は、抗微生物活性部分1つ当たりわずか1つの抗微生物活性基の比を有するが、無機コアの他の項目はより高い比を含み、これらの最初の項目が最も低い抗菌活性を示した。
【0257】
[実施例10]
本発明のシリカ系粒子の活性
4種類のSiO系粒子を2重量%の濃度で軟質パラフィンに添加し、セラミック製の乳棒およびるつぼを使用して、均一なペーストが形成されるまで分散させた。試料を実施例4に従って調製し、2つのシンナミル置換基を有する第三級アミン官能基を有する粒子については2%二酸化ケイ素-ジ-シンナミルアミン、第四級窒素に結合した1つのオクチルおよび2つのメチルを有する粒子については2%二酸化ケイ素-第四級アンモニウム、第四級アンモニウムポリエチレンイミンについては2%QPEI、窒素上に2つのメチレンの第三級アミンを含む試料については2%二酸化ケイ素ジメチルアミノ、およびパラフィン単独群の対照については「フェカリス菌(E.faecalis)」としてマークした。パラフィン試料のそれぞれで処理したガーゼパッドについて、直接接触試験(DCT)を実施した。結果(図24)は、ジメチルアミノ変形を除く全ての試験試料について、細菌増殖の強い抑制を示した。特に、遊離テルペノイドの既知の抗微生物活性とは異なり、その固定化のために、第三級アミン官能基上でのテルペノイド置換基の活性は驚くべきものである。
【0258】
[実施例11]
このシリカ系粒子を含む抗菌練り歯磨き
抗菌練り歯磨きの組成:グリセロール、水、ソルビトール、ラウリルサルコシンナトリウム、水和シリカ、二酸化チタンおよび抗菌粒子。抗菌粒子は、市販の練り歯磨きで一般的に使用されるSiO粒子を含み、粒子のいくらかは抗菌基を共有結合することによって修飾されている。抗菌基は、2つのシンナミル基を有する、または2つのシトラール基を有する第三級アミンを有する第四級アンモニウムおよび第三級アミンであり得る。5重量%の2つのシンナミル基を有する第三級アミンを有する抗菌SiO粒子を含有する練り歯磨きの結果を以下に示す。
【0259】
表面保持実験:A:市販の練り歯磨き(対照);B:抗菌粒子を含まない上に提示される練り歯磨き組成物(対照)およびC:スライドガラス上に抗菌粒子が保持される提案される練り歯磨きの3つの練り歯磨き組成物による1分間の歯磨き手順のシミュレーションによって調べたガラス表面上の粒子保持の結果を本明細書で提示する。ブラッシング後、スライドを同様に同量の水ですすいだ。保持を視覚的に調べた(図25)。市販の練り歯磨き(Colgate(登録商標)合計)および非官能化SiO粒子を含む練り歯磨き配合物(上記の組成を有する)は、ガラス表面への目に見える保持を示さない。5重量%の本発明の抗菌粒子(2つのシンナミル基を有する第三級アミンを有するSiO)を含む練り歯磨き配合物は、ガラス表面への有意かつ目に見える保持を示す。
【0260】
抗菌活性実験:提案された練り歯磨きの抗菌活性を、総体積220μlのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)および提案された練り歯磨きに10μlのミュータンス菌(S.mutars)(約10個の生細胞)を分散させることによって調べた。この実験では、抗菌粒子を含む練り歯磨き配合物を、以下の最終濃度(重量%):0、0.25、0.5、1および2で試験した。各試料を、96ウェルプレートで8連で実施した。37℃でインキュベートしながら、650nmで光学濃度を読み取ることによって、細菌増殖を監視した(図26)。抗菌活性は粒子濃度に比例する(用量依存的効果)。2重量%の濃度では、10個のインキュベート生菌細胞から生き残った細菌細胞は1つもなかった。
【0261】
[実施例12]
本発明のシリカ系粒子を含むコンタクトレンズ。
【0262】
2重量%の最終濃度でポリメチルメタクリレートに組み込まれた2つのシンナミル基を有する第三級アミンを有する抗菌SiO粒子を含むコンタクトレンズ組成物を調製した。ポリメチルメタクリレートの重合を、以下の方法で行った:過酸化物が完全に溶解するまで、500rpmのオーバーヘッドスターラーを使用して、ガラスビーカー中でメチルメタクリレートモノマー48gを過酸化ベンゾイル1gと混合した。並行して、完全に溶解するまで、メチルメタクリレート50gをジヒドロキシエチルp-トルイジン1gと混合した。メチルメタクリレート/ジヒドロキシエチルおよびp-トルイジン溶液に、2つのシンナミル基を有する第三級アミンを有するSiO粒子2gを添加し、均一な溶液が得られるまで、3000rpmで高せん断ホモジナイザーを使用して分散させた。次いで、両溶液を混合し、96ウェルプレートの側壁で重合させた。
【0263】
抗菌活性実験:試験細菌としてフェカリス菌(E.faecalis)を使用して、37°Cで24時間、直接接触試験(DCT)を実施した。図22は、本実験では、同じ濃度でポリメチルメタクリレートに埋め込んだ場合、第三級アミンが第四級アンモニウムよりも抗菌活性が高いことを示している。
【0264】
[実施例13]
本発明のシリカ系粒子を含む骨セメント
骨セメントは、外科手術中にインプラントを固定するために整形外科で使用される。骨セメント組成物:このセメント組成物は、コンタクトレンズについて上に示されるように、開始剤を含む液体モノマーメチルメタクリレート溶液および活性剤としての開始剤を含む固体予備重合ポリメチルメタクリレートに基づく。
【0265】
抗菌活性実験:本発明のシリカ系抗菌粒子を、市販の骨セメントの固体部分に添加した。3つの試料を抗菌活性について試験した:(I):2つのシンナミル基を有する第三級アミンを有するSiO粒子、(II):骨セメントの液体部分と混合した後の各試料中の粒子の全体濃度が2重量%であった第四級アンモニウムを有するSiO粒子、および(III)この実験の対照としての非修飾骨セメント。非修飾および抗菌粒子で修飾したボンドセメントの試料を、96ウェルプレートの側壁に適用し、試験細菌として黄色ブドウ球菌(S.aureus)を使用してDCTプロトコルを実施した。図22は、10個の細菌細胞のうち、2重量%の本発明のシリカ系抗菌粒子を含有する骨セメントの表面で増殖した細菌細胞は1つもなかったことを示している。
【0266】
[実施例14]
水濾過媒体における本発明のシリカ系抗菌粒子の抗菌活性。
【0267】
クロロメチル-ポリスチレンビーズ(Merrifield樹脂)1gをジクロロメタン50mlに分散させた。均一な懸濁液が得られるまで、2つのシトラール基を有する第三級アミンを有するSiO粒子1gを、3000rpmで高せん断ホモジナイザーを使用してジクロロメタン10mlに分散させた。両溶液を合わせ、室温で72時間撹拌した。その後、抗菌粒子を含む修飾ビーズをDCM 20mlで5回、次いで、ジエチルエーテル20mlで2回すすぎ、最終的に真空下で一晩乾燥させた。
【0268】
抗菌活性実験:黄色ブドウ球菌(S.aureus)細菌に対する効果を試験するために、修飾ビーズのブレインハートインフュージョン(BHI)懸濁液で抗菌試験を実施した。220μlの様々な濃度の修飾ビーズを含むBHI懸濁液を、各濃度について8ウェルで、96ウェルプレートのウェルに注ぎ入れた。その後、10μlの細菌(10個の生細胞)を各試験ウェルに添加し、吸光度を24時間、20分毎に650nmで測定した。実験中、試料を含む各プレートを37℃に維持し、各読み取り前に5秒間振盪した。図24に示されるように、1重量%の試料で部分的な抗菌活性が得られ、続いて2重量%の試料でより強い効果が得られ、5重量%で完全な細菌抑制が得られる。
【0269】
[実施例15]
種々の1平方ナノメートル当たり表面濃度の官能基で2つのシンナミル基を有する第三級アミンまたは第四級アンモニウムを有する本発明のシリカ系抗菌粒子の抗菌活性。
【表2】
【0270】
表2は、シリカ粒子上の官能基の数と2つの選択された細菌に対する抗菌活性との間の関係を示している。項目1および3は、抗微生物活性部分1つ当たりわずか1つの抗菌活性基のみの比を有するが、他はより高い比を含む。さらに、第四級アンモニウム官能性と2つのシンナミル基を有する第三級アミンの差を示している。(i)官能基の数は粒子が細菌増殖を阻害する能力に比例し、(ii)第四級アンモニウム官能性が、2つのシンナミル基を有する第三級アミンよりも細菌増殖を阻害する最も強い効力を示すと結論付けられる。
【0271】
[実施例16]
本発明の歯科修復コンポジット
典型的な歯科修復コンポジットを、以下の成分を混合することによって調製した(括弧内は重量%):
-ビス-GMA(ビスフェノールA-グリシジルメタクリレート)(10重量%);
-UDMA(ウレタンジメタクリレート)(5重量%);
-TEGDMA(トリエチレングリコールジメタクリレート)(5重量%);
-カンファーキニン(Camphorquinine)(1重量%);
-エチル-4-ジメチルアミノベンゾエート(EDMAB)(1重量%);
-ヒュームドシリカ(5重量%);
-シラン化ガラスフィラー(73重量%);および
-抗微生物粒子(上記組成の2重量%)。
【0272】
[実施例17]
本発明のコンポジットを使用したフェカリス菌(E.faecalis)の抑制
シリコーンポリマー中の抗菌第四級ポリエチレンイミン(QPEI)粒子のコンポジットを、以下に従って調製した:2部の室温加硫シリコーン材料を、乳房インプラントおよびフォーリーカテーテルなどのシリコーン医療機器の製造に使用されるモデルシリコーン材料として使用した。非修飾シリコーンポリマーを参照として使用した(「シリコーン」としてマークされる)。シリコーン前駆体を、2つの成分と混合したQPEIを適用した平らなプラスチック表面に平らなプラスチックシートで押し付けることによって重合した。得られたシリコーンシートを5×15mm標本に切断し、96ウェルプレートの側壁に置いた。直接接触試験(DCT)をフェカリス菌(E.faecalis)に対して実施した。エラー!参照元が見つからなかったに示されるように、1%wt/wtのQPEI粒子で細菌増殖の完全な抑制が得られた。
【0273】
[実施例18]
抗微生物活性部分に異なる数のモノマー単位を有する粒子を含むコンポジットの抗菌活性の比較
抗微生物粒子[メチルオクチルアンモニウム第四級アンモニウム基で官能化されたシリカコア、n=1~3(すなわち、抗微生物活性単位当たりのモノマー単位の数が1~3である)、抗微生物活性基の数は、コア表面の1平方nm(nm)当たり174である(構造1;(n+n)×m×p=174)]を、市販の歯科用重合性メチルメタクリレート(Unifast Trad、GC America inc)に0~2%wt/wtの濃度で埋め込んだ。製造業者の指示に従って、メチルメタクリレートをシリコーンるつぼ中でそれぞれ2g/mlの液体/粉末比で混合し、次いで、37℃で24時間マイクロタイターウェルの側壁で重合させた後、微生物試験をした。
【0274】
抗菌試験(直接接触試験、実施例5参照)結果(図24)は、「n」の増加がより高い抗菌活性(フェカリス菌(E.faecalis)のODの減少)につながり、n=3のときに最も強力な抗菌効果が達成されることを示した。
【0275】
[実施例19]
2つのシンナムアルデヒド基を有する第三級アミンを有するシリカコア系粒子(SNP-Cial)を含むコンポジットの抗菌活性
2つのシンナムアルデヒド基を有する第三級アミンで官能化されたシリカコア系粒子(SNP-Cial、図25)を、市販の歯科用重合性メチルメタクリレート(Unifast Trad、GC America inc)に埋め込んだ。製造業者の指示に従って、メチルメタクリレートをシリコーンるつぼ中でそれぞれ2g/mlの液体/粉末比で混合し、次いで、37℃で24時間マイクロタイターウェルの側壁で重合させた後、微生物試験をした。抗菌試験(直接接触試験、実施例5参照)の結果(図25)は、抗微生物粒子の非存在下での対照と比較して、組成物の抗菌活性(フェカリス菌(E.faecalis)のODの減少)を示した。
【0276】
[実施例20]
本発明のシリカナノ粒子を含むポロキサマーヒドロゲルコンポジット
ポリ(エチレングリコール)ジグリシジルエーテルをジエチレントリアミンと反応させることによって、ヒドロゲルを調製した。両反応物質を混合した直後に、2QSi粒子[=メチルオクチルアンモニウム第四級アンモニウム基で官能化されたシリカコア、抗微生物活性単位当たりのモノマー単位の数は2である[m=2;構造1)]を導入し、均一な懸濁液が得られるまで混合した。このブレンドを平らな型に注ぎ入れ、37℃で48時間乾燥させて重合を完了させた。その後、ポリマーの薄膜を脱イオン水に浸漬し、水分を吸収させた。
【0277】
表3に提示されるように、DCTプロトコル(実施例5)を使用して、2QSiを含む修飾ヒドロゲルの抗菌活性を評価した。
【表3】
【0278】
表に示されるように、ポロキサマーコンポジット内の2QSi粒子濃度が増加すると、抗菌活性(フェカリス菌(E.faecalis)に対する)が増加した。
【0279】
[実施例21]
本発明のシリカコア系粒子を含むアルギン酸塩ヒドロゲルコンポジット
2QSi粒子[=メチルオクチルアンモニウム第四級アンモニウム基で官能化されたシリカコア、抗微生物活性単位当たりのモノマー単位の数は2である[m=2;構造1)]を、乾燥アルギン酸塩粉末を2QSi粒子と予備混合することによって、アルギン酸塩ヒドロゲルに組み込んだ。その後、十分な量の水を添加し、均一なペーストが形成されるまで化合物を混合した。
【0280】
ヒドロゲルをDCTプレートの側壁上で乾燥させ、表4に提示されるように、DCTプロトコル(実施例5)に従って抗菌活性を評価した。
【表4】
【0281】
表に示されるように、アルギン酸塩コンポジット内の2QSi粒子濃度が増加すると、抗菌活性(フェカリス菌(E.faecalis)に対する)が増加した。
【0282】
[実施例22]
インビボでの皮下インプラントにおける活性
設計:皮下埋め込みで、2%w/wでシリコーンインプラントに組み込まれた2QSi-POSS粒子[=メチルオクチルアンモニウム第四級アンモニウム基で官能化されたPOSSコア、抗微生物活性単位当たりのモノマー単位の数は2である(m=2;構造1)]の抗菌活性を試験した。n=2の第四級アンモニウム官能性を有するPOSS粒子を、脊椎の片側(右側)のマウスの背中に埋め込まれたシリコーンロッドに組み込み、脊椎の反対側(左側)に粒子を含まない同一のロッドを対照として埋め込んだ。インプラントに、10μlの10個/mlフェカリス菌(E faecalis)をエキソビボ(移植前)で1回(A群、n=10)またはインサイツで2日間隔で8回(回復を可能にするため移植1週間後に開始、B群、n=4)接種した。説明後、インプラントをボルテックスし、すすいで遊離(浮遊)細菌を除去し、次いで、寒天プレート上で転がしてCFU数(スタンプ試験)によってインプラント上のバイオフィルムの存在を評価した。
【0283】
結果:A群(エキソビボ接種)では、外植および分析に利用可能な9/10匹の動物のうち、有意な増殖を有した6対照(無粒子)インプラント、わずかな増殖を有した2および増殖なしの1と比較して、スタンプ試験でバイオフィルムを有した粒子含有インプラントはなかった(ゼロCFU)。同様に、対照インプラントから回収された1.5×10に対して、試験インプラントからのボルテックス懸濁液では緩く結合した細菌は検出されなかった。B群(インサイツ接種)では、スタンプ試験は、試験インプラントと対照インプラントの両方で、2匹の動物でバイオフィルムを示さなかったが、他の2匹の動物では、対照インプラントで大きく増殖したのに対し、試験インプラントでは増殖がなかった。結果を以下の表5に要約する。
【0284】
これらの結果は、抗菌粒子がバイオフィルムの成長を防止し、シリコーン皮下インプラント上の細菌の総数を有意に減少させることができることを示している。
【表5】
【0285】
本発明の一定の特徴を本明細書で例示および記載してきたが、多くの修正、置換、変更および等価物がここで当業者に思い浮かぶだろう。したがって、添付の特許請求の範囲が、本発明の真の精神の範囲内にあるこのような全ての修正および変更を網羅することを意図していることを理解すべきである。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
図6-1】
図6-2】
図7-1】
図7-2】
図8A
図8B
図8C
図9-1】
図9-2】
図10-1】
図10-2】
図11-1】
図11-2】
図12
図13
図14
図15
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図17
図18
図19
図20A
図20B
図21A
図21B
図22
図23
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図25