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  • 特許-バッテリーカバーおよびその構成方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-25
(45)【発行日】2023-09-04
(54)【発明の名称】バッテリーカバーおよびその構成方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/24 20210101AFI20230828BHJP
   H01M 50/231 20210101ALI20230828BHJP
   H01M 50/224 20210101ALI20230828BHJP
   H01M 50/238 20210101ALI20230828BHJP
   H01M 10/658 20140101ALI20230828BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20230828BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20230828BHJP
【FI】
H01M50/24
H01M50/231
H01M50/224
H01M50/238
H01M10/658
H01M10/625
H01M10/613
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2020524800
(86)(22)【出願日】2018-11-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-28
(86)【国際出願番号】 US2018059295
(87)【国際公開番号】W WO2019090278
(87)【国際公開日】2019-05-09
【審査請求日】2021-10-21
(31)【優先権主張番号】16/181,118
(32)【優先日】2018-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/582,140
(32)【優先日】2017-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503170721
【氏名又は名称】フェデラル-モーグル・パワートレイン・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】FEDERAL-MOGUL POWERTRAIN LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロウコツキー,ダニエル・エイ
(72)【発明者】
【氏名】バーディ,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】マロイ,キャシー
(72)【発明者】
【氏名】シェーファー,アマンダ
(72)【発明者】
【氏名】ピンコウ,クリストファー・ジェイ
【審査官】井原 純
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-527488(JP,A)
【文献】国際公開第2017/110037(WO,A1)
【文献】特表2013-502674(JP,A)
【文献】特開2015-174321(JP,A)
【文献】特表2014-529859(JP,A)
【文献】特開2019-084836(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-50/298
H01M 10/625
H01M 10/658
H01M 10/613
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性断熱バッテリーカバーであって、
底端と上端との間に延在する空洞を周方向に制限する可撓性管状壁を含み、前記可撓性管状壁は、複合最外層と、第1の熱可塑性最内層と、前記複合最外層と前記第1の熱可塑性最内層との間に挟まれた不織布中間層とを有し、
前記複合最外層は、金属化熱可塑性最外層と、第2の熱可塑性最内層と、前記金属化熱可塑性最外層と前記第2の熱可塑性最内層との間に挟まれた金属層とを含む、可撓性断熱バッテリーカバー。
【請求項2】
第1の幅が前記底端から前記上端まで規定され、前記不織布中間層は、前記第1の幅よりも小さい第2の幅を有する、請求項1に記載の可撓性断熱バッテリーカバー。
【請求項3】
前記複合最外層の前記第2の熱可塑性最内層と、前記第1の熱可塑性最内層とは、前記底端に隣接して形成された溶接継手を介して、および前記上端に隣接して形成された溶接継手を介して互いに結合される、請求項2に記載の可撓性断熱バッテリーカバー。
【請求項4】
前記溶接継手には、前記不織布中間層の材料がない、請求項3に記載の可撓性断熱バッテリーカバー。
【請求項5】
前記不織布中間層は、前記溶接継手間に含まれる、請求項4に記載の可撓性断熱バッテリーカバー。
【請求項6】
前記金属化熱可塑性最外層は前記金属層に付着され、前記第2の熱可塑性最内層は前記金属層に付着される、請求項1に記載の可撓性断熱バッテリーカバー。
【請求項7】
前記第2の熱可塑性最内層は不織布材料である、請求項1に記載の可撓性断熱バッテリーカバー。
【請求項8】
前記金属層は金属箔である、請求項1に記載の可撓性断熱バッテリーカバー。
【請求項9】
前記金属箔は、約0.0003インチ~0.0015インチの厚さを有する、請求項8に記載の可撓性断熱バッテリーカバー。
【請求項10】
前記金属箔は不浸透性である、請求項8に記載の可撓性断熱バッテリーカバー。
【請求項11】
前記第1の熱可塑性最内層は多孔性不織布スクリム層である、請求項1に記載の可撓性断熱バッテリーカバー。
【請求項12】
前記可撓性管状壁は、前記底端から前記上端まで延在する溶接シームを有する、請求項1に記載の可撓性断熱バッテリーカバー。
【請求項13】
前記溶接シームには、前記不織布中間層の材料がない、請求項12に記載の可撓性断熱バッテリーカバー。
【請求項14】
前記可撓性管状壁は、前記底端から前記上端まで延在する複数のリビングヒンジを有する、請求項12に記載の可撓性断熱バッテリーカバー。
【請求項15】
バッテリーカバーを構成する方法であって、
金属化熱可塑性最外層と、第2の熱可塑性最内層と、前記金属化熱可塑性最外層と前記第2の熱可塑性最内層との間に挟まれた金属層とを含む複合最外層を形成するステップと、
第1の熱可塑性最内層を提供するステップと、
不織布中間層を提供するステップと、
平壁を形成するために、前記複合最外層と前記第1の熱可塑性最内層との間に前記不織布中間層を挟み、前記複合最外層を前記第1の熱可塑性最内層に結合するステップと、
底端と上端との間に延在する可撓性管状壁を形成するために、前記平壁の向かい合う縁同士を互いに固定するステップとを含む、方法。
【請求項16】
前記底端から前記上端まで延在する幅よりも小さい幅を有する前記不織布中間層を提供するステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記底端に隣接して、および前記上端に隣接して、前記第1の熱可塑性最内層を前記複合最外層に直接結合するステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記結合するステップを、超音波溶接プロセスを介して行なうステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記超音波溶接プロセスで、前記不織布中間層の材料がない溶接継手を形成するステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記金属化熱可塑性最外層を前記金属層に付着させ、前記第2の熱可塑性最内層を前記金属層に付着させるステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記複合最外層の前記第2の熱可塑性最内層を不織布材料として提供するステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
前記第1の熱可塑性最内層を多孔性不織布スクリム層として提供するステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
前記可撓性管状壁を形成する前に、前記底端から前記上端まで延在する複数のリビングヒンジを前記平壁に形成するステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項24】
前記金属層を金属箔として提供するステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項25】
約0.0003インチ~0.0015インチの厚さを有する前記金属箔を提供するステップをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
不浸透性である前記金属箔を提供するステップをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本願は、2017年11月6日に出願された米国仮出願連続番号第62/582,140号、および2018年11月5日に出願された米国実用新案出願連続番号第16/181,118号の利益を主張する。当該出願はそれら全体がここに引用により援用される。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
1.技術分野
この発明は一般にバッテリーカバーに関し、より特定的には、可撓性断熱バッテリーカバーに関する。
【0003】
2.関連技術
断熱材は一般に、自動車両バッテリーなどのバッテリーを熱の影響による劣化から隔離するために必要とされる。バッテリーを保護するために、硬質プラスチックカバーがよく使用されるが、それらは比較的重く、加えて、典型的にはバッテリーを熱的条件から保護しない。したがって、硬質プラスチックカバーは一般に、バッテリーを熱劣化から保護するために必要とされる断熱度を提供せず、それにより、バッテリーの有効寿命を減少させる。加えて、硬質プラスチックバッテリーカバーは可撓性がなく、概してかさばるため出荷するのに扱いにくく、加えて、貴重な保管空間を占め、それにより、出荷および在庫コストを増加させる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
開示の概要
この開示の一局面によれば、一体型の可撓性断熱バッテリーカバーが提供される。バッテリーカバーは、底端と上端との間に延在する空洞を周方向に制限する可撓性管状壁を含む。可撓性管状壁は、複合最外層と、第1の熱可塑性最内層と、複合最外層と第1の熱可塑性最内層との間に挟まれた不織布中間層とを有する。複合最外層は、反射型熱可塑性最外層と、第2の熱可塑性最内層と、反射型熱可塑性最外層と第2の熱可塑性最内層との間に挟まれた金属層とを含む。
【0005】
別の局面によれば、第1の幅が底端から上端まで規定され、不織布中間層は、第1の幅よりも小さい第2の幅を有する。
【0006】
別の局面によれば、複合最外層の第2の熱可塑性最内層と、第1の熱可塑性最内層とは、底端および上端に隣接して形成された溶接継手を介して互いに直接結合される。
【0007】
別の局面によれば、複合最外層の第2の熱可塑性最内層と第1の熱可塑性最内層との間に形成された溶接継手は、不織布中間層の材料を含まない。
【0008】
別の局面によれば、反射型熱可塑性最外層は金属層に直接付着可能であり、第2の熱可塑性最内層は金属層に直接付着可能である。
【0009】
別の局面によれば、反射型熱可塑性最外層は金属箔として提供可能である。
別の局面によれば、金属箔は不浸透性であり得る。
【0010】
別の局面によれば、金属箔は、約0.0003インチ~0.0015インチの厚さを有して提供可能である。
【0011】
別の局面によれば、複合最外層の第2の熱可塑性最内層は、約1~3mmの厚さを有するような不織布材料として提供可能である。
【0012】
別の局面によれば、第1の熱可塑性最内層は、多孔性スクリム層として提供可能である。
【0013】
別の局面によれば、可撓性管状壁は、壁を周方向に連続するものとして形成するために、底端から上端まで延在する単一の溶接シームを有して形成可能である。
【0014】
別の局面によれば、可撓性管状壁は、出荷および積込みのために壁を折り畳むことを容易にするために、複数のリビングヒンジを有して提供可能である。
【0015】
別の局面によれば、反射型熱可塑性最外層は、金属化熱可塑性層として提供可能である。
【0016】
別の局面によれば、バッテリーカバーを構成する方法が提供される。方法は、反射型熱可塑性最外層と、第2の熱可塑性最内層と、反射型熱可塑性最外層と第2の熱可塑性最内層との間に挟まれた金属層とを含む複合最外層を形成するステップを含む。さらに、第1の熱可塑性最内層を提供するステップと、不織布中間層を提供するステップとを含む。次に、平壁を形成するために、複合最外層と第1の熱可塑性最内層との間に不織布中間層を挟み、複合最外層を第1の熱可塑性最内層に結合するステップを含む。さらに、底端と上端との間に延在する可撓性管状壁を形成するために、壁の向かい合う縁同士を互いに固定するステップを含む。
【0017】
別の局面によれば、方法は、底端から上端まで延在する幅よりも小さい幅を有する不織布中間層を提供するステップをさらに含み得る。
【0018】
別の局面によれば、方法は、底端に隣接して、および上端に隣接して、第1の熱可塑性最内層を複合最外層に直接結合するステップをさらに含み得る。
【0019】
別の局面によれば、方法は、第1の熱可塑性最内層を複合最外層に結合するステップを、超音波溶接プロセスを介して行なうステップをさらに含み得る。
【0020】
別の局面によれば、方法は、不織布中間層を、超音波溶接プロセスによって形成される溶接継手がない状態に保つステップをさらに含んでいてもよく、それにより、溶接継手の完全性を高め、溶接プロセスのプロセス速度を増加させ、よって、生産速度を増加させ、それに関連するコストを削減する。
【0021】
別の局面によれば、方法は、反射型熱可塑性最外層を金属層に付着させ、第2の熱可塑性最内層を金属層に付着させるステップをさらに含み得る。
【0022】
別の局面によれば、方法は、複合最外層の第2の熱可塑性最内層を不織布材料として提供するステップをさらに含み得る。
【0023】
別の局面によれば、方法は、第1の熱可塑性最内層を、熱可塑性材料を含有する多孔性スクリム層として提供するステップをさらに含み得る。
【0024】
別の局面によれば、方法は、可撓性管状壁を形成する前に、複数のリビングヒンジを平壁に形成するステップをさらに含み得る。
【0025】
別の局面によれば、方法は、反射型熱可塑性最外層を金属箔として提供するステップをさらに含み得る。
【0026】
別の局面によれば、金属箔は不浸透性であるとして提供可能である。
別の局面によれば、金属箔は、約0.0003インチ~0.0015インチの厚さを有するものとして提供可能である。
【0027】
図面の簡単な説明
本開示のこれらのおよび他の局面、特徴、および利点は、現在好ましい実施形態および最良の態様の以下の詳細な説明、添付された請求項、および添付図面に関連して考慮された場合、より容易に理解されるようになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】図示されたこの開示の一局面に従って構成された断熱バッテリーカバーの斜視図である。
図2図1のバッテリーカバーの上面図である。
図3】リビングヒンジを形成した後、および、材料を切断し、折り畳み、溶接して図1および図2のバッテリーカバーの壁の構成にする前の、初期作製状態で示された平らなシート材料の平面図である。
図4図1および図2のバッテリーカバーの壁の多層構成を示す、概して図2の4-4線に沿った断面図である。
図4A図4の丸で囲まれた区域4Aの拡大図である。
図5】概して図3の5-5線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
現在好ましい実施形態の詳細な説明
図面をより詳細に参照して、図1および図2は、自動車両バッテリー11を受け、バッテリー11の周囲側面の周りに熱的保護を提供するアセンブリを形成するための、この開示の一局面に従って構成された、以下にカバー10と呼ばれる可撓性生地バッテリーカバーを示す。カバー10は一体型の可撓性の壁12を有して形成されており、カバー10が単一の材料片として取扱われ、バッテリー11の周りに配置され得るようになっている。壁12は、管状に構成された側壁14を有して形成され、よって、その周囲側面14の周りに周方向に連続しており、上端16と反対側の底端18との間に延在する。壁12は、図4に最良に示されるように、複合最外層20と、第1の熱可塑性最内層22と、複合最外層20と第1の熱可塑性最内層22との間に挟まれた不織布中間層24とを有する。層20、22、24間に提供される相乗作用は、(長い有効寿命にわたる劣化に対して耐性を有しつつ、バッテリー酸温度を製造業者の推奨温度範囲内に保つことなどによって)カバー10が意図されるように機能する能力を高め、それにより車両バッテリー11の有効寿命を延ばしつつ、製造においても経済的であり、それにより製造に関連するコストを削減するとともに、容易な取扱い、出荷および積込みのために軽量で折り畳み可能である。
【0030】
複合最外層20は、図4Aに最良に示されるように、反射型熱可塑性最外層26と、第2の熱可塑性最内層28と、金属化熱可塑性最外層26と第2の熱可塑性最内層28との間に挟まれた不浸透性の反射型金属層30とを含む。
【0031】
不織布中間層24は、任意の好適な断熱材料から構成可能であり、一局面によれば、再生繊維または環境にやさしい材料から構成可能である。環境にやさしい材料は、粉砕厚紙、天然繊維、再生材料、および/または廃液流材料の混合物の少なくとも1つから提供される。不織布中間層24はさらに、ポリエステル系繊維、熱硬化性繊維、および/または熱溶融性生地繊維を含み得るが、現在好ましい一実施形態では必要ではなく、それにより、それに関連するコストを削減する。これは、第1の熱可塑性最内層22と第2の熱可塑性最内層28との間に不織布中間層24を取込む能力に起因して、典型的にはより高価な熱硬化性繊維および/または熱溶融性生地繊維を含むことを回避できることによる。天然繊維は、ジュート、ケナフ、麻などといった任意の好適な天然繊維から、および任意の好適な再生材料および/または廃液流材料からも提供可能である。
【0032】
熱溶融性および/または熱硬化性材料が不織布中間層24に含まれる場合、それは、たとえば、ポリエチレン、PET、またはナイロンの繊維といった低温溶融ポリマー材料として提供可能である。融点を上回って加熱されると溶融するたとえばポリプロピレンなどの外側シースと、熱硬化された形状を保つ熱硬化性材料であり得る内側コアとを含む熱可塑性2成分繊維といった、他の低温溶融ポリマー材料が使用されてもよいということが認識されるべきである。低融点材料は、溶融されると、存在する任意の生地天然繊維と厚紙繊維との混合物と、および、再生厚紙材料からの残存する結合剤と融合する。一例として、PET低融点2成分繊維の外側部分の融点はおよそ110℃~180℃であってもよく、一方、コアは250℃で溶融する。当業者であれば、所望の結果を達成するために、低融点繊維の代わりに他のコーティングまたはフィラーおよびフィラー繊維が使用されてもよいということを認識するであろう。
【0033】
不織布中間層24を構成するためのプロセスは、説明されたように環境にやさしい材料、たとえば天然繊維を含み得る選択された不織布材料と、オプションで含まれる熱溶融性繊維とを混和または混合するステップと、混合された材料のウェブを形成するステップとを含む。たとえばランド・マシーン(Rando machine)上でのエアレイプロセスで、またはカーディングプロセスで実行され得るウェビングプロセスは、環境にやさしい材料および繊維がランダムに配向された、均質に混合された天然繊維/溶融性繊維のマットまたはウェブを形成する。
【0034】
次に、ウェブが形成されると、ウェブは、環境にやさしい材料と繊維材料とを互いに結合するために、機械プロセス、化学プロセス、および/または熱的プロセスが好適であればそれを介することなどにより統合される。たとえば、熱溶融性繊維が提供される場合、ウェブは、熱溶融性繊維を少なくとも部分的に溶融するのに好適な温度まで炉などにおいて加熱可能であり、それにより、環境にやさしい材料と熱溶融性繊維との混合物を熱的に結合する。その他の場合、またはそれに加えて、ウェブは、環境にやさしい材料と繊維とを互いに絡ませるためのニードリングプロセス、および/または、環境にやさしい材料と繊維とをともに結合するために化学結合剤が利用される化学プロセスを受けることができる。選択された統合プロセスに関わらず、ウェブは、混ぜ合わされて絡み合った繊維の不織布シートになるように形成され、不織布シートは所望の厚さに達する。
【0035】
次に、不織布中間層24が形成されると、不織布中間層24の両側に複合最外層20および第1の熱可塑性層22が互いに結合され、それらの間に挟まれた関係で不織布中間層24を取込んで封入し、壁12の材料の形成を実質的に完了することができる。複合最外層20および第1の熱可塑性層22を互いに結合することを容易にするために、不織布中間層24は、図3に示すように、向かい合う上端16および底端18によって規定される第2の幅W2と比べて減少した第1の幅W1を有して提供可能である。そのため、限定されることなく例示として挙げられる超音波溶接継手32などの結合継手が、複合最外層20の第2の熱可塑性最内層28と第1の熱可塑性最内層22との間に容易に形成可能であり、溶接継手32には、不織布中間層24からの材料がない。そのため、溶接されなければならない材料がより少ないので、プロセスは合理化されてより効率的になり、よって、それに関連するコストが削減され、生産速度が増加される。さらに、壁12を形成する結合プロセスに加えて、壁12を折り畳むための所望の場所を作るためにリビングヒンジ34を所望通りに壁12に形成することができる。次に、壁12が所望のサイズに切断され、それにより自由縁または側36が形成されると、平面の平壁12は、リビングヒンジ34などを介して容易に適切に折り畳まれ得る。そうすると、自由縁36同士は互いに当接する関係になり、次に、結合シーム38で互いに固定され得る。これは、たとえば超音波溶接プロセスなどでの溶接といった好適な熱の印加による結合を介して、もしくは、たとえば好適な接着剤または締結具によって行なわれて、意図された車両バッテリーを受けるために好適にサイズ決めされた空洞40を制限するカバー10の周方向に連続する管状壁構造を形成する。そのため、壁12は、上端16と底端18との間に延在する、その周方向に連続する周囲側面14を有して構成される。
【0036】
さらなる局面によれば、複合最外層20の第2の熱可塑性最内層28は不織布材料として提供可能であり、不織布材料は少なくともいくつかの熱可塑性構成成分を含む。不織布材料内の材料全体は、所望されれば、熱可塑性材料として提供されてもよいということが認識されるべきである。
【0037】
さらに別の局面によれば、不浸透性の反射型金属層30は、限定されることなく例示として挙げられる約0.0003インチ~0.0015インチの厚さを有するアルミ箔などの金属箔として提供可能である。
【0038】
さらに別の局面によれば、第1の熱可塑性最内層22は多孔性スクリム層として提供可能であり、スクリム層22の材料は少なくともいくつかの熱可塑性構成成分を含むものの、スクリム層22内の材料全体は、所望されれば、熱可塑性材料として提供されてもよいということが認識されるべきである。
【0039】
上述の相乗作用に加えて、さらなる相乗作用が、特にカバー10の使用において当業者によって認識されるであろう。たとえば、不織布の第2の熱可塑性最内層28は、第1の熱可塑性最内層22への複合層20の超音波溶接を容易にすることによって製造可能性を高めるだけでなく、不織布の第2の熱可塑性最内層28はさらに、反射型金属層30に対する緩衝材として作用することによって騒音の生成を減少させつつ、反射型金属層30にしわがよらないようにもする。さらに、限定されることなく例示として挙げられるマイラー(Mylar)の金属化層といった可撓性の金属化熱可塑性層26などの反射型熱可塑性最外層26と、各々固体で不浸透性の可撓性シート材料である反射型金属層30とを用いると、それらは、熱いガスの流れがそれらを通ることを防止し、それにより、比較的熱いエンジンルーム環境の影響からバッテリー11をさらに隔離するよう作用する。さらに、第1の熱可塑性最内層22も、不織布中間層24を、水などの流体と接触しないように遮蔽するよう作用し、それにより、不織布中間層24が長い有効寿命にわたって乾いたままとなり、かつ意図されたように断熱材として機能することを可能にする。
【0040】
明らかに、本発明の多くの変更および変形が、上述の教示に鑑みて可能である。すべての請求項の、およびすべての実施形態のすべての特徴を互いに組合せることが、そのような組合せが互いに矛盾しない限り可能であるということが考えられる。したがって、この発明は、具体的に説明されたもの以外の態様で、添付された請求項の範囲内で実践され得るということが理解されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図4A
図5