(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-25
(45)【発行日】2023-09-04
(54)【発明の名称】溶融グリッドから溶融システムのリザーバ内に受容される溶融材料のレベルを制御するための方法
(51)【国際特許分類】
B29B 13/02 20060101AFI20230828BHJP
B05C 5/04 20060101ALI20230828BHJP
【FI】
B29B13/02
B05C5/04
(21)【出願番号】P 2020527039
(86)(22)【出願日】2018-11-06
(86)【国際出願番号】 US2018059413
(87)【国際公開番号】W WO2019099242
(87)【国際公開日】2019-05-23
【審査請求日】2021-11-04
(32)【優先日】2017-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391019120
【氏名又は名称】ノードソン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】NORDSON CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107401
【氏名又は名称】高橋 誠一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【氏名又は名称】松井 孝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100182257
【氏名又は名称】川内 英主
(74)【代理人】
【識別番号】100202119
【氏名又は名称】岩附 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】ゲレーロ,マニエル
(72)【発明者】
【氏名】ガンツァー,チャールズ,ピー.
【審査官】酒井 英夫
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-072633(JP,U)
【文献】実開昭60-058282(JP,U)
【文献】特開2014-083539(JP,A)
【文献】特開2004-276018(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B 13/02,
B05C 5/04,11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融グリッドから溶融システムのリザーバ内に受容された溶融材料のレベルを制御するための方法であって、
第1の時間で、前記リザーバ内のセンサから前記溶融材料の第1のレベルを受容することと、
前記第1の時間の後の第2の時間で、前記センサから前記溶融材料の第2のレベルを受容することと、
前記溶融材料
の前記第1
のレベル及び
前記第2のレベル
に基づいて、前記溶融材料
が前記リザーバに入る前記溶融材料の溶融充填
速度を決定することと、
前記溶融材料の前記溶融充填
速度の大きさを溶融充填
速度閾値と比較することと、
少なくとも前記溶融充填
速度に基づいて、及び前記溶融充填
速度が前記溶融充填
速度閾値より大きい又は小さいと決定されたかどうかに基づいて、前記溶融グリッドのための温度設定点を決定することと、
前記溶融グリッドの動作温度を調節して、前記温度設定点に一致させることと、を含む、方法。
【請求項2】
前記溶融充填
速度を決定することは、前記溶融充填
速度が負であると決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記溶融材料の前記溶融充填
速度を前記溶融充填
速度閾値と比較することは、前記溶融材料の前記溶融充填
速度が前記溶融充填
速度閾値未満であると決定することを含み、前記方法が、
前記溶融材料の前記第2のレベルを所望の動作レベルと比較することを更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記溶融材料の前記第2のレベルを前記所望の動作レベルと比較することは、前記第2のレベルが前記所望の動作レベルよりも大きいと決定することを含み、
前記溶融グリッドのための前記温度設定点を決定することが、前記溶融材料の前記第2のレベル、及び前記第1のレベルから前記第2のレベルまでの前記溶融材料の前記溶融充填
速度に基づいて、前記溶融グリッドのための低温設定点を計算することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記溶融材料の前記第2のレベルを前記所望の動作レベルと比較することは、前記第2のレベルが前記所望の動作レベル未満であると決定することを含み、
前記溶融グリッドのための前記温度設定点を決定することが、前記溶融材料の前記第2のレベル、及び前記第1のレベルから前記第2のレベルまでの前記溶融材料の前記溶融充填
速度に基づいて、前記溶融グリッドの高温設定点を計算することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記溶融材料の前記溶融充填
速度を前記溶融充填
速度閾値と比較することは、前記溶融材料の前記溶融充填
速度が前記溶融充填
速度閾値よりも大きいと決定することを含み、
前記溶融グリッドのための前記温度設定点を決定することが、前記溶融材料の前記第2のレベル、及び前記第1のレベルから前記第2のレベルまでの前記溶融材料の前記溶融充填
速度に基づいて、前記溶融グリッドのための高温設定点を計算することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記溶融充填
速度を決定することは、前記溶融充填
速度が正であると決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記溶融材料の前記溶融充填
速度を前記溶融充填
速度閾値と比較することは、前記溶融材料の前記溶融充填
速度が前記溶融充填
速度閾値未満であると決定することを含み、前記方法が、
前記溶融材料の前記第2のレベルを所望の動作レベルと比較することを更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記溶融材料の前記第2のレベルを前記所望の動作レベルと比較することは、前記第2のレベルが前記所望の動作レベルよりも大きいと決定することを含み、
前記溶融グリッドのための前記温度設定点を決定することが、前記溶融材料の前記第2のレベル、及び前記第1のレベルから前記第2のレベルまでの前記溶融材料の前記溶融充填
速度に基づいて、前記溶融グリッドのための低温設定点を計算することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記溶融材料の前記第2のレベルを前記所望の動作レベルと比較することは、前記第2のレベルが前記所望の動作レベル未満であると決定することを含み、
前記溶融グリッドのための前記温度設定点を決定することが、前記溶融材料の前記第2のレベル、及び前記第1のレベルから前記第2のレベルまでの前記溶融材料の前記溶融充填
速度に基づいて、前記溶融グリッドのための高温設定点を計算することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記溶融材料の前記溶融充填
速度を前記溶融充填
速度閾値と比較することは、前記溶融材料の前記溶融充填
速度が前記溶融充填
速度閾値よりも大きいと決定することを含み、
前記溶融グリッドのための前記温度設定点を決定することが、前記溶融材料の前記第2のレベル、及び前記第1のレベルから前記第2のレベルまでの前記溶融材料の前記溶融充填
速度に基づいて、前記溶融グリッドのための低温設定点を計算することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記溶融充填
速度閾値が、期間にわたる前記リザーバ内の前記溶融材料の3%レベルの変化である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記期間が、15秒~90秒である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記温度設定点を決定することが、
温度設定点+=[(K
tl-C)
*K
p]+[Δ
*K
d]の式にしたがって実施され、
式中、
K
tl=目標容量レベルであり、
C=現在の溶融ポリマーレベルであり、
K
p=比例項定数であり、
Δ=溶融ポリマーの溶融充填
速度であり、
K
d=微分項定数である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記目標容量レベルが、前記リザーバの50パーセントの容量である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記溶融グリッドのための前記温度設定点を、最小溶融グリッド温度及び最大溶融グリッド温度によって定義される所定の範囲の許容溶融グリッド温度と比較することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記最小溶融グリッド温度が、前記溶融材料の非溶融温度である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記最大溶融グリッド温度が、前記溶融材料のための最大推奨動作温度である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
固体ポリマーを溶融材料に溶融するための溶融システムであって、
前記固体ポリマーを受容するためのホッパーと、
前記溶融材料を受容するためのリザーバと、
前記ホッパーと前記リザーバとの間に配置され、前記固体ポリマーを加熱して前記溶融材料にするように構成された溶融グリッドと、
前記リザーバ内の前記溶融材料のレベルを検出するために、前記リザーバ内に配置されたセンサと、
前記リザーバ内の前記溶融材料のレベルを制御するために、前記溶融グリッド及び前記センサと電気通信するコントローラであって、前記コントローラが、
第1の時間で、前記リザーバ内の前記センサから前記溶融材料の第1のレベルを受容し、
前記第1の時間の後の第2の時間で、前記センサから前記溶融材料の第2のレベルを受容し、
前記溶融材料
の前記第1
のレベル及び
前記第2のレベル
に基づいて、前記溶融材料
が前記リザーバに入る前記溶融材料の溶融充填
速度を決定し、
前記溶融材料の前記溶融充填
速度の大きさを溶融充填
速度閾値と比較し、
少なくとも前記溶融充填
速度に基づいて、及び前記溶融充填
速度が前記溶融充填
速度閾値より大きい又は小さいと決定されたかどうかに基づいて、前記溶融グリッドのための温度設定点を決定し、かつ
前記溶融グリッドの動作温度を調節して、前記温度設定点に一致させるように構成されている、コントローラと、を含む、溶融システム。
【請求項20】
前記コントローラが、
前記溶融材料の前記第2のレベルを所望の動作レベルと比較するように更に構成されている、請求項19に記載の溶融システム。
【請求項21】
前記コントローラが、
前記第2のレベルが前記所望の動作レベルよりも大きいと決定することによって、前記溶融材料の前記第2のレベルを前記所望の動作レベルと比較し、かつ
前記溶融グリッドのための前記温度設定点を前記溶融材料の溶融温度未満に設定することによって、前記溶融グリッドのための前記温度設定点を決定するように更に構成されている、請求項20に記載の溶融システム。
【請求項22】
前記コントローラが、
前記第2のレベルが前記所望の動作レベル未満であると決定することによって、前記溶融材料の前記第2のレベルを前記所望の動作レベルと比較し、かつ
前記溶融材料の前記第2のレベル、及び前記第1のレベルから前記第2のレベルまでの前記溶融材料の前記溶融充填
速度に基づいて、前記溶融グリッドのための前記温度設定点を計算することによって、前記溶融グリッドのための前記温度設定点を決定するように更に構成されている、請求項20に記載の溶融システム。
【請求項23】
前記溶融充填
速度閾値が、60秒である期間にわたる前記リザーバ内の前記溶融材料の3%レベルの変化である、請求項19に記載の溶融システム。
【請求項24】
前記コントローラが、
前記溶融グリッドの前記動作温度を計測し、
前記溶融グリッドの前記動作温度と前記温度設定点とを比較し、
前記溶融グリッドのための前記温度設定点を、最小溶融グリッド温度及び最大溶融グリッド温度によって定義される所定の範囲の許容溶融グリッド温度と比較するように構成されており、
前記最小溶融グリッド温度は、前記溶融材料の非溶融温度であり、前記最大溶融グリッド温度は、前記溶融材料のための最大推奨動作温度であり、
(a)前記温度設定点が前記定義される所定の範囲の許容溶融グリッド温度内にあり、かつ前記溶融グリッドの前記動作温度が前記温度設定点より高い又は低いと決定された場合、
前記溶融グリッドの前記動作温度を調節して、前記温度設定点に一致させる、
(b)前記温度設定点が前記最小溶融グリッド温度より低く、かつ前記溶融グリッドの前記動作温度が前記温度設定点より高い又は低いと決定された場合、
前記温度設定点を前記最小溶融グリッド温度に設定し、かつ前記溶融グリッドの前記動作温度を調節して、前記最小溶融グリッド温度に設定された前記温度設定点に一致させる、
(c)前記温度設定点が前記最大溶融グリッド温度より高く、かつ前記溶融グリッドの前記動作温度が前記温度設定点より高い又は低いと決定された場合、
前記温度設定点を前記最大溶融グリッド温度に設定し、かつ前記溶融グリッドの前記動作温度を調節して、前記最大溶融グリッド温度に設定された前記温度設定点に一致させる、
ことを含む、請求項19に記載の溶融システム。
【請求項25】
前記溶融グリッド及び温度センサと電気通信するコントローラを備え、
前記コントローラが、
前記溶融グリッドの前記動作温度を計測し、
前記溶融グリッドの前記動作温度と前記温度設定点とを比較し、
前記溶融グリッドのための前記温度設定点を、最小溶融グリッド温度及び最大溶融グリッド温度によって定義される所定の範囲の許容溶融グリッド温度と比較するように構成されており、
前記最小溶融グリッド温度は、前記溶融材料の非溶融温度であり、前記最大溶融グリッド温度は、前記溶融材料のための最大推奨動作温度であり、
(a)前記温度設定点が前記定義される所定の範囲の許容溶融グリッド温度内にあり、かつ前記溶融グリッドの前記動作温度が前記温度設定点より高い又は低いと決定された場合、
前記溶融グリッドの前記動作温度を調節して、前記温度設定点に一致させる、
(b)前記温度設定点が前記最小溶融グリッド温度より低く、かつ前記溶融グリッドの前記動作温度が前記温度設定点より高い又は低いと決定された場合、
前記温度設定点を前記最小溶融グリッド温度に設定し、かつ前記溶融グリッドの前記動作温度を調節して、前記最小溶融グリッド温度に設定された前記温度設定点に一致させる、
(c)前記温度設定点が前記最大溶融グリッド温度より高く、かつ前記溶融グリッドの前記動作温度が前記温度設定点より高い又は低いと決定された場合、
前記温度設定点を前記最大溶融グリッド温度に設定し、かつ前記溶融グリッドの前記動作温度を調節して、前記最大溶融グリッド温度に設定された前記温度設定点に一致させる、
ことを含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2017年11月17日に出願された米国特許仮出願第62/587,978号明細書の利益を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、溶融グリッドと、溶融グリッドの温度を動的に制御する制御システムと、を含む、溶融システムに関する。
【背景技術】
【0003】
従来の溶融システムは、ホッパーの下側に位置付けられた溶融グリッドと、溶融グリッドの下側に位置付けられたリザーバと、リザーバに連結されたポンプと、ポンプに連結されたアプリケータと、を含む。溶融グリッドは、ホッパー内に貯蔵されている固体ポリマー材料を高温に曝露し、ポリマー材料を溶融液に変換する。溶融液は、リザーバに重力供給され、ここで、ポンプが溶融液をアプリケータに輸送する。アプリケータは、不織布又は他の材料などの基材上に溶融液を堆積させる。ホッパーの上部は、必要に応じて、ホッパーに固体ポリマー材料を加えるために開放され得る充填用蓋を有する。
【0004】
ホッパー内の固体ポリマーが溶融材料に変換され、リザーバ内の溶融材料がアプリケータに圧送されると、ホッパー内の固体ポリマーのレベルが減少し、リザーバ内の溶融材料のレベルが変動する。したがって、溶融グリッドによって溶融した固体ポリマーの量を制御する必要がある。現在、この問題を解決しようとする、いくつかの「溶融オンデマンド」方法が存在する。最も一般的な溶融オンデマンド構成は、ホッパー内の固体ポリマーのレベルが低くなると、充填システムに信号を送るために、ホッパー内のレベルセンサを採用する。信号を受信すると、充填システムはホッパーを補充する。別の溶融オンデマンドシステムは、ホッパー内の固体ポリマー上の下向きの力を調節する需要センサを、リザーバ内に含む。リザーバ内の溶融材料のレベルが低くなると、需要センサは、力誘導デバイスに、より大きな下向きの力を固体ポリマーに付与するように指示する。需要センサはまた、その温度を上昇させるように溶融グリッドに指示することもできる。
【0005】
しかしながら、これらの溶融オンデマンドシステムの多くは、問題を提示している。例えば、従来の溶融システムでは、固体ポリマーは、溶融機から離間した別個の容器内に貯蔵されなければならず、したがって、溶融システム全体を収容するために床空間を増加させる必要がある。また、容器から溶融機に固体ポリマーを輸送することができる空気搬送システムが含まれなければならない。溶融機は、任意の特定の時間で溶融される固体ポリマーの量にわたって大きな制御を行うことができないため、これらのシステムではオフボードの貯蔵が必要である。これは、いくつかのタイプの材料が空気搬送技術に寄与しないため、溶融することができる材料のタイプを制限する。更に、溶融プロセスによって作成された蒸気は、ホッパーが充填システムから固体ポリマーを受容する入口内及びその周囲の表面上に収集し得、これは、入口の詰まり及びシステム全体の故障をもたらす可能性がある。ホッパー内の固体ポリマーは、溶融システムがアイドル状態であるときにブリッジを形成してもよく、これは、追加の材料がホッパーに溶融及び送られることを防ぎ、かつ最終的には、溶融グリッド及び材料ホッパーを欠乏させる。
【0006】
その結果、固体ポリマーの内蔵貯蔵を可能にし、かつ固体ポリマーが溶融グリッドによって溶融される速度を制御することができる溶融システムが必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
本発明の第1の実施形態は、溶融グリッドから溶融システムのリザーバ内に受容された溶融材料のレベルを制御するための方法である。方法は、第1の時間で、リザーバ内のセンサから溶融材料の第1のレベルを受信することと、第1の時間の後の第2の時間で、センサから溶融材料の第2のレベルを受信することと、溶融材料の溶融充填率を、第1及び第2のレベルから決定することと、を含む。方法はまた、溶融充填率と溶融充填率閾値との間の差を決定するために、溶融材料の溶融充填率を溶融充填率閾値と比較することと、少なくとも溶融充填率に基づいて、溶融グリッドのための温度設定点を決定することと、溶融グリッドの動作温度を調節して、温度設定点に一致させることと、を含む。
【0008】
本発明の別の実施形態は、固体ポリマーを溶融材料に溶融するための溶融システムである。溶融システムは、固体ポリマーを受容するためのホッパーと、溶融材料を受容するためのリザーバと、固体ポリマーを加熱して、溶融材料にするために、ホッパーとリザーバとの間に配置された溶融グリッドと、を含む。溶融システムはまた、リザーバ内の溶融材料のレベルを検出するために、リザーバ内に配置されたセンサと、リザーバ内の溶融材料のレベルを制御するために、溶融グリッド及びセンサと電気通信するコントローラと、を含む。コントローラは、第1の時間で、リザーバ内のセンサから溶融材料の第1のレベルを受容し、第1の時間の後の第2の時間で、センサから溶融材料の第2のレベルを受容し、かつ溶融材料の溶融充填率を、第1及び第2のレベルから決定するように構成されている。コントローラは、溶融充填率と溶融充填率閾値との間の差を決定するために、溶融材料の溶融充填率を溶融充填率閾値と比較し、少なくとも溶融充填率に基づいて、溶融グリッドのための温度設定点を決定し、かつ溶融グリッドの動作温度を調節して、温度設定点に一致させるように更に構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
前述の「発明の概要」、並びに本出願の例示的実施形態についての以下の「発明を実施するための形態」は、添付の図面と併せて読むと、よりよく理解されるであろう。本出願を例示するために、本開示の例示的実施形態が図面において示されている。しかしながら、本出願は、図示されている正確な配置及び手段に制限されるものではないことを理解されたい。
【0010】
【
図1】本開示の実施形態による溶融システムの斜視図である。
【
図2】
図1に示される溶融システムの側面図である。
【
図3】線3-3に沿って切断した、
図1に示される溶融システムの一部分の断面図である。
【
図4】明確にするために溶融システムの構成要素を取り外した、
図1に示される溶融ユニットの断面図である。
【
図5】本発明の実施形態による溶融システム内の溶融材料のレベルを制御する方法を例示する、プロセスフロー図である。
【
図6】本発明の実施形態による溶融グリッドの温度を制御する方法を例示する、プロセスフロー図である。
【
図7A】本発明の実施形態の第1の期間にわたる、リザーバレベル、ホッパーレベル、及び溶融グリッド温度を示すグラフを示しているHMIデバイスのディスプレイである。
【
図7B】本発明の実施形態の第2の期間にわたる、リザーバレベル、ホッパーレベル、及び溶融グリッド温度を示すグラフを示している、
図7Aに示されるディスプレイである。
【
図7C】本発明の実施形態の第3の期間にわたる、リザーバレベル、ホッパーレベル、及び溶融グリッド温度を示すグラフを示している、
図7Aに示されるHMIデバイスディスプレイである。
【
図8】本開示の実施形態による、制御システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
接着剤などの固体ポリマーPを溶融材料Mに変換するための溶融グリッド40を含む溶融システム10が本明細書に説明される。溶融システム10はまた、溶融グリッド40から溶融材料Mを受容するためのリザーバ30を含む。溶融システム10は、リザーバ30内に配置されたセンサ29と、センサ29及び溶融グリッド40と通信して、リザーバ30によって受容される溶融材料Mの量を決定する溶融グリッド40の温度を制御するコントローラ402と、を含む。特定の用語は、以下の説明において便宜のためにのみ溶融システム10の説明に使用されており、制限を意図するものではない。「右側」、「左側」、「下側」、及び「上側」という単語は、参照される図面内での方向を指定する。「内側」及び「外側」という単語は、溶融システム10及びその関連部品を説明する記述の幾何学的中心に向かう、及びそこから離れる方向をそれぞれ指す。「前方」及び「後方」という単語は、溶融システム10及びその関連部品に沿って、長手方向6の方向及び長手方向6の反対の方向を指す。用語は、上に挙げた単語、その派生語、及び類似の意味の単語を含む。
【0012】
本明細書において別途説明のない限り、「垂直(の)」、「横(の)」、及び「長手(の)」という用語は、垂直方向2、横方向4、及び長手方向6によって指定されるように、溶融システム10の様々な構成要素の直交方向成分を記述するために使用される。横方向4及び長手方向6は、水平面に沿って延在するものとして例示され、垂直方向2は、垂直面に沿って延在するものとして例示されているが、様々な方向を包含する平面は、使用中に異なるものであり得ることを理解されたい。
【0013】
図1及び
図2に示されるように、溶融システム10は、概して、ホイール(参照番号なし)に装着された基部フレーム12と、基部フレーム12の一方の側部によって支持されている制御ユニット14と、少なくとも1つの溶融ユニットと、を含む。例示される実施形態によれば、溶融ユニット20は、制御ユニット14の反対側の基部フレーム12の側部によって支持されている。制御ユニット14は、操作者が溶融システム10の動作を制御するために使用することができるコントローラ、ユーザインターフェース、及びディスプレイ(
図7A~
図7Cに示されるディスプレイ300など)を収容する、キャビネットを含む。制御ユニット14は、有線コネクタ16を介して溶融ユニット20に接続されている。単一の溶融ユニットを含むように示されているが、溶融システム10は、2つ以上の溶融ユニットを含むことができる。本明細書に説明される原理は、不織布用途又は包装材用途などの用途の要件に応じて、サイズを拡大又は縮小することができる。
【0014】
引き続き
図1及び
図2を参照すると、溶融ユニット20は、基部フレーム12及びその下にある表面によって支持され、かつ垂直方向2に沿って上方へ延在している。溶融ユニット20及び制御ユニット14、したがって基部フレーム12は、溶融システム10の全体的な「フットプリント」を画定する。例示されるように、フットプリントは、実質的に直線的であり、互いに対して垂直である横方向4及び長手方向6に沿って延在している。横方向4及び長手方向6はまた、垂直方向2に対しても垂直である。
【0015】
引き続き
図1~
図3を参照すると、溶融ユニット20は、基部フレーム12の上側のポンプアセンブリ24と、ポンプアセンブリ24に連結されたリザーバ30と、リザーバ30内に位置付けられた1つ以上のセンサ29と、リザーバ30の上側の溶融グリッド40と、溶融グリッド40の上側に装着されたホッパー60と、を含む。センサ29は、1つ以上の容量性レベルセンサ、カメラを使用する光学センサなどであってもよい。溶融ユニット20はまた、リザーバ30とホッパー60との間に配置された断熱領域50も含む。溶融システム10は、
図8に示されるように、溶融ユニット20、特に溶融グリッド40の動作を制御する制御システム400を含む。制御システム400は、有線コネクタ16を通って1つ以上のセンサ29及び溶融グリッド40に連結されたコントローラ402を含む。制御システム400は、以下で説明するように、溶融グリッド40からの、及びリザーバ30の中への溶融材料Mの流れを制御するために使用される。
【0016】
図1~
図3を参照すると、断熱領域50は、リザーバ30内の溶融材料Mとホッパー60内の固体ポリマーPとの間に障壁を作成する。断熱領域50は、ホッパー60内の温度を、固体ポリマーPの溶融温度よりも低く維持するのに役立つ。例えば、断熱領域50は、リザーバ30から溶融グリッド40を通ってホッパー60へ熱が伝達されることを最小限に抑える熱障壁を作成することによって、リザーバ30内の溶融材料Mの第2の温度よりも低い第1の温度に、ホッパー60内の固体ポリマーPを維持することを助ける。
図3に示されるように、断熱領域50は、溶融グリッド40とリザーバ30の溶融材料Mとの間に間隙Gを備える。断熱領域50は、リザーバ内の溶融材料からホッパー内の固体ポリマーPへの熱の移動を最小限に抑えるか、又は更には排除するための熱障壁を作成する、任意の空間又は構造体であり得る。例えば、断熱領域50は、
図3に示されるように、リザーバ30の上部分であり得る。別の実施形態では、断熱領域は、リザーバ30と溶融グリッド40との間に位置付けられた別々の構成要素を含み得る。場合によっては、断熱領域50及び/又は別個の構成要素がホッパー60と溶融グリッド40(図示せず)との間に位置付けられて存在し得る。
【0017】
図3及び
図4を参照すると、リザーバ30は溶融グリッド40から出る溶融した材料Mを捕集する。リザーバ30は、基部32と、垂直方向2に沿って基部32の反対側の頂部34と、外壁36と、を含む。外壁36は、4つの側部、すなわち、第1の側部37a(図示せず)と、第2の側部37bと、第3の側部37cと、第4の側部37dと、を含む。外壁36は、内面35を画定し、内面に沿ってセンサ29が位置付けられている。基部32は、内面33を有し、その一部分は、垂直方向2に対して角度をなし得る。内面33は、溶融材料Mを、リザーバ30の下側のポンプアセンブリ24に供給する入口(参照番号なし)に案内する。リザーバ30内に蓄積する溶融材料Mの量は、部分的には、a)溶融グリッド40を通る固体ポリマーPのスループット、b)リザーバ30からの溶融材料Mの排出量、及びc)外壁36の高さに基づく。
【0018】
例示した実施形態によれば、断熱領域50は、溶融グリッド40の下方に配置される。
図3及び
図4に示されるように、外壁36は、溶融グリッド40と、動作中にリザーバ30の基部32に蓄積する溶融材料Mのプールとの間に空隙Gの形成を促進するのに十分である高さを有する。示されるように、断熱領域50は、少なくとも部分的には、リザーバ30の上部分52と整列された空隙Gを備える。これに関しては、断熱領域50がリザーバ30の上部分52を含んでいると言うことができる。外壁36の上部分52は、リザーバ30の頂部34から、リザーバ30の外壁36を通って延在している軸Aに延在している。軸Aは、リザーバ30の基部32の上側の場所に示される。間隙Gの大きさは、溶融グリッド40の底部を、リザーバ30内の加熱された溶融材料Mから分離するように選択される。この分離は、溶融材料Mから溶融グリッド40への熱伝達を妨げる、又は最小にすることができる熱障壁を作成する。
【0019】
引き続き
図3及び
図4を参照すると、溶融グリッド40は、ホッパー60内の固体ポリマーPを加熱して、溶融材料Mにする。溶融グリッド40は、底部42と、垂直方向2に沿って底部42から離間した頂部44と、を含む。溶融グリッド40の底部42は、リザーバ30の頂部34に取り付けられる。ホッパー60は、溶融グリッド40の頂部44に連結される。溶融グリッド40は、4つの側面47a、47b、47c、及び47dを含む外壁部46を有する(なお、47b及び47dのみが
図4に示されている)。溶融グリッド40はまた、複数の平行かつ離間した溶融レール48を含んでもよい。溶融レール48は、長手方向6に沿って溶融グリッド40を横断して(
図3の紙面の中へ)延在している。溶融レール48は、隣接する溶融レール48の間に延在している通路49を画定する。溶融レール48は、必要に応じて、異なる配向を有することができる。場合によっては、クロスバー(図示せず)が、隣接する溶融レールどうしを接続してもよい。各溶融レール48は、1つ以上の加熱素子を含み、加熱素子は、固体ポリマーPを加工するための所望の温度まで溶融レール48の温度を上昇させる。加熱素子は、有線コネクタ16を介してコントローラ402に接続されている。加えて、溶融グリッド40は、溶融グリッド40の底部に連結されたガイド部材43を含んでもよい。ガイド部材43は、溶融材料Mが溶融レール48の間から溶融材料M内に出るように、溶融材料Mを案内する。ガイド部材43は、溶融材料Mが溶融グリッド40の底部42からリザーバ30内に落下する際に、気泡が形成されるのを低減し得る。溶融グリッド40はまた、以下で更に論じるように、溶融グリッド40の現在の温度を感知し、その測定値をコントローラ402に送信するための1つ以上の温度センサ45を含むことができる。温度センサ45は、溶融グリッド40の第2の側面47bに取り付けられているように図示されているが、温度センサ45は、あるいは、溶融グリッド40の側部47a~47dのうちのいずれかに取り付けられてもよい。他の実施形態では、温度センサ45は、溶融レール48のうちの1つを通って、又は所望に応じて他の位置で、溶融グリッド40の外壁46を通って配置され得る。
【0020】
溶融グリッド40は、冷却された状態から所望の動作温度へ効率的に加熱するように指定されている。一実施例では、溶融グリッド40は、8~10w/in3のワット密度を提供するように選択された質量を有する。そのような溶融グリッドは、その所望の動作温度に到達するまで約20分がかかり得る。別の実施例では、溶融グリッド40は、ワット密度を増加させるように選択された質量を有し、薄膜ヒータを利用する。この実施例では、溶融グリッド40は、60~70w/in3のワット密度を有する。そのような溶融グリッド40は、その所望の動作温度に到達するまで約3~6分かかる。対照的に、従来の溶融グリッドは、重い鋳造物及びカートリッジヒータを使用し、4~5w/in3のワット密度を有する。その結果、従来の溶融グリッドは、所望の動作温度に到達するまで30分以上がかかる。したがって、本明細書に説明される溶融グリッドは、熟慮した低質量溶融グリッドであり得、6~8w/in3を超えるワット密度を有し得、また、60~70w/in3もの高さであり得る。そのような低質量の溶融グリッドは、従来の溶融グリッドと比較して、加熱及び冷却がより高速である。より高速の加熱及び冷却は、溶融ユニットが溶融材料を生成するのではなく、システムがその所望の動作温度に到達するのを待っている時間量を低減することによって、動作効率を高める。
【0021】
図3及び
図4を参照すると、ホッパー60は、固体ポリマーPを保持するように構成されている。例示されるように、ホッパー60は、下端部62と、垂直方向2に沿って下端部62とは反対側にある上端部64と、を有する。ホッパー60はまた、下端部62から上端部64に延在している壁66も含む。上端部64は、ホッパー60の上端部64を閉鎖する上部カバー68を含む。上部カバー68は、上部カバー68から取り外し可能であり得る、又はヒンジ(図示せず)などによって、接続されているが上部カバー68に対して移動可能であり得る、アクセスドア23を含むことができる。アクセスドア23は、上部カバー68を通って延在している開口部25を覆い、溶融システム10の操作者は、アクセスドアを通して、ホッパー60内の固体ポリマーPの供給物を補充することができる。壁部66は、壁部66及び上部カバー68が固体ポリマーPを保持する内部チャンバ65を画定するように、ホッパー60の全体の周りに延在している。ホッパー60の下端部62は、溶融グリッド40に対して実質的に開放されている。
図3及び
図4に示すように、下端部62は、溶融グリッド40の溶融レール48及び通路49に対して開放されている。
【0022】
例示される実施形態によれば、壁66は、複数の側部72a~72dを含む。
図2及び
図4に最良に示されるように、壁66は、第1の側部72aと、第1の側部72aと交差する第2の側部72bと、第2の側部72bと交差し、かつ第1の側部72aの反対側にある第3の側部72cと、第1の側部72a(
図2)及び第3の側部72cと交差する第4の側部72dと、を含む。第4の側部72dは、第2の側部72bの反対側にある。第1の側部72aは、ホッパー60の前側又は前部と見なすことができ、第3の側部72cは、ホッパー60の背部又は背側と見なすことができる。ホッパー60の「側部」はまた、特定の実施形態では側壁部と呼ばれることもある。示されるように、上部カバー68は、4つの側部72a~72d全てと交差する。4つの側部72a~72dは、直線的な断面形状のホッパーを形成するように配設される。直線的な断面形状のホッパー60が例示されているが、ホッパー60は、他の断面形状を有することができる。例えば、代替の実施形態によれば、ホッパー60は、管形状を有する。そのような実施形態では、ホッパー60は、管形状の本体を形成する壁66を含む。そのような実施形態では、ホッパー60は、単一の湾曲壁を含む。
【0023】
ホッパー60は、断熱領域50(又は空隙G)によってリザーバ30内の溶融材料から分離された溶融グリッド40の頂部に配置されるように説明され、示されている。断熱領域50は、ホッパー60内に貯蔵された固体ポリマーに、溶融材料から熱が伝達されるのを阻害する。しかしながら、本明細書に説明されるホッパー60は、上に示され、説明されている構成とは異なる種類の溶融グリッド及びリザーバの構成を有する溶融システムで使用することができる。むしろ、ホッパー60は、溶融材料Mとホッパー60に貯蔵された固体ポリマーPとが互いに対して熱的に隔離される、任意のタイプの溶融システムで使用され得る。換言すれば、本開示の実施形態は、溶融材料Mを収容しているリザーバ30から熱的に分離されたホッパーを含む溶融システムを含む。
【0024】
図8を参照すると、溶融ユニット20は、コントローラ402及び/又はコントローラ402と通信するHMIデバイス408を含む制御システム400によって制御され得る。コントローラ402は、1つ以上のコントローラを含んでもよく、また1つ以上のプロセッサと称されてもよい。コントローラ402は、制御ユニット14内に完全に収容されてもよく、制御ユニット14を通じて溶融ユニット20と通信することができ、又は溶融ユニット20と直接的に通信することができる。コントローラ402及び/又はHMIデバイス408は、溶融ユニット20と有線及び/又は無線接続されてもよく、無線及び/又は有線接続を通じて溶融ユニット20、特に溶融グリッド40に命令を送信するように構成されている。コントローラ402は、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)、マイクロプロセッサベースのコントローラ、パーソナルコンピュータ、又は当業者に理解されるように本明細書に説明される機能を実行することができる別の従来の制御装置であり得る。例えば、コントローラ402は、以下に詳細に説明されるように、ユーザ入力に基づいて溶融ユニット20を制御することに関する様々な方法を実施することができる。加えて、コントローラ402は、コントローラ402のメモリユニット404に記憶された動作サイクル又はシーケンスのライブラリに基づいて、溶融ユニット20を制御することに関連する様々な方法を実施することができる。メモリユニット404は、1つ以上のメモリユニットを含んでもよく、また記憶装置と称され得る。動作シーケンスが呼び戻され、必要に応じて、コントローラ402上で実行される特定の制御プログラムに配置される。動作シーケンスは、異なる分配操作、異なるタイプの基板、又は異なるタイプの材料を、例えば、HMIデバイス408を通して収容するために調節されてもよい。
【0025】
HMIデバイス408は、既知の様式でコントローラ402に動作可能に接続される。HMIデバイス408は、キーパッド、押しボタン、制御ノブ、タッチスクリーンなどの入力デバイス及びコントローラ、並びにコントローラ402の操作を制御するために操作者によって使用されるディスプレイ及び他の視覚的インジケータなどの出力デバイスを含んでもよく、それによって溶融ユニット20の動作を制御する。このようなディスプレイの一実施例は、
図7A~
図7Cに示されるディスプレイ300であり、これについては以下で更に説明する。HMIデバイス408は、スピーカなどのオーディオ出力デバイスを更に含んでもよく、これによって、オーディオ警告が操作者に通信されてもよい。HMIデバイス408を使用して、操作者は、固体ポリマーPのタイプ、溶融グリッド40の所望の温度、目標リザーバ充填レベル、溶融グリッド40のアイドル/シャットダウン時間などのパラメータを入力することができる。加えて、コントローラ402及び/又はHMIデバイス408は、外部ネットワーク(図示せず)と有線及び/又は無線通信することができ、それにより、操作者は、別個のシステム又はデバイスから遠隔でコントローラ402にアクセスすることができる。
【0026】
ここで
図5を参照すると、溶融グリッド40の所望の温度を能動的に決定して、リザーバ30内の特定のレベルの溶融材料Mを得るための、第1のPIDループとも称され得る方法100が示されている。まず、工程102において、センサ29は、リザーバ30内の溶融材料Mのレベルを測定し、そのレベルをコントローラ402に通信する。センサ29は、リザーバ30内の溶融材料Mのレベルを連続的に測定することができ、又は異なる時間間隔で溶融材料Mのレベルを断続的に測定することができる。例えば、センサ29は、第1の時間にリザーバ30内の溶融材料Mの第1のレベルを測定し、第1の時間の後の第2の時間にリザーバ30内の溶融材料Mの第2のレベルを測定することができる。コントローラ402は、メモリユニット404に記憶された所定の命令に基づいて、特定のモードで溶融材料Mのレベルを測定するようにセンサ29を指示することができ、固体ポリマータイプなどの特定の時間での溶融ユニット20の動作特徴、及び/又はHMIデバイス408を通って溶融システム10の操作者から受信した命令に基づいて、コントローラ402によって決定がなされる。コントローラ402が方法100にある工程にかかわらず、HMIデバイス408のディスプレイ300は、センサ29によって検出されるような現在レベル又は直近レベルの溶融材料Mを示す一定の出力を維持してもよい。
【0027】
期間の間、リザーバ30内の溶融材料Mのレベルを測定した後、コントローラ402は、溶融グリッド40からリザーバ30への溶融材料Mの溶融充填率を決定することができる。溶融充填率は、正又は負であることができ、したがって、溶融材料Mがポンプ送出されるよりも速くリザーバ30に添加されていることを表すことができるか、又は溶融材料Mがそれが添加されているよりも速くリザーバ30からポンプ送出されることを表すことができる。あるいは、溶融充填率はゼロであり得、これは、リザーバ30に対する及びそれからの溶融材料Mの入力及び出力速度が等しいことを表す。溶融充填率は、体積測定用語において、又は期間にわたってリザーバ30内の溶融材料Mのレベルの変化率に関連して測定されてもよい。コントローラ402が溶融充填率を計算した後、工程106において、コントローラ402は、リザーバ30内の材料Mのレベルが低下しているか、すなわち、溶融充填率が負であるかどうかを決定する。コントローラ402が溶融充填率が負であると決定した場合、コントローラは、決定工程122を実施する。決定工程122では、コントローラ402は、リザーバ30内に入る溶融材料Mの溶融充填率の大きさを、溶融充填率閾値と比較する。溶融充填率閾値は、期間にわたってリザーバ30内の溶融材料Mのレベルの割合変化として定義される。変化率の大きさは、溶融される固体ポリマーPのタイプ又はリザーバ30の寸法などの、異なるプロセス依存因子に基づいて変化し得る。同様に、期間は、リザーバ30の寸法などの要因に依存し得る。具体的には、より大きなリザーバは、より長い期間にわたって溶融材料Mのレベルの変化率が測定されることを必要とする場合があり、一方、より小さいリザーバ30は、より短い期間にわたって溶融材料Mのレベルの変化率が測定されることを必要とする場合がある。例えば、溶融充填率閾値における変化率の大きさは、約1%~約5%であり得、一方、期間は約15秒~約90秒であり得る。一実施形態では、溶融充填率閾値は、60秒にわたってリザーバ30内の溶融材料Mのレベルの3%変化であり得る。溶融充填率閾値は、溶融システム10の操作者が、特定のタイプの固体ポリマーPが、溶融ユニット20に加えられている、操作者入力からHMIデバイス408へとコントローラ402に通信されている、又はデフォルトレベルを含むことを示すときに、メモリユニット404から取り出され得る。
【0028】
コントローラ402が、リザーバ30に入る溶融材料Mの溶融充填率の大きさが溶融充填率閾値より大きいと決定した場合、コントローラは工程118を実施する。工程118において、コントローラ402は、溶融材料Mを所望の速度でリザーバ30に引き続き提供することを目的として、溶融グリッド40のための新しい高温設定点を計算する。この工程では、コントローラ402は、以下に表示される式1にしたがって、新しい高温設定点を計算することができる。
式1
温度設定点+=[(Ktl-C)*Kp]+[Δ*Kd]
式中、
Ktl=目標容量レベルであり、
C=現在の溶融材料レベルであり、
Kp=比例項定数であり、
Δ=溶融材料の溶融充填率であり、
Kd=微分項定数である。
この式では、温度設定点の変化が計算され、前の温度設定点に加えられるか、又はそれから減算される。式1で使用される変数のリストを参照すると、目標容量レベルKtlは、リザーバ30内の目標接着動作レベルである。例えば、目標容量レベルKtlは、リザーバ30の50%容量であり得る。現在の溶融材料レベルCは、センサ29によって検出されるような、リザーバ30内の溶融材料Mの現在のレベルである。溶融材料Mの溶融充填率Δは、溶融材料Mが、第1の時間~第2の時間などの、2つの別個の時点の間で溶融グリッド40からリザーバ30に入る速度である。比例項定数Ktl及び微分項定数Kdは、接着性及びプロセス固有であり、試験を通じて決定される。例えば、比例及び微分項定数Ktl及びKdは、工程118が以下に更に説明される工程126とは対照的に実施されるときに、特定の固体ポリマーPの値の1セットを定義することができる。工程106で溶融材料Mのレベルが低下しており、かつ工程122で溶融充填率が溶融充填率閾値よりも大きいとコントローラ402が決定したときに、リザーバ30内の溶融材料Mのレベルは、望ましくない速い速度で低下している。結果として、この状況では、工程118の目標は、より多量の固体材料Pが溶融されるように、溶融グリッド60の温度を上昇させ、したがって、溶融材料Mがリザーバ30に添加される速度を増加させることである。
【0029】
逆に言えば、コントローラ402が、工程122において、リザーバ30に入る溶融材料Mの溶融充填率の大きさが溶融充填率閾値よりも小さいと決定した場合、コントローラは工程114を実施する。工程114では、コントローラ402は、リザーバ30内の溶融材料Mの現在のレベルが、リザーバ30の所望の動作レベルよりも大きいか、又はそれよりも小さいかどうかを決定する。例えば、所望の動作レベルは、リザーバ30の50%容量であり得るが、他の容量レベルが企図される。工程114におけるこの所望の動作レベルは、式1に関連して上述したような目標容量レベルKtlであり得る。コントローラ402が、リザーバ30内の溶融材料Mの現在のレベルが所望の動作レベルより小さいと決定した場合、コントローラ402は、前述のように工程118を実施する。このような状況では、コントローラ402が、工程106で溶融材料Mのレベルが低下しており、工程122において溶融充填率が溶融充填率閾値未満であり、かつ工程114でリザーバ30内の溶融材料Mのレベルが所望の動作レベルより小さいと決定したとき、溶融材料Mのレベルは、所望未満であり、かつゆっくり低下している。結果として、この状況では、工程118の目標は、溶融材料Mの低下又はレベルを反転させ、したがって溶融材料Mのレベルを所望の動作レベルに向かって上昇させ始めることである。しかしながら、コントローラ402が、工程114において、リザーバ30内の溶融材料Mの現在のレベルが所望の動作レベルよりも大きいと決定した場合、コントローラは工程126を実施する。
【0030】
引き続き
図5を参照すると、工程126において、コントローラ402は、溶融材料Mのための新たな下位溶融グリッド温度設定点を計算する。新たな下位溶融グリッド温度は、工程118に関連して上述した式1にしたがって、工程126で計算される。しかしながら、式1が工程126に関連して利用されるとき、比例及び微分項定数K
tl及びK
dは、式1が工程118で利用されるときとは異なる値のセットを定義することができる。変数値のこの差は、工程126及び工程118の異なる目的に起因する。工程106において接着レベルが低下しており、工程122において溶融充填率が溶融充填率閾値未満であり、かつ工程114において溶融材料Mのレベルが所望の動作レベルよりも大きいとコントローラ402が決定した後に、工程126が実施される場合。結果として、溶融材料Mのレベルは所望よりも大きいが、ゆっくりと低下している。溶融材料Mのレベルは所望の動作レベルに近づくが、溶融システム10の操作者は、溶融材料Mのレベルが所望の動作レベルをオーバーシュートしないようにすることを望んでいる。結果として、式1を使用して工程126で新しい下位溶融グリッド温度を計算し、溶融グリッド60をこの温度に設定することによって、溶融材料Mのレベルが低下し続け、最終的に所望の動作レベルをオーバーシュートしないように、固体材料Pの溶融を更に遅くすることができる。
【0031】
工程126又は118で温度設定点が計算されると、コントローラ402は工程128を実施することができ、ここでコントローラ402は、工程126で計算された新たな下位溶融グリッド温度又は工程118で計算された新たなより高い溶融グリッド温度を、所定の範囲の許容溶融グリッド温度と比較する。この所定の範囲は、最小溶融グリッド温度及び最大溶融グリッド温度によって定義される。最小溶融グリッド温度は、溶融される特定の固体ポリマーPが溶融材料Mに変換される溶融温度よりも低い温度であってもよい。この「非溶融」温度に保持すると、固体ポリマーPは、実質的にゲル状の状態で存在することができる。最大溶融グリッド温度は、固体ポリマーPの製造業者によって提供される固体ポリマーPの最大推奨動作温度であり得る。この温度は、それを超えると固体ポリマーPの様々な材料特性が劣化する危険性がある温度であり得る。工程118又は126のいずれかで決定された新たな温度設定点を所定の範囲と比較すると、コントローラ402が、新たな温度設定点が最小溶融グリッド温度未満であると決定した場合、コントローラ402は、温度設定点を最小溶融グリッド温度に設定することができる。あるいは、コントローラ402が、新たな温度設定点が最大溶融グリッド温度よりも高いと決定した場合、コントローラ402は、温度設定点を最大溶融グリッド温度として設定することができる。工程128は、したがって、特定の固体ポリマーPの許容可能な温度の所定の範囲外である、新たな溶融グリッド温度設定点が実装されることを防止することによって、工程126及び118で実施される計算の制御として機能する。コントローラ402はまた、温度設定点をHMIデバイス408のディスプレイ300に出力するように構成されてもよい。最小溶融グリッド温度及び最大溶融グリッド温度は両方とも、溶融システム10の操作者によってHMIデバイス408を介してコントローラ402に入力されてもよく、あるいはメモリユニット404から呼び戻されてもよい。
【0032】
引き続き
図5を参照すると、コントローラ402が、工程106で溶融充填率が負でないと決定した場合、コントローラ402は工程110を実施する。工程110では、コントローラ402は、リザーバ30内の材料Mのレベルが上昇しているかどうか、すなわち、溶融充填率が正であるかどうかを決定する。コントローラ402が溶融充填率が正であると決定した場合、コントローラは、決定工程130を実施する。決定工程130では、コントローラ402は、リザーバ30内に入る溶融材料Mの溶融充填率の大きさを、工程122で使用される溶融充填率閾値とすることができる溶融充填率閾値と比較する。例えば、工程130における溶融充填率閾値はまた、60秒にわたってリザーバ30内の溶融材料Mのレベルの3%の変化であり得る。コントローラ402が、溶融材料Mの溶融充填率が溶融充填率閾値よりも大きいと決定した場合、コントローラ402は、上述のように工程114を実施する。結果として、次いで、コントローラ402は、工程114で行われた決定に応じて、上述した工程126又は118のいずれかを実施することができる。コントローラ402がその後、工程110において溶融充填率が正であり、工程130において溶融充填率が溶融充填率閾値未満であり、かつ溶融材料Mのレベルが所望の動作レベルよりも低いと決定した後に、工程118を実施する状況では、リザーバ30内の溶融材料Mのレベルはゆっくり上昇するが、溶融材料Mのレベルは依然として所望の動作レベルよりも低い。工程118を実施することにより、溶融グリッド60の新しい高温は、溶融グリッド60が、固体ポリマーPが溶融される速度及び同様に溶融材料Mがリザーバ30に入る速度を増加させることができるように計算され得る。逆に言えば、コントローラ402がその後、工程110において溶融充填率が正であり、工程130において溶融充填率が溶融充填率閾値未満であり、かつ溶融材料Mのレベルが所望の動作レベルよりも大きいと決定した後に、工程126を実施する状況では、リザーバ30内の溶融材料Mのレベルはゆっくり上昇するが、溶融材料Mのレベルは既に所望の動作レベルを上回っている。工程126を実施し、かつ新しい下位溶融グリッド温度を計算することによって、溶融材料Mのレベルが上昇を停止し、かつ最終的に所望の動作レベルに向かって減少し始めるように、固体材料Pの溶融を遅くすることができる。
【0033】
決定工程130に戻ると、コントローラ402が、リザーバ30内に入る溶融材料Mの溶融充填率の大きさを溶融充填率閾値と比較し、かつ溶融充填率が溶融充填率閾値よりも大きいと決定した場合、コントローラ402は、これまでに説明されている工程126を実施する。この状況では、リザーバ30内の溶融材料Mのレベルは急速に上昇する。工程126を実施し、新たな下位溶融グリッド温度を計算し、かつ溶融グリッド60をその温度に設定することによって、リザーバ30内の溶融材料Mのレベルが、所望の動作レベルを下回る場合にこのレベルをオーバーシュートしないように、逆に言えば、リザーバ30内の溶融材料Mのレベルが所望の動作レベルを上回る場合に急速に上昇し続けないように、溶融充填率の大きさが減少され得る。
【0034】
工程110に戻って、コントローラ402が溶融充填率が上昇していないと決定した場合、コントローラは次に工程114を実施する。この状況では、コントローラは、工程106において溶融充填率が低下しておらず、かつ工程110で上昇していないことを決定した。結果として、溶融充填率は実質的にゼロである。動作中、これは、溶融材料Mが、ポンプ送出されている速度と実質的に同じ速度でリザーバ30に入ることを示している。溶融充填率がゼロである状況では、コントローラ402が、工程114において接着レベルが所望の動作レベル未満であると決定した場合、コントローラ402は、工程118を実施し、新たな高温設定点を計算する。これにより、溶融グリッド60がより多くの固体ポリマーPを溶融し、したがって、溶融充填率が増加し、かつ同様にリザーバ30内の溶融材料Mのレベルが増加する。逆に言えば、コントローラ402が、工程114において接着レベルが所望の動作レベルよりも高いことを決定した場合、コントローラ402は、工程126を実施し、新たな下位溶融グリッド温度を計算する。これにより、溶融グリッド60が溶融する固体ポリマーPをより少なくし、したがって、溶融充填率が減少し、かつ同様にリザーバ30内の溶融材料Mのレベルが減少する。
【0035】
工程128の完了時に、コントローラ402は、第2のPIDループとも呼ばれ得る方法200を実施する。方法200では、コントローラ402は、溶融グリッド40の温度を監視及び調節する。方法200の1サイクルが完了すると、又は方法200が開始されている間に、コントローラ402は次いで、工程102に戻ることによって方法100を再開する。方法100は、メモリユニット404に記憶された所定の命令に基づいてもよい、連続的に又は指定された間隔で、実施及び反復されてもよく、固体ポリマータイプなどの特定の時間での溶融ユニット20の動作特徴、及び/又はHMIデバイス408を通って溶融システム10の操作者から受信した命令に基づいて方法402によって決定がなされる。方法100はまた、溶融システム10の起動若しくは停止などの特定の事象の発生で、又は溶融ユニット20のホッパー60を再充填する際に実施され得る。
【0036】
方法200の工程202における
図5及び
図6を参照すると、温度センサ45は、溶融グリッド40の温度を測定し、その測定値をコントローラ402に通信する。温度センサ45は、溶融グリッド40の温度を連続的に測定することができ、又は異なる時間間隔で溶融材料Mのレベルを断続的に測定することができる。例えば、温度センサ45は、第1の時間に溶融グリッド40の第1の温度を測定し、第1の時間の後の第2の時間に溶融グリッド40の第2の温度を測定することができる。コントローラ402は、メモリユニット404に記憶された所定の命令に基づいて、特定のモードで溶融グリッド40の温度を測定するように温度センサ45を指示することができ、固体ポリマータイプなどの特定の時間での溶融ユニット20の動作特徴、及び/又はHMIデバイス408を通って溶融システム10の操作者から受信した命令に基づいて、コントローラ402によって決定がなされる。温度センサ45が溶融グリッド40の温度を測定するモードに関わらず、又はコントローラ402が方法200内にある工程に関わらず、HMIデバイス408のディスプレイ300は、温度センサ45によって検出されるような溶融グリッド40の現在又は直近の温度を示す出力を維持してもよい。
【0037】
コントローラ402が温度センサ45によって測定されるような溶融グリッド40の温度を受信した後、コントローラ402は、コントローラ402が溶融グリッド40の測定された温度と方法100で決定された温度設定点とを比較する、決定工程206を実施する。温度設定点は、方法100の工程118で計算された溶融グリッド40の新たな高温又は上述の方法100の工程126で決定される新たな低温のいずれかであってもよい。コントローラ402が、工程206において、温度センサ45によって測定されるような溶融グリッド40の温度が方法100で決定された温度設定点に等しいと決定した場合、コントローラ402は、工程214に進み、ここで、コントローラ402は、溶融グリッド40の温度に関して何のアクションも取らず、溶融グリッド40の温度は同じままである。あるいは、工程206において、温度センサ45によって測定されるような溶融グリッド40の温度が温度設定点の特定の範囲内にあると決定した場合、コントローラ402は工程214に進む。温度範囲は、メモリユニット404に記憶された所定の命令に基づいてもよく、固体ポリマータイプなどの特定の時間での溶融ユニット20の動作特徴、及び/又はHMIデバイス408を通って溶融システム10の操作者から受信した命令に基づいて方法402によって決定がなされる。コントローラ402が工程214でアクションを取らなかった後、コントローラ402は、次に工程202に戻る。
【0038】
逆に言えば、コントローラ402が、工程206において、温度センサ45によって測定されるような溶融グリッド40の温度が方法100で決定された温度設定点と等しくないと決定した場合、コントローラ402は工程210に進み、ここで、コントローラ402は、方法100で決定された温度設定点に一致させるために、溶融グリッド40の温度を調節する。あるいは、コントローラが工程206において、温度センサ45によって測定されるような溶融グリッド40の温度が温度設定点の特定の範囲内にないと決定した場合、コントローラ402は工程210に進む。工程210において、コントローラ402は、溶融グリッド40を加熱する溶融ユニット20に含まれる加熱ユニットの動作を変更して、温度設定点と一致するように、溶融グリッド40の動作温度を上昇又は低下させる。この動作の変化は、メモリユニット404に記憶された所定の命令に基づいてもよく、固体ポリマータイプなどの特定の時間での溶融ユニット20の動作特徴、及び/又はHMIデバイス408を通って溶融システム10の操作者から受信した命令に基づいて方法402によって決定がなされる。加えて、この動作の変化はまた、溶融グリッド40の幾何学的形状、材料タイプ、及び設計に関連する要因に基づくことができる。
【0039】
方法200の工程214又は210の完了時に方法100と同様に、コントローラ402は次に、工程202に戻ることによって、方法200を再開することができる。方法200は、メモリユニット404に記憶された所定の命令に基づいてもよい、連続的に又は指定された間隔で、実施及び反復されてもよく、固体ポリマータイプなどの特定の時間での溶融ユニット20の動作特徴、及び/又はHMIデバイス408を通って溶融システム10の操作者から受信した命令に基づいて方法402によって決定がなされる。方法200はまた、溶融システム10の起動若しくは停止などの特定の事象の発生で、又は溶融ユニット20のホッパー60を再充填する際に実施され得る。工程202に戻ると、方法200は、方法200の最後の繰り返しと同じ温度設定点を使用して再び実施され得、又は新しい温度設定点を使用して実施され得る。結果として、方法100及び200は、互いに独立して実施及び反復され得る。
【0040】
ここで
図7A~
図7Cを参照すると、方法100は、HMIデバイス408のディスプレイ300に関連して更に論じられる。ディスプレイ300は、タブレット、携帯電話、ラップトップ、又は溶融システム10の動作特徴を経時的に示すグラフを表示するように構成された他のコンピューティングデバイスを含むことができる。例えば、ディスプレイ300上に示されるグラフは、線306を使用してリザーバ30内の溶融材料Mのレベル、線310を使用してホッパー60内の固体ポリマーPのレベル、及び線314を使用してセンサ29によって感知される溶融グリッド40の現在の温度を示すことができる。これらに加えて、ディスプレイ308はまた、溶融システム10の様々な他の態様及び測定値を表示することができる。例えば、ディスプレイ300は、ボックス302内に、温度センサ29によって感知されるような溶融グリッド40の現在の温度を示すことができる。しかしながら、ディスプレイ308は、ホッパー60内の数値温度、ホッパー60の数値充填レベルなどのような、所望に応じて溶融システム10の任意の他の測定又は静的態様を示すことができることが企図される。
【0041】
図7Aは、特に、動作開始前及び動作開始直後の溶融ユニット20を示している。動作前では、溶融グリッド40が溶融材料M内に固体ポリマーPのいずれも溶融しないため、線306の部分318によって示されるように、リザーバ30内の溶融材料Mのレベルは一定のままである。同様に、ホッパー60内の固体ポリマーPのレベルは、固体ポリマーPがホッパー60を出ていないため、線310の部分322によって示されるように、一定のままである。加えて、温度センサ29によって感知されるような溶融グリッド40の温度は、一定のままである。溶融ユニット20がアイドル状態である期間中、溶融グリッド40は、第1の非溶融温度に維持されてもよく、これは、ホッパー60内の固体ポリマーPを実質的にゲル状の状態に維持する。これは、溶融ユニット20の動作を再開するときに有益であり得、なぜなら、固体ポリマーPは、既に上昇した状態にあり、かつ固体ポリマーPを溶融するために必要とされる時間が減少するからである。これにより、無活動期間の間の動作時間を長くすることができる。コントローラ402が、アイドル時間が所定の期間に開始されたと決定した場合、コントローラ402は、溶融グリッド40の温度を、非溶融温度を下回るまで、拡張したアイドル温度に低下させるように指示することができる。
【0042】
いくらかの時間の後、溶融システム10の操作者は、溶融材料Mをリザーバ30から圧送することによって、溶融ユニット20の動作を開始し得る。結果として、リザーバ30内の溶融材料Mのレベルは、線306の部分330によって示されるように減少している。ここで
図7Bを参照すると、リザーバ30内の溶融材料Mの減少に応答して、溶融グリッド40の温度は、線314の部分342によって示されるように増加し、ホッパー60内の固体ポリマーPを加熱して、溶融材料Mにする。この温度上昇は、上述の方法100及び200におけるコントローラ402によって取られたアクション、並びに、溶融システム10の操作者によってHMIデバイス408を通じてコントローラ402に提供される命令の結果として生じ得る。しかしながら、ホッパー60内の固体ポリマーPのレベルは、溶融グリッド40の温度が十分に上昇して、固体ポリマーPが溶融を開始するまで一定のままである。
【0043】
溶融グリッド40の温度上昇に応答して、ホッパー60内の固体ポリマーPは、溶融材料Mへの移行を開始し、かつ溶融グリッド40を通ってリザーバ30へと流れ始める。ホッパー中の固体ポリマーPのレベルは、溶融材料Mがホッパー60に流れるにつれて同様に減少する。これを予想すると、コントローラ402は、HMIデバイス408を介して警告を生成してもよく、この警告は、追加の固体ポリマーPがホッパー60に追加されるべきであることを、溶融システム10の操作者に通知し得る。線310の部分338は、操作者による手動の再充填による、ホッパー60内の固体ポリマーPのレベルの増加を示している。あるいは、ホッパー60は、コントローラ402からの指示に応じてホッパー内の固体ポリマーPの供給を自動的に補充することができる、遠隔充填システム(図示せず)に取り付けられてもよい。ホッパー60に追加の固体ポリマーPを添加すると、線306の部分334で示すように、溶融グリッド40付近のホッパー60の底部における半溶融材料上の重量の増加に起因して、溶融材料Mをリザーバ30内に急激に増加させることになり、これは、溶融材料及び半溶融材料のサージを溶融グリッド40を通して押し進めることができる。
【0044】
引き続き
図7B及び
図7Cを続けると、リザーバ30内の溶融材料Mのレベルが急激に上昇した後、溶融材料Mは、再び、線306の部分350によって示されるように、リザーバ30から着実に圧送され続ける。同様に、ホッパー60内の固体ポリマーPのレベルは、固体ポリマーPが、線310の部分346によって示されるように溶融材料Mに変換されるにつれて着実に低下する。この時間の間、溶融グリッド40の温度は、線314の部分342によって示されるように、徐々に増加し続ける。最終的に、溶融グリッド40は、ホッパー60からの固体ポリマーPを、リザーバ30からポンプ排出されるよりも多くリザーバ30に流入する液体材料Mへと溶融させ始める点まで加熱する。したがって、線306の部分358によって示されるように、リザーバ30の溶融充填率は正になり、かつリザーバ30内の溶融材料Mのレベルが徐々に上昇する。この時間の間、ホッパー60内の固体ポリマーPのレベルは、追加の充填サイクルの前に「落ち着く」場合がある。溶融材料Mのレベルが一定時間、リザーバ30内で上昇した後、コントローラ402は、線314の部分354によって示されるように、溶融グリッド40の温度を指示して、減少を開始することができる。これは、方法100に関連して上述したように、リザーバ30内の溶融材料Mのレベルが所望の動作レベルをオーバーシュートすることを防止することである。したがって、溶融グリッド40の温度の減少に応答して、リザーバ30内の溶融材料Mのレベルは、線306の部分364によって示されるように、横ばいになり始める。
【0045】
上述の方法を使用することにより、溶融システム10は、標的材料レベルをオーバーシュートすることなく、任意の特定の瞬間に溶融グリッド40によって溶融された材料の量を正確に閉ループでリアルタイムに制御することができ、したがって、真の溶融オンデマンド性能が提供される。溶融グリッド40の温度及び材料溶融率の管理により、固体ポリマーPがリザーバ30から上記ホッパー60に貯蔵された固体ポリマーPへの熱の上部移動を防止する熱的障壁(又は熱的弁)を作成するので、操作者は、溶融ユニット20内の固体ポリマーPの低い熱伝導率及び固有の絶縁特性を利用することが可能になる。これにより、溶融システムの操作者が溶融材料Mからの有毒ガスに曝露されることを防ぎ、かつ以前の溶融システムに必要とされるオフボードの貯蔵ではなく、相当量の固体ポリマーPのオンボード貯蔵が可能になる。加えて、これにより、固体ポリマーをファーストインファーストアウトプロセスで溶融させることができる。
【0046】
本発明は、本明細書において限られた数の実施形態を用いて説明されているが、これらの具体的な実施形態は、本明細書において別途説明され、特許請求される本発明の範囲を制限するものではない。本明細書に説明されている物品及び方法の明確な様々な要素の配置及び工程の順序は、制限するものと見なすべきではない。具体的には、方法の工程は、図中のブロックの連続的な一連の参照記号及び進行を参照して説明されているが、方法は、所望により特定の順序で実装されることができる。