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特許7337803イソシアヌレート基を含有するイソシアネート混合物の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-25
(45)【発行日】2023-09-04
(54)【発明の名称】イソシアヌレート基を含有するイソシアネート混合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 251/34 20060101AFI20230828BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20230828BHJP
【FI】
C07D251/34 L
C07B61/00 300
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020534280
(86)(22)【出願日】2018-12-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-22
(86)【国際出願番号】 EP2018084856
(87)【国際公開番号】W WO2019121348
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-12-13
(31)【優先権主張番号】17209262.9
(32)【優先日】2017-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515266223
【氏名又は名称】コベストロ、ドイチュラント、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】COVESTRO DEUTSCHLAND AG
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン、ハーン
(72)【発明者】
【氏名】ハンス-デトレフ、アルンツ
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン、シューベルト
(72)【発明者】
【氏名】エルンスト、フェルスケ
(72)【発明者】
【氏名】クラウディア、ハウベン
(72)【発明者】
【氏名】フランク、ベーレント
【審査官】伊佐地 公美
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102004060121(DE,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03257883(EP,A1)
【文献】国際公開第2009/039332(WO,A1)
【文献】特開昭63-227683(JP,A)
【文献】特表2004-523627(JP,A)
【文献】特表2015-500900(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
C07B
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソシアヌレート含有イソシアネート混合物の製造方法であって、以下の工程:
a)第1イソシアネート成分(K1)と、該第1イソシアネート成分とは異なる第2イソシアネート成分(K2)と、イソシアネート基三量化触媒(K3)とを混合することによって、イソシアネート基三量化触媒を含んでなるイソシアネート混合物を連続的に提供し、
b)工程a)で提供された前記混合物を50℃~120℃の範囲の温度の第1滞留域へ連続的に誘導し、イソシアネート基三量化触媒を含んでなるウレトジオン-およびイソシアヌレート含有イソシアネート混合物を得、
c)工程b)で得られた前記混合物を160℃~220℃の範囲の温度の第2滞留域へ連続的に誘導し、不活性イソシアネート基三量化触媒を含んでなるイソシアヌレート含有イソシアネート混合物を得、か
d)工程c)で得られた前記混合物を10℃~100℃の範囲の温度の第3滞留域へ連続的に誘導し、所望のイソシアヌレート含有イソシアネート混合物を得ること
を含んでなる方法。
【請求項2】
工程a)が、
前記第1イソシアネート成分(K1)、該第1イソシアネート成分とは異なる前記第2イソシアネート成分(K2)、および前記イソシアネート基三量化触媒(K3)を混合装置に連続的に導入し、導入した該イソシアネート成分(K1、K2)および導入した該三量化触媒(K3)を混合して、イソシアネート基三量化触媒を含んでなるイソシアネート混合物を得ること
を含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程a)が、
a.1)前記2つのイソシアネート成分(K1、K2)のうちの1つと前記イソシアネート基三量化触媒(K3)とを第1混合装置(M1)に連続的に導入し、導入した該イソシアネート成分と導入した該イソシアネート基三量化触媒(K3)とを混合して、該2つのイソシアネート成分(K1、K2)のうちの1つと該イソシアネート基三量化触媒(K3)とを含んでなる混合物を得、
a.2)工程a.1)で得られ、かつ前記2つのイソシアネート成分(K1、K2)の一方と前記イソシアネート基三量化触媒(K3)を含んでなる混合物と、他方のイソシアネート成分とを、第2混合装置(M2)に連続的に導入し、導入した該2つのイソシアネート成分(K1、K2)の一方と該イソシアネート基三量化触媒(K3)とを含んでなる混合物と、導入した該他方のイソシアネート基成分とを混合して、イソシアネート基三量化触媒を含んでなるイソシアネート混合物を得ること
を含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
工程a)が、
a.1)前記第1イソシアネート成分(K1)および該第1イソシアネート成分とは異なる前記第2イソシアネート成分(K2)を第1混合装置(M1)に連続的に導入し、この第1混合装置(M1)に導入したイソシアネート成分を混合してイソシアネート混合物を得、
a.2)前記イソシアネート基三量化触媒(K3)および工程a.1)で得られた該イソシアネート混合物を第2混合装置(M2)に連続的に導入し、導入した該イソシアネート混合物および導入した該イソシアネート基三量化触媒(K3)を混合して、イソシアネート基三量化触媒を含んでなるイソシアネート混合物を得ること
を含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1および第2イソシアネート成分の性質および組成が、それぞれの場合において、工程d)で得られるイソシアヌレート含有イソシアネート混合物が、24質量%~32質量%の範囲のNCO含有量および50MPa・s(25℃)~40000MPa・s(25℃)の範囲の粘度を有するように互いに適合される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1イソシアネート成分(K1)および前記第2イソシアネート成分(K2)がそれぞれ、(i)メチレンジフェニレンジイソシアネート、(ii)メチレンジフェニレンジイソシアネートとポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネートとの混合物、(iii)トリレンジイソシアネート、および(iv)(iii)との(i)または(ii)の混合物からなる群から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
工程c)で得られる、不活性イソシアネート基三量化触媒を含んでなるイソシアヌレート含有イソシアネート混合物の温度を、15℃/分~200℃/分の範囲の温度変化率で、工程d)の温度に調整する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イソシアヌレート含有イソシアネート混合物を調製するための連続方法であって、工程a)において、第1および第2イソシアネート成分とイソシアネート基三量化触媒との混合物が提供され、工程b)において、工程a)において得られた混合物が、第1滞留域において高温で変換され、工程c)において、工程b)において得られた反応混合物が、場合により停止剤の添加後に、第2滞留域においてさらに加熱され、かつ工程d)において、工程c)において得られた反応混合物が、第3滞留域において温度を低下させることによって冷却されて、所望のイソシアヌレート含有イソシアネート混合物が得られる方法に関する。
【0002】
有機イソシアネートR-NCOのイソシアヌレートへの三量化は、当技術分野において公知である。
【化1】
【0003】
イソシアヌレート含有イソシアネートは、例えばポリウレタン(PUR)の高温特性、火災特性または老化特性を改善するために有利に使用することができ、これらは、ポリイソシアヌレート含有(PIR含有)ポリウレタンと称される。この目的のために、三量化反応を実際のポリウレタン形成中に行わないことが有用であることが見出されたが、その理由は、三量化がPUR形成反応と共に(PUR結合の形成の発熱の結果としての温度上昇に加えて)さらなる温度上昇を引き起こし、発泡反応の場合(同じ発泡プロセスにおけるPUR形成反応の直後のPIR形成反応を伴う従来のPUR/PIR発泡体の場合のように)に、かつポリマー形成がすでにはるかに進行している際に、さらなる圧力上昇を引き起こし、その結果、界面(例えば、金属担体)へのポリマーの初期接着が、発生する剪断力によって再び分断され得るからである。従って、第一にイソシアヌレートと未変性イソシアネートとの混合物を製造し、次いでこれらを使用してPUR形成反応を行うことが有用であることが見出された。
【0004】
国際公開第2009/039332A2号は、製造される二環式MDIの量を同時に増加させることなく、高い粘度および官能価を有するMDIの選択的製造を、改善した程度まで可能にする課題に関する。この目的のために、当該出願は、好適な触媒の存在下で従来のMDI(二環式MDI[MMDI]と3つ以上の芳香環を含有する高級同族体[PMDI]との混合物)を三量化し、触媒を失活させ、最終的にこのようにして得られた混合物を、所望の粘度および所望のNCO含有量を有する生成物が得られる程度まで従来のMDIとブレンドすることを教示する。記載されているものはすべてバッチ式方法である。
【0005】
米国特許第4,743,672号では、高い二環式含量および比較的高い粘度を有する液体PMDI含有MDI生成物の調製に関する。この目的のために、当該出願は、三量化触媒の存在下でMDIを変換してイソシアヌレート含有ポリイソシアネートを得、三量化触媒を失活させ、次いでこのようにして得られたイソシアヌレート含有ポリイソシアネートを標準的なPMDI組成物とブレンドすることが教示されている。記載されているものはすべてバッチ式方法である。さらにこの出願では、二環式MDIをPMDI組成物と予備混合し、続いてイソシアヌレートを形成しても安定なイソシアネート生成物を得ることができないことが教示されている。
【0006】
イソシアヌレート含有イソシアネート混合物を調製することを目的とした当技術分野で公知のバッチ式方法は、一般に、所望の三量化度で三量化反応を停止させるための化学的停止剤の使用を伴う。さらに、温度制御は、特に工業的規模で、バッチ式で行われる発熱反応の場合に課題となり得る。イソシアヌレート含有イソシアネート混合物を調製するための公知の方法はまた、二量体イソシアネート(ウレトジオンと呼ばれる)の含有量の増加をもたらし得、これは、最終生成物の濁りをもたらす。
【0007】
ドイツ特許出願102004060121A1号では、低い色数を有するポリイソシアネートを得ることができるイソシアヌレート基-含有ポリイソシアネートの連続製造方法を提供する課題に関する。この課題は、イソシアネート、特にヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアネート、2,2,4-および/または2,4,4-トリメチルヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートおよびそれらの混合物を、少なくとも1種の触媒の存在下で部分的にオリゴマー化するための連続的操作方法であって、特に、触媒中の加水分解性ハロゲンの総含有量が1重量%未満であることを特徴とする方法によって達成される。
【0008】
場合により工程a)で予備混合したイソシアネート含有反応物流および触媒含有反応物流は、工程b)の反応帯域へと導かれる。工程b)の後に、場合により、管型反応装置中でのさらなる反応(工程c))が続いてもよい。反応は、好ましくは、工程d)において、例えば、不活性化剤を添加することによって、触媒を熱分解させることによって、または冷却させることによって、触媒を不活性化させて、所望の転化度に達したら停止する。
【0009】
概して工程b)は、2つ以上の逆混合反応域からなる。逆混合反応器系の温度は、概して40℃~170℃、好ましくは45℃~160℃、より好ましくは50℃~150℃、最も好ましくは60℃~140℃である。工程b)の特定の実施態様において、個々の反応域は、異なる温度に加熱し、異なる滞留時間で操作を行う。これに関して、例えば、第2反応域における温度が、例えば、第1反応域における温度よりも5℃、好ましくは10℃、より好ましくは15℃、最も好ましくは20℃高いように、反応域に沿って反応温度を上昇させることが実用的であり得ることが開示されている。さらに、存在する任意の第3反応域において、温度を5℃、好ましくは10℃、より好ましくは15℃、最も好ましくは20℃さらに上昇させることができる。ここで、触媒を熱的に失活させるために、この最後の反応域を80℃、好ましくは100℃、より好ましくは120℃を超える温度に加熱することが実用的であり得る。代替として開示する実施態様としては、反応を停止させるために、この第3区域をさらに加熱するのではなく、50℃、好ましくは45℃、より好ましくは40℃未満の温度に冷却するものである。これらの場合、工程c)は存在しない(工程b)の最後の工程で工程d)が既に行われているため)。冷却による失活を伴うプロセスレジームの(温度条件に関してジイソシアネートを三量体化させるのに必要な条件に適合させるための)一例として、第1反応域を混合および/または予備加熱域(適切には約40℃~60℃の温度を有する)に、第2反応域を反応域(適切には約70℃~120℃の温度を有する)に分割するべきであり、最後の反応域を触媒失活域または冷却域(適切には約20℃~40℃の温度を有する)に分割すべきであることが開示されている。
【0010】
この連続法にも欠点がないわけではない。例えば、触媒を熱失活させるための特に好ましい温度としての120℃は、低ウレトジオン含有量を確実に確保するには低すぎる。この文献からは、十分に高い温度での連続的な熱失活と、その後の十分に急速な連続的な冷却との組み合わせを推測することはできない。
【0011】
したがって、当産業分野においてはさらなる改善が望まれている。より具体的には、上述の問題を、存在していたとしても少なくとも低減された程度まで有するが保存安定性の液体均質(曇りのない)生成物をもたらす、イソシアヌレート含有イソシアネート混合物を調製するための方法を利用可能にすることが望ましい。全く驚くべきことに、以下に記載されるような複数の温度レベルを使用する連続プロセスレジームが、この点に関して改善を提供し得ることが見出された。
【0012】
上記を考慮して、本発明は、イソシアヌレート含有イソシアネート混合物を調製する方法であって、以下の工程:
a)第1イソシアネート成分(K1)と、当該第1イソシアネート成分とは異なる第2イソシアネート成分(K2)と、イソシアネート基三量化触媒(K3)とを混合することによって、イソシアネート基三量化触媒を含むイソシアネート混合物を連続的に提供し(混合工程);
b)50℃~120℃、好ましくは60℃~110℃、より好ましくは70℃~100℃の範囲の温度の、第1滞留域に、工程a)で提供された当該イソシアネート基三量化触媒を含むイソシアネート混合物を連続的に誘導し、イソシアネート基三量化触媒を含むウレトジオンおよびイソシアヌレート含有イソシアネート混合物を得(三量化工程);
c)工程b)で得られたイソシアネート基三量化触媒を含むウレトジオンおよびイソシアヌレート含有イソシアネート混合物を、160℃~220℃、好ましくは170℃~215℃、より好ましくは180℃~210℃の範囲の温度の第2滞留域に連続的に誘導させて、(不活性イソシアネート基三量化触媒を含む)イソシアヌレート含有イソシアネート混合物を得、ここで、第2滞留域へ誘導する工程の前に、工程b)の温度範囲の温度で停止剤を添加し(不活化および再分離工程);かつ
d)工程c)で得られた(不活性イソシアネート基三量化触媒を含む)イソシアヌレート含有イソシアネート混合物を、10℃~100℃、好ましくは15℃~80℃、より好ましくは20℃~50℃の範囲の温度の第3滞留域へ連続的に誘導させて、所望の(不活性イソシアネート基三量化触媒を含む)イソシアヌレート含有イソシアネート混合物を得る工程(「急冷」工程
を含む方法に関する。
【0013】
本発明の方法において、プロセス工程a)~d)は連続的に行われる。本明細書においてこれが意味することは、所望のイソシアヌレート含有イソシアネート混合物の製造期間中に、プロセス工程のための出発物質がそこに連続的に供給され、それぞれのプロセス工程からの生成物がそこから連続的に取り出されることである。これは、所望のイソシアヌレート含有イソシアネート混合物の別個のバッチ製造を含む。例えば、特定のイソシアヌレート含有イソシアネート混合物のバッチを、所望の量が1つ以上の容器に分配されるまで連続的に生成することができ、その後、別のイソシアヌレート含有イソシアネート混合物を生成することができる。この手順は、2つの生産サイクルの間に顕著な生産停止があるか否かにかかわらず、連続という用語の本発明の使用に包含される。
【0014】
2つのイソシアネート成分(K1、K2)は、DIN EN ISO11909:2007-05に従って決定されるNCO含有量およびDIN53019-1:2008-09に従って回転粘度計によって決定される40℃での粘度(不可避の測定変動を考慮して)から選択される、少なくとも1つのパラメータについて異なる場合に本発明の文脈において互いに異なる。
【0015】
本発明の文脈において、イソシアネート基三量化触媒とは、工程b)の温度条件下でイソシアネート基のイソシアヌレート基への三量化を触媒することができる全ての触媒を意味すると理解される(さらに上のスキーム1を参照)。本発明の文脈において、触媒がそれぞれの温度条件下でイソシアネート基のイソシアヌレート基への三量化をもはや触媒しない場合、不活性イソシアネート基三量化触媒が参照される。イソシアネート基三量化触媒が不可逆的に不活性化されるように、イソシアネート基三量化触媒の選択と工程c)における温度条件を互いに適合させることが特に好ましい。
【0016】
最初に続くのは、本発明の異なる可能な実施態様簡単な概要であるが、実施態様の列挙は非網羅的であると見なされるべきである。
【0017】
本発明の第一の実施態様において、工程a)は、第1イソシアネート成分(K1)、第1イソシアネート成分とは異なる第2イソシアネート成分(K2)、およびイソシアネート基三量化触媒(K3)を混合装置に連続的に導入し、導入したイソシアネート成分(K1、K2)および導入した三量化触媒(K3)を混合して、イソシアネート基三量化触媒を含むイソシアネート混合物を得ることを含む。
【0018】
本発明の第二の実施態様において、工程a)は、以下の成分工程を含む:
a.1)2つのイソシアネート成分(K1、K2)のうちの1つとイソシアネート基三量化触媒(K3)とを第1混合装置(M1)に連続的に導入し、導入したイソシアネート成分と導入したイソシアネート基三量化触媒(K3)とを混合して、2つのイソシアネート成分(K1、K2)のうちの1つとイソシアネート基三量化触媒(K3)とを含む混合物を得、
a.2)工程a.1)で得られた、2つのイソシアネート成分(K1、K2) の一方とイソシアネート基三量化触媒(K3)を含む混合物と、他方のイソシアネート成分とを、第2混合装置(M2)に連続的に導入し、導入された2つのイソシアネート成分(K1、K2)の一方とイソシアネート基三量化触媒(K3)を含む混合物と、導入した他方のイソシアネート基成分とを混合して、イソシアネート基三量化触媒を含むイソシアネート混合物を得ること。
【0019】
本発明の第三の実施態様において、工程a)は、以下の成分工程を含む。
a.1)第1イソシアネート成分(K1)および第1イソシアネート成分とは異なる第2イソシアネート成分(K2)を第1混合装置(M1)に連続的に導入し、この第1混合装置(M1)に導入したイソシアネート成分を混合してイソシアネート混合物を得、
a.2)イソシアネート基三量化触媒(K3)および工程a.1)で得られたイソシアネート混合物を第2混合装置(M2)に連続的に導入し、導入したイソシアネート混合物および導入したイソシアネート基三量化触媒(K3)を混合して、イソシアネート基三量化触媒を含むイソシアネート混合物を得ること。
【0020】
本発明の第四の実施態様は、第三の実施態様の特定の構成であり、工程a)において、第2混合装置(M2)に入る前に混合装置(M1)を連続的に出るイソシアネート混合物は第2混合装置(M2)の上流の(「第0番目の」)滞留域に誘導される。
【0021】
他のすべての実施態様と組み合わせることができる本発明の第五の実施態様では、工程a)は、10℃~<50℃の範囲の温度で実施される。
【0022】
他の全ての実施態様と組み合わせることができるが、特に第五の実施態様と組み合わせることができる本発明の第六の実施態様では、工程a)で得られるイソシアネート基三量化触媒を含むイソシアネート混合物の温度を、2℃/分~90℃/分、好ましくは5℃/分~60℃/分、より好ましくは15℃/分~55℃/分の範囲の温度変化率で、工程b)の温度に調整する。
【0023】
他の全ての実施態様、特に第六の実施態様と組み合わせることができる本発明の第七の実施態様では、工程b)で得られる、イソシアネート基三量化触媒を含んでなるウレトジオンおよびイソシアヌレート含有イソシアネート混合物(the uretdione- and isocyanurate-containing comprising isocyanate mixture isocyanate group trimerization catalyst which is obtained in step b))の温度を、10℃/分~160℃/分、好ましくは10℃/分~100℃/分、より好ましくは25℃/分~85℃/分の範囲の温度変化率で、工程c)の温度に調整する。
【0024】
他の全ての実施態様と組み合わせることができるが、特に第七の実施態様と組み合わせることができる本発明の第八の実施態様では、工程c)で得られる、不活性イソシアネート基三量化触媒を含んでなるイソシアヌレート含有イソシアネート混合物 (the isocyanurate-containing comprising isocyanate mixture inactive isocyanate group trimerization catalyst which is obtained in step c))の温度を、15℃/分~200℃/分の範囲、好ましくは15℃/分~125℃/分の範囲、より好ましくは35℃/分~105℃/分の範囲の温度変化率で、工程d)の温度に調整する。
【0025】
他の全ての実施態様と組み合わせることができる本発明の第九の実施態様では、第1および第2イソシアネート成分の性質および組成は、それぞれの場合において、工程d)で得られるイソシアヌレート含有イソシアネート混合物が、24質量%~32質量%の範囲のNCO含有量および50MPa・s(25℃)~40000MPa・s(25℃)の範囲の粘度を有するように互いに適合される。
【0026】
他のすべての実施態様と組み合わせることができるが、特に第九の実施態様と組み合わせることができる本発明の第十の実施態様では、第1イソシアネート成分(K1)および第2イソシアネート成分(K2)はそれぞれ、(i)メチレンジフェニレンジイソシアネート、(ii)メチレンジフェニレンジイソシアネートとポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネートとの混合物、(iii)トリレンジイソシアネート、および(iv)(iii)との(i)または(ii)の混合物からなる群から選択される。
【0027】
第十の実施態様の特定の構成である本発明の第十一の実施態様では、使用される第1イソシアネート成分(K1)は、メチレンジフェニレンジイソシアネートであり、使用される第2イソシアネート成分(K2)は、メチレンジフェニレンジイソシアネートとポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネートとの混合物である。
【0028】
第十一の実施態様の特定の構成である本発明の第十二の実施態様では、第1および第2のイソシアネート成分の混合物中のメチレンジフェニレンジイソシアネートのポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネートに対する質量比が、70:30~95:5(すなわち、2.33~19)の範囲の値に調整される。
【0029】
第十~第十二の実施態様の特定の構成である本発明の第十三の実施態様では、第1イソシアネート成分(K1)および第2イソシアネート成分(K2)のNCO含有量が、それぞれ30質量%~49質量%の範囲であり、第1イソシアネート成分(K1)および第2イソシアネート成分(K2)の粘度が、それぞれ2.50MPa・s~800MPa・s(40℃)の範囲である。
【0030】
第一~第十三の実施態様の特定の構成である本発明の第十四の実施態様では、工程a)で使用されるイソシアネート基三量体化触媒は、水酸化第四級アンモニウム、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属アルコキシド、トリアルキルホスフィン、パラ置換ピリジン、有機金属塩、ルイス酸および有機酸のアルカリ金属塩からなる群から選択される。
【0031】
第十四の実施態様の特定の構成である本発明の第十五の実施態様では、工程c)において有機酸塩化物を含む停止剤を添加し、有機酸塩化物は酸塩化物:イソシアネート基三量化触媒のモル比が1:3~1:1の範囲で使用する。
【0032】
第一~第十三の実施態様の別の特定の構成である本発明の第十六の実施態様では、工程a)で使用されるイソシアネート基三量化触媒は、アルキルアミノアルキルフェノール、好ましくはトリス(ジメチルアミノメチル)フェノールを含み、特にアルキルアミノアルキルフェノール、好ましくはトリス(ジメチルアミノメチル)フェノールである。
【0033】
第十六の実施態様の特定の構成である本発明の第十七の実施態様では、イソシアネート基三量化触媒を不活性化するために停止剤は使用されない(すなわち、不活性化は純粋に熱的手段によって行われる)。
【0034】
第四~第十七の実施態様の特定の構成である本発明の第十八の実施態様では、使用される第2混合装置(M2)の上流の「第0番目の」滞留域は、混合要素を含んでいてもよい管型反応装置(a tubular reactor optionally containing mixing elements)である。
【0035】
工程a)のための動的混合装置を想定しない他の全ての実施態様と組み合わせることができる本発明の第十九の実施態様では、工程a)において静的混合装置のみが使用される。
【0036】
他のすべての実施態様と組み合わせることができる本発明の第二十の実施態様では、第1、第2および第3滞留域はそれぞれ、上流に熱交換器を有していてもよい撹拌槽(a stirred tank, optionally with upstream heat exchanger)、または混合要素を含んでいてもよい温度制御可能な管型反応装置を含む。
【0037】
第二十の実施態様の特定の構成である本発明の第二十一の実施態様では、第1、第2、および第3滞留域はそれぞれ、上流に熱交換器を有していてもよい撹拌槽を含む。
【0038】
第二十の実施態様の別の特定の構成である本発明の第二十二の実施態様では、第1、第2および第3滞留域はそれぞれ、混合要素を含んでいてもよい温度制御可能な管型反応装置を含む。
【0039】
以下に記載される第二十四の実施態様を除く別の全ての他の実施態様と組み合わせることができる本発明の第二十三の実施態様では、第1および第2イソシアネート成分はそれぞれ、対応するイソシアネート製造プラントからの生成物流から収集される。
【0040】
上記の第二十三の実施態様以外の他の全ての実施態様と組み合わせることができる本発明の第二十四の実施態様では、第1および第2イソシアネート成分はそれぞれ、対応するイソシアネート製造プラントに接続されていない保存容器または輸送容器から取り出される。
【0041】
上記で簡単に概説した実施態様および本発明のさらなる可能な構成を、以下で詳細に説明する。様々な実施態様は、文脈から反対のことが当業者に明らかでない限り、所望に応じて互いに組み合わせることができる。
【0042】
第1イソシアネート成分(K1)と、第1イソシアネート成分とは異なる第2イソシアネート成分(K2)と、イソシアネート基三量化触媒(K3)とを工程a)混合工程-で混合することによって、イソシアネート基三量化触媒を含むイソシアネート混合物を連続的に提供することは、原則として、当業者によく知られているあらゆる方法で行うことができる。
【0043】
α)混合する成分-第1イソシアネート成分(K1)、第1イソシアネート成分とは異なる第2イソシアネート成分(K2)、およびイソシアネート基三量化触媒(K3)-を連続的に混合装置に導入し、それらを混合し、次いでそれらを直接工程b)に供給することが可能である。
【0044】
β)同様に、最初に2つのイソシアネート成分(K1またはK2)の一方をイソシアネート基三量化触媒(K3)と第1混合装置(M1)中で連続的に混合し、こうして得られたイソシアネート成分の一方とイソシアネート基三量化触媒(K3)との混合物と他方のイソシアネート成分とを、第1混合装置(M2)の下流に接続した第2混合装置(M2)中で連続的に混合して流動させることも可能である。したがって、この実施態様では、第1イソシアネート成分(K1)と、第1イソシアネート成分とは異なる第2イソシアネート成分(K2)と、イソシアネート基三量化触媒(K3)とを混合することによって、イソシアネート基三量化触媒を含むイソシアネート混合物を連続的に提供することは、以下の工程:
a.1)2つのイソシアネート成分(K1, K2)のうちの1つとイソシアネート基三量化触媒(K3)とを第1混合装置(M1)に連続的に導入し、導入したイソシアネート成分と導入したイソシアネート基三量化触媒(K3)とを混合して、2つのイソシアネート成分(K1、K2)のうちの1つとイソシアネート基三量化触媒(K3)とを含む混合物を得、
a.2)工程a.1)で得られた、2つのイソシアネート成分(K1、K2)の一方およびイソシアネート基三量化触媒(K3)を含む混合物と、他方のイソシアネート成分とを、第2混合装置(M2)に連続的に導入し、導入した2つのイソシアネート成分(K1、K2)の一方およびイソシアネート基三量化触媒(K3)を含む混合物と、導入した他方のイソシアネート基成分とを混合して、イソシアネート基三量化触媒を含むイソシアネート混合物を得ること
より達成される。
【0045】
γ)工程a)の別の、類似の二段階の実施態様は、最初に2つのイソシアネート成分(K1、K2)を第1混合装置(M1)中で混合し、続いてこのように得られたイソシアネート混合物と、イソシアネート基三量化触媒(K3)を第1混合装置(M1)の下流に流動目的に接続した第2混合装置(M2)中で連続的に混合することを含む。したがって、この実施態様では、第1イソシアネート成分(K1)と、第1イソシアネート成分とは異なる第2イソシアネート成分(K2)と、イソシアネート基三量化触媒(K3)とを混合することによって、イソシアネート基三量化触媒を含むイソシアネート混合物を連続的に提供することは、以下の工程:
a.1)第1イソシアネート成分(K1)および第1イソシアネート成分とは異なる第2イソシアネート成分(K2)を第1混合装置(M1)に連続的に導入し、この第1混合装置(M1)に導入したイソシアネート成分を混合してイソシアネート混合物を得、
a.2)イソシアネート基三量化触媒(K3)および工程a.1)で得られたイソシアネート混合物を第2混合装置(M2)に連続的に導入し、導入したイソシアネート混合物および導入したイソシアネート基三量化触媒(K3)を混合して、イソシアネート基三量化触媒を含むイソシアネート混合物を得ること
によって達成される。
【0046】
後者の手順(γ)は、イソシアネート基三量化触媒(K3)が、イソシアネートの所望の混合物が既に存在する場合にのみ添加され、その結果、イソシアネート成分の一方のみの三量化が確実に除外され得るという利点を有するので、好ましい。図1図3は、この本実施態様の可能な装置構成を示す。
【0047】
工程a)における最後の混合操作と工程b)との間、および/または、行われる場合、工程a1)と工程a2)との間に、混合を完了させるためのさらなる滞留時間を提供することが妥当であり得る。これは、混合装置における滞留時間を増加させることによって、例えば、混合装置を通る流量を減少させることによって、または好ましくは、所与の流量で、混合装置を十分に大きくするか、または複数の混合装置を直列に接続することによって、混合装置を通過する混合物の移動距離を延ばすことによって達成することができる。混合装置の下流の滞留装置を通過させることによって、さらなる滞留時間を提供することも可能である。
【0048】
2つの成分を毎度混合した後にさらなる滞留時間を設けることは妥当であり得るが、この実施態様は工程a.1)とa.2)との間の実施態様γ)において特に好ましい。ここでは、第2混合装置(M2)に導入する前に、混合装置(M1)を連続的に離れるイソシアネート混合物が第2混合装置(M2)の上流の(「第0番目の」)滞留域へ誘導されることが好ましく、この滞留域は、好ましくは、混合要素を含んでいてもよい管型反応装置である。
【0049】
それぞれの場合において、工程a)を10℃から<50℃、好ましくは15℃から45℃、より好ましくは20℃から40℃の範囲の温度で行うことが好ましい。工程a)が複数の構成要素工程を含む場合、これは、(通過する任意の「第0番目の」滞留域を含む)構成要素工程の各々に当てはまる。上述の温度範囲に従うことにより、工程a)における三量化反応の早期開始がほぼ完全に回避され、その結果、三量化は、制御された条件下で工程b)においてのみ本質的に起こる。工程a)における三量体化の早期開始は、制御された反応条件を確実にするために可能な限り避けるべきである。
【0050】
工程a)で使用される好適なイソシアネート基三量化触媒(K3)は、好ましくは、第四級アンモニウム水酸化物、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属アルコキシド、トリアルキルホスフィン、アルキルアミノアルキルフェノール、パラ置換ピリジン、有機金属塩、ルイス酸および有機酸のアルカリ金属塩である。イソシアネート基三量化触媒(K3)は、好ましくは、イソシアネート基三量化触媒のイソシアネートに対するモル比が0.05:99.95~0.50:99.50の範囲を達成するように、非イソシアネート反応性溶媒中、5~15の範囲のイソシアネート基三量化触媒(K3)の質量割合(溶液の総質量に基づく(実施例1および2参照))の溶液の形態で使用される。
【0051】
特に好ましいのは、アルキルアミノアルキルフェノールの使用であり、その理由としては、これらは、工程c)において、停止剤を使用しなくても不可逆的に不活性化されるために望ましくないさらなる反応が回避されるからである。本明細書ではトリス(ジメチルアミノメチル)フェノールを特に言及すべきである。
【0052】
工程a)で使用される好適な混合装置は、原則として、当業者に公知の全ての混合装置である。静的混合装置(少なくとも2つの液体流の混合が可動部分なしで行われる)または動的混合装置(少なくとも2つの液体流の混合が可動部分を使用して行われる)のいずれかを使用することが可能である。
【0053】
好適な動的混合装置の例は、撹拌槽およびローター-ステーター混合装置である。動的混合装置は、例えば、Cavitron Verfahrenstechnik、BWS Technologie GmbHおよびKinematicaから供給され得;公知の名称はCavitron(商標)、Supratron(商標)およびMegatron(商標)である。好適な静的混合装置の例は、静的混合内部を有する混合管であり、微細構造を使用することも可能である。静的混合内部を有する混合管は、しばしば単に「静的ミキサー」と呼ばれる。このような静的混合装置は、例えば、Sulzer、Fluitec、StamixcoおよびEhrfeld Mikrotechnikから供給され得る。公知の名称は、SMXミキサー、Kenicsミキサー、CMXミキサーおよびマイクロミキサーである。
【0054】
2つの混合装置が工程a)(実施態様β)およびγ))で使用される場合、両方の混合装置が動的混合装置または静的混合装置のいずれかであることが可能である。第1混合装置(M1)が動的混合装置であり、第2混合装置(M2)が静的混合装置であるか、または第1混合装置(M1)が静的混合装置であり、第2混合装置(M2)が動的混合装置であることも可能である。
【0055】
静的混合装置は、良好なクロスミキシングを有しているために好ましい。これにより、滞留時間分布が狭くなり、熱伝達が改善される。
【0056】
図1は、最も好ましい実施態様γ)における工程a.2)における静的ミキサーの使用のための2つの選択肢を示す。工程a.1)で得られたイソシアネート混合物(K1+K2)を、静的ミキサー(M2)を用いてイソシアネート基三量化触媒(K3)と(好ましくは上記の溶液として)混合する。ここでは2つの液体流がT部品を介してミキサーに到達することができ(図1、左半分;Z3は、K3のためのフィードを示し、Z1、Z2は、K1+K2の混合物のためのフィードを示す)、または液体流が側面からミキサーに供給されることもできる(図1、右半分)。さらに好ましい方法では、2つの液体流を、同等かまたは少なくとも同様の流量で混合することが好ましく、その理由としては、そのようにしないとあまり混合されず、結果副生成物および堆積物の形成が増加するためである。イソシアネート混合物およびイソシアネート基三量化触媒(K3)の体積流量は有意に異なるので、静的ミキサーに向かう触媒流のためのパイプラインの内径を、イソシアネート混合物流用の対応するパイプラインの内径と比較して減少させることが好ましい(図2は、例として、実施態様γ)の工程a.2)のための2つの選択肢を示す)。ここで、図2の左半分に示すように、より小さい直径(K3)を有するパイプラインを、より大きい直径(イソシアネート混合物K1+K2)を有するパイプラインで覆うことが可能である。
【0057】
本発明の方法のさらに好ましい実施態様において、イソシアネート混合物K1+K2の流れは、ミキサーの上流で分割され、2つの側からミキサー中に横方向に誘導される。ミキサーの一方の側から、触媒流K3用のパイプラインをイソシアネート混合物のためのパイプラインに導入する。3つの流れは、ミキサー内でしか合流しない。これは、図3において実施態様γ)の工程a.2)について例示されている。この手順を実施例2~4で行った。
【0058】
工程a)で使用するのに好適な第1および第2イソシアネート成分(K1, K2)は、原則として、全ての三量化可能な有機イソシアネートである。本発明による方法は、24質量%~32質量%の範囲のNCO含有量および25℃で50MPa・s~40000MPa・sの範囲の粘度を有するイソシアヌレート含有イソシアネート混合物の調製に特に好適である。本明細書ではNCO含有量は、DIN EN ISO11909:2007-05に従って測定される値であると考えられる。本明細書では、臨界粘度値(crucial viscosity value)は、DIN53019-1:2008-09に従って回転粘度計で測定される値であると考えられる。さらなる工程における反応パラメータ(特に工程b)における温度)と同様に、これらの値は、使用されるイソシアネート成分の性質(例えば、メチレンジフェニレンジイソシアネート、メチレンジフェニレンジイソシアネートとポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネートまたはトリレンジイソシアネートとの混合物が使用されるか否か)および組成(例えば、異性体比、混合比)に依存し、これらは、対応して適合されなければならず、これは、当業者にとって通常なす事項である。第1イソシアネート成分(K1)としては、NCO含有量が30~49質量%であり、40℃における粘度が1.50~800MPa・sである成分を用いることが好ましい。第2イソシアネート成分(K2)としては、NCO含有量が30~49質量%であり、40℃における粘度が2.50~800MPa・sである成分を用いることが好ましい。NCO含有量および粘度パラメータの少なくとも1つが異なるという条件で、2つのイソシアネート成分のNCO含有量および粘度は、これらの範囲内で互いに独立して調整可能である。
【0059】
好適なイソシアネート成分は、特にジフェニルメタン系のジイソシアネートおよびポリイソシアネート、ならびにトリレンジイソシアネートである。ジフェニルメタン系のジイソシアネートは、メチレンジフェニレンジイソシアネート(モノマーMDI、MMDIと呼ばれ、2環MDIとも呼ばれる)の異性体である。ジフェニルメタン系のポリイソシアネートは、その高級同族体であり、3個以上の芳香環(および対応して3個以上のイソシアネート基)を含有するポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(ポリマーMDI、PMDIと呼ばれる)である。実際には、純粋なPMDIは実用的用途では粘度が高すぎるために(since pure PDMI has too high a viscosity for practical purposes)、PMDIはMMDIとの混合物中でしか顕著でない。ここで、MMDI:PMDIの質量比が20:80~55:45の範囲(すなわち、0.25~1.22の範囲)であるメチレンジフェニレンジイソシアネートとポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネートとの混合物が好ましい。
【0060】
したがって、第1イソシアネート成分(K1)は、好ましくは、(i)メチレンジフェニレンジイソシアネート、(ii)メチレンジフェニレンジイソシアネートとポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネートとの混合物、(iii)トリレンジイソシアネート、および(iv)(i)または(ii)と(iii)との混合物からなる群から選択される。第2イソシアネート成分(K2)も同様にこの群から選択されることは好ましいが、第2イソシアネート成分は、上記で説明したように、粘度および/またはNCO含有量に関して第1イソシアネート成分と異なることが条件である。例えば、第1イソシアネート成分(K1)としてメチレンジフェニレンジイソシアネート、第2イソシアネート成分(K2)としてトリレンジイソシアネートを用いてもよいし、第1イソシアネート成分(K1)としてトリレンジイソシアネート、第2イソシアネート成分(K2)としてメチレンジフェニレンジイソシアネートとポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネートとの混合物を用いてもよい。同様に、第1および第2イソシアネート成分のそれぞれとしてメチレンジフェニレンジイソシアネート成分を使用することが可能であり、これらは、異性体分布が異なるために粘度が異なる。
【0061】
より好ましくは、工程a)で使用される第1イソシアネート成分(K1)は、メチレンジフェニレンジイソシアネートであり、第2イソシアネート成分(K2)は、メチレンジフェニレンジイソシアネートとポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネートとの混合物であり、混合物(K2)のMMDI:PMDIの質量比は、特に、20:80~55:45の範囲(すなわち、0.25~1.22の範囲)である。ここでは第1イソシアネート成分と第2イソシアネート成分の混合物中のMMDI:PMDIの質量比は、70:30~95:5の範囲(すなわち、2.33~19の範囲)であることが好ましい。
【0062】
メチレンジフェニレンジイソシアネートとポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネートとの混合物が工程a)で使用される全ての実施態様において、この混合物の塩素総含有量は500ppm~2000ppmの範囲、好ましくは600ppm~2000ppmの範囲、より好ましくは650ppm~2000ppmの範囲であることが好ましい。塩素総含有量を測定するための試験方法としては、例えば、硝酸銀による滴定と組み合わせたX線蛍光またはWickbold燃焼が当業者に公知である。不明な場合には、最も確実な測定方法は1994年2月のDIN51 577(パート4)によるものとする。較正は、室温で液体である蒸留したメチレンジフェニレンジイソシアネート異性体混合物(塩素総含量がわずかである)のマトリックス中のオルト-ジクロロベンゼンの試料を用いて達成される。より具体的には、2,4’-メチレンジフェニレンジイソシアネートと4,4’-メチレンジフェニレンジイソシアネートの質量比が1:1である異性体混合物が使用される。しかしながら、異性体分布は、異性体混合物が室温で液体でなければならないという点でのみ重要である。
【0063】
本発明の方法の工程b)である三量化工程では、イソシアヌレート基を形成する三量化反応が開始するように温度を上昇させる。これは、工程a)(実施態様β)およびγ)ではより具体的には工程a.2))において得られたイソシアネート基三量化触媒を含むイソシアネート混合物を、50℃~120℃、好ましくは60℃~110℃、より好ましくは70℃~100℃の範囲の温度で第1滞留域に連続的に誘導させて、イソシアネート基三量化触媒を含むウレトジオンおよびイソシアヌレート含有イソシアネート混合物を得ることによってもたらされる。ウレトジオン基の形成は望ましくないが、この時点で完全に防止することはできない。
【0064】
第1滞留域におけるイソシアネート基三量化触媒を含むイソシアネート混合物の滞留時間は、好ましくは1分~240分の範囲、より好ましくは20分~150分の範囲、最も好ましくは30分~60分の範囲である。第1滞留域は当業者に知られた反応装置であってもよく、特に撹拌槽であってもよく、上流の熱交換器を有するものでもよく、または-好ましくは-混合要素を場合により含み得る温度制御可能な管型反応装置であってもよい。上流の熱交換器を有する撹拌槽の場合、イソシアネート基三量化触媒を含み、かつ工程a)で得られるイソシアネート混合物は、この熱交換器内で間接加熱によって工程b)の温度まで加熱され、熱交換器がない場合は、加熱は撹拌槽の適切な加熱によってのみ達成される。管型反応装置の場合、これは対応して加熱される。いずれの場合も、工程a)で得られるイソシアネート基三量化触媒を含むイソシアネート混合物の温度を、2℃/分~90℃/分、好ましくは5℃/分~60℃/分、より好ましくは15℃/分~55℃/分の範囲の温度変化率で、工程b)の温度に調節することが好ましい。
【0065】
本発明の方法の工程c)、不活性化および再分離工程において、温度は、第2滞留域において工程b)と比較して、具体的にはイソシアネート基三量化触媒の活性が(特に不可逆的に)(場合により停止剤を添加することで補助されて)失われ、工程b)で形成されたウレトジオンがイソシアネートに再分離される値までさらに上昇する。化学的停止剤の使用は、本発明の方法の好ましい実施態様では不要であり、その理由としては不活性イソシアネート基三量体化触媒を含むイソシアヌレート含有イソシアネート混合物を得るために、使用されるイソシアネート基三量体化触媒が純粋に熱的に(すなわち、160℃~220℃、好ましくは170℃~215℃、より好ましくは180℃~210℃の範囲の温度で、第2滞留域を通して、イソシアネート基三量体化触媒を含むウレトジオンおよびイソシアヌレート含有イソシアネート混合物を連続的に誘導することにより)不活性化されるためである。この純粋な熱的な不活化は、特にアルキルアミノアルキルフェノール(その中でもトリス(ジメチルアミノメチル)フェノールが特に好ましい)などの特定のイソシアネート基三量体化触媒の使用によって可能になる。他のイソシアネート基三量化触媒が、工程c)で選択された特定の温度条件下で純粋に熱的に不活性化とすることができる程度は、不明である場合、当業者によって簡単な予備試験によって確認することができる。
【0066】
工程c)において可能な温度の上限範囲においても不活性化されないイソシアネート基三量化触媒が使用される場合、第2滞留域に誘導する前に、工程b)の温度範囲の温度で停止剤を添加することが適切である。したがって、この実施態様では、工程c)は、以下の2つの成分工程を含む。
c.1)イソシアネート基三量化触媒を含み、かつ工程b)で得られたウレトジオンおよびイソシアヌレート含有イソシアネート混合物に、工程b)の温度範囲内で、すなわち50℃~120℃、好ましくは60℃~110℃、より好ましくは70℃~100℃の範囲の温度で、特に工程b)が行われるのと同じ温度で、停止剤を添加する工程;
c.2)イソシアネート基三量化触媒を含んだ、停止剤を含有しているウレトジオンおよびイソシアヌレート含有イソシアネート混合物を、160℃~220℃、好ましくは170℃~215℃、より好ましくは180℃~210℃の範囲の温度の第2滞留域に誘導して、不活性イソシアネート基三量化触媒を含むイソシアヌレート含有イソシアネート混合物を得る工程。
【0067】
工程c.1)の実施の場合、使用する停止剤は、好ましくは、有機酸塩化物または複数の有機酸塩化物の混合物、特に塩化ベンゾイル、塩化フタロイルまたはこれら2つの混合物である。停止剤は、好ましくは、使用する触媒の量に基づいて1:3~1:1のモル比で使用する。管型反応装置が第1滞留域として使用される場合、この目的のための停止剤は、流動目的のために管型反応装置の下端に導入することができる。連続フロー撹拌槽が第1滞留域として使用される場合、第2滞留域に案内される前に、撹拌槽を出る混合物に停止剤を添加することができる。しかしながら、停止剤は、第1滞留域と第2滞留域との間に配置されたさらなる混合装置を用いて工程b)で得られた混合物に添加することが好ましい。これによってイソシアネート基三量化触媒を含み、かつ工程b)で得られるウレトジオンおよびイソシアヌレート含有イソシアネート混合物および停止剤の、第2滞留域に導入される前の十分な混合が確実となる。
【0068】
工程c)において、停止剤を添加せずには完全に不活性化することができないイソシアネート基三量化触媒を使用することは、調製するイソシアネート混合物の後の使用方法によれば、イソシアネート基三量化触媒の破壊的効果を除外することができないため、好ましくない。それにもかかわらず、この手順に従う場合、第3滞留域(工程d);以下を参照のこと)における温度は、常に工程d)の温度未満に維持し、このことは三量化反応の新たな「ライトオフ(lightoff)」を防止する。
【0069】
第2滞留域におけるイソシアネート基三量化触媒を含むウレトジオンおよびイソシアヌレート含有イソシアネート混合物の滞留時間は、好ましくは1分~60分の範囲、より好ましくは1分~10分の範囲、最も好ましくは1.5分~5分の範囲である。第2滞留域は、第1滞留域と同様に、当業者に公知の反応装置、特に、上流熱交換器を有していてもよい撹拌槽、または好ましくは、場合により混合要素を含み得る温度制御可能な管型反応装置であり得る。上流の熱交換器を有する撹拌槽の場合、イソシアネート基三量化触媒を含み、かつ工程b)で得られるウレトジオンおよびイソシアヌレート含有イソシアネート混合物は、この熱交換器において間接加熱により工程c)の温度まで加熱され、熱交換器が設けられていない場合、加熱は、撹拌槽の適切な加熱によってのみ行われる。管型反応装置の場合、これは対応して加熱される。いずれの場合も、工程b)で得られるイソシアネート基三量化触媒を含むウレトジオンおよびイソシアヌレート含有イソシアネート混合物の温度を、10℃/分~160℃/分、好ましくは10℃/分~100℃/分、より好ましくは25℃/分~85℃/分の範囲の温度変化率で、工程c)の温度に調整することが好ましい。
【0070】
本発明の方法の工程d)、「急冷」工程では、工程c)で得られた状態がイソシアヌレートおよび二次成分含量について「凍結」されるように、温度を工程c)に対して低下させる。これは、工程c)で得られ、かつ不活性イソシアネート基三量化触媒を含むイソシアヌレート含有イソシアネート混合物を10℃~100℃の範囲、好ましくは15℃~80℃の範囲、より好ましくは20℃~50℃の範囲の温度で第3滞留域に連続的に誘導させることによってもたらされ、所望のイソシアヌレート含有イソシアネート混合物(不活性イソシアネート基三量化触媒を含む)が得られる。一実施態様では、工程d)における温度は、常に工程b)の温度未満に維持される。
【0071】
第3滞留域におけるイソシアネート基三量化触媒を含むイソシアヌレート含有イソシアネート混合物の滞留時間は、好ましくは0.5分~120分の範囲、より好ましくは1分~60分の範囲、最も好ましくは1分~10分の範囲である。第3滞留域は、第1および第2滞留域と同様に、当業者に公知の反応装置、特に、上流に熱交換器を有していてもよい撹拌槽、または好ましくは、場合により混合要素を含み得る温度制御可能な管型反応装置であり得る。上流の熱交換器を有する撹拌槽の場合、不活性イソシアネート基三量化触媒を含み、かつ工程c)で得られるイソシアヌレート含有イソシアネート混合物は、間接冷却によってこの熱交換器中で工程d)の温度まで冷却され、熱交換器が提供されない場合、冷却は、撹拌槽温度の適切な制御によってのみ行われる。管型反応装置の場合には、これは対応して冷却される。いずれの場合も、工程c)で得られる不活性イソシアネート基三量化触媒を含むイソシアヌレート含有イソシアネート混合物の温度を、15℃/分~200℃/分の範囲、好ましくは15℃/分~125℃/分の範囲、より好ましくは35℃/分~105℃/分の範囲の温度変化率で、工程d)の温度に調整することが好ましい。
【0072】
第1、第2および第3滞留域としてそれぞれ1つの撹拌槽を使用することが可能であり、場合により(かつ好ましくは)上流の熱交換器(撹拌槽カスケードと呼ばれる)を有する。しかしながら、1つの温度制御可能な管型反応装置を使用することが特に好ましく、場合により、第1、第12および第3滞留域としてそれぞれ混合要素を含む。
【0073】
本発明の方法は、対応するイソシアネート製造プラントからの生成物流(連続的に得られる)からそれぞれ第1および第2イソシアネート成分を回収することによって、イソシアネート製造プラントに直接連結することができる(場合により、その間に接続された緩衝槽があってもよい)。これは、イソシアヌレート含有イソシアネート混合物の「完全な連続」製造を可能にする。イソシアネートの調製のための方法およびプラントは、当業者に公知であり、ここでは、例として、国際特許出願第2017/050776A1号およびそこに引用されている文献を参照する。この実施態様は、2つのイソシアネート成分の一方がMMDIであり、他方がMMDIとPMDIとの混合物である場合に特に好適である。例えば、好適なMMDI画分は、国際特許出願第2017/050776A1号に記載されているイソシアネート流140を精製および分画することによって得ることができる。MMDIとPMDIの好適な混合物は、国際特許出願第2017/050776A1号に記載されているポリマーイソシアネート画分を含む流141である。
【0074】
当然ながら、第1および第2イソシアネート成分をそれぞれ、対応するイソシアネート製造プラントに接続されていない保存または輸送容器(例えば、タンカートラック、貨物貨車または貨物船のタンク)から取り出すことも可能である。これは、所望の混合物の製造をイソシアネート製造プラントに空間的に近接していない場所でも行うことができるので、プロセスの柔軟性が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
図1
図2
図3
【実施例
【0076】
使用材料
・「Desmodur 44M」、略して「44M」(98.5%の4,4’-MMDIおよび1.5%の2,4’-MMDIの組成を有し、かつ40℃で4.00MPa・sの粘度を有するMMDI;レバークーゼン、Covestro Deutschland AG)。
・「Desmodur V20」、略して「44V20」(MMDIの質量割合が40%~44%の範囲であり、かつ40℃で80.0MPa・sの粘度を有するMMDIとPMDIの混合物;レバークーゼン、Covestro Deutschland AG)。
・塩化ベンゾイル(99%、シュタインハイム、Aldrich)。
・トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(Araldite Hardener HY960、バーゼル、Huntsman Advanced Materials)。
・リン酸トリエチル(Levagard TEP、ケルン、Lanxess)。
【0077】
試験条件
・回転粘度計による粘度(DIN 53019-1:2008-09)。
・イソシアネート含量(DIN EN ISO 11909:2007-05)。
・ウレトジオン含有量は、IR分光法測定した。
・PIR含有量は、以下の式によって計算される。
%PIR=[(出発NCO-最終NCO)/(0.5・出発NCO)]・100
・密閉可能な試料管中に存在する生成物の結晶化の開始を、-2.5K/日のデルタにて25℃で始まる温度勾配を有する温度自動調節器中で視覚的に測定した。
【0078】
例1(比較例):触媒の化学的不活性化のみを伴う、イソシアヌレート含有MMDI/PMDI混合物の不連続プロセスによる調製
還流凝縮器およびオーバーヘッド攪拌機を備えた、撹拌および加熱を行った10Lのガラス製3口フラスコ中で、Nで覆った中で(blanketing)、3.00kgの44Mおよび2.00kgの44V20を、90.2gの触媒溶液(TEP中の8.0質量%のトリス(ジメチルアミノメチル)フェノール)と混合し、80℃および周囲圧力で1時間撹拌した。反応の終了は、15分間隔で反応混合物のNCO含有量を測定することによって決定した。NCO含有量が27.5質量%に達した時点で、停止剤として塩化ベンゾイル3.6gを添加し、混合物を80℃でさらに10分間撹拌した。室温まで冷却した後、5時間後に白濁した。
分析:表1参照。
【0079】
例2(比較例):140℃での熱触媒失活を伴う、イソシアヌレート含有MMDI/PMDI混合物の不連続プロセスによる調製
80℃で三量体化した後、反応混合物を25分以内に140℃まで加熱し、次いで室温まで冷却したこと(the reaction mixture was heated up to 140°C within 25 min and was then allowed to cool down room temperature)を除いて、手順は例1と同様であった。室温まで冷却した後、曇りが観察され、翌日増加した。
【0080】
例3(比較例):200℃での熱触媒失活を伴う、イソシアヌレート含有MMDI/PMDI混合物の不連続プロセスによる調製
80℃で三量体化した後、反応混合物を34分以内に200℃まで加熱し、次いで室温まで冷却したことを除いて、手順は例1と同様であった。室温まで冷却した後、曇りが観察され、翌日増加した。
【0081】
例4(比較例):イソシアヌレート含有MMDI/PMDI混合物の半連続法による製造(熱的後処理なし;化学的触媒不活性化なし)
371.3g/hの44Mおよび247.5g/hの44V20を、40℃の温度にて静的ミキサー中で連続的に混合した。44V20および44Mの出発イソシアネート混合物の体積流量を分割した。より細いキャピラリーを体積流量の一部に導入し、それを通して触媒溶液(TEP中トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール8.0質量%)を12.3g/hで誘導した。毛細管およびそれを取り囲むイソシアネート混合物の供給管の出口は、熱交換器としても機能する静的ミキサーに通じていた。3つの流れ(イソシアネート混合物の2つの流れおよび触媒溶液の1つの流れ)をこの静的ミキサーで合わせ、22℃で混合し、80℃で45分の滞留時間で三量体化し、次いで、生成物が冷却される収集容器に収集した。生成物サンプルを、分析のために収集容器の上流で収集した。生成物のNCOは、24時間(RT)の保存時間後に明らかに低下し(表1参照)、生成物は7日後に収集容器中で固化した。
分析:表1参照。
【0082】
例5(比較例):イソシアヌレート含有MMDI/PMDI混合物の半連続法による調製(熱的後処理なし;化学的不可逆的触媒不活性化あり)
分析のための収集容器の上流で収集した生成物試料を0.08質量%(試料の質量に対して)の塩化ベンゾイルと混合して触媒を失活させたこと以外は(except that for the product samples taken upstream of the collecting vessel for analysis were admixed with 0.08% by mass (based on the mass of sample) of benzoyl chloride to deactivate the catalyst)、手順は例4と同様であった。化学的に停止した生成物は安定であり、冷却後にわずかな曇りを示した。
分析:表1参照。
【0083】
例6(本発明):不可逆的な熱触媒不活性化および「急冷」を伴うイソシアヌレート含有MMDI/PMDI混合物の連続プロセスによる調製
80℃で45分の滞留時間(本発明の方法の工程b)に対応する)での三量体化の後に、工程b)からの反応混合物を4分以内に200℃に加熱する(本発明の方法の工程c)に対応する)さらなる連続フロー滞留域が続き、その後に、工程c)からの反応混合物が4分以内に周囲温度に冷却される(本発明の方法の工程d)に対応する)最後の連続フロー滞留域が続いたことを除き、手順は例4と同様であった。この最後の滞留域を出る生成物を収集容器に収集した。生成物サンプルは分析のために収集容器の上流で収集した。生成物には濁りがなく、NCO含有量は、24時間後の開始時と依然として同じ値であった(表1参照)。
【0084】
【表1】
【0085】
例1では、純粋な化学的触媒失活を用いた方法のバッチ式実施が、高いウレトジオン含量、高い粘度、白濁度および高い結晶化温度をもたらすことが示されている。化学的触媒失活が140℃での熱的触媒失活(例2)と置き換えられると、ウレトジオン含有量および粘度がさらに上昇し、白濁度がさらに増加する。失活温度をさらに200℃に上昇させると、これらの望ましくない効果はさらに増大するが、本発明の方法を同じ失活温度(例6、同様に200℃での失活)で使用すると、ウレトジオン含有量が低く、かつ0℃でしか結晶化し始めない一定のNCO値を有する透明な生成物を得ることができる。この方法は、触媒失活を伴わない半連続法(例4)または触媒失活のみを伴う半連続法(例5)よりも優れている。
図1
図2
図3