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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-25
(45)【発行日】2023-09-04
(54)【発明の名称】溶融物閉込装置
(51)【国際特許分類】
   G21C 9/016 20060101AFI20230828BHJP
【FI】
G21C9/016
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020573142
(86)(22)【出願日】2019-12-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-18
(86)【国際出願番号】 RU2019001015
(87)【国際公開番号】W WO2020139160
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】2018146642
(32)【優先日】2018-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】RU
(73)【特許権者】
【識別番号】516233088
【氏名又は名称】ジョイント ストック カンパニー アトムエネルゴプロエクト
【氏名又は名称原語表記】JOINT STOCK COMPANY ATOMENERGOPROEKT
【住所又は居所原語表記】ul. Bakuninskaya,7,str.1 Moscow,105005 Russia
(73)【特許権者】
【識別番号】520514768
【氏名又は名称】サイエンス アンド イノヴェーションズ - ニュークリア インダストリー サイエンティフィック デベロップメント,プライベート エンタープライズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001900
【氏名又は名称】弁理士法人 ナカジマ知的財産綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】シドロフ アレクサンドル スタレヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】ズバノフスカヤ タチアナ ヤロポルコフナ
(72)【発明者】
【氏名】シドロワ ナデシュダ ヴァシリエフナ
【審査官】大門 清
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-538940(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105551538(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0154692(US,A1)
【文献】特開2016-080434(JP,A)
【文献】米国特許第04146429(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C 9/016
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融物を閉じ込めるための溶融物閉込装置であって、
二重壁で冷却された本体、
封止材で満たされ、傾斜により中心に向かって深くなる底部、
溶融物の動きを制御するためのガイド要素、
溶融物の表面に水を供給するための受動システムを含み、
以下を特徴とする:
充填材は、いくつかの上部カセットと下部カセットで構成され、
各カセットは、1つの中央及び複数の周辺垂直ストレージチャネルからなり、
中央の垂直ストレージチャネルの直径は、複数の垂直周辺ストレージチャネルに等しい直径を超え、
水平半径方向分配チャネルは、中央垂直ストレージチャネルで、垂直周辺ストレージチャネルに接続し、
一方、下部カセットの水平半径方向分配チャネルは、メルトトラップ本体の底部の傾斜に等しい角度の傾斜で作られ、
水平方位分配チャネルは、上部カセットの垂直周辺ストレージチャネルと相互に接続し、
一方、水平方向の半径方向と方位方向の分配チャネルの直径は同じであり、
上部及び下部のカセットは、水平方向と垂直方向のチャネルで分離されたマイクロチャネルで作られたセラミックプレートを含み、中央と垂直方向のストレージチャネルの垂直方向の輪郭が互いに一致するように、相互に設置される
溶融物閉込装置。
【請求項2】
上部及び下部のカセットの周辺垂直ストレージチャネルは、冷却された本体の対応する半径方向のフィンと同じ軸上に配置されている。
ことを特徴とする請求項1に記載の溶融物閉込装置。
【請求項3】
カセットにより形成される中央の垂直ストレージチャネルの深さは、周辺の垂直ストレージチャネルの深さを超えている
ことを特徴とする請求項1に記載の溶融物閉込装置。
【請求項4】
ダンパーは、中央の垂直ストレージチャネルに取り付けられ、中央マントル、中央マントルに接続されたベアリングリブ、複数のベアリングリブの間に配置された傾斜プレート、ダンパーを冷却された本体に固定するクランプで構成される
ことを特徴とする請求項1に記載の溶融物閉込装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子力エネルギーの分野に関し、特に、原子力発電所(NPP)の安全性を保証するシステムに関し、原子炉圧力容器及びその格納容器の破壊につながる重大な事故に使用することができる。
【背景技術】
【0002】
最大の放射線危険性は、炉心溶融による事故に代表され、これは、炉心冷却システムの種々の故障で起こり得る。
【0003】
このような事故が発生した場合、炉心溶融、即ち、コリウム、炉心内部構造物及び原子炉容器が溶融して、炉心溶融物が流出し、そこに残留する残留熱発生のために、環境中への放射性生成物の放出に対する最後の障壁であるNPP格納容器の健全性を破る可能性がある。
【0004】
これを排除するために、原子炉容器(真核)から流出した炉心溶融物を閉じ込め、完全な結晶化までその連続冷却を確実にすることが必要である。この機能は、NPP格納容器の損傷を防ぎ、それによって原子炉の重大な事故における放射線被ばくから人口や環境を守る水冷炉心溶融物冷却閉じ込めシステムによって行われる。
【0005】
特許文献1によると、水冷・水減速(water-moderated)・緊急原子炉溶融物・冷却・閉じ込め装置は、容器下空間に配置された冷却トラップと、原子炉容器底部に配置された保護トラスと、トラップの上方のピットの頂部に配置されたベアラとを備え、ブロック状に作られ、カセット内に形成された、ウラン含有酸化物の犠牲材料-希釈剤と溶融物の鋼構成部品とが、トラップ内に配置されることが既に知られている。
【0006】
現行装置の欠点は、セラミック要素の分割(セル状)設置に関連するメルトの効果的な冷却が不十分であることである。この場合、コリウムメルトが鉄骨を破壊し、軽いものほどセラミック要素が、コリウムメルト中に浮遊し、実用上、その酸化物成分と相互作用せず、スラグ中に通過し、これがコアメルトを閉じ込めるための装置の外部で液体及び固体放射性物質(コリウム)の放出につながる可能性がある。
【0007】
特許文献2によると、水冷・水減速(water-moderated)・緊急原子炉溶融物・冷却・閉じ込め装置は、コンクリートピットの下部容器内に配置され、容器として表される水冷本体、底部が10-20度の勾配で中央まで深くなる底部を含み、底部の厚さは、本体側壁の厚さより30%以上大きい。セメントモルタルに結合され、幾つかの水平層に配置された鋼ブロック内に配置された酸化ウラン含有コリウムの材料希釈ペレット内に本体が、配置されている。下部ブロックの底部は、その上方に配置された容器底部と形状が同一であり、ブロックは、中央孔を有し、本体に対するブロックのための取付金具は、ブロックの垂直スロット内に配置され、スロットとブロックは、コンクリートで部分的に充填されることが既に知られている。
【0008】
現行装置の欠点は、セラミック要素の分割(セル状)設置に関連するメルトの効果的な冷却が不十分であることである。この場合、コリウムメルトが鉄骨を破壊し、軽いものほどセラミック要素が、コリウムメルト中に浮遊し、実用上、その酸化物成分と相互作用せず、スラグ中に通過し、これがコアメルトを閉じ込めるための装置の外部で液体及び固体放射性物質(コリウム)の放出につながる可能性がある。
【0009】
本願発明に最も近いのは、特許文献3の炉心溶融物を閉じ込めるための装置であり、冷却された本体にブロック状に配置された封止材を充填した二重壁の冷却本体を含み、その各々は、装置の縦軸に対して半径方向に設置された取り付け金具によってセグメントに分割され、一方、セグメントに充填材を充填することは、溶融物通路用の中央貫通孔と連通する自由ゾーンの形成と共に行われる。
【0010】
現行装置の欠点は、セラミック要素の分割(セル状)設置に関連するメルトの効果的な冷却が不十分であることである。この場合、コリウムメルトが鉄骨を破壊し、軽いものほどセラミック要素が、コリウムメルト中に浮遊し、実用上、その酸化物成分と相互作用せず、スラグ中に通過し、これがコアメルトを閉じ込めるための装置の外部で液体及び固体放射性物質(コリウム)の放出につながる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】ロシア国RF特許第35464号
【文献】ロシア国RF特許第2514419号
【文献】ロシア国RF特許第100327号
【発明の概要】
【0012】
本発明の技術的な結果は、炉心溶融物が原子炉から放出される重大な事故の場合に、炉心溶融物を閉じ込めるための装置の外部への液体及び固体放射性物質(コリウム)の放出を排除することによって、原子力発電所の安全性を高めることである。
【0013】
本発明の目的は、コリウム冷却条件を改善することによりコア溶融物を閉じ込める装置の効率及び信頼性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この問題は、本発明の溶融物を閉じ込めるための溶融物閉込装置において、二重壁で冷却された本体を含み、その底部が傾斜で中心に向かって深くなり、封止材で満たされ、溶融物の動きを制御するためのガイド要素、溶融物の表面に水を供給するための受動システムを含むという事実によって解決される。充填材は、いくつかの上部カセットと下部カセットで構成され、各カセットは、1つの中央及び複数の周辺垂直ストレージチャネルからなる。中央の垂直ストレージチャネルの直径は、垂直周辺ストレージチャネルに等しい直径を超える。水平放射状分配チャネルは、中央垂直ストレージチャネルで、垂直周辺ストレージチャネルに接続する。一方、下部カセットの水平半径方向分配チャネルは、メルトトラップ本体の底部の傾斜に等しい角度の傾斜で作られている。水平方位分配チャネルは、上部カセットの垂直周辺ストレージチャネルを相互に接続する。一方、水平方向の半径方向と方位方向の分配チャネルの直径は同じである。上部と下部のカセットには、水平方向と垂直方向のチャネルで分離されたマイクロチャネルで作られたセラミックプレートが含まれ、中央と垂直方向のストレージチャネルの垂直方向の輪郭が互いに一致するように、相互に設置される。
【0015】
さらに、溶融物を閉じ込めるための装置では、各周辺垂直ストレージチャネルは、冷却された本体の対応する半径方向のフィンと同じ軸上に配置されている。
【0016】
さらに、中央の垂直チャネルの深さは、周辺の垂直ストレージチャネルの深さよりも大きくなっている。
【0017】
さらに、ダンパーは、中央の垂直ストレージチャネルに取り付けられ、中央マントル、中央マントルに接続されたベアリングリブ、ベアリングリブの間に配置された傾斜プレート、ダンパーを冷却された本体に固定するクランプで構成される。
【0018】
請求された本発明の1つの特徴的な特徴は、充填材がいくつかの上部及び下部カセットからなり、それぞれが1つの中央及びいくつかの周辺垂直ストレージチャネルを有し、中央垂直チャネルの直径が垂直周辺ストレージチャネルの等しい直径を超えることである。水平放射状分配チャネルは、中央垂直ストレージチャネルにより、垂直周辺ストレージチャネルと接続されている。一方、下部カセットの水平放射状分配チャネルは、メルトトラップ本体の底部の傾斜と一致する角度の傾斜で作られている。水平方位分配チャネルは、上部カセットの周辺ストレージチャネルは互いに接続されている。水平放射状及び方位分配チャネルは、同じ直径である。上部カセットと下部カセットは、水平チャネルと垂直チャネルで分離されたマイクロチャネルからなるセラミックプレートで構成されており、中央及び周辺ストレージチャネルの垂直の輪郭が互いに一致するような方法で、相互に配置されている。
【0019】
請求された本発明の別の特徴的な特徴は、溶融物を閉じ込めるための装置の各周辺垂直ストレージチャネルが、冷却された本体の対応する放射状リブと同じ軸上に配置されることである。
【0020】
請求された本発明の別の特徴的な特徴は、中央の垂直ストレージチャネルの深さが周辺の垂直ストレージチャネルの深さを超えることである。
【0021】
請求された本発明の別の特徴的な特徴は、ダンパーが、中央垂直ストレージチャネルに設置され、中央マントル、中央マントルに接続されたベアリングリブ、ベアリングリブの間に配置された傾斜プレート、ダンパーを冷却された本体に固定するクランプからなることである。
【0022】
このようなフィラー構造により、次の要素により、冷却された本体内のコアメルトの効率的な分配が保証される:
- 中央及び周辺の垂直ストレージチャネルは、コア溶融物の大きな塊の同時受容、並びに個々のストレージチャネルが過剰に充填された場合のフィラー全体の体積にわたる溶融物の分布を確実にする。これは通常、反応器容器からのコア溶融物の非軸対称流出中に発生する。
【0023】
- 中央及び周辺の垂直ストレージチャネルは、トラップ本体の上部を直接熱放射によって加熱できないため、コア溶融物の初期段階で過熱した鋼の側面からの熱放射から上流構造を保護する(実際には、直接火を遮断する)。反応器容器からのコアメルトの流出の2段階プロセス中にフィラーに供給される液体鋼の熱の保存を確保する。このプロセスでは、反応器容器の破壊の初期段階で、主に少量の液体酸化物を含む過熱した鋼がそこから流出する。30分から3-4時間で、主要な量の液体酸化物が反応器容器から流出し、一定量の液体容器鋼が含まれる。
【0024】
- 中央及び周辺の垂直ストレージチャネルは、スロットチャネルの操作性をフルボリュームで確保するための効果的な条件を提供する。これは、ストレージチャネルの垂直配置が、コアメルトがセラミック要素に接触したときに主に垂直インターフェイスを提供し、結果として生じる水蒸気が、わずかにコアメルトと相互に作用して、チャネルから排出されるためである。
【0025】
- 水平方向の半径方向及び方位角方向の分配チャネルは、中央及び周辺の垂直方向のストレージチャネル間の通信を提供し、したがって、それらの間の溶融物の方位角方向の再分配を提供する。それらの端に溶融物のオーバーフローを可能にする。さらに、これらの水平分配チャネルにより、個々の垂直ストレージチャネルの過充填を回避し、充填剤の体積に沿って流入する溶融物の質量を均一にし、それによって充填剤にかかる熱機械的負荷を均一にし、最終的に、全周及び高さに沿って溶融トラップの本体を均一に加熱することができる。
【0026】
- 水平方向の半径方向及び方位方向の分配チャネルは、フィラー内に単一レベルの溶融物を提供し、そのような構造の利点を最大限に活用できる。つまり、ストレージチャネル内の低レベルの溶融物により、原子炉容器からのコアメルトの流出の初期段階における溶融物トラップ、トラスの構造要素及びガイドプレートに対する熱放射の影響に対する受動的保護としてフィラーを使用できる。例えば、たとえば、メルト流入の2段階プロセスでは、ピークモードで反応器容器から流出する液体金属メルトは完全にフィラーの下部に配置され、単一の開放発光面を形成することはできない。
【0027】
- フィラーのセラミック要素を分離するチャネルは、フィラーカセットの堅牢性を確保するバインダーで最初に充填される。溶融物とフィラーの接触ゾーンを加熱するプロセスでは、物理化学的相互作用のプロセスが接触境界で始まり、バインダーは温度が上昇するにつれて劣化し始め、水分を失う。崩壊するバインダーから放出された蒸気は、主に垂直の周辺チャネルに沿って移動し、溶融物によってブロックされたゾーンをバイパスする。チャネルの上からメルトが溢れる場所でのみ、蒸気はメルトの厚さを通過し、それと相互作用に入る。したがって、チャネルの構造が分岐しているほど、蒸気が溶融物と相互作用することなく溶融物をバイパスしやすくなる。
【0028】
- 焼結中に形成されたセラミック要素の内部に配置されたマイクロチャネルは、コアメルトとの相互作用の特定の運動を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、本発明に従って製造された充填材を用いてコア溶融物を閉じ込めるための装置の全体図を示す。
図2図2に、フィラーの断面図を示す。この図では、垂直方向の中央及び周辺のストレージチャネル、並びに水平方向の半径方向及び方位角方向の分配チャネルが作られている。
図3図3にチャネルとマイクロチャネルが完成した充填材の拡大図を示す。
図4図4にダンパーの全体図を示す。
図5図5にチャネルとマイクロチャネルが完成した充填材を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本願発明は、以下のように機能する。
【0031】
炉心溶融物を閉じ込めるための本願発明の装置(以下、DCCM(the Device for Confining Core Melt)と呼ぶ)は、容器下のコンクリートピット空間に配置された、るつぼ型装置である。
【0032】
図1に示すように、炉心溶融物を閉じ込める装置(1)は、冷却体(2)を備える。冷却体(2)は、ピット(4)のコンクリート板(3)上に固定された支持体上に設置された鋼製の多層容器である。
【0033】
DCCM支持体(1)は、次に、種々の固定装置(例えば、スタッド、ボルト、ピン)によってピット(4)のコンクリートプレート(3)に設置された埋込プレート(6)に接続された幾つかの半径方向支持体(5)の形態で製造される。カウンターリブ(7)は、DCCM(1)の本体(2)の半径方向フィン(5)上に取り付けられており、ここで、支持体の各フィン(5)の対称軸線に沿って通過する垂直面と、DCCM(1)の本体(2)のカウンターリブ(7)は、周辺垂直ストレージチャネルの対称面である。
【0034】
本体(2)は、コリウム溶融物(8)を収容し、その容積内に配置するとともに、コリウム溶融物が閉じ込め領域の確立された境界を越えないように設計されている。
【0035】
コリウムは、2つの主成分:酸化物(その主成分は、ウラン、ジルコニウム、少量の金属を有する酸化鉄の混合物である)及び金属(その主成分は、鉄、ジルコニウムと一定量のウラン、ジルコニウム、酸化鉄の混合物である)からなる。
【0036】
本体(2)は、充填材、すなわち、鋼と比較的軽量で低融点の酸化物との組成物から作られた犠牲材料で密封され、本発明によれば、本体(2)の垂直軸に沿って互いに取り付けられたカセット内に配置された要素の形態で作られる。
【0037】
設計基準を超える事故の場合、充填材は、酸化物溶融物の任意の構成及び純粋な非ホウ酸水との任意の水対水の比について、閉じ込め領域の確立された境界内で溶融物の未臨界性を提供する。
【0038】
溶融物の未臨界性を保証するために、充填材は、ウラン及びプルトニウム酸化物とで共結晶化する吸収材料を含む。
【0039】
酸化鉄Fe (ヘマタイト)及び酸化アルミニウムAl に基づく犠牲セラミック材料を用いて、DCCMにおけるコリウム特性を変化させることができる。
【0040】
溶融物の酸化物部分と反応するヘマタイトと、その金属成分からの溶融ジルコニウムは、しかし、溶融物の金属成分からの溶融鉄とクロムで徐々に反応する。
【0041】
フィラーカセットは、図2に示すように、周辺のストレージチャネルの形状に応じて、2つのグループに分けられている。ボディハイトプロファイリング(本体側面高さ)の異なる上部カセット(9)(例えば、円筒カセットとトーラスカセット)と下部カセット(10)である。
【0042】
本体(2)は、内部の放射状支持体(11)で作られ、その上に下部フィラーカセット(10)が設置されている。
【0043】
下部カセット(10)は、垂直中央ストレージチャネル(12)と、いくつかの周辺ストレージチャネル(13)とを有する。
【0044】
周辺ストレージチャネル(13)は、斜面で作られ、その角度はメルトトラップ底部本体(2)の角度と一致する。
【0045】
上部カセット(9)は、下部カセット(10)に取り付けられている。各フィラー上部カセット(9)は、垂直中央ストレージチャネル(14)及びいくつかの垂直周辺ストレージチャネル(15)を有する。垂直中央及び周辺ストレージチャネル(14、15)は、水平半径方向分配チャネル(16)によって互いに接続されている。
【0046】
さらに、上部カセット(9)は、垂直周辺ストレージチャネル(15)を垂直中央ストレージチャネル(14)に接続する水平方位分配チャネル(17)を有する。
【0047】
垂直中央ストレージチャネル(14)の直径は、垂直周辺ストレージチャネル(15)の直径を超える。
【0048】
各上部カセット(9)の垂直中央ストレージチャネル(14)及び周辺ストレージチャネル(15)は、それぞれ同じ寸法を有する。上部カセット(9)の水平方向の半径方向及び方位方向の分配チャネル(16、17)も同じ寸法である。
【0049】
図3及び図5は、チャネル(18)及びマイクロチャネル(19)が完成した充填材を示す。フィラーセラミック要素(20)を分離するチャネル(18)は、フィラーカセットが非多孔性であることを保証するバインダーで最初に密封される。溶融物及び充填材接触領域の加熱中に、物理的及び化学的相互作用のプロセスが接触境界で始まり、一方、バインダーは、温度が上昇するにつれて劣化し始め、水を失う。分解バインダーから放出された蒸気は、主として垂直周辺チャネル(18)に沿って移動し、溶融物(8)によってブロックされた領域を迂回する。溶融物(8)が上方からチャネル(18)を満たす場所においてのみ、蒸気は溶融物(8)の厚さを通過し、それと相互反応する。その結果、導管(18)の構造が分岐するほど、蒸気が溶融物(8)と相互作用することなくバイパスしやすくなる。焼結中に形成されるセラミック要素(20)の内側に配置されたマイクロチャネル(19)は、溶融物(8)との設定された相互作用速度(the set kinetics of interaction)を保証する。すなわち、セラミック要素(20)の境界におけるヘマタイト及び酸化アルミニウムとの溶融物(8)の相互作用速度を規定する。これは、最終的に、コリウム溶融槽のエネルギーバランス、ジルコニウム酸化の速度、及びコリウム溶融槽への未反応酸素の出力を決定する。
【0050】
カセット(9、10)は、実際には、各カセット(9、10)の記憶チャネル(14、15)が、互いの上部にカセット(9、10)を構成した後、DCCM(1)に入った後にコア溶融物(8)が流れ込む一種の「ウェル」を形成するように、互いに取り付けられている。
【0051】
ダンパー(21)は、中央の垂直ストレージチャネル(14)の内側に設置されている。このチャネルは、溶融物(8)フローをさまざまな半径方向に分散させるように設計されている。
【0052】
図4に示すダンパー(21)は、中央マントル(22)、中央マントル(22)に連結されたベアリングリブ(23)、複数のベアリングリブ(23)間に位置する傾斜プレート(24)、ダンパー(21)をDCCM(1)本体に固定するクランプ(25)から構成されている。
【0053】
複数のベアリングリブ(23)間に位置するダンパー(21)の傾斜プレート(24)は、複数のベアリングリブ(23)間の各セグメントに互いに平行に1-5個ずつ設置されている。5を超える傾斜プレート(24)の数は、傾斜プレート(24)の所望の傾斜角度を確保するために傾斜プレート(24)の厚さを減少させなければならず、これにより、コア溶融物の過熱噴流が充填材に向かって偏向することが確実になるという事実のために、追加の再分配効果を与えない。
【0054】
DCCM(1)本体(2)内の放射状支持体(11)の数は、3-10個の範囲に設定されている。3個未満の放射状支持体(11)の数は、この場合、衝撃領域が本体(2)の底部に沿って再分配されず、その局所領域に集中し、その破壊につながる可能性があるので、運動衝撃エネルギーを吸収するための効果的な仕事を提供しない。10個以上の放射状支持体(11)の数は、再分配効果を増加させず、ベアリングリブ(23)の厚さを減少させることを必要とする。この厚さは、原子炉容器底部デブリが落下することによって生じる運動衝撃エネルギーを吸収及び再分配するそれらの能力に負の影響を与え、原子炉容器からのメルトブローダウン中に炉心メルトジェットのエネルギーを吸収する。
【0055】
原子炉容器から取り付けられたダンパー(21)を有する充填材中への溶融物(8)の多重フラックスの間、カセット(9、10)とそれらの部品との間の溶融物(8)の水力学的再配分が提供され、下部カセット(10)の基盤及びDCCM(1)本体(2)の円錐形部分への炉心溶融体の過熱噴流の直接衝撃からも保護が提供される。原子炉容器からの炉心溶融物ブローダウン中の破壊と溶融が起こると、ダンパー(21)が上部カセットと下部カセット(9,10)の間で溶融物の運動エネルギーを再配分する。主に液体過熱鋼を含む大容量の溶融体(8)が、ダンパー(21)面による溶融金属の水平半径方向分配チャネル(16)に向かう水力学的たわみによる第1ピーク放出(discharge)に入ると、エネルギー再配分が起こり、これは、順次、垂直ストレージチャネル(14,15)間の溶融体(8)の再配分を確実にする。
【0056】
ダンパー(21)のプレート(24)スロープの向きと角度は、溶融ジェットが中央のものから上部カセットの端面に向かって偏向されるように選択され、これを通して水平方向の半径方向と方位角の分配チャネル(16、17)が通過する。
【0057】
例えば、60トンの過熱鋼が30秒間のピーク放出で送り出されると、ダンパー(21)の生存性は約10秒であるが、この時間は、それより上に安全な溶融レベルが形成され、溶融体の運動エネルギーの一部を上部カセット(9)に向け直すまで、下部カセット(10)への溶融過熱鋼の第一衝撃放出を制限するのに十分であり、そこから、溶融体は下部カセット(10)より上にそのレベルを増加させ、それから、溶融体ジェット及び飛しょう体のその後の直接衝撃運動エネルギーからそれを保護する。
【0058】
過熱された鋼のピーク放出の間、溶融物ジェットが軸対称または非軸対称の方法で落下するとき、充填材は部分的に密閉され、上部カセット(10)の中央垂直ストレージチャネル(14)だけでなく周辺垂直ストレージチャネル(15)にも入る。この場合、ダンパー(21)は流体力学的ダンパーの機能を果たし、溶融噴流の方向衝突を提供し、水平方向に周辺垂直ストレージチャネル(15)から水平方向半径方向ストレージチャネル(16)を通って垂直方向中央ストレージチャネル(14)に流れ込み、垂直方向の溶融噴流は垂直中央ストレージチャネル(14)に移動し、水平方向の半径方向分配チャネル(16)に向かう半径方向にダンパー(21)の偏向傾斜プレート(24)に偏向する。
【0059】
溶融ピーク放出の過程における下部カセット(10)は必須である:ダンパー(21)と共に、DCCM(1)の本体(2)底部を保護し、ダンパー(21)は溶融フラックスの初期モーメントでそれを保護し、そして下部カセット(10)はダンパー(21)の破壊後に、周辺垂直ストレージチャネル(13)での特殊な形状のために、この機能を実行する。下部カセット(10)の中央及び周辺垂直ストレージチャネル(12、13)は、上部に位置するカセット(9)から下部カセット(10)の周辺垂直ストレージチャネル(13)に入るコリウム溶融物が下部カセット(10)の傾斜周辺ストレージチャネル(13)を流れ落ち、その中央垂直ストレージチャネル(12)に入り、その地下に位置する下部カセット(10)のセラミック要素(20)より上の溶融レベルを形成するように作られる。下側カセット(10)の基部及び側方円錐面に配置された取り付けられたセラミック要素(20)の厚さは、コリウム溶融物の充填酸化物(エネルギー放出)部分を流すときにDCCM(1)本体(2)の温度場を整列させるために、円筒形部分よりも厚い、DCCM(1)本体(2)の円錐形底部の予熱を提供するように設計されている。下部カセット(10)の傾斜周辺垂直ストレージチャネル(13)は、DCCM(1)本体(2)底部の円錐部分の均一な加熱を提供し、DCCM(1)本体(2)地下室は、下部カセット(10)の中央垂直ストレージチャネル(12)の地下から加熱され、そのため、周辺傾斜垂直ストレージチャネル(13)の周りに位置するよりも幾分深く行われる。
【0060】
下部カセット(10)の中央垂直ストレージチャネル(12)内に形成された溶融体(8)レベルは、下部カセット(10)の基盤を保護し、DCCM(1)本体(2)の円錐形底部を、活性ゾーンの破片及び原子炉容器底部の破片による衝突のショックから傾斜させる。その落下は、充填材の中央チャネルの異なる構成の下で、下部カセット(10)のセラミック要素(20)及び円錐形底部によって保証されるDCCM(1)本体(2)の円錐形底部の熱防護に損傷を生じさせる可能性がある。
【0061】
DCCM(1)本体(2)円錐形底部を保護するために、下部カセット(10)の基盤でコンクリートの代わりにセラミック要素(20)を使用すると、次のような利点がある。充填材が均一になる。この場合、異なる条件下で生じるフィラー要素と溶融物との相互作用のプロセスは除外される。:溶融体-コンクリートバインダー上のセラミック要素及び溶融モノリシックコンクリート。後者の場合、DCCM(1)本体(2)円錐形底部の加熱は、本体(2)円筒形及びトーラス形部品の加熱と同期できず、従って、溶融物のDCCM(1)本体(2)への局所的な熱衝撃のリスクが増加し、本体(2)の異なる熱機械的負荷による強度の損失の可能性がある。底部側から、熱伝達はコンクリートによって遮断され、DCCM(1)本体(2)のトーラス及び円筒形部品の側面から、加熱プロセスは、セラミック要素(20)と炉心溶融物、すなわちセラミック要素(20)のミクロポロシティ及びチャネル(19)で起こるプロセスの相互作用の速度によって決定される。DCCM(1)本体(2)のトーラス円錐及び円筒部分の厚さが異なることを考慮すると、DCCM(1)本体(2)の温度場の整列の問題は、他のタイプの衝撃に対する本体強度及び抵抗を保存するプロセスにおいて決定的である。
【0062】
下部カセット(10)からのコンクリートの排除は、別の好ましい効果、すなわち、コア溶融物がコンクリートと相互作用するときの水素及びエアロゾル発生の減少を与える。
【0063】
従って、本発明によって、カセット内に互いに装着された、垂直な中央及び周辺のストレージチャネル及び水平な分配チャネルによって形成された、垂直な中央及び周辺チャネル、並びに水平なチャネルを有するモノリシック構造の形態で、充填材の使用は、充填剤内の異なるタイプのチャネル間の原子炉容器破片及び炉心溶融物のエネルギーの分配を確保することによって、炉心溶融物を閉じ込めるための装置の信頼性を高めることを可能にし、原子炉本体から溶融トラップ本体へのピーク炉心溶融物排出の初期期間中の過熱からの溶融物トラップ本体の確実な保護を保証し、これは、次に、溶融物が結合剤との溶融物相互作用で充填剤内の蒸気と相互作用するときに、溶融物が水素生成を最小にする機会を与える。
図1
図2
図3
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