(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-25
(45)【発行日】2023-09-04
(54)【発明の名称】高電流コンタクト手段および高電流コンタクト手段を動作させるための方法
(51)【国際特許分類】
B60L 53/16 20190101AFI20230828BHJP
H01M 10/46 20060101ALI20230828BHJP
B60K 1/04 20190101ALI20230828BHJP
【FI】
B60L53/16
H01M10/46 101
B60K1/04 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021171315
(22)【出願日】2021-10-20
【審査請求日】2021-12-09
(31)【優先権主張番号】10 2020 127 836.5
(32)【優先日】2020-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501090342
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Germany GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】リュディガー マイアー
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルデマール シュタブロート
(72)【発明者】
【氏名】フォルカー ザイペル
【審査官】井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第111725655(CN,A)
【文献】特開平02-064373(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 53/16
H01M 10/46
B60K 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高電流コンタクト手段(30)、特に自動車(10)用の充電プラグであって、
- 前記高電流コンタクト手段(30)は、コンタクト要素(60)と、冷却剤容器(70)、吸収体容器(75)、弁(80)、および流体ライン(85)を有する冷却装置(65)とを備え、
- 前記冷却剤容器(70)は、前記コンタクト要素(60)に熱的に接続され、前記吸収体容器(75)は、前記冷却剤容器(70)および前記コンタクト要素(60)から距離をおいて配置され、
- 前記冷却剤容器(70)には、液体の冷却剤(155)が少なくとも部分的に充填され、前記吸収体容器(75)には、少なくとも部分的に吸収体材料(190)が充填され、
- 前記弁(80)は前記流体ライン(85)に配置され、前記流体ライン(85)は前記冷却剤容器(70)と前記吸収体容器(75)との間に延び、
- 前記弁(80)は開位置と閉位置の間で調節可能であり、
- 前記開位置で、前記冷却剤容器(70)は前記吸収体容器(75)に流体的に接続され、前記閉位置で、前記冷却剤容器(70)は前記吸収体容器(75)から流体的に分離され、
- 前記開位置で、前記冷却剤(155)は前記冷却剤容器(70)において気相に変化して、前記コンタクト要素(60)を冷却するように設計され、前記流体ライン(85)は、気体の前記冷却剤(155)を前記冷却剤容器(70)から前記吸収体容器(75)へ搬送するように設計され、
-前記吸収体材料(190)は、前記気体の冷却剤(155)を吸収するように設計されている、
高電流コンタクト手段(30)。
【請求項2】
- 加熱手段(90)が前記吸収体容器(75)に配置され、
- 前記加熱手段(90)は、前記吸収体材料(190)を所定の温度に加熱して、前記吸収された冷却剤(155)を前記吸収体材料(190)から除去するように設計されている、
請求項1に記載の高電流コンタクト手段(30)。
【請求項3】
- 前記加熱手段(90)は、少なくとも1つの電気加熱コイル(195)を有し、
- 前記加熱コイル(195)は、前記吸収体材料(190)に少なくとも部分的に埋め込まれている、
請求項2に記載の高電流コンタクト手段(30)。
【請求項4】
- 前記流体ライン(85)は、前記冷却剤容器(70)につながる第1のサブ部分(170)、前記吸収体容器(75)につながる第2のサブ部分(175)、および前記第1のサブ部分(170)を前記第2のサブ部分(175)に流体的に接続する中間部分(165)を有し、
-前記流体ライン(85)の前記中間部分(165)は、前記冷却剤容器(70)および/または前記吸収体容器(75)の上側に配置されている、
請求項1から3のいずれか一項に記載の高電流コンタクト手段(30)。
【請求項5】
- 前記コンタクト要素(60)は、さらなる高電流コンタクト手段(40)に電気的に接触する接触部(115)を有し、前記接触部(115)に電気的および機械的に接続された固定部(120)を有し、
- 前記固定部(120)において、第1のリード線(35)の導体(130)が第1の側(145)で前記固定部(120)に接続可能であり、
- 前記第1の側(145)から離れる方を向く前記固定部(120)の第2の側(150)で、前記冷却剤容器(70)は、前記固定部(120)に熱的および好ましくは機械的に接続されている、
請求項1から4のいずれか一項に記載の高電流コンタクト手段(30)。
【請求項6】
- ハウジング内部(100)を少なくとも部分的に内側に取り囲むハウジング(95)を有し、
- 前記冷却剤容器(70)は前記ハウジング内部に配置され、
- 前記吸収体容器(75)は前記ハウジング(95)の外側(220)に配置されている、
請求項1から5のいずれか一項に記載の高電流コンタクト手段(30)。
【請求項7】
- 前記吸収体材料(190)は、結晶構造を有し、かつ/または、ゼオライトおよび/もしくは活性炭および/もしくはケイ酸塩、特にケイ酸塩ゲルおよび/もしくは重クロム酸ナトリウムおよび/もしくは臭化リチウムおよび/もしくは水酸化リチウムを含み、
- かつ/または、
- 前記冷却剤(155)は、水および/またはアルコールおよび/またはグリコールを少なくとも含む、
請求項1から6のいずれか一項に記載の高電流コンタクト手段(30)。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の高電流コンタクト手段(30)を動作させるための方法であって、
- 前記弁(80)が前記閉位置から前記開位置に移動し、
- 前記冷却剤容器(70)に存在する液体の前記冷却剤(155)が気相に変化し、前記冷却剤(155)は前記コンタクト要素(60)を冷却し、
- 気体の前記冷却剤(155)は、前記流体ライン(85)を介して前記吸収体容器(75)に流入し、
- 前記吸収体材料(190)が前記気体の冷却剤(155)を吸収する、
方法。
【請求項9】
- 前記コンタクト要素(60)の動作パラメータが決定され、
- 前記決定された動作パラメータが所定の閾値を超えると、前記弁(80)は前記閉位置から前記開位置に移動し、
- 前記動作パラメータは、前記高電流コンタクト手段(30)の周囲温度および/または前記コンタクト要素(60)を介して伝送される電流(I)に基づいて決定される、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
-前記開位置への前記弁(80)の切替え後、前記弁(80)は、好ましくは30分~3時間の所定の第1の時間間隔の間、前記開位置に留まる、
請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
- 前記コンタクト要素(60)は、前記コンタクト要素(60)を介した電流の伝送が終了した後に冷却され、
- 前記加熱手段(90)は、前記コンタクト要素(60)が所定の第2の閾値未満まで冷却された後に作動され、前記吸収体材料(190)は所定の温度に加熱されて、前記吸収体材料(190)に蓄えられた前記冷却剤(155)が気相に変化するようになっており、
- 気体の前記冷却剤(155)は、前記吸収体容器(75)から前記流体ライン(85)を介して前記冷却剤容器(70)に流れ、前記冷却剤容器(70)において凝縮する、
請求項8から10のいずれか一項および請求項2に記載の方法。
【請求項12】
- 前記加熱手段(90)は、前記吸収体材料(190)を150℃~300℃の温度に加熱して、前記吸収された冷却剤(155)が気化するようにする、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
- 前記弁(80)は、前記加熱手段(90)の停止後に前記開位置から前記閉位置に切り替えられる、
請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
加熱手段(90)が前記吸収体容器(75)に配置され、
前記加熱手段(90)は、前記吸収体材料(190)を所定の温度に加熱して、前記吸収された冷却剤(155)を前記吸収体材料(190)から除去するように設計されており、
- 前記弁(80)は、定期的な再生時間間隔で前記閉位置から前記開位置に周期的に反復して移動し、前記加熱手段(90)は略同時に作動されて、前記吸収体材料(190)が前記所定の温度に加熱され、前記吸収体材料(190)に蓄えられた前記冷却剤(155)が気相に変化するようになっており、
- 気体の前記冷却剤(155)は、前記吸収体容器(75)から前記流体ライン(85)を介して前記冷却剤容器(70)に流れ、前記冷却剤容器(70)において凝縮し、
- 前記弁(80)は、前記加熱手段(90)の停止後に前記開位置から前記閉位置に切り替えられる、
請求項8から13のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載の高電流コンタクト手段、および請求項8に記載の高電流コンタクト手段を動作させるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車用の充電ソケットが知られている。充電ソケットは各々、充電ソケットと制御装置または主電池(traction battery)との間で電流を伝送するために、太い電気ケーブルに接続されたコンタクト要素を有する。伝送される電力により、コンタクト要素は著しく加熱される。コンタクト要素の著しい過熱を避けるために、最大電力を短時間だけコンタクト要素を介して伝送した後に、伝送される電力を低減させてコンタクト要素の過熱を避けなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、改良された高電流コンタクト手段、およびこのような高電流コンタクト手段を動作させるための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、請求項1に記載の高電流コンタクト手段、および請求項8に記載の高電流コンタクト手段を動作させるための方法によって達成される。有利な実施形態は、従属請求項において特定される。
【0005】
自動車用の改良された高電流コンタクト手段を、コンタクト要素と冷却装置とを備える高電流コンタクト手段によって提供できることが認識された。冷却装置は、冷却剤容器(coolant container)、吸収体容器(absorber container)、弁、および流体ラインを有する。冷却剤容器は、コンタクト要素に熱的に接続される。吸収体容器は、冷却剤容器およびコンタクト要素から距離をおいて配置される。冷却剤容器には、液体の冷却剤が少なくとも部分的に充填され、吸収体容器には、少なくとも部分的に吸収体材料が充填される。弁は流体ラインに配置される。流体ラインは冷却剤容器と吸収体容器との間に延びる。弁は開位置と閉位置との間で調節可能である。開位置で、冷却剤容器は吸収体容器に流体的に接続され、閉位置で、冷却剤容器は吸収体容器から流体的に分離される。開位置で、冷却剤は冷却剤容器において気相に変化し、コンタクト要素を冷却するように設計されている。
流体ラインは、気体の冷却剤を冷却剤容器から吸収体容器へ搬送するように設計されている。吸収体材料は、気体の冷却剤を吸収するように設計されている。
【0006】
この設計は、相変換に必要な熱がコンタクト要素から取り出されることにより、コンタクト要素が特に良好に冷却されるという利点を有する。コンタクト要素の冷却により、コンタクト要素の過熱を避けることができる。特に、150アンペア~700アンペア、特に200アンペア~500アンペアの範囲の高電流伝送の場合、コンタクト要素の内部抵抗、および/または、コンタクト要素とコンタクト要素を接触させることのできるさらなるコンタクト要素との間の接触抵抗、および/または、コンタクト要素と導体との間のさらなる接触抵抗は、コンタクト要素の著しい加熱を生じさせるのに既に十分である。冷却装置によるコンタクト要素の冷却により、コンタクト要素の過熱が避けられる。
特に、これにより、特に200kW~500kWの範囲の特に高い電力を、コンタクト要素を介して長時間にわたって伝送することができ、この場合、継続時間の増加に伴って電力を低減させる必要はない。
【0007】
さらに、冷却装置は高電流コンタクト手段に組み込まれて、その結果、コンタクト要素を冷却するためのさらなる冷却装置が不要になる。したがって、高電流コンタクト手段は、特に簡単かつ費用効果の高い設計である。
【0008】
別の実施形態において、加熱手段が吸収体容器に配置され、加熱手段は、吸収体材料(absorber material)を所定の温度に加熱して、吸収された冷却剤を除去する、特に気化させるように設計されている。この設計は、吸収体材料と冷却剤とを再生することができ、冷却剤の加熱後に、吸収体材料が再び気体の冷却剤(gaseous coolant)を受け取ることができるという利点を有する。したがって、吸収体材料の再生後、コンタクト要素を、冷却手段によって複数回冷却することができる。
【0009】
この場合、加熱手段が電気加熱コイルを有し、加熱コイルが吸収体材料に少なくとも部分的に埋め込まれていると特に有利である。これにより、加熱コイルと吸収体材料との間に良好な熱伝達があって、吸収体材料を再生するために加熱コイルに通電するのに必要な電気エネルギの量が特に少なくなることを保証することができる。電気自動車またはハイブリッド車において、電気加熱コイルを加熱するための電気エネルギは主電池から取られるため、経済的な加熱コイルは特に有利である。
【0010】
別の実施形態において、流体ラインは、例えば、U字形ラインとして実現される。流体ラインは、冷却剤容器につながる第1のサブ部分、吸収体容器につながる第2のサブ部分、および第1のサブ部分を第2のサブ部分に流体的に接続する中間部分を有する。流体ラインの中間部分は、冷却剤容器および/または吸収体容器の上側に配置される。この設計は、高電流コンタクト手段が自動車に装着されると、冷却剤容器から吸収体容器への液体の冷却剤の意図しない移送が、上側に配置された中間部分によって防止されることを保証する。その結果、冷却装置の機能性が保証され、吸収体容器への液体の冷却剤の移送が防止される。
【0011】
別の実施形態において、コンタクト要素は、さらなる高電流コンタクト手段に電気的に接触する接触部を有し、接触部に電気的および機械的に接続された固定部(fastening portion)を有する。固定部において、リード線(電気リード線)の導体が第1の側で固定部に接続可能である。第1の側から離れる方を向く固定部の第2の側で、冷却剤容器は、固定部に熱的におよび好ましくは機械的に接続される。この設計は、コンタクト要素を特に良好に冷却することができるという利点を有する。コンタクト要素とリード線との両方が高い熱容量および熱伝導性を有して、冷却剤の凝縮のために気体の冷却剤から熱を放散する。これにより、冷却装置の再生時に、コンタクト要素およびさらにはリード線が、冷却剤容器の気体の冷却剤の冷却および凝縮のためのヒートシンクとして機能することが保証される。
【0012】
別の実施形態において、弁は電気的に制御可能に設計され、制御装置に電気的に接続することができる。この設計は、コンタクト要素の動作パラメータに応じて弁を切り替えることによって冷却装置を作動および停止させることができるという利点を有する。
【0013】
別の実施形態において、高電流コンタクト手段は、ハウジング内部を少なくとも部分的に内側に取り囲むハウジングを有する。冷却剤容器はハウジング内部に配置される。吸収体容器はハウジングの外側に配置される。この設計は、加熱手段の作動時に、冷却剤が凝縮する冷却剤容器が加熱手段によって不要に加熱されないことを保証する。
【0014】
別の実施形態において、吸収体材料は、結晶構造(crystal structure)を有し、かつ/または、ゼオライトおよび/もしくは活性炭および/もしくはケイ酸塩、特にケイ酸塩ゲルおよび/もしくは重クロム酸ナトリウムおよび/もしくは臭化リチウムおよび/もしくは水酸化リチウムを含む。追加としてまたは代替として、冷却剤は、水および/またはアルコールおよび/またはグリコール少なくともを含む。
【0015】
上記のコンタクト手段を動作させるための方法において、弁が閉位置から開位置に移動する。冷却剤容器に存在する液体の冷却剤が液相から気相に変化し、冷却剤はコンタクト要素を冷却する。気体の冷却剤は、流体ラインを介して吸収体容器に流入する。吸収体材料は気体の冷却剤を吸収する。この設計は、冷却剤が冷却剤容器に存在する液相と、気相との相変換により、特に多量の熱を冷却剤によってコンタクト要素から吸収することができるため、コンタクト要素を特に効果的に冷却することができるという利点を有する。
【0016】
別の実施形態において、コンタクト要素の動作パラメータが決定される。決定された動作パラメータが所定の閾値を超えると、弁は閉位置から開位置に移動する。動作パラメータは、例えば、コンタクト要素温度であってよい。動作パラメータは、例えば、高電流コンタクト手段の周囲温度および/またはコンタクト要素を介して伝送される電流に基づいて決定され得る。動作パラメータは、コンタクト要素を介して伝送される電流であってもよい。この設計は、例えば、低電流(例えば50アンペア未満)がコンタクト要素を介して伝送されるとき、または外気温が低いことによりコンタクト要素がわずかにしか加熱されないときに、冷却装置の不要な作動を避けるという利点を有する。これは、例えば、コンタクト要素を介して高電流を伝送するために充電ステーションを交換しても、冷却装置が依然として使用可能であることを意味する。
さらに、冷却手段の耐用年数が延び、主電池への不要な負荷が避けられる。
【0017】
別の実施形態において、開位置への弁の切替え後、弁は、例えば30分~3時間の所定の第1の時間間隔の間、開位置に維持される。これにより、冷却剤容器に存在する冷却剤が完全に気相に変化し得ることが保証される。
【0018】
別の実施形態において、コンタクト要素は、コンタクト要素を介した電流の伝送が終了した後に冷却される。冷却装置に冷却効果がなくなった場合には、冷却が環境に対して受動的に行われることがある。加熱手段は、コンタクト要素が所定の第2の閾値未満まで冷却された後に作動され、吸収体材料が所定の温度に加熱されて、その結果、吸収体材料に蓄えられた冷却剤が気相に変化する。気体の冷却剤は、吸収体容器から流体ラインを介して冷却剤容器に流れ、冷却剤容器において凝縮する。この設計は、冷却剤容器における冷却剤の安全な凝縮が保証されるという利点を有する。
【0019】
別の実施形態において、加熱手段は、吸収体材料を150℃~300℃の温度に加熱して、吸収された冷却剤が気化されるようにする。これにより、吸収体材料の再生が、特に急速に行われる。
【0020】
別の実施形態において、弁は、加熱手段の停止後に開位置から閉位置に切り替えられる。これにより、冷却装置を停止させ、必要に応じて作動させることができることが保証される。
【0021】
別の実施形態において、弁は、定期的な再生時間間隔で閉位置から開位置に周期的に反復して移動し、加熱手段が略同時に作動されて、その結果、吸収体材料が所定の温度に加熱され、吸収体材料に蓄えられた冷却剤が気相に変化する。気体の冷却剤は、吸収体容器から流体ラインを介して冷却剤容器に流れ、冷却剤容器において凝縮し、弁は、加熱手段の停止後に開位置から閉位置に切り替えられる。したがって、弁のわずかな漏れがあっても、冷却装置の冷却能力を必要に応じて保証することができる。
【0022】
以下で、図面に基づいて本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図2】
図1に示す自動車の高電流コンタクト手段の、
図1に示す断面A-Aに沿った断面図である。
【
図3】第1の実施形態による、
図1および
図2に示す高電流コンタクト手段を動作させるための方法のフロー図である。
【
図4】第5の方法ステップ中の高電流コンタクト手段の機能図である。
【
図5】第7の方法ステップ中の高電流コンタクト手段の機能図である。
【
図6】
図1および
図2に示す高電流コンタクト手段を動作させるための、第2の実施形態による方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下の図面において、座標系を参照する。この場合、座標系は、X軸(長手方向)、Y軸(横方向)、およびZ軸(垂直方向)を有する。
【0025】
【0026】
実施形態において、自動車10は、ハイブリッド車として、または電気自動車として例示的に実現される。自動車は、乗用車またはトラック、特に軽量トラックであってもよい。自動車10は、主電池15、駆動モータ20、制御装置25、および高電流コンタクト手段30を有する。主電池15は、電気エネルギを蓄えるように設計され、例えば30kWh~100kWhの容量を有する。駆動モータ20は、電気エネルギが主電池15から供給されると自動車10を駆動するように設計されている。
【0027】
高電流コンタクト手段30は、例えば、充電プラグまたは充電ソケットとして設計され、所定の向きで自動車10に取り付けられる。高電流コンタクト手段30は、第1のリード線35によって制御装置25に電気的に接続される。制御装置25は、第2のリード線55によって主電池15に電気的に接続される。制御装置25は、例えば、主電池15を充電するための充電装置として実現され得る。
【0028】
自動車10が充電状態にあるとき、充電ケーブル45によって充電ステーション50に電気的に接続されたさらなる高電流コンタクト手段40が、高電流コンタクト手段30に取り付けられている。充電ステーション50は、例えば急速充電ステーションとして実現される。充電ステーション50は、好ましくは700ボルト~1200ボルトの電圧で主電池15を充電するために、少なくとも50kW~500kW、好ましくは少なくとも150kW~500kWの範囲の電力を供給するように設計されている。その結果、充電電流は約40アンペア~700アンペアとなり得る。電力は、充電ステーション50から充電ケーブル45を介してさらなる高電流コンタクト手段40に伝送される。さらなる高電流コンタクト手段40が高電流コンタクト手段30に取り付けられると、電力が高電流コンタクト手段30に伝送される。
電力は、高電流コンタクト手段30から第1のリード線35を介して制御装置25に充電され、制御装置25から第2のリード線55を介して主電池15に充電される。これにより、主電池15の特に急速な充電が可能になる。
【0029】
図2は、
図1に示す高電流コンタクト手段30の、
図1に示す断面A-Aに沿った断面図である。
【0030】
高電流コンタクト手段30は、コンタクト要素60、コンタクト要素60を冷却するための冷却装置65、およびコンタクト要素60を機械的に固定するためのハウジング95を有する。高電流コンタクト手段30が複数のコンタクト要素60を有することが好ましいが、
図2には例として1つのコンタクト要素60のみを示す。
図2に示す高電流コンタクト手段30の機能性について、コンタクト要素60を参照して説明する。
【0031】
ハウジング95は、自動車10の車体96に機械的に接続することができる。ハウジング95は、ハウジング内部100および第1のリードスルー(leadthrough)105を有する。高電流コンタクト手段30のハウジング内部100は、環境110から密閉されることが好ましい。コンタクト要素60は、実施形態においてはピン型である接触部115と共に、ハウジング95の第1のリードスルー105を貫通し、接触部115の第1のサブ部分と共にハウジング95から突出する。電気接触のための接触面116が、ハウジング95の外側で接触部115の周囲に配置される。
【0032】
コンタクト要素60は、板状の固定部120を有する。固定部120は、接触部115に電気的、機械的、および熱的に接続され、接触面116から離れる方を向く側で接触部115に隣接する。接触部115および固定部120は、同じ材料から、例えば、銅および/またはアルミニウムおよび/または鋼などの導電性および熱伝導性材料から一体に形成されることが好ましい。
【0033】
さらなる高電流コンタクト手段40(
図2において破線で示される)は、さらなるコンタクト要素210を有し、例えば、さらなる高電流コンタクト手段40が高電流コンタクト手段30に取り付けられていると、さらなるコンタクト要素210は、接触部115の接触面に電気的および機械的に接触する。さらなるコンタクト要素210は、充電ケーブル45を介して充電ステーション50に電気的に接続される。
【0034】
固定部120は、ハウジング内部100に配置される。さらに、第1のリード線35は、ハウジング95の第2のリードスルー125を介してハウジング内部100に通される。第1のリード線35は導体130を有し、導体130は50mm2~95mm2の断面積を有することが好ましい。導体130は、細く撚り合わされ、または超極細に撚り合わされていてもよい。第1のリード線35のストリップ部135で、第1のリード線35の電気絶縁シース140が導体130から除去される。ストリップ部135は、固定部120の第1の側145で固定部120に取り付けられ、例えば溶接される。
【0035】
実施形態において、例えば、1つの冷却装置65が、コンタクト要素60ごとに設けられる。冷却装置65は、冷却剤容器70、吸収体容器75、電気的に切り替え可能な弁80、流体ライン85、および加熱手段90を有する。
【0036】
冷却剤容器70は、コンタクト要素60に熱的に結合される。実施形態において、冷却剤容器70は、例えば、y方向において第1の側145と反対の第2の側150で、固定部120に熱的および機械的に接続される。例えば、固定部120と冷却剤容器70とを、材料結合により接続することができ、例えば、はんだ付けまたは溶接することができる。第2の側150は、例えば平坦であってよい。
【0037】
冷却剤容器70を、コンタクト要素60から離間させることもでき、例えば、熱伝導性材料151、例えば熱伝導性化合物を介して固定部120に熱的に接続することもできる。
図2に示す実施形態において、冷却剤容器70は、例えば、少なくともある領域で熱伝導性材料151に追加的に埋め込まれて、その結果、冷却剤容器70が固定部120に、したがってコンタクト要素60に、特に効率的な方法で熱的に接続される。
【0038】
実施形態において、冷却剤容器70は、少なくとも1.5cm3、好ましくは2mm3~8cm3の容量を有する。高電流コンタクト手段30が第1の動作状態にあるとき、冷却剤容器70に冷却剤155が存在する。冷却剤155は、例えば水を含むことができる。冷却剤155は、水に加えて、または水の代わりとして、別の液体、例えばアルコールおよび/またはグリコールを含んでもよい。冷却剤155は、少なくとも25℃、特に-40℃の耐凍結性を有することが好ましい。
【0039】
第2のリードスルー125の方を向く側で、流体ライン85は、第1の端部160で冷却剤容器70に通じる。実施形態において、一例として、流体ライン85はU字形設計である。流体ライン85は、中間部分165と、例えば第1のサブ部分170および第2のサブ部分180とを有する。第1のサブ部分170は、第1の端部160と中間部分165との間で、第1の直線に沿って略z方向に延びる。
図2に示すように、この場合、第1のサブ部分170を、導体130の範囲および/またはZ軸の方向に対して斜めに向けることができる。第1のサブ部分170は、ハウジング95の第3のリードスルー175を貫通する。中間部分165は、ハウジング95の外側で、冷却剤容器70からz方向にずれて配置される。
【0040】
第2のサブ部分180は、(y方向において)第1のサブ部分170から離れる方を向く側で、中間部分165に隣接する。一例として、第2のサブ部分180は、導体130と同様にz軸に平行に延びる。第2のサブ部分180は、流体ライン85の第2の端部185で、吸収体容器75に通じる。
【0041】
吸収体容器75には、少なくとも部分的に、好ましくは完全に、吸収体材料190が充填される。吸収体材料190は、例えば、結晶構造、好ましくは冷却剤吸収結晶構造を有し、かつ/または、ゼオライトおよび/もしくは活性炭および/もしくはケイ酸塩、特にケイ酸塩ゲルおよび/もしくは重クロム酸ナトリウムおよび/もしくは臭化リチウムおよび/もしくは水酸化リチウムを含むことができる。追加としてまたは代替として、冷却剤155は、少なくとも水および/またはアルコールおよび/またはグリコールを含む。吸収体容器75、冷却剤容器70、および流体ライン85が真空下にあって、例えば、流体ライン85および/または吸収体容器75および/または冷却剤容器70のガス圧が、第1の動作状態において0.00001MPa~0.01MPaであると特に有利である。
【0042】
加熱手段90は、例えば、少なくとも1つの電気加熱コイル195と供給ライン200とを有する。供給ライン200は、加熱コイル195を制御装置25に電気的に接続する。加熱コイル195は、吸収体材料190に完全に埋め込まれることが好ましい。この場合、埋込みは、加熱コイル195が吸収体材料190によって完全に囲まれていることを意味するものと理解される。
【0043】
弁80は、制御ライン205によって制御装置25に電気的に接続される。実施形態において、弁80は、例えば中間部分165に配置される。弁80を、例えば第1のサブ部分170または第2のサブ部分180に、異なって配置することも可能である。
【0044】
弁80は閉位置と開位置とを有し、弁80は開位置と閉位置との間で移動可能である。閉位置で、弁80は、吸収体容器75を冷却剤容器70から流体的に分離する。開位置で、流体ライン85は、冷却剤容器70を吸収体容器75に流体的に接続する。
【0045】
実施形態において、中間部分165は、例えば、(z方向において)第1のサブ部分170および/または第2のサブ部分180の上方に配置される。高電流コンタクト手段30が自動車10に装着される場合、冷却剤容器70は、例えば、z方向において吸収体容器75の下方に配置される。吸収体容器75と冷却剤容器70とを、同じ高さに配置してもよい。あるいは、冷却剤容器70を吸収体容器75の上方に配置することも可能である。さらに、高電流コンタクト手段30が自動車10に装着される場合、中間部分165は、冷却剤容器70および/または吸収体容器75の上方に配置される。例えば、第2のリードスルー125および第3のリードスルー175は、コンタクト要素60の上方で共通のxy平面に配置される。流体ライン85のU字形設計は、弁80が開位置にあるときに、冷却剤容器70から吸収体容器75への液体の冷却剤155の不要なオーバフローが避けられるという利点を有する。
【0046】
吸収体容器75は、接触面116から離れる方を向くハウジング95の側で、ハウジング95のハウジング外面220のハウジングウエブ215に取り付けられる。吸収体容器75をハウジング95から、特に冷却剤容器70から断熱する断熱層216を、この場合、吸収体容器75とハウジング95との間に設けることができる。
【0047】
制御装置25は、制御手段225、制御手段225へのデータ接続部を有するデータ格納手段230、および制御手段225に接続されたインタフェース235を備える。
【0048】
第1の時間間隔の値、第2の時間間隔の値、および第1の閾値S1が、データ格納手段230に格納される。加えて、パラメータがデータ格納手段230に格納されてもよい。パラメータは、例えば、表形式の割当て、数学的アルゴリズム、コンピュータプログラム、または特性要因図であってよい。
【0049】
インタフェース235は、制御ライン205、供給ライン200に接続され、かつ好ましくは、第1のリード線35の導体130および第2のリード線55に接続される。加えて、インタフェース235を、第1の信号線240を介して自動車10の温度センサ245に接続することができる。温度センサ245を、例えば自動車10の外気温センサとして設けることができる。第1の信号線240、供給ライン200、および/または制御ライン205は、バスシステム、特にCANバスの一部であってよい。
【0050】
図3は、第1の実施形態による、
図1および
図2に示す高電流コンタクト手段30を動作させるための方法のフロー図である。
図4は、第5の方法ステップ325中の高電流コンタクト手段30の機能図であり、
図5は、第7の方法ステップ335中の高電流コンタクト手段30の機能図である。
【0051】
第1の方法ステップ305において、自動車10が充電ステーション50から切り離され、さらなる高電流コンタクト手段40が高電流コンタクト手段30から取り外される。第1の方法ステップ305において、弁80は、閉位置および第1の動作状態にある。この場合、弁80が閉位置で非通電状態のまま維持されると特に有利である。
【0052】
さらに、冷却剤容器70に液体の冷却剤155が充填される。例えば、冷却剤容器70に、例えば2グラムの冷却剤155を充填することができる。さらに、第1の方法ステップ305において、吸収体材料190が乾燥状態で吸収体容器75に存在する。吸収体材料190は、高電流コンタクト手段30の周囲温度を有することが好ましい。2グラムの冷却剤155に対して、10グラムの吸収体材料190が乾燥状態で吸収体容器75に設けられることが好ましい。さらに、第1の方法ステップ305において、例えば制御手段225によって、加熱手段90が停止され、非通電状態になる。
【0053】
第2の方法ステップ310において、さらなる高電流コンタクト手段40が高電流コンタクト手段30に差し込まれ、充電動作が開始される。充電動作は、例えば制御装置25によって監視され実行される。この場合、制御手段225は、第1のリード線35を第2のリード線55に接続することができる。
【0054】
制御手段225は、主電池15を充電するためにコンタクト要素60を介して伝送される電流Iを決定することが好ましい。充電中、コンタクト要素60は、接触面116とさらなるコンタクト要素210との間の第1のオーム接触抵抗、導体130と固定部120との間の第2のオーム接触抵抗、およびコンタクト要素60の内部オーム抵抗によって加熱される。
【0055】
第2の方法ステップ310中、第1の温度センサ245は、例えば、自動車10の外気温TAを決定する。第1の信号線240を介して、第1の温度センサ245は、外気温TAに対応する第1の温度信号をインタフェース235に提供し、インタフェース235は、第1の温度信号を制御手段225に転送する。
【0056】
制御手段225は、所定のパラメータ、決定された外気温TA、および決定された、コンタクト要素60を流れる電流Iに基づいて、コンタクト要素60のコンタクト要素温度TKを計算することができる。
【0057】
第2の方法ステップ310に続く第3の方法ステップ315において、制御手段225は、コンタクト要素60の動作パラメータとしての、決定されたコンタクト要素温度TKを、所定の第1の閾値S1と比較する。第1の閾値S1は、例えば50℃~70℃であってよい。動作パラメータ、例示的な実施形態においてはコンタクト要素温度TKが、所定の第1の閾値S1未満である場合、制御手段225は第4の方法ステップ320へ進む。動作パラメータとしてのコンタクト要素温度TKが所定の第1の閾値S1よりも大きい場合、制御手段225は第5の方法ステップ325へ進む。
【0058】
第4の方法ステップ320において、制御手段225は、例えば閉信号によって、弁80を閉位置に保持し続ける。第4の方法ステップ320の後、第2の方法ステップ310が繰り返される。
【0059】
第5の方法ステップ325(
図4参照)において、制御手段225は、インタフェース235および制御ライン205を介して弁80に転送される開信号によって弁80を制御し、例えば、弁80が第1の時間間隔の間に閉位置から開位置に移動するようにする。開位置で、弁80は冷却剤容器70を吸収体容器75に流体的に接続する。
【0060】
弁80が開くことによって、液体の冷却剤155は液相から気相に変化する。相変化を生じさせるために、液体の冷却剤155は、コンタクト要素60から第1の熱Q
Sを吸収することにより、コンタクト要素60を冷却する(
図4および
図5は、コンタクト要素60から冷却剤155への第1の熱Q
Sの第1の熱流Q
・
Sを示す)。コンタクト要素60の冷却は、40アンペア~700アンペア、特に200アンペア~500アンペアの高電流Iがコンタクト要素60を介して伝送されるにもかかわらず、コンタクト要素60の加熱によって、例えば90℃未満のコンタクト要素温度T
Kが確保されることを保証する。さらに、コンタクト要素60の冷却によって、第1のリード線35のストリップ部135も冷却される。
【0061】
冷却により、主電池15を充電するための電力を低減させる必要はない。
【0062】
したがって、コンタクト要素60の冷却は、主電池15を充電ステーション50によって特に急速に充電することができ、主電池15を充電する充電動作が特に短くなることを保証する。さらに、導体130の断面積を特に小さく維持することができる。したがって、例えば、断面積を上記のサイズ(50mm2~95mm2)から45mm2~75mm2に縮小することができる。さらに、導体130の断面積を、コンタクト要素を介した電流伝送の継続時間に応じて最適化することができる。
【0063】
気体の冷却剤155は、冷却剤容器70から流体ライン85に流入し、弁80を介して吸収体容器75に向かって流れる。吸収体容器75において、吸収体材料190は気体の冷却剤155を吸収する。そのプロセスで、吸収体材料190が加熱される。気体の冷却剤155の吸収時に生じた熱Q
Aは、吸収体容器75によって吸収され、高電流コンタクト手段30の環境110に放出される(
図4は、第2の熱Q
Aの第2の熱流Q
・
Aを示す)。放出される第2の熱Q
Aは、特に自動車10の内部に放出されてもよい。断熱層216によるハウジング95からの吸収体容器75の断熱は、ハウジング95が第2の熱Q
Aによって損傷することを防ぐ。さらに、吸収体容器75は、冷却剤容器70およびそれに含まれる冷却剤155を加熱することを防ぐ。
【0064】
第6の方法ステップ330において、所定の第1の時間間隔、例えば30~180分間待機する。第1の時間間隔内で、主電池15を充電するためにコンタクト要素60を介して伝送される電流Iが低減する程度まで、主電池15が充電され、これによりコンタクト要素60の加熱を低減させる。弁80が開いた後30分以内に、自動車10の運転者が充電動作を途中で終了させることができる程度まで主電池15の充電動作を完了させることが好ましい。あるいは、主電池15が略完全に充電される程度まで充電動作を進めてもよい。第1の時間間隔内および充電中に、冷却装置65はコンタクト要素60を冷却する。コンタクト要素60を冷却するための冷却プロセスは、冷却剤155が液相から気相に完全に変化すると終了する。
【0065】
加えて、第1の時間間隔は、コンタクト要素60および導体130が、充電後、実質的に高電流コンタクト手段30の周囲温度まで冷却されるのに十分な時間があるような時間間隔である。
【0066】
第6の方法ステップ330に続く(すなわち、第1の時間間隔の待機に続く)第7の方法ステップ335において、制御手段225は、インタフェース235を介して加熱手段90を作動させる(
図5参照)。加熱手段90を作動させると、主電池15から電気加熱コイル195に電気エネルギが供給される。加熱コイル195は、吸収体材料190を、好ましくは150℃~300℃の温度に加熱する。これにより、吸収体材料190に吸収された冷却剤155が気化され、吸収体材料190が乾燥する。断熱層216は、ハウジング95を熱損傷から保護する。
【0067】
気化した高温の冷却剤155は、流体ライン85および開いた弁80を介して冷却剤容器70に流入する。冷却剤容器70がコンタクト要素60に熱的に結合され、コンタクト要素60を介して導体130に熱的に結合されることにより、冷却剤容器70に対してヒートシンクとして作用する。気体の冷却剤155は、冷却剤容器70において凝縮し、凝縮後、再び液体の冷却剤155として存在する。凝縮に必要な冷却剤155からの放熱Q・
Kは、コンタクト要素60および導体130を介して放散され、環境110に放出される。導体130は、その大きい断面により、特に高い熱容量を有する。
【0068】
加熱手段90が制御手段225によって作動される第2の時間間隔、例えば15分~30分の経過後、制御手段225は加熱手段90を停止させ、閉信号によって弁80を制御して、第8の方法ステップ340において弁80が開位置から閉位置に移動するようにする。
【0069】
第8の方法ステップ340の後、方法は第2の方法ステップ310に進む。
【0070】
第7の方法ステップ335および第8の方法ステップ340を、弁80が開いた後に定期的な再生時間間隔で繰り返して、弁80のわずかな漏れがある場合に吸収体材料190を再生することができる。再生時間間隔は、例えば24時間~1週間であってよい。これにより、必要に応じて冷却手段65の最適な冷却能力が保証される。
【0071】
図6は、第2の実施形態による、
図1および
図2に示す高電流コンタクト手段30を動作させるための、第2の実施形態による方法のフロー図である。
【0072】
この方法は、
図3で説明した方法と略同一である。以下では、
図6で説明する方法と
図3で説明した方法との相違のみを論じる。
【0073】
加えて、第9の方法ステップ345および第9の方法ステップ345に続く第10の方法ステップ350は、第6の方法ステップ330と第7の方法ステップ335との間に実行される。
【0074】
第9の方法ステップ345は、第6の方法ステップ330に続き、第2の方法ステップ310と略同一である。第9の方法ステップ345において、動作パラメータが再び決定されて、その結果、第2の方法ステップ310に対して動作パラメータが更新される。この場合、第2の方法ステップ310と同様に、コンタクト要素60を介して伝送される外気温TAおよび電流Iが再び決定され、コンタクト要素温度TKが、外気温TA、伝送される電流I、および、例えば動作パラメータとしてのパラメータに基づいて再び決定される。
【0075】
第9の方法ステップ345に続く第10の方法ステップ350において、更新された動作パラメータ、例えば、第9の方法ステップ345において決定された、更新されたコンタクト要素温度TKを、データ格納手段230に格納された所定の第2の閾値S2と比較する。
【0076】
決定されたコンタクト要素温度T
Kが第2の閾値S2未満である場合、プロセスは第7の方法ステップ335に進む。決定されたコンタクト要素温度T
Kが第2の閾値S2を超える場合、プロセスは第6の方法ステップ330に進み、再び第1の時間間隔待機する。実施形態において、第1の時間間隔が
図3に比べて短縮されることが有利である。したがって、第1の時間間隔は15分から30分であってよい。再び第1の時間間隔待機すると、主電池15を充電するための充電動作を完了することができ、かつ/または、コンタクト要素60および導体130が周囲温度まで冷却されるのに十分な時間がある。
【0077】
第2の閾値S2は、第1の閾値S1よりも低いことが好ましい。実施形態において、第2の閾値S2は、例えば30℃~50℃であってよい。
【0078】
上記のコンタクト要素60の動作パラメータの決定に代わるものとして、例えば、コンタクト要素60を介して伝送される電流Iを、コンタクト要素温度TKの代わりに動作パラメータとして使用してもよい。例えば、第1の閾値S1は、50アンペア~200アンペアの値を有する。第2の閾値S2は、第1の閾値S1よりも小さくなるように選択され、例えば30アンペア~100アンペアであってよい。
【0079】
上記の高電流コンタクト手段30の設計は、さらなる冷却装置65が不要であるという利点を有する。冷却装置65は、高電流コンタクト手段30に組み込まれて、特に、受動冷却(passive cooling)用の大型ヒートシンク、能動冷却(active cooling)用のファンなどが不要になっている。加えて、コンタクト要素60およびコンタクト要素60に接続された導体130の冷却により、導体130の断面を特に小さく維持することができる。これにより、導体130を制御装置25および主電池15に接続するための重量が大きく節約される。さらに、断面が小さいことにより、第1のリード線35を特に狭い半径に敷設することができ、その結果、高電流の車両電気システムを実現するために必要な設置スペースが減少する。
【0080】
高電流コンタクト手段30が複数のコンタクト要素60を有する場合、冷却装置65をコンタクト要素60ごとに設けることができる。あるいは、吸収体容器75を、例えば複数の流体ライン85を介して、コンタクト要素60に各々配置される複数の冷却剤容器70に流体的に接続することができる。この設計は、高電流コンタクト手段30のコンタクト要素60の各々が冷却されるという利点を有する。
【0081】
さらに、組み込まれた冷却装置65により、必要な設置スペースと高電流コンタクト手段30の大きさとを減少させることができる。さらに、高電流コンタクト手段30の大きさを減少させることができる。
【符号の説明】
【0082】
10 自動車
15 主電池
20 駆動モータ
25 制御装置
30 高電流コンタクト手段
35 第1のリード線
40 さらなる高電流コンタクト手段
45 充電ケーブル
50 充電ステーション
55 第2のリード線
60 コンタクト要素
65 冷却装置
70 冷却剤容器
75 吸収体容器
80 弁
85 流体ライン
90 加熱手段
95 ハウジング
96 車体
100 ハウジング内部
105 第1のリードスルー
110 環境
115 接触部
116 接触面
120 固定部
125 第2のリードスルー
130 導体
135 ストリップ部
140 シース
145 第1の側
150 第2の側
151 熱伝導性材料
155 冷却剤
160 第1の端部
165 中間部分
170 第1のサブ部分
175 第3のリードスルー
180 第2のサブ部分
185 第2の端部
190 吸収体材料
195 加熱コイル
200 供給ライン
205 制御ライン
210 さらなるコンタクト要素
215 ハウジングウエブ
216 断熱層
220 ハウジング外面
225 制御手段
230 データ格納手段
235 インタフェース
240 第1の信号線
245 第1の温度センサ
250 第2の信号線
255 第2の温度センサ
305 第1の方法ステップ
310 第2の方法ステップ
315 第3の方法ステップ
320 第4の方法ステップ
325 第5の方法ステップ
330 第6の方法ステップ
335 第7の方法ステップ
340 第8の方法ステップ
345 第9の方法ステップ
350 第10の方法ステップ
QS 第1の熱
QA 第2の熱
QK 熱
TK コンタクト要素温度
TA 外気温
I 伝送される電流/充電電流