(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-25
(45)【発行日】2023-09-04
(54)【発明の名称】光学的測定方法及び光学的測定装置
(51)【国際特許分類】
G01B 11/24 20060101AFI20230828BHJP
A61C 19/04 20060101ALI20230828BHJP
G01B 11/25 20060101ALI20230828BHJP
【FI】
G01B11/24 K
A61C19/04 Z
G01B11/25 H
(21)【出願番号】P 2021500541
(86)(22)【出願日】2019-06-11
(86)【国際出願番号】 EP2019065147
(87)【国際公開番号】W WO2020011464
(87)【国際公開日】2020-01-16
【審査請求日】2022-06-10
(31)【優先権主張番号】102018211369.6
(32)【優先日】2018-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】519410367
【氏名又は名称】シロナ・デンタル・システムズ・ゲーエムベーハー
(73)【特許権者】
【識別番号】515304558
【氏名又は名称】デンツプライ・シロナ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】クレイン、コンラッド
(72)【発明者】
【氏名】フリッツ、ペーター
(72)【発明者】
【氏名】アダムソン、アンダース
【審査官】信田 昌男
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/062044(WO,A1)
【文献】特開平11-137517(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0272765(US,A1)
【文献】特開2017-020930(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
A61C 19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学的撮像ユニット(3)を用いて対象物(1)の表面を3次元取得する光学的測定方法であって、
-第1測定タイムインターバル(T1)中に、
前記光学的撮像ユニット(3)が
前記対象物(1)に相対して動かされ、
-前記第1測定タイムインターバル(T1)中に、前記対象物(1)が前記光学的撮像ユニット(3)によって光強度(I)を有する照明光(5’)で照明され、
-前記第1測定タイムインターバル(T1)中に、前記光学的撮像ユニット(3)によって高
さ画像(b
i)が撮像頻度(f
A)で順次
取得され、
-前記第1測定タイムインターバル(T1)中に、
取得された前記高
さ画像(b
i)の少なくとも
いくつかが全体高
さ画像(b
tot
)に付加され、前記全体高
さ画像(b
tot
)が表示される
、光学的測定方法において、
-前記第1測定タイムインターバル(T1)中に前記光強度(I)及び/又は前記撮像頻度(f
A)が制御信号(S)によって制御され、
-前記制御信号(S)は、前記第1測定タイムインターバル(T1)中に時間間隔をおいて生成され、
-各制御信号(S)は、少なくとも1つの温度センサ(9)の少なくとも1つのセンサ信号(10)にもとづいて生成されることを特徴とする、光学的測定方法。
【請求項2】
前記制御信号(S)は、追加的に、前記
光学的撮像ユニット(3)の少なくとも1つのパラメータ及び/又は少なくとも1つのすでに
取得された高さ画像(b
i)にもとづいて生成されることを特徴とする、請求項1に記載の光学的測定方法。
【請求項3】
最後に
取得された高
さ画像(b
i)のための各制御信号(S)を生成するべく、
-最後に
取得された
前記高
さ画像と直前に
取得された高さ画像(b
i-1)とのオーバーラップの測度数(M
i)及び/又は、
-最後に
取得された
前記高さ画像と前記全体高さ画像(b
tot
)とのオーバーラップの測度数(M
i)が決定され、続いて前記測度数(M
i)に対応する制御信号(S)が生成されることを特徴とする、請求項2に記載の光学的測定方法。
【請求項4】
前記オーバーラップの測度数(M
i)を決定する際に、前記少なくとも1つの
温度センサ(9)の前記センサ信号(10)が考慮されることを特徴とする、請求項3に記載の光学的測定方法。
【請求項5】
最後に取得された
前記高さ画像(b
i)のための各制御信号(S)を生成するべく、前記全体高さ画像(b
tot
)に含まれる全体表面の表面増加が、最後に
取得された
前記高さ画像に含まれる表面によって決定され、前記表面増加に対応する制御信号(S)が生成されることを特徴とする、請求項2に記載の光学的測定方法。
【請求項6】
オーバーラップの測度数(M
i)、又は表面増加から、前記光学的撮像ユニット(3)の走査密度又は
走査速度が決定され、前記制御信号(S)を生成するために使用されることを特徴とする、請求項3~5のいずれか1項に記載の光学的測定方法。
【請求項7】
最後に
取得された
前記高
さ画像(b
i)のための各制御信号(S)を生成するべく、全体強度、及び/又は最大強度、及び/又はコントラスト、及び/又は抽出されるデータポイントの数、及び/又は抽出されるデータポイントの品質、及び/又は信号/雑音比、及び/又は追加的に生成されるカラー画像のコントラスト、が決定され、前記制御信号を生成するために使用されることを特徴とする、請求項2~5のいずれか1項に記載の光学的測定方法。
【請求項8】
前記
光学的撮像ユニット(3)の前記パラメータは別のセンサで検出され、前記パラメータは、前記光学的撮像ユニット(3)の速度、及び/又は前記光学的撮像ユニット(3)の加速度、及び/又は前記光学的撮像ユニット(3)の空間位置、及び/又は前記光学的撮像ユニット(3)の運動であることを特徴とする、請求項2~6のいずれか1項に記載の光学的測定方法。
【請求項9】
前記全体高
さ画像(b
tot
)に高
さ画像(b
i)を付加する前に、前記付加するための記録方法が前記撮像頻度(f
A)に依存して選択されることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の光学的測定方法。
【請求項10】
光学的撮像ユニット、コンピュータ可読記憶ユニット、計算ユニット、及び表示ユニットを有する光学的測定システムにおいて、
前記光学的測定システムは、光源、光検出器、温度センサ、及び制御信号を生成する制御ユニットを備え、前記光学的測定システムは、請求項1~9のいずれか1項に記載の光学的測定方法を実施するように設計されていることを特徴とする、光学的測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1測定タイムインターバル中に光学的撮像ユニットが対象物に相対して動かされ、対象物が撮像ユニットによって光強度を有する照明光で照明され、撮像ユニットによって高画像が撮像頻度で順次検出され、検出された高画像がその測定タイムインターバルのうちに全体高画像に付加され、かつ全体高画像が表示される、光学的撮像ユニットを用いて対象物の表面を3次元検出する光学的測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
欧州特許出願公開第2172799号明細書から、共焦点結像システムによって対象物の3次元の光学的検出を可能にする光学的測定装置が知られている。国際公開第2015/036467号から知られる光学的測定装置も同様に共焦点で、及び追加的に、対象物上に投影される可動のパターンを用いて動作する。
【0003】
測定装置の撮像領域の大きさを上回る大きさの対象物を測定するために複数の個々の撮像写真が生成され、1つの全体画像へとつなぎ合わせられる。測定装置と対象物とが相対して動かされる間、個々の撮像写真が時間的に順次生成される。個々の撮像写真をつなぎ合わせるためには、個々の撮像写真の相対する方位を決定する必要がある。このステップは記録と呼ばれる。画像データを記録するためのアルゴリズムは、例えばBeslらによる「A Method for Registration of 3-D Shapes」,IEEE Transactions on pattern analysis and machine intelligence,Vol.14,No.2,1992、又はPulliによる「Multiview Registration of Large Data Sets」,Proceedings,Second International Conference on 3D Digital Imaging and Modeling,Ottawa 1999,p.160-168から知られている。
【0004】
投影パターン又は対象物を照明するための光の生成一般のみならず、個々のデータセットの記録及び伝送もエネルギーを必要とし、エネルギー消費によって生じる廃熱は、特に口腔内用に使用される測定装置、例えば口腔内カメラにとって望ましくない。
【0005】
熱の発生を低減する、又は不必要な熱の発生を回避する1つの可能性は、不必要な画像データセット、すなわち全体画像のために必要とされない画像データセットの生成を回避することである。
【0006】
不必要な撮像を防ぐために、例えば撮像タイムインターバル中にフィードバックによって利用者を案内することが知られている。例えば独国特許出願公開第102014207667号明細書から、撮像中、すでに検出された対象物の領域を利用者に標準モデルで表示することが知られている。利用者は、これに対応して反応することができ、かつすでに十分に測定された領域をもう一度測定する必要がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】欧州特許出願公開第2172799号明細書
【文献】国際公開第2015/036467号
【文献】独国特許出願公開第102014207667号明細書
【非特許文献】
【0008】
【文献】Besl et al.,「A Method for Registration of 3-D Shapes」,IEEE Transactions on pattern analysis and machine intelligence,Vol.14,No.2,1992
【文献】Pulli,「Multiview Registration of Large Data Sets」,Proceedings,Second International Conference on 3D Digital Imaging and Modeling,Ottawa 1999,p.160-168
【発明の概要】
【0009】
上記を背景として、本願の課題は、公知の測定装置及び測定方法を改善すること、並びに特にエネルギー消費量及び計算労力を信頼できる、かつ可能な限り利用者に依存しない仕方で低減することである。
【0010】
上記課題は、請求項1に記載の光学的測定方法及び請求項10に記載の光学的測定システムによって解決される。有利な展開形態は、従属請求項に記載されている。
【0011】
本発明の主題は、光学的撮像ユニットを用いて対象物の表面を3次元検出する光学的測定方法、及び光学的測定方法を実施するように設計された、光学的撮像ユニットとコンピュータ可読記憶ユニットと計算ユニットと表示ユニットとを有する光学的測定システムである。
【0012】
第1測定タイムインターバル中に、光学的撮像ユニットが対象物に相対して動かされ、対象物が撮像ユニットによって光強度を有する照明光で照明され、撮像ユニットによって高画像が撮像頻度で順次検出される。測定タイムインターバル中に、検出された高画像の少なくとも一部が全体高画像に付加及び表示される。
【0013】
光強度及び/又は撮像頻度が測定タイムインターバル中に制御信号によって制御される。制御信号は、測定タイムインターバル中に時間間隔をおいて生成され、各制御信号は、少なくとも1つの温度センサの少なくとも1つのセンサ信号にもとづいて生成される。
【0014】
本発明の別の主題は、光学的撮像ユニットとコンピュータ可読記憶ユニットと計算ユニットと表示ユニットとを有する光学的測定システムであり、光学的測定システムは、本明細書中に記載の光学的測定方法を実施するように設計されている。
【0015】
高画像と呼ばれるのは、ピクセルマトリックス又は画像マトリックスであり、各ピクセル又は画素は3次元情報、すなわち撮像領域におけるそれぞれの画素ごとの対象物表面の3次元位置、又は対象物表面の高さを含む。3次元情報は、例えば位相シフト三角法によって例えば画像シーケンスから抽出される。全体高画像は、測定タイムインターバル中に撮像された複数の高画像から構成され、それにより撮像ユニットの撮像領域の大きさを上回る大きさの対象物も測定することができる。
【0016】
第1測定タイムインターバルと呼ばれるのは、光学的撮像ユニットのオンと光学的撮像ユニットのオフとの間の期間である。
【0017】
当然のことながら、撮像頻度及び光強度は基本的に任意の値をとることができる。したがって、測定タイムインターバル中に照明が一時的にオフにされ、すなわち光強度がゼロに低減されてもよい。同様に、測定タイムインターバル中に、光強度がゼロである規則的なデッドタイムがあってもよい。
【0018】
光強度は、例えば電流を介して、又はデューティサイクル若しくはデューティ比、すなわちパルス幅と周期との比により制御される。
【0019】
本発明による方法及び本発明による装置の利点の1つは、撮像ユニットの熱の発生の確実かつ簡単なコントロールである。
【0020】
制御信号が追加的に撮像ユニットの少なくとも1つのパラメータ及び/又は少なくとも1つのすでに検出された高画像にもとづいて生成されることが有利である。
【0021】
撮像頻度及び照明の光強度が可能な限り少なく抑えられる場合、エネルギー及び/又は計算労力を節約でき、かつ不必要な熱の発生を回避することができる。その一方で、撮像領域を検出するため、及びある程度の品質を得るためにはある程度の照明強度又は撮像頻度が必要である。エネルギーを節約するために、及び熱の発生を制限するために、撮像ユニットから計算ユニットへの撮像データの伝送が一時的に中止されてもよい。
【0022】
測定中に測定方法の状態を検出することによって、撮像頻度及び/又は光強度を迅速に現在状態に適合させること、そしてこれによって十分な品質と、可能な限り少ないエネルギー消費量及び/又は計算労力とを確保することが可能である。
【0023】
測定方法の状態は、測定タイムインターバル中に1つ若しくは複数の追加的なセンサによって、又は撮像ユニットのパラメータをもとにして、又はこれまでに検出されたデータをもとにして、又はこれらの選択肢の組み合わせをもとにして検知される。状態は、測定方法若しくは全体画像に関連する各量であってもよく、例えば撮像ユニットの走査密度、速度、又は連続する画像のオーバーラップの大きさ、又は光学的撮像ユニットの温度であってもよい。その場合、撮像頻度及び/又は照明強度は、検知された状態に適合される。
【0024】
当然のことながら、撮像ユニット及び/又は撮像されたデータの可能な限り現在の状態を考慮するために、制御信号ごとにそれぞれ温度センサ及び追加的センサの、及び/若しくは撮像ユニットの可能な限り現在の値、並びに/又は最後に撮像された高画像が考慮に入れられる。
【0025】
制御信号を生成するために、例えば光学的撮像ユニットとケーブルを介して、又はケーブルなしで通信する計算ユニットが利用可能である。これに代えて、計算ユニットは、光学的撮像ユニットに組み込まれていてもよい。
【0026】
制御信号は、固定の時間間隔で、すなわち固定の頻度で生成される。これに代えて、制御信号は、例えばトリガ信号にもとづいて不規則な時間間隔で生成される。別の代替的実施形態では、各検出された高画像に対して1つの少なくとも時間的に関連する制御信号が生成され、それにより制御信号を生成する時間間隔が高画像の撮像頻度に合わせられる。
【0027】
撮像の現在状態に依存して撮像頻度を制御することは、過剰なデータの撮像を回避するということと、全体高画像を生成するためにデータが十分に検出されることを確保するということとを可能にする。
【0028】
光学的撮像ユニットが、例えばまだ検出されていない領域、又はこれまで不完全にしか検出されていない領域上にある場合には撮像頻度が増加される。その一方で、光学的撮像ユニットがすでに完全に、又は略完全に検出された領域上にある場合には撮像頻度が低減される。検出の測度は、例えば最後に撮像された高画像とその前に撮像された高画像とのオーバーラップをもとにして、並びに/又は撮像ユニットの運動データ及び/若しくは位置データから検知される。運動データ及び/又は位置データは、例えば1つ若しくは複数の検出された高画像から、又は1つ若しくは複数の相応のセンサの1つ若しくは複数のセンサ信号から検知される。これに代えて、運動センサ及び/又は温度センサに加えて、本発明によれば、カラー画像カメラをセンサとして用いてもよい。
【0029】
光強度を制御することによって、光強度も同様に測定タイムインターバル中に撮像の現在状態に適合される。これによって、いつでも可能な時に光強度を低減することができ、データの十分な品質が確保される。
【0030】
例えば、最後に検出された高画像、又は複数のすでに検出された高画像、又はこれまでに生成された全体高画像が、その中に含まれる対象物領域の表面性状に関して解析される。撮像領域に現在ある対象物の部分が、例えば急峻なエッジを有する場合、光強度が高められるのに対して、より滑らかなトポロジの場合には光強度が低減される。
【0031】
同様に、撮像頻度及び/又は光強度を撮像ユニットの状態に適合させることが行われてもよい。例えば、撮像ユニットの1つ又は複数のパラメータが撮像ユニットの不都合な加熱を示すと直ちに撮像頻度及び/又は光強度が低減される。例えば、高画像及び/又は全体高画像によって形成されたデータ量が予め設定可能な、又は予め設定された限界値を上回るか、あるいは全体高画像を生成する計算ユニットが過負荷された場合に撮像頻度が低減されてもよい。
【0032】
したがって利点の1つは低減されるエネルギー消費量であり、それにより特に撮像ユニットの加熱も低減される。それと同時に撮像写真又は全体高画像の品質が低下しないことが確保される。
【0033】
殊に、それぞれ最後に検出された高画像のための各制御信号を生成するべく、最後に検出された高画像と直前に検出された高画像とのオーバーラップの測度数、及び/又は最後に検出された高画像と全体高画像とのオーバーラップの測度数が決定され、測度数に対応する制御信号が生成される。
【0034】
典型的には、それぞれ新規の高画像をすでに検出された高画像とともに、すなわちすでに検出された高画像に相対する新規の高画像の向き又は方位を検知することとともに記録するために、最後に検出された高画像と直前に検出された高画像又は全体高画像とのオーバーラップが決定される。オーバーラップは、対象物領域についてのすでに存在するデータの量の測度として、並びに対象物に相対する光学的撮像ユニットの速度及び/又は運動方向を決定するのに適している。
【0035】
一展開形態では、オーバーラップを決定する場合、追加的に少なくとも1つのセンサのセンサ信号が考慮される。オーバーラップの、すなわち検出の進捗の評価を、温度コントロール、すなわち光学的撮像ユニット又は計算ユニットの温度を検出するセンサと組み合わせることが特に有利である。
【0036】
これに代えて、又はこれに加えて、それぞれ最後に検出された高画像のための各制御信号を生成するべく、全体高画像に含まれる全体表面の表面増加が、最後に検出された高画像に含まれる表面によって決定され、表面増加に対応する制御信号が生成される。表面増加も同様に、対象物領域のためのすでに存在するデータの量の測度として、並びに光学的撮像ユニットの速度及び/又は運動方向を決定するのに適している。
【0037】
検出された高画像、又は高画像からつなぎ合わせた全体高画像は様々に表示可能である。例えば、ボリュームデータセット内の対象物表面を三角形メッシュとして識別又は表示することが有利である。表面は、例えばW.E.Lorensen及びH.E.Clineによる「Marching Cubes:A High Resolution 3D Surface Construction Algorithm」,ACM SIGGRAPH Computer Graphics,Vol.21,No.4,p.163-169,August 1987、に記載される方法で表示されてもよい。対象物表面のこの種の表示は、表面増加の特に簡単な、かつそれに伴い特にエネルギー効率的な決定も可能にする。
【0038】
オーバーラップの測度数、又は表面増加から、光学的撮像ユニットの走査密度又はカメラ速度が決定され、制御信号を生成するために使用されることは有利である。
【0039】
これに代えて、又はこれに加えて、それぞれ最後に検出された高画像のための各制御信号を生成するべく、全体強度及び/若しくは最大強度及び/若しくはコントラスト、並びに/又は抽出されるデータポイントの数及び/若しくは抽出されるデータポイントの品質、並びに/又は信号/雑音比、並びに/又は追加的に生成されるカラー画像のコントラストが決定され、制御信号を生成するために使用される。抽出されるデータポイントと呼ばれるのは、撮像ユニットによって検出され、高画像のために使用されるすべてのピクセル又は画素である。
【0040】
撮像ユニットのパラメータが別のセンサで検出されることが有利であり、パラメータは、光学的撮像ユニットの速度、及び/又は光学的撮像ユニットの加速度、及び/又は光学的撮像ユニットの空間位置、及び/又は光学的撮像ユニットの運動である。
【0041】
全体高画像に高画像を付加する前に、付加するための記録方法が撮像頻度に依存して選択されることが有利である。
【0042】
本発明の実施例が図面に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】本発明による撮像方法の第1実施形態の模式図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1において、本発明による撮像方法の第1実施形態が模式的に示されている。
【0045】
この実施例では、対象物として歯2を有する下顎1が光学的撮像ユニット3によって測定される。光学的撮像ユニット3は口腔内カメラとして形成されており、光源4と光検出器6とを備え、表示手段8を有する計算ユニット7と接続されている。
【0046】
測定はタイムインターバルT1中に行われ、下顎1の歯2上、及び/又は下顎1における欠損箇所上を口腔内カメラ3が移動させられる。光源4は照明光5を提供し、光検出器6は反射光を検出する。反射光の検出は撮像頻度fAで行われ、時間間隔dt=1/fAでそれぞれ1つのデータセットが光検出器6によって検出されて計算ユニットに伝送される。計算ユニットは、各データセットに対してそれぞれ高画像bi、i=1...Nを算出し、これを計算ユニット7の記憶媒体に記憶する。撮像頻度fAは可変であり、それにより連続的に撮像される高画像bi間の時間間隔dtは必ずしも同じではない。
【0047】
生成された高画像biは、すでに測定タイムインターバルT1中に全体高画像bgesへと順次つなぎ合わせられ、全体高画像bgesは、すでにその生起中に表示手段8によって表示される。
【0048】
当然のことながら、場合によっては、生成されたすべての高画像が全体高画像のために使用されるのではなく、個々の高画像が例えば不十分な品質ゆえに選別される。これに加えて、第1高画像b1が全体高画像bgesとして記憶及び表示される。続いて継続的に、撮像された他の高画像bi、i=2...Nが全体高画像bgesに付加され、新全体高画像bgesが表示される。全体高画像bgesに相対する高画像biの向き(Ausrichtung)は、高画像biと全体高画像bgesとの、すなわちこれまでに撮像された高画像bi、特に直前に撮像された高画像bi-1とのオーバーラップ(ハッチングで示す)をもとにして検知される。
【0049】
さらに、図示された実施例では、検知されたオーバーラップをもとにして撮像頻度fAが制御される。最後に撮像された高画像biと全体高画像bgesとのオーバーラップについて、それぞれ第1測度数Mi、例えばオーバーラップの面に関する量が決定され、第1測度数Miをもとにして、撮像頻度fAを制御するための第1制御信号S=Si(Mi)が生成される。続いて、図示された実施例では光学的撮像ユニット3の一部である制御ユニット10によって、光検出器6の撮像頻度fAが制御信号Sにより制御され、すなわち場合によっては変化させられる。これに対応して、次の高画像bi+1が時間間隔dti+1=1/fAで検出され、この場合、fAは制御される撮像頻度を示す。
【0050】
さらに、最後に撮像された高画像biをもとにして、高画像biの、例えば全体強度又はコントラストなど品質についての第2測度数が決定される。第2測度数をもとにして、照明光5の光強度を制御するための第2制御信号が生成され、光強度は、相応に、又は第2制御信号によって制御される。
【0051】
代替的実施形態では、又はこれに加えて、制御信号Sを算出するためにセンサ9(破線で示す)のセンサ信号が考慮に入れられる。例えば、口腔内カメラ3の運動が組み込まれた慣性測定システムによって追跡され、カメラ4の動きから個々の高画像biの相互の向きが推論されてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 対象物
2 歯
3 撮像ユニット
4 光源
5 照明光
6 光検出器
7 計算ユニット
8 表示ユニット
9 センサ
10 制御ユニット
bges 全体高画像
bi 高画像
fA 撮像頻度
dt 時間間隔
Mi 測度数
S 制御信号
T1 撮像タイムインターバル
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] 第1測定タイムインターバル(T1)中に、光学的撮像ユニット(3)が対象物(1)に相対して動かされ、
前記第1測定タイムインターバル(T1)中に、前記対象物(1)が前記光学的撮像ユニット(3)によって光強度(I)を有する照明光(5’)で照明され、
前記第1測定タイムインターバル(T1)中に、前記光学的撮像ユニット(3)によって高画像(b
i
)が撮像頻度(f
A
)で順次検出され、
前記第1測定タイムインターバル(T1)中に、検出された前記高画像(b
i
)の少なくとも一部がそれぞれ全体高画像(b
ges
)に付加され、かつ前記全体高画像(b
ges
)が表示される、光学的撮像ユニット(3)を用いて対象物(1)の表面を3次元検出する光学的測定方法において、
前記第1測定タイムインターバル(T1)中に前記光強度(I)及び/又は前記撮像頻度(f
A
)が制御信号(S)によって制御され、
前記制御信号(S)は、前記第1測定タイムインターバル(T1)中に時間間隔をおいて生成され、
各制御信号(S)は、少なくとも1つの温度センサ(9)の少なくとも1つのセンサ信号(10)にもとづいて生成されることを特徴とする、光学的測定方法。
[2] 前記制御信号(S)は、追加的に前記撮像ユニット(3)の少なくとも1つのパラメータ及び/又は少なくとも1つのすでに検出された高画像(b
i
)にもとづいて生成されることを特徴とする、[1]に記載の光学的測定方法。
[3] それぞれ最後に検出された高画像(b
i
)のための各制御信号(S)を生成するべく、
前記最後に検出された高画像と直前に検出された高画像(b
i-1
)とのオーバーラップの測度数(M
i
)及び/又は
前記最後に検出された高画像と前記全体高画像(b
ges
)とのオーバーラップの測度数(M
i
)が決定され、続いて前記測度数(M
i
)に対応する制御信号(S)が生成されることを特徴とする、[2]に記載の光学的測定方法。
[4] 前記オーバーラップの前記測度数(M
i
)を決定する場合に、前記少なくとも1つのセンサ(9)の前記センサ信号(10)が考慮されることを特徴とする、[3]に記載の光学的測定方法。
[5] それぞれ最後に検出された高画像(b
i
)のための各制御信号(S)を生成するべく、前記全体高画像(b
ges
)に含まれる全体表面の表面増加が、前記最後に検出された高画像に含まれる表面によって決定され、前記表面増加に対応する制御信号(S)が生成されることを特徴とする、[2]に記載の光学的測定方法。
[6] オーバーラップの測度数(M
i
)、又は表面増加から、前記光学的撮像ユニット(3)の走査密度又は速度が決定され、前記制御信号(S)を生成するために使用されることを特徴とする、[3]~[5]のいずれか1項に記載の光学的測定方法。
[7] それぞれ最後に検出された高画像(b
i
)のための各制御信号(S)を生成するべく、全体強度及び/若しくは最大強度及び/若しくはコントラスト、並びに/又は抽出されるデータポイントの数及び/若しくは抽出されるデータポイントの品質、並びに/又は信号/雑音比、並びに/又は追加的に生成されるカラー画像のコントラストが決定され、前記制御信号を生成するために使用されることを特徴とする、[2]~[5]のいずれか1項に記載の光学的測定方法。
[8] 前記撮像ユニット(3)の前記パラメータは別のセンサで検出され、前記パラメータは、前記光学的撮像ユニット(3)の速度、及び/又は前記光学的撮像ユニット(3)の加速度、及び/又は前記光学的撮像ユニット(3)の空間位置、及び/又は前記光学的撮像ユニット(3)の運動であることを特徴とする、[2]~[6]のいずれか1項に記載の光学的測定方法。
[9] 前記全体高画像(b
ges
)に高画像(b
i
)を付加する前に、前記付加するための記録方法が前記撮像頻度(f
A
)に依存して選択されることを特徴とする、[1]~[7]のいずれか1項に記載の光学的測定方法。
[10] 光学的撮像ユニットとコンピュータ可読記憶ユニットと計算ユニットと表示ユニットとを有する光学的測定システムにおいて、前記光学的測定システムは、[1]~[9]のいずれか1項に記載の光学的測定方法を実施するように設計されていることを特徴とする、光学的測定システム。