(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-25
(45)【発行日】2023-09-04
(54)【発明の名称】気管瘻孔デバイスホルダおよびホルダを患者の解剖学的構造に適合させるための方法
(51)【国際特許分類】
A61M 16/04 20060101AFI20230828BHJP
【FI】
A61M16/04 Z
(21)【出願番号】P 2021513873
(86)(22)【出願日】2019-09-26
(86)【国際出願番号】 SE2019050920
(87)【国際公開番号】W WO2020067980
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-09-06
(32)【優先日】2018-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】500085884
【氏名又は名称】コロプラスト アクティーゼルスカブ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(72)【発明者】
【氏名】ファルケンベルク リカルド
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-536220(JP,A)
【文献】特表2014-516720(JP,A)
【文献】国際公開第2018/009118(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の気管瘻孔に重ね合わせた気管瘻孔デバイスを保持するための気管瘻孔デバイスホルダ(10)であって、前記気管瘻孔デバイスホルダ(10)が、
気管瘻孔の近位側を介して気管瘻孔の上に取り付けるためのプレート(30)であって、貫通穴(39)が設けられている、プレート(30)と、
前記貫通穴(39)に重ね合わせて配置された貫通通路(23)を備えた気管瘻孔デバイスフィッティング(20)であって、前記プレート(30)から遠位に延びる、気管瘻孔デバイスフィッティング(20)と、を備え、
前記プレート(30)は、熱可塑性材料のディスク(50)と、前記ディスク(50)の少なくとも横方向のプレート材料(40)とを含み、
前記プレート材料(40)の前記融点が前記ディスク(50)の前記融点よりも高い、
気管瘻孔デバイスホルダ(10)。
【請求項2】
前記プレート材料(40)が前記ディスク(50)の少なくとも中央に配置されている、請求項1に記載の気管瘻孔デバイスホルダ(10)。
【請求項3】
前記プレート材料(40)が前記ディスク(50)の遠位に提供される、請求項1
又は2に記載の気管瘻孔デバイスホルダ(10)。
【請求項4】
前記熱可塑性材料がポリエステルベースの熱可塑性プラスチックである、請求項1~
3のいずれか一項に記載の気管瘻孔デバイスホルダ(10)。
【請求項5】
前記熱可塑性材料がポリカプロラクトン(PCL)ベースの熱可塑性プラスチックである、請求項1~
4のいずれか一項に記載の気管瘻孔デバイスホルダ(10)。
【請求項6】
前記プレート材料(40)が柔軟な弾性材料でできている、請求項1~
5のいずれか一項に記載の気管瘻孔デバイスホルダ(10)。
【請求項7】
前記プレート材料(40)が熱可塑性エラストマを含む、請求項
6に記載の気管瘻孔デバイスホルダ(10)。
【請求項8】
前記プレート(30)の少なくとも近位側に、皮膚接着剤(60)が設けられている、請求項1~
7のいずれか一項に記載の気管瘻孔デバイスホルダ(10)。
【請求項9】
前記皮膚接着剤(60)がテープまたはフォームテープ、噴霧または塗装される皮膚接着剤配合物であり、前記テープ、フォームテープ、または皮膚接着剤配合物は、前記プレート(30)の前記近位側が皮膚接着性であるように、両面に接着性であり、少なくとも前記両面のうちの一方が皮膚接着性である、請求項
8に記載の気管瘻孔デバイスホルダ(10)。
【請求項10】
前記プレート材料(40)が前記気管瘻孔デバイスフィッティング(20)よりも柔軟な材料である、請求項1~
9のいずれか一項に記載の気管瘻孔デバイスホルダ(10)。
【請求項11】
前記プレート材料(40)および前記気管瘻孔デバイスフィッティング(20)が1つの一体型のモノリシックボディとして製造される、請求項1~
10のいずれか一項に記載の気管瘻孔デバイスホルダ(10)。
【請求項12】
前記プレート(30)の厚さが中央から横方向に減少する、請求項1~
11のいずれか一項に記載の気管瘻孔デバイスホルダ(10)。
【請求項13】
前記プレート(30)の外側部分(31)が複数のフラップ(33)を含む、請求項1~
12のいずれか一項に記載の気管瘻孔デバイスホルダ(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に気管瘻孔デバイスホルダに関する。より具体的には、本発明は、プレートの近位側を介して気管瘻孔の上に取り付けるためのプレートであって、貫通穴を備えるプレートを備え、前記貫通穴の円周方向にプレートから遠位に延びる気管瘻孔デバイスフィッティングを有する気管瘻孔デバイスホルダに関する。さらに、本発明は、そのような気管瘻孔デバイスホルダをその意図されたユーザに適合させるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
気管切開術は、首の前面を通して気管へと開口部が形成される外科的処置である。開口部は気管瘻孔と呼ばれる。気管切開術用管は、気管瘻孔と気管との間に延びるように設けられ得る。例えば、神経系または呼吸経路に、怪我または障害などの機能不全が生じた場合、その機能不全によって十分な空気を得ることができなくなると、気管切開術が実行される。肺活量が低下した場合、または呼吸治療が必要な場合も、結果として気管切開術になり得る。
【0003】
喉頭摘出術は、例えば、喉頭または発声器を除去したり、気管瘻孔を創成したりする治療も含め、癌腫を治療するために用いる外科的処置である。この結果は、気管は咽頭に接続しなくなるが、気管瘻孔に迂回される。この処置の後、通常に鼻を機能させることは、不可能になる。呼吸が正常に機能する患者にとって、鼻および鼻腔の粘膜ライニングは、吸入された空気を調節する際の重要な機能を実行する。包旋形の通路および豊かな血液供給は、吸入された空気の温度と湿度との両方を高めるのに役立ち、これらのパラメータについて、肺の表面におけるパラメータとの差を最小にする。通常、呼気が大気に解放される前に、いくらかの熱および水分も呼気から捕獲される。鼻腔の粘液ライニングは、また、吸入された空気から、微細ダスト粒子、汚染物質および微生物などの粒子状物質を取り除くのに役立ち、繊毛の作用により、粘液および粒子が肺から運び去られる。
【0004】
人が喉頭摘出術を受けるときに、事実上、全ての吸入された空気は気管瘻孔を介して肺に入り、そして、鼻は吸入プロセスに効果的に関与していない。呼気は気管瘻孔を通過してよいか、または、音声人工器官が適応された場合には、呼気が音声人工器官を介して咽頭および口に迂回するように、瘻孔を閉塞することができ、こうして、その人は話すことができる。呼気の流れが気管瘻孔バルブによって制御されることは、望ましい。これらの状況において、バルブは、呼吸の間、開いたままに配置されることができるが、呼気の流れを少し増やすことで、空気の流れを迂回させるために閉じることができる。
【0005】
この点で、フィルタデバイス、熱水分交換器(HME)、呼吸プロテクタ、およびスピーチバルブなどの気管瘻孔デバイスが開発されてきた。それは、吸入された空気を加湿すること、前記吸入された空気中の微粒子および細菌学的物質を除去すること、および気管瘻孔を通る通気路を手動で閉じることによって会話能力を人に提供することができるようにするためである。別の方法として、話すことによってアクティブになる「ハンズフリー」HME(自動スピーキングバルブ)を使用するものもある。ハンズフリーHMEにより、喉頭摘出術者は指によって閉塞することなしに話すことができる。このデバイスは、HMEと自動スピーキングバルブの組合せで構成されており、発話用の空気を吐き出すと自動的に閉じ、肺の空気を人工器官から食道に迂回させることができる。呼気が減少すると、自動的に再び開く。
【0006】
これらの気管瘻孔支援デバイスは、人の気管瘻孔より上に配置される気管瘻孔デバイスホルダによって適所に保持される。気管瘻孔デバイスホルダは、通常、プラスタ(plaster)によって人の皮膚に取り付けられ、プラスタは、使用中に人の方を向くことが意図されるプラスタの側面上に接着面を有する。気管瘻孔デバイスホルダはプラスタに溶接されるか、あるいは気管瘻孔デバイスホルダは、使用中に人から離れる方を向くことが意図されるプラスタの側面上の接着面上に配置されるかのどちらかである。皮膚接着面上に、カバー用シートが適用されてもよく、そのシートは、気管瘻孔デバイスホルダを使用する直前に取り除かれる。カバー用シートは、輸送を容易にして、皮膚接着面の皮膚接着能力を維持する。
【0007】
しかしながら、気管瘻孔デバイスホルダを受け取る人の首は決して平面的ではないので、カバー用シートを取り外した後の気管瘻孔デバイスホルダの適用に関連する問題がある。窪んだ瘻孔、すなわち、人の首にいくらか窪んだ瘻孔を有する人に、胸鎖乳突筋の間のピットに気管瘻孔デバイスホルダを接着することは困難である。気管瘻孔デバイスホルダの接着面は、システムの中央部分でピットの底に到達する前に、必然的にピットの壁に接着するからである。喉頭摘出術中に首に2つの垂直胸鎖乳突筋が切断されていない人のグループでは、窪んだ瘻孔が非常に頻繁に見られる。さらに、首の非平面的な表面と気管瘻孔デバイスホルダの接着面との間の適合が悪いと、プレート上の力の分布が不均一になり、局所エリアが他のエリアよりも露出しているため、首と前記接着面との間から漏れることもあり、話す圧力が失われる。特に自動スピーキングバルブの使用中に、ユーザが指による閉塞によって気管瘻孔デバイスの前方移動を妨げない場合、話す圧力からの力は、早期の漏れにつながることが多い。
【0008】
さらに、多くの病院では、喉頭摘出術中の外科的ステップは、現在市場に出ている気管瘻孔デバイスホルダシステムに準拠するために、実質的に平面的な性質の瘻孔を作成するように適合されている。この適合には、首の2つの垂直な胸鎖乳突筋の切断が含まれる。
【0009】
したがって、改良された気管瘻孔デバイスホルダが有利であり、特に、改良された位置決め能力を備えた気管瘻孔デバイスホルダの便利な適用を可能にする気管瘻孔デバイスホルダは、気管瘻孔に近い皮膚接着が緩むリスクを同時に低減する一方で、窪んだ気管瘻孔を有する人が、こうして話す圧力を便利なレベルに保ち、瘻孔に隣接する皮膚の形の不規則性を補う。
【発明の概要】
【0010】
したがって、本発明は、好ましくは、上記で特定された欠陥および不利な点の1つまたは複数を、単独でまたは任意の組合せで、軽減、緩和または排除することを模索し、人の気管瘻孔に重ね合わせた気管瘻孔デバイスを保持するための気管瘻孔デバイスホルダを提供することによって少なくとも上記の問題を解決する。前記気管瘻孔デバイスホルダは、気管瘻孔の近位側を介して気管瘻孔の上に取り付けるためのプレートであって、貫通穴が設けられている、プレートと、貫通穴に重ね合わせて配置された貫通通路を備えた気管瘻孔デバイスフィッティングであって、前記プレートから遠位側に延びる、気管瘻孔デバイスフィッティングと、を備え、プレートは、周囲のディスク材料によって囲まれた熱可塑性材料のディスクを備える。
【0011】
そのような気管瘻孔保持デバイスを適合させるための方法も、また、同じ理由で提供される。
【0012】
これにより、より広範な瘻孔形状に適合し、患者の瘻孔の形状により厳密に追従できる気管瘻孔デバイスホルダが提供される。
【0013】
本発明が可能であるこれらおよび他の態様、特徴および利点は、本発明の実施形態の以下の説明から明らかであり、解明される。ここで、添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1a】本発明の一実施形態による気管瘻孔デバイスホルダの断面図である。
【
図1b】本発明の一実施形態による気管瘻孔デバイスホルダの断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態による気管瘻孔デバイスホルダの断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態による気管瘻孔デバイスホルダの斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態による気管瘻孔デバイスホルダの断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態による気管瘻孔デバイスホルダの断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態による気管瘻孔デバイスホルダの断面図である。
【
図7】本発明の一実施形態による気管瘻孔デバイスホルダの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の説明は、気管瘻孔バルブなどの気管瘻孔デバイスを人の瘻孔上に保持するための、気管瘻孔デバイスホルダに適用可能な本発明の実施形態に焦点を合わせている。この文脈において、気管瘻孔デバイスは、HME、スピーチバルブなどであり得る
【0016】
図1aは、人の気管瘻孔に重ね合わせた気管瘻孔デバイスを保持するための気管瘻孔デバイスホルダ10の断面図を開示し、前記気管瘻孔デバイスホルダ10は、その近位側を介して気管瘻孔の上に取り付けるためのプレート30を備え、前記プレート30には、貫通穴39が設けられている。
【0017】
気管瘻孔デバイスホルダ10は、プレート30の遠位側から遠位に延びる気管瘻孔デバイスフィッティング20をさらに備える。気管瘻孔デバイスフィッティングは、好ましくは、管状気管瘻孔デバイスフィッティング20である。気管瘻孔デバイスフィッティング20は、気管瘻孔デバイスホルダ10を通って延びる貫通通路23を備える。気管瘻孔デバイスフィッティング20の貫通通路23は、気管瘻孔デバイスホルダ10の近位開口部12と連絡する遠位開口部11を形成するように、プレート30の貫通穴39に重ね合わされる。好ましくは、管状気管瘻孔デバイスフィッティング20によって形成されるアパーチャと、プレート30に設けられている前記貫通穴39は、貫通穴39の軸100の周りで一致している。
【0018】
したがって、気管瘻孔デバイスホルダ10は、近位端および遠位端を含む。この文脈において、近位とは、瘻孔に向かう、すなわち、気管瘻孔デバイスホルダ10のユーザに向かう位置または方向を意味し、一方、遠位とは、瘻孔から離れる、すなわち、気管瘻孔デバイスホルダ10のユーザから離れる位置または方向を意味する。横方向とは、軸100から半径方向に離れる位置または方向を意味し、中央とは、中心軸100に向かう位置または方向を意味する。軸100は、気管瘻孔デバイスホルダ10を通って遠位近位方向に延びる。有利なことに、前記気管瘻孔デバイスホルダ10の中心軸と一致し得る。
【0019】
管状気管瘻孔デバイスフィッティング20は、例えば、円筒形スリーブの形態で、貫通穴39の円周方向に配置されている。したがって、気管瘻孔デバイスフィッティング20は、プレート30から前記貫通穴39の円周方向に遠位方向に延びる。プレート30は、貫通穴39の軸100に対して、管状気管瘻孔デバイスフィッティング20からフランジとして主に横方向に延びる。同様に、管状気管瘻孔デバイスフィッティング20は、上記に従って、プレート30から軸方向および遠位方向に延びる。
【0020】
再び
図1aを参照すると、プレート30は、実質的に円形であり得、貫通穴39は、前記プレートの中心を通って延びる。プレート30は、また、多角形または花形などの他の形状を有し得る。
【0021】
一実施形態によれば、
図2に示されるように、プレート30は、周囲のプレート材料40によって少なくとも横方向に囲まれた熱可塑性材料のディスク50を備える。したがって、プレート30は、少なくとも2つの異なる材料を含む。プレート材料40は、熱可塑性材料のディスク50の融点とは異なる融点を有する。中心的に、熱可塑性材料のディスク50は、気管瘻孔デバイスフィッティング20に隣接している。
【0022】
ディスク50がその融点まで加熱されると、ディスク50を成形することが可能であり、それにより、材料の表面を気管瘻孔デバイスホルダ100の装着者の解剖学的形状に適合させることができる。ディスク50を成形することによって、患者の瘻孔の形状により厳密に追従する形状のプレート30を成形することが可能になる。異なる融点を有する少なくとも2つの材料を含むプレート30を提供することにより、プレート30が特定の温度に加熱されたときに、プレート30の一部のみを成形可能にすることができる。したがって、プレート30の最も低い融点を有する部分は、ディスク50がその融点まで加熱されたときに成形することが可能になる。同時に、より高い融点を有する他の部分は、溶融しない。それにより、より高い融点を有するプレート30の部分は、プレート30の成形可能な材料がどのように形成され得るかの可能性を制限し、またそれが自由に流れるのを妨げるので、成形可能な部分にいくらかの制限を設定することが可能である。したがって、気管瘻孔デバイスホルダ10の適用をより正確に制御することが可能であり、改善された位置決め能力を備えた気管瘻孔デバイスホルダ10が達成される。
【0023】
一実施形態によれば、
図1aに示されるように、プレート30は、周囲のプレート材料40によって少なくとも中心方向および横方向に囲まれた熱可塑性材料のディスク50を備える。したがって、プレート30は、少なくとも2つの異なる材料を含み、熱可塑性材料のディスク50は、周囲のプレート材料40によって中心方向および横方向の両方で囲まれている。プレート材料40は、熱可塑性材料のディスク50の融点とは異なる融点を有する。
【0024】
有利な実施形態では、プレート材料40の融点は、ディスク50の融点よりも高い。したがって、周囲のプレート材料40は、ディスク50が成形可能な状態にあるとき、その実質的な空間形状を維持する。それにより、周囲のプレート材料40は、ディスク50に対するバリアを構成することができ、こうして、ディスク50がこのバリアを越えて流れることを防ぎ、次いで、ディスクの厚さを危険にさらすことも防ぎ、それにより、力の分布がディスク50全体で再び変化する可能性がある。
【0025】
ディスク50は、プレート30と人の皮膚との間の直接接触を介して人の局所的な解剖学的形状に従って成形することのできる融点/軟化点を有し得る。このような熱可塑性は、ポリカプロラクトン(PCL)ベースの熱可塑性プラスチックなどのポリエステルベースの熱可塑性プラスチックであり得る。ポリカプロラクトンは、融点が約60℃と低い生分解性ポリエステルである。軟らかくなると、手で適切な形に成形することができる。外層の温度が下がると、粘着性がなくなるが、それでも、しなやかで成形可能である。
【0026】
図1aを参照すると、熱可塑性材料のディスク50は、周囲のプレート材料40によって中心方向および横方向に囲まれ得る。したがって、熱可塑性材料のディスク50は、周囲のプレート材料40によって内向きおよび外向きにカプセル化され、周囲のプレート材料40を超えて、横方向または中心方向に行き過ぎて流れるのを防ぐことができる。こうして、熱可塑性材料のディスク50は、成形可能な状態にあるときに、自由に、潜在的に接着剤のルーメン(lumen)に流れ込むのを防ぐことが可能になる。熱可塑性材料のディスク50は、避けるべきエリアと、熱可塑性材料のディスク50が配置されるべきではない場所に流れ込むのを防ぐことができる。したがって、より安全な気管瘻孔デバイスホルダ10が提供され、こうして、患者の瘻孔の形状により密接に追従するものが提供される。
【0027】
一実施形態では、熱可塑性材料のディスク50は、周囲のプレート材料40によって遠位方向にさらに囲まれている。これは、熱可塑性材料のディスク50がプレート30から遠位方向に「逃げる」のを防ぎ、ディスク50をプレート30内に確実に留めることができる。したがって、ディスク50を所定の位置に維持しながら、改善された位置決め能力を備えた気管瘻孔デバイスホルダ10が提供される。熱可塑性材料のディスク50を遠位に囲むことにより、粘着性の熱可塑性材料50が露出するのを防ぐので、デバイスの配置が容易になり、気管瘻孔デバイスホルダ10の適用を容易にすることができる。さらに、気管瘻孔デバイスホルダ10が瘻孔の上に配置される場合、プレート30の表面が1つのコヒーレント材料であるため、デバイスはより審美的に魅力的であり得る。遠位プレート材料40は、また、熱可塑性材料上の魅力のない指紋を防ぐことができる。
【0028】
プレート30の周囲のプレート材料40は、柔軟な弾性材料でできていてもよい。柔軟な弾性材料は、快適な低温では熱成形できないことがある。このような材料の例は、例えば、熱可塑性エラストマ(TPE)などの熱可塑性材料である。プレート30の周囲のプレート材料40を柔軟な弾性材料で提供することにより、プレート30全体が瘻孔の形状により厳密に追従することが可能になる。特に、材料は、患者の瘻孔の形状とは無関係にこれを達成できるように非常に柔軟であり得、それにより、広範な瘻孔の形状に適した気管瘻孔デバイスホルダ10が達成される。柔軟な材料によって、また、瘻孔に密接に追従するより柔軟な材料が可能になるので、漏出のリスクおよび/または患者が知覚する不快感を低減する。
【0029】
一実施形態によれば、プレート材料40は、射出成形部品であり得る。この実施形態による気管瘻孔デバイスホルダ10は、
図1a、
図1b、
図2および
図4に示されている。これらの気管瘻孔デバイスホルダ10は、プレート材料40の形状および形態が気管瘻孔デバイスホルダ10において、同じで一貫していることが望ましい場合に有利であり得る。さらに、このプレート材料40は、製造するのに費用効率が高い可能性がある。
【0030】
別の実施形態によれば、プレート材料40は、フィルム材料であり得る。フィルム材料は、
図5に示されるように、ディスク50の遠位に提供されるように配置され得る。前述のように、これは、熱可塑性材料のディスク50がプレート30から遠位方向に「逃げる」のを防ぎ、ディスク50をプレート30内に確実に留めることができる。したがって、ディスク50を所定の位置に維持しながら、改善された位置決め能力を備えた気管瘻孔デバイスホルダ10が提供される。熱可塑性材料のディスク50を遠位に囲むことにより、粘着性の熱可塑性材料50が露出するのを防ぐので、デバイスの配置が容易になり、気管瘻孔デバイスホルダ10の適用を容易にすることができる。さらに、気管瘻孔デバイスホルダ10が瘻孔の上に配置される場合、プレート30の表面が1つのコヒーレント材料であるため、デバイスはより審美的に魅力的であり得る。遠位プレート材料40は、また、熱可塑性材料上の魅力のない指紋を防ぐことができる。
【0031】
あるいは、
図6に示されるように、フィルム材料40は、ディスク50がフィルムプレート材料40の2つの層の間に提供されるように、ディスク50の遠位および近位の両方に提供されるように配置され得る。この実施形態によれば、熱可塑性材料50のディスクがプレート30から近位方向に「逃げる」ことをさらに防ぎ、ディスク50をプレート30内に確実に留めることができる。
【0032】
さらに1つの代替実施形態では、フィルム材料40は、
図7に示されるように、ディスク50の近位に配置され得る。この実施形態の製造は、熱可塑性材料のディスク50がプレート材料40の上に提供され得るので、有利であり得る。
【0033】
これらの実施形態による気管瘻孔デバイスホルダ10は、プレート材料40がフィルム材料であり、気管瘻孔デバイスホルダ10の要件が変更され得る場合、柔軟であり、容易に調整され得る。
【0034】
プレート材料40は、射出成形プレートまたはフィルム材料プレートのいずれかであり得るので、気管瘻孔デバイスホルダ100は、一般的な条件に従って適合され得る。2つの異なる実施形態は、例えば、製造に関して異なる要求を有するので、最も適切な実施形態を選択することができる。
【0035】
気管瘻孔デバイスホルダ100を使用することを意図された人の気管瘻孔の近くの首部分の解剖学的構造に対応して気管瘻孔デバイスホルダ100を適合させるとき、少なくともプレート30は、そのディスク50の融点を幾分超えるまで、すなわち、PCLベースの熱可塑性プラスチックの場合は約65℃まで、加熱される。これは、プレートを約2~5分間加熱することによって達成される。しかしながら、異なる融点を有する周囲のプレート材料40は、その融点に到達せず、したがって、周囲のプレート材料40は影響を受けず、ディスク50を許容領域内に保つ。したがって、熱可塑性材料のディスクは手で保持することができるが、接着剤のルーメンなど、望ましくない方向にあまり遠くに流れ出ることができない。
【0036】
ディスク50がその融点に達した後、ディスク50はコンパイル可能になり、したがって、手で成形可能になる。また、使用される熱可塑性材料がPCLベースの熱可塑性プラスチックである場合、ディスク50は、不透明から透明へと透明度が変化する。この状態では、ディスク50、したがってプレート30は、人の首の解剖学的構造に従って成形/形成され、その結果、貫通穴39が気管瘻孔の上に重ね合わされる。利用可能な成形時間は通常約2分であり、その後、ディスク50は成形不可能になるが、それでも柔軟である。約10分後、ディスク50は再び硬くなり、使用できるようになる。このようにして、ディスク50は、例えば、2つの垂直胸鎖乳突筋に適合し、それでも窪んだ瘻孔にも接近するように、ユーザの首の解剖学的構造に対応して成形され得る。
【0037】
さらに、PCLベースの材料の融点での透明度の変化により、成形プロセスをいつ開始するかを容易に知ることができるだけでなく、首の解剖学的構造の後にプレート30を適合させることも容易になる。プレート30を通して見ることが可能であり、首の輪郭の変化を検出して補うことができるからである。周囲のプレート材料40は、通常の状態では透明であることが好ましく、したがって、プロセス全体を通して透明のままである。さらに、ディスク50は、解剖学的構造の変化が生じる場合、または別のユーザに従って成形されるべきである場合、プレート30を再加熱し、それを再成形することによって簡単に再成形することができる。
【0038】
例えば、
図1bに示されているように、プレート30の近位側は、両面に接着性であり、両面のうちの一方に少なくとも皮膚接着性であるコーティング60を備えていてもよい。そのようなコーティング60は、プレート30と皮膚との間の相互作用面が高くなり得るように、プレート30の近位側に従って寸法が定められ得る。高い成形性および力の分散さえも提供することにより、粘着性の少ない接着剤が可能になり得、これは、デバイスを取り外すときの皮膚への機械的応力を減少させることによってユーザにとって有益である可能性がある。接着剤は、テープまたはフォームテープ、噴霧または塗装される皮膚接着剤配合物であり得る。
【0039】
次に、プレート30をユーザの首に取り付けて、貫通穴39を気管瘻孔の上に重ね合わせ、スピーチバルブなどの気管瘻孔デバイスを、既知の方法で気管瘻孔デバイスフィッティング20に接続することができる。
【0040】
接着剤コーティング60は、1つの例示的な実施形態では、熱可塑性材料のディスクを近位方向にさらにカプセル化することができる。
【0041】
一実施形態によれば、少なくともディスク50の近位側にはライナー70が設けられ得る。これによって、皮膚への粘着性を減少させるので、成形中の取り扱いが容易になる。プレート30が瘻孔の周りの輪郭に従って成形されたら(そして、おそらくプレート30が冷却後にその剛性を取り戻した後)、ライナーが取り外され、プレートが患者の首に取り付けられる。
【0042】
さらに、
図1aを参照すると、管状気管瘻孔デバイスフィッティング20は、前記フィッティング20の遠位ゾーンから円周方向に延びる保持リップ21を備え得る。保持リップ21は、プレートの貫通穴の軸100に向かって近位および横方向に延びる屈曲部分22を備える。前記保持リップ21は、気管瘻孔デバイスを受容して保持するように適合されている。
【0043】
気管瘻孔デバイスの受容および保持は、気管瘻孔デバイスフィッティング20のより剛性の高い材料および保持リップ21の屈曲部分22の弾性変形によって提供される。気管瘻孔デバイスが、プレート30の貫通穴39の軸100に沿って遠位から近位方向にフィッティング20に挿入されるとき、屈曲部分22は、管状気管瘻孔デバイスフィッティング20の内部部分に向かって横方向に変形する。これは、気管瘻孔デバイスが保持リップ21を通過し、管状気管瘻孔デバイスフィッティング20に完全に挿入するための余地を残す。
【0044】
次に、保持リップ21の屈曲部分22は、気管瘻孔デバイスフィッティング20の内側に気管瘻孔デバイスを保持する。内側に曲がった構造のため、保持リップを通過する気管瘻孔デバイスの一切の遠位移動は妨げられる。これは、前記移動によって引き起こされる保持リップ21への負荷によるものであり、保持リップ21を弾性的に曲げることによって、保持リップ21を変形させるだけで、気管瘻孔デバイスを所定の位置に保持する近位方向の垂直力を発揮するように保持リップ21を促すようにする。
【0045】
したがって、保持リップ21によって、気管瘻孔デバイスホルダ10を患者が使用するときに、気管瘻孔デバイスが誤って管状気管瘻孔デバイスフィッティング20から脱落するリスクを軽減する気管瘻孔デバイスホルダ10が可能になる。
【0046】
気管瘻孔デバイスフィッティング20が所望の保持特性を有する保持リップ21を提供するために、フィッティング20は、より剛性の高い材料で提供され得る。したがって、気管瘻孔デバイスフィッティング20は、気管瘻孔デバイス100を所定の位置に保持するのに必要な保持特性を有するために、より剛性の高い材料であることが好ましい。したがって、より剛性の高い材料によって、気管瘻孔デバイスフィッティング20と、フィッティング20のより剛性の高い材料の弾性変形によって提供される挿入された気管瘻孔デバイスとの間で、圧入またはスナップフィットが可能になる。患者が着用するのに快適な気管瘻孔デバイスホルダ100を提供しながら、所望の保持特性を有する場合、気管瘻孔デバイスフィッティング20は、プレート30の周囲のプレート材料40よりも剛性の高い材料であり得る。したがって、周囲のプレート材料40は、気管瘻孔デバイスフィッティング20よりも柔軟な材料である。
【0047】
保持リップを有する気管瘻孔デバイスホルダ100は、気管瘻孔デバイスホルダ100を達成するという問題を解決し、これにより、気管瘻孔デバイスが装着中に気管瘻孔デバイスホルダ100から誤って脱落するリスクを軽減するが、患者の知覚する快適さが低下することも、あるいは製造中に追加の接着または結合するステップを導入することもない。
【0048】
図3を参照すると、プレート30は、プレート30の外側外面部分(lateral outer portion)から横方向に延びる複数のフラップ33をさらに備える。フラップ33は、好ましくは、プレート30の横方向の円周方向の縁から軸100に向かって中央に延びる複数のカットイン67によって分離される。前記フラップ33は、プレート30の他のフラップの向きに影響を与えることなく、各フラップ33を表面に接着することができるので、プレート30の適応性をさらに高める。
【0049】
従来のプレートでは、プレート30の最も外側部分のセクションを(部分的に)折り畳むと、プレート30の材料を通って伝播する歪みを引き起こすことがあり、このため、前記プレート30の他のセクションを患者の瘻孔上のそれらの意図された位置から解放することを強制し得る。したがって、前記フラップ33は、プレート30が患者の瘻孔の形状により厳密に追従するための追加の手段を提供し、さらに、プレート30の接着特性の改善を提供する。したがって、フラップ33は、プレートが患者の瘻孔の形状をより厳密に追従する能力を高めるための手段を提供する。
【0050】
再び
図1aを参照すると、プレート30の厚さは、横方向、すなわち、半径方向外向きに移動する軸100に実質的に直交する方向に変化する。プレート30の中央部分32は、好ましくは、プレート30の外側部分31よりも厚い。このことが特に有利なのは、中央部分32の材料がより厚いことによって、前記フィッティング20とプレート30との間の接触面積が比較的大きいために、フィッティング20とプレート30との間の結合をより強くすることができ、一方、外側部分31の材料がより薄いことによって、プレート30の残りの部分がより柔軟で成形可能になるからである。さらに、中央部分32がより厚いことで、使用中に軸方向または横方向の力にさらされたときに、フィッティング20の周りの力の分布を増加させることが可能になる。しかしながら、外側部分31は、気管瘻孔デバイスホルダ10を患者が着用しているときに、適用するのが困難になるほど、あるいはしわが寄る可能性があるほど、薄くはない。
【0051】
図1aにさらに示されるように、プレート30と管状気管瘻孔デバイスフィッティング20との間の界面34は、プレート30の近位面61および管状気管瘻孔デバイスフィッティング20によって形成され得る。近位面61は、軸100に沿って、すなわち、近位方向に延び、管状気管瘻孔デバイスフィッティング20の側面に隣接し、これもまた、前記軸100に沿って、すなわち、近位方向に延びる。したがって、界面34は、ユーザの皮膚に実質的に直交して延びる管状気管瘻孔デバイスフィッティング20を取り囲む実質的に環状の形状の境界によって形成される近位界面34である。
【0052】
気管瘻孔デバイスホルダ10は、軸100に平行な力の影響を受けやすく、その力は、気管瘻孔デバイスフィッティング20とプレート30との間の界面において剪断力に伝達され得るため、大きな近位界面は、そのような力を良好な方法で吸収し得る。
【0053】
しかしながら、従来の接着操作では、そのような近位界面を達成することは困難である。その代わりに、フィッティングは、通常、プレートの遠位面の上に接着される。このような解決策では、フィッティングの近位面とプレートの遠位面との間の剪断力に対する抵抗がほとんどなく、接着が剥がれやすい。このような剪断荷重は、前記構成要素間に亀裂を誘発することがあり、それが漏れを引き起こす。したがって、界面の向きにより、プレートとフィッティングとの間の界面が可能になり、比較的大きな近位荷重および剪断力がある場合でも構造の完全性が維持される。
【0054】
代替の実施形態によれば、
図4に示されるように、周囲のプレート材料40および気管瘻孔デバイスフィッティング20は、1つの一体型のモノリシックボディとして製造されている。この実施形態により、2つの部品が1つのプロセスで一緒に製造され得るので、製造プロセスが単純化される。2つの部品を一緒に結合する必要がなく、気管瘻孔デバイスフィッティング20および周囲のプレート材料40の両方に対して選択する必要があるのは1つの材料だけなので、製造ステップの数が削減される。さらに、気管瘻孔デバイスフィッティング20と周囲のプレート材料40との間の界面を排除することにより、界面が存在しなくなるので、2つの部品間の界面が破損するリスクが少なくなる可能性がある。
【0055】
本発明は、特定の実施形態を参照して上で説明されてきたが、本明細書に記載の特定の形態に限定されることを意図するものではない。むしろ、本発明は、添付の特許請求の範囲によってのみ制限され、上記の特定の実施形態以外の実施形態も、これらの添付の特許請求の範囲内で等しく可能である。
【0056】
特許請求の範囲において、用語「備える/備えている」は、他の要素またはステップの存在を除外しない。さらに、個々に列挙されているが、複数の手段、要素または方法ステップは、例えば単一のユニットまたはプロセッサによって実施されてもよい。加えて、個々の特徴が異なる請求項に含まれることもあるが、これらは、おそらく有利なように組み合わされてよく、また異なる請求項へに含めることは、特徴の組合せが実現可能でないこと、および/または有利でないことを意味するものではない。さらに、単一の参照は、複数を除外しない。用語「1つの(a、an)」、「第一の」、「第二の」などは、複数を排除しない。特許請求の範囲における参照符号は、単に明確にする例として設けられ、いかなる形であれ、特許請求の範囲を制限するものとして解釈されてはならない。
本開示は更に以下の態様を含んでいる:
《態様1》
人の気管瘻孔に重ね合わせた気管瘻孔デバイスを保持するための気管瘻孔デバイスホルダ(10)であって、前記気管瘻孔デバイスホルダ(10)が、
気管瘻孔の近位側を介して気管瘻孔の上に取り付けるためのプレート(30)であって、貫通穴(39)が設けられている、プレート(30)と、
前記貫通穴(39)に重ね合わせて配置された貫通通路(23)を備えた気管瘻孔デバイスフィッティング(20)であって、前記プレート(30)から遠位に延びる、気管瘻孔デバイスフィッティング(20)と、を備え、
前記プレート(30)は、熱可塑性材料のディスク(50)と、前記ディスク(50)の少なくとも横方向のプレート材料(40)とを含み、前記プレート材料(40)は、前記ディスク(50)の融点とは異なる融点を有する、
気管瘻孔デバイスホルダ(10)。
《態様2》
前記プレート材料(40)が前記ディスク(50)の少なくとも中央に配置されている、態様1に記載の気管瘻孔デバイスホルダ(10)。
《態様3》
前記プレート材料(40)の前記融点が前記ディスク(50)の前記融点よりも高い、態様1または2に記載の気管瘻孔デバイスホルダ(10)。
《態様4》
前記プレート材料(40)が前記ディスク(50)の遠位に提供される、態様1~3のいずれか一つに記載の気管瘻孔デバイスホルダ(10)。
《態様5》
前記熱可塑性材料がポリエステルベースの熱可塑性プラスチックである、態様1~4のいずれか一つに記載の気管瘻孔デバイスホルダ(10)。
《態様6》
前記熱可塑性材料がポリカプロラクトン(PCL)ベースの熱可塑性プラスチックである、態様1~5のいずれか一つに記載の気管瘻孔デバイスホルダ(10)。
《態様7》
前記プレート材料(40)が柔軟な弾性材料でできている、態様1~6のいずれか一つに記載の気管瘻孔デバイスホルダ(10)。
《態様8》
前記プレート材料(40)が熱可塑性エラストマを含む、態様7に記載の気管瘻孔デバイスホルダ(10)。
《態様9》
前記プレート(30)の少なくとも近位側に、皮膚接着剤(60)が設けられている、態様1~8のいずれか一つに記載の気管瘻孔デバイスホルダ(10)。
《態様10》
前記皮膚接着剤(60)がテープまたはフォームテープ、噴霧または塗装される皮膚接着剤配合物であり、前記テープ、フォームテープ、または皮膚接着剤配合物は、前記プレート(30)の前記近位側が皮膚接着性であるように、両面に接着性であり、少なくとも前記両面のうちの一方が皮膚接着性である、態様9に記載の気管瘻孔デバイスホルダ(10)。
《態様11》
前記プレート材料(40)が前記気管瘻孔デバイスフィッティング(20)よりも柔軟な材料である、態様1~10のいずれか一つに記載の気管瘻孔デバイスホルダ(10)。
《態様12》
前記プレート材料(40)および前記気管瘻孔デバイスフィッティング(20)が1つの一体型のモノリシックボディとして製造される、態様1~11のいずれか一つに記載の気管瘻孔デバイスホルダ(10)。
《態様13》
前記プレート(30)の厚さが中央から横方向に減少する、態様1~12のいずれか一つに記載の気管瘻孔デバイスホルダ(10)。
《態様14》
前記プレート(30)の外側部分(31)が複数のフラップ(33)を含む、態様1~13のいずれか一つに記載の気管瘻孔デバイスホルダ(10)。
《態様15》
人の首の解剖学的構造に対応して、態様1~14のいずれか一つに記載の気管瘻孔デバイスホルダ(100)を適合させるための方法であって、前記方法は、
前記プレート(30)をその熱可塑性材料のディスク(50)の前記融点を超えて加熱し、前記ディスク(50)がコンパイル可能で、手で成形可能になるようにするステップと、
前記プレート(30)の前記近位側を前記人の首に適用して、前記貫通穴(39)が前記気管瘻孔の上に重ね合わせるようにするステップと、
前記人の前記首の解剖学的構造に従って前記ディスク(50)を成形するステップと、
前記プレート(30)を前記ディスク(50)の前記融点以下に能動的または受動的に冷却するステップと、
を含む、方法。