(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-25
(45)【発行日】2023-09-04
(54)【発明の名称】特にカラー印刷によってタイヤにマークを付ける方法
(51)【国際特許分類】
B29D 30/00 20060101AFI20230828BHJP
B60C 13/00 20060101ALI20230828BHJP
【FI】
B29D30/00
B60C13/00 C
(21)【出願番号】P 2021515021
(86)(22)【出願日】2019-09-24
(86)【国際出願番号】 FR2019052229
(87)【国際公開番号】W WO2020065196
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-09-07
(32)【優先日】2018-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】514326694
【氏名又は名称】コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】ミュールホフ オリヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】ジャブール ワリッド
【審査官】鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-192742(JP,A)
【文献】特開2012-101392(JP,A)
【文献】特開2012-187816(JP,A)
【文献】特開2018-079612(JP,A)
【文献】実開平06-042307(JP,U)
【文献】米国特許第05015505(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29D 30/00-30/72
B60C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレッド及び前記トレッドの境界を定める2つのサイドウォールを備えるタイプのタイヤにマーキングを行う方法であって、
リム上に装着されたタイヤを膨張させるステップと、
前記タイヤの前記膨張状態で、前記タイヤの前記サイドウォールの少なくとも一方の上に、少なくとも部分的に着色された少なくとも1つのマーキングを作成するステップと、
を含み、
前記膨張ステップの間に、前記タイヤは、前記タイヤの公称空気圧よりも大きな圧力に膨張されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記タイヤは、前記タイヤの前記公称空気圧の105%から300%の間の圧力に膨張される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記タイヤは、前記タイヤの前記公称空気圧の120%から180%の間の圧力に膨張される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記タイヤを膨張させるステップは、前記タイヤの最終リム上で行われる、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記タイヤを膨張させるステップは、2つの半リムで構成されるリム上で行われる、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記マーキングは、少なくとも1つのプリントヘッドを用いて、カラー印刷で作成される、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記タイヤは、リムのハブ内のボアによって前記マーキングを作成するステッ
プの間に回転駆動される、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記タイヤは、一定速度で回転駆動される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記タイヤは、前記マーキングを作成するステップの間に水平位置又は垂直位置にある、請求項1から8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記マーキングを作成するステップの後で、前記タイヤの空気を公称空気圧まで抜くステップをさらに含む、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用タイヤの分野に関する。
より詳細には、本発明は、具体的にはカラー印刷によってタイヤにマークを付ける方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤは、技術的又は法的情報を提示する、又は消費者が製品ブランドを識別するのを可能にする、又は在庫を確認するための情報や個々のシリアルナンバなどを提示することが意図された多数のマーキングを有する。
【0003】
さらに、マーキングは、タイヤに独創的外観を与えるために、又はタイヤの製造時に生じて特に特定の照明条件下でサイドウォールに見える場合がある局所的な変形を隠すために利用することもできる。
【0004】
このようなマーキングは、例えば着色されてタイヤのサイドウォールに付加される場合がある。例えば、このような着色マーキングは、タイヤの加硫処理後にインクジェット印刷によって又は顔料被膜の堆積によって得ることができる。より詳細には、例えば、米国特許第5,015,505号を参照することができ、これはタイヤのサイドウォールに顔料被膜を堆積することに言及する。また、着色フィルムの転写によって着色マーキングを作成することもできる。
【0005】
しかしながら、このような着色マーキングでは、概して亀裂抵抗の問題が生じる。例えば、消費者に納品されたタイヤのマーキング上に亀裂が観察される場合がある。さらに、タイヤの使用時に、例えば、縁石への衝突又は擦れの場合に又は経年劣化の間にこのような表面亀裂が現れて急激に広がる場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の欠点を軽減することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、トレッド及び該トレッドの境界を定める2つのサイドウォールを備えるタイプのタイヤにマーキングを行う方法に関する。
本方法は、リムに装着されたタイヤを膨張させるステップと、タイヤの膨張状態で、タイヤのサイドウォールの少なくとも一方の上に、少なくとも部分的に着色された少なくとも1つのマーキングを作成するステップと、を含む。
【0009】
本発明の全体的な特徴によれが、膨張ステップの間に、タイヤは、タイヤの公称空気圧よりも大きな圧力に膨張される。
【0010】
「タイヤ」は、弾性トレッドの全てのタイプを意味する。
「ゴム状物質」は、ジエンエラストマーを意味し、すなわち、公知の方法で、エラストマーは、少なくとも部分的にジエンモノマー(2つの共役又は非共役炭素-炭素二重結合をもつモノマー)に基づく(すなわち、ホモポリマー又はコポリマーである)。
【0011】
タイヤの「トレッド」は、外側面と、2つの主要面とによって境界が定められたゴム状物質の所定量を意味し、トレッド面と呼ばれる2つの主要面のうちの一方は、タイヤの運転時に路面に接触することが意図されている。トレッドは、少なくとも外側面の一方に延在する複数の切れ目を備える。
【0012】
タイヤの「サイドウォール」は、タイヤの外側面の一部を意味し、これはタイヤのトレッドとタイヤのビードとの間に配置され、トレッドの切れ目の端部から始まってビードの範囲まで延びる。
【0013】
「少なくとも部分的に着色されたマーキング」は、タイヤのサイドウォール上に設けられた何らかの少なくとも部分的に着色された要素又は被覆を意味する。
【0014】
本明細書において、用語「着色された」は、黒色を除く、すなわち白色を含む全ての色として理解される。換言すると、マーキングは、タイヤのゴム状物質のほぼ黒色とは異なる少なくとも1つの色を有する。
【0015】
膨張させるステップ及びマーキングを作成するステップは、タイヤが加硫処理された後で実行される。
【0016】
タイヤの「公称空気圧」は、、そのタイヤを装着することが意図された車両の製造業者によって車両の通常使用のために推奨される空気圧を意味し、この圧力は、全く同一の車両の前側車軸と後側車軸との間で異なる場合がある。
【0017】
タイヤが公称空気圧よりも大きな内圧を受けている時にマーキングを作成することは、例えば、タイヤが消費者に納品される前に公称空気圧に調節するために内圧が実質的に低減される際にマーキングが僅かに圧縮されるという利点を有する。
【0018】
対照的に、タイヤの非膨張状態で又は公称空気圧よりも低い内圧に膨張された状態で、サイドウォールにマーキングが行われる方法では、このようにして得られたマーキングが、タイヤの内圧が実質的に公称空気圧に増圧された場合に伸張することになる。
【0019】
本発明によるマーキング法では、作成されたマーキングは、タイヤの内圧がその公称空気圧に低減される際に結果として圧縮されるので、この公称空気圧で伸張するマーキングに比べて、消費者に納品される前にマーキングに亀裂が入るリスクが実質的に低減される。さらに、タイヤの使用時、このように圧縮されたマーキングによって、マーキング上に現れる表面亀裂速度及びこれらの亀裂が拡散する速度がやはり低減される。
【0020】
指示目的で、膨張ステップの間に、タイヤは、タイヤの公称空気圧の105%から300%の間の圧力まで、好ましくはタイヤの公称空気圧の120%から180%の間の圧力まで膨張することができる。
【0021】
1つの特定の好都合な実施構成において、タイヤを膨張させるステップは、タイヤの最終リム上で実行される。
「最終リム」は、マーキングとこの車両への装着との間でタイヤを取り外す何らかの作業を伴うことなく、車両に装着されることが意図されたリムを意味する。
【0022】
すでに最終リムの装着されたタイヤにマーキングを行う1つの利点は、タイヤをマーキング工程の終わりにリムから取り外す必要がないので、マーキングを坦持するサイドウォールの変形、従ってこのマーキングの変形が制限される点である。
【0023】
代替的な実施構成において、しかしながら、工業用リム(industrial rim)として知られているリム、すなわち関連するマーキング機上でのマーキング工程時でのみ使用されるリムに装着して、タイヤがこのリムに装着される場合にマーキングを作成することも可能である。このような工業用リムは、1又は2以上の部品で作ることができる。例えば、作業のために硬化タイヤを受け取ることが意図された工業機械は、互いに軸方向に移動可能でありかつタイヤを迅速に着脱するのを可能にする半リムで構成することができる。膨張させるために、2つの半リムの間に空気を注入することができる。
【0024】
従って、タイヤを膨張させるステップは、2つの半リムで構成されているリム上で実行することができる。
【0025】
しかしながら、最終リムに装着されたタイヤにマーキングを行う他の利点は、マーキング機上で乾燥及び硬化工程を絶対に必要とすることなく、タイヤ内部の一定の内圧で乾燥及び硬化させることができる点である。
【0026】
従って、このことは、マーキング機上で直接、マーキングの乾燥及び硬化を実行するために必要な時間を節約するのを可能にする。実際には、マーキングを乾燥及び硬化させる全ての工程は、マーキングに利用される生成物の性質に応じて数分及び数時間存続する場合がある。
【0027】
さらに、例えば、車両組み立てラインに搬送される際にタイヤのマーキングを観察する工程において、最終リムに装着されたタイヤが受ける内部空気圧は、タイヤが操作された場合であっても、マーキングを支持するサイドウォールを僅かな変形でもって所定位置に維持するのを可能にする。
【0028】
好ましくは、マーキングは、少なくとも1つのマーキング生成物塗布ヘッドを用いて作成される。
【0029】
1つの特定の実施構成において、マーキングは、サイドウォール上にカラー印刷によって作成することができる。この場合、塗布ヘッドは、プリントヘッド、詳細にはインクジェット式カラープリントヘッドである。変形例において、マーキングは、1又は2以上の顔料被覆及び/又はニスを堆積することで作成することができる。もしくは、着色フィルムの低温又は高温転写によって作成することもできる。
【0030】
タイヤは、このマーキングを作成するステップの間に回転駆動することができる。代替的に又は組み合わせて、このヘッドは、このマーキングを作成するステップの間に回転駆動することができる。好ましくは、このヘッド及び/又はタイヤは、このステップの間に一定速度で回転駆動される。
【0031】
1つの特定の好都合な実施構成において、このマーキングを作成するステップの間にタイヤだけが回転駆動される。
【0032】
これは、マーキングと、リムのリングに存在するリムのリムフランジとの間の同軸度を保証するのを可能にする。これは、マーキングが環状面の形態で存在する場合に、特にこの環状面がタイヤのサイドウォールの下側領域に位置付けられる場合に特に好都合である。タイヤのサイドウォールの下側領域のマーキングは、ホイール径を可視的に増加させて、タイヤが扁平タイヤであると錯覚させるのを目的としている。「扁平タイヤ」は、サイドウォールの高さがトレッドの幅に比べてかなり低いタイヤを意味する。
【0033】
好都合には、タイヤは、このマーキングを作成するステップの間にリムのハブ内のボアによって回転駆動することができる。これは、マーキングとリムフランジとの間の良好な同軸度を実現するのをさらに助長する。
【0034】
タイヤは、このマーキングを作成するステップの間に水平位置とすること又は垂直位置とすることができる。
【0035】
また、本方法は、マーキングを作成するステップの後に、タイヤの空気を公称空気圧まで抜くステップを含む。
【0036】
1つの特定の実施構成において、本方法は、乾燥及び硬化装置を用いてタイヤのサイドウォール上に作成されたマーキングを乾燥及び硬化させるステップを含む。この装置は、例えば紫外線ランプ又は赤外線ランプ、もしくは高温空気を吹き付ける手段とすることができる。
【0037】
乾燥及び硬化ステップは、関連するマーキング機上でマーキングの部分的な又は完全な乾燥及び硬化を得るように実行することができる。
上記のように、タイヤが最終リムに装着される場合、このマーキングを乾燥及び硬化させる工程は、関連するマーキング機上で部分的にのみ実行すること、又はマーキング機から完全に離れて実行することができる。
【0038】
本方法が明確にタイヤの空気を公称空気圧まで抜くステップを含む場合、この空気を抜くステップは、このマーキングを乾燥及び硬化させる工程の後で実行することができる。
また、本方法は、タイヤをリムに装着するステップを含むことができる。また、膨張させるステップ及びすでにリム上に装着された状態のタイヤ上にマーキングを作成するステップを含むことも可能である。
【0039】
1つの特定の実施構成において、このマーキングは、30μm以下の表面粗さパラメータRaを有するサイドウォールの表面上に作成される。
従って、この着色されるサイドウォール面はほぼ滑らかである。これは、上質のマーキングを得るのを容易にする。このために、表面粗さパラメータRaは、好ましくは15μm以下、特に5μm以下、及び3μm以上である。
【0040】
1つの特定の実施構成において、作成されるマーキングの表面積は、少なくとも6cm2に等しくすることができる。このマーキングは、単一の少なくとも部分に着色されたゾーンを含む、又は互いに相隔たる複数の少なくとも部分的に着色されたゾーンで構成することができる。実施形態の変形例において、このマーキングは、タイヤのサイドウォール上の全環状面を形成する。特に目立つように、このマーキングは、実質的にタイヤのサイドウォールの赤道、すなわち最大幅の箇所に配置することができる。
【0041】
このマーキングは、タイヤの技術的情報を示すための文字、シンボル、及び/又は番号を含むことができる。また、このマーキングは、タイヤのブランドに関する法的又は特徴的情報、又は在庫を確認するためのバーコード、又はタイヤの個々のシリアルナンバなどを含むことができる。
【0042】
タイヤの製造コストを制限するために、このマーキングは、好ましくは、タイヤのサイドウォールの外側にのみ、すなわち車両の外側に位置することが意図されたサイドウォール上に作成される。
【0043】
1つの特定の実施構成において、このマーキングは、このタイヤのサイドウォールの外側面上に作成することができる。もしくは、このマーキングは、このサイドウォールのこの外側面に形成された凹型ハウジング内の中に作成することができる。
本発明は、全く非限定的な実施例として見なされかつ添付図面に例示された実施形態の詳細な説明を読むことでより理解することができるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】本発明の例示的な実施形態によるタイヤのサイドウォール上に形成されたマーキングを備えるタイヤの部分的側面図を示す。
【
図2】本発明の1つの例示的な実施構成によるタイヤにマーキングを行うための方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1は、トレッド12及びこのトレッドの両側を囲む側面サイドウォール14を備えるタイヤ10を概略的に示し、図面では一方のみが見える。トレッド12は、走行時に路面と接触することが意図されたトレッド面を備える。タイヤ10は、リム16上に装着され、これは好ましくは車両への装着が意図された最終リムである。リム16は、ハブ16a、外輪16b、及びハブを外輪に連結する複数のスポーク16cを備える。
【0046】
サイドウォール14は、着色マーキング18を備える。
図1において、マーキング18は、灰色で示されている。図示の例示的な実施形態において、マーキング18は、タイヤのサイドウォール14上で、タイヤの回転軸上に中心がある連続的リングの形態の全面的環状面を形成する。もしくは、他の形状及び/又はタイヤの回転軸に対する他の配置をもたらすことが可能である。例えば、円周方向に不連続とすることができる。この場合、マーキング18は、サイドウォール上で、円周方向にかつ/又は半径方向において互いに相隔たる複数の着色ゾーンで構成することができる。着色ゾーンは、同一の外部形状又は異なる形状とすることができる。例えば、着色ゾーンは、方形、六角形、矩形、又は平方四辺形とすることができる。
【0047】
好都合には、マーキング18は、以下に詳細に説明するように、タイヤの加硫処理後に1又は2以上のプリントヘッドを用いてカラー印刷によってサイドウォール14上に作成することができる。変形例として、例えば、顔料又はニスの堆積、もしくは低温又は高温転写による、何らかの他の方法で着色マーキング18を作成することができる。
【0048】
マーキング18は、タイヤのゴム状物質の概して黒色とは異なる少なくとも1つの色を有する。マーキング18は、複数の色を有することができる。
【0049】
上記のように、マーキング18を作成するために、タイヤのサイドウォール14上でインクジェット式カラー印刷を行うことができる。この場合、インクジェット式プリントヘッド、タイヤ支持手段、及びこの支持手段を回転駆動する手段を備えるマーキング機(図示せず)を使用することができる。支持手段は、印刷工程の間にタイヤを垂直位置又は水平位置に保持するのを可能にするために設けることができる。
【0050】
また、マーキング機は、プリント基板の形態とすることができるプリントヘッドの動作を制御するための制御ユニットを備える。また、マーキング機は、例えば、紫外線ランプ又は赤外線ランプ、もしくは高温空気を吹き付ける手段であるサイドウォール上に堆積されたインク被膜を乾燥及び硬化させるための装置を備えることもできる。この形式のマーキング機に関するさらなる詳細は、例えば、欧州特許第2639053号に言及される。
【0051】
タイヤのサイドウォール14のマーキングは、
図2のマーキング法を利用して実現することができる。
【0052】
第1のステップでは、リムに装着されたタイヤを、タイヤに推奨される公称空気圧よりも大きい空気圧に膨張させる(ステップ20)。例えば、タイヤは、その公称空気圧の105%から300%の圧力まで膨張される。好ましくは、空気圧は、タイヤの公称空気圧の120%から180%の間である。
【0053】
次に、第2のステップでは、リムに装着された膨張タイヤを、マーキング機に取り付ける(ステップ22)。このステップの間に、プリントヘッド並びに乾燥及び硬化装置が、マーキングされるサイドウォールに向かい合うように移動される。
【0054】
次に、第3のステップでは、マーキング機の駆動手段でタイヤを一定速度で回転駆動する(ステップ24)。
【0055】
第4のステップでは、プリントヘッドを、タイヤのサイドウォールに対して所定位置に位置決めする(ステップ26)。このプリントヘッドの位置決めステップは、制御ユニットで制御される。
【0056】
プリントヘッドを位置決めするために、例えば、タイヤのサイドウォール上に設けられた基準点の位置を特定することができる。指示目的で、例えばこの基準点は、タイヤのサイドウォール上に凸又は凹様式で設けることができかつサイドウォールと一体でこれに対して明暗を有する模様の形態とすることができる。この場合、マーキング機は、サイドウォール上で取得した明度測定値に応じてタイヤのサイドウォール上の基準点の位置を特定するために、明度を測定するためのシステム、例えば分光比色計を備える。このため、明度測定値は、測定システムによって制御ユニットに伝送され、制御ユニットは、これらの測定値に基づいてサイドウォール上の基準点の位置を特定するための全てソフトウェア及びハードウェアを備える。制御ユニットは、タイヤのサイドウォールに対するプリントヘッドの位置を操作する。
【0057】
次に、第5のステップでは、タイヤのサイドウォール上の所定のマーキングを得るためにプリントヘッドによるカラー印刷が指令される(ステップ28)。従って、マーキングを作成するステップは、タイヤの公称空気圧値よりも大きな、ステップ20で加えられた空気圧値でのタイヤの膨張状態で実行される。
【0058】
次に、第6のステップでは、サイドウォール上に堆積されたインクの乾燥及び硬化を得るために乾燥及び硬化装置の開始が指令される(ステップ30)。プリントヘッドの操作並びに乾燥及び硬化装置の動作は、制御ユニットによって制御される。第5及び第6のステップの間に、タイヤは、依然として一定速度で回転駆動される。
【0059】
最後に、第7のステップでは、タイヤの回転を停止してリムに装着されたタイヤをマーキング機から取り外す(ステップ32)。
マーキング機から取り外した後、及び、マーキングの乾燥及び硬化段階の完了後、公称空気圧に戻すためにタイヤの空気を抜くことができる。
【0060】
上記のマーキング法において、マーキングは、カラー印刷によってタイヤ上に作成される。上記のように、タイヤのサイドウォール上にマーキングを得る他の方法を提供することもできる。
【0061】
公称空気圧よりも大きな空気圧でのタイヤ膨張状態で1又は複数のマーキングが作成される本発明による方法のおかげで、消費者へのタイヤ納品時のマーキング品質が改善され、使用時のマーキング上の表面亀裂の出現が低減される。