(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-25
(45)【発行日】2023-09-04
(54)【発明の名称】中空糸膜モジュールおよび製造方法
(51)【国際特許分類】
B01D 63/02 20060101AFI20230828BHJP
【FI】
B01D63/02
(21)【出願番号】P 2021565644
(86)(22)【出願日】2020-12-17
(86)【国際出願番号】 JP2020047160
(87)【国際公開番号】W WO2021125266
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2021-12-15
(31)【優先権主張番号】P 2019229701
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100132045
【氏名又は名称】坪内 伸
(72)【発明者】
【氏名】谷口 超
【審査官】石岡 隆
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3200651(JP,U)
【文献】特開2019-195800(JP,A)
【文献】国際公開第2018/235871(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/204002(WO,A1)
【文献】特開昭61-157308(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D53/22、61/00-71/82
C02F1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の中空糸膜が束ねられている中空糸膜束と、
円筒状部分と該筒状部分と内腔が連通するノズル部分とが一体的に成形されている第1の成形部材、および前記円筒状部分に同軸で連続する円筒状の第2の成形部材を有し、前記中空糸膜束を収容するハウジングケースと、を備え、
前記ハウジングケースの軸方向における全長が1mを超え、
前記軸方向において、前記第1の成形部材および前記第2の成形部材の結合位置から、前記第2の成形部材の肉厚の3倍および5倍の距離だけ前記第1の成形部材側にそれぞれ離れた位置の前記ハウジングケースの肉厚を、前記第2の成形部材の肉厚で除した値が、1.
1~1.3および1.
17~1.5である
ことを特徴とする中空糸膜モジュール。
【請求項2】
前記第2の成形部材は、内径が150mm以上の円筒状である
ことを特徴とする請求項1に記載の中空糸膜モジュール。
【請求項3】
前記第2の成形部材は、内径が200mm以上の円筒状である
ことを特徴とする請求項2に記載の中空糸膜モジュール。
【請求項4】
前記結合位置以外の部分を起点として、前記ハウジングケースの内部の加圧により破壊が生じる
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の中空糸膜モジュール。
【請求項5】
前記第1の成形部材および前記第2の成形部材が、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリフェニレンエーテル、ポリプロピレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、およびポリフェニレンサルファイドの少なくとも1種から選ばれている樹脂素材によって成形されている
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の中空糸膜モジュール。
【請求項6】
前記第1の成形部材および前記第2の成形部材は、同じ樹脂素材から成形されている
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の中空糸膜モジュール。
【請求項7】
前記第1の成形部材および前記第2の成形部材の少なくとも一方は、ガラス繊維が混入されている樹脂素材から成形されている
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の中空糸膜モジュール。
【請求項8】
前記第1の成形部材および前記第2の成形部材を突合わせ接合させることにより前記ハウジングケースを形成すること、を含む
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
【請求項9】
前記第1の成形部材および前記第2の成形部材を、加熱、接触加熱、および有機溶剤のいずれかによって接合させること、を含む
ことを特徴とする請求項8に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2019年12月19日に、日本国に特許出願された特願2019-229701の優先権を主張するものであり、この先の出願の開示全体をここに参照のために取り込む。
【技術分野】
【0002】
本発明は中空糸膜モジュール、特に耐圧性を向上させた中空糸膜モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0003】
気液吸収、脱気、ろ過用等の用途で、精密ろ過膜、限外ろ過膜を利用した膜ろ過法に用いられる膜として、中空糸膜が知られている。中空糸膜を用いた膜モジュールは、膜面積が大きく、装置を小型化できるために、種々の膜分離の用途に広く利用されている。この主の膜モジュールとして、その両端が樹脂部で固定された複数の中空糸膜からなる中空糸膜束を備えるものが知られている。
【0004】
単一の中空糸膜モジュールによる処理量を増大させるために、中空糸膜束を収容するハウジング本体を大型化することにより、中空糸膜モジュールの大型化が検討されている。ハウジング本体は、例えば、樹脂による成形品であるため、大型化するほど単一の部材によって成形することは困難である。それゆえ、ハウジング本体を、分割された部品を結合させることにより形成することが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ろ過運転時に中空糸膜束を収容するハウジング本体にはハウジング本体の内側から外側への陽圧が加わるため、ハウジング本体には運転条件に応じた耐圧性が求められる。特に、複数の部品を結合させることにより形成するハウジング本体では、結合部分を起点にして破壊が生じやすく、全体の耐圧性を向上させるためにも結合部分において耐圧性を向上させる必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上述のような課題を鋭意検討した結果、中空糸膜モジュールのハウジングケースにおける結合部分への応力の集中を低減させることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明をなすに至った。即ち、本発明を以下の通りである。
[1]
複数の中空糸膜が束ねられている中空糸膜束と、
円筒状部分と該筒状部分と内腔が連通するノズル部分とが一体的に成形されている第1の成形部材、および前記筒状部分に同軸で連続する円筒状の第2の成形部材を有し、前記中空糸膜束を収容するハウジングケースと、を備え、
前記ハウジングケースの軸方向における全長が1mを超え、
前記軸方向において、前記第1の成形部材および前記第2の成形部材の結合位置から、前記第2の成形部材の肉厚の3倍および5倍の距離だけ前記第1の成形部材側にそれぞれ離れた位置の前記ハウジングケースの肉厚を、前記第2の成形部材の肉厚で除した値が、1.1~1.3および1.17~1.5である
ことを特徴とする中空糸膜モジュール。
[2]
前記第2の成形部材は、内径が150mm以上の円筒状である
ことを特徴とする[1]に記載の中空糸膜モジュール。
[3]
前記第2の成形部材は、内径が200mm以上の円筒状である
ことを特徴とする[2]に記載の中空糸膜モジュール。
[4]
前記結合位置以外の部分を起点として、前記ハウジングケースの内部の加圧により破壊が生じる
ことを特徴とする[1]から[3]のいずれか1つに記載の中空糸膜モジュール。
[5]
前記第1の成形部材および前記第2の成形部材が、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリフェニレンエーテル、ポリプロピレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、およびポリフェニレンサルファイドの少なくとも1種から選ばれている樹脂素材によって成形されている
ことを特徴とする[1]から[4]のいずれか1つに記載の中空糸膜モジュール。
[6]
前記第1の成形部材および前記第2の成形部材は、同じ樹脂素材から成形されている
ことを特徴とする[1]から[5]のいずれか1つに記載の中空糸膜モジュール。
[7]
前記第1の成形部材および前記第2の成形部材の少なくとも一方は、ガラス繊維が混入されている樹脂素材から成形されている
ことを特徴とする[1]から[6]のいずれか1つに記載の中空糸膜モジュール。
[8]
前記第1の成形部材および前記第2の成形部材を突合わせ接合させることにより前記ハウジングケースを形成すること、を含む
ことを特徴とする[1]から7のいずれか1つに記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
[9]
前記第1の成形部材および前記第2の成形部材を、加熱、接触加熱、および有機溶剤のいずれかによって接合させること、を含む
ことを特徴とする[8]に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、全体の耐圧性を向上した中空糸膜モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態による中空糸膜モジュールを示す縦端面図である。
【
図2】
図1の中空糸膜モジュールの製造方法を説明するための図であって、第1の成形部材と第2の成形部材との接合工程における、第1の成形部材と第2の成形部材との配置を示す図である。
【
図3】実施例1のハウジングケースの寸法を示す部分的な半裁断面図である。
【
図4】加圧試験により破壊された実施例1のハウジングの外観図である。
【
図5】加圧試験により破壊された実施例1のハウジングの拡大した外観図である。
【
図6】実施例2のハウジングケースの寸法を示す部分的な半裁断面図である。
【
図7】加圧試験により破壊された実施例2のハウジングの外観図である。
【
図8】加圧試験により破壊された実施例2のハウジングの拡大した外観図である。
【
図9】実施例3のハウジングケースの寸法を示す部分的な半裁断面図である。
【
図10】加圧試験により破壊された実施例3のハウジングの第1の外観図である。
【
図11】加圧試験により破壊された実施例3のハウジングの第2の外観図である。
【
図12】比較例1のハウジングケースの寸法を示す部分的な半裁断面図である。
【
図13】加圧試験により破壊された比較例1のハウジングの外観図である。
【
図14】加圧試験により破壊された比較例1のハウジングの拡大した外観図である。
【
図15】比較例2のハウジングケースの寸法を示す部分的な半裁断面図である。
【
図16】加圧試験により破壊された比較例2のハウジングの外観図である。
【
図17】加圧試験により破壊された比較例2のハウジングの拡大した外観図である。
【
図18】参考例1のハウジングケースの寸法を示す一部半裁断面図である。
【
図19】加圧試験により破壊された参考例1のハウジングの外観図である。
【
図20】
図19の破線部近傍を拡大した別の視点からの外観図である。
【
図21】加圧試験により破壊された参考例1のハウジングの第2成形部材の加熱接合部分近辺の拡大外観図である。
【
図22】参考例2のハウジングケースの寸法を示す一部半裁断面図である。
【
図23】加圧試験により破壊された参考例2のハウジングの外観図である。
【
図24】
図23の破線部近傍を拡大した別の視点からの外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について、詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明は以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明はその要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
【0011】
図1に示すように、本実施形態に係る中空糸膜モジュール10は、中空糸膜束11、ポッティング材12、及びモジュールケース13を備えている。
【0012】
中空糸膜束11は、複数本の中空糸膜14を束ねることにより形成されている。中空糸膜14は多孔質であり、通過する流体をろ過する。
【0013】
なお、中空糸膜14の材質は特に制限されないが、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン及びポリプロピレン等のポリオレフィン、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、アクリロニトリル、ならびに酢酸セルロース等が用いられている。中でも、結晶性を有する、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、及びポリフッ化ビニリデン等の結晶性熱可塑性樹脂は、強度発現の面から好適に用いることができる。さらに好適には、疎水性ゆえ耐水性が高く、通常の水系液体のろ過において耐久性が期待できる、ポリオレフィン、ポリフッ化ビニリデン等を用いることができる。特に好適には、耐薬品性等の化学的耐久性に優れるポリフッ化ビニリデンを用いることができる。ポリフッ化ビニリデンとしては、フッ化ビニリデンホモポリマーや、フッ化ビニリデンの比率が50モル%以上であるフッ化ビニリデン共重合体が挙げられる。フッ化ビニリデン共重合体としては、フッ化ビニリデンと、四フッ化エチレン、六フッ化プロピレン、三フッ化塩化エチレンまたはエチレンから選ばれた1種以上との共重合体が挙げられる。ポリフッ化ビニリデンとしては、フッ化ビニリデンホモポリマーが最も好ましい。
【0014】
中空糸膜14のサイズは特に限定しないが、中空糸膜14の内径0.4~3mm、外径0.8~6mm、膜厚0.2~1.5mm、中空糸膜14の阻止孔径0.02~1μm、膜間差圧0.1~1.0MPaの耐圧性を備えたものが好ましく用いられる。
【0015】
ポッティング材12は、中空糸膜14の少なくとも一部をモジュールケース13に固定している。本実施形態においては、ポッティング材12は、中空糸膜14の両端部と一体化して、後述するモジュールケース13のハウジングケース15に固定されている。本実施形態において、ポッティング材12は、中空糸膜14の外周面及びハウジングケース15の内周面の間にポッティング材12を充填して硬化させることにより、形成されている。
【0016】
なお、ポッティング材12の材質は特に制限されないが、例えば、二液混合型硬化性樹脂が適用され、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、及びシリコン樹脂等が好適に用いられている。ポッティング材12は、粘度、可使時間、硬化物の硬度や機械的強度、及び原液に対する物理的及び化学的安定性、中空糸膜14との接着性、モジュールケース13との接着性を勘案して、適切に選定することが望ましい。例えば、製造時間の短縮化及び生産性の向上の観点からは、可使時間の短いウレタン樹脂を用いることが好ましい。また、機械的強度が求められる場合は、機械的耐久性を有するエポキシ樹脂を用いることが好ましい。また、ポッティング材12にはこれらの樹脂を複数用いてもよい。
【0017】
モジュールケース13は、中空糸膜束11を収容している。モジュールケース13は、ハウジングケース15および2つのキャップ部材16を備えている。
【0018】
ハウジングケース15は、本実施形態において、全体として筒状であり、当該筒状体の内部に中空糸膜14を収容している。ハウジングケース15の軸方向の全長は1mを超える。ハウジングケース15は、別部材である、2つの第1の成形部材17および第2の成形部材18を有する。
【0019】
第1の成形部材17は、一体的に成型されている、筒状部分19およびノズル部分20を有する。ノズル部分20は、筒状部分19の側面に、当該筒状部分19の軸方向に対して垂直に突出するように設けられている。ノズル部分20は、筒状部分19軸方向においてポッティング材12よりも第2の成形部材18側に設けられている。筒状部分19およびノズル部分20の内腔は、互いに連通している。
【0020】
ノズル部分20は、第1の成形部材17の内部および外部の間で流体を通過させるポートとして機能する。したがって、ノズル部分20は、ハウジングケース15の内周面、各中空糸膜14の外周面、及びポッティング材12の露出面によって画定される内部空間に外部から流体を流入させ得、また当該内部空間から外部に流体を流出させ得る。
【0021】
なお、第1の成形部材17の材質は特に制限されないが、例えば、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)、およびポリフェニレンサルファイド(PPS)の少なくとも1種から選ばれている樹脂素材等が用いられている。これらの樹脂素材には、ガラス繊維が混入されていてもよい。第1の成形部材17は、射出成型、および押出し成型などにより製造され得る。
【0022】
第2の成形部材18は、例えば、筒状である。第2の成形部材18は、円筒状であってもよい。第2の成形部材18の軸方向の両端それぞれに、第1の成形部材17が結合している。
【0023】
第2の成形部材18の肉厚は、略一定である。第2の成形部材18の肉厚は、軸方向における位置によって変化してもよい。第2の成形部材18は、内径が150mm以上の円筒状であってよく、内径が200mm以上の円筒状であることが好ましい。
【0024】
なお、第2の成形部材18の材質は特に制限されないが、例えば、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)、およびポリフェニレンサルファイド(PPS)の少なくとも1種から選ばれている樹脂素材等が用いられている。第2の成形部材18は、第1の成形部材17と同じ樹脂素材、または互いに異なる樹脂素材により成形されていてもよい。これらの樹脂素材には、ガラス繊維が混入されていてもよい。第2の成形部材18は、射出成型、および押出し成型などにより製造され得る。
【0025】
第2の成形部材18の軸方向の両端に、第1の成形部材17の筒状部分19を同軸で連続するように結合させることにより、ハウジングケース15が形成されている。当該結合は、第1の成形部材17の筒状部分19および第2の成形部材18の軸方向におけるそれぞれの端面を突合わせた接合であることが好ましい。接合は、加熱、接触加熱、および有機溶剤を用いた接着のいずれかであることが好ましい。または、当該結合は、第1の成形部材17の筒状部分19および第2の成形部材18の一方の他方への挿着であってもよい。
【0026】
軸方向における第1の成形部材17および第2の成形部材18の結合位置は、端面同士を突合せて接合させた構成においては、互いに突合せられている、第1の成形部材17および第2の成形部材18の端面の位置である。本実施形態において、第1の成形部材17の筒状部分19および第2の成形部材18の一方を他方へ挿着させた構成では、結合位置は、軸方向に垂直な方向から見て、筒状部分19および第2の成形部材18が重なる範囲において、最も第2の成形部材18側の位置とする。
【0027】
第1の成形部材17および第2の成形部材18の結合位置は、ハウジングケース15の軸を通る断面において、第1の成形部材17および第2の成形部材18の境界が視認される場合、軸方向における当該境界の位置である。第1の成形部材17および第2の成形部材18の境界が視認できない場合は、結合位置は、以下に説明する方法により決定される。
【0028】
ハウジングケース15のノズル部分20よりも、長手方向における中心側で、結合位置と思われる周辺部分を切除する。切除した部分を軸方向に沿って割断またはスライス切断して、断面を拡大観察することにより境界を確認する。単なる拡大観察によっても境界の確認が困難な場合、インクによる着色後の断面の拡大観察、及び断面の表面近傍を薄膜状に採取したサンプルに偏光を透過させた状態での拡大観察の少なくとも一方により境界を確認する。また、第1の成形部材17および第2の成形部材18の一方がガラス繊維等の充填物を添加した樹脂によって形成されている場合、X線顕微鏡のようなX線を使用した透過解析によって、境界を容易かつ明確に確認し得る。これらの方法によって、第1の成形部材17および第2の成形部材18の境界が確認される場合、軸方向における当該境界の位置を結合位置として決定する。
【0029】
軸方向において、結合位置から、第2の成形部材18の肉厚の3倍の距離だけ離れた位置におけるハウジングケース15の肉厚、
図1の例においては筒状部分19の肉厚は、結合位置における第2の成形部材18の肉厚の1.0~1.3倍である。言換えると、当該位置におけるハウジングケース15の肉厚を、第2の成形部材18の肉厚で除した値は、1.0~1.3である。
【0030】
軸方向において、後述する結合位置から、第2の成形部材18の肉厚の5倍の距離だけ離れた位置におけるハウジングケース15の肉厚、言換えると筒状部分19の肉厚は、結合位置における第2の成形部材18の肉厚の1.0~1.5倍である。言換えると、当該位置におけるハウジングケース15の肉厚を、第2の成形部材18の肉厚で除した値は、1.0~1.5である。
【0031】
キャップ部材16は、本実施形態において、一端が開放された筒状又はテーパ形状をなしている。キャップ部材16の開放された端は、ハウジングケース15の軸方向の両端において、ハウジングケース15に係合している。本実施形態において、キャップ部材16は、ナット21によりハウジングケース15に固定されている。なお、キャップ部材16とポッティング材12及びハウジングケース15の少なくとも一方との間にはOリング22が設けられ、キャップ部材16とハウジングケース15により画定される内部空間が液密に密封されている。
【0032】
キャップ部材16の閉鎖端又はテーパ形状部の細径部側に、管路23が設けられている。管路23は、ハウジングケース15の軸方向に平行に突出している。管路23は、キャップ部材16の内部及び外部間で流体を通過させるポートとして機能する。したがって、管路23は、キャップ部材16及びポッティング材12によって画定される内部空間に外部から流体を流入させ得、また当該内部空間から外部に流体を流出させ得る。
【0033】
さらに、本実施形態の一例において、中空糸膜14の長手方向の両端はポッティング材12及びキャップ部材16が画定する空間に開口を露出する。
【0034】
このような構成の中空糸膜モジュール10では、例えば、一方の管路23から中空糸膜モジュール10に流入させた原液は、他方の管路23に向かって中空糸膜14の中空部内を通過しながら、一部が中空糸膜14によってろ過される。ろ過されたろ液は、ハウジングケース15の内周面、中空糸膜14の外周面、及び両ポッティング材12の露出面により画定される内部空間に流入する。当該内部空間に流入したろ液がノズル部分20から排出される。また、中空糸膜14の中空部内を他方の管路23まで通過した原液が、濃縮液として当該他方の管路23から排出される。あるいは、中空糸膜モジュール10の一方のノズル部分20に原液を流入させることにより、ろ液が管路23から排出され、濃縮液が他方のノズル部分20から排出されてもよい。
【0035】
次に、上述した中空糸膜モジュール10の製造方法について説明する。第1の成形部材17および第2の成形部材18を、射出成型または押出し成型などの成型方法により成形する。成形した第1の成形部材17の筒状部分19の軸方向の一方の端面、および第2の成形部材18の軸方向の端面を離した状態で対向させる。
図2に示すように、対向した両端面esの間にヒータ24を介挿して、両端面esを加熱する。
【0036】
両端面esが溶融状態になってから、ヒータ24を抜出して両端面esを突合わせて、第1の成形部材17および第2の成形部材18を接合させる。第1の成形部材17および第2の成形部材18を接合に際して、溶融している端面近傍が外周面から膨出するように押付けてよい。第2の成形部材18の両端に第1の成形部材17を接合させることにより、ハウジングケース15を形成する。
【0037】
なお、第1の成形部材17の筒状部分19および第2の成形部材18の両端面esを、ヒータ24の代わりに、例えば、両端面esを突合せた状態で端面es近傍への超音波の印加により、加熱してもよい。また、両端面esを加熱して接合させる代わりに、例えば、有機溶剤を用いて溶融させて、両端面esを接合させてもよい。
【0038】
中空糸膜14は、膜モジュールあたりの膜面積、すなわちろ過面積を最大化するように、ハウジングケース15に挿入できるように円筒状に中空糸膜束11に束ねられる。中空糸膜束11の外周には保護用のネットをさらに被覆してもよい。ネットの素材は特に限定しないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、エチレン酢酸ビニルコポリマー等が望ましい。
【0039】
中空糸膜束11の両端部は後段のポッティング工程でポッティング剤により閉塞しないように目止めしておくことが望ましい。目止めに用いる素材としてはエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、およびシリコン樹脂等が用いられる。
【0040】
目止めした中空糸膜束11をハウジングケース15に挿入した後、ハウジングケース15の両端部にポッティング剤を用いて接着するポッティング工程を行う。接着方法としてはハウジングケース15の中央部を中心として回転させることにより発生する遠心力を利用してポッティング材12を導入する遠心接着法と、ハウジングケース15を縦置きし、ヘッド差を利用してポッティング材12を導入する静置接着法がある。接着方法は、中空糸膜モジュール10の全長やハウジングケース15の径、使用するポッティング剤の混合初期粘度やポットライフにより、適宜選択することができる。ポッティング材12が硬化した後に、さらに高温で養生する時間を設けてもよい。完全にポッティング材12が硬化した後に、目止めした部分を除去し、中空糸膜14の端部を開口させる。
【0041】
中空糸膜束11をポッティング材12により内部に固定したハウジングケース15の、軸方向の両端にキャップ部材16を被せる。キャップ部材16を、ナット21によりハウジングケース15に固定する。
【0042】
以上のように構成された中空糸膜モジュール10によれば、例えば、ノズル部分20を介して原水を中空糸膜モジュール10に導入することにより、中空糸膜14によってろ過されたろ過水が管路23の少なくとも一方を介して中空糸膜モジュール10から排出されると共に、ノズル部分20の残りの一方を介して濃縮水が中空糸膜モジュール10から排出される(外圧式ろ過)。
【0043】
また、管路23のいずれか一方を介して原液を中空糸膜モジュール10に導入することにより、管路23の残りの一方を介して濃縮水が中空糸膜モジュール10から排出されると共に、中空糸膜14によってろ過されたろ過水が二つのノズル部分20を介して中空糸膜モジュール10から排出される(内圧式ろ過)。
【0044】
本発明の中空糸膜モジュール10では、結合位置から第2の成形部材18の肉厚の3倍および5倍の距離だけ第1の成形部材17側にそれぞれ離れた位置のハウジングケース15の肉厚を、第2の成形部材18の肉厚で除した値が、1.0~1.3および1.0~1.5である。このような構成により、中空糸膜モジュール10は、結合位置周辺におけるハウジングケース15の軸方向の変位に対する肉厚の変化が小さいので、内部が加圧される場合のハウジングケース15の応力の結合位置における急激な変化を緩和させ得る。したがって、中空糸膜モジュール10は、結合位置を起点にしたハウジングケース15の破壊の発生を抑制し、結合位置以外の部分を起点とした、ハウジングケース15の内部の加圧による破壊をより高圧で発生させる。言換えると、中空糸膜モジュール10は、良好な耐圧性を有する。例えば、中空糸膜モジュール10では、ハウジングケース15の破壊を生じさせる内部への圧力が2MPa以上である。さらに好ましくは、中空糸膜モジュール10では、ハウジングケース15の破壊を生じさせる内部への圧力が3MPa以上である。
【実施例】
【0045】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0046】
以下、実施例で用いた測定方法および試験方法について説明する。
【0047】
(測定方法)
成形部材の寸法測定には、直径・肉厚に関してはJIS B7507準拠のデジタル表示ノギスを使用した。全長に関しては同一仕様のJIS準拠ノギスと、所定長さに精密切断したステンレス製等辺山形鋼から製作した専用ノギスとを使用した。いずれの測定値も計測環境が気温23~27℃の範囲で空調した試験室内に48時間以上保管した後に、測定した。測定箇所は直径と長さに関しては十字状に4か所測定、肉厚に関してはさらに4方向増した8方向にて測定し、単純平均した数字の小数点第一位桁までを有効数字とみなした。
【0048】
(試験方法)
実施例および比較例共に所望する仕様のハウジングケースとした後、ステンレス製ナット、キャップ代用のステンレス製フランジ、O-リングを副資材として利用して内部へ水を封入し、一方のノズルから加圧を行い破壊に至る水圧値とその破壊部位を確認した。水圧加圧の昇圧速度は0.2[MPa/秒]とし、加圧水及び周囲水温(水槽内で加圧)を室温(23-27℃)に調整して行った。なお、破壊試験には山本水圧工業所製の水圧試験機を、収納水槽は上面(パンチングメタル)蓋つきステンレス製水槽(専用製作品)を使用した。
【0049】
(使用した樹脂)
実施例1および比較例1では、第2成形部材の素材としてABS樹脂(旭化成(株)社製スタイラックTM、AE151)を、第1成形部材の素材としてもABS樹脂(旭化成(株)社製スタイラックTM、IM-10)を使用した。
【0050】
実施例2、3、および比較例2では、第2成形部材の素材としてABS樹脂(旭化成(株)製スタイラックTM、AE15P)を、第1成形部材の素材としてもABS樹脂(旭化成(株)製スタイラックTM、IM15P)を使用した。
【0051】
参考例1、2では第1成形部材、第2成形部材いずれにもポリスルホン(ソルベイ社製、第1成形部材:UDEL P1700、第2成形部材:UDEL P1700)を使用した。
【0052】
(実施例1)
第2成形部材として、ABS樹脂製のパイプ(内径153mm、肉厚6mm、長さ1800mm)を用意した。第2成形部材の内径と肉厚の関係はJIS K6741のVU管準拠の寸法であった。また、
図3に示す断面形状(第2成形部材を含めて図示)である部材を第1成形部材として2個準備した。
図3において、「R6mm」が指示する円は、第1の成形部材および第2の成形部材の結合位置から、第2の成形部材の肉厚の距離である6mmを半径とする円である。
図3において、「R18mm」が指示する円は、第1の成形部材および第2の成形部材の結合位置から、第2の成形部材の肉厚の3倍の距離である18mmを半径とする円である。
図3において、「R30mm」が指示する円は、第1の成形部材および第2の成形部材の結合位置から、第2の成形部材の肉厚の5倍の距離である30mmを半径とする円である。
【0053】
第1成形部材と第2成形部材とを
図2に示すような端面加熱設備にて加熱接合することにより本願発明のハウジングケース(全長2160mm)を製作した。引き続き加圧したところ、3.4[MPa]で破壊し、その破壊起点はパイプの概ね中央部で縦方向に直線状の破面を示した破壊形状であった(
図4、
図5参照)。
【0054】
(実施例2)
第2成形部材として、ABS樹脂製のパイプ(内径202mm、肉厚7mm、長さ1640mm)を用意した。第2成形部材の内径と肉厚の関係はJIS K6741のVU管準拠の寸法であった。また、
図6に示す断面形状(第2成形部材を含めて図示)である部材を第1成形部材として2個準備した。
図6において、符号「R7mm」が指示する円は、第1の成形部材および第2の成形部材の結合位置から、第2の成形部材の肉厚の距離である7mmを半径とする円である。
図6において、符号「R21mm」が指示する円は、第1の成形部材および第2の成形部材の結合位置から、第2の成形部材の肉厚の3倍の距離である21mmを半径とする円である。
図6において、「R35mm」が指示する円は、第1の成形部材および第2の成形部材の結合位置から、第2の成形部材の肉厚の5倍の距離である35mmを半径とする円である。
【0055】
第1成形部材と第2成形部材とを
図2に示すような端面加熱設備にて加熱接合することにより本願発明のハウジングケース(全長2120mm)を製作した。引き続き加圧したところ、3.1[MPa]で破壊し、その破壊起点はパイプの概ね中央部で縦方向にギザギザの破面を示した破壊形状であった(
図7、
図8参照)。
【0056】
(実施例3)
第2成形部材として、ABS樹脂製のパイプ(内径202mm、肉厚7mm、長さ680mm)を用意した。第2成形部材の内径と肉厚の関係はJIS K6741のVU管準拠の寸法であった。また、
図9に示す断面形状(第2成形部材を含めて図示)である部材を第1成形部材として2個準備した。
図9において、「R7mm」が指示する円は、第1の成形部材および第2の成形部材の結合位置から、第2の成形部材の肉厚の距離である7mmを半径とする円である。
図9において、「R21mm」が指示する円は、第1の成形部材および第2の成形部材の結合位置から、第2の成形部材の肉厚の3倍の距離である21mmを半径とする円である。
図9において、「R35mm」が指示する円は、第1の成形部材および第2の成形部材の結合位置から、第2の成形部材の肉厚の5倍の距離である35mmを半径とする円である。
【0057】
第1成形部材と第2成形部材とを
図2に示すような端面加熱設備にて加熱接合することにより本願発明のハウジングケース(全長1160mm)を製作した。引き続き加圧したところ、2.6[MPa]で破壊し、その破壊起点は第1成形部材の外端外周に設置しているねじ山部であった(
図10、
図11参照)。
【0058】
(比較例1)
実施例1と長さが異なる(1920mm)点を除き同じABS樹脂製パイプを第2成形部材として用意した。また、
図12に示すような第1成形部材を準備した。
図12において、「R6mm」が指示する円は、第1の成形部材および第2の成形部材の結合位置から、第2の成形部材の肉厚の距離である6mmを半径とする円である。
図12において、「R18mm」が指示する円は、第1の成形部材および第2の成形部材の結合位置から、第2の成形部材の肉厚の3倍の距離である18mmを半径とする円である。
図12において、「R30mm」が指示する円は、第1の成形部材および第2の成形部材の結合位置から、第2の成形部材の肉厚の5倍の距離である30mmを半径とする円である。
図3に示した実施例1のハウジングケースと異なり、第1成形部材の内腔に第2成形部材を差し込んだ状態で接合することにより比較例1のハウジングケースを製作した。第1成形部材および第2成形部材を、ABS樹脂の溶剤として知られているMEK(メチルエチルケトン)のドープ接着剤を用いて溶剤接合した。このドープ接着剤はABS樹脂(今回は第1成形部材)に使用した樹脂ペレット30重量部をMEKに溶解・混合したものであった。換気設備付きの35度空調室内に7日間保管して溶剤が揮発するのを待ち、さらに50度で48時間加温したあとから室温に冷却し、全長2160mmのハウジングケースを得た。実施例1と同様に加圧したところ、3.0[MPa]で破壊が生じ、その破壊起点は第1成形部材と第2成形部材との境界部であった(
図13、
図14参照)。
【0059】
(比較例2)
実施例2と長さが異なる(1800mm)点を除き同じABS樹脂製パイプを第2成形部材として用意した。また、
図15に示すような第1成形部材を準備した。
図15において、「R7mm」が指示する円は、第1の成形部材および第2の成形部材の結合位置から、第2の成形部材の肉厚の距離である7mmを半径とする円である。
図15において、「R21mm」が指示する円は、第1の成形部材および第2の成形部材の結合位置から、第2の成形部材の肉厚の3倍の距離である21mmを半径とする円である。
図15において、「R35mm」が指示する円は、第1の成形部材および第2の成形部材の結合位置から、第2の成形部材の肉厚の5倍の距離である35mmを半径とする円である。
図6に示した実施例2のハウジングケースと異なり、第1成形部材の内腔に第2成形部材を差し込んだ状態で接合することにより比較例2のハウジングケースと製作した。第1成形部材および第2成形部材を、ABS樹脂の溶剤として知られているMEK(メチルエチルケトン)のドープ接着剤を用いて溶剤接合した。このドープ接着剤はABS樹脂(今回は第1成形部材)に使用した樹脂ペレット30重量部をMEKに溶解・混合したものであった。換気設備付きの35度空調室内に7日間保管して溶剤が揮発するのを待ち、さらに50度で48時間加温したあとから室温に冷却し、全長2120mmのハウジングケースを得た。実施例2と同様に加圧したところ、1.9[MPa]で破壊し、その破壊起点は第1成形部材と第2成形部材との境界部であった(
図16、
図17参照)。
【0060】
(参考例1)
第2成形部材としてポリスルホン樹脂製のパイプ(内径154mm、肉厚9mm)を2本用意しした。第2成形部材の内径と肉厚の関係はJIS K6741のVP管準拠の寸法であった。その端面同士を、
図2に示すような端面加熱設備にて加熱接合した。内径部分と外径部分の溶融樹脂のはみ出し抑制治具を配置して加熱接合を実施したところ、本来の第2成形部材の内径に対して内側・外側の径方向にそれぞれ1mmはみ出した部分が5mmの長さにわたって発生した。当該加熱接合された第2成形部材を500mmに切りそろえ、その両側にノズル部を側面に有するパイプ状の第1成形部材の内腔にエポキシ系接着剤を介して被せ込み接着し、
図18に示す全長850mmの参考例1のハウジングケースを得た。
図18において、「R9mm」が指示する円は、第1の成形部材および第2の成形部材の結合位置から、第2の成形部材の肉厚の距離である9mmを半径とする円である。
図18において、「R27mm」が指示する円は、第1の成形部材および第2の成形部材の結合位置から、第2の成形部材の肉厚の3倍の距離である27mmを半径とする円である。
図18において、「R45mm」が指示する円は、第1の成形部材および第2の成形部材の結合位置から、第2の成形部材の肉厚の5倍の距離である45mmを半径とする円である。はみ出した接着剤を拭い取ったのちに40度雰囲気で48時間、90度雰囲気で20時間加熱保持してエポキシ接着剤の硬化をさらに促進させた。
【0061】
以上の様にして製作した参考例1のハウジングケースを加圧したところ、4.1[MPa]で破壊した。なお、第2成形部材と第1成形部材の境界を中心とした放射状の亀裂が観察されることから、境界部分が破壊の起点であることが示された。さらに、第2成形部材同士の加熱接合部分は上記起点の延長線で破壊しており、起点となっていないことが確認できた(
図19、
図20、
図21参照)。
【0062】
(参考例2)
参考例1とは、第2成形部材同士を加熱接合していない単独パイプである以外は、参考例1と同様に、
図22に示す全長850mm参考例2のハウジングケースを作成した。
図22において、「R9mm」が指示する円は、第1の成形部材および第2の成形部材の結合位置から、第2の成形部材の肉厚の距離である9mmを半径とする円である。
図22において、「R27mm」が指示する円は、第1の成形部材および第2の成形部材の結合位置から、第2の成形部材の肉厚の3倍の距離である27mmを半径とする円である。
図22において、「R45mm」が指示する円は、第1の成形部材および第2の成形部材の結合位置から、第2の成形部材の肉厚の5倍の距離である45mmを半径とする円である。参考例2のハウジングケースを加圧したところ、3.8[MPa]で破壊した。参考例1と同様に第2成形部材と第1成形部材の境界を中心とした放射状の亀裂が観察されることから、境界部分が破壊の起点であることが示された(
図23、
図24参照)。
【0063】
以上の実施例、比較例、参考例に使用した各種部材の寸法等と結果をまとめて、表1に記載する。
【0064】
【符号の説明】
【0065】
10 中空糸膜モジュール
11 中空糸膜束
12 ポッティング材
13 モジュールケース
14 中空糸膜
15 ハウジングケース
16 キャップ部材
17 第1の成形部材
18 第2の成形部材
19 筒状部分
20 ノズル部分
21 ナット
22 Oリング
23 管路
24 ヒータ
es 端面