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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-25
(45)【発行日】2023-09-04
(54)【発明の名称】組織牽引システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/02 20060101AFI20230828BHJP
【FI】
A61B17/02
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021575289
(86)(22)【出願日】2020-06-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-25
(86)【国際出願番号】 US2020038562
(87)【国際公開番号】W WO2020257541
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2022-02-17
(31)【優先権主張番号】62/863,228
(32)【優先日】2019-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508296440
【氏名又は名称】ニューヴェイジヴ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】リームホーファー,バイロン
(72)【発明者】
【氏名】モリス,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】リリッグ,スティーヴン
【審査官】豊田 直希
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0150956(US,A1)
【文献】米国特許第06074343(US,A)
【文献】国際公開第2012/046868(WO,A1)
【文献】特開2012-161623(JP,A)
【文献】特開2016-025957(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0333137(US,A1)
【文献】特表2017-521224(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00-18/00
A61F 2/01
A61N 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織牽引システムであって、当該システムは、
シャフトに結合される駆動ギヤであって、前記シャフトの動きに基づいて第1の軸線に沿って回転するように構成される駆動ギヤと、
第2の軸線に沿って配置され、前記駆動ギヤが回転する際の該駆動ギヤとの接触に基づいて前記第2の軸線に沿って回転するように構成される第1の複数のリンク部材と、
第3の軸線に沿って配置され、前記駆動ギヤが回転する際の該駆動ギヤとの接触に基づいて前記第3の軸線に沿って回転するように構成される第2の複数のリンク部材と、
前記第1の軸線に沿って回転するように構成されるリンク部材セレクターであって、該リンク部材セレクターは、ハンドルと一体に形成される円筒形本体を含み、該円筒形本体は、前記リンク部材セレクターの前記ハンドルを介した、前記第1の複数のリンク部材のうちの少なくとも1つのリンク部材に対応する位置の選択に基づいて、前記第1の複数のリンク部材のうちの前記少なくとも1つのリンク部材に第1の力を加えるように構成される少なくとも第1の突起部を含み、前記円筒形本体は、前記リンク部材セレクターの前記ハンドルを介した、前記第2の複数のリンク部材のうちの少なくとも1つのリンク部材に対応する位置の選択に基づいて、前記第2の複数のリンク部材のうちの前記少なくとも1つのリンク部材に第2の力を加えるように構成される少なくとも第2の突起部を含む、前記リンク部材セレクターと、
前記第1の複数のリンク部材のうちの少なくとも2つのリンク部材の対応する動きに基づいて、第1の軌道に沿って移動するように構成される右アームアセンブリと、
該右アームアセンブリに結合される第1の開創器ブレードと、
前記第1の複数のリンク部材のうちの少なくとも別の2つのリンク部材の対応する動きに基づいて、第2の軌道に沿って移動するように構成される左アームアセンブリと、
該左アームアセンブリに結合される第2の開創器ブレードと、
前記第2の複数のリンク部材のうちの少なくとも2つのリンク部材の対応する動きに基づいて、第3の軌道に沿って移動するように構成される中央アームと、
該中央アームに結合される第3の開創器ブレードと、
追跡マーカーを含むアレイであって、前記中央アームに解放可能に固定されるアレイと、を含む、
システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つのリンク部材にかかる前記第1の力によって、前記第1の複数のリンク部材のうちの前記少なくとも1つのリンク部材と、前記第1の複数のリンク部材のうちの別のリンク部材との間の結合が生じ、前記少なくとも1つのリンク部材にかかる前記第2の力によって、前記第2の複数のリンク部材のうちの前記少なくとも1つのリンク部材と、前記第2の複数のリンク部材のうちの別のリンク部材との間の結合が生じる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
当該システムは、
前記第1の軸線に平行で且つオフセットされた第4の軸線に沿って配置される支柱と、
該支柱の第1の端部で当該システムに固定されるロック歯と、をさらに含み、
前記支柱には少なくとも1つのテーパー面が含まれる、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
当該システムは、関節式アームコネクタをさらに含み、
該関節式アームコネクタは、
開口部と、
テーパー面を含むボタンと、
ロック歯と、を含み、
前記開口部は、前記支柱を受容するように構成され、前記ボタンの前記テーパー面は、前記支柱の少なくとも1つの前記テーパー面とインターフェース接続するように構成され、前記支柱の前記ロック歯は、当該システムに固定される前記ロック歯と係合するように構成される、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記第2の軸線に沿って配置される前記第1の複数のリンク部材は、第1のリンク部材、第2のリンク部材、第3のリンク部材、及び第4のリンク部材を含み、前記第1のリンク部材と前記第2のリンク部材との間の結合は、前記第1のリンク部材の前記第2の軸線に沿った第1の位置から前記第2の軸線に沿った第2の位置への直線運動に基づいており、前記第3のリンク部材と前記第4のリンク部材との間の結合は、前記第3のリンク部材の前記第2の軸線に沿った第3の位置から前記第2の軸線に沿った第4の位置への直線運動に基づいており、前記第3の軸線に沿って配置される前記第2の複数のリンク部材は、第5のリンク部材及び第6のリンク部材を含み、前記第5のリンク部材と前記第6のリンク部材との間の結合は、前記第5のリンク部材の前記第3の軸線に沿った第1の位置から前記第3の軸線に沿った第2の位置への直線運動に基づく、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記マーカーは、半球形である、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記アレイは、6自由度のマーカーを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記アレイは、360度アレイである、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
手術用開創器と、
アレイを追跡し、該アレイの1つ又は複数の画像を、プロセッサを含むコンピュータシステムに送信するように構成される少なくとも1つのカメラと、を含むシステムであって、
前記手術用開創器は、
シャフトに結合される駆動ギヤであって、前記シャフトの動きに基づいて第1の軸線に沿って回転するように構成される駆動ギヤと、
第2の軸線に沿って配置され、前記駆動ギヤが回転する際の該駆動ギヤとの接触に基づいて前記第2の軸線に沿って回転するように構成される第1の複数のリンク部材と、
第3の軸線に沿って配置され、前記駆動ギヤが回転する際の該駆動ギヤとの接触に基づいて前記第3の軸線に沿って回転するように構成される第2の複数のリンク部材と、
前記第1の軸線に沿って回転するように構成されるリンク部材セレクターであって、該リンク部材セレクターは、ハンドルと一体に形成される円筒形本体を含み、該円筒形本体は、前記リンク部材セレクターの前記ハンドルを介した、前記第1の複数のリンク部材のうちの少なくとも1つのリンク部材に対応する位置の選択に基づいて、前記第1の複数のリンク部材のうちの前記少なくとも1つのリンク部材に第1の力を加えるように構成される少なくとも第1の突起部を含み、前記円筒形本体は、前記リンク部材セレクターの前記ハンドルを介した、前記第2の複数のリンク部材のうちの少なくとも1つのリンク部材に対応する位置の選択に基づいて、前記第2の複数のリンク部材のうちの前記少なくとも1つのリンク部材に第2の力を加えるように構成される少なくとも第2の突起部を含む、前記リンク部材セレクターと、
前記第1の複数のリンク部材のうちの少なくとも2つのリンク部材の対応する動きに基づいて、第1の軌道に沿って移動するように構成される右アームアセンブリと、
該右アームアセンブリに結合される第1の開創器ブレードと、
前記第1の複数のリンク部材のうちの少なくとも別の2つのリンク部材の対応する動きに基づいて、第2の軌道に沿って移動するように構成される左アームアセンブリと、
該左アームアセンブリに結合される第2の開創器ブレードと、
前記第2の複数のリンク部材のうちの少なくとも2つのリンク部材の対応する動きに基づいて、第3の軌道に沿って移動するように構成される中央アームと、
該中央アームに結合される第3の開創器ブレードと、
追跡マーカーを含む前記アレイであって、前記中央アームに解放可能に固定される前記アレイと、を含み、
前記コンピュータシステムは、前記手術用開創器のシミュレーションを表示画面に表示するように構成される、
システム。
【請求項10】
前記少なくとも1つのリンク部材にかかる前記第1の力によって、前記第1の複数のリンク部材のうちの前記少なくとも1つのリンク部材と、前記第1の複数のリンク部材のうちの別のリンク部材との間の結合が生じ、前記少なくとも1つのリンク部材にかかる前記第2の力によって、前記第2の複数のリンク部材のうちの前記少なくとも1つのリンク部材と、前記第2の複数のリンク部材のうちの別のリンク部材との間の結合が生じる、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
当該システムは、
前記第1の軸線に平行で且つオフセットされた第4の軸線に沿って配置される支柱と、
該支柱の第1の端部で当該システムに固定されるロック歯と、をさらに含み、
前記支柱には少なくとも1つのテーパー面が含まれる、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
当該システムは、関節式アームコネクタをさらに含み、
該関節式アームコネクタは、
開口部と、
テーパー面を含むボタンと、
ロック歯と、を含み、
前記開口部は、前記支柱を受容するように構成され、前記ボタンの前記テーパー面は、前記支柱の前記少なくとも1つのテーパー面とインターフェース接続するように構成され、前記支柱の前記ロック歯は、当該システムに固定される前記ロック歯と係合するように構成される、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記第2の軸線に沿って配置される前記第1の複数のリンク部材は、第1のリンク部材、第2のリンク部材、第3のリンク部材、及び第4のリンク部材を含み、前記第1のリンク部材と前記第2のリンク部材との間の結合は、前記第1のリンク部材の前記第2の軸線に沿った第1の位置から前記第2の軸線に沿った第2の位置への直線運動に基づいており、前記第3のリンク部材と前記第4のリンク部材との間の結合は、前記第3のリンク部材の前記第2の軸線に沿った第3の位置から前記第2の軸線に沿った第4の位置への直線運動に基づいており、前記第3の軸線に沿って配置される前記第2の複数のリンク部材は、第5のリンク部材及び第6のリンク部材を含み、前記第5のリンク部材と前記第6のリンク部材との間の結合は、前記第5のリンク部材の前記第3の軸線に沿った第1の位置から前記第3の軸線に沿った第2の位置への直線運動に基づく、請求項9に記載のシステム。
【請求項14】
前記マーカーは、半球形である、請求項9に記載のシステム。
【請求項15】
前記アレイは、6自由度のマーカーを含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項16】
前記アレイは、360度アレイである、請求項9に記載のシステム。
【請求項17】
手術用開創器と、
関節式アームコネクタと、
アレイを追跡し、該アレイの1つ又は複数の画像を、プロセッサを含むコンピュータシステムに送信するように構成される少なくとも1つのカメラと、を含むシステムであって、
前記手術用開創器は、
シャフトに結合される駆動ギヤであって、該シャフトの動きに基づいて第1の軸線に沿って回転するように構成される駆動ギヤと、
第2の軸線に沿って配置され、前記駆動ギヤが回転する際の該駆動ギヤとの接触に基づいて前記第2の軸線に沿って回転するように構成される第1の複数のリンク部材と、
第3の軸線に沿って配置され、前記駆動ギヤが回転する際の前記駆動ギヤとの接触に基づいて前記第2の軸線に沿って回転するように構成される第2の複数のリンク部材と、
前記第1の軸線に沿って回転するように構成されるリンク部材セレクターであって、該リンク部材セレクターは、ハンドルと一体に形成される円筒形本体を含み、該円筒形本体は、前記リンク部材セレクターの前記ハンドルを介した、前記第1の複数のリンク部材のうちの少なくとも1つのリンク部材に対応する位置の選択に基づいて、前記第1の複数のリンク部材のうちの前記少なくとも1つのリンク部材に第1の力を加えるように構成される少なくとも第1の突起部を含み、前記少なくとも1つのリンク部材にかかる前記第1の力によって、前記第1の複数のリンク部材のうちの前記少なくとも1つのリンク部材と、前記第1の複数のリンク部材のうちの別のリンク部材との間の結合が生じ、前記円筒形本体は、前記リンク部材セレクターの前記ハンドルを介した、前記第2の複数のリンク部材のうちの少なくとも1つのリンク部材に対応する位置の選択に基づいて、前記第2の複数のリンク部材のうちの前記少なくとも1つのリンク部材に第2の力を加えるように構成される少なくとも第2の突起部を含み、少なくとも1つのリンク部材にかかる第2の力によって、前記第2の複数のリンク部材のうちの前記少なくとも1つのリンク部材と、前記第2の複数のリンク部材のうちの別のリンク部材との間の結合が生じる、前記リンク部材セレクターと、
第1の軌道又は第2の軌道のいずれかに沿って移動するように構成される右アームアセンブリであって、前記第1の軌道は、前記第1の複数のリンク部材のうちの少なくとも2つのリンク部材の移動に対応しており、前記第2の軌道は、前記第2の複数のリンク部材のうちの少なくとも2つのリンク部材の移動に対応する、前記右アームアセンブリと、
該右アームアセンブリに結合される第1の開創器ブレードと、
前記第2の軌道又は第3の軌道のいずれかに沿って移動するように構成される左アームアセンブリであって、前記第3の軌道は、前記第1の複数のリンク部材のうちの少なくとも2つの他のリンク部材の移動に対応する、前記左アームアセンブリと、
該左アームアセンブリに結合される第2の開創器ブレードと、
前記第2の複数のリンク部材のうちの少なくとも2つの他のリンク部材の対応する動きに基づいて、第4の軌道に沿って移動するように構成される中央アームと、
該中央アームに結合される第3の開創器ブレードと、
前記第1の軸線に平行で且つオフセットされた第4の軸線に沿って配置される支柱と、
該支柱の第1の端部において当該システムに固定されるロック歯と、を含み、
前記支柱には少なくとも1つのテーパー面が含まれ、
前記関節式アームコネクタは、
開口部と、
テーパー面を含むボタンと、
ロック歯と、を含み、
前記開口部は、前記支柱を受容するように構成され、前記ボタンの前記テーパー面は、前記支柱の前記少なくとも1つのテーパー面とインターフェース接続するように構成され、前記支柱の前記ロック歯は、当該システムに固定される前記ロック歯と係合するように構成され、
前記コンピュータシステムは、前記手術用開創器のシミュレーションを表示画面に表示するように構成される、
システム。
【請求項18】
前記マーカーは、半球形である、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記アレイは、6自由度のマーカーを含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記アレイは、360度アレイである、請求項17に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、外科的処置中に使用するための組織牽引(retraction)システムを説明する。
【背景技術】
【0002】
医学界の注目すべきトレンドは、従来の「開腹」技術による手術の実施から、低侵襲性又は最小アクセス技術への移行である。開腹手術技術は、典型的に、手術標的部位に接近するために大きな切開部及び大量の組織変位を必要とし、同時に大量の痛み、長期入院(医療費の増大)、及び患者集団の高い罹患率を生み出すという点であまり望ましくない。低侵襲性手術技術(いわゆる「最小アクセス」及び「低侵襲性」技術を含む)は、組織変位要件が大幅に削減された実質的により小さいサイズの切開部を介して手術標的部位にアクセスすることを伴うという事実により、支持を得ている。
【0003】
現在利用可能なアクセスシステムでは、コンポーネントを複数の方向に作動させるため、又は開創器のアンカーポイントをある位置から別の位置に移動して、標的手術部位へのカスタマイズした露出を形成するために、複数の入力が必要である。外科医が、より速く、より簡単な方法で、標的手術部位への再現性のある、カスタマイズした露出を形成するのを可能にするアクセスシステムの必要性が存在する。
【発明の概要】
【0004】
一実施形態では、組織牽引システムは、シャフトに結合される駆動ギヤを含む。駆動ギヤは、シャフトの動きに基づいて第1の軸線に沿って回転するように構成される。組織牽引システムはまた、第2の軸線に沿って配置され、駆動ギヤが回転する際の駆動ギヤとの接触に基づいて第2の軸線に沿って回転するように構成される第1の複数のリンク部材を含む。組織牽引システムは、第3の軸線に沿って配置され、駆動ギヤが回転する際の駆動ギヤとの接触に基づいて第3の軸線に沿って回転するように構成される第2の複数のリンク部材を含む。組織牽引システムはまた、第1の軸線に沿って回転するように構成されるリンク部材セレクターを含む。リンク部材セレクターは、ハンドルと一体に形成される円筒形本体を含む。円筒形本体は、リンク部材セレクターのハンドルを介した、第1の複数のリンク部材のうちの少なくとも1つのリンク部材に対応する位置の選択に基づいて、第1の複数のリンク部材のうちの少なくとも1つのリンク部材に第1の力を加えるように構成される少なくとも第1の突起部を含む。円筒形本体は、リンク部材セレクターのハンドルを介した、第2の複数のリンク部材のうちの少なくとも1つのリンク部材に対応する位置の選択に基づいて、第2の複数のリンク部材のうちの少なくとも1つのリンク部材に第2の力を加えるように構成される少なくとも第2の突起部を含む。組織牽引システムはまた、第1の複数のリンク部材のうちの少なくとも2つのリンク部材の対応する動きに基づいて、第1の軌道に沿って移動するように構成される右アームアセンブリを含む。組織牽引システムはまた、右アームアセンブリに結合される第1の開創器ブレードを含む。組織牽引システムはまた、第1の複数のリンク部材のうちの少なくとも別の2つのリンク部材の対応する動きに基づいて、第2の軌道に沿って移動するように構成される左アームアセンブリを含む。組織牽引システムはまた、左アームアセンブリに結合される第2の開創器ブレードを含む。組織牽引システムはまた、第2の複数のリンク部材のうちの少なくとも2つのリンク部材の対応する動きに基づいて、第3の軌道に沿って移動するように構成される中央アームを含む。組織牽引システムはまた、中央アームに結合される第3の開創器ブレードを含む。組織牽引システムはアレイも含む。アレイには追跡マーカーが含まれている。アレイは中央アームに解放可能に固定される。
【0005】
一実施形態では、システムは、手術用開創器を含む。手術用開創器は、シャフトに結合される駆動ギヤを含む。駆動ギヤは、シャフトの動きに基づいて第1の軸線に沿って回転するように構成される。手術用開創器はまた、第2の軸線に沿って配置され、駆動ギヤが回転する際の駆動ギヤとの接触に基づいて第2の軸線に沿って回転するように構成される第1の複数のリンク部材を含む。手術用開創器はまた、第3の軸線に沿って配置され、駆動ギヤが回転する際の駆動ギヤとの接触に基づいて第3の軸線に沿って回転するように構成される第2の複数のリンク部材を含む。手術用開創器はまた、第1の軸線に沿って回転するように構成されるリンク部材セレクターを含む。リンク部材セレクターは、ハンドルと一体に形成される円筒形本体を含む。円筒形本体は、リンク部材セレクターのハンドルを介した、第1の複数のリンク部材のうちの少なくとも1つのリンク部材に対応する位置の選択に基づいて、第1の複数のリンク部材のうちの少なくとも1つのリンク部材に第1の力を加えるように構成される少なくとも第1の突起部を含む。円筒形本体は、リンク部材セレクターのハンドルを介した、第2の複数のリンク部材のうちの少なくとも1つのリンク部材に対応する位置の選択に基づいて、第2の複数のリンク部材のうちの少なくとも1つのリンク部材に第2の力を加えるように構成される少なくとも第2の突起部を含む。手術用開創器はまた、第1の複数のリンク部材のうちの少なくとも2つのリンク部材の対応する動きに基づいて、第1の軌道に沿って移動するように構成される右アームアセンブリを含む。手術用開創器はまた、右アームアセンブリに結合される第1の開創器ブレードを含む。手術用開創器はまた、第1の複数のリンク部材のうちの少なくとも別の2つのリンク部材の対応する動きに基づいて、第2の軌道に沿って移動するように構成される左アームアセンブリを含む。手術用開創器はまた、左アームアセンブリに結合される第2の開創器ブレードを含む。手術用開創器はまた、第2の複数のリンク部材のうちの少なくとも2つのリンク部材の対応する動きに基づいて、第3の軌道に沿って移動するように構成される中央アームを含む。手術用開創器はまた、中央アームに結合される第3の開創器ブレードを含む。手術用開創器はアレイも含む。アレイには追跡マーカーが含まれている。アレイは中央アームに解放可能に固定される。このシステムはまた、アレイを追跡し、アレイの1つ又は複数の画像を、プロセッサを含むコンピュータシステムに送信するように構成される少なくとも1つのカメラを含む。コンピュータシステムは、手術用開創器のシミュレーションを表示画面に表示するように構成される。
【0006】
一実施形態では、システムは、手術用開創器を含む。手術用開創器は、シャフトに結合される駆動ギヤを含む。駆動ギヤは、シャフトの動きに基づいて第1の軸線に沿って回転するように構成される。手術用開創器はまた、第2の軸線に沿って配置され、駆動ギヤが回転する際の駆動ギヤとの接触に基づいて第2の軸線に沿って回転するように構成される第1の複数のリンク部材を含む。手術用開創器はまた、第3の軸線に沿って配置され、駆動ギヤが回転する際の駆動ギヤとの接触に基づいて第2の軸線に沿って回転するように構成される第2の複数のリンク部材を含む。手術用開創器はまた、第1の軸線に沿って回転するように構成されるリンク部材セレクターを含み、リンク部材セレクターは、ハンドルと一体に形成される円筒形本体を含み、円筒形本体は、リンク部材セレクターのハンドルを介した、第1の複数のリンク部材のうちの少なくとも1つのリンク部材に対応する位置の選択に基づいて、第1の複数のリンク部材のうちの少なくとも1つのリンク部材に第1の力を加えるように構成される少なくとも第1の突起部を含む。少なくとも1つのリンク部材にかかる第1の力によって、第1の複数のリンク部材のうちの少なくとも1つのリンク部材と、第1の複数のリンク部材のうちの別のリンク部材との間の結合が生じる。円筒形本体は、リンク部材セレクターのハンドルを介した、第2の複数のリンク部材のうちの少なくとも1つのリンク部材に対応する位置の選択に基づいて、第2の複数のリンク部材のうちの少なくとも1つのリンク部材に第2の力を加えるように構成される少なくとも第2の突起部を含む。少なくとも1つのリンク部材にかかる第2の力によって、第2の複数のリンク部材のうちの少なくとも1つのリンク部材と、第2の複数のリンク部材のうちの別のリンク部材との間の結合が生じる。手術用開創器はまた、第1の軌道又は第2の軌道のいずれかに沿って移動するように構成される右アームアセンブリを含む。第1の軌道は、第1の複数のリンク部材のうちの少なくとも2つのリンク部材の移動に対応する。第2の軌道は、第2の複数のリンク部材のうちの少なくとも2つのリンク部材の移動に対応する。手術用開創器はまた、右アームアセンブリに結合される第1の開創器ブレードを含む。手術用開創器はまた、第2の軌道又は第3の軌道のいずれかに沿って移動するように構成される左アームアセンブリを含む。第3の軌道は、第1の複数のリンク部材のうちの少なくとも2つの他のリンク部材の移動に対応する。手術用開創器はまた、左アームアセンブリに結合される第2の開創器ブレードを含む。手術用開創器はまた、第2の複数のリンク部材のうちの少なくとも2つの他のリンク部材の対応する動きに基づいて、第4の軌道に沿って移動するように構成される中央アームを含む。手術用開創器はまた、中央アームに結合される第3の開創器ブレードを含む。手術用開創器はまた、第1の軸線に平行で且つオフセットされた第4の軸線に沿って配置される支柱(post)を含む。手術用開創器はまた、支柱の第1の端部でシステムに固定されるロック歯(locking teeth)を含み、支柱には少なくとも1つのテーパー面が含まれる。手術用開創器はまた、関節式アームコネクタを含む。関節式アームコネクタは、開口部、テーパー面を含むボタン、及びロック歯を含む。開口部は、支柱を受容するように構成される。ボタンのテーパー面は、支柱の少なくとも1つのテーパー面とインターフェース接続するように構成される。支柱のロック歯は、システムに固定されるロック歯と係合するように構成される。このシステムはまた、アレイを追跡し、アレイの1つ又は複数の画像を、プロセッサを含むコンピュータシステムに送信するように構成される少なくとも1つのカメラを含む。コンピュータシステムは、手術用開創器のシミュレーションを表示画面に表示するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明の多くの利点は、添付の図面と併せて本明細書を読むことにより当業者には明らかになり、図面では、同様の参照符号が同様の要素に適用される。
図1】本開示の一実施形態による、アセンブリの分解図である。
図2】本開示の一実施形態による、図1のアセンブリの別の図である。
図3】本開示の一実施形態による、図1のアセンブリの一部を示す図である。
図4】本開示の一実施形態による、図1のアセンブリの一部の上面図である。
図5】本開示の一実施形態による、図1のアセンブリの一部の底面図である。
図6】本開示の一実施形態による、図1のアセンブリの一部の底面図である。
図7】本開示の一実施形態による、図1のアセンブリの一部の底面図である。
図8】本開示の一実施形態による、図1のアセンブリの一部の底面図である。
図9】本開示の一実施形態による、図1のアセンブリの一部の底面図である。
図10】本開示の一実施形態による例示的なピニオンアセンブリを示す図である。
図11】本開示の一実施形態による、例示的な手術用開創器を示す図である。
図12】本開示の一実施形態による、例示的な組織牽引システムを示す図である。
図13】本開示の一実施形態による、例示的な組織牽引システムを示す図である。
図14】本開示の一実施形態による、図13の例示的な組織牽引システムの上面図である。
図15】本開示の一実施形態による、例示的な組織牽引システムの上面図である。
図16】本開示の一実施形態による、例示的な組織牽引システムを示す図である。
図17】本開示の一実施形態による、例示的なコンピュータシステムを示す図である。
図18】本開示の一実施形態による、例示的な光学追跡システムを示す図である。
図19】本開示の一実施形態による、例示的な光学追跡システム及びモバイルカードを示す図である。
図20】本開示の一実施形態による、別の例示的な組織牽引システムの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の例示的な実施形態について以下に説明する。明確化のために、実際の実施態様の全ての特徴をこの明細書で説明しているわけではない。もちろん、そのような実際の実施形態の開発において、ある実施態様から別の実施態様に変化するシステム関連及びビジネス関連の制約の遵守等、開発者の特定の目標を達成するために、多数の実施態様固有の決定を行わなければならないことは理解されよう。さらに、そのような開発努力は複雑で時間がかかり得るが、それにもかかわらず、本開示の利益を有する当業者にとって日常的な作業であることが理解されよう。さらに、主に脊椎手術の文脈内で以下に議論するが、本発明の手術アクセスシステムは、体全体に亘る任意の数の異なる外科的標的部位へのアクセスを提供するために、任意の数の解剖学的設定で使用され得る。本明細書では主に腰椎の側方手術の文脈内で示し、説明しているが、本発明のアクセスシステムは、後部、後外側、前外側、及び前外側へのアクセスを含むがこれに限定されない他の任意の数の脊椎手術アクセスアプローチに使用することができ、本発明から逸脱することなく、腰椎、胸椎、及び/又は頸椎全てに使用することができることにも明確に留意されたい。本明細書に開示する手術アクセスシステムは、個別に及び組み合わせて、特許保護を保証する様々な発明の特徴及び構成要素を有している。
【0009】
例示的な実施形態による手術アクセスシステムは、組織開創器を含む。本明細書で説明する開創器は、患者の組織を介して手術部位に挿入するように構成される、独立して又は同時に作動させることができる複数のブレードを有する。例示的な実施形態によれば、複数のブレードは、外科医のユーザによって決定されたカスタマイズしたサイズを有する手術用回廊を形成するために、独立して又は同時に移動することができる。さらに、複数のブレードの動きは、単一の入力ソースによって指示される。換言すれば、開創器は、ブレードが同時に作動されるか、又は各ブレードが独立して作動されるかに関係なく、各ブレードがそのブレードの動きのみを制御するそれ自体の入力機構を必要とするのとは対照的に、全てのブレードの動きを生じさせることができる単一の入力装置を含む。
【0010】
例示的な実施形態によれば、単一の入力ソースによって開創器ブレードを独立して又は同時に作動させる能力は、ユーザが複数の異なるブレード作動モードのうちの1つを選択できるようにすることによって達成される。例えば、開創器は、セレクター(selector)を5つの位置のうちの1つに位置付けすることによって作動される少なくとも5つのブレード作動モードを有し得る。例示的な実施形態によれば、これらの位置には、右ブレード作動位置、左ブレード作動位置、第1の軸線に沿った右ブレード及び左ブレードの組合せ作動位置、第2の軸線に沿った右ブレード及び左ブレードの組合せ作動位置、及び後部ブレードの作動位置が含まれ得る。一例では、単一の入力ソースは、5つの位置のうちの1つを選択するときに軸線に沿って回転するように構成される。
【0011】
本明細書で説明する例には、アセンブリを含む手術用開創器を外科的処置で使用するのを可能にするサブシステムが含まれる。一例では、アセンブリは、シャフトに取り付け可能及び取り外し可能なダイヤルを含む。この例では、シャフトは駆動ギヤに結合される。駆動ギヤは、ダイヤルの動きに基づいてアセンブリの第1の軸線に沿って回転するように構成される。この例では、アセンブリは、アセンブリの第2の軸線に沿って配置される第1のリンク(linking)部材も含む。第1のリンク部材は、ギヤを含み、ダイヤルの動きにより駆動ギヤが回転する際に、ギヤと駆動ギヤとの接触に基づいて第2の軸線を中心にして回転するように構成される。例として、ギヤ及び駆動ギヤはかさ歯車であり得る。アセンブリは、第2の軸線に沿って配置される第2のリンク部材も含む。第2のリンク部材は、駆動ギヤの回転、及び第1のリンク部材と第2のリンク部材との間の結合に基づいて、第2の軸線を中心にして回転するように構成される。一例では、第1のリンク部材と第2のリンク部材との間の結合は、第1のリンク部材の第1のロック(locking)要素と第2のリンク部材の第2のロック要素との嵌合に基づく。一例では、アセンブリは、アセンブリの第1の軸線を中心にして回転するように構成されるリンク部材セレクターを含む。リンク部材セレクターは、リンク部材セレクターを、第1のリンク部材に対応する位置に回転させるためのハンドルを含む。リンク部材セレクターは、ハンドルと一体に形成される円筒形本体を含む。円筒形本体は、円筒形本体の長手方向軸線に沿った開口部を含む。円筒形本体は突起部も含む。突起部は、第1のリンク部材に対応する位置の選択に基づいて、第1のリンク部材に力を加える(exert:及ぼす)ように構成される。第1のリンク部材にかかる力によって、第2の軸線に沿った第1のリンク部材の直線運動に基づいて、第1のリンク部材と第2のリンク部材との間の結合が生じる。開口部はシャフトを受容するように構成される。
【0012】
ここで図を参照すると、図1は、例示的なアセンブリ100の分解図を示している。アセンブリ100は、本体102を含む。本体102は、第1の軸線112に沿ってリンク部材セレクター120を受容するように構成される。リンク部材セレクター120は、固定具110を介して駆動ギヤ108に結合されるシャフト106を受容するように構成される。シャフト106は、ダイヤル104を受容するように構成される。本体102は、第2の軸線116に沿って第1のリンク部材114を受容するように構成される。本体102は、第2の軸線116に沿って第1のリンク部材114及び第2のリンク部材118を受容するように構成されるナット160を含む。第2のリンク部材118は、第1のリンク部材114を受容するように構成される。本体102は、第3の軸線132に沿って第3のリンク部材130を受容するように構成される。本体102は、中央アーム162を受容するように構成される。中央アーム162は、第3の軸線に沿って第3のリンク部材130及び第4のリンク部材134を受容するように構成される。第4のリンク部材134は、第3のリンク部材130を受容するように構成される。本体102は、第2の軸線116に沿って第5のリンク部材138を受容するように構成される。本体102は、第2の軸線116に沿って第5のリンク部材138及び第6のリンク部材140を受容するように構成されるナット164を含む。第6のリンク部材140は、第5のリンク部材138を受容するように構成される。本体102は、第3の軸線132に沿って第7のリンク部材142を受容するように構成される。本体102は、第3の軸線132に沿って第7のリンク部材142及び第8のリンク部材144を受容するように構成されるナット166を含む。第8のリンク部材144は、第7のリンク部材142を受容するように構成される。本体は、第4の軸線198に沿った支柱146を含む。図1に示されるように、第1の軸線112は第2の軸線116に直交しており、第2の軸線116は第3の軸線132に直交している。ただし、これらの軸線は、この例示的なアセンブリ100において互いに直交して示されているが、3つの軸線のそれぞれの間の他の角度が想定される。
【0013】
リンク部材セレクター120は、第1の軸線112を中心にしてリンク部材セレクター120を回転させるためのハンドル122を含む。リンク部材セレクター120は、ハンドル122と一体的に形成される円筒形本体124を含む。円筒形本体124は、円筒形本体124の長手方向軸線に沿った開口部126を含む。円筒形本体124は、図1に示される複数の突起部128、129、135、及び136と、図1に示されない突起部137及び139とを含む。リンク部材セレクター120は、リンク部材セレクター120を、少なくとも1つのリンク部材を選択するための位置に位置合わせし、その位置に対応する本体102上のマーキング(図示せず)を見るためのポインタ123及びウィンドウ125を含む。一例では、ポインタ123は、少なくとも1つのリンク部材を選択する位置に整列するように構成される。この例では、少なくとも1つのリンク部材を選択するための1つ又は複数の位置に対応する1つ又は複数のマーキング(図示せず)が、本体102の周囲に沿って配置される。この例を続けると、リンク部材セレクター120を、第1の軸線112を中心にして所与のマーキングに関連付けられた所与の位置に回転する際に、本体102の周囲に沿った1つ又は複数のマーキングは、ウィンドウ125を通して見ることができる。一例では、ハンドル122を使用して、リンク部材セレクター120を、リンク部材114、130、138、及び142のうちの少なくとも1つのリンク部材を選択する位置に回転させる。選択した位置に基づいて、複数の突起部128、129、135、136、137、及び139のうちの少なくとも1つの突起部は、リンク部材114、130、138、及び142のうちの少なくとも1つのリンク部材に力を加える。
【0014】
例えば、第1のリンク部材114の所望の選択に基づいて、リンク部材セレクター120は、第1の軸線112を中心にして、第1のリンク部材114に対応する所与の位置まで回転される。第1のリンク部材114の選択の結果として、突起部135は、第1のリンク部材114に力を加える。第1のリンク部材114に加えられる力により、第1のリンク部材114は、第2の軸線116に沿って第1の位置から第2の位置に直線的に移動する。この例では、第1のリンク部材114の第1の位置から第2の位置への直線運動によって、第1のリンク部材114と第2のリンク部材118との間の結合が生じる。別の例では、リンク部材セレクター120の回転及び第3のリンク部材130の選択に基づいて、突起部137(図示せず)は、第3のリンク部材130に力を及ぼし、第3のリンク部材130を第3の軸線132に沿って直線的に移動させる。この例では、第3のリンク部材130の第3の軸線132に沿った第1の位置から第2の位置への直線運動によって、第3のリンク部材130と第4のリンク部材134との間の結合が生じる。別の例では、リンク部材セレクター120の回転及び第5のリンク部材138の選択に基づいて、複数の突起部128、129、135、136、及び139(図示せず)のうちの1つは、第5のリンク部材138に力を及ぼして、第5のリンク部材138を第2の軸線116に沿って直線的に移動させる。この例では、第5のリンク部材138の第2の軸線116に沿った第3の位置から第4の位置への直線運動によって、第5のリンク部材138と第6のリンク部材140との間の結合が生じる。別の例では、リンク部材セレクター120の回転及び第7のリンク部材142の選択に基づいて、突起部137は、第7のリンク部材142に力を及ぼして、第7のリンク部材142を第3の軸線132に沿って直線的に移動させる。この例では、第7のリンク部材142の第3の軸線132に沿った第3の位置から第4の位置への直線運動によって、第7のリンク部材142と第8のリンク部材144との間の結合が生じる。
【0015】
図1に示されるように、リンク部材セレクター120の開口部126は、シャフト106を受容するように構成される。一例では、開口部126の直径及びシャフト106の直径は、シャフト106が開口部126内で第1の軸線112を中心として回転できるようにそれに応じて寸法決めされる。一例では、シャフト106の回転は、ダイヤル104をシャフト106に結合するときのダイヤル104の動きによって達成される。シャフト106の回転によって、駆動ギヤ108及びリンク部材114、130、138、及び142をさらに回転させる。
【0016】
ばね152が、第1のリンク部材114と第2のリンク部材118との間に挿入される。ばね154が、第3のリンク部材130と第4のリンク部材134との間に挿入される。ばね156が、第5のリンク部材138と第6のリンク部材140との間に挿入される。ばね158が、第7のリンク部材142と第8のリンク部材144との間に挿入される。一例では、ばね152、154、156、及び158のそれぞれは、圧縮ばねとして動作するように構成される。この例では、ばね152、154、156、及び158は、2つの隣接するリンク部材の間の距離を維持して、それらリンク部材が互いに結合するのを防ぐために、隣接するリンク部材の間に所定の抵抗を与えるように構成される。この例を続けると、ばね152、154、156、及び158はまた、複数の突起部128、129、135、136、137、及び139のうちの少なくとも1つによって、リンク部材114、130、138、及び142のうちの少なくとも1つに加えられる力に基づいて圧縮するように構成される。例えば、2つの隣接するリンク部材(例えば、第1のリンク部材114及び第2のリンク部材118)は、リンク部材セレクター120の位置の結果として所与のリンク部材(例えば、リンク部材114)に加えられる力に応じて、所与のばね(例えば、ばね152)の所定の圧縮量に従って連動する(interlock)ように構成される。
【0017】
ナット160は、第2のリンク部材118のねじ部分と係合するように構成される雌ねじ部分を含む。一例では、リンク部材セレクター120は、第1のリンク部材114の選択に対応する位置に回転され、それにより、上記のように、第1のリンク部材114と第2のリンク部材118との間の結合が生じる。この例では、ダイヤル104は、第1の軸線112を中心にして時計回りに回転し、それにより、第1の軸線112を中心にして駆動ギヤ108を時計回りに回転させ、第2の軸線を中心にして第1のリンク部材114を回転させる。この例を続けると、第1のリンク部材114と第2のリンク部材118との間の結合の結果として、第2のリンク部材118も第2の軸線116を中心にして回転する。ナット160の雌ねじ部分と第2のリンク部材118のねじ部分との接触に基づいて、第2のリンク部材118の回転運動は、ナット160の第2の軸線116に沿って本体102から離れる方向の直線運動に変換される。この例では、ダイヤル104が第1の軸線112を中心にして反時計回りに回転する際に、第2のリンク部材118の回転運動は、ナット160の第2の軸線116に沿って本体102に向かう直線運動に変換される。
【0018】
中央アーム162は、第4のリンク部材134のねじ部分と係合するように構成される雌ねじ部分を含む。一例では、リンク部材セレクター120は、第3のリンク部材130の選択に対応する位置に回転され、それにより、上記のように、第3のリンク部材130と第4のリンク部材134との間の結合が生じる。この例では、ダイヤル104は、第1の軸線112を中心にして時計回りに回転され、それにより、第1の軸線112を中心にして駆動ギヤ108を時計回りに回転させ、第3の軸線132を中心にして第3のリンク部材130を回転させる。この例を続けると、第3のリンク部材130と第4のリンク部材134との間の結合の結果として、第4のリンク部材134も第3の軸線132を中心に回転する。中央アーム162の雌ねじ部分と第4のリンク部材134のねじ部分との接触に基づいて、第4のリンク部材134の回転運動は、中央アーム162の第3の軸線132に沿って本体102から離れる方向の直線運動に変換される。この例では、ダイヤル104が第1の軸線112を中心にして反時計回りに回転する際に、第4のリンク部材134の回転運動は、中央アーム162の第3の軸線軸132に沿って本体102に向かう直線運動に変換される。
【0019】
ナット164は、第6のリンク部材140のねじ部分と係合するように構成される雌ねじ部分を含む。一例では、リンク部材セレクター120は、第5のリンク部材138の選択に対応する位置に回転され、それにより、上記のように、第5のリンク部材138と第6のリンク部材140との間の結合が生じる。この例では、ダイヤル104は、第1の軸線112を中心にして時計回りに回転され、それにより、第1の軸線112を中心にして駆動ギヤ108を時計回りに回転させ、第2の軸線116を中心にして第5のリンク部材138を回転させる。この例を続けると、第5のリンク部材138と第6のリンク部材140との間の結合の結果として、第6のリンク部材140も第2の軸線116を中心にして回転する。ナット164の雌ねじ部分と第6のリンク部材140のねじ部分との接触に基づいて、第6のリンク部材140の回転運動は、ナット164の第2の軸線116に沿って本体102から離れる方向の直線運動に変換される。この例では、ダイヤル104が第1の軸線112を中心にして反時計回りに回転する際に、第2のリンク部材138の回転運動は、ナット164の第2の軸線116に沿って本体102に向かう直線運動に変換される。
【0020】
ナット166は、第8のリンク部材144のねじ部分と係合するように構成される雌ねじ部分を含む。一例では、リンク部材セレクター120は、第7のリンク部材142の選択に対応する位置に回転され、それにより、上記のように、第7のリンク部材142と第8のリンク部材144との間の結合が生じる。この例では、ダイヤル104は、第1の軸線112を中心にして時計回りに回転され、それにより、第1の軸線112を中心にして駆動ギヤ108を時計回りに回転させ、第3の軸線132を中心にして第7のリンク部材142を回転させる。この例を続けると、第7のリンク部材142と第8のリンク部材144との間の結合の結果として、第8のリンク部材144も第3の軸線132を中心にして回転する。ナット166の雌ねじ部分と第8のリンク部材144のねじ部分との接触に基づいて、第8のリンク部材144の回転運動は、ナット166の第3の軸線132に沿って本体102に向かう直線運動に変換される。この例では、ダイヤル104が第1の軸線112を中心にして反時計回りに回転する際に、第8のリンク部材144の回転運動は、ナット166の第3の軸線132に沿って本体102から離れる方向の直線運動に変換される。
【0021】
一例では、リンク部材セレクター120は、第1のリンク部材114の選択及び第5のリンク部材138の選択に対応する本体102上の位置に回転される。この例では、第1の力が、突起部128、129、135、136、及び139のうちの1つによって第1のリンク部材114に及ぼされ、第2の力が、突起部128、129、135、136、及び139のうちの別の1つによって第5のリンク部材138に及ぼされる。上記のように、第1の力によって、第1のリンク部材114と第2のリンク部材118との間の結合が生じる。また、上記のように、第2の力によって、第5のリンク部材138と第6のリンク部材140との間の結合が生じる。この例を続けると、ダイヤル104は、第1の軸線112を中心にして時計回りに回転され、それにより、第1の軸線112を中心にして駆動ギヤ108を時計回りに回転させ、第2の軸線116を中心にして第1のリンク部材114及び第5のリンク部材14を同時に回転させる。この例では、第1のリンク部材114と第2のリンク部材118との間の結合、及び第5のリンク部材138と第6のリンク部材140との間の結合の結果として、第2のリンク部材118及び第6のリンク部材140も第2の軸線116を中心にして回転する。ナット160の雌ねじ部分と第2のリンク部材118のねじ部分との接触、及びナット164の雌ねじ部分と第6のリンク部材140のねじ部分との接触に基づいて、第2のリンク部材118及び第6のリンク部材140の回転運動は、ナット160及びナット164の第2の軸線116に沿って本体102から離れる方向の直線運動に変換される。この例では、ダイヤル104が第1の軸線112を中心にして反時計回りに回転する際に、第2のリンク部材118及び第6のリンク部材140の回転運動は、ナット160及びナット164の第2の軸線116に沿って本体102に向かう直線運動に変換される。
【0022】
図1に示されるように、支柱146が、本体102に結合される。回転防止機能150が、支柱146の第1の端部で本体102に固定される。一例では、支柱146は、アセンブリ100を、外科的処置中にアセンブリ100を固定位置に固定するための外部アーム(図示せず)に取り付けるように構成される。一例では、外部アームは、各セクションが異なる方向に独立して曲がる又は回転するのを可能にするジョイントによって接続された1つ又は複数のセクションを含む関節式アームである。
【0023】
図2は、図1のアセンブリ100の組立図を示している。図2に示されるように、リンク部材セレクター120は、第7のリンク部材142(図示せず)に対応する位置にある。この位置では、第1の軸線112を中心としたダイヤル104の回転に基づいて、第1の軸線112を中心とした駆動ギヤ108(図示せず)の回転運動、第3の軸線132を中心とした第7のリンク部材142の回転運動、及び第3の軸線132を中心とした第8のリンク部材144(図示せず)の回転運動は、上記のように、ナット166の第3の軸線132に沿った直線運動に変換される。
【0024】
図3は、図1のリンク部材セレクター120の図を示している。図3に示されるように、リンク部材セレクター120は、円筒形本体124に沿って配置される複数の突起部128、129、135、136、137、及び139を含む。一例では、突起部137は、円筒形本体124の全長に沿って延びるように構成される。この例では、第1の軸線116に沿った第3のリンク部材130の接触位置及び第1の軸線116に沿った第7のリンク部材142の接触位置は、突起部135、136、及び139のそれぞれに対応する接触位置の上にある、第1の軸線112に沿った位置にある。第1の軸線112に沿った第3のリンク部材130の接触位置と、第1の軸線112に沿った突起部135、136、及び139のそれぞれに対応する接触位置との差によって、突起部137のみが第3のリンク部材130の接触位置に力を加えることが可能になる。第3のリンク部材130に加えられる力によって、上記のように、第3のリンク部材130と第4のリンク部材134との間の結合が生じる。同様に、第1の軸線112に沿った第7のリンク部材142の接触位置と、第1の軸線112に沿った突起部135、136、及び139のそれぞれに対応する接触位置との差によって、突起部137のみが第7のリンク部材142の接触位置に力を加えることが可能になる。第7のリンク部材142に加えられる力によって、上記のように、第7のリンク部材142と第8のリンク部材144との間の結合が生じる。
【0025】
別の例では、第1の軸線112に沿った第1のリンク部材114の接触位置及び第1の軸線112に沿った第5のリンク部材138の接触位置は、第1の軸線112に沿った突起部135、136、及び139に対応する接触位置と同じ位置にある。この例では、対応する位置によって、突起部135、136、及び139のみが、第1のリンク部材114の接触位置に力を加えることができる。第1のリンク部材114に加えられる力によって、上記のように、第1のリンク部材114と第2のリンク部材118との間の結合が生じる。同様に、第5のリンク部材138の接触位置及び突起部135、136、及び139に対応する接触位置の第1の軸線112に沿った同じ位置によって、突起部135、136、及び139のみが、第5のリンク部材138の接触位置に力を加えることができる。第5のリンク部材138に加えられる力によって、上記のように、第5のリンク部材138と第6のリンク部材140との間の結合が生じる。
【0026】
図4は、図1のアセンブリ100の構成要素のサブセットの上面図を示している。図4に示されるように、リンク部材セレクター120は、第1のリンク部材114(図示せず)に対応する位置に回転している。第1のリンク部材114は、第2の軸線116に沿って配置され、駆動ギヤ108が回転する際の図1の駆動ギヤ108(図示せず)との接触に基づいて回転するように構成される第1のギヤ168を含む。第1のリンク部材114は、第1のギヤ168から延びるロック歯170を含む。第2のリンク部材118は、第2のリンク部材118から延びるロック歯172を含む。図4に示されるように、第2のリンク部材118から延びるロック歯172は、第1のリンク部材118の第2の軸線116に沿った第1の位置から第2の軸線116に沿った第2の位置への直線運動に基づいて、第1のギヤ168から延びるロック歯170と噛み合うように構成される。このシナリオでは、第2のリンク部材118から延びるロック歯172は、第1のリンク部材118の第2の軸線116に沿った第2の位置から第2の軸線116に沿った第1の位置への直線運動に基づいて、第1のギヤ168から延びるロック歯170から分離するように構成される。一例では、第2のリンク部材118は、駆動ギヤ108の回転、及び第1のリンク部材114と第2のリンク部材118との間の結合に基づいて、回転運動を直線運動に変換するように構成される親ねじを含む。
【0027】
図5は、図4の上面図に対応する底面図を示している。図5に示されるように、第3のリンク部材130は、第3の軸線132に沿って配置され、駆動ギヤ108が回転する際の図1の駆動ギヤ108(図示せず)との接触に基づいて回転するように構成される第2のギヤ180を含む。第3のリンク部材130は、第2のギヤ180から延びるロック歯182を含む。第4のリンク部材134は、ロック歯184を含む。第4のリンク部材134から延びるロック歯184は、第3のリンク部材130の第3の軸線132に沿った第1の位置から第3の軸線132に沿った第2の位置への直線運動に基づいて、第2のギヤ180から延びるロック歯182と噛み合うように構成される。第4のリンク部材134から延びるロック歯184は、第3のリンク部材130の第3の軸線132に沿った第2の位置から第3の軸線132に沿った第1の位置への直線運動に基づいて、第2のギヤ180から延びるロック歯182から係合解除するように構成される。一例では、第4のリンク部材134は、駆動ギヤ108の回転、及び第3のリンク部材130と第4のリンク部材134との間の結合に基づいて、回転運動を直線運動に変換するように構成される親ねじを含む。
【0028】
図5に示されるように、第5のリンク部材138は、第2の軸線116に沿って配置され、駆動ギヤ108が回転する際の図1の駆動ギヤ108との接触に基づいて回転するように構成される第3のギヤ174を含む。第5のリンク部材138は、第3のギヤ174から延びるロック歯176を含む。第6のリンク部材140はロック歯178も含む。図5に示されるように、第6のリンク部材140から延びるロック歯178は、第5のリンク部材138の第2の軸線116に沿った第3の位置から第2の軸線116に沿った第4の位置への直線運動に基づいて、第3のギヤから延びるロック歯176と噛み合うように構成される。ロック歯176、178は、第5のリンク部材138の第2の軸線116に沿った第4の位置から第2の軸線116に沿った第3の位置への直線運動に基づいて、係合解除するように構成される。
【0029】
図5に示されるように、第7のリンク部材142は、第3の軸線132に沿って配置され、駆動ギヤ108が回転する際の図1の駆動ギヤ108との接触に基づいて回転するように構成される第4のギヤ186を含む。第7のリンク部材142は、第4のギヤ186から延びるロック歯188を含む。第8のリンク部材144はロック歯190も含む。ロック歯188、190は、第7のリンク部材142の第3の軸線132に沿った第3の位置から第3の軸線132に沿った第4の位置への直線運動に基づいて、噛み合うように構成される。ロック歯188、190は、第7のリンク部材142の第3の軸線132に沿った第4の位置から第3の軸線132に沿った第3の位置への直線運動に基づいて、係合解除するように構成される。
【0030】
図6は、図1及び図5のアセンブリ100の構成要素のサブセットの底面図を示している。図6に示されるように、リンク部材セレクター120は、第3のリンク部材130に対応する位置に回転している。このシナリオでは、図6に示されるように、第4のリンク部材から延びるロック歯184は、第3のリンク部材130の第3の軸線132に沿った第1の位置から第3の軸線132に沿った第2の位置への直線運動に基づいて、第2のギヤ180から延びるロック歯182と噛み合うように構成される。このシナリオでは、ロック歯182、184は、第3のリンク部材130の第3の軸線132に沿った第2の位置から第3の軸線132に沿った第1の位置への直線運動に基づいて、係合解除するように構成される。
【0031】
図7は、図1及び図5のアセンブリ100の構成要素のサブセットの底面図を示している。図7に示されるように、リンク部材セレクター120は、第5のリンク部材138に対応する位置に回転している。このシナリオでは、図7に示されるように、ロック歯176、178は、第5のリンク部材138の第2の軸線116に沿った第3の位置から第2の軸線116に沿った第4の位置への直線運動に基づいて、噛み合うように構成される。このシナリオでは、ロック歯176、178は、第5のリンク部材138の第2の軸線116に沿った第4の位置から第2の軸線116に沿った第3の位置への直線運動に基づいて、係合解除するように構成される。
【0032】
図8は、図1及び図5のアセンブリ100の構成要素のサブセットの底面図を示している。図8に示されるように、リンク部材セレクター120は、第7のリンク部材142に対応する位置に回転している。このシナリオでは、図8に示されるように、(第8のリンク部材)144から延びるロック歯190は、第7のリンク部材142の第3の軸線132に沿った第3の位置から第3の軸線132に沿った第4の位置への直線運動に基づいて、第7のリンク部材142から延びるロック歯188と噛み合うように構成される。このシナリオでは、ロック歯188、190は、第7のリンク部材142の第3の軸線132に沿った第4の位置から第3の軸線132に沿った第3の位置への直線運動に基づいて係合解除するように構成される。
【0033】
図9は、図1及び図5のアセンブリ100の構成要素のサブセットの底面図を示している。図9に示されるように、リンク部材セレクター120は、第1のリンク部材114及び第5のリンク部材138に対応する位置に回転している。このシナリオでは、第2のリンク部材118から延びるロック歯172は、上記のように、第1のギヤ168から延びるロック歯170と噛み合うか、又はロック歯170から係合解除するように構成される。さらに、このシナリオでは、第6のリンク部材140から延びるロック歯178は、上記のように、第3のギヤ174から延びるロック歯176と噛み合うか、又はるロック歯176から係合解除するように構成される。
【0034】
図10は、ピニオンサブアセンブリ1000の例を示している。ピニオンサブアセンブリ1000は、リンク部材1002、ばね1004、ギヤ1006、及び保持要素1010を含む。ギヤ1006はロック歯1008を含む。リンク部材1002は、ばね1004、ギヤ1006、及び保持要素1010を受容するように構成される。保持要素1010は、ばね1004及びギヤ1006がリンク部材1002に沿って所与の位置を超えて前進するのを抑えるように構成される。
【0035】
一例では、リンク部材114、130、138、及び142は、上記のように、ピニオンサブアセンブリ1000の全ての構成要素を含む。この例では、リンク部材1002は、リンク部材114、130、138、及び142に関して説明したのと同様な方法で動作する。この例を続けると、ギヤ1006及びロック歯1008もまた、第1のギヤ168及びロック歯170、第2のギヤ180及びロック歯182、第3のギヤ174及びロック歯176、並びに第4のギヤ186及びロック歯188それぞれに関して説明したのと同様な方法で動作する。さらに、この例では、ばね1004は、突起部(例えば、図3の突起部128、129、135、136、137、及び139のうちの1つ)によって、リンク部材1002(例えば、図1のリンク部材114、130、138、142のうちの1つ)に加えられる力に基づいて、及びロック歯1008の別のリンク部材のロック歯に対する回転位置に基づいて、圧縮するように構成される。
【0036】
1つのシナリオでは、図5を参照すると、第1のリンク部材114が第1の軸線116に沿って第2のリンク部材118に向けて直線的に移動する際に、ロック歯170の先端及びロック歯172の先端が第2の軸線116に沿って所与の回転位置にあり、次に、図5に示されるように、ロック歯170及び172が、互いに噛み合うことができない可能性がある。さらに、リンク部材セレクター120もまた、ロック歯170及び172の先端によってロック歯170及び172が噛み合うのが防止されることに基づいて、この位置で一時的にスタックする可能性がある。このシナリオを克服するために、図10に戻ると、リンク部材1002が直線軸線に沿って別のリンク部材に向けて移動する際に、ばね1004が圧縮される一方、ロック歯1008の先端が、別のリンク部材のロック歯の先端と、ロック歯1008が別のリンク部材のロック歯と噛み合うのを防ぐ回転位置でぶつかる。このシナリオでは、ダイヤル104及び駆動ギヤ108の回転時に、ロック歯1008(例えば、図5のロック歯170)は、ロック歯1008の先端がもはや別のリンク部材に対応するロック歯の先端と直接接触していないのに十分な位置の軸線の周りを回転するだろう。このシナリオを続けると、リンク部材1002の回転運動に基づいて、ばね1004に蓄えられた機械的エネルギーが解放され、それにより、リンク部材1002(例えば、図5のリンク部材114)を、直線軸線に沿って、別のリンク部材(例えば、図5のリンク部材118)のロック歯1008(例えば、図5のロック歯172)と噛み合うのを可能にする所与の位置にさらに移動させる。
【0037】
図11は、例示的な手術用開創器200を示している。手術用開創器200は、図1のアセンブリ100、右アームアセンブリ202、及び左アームアセンブリ204を含む。図11に示されるように、右アームアセンブリ202はチャネル206を含む。チャネル206は、図1のナット160に結合されるピン208を受容するように構成される。右アームアセンブリ202は、図1のナット166に結合されるピン210を受容するための開口部を含む。左アームアセンブリ204はチャネル212を含む。チャネル212は、図1のナット164に結合されるピン214を受容するように構成される。左アームアセンブリ204は、図1のナット166に結合されるピン210も受容するための開口部を含む。
【0038】
一例では、第1のリンク部材114(図示せず)に対応するリンク部材セレクター120の位置及び上記のようなダイヤル104の回転に基づいて、ナット160は、第2の軸線116を中心にして本体102から離れる、又は本体102に向けて移動するように構成される。この例では、右アームアセンブリ202は、ピン210の周りを旋回するように構成される右アームアセンブリ202に加えて、ピン208によって右アームアセンブリ202に加えられる力に基づいて、本体102から離れる、又は本体102に向けて移動するように構成される。
【0039】
一例では、第7のリンク部材142(図示せず)に対応するリンク部材セレクター120の位置及び上記のようなダイヤル104の回転に基づいて、ナット166は、第3の軸線132を中心にして本体102から離れる、又は本体102に向けて移動するように構成される。この例では、右アームアセンブリ202及び左アームアセンブリ204は、ピン210によって右アームアセンブリ202及び左アームアセンブリ204に加えられる力に基づいて、本体102から離れる、又は本体102に向けて移動するように構成される。
【0040】
一例では、第5のリンク部材138(図示せず)に対応するリンク部材セレクター120の位置及び上記のようなダイヤル104の回転に基づいて、ナット164は、第2の軸線116に沿って本体102から離れる、又は本体102に向けて移動するように構成される。この例では、左アームアセンブリ204は、ピン210の周り旋回するように構成される左アームアセンブリ204に加えて、ピン214によって左アームアセンブリ204に加えられる力に基づいて、本体102から離れる、又は本体102に向けて移動するように構成される。
【0041】
一例では、第1のリンク部材114及び第5のリンク部材138(図示せず)に対応するリンク部材セレクター120の位置及び上記のようなダイヤル104の回転に基づいて、ナット160及びナット164は、第2の軸線116に沿って本体102から離れる、本体102に向けて移動するように構成される。この例では、右アームアセンブリ202及び左アームアセンブリ204は、ピン208によって右アームアセンブリ202に加えられる力、ピン210によって左アームアセンブリ204に加えられる力、ピン210の周りに旋回するように構成される右アームアセンブリ202、ピン210の周りに旋回するように構成される左アームアセンブリ204に基づいて、本体102から離れる、又は本体102に向けて移動するように構成される。一例では、右アームアセンブリ202、左アームアセンブリ204、及び中央アーム162はそれぞれ、外科的処置中に使用するための開創器ブレードを受容するように構成される。
【0042】
図12は、例示的な手術用開創器200及び例示的な関節式アームコネクタ300を示している。関節式アームコネクタ300は、ボタン302、開口部304、及びロック歯306を含む。
【0043】
開口部304は、第4の軸線198に沿って支柱146を受容するように構成される。ロック歯306は、ロック歯150と噛み合うように構成される。図12に示されるように、関節式アームコネクタ300は、手術用開創器200の単一ポイントに取り付けるように構成される。手術用開創器200への単一ポイントの取付けによって、外科的処置中に必要とされる時間を短縮することができる。
【0044】
ボタン302は、係合状態でばね負荷がかけられている。ボタン302はまた、面取り(図示せず)にリード線を有しており、開口部304が支柱146を受容するときにそのボタン302を押し下げることを可能にする。これにより、ボタンを押さなくても、関節式アームコネクタ300を手術用開創器200に取り付けることができる。ボタン302は、支柱146のテーパー付きカット面とインターフェース接続する嵌合テーパー面を有する。そのテーパーは、部品を一緒に他のテーパー内に引き込み、それにより、関節式アームコネクタ306と手術用開創器200との間の動きを排除する。関節式アームコネクタ300を手術用開創器200から切り離すために、ボタンが押され、関節式アームコネクタ300が手術用開創器200から分離される。一例では、関節式アームコネクタ300は、テーパーを利用して、しっかりとフィットするために、3つの平面全て(例えば、x、y、及びz))における遊びを低減する。
【0045】
図13は、開創位置に開創器ブレード402、404、及び406を備えた手術用開創器200の例を示している。上記のように、例示的な手術用開創器200は、図1のアセンブリ100を含む。
【0046】
一実施形態では、手術用開創器200は、右アームアセンブリ202に結合される第1の開創器ブレード402、左アームアセンブリ204に結合される第2の開創器ブレード404、及び中央アーム162に結合される第3の開創器ブレード406を含む。一例では、手術用開創器200は、シャフト(例えば、図1のシャフト106)に結合される駆動ギヤ(例えば、図1の駆動ギヤ108)を含む。駆動ギヤは、図1図9を参照して上で説明したように、シャフトの動きに基づいて、第1の軸線(例えば、図1の第1の軸線112)に沿って回転するように構成される。
【0047】
一例では、手術用開創器200は、第2の軸線(例えば、図1の第2の軸線116)に沿って配置される第1の複数のリンク部材(例えば、図1のリンク部材114、118、138、及び140)を含む。第1の複数のリンク部材は、駆動ギヤが回転する際の駆動ギヤとの接触に基づいて第2の軸線に沿って回転するように構成される。
【0048】
一例では、第2の軸線に沿って配置される第1の複数のリンク部材は、第1のリンク部材(例えば、リンク部材114)、第2のリンク部材(例えば、リンク部材118)、第3のリンク部材(例えば、リンク部材138)、及び第4のリンク部材(例えば、リンク部材140)を含む。この例では、図4及び図5に示されるように、第1のリンク部材と第2のリンク部材との間の結合は、第1のリンク部材の第2の軸線に沿った第1の位置から第2の軸線に沿った第2の位置への直線運動に基づく。この例を続けると、図7に示されるように、第3のリンク部材と第4のリンク部材との間の結合は、第3のリンク部材の第2の軸線に沿った第3の位置から第2の軸線に沿った第4の位置への直線運動に基づく。
【0049】
一例では、第1のリンク部材は、第2の軸線に沿って配置され、駆動ギヤが回転する際の駆動ギヤとの接触に基づいて回転するように構成される第1のギヤ(例えば、図5の第1のギヤ168)を含む。第1のリンク部材はまた、第1のギヤに関連する第1のロック要素(例えば、図5のロック歯170)を含む。この例を続けると、第2のリンク部材は、第1のロック要素と噛み合うか、又は第1のロック要素から係合解除するように構成される第2のロック要素(例えば、図5のロック歯172)を含む。1つのシナリオでは、図4及び図5に示されるように、第2のロック要素は、第1のリンク部材の第2の軸線に沿った第1の位置から第2の軸線に沿った第2の位置への直線運動に基づいて、第1のロック要素と噛み合うように構成される。このシナリオでは、図6に示されるように、第2のロック要素は、第1のリンク部材の第2の軸線に沿った第2の位置から第2の軸線に沿った第1の位置への直線運動に基づいて、第1のロック要素から係合解除するように構成される。
【0050】
一例では、第3のリンク部材は、第2の軸線に沿って配置され、駆動ギヤが回転する際の駆動ギヤとの接触に基づいて回転するように構成される第2のギヤ(例えば、図5の第3のギヤ168)を含む。第3のリンク部材はまた、第2のギヤに関連する第3のロック要素(例えば、図5のロック歯176)を含む。この例を続けると、第4のリンク部材は、第3のロック要素と噛み合うか、又は第3のロック要素から係合解除するように構成される第4のロック要素(例えば、図5のロック歯178)を含む。1つのシナリオでは、図7に示されるように、第4のロック要素は、第3のリンク部材の第2の軸線に沿った第3の位置から第2の軸線に沿った第4の位置への直線運動に基づいて、第3のロック要素と噛み合うように構成される。このシナリオでは、図8に示されるように、第4のロック要素は、第3のリンク部材の第2の軸線に沿った第4の位置から第2の軸線に沿った第3の位置への直線運動に基づいて、第3のロック要素から係合解除するように構成される。
【0051】
一例では、手術用開創器200は、第1のリンク部材と第2のリンク部材との間に挿入される第1のばね(例えば、図10のばね1004)を含む。一例では、手術用開創器200はまた、第3のリンク部材と第4のリンク部材との間に挿入される第2のばね(例えば、図10のばね1004)を含む。
【0052】
一例では、手術用開創器200は、第1の軸線に沿って回転するように構成されるリンク部材セレクター(例えば、図3のリンク部材セレクター120)を含む。リンク部材セレクターは、ハンドル(例えば、図3のハンドル122)と一体的に形成される円筒形本体(例えば、図3の円筒形本体124)を含む。一例では、円筒形本体は、少なくとも1つの突起部(例えば、図3の突起部128、129、135、136、137、及び139)を含む。
【0053】
一例では、円筒形本体の少なくとも1つの突起部は、リンク部材セレクターのハンドルを介した、少なくとも1つのリンク部材に対応する位置の選択に基づいて、第1の複数のリンク部材のうちの少なくとも1つのリンク部材に力を加えるように構成される。この例では、少なくとも1つのリンク部材にかかる力によって、上記のように、少なくとも1つのリンク部材と、第1の複数のリンク部材のうちの別のリンク部材との間の結合が生じる。
【0054】
第2の実施形態では、手術用開創器200は、第2の軸線(例えば、図1の第2の軸線116)に沿って配置され、駆動ギヤが回転する際の駆動ギヤとの接触に基づいて第2の軸線に沿って回転する構成される第1の複数のリンク部材(例えば、図1のリンク部材114、118、138、及び140)を含む。この例を続けると、手術用開創器200はまた、第3の軸線(例えば、図1の第3の軸線132)に沿って配置され、駆動ギヤが回転する際の駆動ギヤとの接触に基づいて第3の軸線に沿って回転するように構成される第2の複数のリンク部材(例えば、図1のリンク部材130、及び134)を含む。
【0055】
一例では、第2の軸線に沿って配置される第1の複数のリンク部材は、第1のリンク部材(例えば、リンク部材114)、第2のリンク部材(例えば、リンク部材118)、第3のリンク部材(例えば、リンク部材138)、及び第4のリンク部材(例えば、リンク部材140)を含む。この例では、第3の軸線に沿って配置される第2の複数のリンク部材は、第5のリンク部材(例えば、リンク部材130)及び第6のリンク部材(例えば、リンク部材134)を含む。この例を続けると、図4及び図5に示されるように、第1のリンク部材と第2のリンク部材との間の結合は、第1のリンク部材の第2の軸線に沿った第1の位置から第2の軸線に沿った第2の位置への直線運動に基づく。この例では、図7に示されるように、第3のリンク部材と第4のリンク部材との間の結合は、第3のリンク部材の第2の軸線に沿った第3の位置から第2の軸線に沿った第4の位置への直線運動に基づく。この例では、図6に示されるように、第5のリンク部材と第6のリンク部材との間の結合は、第5のリンク部材の第3の軸線に沿った第1の位置から第3の軸線に沿った第2の位置への直線運動に基づく。
【0056】
一例では、第1のリンク部材は、第2の軸線(例えば、第2の軸線116)に沿って配置され、駆動ギヤが回転する際の駆動ギヤとの接触に基づいて回転するように構成される第1のギヤ(例えば、図5の第1のギヤ168)を含む。第1のリンク部材はまた、第1のギヤに関連する第1のロック要素(例えば、図5のロック歯170)を含む。この例を続けると、第2のリンク部材は、第1のロック要素と噛み合うか、又は第1のロック要素から係合解除するように構成される第2のロック要素(例えば、図5のロック歯172)を含む。1つのシナリオでは、図4及び図5に示されるように、第2のロック要素は、第1のリンク部材の第2の軸線に沿った第1の位置から第2の軸線に沿った第2の位置への直線運動に基づいて、第1のロック要素と噛み合うように構成される。このシナリオでは、図6に示されるように、第2のロック要素は、第1のリンク部材の第2の軸線に沿った第2の位置から第2の軸線に沿った第1の位置への直線運動に基づいて、第1のロック要素から係合解除するように構成される。
【0057】
一例では、第3のリンク部材は、第2の軸線(例えば、第2の軸線116)に沿って配置され、駆動ギヤが回転する際の駆動ギヤとの接触に基づいて回転するように構成される第2のギヤ(例えば、図5の第3のギヤ168)を含む。第3のリンク部材はまた、第2のギヤに関連する第3のロック要素(例えば、図5のロック歯176)を含む。この例を続けると、第4のリンク部材は、第3のロック要素と噛み合うか、又は第3のロック要素から係合解除するように構成される第4のロック要素(例えば、図5のロック歯178)を含む。1つのシナリオでは、図7に示されるように、第4のロック要素は、第3のリンク部材の第2の軸線に沿った第3の位置から第2の軸線に沿った第4の位置への直線運動に基づいて、第3のロック要素と噛み合うように構成される。このシナリオでは、図8に示されるように、第4のロック要素は、第3のリンク部材の第2の軸線に沿った第4の位置から第2の軸線に沿った第3の位置への直線運動に基づいて、第3のロック要素から係合解除するように構成される。
【0058】
一例では、第5のリンク部材は、第3の軸線(例えば、第3の軸線132)に沿って配置され、駆動ギヤが回転する際の駆動ギヤとの接触に基づいて回転するように構成される第3のギヤ(例えば、図5の第2のギヤ180)を含む。第5のリンク部材はまた、第2のギヤに関連する第5のロック要素(例えば、図5のロック歯182)を含む。この例を続けると、第6のリンク部材は、第5のロック要素と噛み合うか、又は第5のロック要素から係合解除するように構成される第6のロック要素(例えば、図5のロック歯184)を含む。1つのシナリオでは、図6に示されるように、第6のロック要素は、第5のリンク部材の第3の軸線に沿った第1の位置から第3の軸線に沿った第2の位置への直線運動に基づいて、第5のロック要素と噛み合うように構成される。1つのシナリオでは、図7に示されるように、第6のロック要素は、第5のリンク部材の第3の軸線に沿った第2の位置から第3の軸線に沿った第1の位置への直線運動に基づいて、第5のロック要素から係合解除するように構成される。
【0059】
一例では、手術用開創器200は、第1の軸線(例えば、図1の第1の軸線112)に沿って回転するように構成されるリンク部材セレクター(例えば、図3のリンク部材セレクター120)を含む。リンク部材セレクターは、ハンドル(例えば、図3のハンドル122)と一体的に形成される円筒形本体(例えば、図3の円筒形本体124)を含む。円筒形本体は、第1の複数のリンク部材のうちの少なくとも1つのリンク部材に第1の力を加えるように構成される少なくとも第1の突起部(例えば、図3の突起部135)を含む。第1の力は、リンク部材セレクターのハンドルを介した、第1の複数のリンク部材のうちの少なくとも1つのリンク部材に対応する位置の選択に基づいて、部分的に加えられる。1つのシナリオでは、図4図5図7、及び図9に示されるように、少なくとも1つのリンク部材に加えられる第1の力によって、第1の複数のリンク部材のうちの少なくとも1つのリンク部材と、第1の複数のリンク部材のうちの別のリンク部材との間の結合が生じる。円筒形本体はまた、第2の複数のリンク部材のうちの少なくとも1つのリンク部材に第2の力を加えるように構成される少なくとも第2の突起部(例えば、図3の突起部137)を含む。第2の力は、リンク部材セレクターのハンドルを介した、第2の複数のリンク部材のうちの少なくとも1つのリンク部材に対応する位置の選択に基づいて、部分的に加えられる。1つのシナリオでは、図6及び図8に示されるように、少なくとも1つのリンク部材にかかる第2の力によって、第2の複数のリンク部材のうちの少なくとも1つのリンク部材と、第2の複数のリンク部材のうちの別のリンク部材との間の結合が生じる。
【0060】
第3の実施形態では、手術用開創器200は、第2の軸線(例えば、図1の第2の軸線116)に沿って配置され、駆動ギヤが回転する際の駆動ギヤとの接触に基づいて第2の軸線に沿って回転するように構成される第1の複数のリンク部材(例えば、図1のリンク部材114、118、138、及び140)を含む。この例を続けると、手術用開創器200はまた、第3の軸線(例えば、図1の第3の軸線132)に沿って配置され、駆動ギヤが回転する際の駆動ギヤとの接触に基づいて第3の軸線線に沿って回転するように構成される第2の複数のリンク部材(例えば、図1のリンク部材130、344、142、及び144)を含む。
【0061】
一例では、手術用開創器200は、第1の軸線(例えば、図1の第1の軸線112)に沿って回転するように構成されるリンク部材セレクター(例えば、図3のリンク部材セレクター120)を含む。リンク部材セレクターは、ハンドル(例えば、図3のハンドル122)と一体的に形成される円筒形本体(例えば、図3の円筒形本体124)を含む。円筒形本体は、第1の複数のリンク部材のうちの少なくとも1つのリンク部材に第1の力を加えるように構成される少なくとも第1の突起部(例えば、図3の突起部135)を含む。第1の力は、リンク部材セレクターのハンドルを介した、第1の複数のリンク部材のうちの少なくとも1つのリンク部材に対応する位置の選択に基づいて、部分的に加えられる。1つのシナリオでは、図4図5図7、及び図9に示されるように、少なくとも1つのリンク部材に加えられる第1の力によって、第1の複数のリンク部材のうちの少なくとも1つのリンク部材と、第1の複数のリンク部材のうちの別のリンク部材との間の結合が生じる。円筒形本体はまた、第2の複数のリンク部材のうちの少なくとも1つのリンク部材に第2の力を加えるように構成される少なくとも第2の突起部(例えば、図3の突起部137)を含む。第2の力は、リンク部材セレクターのハンドルを介した、第2の複数のリンク部材のうちの少なくとも1つのリンク部材に対応する位置の選択に基づいて、部分的に加えられる。1つのシナリオでは、図6及び図8に示されるように、少なくとも1つのリンク部材にかかる第2の力によって、第2の複数のリンク部材のうちの少なくとも1つのリンク部材と、第2の複数のリンク部材のうちの別のリンク部材との間の結合が生じる。
【0062】
図14は、開位置又は後退位置にある、図13の手術用開創器200及び開創器ブレード402、404、及び406の上面図を示している。一例では、右アームアセンブリ202は、第1の複数のリンク部材のうちの少なくとも2つのリンク部材の対応する動きに基づいて、軌道502に沿って移動するように構成される。軌道502に沿った右アームアセンブリ202の動きによって、第1の開創器ブレード402が軌道502に沿って移動することが可能になる。この例を続けると、左アームアセンブリ204は、第1の複数のリンク部材のうちの少なくとも別の2つのリンク部材の対応する動きに基づいて、軌道504に沿って移動ように構成される。同様に、第2の軌道504に沿った左アームアセンブリ204の移動によって、第2の開創器ブレード404が軌道504に沿って移動することがさらに可能になろう。
【0063】
一例では、中央アーム162は、第2の複数のリンク部材のうちの少なくとも2つのリンク部材の対応する動きに基づいて、軌道506に沿って移動するように構成される。軌道506に沿った中央アーム162の動きによって、第3の開創器ブレード406が軌道506に沿って移動することがさらに可能になろう。
【0064】
一例では、右アームアセンブリ202は、第1の複数のリンク部材のうちの少なくとも2つのリンク部材の対応する動きに基づいて軌道502に沿って移動し、且つ第2の複数のリンク部材の少なくとも2つのリンク部材の対応する動きに基づいて軌道508に沿って移動するように構成される。軌道502に沿った右アームアセンブリ202の移動によって、第1の開創器ブレード402が軌道502又は軌道508のいずれかに沿って移動することがさらに可能になろう。この例を続けると、左アームアセンブリ204は、第1の複数のリンク部材のうちの少なくとも別の2つのリンク部材の対応する動きに基づいて軌道504に沿って移動し、且つ第2の複数のリンク部材のうちの少なくとも2つのリンク部材の対応する動きに基づいて軌道508に沿って移動するように構成される。同様に、第2の軌道504に沿った左アームアセンブリ204の移動によって、第2の開創器ブレード404が軌道504又は軌道508のいずれかに沿って移動することがさらに可能になろう。
【0065】
図15は、閉位置にある図13の手術用開創器200及び開創器ブレード402、404、及び406の上面図を示している。一例では、手術用開創器200及び開創器ブレード402、404、及び406は、第1の概ね閉じた位置にあるブレードを用いて、初期の拡張器の外側の上で前進させることができる。図14に示されるように、手術用開創器200が所定の位置になると、リンク部材セレクター(例えば、図1のリンク部材セレクター124)及びダイヤル(例えば、図1のダイヤル104)を操作して、開創器ブレードを第2の、開位置又は後退位置に移動させて、手術標的部位への手術用回廊を形成することができる。1つのシナリオでは、リンク部材セレクター及びダイヤルを第1の軸線(例えば、図1の第1の軸線112)に沿って回転させて、1つ又は複数の開創器ブレードの動きを可能にする。
【0066】
図20は、別の例示的な手術用開創器2000の上面図を示している。手術用開創器2000は、図1のアセンブリ100、左アームアセンブリ2002、右アームアセンブリ2004、及び中央アームアセンブリ2006を含み、且つ手術用開創器200に関して上で説明したのと同様の方法で動作するように構成される。手術用開創器2000はまた、開創器ブレード2012、2014、及び2016を含む。一例では、手術用開創器2000及び開創器ブレード2012、2014、及び2013は、第1の概ね閉じた位置にあるブレードを用いて、初期の拡張器(図示せず)の外側の上で前進させることができる。手術用開創器2000はまた、ダイヤル又はハンドル2008(図1のダイヤル104と同様の方法で動作するように構成される)、及びセレクター2020(図1のリンク部材セレクター124と同様の方法で動作するように構成される)を含む。手術用開創器2000はまた、第1の関節式アームアタッチメント2022(図1の支柱146と同様に動作するように構成される)、及び第2の関節式アームアタッチメント2024を含む。手術用開創器2000はまた、手術部位への露出をさらにカスタマイズするために、挿入方向に対して第1のブレード2012及び第2のブレード2014それぞれの角度を調整するように操作され得る第1のスプレイ(splay)調整機構2026及び第2のスプレイ調整機構2028を含む。例示的な実施形態によれば、ダイヤル又はハンドル2008は、第1の軸線に沿って互いに独立して回転することができる。セレクターを指定の位置に回転させると、ダイヤル又はハンドルを回転させたときにどのブレードが移動するかが決定される。
【0067】
手術用開創器2000は、セレクター2020が特定の位置にある間に、ダイヤル又はハンドル2018の回転によってどの開創器ブレード2012、2014、及び2013が作動されるかを指示する複数のモードを有する。一例では、手術用開創器2000は、3つのモードで動作するように構成される。この例では、セレクター2020が第1の位置にあるときに、ダイヤル又はハンドル2018を介して駆動ギヤ(図示せず)を作動させると、開創器ブレード2012が第1の軌道に沿って移動する。この例を続けると、セレクター2020が第2の位置にあるときに、駆動ギヤを作動させると、開創器ブレード2014が第2の軌道に沿って移動する。引き続きこの例を続けると、セレクター2020が第3の位置にあるときに、駆動ギヤを作動させると、両方の開創器ブレード2012及び2014がそれぞれ第1及び第2の軌道に沿って移動する。
【0068】
別の例では、手術用開創器2000は、4つのモードで動作するように構成される。この例では、セレクター2020が第1の位置にあるときに、ダイヤル又はハンドル2018を介して駆動ギヤを作動させると、開創器ブレード2012が第1の軌道に沿って移動する。この例を続けると、セレクター2020が第2の位置にあるとき、駆動ギヤを作動させると、開創器ブレード2014が第2の軌道に沿って移動する。この例をさらに続けると、セレクター2020が第3の位置にあるときに、駆動ギヤを作動させると、両方の開創器ブレード2012及び2014がそれぞれ第1及び第2の軌道に沿って移動する。この例を続けると、セレクター2020が第4の位置にあるときに、駆動ギヤを作動させると、両方の開創器ブレード2012及び2014が第3の軌道に沿って移動する。1つのシナリオでは、第3の軌道は、第1及び第2の軌道と直交し得る。ほんの一例として、第1及び第2の軌道は、患者に対して頭/尾方向であり得、第3の軌道は、患者に対して前/後方向であり得る。
【0069】
さらに別の例では、手術用開創器2000は、5つのモードで動作するように構成される。この例では、セレクター2020が第1の位置にあるときに、ダイヤル又はハンドル2018を介して駆動ギヤを作動させると、開創器ブレード2012が第1の軌道に沿って移動する。この例を続けると、セレクター2020が第2の位置にあるときに、駆動ギヤを作動させると、開創器ブレード2014が第2の軌道に沿って移動する。この例を続けると、セレクター2020が第3の位置にあるときに、駆動ギヤを作動させると、両方の開創器ブレード2012及び2014がそれぞれ第1及び第2の軌道に沿って移動する。この例を続けると、セレクター2020が第4の位置にあるときに、駆動ギヤを作動させると、両方の開創器ブレード2012及び2014が第3の軌道に沿って移動する。この例を続けると、リンク部材セレクター2020が第5の位置にあるときに、駆動ギヤを作動させると、開創器ブレード2020が第3の軌道に沿って移動する。ほんの一例として、第1及び第2の軌道は、患者に対して頭/尾方向であり得、第3及び第4の軌道は、患者に対して前/後方向であり得る。
【0070】
あるシナリオでは、患者から取り外す前に手術用開創器2000を閉じるときに、たとえそれら開創器ブレード2012及び2014が異なる長さによって初期位置から離れる方向に移動したとしても、ダイヤル又はハンドル2018を回すことによって、開創器ブレード2012及び2014の両方を閉じる(すなわち、元の挿入位置に戻す)ことができる。例えば、開創器ブレード2012及び2014がそれらの初期の「閉」位置から離れて不等距離に移動された場合であって、開創器ブレード2012及び2014がそれらの「閉」位置に戻されるときに、セレクター2020は、第1及び第2の軌道に沿って開創器ブレード2012及び2014の両方の動きを生じさせるモードにセットされ得る。この例では、駆動ギヤは、両方のブレードが最初の閉位置になるまで、ダイヤル又はハンドル2018の回転に基づいて作動する。移動距離が短い開創器ブレードは、最初に閉位置に戻り、次にダイヤル又はハンドル2018の回転を妨げることなく、さらに遠くに作動した開創器ブレードが最初の閉位置に戻るまで、そこに留まる。この時点で、より短い距離にある開創器ブレードに基づいて、左アームアセンブリ2002又は右アームアセンブリ2004のいずれかの所与のアームアセンブリのインターロック歯が、ラチェットを開始し、ばねを圧縮し、次に他方のアームがダイヤル2018の回転に基づいて引き込まれ続けている間に、繰り返し跳ね返る。左アームアセンブリ2002と右アームアセンブリ2004との両方が閉位置になると、両方のアームアセンブリがラチェットする。
【0071】
場合によっては、(手術用回廊の遠位寸法を大きくすることによって)手術用回廊のボリュームを増やすために、開創器ブレード2012又は開創器ブレード2014のいずれか(又は両方)を外向きに旋回させることが望ましい場合がある。これを達成するために、ダイヤル又はハンドル2018を、取り外して、第1又は第2のスプレイ調整機構2026及び2028に取り付けることができる。一例では、スプレイ調整機構2026、2028を時計回りに回転させると、スプレイ調整機構2026、2028に対応するブレード2012、2014は、横方向(外向き)に旋回する。スプレイ調整機構2026、2028を反時計回り方向に回転させると、対応するブレード2012、2014は、横方向(内向き)に旋回する。一例では、第1又は第2のスプレイ調整機構2026及び2028は、無限のスプレイを提供することができる(すなわち、ブレードは、0°から最大許容角度までの任意の角度までスプレイする(広げる)ことができる)。
【0072】
図20に示されるように、関節式アームアタッチメント2024は、「ポーカーチップ」スタイルのコネクタの予備的な係合のためのクイックアラインメント機能を含む。この機能は、ポーカーチップの歯(つまり、山及び谷)を片手で交差させるために適切且つ安全に位置合わせする手段をユーザに提供する。この機能は、ポーカーチップの歯を適切に位置合わせする前にポーカーチップが一緒にロックされるのを防ぐ。これは、歯が磨耗し、一方のポーカーチップの山を他方のポーカーチップの谷に揃えるのがより困難になったときに発生する可能性がある。
【0073】
例として、開創器ブレードは、組織の牽引中の剛性を保証するステンレス鋼、アルミニウム、チタン、及び/又は透明なポリカーボネートを含むがこれらに限定されない、人体への導入に適した任意の材料で構成され得る。開創器ブレードは、強度及び耐久性を高めるために、オプションで、炭素繊維強化コーティングでコーティングすることができる。ブレードは、イメージング(例えば、X線撮影、MRI、CT、透視等)中の外科医の視認性を改善するために、部分的又は全体的に放射線透過性の材料(例えば、アルミニウム、PEEK、炭素繊維、及びチタン)からオプションで構築され得る。開創器ブレードは、オートクレーブ処理時に破壊する材料(ガラス粒子の一部を含むポリマー等)で構成することもでき、これは、ブレードの不正な再利用(滅菌状態でユーザに提供される)を防ぐのに有利な場合がある。開創器ブレードは、解剖学的環境及び外科的アプローチに応じて、20mm~150mmの範囲(単なる一例として)等、任意の数の適切な長さで提供され得る。この範囲のサイズに基づいて、図1のアセンブリ100は、非常に用途が広く、所望のサイズの開創器ブレードを選択してそれら開創器ブレードを手術用開創器200に取り付けるだけで、側方、後部、後外側、前部、及び前外側を含むがこれらに限定されない、様々な所望の外科的アプローチのいずれかで使用することができる。
【0074】
一例では、開創器ブレードは、様々な追加の機能又は構成要素を備え得る。ほんの一例として、1つ又は複数の開創器ブレードに、幅広の開創器エクステンダー又は幅狭の開創器エクステンダー等の開創器エクステンダーを装備することができる。開創器エクステンダーは、開創器ブレードから延びて保護バリアを形成し、器具又は生物学的構造(例えば、神経、血管系、器官等)の手術用回廊への出入りを防止する。解剖学的設定及び外科的アプローチに応じて、1つ又は複数の開創器ブレードにシム要素が装備されている場合がある。一例では、シム要素は、開創器ブレードを固定する目的で組織(例えば、骨、軟組織等)内に前進され、及び/又は隣接する椎体をそらす(distract)ために椎間板腔に前進され得る遠位テーパー領域を有する(これにより、椎間板腔の高さを復元する)。開創器エクステンダーと同様に、シム要素は、器具又は生物学的構造(例えば、神経、血管系等)の手術用回廊への出入りを防ぐための保護バリアも形成する。
【0075】
一例では、開創器エクステンダー及び/又はシム要素は、生物学的に適合性のあるプラスチック及び/又は金属(アルミニウム、PEEK、炭素繊維、チタン等)、好ましくは部分的又は完全に放射線透過性の天然材料を含むがこれらに限定されない、人体の使用に適した任意の材料で作製され得る。プラスチック又は薄い金属からの構造は、要素を挿入するときにシム及び/又は開創器エクステンダーを皮膚レベルで圧縮又は低プロファイル構成に折りたたむことができ、次にそれが皮膚レベルを下回って手術用回廊内に入ると拡張するのを可能にするという追加の利点を提供する。別の例では、開創器エクステンダーは、対称的な狭い構成及び/又は広い構成、及び/又は狭い要素及び広い要素の非対称的な構成を有し得る。例えば、開創器エクステンダーのいずれか又は全ては、横断面、狭い構成、及び/又は横断面で提供され得る。開創器エクステンダー及び/又はシム要素は、オートクレーブ処理時に破壊する材料(ガラス粒子の一部を含むポリマー等)で構成することができ、これは、開創器エクステンダー及び/又はシム要素の不正な再利用(滅菌状態でユーザに提供される)を防ぐのに有利な場合がある。柔軟性を向上させるために、スリットをシムに設けてもよい。開創器エクステンダー及び/又はシム要素は、放物線状の凹状の湾曲を有し得る。
【0076】
一例では、開創器エクステンダー及び/又はシム要素のそれぞれは、それぞれの開創器ブレードと選択的且つ解放可能に係合する機構を備えていてもよい。単なる例として、これは、開創器エクステンダー及び/又はシム要素を、開創器ブレードの内面に沿った対応するラチェット状の溝と係合することができるタブ要素を用いて構成することによって達成することができる。開創器エクステンダー及び/又はシム要素のそれぞれには、ほんの一例として、一般に蟻継ぎの断面形状を有する一対の係合要素が設けられる。係合要素は、それぞれの開創器ブレード上の受容部分と係合するように寸法決めされる。好ましい実施形態では、開創器エクステンダー及び/又はシム要素のそれぞれには、挿入ツールと係合するための細長いスロットが設けられ得る。各タブ部材はまた、開創器ブレードの内面に沿って設けられる対応する溝内に係合する拡大された歯要素を備えている。幅広の開創器エクステンダーでは、それぞれが一対の横断面に隣接する中央部分を含み、これは開創器ブレードの幅を効果的に増加させる。
【0077】
別の例では、開創器ブレード、開創器エクステンダー、及び/又はシム要素のいずれか又は全てに、例として、2002年7月11日、2002年9月25日に出願された国際特許出願第PCT/US02/30617号、2008年4月3日に出願された国際特許出願第PCT/US2008/004427号(“Neurophysiology Monitoring Patents”)に示され、記載されているタイプ等、神経監視システムで使用するために装備された1つ又は複数の電極を(好ましくはそれらの遠位領域又はその近くに)設けることができ、これらの文献の全内容は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。このような神経監視システムは、刺激信号を電極に印可し、開創器ブレードの近くの神経に関連する筋節からの誘発筋電図を監視することにより神経の存在を検出することによって、組織の退縮中に神経構造の存在(オプションで、神経構造までの距離及び/又は方向)を検出することができる。そうすることで、システム全体(手術用開創器200を含む)を使用して、そのような神経構造を有する様々な組織、特に接触又は衝突した場合にそれらを通る(又はその近くの)任意の組織を通る(又はその近くの)手術用回廊を形成することができ、そうでなければ、患者の神経障害を引き起こす。このようにして、手術用開創器200のアクセスシステムを使用して、通常は危険又は望ましくないと見なされる組織を横断することができ、それにより、所与の外科的標的部位にアクセスできる方法の数を広げることができる。
【0078】
図16は、開位置にある開創器ブレード402、404、及び406及びアレイ600を備えた例示的な手術用開創器200を示している。上記のように、例示的な手術用開創器200は、図1のアセンブリ100を含む。アレイ600は、追跡マーカー602、604、606、及び608を含む。図16には4つの球形追跡マーカーのみが示されているが、より多い又は少ない追跡マーカーを利用してもよいことが想定される。一例では、追跡マーカーは半球形である。別の例では、アレイは、6自由度の追跡マーカーを含むように構成される。一例では、アレイは360度アレイである。アレイ600は、中央アーム162に解放可能に固定される。一例では、アレイ600によって、ナビゲーションシステムが、外科手術中に手術用開創器200の場所又は位置を追跡するのが可能になる。
【0079】
本明細書で説明するように、「ナビゲーション」という用語は、解剖学的構造と器具との間の空間認識を得るために、リアルタイムで術中イメージングを活用する能力を説明する。ナビゲーションシステムは、低侵襲性手術(MIS)及び従来の開腹手術中の革新的で効率的なソリューションを通じて、最小限の放射線被曝で外科医に最大の視覚化を提供する。例えば、ナビゲーションシステムによって、外科医は、3次元(3D)画像誘導手術を行うことができ、後柱及び前柱の手術中の露出精度が向上する。これは、外科医及び病院:1)視覚化の改善を望むと同時に、放射線被曝を低減する変性疾患処置の外科医及びMIS外科医;2)複雑な脊椎手術におけるリアルタイムの脊椎骨盤パラメータ評価及び解剖学的方向きを望む変形外科医;3)正確なインプラント配置及びMIS処置の罹患率の低下により、より予測可能な結果による医療の総コストを削減したい病院管理者に同様に利点を提供する。
【0080】
本明細書で説明するナビゲーションシステムは、脊椎処置及びそれに関連する器具及びインプラントと互換性がある。例として、本明細書で説明するナビゲーションシステムは、胸腰椎固定術、外側腰椎椎体間固定術(XLIF)を含む外側椎体間固定術、外傷処置、最大アクセス手術経椎間孔腰椎椎体間固定術(MAS TLIF)、最大アクセス手術後方腰椎椎体間固定術(MAS PLIF)、側方固定術、椎体部分切除術、前方頸椎椎間板切除術及び固定固定術(ACDF)、及び後方頸椎固定術(PCF)のための開腹及びMIS椎弓根スクリュー配置とも互換性がある。ナビゲーションシステムは、NuVasive, Inc.によるiGAプラットフォーム、術中モニタリング、自動ロッド曲げ等の計画を統合して、解剖学的構造の全体像を提供し、強化された手術ソリューションを促進すると考えらる。
【0081】
図17は、手術用開創器等の器具を追跡するために使用され得るナビゲーションシステム10の例を示している。図17に示されるように、ナビゲーションシステム10は、1つ又は複数のハードウェアコンポーネント、1つ又は複数のソフトウェアコンポーネント、及び1つ又は複数の補助コンポーネントを含むことができる。例えば、ナビゲーションシステム10は、コンピュータ実行可能命令(すなわち、ソフトウェア)を実行するように構成される少なくとも1つのプロセッサを有する制御ユニット14を含むコンピュータシステム12と、1つ又は複数の表示画面16とを含むことができる。制御ユニット14は、その上に配置された1つ又は複数のロックホイール20を有する技術ハブ18に収容され得、それによって、技術ハブ18は、手術室(OR)の周りに容易に位置付けすることができる。技術ハブ18は、表示画面16に接続する1つ又は複数のアーム22を含むことができる。制御ユニット14は、アプリケーションソフトウェア及びアルゴリズムを実行し、ナビゲーションシステム10に関連する他のシステムコンポーネント(補助ディスプレイ24、タブレット又は電話等の遠隔制御装置26、及び術中神経監視技術者のラップトップ等のモバイルコンピューティング装置28、並びにクラウド遠隔及びクラウド計画システム30)と通信及びインターフェース接続するように構成され得る。
【0082】
コンピュータシステム12は、ユニバーサル・イメージング入力を受け取ることができ、これは、術前コンピュータ断層撮影(CT)入力、術前磁気共鳴画像(MRI)入力、3D Cアーム入力、又は術中CT入力を意味する。イメージング入力は、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)規格、PACS(Picture Archive and Communication System)規格、PAL(Phase Alternating Line)規格、NTSC(National Television System Committee)規格等の業界規格に従ってフォーマット化され得る。システム12は、1つ又は複数のネットワーク(例えば、病院のPACS等の有線又は無線のローカルエリアネットワーク)を介して、又はUSB、CD、DVD、DVI、コンポジットビデオ、又はアナログビデオを介して入力を受信することができる。有利には、本明細書で議論するように、本システム10は、術中及び術前のCT画像との自動位置合せを使用し、システム10は、画像認識を通じて各椎体のセグメンテーションを実行するように構成され、システム10は、脊椎を外科的処置中に動的に追跡できるように、個々の椎体を位置合わせするように構成される。
【0083】
1つ又は複数の表示画面16は、ユーザが画面16に触れることによってコマンドを直接入力することができるグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を含むようなタッチスクリーンであり得る。システム10は、外科医(及び外科分野内の他のユーザ)及び他の病院職員(外科分野以外)が利用できるソフトウェア及びハードウェアとの直感的且つ便利なシステム対話を提供する。本開示の態様の様々な説明は、1人又は複数の外科医を指す場合があるが、そのような態様の機能は、文脈上適切である場合に、「外科医」という用語が「ユーザ」という用語をサポートするように、他のユーザにまで及ぶ場合があることを理解されたい。ソフトウェアは、主に、ナビゲーションシステム10を制御する、1つ又は複数の表示画面16上のタッチスクリーン・グラフィカルユーザインターフェースを介して制御することができる。一実施形態では、システム10は、1つ又は複数の遠隔制御装置26を介した二次制御を含む。
【0084】
ナビゲーションシステム10は、手術用器具(例えば、図16の手術用開創器200)、外科医の入力、及び外科医又はOR担当者にリアルタイムのナビゲーション情報を提供する3Dイメージングデータ及び光学カメラ34、36を含む、システム10の様々な他の部品からデータ及び入力を受け取る。外科医/OR担当者は、ナビゲーションビューの設定、器具の選択/キャリブレーションのリアルタイムインプラントの計画及びサイズ設定、管理機能、及びオプションの選択のために、滅菌場からナビゲーションソフトウェアと対話することができる。ソフトウェアは、他の術中コンピュータ支援モダリティに干渉することなく制御され、システム10は、ナビゲーションモードと他のモード、例えば、術中神経モニタリング(IOM)サービス、NUVAMAP O.R.、及びBENDINIソフトウェアモードとの間で容易に移行することができる。
【0085】
ナビゲーションシステム10の別の例では、図18及び図19に示されるように、システム10は、光学追跡システム32を含む。光学追跡システム32は、物体(例えば、手術で使用するための1つ又は複数の器具)が空間を移動するときの物体の相互関係のリアルタイム位置を提供し得る。光学追跡システム32は、ナビゲーションシステム10のコンピュータシステム12の制御ユニット14と通信することができる。光学追跡システム32は、赤外線(IR)カメラ34及び/又は可視光カメラ36である(すなわち、IR又は可視光スペクトルからのデータを感知して送信する)1つ又は複数のカメラを含むことができる。各カメラ34及び36は、制御ユニット14によるソフトウェア制御の下で、IRモードと可視光モードとの間で選択され得る。光学追跡システム32は、システム32の視野内の1つ又は複数の追跡アレイの位置を感知する(すなわち、見る(確認する))。追跡アレイは、1つ又は複数の手術用器具に位置付けすることができる。光学追跡システム32は、追跡されている手術用器具の解剖学的構造に対応する動的3D位置情報をナビゲーションシステム10に提供する。
【0086】
光学追跡システム32は、任意の適切な向きに構成することができる。図18に示される一実施形態では、光学追跡システム32は、第1の可視光カメラ36に隣接する第1及び第2のIRカメラ34を含む。カメラ34、36は、個別のユニットであるか、又はカメラベース37によって一緒に接続され得る。カメラ34、36は、手術に干渉することなく、外科的処置の滅菌場内に位置付けされるのに十分にコンパクトであり得る。カメラ34、36は、多数のピクセルを含み得る。本明細書で使用する場合に、「ピクセル」という用語は、多成分表現(フォトサイトとも呼ばれる)の単一のスカラー要素を指すために使用される。カメラ34、36は、少なくとも1メガピクセル、少なくとも2メガピクセル、少なくとも5メガピクセル、少なくとも10メガピクセル、少なくとも12メガピクセル、少なくとも15メガピクセル、又は少なくとも20メガピクセルをキャプチャすることができる。薄くて透明なバリア40をカメラ34、36のレンズ41の上に配置することができる。有利には、ピクセル数が多いと、バリア40をカメラ34、36のレンズ41の上に配置することができ、カメラ34、36は、感知される追跡アレイ38の位置の精度を犠牲にすることなく使用される。バリア40はまた、カメラ34、36をドレープして滅菌場内に配置するのを可能にする。バリア40を有するシステム10の実施形態の別の利点は、バリア40によって、カメラ34、36が追跡アレイ38に近接するのが可能になり、これは、アレイ38が、行われている外科的処置と干渉する可能性が低くなるように、アレイ38の寸法をさらに縮小するのを可能にすることである。
【0087】
光学追跡システム32は、1つ又は複数のアレイ(以下で説明する)に配置されたマーカー42とともに使用することができる。マーカー42は、追跡アレイの最小フットプリントを備えた小さいサイズ(例えば、直径3mm又は技術的に可能な限り小さい)であり得る。(トラック)アレイを空間的に追跡することに加えて、光学追跡システム32は、物体が向き(例えば、回転、ヨー、ロール)を変えるときにアレイを有する物体(オブジェクト)を追跡することができる。光学追跡システム32は、外科的処置を行う外科医の対象物との視線の混乱の可能性を最小限にするために、手術室内に位置付けすることができる。
【0088】
カメラ34、36が滅菌場の外側に配置されるナビゲーションシステム10の実施形態では、カメラ34、36は、1つ又は複数のロックホイール46を備えた移動カート44(図19)上に配置され得、それによって、カート44は、OR内でカート44を転がすことにより、様々に位置付けすることができる。カート44は、手術用ベッドの一端の近くに配置することができる。カート44は、カメラ34、36を受容するためのベース48を含み得る。ベース48は、カメラ34、36が外科的処置のために最適に配置され得るように、高さ方向、長手方向、及び横方向を含めてロック可能に調整可能であり得る。
【0089】
カメラ34、36が滅菌場内に配置されるナビゲーションシステム10の実施形態では、ドレープされたカメラ34、36は、1つ又は複数のカメラ34、36を以下の位置:患者アンカーアタッチメント、ベッドレールアタッチメント、カートアタッチメント、オーバーヘッドブーム/ライトアタッチメント、又はそれらの任意の組合せのいずれかの場所に配置することによって、Cアーム194、アレイ38(器具上を含む)を見るように構成され得る。以下で議論するナビゲーションシステム10のいくつかの実施形態は、追加の調整を必要とせずに、又は外科的処置中に行われることなく、カメラ34、36の単一の(すなわち、初期の)セットアップを可能にする光学追跡システム32を含み、それによってナビゲートされる器具6又はマーカー42を「見る」又は較正するために外科的処置中に病院職員がカメラ34、36を調整及び再調整する必要性を排除することによって、外科的ワークフローを改善する。
【0090】
一実施形態では、図17のナビゲーションシステム10は、手術用開創器200のリアルタイム位置を追跡及び相関させるための命令を含むコンピュータ実行可能命令を含む。一例では、コンピュータ実行可能命令は、手術部位の画像にオーバーレイされた手術用開創器200のシミュレーションを表示画面(例えば、図16の表示画面16)に表示するように構成される。一例では、図16のコンピュータシステム12は、タッチスクリーンディスプレイ16と通信しており、タッチスクリーンディスプレイ16は、システム10からのデータを外科医に表示し、システムから入力データを受け取ることができる。コンピュータシステム12は、IRカメラ34及び可視光カメラ36を含む光学追跡システム32と通信している。コンピュータシステム12は、カメラ34、36(ビュー、IR/可視光機能等)を制御することができ、カメラ34、36に、画像をキャプチャさせて送信させ、カメラ34、36から画像データを受信させる。
【0091】
上記の実施形態及び変形例の特徴又は属性のいずれかを、必要に応じて、上記の実施形態及び変形例の他の特徴及び属性のいずれかと組み合わせて使用することができる。真の範囲及び精神から逸脱することなく、様々な変更、追加、及びその他の代替の実施形態が可能である。本明細書に提示した実施形態は、本発明の様々な原理及びその実際の適用の実例を提供するために選択及び説明され、それにより、当業者が様々な実施形態において、特定の使用目的に適した様々な修正を加えて本発明を利用するのを可能にする。そのような全ての修正及び変形は、それら添付の特許請求の範囲が公正に、法的に、そして公平に権利を与えられる利益に従って解釈される場合に、添付の特許請求の範囲によって決定される本発明の範囲内にある。

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