(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-25
(45)【発行日】2023-09-04
(54)【発明の名称】患者インタフェースにおいて湿度を保持する装置
(51)【国際特許分類】
A61M 16/06 20060101AFI20230828BHJP
A61M 16/16 20060101ALI20230828BHJP
【FI】
A61M16/06 A
A61M16/16 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022045316
(22)【出願日】2022-03-22
(62)【分割の表示】P 2020013497の分割
【原出願日】2015-04-23
【審査請求日】2022-04-20
(32)【優先日】2014-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】500046450
【氏名又は名称】レスメド・プロプライエタリー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】リアム・ホリー
(72)【発明者】
【氏名】エマ・アン・コーネル
【審査官】佐藤 智弥
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-511987(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0044802(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/06
A61M 16/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも患者の鼻孔の入口を含む患者の気道の入口への、周囲空気圧力に関して連続して陽圧の空気流のシールした送達のための患者インタフェースであって、該患者インタフェースは、睡眠呼吸障害の改善のために、患者が眠っている間の患者の呼吸サイクルを通して、使用中は周囲空気圧力以上の約4cmH
2Oから約30cmH
2Oの範囲の治療圧力を維持するように構成され、前記患者インタフェースは:
前記患者の気道の入口を取り巻く領域で、前記患者の顔に対して接触およびシールするように構成されたシール形成構造体と;
使用中は周囲圧力以上の圧力に加圧されるように構成されたプレナムチャンバーであって、前記シール形成構造体および前記プレナムチャンバーは、少なくとも部分的に、前記シール形成構造体が前記患者の気道の入口を取り巻く前記領域とシール接触している場合に呼吸チャンバーを形成するとともに、前記プレナムチャンバー上に位置決めされて前記呼吸チャンバーに前記空気流を送達するように構成された接続ポートを形成する、プレナムチャンバーと;
前記シール形成構造体を、前記患者の気道の入口を取り巻く前記領域とシール接触している状態に維持するように構成された位置決めおよび安定化構造体と;
前記呼吸チャンバーからガスを流し出すように構成されたベントであって、複数の穴を備えるベントと;
使用中、前記ベントおよび前記接続ポートが装置に対して前記患者の気道の入口と反対側に位置決めされるように、前記呼吸チャンバーの内部に位置決めされた装置であって、前記装置は、前記空気流が前記接続ポートから前記呼吸チャンバーに入ることを可能にするとともに、前記患者からの吐出ガスが前記装置を通過することを可能にする複数の開口を有する、装置と、
を備え、
前記装置は、前記装置の外部周辺端部の少なくとも一部が
、前記プレナムチャンバ
ーの内表面と実質的に一致するように、形作られるとともに寸法決めされ、
少なくとも一つのギャップが、前記装置の前記外部周辺端部
と前記プレナムチャンバ
ーの前記内表面との間に形成される、患者インタフェース。
【請求項2】
前記接続ポートに接続されたエルボーを備える、請求項1に記載の患者インタフェース。
【請求項3】
前記ベントは、前記エルボー上に位置決めされている、請求項2に記載の患者インタフェース。
【請求項4】
前記ベントは、前記プレナムチャンバー上に位置決めされている、請求項1または2に記載の患者インタフェース。
【請求項5】
抗呼吸停止バルブを備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の患者インタフェース。
【請求項6】
前記装置は、熱および水分交換器(HME)材料を備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の患者インタフェース。
【請求項7】
前記HME材料は、紙である、請求項6に記載の患者インタフェース。
【請求項8】
前記空気流の少なくとも一部が、前記開口を通過する、請求項1~7のいずれか一項に記載の患者インタフェース。
【請求項9】
前記空気流の全部が、前記開口を通過する、請求項8に記載の患者インタフェース。
【請求項10】
前記装置は、柔軟性のある膜シート、織り繊維で形成された織物、またはメッシュ構造体から構築される、請求項1~9のいずれか一項に記載の患者インタフェース。
【請求項11】
前記装置は、前記装置の前記外部周辺端部の少なくとも一部が前記プレナムチャンバーの前記内表面と実質的に一致するように、形作られるとともに寸法決めされている、請求項1~10のいずれか一項に記載の患者インタフェース。
【請求項12】
前記装置は、すり合わせ、圧入、スナップ取り付け、接着剤、成形、および/またはクリップによって、前記プレナムチャンバーに固定される、請求項11に記載の患者インタフェース。
【請求項13】
前記装置は、水分および/または熱の吸収に耐性を示す材料を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の患者インタフェース。
【請求項14】
前記材料は、ナイロン、ポリカーボネート、シリコーン、ポリウレタン、熱可塑性エラストマー、および疎水性ポリマーからなる群の任意の1つである、請求項13に記載の患者インタフェース。
【請求項15】
前記開口は、前記装置の全体にわたって、大きさおよび形状が同じである、請求項1~14のいずれか一項に記載の患者インタフェース。
【請求項16】
前記開口の大きさが、前記装置の領域によって変わり、
前記開口の形状が、前記装置の領域によって変わり、かつ/または
前記開口の密度が、前記装置の領域によって変わる、
請求項1~14のいずれか一項に記載の患者インタフェース。
【請求項17】
前記装置は、前記プレナムチャンバーと1つのピースに形成される、請求項1に記載の患者インタフェース。
【請求項18】
前記装置および前記プレナムチャンバーは、同質で連続した材料の単一のピースから構築される、請求項1または17に記載の患者インタフェース。
【請求項19】
呼吸圧力治療(RPT)システムであって、
請求項1~18のいずれか一項に記載の患者インタフェースと;
周囲空気圧力に関して連続して陽圧の空気流を発生させるように構成された制御可能な送風機を含む、RPT装置と;
周囲空気圧力に関して連続して陽圧の前記空気流を前記RPT装置から前記患者インタフェースに送達するように、前記患者インタフェースおよび前記RPT装置に空気的に接続された空気回路と、
を備える、RPTシステム。
【請求項20】
加湿器を含まない、請求項19に記載のRPTシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2014年4月23日に出願されたオーストラリア国仮出願番号AU 2014901476の利益をクレームするもので、その全開示を参照により本明細書に包含する。
【背景技術】
【0002】
技術分野
本技術は、呼吸器関連疾患の検出、診断、治療、予防および改善の1つまたはそれ以上に関する。本技術は医療機器または装置およびそれらの使用にも関する。
【0003】
関連技術の説明
2.2.1 ヒト呼吸器系とその疾患
身体の呼吸器系はガス交換を促進する。鼻と口が患者の気道の入口を形成する。
【0004】
気道は一連の枝管を含み、それらは肺に深く入るにつれて狭く、短くそしておびただしくなる。肺の主要機能はガス交換であり、酸素は空気から静脈血に入り、二酸化炭素が運び出される。気管は左右の主気管支に分かれ、さらに分岐して最後に終末細気管支となる。気管支は誘導気道を構成し、ガス交換には関与しない。気道をさらに分割すると呼吸細気管支となり、最終的に肺胞となる。ガス交換が行われる肺の胞状の領域は、呼吸領域と呼ばれる。John B. West著“呼吸生理学”Lippoincott Williams & Wilkins、9版2011年発行を参照。
【0005】
一連の呼吸器疾患が存在する。ある疾患は、例えば無呼吸、呼吸低下および過呼吸などの特定のイベントで特徴付けることができる。
【0006】
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は睡眠呼吸障害(SDB)の1つで、睡眠時の上部気道の閉鎖または閉塞を含むイベントでが特徴付けられる。これは異常に小さい上気道と、舌の領域の筋緊張の通常の喪失、睡眠時の軟口蓋および後口咽頭壁の正常損失の組み合わせの結果である。この条件で罹患患者は典型的には30から120秒の間呼吸が停止し、場合によっては一晩で200から300回呼吸停止が起こる。昼間に過剰な眠気を生じることがたびたびあり、これは心臓血管疾患と脳損傷を起こすことがある。この症候群は特に太りすぎの中年男性に共通する障害であるが、罹患者はこの問題に気付いていないことがる。米国特許4,944,310(Sullivan)を参照。
【0007】
チェーン・ストークス呼吸(CSR)は睡眠呼吸障害のもう1つの形態である。CSRは患者の呼吸調整器の障害で、この場合CSRサイクルとして知られる呼吸の漸増と漸減が交互に律動的に生じる。CSRの特徴は、動脈血の脱酸素化と再酸素化が繰り返し生じる。反復低酸素症のため、CSRは有害であり得る。患者によってはCSRは睡眠中の反復覚醒に関連しており、これは重篤な睡眠障害、交感神経系活動の増悪および後負荷の増加を生じる。米国特許6,532,959(Berthon-Jones)を参照。
【0008】
肥満過呼吸症候群(OHS)は、低呼吸の既知の原因がない場合、重症の肥満と覚醒時慢性高炭酸ガス血症の組み合わせと定義される。症状には呼吸困難、起床時の頭痛と過剰な日中の眠気が含まれる。
【0009】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、共通してある特徴を有する下気道疾患の任意のグループを含む。これには空気の動きに対する抵抗の増加、呼吸の呼気相の延長および肺における正常な弾性の減少が含まれる。COPDの例は肺気腫と慢性気管支炎である。COPDは常時喫煙(第一危険因子)、職業的暴露、大気汚染および遺伝因子で発症する。症状には、労作時呼吸困難、慢性咳および痰が出ることが含まれる。
【0010】
神経筋疾患(NMD)は、内在筋肉病変を経て直接的に、または神経病変を経て間接的に筋肉の機能を損なう多くの疾病と病気を包含する広義語である。NMD患者の一部は、歩行の喪失にいたる進行性筋障害が特徴で、車椅子に束縛され、嚥下障害があり、呼吸筋力低下を生じ最後には呼吸不全により死に至る。神経筋疾患は急速進行性と緩徐進行性に分けられる:(i) 急速進行性疾患は数か月にわたる筋肉の機能障害があり、数年以内に死に至るのが特徴である(例: 筋萎縮性側索硬化症(ALS)と10代のデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD));(ii)可変または緩徐進行性疾患:数年にわたって増悪し、平均寿命を少し短縮するのが特徴である(例:肢帯、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーおよび筋強直性ジストロフィー)。NMDにおける呼吸不全の症候には、全身衰弱の進行、嚥下障害、労作時および安静時呼吸困難、疲労、眠気、起床時の頭痛、集中することの困難および気分転換の困難が含まれる。
【0011】
胸壁疾患は、呼吸筋と胸郭間の不十分な結合にいたる胸郭変形のグループである。これらの疾患は、通常拘束性障害によって特徴づけられ、長期高炭酸ガス性呼吸不全の可能性がある。脊柱側弯症および/または後側弯症は、重篤な呼吸不全を発症することがある。呼吸不全の症候には、労作時呼吸困難、末梢浮腫、起座呼吸、反復肺感染症、起床時の頭痛、疲労、睡眠の質不良および食欲不振が含まれる。
【0012】
このような状態を治療または改善するために、さまざまな治療が行われてきた。さらに別の面では、健常な個人はこのような治療の利点を生かして、呼吸疾患の発症を防止することができる。しかしこれらには多くの欠点がある。
【0013】
2.2.2 治療
鼻持続的気道陽圧(CPAP)療法は、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の治療に用いられてきた。この仮説は、持続的気道陽圧が空気的副子として作用し、軟口蓋と舌を前方に押して、後口咽頭壁から離せば、上気道の閉塞を防止できると言うものである。CPAP療法によるOSAの治療は、自由意思によるもので、患者はこのような治療を提供する装置が心地よくない、使用が困難、高価および審美的に魅力がないの1つまたはそれ以上があれば、この治療を選択しなくてよい。
【0014】
非侵襲的換気(NIV)は、患者が十分に呼吸しおよび/または適切な酸素レベルを体内に維持するのを支援するために、呼吸作業の一部またはすべてを行って、上気道を通して患者に換気補助を提供する。換気補助は患者のインタフェースを経由して提供される。NIVはCSR, OHS, COPD, MDおよび胸壁疾患の治療に使用されてきた。いくつかの形態において、これらの治療の快適さと有効性を改善できる。
【0015】
侵襲的換気(IV)は、もはや自分で効果的に呼吸できない患者に換気補助を提供し、気管切開チューブを使用して提供される。いくつかの形態において、これらの治療の快適さと有効性を改善できる。
【0016】
2.2.3 診断と治療システム
これらの治療は、治療システムまたは装置によって提供される。システムと装置は、それを使用しないで状態の診断にも使用できる。
【0017】
治療システムは呼吸圧力治療装置(PRT装置)装置、空気回路、加湿器、患者インタフェースおよびデータ管理からなる。
【0018】
治療システムのもう1つの形態は、下顎再配置装置である。
【0019】
2.2.3.1 患者インタフェース
患者インタフェースは、例えば空気の流れを気道の入口に提供することによって、呼吸装置をそのユーザにインタフェースするのに使用できる。空気の流れは、鼻おおび/または口へのマスク、口へのチューブまたは患者の気管への気管開口チューブを経由して提供される。適用する治療法次第で、患者インタフェースはシールを形成してよく、例えば患者の顔の部分、治療が効果をもたらすように、周囲圧力と十分に相違した圧力で、例えば周囲圧力に関して約10 cmH2Oの陽圧で、ガスを送出する。酸素の送出のようなほかの形態では、約10 cmH2Oの陽圧で、ガスの気道への供給ができるシールを患者のインタフェースに含めなくてよい。
【0020】
患者インタフェースのデザインにはいろいろな難問がある。顔面は複雑な3次元の形状をしている。鼻の大きさと形は個人間でかなり異なる。頭部には骨、軟骨と軟組織があり、顔面の異なる領域は機械的な力に対して異なる反応をする。顎または下顎は頭蓋のほかの骨に関連して動くことがある。頭全体が呼吸治療の間に動くことがある。
【0021】
これらの難問のために、マスクによっては閉塞性である、審美的に好ましくない、コストが高い、装着が不十分、使用困難の1つまたはそれ以上の問題に悩み、長期間使用すると摩耗してまたは患者がシステムに不慣れだと不愉快である。例えば、飛行士専用ににデザインされたマスク、個人の保護装置(例えば、フィルターマスク)の一部としてデザインされたマスク、SCUBAマスク、または麻酔薬投与のためのマスクは本来の適用には耐えるが、長期間、例えば数時間着用するのは好ましくないほど不愉快である。この不快感は、治療に対するする患者のコンプライアンスの低下につながる。睡眠中にマスクを着用しなければならない場合は特にそうである。
【0022】
患者が治療に従う限り、CPAP治療はある呼吸器疾患の治療に特に効果的である。マスクが不愉快であるか使用困難であれば、患者は治療に従わないかもしれない。患者は自分のマスクを定期的に洗浄するようしばしば推奨されているので、マスクの洗浄が困難であれば(例えば、組立または分解が困難)、患者は自分のマスクを洗浄しないかもしれず、これは患者のコンプライアンスに影響する。
【0023】
その他の適用(例えば、飛行士)のためのマスクを睡眠呼吸障害に使用するのは適切でないかもしれないが、睡眠呼吸障害に使用するようデザインされたマスクはその他の適用に適しているかもしれない。
【0024】
これらの理由により、睡眠中のCPAPの送出のための患者インタフェースは独特な分野である。
【0025】
2.2.3.1.1 シール形成部
患者インタフェースはシール形成部を含む。これは患者の顔面と直接接触するので、シール形成部の形状と形態は患者インタフェースの有効性と快適さに直接影響を与えることがある。
【0026】
患者インタフェースは、シール形成部分が使用中の顔面の何処と当たるかのデザイン意図によって、一部特徴付けられる。患者インタフェースの1つの形態において、シール形成部は左と右のそれぞれの鼻孔に当たる2つの準部分を持つことができる。患者インタフェースの1形態において、シール形成部分は使用中に両方の鼻孔を囲む単一のエレメントであってよい。このような単一のエレメントは、例えば顔面の上唇領域と鼻梁領域を覆うようにデザインしてよい。患者インタフェースの1形態において、シール形成部分は例えば顔面の下唇領域上にシールを形成するなど、使用中の口の領域を囲むエレメントで成ってよい。患者インタフェースの1形態において、シール形成部分は使用中の両方の鼻孔と口の部分を囲む単一のエレメントで成ってよい。患者インタフェースのこれらの異なるタイプは、それらの製造者が付けた種々の名称で知られており、鼻マスク、顔全体マスク、鼻枕、鼻噴霧および鼻山マスクが含まれる。
【0027】
患者の顔の1領域で効果的なシール形成部分は、患者の顔の形状、構造、ばらつきおよび敏感な部分が異なるので、別の領域には適していないことがある。例えば、患者の額を覆う水中メガネのシールを患者の鼻に使用するには適当でない。
【0028】
さまざまな異なる顔の形状および大きさに適し、快適で効果的な1つのデザインのように、大量生産用にあるシール形成部をデザインすることができる。患者の顔の形状と大量生産された患者のインタフェースのシール形成部の間で不整合ができるまで、1つまたは両方を適合させてシールを形成しなければならない。
【0029】
シール形成部分の1つのタイプは、患者インタフェースの周辺附近に伸び、シール形成部分が患者の顔に係合しようとしており、力が患者インタフェースに加えられ他た時に患者の顔に抗してシールするように意図される。シール形成部分は、空気または液体で充満されたクッション、またはゴムのようなエラストマーでできた弾力性のあるシールエレメントの成形または形成面を含むことができる。このタイプのシール形成では、適合が適切でなければ、シール形成部分と顔の間にギャップがあり、シールを形成するために顔に抗して患者インタフェースに追加の力を加える必要がある。
【0030】
シール形成部のもう1つタイプは、マスクの周辺近辺に位置した薄い材料でできたフラップシールを含み、マスク内に陽圧がかかると患者の顔に抗してセルフシーリングを行う。シール形成部分の以前のタイプのように、顔面とマスク間の適合が良好でないと、シールを形成するのに追加の力が必要になるかまたはマスクから漏れが生じる。さらに、シール形成部分の形状が患者のそれに適合しない場合、使用中にしわが生じたり曲がることがあり、漏れが発生する。
【0031】
シール形成部分のもう1つのタイプは、例えば鼻孔への挿入のような摺合せエレメントを含むことができるが、患者によってはこれを不快と感じる。
【0032】
シール形成部分のもう1つの形態は、接着剤を使ってシールを達成する。顔面に接着剤を絶えず適用しこれを除去するのが不便と感じる患者もいる。
【0033】
ResMed Limitedに譲渡された以下の特許出願に、さまざまな患者インタフェース・シール形成部の技術が開示されている:WO 1998/004,310; WO 2006/074,513; WO 2010/135,785。
【0034】
鼻枕の1形態がPuritan Bennetが製造するAdam Circuitに見出され、鼻枕または鼻噴霧はPuritan-Bennet Corporationに譲渡された米国特4,782,832(Trimbleほか)の題目である。
【0035】
ResMed Limitedは、鼻噴霧を組み込んだ以下の製品を製造した:SWIFTTM鼻枕マスク、SWIFTTMII鼻枕マスク、SWIFTTMLT鼻枕マスク、SWIFTTMFX鼻枕マスクおよびMIRAGE LIBERTYTMフルフェース・マスク。RedMedに譲渡された以下の特許出願に、鼻枕マスクの例が記述されている。国際特許出願WO 2004/073,778(とりわけRedMed Limited SWIFTTM鼻枕の特徴を記載)、米国特許出願2009/0044808(とりわけRedMed Limited SWIFTTMLT鼻枕の特徴を記載);国際特許出願WO 2005/063,328とWO 2006/130,903(とりわけResMed Limited MIRAGE LIBERTYTMフルフェース・マスクの特徴を記載);国際特許出願WO 2009/052,560(とりわけResMed Limited SWIFTTMFZ鼻枕の特徴を記載)。
【0036】
2.2.3.1.2 位置決めと安定化
陽圧空気治療に使用する患者インタフェースのシール形成部は、シールを崩壊しようとする空気圧の力の影響を受ける。このように、シール形成部を位置決めし、顔面の適当な部分とシーリングの関係を保つために種々な技術が使用されてきた。
【0037】
1つの技術に接着剤の使用がある。例えば米国特許出願US 2010/0000534を参照。しかし接着剤の使用は患者によっては不快となることがある。
【0038】
もう1つの技術として、1つまたはそれ以上のストラップおよび/または安定化装着帯の使用がある。このような装着帯の多くは、1つまたはそれ以上の不適合、かさばる、不快および使用がぎこちないの問題に悩まされる。
【0039】
2.2.3.1.3 ベント技術
患者インタフェースシステムのいくつかの形態は、吐き出した二酸化炭素の洗浄のためにベントを含むことがある。このベントは、患者インタフェース内部空間から、例えばプレナムチャンバー、患者インタフェースの外部へ、例えば大気へのガスの流れを作ることができる。ベントはオリフィスを含み、マスクの使用中にガスはこのオリフィスを通る。このようなベントの多くは騒々しい。そのほかのベントは使用中に閉塞し、洗浄が不十分となる。あるベントは、騒音または空気流の集束のために、患者1000のベッドパートナー1100の睡眠の邪魔になる。
【0040】
ResMed Limitedは多数の改良型マスクベント技術を開発した。国際特許出願WO 1998/034,665;国際特許出願WO 2000/078,381;米国特許6,581,594;米国特許出願US 2009/0050156;国特許出願2009/0044808を参照。
【0041】
【0042】
【0043】
2.2.3.2 呼吸圧力治療(RPT)装置
空気圧力発生器は、例えば産業スケールの換気システムのような様々な適用で知られている。しかし医療用の空気圧力発生器には、信頼性、サイズおよび重量のようなより汎用の空気圧力発生器で達成されない特定の要件がある。さらに、医療用にデザインされた装置でも、快適さ、騒音、使い易さ、効率、サイズ、重量、製造可能性、コストおよび信頼性の1つまたはそれ以上に関する欠点に悩まされている。
【0044】
あるRPT装置の特殊要件の例は音響騒音である。
【0045】
【0046】
睡眠呼吸障害の治療に使用する1つの既知のRPT装置は、ResMed Limitedが製造するS9 Sleep Therapy Systemである。RPT装置のもう1つの例は、人工呼吸器である。成人および小児用人工呼吸器のRedMed StellaTMシリーズのような人工呼吸器は、NMD、OHSおよびCOPDのような(ただしこれらに限定されない)多数の状態を治療する様々な患者に、侵襲および非侵襲依存呼吸に対するサポートを提供することができる。
【0047】
ResMed EliseeTM150人工呼吸器とResMed VSIIITM人工呼吸器は、多数の状態を治療する成人または小児患者に適した、侵襲および非侵襲依存換気に対するサポートを提供することができる。これらの人工呼吸器は、単一のまたは二重肢回路の付いた容量呼吸おおよび気圧呼吸を提供する。RPT装置は、典型的にはモータ駆動の送風機または圧縮ガスリザーバのような圧力発生器から成り、患者の気道に空気の流れを供給するように構成される。場合によっては、空気流を陽圧で患者の気道に供給することができる。RPT装置の出口は、空気回路を経由して上記の患者のインタフェースに接続される。
【0048】
2.2.3.3 加湿器
加湿なしに空気流を送出すると、気道が乾燥することがある。RPT装置と患者インタフェースと共に加湿器を使用すると、加湿されたガスが生じ、これが鼻粘膜の乾燥を最小限に抑え、患者の気道の快適さが増す。さらに涼しい気候では、暖かい空気が患者インタフェースの中およびその周りの顔面に広く当たると、冷たい空気よりずっと快適である。さまざまな人工加湿器とシステムが知られているが、それらは医療用加湿器の特別な要件を満たしていないことがある。
【0049】
典型的には、患者が睡眠中または休息中に(例えば病院において)、必要があれば医療用加湿器を使用して、周囲空気に対して空気流の湿度および/または温度を上げる。ベッドのそばに置く医療用加湿器は、小さくてよい。医療用加湿器は、患者の周りを加湿および/または加熱することなしに、患者に供給される空気流をただ加湿および/または加熱するように構成されてよい。例えば、部屋をベースにしたシステム(例えば、サウナ、空調装置または蒸発冷却器)も、患者が呼吸する空気を加湿できるが、これらのシステムは部屋全体を加湿および/または加熱することになり、居住者に不快をもたらすことがある。さらに医療用加湿器は、産業用加湿器より厳しい安全に関する制約事項がある。
【0050】
多くの医療用加湿器が知られているが、これらは1つまたはそれ以上の欠点に悩まされることがある。ある医療用加湿器は不適切な加湿を提供し、あるものは患者が使用するには困難または不便である。
【0051】
2.2.3.4 熱および水分交換器(HMEs)
HME(複数)は、加湿の受動的な形態としてRPT装置で使用されることがある。HME(複数)は、患者が吐き出したガス中の熱と水分を部分的に回復するように作動する。この熱と水分は保持でき、吸気に先立ち呼吸できるガスの流れがHMEを通るときに、受動的な態様で患者にリサイクルされる。このようにHME(複数)を使用すると、必要な水分と湿度(一般に>10 mg/lと言われている)をRPT治療中のほとんどの患者に提供でき、RPT治療と非加湿周囲空気関連した任意の有害な影響を最小限に抑え、しかも加熱加湿器システムの必要性がなくなる。加熱加湿器よりむしろHMEを使用すると、空気送出チューブにおける凝縮で生じる閉塞の可能性も低くなる。熱および水分交換器は一般に発泡体、紙または凝縮および吸着面として作用できる物質でできている。一般に、この材料が吸湿性の塩を持ち込み、水保持能力を改善する。適切な塩には塩化カルシウムがある。
【0052】
適切なHMEを選択する場合、材料、掃引長さ(厚さ)、流れ範囲およびHMEの内部表面積ならびに統合されたマスク空気流に十分な考慮が必要で、またベントのデザインは効果的な受動的加湿システムを生み出すよう要求される。これらの要素は、患者に施すPAP治療への影響を最少限にしようとしている時、加湿の正しいレベルに達するのを確実にするために重要である。
【0053】
患者の治療に対する悪影響、不適切なCO2洗浄を最小限に抑え、患者インタフェースの全体の容積と重量を低減するには、PAP治療を受けている患者に受動的加湿を提供する必要がある。
【0054】
2.2.3.5 下顎の再配置
下顎再配置装置(MRD)または下顎前進装置(MAD)は睡眠時無呼吸といびきの治療オプションの1つである。これは歯科医または他のサプライヤーから入手できる調整可能な口腔歯列矯正器具で、睡眠中に下顎(下顎)を前方位置に保持する。MRDは取り外しのできる装置で、患者は就寝前に自分の口に挿入し、睡眠の後で取り外す。このようにMRDは何時も摩耗するようにデザインされていない。MRDはオーダーメイドまたは標準形で製造され、患者の歯にフィットするようにデザインされた咬合印象部を含む。下顎のこの機械的突起は、舌の後部のスペースに拡張し、咽頭壁に張力を加えて気道の閉塞を低減し、口蓋の振動を減らす。
【0055】
ある実施例では、下顎前進装置は上顎または上顎の歯に係合するかまたはフィットする上スプリントと、上顎または下顎の歯に係合するかまたはフィットする下スプリントを含むことができる。上下スプリントは一対の連接棒を経由して共に横方向に互いに接続される。連接棒の対は上スプリントと下スプリントに組織的に固定される。
【0056】
このようなデザインにおいて、連接棒の長さは、MRDが患者の口にある時、下顎が前進位置に保持されるように選択される。連接棒の長さを調整して下顎の突起のレベルを変更できる。歯科医が下顎の突起のレベルを決め、これが連接棒の長さを決めることになる。
【0057】
あるMRDsは下顎を上顎に関して前方に押すように構築され、一方ResMed Narval CCTM MRDのようなその他のMADsは下顎を前方位置に保持するようにデザインされる。この装置も歯と顎関節(TMJ)の副作用を低減するかまたは最小限に抑える。このように、1つまたはそれ以上の歯の任意の動きを最小限にするかまたは防止するように構成される。
【0058】
2.2.4 モニタリングシステム
睡眠ポリグラフ計(PSG)は、心肺疾患の診断と予後診断のための従来のシステムである。PSGは典型的には人体に15から20の接触センサーを付けて、脳波記録(EEG)、心電図(ECG)、電気眼球図記録(EOG)などの種々の人体信号を記録する。これらは臨床背景における通常の適用には適しているが、このようなシステムは複雑で、潜在的に高価でおよび/または患者が自宅で就寝する時に不快または現実的でない。
【0059】
製品またはシステムをデザインする場合、設計者には無限の選択が提供される。デザイン基準はしばしば矛盾しており、あるデザインを選択すると所定のものとははるかに離れておりまたは避けられない。さらに、ある態様の快適さと効果は、1つまたはそれ以上のパラメータの僅かの微妙な変更に対して非常に繊細である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0060】
本技術は、呼吸器疾患の診断、改善、治療または予防に使用される1つまたはそれ以上の改善された快適さ、コスト、使い易さおよび製造可能性を有する医療装置を提供することにある。
【0061】
本技術の第1の態様は、呼吸器疾患の診断、改善、治療または予防に使用する装置に関する。
【0062】
本技術のもう1つの態様は、呼吸器疾患の診断、改善、治療または予防に使用される方法に関する。
【0063】
本技術のある形態の態様は、患者の呼吸器治療のコンプライアンスを改善する方法および/または装置を提供することである。
【0064】
本技術のもう1つの態様は、呼吸器疾患の治療のために患者の気道に送られる加圧された呼吸ができるガスの流れを提供するための患者インタフェースを対象とする。患者インタフェースは、患者の気道の入口と空気シールを形成するシール形成構造、プレナムチャンバー、プレナムチャンバー内に位置してプレナムチャンバーを前室と後室に分割する装置またはインサートを含み、ここに該装置またはインサートは、前室と後室間をガスが流れるように複数の開口部を含み、ここに後室のガスは使用中は前室のガスより乱流でないことを特徴とする。
【0065】
本技術の1形態は、少なくとも1つの開口部含む装置を含む患者インタフェースを含み、該装置は所定の表面積を有し、該装置は所定のサイズの少なくとも1つの開口部を含み、該装置は呼吸できるガスの流れの流路に沿って位置し、ここに少なくとも1つの開口部の所定のサイズと装置の所定の表面積は、所定の量の呼吸できるガスの流れが少なくとも1つの開口部を流れるように選択され、ここに該装置は熱非吸収または熱の吸収に耐性を示し、水分非吸収または水分の吸収に耐性を示し、装置は患者の気道の粘膜面に向かって流れる流れを、粘膜面からの熱と水の損失率が低減するように変更する。
【0066】
実施例において、流れを粘膜面から離れるように向かわせる。流れを乱流から層流へ変更することによって、流れを粘膜面から離れるように向かわせることができる。乱流を層流に変更するために、所定量の呼吸できるガスを少なくとも1つの開口部を通るように向かわせることによって、粘膜面からの熱と水の損失率が低減できる。RPT治療の間、患者の気道の粘膜面に送出された呼吸できるガスの流れの乱流は、表面で水分の蒸発を生じることになり、最終的には乾燥を引き起こす。粘膜面が乾燥すると、呼吸の快適さに影響を与える。RPT治療の間に患者の気道の粘膜面の乾燥を防止する装置を含む患者インタフェースを提供して呼吸の快適さを促進するのが本技術の願望である。この装置は、流れが乱流からより層流にまたはより低度の乱流なるように、患者に送出された呼吸できるガスの流れを変更でき、これにより粘膜面における蒸発が低減される。この装置は、空気を適切量の呼吸できるガスが流れるように形成された開口部を通るように向かわせてRPT治療を提供し、乱流の所望の低減を誘因する。開口部も、粘膜面からの熱と水の損失率が低減されるように、呼吸できるガスの流れが乱流から十分なレベルの層流へ変わる大きさにできる。この装置は、十分な呼吸できるガスを開口部に向かわせるように十分に大きな表面積を有することができる。HMEまたはその他の追加の加湿、例えば加湿器、なしに呼吸努力を維持できるように、患者の気道の粘膜面における乾燥を十分なレベルに防止することが望ましい。
【0067】
本技術のもう1つの態様において、流路中のこの装置の存在によって生じる流れの障害物の上昇にもかかわらず、患者の気道の閉塞が低減できるかまたは最小限になるように、開口部の数と大きさを呼吸できるガスの流れがRPT装置で設定される所定の圧力範囲内で、開口部に向かうように選択してよい。本技術のさらなる態様において、プレナムチャンバーにおいてCO2の蓄積とCO2の再呼吸を生じることのある患者によるCO2の呼気またはCO2の洗浄に有意に抵抗することなく、患者の気道における閉塞が低減できるかまたは最小限になるように、開口部の数と大きさを呼吸できるガスの流れがRPT装置で設定される所定の圧力範囲内で、開口部に向かうように選択してよい。
【0068】
本技術の1形態のもう1つの態様は、患者インタフェースが接続ポートと流体接続にあるエルボーをさらに含むことで、ここにこの装置はエルボー内に位置している。本技術の1形態のさらなる態様において、該接続ポートは呼吸出来るガスの流れの送出のための吐出コンジットと流体接続であってよく、ここに装置は呼吸できるガスの流路における空気送出コンジット内に位置することができる。患者の気道の粘膜面に向けた呼吸できるガスの流れの乱流を低減するために、RPT中に呼吸できるガスの流れの流路の何処かに位置している装置を提供するのが本技術の願望である。
【0069】
本技術の1形態のもう1つの態様は、呼吸できるガスのすべての流れを開口部に向けるように装置の所定の表面積が選択されることである。表面における蒸発を防止し、終局的に乾燥を防止するために、物理的に干渉しかつ呼吸できるガスの層流を患者の気道の粘膜面に向けるのが本技術の願望である。
【0070】
本技術の1形態のもう1つの態様は、患者インタフェースからの吐き出した空気の洗浄のためのベントを患者インタフェースがさらに含むことである。この装置は使用中は、ベントと患者の気道の入口間の呼吸できるガスの流れの流路に置いてよい。好ましくは、この装置を患者インタフェースに近接して置いて、呼吸できるガスの流れの物理的干渉の効果を最大にする。
【0071】
本技術の1形態のもう1つの態様は、患者インタフェースが、この装置によって分割されたプレナムチャンバーをさらに含むことで、患者の気道の入口と流体連結にあるように構成された第1の前方チャンバーと第2の後方チャンバーに分かれている。この装置は、プレナムチャンバーの断面全体にわたるようにプレナムチャンバー内に位置してよい。接続ポート、コンジットまたはエルボーと比較して、プレナムチャンバーはこの装置を収納するための大きな容積を持っているので、呼吸できるガスの流れの障害物を最小限にするためにこの装置はプレナムチャンバー内に位置してよい。
【0072】
本技術の1形態のもう1つの態様は、呼気ガスの流れに物理的に干渉して、第2の後方チャンバーにおける湿度を所定の絶対湿度に上げる装置である。所定の絶対湿度は10 mg/Lより高くてよい。湿度が再送出のための患者の気道の入口のそれと近接するように、呼気ガスの流れと物理的に干渉して、患者インタフェースの第2の後方チャンバーにおいて湿度を維持する装置を提供することが望ましい。さらに呼吸の不快を防止するために、患者の気道における粘膜面の乾燥を防止するのに十分な所定の絶対湿度と同等な水分レベルとすることが望ましい。
【0073】
この装置がない場合の患者インタフェースと比較して、絶対湿度の上昇は第2の後方チャンバーからの湿度のロスを低減する装置の結果であることを理解されたい。第2の後方チャンバーにおける絶対湿度は、患者の気道の粘膜面によって加湿された患者の呼気ガスによる吐き出しによって上昇し、この水分のロスはプレナムチャンバーから加湿されたガスを放出することによって生じる。
【0074】
本技術の1形態のもう1つの態様は、所定の大きさを有する少なくとも1つの開口を有する装置で、ここに少なくとも1つの開口の所定の大きさは、所定の量の呼吸できるガスが開口を流れて、所定のレベルの圧力の呼吸できるガスの流れを送出するように選択される。所定のレベルの圧力はH2Oの2 cmとH2Oの40 cmの間である。所定の大きさの開口は、装置の透水性を呼吸できるガスの流れに上げるように選択される。透水性は、開口の前方の流れ範囲を大きくすることによって増大できる。前方の流れ範囲は、患者の気道の入口から離れた装置の前方の装置の表面積である。装置の透水性は、開口の数を増すことによっても上げることができる。所定の圧力レベルを維持するのに、呼吸できるガスの流れを有意に妨げない装置を提供することが望ましい。RPT治療、特にOSAの治療におけるPAP治療およびその他のSDB状態における圧力レベルは、気道の入口に送出される設定された治療レベルの圧力が必要である。このように、呼吸できるガスの加圧された流れが患者インタフェースに送出された時、治療レベルの圧力が維持されかつ患者の気道の入口に送出されるように、有意の圧力損失を防止する開口を含む装置を提供することも望ましい。
【0075】
本技術の1形態のもう1つの態様は、ベントを通る所定のレベルのCO2洗浄のための開口を通して呼気ガスの流れるように選択された所定の大きさを有する開口を含む装置である。開口は、呼気ガスの流れをCO2洗浄のベントに向けるように構成された内面輪郭を含む。装置のCO2洗浄のための呼気ガスの流れに対する透水性が増すように所定の大きさの開口を選択できる。開口の後方流れ範囲を大きくすると、透水性が高くなる。装置の後方側の開口の大きさを増すと、開口の後方の流れ範囲が大きくなる。装置の透水性は、開口数を増やしても高くなる。十分なCO2洗浄のために、呼気ガスの流れを邪魔しない装置を提供するのが望ましい。CO2洗浄のためのベントへの呼気ガスの流れを邪魔すると、患者のインタフェースにおけるCO2濃度が増えることになり、事実上CO2の再呼吸に至る。このように、呼気ガスが流れるための開口を有する装置を提供することも望ましく、ここに装置は十分なCO2洗浄のための呼気ガスの流れに対して高い透水性を有している。
【0076】
本技術の1形態のもう1つの態様は、柔軟性のある膜シートである装置である。代案として、装置は織り繊維で形成された織物であり、ここに繊維は隣接する繊維の間に複数の開口を形成する。この装置はメッシュ構造であってもよい。この装置は、患者インタフェースのプレナムチャンバー内のように、RPT治療の流路に沿って有意な容積を占めない薄くて柔軟性のある構造であってよい。薄い構造にすると、RPT治療の間に流れの障害物を少なくすることができ、流路にそった固定空間における装置の位置決めも容易になる。さらに、装置に柔軟性があると、患者インタフェースの内部容積に合わせて装置を操作するのが容易になる。
【0077】
本技術の1形態のもう1つの態様は、呼吸できるガスの障害物を低減するために厚さを減らした装置である。この厚さは約0.5 cmから1 cmの範囲であってよい。代案として厚さを1 mmから0.5 cmの範囲とすることができる。厚さは1 mm以下であってよい。薄い装置は、患者インタフェースのプレナムチャンバー内で占める容積が小さいので、流れの障害物への影響が少なく、患者インタフェースの一部を収納するのに必要な容積への影響が少ない。このように、呼吸できるガスの流れと呼気ガスの流れの障害物を下げ、装置がプレナムチャンバー内で占める容積を効果的に下げるため、厚さを減らした装置を提供するのが望ましい。患者の気道の粘膜面の乾燥を効果的に少なくし、しかもHMEと比較して流れの障害物が少なく、患者インタフェースにおいて占める容積が少ない装置を提供することも望ましい。HMEは熱と水分の吸収剤であり、したがって吸収剤の基質が所望レベルの湿度を達成するための容積が必要である。これとは対照的に、患者の気道の粘膜面の乾燥を防止し、熱および水分吸収材料を必要としないで呼気ガスから患者に湿度を再送出する技術を提供するのも本技術の願望である。
【0078】
本技術のもう1つの態様は、周囲空気圧力に対して連続して陽圧の空気の流れをシールして、少なくとも患者の鼻孔を含む患者の気道の入口に送達する患者インタフェースで、ここに患者インタフェースは、患者の呼吸サイクルを通して、患者が睡眠中に睡眠呼吸障害を改善するために、使用中に周囲空気圧力より約4 cm H2Oから約30 cm H2O高い範囲の治療圧力を維持するように構成されている。患者インタフェースは:患者の気道の入口に対して空気シールを形成するシール形成構造と;患者の気道入口において治療圧力を維持しながら、シール形成構造を患者の気道の入口を囲む領域とシーリング接触にあるシール形成構造を維持する位置決めと安定化構造;使用中に周囲圧力より高い圧力で加圧されているプレナムチャンバー;呼吸できるガスの流れを患者のインタフェース送達するための接続ポート;所定のサイズを有する少なくとも1つの開口を含む所定の表面を有する装置;流れに物理的に干渉するための呼吸できるガスの流路に沿って位置した装置から成り、ここに少なくとも1つの開口の所定の大きさと装置の所定の表面積は、所定量の呼吸できるガスが少なくとも1つの開口を通って流れ;ここに装置は熱非吸収と水分非吸収で、装置は患者の気道の粘膜面に向かって流れる呼吸できるガスを、粘膜面からの熱と水のロスの率が低下するように、所定量呼吸できるガスを少なくとも1つの開口向けて、乱流から層流に変える。
【0079】
実施例において、(a)患者インタフェースはさらに接続ポートと流体連結にあるエルボーを含み、ここに該装置はエルボー内に位置しており、(b)患者インタフェースは呼吸できるガスの流れを患者インタフェースに送達するための空気吐出コンジットをさらに含み、該空気吐出コンジットは接続ポートと流体連結にあり、ここに該装置はコンジット内に位置している、(c)患者インタフェースは、患者が吐き出したCO2の流れを患者インタフェースの外部に流し、患者が吐き出したCO2の再呼吸が最小限になるように構成されたガス洗浄ベントをさらに含み、(d) 該装置は使用中は、ベントと患者の気道入口間の呼吸できるガスの流れの流路に位置することができ、(e) 該装置はプレナムチャンバー内に位置してよく、プレナムチャンバーは第1の前方チャンバーと第2の後方チャンバーに分割され、第2の後方チャンバーは第1の前方チャンバーに関して患者の気道の入口に近接しており、(f) 該装置は呼気ガスの流れに物理的に干渉して、第2の後方チャンバーにおける湿度を所定の絶対湿度まで上げ、(g) 第1の前方チャンバーへの呼気のガスの流れを減速させることによって、該装置は呼気ガスの流れに物理的に干渉して患者の気道の入口に再送出する、(h) 所定の絶対湿度は10 mg/L以上でよい、(i)少なくとも1つの開口の所定の大きさのは、呼吸できるガスの流れが開口を流れる時、所定のレベルの圧力を実質的に維持できるように選択される、(j) 所定のレベルの圧力はH2Oの2 cmとH2Oの40 cmの間でよい、(k) 少なくとも1つの開口の所定の大きさは、装置の呼吸できるガスの流れへの透水性を上げることによって所定の圧力レベルを維持して選択できる、(l) 透水性は開口の前方の流れ範囲を大きくすることによって上げることができる、(m) 開口の前方の流れ範囲は装置の前方側の開口の大きさを上げることによって増大できる、(n) 少なくとも1つの開口は複数の開口であり、装置の透水性は開口の数を増せば大きくなる、(o) 所定の大きさの開口を選択して呼気ガスの流れが開口を通り、ベントを通して所定のレベルのCO2洗浄を行う、(p) 開口は、呼気ガスの流れをCO2洗浄のベントに向かわせるように構成された内面輪郭から成ってよい、(q) 所定の大きさの開口を選択して、装置のCO2洗浄のための呼気ガスの流れに対する透水性を大きくでき、透水性は開口の後部流れ範囲を増すことによって大きくできる、(r) 開口の後方流れ範囲は、装置の後方側の開口の大きさを増すことによって大きくできる、(s) 少なくとも1つの開口は、複数の開口を含み、装置の透水性は開口の数を増せば大きくなる、(t) 装置は柔軟性のある膜シートであってよい、(u) 装置は織り繊維で形成された織物であり、繊維は隣接する繊維の間に複数の開口を形成できる、(v) 装置はメッシュ構造であってよい、(w) 装置は、合成物質、熱可塑性エラストマーまたは疎水性ポリマーで構成されるグループからの任意の1つから成ってよい、(x) 装置は、呼吸できるガスの流れの障害物を下げるように選択された所定の厚さを持つことができる、(y) 装置の所定の厚さは約0.5 cmから1 cmの範囲にあってよい、(z) 装置の所定の厚さは約1 mmから0.5 cmの範囲にあってよい、(aa) 装置の所定の厚さは1 mm以下であってよくおよび/または (bb) 装置の所定の大きさは、患者インタフェースのプレナムチャンバー内に適合するように選択できる。
【0080】
本技術のもう1つの態様は、周囲圧力に関して連続して陽圧で空気の流れをシールして、少なくとも患者の鼻孔の入口を含む患者の気道の入口に送達する患者インタフェースで、ここに患者インタフェースは、患者の呼吸サイクルを通して、患者が睡眠中に睡眠呼吸障害を改善するために、使用中は周囲空気圧力より約4 cm H2Oから約30 cm H2O高い治療圧力を維持するように構成される。患者インタフェースは、患者の気道の入口に対して空気シールを形成するシール形成構造と;患者の気道入口において治療圧力を維持しながら、シール形成構造を患者の気道の入口を囲む領域とシーリング接触にあるシール形成構造を維持する位置決めと安定化構造;使用中に周囲圧力より高い圧力で加圧されているプレナムチャンバー;呼吸できるガスの流れを患者のインタフェース送達するための接続ポート;シール形成構造が、患者の気道の入口を囲む領域とシーリング接触にあるとき、シール形成構造とプレナムチャンバーによって画成された呼吸チャンバー内に少なくとも一部が位置する装置から成り、ここに該装置は呼吸チャンバーを後方チャンバーと前方チャンバーに分割し、ここに該装置は、後方チャンバーの空気の乱れが前方チャンバーの空気の乱れより少なくなるように、複数の開口から成る。
【0081】
実施例において、(a) 装置は、後方チャンバーと前方チャンバー間を移動する呼吸チャンバー内の空気が、複数の開口のみを通過するように位置決めされ、形成され、寸法決めされる、(b) 装置は、装置の外側周辺端部領域の少なくとも一部が、シール形成構造とプレナムチャンバーの少なくとも1つの内面と実質的に一致するように形成され、寸法決めされる、(c) 外側周辺端部領域は、シール形成構造とプレナムチャンバーの少なくとも1つの内面に対して空気シールを形成できる、(d) 装置の外側周辺端部領域全体は、シール形成構造とプレナムチャンバーの少なくとも1つの内面と実質的に一致する、(e) 患者インタフェースは、装置の外側周辺端部領域とシール形成構造とプレナムチャンバーの少なくとも1つの内面間の少なくとも1つのギャップをさらに含む、(f) 装置の外側周辺端部領域の少なくとも一部は、シール形成構造とプレナムチャンバーの少なくとも1つの内面に固定して取り付けられる、(g) 装置の外側周辺端部領域の少なくとも一部は、シール形成構造とプレナムチャンバーの少なくとも1つの内面に取り外し可能に取り付けられる、(h) 複数の開口は、大きさ、形状および装置全体を横切る密集度の少なくとも1つにおいて一様である、(i) 複数に開口は、大きさ、形状および装置全体を横切る密集度の少なくとも1つにおいて一様でない、(j) 複数の開口のそれぞれは、後方チャンバーに隣接する後方領域と、前方チャンバーに隣接する前方領域を有する、(k) 複数の開口のそれぞれの後方領域は、複数の開口のそれぞれの前方領域より大きく、小さく、または同じである、(l) 複数の開口のそれぞれを通る流路は、線形または非線形である、(m) 装置は水分および/または熱の吸収に耐性のある材料で成ってよい、(n) 材料は、ナイロン、ポリカーボネート、シリコン、ポリウレタン、熱可塑性エラストマー、疎水性ポリマーおよびその他の合成材料からなるグループの任意の1つであってよい、(o) 装置は、材料の単一片、連続片および同質片からなる、(p) 装置は、メッシュ、発泡体または織物構造とすることができる、(q) 装置は、後方チャンバーの容積が前方チャンバーの容積より大きい、小さいまたは同じで、呼吸チャンバー内に置くことができる、(r) 患者インタフェースは、患者インタフェースからのガスを洗浄するためのベントをさらに含むことができる、(s) ベントは、前方チャンバーからのガスがベントを経由して洗浄されるように、プレナムチャンバーまたは患者インタフェースのエルボーの上に置くことができる、および/または (t) ベントと接続ポートは、装置に関して患者の気道の入口の反対側に置くことができる。
【0082】
もちろん態様の部分は本技術の準態様を形成することができる。また、いろいろな準態様および/または態様は、いろいろな様式で組み合わせることができ本技術の追加の態様または準態様を構成することができる。
【0083】
技術のそのほかの特徴は、以下の詳細な説明、要約、図面および請求項に含まれる情報を考慮すれば明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0084】
本技術は制限ではなく、実施例によって説明され、添付の図面における数字において同じ参照番号は同じエレメントを参照する。
4.1 治療システム
【
図1A】
図1Aは、RPT装置4000からの陽圧の空気の供給を受ける、鼻枕の形態の患者インタフェース3000を着用した患者1000を含むシステムを示す。RPT装置からの空気は、加湿器5000の中で加湿され、空気回路4170を通って患者1000に供給される。ベッドパートナー1100も示されている。
【
図1B】
図1Bは、RPT装置4000からの陽圧の空気の供給を受ける、鼻マスクの形態の患者インタフェース3000を着用した患者1000を含むシステム示す。RPT装置からの空気は、加湿器5000の中で加湿され、空気回路4170を通って患者1000に供給される。
【
図1C】
図1Cは、RPT装置4000からの陽圧の空気の供給を受ける、フルフェース・マスクの形態の患者インタフェース3000を着用した患者1000を含むシステム示す。RPT装置からの空気は、加湿器5000の中で加湿され、空気回路4170を通って患者1000に供給される。 4.2 呼吸システムと顔の骨格
【
図2A】
図2Aは鼻腔と口腔、喉頭、声帯、食道、気管、気管支、肺、肺胞嚢、心臓および横隔膜を含むヒト呼吸器系統の概観を示す。
【
図2B】
図2Bは鼻腔、鼻骨、外側鼻軟骨、大鼻翼軟骨、小鼻、上唇、下唇、喉頭、硬口蓋、軟口蓋、中咽頭、舌、喉頭蓋、声帯ひだ、食道および気管を含むヒト上気道の概観を示す。
【
図2C】
図2Cは上唇、上赤唇、下赤唇、下唇、口の幅、エンドカンチオン、鼻翼、ホウレイ線およびケイリオンを含む。さらに上方向、下方向、半径方向内側および半径方向外側が示されている。
【
図2D】
図2Dは、眉間、セリオン、プロナザーレ、鼻下点、上唇、下唇、スプラメントン、鼻堤、鼻翼クレストポイント、上耳底点、下耳底点を含む体表解剖学のいくつかの特徴を示した頭部の側面図である。また上方向と下方向および前方と後方の方向も示されている。
【
図2E】
図2Eは、頭部のさらなる側面図である。フランクフォート水平と鼻唇角も同定されている。前頭面も示されている。
【
図2F】
図2Fは、鼻唇溝、下唇、上赤唇、鼻孔、下鼻点、耳小柱、プロナザーレ、鼻孔の主軸と矢状面を含む識別されたいくつかの特徴を示した鼻の底面図である。
【
図2H】
図2Hは、外側軟骨、隔壁軟骨、大きい鼻翼軟骨、小さい鼻翼軟骨、種子骨軟骨、鼻骨、上皮、脂肪組織、上顎の前頭突起と線維脂肪組織を含む鼻の皮下構造を示す。
【
図2I】
図2Iは、矢状面から約数ミリの鼻の内側解剖を示し、とりわけ大鼻翼軟骨の隔壁軟骨と内側脚が示されている。
【
図2J】
図2Jは、前頭鼻と頬骨を含む頭部の骨の正面図である。鼻甲介が上顎と下顎として示されている。
【
図2K】
図2Kは、いくつかの筋肉と共に頭部の表面の輪郭の側面図を示す。次の骨が示されている:前頭骨、ちょう形骨、鼻骨、頬骨、上顎、下顎、頭骨頭頂部、側頭と後頭部骨。オトガイ隆起が示されている。次の筋肉が示されている:顎二腹筋、咬筋、胸鎖乳突筋および僧帽筋。
【
図2L】
図2Lは、鼻の前外側図を示す。 4.3 患者インタフェース
【
図3】
図3は本技術の1形態による患者インタフェースを示す。 4.4 RPT装置
【
図4B】
図4Bは、本技術の1形態によるRPT装置の空気路の回路図である。上流と下流の方向が示されている。
【
図4C】
図4Cは、本技術の1形態によるRPT装置の電気コンポーネンツの回路図である。
【
図4D】
図4Dは、本技術の1形態によるRPT装置の電気コンポーネンツのもう1つの回路図である。 4.5 加湿器
【
図5A】
図5Aは、本技術の1形態による加湿器の等角投影図である。
【
図5B】
図5Bは、本技術の1形態による加湿器の等角投影図で、加湿器リザーバドック5130から取り外した加湿器リザーバ5110が示されている。
【
図5C】
図5Cは、本技術の1形態による加湿器の系統図である。 4.6 呼吸波形
【
図6】
図6は、ヒトの睡眠中の典型的な呼吸波形を示す。 4.7 本技術の実施例
【
図7A】
図7Aは、本技術の実施例による患者インタフェースからの加圧された呼吸できる流れを受ける患者の側面図である。
【
図7B】
図7Bは、本技術の実施例による装置を持った患者インタフェースからの加圧された呼吸できる流れを受ける患者の側面図である。
【
図8A】
図8Aは、本技術の実施例による装置を含む患者インタフェースを付けた患者の側面図である。
【
図8B】
図8Bは、本技術の実施例による装置を含む患者インタフェースを付けた患者の側面図である。
【
図8C】
図8Cは、本技術の実施例による装置を含む患者インタフェースを付けた患者の側面図である。
【
図9A】
図9Aは、本技術の実施例による装置の例の透視図である。
【
図9B】
図9Bは、本技術の実施例による装置の例の透視図である。
【
図10A】
図10Aは、本技術の実施例による患者インタフェースを付けた患者の背面図である。
【
図10B】
図10Bは、本技術の実施例による装置を含む患者インタフェースを付けた患者の背面図である。
【
図11】
図11は、本技術の実施例による異なる装置材料に基づいた患インタフェースにおける装置の後方における平均絶対湿度のチャートを示す。
【
図12A】
図12Aは、シール形成構造のモデルと、ベント、接続ポートの付いた患者インタフェースのプレナムチャンバーと、本技術の実施例による装置のモデルの前部透視図である。
【
図12B】
図12Bは、シール形成構造のモデルと、ベント、接続ポートの付いた患者インタフェースのプレナムチャンバーと、本技術の実施例による装置のモデルの前部透視図である。
【
図13A】
図13Aは、患者が発生する流れがゼロの時の、計算流体力学プログラムから得た
図12Aと
図12B(装置は示されていない)のモデル内の流速モデリングを示す。
【
図13B】
図13Bは、患者が発生する流れがゼロの時の、計算流体力学プログラムから得た
図12Aと
図12B(装置は示されている)のモデル内の流速モデリングを示す。
【
図14A】
図14Aは、患者が発生する流れが10 L/minの時の、計算流体力学プログラムから得た
図12Aと
図12B(装置は示されていない)のモデル内の流速モデリングを示す。
【
図14B】
図14Bは、患者が発生する流れが10 L/minの時の、計算流体力学プログラムから得た
図12Aと
図12B(装置は示されている)のモデル内の流速モデリングを示す。
【
図15A】
図15Aは、患者が発生する流れがゼロの時の、計算流体力学プログラムから得た
図12Aと
図12B(装置は示されていない)のモデル内でモデル化した流速流線を示す。
【
図15B】
図15Bは、患者が発生する流れがゼロの時の、計算流体力学プログラムから得た
図12Aと
図12B(装置は示されている)のモデル内でモデル化した流速流線を示す。
【
図16A】
図16Aは、患者が発生する流れが10 L/minの時の、計算流体力学プログラムから得た
図12Aと
図12B(装置は示されていない)のモデル内でモデル化した流速流線モデリングを示す。
【
図16B】
図16Bは、患者が発生する流れが10 L/minの時の、計算流体力学プログラムから得た
図12Aと
図12B(装置は示されている)のモデル内でモデル化した流速流線モデリングを示す。
【発明を実施するための形態】
【0085】
技術の実施例の詳細な説明
本技術をさらに詳細に説明する前に、本技術は本明細書に記載された変わることのある特定の実施例に限定されないことを理解されたい。またこの開示で使用されている専門用語は、本明細書中で議論される特定の実施例のみを記述するのが目的であり、限定する意図のないことを理解すべきである。
【0086】
以下の記述は、1つまたはそれ以上の特性および/または特徴を共有するさまざまな実施例に関して提供されている。任意の1つの実施の1つまたはそれ以上の特徴は、もう1つの実施例またはその他の実施例の1つまたはそれ以上の特徴と組み合わせ可能であることを理解されたい。さらに、任意の実施例の単一の特徴または特徴の組み合わせは、さらなる実施例を構成することができる。
【0087】
本技術をさらに詳細に説明する前に、本技術は本明細書に記載された変わることのある特定の実施例に限定されないことを理解されたい。またこの開示で使用されている専門用語は、本明細書中で議論される特定の実施例のみを記述するのが目的であり、限定する意図のないことを理解すべきである。
【0088】
以下の記述は、1つまたはそれ以上の特性および/または特徴を共有するさまざまな実施例に関して提供されている。任意の1つの実施例の1つまたはそれ以上の特徴は、もう1つの実施例またはその他の実施例の1つまたはそれ以上の特徴と組み合わせ可能であることを理解されたい。さらに、任意の実施例の単一の特徴または特徴の組み合わせは、さらなる実施例を構成することができる。
【0089】
5.1 治療
1形態において、本技術は陽圧を患者1000の気道入り口に適用するステップから成る呼吸障害の治療の方法から成る。
【0090】
本技術のある実施例において、陽圧の空気が患者の1つまたは両方の鼻孔を通して鼻腔に供給される。
【0091】
本技術のある実施例において、口呼吸は制限され、禁止されまたは防止される。
【0092】
5.2 治療システム
1つの形態において、本技術は呼吸器疾患を治療する器具または装置から成る。該器具または装置は、患者インタフェース3000への空気回路4170を経由して加圧された空気を患者1000に供給するRPT装置4000を含む。
【0093】
5.3 患者インタフェース
本技術の1態様による非侵襲患者インタフェース3000は、下記の機能面を有している:シール形成構造3100、プレナムチャンバー3200、位置決めおよび安定化構造3300および空気回路4170へ接続するための接続口3600。場合によっては、機能面は1つまたはそれ以上の物理的コンポーネントによって提供されてよい。いくつかの形態では、1つの物理的コンポーネントが1つまたはそれ以上の機能的態様を提供することができる。使用中は、気道への空気の供給が陽圧になるようにシール形成構造3100は患者の気道入り口を囲むように配置される。
【0094】
5.3.1 シール形成構造
本技術の1形態において、シール形成構造3100はシール形成面を提供し、さらにクッション機能を提供できる。
【0095】
本技術によるシール形成構造3100は、シリコンのような柔らかくて、柔軟性があり弾力性のある材料で構築できる。
【0096】
1つの形態において、シース形成構造はシール用フランジと支持フランジを含む。支持フランジは、シール用フランジより相対的に厚くてよい。支持フランジはシール用フランジとプレナムチャンバー3200の周縁エッジの間に配置され、少なくとも周辺の一部の周りに伸びている。支持フランジは、バネ状のエレメントでまたはそれを含み、使用中にシール用フランジ3110を支持して座屈を起こすのを防止する。使用中は、シール用フランジ3110はプレナムチャンバー3200におけるシステム圧力に直ちに対応でき、その底面に作用して顔にしっかりと係合するよう促す。
【0097】
1つの形態において、非侵襲患者インタフェース3000のシール形成部は、一対の鼻噴霧または鼻枕を含み、それぞれの鼻噴霧または鼻枕は、患者の鼻のそれぞれの鼻孔とシールを形成するように構築され配置される。
【0098】
本技術の態様による鼻枕は下記を含む:戴頭円錐、少なくともその一部が患者の鼻の下側の底面にシールを形成する、脚、戴頭円錐の底面の柔軟な部分と戴頭円錐を脚に接続する。さらに、本技術の鼻枕が接続される構造は、脚の基部に隣接した柔軟な領域を含む。柔軟な領域は一致して作用して自在継手構造の役目をし、戴頭円錐と鼻枕が接続されれいる構造の変位と角度の両方の相対運動に対応する。例えば、戴頭円錐は、脚が接続されている構造に向けて軸方向に変位させることができる。
【0099】
1つの形態において非侵襲シール形成部3000は、使用中に患者の顔の上唇(これがlip superiorである)上にシールを形成するシール形成部を含む。
【0100】
1つの形態において、非侵襲患者インタフェース3000は、使用中に患者の顔の顎の部分にシールを形成するシール形成部を含む。
【0101】
5.3.2 プレナムチャンバー
プレナムチャンバー3200は、使用中にシールが形成される領域における平均的なヒトの顔面の表面のでこぼこに補完的になるように形作られる周辺を有している。使用中は、プレナムチャンバーの周縁エッジは、顔面の隣接する表面に近接するよう位置決めされる。顔との実際の接触はシール形成構造3100によって行われる。シール形成構造3100は使用中はプレナムチャンバー3200の周辺全体に伸びることができる。
【0102】
5.3.3 位置決めと安定化構造3300
本技術の患者インタフェース3000のシール形成部3100は、位置決めと安定化構造3300によって使用中はシーリング位置に保持される。
【0103】
本技術の1形態において、位置決めと安定化構造3300は、睡眠中の患者による摩耗にふさわしいように構成される。1実施例において位置決めと安定化構造3300は、把握しているまたは実際の器具の容積を減らすために、薄型または断面厚さを有する。1実施例において、位置決めと安定化構造3300は長方形の断面を有する少なくとも1つのストラップを有する。1実施例において、位置決めと安定化構造3300は少なくとも1つの平らなストラップを含む。
【0104】
本技術の1形態において、位置決めと安定化構造3300は織物の患者接触層、発泡体の内層および織物の外層の積層で作られたストラップを含む。1形態において、発泡体は水分(例えば、汗)がストラップ透過できるように多孔質である。1形態において織物の外層は、フックの材料部に係合するために、ループ材料を含む。
【0105】
本技術のある形態において、位置決めと安定化構造3300は伸張性の、例えば弾性的に伸びることのできるストラップから成る。例えば、使用中はストラップは伸張しているように構成され、クッションを引き込んで患者の顔の部分とシーリング接触するように力を向ける。実施例において、ストラップはネクタイのように構成される。
【0106】
本技術のある形態において、位置決めと安定化構造3300は曲げることのできる、たとえば非剛体のストラップから成る。この態様の利点は、患者が睡眠中に横たわるのによりくつろぐことである。
【0107】
5.3.4ベント
1形態において、患者インタフェース3000は吐き出した二酸化炭素を洗浄するように接続されかつ配置されたベント3400を含む。
【0108】
本技術によるベント3400の1つの形態は、例えば約20から約80または約40から約60または約45から約55の複数の穴を含む。
【0109】
ベント3400はプレナムチャンバー3200内に置くことができる。代案として、ベント3400は分離構造3500、例えばスイベル3510の中に置くことができる。
【0110】
5.3.5 分離構造(複数)
患者インタフェース3000の1形態は、少なくとも1つの分離構造3500、例えばスイベル3510またはボールとソケット、を含む。
【0111】
5.3.6 接続ポート
接続ポート3600から空気回路4170への接続ができる。
【0112】
5.3.7 額支持
1形態において、患者インタフェース3000は額支持3700を含む。
【0113】
5.3.8 窒息防止弁
1形態において、患者インタフェース3000は窒息防止弁を含む。
【0114】
5.3.9ポート(複数)
本技術の1形態において患者インタフェース3000は、プレナムチャンバー3200内の容積にアクセスできる1つまたはそれ以上のポート(複数)を含む。この形態の1つにおいて臨床医は酸素を補充できる。1形態において、プレナムチャンバー3200内のガスの特性、例えば圧力、を直接測定できる。
【0115】
5.3.10 装置6000を含む患者インタフェース3000
関連技術において、本明細書の他の場所に記載されているように、患者インタフェース1000にはRPT装置4000で生成されたガスの供給を提供できる。これらの関連技術の患者インタフェース3000は、患者1000からの呼気ガスの洗浄または吐出を行うベント3400を有しており、CO2を患者の気道1004からそらして、好ましくなく高濃度のCO2を患者1000が吸引するのを防止している。患者1000がRPT装置で作られたガスの供給を呼吸時に吸入すると、患者の気道1004の粘膜面が空気が吸引された時に空気に水分を与え、一度吐き出されるとこの水分は空気中にとどまる。しかし吐き出したCO2濃度の高いガスは洗浄されまたはベントフロー7004は患者の粘膜面によって空気に加えられた水分をCO2と共に吐出する。治療セッションの間に、例えば患者の睡眠中、粘膜面の乾燥が生じ、これは患者にとって不快となる。
【0116】
関連技術では、本明細書の他の何処かに詳細が記載されているように、水分を追加するため、すなわち湿度、加湿器5000を提供することによってこの問題に対応した。治療のために、ガスの流れ7000が患者インタフェース3000に提供される。換言すれば、加湿器5000はベントフロー7004を通して失われた水分を、患者に供給されるガスの流れ7000中に水分を供給することによって、再度供給すると理解できる。加湿器5000は、治療の間に患者の気道1004の乾燥を効果的に低減できるが、加湿器5000には水分の源、動力源および患者に所望のレベルの湿度と治療を送達するため、加湿器5000とRPT装置4000の協調運転のための制御システムが必要となる。従って治療中の水分のロスの問題には、加湿器5000に関連した要件なしに、もう1つのソリューションを提供することが望ましい。
【0117】
本技術の1つの態様による非侵襲患者インタフェース3000は装置6000から成る。装置6000は熱非吸収または熱に耐性がありおよび/または装置6000は水分非吸収または水分に吸収に耐性がる。
【0118】
本技術の実施例によれば、装置6000は患者インタフェース3000のプレナムチャンバー3200内に配置できる。装置6000は、シール形成構造3100とプレナムチャンバー3200によって少なくとも一部画成された呼吸チャンバーの中にも配置できる。代案として、装置6000は分離構造3500または患者インタフェース3000のエルボー内に位置してよい。代案として、装置6000は空気回路4170内に配置できる。装置6000は呼吸できるガス7000の流れを、少なくとも1つの開口6002を通るように向かわせるように構成でき、患者の気道1004の粘膜面に向かう流れの乱れを低減し、粘膜面の乾燥を少なくする。
【0119】
この装置は、所定の大きさの複数の開口6002を含んでよい。装置6000は、接続ポート3600と患者の気道1004の入口1006の間に位置して、呼吸できるガス7000の一部またはすべてを開口6002を通るように向ける。装置6000は、所定の表面積を含み、流れ7000に物理的に干渉し、流れ7000のすべてを開口6002を通るように向ける。また患者の気道1004からの呼気流れ7002を、開口6002を通って反対方向へそして洗浄またはベント流7004としてベント3400を出て、プレナムチャンバー3200の外に向けることができる。
【0120】
1つの形態において、装置6000はプレナムチャンバー3200を第1の前方チャンバー6004と第2の後方チャンバー6006に分けることができる。第2の後方チャンバー6006は、患者の気道1004の入口1006に隣接するように配置される。装置6000は呼気ガスの流れ7002に物理的に干渉して、第2の後方チャンバー6006における湿度を所定の絶対湿度に上げ、患者の気道1004の粘膜面へ加湿を再送達する。患者の呼気ガス7002の加湿された流れが、第1の前方チャンバー6004に流れ込むのを少なくして、第2の後方チャンバー6006内の湿度を上げ、それによって患者の気道1004の入口へ再送達する。このように、呼気流れ7002を第2の後方チャンバー6006から第1の前方チャンバー6004へ開口6002を強制的に通して、プレナムチャンバー3200内の呼気流れ7002の速度を下げ、第2の後方チャンバーにおける乱れを低減する。装置6000は、第2の後方チャンバー6006への通路を妨げて、流れ7000の速度または運動エネルギーを低減でき、次に流れの中の乱れを低減すること理解されたい。第2の後方チャンバー6006において乱れが低減されると、次いで呼気の流れ7002とRPT装置4000からの湿度の低い呼吸できるガスの流れ7000間の混合が少なくなる。このように、呼気ガス7002から水分のロスが少なくなり、そのうちのかなりの部分が終局的に第2の後方チャンバー6006に保持され、患者1000が吸い込む空気を加湿するのに使用でき、患者の気道1004が乾燥しない。さらに、第2の後方チャンバー6006により多くの水分を保持することによって、第1の前方チャンバー6004に移送され、たとえばベント流れ7004によってプレナムチャンバー3200から終局的に失われる水分が少なくなる。第2の後方チャンバー6006内の絶対湿度は、10 mg/L以上になる。
【0121】
1形態において、患者インタフェース3000のシール形成構造3100は、患者1000の顔面のある部分をシールするように構成され、呼吸できるガス7000の流れを治療圧力レベルでRPTに提供して、睡眠障害呼吸のような状態を治療する。呼吸できるガス7000は、接続ポート3600からプレナムチャンバー3200に入り、患者の気道1004の入口に到達する前に装置6000の開口6002を通過する。患者の気道1004に到達する前に治療圧力の有意なロスを避けるために、呼吸できるガス7000の流れが開口6002を通過する時、装置6000の呼吸できるガス7000の流れに対する透水性を上げて圧力所定のレベルを維持できる。所定の圧力レベルは2 cm H2Oから40 cm H2Oの間とすることができる。開口6002の前方流れ範囲を増して透水性を上げることができる。開口6002の前方流れ範囲は、開口が装置6000の前方を占める領域で、呼吸できるガス7000の流れが開口6002を通るようにする。所定の大きさの開口6002を選択して前方流れ範囲を選択できる。代案として、呼吸できるガス7000に対する装置6000の透水性は、開口6002の数を増して上げることができる。このように、装置6000の前方側における開口6002の面積と開口の数は、装置6000の前方の流れ範囲を決める2つの要素である。
【0122】
1形態において、呼気ガス7002の流れがベントフロー7004としてCO2洗浄のためのベント3400から流れ出る前に装置6000の開口6002を通って流れるように、装置6000はベント3400と患者1000の間に置くことができる。呼気ガスの流れ7002に対する装置6000の透水性を上げて、呼気ガスの流れ7002を開口6002を通し、所定のCO2洗浄レベルを得ることができる。開口6002の後方流れ範囲を大きくして、呼気ガスの流れ7002に対する透水性を上げることができる。装置6000の所望の後方流れ面積は、所定の大きさの開口6002を選択して選択できる。また、開口6002の数を増して透水性を上げることができる。このように、装置6000の後方側における開口6002の面積と開口の数は、装置6000の後方の流れ範囲を決める2つの要素である。
【0123】
もう1つの形態において開口6002のそれぞれは、所定のCO2洗浄レベルを達成するために、呼気ガスの流れ7002をベント3400に向けるように構成された内部表面輪郭を含む。所定のCO2洗浄レベルまたはベントフロー7004は、SDBの治療におけるRPTの間に突然の目覚めのような有害な影響を生じる有意なCO2再呼吸を防止するのに十分である。
【0124】
ある形態において、装置6000は
図8Aに示すように柔軟性のある膜シートでよい。代案として、装置6000は織り繊維で形成された織物であり、ここに繊維は
図8Bに示すように隣接する繊維間に複数の開口6002を形成する。もう1つの形態において装置6000は、
図8Cに示すようにメッシュ構造でよい。
【0125】
図9Aと
図9Bは、本技術による装置6000の2つの透視図である。装置6000には多数の開口6002があるのがわかる。装置6000全体にわたって、開口6002は大きさと形状が同じである。代案として開口6002の大きさは、装置6000の異なる領域において変更でき、開口6002の形状は装置6000の異なる領域において変更でき、および/または開口6002の密集度、すなわち装置6000の表面の単位面積当たりの開口数は装置6000の異なる領域において変更できる。
【0126】
さらに装置6000は、その周辺がプレナムチャンバー3200の内部表面に実質的に適合して、患者インタフェース3000内で確実なかみ合いを提供するように形作ることができる。装置6000はすり合わせ、圧入、スナップ取り付け、接着剤、成形および/またはクリップまたはその他の取付け構造によってプレナムチャンバー3200の内側に固定できる。代案として、装置6000はプレナムチャンバー3200と共に1つのピースに形成し、装置6000とプレナムチャンバー3200を同質で連続した材料の単一のピースとすることができる。
【0127】
さらなる実施例によると、装置6000は熱非吸収または熱の吸収に耐性のある材料で形成できおよび/または装置6000が水分非吸収または水分の吸収に耐性のあるものでよい。装置6000はナイロン、ポリカーボネート、シリコン、ポリウレタン、熱可塑性エラストマー、疎水性ポリマーおよびその他の合成材料からなるグループの任意の1つであってよい。代案として、装置6000は、紙のような熱および水分交換器を形成する材料でできてよい。しかしこの場合装置6000は、熱と水分を効果的に交換して所定レベルの加湿を提供するために薄くなりすぎることがある。このように装置6000は、粘膜面の乾燥を少なくするために、患者の気道1004の粘膜面に向かう流れの乱れを低減するため、呼吸できるガスの流れ7000の方向を決める能力に大きく依存する。
【0128】
本技術の実施例の1形態において、装置6000は1 cm以下の厚さとすることができる。本技術のもう1つの実施例によれば、装置6000は0.5 cm以下の厚さとすることができる。本技術のもおう1つの実施例によれば、装置6000は1 mm以下の厚さとすることができる。装置6000はプレナムチャンバー3200において小さな容積を占めて、呼吸できるガスの流れ7000、患者からの呼気ガス7002および/またはベントフロー7004に対する影響を低減する。装置6000は患者の気道1004の粘膜面の乾燥を低減して、呼吸の不快さを避け、動力による加湿またはHMEの使用と同じ効果ととすることができる。しかし装置6000は外部電源を必要とせず、熱と水分の交換を通して同じレベルの呼吸の快適さを提供するHMEと比較して、装置6000は有意に小さいサイズと容積を占めることができる。占める容積が小さいことは、SDBの治療のためのPRTの間に生じる呼吸できるガスの流れ7000の障害物の低減に効果がある。小さな装置6000は、ベント3400への呼気ガスの流れ7002および/またはCO2を洗浄するベントフロー7004の障害物を低減する。さらに小さな装置6000は、マスク内HMEの使用と比較して、患者インタフェース3000内に患者の顔面の一部を収納する追加のスペースを作る。
【0129】
図11は、使用中の装置6000を含む患者インタフェース3000の後方チャンバー6006で測定した平均絶対湿度の増加を示す。図示のように絶対湿度は、患者の気道1004の入口の近位にある患者インタフェース3000で次のように測定した:1) 装置6000なしの患者インタフェース3000、2) HME材料でできた装置6000を含む患者インタフェース3000、および3) 熱非吸収または熱の吸収に耐性があり、水分非吸収または水分の吸収に耐性がある織物構造の形態の装置6000を含む患者インタフェース3000。結果は絶対湿度の有意な増加を示しており、熱非吸収または熱の吸収に耐性があり、水分非吸収または水分の吸収に耐性がある織物構造の形態の装置6000を含む患者インタフェースが最高の結果を示した。
【0130】
図12Aと12Bは、装置6000のある模擬患者インタフェースシステムおよび装置6000のない模擬患者インタフェースシステムにおける呼吸できるガスの流れ7000の乱れの測定に利用されたテスト装置またはモデル3900を示す。テスト装置3900は、患者の気道への模擬の入口1002、模擬のベント3400および模擬の接続ポート3600を含む。テスト装置3900の容積も、少なくとも一部が、シール形成構造3100とプレナムチャンバー3200の模擬の形態で画成されていると理解できる。換言すれば、テスト装置3900は顔面に置いた時、少なくとも一部が、シール形成構造3100とプレナムチャンバー3200によって、画成された呼吸チャンバーのモデルになると理解できる。
【0131】
図13Aから16Bは、計算流体力学のプログラムを使用して測定した乱れまたはテスト装置3900内の流れの結果を示す。結果は、装置6000を含むテスト装置3900において、装置6000のないテスト装置3900と比較して、ガスの乱れが装置6000によって有意に低減できることを示している。
図12Aと12Bは装置6000の付いたテスト装置3900を示しているが、
図13A、14A、15Aおよび16Aは装置6000のないテスト装置3900における流れのモデル化を描写しており、一方
図13B、14B、15Bおよび16Bは、装置6000の付いたテスト装置3900における流れのモデル化を描写していると理解されたい。
【0132】
図13Aと13Bは、それぞれ装置6000の付いていないおよび付いたテスト装置3900におけるガスの流速を示している。このシミュレーションでは、模擬した入口1002を経由した患者の呼気流れ7002はゼロで、接続ポート3600を経由してテスト装置3900に流れ込む呼吸できるガス7000の流れがある。
図13Bから分かるように、テスト装置3900が装置6000を含む場合は、後方チャンバー6006における乱れは、前方チャンバー6004と比較して低減される。
【0133】
図14Aと14Bは、それぞれ装置6000の付いていないおよび付いたテスト装置3900におけるガスの流速を示している。このシミュレーションにおいて、模擬した入口1002を経由した患者の呼気流れ7002、すなわち患者の吐き出した息、は陽圧で、接続ポート3600を経由してテスト装置3900に入る呼吸できるガスの流れ7000がある。
図13Bから分かるように、テスト装置3900が装置6000を含む場合は、後方チャンバー6006における乱れは、前方チャンバー6004と比較して低減される。
【0134】
図15Aと15Bは、装置6000の付いていないおよび付いたテスト装置3900におけるガスの流れの流線をそれぞれ示している。このシミュレーションにおいて、模擬した入口1002を経由した患者の呼気流れ7002はゼロで、接続ポート3600を経由してテスト装置3900に入る呼吸できるガスの流れ7000がある。
図15Bから分かるように、テスト装置3900が装置6000を含む場合は、後方チャンバー6006における乱れは、前方チャンバー6004と比較して低減される。
【0135】
図16Aと16Bは、装置6000の付いていないおよび付いたテスト装置3900におけるガスの流れの流線をそれぞれ示している。このシミュレーションにおいて、模擬した入口1002を経由した患者の呼気流れ7002、すなわち患者の吐き出した息、は陽圧で、接続ポート3600を経由してテスト装置3900に入る呼吸できるガスの流れ7000がある。
図16Bから分かるように、テスト装置3900が装置6000を含む場合は、後方チャンバー6006における乱れは、前方チャンバー6004と比較して低減される。
【0136】
5.4 RPT装置
本技術の1態様によるRPT装置4000は、機械的および空気的コンポーネンツ4100、電気的コンポーネント4200から成り、1つまたはそれ以上のアルゴリズム4300を実行するように構成されている。RPT装置は、2つの部分に形成された、上部4012と下部4014,外部ハウジング4010を有する。さらに外部ハウジング4010は1つまたはそれ以上のパネル(複数)4015を含むことができる。RPT装置4000は、RPT装置4000の1つまたはそれ以上の内部コンポーネントを支持するシャーシ4016を含んでよい。。RPT装置4000はハンドル4018を含んでよい。
【0137】
RPT装置4000の空気路は、入口フィルター4112、入り口マフラー4122、陽圧で空気を供給できる圧力装置4140(例えば送風機4142)および出口マフラー4124と圧力センサー4272および流量センサー4274のような1つまたはそれ以上の変換器4270のような1つまたはそれ以上の空気路アイテムを含んでよい。
【0138】
1つまたはそれ以上の空気路アイテムは、空気ブロック4020と称する取外し可能な単一の構造内に位置できる。空気ブロック4020は外部ハウジング4010内に位置できる。1形態において、空気ブロック4020はシャーシ4016で支持されるかまたはその一部を形成する。
【0139】
RPT装置4000は、電源4210、1つまたはそれ以上の入力装置4220、中央コントローラ4230、治療装置コントローラ4240、圧力発生器4140、1つまたはそれ以上の保護回路4250、メモリー4260、変換器4270、データ通信インタフェース4280および1つまたはそれ以上の出力装置4290から成ることができる。電気コンポーネント4200は単一のプリント基板ユニット(PCBA)4202上に置くことができる。代案として、RPT装置4000は1つ以上のPCBA 4202を含んでよい。
【0140】
5.4.1 RPT装置の機械的および空気的コンポーネンツ
RPT装置は、1つまたはそれ以上の下記のコンポーネンツを一体ユニットの中に含むことができる。代案の形態で、1つまたはそれ以上の次のコンポーネンツが、それぞれ別のユニットとして位置することができる。
【0141】
5.4.1.1 空気フィルター(複数)
本技術の1形態によるRPT装置は、空気フィルター4110または複数の空気フィルター4110を含むことができる。
【0142】
1つの形態において、入口空気フィルター4112は、圧力発生器4140の上流の空気路の先頭に位置している。
図4Bを参照。
【0143】
1つの形態において、例えば抗菌性フィルターのような出口空気フィルター4114は空気ブロックの出口4020と患者インタフェース3000の間に位置している。
図4Bを参照。
【0144】
5.4.1.2 マフラー(複数)
本技術の1形態として、入口マフラー4122は圧力発生器4140の上流の空気路に位置している。
図4bを参照。
【0145】
本技術の1形態として、出口マフラ―4124は圧力発生器4140と患者インタフェース3000の間の空気路に位置している。
図4Bを参照。
【0146】
5.4.1.3 圧力発生器4140
本技術の1形態として、陽圧の流れを生成する、または供給する、圧力装置4140は制御可能な送風機4142である。例えば送風機4142は、ボリュートの中に収めた一つまたはそれ以上のインペラーを有するブラシレスDCモータ4144を含む。送風機は例えば約120リーッター/分の陽圧のを、約4 cmH2Oから約20 cmH2Oの範囲またはそのほかの形態で約30 cmH2Oまでの範囲で吐出できる。送風機は、その開示をここに参考のため包含する下記の任意の1つ特許または特許出願に記載されている送風機であってよい:米国特許番号7,866,944;米国特許番号8,638,014;米国特許番号8,636,479;およびPCT特許公開番号WO 2013/020167。
【0147】
圧力発生器4140は、治療送値コントローラ4240の制御下にある。
【0148】
その他の形態において、圧力発生器4140はピストン駆動のポンプ、高圧源(例えば、圧縮空気リザーバ)に接続された圧力調整器またはベローズであってよい。
【0149】
5.4.1.4 変換器(複数)
変換器はRPT装置4000の内部でも外部でもよい。外部変換器は例えば空気回路に置かれまたは患者インタフェースのような空気回路の一部を形成する。外部変換器はデータをRPT装置に送信または移送するドップラーレーダ動きセンサーのような非接触センサーの形態であってよい。
【0150】
本技術の1形態において、1つまたはそれ以上の変換器4270が圧力発生器4140の上流および/または下流に位置している。1つまたはそれ以上の変換器4270が、流量、空気路中のそのポイントにおける圧力または温度のような特性を測定するように構築されかつ配置される。
【0151】
本技術の1形態において、1つまたはそれ以上の変換器4270を患者インタフェース3000の近位に置くことができる。
【0152】
1形態において、変換器4270からの信号は、ローパス、ハイパスまたはバンドパス・フィルタリングなどによってフィルターにかけられる。
【0153】
5.4.1.4.1 流量変換器
本技術による流量変換器4274は、例えばSENSIRIONのSDP600シリーズ差圧変換器のような、差圧変換器に基づいたものとすることができる。
【0154】
1形態において、流量変換器4274からの合計流量Qtのような流量を表す信号は、中央コントローラ4230が受信する。
【0155】
5.4.1.4.2 圧力変換器4272
本技術による圧力変換器4272は、空気路と流体接続となるよう配置される。適当な圧力変換器の例は、HONEYWELL ASDXシリーズのセンサーである。代案の適切な圧力変換器は、GENERAL ELECTRICのNPAシリーズのセンサーである。
【0156】
1形態において、圧力変換器4272からの信号を中央コントローラ4230が受信する。
【0157】
5.4.1.4.3 モータ速度変換器
本技術の1形態において、モータ4144および/または送風機4142の回転速度を決定するのにモータ速度変換器4276が使用される。モータ速度変換器4276からのモータ速度信号は、治療装置コントローラ4240に提供できる。モータ速度変換器4276は、例えばホール効果センサーのような速度センサーであってよい。
【0158】
5.4.1.5 抗スピルバック弁
本技術の1形態において、抗スピルバック弁が加湿器5000と空気ブロック4020の間に位置している。この抗スピルバック弁は、水が加湿器5000から上流に流れるリスク、例えばモータ4144へ、を低減するよう構築されかつ配置される。
【0159】
5.4.1.6 空気回路
本技術の態様による空気回路4170は、空気の流れが例えば空気ブロック4020と患者インタフェース3000のような2つのコンポーネンツ間を使用中に行き来できるように構築されかつ配置される。
【0160】
具体的には、空気回路4170は空気ブロックの出口と患者インタフェースと流体接続としてよい。空気回路は、空気吐出チューブと称することができる。場合によっては、吸入と呼気のための回路の別の肢があってよい。そのほかの場合には、単一の肢が使用される。
【0161】
ある形態では空気回路4170は、例えば空気の温度を維持または上げるための、空気回路中の空気を加熱するように構成された1つまたはそれ以上の加熱エレメントを含むことができる。加熱エレメントは、加熱された有線回路の形態であってよく、温度センサーのような1つまたはそれ以上の変換器を含むことができる。1形態において、加熱された有線回路は、空気回路4170の軸の周りにらせん状に巻くことができる。加熱エレメントは、中央コントローラ4230または加湿器コントローラ5250のようなコントローラと相互通信できる。加熱された有線回路を含む空気回路4170の1例が米国特許出願US/2011/0023874に記載されており、その全開示を参照により本明細書に包含する。
【0162】
5.4.1.7 酸素補給
本技術の1形態において、補充酸素4180が例えば空気ブロック4020の上流、空気回路4170へおよび/または患者インタフェース3000へなど、空気通路中の1つまたはそれ以上のポイントに補充される。
【0163】
5.4.2 RPT装置の電気コンポーネンツ
5.4.2.1 電源
電源4210は、RPT装置4000の外部ハウジング4010の中または外に置くことができる。
【0164】
本技術の1形態において、電源4210はRPT装置4000にのみ電気を提供する。本技術のもう1つの形態において、電源4210はRPT装置4000と加湿器5000の両方に電気を提供する。
【0165】
5.4.2.2 入力装置
本技術の1形態において、RPT装置4000は作業者が装置と交流できるように、ボタン、スイッチまたはダイアルの形態の1つまたはそれ以上の入力装置4220を含む。ボタン、スイッチまたはダイアルは物理的装置またはタッチスクリーンからアクセスできるソフトウエア装置であってよい。1つの形態において、ボタン、スイッチまたはダイアルはハウジング4010に物理的に接続するかまたはもう1つの形態では、中央コントローラ4230と電気的接続にあるレシーバーとの無線通信であってよい。
【0166】
1つの形態において、入力装置4220は作業者が値および/またはメニューオプションを選択できるように構築されかつ配置される。
【0167】
5.4.2.3 中央コントローラ
本技術の1形態において中央コントローラ4230は、RPT装置4000を制御するのに適当な1つまたは複数のプロセッサーである。
【0168】
適当なプロセッサーには、x86 INTELプロセッサ―、STM32シリーズのようなARM HoldingsのARM(登録商標) Cortex(登録商標)-Mプロセッサーに基づいたプロセッサー、ST MICROELECTROLICのマイクロコントローラが含まれる。本技術のある代案の形態として、ST MICROELECTRONICSのSTR9シリーズマイクロコントローラのような32ビットRISC CPU、またはTEXAS INSTRUMENTSが製造するマイクロコントローラのMSP430ファミリーのプロセッサーのような16ビットRISC CPUも含まれる。
【0169】
本技術の1形態において、中央コントローラ4230は専用の電子回路である。
【0170】
1形態において、中央コントローラ4230は特定用途向け集積回路である。もう1つの形態において、中央コントローラ4230は離散的な電子コンポーネンツを含む。
【0171】
中央コントローラ4230は、1つまたはそれ以上の変換器4270そして1つまたはそれ以上の入力装置4220からの入力信号(複数)を受信するように構成できる。
【0172】
中央コントローラ4230は、出力信号(複数)を、1つまたはそれ以上の出力装置4290、治療装置コントローラ4240、データ通信インタフェース4280および加湿器コントローラ5250に提供するように構成できる。
【0173】
本技術のいくつかの形態において、中央コントローラ4230は、コンピュータプログラムとして表され、メモリー4260のような持続性コンピュータ可読記憶媒体に保存される1つまたはそれ以上のアルゴリズム4300のような、本明細書に記載の1つまたはそれ以上の方法論を組み込むように構成される。本技術のいくつかの形態において、中央コントローラ4230はRPT装置4000と統合することができる。しかし本技術のいくつかの形態において、いくつかの方法論は遠隔に位置した装置によって実行できる。例えば遠隔に位置した装置は、人工呼吸器の制御設定を決定し、本明細書に記載の任意のセンサーからの保存されてデータを分析することによって呼吸関連のイベントを検出できる。
【0174】
5.4.2.4 時計
RPT装置4000は、中央コントローラ4230に接続された時計4232を含むことができる。
【0175】
5.4.2.5 治療装置コントローラ
本技術の1形態において、治療装置コントローラ4240は、中央コントローラ4230が実行するアルゴリズム4300の一部を形成する制御モジュール4330である。
【0176】
本技術の1形態において、治療装置コントローラ4240は専用のモータ制御の集積回路である。例えば、ONSEMIが製造しているMC33035ブラシレスDCモータコントローラの1形態である。
【0177】
5.4.2.6 保護回路
本技術による1つまたはそれ以上の保護回路4250は、電気保護回路、温度および/または圧力安全回路を含むことができる。
【0178】
5.4.1.7 メモリー
本技術の1形態により、RPT装置4000はメモリー4260、例えば非揮発性メモリー4260、を含む。いくつかの形態において、メモリー4260はバッテリー駆動のスタティックRAMを含むことができる。いくつかの形態では、メモリー4260は揮発性RAMを含むことができる。
【0179】
メモリー4260はPCBA 4202上に置いてよい。メモリー4260は、EEPROMまたはNANDフラッシュの形態とすることができる。
【0180】
追加でまたは代案として、RPT装置4000は、例えばSecure Digital (SD)標準で作ったメモリーカードのようなの取り外し形態のメモリー4260を含む。
【0181】
本技術の1つの形態において、メモリー4260は、1つまたはそれ以上のアルゴリズム4300のような、本明細書に記載の1つまたはそれ以上の方法論を表現するコンピュータプログラムのインストラクションが搭載された非一時的なコンピュータ可読記憶媒体として働く。
【0182】
5.4.2.8 データ通信システム
本技術の1形態において、データ通信インタフェース4280を提供でき、中央コントローラ4230に接続できる。データ通信インタフェース4280は遠隔外部通信ネットワーク4282に接続可能でありおよび/またははローカルの外部通信ネットワーク4284に接続可能である。遠隔外部通信ネットワーク4282は遠隔外部装置4286に接続可能である。ローカル外部通信ネットワーク4284はローカルの外部装置4288に接続可能である。
【0183】
1つの形態において、データ通信インタフェース4280は中央コントローラ4230の一部である。もう1つの形態において、データ通信インタフェース4280は、中央コントローラ4230とは別で、集積回路またはプロセッサーを含むことができる。
【0184】
1つの形態において、遠隔外部通信ネットワーク4282はインターネットである。データ通信インタフェース4280は有線接続(例えば、イーサネット(登録商標)経由または光ファイバー)またはインターネットに接続する無線プロトコル(例えば、CDMA、GSM(登録商標)、LTE)であってよい。
【0185】
1つの形態において、ローカル外部通信ネットワーク4284はBluetooth(登録商標)または消費者赤外プロトコルのような1つまたはそれ以上の通信標準を利用する。
【0186】
1つの形態において、遠隔外部装置4286は1つ以上のコンピュータ、例えばネットワーク・コンピュータのクラスターであってよい。1つの形態において、遠隔外部装置4286は、物理的コンピュータと言うよりむしろ仮想コンピュータであってよい。いずれの場合でも、このような遠隔外部装置4286には臨床医のような適切に権限を与えられた人がアクセスできる。
【0187】
ローカル外部装置4288は、パーソナルコンピュータ、携帯電話、タブレットまたは遠隔制御であってよい。
【0188】
5.4.2.9 オプションのディスプレイ、警報を含む出力装置
本技術による出力装置4290は、視覚、オーディオおよび触覚ユニットの一つまたはそれ以上の形態をとることができる。視覚ディスプレーは液晶表示装置(LCD)または発光ダイオード(LED)ディスプレーであってよい。
【0189】
5.4.2.9.1 ディスプレー・ドライバー
ディスプレー・ドライバー4292は入力としてディスプレー4294に表示する文字、記号または映像を受信し、それらをコマンドに変換してディスプレー4294にこれらの文字、記号または映像を表示させる。
【0190】
5.4.9.2 ディスプレー
ディスプレー4294は、ディスプレー・ドライバー4292から受信したコマンドに対応して文字、記号または映像を視覚的に表示するように設定される。例えば、ディスプレー4294は8セグメント表示であってよく、この場合ディスプレー・ドライバー4292は例えば数字“0”のような文字または記号のそれぞれを8つの論理信号に変換し、8つのそれぞれのセグメントが特定の文字または記号を表示するように活性化するかどうかを指示する。
【0191】
5.5 加湿器
5.5.1 加湿器の概要
本技術の1形態において、患者に送達される空気またはガスの絶対湿度を周囲空気に対して変更するために(
図5Aに示すような)加湿器5000が提供される。典型的には加湿器5000は、空気の流れが患者の気道に送達される前に(周囲空気と比較して)絶対湿度を上げ、温度を上げるために使用される。
【0192】
加湿器5000は加湿器リザーバー5110、空気の流れを取り入れる加湿器入口5002および加湿された空気の流れを吐出する加湿器出口5004を含む。いくつかの形態では
図5Aと5Bに示すように、加湿器リザーバー5110の入口と出口はそれぞれ加湿器入口5002と加湿器出口5004であってよい。加湿器5000は、加湿器リザーバー5110を取り付けるように適合され加熱エレメント5240を含む加湿器ベース5006をさらに含むことができる。
【0193】
5.5.2 加湿器の機械的コンポーネンツ
5.5.2.1 水リザーバ
1つの配置によれば、空気の流れを加湿するために蒸発させる液体(例えば水)のある容量を保持しまたは保有するように構成された水リザーバ5110を含むことができる。水リザーバ5110は水の所定の最大容量を保持するように構成され、例えば少なくとも一晩の睡眠のような呼吸治療セッションの間、適切な加湿を提供する。典型的にはリザーバ5110は、数百ミリリットル、例えば300ミリリットル(ml)、325 ml、350 mlまたは400 mlの水を保持するように構成される。そのほかの形態では加湿器5000は、建物の水道システムのような外部の水源から水の供給を受けるように構成できる。
【0194】
1つの態様によれば水リザーバ5110は、RPT装置4000からの空気の流れがそこを通るときに湿気を加えるように構成できる。1つの態様において、水リザーバ5110は空気の流れがリザーバ5110の中の水と接触している時、そこを通って曲がりくねった流路を通過するのを助長するように構成できる。
【0195】
1つの形態によれば、リザーバ5110を
図5Aと5Bに示すよう加湿器5000から横方向に取り外すことができる。
【0196】
リザーバ5110は、その通常位置、作動方向から移動したりおよび/または回転させる時、任意の開口および/またはそのサブコンポーネンツを通って液体の流出が生じないように構成できる。加湿器5000で加湿する空気の流れは典型的には加圧されているので、リザーバ5110は漏れおよび/または障害物を通して空気圧が低下しないよう構成することができる。
【0197】
5.5.2.2 伝導部分
1つの配置によればリザーバ5110は、加熱エレメント5240からリザーバ5110の中の多量の水への熱の効果的な伝導ができるように構成された伝導部分を含む。1形態において、伝導部分5120はプレート形状とできるが、その他の形状も適している。伝導部分5120のすべてまたは一部は、アルミニウム(例えば、1 mm、1.5 mm、2.5 mmまたは3 mmのような約2 mm厚さ)、その他の伝導金属またはあるプラスチックのような熱的に伝導性の材料で作ることができる。いくつかの場合には、適切な形状のより伝導的でない材料で達成できる。
【0198】
5.5.2.3 加湿器リザーバ・ドック
1形態において加湿器5000は、加湿器リザーバ5110を受けるように構成された加湿器リザーバ・ドック5130(
図5Bに示す)を含むことができる。いくつかの配置において加湿器リザーバ・ドック5130は、リザーバを5110を加湿器ドック5130に保持するように構成されたロッキングレバー5135のようなロッキング機能を含むことができる。
【0199】
5.5.2.4 水位指示計
加湿器リザーバ5110は、
図5A-5Bに示すような水位指示計5150を含むことができる。いくつかの形態において水位指示計5150は、患者1000または介護者のようなユーザーに、加湿器リザーバ5110中の水量に関して1つまたはそれ以上の指示を提供できる。水位指示計5150が提供する1つまたはそれ以上の指示には、最大の水量、所定の水量、その間の25%、50%または75%または200 ml、300 mlまたは400 mlのような量が含まれる。
【0200】
5.5.3 加湿器の電気的コンポーネンツと熱的コンポーネンツ
加湿器5000は、以下に列記するような多くの電気的および/または熱的コンポーネンツを含むことができる。
【0201】
5.5.3.1 加湿器変換器(複数)
上記の変換器4270に加えて、加湿器5000は1つまたはそれ以上の加湿器変換器(センサー)を含むことができる。加湿器変換器5210は
図5Cに示すように、1つまたはそれ以上の空気圧センサー5212、空気流量変換器5214、温度センサー5216または加湿器センサー5218を含むことができる。加湿器変換器5210は1つまたはそれ以上の出力信号生成し、これは中央コントローラ4230および/または加湿器コントローラ5250のようなコントローラに送信される。いくつかの場合には加湿器変換器は、出力信号をコントローラに送信するとき、(空気回路4170のような)加湿器5000の外部に位置することができる。
【0202】
5.5.3.1.1 圧力変換器
RPT装置4000に付いている圧力変換器4272に加えてまたはその代わりに、1つまたはそれ以上の圧力変換器5212を加湿器5000に付けることができる。
【0203】
5.5.3.1.2 流量変換器
RPT装置4000に付いている流量変換器4274に加えてまたはその代わりに、1つまたはそれ以上の流量変換器5214を加湿器5000に付けることができる。
【0204】
5.5.3.1.3 温度変換器
加湿器5000は、1つまたはそれ以上の温度変換器5216を含むことができる。1つまたはそれ以上の温度変換器5216は、加熱エレメント5240および/または加湿器出口5004の下流の空気の流れのような1つまたはそれ以上の温度を測定するように構成できる。いくつかの場合において加湿器5000は、周囲空気の温度を検出するために温度センサー5216をさらに含むことができる。
【0205】
5.5.3.1.4 湿度変換器
1形態において加湿器5000は、周囲空気のようなガスの湿度を検出するために1つまたはそれ以上の湿度センサー5218を含むことができる。湿度センサー5218はある形態では加湿器出口5004に向けて配置し、加湿器5000から吐出されるガスの湿度を測定する。湿度センサーは絶対湿度センサーまたは相対湿度センサーであってよい。
【0206】
5.5.3.2 加熱エレメント
加熱エレメント5240はある場合には、加湿器リザーバ5110の中の1つまたはそれ以上の水分量および/または空気の流れに熱入力を提供するために加湿器5000に提供される。加熱エレメント5240は、電気的に抵抗性の加熱トラックのような熱発生コンポーネントを含んでよい。加熱エレメント5240の適切な例は、PCT特許公開番号WO 2012/171072などに記載されている積層加熱エレメントで、その全開示を参照により本明細書に包含する。
【0207】
いくつかの形態では、加熱エレメント5240は、
図5Bに示すように熱が主として伝導で加湿器リザーバ5110に提供される加湿器のベース5006に提供できる。
5.5.3.3 加湿器コントローラ
【0208】
本技術の1つの配置によれば、加湿器5000は
図5Cに示すように加湿器コントローラ5250を含むことができる。1形態において、加湿器コントローラ5250は中央コントローラ4230の一部であってよい。もう1つの形態では、加湿器コントローラ5250は別のコントローラであってよく、中央コントローラ4230と通信できる。
【0209】
1形態において、加湿器コントローラ5250は入力して空気の流れ、リザーバ5110中の水および/または加湿器5000の(温度、湿度、圧力および/または流量のような)特性の測定値を受信できる。加湿器コントローラ5250は加湿器アルゴリズムの実行または組込みおよび/または1つまたはそれ以上の出力信号を発信するようにも構成できる。
【0210】
図5Cに示すように加湿器コントローラは、中央加湿器コントローラ5251、加熱された空気空気回路4117の温度を制御するように構成された加熱空気コントローラ5254および/または加熱エレメント5240を制御するように構成された加熱エレメントコントローラ5252のような1つまたはそれ以上のコントローラを含むことができる。
【0211】
5.6 呼吸波形
図6は、ヒトの睡眠時の典型的な呼吸波形のモデルを示す。横軸が時間を表し、縦軸は呼吸流量を表している。値が変動すると、典型的な呼吸は次のような概略値を示す: 1回換気量、Vt, 0.5 L, 吸入時間、Ti, 1.6s, 最大吸気流量、Qpeak, 0.4 L/s, 呼気時間、Te, 2.4s, 最大呼気流量, Qpeak, -0.5L/s。 呼吸の全持続時間 Ttotは約4sである。ヒトは人工呼吸器を使用して典型的には1分あたり約15回の割合で(BPM)呼吸する。Vent 約7.5 L/分。典型的な負荷サイクル、TiとTtotの比は約40%である。
【0212】
5.7 用語解説
本技術の公開の目的で、本技術のある形式において、1つまたはそれ以上の以下の定義を適用してよい。本技術のそのほかの形態において、代案の定義を適用できる。
【0213】
5.7.1 一般
空気:本技術のある形態において、空気は大気の空気を意味し、本技術のそのほかの形態では、空気は例えば酸素の多い大気の空気のような呼吸できるガスのいくつかのそのほかの組み合わせを意味する。
【0214】
周囲:本技術のある形態において、周囲の用語は、(i)治療システムまたは患者の外部、(ii)システムまたは患者の治療を直接取り巻いているを意味する。
【0215】
例えば、加湿器に関する周囲湿度は、例えば患者睡眠中の部屋の湿度ように、加湿器を直接取り巻いている湿度である。このような周囲湿度は、患者が睡眠中の部屋の外の湿度と異なる。
【0216】
もう1つの実施例において、周囲圧力は身体を直接取り巻いているまたはその外の圧力である。
【0217】
ある形態では、周囲騒音(例えば、音響)は、例えばRPT装置が発生する騒音またはマスクまたは患者のインタフェースから出る騒音以外の、患者の居る部屋の暗騒音と考えてよい。周囲騒音は、部屋の外の源で発生する。
【0218】
持続的気道陽圧法(CPAP)治療:CPAP治療は、空気を大気に関して連続して陽圧である圧力で気道の入口へ適用することであり、圧力は患者の呼吸サイクルを通じてほぼ一定である。いくつかの形態では、気道の入口での圧力は吸入中は僅か高く、呼気中は僅か低い。いくつかの形態において、圧力は患者の異なる呼吸サイクル間で変動する。例えば、患者の上気道の一部閉塞の兆候の検出に対応して増加し、上気道の一部閉塞の兆候がなければ低下する。
【0219】
患者:呼吸器疾患に悩まされているかいないかを問わずヒト。
【0220】
自動陽圧気道圧力(APAP)治療:例えば呼吸から呼吸へ、最少と最大に間で、SDBの有無に依存して治療圧力が自動で調整されるCRAP治療。
【0221】
5.7.2 呼吸数サイクルの態様
無呼吸:一部の定義によれば、無呼吸は流れがある期間、例えば10秒、所定の閾値以下に低下すると起こると言われる。閉塞性無呼吸は、患者の努力にもかかわらず気道の閉塞により空気が流れないときに発生したと言われる。中枢性無呼吸は、気道が開いているにもかかわらず、呼吸努力の低下によって無呼吸が検出されたときまたは呼吸努力がなされない時発生したと言われる。混合性無呼吸は、呼吸努力の低下または欠如が気道の閉塞と同時に生じたときに発生したと言われる。
【0222】
呼吸数:患者の自発呼吸の率で、通常1分当たりの呼吸で測定される。
【0223】
負荷サイクル:吸入時間の比率、合計呼吸時間とTiの比、Tiot.
【0224】
努力(呼吸):呼吸努力は、呼吸を試みる患者の自発呼吸によってなされた仕事と言われる。
【0225】
呼吸サイクルの呼気の部分:呼気の流れの開始から吸気の流れの開始の期間。
【0226】
流れ制限:流れ制限は、患者の努力の結果が対応する流れの増加を生じない、患者の呼吸作用における事態と解釈される。呼吸サイクルの吸気部分で流れ制限が生じると、吸気流れの制限と記述される。呼吸サイクルの呼気部分で流れ制限が発生すると、呼気流れの制限と記述される。
【0227】
流れ制限のある吸気の波形のタイプ
(i) 扁平した:上昇があり、比較的平らな部分が続き、降下が続く。
(ii) M-型:2つのローカルピークがあり、1つは前縁、1つは後縁、2つのピーク間は比較的平らである。
(iii) 椅子状:単一のローカルピークがあり、このピークは前縁にあり、比較的平らな部分が続く。
(iv) 逆椅子形状:比較的平らな部分があり、単一のローカルピークが続き、このピークは後縁にある。
【0228】
呼吸低下:好ましくは呼吸低下は流れにおける減少と言い、流れの中断ではない。一つの形態において、閾値以下の流れの低下がある期間あれば、呼吸低下が生じたと言う。呼吸努力の低減により呼吸低下が発生した時、中枢性無呼吸が生じたという。成人における一形態において、以下のいずれも呼吸低下と言える:
(i) 患者の呼吸が少なくとも10秒間30%低下し、さらに4%の関連した脱飽和がある;または
(ii) 患者の呼吸が少なくとも10秒間低下し(50%以下)、さらに少なくとも3%の関連した脱飽和または覚醒がある。
【0229】
過呼吸:通常の流量よ高いレベルへの流れの増加。
【0230】
呼吸サイクルの吸気部分:吸気流れの開始から呼気流れの開始までの期間を呼吸サイクルの吸気部分と言う。
【0231】
開通性(気道):開いている気道の程度または気道が開いている度合。開通性の気道が開いている。気道の開通性は、(1)の値で開そしてゼロ(0)の値で閉塞と定量化される。
【0232】
呼吸終末陽圧(PEEP):肺における気圧以上の圧力で、呼気の終りに存在する。
【0233】
ピーク流量(Qpeak):呼吸気流量の波形の吸気部分の間の流量の最大値。
【0234】
呼吸流量、空気流量、患者の空気流量、呼吸空気流量(Qr):これらの同義語は、RPT装置の呼吸流量の推定を参照すると理解してよい。これに対して、患者が経験する実際の呼吸流量“真の呼吸流量”または“真の呼吸空気流”があり通常1分あたりのリッターで表す。
【0235】
1回換気量(Vt):余分の努力をしない時、通常の呼吸の間に吸気するまたは呼気する空気量。
【0236】
(吸気時間)(Ti): 呼吸気流量波形の吸気部分の期間。
【0237】
(呼気)時間(Te):呼吸気流量波形の呼吸部分の期間。
【0238】
(合計)時間(Ttot):一つの呼吸気流量波形の吸気部分の開始と、続く呼吸気流量波形の吸気部分の開始間の合計期間。
【0239】
典型的な最近の換気:ある所定の時間の尺度にわたって最近の値がその周りにクラスターする傾向にある換気の値。即ち換気の最近の値の中心傾向の測定。
【0240】
上部気道閉塞(UAO):は部分的および全上気道閉塞のいずれをも含む。これは流量制限の状態に関連しており、上気道を横切る圧力差が増加すると、流量のレベルが僅か増加するかまたは低下することさえある。(スターリング・レジスター行動)
【0241】
換気(Vent):患者の呼吸器系で交換されるガスの合計量の測定値。換気の測定値は、単位時間当たりの吸気流と呼気流の1つまたは両方を含む。1分当たりの容量で示すと、この量はしばしば“分換気”と呼ばれる。分換気は場合によっては単に容量として与えられ、1分当たりの容量と理解される。
【0242】
5.7.3 PAP装置パラメータ
流量:単位時間当たりに送出される空気の瞬時容量(または質量)。流量と換気は同じ大きさの単位時間当たりの容量または質量を有する。流量はずっと短い時間の期間にわたって測定される。場合によっては、流量への言及はスカラー量への言及となる。即ち、大きさのみを有する量となる。そのほかの場合、流量への言及はベクトル量への言及となる。即ち、大きさと方向の両方を有する量である。符号付の量の場合、流量は患者の呼吸サイクルの吸気部分に対して名目上正で、したがって患者の呼吸サイクルの呼気部分に対して負である。流量は記号Qで与えられる。“流量”は場合によっては単に“流れ”と短縮される。全流量QtはPAP装置を出る空気の流量である。ベント流量Qvはベントを出て吐き出したガスの洗浄を行う空気の流量である。漏れ流量Qlは、患者のインタフェースシステムからの漏れの流量である。呼吸気流量Qrは、患者の呼吸器系が受け取った空気の流量である。
【0243】
漏れ:漏れの語は、意図しない空気の流れと解釈される。1実施例において漏れは、マスクと患者インタフェース間のシールが不完全な結果生じる。もう1つの実施例において、漏れは周囲への旋回エルボー内で発生する。
【0244】
騒音、伝導性(音響):本明細書で伝導騒音は、例えば空気回路と患者インタフェースおよびその中の空気のような空気路で患者に伝わる騒音を指す。1形態において伝導騒音は、空気回路の終端における音圧を測定することによって定量される。
【0245】
ノイズ、放射(音響):本明細書で放射ノイズは、周囲空気によって患者にもたらされたノイズを指す。1形態において放射ノイズは、問題の対象の音響パワー/圧力レベルをISO 3744に従って測定することによって定量される。
【0246】
ノイズ、ベント(音響):本明細書でベントノイズは、患者インタフェースの穴のような任意のベントを通る空気の流れで生成されたノイズを指す。
【0247】
圧力:単位面積にかかる力。圧力は、cmH2O、g-f/cm2、ヘクトパスカルなど様々な単位で測定される。1cmH2Oは1 g-f/cm2に等しく、約0.98ヘクトパスカルである。特記のない限り、本明細書において圧力はcmH2Oで与えられる。患者インタフェースにおける圧力は記号Pmで与えられ、現在の時間におけるマスク圧力Pmで達成される目標値を示す治療圧力はPtで与えられる。
【0248】
音響パワー:音波が運ぶ単位時間当たりのエネルギー。音響パワーは音圧に波面の面積を乗じたものの平方に比例する。音響パワーは通常デシベルSWLで与えられ、これは基準パワーに関して記述され、通常10-12ワットとされる。
【0249】
音圧:媒体を通る音波の結果によるある時間における周囲圧力からの局所的偏差。音圧は通常SPLで記述される。すなわち基準圧力に対して記述され、通常20×10-6パスカル(Pa)で、ヒトの聴力の閾値と考えられる。
【0250】
5.7.4 人工呼吸器の用語
適応サーボ換気装置(ASV):固定の目標換気よりむしろ変更可能な換気を持ったサーボ換気装置。変更可能な目標換気は、例えば患者の呼吸特性のような患者のいくつかの特性から学ぶことができる。
【0251】
バックアップ率:自発的な呼吸努力でトリガーされなければ、換気装置が患者に送達する最少呼吸数を決める換気装置のパラメータ(典型的には1分あたりの呼吸数)。
【0252】
サイクルド:換気装置の吸気相の終了。自発呼吸している患者に換気装置が呼吸を提供している時、呼吸サイクルの吸気部分の終りにおいて、換気装置は呼吸の提供を停止するようサイクルしたと言う。
【0253】
EPAP: 呼吸の間に変動している圧力が加えられるベース圧力で、換気装置はある時間に達成しようと試みる所望のマスク圧力を生成する。
【0254】
IPAP:呼吸の吸気部分の間に換気装置が達成しようとする所望のマスク圧力。
【0255】
圧力サポート:換気装置の呼気の間の圧力の増加を示す数で、呼気の間の最大値と息を吐くときの最小値の間の圧力差を意味する(例えば、PS = IPAP - EPAP)。ある状況では圧力サポートは、圧力サポートは換気装置が実際に達成するものよりむしろ換気装置が達成しようと意図する差を意味する。
【0256】
サーボ・ベンチレータ:患者の換気を測定するベンチレータで目標の換気を持ち、これが圧力サポートのレベルを調整して患者の換気を目標の換気に向ける。
【0257】
自発/時限(S/T):自発呼吸する患者の呼吸の開始を検出しようと試みる換気装置またはその他の装置のあるモード。しかし装置が所定の時間内に呼吸を検知できない場合は、装置は呼吸の送達を自動的に開始する。
【0258】
スイング:圧力サポートの同等の用語。
【0259】
トリガーした:換気装置が空気の呼吸を自発呼吸している患者に送達した時、患者努力による呼吸サイクルの呼気部分の開始においてトリガーされたと言う。
【0260】
典型的な最近の換気:典型的な最近の換気Vtypは、ある所定の時間スケールにおける換気の最近の測定値が、その周りにクラスターする傾向にある値である。例えば、最近の履歴における換気の測定値の中心傾向の測定値は、典型的な最近の換気の適切な値となる。
【0261】
換気装置:患者に圧力サポートを提供して、呼吸の仕事の一部またはすべてを実行する機械的装置。
【0262】
5.7.5 顔の解剖学
翼:それぞれの鼻孔(複数:alar)の外部の外壁または“ウイング”
【0263】
翼状の:鼻の翼の最も側面のポイント。
【0264】
翼状の湾曲 (または翼状の頂点)ポイント:それぞれの翼の湾曲ベースラインにおける最後部ポイントで、翼と頬の結合で形成されるひだの中に見出される。
【0265】
耳介:耳の外部の見える部分全体。
【0266】
(鼻)骨組:鼻の骨組みは、鼻骨、上顎の前頭突起および前頭骨の鼻の部分から成る。
【0267】
(鼻)軟骨結合骨格:鼻の軟骨結合骨格は、中間隔、側部、主要およびマイナー軟骨から成る。
【0268】
軸柱:鼻孔を分け、前方の鼻から上唇まで走る皮膚の細長い一片。
【0269】
軸柱角:鼻孔開口の中間を通る線と、鼻下を横断するフランクフルト水平線に垂直な線間の角度。
【0270】
フランクフルト水平面:眼窩縁の最下部から左耳点に伸長する線。耳点は心耳の耳珠の上にあるノッチにおける最深ポイントである。
【0271】
眉間:軟組織にあり、額の正中矢状面におけるもっとも突き出したポイント。
【0272】
外側鼻軟骨:軟骨の概して三角形の板。その上縁は鼻骨と上顎の前頭突起に付いており、その下縁は大鼻翼軟骨に接続されている。
【0273】
大鼻翼軟骨:外側鼻軟骨の下に横たわる軟骨の面。鼻孔の前部の周りに湾曲している。その上端は、翼の3つまたは4つのマイナー軟骨を含む丈夫な線維膜によって軟骨の前頭突起に接続されている。
【0274】
鼻孔(鼻孔):鼻腔の入口を形成するほぼ楕円状の開口。鼻孔の単数形は鼻孔である。鼻孔は鼻中隔で分けられている。
【0275】
鼻唇溝または鼻唇ひだ:鼻の各側面から口角に走る、皮膚のひだまたは皮膚小溝で、頬を上唇から分けている。
【0276】
鼻-唇の角度:軸柱と上唇間の角度で鼻下を横断している。
【0277】
下耳底点:顔の皮膚への耳介の取り付けの最下点。
【0278】
上耳底点:顔の皮膚への耳介の取り付けの最上点。
【0279】
鼻前方:鼻のも最も突出したポイントまたは先端、頭部の残りの部分の側面図で識別できる。
【0280】
鼻の下にあるくぼみ:鼻の隔壁の下部境界から上唇領域の唇の頂部まで走る正中溝。
【0281】
下顎点:軟組織にあり、顎の最も前方の中点。
【0282】
突起部(鼻の):鼻の突起部は鼻の正中線隆起で、セリオンからプロナザーレに伸びている。
【0283】
矢状面: 前部から後部に走り、人体を右半分と左半分に分けている垂直面。
【0284】
セリオン:軟組織にあり、前頭縫合の領域を覆っている最も凹んだポイント。
【0285】
鼻中隔軟骨:鼻中隔軟骨は隔壁の一部を形成し、鼻腔の前部を分離する。
【0286】
翼下:翼ベースの下部縁におけるポイントで、ここで翼ベースが上唇の皮膚とつながる。
【0287】
鼻棘点:軟組織にあり、このポイントでが正中矢状面における上唇と出会う。
【0288】
スプラメンターレ:上唇歯と軟組織ポゴニオン間の下唇の正中線における最大の凹面のポイント。
【0289】
5.7.6 頭蓋骨の解剖学
前頭骨:前頭骨は、額として知られる領域に対応して、大きな垂直部、前頭鱗を含む。
【0290】
下顎:下顎骨は下顎を形成する。オトガイ隆起は、顎を形成する顎の骨突起である。
【0291】
上顎:上顎は上顎を形成し、下顎の上で眼窩の下にある。上顎の前頭突起は鼻の横を上方に突出し、その側面境界の前方部を形成する。
【0292】
鼻骨:鼻骨は2つの小さな楕円形の骨で、個人によってその大きさと形状が異なる;顔の中央部と上部で並んで配置され、それらの接合によって鼻の“突起部”を形成する。
【0293】
鼻根点:前頭骨と2つの鼻骨の交差点で、眼と鼻の突起部の上の間にあるくぼみである。
【0294】
後頭骨:後頭骨は頭蓋の後方と下部に位置している。楕円形の開口、大後頭孔、を含み、ここを通して頭蓋腔が脊柱管と通じる。大後頭孔の後ろの湾曲面は後頭鱗である。
【0295】
眼窩:眼球を包含する頭蓋骨内の骨の空洞。
【0296】
頭頂骨:結合すると頭蓋の頂部と側面を形成する骨である。
【0297】
側頭骨:側頭骨は頭蓋骨の基部と側面に位置しており、こめかみとして知られる顔の一部を支える。
【0298】
頬骨:顔は、顔の上部と側面に位置し、頬の突起を形成する2つの頬骨を含む。
【0299】
5.7.7 呼吸システムの解剖学
横隔膜:胸郭の底部を横切って伸びる筋肉のシート。横隔膜は、心臓、肺および肋骨を含む胸腔を腹腔から分離する。横隔膜が収縮すると、胸郭の容声帯を積が増し、空気が肺に引き込まれる。
【0300】
喉頭:喉頭即ち喉頭は声帯を収納し、咽頭(下咽頭)の下部を気管に接続する。
【0301】
肺:ヒトにおける呼吸器官。肺の伝導帯は、気管、細気管支および終末細気管支を含む。呼吸ゾーンは気管、気管支、細気管支および終末細気管支を含む。呼吸ゾーンは、呼吸細気管支、肺胞管および肺胞を含む。
【0302】
鼻腔:鼻腔(または鼻窩)は、顔の中央で鼻の上および後部にある空気で満たされた空間である。鼻腔は鼻中隔と呼ばれる垂直のフィンで2つに分けられる。鼻腔側には、鼻甲介(単数は”concha”)または鼻甲介と呼ばれる3つの水平の増生がある。鼻腔の前面に鼻があり、後鼻孔を経て後部が鼻咽頭に溶け込んでいる。
【0303】
咽頭:鼻腔の直下(下)にあり、食道と咽頭の上部に位置しているのがのどの部分である。咽頭は通常、鼻咽頭(鼻咽頭)(咽頭の鼻の部分)、中咽頭(中咽頭)(咽頭の口腔の部分)および咽喉頭(下咽頭)の3つのセクションに分けられる。
【0304】
5.7.8 材料
シリコンまたはシリコン・エレストマー:合成ゴム。本明細書において、シリコンは液体シリコンゴム(LSR)または圧縮形成シリコンゴム(CMSR)を指す。市販のLSRの1形態は、Dow Corningが製造しているSILASTIC(この商標で販売されている製品範囲に含まれている)。LSRを製造しているもう1社はWackerである。特に明記のない限り、LSRの例示的形態は、ASTM D2240に従って測定された約35から45の範囲のショアA(またはタイプA)圧入硬度を有している。
【0305】
ポリカーボネート:ビスフェノール-Aカーボネートの典型的に透明な熱可塑性ポリマー。
【0306】
5.7.9 患者インタフェースの態様
抗呼吸停止バルブ(AAV):マスクシステムのコンポーネントまたはサブアセンブリで、フェールセーフの態様で大気に開放すると、患者の過剰なCO2再呼吸のリスクを低減する。
【0307】
エルボー:空気の流れの軸の向きを変えて、アングルを通る方向を変えるコンジット。1形態において、アングルは約90度でよい。もう1つの形態において、アングルは90度以下でよい。このコンジットはほぼ円形の断面を有している。もう1つの形態において、コンジットは楕円形または長方形の断面を有することができる。
【0308】
フレーム:フレームは、ヘッドギアとの2つまたはそれ以上の接続ポイント間の張力の負荷に耐えるマスク構造を意味する。マスクのフレームは、マスクにおいて非機密耐加重構造であってよい。しかしいくつかの形態のマスクフレームも気密であってよい。
【0309】
ヘッドギア:ヘッドギアは、頭に使用するようにデザインされた位置決めと安定化構造の形態を意味すると解釈してよい。好ましくは、ヘッドギアは1つまたはそれ以上の筋かいの集まり、患者インタフェースを呼吸治療の送達のために患者の顔の適切な場所に位置に置きかつ保持するようにに構成された、固定具とスティフナーを含む。いくつかの固定具は、発泡体と織物の積層複合材のような柔らかく、柔軟な弾性材で形成される。
【0310】
メンブレン:好ましくは、曲げに対して実質的に耐性を示さないが、伸ばすことには耐性を持った、典型的には薄いエレメントを意味すると解釈される。
【0311】
プレナムチャンバー:マスク・プレナムチャンバーは、容量のある空間を囲む壁を有する患者インタフェースの一部を意味すると解釈され、この容量はその中に使用中は大気以上に加圧された空気を有する。シェルはマスク・プレナムチャンバーの一部を形成してよい。
【0312】
シール:名詞形("a seal”)は,2つの面のインタフェースを通る空気の流れに意図的に耐性を示す構造またはバリアを意味すると解釈される。動詞形("to seal”)は、空気の流れに抗することを意味すると解釈される。
【0313】
シェル:シェルは、曲げ、引張りおよび圧縮剛性を有する、湾曲した、相対的に薄い構造を意味すると解釈される。例えば、マスクの湾曲した構造壁はシェルとすることができる。いくつかの形態において、シェルはファセットされてよい。いくつかの場合において、シェルは気密性であってよい。いくつかの場合において、シェルは気密性でなくてよい。
【0314】
スティフナー:スティフナーは、もう1つのコンポーネントの少なくとも1方向への曲げ耐性を増すようにデザインされた構造成分を意味すると解釈される。
【0315】
筋かい:筋かいは、もう1つのコンポーネントの少なくとも1方向への圧縮耐性を増すようにデザインされた構造成分を意味すると解釈される。
【0316】
旋回台:(名詞)好ましくは独立して、好ましくは低トルク下で、共通軸の周りを回転するように構成されたコンポーネンツのアセンブリ。1形態において旋回台は、少なくとも360度回転するように構築してよい。もう1つの形態において、旋回台は360度以下の角度で回転するように構築してよい。空気送達コンジットの状況で使用する場合は、コンポーネンツのサブアセンブリは好ましくは円筒コンジットのマッチドペアを含む。使用中は、旋回台からの空気の漏れは、ほとんどないかまたは全くない。
【0317】
固定具:固定具は張力に抗するようにデザインされた構造コンポーネントと意味すると解釈できる。
【0318】
ベント:(名詞)例えば吐き出したガスを洗浄するためのマスクの内部またはコンジットから周囲空気への空気の意図的な流れを与える構造。
【0319】
5.7.10 患者インタフェースに関連して使用される用語
(表面の)湾曲:1方向へ湾曲して上がりそして異なる方向へ湾曲して下がるサドル形状を有する表面の領域は、負の湾曲を言われる。2つの主方向へ同様に湾曲するドーム形状を有する表面の領域は、正の湾曲を有すると言われる。平坦な表面は湾曲がゼロと考えられる。
【0320】
フロッピー:下記の1つまたはそれ以上である材料、構造または複合材料の品質:
・指圧に直ちに従う。
・自重を支持しなければならない時、その形状を保持できない。
・剛体でない。
・わずかの努力で弾性的に伸ばしたり曲げることができる。
【0321】
フロッピーであることの品質は、方向と関連しおり、従って特定の材料、構造または合成物は第1の方向へフロッピーであるが、例えば第1の方向と直交する第2の方向のような第2の方向では堅くまたは剛体である。
【0322】
弾力性のある:実質的に弾性的に変形でき、解放すると1秒のような比較的短時間内にすべてのエネルギー実質的に開放することができることができる。
【0323】
剛体の:患者インタフェースの入口とシーリングの関係で患者インタフェースを設定しかつ維持している時に典型的に遭遇する指圧および/または張力または負荷に対して直ちに変形しない。
【0324】
準剛体:典型的には呼吸圧力治療中に加えられる機械的力のもとで、実質的に変形しないことに十分にかたくななことを意味する。
【0325】
5.8 その他の注記
本特許文献の開示の一部は、著作権保護にあたる事項を含んでいる。著作権の所有者は、特許庁の特許ファイルまたは記録にそれが載っている限り、誰かが特許文献または特許の開示をフクシミリ複製することについて異議を唱えることはない。載っていなければ、何であれ著作権を留保する
【0326】
文脈で明確に記載されていなければ、また値の範囲が記載されていなければ、それぞれの介在する値は、その範囲の上限と下限の間で、下限の単位の1/10まで、およびその記述された範囲の任意のそのほかの記述されたまたは介在する値は、該技術に包含される。これらの介在範囲の上限と下限は、記載された範囲における任意の具体的に除外される限界を条件として、介在範囲に独立に含めてよく、本技術の範囲内に包含される。記述した範囲が一つまたは両方の制限を含む場合、これらの含まれた制限のいずれかまたは両方を除いた範囲も該技術に含まれる。
【0327】
更に、一つまたはそれ以上の値が、技術の一部としてここに組み込まれていると記載されている場合、特記のない限り、このような値は近似することができ、実際的な技術の実装が許容するまたは必要とする範囲まで、このような値は、任意の適当な有意桁まで利用できることを理解されたい。
【0328】
特に定義されていない限り、本明細書で使用するすべての技術的用語および科学的用語は、この技術が属する当業者の一人によって共通して理解されるのと同じ意味を有している。ここに記載のものに類似したまたは同等な任意の方法また材料も、本技術の実践またはテストで使用できるが、限られた数の例示的方法と材料がここに記載されている。
【0329】
特定の材料がコンポーネントを構築するのに使用されると確認された場合、同様の特性を有する明らかに代替の材料を代替えとして使用できる。さらに、それとは反対に特記のない限り、ここに記載の任意のそしてすべてのコンポーネンツは製造が可能と理解され、よって一緒にまたは別に製造することができる。
【0330】
本明細書と付属の請求の範囲で使用される単数形”a”、”an” および”the”は、文脈で明確にそうでないと記述されていない限り、複数形を含むことに留意すべきである。
【0331】
ここで言及したすべての刊行物は、これら刊行物の主題である方法および/または材料を開示しかつ記述するために参照のため取り入れられた。ここで議論する刊行物は、それらの開示の目的で、本出願の出願日に先立ち提供された。ここに記載のいずれも、本技術が先行発明の理由でこのような刊行物に先行する権利を与えられたと解釈できない。さらに記載の公開日が実際の刊行日と異なるかもしれず、それぞれ単独で確認する必要がある。
【0332】
語句“comprises”と“comprising”は、エレメントツ、コンポーネンツまたはステップを参照すると非独占の態様で解釈して、参照したエレメントツ、コンポーネンツまたはステップが、存在するかまたは利用されるかまたは明示的に参照されていないそのほかのエレメントツ、コンポーネンツまたはステップと組み合わされるとすべきである。
【0333】
詳細な説明で使用される件名は、読者の参照を容易にするためにのみ含まれており、開示または特許請求の範囲にわたって見出される主題を制限するために使用してはならない。主題の見出しは請求項または請求項の制限の範囲を解釈するのに使用してはならない。
【0334】
本明細書に記載の技術は特定の実施例を参照して記述してきたが、これらの実施例は該技術の原理と適用の単なる例示であることを理解されたい。場合によっては、用語および記号は、該技術を実践するのに要求されない特定の詳細を暗示することがある。例えば、“第1の”および“第2の”という語句が特記のない限り使用されるが、それらは任意の順序を示すことを意図せず、はっきりと異なるエレメンツを区別するために使用できる。さらに方法論におけるプロセス・ステップは順に記述または例示されてもよいが、このような順序は必要とされない。当業者は、このような順序が修正されてもよいことおよび/またはそれらの特徴が同時にまたは同期的に実施されてもよいことを認識するであろう。
【0335】
従って、例示的な実施例に多数の変更が行われてもよく、該技術の趣旨および範囲から逸脱することなくそのほかの配置が考案され得ることを理解されたい。
【0336】
本発明のさらなる態様は、以下の項の主題によって提供される。
[項1]少なくとも患者の鼻孔の入口を含む患者の気道入口へ、周囲空気圧力に関して連続して陽圧の空気の流れのシールした送達のための患者インタフェースであって、該患者インタフェースは、患者の呼吸サイクルを通して、睡眠呼吸障害の改善のために、使用中は周囲空気圧力以上の約4 cm H2Oから約30 cm H2Oの範囲の治療圧力を維持するように構成され、前記患者インタフェースは:
患者の気道入口と空気的シールを形成するシール形成構造と;
患者の気道の入口で治療圧力を維持しながら、シール形成構造を患者の気道入口を取り巻く領域とシール接触に維持するための位置決めおよび安定化構造と;
使用中は周囲圧力以上に加圧されたプレナムチャンバーと;
呼吸できるガスの流れを患者インタフェースに送達するための接続ポート;と
所定の大きさを有する少なくとも1つの開口から成る所定の表面積を有する装置を含み;該装置は該流れと物理的に干渉するために呼吸できるガスの流路に沿って位置し;
ここに該装置の少なくとも1つの開口の所定の大きさと所定の表面積は、所定量の呼吸できるガスが少なくとも1つの開口を通るように選択され;そして
ここに該装置は熱非吸収で水分非吸収で、患者の気道の粘膜面に向けて流れている呼吸できるガスの流れを、粘膜面からの熱と水のロスの率が低減されるように、所定量の呼吸できるガスを少なくとも1つの開口を通るように向けて、乱流から層流に変更することを特徴とする、患者インタフェース。
[項2]接続ポートと流体接続にあるエルボーをさらに含む項1に記載の患者インタフェースであって、該装置はエルボー内に位置している。
[項3]呼吸できるガスの流れを患者インタフェースへ吐出する、接続口と流体接続にある空気送出コンジットをさらに含む項1に記載の患者インタフェースであって、該装置はコンジット内に位置している。
[項4]患者が吐き出したCO2の流れを、患者インタフェースの外部に導いて、吐き出したCO2を患者が再呼吸するのを最小限に抑えるように構成されたガス洗浄ベントをさらに含む項1に記載の患者インタフェース。
[項5]使用中は、該装置がベントと患者の気道の間の呼吸できるガスの流れの流路に位置している項4に記載の患者インタフェース。
[項6]該装置が、プレレナムチャンバーが第1の前方チャンバーと第2の後方チャンバーに分割され、該第2の後方チャンバーが第1の前方チャンバーに対して患者の気道の入口にごく接近しているように、プレナムチャンバー内に位置している項5に記載の患者インタフェース。
[項7]該装置が、呼気ガスの流れに物理的に干渉して、第2の後方チャンバーにおける湿度を所定の絶対湿度に上げる項6に記載の患者インタフェース。
[項8]該装置が、第1の前方チャンバーへの呼気ガスの流れを少なくすることよって呼気ガスの流れと物理的に干渉し、患者の気道の入口へ再送達する項7に記載の患者インタフェース。
[項9]所定の絶対湿度が10 mg/Lより大きい項7または8に記載の患者インタフェース。
[項10]少なくとも1つの開口の所定の大きさのそれぞれが、呼吸できるガスの流れが該開口を流れる時、所定の圧力レベルを実質的に維持するように選択される項1から9のいずれか一項に記載の患者インタフェース。
[項11]圧力の所定のレベルがH2Oの2 cmからH2Oの40 cmの間にある項10に記載の患者インタフェース。
[項12]少なくとも1つの開口の所定の大きさが、該装置の呼吸できるガスの流れへの透水率を上げることによって、所定の圧力レベルを維持するように選択される項10または11に記載の患者インタフェース。
[項13]透水率が、開口の前方流れ範囲を増すことによって増加する項12に記載の患者インタフェース。
[項14]開口の前方流れ範囲が、装置の前方側の開口の大きさを増すことによって増加する項13に記載の患者インタフェース。
[項15]少なくとも1つの開口が複数の開口であり、開口数を増すことによって装置の透水率が高くなる項12から14のいずれか一項に記載の患者インタフェース。
[項16]開口の所定の大きさが、呼気ガスの流れが開口を通って流れて、ベントを通ってCO2洗浄の所定のレベルが得られるように選択される項4から15のいずれか一項に記載の患者インタフェース。
[項17]該開口が、呼気ガスの流れをCO2洗浄のためにベントに向けるように構成された内面輪郭を含む項16に記載の患者インタフェース。
[項18]開口の所定の大きさが、CO2洗浄のための呼気ガスの流れに対する装置の透水性を上げるように選択される項16または17に記載の患者インタフェース。
[項19]透水性が、開口の前方流れ範囲を増すことによって高くなる項18に記載の患者インタフェース。
[項20]開口の後方流れ範囲が、装置の後方側にある開口の大きさを増すことによって大きくなる項19に記載の患者インタフェース。
[項21]少なくとも1つの開口が、複数の開口を含み、ここに装置の透水率が開口数を増すことによって高くなる項18から20のいずれか一項に記載の患者インタフェース。
[項22]該装置が、柔軟性のある膜シートである項1から21のいずれか一項に記載の患者インタフェース。
[項23]該装置が、織り繊維で形成された織物であり、該繊維は隣接する繊維間に複数の開口を形成する項1から21のいずれか一項に記載の患者インタフェース。
[項24]該装置が、メッシュ構造である項1から21のいずれか一項に記載の患者インタフェース。
[項25]該装置が、合成物質、熱可塑性エラストマーまたは疎水性ポリマーで構成されるグループの任意の1つの材料を含む項1から24のいずれか一項に記載の患者インタフェース。
[項26]該装置が、呼吸できるガスの流れの障害物を低減するうように選択された所定の厚さを有する項1から25のいずれか一項に記載の患者インタフェース。
[項27]該装置の所定の厚さが、約0.5 cmから1 cmの範囲にある項26に記載の患者インタフェース。
[項28]該装置の所定の厚さが、約1 mmから0.5 cmの範囲にある項27に記載の患者インタフェース。
[項29]該装置の所定の厚さが、1 mm以下である項27に記載の患者インタフェース。
[項30]該装置の所定の大きさが、患者インタフェースのプレナムチャンバー内に適合するよう選択される項1から29のいずれか一項に記載の患者インタフェース。
[項31]少なくとも患者の鼻孔の入口を含む患者の気道入口へ、周囲空気圧力に関して連続して陽圧の空気の流れのシールした送達のための患者インタフェースであって、該患者インタフェースは、患者の呼吸サイクルを通して、睡眠呼吸障害の改善のために、使用中は周囲空気圧力以上の約4 cm H2Oから約30 cm H2Oの範囲の治療圧力を維持するように構成され、前記患者インタフェースは:
患者の気道入口と空気的シールを形成するシール形成構造と;
患者の気道の入口で治療圧力を維持しながら、シール形成構造を患者の気道入口を取り巻く領域とシール接触に維持するための位置決めおよび安定化構造と;
使用中は周囲圧力以上に加圧されたプレナムチャンバーと;
呼吸できるガスの流れを患者インタフェースに送達するための接続ポート;と
シール形成構造が、患者の気道入口を取り囲む領域とシーリング接触にあるとき、シール形成構造およびプレナムチャンバーによって少なくとも一部分、画成された呼吸チャンバー内に位置する装置、を含み、
ここに該装置は呼吸チャンバーを後方チャンバーと前方チャンバーに分割し、そして
ここに該装置は、後方チャンバーにおける空気の乱れが前方チャンバーにおける空気の乱れより少なくなるように複数の開口を含むことを特徴とする患者インタフェース。
[項32]後方チャンバーと前方チャンバー間を移動する呼吸チャンバー内の空気が、複数の開口を通るのみとなるように、該装置が位置決めされ、形作られそして寸法が決められる項31に記載の患者インタフェース。
[項33]該装置が、装置の外部周辺端部の少なくとも一部が、少なくとも1つのシール形成構造とプレナムチャンンバーの内表面と実質的に一致するように、形作られ寸法が決められた項31または32に記載の患者インタフェース。
[項34]外部周辺端部領域が、少なくとも1つのシール形成構造およびプレナムチャンバーの内表面に対して空気的シールを形成する項33に記載の患者インタフェース。
[項35]該装置の外部辺端部領域全体が、少なくとも1つのシール形成構造おおよびプレナムチャンバーの内表面と実質的に一致する項33に記載の患者インタフェース。
[項36]該装置の外部辺端部領域と少なくとも1つのシール形成構造とプレナムチャンバーの内面間の少なくとも1つのギャップをさらに含む項33に記載の患者インタフェース。
[項37]該装置の外部辺端部領域の少なくとも1部が、少なくとも1つのシール形成構造とプレナムチャンバーの内面に固定して取り付けられた項33から36のいずれか一項に記載の患者インタフェース。
[項38]該装置の外部辺端部領域の少なくとも一部が、少なくとも1つのシール形成構造およびプレナムチャンバーの内面に取り外し可能に取り付けられた項33から36のいずれか一項に記載の患者インタフェース。
[項39]複数の開口が、大きさ、形状および密集度の少なくとも1つにおいて装置全体で一様である項31から38のいずれか一項に記載の患者インタフェース。
[項40]複数の開口が、大きさ、形状および密集度の少なくとも1つにおいて装置全体で一様でない項31から38のいずれか一項に記載の患者インタフェース。
[項41]複数の開口のそれぞれが、後方チャンバーに隣接した後部領域と前方チャンバーに隣接した前方領域を有している項31から40のいずれか一項に記載の患者インタフェース。
[項42]複数の開口のそれぞれの後方領域が、複数の開口のそれぞれの前方領域より大きく、小さくまたは同じである項41に記載の患者インタフェース。
[項43]複数の開口のそれぞれを通る流路が、線形または非線形である項31から42のいずれか一項に記載の患者インタフェース。
[項44]該装置が、水分および/または熱の吸収に耐性を示す材料を含む項31から43のいずれか一項に記載の患者インタフェース。
[項45]該材料が、ナイロン、ポリカーボネート、シリコン、ポリウレタン、熱可塑性エラストマー、疎水性ポリマーおよびその他の合成材料を含むグループの任意の1つである項44に記載の患者インタフェース。
[項46]該装置が、材料の単一片、連続片および同質片からなる項44または45に記載の患者インタフェース。
[項47]該装置が、メッシュ、発泡体または織物構造を有する項31から45のいずれか一項に記載の患者インタフェース。
[項48]該装置が、後方チャンバーの容積が前方チャンバーの容積より大きい、小さいまたは同じであるように、呼吸チャンバーの中に位置している項31から47のいずれか一項に記載の患者インタフェース。
[項49]患者インタフェースからのガスを洗浄するためのベントをさらに含む項31から48のいずれか一項に記載の患者インタフェース。
[項50]前方チャンバーからのガスがベントを経由して洗浄されるように、該ベントが患者インタフェースのプレレナムチャンバーまたはエルボー上に位置している項49に記載の患者インタフェース。
[項51]該ベントと接続ポートが、該装置に関して患者の気道入口の反対側に位置している項49に記載の患者インタフェース。
【符号の説明】
【0337】
【0338】