特許 7337996 枢動ベゼルを備えるデュワー機器

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2023-08-25

(45)【発行日】2023-09-04

(54)【発明の名称】枢動ベゼルを備えるデュワー機器

(51)【国際特許分類】

   G04B 43/00 20060101AFI20230828BHJP

   G04B 37/00 20060101ALI20230828BHJP

【ＦＩ】

G04B43/00 Z

G04B37/00 Z

【請求項の数】 12

【外国語出願】

(21)【出願番号】P 2022078563

(22)【出願日】2022-05-12

(65)【公開番号】P2023001034

(43)【公開日】2023-01-04

【審査請求日】2022-05-12

(31)【優先権主張番号】21180332.5

(32)【優先日】2021-06-18

(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP

(73)【特許権者】

【識別番号】507276380

【氏名又は名称】オメガ・エス アー

(74)【代理人】

【識別番号】100098394

【弁理士】

【氏名又は名称】山川 茂樹

(72)【発明者】

【氏名】アントワーヌ・ユメル

(72)【発明者】

【氏名】セルジュ・ドロー

【審査官】細見 斉子

(56)【参考文献】

【文献】スイス国特許出願公開第００７１６９１３（ＣＨ，Ａ３）

【文献】実公昭０３－００４６３４（ＪＰ，Ｙ１）

【文献】実公昭１３－０１８２４７（ＪＰ，Ｙ１）

【文献】中国特許出願公開第１０１４４１４３７（ＣＮ，Ａ）

【文献】特開２００９－２３６５３１（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｇ０４Ｂ ４３／００

Ｇ０４Ｂ ３７／００

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

ウオッチ（３）の機械的および／または機能的構成部品（２）用デュワー機器（１）であって、
－ブレスレットと、
－密閉箱（５）を含むケーシング（４）であって、前記ウオッチ（３）のケース（６）は、前記ケース（６）のガラスぶたが前記ケーシング（４）のガラスぶた（１０ａ）に対向して配列されるように配置できるケーシング（４）と、
－前記密閉箱（５）を画定する前記ケーシング（４）の要素（１０ａ、１０ｂ、１０ｃ）すべてから遠く離して前記ウオッチ（３）の前記ケース（６）を保つことにより、前記ケーシング（４）のこの前記密閉箱（５）内で前記ウオッチ（３）の前記ケース（６）を締結する少なくとも１つの締結機器（７）と、
－前記ケーシング（４）の枢動ベゼル（１３）を回転させること（２０）により少なくとも１つの押しボタンを作動させるための機器（１９）と
を備えるデュワー機器（１）。

【請求項2】

前記少なくとも１つの押しボタンを作動させるための前記機器（１９）は、前記枢動ベゼル（１３）が自身の中心軸（Ｏ）を中心に回転運動（２０）を遂行するときに前記少なくとも１つの押しボタンの作動に関与するように構成された前記枢動ベゼル（１３）を備えることを特徴とする、請求項１に記載のデュワー機器（１）。

【請求項3】

前記枢動ベゼル（１３）は、前記ケーシング（４）の中央部（１０ｃ）に対して回転状態で移動可能であることを特徴とする、請求項１に記載のデュワー機器（１）。

【請求項4】

前記作動させるための機器（１９）は、前記枢動ベゼル（１３）、前記ケーシング（４）の中央部（１０ｃ）、および少なくとも１つの変形可能なレバー要素（１５ａ、１５ｂ）を備えることを特徴とする、請求項１に記載のデュワー機器（１）。

【請求項5】

前記少なくとも１つの変形可能なレバー要素（１５ａ、１５ｂ）は、前記ケーシング（４）の前記中央部（１０ｃ）に締結された第１の端部（２１ａ）、および前記ベゼル（１３）に締結された第２の端部（２１ｂ）を備えることを特徴とする、請求項４に記載のデュワー機器（１）。

【請求項6】

前記少なくとも１つの変形可能なレバー要素（１５ａ、１５ｂ）は、前記ケーシング（４）の前記中央部（１０ｃ）に締結された第１の端部（２１ａ）、および前記ベゼル（１３）に締結された第２の端部（２１ｂ）を備え、締結要素（１７ｂ）により移動可能に一緒に接続された、サイズが異なる第１の部分（１６ａ）および第２の部分（１６ｂ）を備えることを特徴とする、請求項４に記載のデュワー機器（１）。

【請求項7】

前記少なくとも１つの変形可能なレバー要素（１５ａ、１５ｂ）は、前記ケーシング（４）の前記中央部（１０ｃ）に締結された第１の端部（２１ａ）、および前記ベゼル（１３）に締結された第２の端部（２１ｂ）を備え、前記ケーシング（４）の前記中央部（１０ｃ）に、および前記ケーシング（４）の前記ベゼルにこの前記少なくとも１つの変形可能なレバー要素（１５ａ、１５ｂ）を移動可能に締結することを確実にすることができる接続要素（１７ａ、１７ｂ）を備えることを特徴とする、請求項４に記載のデュワー機器（１）。

【請求項8】

前記少なくとも１つの変形可能なレバー要素（１５ａ、１５ｂ）は、前記ケーシング（４）の前記中央部（１０ｃ）に締結された第１の端部（２１ａ）、および前記ベゼル（１３）に締結された第２の端部（２１ｂ）を備え、締結要素（１７ｂ）により移動可能に一緒に接続された、サイズが異なる第１の部分（１６ａ）および第２の部分（１６ｂ）を備え、前記第１の部分（１６ａ）および前記第２の部分（１６ｂ）は、前記少なくとも１つの変形可能なレバー要素（１５ａ、１５ｂ）の作動領域（１８）を形成する接続端部で相互接続されることを特徴とする、請求項４に記載のデュワー機器（１）。

【請求項9】

前記少なくとも１つの変形可能なレバー要素（１５ａ、１５ｂ）は、前記ケーシングの中央部の少なくとも１つの活動化領域に接触することにより前記ウオッチ（３）の前記押しボタンを活動化できる作動領域（１８）を備えることを特徴とする、請求項４に記載のデュワー機器（１）。

【請求項10】

前記少なくとも１つの変形可能なレバー要素（１５ａ、１５ｂ）は、前記ケーシングの中央部の少なくとも１つの活動化領域に接続することにより前記ウオッチ（３）の前記押しボタンを活動化できる作動領域（１８）を備え、前記活動化領域は、前記少なくとも１つの変形可能なレバー要素（１５ａ、１５ｂ）が作用したときに前記ウオッチの前記押しボタンに接触できる、前記中央部（１０ｃ）内に配列された滑り部材を備えることを特徴とする、請求項４に記載のデュワー機器（１）。

【請求項11】

前記少なくとも１つの変形可能なレバー要素（１５ａ、１５ｂ）は、前記ボタンに直接に接触することにより前記ウオッチ（３）の前記押しボタンを活動化できる作動領域（１８）を備えることを特徴とする、請求項４に記載のデュワー機器（１）。

【請求項12】

前記密閉箱（５）は真空下にある、またはほとんど真空下にあることを特徴とする、請求項１に記載のデュワー機器（１）。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、ウオッチの機械的および／または機能的構成部品用デュワー機器に関し、デュワー機器は、詳細にはケーシングの枢動ベゼルとの間で、機器の密閉箱に備わったウオッチの少なくとも１つの押しボタンを作動させるための機器を備える。

【背景技術】

【0002】

ウオッチ、および詳細には電子ウオッチは、従来はブレスレット、およびいくつかの電気部品または電子部品を含むウオッチケースを備える。従来技術では、これらの部品のいくつかは、極限の温度に耐えることができず、これらの温度で正しく動作しなくなることが公知である。典型的には、発光ダイオードまたは水晶を使用するＬＣＤ液晶表示装置は、ほぼ８０℃（摂氏温度）を超えず、かつ０℃以下に至らない温度を許容する。しかしながら、たとえば宇宙または月のミッションなど特定の環境では、温度は、実質的に－１５０℃～＋１２５℃のオーダーの値に頻繁に到達する可能性がある。

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0003】

したがって、そのような極限の温度が優勢である可能性がある環境でウオッチを、詳細には電子ウオッチを使用することができる必要がある。

【課題を解決するための手段】

【0004】

本発明は、ウオッチの機械的および／または機能的構成部品用のデュワー機器に関し、前記機器は、ブレスレット、および密閉箱を含むケーシングを具備し、前記ウオッチのケースは、前記ケースのガラスぶたがこの密閉箱を画定するケーシングの要素すべてのガラスぶたに対向して配列されるように配置でき、少なくとも１つの締結機器は、この密閉箱を画定するケーシングの要素すべてから前記ウオッチケースを遠く離して保つことにより、ケーシングの前記密閉箱の中で前記ウオッチのケースを締結し、前記デュワー機器は、前記ケーシングの枢動ベゼルを回転させることにより少なくとも１つの押しボタンを作動させるための機器を備える。

【0005】

他の実施形態では、
－前記少なくとも１つの押しボタンを作動させるための前記機器は、前記枢動ベゼルが自身の中心軸を中心に回転運動を遂行するときに前記少なくとも１つの押しボタンの作動に関与するように構成された前記枢動ベゼルを備える。
－前記枢動ベゼルは、ケーシングの中央部に対して回転状態で動作可能である。
－作動させるための機器は、枢動ベゼル、ケーシングの中央部、および少なくとも１つの変形可能なレバー要素を備える。
－前記少なくとも１つのレバー要素は、ケーシングの中央部に締結された第１の端部、およびベゼルに締結された第２の端部を備える。
－前記少なくとも１つのレバー要素は、締結要素により移動可能に一緒に接続された、サイズが異なる第１の部分および第２の部分を備える。
－前記少なくとも１つのレバー要素は、ケーシングの中央部およびベゼルにこのレバー要素を移動可能に締結することを確実にできる接続要素を備える。
－前記第１の部分および前記第２の部分は、前記少なくとも１つのレバー要素の作動領域を形成する接続端部で相互接続される。
－前記少なくとも１つのレバー要素は、中央部の少なくとも１つの活動化領域に接触することによりウオッチの押しボタンを活動化できる作動領域を備える。
－活動化領域は、前記少なくとも１つのレバー要素が作用したときにウオッチの押しボタンに接触できる、中央部内に配列された滑り部材、詳細には押しボタンを備える。
－前記少なくとも１つのレバー要素は、前記ボタンに直接に接触することによりウオッチの押しボタンを活動化できる作動領域を備える。
－前記密閉箱は、真空下にある、またはほとんど真空下にある。

【0006】

他の特徴および有利な利点は、以下の添付図面を参照して暗示する手法で、かつ限定しない手法で以下に示す記述から明確に明らかになるであろう。

【図面の簡単な説明】

【0007】

【図1】本発明の一実施形態による、ウオッチの少なくとも１つの押しボタンを作動させるための機器を具備する、ウオッチの機械的および／または機能的構成部品用デュワー機器の略図の断面図である。

【図2】本発明の実施形態による、作動機器の実装に関係する動作モードについて記述する機能的略図である。

【図3】本発明の実施形態による、作動機器の実装に関係する動作モードについて記述する機能的略図である。

【図4】本発明の実施形態による、作動機器の実装に関係する動作モードについて記述する機能的略図である。

【発明を実施するための形態】

【0008】

図１は、「デュワー計時器機器」、または「保護機器」、または本明細書の続きの部分でより簡単に「デュワー機器」とも呼ばれる、ウオッチ３の機械的および／または機能的構成部品２用の等温計時器機器１の略図を示す。そのようなデュワー機器１は詳細には、この機器１のケーシング４内にケース６が配置されるウオッチ３の機械的および／または機能的構成部品２に良好な断熱を提供することに関与できる。

【0009】

このデュワー機器１は詳細には、これらの機械的および／または機能的構成部品２のために適切な断熱を達成するために、デュワー機器１のケーシング４とウオッチ３のケース６の組合せにより形成される。この構成では、ウオッチ３のケース６は、密閉箱５を画定するケーシング４の要素１０ａ～１０ｃすべて、すなわちこのケーシング４のガラスぶた１０ａ、中央部１０ｃの内周壁１２、および背面１０ｂから遠く離して、または距離を置いて保たれながらケーシング４のこの前記密閉箱５内に配列される。この内周壁１２はまた、前記密閉箱５の内周壁でもあることが留意されよう。

【0010】

したがって、これに関連してこの機器１は、好ましくはこの機器１のユーザがこの機器１をたとえば手首に装着することができるようにするブレスレットが搭載される２対の角状部１４を具備する中央１０ｃを含むケーシング４を備える。このケーシング４はまた、図１で見ることができるガラスぶた１０ａおよび背面１０ｂを含む。この機器１では、ガラスぶた１０ａは、好ましくはウオッチ３のケース６のガラスぶた１１よりも実質的に大きな、または厳密に大きな表面を備えることが留意されよう。

【0011】

このケーシング４はまた、中央部１０ｃに対して回転可能に搭載された枢動ベゼル１３を備える。そのようなベゼル１３は、実質的に円形の形状を有する。ベゼル１３は、内周壁および外周壁だけではなく内面および外面も有する本体を備え、外面は、場合によっては目盛りを具備する。

【0012】

このデュワー機器１はまた、ベゼル１３の回転により、デュワー機器１のケーシング４の密閉箱５内に配列されたウオッチ３のケース６の少なくとも１つの押しボタンを作動させるための機器１９を備える。したがって、この作動機器１９は、枢動ベゼル１３、ケーシング４の中央部１０ｃ、および少なくとも１つの変形可能なレバー要素１５ａ、１５ｂを備える。図２および図３では、この機器１９は、ウオッチ３のケース６の押しボタンを作動させることがそれぞれできる２つのレバー要素１５ａ、１５ｂを備える。

【0013】

変形可能なレバー要素１５ａ、１５ｂはそれぞれ、第１の部分１６ａおよび第２の部分１６ｂが一緒に鈍角を形成する「非活動化」状態と呼ばれる状態から、これらの第１の部分１６ａおよび第２の部分１６ｂが直角以下の角度を形成する「活動化」状態と呼ばれる状態に切り替わることができる。この活動化状態では、このレバー要素１５ａ、１５ｂは、ウオッチ３の押しボタンを活動化する目的でデュワー機器１のユーザ／装着者が取り扱ったときにベゼル１３の回転運動２０により発生する、文字「Ｌ」の形に実質的に類似する曲がった形状を有する。

【0014】

そのような変形可能なレバー要素１５ａ、１５ｂは、自身を構成する締結要素の１つ１７ｃからケーシング４の中央部１０ｃの本体まで移動可能に締結された第１の端部２１ａを備える。より具体的には、この第１の端部２１ａは、締結要素１７ｃの中心軸と共通の第１の軸を中心に中央部１０ｃのこの本体に移動可能に締結される。このレバー要素１５ａ、１５ｂはまた、この作動させるための機器１９の別の締結要素１７ｃからベゼル１３の本体に締結された第２の端部２１ｂを備える。この場合も、この第２の端部２１ｂは、対応する締結要素１７ｃの中心軸と共通の第２の軸を中心に中央部１０ｃのこの本体に移動可能に締結される。これらの第１の軸および第２の軸は、互いに、かつケーシング４の、したがって、中央部１０ｃおよびベゼル１３の中心軸Ｏに、実質的に平行または厳密に平行である。

【0015】

したがって、各レバー要素１５ａ、１５ｂはまた、上述の締結要素１７ａ、１７ｂ、１７ｃだけではなく、好ましくは剛性がありかつ／またはサイズが異なる第１の部分１６ａおよび第２の部分１６ｂも備える。これらの第１の部分１６ａおよび第２の部分１６ｂは、１７ｂで参照される接続要素に由来する接続端部と呼ばれる端部で一緒に接続される。この構成では、第２の部分１６よりもサイズが小さい第１の部分１６ａは、中央部１０ｃに接続されたレバー要素１５ａ、１５ｂの第１の端部２１ａ、および第２の部分１６ｂの接続端部に接続された自身の接続端部を備える。第２の部分１６ｂに関しては、第２の部分１６ｂは、ベゼル１３に接続されたレバー要素１５ａ、１５ｂの第２の端部２１ｂ、および第１の部分１６ａの接続端部に接続された自身の接続端部を備える。

【0016】

接続端部は、レバー要素１５ａ、１５ｂの作動領域１８を一緒に形成する。レバー要素１５ａ、１５ｂの第１の部分１６ａおよび第２の部分１６ｂは、第１の部分１６ａおよび第２の部分１６ｂを一緒に接続する対応する締結要素１７ｂの中心軸と共通の第３の軸の周囲で、互いに対して移動可能であるように相互接続される。この第３の軸は、上述の第１の軸および第２の軸に実質的に平行または厳密に平行であることが留意されよう。

【0017】

これまで言及してきたように、これら２つの接続端部により形成された作動領域１８は、デュワー機器の装着者が回転運動２０で枢動ベゼル１３を駆動するときにウオッチの押しボタンの活動化に関与できる。

【0018】

押しボタンのこの活動化は、好ましくは間接的に行われる。実際は、作動領域１８は、中央部１０ｃの活動化領域を介してウオッチ３の押しボタンに間接的に接触することによりウオッチ３の押しボタンを活動化できる。この活動化領域は、この活動化領域が作用したときにウオッチ３の押しボタンに直接に接触できる、中央部１０ｃ内に配列された滑り部材、詳細には押しボタンを備えることができる。あるいは、この活動化領域は、ウオッチ３の押しボタンに接触するために変形できる、中央部１０ｃの周壁の一部分とすることができる。この構成では、この活動化領域は、作動機器１９の一部である。

【0019】

本発明の他の実施形態では、この活動化は、この作動領域１８がこの押しボタンに直接に接触するときに直接に行うことができる。

【0020】

さらに、デュワー機器１は、ベゼル１３の本体内と中央部１０ｃの本体内の両方で画定される、レバー要素１５ａ、１５ｂが配列されてよい筐体を備えてよい。これに関連して、このレバー要素１５ａ、１５ｂの作動領域１８はこの場合、この筐体内でウオッチの押しボタンの方向に動くことができる、またはこれに反して、枢動ベゼル１３が遂行する回転運動に従って前記押しボタンから離れて動くことができる。

【0021】

図２～図４を参照すると、デュワー機器１は、ウオッチ３のケース６の２つの別個の押しボタンを活動化するために提供された２つのレバー要素１５ａ、１５ｂを備える。これら２つのレバー要素１５ａ、１５ｂは、間接的にまたは直接に協働することが意図される、ケース６の対応する押しボタンの近くに、またはその近傍に配列される。これらの図２～図４では、第１の押しボタンおよび第２の押しボタンは、ウオッチのケース６の中央部上に、それぞれ「２時」および「４時」の領域に配列される。

【0022】

図２では、デュワー機器１の枢動ベゼル１３は、反時計回りの方向に、すなわち右から左に遂行される回転運動２０により駆動される。ベゼル１３のこの動きは、第１のレバー要素１５ａの作動領域１８がウオッチ３のケース６の第１の押しボタンの活動化を生じさせる活動化状態で第１のレバー要素１５ａを構成できるようにする。この第１のレバー要素１５ａをこの活動化状態でこのように構成する間、第２のレバー要素１５ｂの第１の部分１６ａおよび第２の部分１６ｂは、３つの締結要素１７ａ、１７ｂ、１７ｃが実質的に整列する、または厳密に整列するように互いに関節式に連結することが留意されよう。この第２のレバー要素１５ｂの締結要素１７ａ、１７ｂ、１７ｃがこのように整列することは、この第２のレバー要素１５ｂが概して長方形の形状を有することに寄与する。

【0023】

図３では、デュワー機器１の枢動ベゼル１３は、ウオッチの針の方向に類似する方向に、すなわち左から右に遂行される回転運動により駆動される。ベゼル１３のこの動きは、第２のレバー要素１５ｂの作動領域１８がウオッチ３のケース６の第２の押しボタンの活動化を生じさせる活動化状態で第２のレバー要素１５ｂを構成できるようにする。この第２のレバー要素１５ｂをこの活動化状態でこのように構成する間、第１のレバー要素１５ａの第１の部分１６ａおよび第２の部分１６ｂは、第１のレバー要素１５ａの３つの締結要素１７ａ、１７ｂ、１７ｃが実質的に整列する、または厳密に整列するように互いに関節式に連結することが留意されよう。この第１のレバー要素１５ａの締結要素１７ａ、１７ｂ、１７ｃがこのように整列することは、この第１のレバー要素１５ａが概して長方形の形状を有することに寄与する。

【0024】

さらに、上述のように、図４に例示する第１のレバー要素１５ａおよび第２のレバー要素１５ｂはいずれも、第１のレバー要素１５ａおよび第２のレバー要素１５ｂの各々の第１の部分１６ａおよび第２の部分１６ｂが鈍角を一緒に形成する非活動化状態にある。

【0025】

そのような作動機器１９は、詳細にはデュワー機器１のユーザが、この機器１を取り扱うことができるようにする自分の身体の一部分を使うのがそれほど上手ではないときに、この機器１の使用法を改善できるようにすることが理解される。この熟練の欠如は、能力がないことから、またはこのユーザが自分の指を用いてこのデュワー機器１を正確に取り扱うのを妨害する厚い手袋を自分の手にはめているという事実から生じる。これに関連して、そのようなデュワー機器１は、宇宙服を着た宇宙飛行士により、またはより一般的にはたとえば圧力、温度、湿度などに関して極限の条件が優勢な環境で運用している宇宙服を身につけたユーザ／冒険家により使用するのに特に適合している。

【0026】

これまでに見てきたように、ウオッチ３のケース６は、ケーシング４の要素１０ａ～１０ｃすべてから遠く離して、または距離を置いて保たれながらこのケーシング４の密閉箱５内に配置される。このように遠く離れていること、またはこの距離、またはさらにはこの間隔は、ケーシング４内でウオッチ３のケース６を締結するための少なくとも１つの機器７によって構成される。換言すれば締結機器７は、前記ケース６と、このケーシング４の前記密閉箱５を形成するケーシング４の要素１０ａ、１０ｂ、１０ｃすべてとの間の間隔を達成または維持するように構成される。この締結機器７は、中央部１０ｃの内周壁１２ａおよび／または背面１０ｂおよび／またはガラスぶた１０ａと、ウオッチ３のケース６、詳細にはこのケース６の全外面との間のどんな熱伝導も低減することに、または除去することにさえ関与する。この全外面は、このウオッチ３のケース６のガラスぶた１１を備える上面、前記ケース６の背面を備える下面、およびこのケース６の中央部の外周壁を含む。下面および上面は、互いに対向することが理解される。締結機器７は、ケーシング４の密閉箱の内周壁１２上に配列されることが留意されよう。この構成では、締結機器７は、詳細には可逆的手法でケーシング４の密閉箱の内周壁１２にウオッチ３のケース６を機械的に接続する。さらにデュワー機器１は、互いに対向しながら密閉箱５内に配列された２つの締結機器７を備えてよい。

【0027】

そのようなケース６は、電子ウオッチ、たとえば水晶ウオッチ、または機械式ウオッチとすることができるウオッチ３に備わっていることが留意されよう。

【0028】

上記で言及するウオッチ３の機械的および／または機能的構成部品２は、限定せず、かつ網羅的ではなく、ひげぜんまい、歯車、時打ち機構、文字板、針、輪、継ぎ目、ならびに／または電子部品および／もしくは電気部品２など、ムーブメントの機械的要素に備わっている。詳細にはそのような電子部品および／または電気部品２は、たとえば表示装置、プロセッサ、メモリ、エネルギー蓄積構成部品、モータ、集積回路、および電子振動子などを含むことが留意されよう。

【0029】

したがって、この構成では、このデュワー機器１は、従来技術で周知のデュワー管／デュワー瓶と同じ性質および特徴を有することが理解される。これまで言及してきたように、このデュワー機器１の性質および特徴は、そのような機器１が位置する可能性がある外部環境で優勢であることがある、詳細には極限の温度に対して良好な断熱をデュワー機器１に提供するのに寄与する。

【0030】

すでに見てきたように、この機器１のガラスぶた１０ａ、中央部１０ｃ、および背面１０ｂは、ウオッチ３のケース６を受け入れることができる、このケーシング４の密閉箱５を一緒に画定する。ケーシング４のこれら３つの要素１０ａ～１０ｃ、すなわち中央部１０ｃ、ガラスぶた１０ａ、および背面１０ｂは、この密閉箱５を構築するために一緒に連結される別個の要素とすることができる。あるいは、ケーシング４の中央部１０ｃおよび背面１０ｂは、可逆的かつ密封された手法でガラスぶた１０ａにより閉じることができる、背面１０ｂに対向する開口部を画定する単一片を一緒に形成できる。あるいは、ウオッチ３のケーシング４の中央部１０ｃおよびガラスぶた１０ａは、同じく可逆的かつ密封された手法で背面１０ｂにより閉じることができる、ガラスぶた１０ａに対向する開口部を画定する単一片を一緒に形成できる。

【0031】

中央部１０ｃまたは背面１０ｂはまた、ガラスぶた１０ａのように、デュワー機器１のケーシング４の透明な外部要素とすることができる。そのような構成では、中央部１０ｃの内周壁および背面１０ｂの内周壁は、たとえば銀の層などの金属反射めっきなどでめっきできる。

【0032】

しかしながら、中央部１０ｃまたは背面１０ｂは、好ましくは、限定せず、かつ網羅的ではなく金属材料から、または炭素もしくはガラス繊維で強化された熱硬化性もしくは熱可塑性のポリマー樹脂から、またはセラミック材料から作られることが留意されよう。

【0033】

追加で、機器１は、ケーシング４の全外面上に、すなわち、中央部１０ｃの外周壁上に、ならびに／またはウオッチ３のケース６のガラスぶた１０ａおよび背面１０ｂの外面上に配列された干渉計フィルタを備えてよい。この干渉計フィルタは、ケーシング４のこの全外面上にめっきを形成するグリッドまたはトレリスとすることができる。このグリッドまたはトレリスは、寸法が電磁スペクトルのある種の所定の波長だけを、典型的には可視領域の波長だけを通過させることができるようにするようなものであるメッシュを有する。

【0034】

さらに、空気を備える環境で機器１を使用することを意図するとき、ウオッチのケース６を備えるケーシング４の密閉箱５は、真空下にある、またはほとんど真空下にある。換言すれば、この密閉箱内では、このケース６と、中央部１０ｃの内周壁１２、背面１０ｂ、およびガラスぶた１０ａとの間に画定される空間には物質がない、または物質がほとんどない。空気がまったくない、または空気が実質的にまったくない環境でこの機器１を使用するとき、機器１の密閉箱は、真空下になくてよい、またはこれに反してさらにまた、真空下にあっても、ほとんど真空下にあってもよいことが留意されよう。

【0035】

作動させるための機器のおかげで使用および取扱が容易になるそのようなデュワー機器１は、長期間ウオッチのケース６内に配列された機械的および／または機能的構成部品２の放熱による熱損失を低減する、またはさらには防止することにより、外部環境に関して非常に良好な断熱をウオッチ３の機械的および／または機能的構成部品２に提供することに寄与する。その結果、機器１の外側の温度が典型的には－１２５℃から＋１２５℃のオーダーの極限値に到達するとき、密閉箱５の内側の温度は同様に、密閉箱５がケーシング４内に配列されたときにウオッチ３のケース６内に存在する典型的には２０℃のオーダーの温度に実質的に等しいままである。デュワー機器１の環境で優勢な温度条件とは無関係に、ウオッチ３のケース６内に存在する温度は、ウオッチの適切な動作を妨げない温度であることが留意されよう。この温度は、そのような特に極限の温度が優勢であるそのような環境内に直接に位置することにより（すなわち、デュワー機器のケーシングの外側に位置することにより）そのようなウオッチのケースがウオッチの構成部品２の動作温度を保持することができる期間よりも５～１８倍長い期間にわたり維持される。その結果、そのような構成は、ウオッチ３の機械的および／または機能的構成部品２を保護することができるようにするだけではなく、極限の外部温度条件で機械的および／または機能的構成部品２の動作を最適な手法で確実にすることに関与することができるようにすることも理解できる。

【符号の説明】

【0036】

１ デュワー機器
２ 機械的および／または機能的構成部品、電子部品および／または電気部品
３ ウオッチ
４ ケーシング
５ ケーシングの密閉箱
６ ケース
７ ウオッチのケースを締結するための機器
１０ａ デュワー機器のガラスぶた
１０ｂ デュワー機器の背面
１０ｃ デュワー機器の中央部
１１ ウオッチのケースのガラスぶた
１２ 中央部の内周壁、密閉箱の内周壁
１３ 枢動ベゼル
１４ ２対の角状部
１５ａ 変形可能なレバー要素、第１のレバー要素
１５ｂ 変形可能なレバー要素、第２のレバー要素
１６ａ 第１の部分
１６ｂ 第２の部分
１７ａ レバー要素の締結要素
１７ｂ レバー要素の締結要素、接続端部
１７ｃ レバー要素の締結要素
１８ レバー要素の作動領域
１９ ウオッチのケースの押しボタンを作動させるための機器、作動機器
２０ 枢動ベゼルの回転運動
２１ａ 第１の端部
２１ｂ 第２の端部
Ｏ 中心軸

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】