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  • 特許-糸操り人形操作ユニット 図1
  • 特許-糸操り人形操作ユニット 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-25
(45)【発行日】2023-09-04
(54)【発明の名称】糸操り人形操作ユニット
(51)【国際特許分類】
   A63H 3/00 20060101AFI20230828BHJP
   A63H 3/18 20060101ALI20230828BHJP
【FI】
A63H3/00 G
A63H3/18
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022119091
(22)【出願日】2022-07-07
【審査請求日】2022-08-05
(73)【特許権者】
【識別番号】522297465
【氏名又は名称】伊藤 竜三
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 竜三
【審査官】相川 俊
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-038341(JP,A)
【文献】実開平05-015996(JP,U)
【文献】実開昭59-116088(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2006/0160466(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 3/00
A63H 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部、胴部、腕部、脚部のうち少なくとも2つ以上のパーツを有する糸操り人形と、
前記糸操り人形の各パーツに一端が繋がれた複数の操り糸と、
前記複数の操り糸のそれぞれを個別に挿通する貫通孔を複数有して、操作時に前記糸操り人形の上方に配置されるボードと、
一端が直接的または間接的に前記ボードに接続され、内部に前記複数の操り糸を通す空間を備える弾性変形可能な弾性部材と、
先端が前記弾性部材の他端に連接され、前記複数の操り糸を内通するとともに、中間の側面に形成された導出部から複数の前記操り糸を導出する長尺部材と、
前記長尺部材の後端側に設けられ、回動又は直動自在に支持された複数の操作レバーを有し、複数の前記操り糸の他端が前記操作レバーに個別に繋がれてなる操作部と
を備えた糸操り人形操作ユニット。
【請求項4】
前記弾性部材はコイルバネからなり、前記長尺部材を水平にしたとき、前記コイルバネが滑らかに湾曲して、前記ボードを略水平に保持することを特徴とする請求項1または2に記載の糸操り人形操作ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の操り糸に繋がれた糸操り人形を操作する糸操り人形操作ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の糸操り人形は、操り人形本体の各動作パーツに接続されて、概ね垂直線上方向に延出する操り糸を操作者が手指で持って直接操作したり、当該操り糸が接続された操作板や操作レバーを回動・上下動などして操り人形を動作させるものであった。(特許文献1~3参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平4-117693号公報
【文献】実開昭59-22200号公報
【文献】実公昭38-9150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の操り人形は、操り糸を引く方向が操り人形の各パーツから概ね垂直線上方向に限られていて、人形本体の高さ寸法が操作者の手指の届く高さまでに制限されるため、比較的高身長の人形を操作することができない。また、操り人形の表現行動できる高さは、最大でも操作者が腕を伸ばした高さまでに制限されるため、操作者の背丈を超えた高さでの操作ができない。それゆえ、操り人形のダイナミックな動きを表現することが困難である。
【0005】
さらに、上記特許文献1~3に記載の操り人形では、人形本体を同一方向にスムーズに垂直軸回転させることができない。仮に、人形本体を垂直軸回転させる場合は、操作部の上部に回転を支持するような付属装置を付加するなど、操作ユニット自体が大型化・複雑化してしまう。
【0006】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、操り人形の高さ寸法が大きいものであっても容易に操作することができるとともに、操り人形の高さ方向の可動範囲を拡大し、かつ操り人形の垂直軸回転が円滑に行えることができる糸操り人形操作ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明にかかる糸操り人形操作ユニットは、頭部、胴部、腕部、脚部のうち少なくとも2つ以上のパーツを有する糸操り人形と、前記糸操り人形の各パーツに一端が繋がれた複数の操り糸と、前記複数の操り糸のそれぞれを個別に挿通する貫通孔を複数有して、操作時に前記糸操り人形の上方に配置されるボードと、一端が直接的または間接的に前記ボードに接続され、内部に前記複数の操り糸を通す空間を備える弾性変形可能な弾性部材と、先端が前記弾性部材の他端に連接され、前記複数の操り糸を内通するとともに、中間の側面に形成された導出部から複数の前記操り糸を導出する長尺部材と、前記長尺部材の後端側に設けられ、回動又は直動自在に支持された複数の操作レバーを有し、複数の前記操り糸の他端が前記操作レバーに個別に繋がれてなる操作部とを備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明の糸操り人形操作ユニットによれば、弾性部材や長尺部材の内部を経由して操作レバーに繋がれた操り糸を操作部で操作する方向とは関係なく操り人形の各パーツを任意に動かすことができるため、操り人形の高さ寸法が大きいものであっても容易に操作することができるとともに、操り人形の高さ方向の可動範囲を拡大することができる。加えて、人形を同一方向にスムーズに垂直軸回転させることができる。
【0009】
また、本発明では、前記操り糸の1本ずつを内部に通す可撓性チューブを複数有し、前記可撓性チューブの一端が前記ボードの複数の前記貫通孔にそれぞれ嵌入固定されるとともに、前記可撓性チューブが前記弾性部材および前記長尺部材の内部を通過して、前記可撓性チューブの他端が前記導出部から導出されていることを特徴とすることができる。
【0010】
かかる構成により、各操り糸が個別の可撓性チューブ内で動作するため、操り糸どうしの干渉を抑止でき、また摩擦抵抗を低減できることから、スムーズな操作を実現できる。
【0011】
また、本発明では、前記長尺部材を挿通するパイプ挿通孔を有して片手指で把持可能なハンドルを備え、前記長尺部材と前記ハンドルとが相対回転可能に支持されていることを特徴とすることができる。
【0012】
かかる構成により、たとえば操作者がハンドルを把持した状態で長尺部材を回転させると、長尺部材の先端に連接された弾性部材も回転し、それに伴って、ボードと糸操り人形が垂直軸回転する。したがって、操作ユニット自体を大型化・複雑化させることなく、円滑に糸操り人形を垂直軸回転させることができる。
【0013】
また、本発明では、前記弾性部材はコイルバネからなり、前記長尺部材を水平にしたとき、前記コイルバネが滑らかに湾曲して、前記ボードを略水平に保持することを特徴とすることができる。
【0014】
かかる構成により、弾性部材の急激な屈曲による操り糸の可動異常を防止でき、糸操り人形を容易に操作することが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明の糸操り人形操作ユニットによれば、糸操り人形の高さ寸法が大きいものであっても容易に操作することができるとともに、糸操り人形の高さ方向の可動範囲を拡大することができ、加えて、人形本体を同一方向にスムーズに垂直軸回転させることができる。したがって、糸操り人形の多彩でダイナミックな動きを表現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態にかかる糸操り人形操作ユニットを示す側面図である。
図2】本発明の実施形態にかかる糸操り人形操作ユニットの断面図である。
図3】本形態の糸操り人形操作ユニットにおける操作部およびその周辺の斜視図である。
図4】本発明の実施形態にかかる糸操り人形操作ユニットを操作している状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
(糸操り人形操作ユニットの構成)
図1は、本発明の実施形態にかかる糸操り人形操作ユニットを示す側面図である。図2は、本発明の実施形態にかかる糸操り人形操作ユニットの断面図である。図3は、本形態の糸操り人形操作ユニットにおける操作部1およびその周辺の斜視図である。図4は、本発明の実施形態にかかる糸操り人形操作ユニットを操作している状態を示す図である。なお、以下の説明において、同じ構成を示す場合には同じ符号を付し、重複する構成の説明を省略することがある。
【0019】
本形態の糸操り人形操作ユニットMは、糸操り人形15と、複数の操り糸6と、ボード13と、弾性部材9と、長尺部材8と、操作部1と、ハンドル11とを備えている。
【0020】
糸操り人形15は、頭部15a、胴部15d、2本の腕部15b、2本の脚部15cを含み、これらの要素をパーツと称することもある。本形態では、頭部15aと胴部15d、および胴部15dと腕部15b、並びに胴部15dと脚部15cはそれぞれパーツ連結紐14で連結されている。本形態における2本の腕部15bと2本の脚部15cは、それぞれ1つのパーツで構成されているが、よりリアルな動作をするために腕や脚の関節を設けて、それぞれ複数のパーツで構成してもよい。なお、パーツ連結紐14の材質としては、天然繊維、化学繊維、金属線、竹串、あるいはこれらの組み合わせを用いることができる。
【0021】
図1図2に示すように、本形態の糸操り人形15の各パーツには、操り糸6の一端が繋がれている。操り糸6は、比較的細くて丈夫で曲がり癖が残り難いナイロン糸やワイヤーなどを用いることができる。本形態において、胴部15dには操り糸6が繋がれていないが、糸操り人形15の動きを多様化するために、胴部15dに操り糸6を繋げてもよい。また、頭部15aに3本の操り糸6が繋がれており、これにより、頭部15aを左右前後に変位させることができるので、糸操り人形15の多彩な表現が可能となる。なお、各操り糸6の他端は、後述する操作部1の操作レバー1a、1b、1cに個別に接続されている。
【0022】
本形態の糸操り人形15の上方には、ボード13が配置される。このボード13には、複数の操り糸6を個別に挿通する貫通孔13aが法線方向に複数穿設されている(図2参照)。各貫通孔13aの位置は、当該貫通孔13aを通る操り糸6の一端と糸操り人形15のパーツとの接続部の直上またはその近傍、もしくは所望の動作を表現しうる位置が望ましい。ボード13の外形は、矩形、円形、楕円、多角形など任意の形状・サイズを選択することができるが、軽量化・小型化の観点から、糸操り人形15を法線方向から投影視したときの大きさを包含できる程度の形状であることが望ましい。また、本形態において、ボード13に穿設された貫通孔13aには、操り糸6を1本ずつ内部に通す可撓性チューブ7が嵌入固定されていて、可撓性チューブ7の先端が貫通孔13aから糸操り人形15側にわずかに突出している。このようにすることで、操り糸6が貫通孔13aの内壁面や開口部分で損傷や摩耗することを抑止できる。なお、操り糸6とは別の線材を用いて、その一端をボード13に固定し、他端を糸操り人形15の両肩部に接続することで、糸操り人形15を安定的に支持できる。
【0023】
本形態の可撓性チューブ7は、樹脂製やゴム製等の可撓性のあるチューブである。その内径は、操り糸6の太さに比べて大きいほど操り糸6を通し易くなるが、可撓性チューブ7を集合させたとき、チューブ全体の可撓性が損なわれる恐れがある。このため、可撓性チューブ7の内径は0.2~1.5mm程度、外径は0.5~3.0mm程度であることが望ましい。可撓性チューブ7の内部には操り糸6が1本ずつ挿通され、各可撓性チューブ7は、弾性部材9および長尺部材8の内部を通過して、長尺部材8の中間の側面に形成された導出部8aから可撓性チューブ7の他端が導出されている。このような構成にすることで、各操り糸6が個別の可撓性チューブ7内で動作するため、操り糸6どうしの干渉を抑止でき、また摩擦抵抗を低減できることから、糸操り人形15のスムーズな操作を実現できる。
【0024】
本発明にかかる弾性部材9は、一端が直接的または間接的にボード13に接続され、内部に複数の操り糸6を通す空間を備える弾性変形可能な部材である。本形態において、弾性部材9はその一端が短パイプ10に接続され、短パイプ10がボード13の中央部に接続している。すなわち、弾性部材9は、一端が間接的にボード13に接続されている。短パイプ10の側面には周方向にほぼ等間隔に複数の穴が形成され、各穴から可撓性チューブ7の先端が放射状に延出して、ボード13の貫通孔13aに嵌入固定されている。なお、短パイプ10は樹脂材や軽金属からなり、一定の剛性を有することが望ましい。また、短パイプ10を介することなく、弾性部材9の一端をボード13に直接接続してもよい。
【0025】
本形態の弾性部材9として、コイルバネを用いることができる。コイルバネ(弾性部材9)には適度な弾性力があり、急激に折れ曲がることがない。それゆえ、図1図2に示すように、長尺部材8を水平にしたとき、コイルバネが滑らかに湾曲して、ボード13を略水平に保持することができる。また、コイルバネは湾曲しても内周円の形状が大きく変化しないため、内部を通る操り糸6および/または可撓性チューブ7が摩擦抵抗なく移動できるので、糸操り人形15を円滑に操作することができる。弾性部材9としては、コイルバネと同様の機能を有する部材、たとえばスプリングホースや洗濯機用給排水ホースなどを用いてもよい。
【0026】
本形態の弾性部材9の他端には、長尺部材8の先端が連接されている。長尺部材8はパイプ状を呈し、軽量で所定の強度を有する樹脂材、カーボン素材、軽金属などの材料で形成されている。長尺部材8の長さは、糸操り人形15の重量に耐えられるとともに、所望の動作表現が可能な長さとし、その内径は、複数の可撓性チューブ7が適度に納まるサイズとすることが望ましい。具体的には、長尺部材8の長さが数十センチメートルから数メートル、内径は8mm~30mm程度とすることができる。そして、この長尺部材8の内部にも複数の操り糸6および/または可撓性チューブ7が内通している。また、長尺部材8の後端側には操作部1が設けられ、最終端にはベース部材5(5b)が固定されている。さらに、長尺部材8の中間であって、操作部1が設けられる位置よりも先端側の側面には、可撓性チューブ7と共に操り糸6を導出する導出部8aが形成されている。この導出部8aは、操り糸6および/または可撓性チューブ7の本数と同数の透孔であることが望ましい。
【0027】
図3に示すように、本形態の操作部1は、長尺部材8の後端側に設けられ、回動又は直動自在に支持された複数の操作レバー1a、1b、1c、および一対のベース部材5a、5bを有している。ベース部材5bは長尺部材8の最終端にビス4で固定され、ベース部材5aは長尺部材8の導出部8aよりも先端側に位置して、ビス4で固定されている。T字型操作レバー1aとI字型操作レバー1bは、それぞれ操作レバー連結紐2と操作レバー連結ゴム3によって、移動可能に一対のベース部材5a、5b間に懸架されている。T字型操作レバー1aの上部とI字型操作レバー1bは、ともに長尺部材8の長手方向に対して直交する向きに配置されている。また、L字型操作レバー1cは、ビス4Lを中心として回動可能にベース部材5bに取り付けられている。
【0028】
T字型操作レバー1aの3カ所の端部に繋がれた操り糸6は、糸操り人形15の頭部15aの左右と後頭部の3カ所に個別に繋がれている。I字型操作レバー1bの両端2カ所に繋がれた操り糸6は、操り人形15の腕部15bの左右それぞれに繋がれている。L字型操作レバー1cの両端の2カ所に繋がれた操り糸6は、操り人形15の脚部15cの左右それぞれに繋がれている。このように、糸操り人形15の各パーツと操作部1の各操作レバーとを操り糸6で接続することで、T字型操作レバー1aは頭部15aを動作させ、I字型操作レバー1bは腕部15bを動作させ、L字型操作レバー1cは脚部を動作させることができる。
【0029】
さらに、本形態の糸操り人形操作ユニットMは、長尺部材8を挿通するパイプ挿通孔11aを有して片手指で把持可能なハンドル11を備えている。長尺部材8の外径とパイプ挿通孔11aの内径のクリアランスは数十ミクロンメートル以上あって共回りしないため、長尺部材8とハンドル11とが相対回転可能に支持されている。それゆえ、操作者がハンドル11を把持した状態で長尺部材8を回転させると、長尺部材8の先端に連接された弾性部材9も湾曲状態を保ったまま回転し、それに伴って、ボード13と糸操り人形15が垂直軸回転する。したがって、操作ユニットM自体を大型化・複雑化させることなく、円滑に糸操り人形15を垂直軸回転させることができる。なお、ハンドル11の前後に設けられたずれ防止部材12およびベース部材5aによって、ハンドル11が長手方向にずれることを防止している。
【0030】
(操作の説明)
ここで、本発明の実施形態にかかる糸操り人形操作ユニットMの操作方法について説明する。
【0031】
まず、図4に示すように、片方の手指でハンドル11を握って、糸操り人形操作ユニットMを支持する。そして、他方の片手指で操作レバー1(1a、1b、1c)をそれぞれ操作することにより、糸操り人形15の頭部15a、腕部15b、脚部15cを動作させることができる。
【0032】
たとえば、腕部15bに繋がれたI字型操作レバー1bの両端を同時に手前に引くと、糸操り人形15の2本の腕部15bが上がり、元に戻すともと2本の腕部15bが下がる。また、I字型操作レバー1bの片側端部のみを手前に引くと、片方の腕部15bが上がる。
【0033】
また、頭部15aに繋がれたT字型操作レバー1aの上部右端を手前に引くと、頭部15aが左側に傾き、逆に、上部左端を手前に引くと、頭部15aが右側に傾く。T字型操作レバー1aの下端を手前に引くと頭部15aが前傾し、逆に、下端を押し込むと頭部15aが上方を仰ぐ格好となる。
【0034】
さらに、脚部15cに繋がれたL字型操作レバー1aを、右回りに回動させると右側の脚部15cが上がり、左回りに回動させると左側の脚部15cが上がる。
【0035】
そして、ハンドル11および操作部1を持って、長尺部材8を上下左右に移動させると、それに伴ってボード13および糸操り人形15本体も同様に移動する。このとき、長尺部材8とボード13との間に弾性部材9が接続されているため、長尺部材8を水平にしたとき、弾性部材9滑らかに湾曲してボード13水平に保持する。しかも、長尺部材8を斜め上方に様々な角度で持ち上げても、弾性部材9が適度に湾曲してボード13が常時水平に保持される。したがって、糸操り人形15本体を操作者の手より高い位置や遠い位置に移動させて操作することができる。加えて、従来は困難であった大型の糸操り人形を1人の操作者によって操作することができる。
【0036】
さらに、ハンドル11を片手指で支えながら、他方の手指で長尺部材8を軸回転させることで、弾性部材9およびボード13を軸回転が伝播して、糸操り人形15本体を何回転でも円滑に垂直軸回転させることができる。なお、長尺部材8を軸回転させる場合、最終端に固定されたベース部材5bを他方の手指で回転させると、容易に回転させることができる。
【0037】
以上のように、本発明の糸操り人形操作ユニットMによれば、糸操り人形15の高さ寸法が大きいものであっても容易に操作することができるとともに、糸操り人形15の高さ方向の可動範囲を拡大することができる。また、糸操り人形15本体を同一方向にスムーズに垂直軸回転させることができる。したがって、糸操り人形15の多彩でダイナミックな動きを表現することが可能となる。
【0038】
以上、本発明を実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更を加えることができる。
【0039】
たとえば、上記実施形態では、操作部1の各操作レバー1a、1b、1cを個別に操作する構成としたが、L字型操作レバー1cとT字型操作レバー1a、もしくはL字型操作レバー1cとI字型操作レバー1bを糸で連繋することにより、同時に複数の操り人形動作パーツを動作させることができる。
【0040】
また、支点を中心に複数本の辺が成す角度が変化する折り畳み式の回転用レバーを操作部1に設けるとともに、このレバーの任意の箇所に操り糸6を接続した構成にしてもよい。かかる形態によれば、当該レバーの一辺を引き上げて、長尺部材8の長手方向と直交する向きに開いた状態にして、この一辺を把持しながら長手方向周りに回転させると、糸操り人形15は、まるでフィギアスケート選手がスピンするかのように、手足を動作させながら、垂直軸回転することができる。
【0041】
また、上記実施形態では、長尺部材8としてパイプ状の部材を用いたが、長尺の棒材の複数個所にリングを固定して、そのリング内に操り糸6および/または可撓性チューブ7を挿通するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 操作部
1a T字型操作レバー
1b I字型操作レバー
1c L字型操作レバー
2 操作レバー連結紐
3 操作レバー連結ゴム
4 ビス
5 ベース部材
6 操り糸
7 チューブ
8 長尺部材
9 弾性部材(コイルバネ)
10 短パイプ
11 ハンドル
12 ずれ防止部材
13 ボード
14 パーツ連結紐
15 糸操り人形
15a 頭部
15b 腕部
15c 脚部
15d 胴部
M 糸操り人形操作ユニット
【要約】
【課題】操り人形の体長やその高さ方向の可動範囲を拡大し、かつ操り人形の垂直軸回転が円滑に行えることができる糸操り人形操作ユニットを提供する。
【解決手段】複数のパーツを有する糸操り人形15と、各パーツに一端が繋がれた複数の操り糸6と、操作時に糸操り人形15の上方に配置されるボード13と、一端が直接的または間接的にボードに接続され、内部に複数の操り糸6を通す空間を備える弾性部材9と、先端が弾性部材9の他端に連接され、複数の操り糸6を内通するとともに、中間の側面に形成された導出部8aから操り糸6を導出する長尺部材8と、長尺部材8の後端側に設けられ、回動又は直動自在に支持された複数の操作レバー1a,1b,1cを有し、複数の操り糸6の他端が各操作レバーに個別に繋がれてなる操作部1とを備えた糸操り人形操作ユニット。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4