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特許7338033非対称の螺旋状プロファイルを有するねじ接続部
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-25
(45)【発行日】2023-09-04
(54)【発明の名称】非対称の螺旋状プロファイルを有するねじ接続部
(51)【国際特許分類】
   F16L 15/06 20060101AFI20230828BHJP
   F16L 15/04 20060101ALI20230828BHJP
   E21B 17/042 20060101ALI20230828BHJP
【FI】
F16L15/06
F16L15/04 A
E21B17/042
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2022503588
(86)(22)【出願日】2020-07-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-20
(86)【国際出願番号】 EP2020069948
(87)【国際公開番号】W WO2021013645
(87)【国際公開日】2021-01-28
【審査請求日】2022-03-15
(31)【優先権主張番号】1908204
(32)【優先日】2019-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】504255249
【氏名又は名称】ヴァルレック オイル アンド ガス フランス
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フローニュ,アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】マルタン,ピエール
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-061780(JP,A)
【文献】特開昭60-157583(JP,A)
【文献】特開2001-199469(JP,A)
【文献】中国実用新案第203188922(CN,U)
【文献】特開2001-056075(JP,A)
【文献】国際公開第2019/076622(WO,A1)
【文献】特表2013-511672(JP,A)
【文献】特表2017-537279(JP,A)
【文献】特表2012-512347(JP,A)
【文献】特表2010-531418(JP,A)
【文献】特表2002-524711(JP,A)
【文献】特表平10-504880(JP,A)
【文献】特表平09-507100(JP,A)
【文献】米国特許第09593786(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 15/06
F16L 15/04
E21B 17/042
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素井の掘削および/または開発のための管状ねじ接続部であって、
第1の遠位端部において雄側ツール接合部(18)を有する第1の管(12)と、第2の遠位端部において雌側ツール接合部(16)を有する第2の管(14)と、を備え、
前記雄側ツール接合部(18)は、前記雌側ツール接合部(16)へのねじ込みによって組み付け可能であり、
前記第1の管(12)は、前記第2の管(14)に組み付けられて、前記第2の管と共に長手方向軸を画定し、
前記雄側ツール接合部(18)は、雄ねじ部分(18a,18b)を備え、
前記雌側ツール接合部(16)は、前記接続部が組み立てられたときに前記雄ねじ部分と係合する雌ねじ部分(16a,16b)を備え、
前記雄ねじ部分および前記雌ねじ部分の各々は、ロードフランクと、ねじ山頂と、スタブフランクと、ねじ谷底と、を有する少なくとも1つの螺旋部を備え、これにより、前記雄ねじ部分の前記ロードフランクのピッチLFLpおよび前記スタブフランクのピッチSFLp、ならびに対応する前記雌ねじ部分の前記ロードフランクのピッチLFLbおよび前記スタブフランクのピッチSFLbは、前記雄ねじ部分および前記雌ねじ部分のそれぞれの前記螺旋部の連続する少なくとも2つのターンにおいて、次式の条件
【数1】
を満たし、
前記連続する少なくとも2つのターンにおいて、前記長手方向軸に沿って、前記雄ねじ部分(18a,18b)の前記螺旋部の歯の幅(Wtp)、および対応する前記雌ねじ部分(16a,16b)の前記螺旋部の歯の幅(Wtb)は、次式
【数2】
または次式
【数3】
および次式
【数4】
を満たし、
前記スタブフランクの一部は、前記ロードフランクの一部と平行であり、前記長手方向軸に対する前記スタブフランクの一部および前記ロードフランクの一部の傾斜の公差は、±0.25°である、
管状ねじ接続部。
【請求項2】
次式の数学的条件
【数5】
を満たすことを特徴とする、
請求項1に記載の管状ねじ接続部。
【請求項3】
次式の数学的条件
【数6】
を満たすことを特徴とする、
請求項1または2に記載の管状ねじ接続部。
【請求項4】
前記雄ねじ部分(18a,18b)の前記螺旋部の前記歯の幅(Wtp)は、2.5mm~3.5mmの範囲であることを特徴とする、
請求項1~3のいずれか1項に記載の管状ねじ接続部。
【請求項5】
前記雌ねじ部分(16a,16b)の前記螺旋部の前記歯の幅(Wtb)は、3.7mm~4.5mmの範囲であることを特徴とする、
請求項1~4のいずれか1項に記載の管状ねじ接続部。
【請求項6】
前記雄ねじ部分(18a,18b)および対応する前記雌ねじ部分(16a,16b)の前記螺旋部の前記歯の幅(Wtp,Wtb)は、前記螺旋部の連続する少なくとも2つのターンにおいて、次式の条件
【数7】
を満たすことを特徴とする、
請求項1~5のいずれか1項に記載の管状ねじ接続部。
【請求項7】
前記雄ねじ部分(18a,18b)および対応する前記雌ねじ部分(16a,16b)の完全な前記螺旋部の前記歯の幅は、次の条件を満たす:各ターン(n)に対する前記雄ねじ山の歯の幅(Wtpn)および前記雌ねじ山の歯の幅(Wtbn)は、各nについて、次式
【数8】
を満たすことを特徴とする、
請求項1~6のいずれか1項に記載の管状ねじ接続部。
【請求項8】
前記雄ねじ部分(18a,18b)の前記螺旋部の前記スタブフランクおよび前記ロードフランクの各々は、直線状であり、移行部(62,64,66,68)を介して、隣接する前記ねじ山頂(60)および前記ねじ谷底(61)にそれぞれ接続されることを特徴とする、
請求項1~のいずれか1項に記載の管状ねじ接続部。
【請求項9】
前記雌ねじ部分の前記螺旋部の前記スタブフランク(SFb)は、凸部が設けられるように、前記スタブフランクに対して傾斜したセグメントを介して前記ねじ山頂(80)に接続された直線状のセグメントを備え、これにより、2つの前記セグメントの間には、190°~260°の範囲、例えば225°程度の鈍角(86d)が形成されることを特徴とする、
請求項1~のいずれか1項に記載の管状ねじ接続部。
【請求項10】
前記雄ねじ部分(18a,18b)の前記螺旋部の前記ねじ谷底(61)は、前記スタブフランクの側に位置する第1の雄ねじ谷底セグメント(61a)と、前記ロードフランクの側に位置する第2の雄ねじ谷底セグメント(61b)とを備え、これにより、前記第1の雄ねじ谷底セグメントの半径方向距離は、前記第2の雄ねじ谷底セグメントの半径方向距離以上になり、前記半径方向距離は、前記雄ねじ部分の前記螺旋部の前記ねじ谷底(61)に隣接するねじ山頂(6a)を基準に評価されることを特徴とする、
請求項1~のいずれか1項に記載の管状ねじ接続部。
【請求項11】
前記雄ねじ部分(18a,18b)の前記螺旋部の前記ロードフランクは、前記長手方向軸に対する法線に対して1°~5°の範囲、好ましくは1.25°~3.75°の範囲の角度を形成し、前記雌ねじ部分(16a,16b)の前記螺旋部の前記ロードフランクと平行であり、前記長手方向軸に対する前記ロードフランクの傾斜の公差は、±0.25°であることを特徴とする、
請求項1~10のいずれか1項に記載の管状ねじ接続部。
【請求項12】
前記雄ねじ部分(18a,18b)の前記螺旋部の前記ロードフランクは、前記螺旋部の隣接するねじ谷底と90°以下の角度を形成することを特徴とする、
請求項1~11のいずれか1項に記載の管状ねじ接続部。
【請求項13】
前記雌ねじ部分(16a,16b)の前記螺旋部は、円錐台状であり、好ましくは専用の円錐台状であり、例えば5%~15%の範囲、好ましくは8%~12%の範囲のテーパを有することを特徴とする、
請求項1~12のいずれか1項に記載の管状ねじ接続部。
【請求項14】
前記雄ねじ部分(18a,18b)の前記螺旋部は、前記雌ねじ部分(16a,16b)の前記螺旋部のテーパと同一のテーパを有する少なくとも円錐台状部分を備えることを特徴とする、
請求項1~13のいずれか1項に記載の管状ねじ接続部。
【請求項15】
前記ロードフランクのピッチLFLpおよび前記スタブフランクのピッチSFLpは、5mm~20mmの範囲であり、好ましくは6mm~8mmの範囲であることを特徴とする、
請求項1~14のいずれか1項に記載の管状ねじ接続部。
【請求項16】
前記雄ねじ部分(18a,18b)および対応する前記雌ねじ部分(16a,16b)の各々は、単一の螺旋部を備えることを特徴とする、
請求項1~15のいずれか1項に記載の管状ねじ接続部。
【請求項17】
前記雄ねじ部分(18a,18b)および対応する前記雌ねじ部分(16a,16b)の螺旋部の各々は、少なくとも3つのターンを有し、好ましくは少なくとも4つのターンを有することを特徴とする、
請求項1~16のいずれか1項に記載の管状ねじ接続部。
【請求項18】
前記雄ねじ部分および前記雌ねじ部分のそれぞれの前記ねじ山頂および前記ねじ谷底は、前記ねじ部分のテーパよりも小さいテーパを有し、例えば、前記ねじ山頂および前記ねじ谷底は、前記長手方向軸に平行であることを特徴とする、
請求項1~17のいずれか1項に記載の管状ねじ接続部。
【請求項19】
前記雄ねじ部分(18a,18b)の前記スタブフランクの半径方向高さは、前記雄ねじ部分の前記ロードフランクの半径方向高さよりも大きいことを特徴とする、
請求項1~18のいずれか1項に記載の管状ねじ接続部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ねじによって接続されるように意図された管の接続部または組立体に関し、関連する産業において使用される管に関し、より詳細には、油井またはガス井を探査、探鉱または開発するためのチュービングストリングまたは生産用チュービング付属品またはケーシングストリングを具備するように意図されたねじ付き組立体または結合部、さらに、例えば地熱エネルギー産業または蒸気生産においてパイプラインやチュービング付属品を組み立てることを必要とするあらゆる用途に使用されるねじ付き組立体または結合部に関する。本発明によるねじ付き組立体は、後述するように、油井またはガス井のケーシングに使用される金属管の組み立てに特に有用である。
【背景技術】
【0002】
本明細書において、「組み立て(組み付け)」、「接続」、「結合」または「接合」という用語は、特定の文脈を除いて同じ意味で使用される。「管」とは、当該産業に存在する、または当該産業での利用に適したあらゆるタイプの管、管状要素またはチュービング付属品を意味する。これらの管は、一般に金属管である。特に、これらの管は、API仕様書5CTに定義されるような鋼、またはISO規格11960:2004に準拠する鋼から得られるシームレス管(継目無菅)である。好ましくは、本発明による接続は、例えば862MPa~965MPa(125ksi~140ksi)の範囲のグレードの鋼などの高容量の破壊強度を有する材料から作製された管の間で得られる。
【0003】
石油管またはガス管のための組立体には、過酷な使用環境下であっても機械的特性や気密性の観点から満足のいく結果が得られる数多くのタイプのものが知られている。これらの組立体の一部には、対応する2つの円錐台状の雌ねじ山を有するカップリングによって、円錐台状の雄ねじ山を有する管が2つの端部において組み付けられるものがある。この組み付け方法は、雄ねじ山と雌ねじ山との間に生じ得る正の干渉によって、組立体の2つの構成要素が剛直になるという利点を有する。これは、T&C接続とも呼ばれる、ねじで結合された接続方法である。
【0004】
しかしながら、これらのカップリングの外径は、対応する管の外径よりも大きいため、このような組立体をケーシング管に使用する場合、直径を大きくした掘削孔を形成する必要がある。深さが4000mを超えるような非常に深い坑井の場合、ケーシングを坑井内により深く降ろす必要があり、これには、米国特許第2992019号、欧州特許第0767335号または米国特許出願第2013/0015657号に記載されているように、カップリングを有さない組立体が好ましいことが知られている。この場合、管の各々は、雄側ツール接合部を有する第1の端部と、雌側ツール接合部を有する第2の端部と、を含む。管は、雄側ツール接合部と雌側ツール接合部との間の接続によって、端部から端部に組み付けられる。このような組立体は、「一体型」として示されている。
【0005】
内部および外部の圧力への耐性に対する要求の増加に対応するために、中間当接部の両側に千鳥状に設けられた2つのねじ部分を有する一体型の接続部が米国特許第4662659号から知られている。ここでは、中間当接部は、圧力への耐性を増大させるために負の角度を有するように設計されている。また、この文献では、中間当接部の一方の側、または中間当接部の両側において、円錐面の間の半径方向の干渉によるシール領域が設けられることが記載されている。そのテーパ角度は、角度γによって互いに対してわずかに変化している。この文献によれば、シールは、中間当接部に近接して、2つのねじ部分の間の中央にのみ設けられている。米国特許出願第20190040978号は、米国特許第4662659号に対する代替案を提案している。ここでは、中間当接部の両側にあるこれらのシールの特定の形状が規定され、ねじ山の形状が変化しており、アリ継ぎ式プロファイルを有するねじ山が選択されている。
【0006】
また、中間当接部の両側において千鳥状に設けられた2つのねじ部分を有する別の接続部が、米国特許出願第20170101830号から知られている。この文献によれば、ねじ部分とこの中間当接部との間にシールが設けられている。そのシールの定義によって、中間当接部の性能と能力が低下するので、この文献には、雄側ツール接合部の遠位端部のレベルに追加の当接面を設けることが記載されている。代替的に、他の文献では、圧縮時の中間当接部の性能の低下を補うために、ねじ山を変化させることが提案されている。このような代替のねじ山は、「アリ継ぎ式」ねじ山と呼ばれ、ねじ部分のロック結合を得るようにねじ込まれる。このために、ロードフランクとスタブフランクとで異なるピッチ値を有するねじ部分が提案されている。これにより、このねじ山の螺旋部は、一端から他端まで、螺旋部のターンに応じて徐々に増加する歯の幅を有し、この螺旋部の先端部の間に画定された窪みは、同じ方向に沿って減少している。このようにして、スタブフランクの間で接触が得られるまで、また、ロードフランクの間で接触が得られるまで、ねじ部分のねじ込みが行われる。「自動ロック式くさび型ねじ」とも呼ばれるこのタイプの接続部は、非常に効果的であるが、機械加工とその組み立ての際の使いこなしが非常に困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
様々な解決策が既に知られているにもかかわらず、石油管やガス管の分野に固有の機械加工と組立公差を許容しながら、内部圧力と外部圧力のサイクルに対する耐性や、牽引時や圧縮時における公差に関する性能を達成する、非常に深い坑井のためのケーシングを形成するのに適した一体型の接続部の機械加工を容易にする必要性がまだある。実際、組み付け用のグリースを接合部に塗布する方法が、接続を成功させるための主要因であることが明らかになった。本発明によるねじ接続部によって、ある程度の量のグリースを塗布する瞬間における取り扱いのばらつきを、より良好に許容することができる。
【0008】
本発明の利点は、スリーブ式カップリングの技術的要求に近い要求に応え、管の有効性に近い有効性を有することを可能にする、一体型の接続部を提供することである。特に、本発明による接続部は、管の有効性の96%に等しい有効性を有することができる。有効性とは、一般に、接続部の臨界部と、構成要素の両端の間にある管の規則的な部分の断面との関係であると定義される。接続部の臨界部は、雄側ツール接合部または雌側ツール接合部の最小臨海部に等しい。
【0009】
好ましくは、本発明は、大径を有するねじ接続部、特に外径が177.8mm(7インチ)超の管、好ましくは254mm(10インチ)超の管、例えば406.4mm(16インチ)超の管に適用される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、これらの点で関連して、より良好な接着性を有する接続部を提供する。
【0011】
本発明の主題は、炭化水素井の掘削および/または開発のための管状ねじ接続部に関する。該接続部は、第1の遠位端部において雄側ツール接合部を有する第1の管と、第2の遠位端部において雌側ツール接合部を有する第2の管と、を備える。雄側ツール接合部は、雌側ツール接合部へのねじ込みによって組み付け可能である。第1の管は、第2の管に組み付けられて、第2の管と共に長手方向軸を画定する。雄側ツール接合部は、雄ねじ部分を備え、雌側ツール接合部は、接続部が組み立てられたときに雄ねじ部分と係合する雌ねじ部分を備える。雄ねじ部分および雌ねじ部分の各々は、ロードフランクと、ねじ山頂と、スタブフランクと、ねじ谷底と、を有する少なくとも1つの螺旋部を備える。これにより、雄ねじ部分のロードフランクのピッチLFLpおよびスタブフランクのピッチSFLp、ならびに対応する雌ねじ部分のロードフランクのピッチLFLbおよびスタブフランクのピッチSFLbは、雄ねじ部分および雌ねじ部分のそれぞれの螺旋部の連続する少なくとも2つのターンについて、次式の条件
【数1】
を満たすことができる。また、その連続する少なくとも2つのターンにおいて、長手方向軸に沿って、雄ねじ部分の螺旋部の歯の幅(Wtp)、および対応する雌ねじ部分の螺旋部の歯の幅(Wtb)は、次式
【数2】
または次式
【数3】
および次式
【数4】
を満たすようになっている。好ましくは、接続部は、次式の条件
【数5】
または次式の条件
【数6】
を満たすことができる。
【0012】
雄ねじ部分の螺旋部の歯の幅は、2.5mm~3.5mmの範囲であり得る。また、例えば、雌ねじ部分の螺旋部の歯の幅は、3.7mm~4.5mmの範囲であり得る。
【0013】
好ましくは、雄ねじ部分および対応する雌ねじ部分の螺旋部の歯の幅は、これらの螺旋部の連続する少なくとも2つのターンにおいて、次式の条件
【数7】
を満たすことができる。これにより、これらの少なくとも2つのターンは、自動ロック式ではないようになっている。
【0014】
雄ねじ部分および対応する雌ねじ部分の完全な螺旋部の歯の幅は、次の条件を満たすことができる:各ターン(n)に対する雄ねじ山の歯の幅(Wtpn)および雌ねじ山の歯の幅(Wtbn)は、各nについて、次式
【数8】
を満たすようになっている。
【0015】
有利には、スタブフランクの一部は、ロードフランクの一部と平行であり得る。ここで、長手方向軸に対するこれらの部分の傾斜の公差は、±0.25°である。このように、スタブフランクは、圧縮負荷に対応することができる。
【0016】
雄ねじ部分の螺旋部のスタブフランクおよびロードフランクの各々は、直線状であり得、移行部を介して、隣接するねじ山頂およびねじ谷底にそれぞれ接続することができる。また、この場合、雌ねじ部分の螺旋部のスタブフランクは、凸部が設けられるように、スタブフランクに対して傾斜したセグメントを介してねじ山頂に接続された直線状のセグメントを有することができる。これにより、2つのセグメントの間には、190°~260°の範囲、例えば225°程度の鈍角(86d)が形成される。この凸部によって、ねじ谷底61の一部と凹状湾曲移行部62との接触がないことを保証することができる。
【0017】
雄ねじ部分の螺旋部のねじ谷底は、スタブフランク側に位置する第1の雄ねじ谷底セグメントと、ロードフランク側に位置する第2の雄ねじ谷底セグメントの2つのセグメントを備えることができる。これにより、第1の雄ねじ谷底セグメントの半径方向距離は、第2の雄ねじ谷底セグメントの半径方向距離と同じかそれ以上となる。半径方向距離は、雄ねじ部分の螺旋部のねじ谷底に隣接するねじ山頂を基準に評価される。
【0018】
雄ねじ部分の螺旋部のロードフランクは、長手方向軸の法線に対して1°~5°の範囲、好ましくは1.25°~3.75°の範囲の角度を形成することができ、雌ねじ部分の螺旋部のロードフランクと平行であり、長手方向軸に対するこれらのロードフランクの傾斜の公差は、±0.25°である。
【0019】
特に、雄ねじ部分の螺旋部のロードフランクは、この螺旋部の隣接するねじ谷底と90°以下の角度を形成することができる。
【0020】
例えば、雌ねじ部分の螺旋部は、円錐台状であり得、好ましくは専用の円錐台状であり得、例えば5%~15%の範囲、好ましくは8%~12%の範囲のテーパ角度を有することができる。この場合、雄ねじ部分の螺旋部は、雌ねじ部分の螺旋部のテーパと同一のテーパを有する少なくとも円錐台状部分を有することができる。
【0021】
本発明の特定の実施形態によれば、ロードフランクのピッチLFLpおよびスタブフランクのピッチSFLpは、5mm~20mmの範囲であり得、6mm~8mmの範囲であり得る。
【0022】
本発明の好ましい実施形態において、雄ねじ部分および対応する雌ねじ部分の各々は、単一の螺旋部を備えることができる。この場合、雄ねじ部分の螺旋部および対応する雌ねじ部分の螺旋部は、少なくとも3つのターンを有することができ、好ましくは少なくとも4つのターンを有することができる。
【0023】
組み立てを容易にするために、雄ねじ部分および雌ねじ部分のねじ山頂およびねじ谷底は、ねじ部分のテーパよりも小さいテーパを有することができ、例えば、接続部の長手方向軸と平行にすることができる。この場合、雄ねじ部分のスタブフランクの半径方向高さを、その雄ねじ部分のロードフランクの半径方向高さよりも大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明のその他の特徴および利点は、添付の図面を参照する以下の詳細な説明より明確になるであろう。
図1】本発明による第1の管の外部プロファイル図である。
図2】本発明による第2の管の断面図である。
図3図1に示す第1の管の雄側ツール接合部の部分断面図である。
図4図2に示す第2の管の雌側ツール接合部の部分断面図である。
図5図1に示す第1の管の雄側ツール接合部を、図2に示す第2の管の雌側ツール接合部に組み付けた状態を示す部分断面図であり、組み付け後に接続部の内部に到達した応力レベルも示している。
図6】本発明による雌側ツール接合部のねじ山のない雌側中間部分の部分断面図である。
図7】本発明による雄側ツール接合部のねじ山のない雄側中間部分の部分断面図である。
図8】本発明による雌側ツール接合部のねじ山のない雌側内側部分の部分断面図である。
図9】本発明による雄側ツール接合部のねじ山のない雄側内側部分の部分断面図である。
図10】本発明による雄側ツール接合部の雄ねじ部分の部分断面図である。
図11図10に示す雄ねじ部分の歯の部分断面図である。
図12】本発明による雌側ツール接合部の雌ねじ部分の部分断面図である。
図13図12に示す雌ねじ部分の歯の部分断面図である。
図14図10に示す雄ねじ部分を、図12に示す雌ねじ部分に組み付けた状態を示す部分断面図である。
図15】本発明による雌側ツール接合部の雌ねじ部分に形成された、グリースの余剰圧力を排出するための溝の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1に示すように、第1の管12は、管本体120を備える。この第1の管12は、軸方向に数メートルの長さを有し、例えば10m~15m程度の長さを有し、長手方向軸Xに沿って延在する。第1の管12は、第1の管12の軸方向の第1の端部121において、雄側ツール接合部18を備える。管本体120は、一般に公称外径とされる外径を有する。第1の管は、軸方向の第1の端部121の反対側において、軸方向の第2の端部122を有する。この軸方向の第2の端部122は、管本体120の外径よりも大きい外径を有する。
【0026】
図2は、第1の管12と同一の第2の管14の断面図である。この第2の管14は、軸方向の第1の端部141において雄側ツール接合部と、軸方向の第2の端部142において雌側ツール接合部16と、を有する管本体140を備える。雄側ツール接合部は、軸方向の第1の端部121の外面に機械加工される。軸方向の第2の端部142は、管本体140の外径よりも大きい外径を有する。雌側ツール接合部は、この第2の端部の内面に機械加工される。
【0027】
以下、第2の管14の雌側ツール接合部16と第1の管12のツール接合部18との間に形成された接続部について説明する。例えば、図5は、本発明による接続部を示す。この接続部は、形成された接続部のレベルにおける外径が、管本体120,140の外径の105%未満、あるいは103%未満である限り、部分的に同一平面のものであると言える。本発明は、同一平面にすることができる接続部、すなわち、接続部のレベルにおける外径が公称外径ODnomの101%未満である接続部に適用される。
【0028】
上述した実施例において、第1の管12および第2の管14は同一であり、その各々は、それぞれの第1の端部121および141において雄側ツール接合部18を備え、それぞれの第2の端部122および142において雌側ツール接合部16を備える。
【0029】
雄側ツール接合部18を機械加工する前に、第1の遠位端部121,141は、テーパ加工される。テーパ加工によって、管本体と第1の端部との間の移行部を形成する狭小部13から、第1の端部121,141の内径が減少する。好ましくは、第1の端部の内径は、管本体の公称内径に対して制限される。これにより、接続部の組み立て後には、接続部のレベルにおける内径は、公称内径の94%よりも大きくなる。第1の端部121,141は、自由縁部19と管本体との間に延在する。雄側ツール接合部18をもつこの第1の端部は、自由縁部19と管本体との間で、20cm~30cm程度の特定の軸方向長さを示すようになっている。
【0030】
同様に、第2の遠位端部122,142のレベルにおける雌側ツール接合部16を機械加工する前に、第2の端部は、径方向に拡張される。図1および図2に示すように、軸方向の第2の端部122,142の自由縁部17から距離をおいて、径方向への拡張15が生じる。これにより、軸方向の第2の端部122,142は、自由縁部17と管本体との間で、20cm~30cm程度の特定の軸方向長さを示すようになっている。
【0031】
雄側ツール接合部18は、2つのねじ部分18aおよび18bを備える。これらの2つのねじ部分は、軸Xに沿って、2つの連続した部分に沿って延在し、ねじ山のない中間部分20によって互いから離間している。雄ねじ部分18aおよび18bは、軸Xに対して半径方向にオフセットされている。実際、雄側ツール接合部18は、ねじ山のない中間部分20において、雄側当接ショルダ22を備える。雄側中間当接部22は、軸Xに垂直な平面において、環状面を画定する。好ましくは、雄ねじ部分18aおよび18bの各々は、単一の螺旋部を形成する単一の先端部を備える。好ましくは、ねじ部分のそれぞれの螺旋部のピッチは、同一である。
【0032】
自由縁部19と第1のねじ部分18aとの間において、ねじ山のない雄側内側部分30は、内側シール面25を有する。
【0033】
雄側中間当接部22と第2の雄ねじ部分18bとの間において、ねじ山のない雄側中間部分20は、中間シール面26を有する。
【0034】
雌側ツール接合部16は、2つのねじ部分16aおよび16bを備える。これらの2つのねじ部分は、軸Xに沿って、2つの連続した部分に沿って延在し、ねじ山のない中間部分21によって互いから離間している。雌ねじ部分16aおよび16bは、軸Xに対して半径方向にオフセットされている。実際、雌側ツール接合部16は、ねじ山のない中間部分21において、中間当接ショルダ24を備える。雌側中間当接部24は、軸Xに垂直な平面において、環状面を画定する。好ましくは、雄ねじ部分18aおよび18bの各々は、単一の螺旋部を形成する単一の先端部を備える。好ましくは、雄ねじ部分および雌ねじ部分のそれぞれの螺旋部のピッチは、同一である。
【0035】
管本体14と第1のねじ部分16aとの間において、雌側ツール接合部16は、内側シール面27を有するねじ山のない雌側内側部分31を備える。
【0036】
中間当接面24と第2の雌ねじ部分16bとの間において、ねじ山のない雌側中間部分21は、中間シール面29を有する。
【0037】
図5に示す接続部の組み付け位置において、
・ 雌側ツール接合部16からの自由縁部19の軸方向距離「d」は、ゼロではなく、例えば0.1mm超であり、
・ 第1の雄ねじ部分18aの螺旋部は、第1の雌ねじ部分16aの螺旋部と係合しており、
・ 第2の雄ねじ部分18bの螺旋部は、第2の雌ねじ部分16bの螺旋部と係合しており、
・ 雄側中間当接部22は、雌側中間当接部24に当接し、
・ 雄側内側シール面25は、雌側内側シール面26と半径方向に干渉および接触して、接続部を内部圧力負荷から保護する金属対金属の内側シールを形成し、
・ 雄側中間シール面27は、雌側中間シール面28と半径方向に干渉および接触して、接続部を外部圧力負荷から保護する金属対金属の中間シールを形成し、
・ 雄側ツール接合部からの雌側ツール接合部の自由縁部17の軸方向距離は、ゼロではない。
【0038】
本発明による接続部は、中間当接部22と24との間の接触によって得られる、軸Xに直交する単一の軸方向当接部を備える。その主な機能は、接続部のねじ込みの終了を示すことである。
【0039】
これらの中間当接部22および24と接触する面の半径方向厚さは、管120または140の断面の20%未満である。この断面は、ODnomとIDnomとの間で画定される。雄側ツール接合部および雌側ツール接合部を機械加工することで、API規格で設定された仕様の公差に適合する寸法ODnomおよびIDnomを有する管を使用することができる製造公差が得られる。中間当接部によって、接続部の圧縮応力の一部を吸収することができるが、その寸法によって、圧縮負荷のすべてを吸収することはしない。
【0040】
金属対金属の内側シールの両側において、ねじ山のない雄側内側部分30は、ねじ山のない雌側内側部分31から、ゼロではない半径方向距離にある。金属対金属の内側シールは、このねじ山のない内側領域30,31の縁部から距離をおいて形成される。
【0041】
金属対金属の中間シールのために得られた接触点のレベルと、当接ショルダ22および24の当接部のために得られた接触点のレベルを除いて、ねじ山のない雄側中間部分20は、ねじ山のない雌側内側部分21からゼロではない半径方向距離にある。金属対金属の中間シールは、このねじ山のない中間領域20,21の縁部から距離をおいて形成される。
【0042】
図2に示すように、金属対金属の内側シールは、中間シールよりも多くの応力を受ける。中間シールは、外部圧力の応力下での気密性を確保するために有用である。したがって、第2のねじ部分と中間当接部との間における中間シールの厚さは、そのシール面のレベルにおける雄側ツール接合部18および雌側ツール接合部16の厚さを有する。これにより、特に、高い引張負荷の下で高い接触安定性を提供することができ、面同士が分離しない。
【0043】
より詳細には、本発明の一実施形態によれば、中間シールは、図6および図7に示すように円錐対円錐型のシールである。雄側中間シール面27および雌側中間シール面28は、同一のテーパを有する円錐台状の形状を有する。代替的に、これらの面27および28は、一方のテーパが他方のテーパの+1%~-1%の範囲であるという意味で、実質的に同一のテーパを有することができる。例えば、これらの面27および28のテーパは、15%~25%の範囲であり、例えば、20%±1%に等しいか、両方20%に等しい。
【0044】
雄側中間シール面27は、凹凸状湾曲部32を介して一方の側が第2のねじ部分18bに隣接する円筒面33に接続され、別の凹凸状湾曲部34を介して他方の側が雄側当接ショルダ22に隣接する別の円筒面35に接続される。円筒面35は、移行部36を介して、雄側当接ショルダ22に接続される。凹凸状湾曲部32および34は、雄側中間シール面27に隣接する側が凸状であり、隣接する円筒面にそれぞれ接続するときに凹状になるように配置される。実際、凹凸状湾曲部32および34は、ねじ部分18bに隣接する円筒面33のレベルにおける外径が、雄側当接部22に隣接する円筒面35の外径よりも大きくなるようになっている。
【0045】
同様に、雌側中間シール面28は、凹凸状湾曲部37を介して一方の側が第2の雌ねじ部分16bに隣接する円筒面38に接続され、別の凹凸状湾曲部39を介して他方の側が雌側当接ショルダ24に隣接する別の円筒面40に接続される。凹凸状湾曲部37および39は、雌側中間シール面28に隣接する側が凸状であり、隣接する円筒面にそれぞれ接続するときに凹状になるように配置される。実際、凹凸状湾曲部37および39は、雌ねじ部分14bに隣接する円筒面38のレベルにおける内径が、雌側当接部24に隣接する円筒面40の内径よりも大きくなるようになっている。
【0046】
凹凸状面32,34,37および39は、接線方向に接続される。凹凸状面32,34,37および39は、互いに接線方向に接続された湾曲部を備え、その湾曲半径は、3mm~30mmの範囲である。
【0047】
より詳細には、円筒面40は、凹状移行部41を介して、雌側当接ショルダ24に接続される。凹状移行部41は、1mm未満の湾曲半径で接線方向に接続された円錐台状部分を有する。雌側当接ショルダ24の近傍で応力が集中しないようにするために、凹状移行部41の湾曲半径は、雌側当接ショルダ42に接している。
【0048】
雄側当接ショルダ22の近傍で応力が集中しないようにするために、雄側当接ショルダは、大きな半径を有する凹状移行部42を介して、第1の雄ねじ部分18aの端部に隣接する円筒面43に接続される。
【0049】
同様に、雌側当接ショルダ24は、移行部44を介して、第1の雌ねじ部分16aの隣接する円筒面45に接続される。実際、雄ねじ部分および雌ねじ部分が機械加工によってそれぞれ得られることを考慮して、円筒面45は、第1の雌ねじ部分16aのねじ山を機械加工するためのツールを取り出すための円筒状の底部を有する溝46に隣接している。円筒状の底部を有する円筒状底部溝46は、円筒面45の内径よりも大きい内径を画定する。溝46は、円筒面45に繋がる円錐台状面を有する。
【0050】
より詳細には、本発明の一実施形態によれば、内側シールは、図8および図9に示すように円環対円錐型のシールである。本実施例において、雄側内側シール面25は、円錐台状であり、雌側内側シール面26は、円環状である。図8において、雌側内側シール面26は、接線方向に互いに隣接する複数の凸状の湾曲部から得られる曲線部である。一実施例において、隣接する2つの湾曲部R1およびR2が設けられる。湾曲部R1は、湾曲部R2よりも管本体140に近くにあり、半径R1は、半径R2よりも小さい。好ましくは、半径R1およびR2は、30mmよりも大きい。この円環状の雌側内側シール面26は、管本体140の側において、半径R1およびR2よりも少なくとも3倍小さい半径を有する湾曲部48を介して、円筒面47に接続される。シール面26は、反対側において、一方が円筒面50に接線方向に接続され、他方がシール面26に接続された凹凸状面を介して、第1の雌ねじ部分16aの隣接する円筒面50に接続される。
【0051】
雌側内側シール面26と接触するために、雄側内側シール面25は、10%~20%の範囲のテーパを有する円錐台状部分を備える。雄側ツール接合部12の内周のレベルにおいて、雄側ツール接合部の内面51は、面取りされている。これにより、ねじ山のない内側部分30の厚さが小さくなり、内側シールが、内側シール面25と自由端部19との間に画定されたシールリングの内部のたわみを生じさせても、雄側ツール接合部18は、接続ドリフト径と呼ばれる内側の通路径を実質的に変化させない。
【0052】
雄側内側シール面25は、大きい湾曲半径を有する凸状面52に接線方向に接続される。凸状面52は、界面53を介して、軸Xに対して垂直方向に画定される自由縁部19に接続される。自由縁部19の反対側において、雄側シール面は、第1の雄ねじ部分18aのねじ山の開始点の上流側の円筒面54に接線方向に接続される。この円筒面54によって、ねじ山を機械加工するためのツールを使用することができる。
【0053】
主半径R2は、内側シールの上方の雌側ツール接合部16の応力と塑性変形を克服するように決定される。したがって、この半径R2は、接触圧力が非常に高い負荷に対して気密性を制御するように意図されている。接触圧力がより緩やかになると、雄側ツール接合部のシールリングのたわみもより緩やかになり、密封点の位置が管本体140の内側に向けて移動する。このため、半径R2の値は必要なくなる。したがって、これらの動作点には、半径R2よりも小さい半径R1が使用される。軸Xに沿ったシール面の半径方向厚さは、この雌側内側シール面26を機械加工するために、より小さい厚さを使用することができるようになっている。したがって、雌側ツール接合部の機械加工は、その外径にかかわらず、管に対して行うことができ、管の所与の厚さに対する雌側ツール接合部の有効性を自動的に向上させる。また、湾曲部48によって、雌側ツール接合部を機械加工する際に必要な材料の厚さの量を削減して、管の所与の厚さに対する接続部有効性を向上させることができる。
【0054】
ねじ込み時には、雄側内側シール面25が湾曲部分R2と最初に接触する。この第1の接触は、荒々しい可能性があるため、R2の値を増加させることで、かじりのリスクを抑えることができる。接触が確立されると、雄側内側シール面25と湾曲部分R1との接触を移動させることで、残りの部分のねじ込みが完了する。雌側内側シール面26のこの特定の構成によって、本発明による接続部の性能と、接続部が耐えることができるねじ込み解除の回数を改善することができる。
【0055】
以下、ねじ山について説明する。
【0056】
図1図9に示す実施形態において、雄ねじ部分18a,18bおよび雌ねじ部分16a,16bの各々は、単一の螺旋部を備える。
【0057】
しかしながら、本発明の範囲内にある変形例では、雄ねじ部分とその相補的なねじ部分は、2つよりも多くの螺旋部を同じ数だけ備えることができる。
【0058】
螺旋部は、螺旋状の突起によって画定される。螺旋部は、ロードフランクと、ねじ山頂と、スタブフランクと、ねじ谷底と、を有する。ねじ谷底は、ねじ山頂と同様に、ロードフランクとスタブフランクとの間に画定され、これにより、
・ 雄側ツール接合部18がもつ螺旋部では、半径方向において、ねじ谷底がねじ山頂よりも長手方向軸Xに近くにあり、
・ 雌側ツール接合部16がもつ螺旋部では、半径方向において、この螺旋部のねじ谷底がねじ山頂よりも長手方向軸Xから離れている。
【0059】
この螺旋状の突起の断面プロファイルは、ロードフランクとスタブフランクとの間にねじ山頂が軸方向に延在する限り、実質的に台形状であると言える。
【0060】
図10は、第1の雄ねじ部分18aおよび第2の雄ねじ部分18bの螺旋部の2つのターンにおける円錐台状部分74を示す。螺旋部について以下に記載する構造は、以下に定める寸法、形状および比率を維持しながら、少なくとも数ターンにわたって、また、少なくとも3ターンにわたって再現される。
【0061】
雄ねじ部分の螺旋部は、ロードフランクLFpと、ねじ山頂60と、スタブフランクSFpと、ねじ谷底61と、を有する。山頂60および谷底61は、長手方向軸Xに平行なセグメントを形成する。ねじ谷底61は、凹状湾曲移行部62を介して、スタブフランクSFpに接続される。凹状湾曲移行部62は、ねじ谷底61とスタブフランクSFpとが90°よりも大きい角度を形成するようになっている。スタブフランクSFpは、直線状であり、長手方向軸Xに対する法線Nに対して角度63を形成する。ねじ谷底61は、第2の凹状湾曲移行部64を介して、このねじ谷底61がスタブフランクSFpに接続されている端部とは反対側の端部において、ロードフランクLFpに接続される。第2の凹状湾曲移行部64は、ねじ谷底61とロードフランクLFpとが90°未満の角度を形成するようになっている。ロードフランクLFpは、直線状であり、長手方向軸Xに対する法線Nに対して角度65を形成する。
【0062】
角度65は、角度63に機械加工公差を加減したもの、すなわち±0.25°の機械公差を有する角度63に等しい。スタブフランクSFpは、ロードフランクLFpと平行になるように選択される。これにより、スタブフランクは、特定の圧縮応力の下で接続部に観測される負荷の一部を受け持つことができる。
【0063】
角度63は、例えば1°~5°の範囲であり、好ましくは1.25°~3.75°の範囲である。
【0064】
より詳細には、図11において、湾曲移行部62が制御されてスタブフランクSFpの半径方向の寸法が確保される。ただし、ねじ谷底61は、千鳥状に設けられた2つの円筒状部分61aおよび61bを有する段差を備えることができる。したがって、湾曲移行部62に直接隣接する円筒状部分61aは、ロードフランクLFpに隣接する円筒状部分61bよりも長手方向軸Xから半径方向に離れている。
【0065】
山頂60は、凸状湾曲移行部66を介して、スタブフランクSFpに接続される。この山頂60は、複雑な凸状面67を介して、ロードフランクLFpに接続される。凸状面67は、山頂60の円筒状部分に隣接する円錐台状部分68を備える。この円錐台状部分68は、湾曲部69を介して、ロードフランクLFpに接続される。
【0066】
スタブフランクSFpの半径方向高さは、ロードフランクLFpの半径方向高さよりも大きい。これにより、雄ねじ部分は、螺旋部の連続するスタブフランクSFpおよびロードフランクLFpの中心を通る架空の線PL(ピッチ線)が長手方向軸Xに対してテーパ角度70を画定する方向に、円錐台状部分を備えることになる。この円錐台状部分において、螺旋部は、ピッチ線PLに平行な2つの架空の円錐台状のエンベロープ面71および72のそれぞれの面の間で画定される。下側の架空のエンベロープ面71は、この円錐台状部分における螺旋部の各ターンの、スタブフランクSFpに隣接するねじ谷底61と湾曲移行部62との間の接線点を通る。上側の架空のエンベロープ面72は、スタブフランクSFpに隣接する凸状湾曲移行部66とねじ山頂60との間の接線点を通る。
【0067】
角度70は、この雄ねじ部分18aおよび/または18bのテーパが5%~15%の範囲、好ましくは8%~12%の範囲であるようになっている。
【0068】
螺旋部は、上述した円錐台状部分74に加えて、螺旋部の端部において円筒状部分73を備える。この円筒状部分73は、1つ以上のターン、好ましくは3つ未満のターン、特に、2つ未満のターンにわたって展開している。一実施形態において、円筒状の形状73を有する螺旋部のこの端部は、自由縁部19に軸方向に最も近い雄ねじ部分の端部の側に配置される。特に、第1の雄ねじ部分18aおよび第2の雄ねじ部分18bの各々は、螺旋部の円錐台状部分74に隣接するこのような円筒状部分73を備える。
【0069】
螺旋部の円筒状部分73は、この円筒状部分の連続する谷底61が互いに平行であり、同一線上にあるようになっている。下側の架空のエンベロープ面71は、この円筒状部分において軸Xと平行になり、上側の架空のエンベロープ面72は、円錐台状部分74と円筒状部分73とで同じテーパを維持している。
【0070】
また、雄ねじ部分の螺旋部は、雄ねじ部分の反対側の端部、すなわち、自由縁部19から軸方向に最も遠い螺旋部の端部において、不完全部分75を備える。特に、第1の雄ねじ部分18aおよび第2の雌ねじ部分18bの各々は、円錐台状部分74に隣接する不完全部分75を備え、円錐台状部分74は、不完全部分75と円筒状部分73との間に挟まれている。この不完全部分75は、ねじ山の高さが小さくなるようになっており、この不完全部分75の連続する山頂60は、互いに平行であり、同一線上にある。上側の架空のエンベロープ面72は、この不完全部分75において軸Xと平行になる。この不完全部分75は、1つ以上のターン、好ましくは3つ未満のターン、特に、2つ未満のターンにわたって展開している。不完全部分75において、下側の架空のエンベロープ面71は、円錐台状部分74で観察されたテーパと同一のテーパを有する。
【0071】
円筒状部分73の存在によって、雄側ツール接合部が形成される壁の厚さにおいて、雄ねじ部分の半径方向の大きさを制限することができる。その結果、雄側内側シール面25および雄側中間シール面27のそれぞれのレベルにおいて、より大きい最小厚さを確保することができる。雄ねじ部分のこのような構成によって、気密性の性能が向上する。
【0072】
また、円錐台状部分74に隣接する円筒状部分73の存在によって、ねじ山のない雄側内側部分30の剛性が急激に変化することを避けることができる。このような構成によって、最大の応力を受ける接続部の領域が早期に塑性変形することを避けることができる。
【0073】
雄ねじ部分の螺旋部は、スタブフランクのピッチSFLpが、円錐台状部分74で一定であり、不完全部分75でも一定であるようになっている。特に、ピッチは、円錐台状部分74と不完全部分75とで同じである。スタブフランクのピッチLFLpは、円錐台状部分74と不完全部分75とで同じである。また、このピッチLFLpは、スタブフランクのピッチSFLpに等しい。
【0074】
第1の雄ねじ部分18aについて、スタブフランクのピッチSFLp1とロードフランクのピッチLFLp1は、定数k1に等しい。同様に、第2の雄ねじ部分18bについて、スタブフランクのピッチSFLp2とロードフランクのピッチLFLp2は、この同じ定数k1に等しい。本発明によれば、この定数k1は、例えば5mm~20mmの範囲であり、好ましくは6mm~8mmの範囲である。
【0075】
好ましくは、ピッチ線PLの交点におけるスタブフランクSFpとロードフランクLFpとの間の距離を長手方向軸Xに沿って測定したものとして定義される雄ねじ部分の歯の幅Wtpは、この歯が定数k1の半分より小さい幅、特に、値k1の40%未満の幅を有するようになっている。
【0076】
図12は、第1の雌ねじ部分16aおよび第2の雌ねじ部分16bの螺旋部の2つのターンにおける円錐台状部分94を示す。螺旋部について以下に記載する構造は、以下に定める寸法、形状および比率を維持しながら、少なくとも数ターンにわたって、また、少なくとも3ターンにわたって再現される。
【0077】
雌ねじ部分の螺旋部は、ロードフランクLFbと、ねじ山頂80と、スタブフランクSFbと、ねじ谷底81と、を有する。山頂80および谷底81は、長手方向軸Xに平行なセグメントを形成する。ねじ谷底81は、凹状湾曲移行部82を介して、スタブフランクSFbに接続される。凹状湾曲移行部82は、ねじ谷底81とスタブフランクSFbとが90°よりも大きい角度を形成するようになっている。雄ねじ谷底61のレベルと同様に、ねじ谷底81は、千鳥状に設けられた2つの円筒状部分81aおよび81bを有する段差を備えることができる。したがって、凹状湾曲移行部82に直接隣接する円筒状部分81aは、ロードフランクLFpに隣接するこの谷底81の円筒状部分81bよりも長手方向軸Xに半径方向に近い。
【0078】
スタブフランクSFpは、直線状であり、長手方向軸Xに対する法線Nに対して角度83を形成する。ねじ谷底81は、第2の凹状湾曲移行部84を介して、このねじ谷底81がスタブフランクSFbに接続されている端部とは反対側の端部において、ロードフランクLFbに接続される。第2の凹状湾曲移行部84は、ねじ谷底81とロードフランクLFbとが90°未満の角度を形成するようになっている。ロードフランクLFbは、直線状であり、長手方向軸Xに対する法線Nに対して角度85を形成する。
【0079】
角度85は、角度83に機械加工公差を加減したもの、すなわち±0.25°の機械加工公差を有する角度83に等しい。
【0080】
角度85は、角度65に機械加工公差を加減したもの、すなわち±0.25°の機械加工公差を有する角度65に等しい。
【0081】
角度83は、角度63に機械加工公差を加減したもの、すなわち±0.25°の機械加工公差を有する角度63に等しい。
【0082】
角度83は、例えば、1°~5°の範囲であり、好ましくは1.25°~3.75°の範囲である。
【0083】
図13により詳細に示すように、山頂80は、凸状湾曲移行部86を介して、スタブフランクSFbに接続される。湾曲移行部86は、スタブフランクSFbとの接線方向の移行部86aと、山頂80との接線方向の移行部86cと、両側がそれぞれ接線方向の接続部86aおよび86cに接線方向に接続された円錐台状面86bと、を備える。円錐台状面86bは、スタブフランクSFbに対して、例えば190°~240°の範囲、好ましくは225°程度の開口角である鈍角86dを形成する。円錐台状面86bは、雌側ツール接合部への雄側ツール接合部の挿入を容易にする面取り部を形成する。この円錐台状面86bでは、山頂80の軸方向幅が減少している。そのため、この円錐台状面86bと雄ねじ部分の相補的なプロファイルとの間に追加の容量が画定される。この容量によって、ねじ山におけるグリースの圧力を低減させることができる。
【0084】
この山頂80は、山頂80の円筒状部分に隣接する円錐台状部分88を備える複雑な凸状面87を介して、ロードフランクLFbに接続される。この円錐台状部分88は、湾曲部89を介して、ロードフランクLFbに接続される。
【0085】
ロードフランクLFbの半径方向高さは、スタブフランクSFbの半径方向高さよりも大きい。これにより、雌ねじ部分は、螺旋部の連続するスタブフランクSFbおよびロードフランクLFbの中心を通る架空の線PL(ピッチ線)が長手方向軸Xに対してテーパ角度90を画定する方向に、円錐台状部分を備えることになる。
【0086】
この架空の線のテーパは、雄ねじ部分の円錐台状部分75によって画定されたテーパと同じであり、これらの線PLは、図14に示すように、接続部の組み付け位置で重なり合っている。
【0087】
雌ねじ部分のこの円錐台状部分94において、螺旋部は、ピッチ線PLに平行な2つの架空の円錐台状のエンベロープ面91および92のそれぞれの面の間で画定される。上側の架空のエンベロープ面91は、この円錐台状部分94における螺旋部の各ターンの、ねじ谷底81とスタブフランクSFbに隣接する湾曲移行部82との間の接線点を通る。上側の架空のエンベロープ面92は、スタブフランクSFbに隣接する凸状湾曲移行部86とねじ山頂80との間の接線点を通る。
【0088】
角度90は、この雌ねじ部分16aおよび/または16bのテーパが5%~15%の範囲、好ましくは8%~12%の範囲であるようになっている。
【0089】
螺旋部は、上述した円錐台状部分94に加えて、螺旋部の端部において不完全部分を備える。この不完全部分95は、1つ以上のターン、好ましくは3つ未満のターン、特に、2つ未満のターンにわたって展開している。一実施形態において、螺旋部のこの端部は、雌側ツール接合部の自由縁部17から軸方向に最も遠い雌ねじ部分の端部の側に配置される。特に、第1の雌ねじ部分16aおよび第2の雌ねじ部分16bの各々は、螺旋部の円錐台状部分94に隣接するこのような不完全部分95を備える。
【0090】
不完全部分95は、ねじ山の高さが小さくなるように、且つこの不完全部分95の連続する山頂80が互いに平行であり、同一線上にあるようになっている。下側の架空のエンベロープ面92は、この不完全部分95において軸Xと平行になる。不完全部分95において、上側の架空のエンベロープ面91は、円錐台状部分94で観察されたテーパと同一のテーパを有する。
【0091】
雄側ツール接合部と雌側ツール接合部とが組み付けられた位置において、雌ねじ部分の不完全部分95は、対応する雄ねじ部分の円筒状部分73と係合する。
【0092】
本発明による一実施形態において、雌ねじ部分の円錐台状部分94は、雄ねじ部分の円錐台状部分74よりも多くの先端部を有する。実際、雄ねじ部分の不完全部分75は、接続部の組み付け位置で雌ねじ部分の円錐台状部分と係合している。
【0093】
特に、第1の雄ねじ部分18aは、第2の雄ねじ部分18bよりも多くの先端部を有することができる。
【0094】
特に、第1の雌ねじ部分16aは、第2の雌ねじ部分16bよりも多くの先端部を有することができる。
【0095】
特に、第1の雄ねじ部分18aの円錐台状部分74は、第2の雄ねじ部分18bの円錐台状部分74よりも多くの先端部を有することができる。
【0096】
特に、第1の雌ねじ部分16aの円錐台状部分94は、第2の雌ねじ部分16bの円錐台状部分94よりも多くの先端部を有することができる。
【0097】
雌ねじ部分の螺旋部は、スタブフランクのピッチSFLbが、円錐台状部分94で一定であり、不完全部分95でも一定であるようになっている。特に、ピッチは、円錐台状部分94と不完全部分95とで同じである。スタブフランクのピッチLFLbは、円錐台状部分94と不完全部分95とで同じである。また、このピッチLFLbは、スタブフランクのピッチSFLbに等しい。
【0098】
第1の雌ねじ部分16aについて、スタブフランクのピッチSFLb1とロードフランクのピッチLFLb1は、定数k2に等しい。同様に、第2の雌ねじ部分16bについて、スタブフランクのピッチSFLb2とロードフランクのピッチLFLb2は、この同じ定数k2に等しい。
【0099】
本発明によれば、定数k1およびk2は、互いに等しく、定数kで表すことができる。機械加工公差を考慮すると、本発明の範囲において、k1は、k2±0.05mmに等しい。
【0100】
好ましくは、ピッチ線PLの交点におけるスタブフランクSFbとロードフランクLFbとの間の距離を長手方向軸Xに沿って測定したものとして定義される雌ねじ部分の歯の幅Wtbは、この歯が雄ねじ部分の円錐台状部分74の歯の幅Wtpよりも大きい幅を有するようになっている。
【0101】
実際、本発明によれば、また、図に示す実施例において、雌ねじ部分の歯よりも小さい幅を有する雄ねじ部分の歯を定義することが重要である。例えば、図に示す実施形態において、歯は、次式
【数9】
および次式
【数10】
好ましくは次式
【数11】
または次式
【数12】
を満たす。
【0102】
雌ねじ部分の歯が雄ねじ部分の歯よりも大きいので、雌側の歯は、塑性変形する傾向が少なくなる。また、本発明による接続部において、内側シール面25および26の側に係合した第1の歯とシール面との間に延在する領域99において、応力がより明確に見られる(図5参照)。
【0103】
圧縮負荷の下の本発明による接続部でモデル化できる最大せん断線は、山頂がスタブフランクSFpに接続される側において、山頂60に対して45°で観察される。対照的に、引張負荷の下の本発明による接続部でモデル化できる最大せん断線は、山頂がロードフランクLFpに接続される側において、山頂60に対して45°で観察される。これらのモデル化されたせん断線の間の交点によって、雄ねじ部分の各山頂の上方で、最大応力の三角形を画定することができる。これらの三角形は、雌側ツール接合部内で塑性変形するリスクが最大となる領域を特定するものである。本発明者らは、接続部の有効性を維持するために、これらの三角形の高さを制限して、一体型の接続部の設計によって厚さが制限されている雌側ツール接合部における塑性変形を制限するために特許請求の範囲に記載されている比率を選択することが不可欠であることを発見した。
【0104】
図14に示すように、組み付けられた位置において、ロードフランクLFpとLFbとが接触しており、スタブフランクSFpとSFbとの間には軸方向の遊び100が維持されている。同様に、雄ねじ部分の山頂60と雌ねじ部分の谷底81との間には半径方向の遊び101が維持され、雌ねじ部分の山頂80が雄ねじ部分のねじ谷底61と接触した際には、架空の線71と91とが重なり合う。
【0105】
また、半径方向の遊び101によって、雌側ツール接合部における最大応力が生じる領域の寸法を制限することができる。
【0106】
例えば、遊び100および101は、0.1mm~0.5mmの範囲であり、好ましくは0.2mm~0.3mmの範囲である。このような軸方向の遊びがある場合、歯の幅は、次式の条件
【数13】
を満たす。
【0107】
雄ねじ部分が円筒状の円錐形であるため、組み付けられた雄ねじ部分および雌ねじ部分の螺旋部の間には、自由な容量がほとんどない。本発明による接続部を、その組み付けの前に雄側ツール接合部および雌側ツール接合部に塗布されたねじ込み用グリースを塗布して使用する場合、接続部内のグリースの圧力の上昇を避けるために、空き空間がほとんどない。本発明によれば、雌ねじ部分、特に第1の雌ねじ部分16aにおいて、逆流する余分なグリースを受けることを可能にするために、環状の溝110が設けられる。この溝の利点は、特定の温度および圧力条件の下での接続部のねじ込み中または使用中に、グリースを局所的に蓄積させることができることである。この環状の溝は、2つのシール面の間に配置された雌ねじ部分に設けられる。
【0108】
図に示す実施形態において、雌側ツール接合部の自由縁部17と第2の雌ねじ部分との間にシールがないため、第2の雌ねじ部分には環状の溝が設けられていない。
【0109】
図15において、環状の溝110は、架空の内側の線92と外側の線91との間に画定される。例えば、環状の溝110は、定数k程度の軸方向幅Gを有する。溝110は、雌ねじ部分のテーパと同一のテーパを有する円錐台状の谷底111を備える。環状の溝は、非対称である。内側シール面26の側における谷底111の一方の側において、谷底111は、10°~30°の範囲の法線Nとの角度113を有する直線状部分112に接続される。中間シール面28の側における谷底111の他方の側において、谷底111は、30°~85°の範囲の法線Nとの角度115を有する別の直線状部分114に接続される。
【0110】
この溝によって、接続部が非常に深いところに配置され、180℃程度の温度にさらされても、シールが一時的に失われたり、接続部が局所的に塑性変形したりすることなく、グリースの脱気が可能になる。
【0111】
また、本発明は、単一のねじ部分を備える雄側ツール接合部と、単一のねじ部分を備える雌側ツール接合部との間のねじ接続部にも適用される。本発明によるこれらの接続部は、1つまたは2つの金属対金属シールに加えて、軸方向当接部を備えることもできる(図示せず)。本発明は、ねじで結合された接続部にも適用される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15