(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-25
(45)【発行日】2023-09-04
(54)【発明の名称】廃棄吸い殻からタール抽出物を製造する方法及び巻きタバコにおけるその使用
(51)【国際特許分類】
A24B 15/24 20060101AFI20230828BHJP
C11B 13/00 20060101ALI20230828BHJP
【FI】
A24B15/24
C11B13/00
(21)【出願番号】P 2022530675
(86)(22)【出願日】2020-11-16
(86)【国際出願番号】 CN2020129088
(87)【国際公開番号】W WO2021104080
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-05-24
(31)【優先権主張番号】201911179717.6
(32)【優先日】2019-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522204876
【氏名又は名称】内蒙古昆明卷烟有限▲責▼任公司
【氏名又は名称原語表記】INNER MONGOLIA KUNMING CIGARETTE CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 力群
(72)【発明者】
【氏名】郭 春生
(72)【発明者】
【氏名】▲紀▼ 旭▲東▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 峻松
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 晨
(72)【発明者】
【氏名】叶 ▲亞▼▲軍▼
(72)【発明者】
【氏名】▲ハオ▼ 捷
(72)【発明者】
【氏名】王 旭▲東▼
(72)【発明者】
【氏名】▲喬▼ 月梅
(72)【発明者】
【氏名】李 瑞▲麗▼
(72)【発明者】
【氏名】梁 ▲ミャオ▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 文▲潔▼
【審査官】宮部 菜苗
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第105249526(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第101209986(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106263013(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24B 1/00-15/42
C11B 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄吸い殻からタール抽出物を製造する方法であって、
廃棄吸い殻を抽出溶媒に加えてマイクロ波抽出を行い、抽出液を得るステップ(1)と、
抽出液を遠心分離した後、上澄み液をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけて、石油エーテルと酢酸エチルの混合溶液を移動相として溶出し、溶出画分を収集して、タール抽出物を得るステップ(2)とを含む、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
ステップ(1)において、前記抽出溶媒はメタノール、無水エタノール、石油エーテル、n-ヘキサン、アセトン、ジクロロメタン、酢酸エチルのうちの少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(1)において、前記廃棄吸い殻と抽出溶媒との割合は1g:5~30mLであり、マイクロ波電力は40~400Wであり、マイクロ波抽出時間は3~10minである、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(2)において、前記石油エーテルと酢酸エチルの混合溶液中、石油エーテルと酢酸エチルとの体積比が2~30:1であり、
好ましくは、前記遠心分離は、回転数500~2000r/min、時間1~3minである、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
収集した溶出画分を減圧蒸留して、真空乾燥させるステップをさらに含み、
好ましくは、減圧蒸留は温度30~50℃、圧力0.1~5mmHとし、乾燥温度は100~150℃とする、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
廃棄吸い殻を前処理するステップをさらに含み、
好ましくは、前記前処理において、具体的には、廃棄吸い殻のティッピング・ペーパーを剥がして、トウを長さ1cm未満のサイズに断裁する、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の方法によって製造されるタール抽出物。
【請求項8】
香料原料又は香料製造における請求項7に記載のタール抽出物の使用。
【請求項9】
巻きタバコの製造における請求項7に記載のタール抽出物の使用。
【請求項10】
前記巻きタバコはローエンド巻きタバコであり、
好ましくは、タール抽出物をローエンド巻きタバコの吸い口又は巻きタバコの刻みタバコに添加し、
好ましくは、タール抽出物の添加量は巻きタバコの刻みタバコの重量の2~5%である、ことを特徴とする請求項9に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は廃棄吸い殻からタール抽出物を製造する方法及び巻きタバコにおけるその使用に関し、煙草プロセスの技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
巻きタバコは巻紙を用いて刻みタバコをロッド状に巻き上げたタバコ製品である。巻きタバコは主に、刻みタバコ、巻紙、チップペーパー及び吸い口の4つの部分から構成される。巻紙(シガレットペーパーとも呼ばれる)は刻みタバコを包むための専用紙であり、チップペーパー(チップ紙とも呼ばれる)はタバコロッドと吸い口とを接合するための専用紙である。吸い殻はチップペーパー及び吸い口の部分である。吸い殻とは、巻きタバコが燃えた後に残った部分を指す。吸い殻は、外層のティッピング・ペーパーと繊維トウとからなり、吸い殻の繊維トウには吸着能力があり、煙中のタール及び他の有害な微粒子を効果的に遮断できる。
【0003】
中国では1年間あたり大量の巻きタバコが消費されているため、大量の廃棄吸い殻が発生でき、深刻な環境汚染をもたらす。また、廃棄吸い殻中に大量のタール物質が含まれており、巻きタバコタールはケトン類、フラン類、ピラジン類など、官能的品質に有利な賦香成分を含むとともに、消費者の満足感を向上させ得るニコチンを含む一方、アミン類、アルデヒド類など、官能に悪い有害な物質を含有する。このため、廃棄吸い殻中のタール物質を抽出し、所定の性能や作用を有する抽出物を製造することには重要な意義がある。
【0004】
CN109959649Aにおいて、化学発光性質を有する巻きタバコタール抽出物が開示されており、この巻きタバコタール抽出物の製造方法は、巻きタバコタールに試薬を加えて抽出し、巻きタバコタール抽出物を得るステップを含む。前記巻きタバコタールは、巻きタバコをパフし、生成した煙をろ過して、煙粒子状物を収集し、巻きタバコタールを得るステップによって得られる。この特許における巻きタバコタール抽出物は、自然光の条件下で開放システムにて超音波抽出により製造されるので、これに含まれる発光物質は性質が安定的であり、光、酸素や温度などの要素に敏感ではなく、この抽出物は、媒体のpH値の発光応答範囲が広く、酸性、中性又は塩基性の条件下で化学発光反応を起こすことができる。この特許における巻きタバコタールは、煙粒子状物中のタールであり、製造されたタール抽出物は発光性質を有するが、廃棄吸い殻中のタールが抽出され、賦香特性を有する抽出物が得られることが記載されていない。
【0005】
CN102559388Aにおいて、煙草精油、その製造方法及び巻きタバコにおけるその使用が開示されており、煙草精油は、廃棄低品質刻みタバコ→有機溶媒抽出→精油粗抽出物→水蒸気導入→凝縮→油水分離→煙草精油のような方法によって製造される。本発明の煙草精油は加香剤として巻きタバコの刻みタバコに添加されると、煙草の本来の香りをより引き出し、巻きタバコの香気の品質を高め、煙草の刺激性や雑気を減少させ、煙を柔らかくする。この特許では、巻きタバコの生産中に生じた廃棄低品質刻みタバコが原料として使用され、廃棄低品質刻みタバコ中にはタール成分が含まれていないので、廃棄吸い殻の抽出プロセスが記載されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、廃棄吸い殻からタール抽出物を製造する方法及び巻きタバコにおけるその使用を提供することである。本発明は、廃棄吸い殻を原料として、マイクロ波支援抽出とシリカゲルカラムクロマトグラフィー分離によって賦香特性を有するタール抽出物を得るものであり、得たタール抽出物は巻きタバコに使用されると、巻きタバコの香気を改良することができる。
【0007】
本発明に使用される原料である廃棄吸い殻は一般的に道端や灰皿などに捨てられたタバコフィルタ部であり、このため、原料が入手しやすく、低価であり、本発明では、タール含有量の高い黄色がかった吸い殻が使用される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様では、本発明は、
廃棄吸い殻を抽出溶媒に加えてマイクロ波抽出を行い、抽出液を得るステップ(1)と、
抽出液を遠心分離した後、上澄み液をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけて、石油エーテルと酢酸エチルの混合溶液を移動相として溶出し、溶出画分を収集して、タール抽出物を得るステップ(2)とを含む、廃棄吸い殻からタール抽出物を製造する方法を提供する。
【0009】
さらに、ステップ(1)において、前記抽出溶媒はメタノール、無水エタノール、石油エーテル、n-ヘキサン、アセトン、ジクロロメタン、酢酸エチルのうちの少なくとも1種であり、
好ましくは、前記廃棄吸い殻と抽出溶媒との割合は1g:5~30mL、マイクロ波抽出電力は40~400W、マイクロ波抽出時間は3~10minである。好ましくは、マイクロ波抽出電力は50~200Wであり、マイクロ波抽出電力の下限値は60W、70W、80W、90W、100W、110W、120W、130W、140W、150W、160W、170W、180W又は190Wから選ばれ、マイクロ波抽出電力の上限値は60W、70W、80W、90W、100W、110W、120W、130W、140W、150W、160W、170W、180W又は190Wから選ばれる。より好ましくは、マイクロ波抽出時間は4~9minであり、マイクロ波抽出時間の下限値は5min、6min、7min又は8minから選ばれ、マイクロ波抽出時間の上限値は5min、6min、7min又は8minから選ばれる。
【0010】
さらに、ステップ(2)において、前記石油エーテルと酢酸エチルの混合溶液中、石油エーテルと酢酸エチルとの体積比が2~30:1(v/v)である。
【0011】
前記遠心分離は、回転数500~2000r/min、時間1~3minである。
【0012】
さらに、前記方法は、収集した溶出画分を減圧蒸留して、真空乾燥させるステップをさらに含み、
好ましくは、減圧蒸留は、温度30~50℃、圧力0.1~5mmHであり、乾燥温度は100~150℃である。
【0013】
さらに、前記方法は、廃棄吸い殻を前処理するステップをさらに含み、
好ましくは、前記前処理において、具体的には、廃棄吸い殻のティッピング・ペーパーを剥がして、トウを長さ1cm未満のサイズに断裁することである。
【0014】
別の態様では、本発明はまた、前記方法によって製造されたタール抽出物を提供する。
【0015】
別の態様では、本発明はまた、香料原料又は香料製造における前記タール抽出物の使用を提供する。
【0016】
別の態様では、本発明はまた、巻きタバコの製造における前記タール抽出物の使用を提供する。
【0017】
好ましくは、前記巻きタバコはローエンド巻きタバコである。
【0018】
好ましくは、タール抽出物を巻きタバコの吸い口又は刻みタバコに添加し、好ましくは、タール抽出物の添加量は巻きタバコの刻みタバコの重量の2~5%である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の有益な効果は以下のとおりである。
【0020】
(1)本発明では、マイクロ波支援抽出とシリカゲルクロマトグラフィー分離によって、吸い殻タール中の有害物質を除去し、その香気成分を保留し、ローエンド巻きタバコに用いることで、ローエンド巻きタバコの香気、煙や香喫味を改善し、ローエンド巻きタバコの官能的品質を向上させ、巻きタバコに使用される低品質タバコ葉の割合を増やし、又は低品質タバコ葉の用途を広げ、低品質タバコ葉の在庫圧力を緩和するための手段や技術サポートを提供する。
【0021】
(2)本発明では、マイクロ波支援抽出及びシリカゲルクロマトグラフィー分離の条件を最適化させることにより、巻きタバコの吸い殻から高収率のタール抽出物が抽出される。しかも、本発明では、廃棄された吸い殻が原料として使用されるため、吸い殻による環境汚染を回避するとともに、巻きタバコの燃え副生物であるタールを資源化させる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、特定の実施例を参照して本発明を詳細に説明するが、以下の実施例は当業者が本発明の技術的解決手段を容易に理解し、本発明を実現又は使用するための説明に過ぎず、本発明の特許範囲を限定するものではない。
【0023】
本発明では、特に断らない限り、使用される原料及び設備などは全て市販品として購入されてもよく、本分野で一般的に使用されるものを使用してもよい。
【0024】
実施例の方法は、特に断らない限り、本分野の一般的な方法である。
【0025】
(実施例1)
廃棄吸い殻からタール抽出物を製造する方法は、以下のステップを含む。
(1)廃棄吸い殻の前処理:廃棄吸い殻のティッピング・ペーパーを剥がして、トウを長さ1cm未満のサイズに断裁した。
(2)前処理した廃棄吸い殻100gを石油エーテル1Lに加え、マイクロ波抽出電力80Wでマイクロ波を5min放射する条件下で、抽出液を得た。
(3)抽出液を1200r/minで2min遠心分離した後、上澄み液をシリカゲルカラムにかけて、体積比20:1の石油エーテルと酢酸エチルの混合液を移動相として溶出し、溶出画分を収集した。
(4)溶出画分を45℃で、1mmHの真空圧力で減圧蒸留させた後、120℃で真空乾燥させ、タール抽出物を得た。
【0026】
タール抽出物についてGC/MS検出を行った結果、タール抽出物の主な成分は、フルフラール、フルフリルアルコール、エチレングリコールジアセテート、1-(1,3-ジオキソラン-2-イル)アセトン、4-シクロペンテン-1,3-ジオン、メチルシクロペンテノロン、ニコチン、2-アセチルフラン、2(5H)-フラノン、5-メチルフルフラール、3-メチル-2-シクロペンテン-1-オン、メチルシクロペンテノロン、ベンジルアルコール、2,3-ジメチル-2-シクロペンテン-1-オン、3-エチル-2-ヒドロキシ-2-シクロペンテン-1-オン、5-ヒドロキシメチルフルフラール、バニリン、メガスチグマトリエノンA、2,4,4-トリメチルペンタン-1,3-ジイルビス(2-メチルプロピオネート)、ファルネソール、1-ブチル-2-イソブチルフタレート、スコポレチン、トリブチルプロパ-1-エン-1,2,3-トリカルボキシレートである。
【0027】
GC/MS条件:
HP6890-5973ガスクロマトグラフ質量分析計
(1)GC条件:
カラム:ULTRA2(50m×0.2mm i.d×0.33μm d.f.)
検出器:MS
キャリアガス、流量:He、0.6ml/min
サンプル注入口温度:290℃
昇温プログラム:80℃(1min)2℃/min→280℃(10min)
スプリット比、サンプル注入量:1:10、2μl
(2)GC/MS条件:
GC条件:同上
移送ライン温度:230℃
イオン源温度:230℃
イオン化エネルギー:70eV
質量範囲:30~350u
キャリアガス:He
MSスペクトル:NISTライブラリ
【0028】
(実施例2)
巻きタバコにおけるタール抽出物の使用
実施例1で製造されたタール抽出物を、巻きタバコの刻みタバコの重量に対して3%の添加割合で巻きタバコの刻みタバコに添加し、巻きタバコサンプル1を製造した。
【0029】
実施例1で製造されたタール抽出物を、巻きタバコの刻みタバコの重量に対して5%の添加割合で巻きタバコの刻みタバコに添加し、巻きタバコサンプル2を製造した。
【0030】
実施例1で製造されたタール抽出物を、巻きタバコの刻みタバコの重量に対して2%の添加割合で巻きタバコの刻みタバコに添加し、巻きタバコサンプル3を製造した。
【0031】
上記態様で製造された巻きタバコサンプル及びタール抽出物を添加していない巻きタバコについて(20±1)℃、相対湿度(60±3)%の恒温恒湿環境で24h平衡化した後、10名以上の喫煙評価者に煙草製品の官能評価方法(YC/T 415-2011)を参照して、巻きタバコサンプルについて官能評価を行ってもらい、評価結果を表1に示す。
【0032】
【0033】
表1に示すように、対照群に比べて、巻きタバコは、本発明の実施例で製造されたタール抽出物が添加されると、香気特性が大きく変化し、程度が異なるが、香気質、香気量、雑気や放散性のスコアが全て向上し、改善効果が明らかであり、煙特性のうち、濃度、強さがわずかに向上し、煙の繊細さ及び集まり性が改善され、香喫味特性のうち、後甘味が向上し、湿潤さが向上し、乾燥感が低下し、刺激性低減効果が明らかであり、ローエンド巻きタバコの煙、香気や香喫味の特性が効果的に改善され、ローエンド巻きタバコの官能的品質が向上する。
【0034】
(実施例3)
製造方法の条件の選択
1、抽出溶媒の選択
メタノール、ジクロロメタン、無水エタノール、グリセリン、石油エーテル、ポリエチレングリコール400をそれぞれ使用して、前処理した廃棄吸い殻を抽出し、材料液体比を1:10(g/mL)、マイクロ波抽出電力を80W、マイクロ波放射抽出時間を5minとして、1回抽出し、各溶媒による抽出効果(吸い殻1gあたり抽出された成分含有量)への影響を比較して分析し、抽出液の検出結果を表2に示す。表2から分かるように、無水エタノールを使用する場合、抽出効果は最も良好である。
【0035】
【0036】
2、マイクロ波放射時間の選択
前処理した廃棄吸い殻100gを無水エタノール1Lに加え、マイクロ波放射をそれぞれ1、3、5、9、12min行ってマイクロ波抽出を行い、抽出効果を検出し、検出結果を表3に示す。表3から分かるように、マイクロ波を5min放射する場合、抽出効果は最も良好である。
【0037】
【0038】
(実施例4)
廃棄吸い殻からタール抽出物を製造する方法は、以下のステップを含む。
(1)廃棄吸い殻の前処理:廃棄吸い殻のティッピング・ペーパーを剥がして、トウを長さ1cm未満のサイズに断裁した。
(2)前処理した廃棄吸い殻100gを無水エタノール500mlに加え、マイクロ波抽出電力40Wで、マイクロ波を5min放射する条件下で、抽出液を得た。
(3)抽出液を500r/minで3min遠心分離した後、上澄み液をシリカゲルカラムにかけて、体積比2:1の石油エーテルと酢酸エチルの混合液を移動相として溶出し、溶出画分を収集した。
(4)溶出画分を30℃で、5mmH真空圧力で減圧蒸留させた後、100℃で真空乾燥させ、タール抽出物を得た。
【0039】
(実施例5)
廃棄吸い殻からタール抽出物を製造する方法は、以下のステップを含む。
(1)廃棄吸い殻の前処理:廃棄吸い殻のティッピング・ペーパーを剥がして、トウを長さ1cm未満のサイズに断裁した。
(2)前処理した廃棄吸い殻100gを無水エタノール3Lに加え、マイクロ波抽出電力400Wでマイクロ波を5min放射する条件下で、抽出液を得た。
(3)抽出液を2000r/minで1min遠心分離した後、上澄み液をシリカゲルカラムにかけて、体積比30:1の石油エーテルと酢酸エチルの混合液を移動相として溶出し、溶出画分を収集した。
(4)溶出画分を50℃で、0.1mmH真空圧力で減圧蒸留させた後、150℃で真空乾燥させ、タール抽出物を得た。
【0040】
<比較例1>
実施例5に比べて、該比較例では、(3)抽出液をシリカゲルカラムにかけて、体積比30:1の石油エーテルと酢酸エチルの混合液を移動相として溶出し、溶出画分を収集し、(4)500r/minで3min遠心分離した後、上澄み液を50℃で、0.1mmH真空圧力で減圧蒸留させた後、120℃で真空乾燥させ、タール抽出物を得る点が異なる。残りは実施例5の方法のステップと同様であった。
【0041】
<比較例2>
実施例5に比べて、該比較例では、(3)抽出液を2000r/minで1min遠心分離した後、上澄み液をシリカゲルカラムにかけて、体積比1:1の石油エーテルと酢酸エチルの混合液を移動相として溶出し、溶出画分を収集する点が異なる。残りは実施例5の方法のステップと同様であった。
【0042】
<比較例3>
実施例5に比べて、該比較例では、(3)抽出液を2000r/minで1min遠心分離した後、上澄み液をシリカゲルカラムにかけて、体積比40:1の石油エーテルと酢酸エチルの混合液を移動相として溶出し、溶出画分を収集する点が異なる。残りは実施例5の方法のステップと同様であった。
【0043】
実施例4~5及び比較例1~3で製造されたタール抽出物の種類及び含有量を測定し、その結果、実施例4~5で製造されたタール抽出物は、種類が比較例1~3で製造されたタール抽出物の種類よりも多く、含有量が比較例1~3で製造されたタール抽出物の含有量よりも高いことが示された。
【0044】
実施例4~5及び比較例1~3で製造されたタール抽出物を、巻きタバコの刻みタバコの重量に対して3%の添加割合で巻きタバコの刻みタバコにそれぞれ添加し、巻きタバコサンプル1#、巻きタバコサンプル2#、巻きタバコサンプルD1#、巻きタバコサンプルD2#、及び巻きタバコサンプルD3#を製造した。巻きタバコサンプルを(20±1)℃、相対湿度(60±3)%の恒温恒湿環境で24h平衡化した後、20名以上の喫煙評価者に煙草製品の官能評価方法(YC/T 415-2011)を参照して、巻きタバコサンプルについて官能評価を行ってもらい、評価結果を表4に示す。
【0045】
【0046】
表4の結果から分かるように、比較例に比べて、本発明の実施例で製造されたタール抽出物は、巻きタバコに添加されると、程度が異なるが、巻きタバコの香気特性、煙特性及び香喫味特性の全てを改善し、ローエンド巻きタバコの煙、香気や香喫味特性を効果的に改善し、ローエンド巻きタバコの官能的品質を向上できる。
【0047】
以上は、本願の実施例に過ぎず、本願の特許範囲はこれらの特定の実施例により限定されるものではなく、本願の特許請求の範囲により定められる。当業者にとっては、本願のさまざまな変更や変化が可能である。本願の技術的構想及び原理を逸脱することなく行われる修正、同等置換、改良などは、本願の特許範囲に含まれるものとする。