(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-25
(45)【発行日】2023-09-04
(54)【発明の名称】組成物
(51)【国際特許分類】
C09K 23/56 20220101AFI20230828BHJP
A61K 31/05 20060101ALI20230828BHJP
A61K 31/352 20060101ALI20230828BHJP
A61K 8/04 20060101ALI20230828BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20230828BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20230828BHJP
A61K 8/60 20060101ALI20230828BHJP
A61K 8/39 20060101ALI20230828BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20230828BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20230828BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20230828BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20230828BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20230828BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20230828BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20230828BHJP
A23L 29/10 20160101ALI20230828BHJP
A23K 10/30 20160101ALI20230828BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20230828BHJP
【FI】
C09K23/56
A61K31/05
A61K31/352
A61K8/04
A61K8/49
A61K8/34
A61K8/60
A61K8/39
A61K8/86
A61P25/00
A61K9/08
A61K47/14
A61K47/44
A61K47/26
A61K47/34
A23L29/10
A23K10/30
A23L33/105
(21)【出願番号】P 2023001872
(22)【出願日】2023-01-10
【審査請求日】2023-01-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003506
【氏名又は名称】第一工業製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青木 佑司
【審査官】黒川 美陶
(56)【参考文献】
【文献】Cannabinoid Face Serum,Mintel GNPD,Record ID: 9430518
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K23/
CAplus/REGISTRY(STN)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カンナビノイドと、
ショ糖脂肪酸エステルと、
ポリグリセリン脂肪酸エステルおよびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種の脂肪酸エステル化合物Pと
を含む組成物であって、
前記ショ糖脂肪酸エステルは、炭素数が12~14である脂肪酸部位を有するショ糖脂肪酸エステルを含有
し、
前記カンナビノイドの全質量100質量部に対する前記ショ糖脂肪酸エステルの含有量が100質量部以上、1500質量部以下であり、
前記ショ糖脂肪酸エステル100質量部に対し、前記脂肪酸エステル化合物Pを50~200質量部含有する、組成物。
【請求項2】
前記ショ糖脂肪酸エステルは、平均エステル化度が1~2である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記脂肪酸エステル化合物PのHLB値が11~18である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
さらに油脂を含有する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項5】
さらに溶媒を含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項6】
前記溶媒が水性溶媒である、請求項
5に記載の組成物。
【請求項7】
食品用、化粧用、飼料用、又は、医薬用である、請求項1又は2に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カンナビノイドを含む組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
カンナビノイドは、アサの葉及び種子皮に含まれており、カンナビジオール(CBD)等の種々の成分を有することが知られている。カンナビジオールは、特異な効能を有することから、食品添加剤等の食品分野、及び、製剤等の医療分野に広く適用されており、利用価値の高い成分である。
【0003】
例えば、特許文献1には、クルクミンと、少なくとも1つのカンナビノイドとを組み合わせた可溶化物が提案されており、斯かる可溶化物により、水と混合したときに濁りのない混合物を与えることを可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、カンナビノイド、とりわけカンナビジオールは水等の水性溶媒への分散性が悪く、例えば、カンナビジオールの水性分散液は時間の経過とともに析出物や分離が生じ、分散性が低下しやすいものであった。また、分散液が酸性領域になると析出物や分離がさらに生じやすくなることがあり、分散液のpHが制限されるという問題もあった。水性分散液に析出物の発生や分離が生じると、例えば、食品や製剤用途への適用が難しくなることから、カンナビジオールの水性分散液の分散性を向上させることが強く求められていた。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、酸性条件下であっても析出物や分離の発生が抑制され、分散安定性に優れるカンナビノイドの分散液を形成することができる組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定のショ糖脂肪酸エステルを必須成分とすることにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成する
に至った。
【0008】
すなわち、本発明は、例えば、以下の項に記載の主題を包含する。
項1
カンナビノイドと、
ショ糖脂肪酸エステルと、
ポリグリセリン脂肪酸エステルおよびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種の脂肪酸エステル化合物Pと
を含む組成物であって、
前記ショ糖脂肪酸エステルは、炭素数が12~14である脂肪酸部位を有するショ糖脂肪酸エステルを含有する、組成物。
項2
前記ショ糖脂肪酸エステルは、平均エステル化度が1~2である、項1に記載の組成物。
項3
前記ショ糖脂肪酸エステル100質量部に対し、前記脂肪酸エステル化合物Pを50~200質量部含む、項1又は2に記載の組成物。
項4
前記脂肪酸エステル化合物PのHLB値が11~18である、項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
項5
さらに油脂を含有する、項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
項6
さらに溶媒を含む、項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
項7
前記溶媒が水性溶媒である、項6に記載の組成物。
項8
食品用、化粧用、飼料用、又は、医薬用である、項1~7のいずれか1項に記載の組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明の組成物は、酸性条件下であっても析出物や分離の発生が抑制され、分散安定性に優れるカンナビノイドの分散液を形成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書中において、「含有」及び「含む」なる表現については、「含有」、「含む」、「実質的にからなる」及び「のみからなる」という概念を含む。
【0011】
1.組成物
本発明の組成物は、カンナビノイドと、
ショ糖脂肪酸エステルと、
ポリグリセリン脂肪酸エステルおよびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種の脂肪酸エステル化合物Pと
を含む組成物であって、
前記ショ糖脂肪酸エステルは、炭素数が12~14である脂肪酸部位を有するショ糖脂肪酸エステルを含有する。
【0012】
本発明の組成物は、析出物や分離の発生が抑制され、しかも、酸性条件下であっても析出物や分離の発生が抑制されるものであり、酸性条件下であっても分散安定性に優れるカンナビノイドの分散液を形成することができる。加えて、本発明の組成物から得られるカンナビノイドの分散液は透明性が高く、酸性条件下であっても透明性も高いものである。
【0013】
本明細書において、「酸性条件下」とは、乳化組成物のpHが7以下、好ましくは4以下であることを意味する。なお、乳化組成物のpHは、市販のpHメーターで測定することができる。
【0014】
(カンナビノイド)
本発明の組成物に含まれるカンナビノイドとしては、例えば、アサ由来のカンナビノイドに含まれる種々の化合物群(具体的には、カンナビジオール(CBD)、テトラヒドロカンナビノール等)の1種又は2種以上を使用することができる。
【0015】
カンナビノイドはカンナビジオールを含むことが好ましい。この場合、溶媒、特には水性溶媒への分散性に特に優れ、粉末化も容易である上、食品分野、化粧分野、飼料分野、又は、医薬分野に特段適用しやすい。カンナビノイドはカンナビジオールを50質量%以上含むことが好ましく、80質量%以上含むことがより好ましく、90質量%以上含むことがさらに好ましく、95質量%以上含むことが特に好ましい。カンナビノイドはカンナビジオール1種のみとすることもできる。
【0016】
カンナビノイドは、例えば、公知の方法で製造することができる。あるいは、市販されているカンナビノイドを本発明の組成物に適用することができる。同様に、カンナビジオールも、例えば、公知の方法で製造することができ、あるいは、市販されているカンナビジオールを本発明の組成物に適用することができる。
【0017】
(ショ糖脂肪酸エステル)
ショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖と、脂肪酸とで構成された化学構造を有する化合物であって、ショ糖部位と脂肪酸部位とを分子中に有する化合物である。従って、例えば「ショ糖脂肪酸エステル」は、ショ糖と脂肪酸とがエステル化反応により形成される化合物であることを意味する。
【0018】
本発明の組成物に含まれるショ糖脂肪酸エステルは、前述のように、炭素数が12~14である脂肪酸部位(RCOO-部位)を有するショ糖脂肪酸エステルを含有するものである。以下、ショ糖脂肪酸エステルに含まれる「炭素数が12~14である脂肪酸部位を有するショ糖脂肪酸エステル」を「ショ糖脂肪酸エステルA」と表記することがある。
【0019】
ショ糖脂肪酸エステルAにおいて、脂肪酸部位は炭素数12~14である限り、その種類は特に限定されない。ショ糖脂肪酸エステルAにおいて、脂肪酸部位は、炭素数12~14である飽和脂肪酸に由来することが好ましい。中でもショ糖脂肪酸エステルAにおいて、脂肪酸部位は、炭素数12の飽和脂肪酸(すなわち、ラウリン酸)及び炭素数14である飽和脂肪酸(すなわち、ミスチリン酸)からなる群より選ばれる少なくとも1種の脂肪酸に由来することがより好ましい。この場合、本発明の組成物から形成されるカンナビノイドの分散液は析出物や分離の発生がより抑制されやすく(しかも酸性条件下であっても抑制されやすく)、また、分散液の透明性も高まりやすい。ショ糖脂肪酸エステルAは、炭素数12の飽和脂肪酸部位を有するショ糖脂肪酸エステルと、炭素数14である飽和脂肪酸部位を有するショ糖脂肪酸エステルのみからなるものであってもよい。
【0020】
ショ糖脂肪酸エステルAは、炭素数12の飽和脂肪酸部位を有するショ糖脂肪酸エステルのみからなるものであっても良いし、炭素数14の飽和脂肪酸部位を有するショ糖脂肪酸エステルのみからなるものであっても良い。ショ糖脂肪酸エステルAが炭素数12の飽和脂肪酸部位を有するショ糖脂肪酸エステル以外のショ糖脂肪酸エステルを含む場合、ショ糖脂肪酸エステルAの全質量に対する炭素数12の飽和脂肪酸部位を有するショ糖脂肪酸エステルの含有割合は、例えば、30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、また、90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましい。これら場合において、残部は、例えば、炭素数14である飽和脂肪酸部位を有するショ糖脂肪酸エステルとすることができる。
【0021】
本発明の組成物に含まれるショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖脂肪酸エステルAをショ糖脂肪酸エステルの全質量に対して80質量%以上含むことが好ましく、90質量%以上含むことがより好ましく、99質量%以上含むことがさらに好ましい。本発明の組成物に含まれるショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖脂肪酸エステルAのみであってもよい。
【0022】
本発明の組成物に含まれるショ糖脂肪酸エステルは、前記ショ糖脂肪酸エステルAを含有する限り、その他のショ糖脂肪酸エステルを含有することもできる。本発明の組成物から形成されるカンナビノイドの分散液は酸性条件下において析出物や分離の発生が抑制されやすく、しかも、分散液の透明性も特に高まりやすい点で、炭素数が16~18である脂肪酸部位を有するショ糖脂肪酸エステルを含まないことが好ましく、ショ糖脂肪酸エステルA以外のショ糖脂肪酸エステルを含まないことがより好ましい。
【0023】
本発明の組成物に含まれるショ糖脂肪酸エステルは、平均エステル化度が1~2であることが好ましい。この場合、本発明の組成物から形成されるカンナビノイドの分散液は、酸性条件下であっても析出物や分離の発生が抑制されやすく、また、分散液の透明性も高まりやすい。
【0024】
本発明において、ショ糖脂肪酸エステルの平均エステル化度は、下記(1)式によってショ糖脂肪酸エステルの平均エステル化度Xを算出することができる。
(Ns-X)=(Nx)/(Ny)
={(OHV)/(1000×56.11)}
/{1/(MwSug+(MwFa-18)X)} (1)
【0025】
ここで、式(1)中の各記号の意味は以下のとおりである。
Ns:ショ糖1分子中のOH基の数
Nx:サンプル(ショ糖脂肪酸エステル)1g中のOH基のモル数
Ny:サンプル1g中のショ糖脂肪酸エステルのモル数
OHV:ショ糖脂肪酸エステルの水酸基価
MwSug:ショ糖の分子量
MwFa:構成脂肪酸の平均分子量
【0026】
上記(1)式に、既知であるNs、Nx、Ny、OHV、MwSug及びMwFaを代入してXを算出することができる。なお、Ns、Nx、Ny、OHV、MwSug及びMwFaは、公知の方法で測定することができる。
【0027】
上記平均エステル化度の算出方法からもわかるように、本発明におけるショ糖脂肪酸エステルは、エステル化度が異なるショ糖脂肪酸エステル分子の集合体であるといえる。
【0028】
本発明の組成物に含まれるショ糖脂肪酸エステルの平均エステル化度は、1.01以上であることが好ましく、また、1.8以下であることが好ましく、1.6以下であることがより好ましく、1.4以下であることがさらに好ましく、1.25以下であることが特に好ましい。
【0029】
本発明の組成物において、ショ糖脂肪酸エステルとして市販品を使用する場合、ショ糖脂肪酸エステルのメーカー保証値あるいはカタログ値等、メーカーが開示する値を平均エステル化度の値として採用することができる。
【0030】
ショ糖脂肪酸エステルにはモノエステル体、ジエステル体及びトリエステル体が存在する。本発明の組成物に含まれるショ糖脂肪酸エステルは、それらのいずれのエステル体であってもよいし、1種のみならず2種又は全てのエステル体を含むこともできる。言い換えれば、ショ糖脂肪酸エステルは、モノエステル体、ジエステル体及びトリエステル体からなる群より選ばれる1種以上のショ糖脂肪酸エステルを含み得る。
【0031】
ショ糖脂肪酸エステルの製造方法は特に限定されず、例えば、公知の製造方法を広く採用することができる。例えば、ショ糖と、所望の炭素数を有する脂肪酸エステルとのエステル交換反応により、ショ糖脂肪酸エステルAを合成することができる。脂肪酸エステルとしては、脂肪酸のメチルエステルを挙げることができる。
【0032】
ショ糖脂肪酸エステルの製造方法で使用するショ糖は、例えば、公知の方法で合成してもよく、あるいは、市販品からショ糖を入手することができる。ショ糖は、ショ糖脂肪酸エステル製造時に未反応であったショ糖を回収したもの(いわゆる、「回収糖」)であってもよい。ショ糖の形態は、固体の状態であってもよく、溶媒に溶解した溶液状態であってもよい。ショ糖脂肪酸エステルの製造方法で使用する脂肪酸は、例えば、公知の方法で合成してもよく、あるいは、市販品から脂肪酸を入手することができる。
【0033】
ショ糖脂肪酸エステルの平均エステル化度を調節する方法は特に限定されず、例えば、公知の方法を広く採用することができる。例えば、ショ糖脂肪酸エステルの製造で使用するショ糖及び脂肪酸又はそのエステルの使用割合、脂肪酸の種類、エステル化反応条件等の種々の合成条件を調製することで、得られるショ糖脂肪酸エステルの平均エステル化度を所望の範囲に制御することができる。
【0034】
その他、平均エステル化度が既知であって、異なる平均エステル化度のショ糖脂肪酸エステルを2種以上混合することで、所望の範囲に制御されたショ糖脂肪酸エステルを得ることもできる。この場合、各ショ糖脂肪酸エステルのエステル化度及び混合質量比に基づいて、平均エステル化度を容易に所望の範囲に調整することができる。
【0035】
本発明の組成物において、ショ糖脂肪酸エステルの含有割合は特に限定されない。例えば、組成物中のカンナビノイドの全質量を100質量部としたときのショ糖脂肪酸エステルの含有量は、100質量部以上であることが好ましく、200質量部以上であることがより好ましく、300質量部以上であることがさらに好ましく、400質量部以上であることが特に好ましく、また、2500質量部以下であることが好ましく、1500質量部以下であることがより好ましく、1000質量部以下であることがさらに好ましく、900質量部以下であることが特に好ましい。
【0036】
(脂肪酸エステル化合物P)
本発明の組成物に含まれる脂肪酸エステル化合物Pは、ポリグリセリン脂肪酸エステルおよびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種である。
【0037】
本発明の組成物が脂肪酸エステル化合物Pを含むことで、本発明の組成物から得られる分散液は、析出物や分離の発生が抑制され、しかも、酸性条件下であっても析出物や分離の発生が抑制されるものであり、酸性条件下であっても分散安定性に優れるカンナビノイドの分散液を形成することができる。加えて、本発明の組成物から得られるカンナビノイドの分散液は透明性が高く、酸性条件下であっても透明性も高いものである。
【0038】
前記ポリグリセリン脂肪酸エステルは、グリセリンが脱水縮合したポリグリセリンに脂肪酸がエステル結合したものをいう。ポリグリセリン脂肪酸エステルの具体例としては、モノラウリン酸ペンタグリセリン、モノラウリン酸ヘキサグリセリン、モノラウリン酸デカグリセリン、モノミリスチン酸ペンタグリセリン、モノミリスチン酸ヘキサグリセリン、モノミリスチン酸デカグリセリン、モノステアリン酸ペンタグリセリン、モノステアリン酸ヘキサグリセリン、モノステアリン酸デカグリセリン等が挙げられるが、モノラウリン酸ペンタグリセリン、モノミリスチン酸ペンタグリセリン、モノミリスチン酸デカグリセリンが挙げられる。
【0039】
前記ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、ポリオキシエチレンソルビタンに脂肪酸がエステル結合したものをいう。前記ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルにおける脂肪酸の炭素数は特に限定されず、例えば、30以下であることが好ましく、25以下であることがより好まく、20以下であることがさらに好ましく、18以下であることが特に好ましいく、また、8以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましく、12以上であることがさらに好ましく、14以上であることが特に好ましい。ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの具体例としては、ポリオキシエチレンソルビタンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンステアリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンラウリン酸エステルを挙げることができる。
【0040】
脂肪酸エステル化合物PのHLB値が11~18であることが好ましい。この場合、本発明の組成物から形成されるカンナビノイドの分散液は、酸性条件下であっても析出物や分離の発生がより抑制されやすく、また、分散液の透明性もより高まりやすい。本明細書において、脂肪酸エステル化合物PのHLB値は、グリフィン(Griffin)法で算出した値を意味する。脂肪酸エステル化合物PのHLB値は、12~17であることがより好ましく、12.5~16であることがさらに好ましい。
【0041】
脂肪酸エステル化合物Pは、例えば、公知の方法で製造することができ、あるいは、市販品等から入手することもできる。
【0042】
本発明の組成物において、脂肪酸エステル化合物Pの含有割合は特に限定されない。例えば、本発明の組成物は、ショ糖脂肪酸エステル100質量部に対し、前記脂肪酸エステル化合物Pを50~200質量部(50質量部以上、200質量部以下)含むことができる。この場合、本発明の組成物から形成されるカンナビノイドの分散液は、酸性条件下であっても析出物や分離の発生が特に抑制されやすく、また、分散液の透明性もさらに高まりやすい。
【0043】
本発明の組成物は、ショ糖脂肪酸エステル100質量部に対し、前記脂肪酸エステル化合物Pを70質量部以上含むことがより好ましく、80質量部以上含むことがさらに好ましく、また、150質量部以下含むことがより好ましく、120質量部以下含むことがさらに好ましい。
【0044】
本発明の組成物に含まれる脂肪酸エステル化合物Pは、1種単独又は2種類以上とすることができる。
【0045】
(その他成分)
本発明の組成物は、本発明の効果が阻害されない限り、カンナビノイド及びショ糖脂肪酸エステル以外に他の成分を含むことができる。例えば、本発明の組成物は、前記ショ糖脂肪酸エステル及び脂肪酸エステル化合物P以外の界面活性剤、水溶性高分子化合物等を含むこともできる。前記ショ糖脂肪酸エステル以外の界面活性剤としては、例えば、公知の界面活性剤を広く挙げることができる。
【0046】
本発明の組成物は、油脂を含有することもできる。この場合、カンナビノイドの分散性が向上しやすくなるので、本発明の組成物は、食品分野、化粧分野、飼料分野、又は、医薬分野等の各種添加剤に適用しやすい。
【0047】
油脂としては食用油脂を挙げることができ、具体的には、MCTオイル等に代表される中鎖脂肪酸トリグリセリド等の合成油脂が挙げられる他、綿実油、ひまし油、大豆油、菜種油、コーン油、オリーブ油、パーム油、サフラワー油、米油、ひまわり油、胡麻油等の植物性油脂;ラード、牛脂、乳脂、魚油等の動物性油脂が挙げられる。油脂は、例えば、市販品を広く使用することができる。組成物に含まれる油脂は1種単独又は2種以上とすることができる。酸性条件での透明性が向上しやすい点で、油脂はMCTオイルであることが好ましい。
【0048】
本発明の組成物が油脂を含む場合、その含有割合は、例えば、カンナビノイドの全質量を100質量部に対し、20質量部以上であることが好ましく、40質量部以上であることがより好ましく、60質量部以上であることがさらに好ましく、80質量部以上であることが特に好ましく、また、500質量部以下であることが好ましく、400質量部以下であることがより好ましく、300質量部以下であることがさらに好ましく、200質量部以下であることが特に好ましい。
【0049】
本発明の組成物は、その他添加剤を含むことができ、例えば、食品用途で広く使用されている各種添加剤、医薬品用途で広く使用されている各種添加剤を挙げることができる。本発明の組成物が、その他添加剤を含む場合、その含有割合は、例えば、組成物全質量に対し、50質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下、特に好ましくは1質量%以下である。
【0050】
(組成物の形態)
本発明の組成物は、分散液等の液状の形態であってもよいし、粉末等の固体状の形態であってもよい。
【0051】
本発明の組成物が分散液である場合、本発明の組成物はさらに溶媒を含むことができる。本発明の組成物が溶媒を含む場合は、カンナビノイド(とりわけカンナビジオール)の分散液となり得る。溶媒としては、カンナビノイドの分散液の析出物や分離の発生がより抑制されやすく、また、分散液の透明性も高まりやすい点で、水性溶媒であることが好ましい。水性溶媒としては、水、アルコール分を挙げることができる。
【0052】
アルコール分は、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール化合物の他、グリセリン、ソルビトール等の多価アルコール化合物も挙げることができる。
【0053】
水性溶媒は、水と、前記低級アルコール及び/又は前記多価アルコール化合物との混合溶媒を挙げることができ、また、水性溶媒は、前記低級アルコール化合物及び前記多価アルコール化合物等のアルコール分のみであってもよい。水性溶媒が低級アルコール及び多価アルコールの混合物を含む場合、低級アルコールとしてメタノール、エタノール、イソプロパノール等が挙げられ、多価アルコール化合物としてはグリセリン、ソルビトールが挙げられる。
【0054】
本発明の組成物が分散液である場合、水性溶媒は、少なくとも前記低級アルコール化合物及び多価アルコール化合物等のアルコール分からなる群より選ばれる1種を含むことがより好ましく、前記低級アルコール化合物であることがさらに好ましい。
【0055】
本発明の組成物が水性溶媒を含む分散液である場合において、水性溶媒の含有割合は、例えば、カンナビノイドの全質量を100質量部に対し、100質量部以上であることが好ましく、500質量部以上であることがより好ましく、1000質量部以上であることがさらに好ましく、また、10000質量部以下であることが好ましく、5000質量部以下であることがより好ましく、3000質量部以下であることがさらに好ましく、2000質量部以下であることが特に好ましい。
【0056】
本発明の組成物が溶媒を含む分散液である場合、溶媒100質量部に対するカンナビノイド及びショ糖脂肪酸エステルの含有量は、例えば、0.01~100質量部であることが好ましく、0.05~80質量部であることがより好ましく、0.1~60質量部であることがさらに好ましく、0.2~40質量部であることが特に好ましい。
【0057】
前記分散液は、目的の用途等に応じて、さらに適宜の溶媒で希釈することができる。斯かる溶媒は前述の水性溶媒であり、例えば、水等を挙げることができる。分散液の固形分濃度も目的の用途等に応じて適宜設定することができる。
【0058】
本発明の組成物が粉末である場合、その製造方法は特に限定されず、例えば、分散液である本発明の組成物を、適宜の方法で溶媒を乾燥させることで、粉末化することができる。溶媒の乾燥方法は特に限定されず、公知の方法、例えば、加熱乾燥、噴霧乾燥、凍結乾燥等の種々の方法を挙げることができる。従って、本発明の一態様として、前記分散液の乾燥物たる粉末を挙げることができる。斯かる方法で得られる粉末は、例えば、油脂に溶解したカンナビノイドの水性分散液が乾燥することで形成される粉末である。
【0059】
本発明の組成物は種々の用途の適用することができ、とりわけ、従来からカンナビジオールを含む組成物が適用されている用途に広く適用することができる。具体的に本発明の組成物は、食品用、化粧用、飼料用、又は、医薬用等に適用することができる。本発明の組成物が分散液及び粉末のいずれの形態であっても、前記各種用途に使用することができる。本明細書において、食品用とは、飲料、サプリメント、健康食品、機能性食品、美容を目的とする食品、ペットなどの動物用の餌等を広く包含する。また、本明細書において、飼料用とは、各種畜産分野で用いることができる飼料を広く含み、また、養殖に用いられる飼料も含む。本明細書において、医薬用とは、ヒトへの服用又は投与のための医薬を含む他、動物への服用又は投与のための医薬を含む。本発明の組成物が食品用、化粧用又は医薬用に適用される場合、いずれの用途においても美容を目的とするものを含む。
【0060】
以上より、本発明の組成物は、例えば、食品用添加剤、飼料用添加剤、医薬品用添加剤及び化粧品用添加剤として特に好適に使用することができる。
【0061】
(組成物の調製方法)
本発明の組成物の製造方法は特に限定されず、例えば、カンナビノイド、所定のショ糖脂肪酸エステル及び脂肪酸エステル化合物P並びに必要に応じて添加される添加剤を用いて調製することができる。例えば、カンナビノイドを含む原料液と、ショ糖脂肪酸エステル及び脂肪酸エステル化合物Pを含む原料液とをそれぞれ混合させる方法が挙げられる。カンナビノイドを含む原料液は、各種オイルを含むことができ、例えば、前記食用油脂が挙げられ、中でもMCTオイル等に代表される中鎖脂肪酸トリグリセリド、その他、綿実油、ひまし油等を好ましく使用できる。MCTオイルは、例えば、市販品を広く使用することができる。
【0062】
例えば、カンナビノイドと溶媒とを含む原料液、ショ糖脂肪酸エステルと溶媒及び脂肪酸エステル化合物Pを含む原料液を混合させる場合、混合時の温度も特に限定されず、例えば、20~100℃、好ましくは30~90℃、より好ましくは40~80℃である。混合方法も特に限定されず、例えば、公知の混合機を広く使用することができる。上記のように得られる組成物にさらに水等を加えて、濃度を調節することもできる。
【実施例】
【0063】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の態様に限定されるものではない。
【0064】
(製造例1)
攪拌機、温度計、減圧装置、およびジメチルスルホキシド(DMSO)の還流装置を備えた1Lフラスコに、ショ糖34.2gとDMSO400gを混合し、95℃で溶解した。ここに、炭酸カリウム2.4gおよび脂肪酸エステルとして、ミリスチン酸メチル26.6gを加え、2kPaの減圧下、90~110℃で10時間反応させた。続いて、乳酸を加えて中和した後、DMSOを減圧留去した。得られた粗生成物をメチルエチルケトン200gに溶解し、10%飽和食塩水200gで5回精製し、乾燥した。これにより、平均エステル化度が1.1であるショ糖ミリスチン酸エステル(以下、ショ糖脂肪酸エステルSE-1)を得た。
【0065】
(製造例2)
ミリスチン酸メチルの使用量を29.1gとした以外は製造例1と同様の操作を行い、平均エステル化度が1.2であるショ糖ミリスチン酸エステル(以下、ショ糖脂肪酸エステルSE-2)を得た。
【0066】
(製造例3)
ミリスチン酸メチルの使用量を31.5gとした以外は製造例1と同様の操作を行い、平均エステル化度が1.3であるショ糖ミリスチン酸エステル(以下、ショ糖脂肪酸エステルSE-3)を得た。
【0067】
(製造例4)
ミリスチン酸メチルに代えて、ラウリン酸メチル25.7gを用いた以外は製造例1と同様の操作を行い、平均エステル化度が1.2であるショ糖ラウリン酸エステル(以下、ショ糖脂肪酸エステルSE-4)を得た。
【0068】
(製造例5)
ミリスチン酸メチルに代えて、パルミチン酸メチル32.4gを用いた以外は製造例1と同様の操作を行い、平均エステル化度が1.2であるショ糖ラウリン酸エステル(以下、ショ糖脂肪酸エステルSE-5)を得た。
【0069】
(製造例6)
ミリスチン酸メチルに代えて、ステアリン酸メチル35.8gを用いた以外は製造例1と同様の操作を行い、平均エステル化度が1.2であるショ糖ラウリン酸エステル(以下、ショ糖脂肪酸エステルSE-6)を得た。
【0070】
(実施例1)
カンナビジオール(CBD、Sigma-Aldrichs社製)100mgと、油脂としてMCTオイル(商品名:アクターM-1、理研ビタミン社製)100mgとを70℃で混合して原料液1を得た。別の容器に、界面活性剤として、製造例1で得られたショ糖脂肪酸エステルSE-1を600mgと、脂肪酸エステル化合物Pとして、ポリグリセリンラウリン酸エステル(阪本薬品工業社製、商品名:SYグリスターML-750、HLB値14.7、後掲の表1中「PG-1」と表記)600mgと、エタノールを1000mgとを70℃で混合することで原料液2を得た。原料液1及び2を70℃で混合することにより、カンナビジオール分散液を得た。
【0071】
(実施例2)
ショ糖脂肪酸エステルSE-1を、製造例2で得られたショ糖脂肪酸エステルSE-2に変更したこと以外は実施例1と同様の方法で分散液を得た。
【0072】
(実施例3)
ショ糖脂肪酸エステルSE-1を、製造例3で得られたショ糖脂肪酸エステルSE-3に変更したこと以外は実施例1と同様の方法で分散液を得た。
【0073】
(実施例4)
ショ糖脂肪酸エステルSE-1を、製造例4で得られたショ糖脂肪酸エステルSE-4に変更したこと以外は実施例1と同様の方法で分散液を得た。
【0074】
(実施例5)
脂肪酸エステル化合物Pを、ポリグリセリン脂肪酸エステル(太陽化学社製、商品名:サンソフトAE-181E、HLB値13、後掲の表1中「PG-2」と表記)に変更したこと以外は実施例2と同様の方法で分散液を得た。
【0075】
(実施例6)
脂肪酸エステル化合物Pを、ポリグリセリン脂肪酸エステル(太陽化学社製、商品名:サンソフトAE-171E、HLB値13、後掲の表1中「PG-3」と表記)に変更したこと以外は実施例2と同様の方法で分散液を得た。
【0076】
(実施例7)
脂肪酸エステル化合物Pを、ポリグリセリン脂肪酸エステル(太陽化学社製、商品名:サンソフトAE-141E、HLB値14.5、後掲の表1中「PG-4」と表記)に変更したこと以外は実施例2と同様の方法で分散液を得た。
【0077】
(実施例8)
脂肪酸エステル化合物Pを、ポリオキシエチレンソルビタンオレイン酸エステル(Croda社製、商品名:CRILLET 4-LQ-(SG)、HLB値15、後掲の表1中「PS-1」と表記)に変更したこと以外は実施例2と同様の方法で分散液を得た。
【0078】
(実施例9)
脂肪酸エステル化合物Pを、ソルビタンステアリン酸エステル(Croda社製、商品名:CRILLET 3-SS-(SG)、HLB値14.9、後掲の表1中「PS-2」と表記)に変更したこと以外は実施例2と同様の方法で分散液を得た。
【0079】
(実施例10)
ソルビタンラウリン酸エステル(Croda社製、商品名:CRILLET 1-LQ-(SG)、HLB値16.7、後掲の表1中「PS-3」と表記)に変更したこと以外は実施例10と同様の方法で分散液を得た。
【0080】
(実施例11)
MCTオイルを、綿実油に変更したこと以外は実施例2と同様の方法で分散液を得た。
【0081】
(実施例12)
MCTオイルを、ひまし油に変更したこと以外は実施例2と同様の方法で分散液を得た。
【0082】
(比較例1)
ショ糖脂肪酸エステルSE-1を、製造例5で得られたショ糖脂肪酸エステルSE-5に変更したこと以外は実施例1と同様の方法で分散液を得た。
【0083】
(比較例2)
ショ糖脂肪酸エステルSE-1を、製造例6で得られたショ糖脂肪酸エステルSE-6に変更したこと以外は実施例1と同様の方法で分散液を得た。
【0084】
(評価)
各実施例及び比較例で得られた分散液(組成物)の分散安定性(析出物及び分離の有無)並びに透明性を下記方法で評価した。また、各実施例及び比較例で得られた酸性条件下における分散液(組成物)の分散安定性(析出物及び分離の有無)並びに透明性を下記方法で評価した。
【0085】
<析出物及び分離の有無>
各実施例及び比較例で得られた製造直後の分散液(組成物)を純水で100倍に希釈して1質量%濃度のサンプル液を得た。斯かるサンプル液15gを、20mL容量の容器に密封保管し、25℃の環境下で静置保管した。保管から所定期間経過後、前記分散液の外観を観察し、下記判定基準で析出物及び分離有無を評価した。
A:保管30日後も析出物及び分離がみられず、分散安定性が極めて優れていた。
B:保管20日以後30日目までに析出物又は分離がみられた。
C:保管10日以後20日目までに析出物又は分離がみられた。
D:保管10日目までに析出物又は分離がみられた。
E:製造直後に析出物又は分離がみられた。
【0086】
<透明性>
各実施例及び比較例で得られた製造直後の分散液(組成物)を純水で100倍に希釈して1質量%濃度のサンプル液を得た。斯かるサンプル液15gを、20mL容量の容器に密封保管し、25℃の環境下で静置保管し、所定期間経過後、外観を観察して下記判定基準で透明性を評価した。
A:保管30日後も透明であり、透明性が極めて優れていた。
B:保管20日以後30日目までに白濁がみられた。
C:保管10日以後20日目までに白濁がみられた。
D:製造直後以後、保管10日目までに白濁がみられた。
E:製造直後に白濁がみられた。
【0087】
<酸性条件下における析出物及び分離の有無>
各実施例及び比較例で得られた製造直後の分散液(組成物)をpH3.4のクエン酸水溶液で100倍に希釈して1質量%濃度のサンプル液を得た。斯かるサンプル液15gを、20mL容量の容器に密封保管し、25℃の環境下で静置保管した。保管から所定期間経過後、前記分散液の外観を観察し、下記判定基準で析出物及び分離有無を評価した。
A:保管30日後も析出物及び分離がみられず、分散安定性が極めて優れていた。
B:保管20日以後30日目までに析出物又は分離がみられた。
C:保管10日以後20日目までに析出物又は分離がみられた。
D:保管10日目までに析出物又は分離がみられた。
E:製造直後に析出物又は分離がみられた。
【0088】
<酸性条件下における透明性>
各実施例及び比較例で得られた製造直後の分散液(組成物)をpH3.4のクエン酸水溶液で100倍に希釈して1質量%濃度のサンプル液を得た。斯かる15gを20mL容量の容器に密封保管し、25℃の環境下で静置保管し、所定期間経過後、外観を観察して下記判定基準で透明性を評価した。
A:保管30日後も透明であり、透明性が極めて優れていた。
B:保管20日目までに白濁は見られず、透明性は優れていた。
C:保管10日以後20日目までに白濁がみられた。
D:製造直後以後、保管10日目までに白濁がみられた。
E:製造直後に白濁がみられた。
【0089】
表1は、各実施例及び比較例の組成物の配合条件、並びに、評価結果を示している。なお、表1中の空欄は、その原料を使用していないことを意味する。
【0090】
表1の結果から、カンナビノイドと、特定のショ糖脂肪酸エステルと、脂肪酸エステル化合物Pを含む組成物(分散液)は、析出物や分離の発生が抑制され、酸性条件下であっても析出物や分離の発生が抑制され、しかも優れた透明性を有していた。
【0091】
【要約】
【課題】酸性条件下であっても析出物や分離の発生が抑制され、分散安定性に優れるカンナビノイドの分散液を形成することができる組成物を提供する。
【解決手段】本発明は、カンナビノイドと、ショ糖脂肪酸エステルと、ポリグリセリン脂肪酸エステルおよびソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種の脂肪酸エステル化合物Pとを含む組成物であって、前記ショ糖脂肪酸エステルは、炭素数が12~14である脂肪酸部位を有するショ糖脂肪酸エステルを含有する。
【選択図】なし