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特許7338100機能モジュール及び該機能モジュールを備えた顕微鏡
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】機能モジュール及び該機能モジュールを備えた顕微鏡
(51)【国際特許分類】
   G02B 21/00 20060101AFI20230829BHJP
   G02B 21/24 20060101ALI20230829BHJP
   G02B 26/08 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
G02B21/00
G02B21/24
G02B26/08 E
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020545435
(86)(22)【出願日】2018-10-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-12
(86)【国際出願番号】 EP2018078996
(87)【国際公開番号】W WO2019096547
(87)【国際公開日】2019-05-23
【審査請求日】2020-07-01
【審判番号】
【審判請求日】2022-06-01
(31)【優先権主張番号】17202113.1
(32)【優先日】2017-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520171789
【氏名又は名称】エスディー オプティクス、インコーポレイテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】506277258
【氏名又は名称】ステレオ ディスプレイ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガイダク、アレキサンダー
(72)【発明者】
【氏名】セオ、チェオン スー
(72)【発明者】
【氏名】チョ、ギョンギル
(72)【発明者】
【氏名】ソン、ジン ヤン
(72)【発明者】
【氏名】リッペルト、ヘルマット
【合議体】
【審判長】波多江 進
【審判官】山村 浩
【審判官】安藤 達哉
(56)【参考文献】
【文献】特開昭52-26844(JP,A)
【文献】国際公開第2011/125370(WO,A1)
【文献】特表2008-500585(JP,A)
【文献】特開2009-105396(JP,A)
【文献】特開2005-77253(JP,A)
【文献】特開2011-90248(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0279733(US,A1)
【文献】国際公開第2007/134264(WO,A2)
【文献】”Multidimensional single-molecule imaging in live cells using total-internal-reflection fluorescence microcoy”,OPTICS LETTERS,Vol.31,No.14,2006,p.2157-p.2159
【文献】”Extended depth-of-field microscopy with a high-speed deformable mirror”,OPTICS LETTERS,Vol.42,No.5,2017,p.995-p.998
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B19/00-21/00
G02B21/06-21/36
G02B26/00-26/08
G02B5/00-5/136
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
顕微鏡の機能モジュールであって、
前記機能モジュールを前記顕微鏡のモジュールサポートに取り外し可能に取り付けるための機械的インタフェースと、
前記顕微鏡の対物レンズから前記機能モジュールへ光学経路を確立するための光学インタフェースと、
少なくとも1つのイメージセンサと、
第1の微小電気機械光学システム及び第2の微小電気機械光学システムと、
前記光学インタフェースと前記イメージセンサとの間に配置され、前記光学インタフェースを交差する前記光学経路を、前記第1の微小電気機械光学システムに方向付けられる第1の光学サブパス及び前記第2の微小電気機械光学システムに方向付けられる第2の光学サブパスに分割し、2つの光学サブパスを組み合わせ、前記イメージセンサに向けて光を方向付ける、ビームスプリッタ又は偏光ビームスプリッタと、
を備え、
前記第1の微小電気機械光学システムは、前記イメージセンサに方向付けられる前記第1の光学サブパス上で被写界深度を高めるために構成され、前記第2の微小電気機械光学システムは、前記イメージセンサに方向付けられる前記第2の光学サブパス上で被写界深度を高めるために構成され、
前記第1の微小電気機械光学システム及び前記第2の微小電気機械光学システムのそれぞれは、可動マイクロミラーのアレイを有し、前記可動マイクロミラーのそれぞれは、2自由度回転及び1自由度並進を示し、
前記第1の微小電気機械光学システム及び前記第2の微小電気機械光学システムのそれぞれからの光は、前記ビームスプリッタ又は前記偏光ビームスプリッタを介して前記イメージセンサに方向付けられ、
前記第1の微小電気機械光学システム及び前記第2の微小電気機械光学システムのそれぞれは、拡大された被写界深度を有するイメージを生成するためのイメージを前記イメージセンサに方向付ける、機能モジュール。
【請求項2】
前記第1の光学サブパス及び前記第2の光学サブパスは、互いに垂直であり、前記ビームスプリッタ内又は前記偏光ビームスプリッタ内で互いに交差する、請求項1に記載の機能モジュール。
【請求項3】
前記第1の微小電気機械光学システムと、前記ビームスプリッタ又は前記偏光ビームスプリッタと、前記光学インタフェースとは、直線上に配置され、前記第2の微小電気機械光学システム、前記ビームスプリッタ又は前記偏光ビームスプリッタ、及び前記イメージセンサは、直線上に配置される、請求項1に記載の機能モジュール。
【請求項4】
前記ビームスプリッタは、前記偏光ビームスプリッタである、請求項1に記載の機能モジュール。
【請求項5】
波長板は、前記第1の光学サブパス及び/又は前記第2の光学サブパス上に配置される、請求項に記載の機能モジュール。
【請求項6】
レンズ又はカラーフィルタは、前記第1の光学サブパス上、前記第2の光学サブパス上、及び/又は前記光学経路上に配置される、請求項5に記載の機能モジュール。
【請求項7】
前記波長板前記レンズ又は前記カラーフィルタと前記偏光ビームスプリッタとの間に配置される、請求項6に記載の機能モジュール。
【請求項8】
前記第1の微小電気機械光学システム及び前記第2の微小電気機械光学システム及び前記イメージセンサの同期制御のための制御ユニットをさらに備える、請求項1に記載の機能モジュール。
【請求項9】
前記制御ユニットは、さらに、前記イメージのスタックを拡大された被写界深度を有するイメージに処理するために構成される、請求項8に記載の機能モジュール。
【請求項10】
対物レンズ及び請求項1、2および9のいずれか一項に記載の機能モジュールを備え、前記機能モジュールの機械的インタフェースは、顕微鏡のモジュールサポートに取り付けられる、顕微鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顕微鏡の機能モジュールに関する。機能モジュールは、顕微鏡のモジュールサポートに取り付けられることができる。さらに、本発明は、機能モジュールを備えた顕微鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
独国19733193A1は、補償光学系を有する顕微鏡を教示する。送信波面変調器は、対物レンズとチューブレンズとの間に配置される。顕微鏡は、共焦点顕微鏡、レーザサポート顕微鏡、従来の顕微鏡、又は分析顕微鏡に使用されることができる。
【0003】
米国7,345,816B2は、照明光を用いてサンプルを照射する光源を含む光学顕微鏡を示す。可変反射面を有するミラーは、照明光を反射する。補正テーブルは、焦点位置及び収差の変化に対応する反射面の複数の形の複数のデータを格納する。
【0004】
米国7,269,344B2は、可変形ミラー及び電子ズーム機能が設けられた撮像光学システムを有する光学装置を教示する。可変形ミラーの光線屈折機能は、使用されるイメージに対応する目的領域の変化に従って変化する。この解決手段は、可変倍率比が増大する場合でも、得られるイメージの高い鮮明さを得ることを目的とする。
【0005】
国際公開第2005/119331A1は、2自由度回転及び1自由度並進を有する複数のマイクロミラーを備える可変焦点距離レンズを教示する。マイクロミラーの2自由度回転及び1自由度並進は、レンズの焦点距離を変化させ、光の同一位相条件を満たすよう制御される。レンズは、回折フレネルレンズである。
【0006】
国際公開第2007/134264A2は、可変焦点距離マイクロミラーレンズを有する3次元撮像システムを示す。マイクロミラーアレイレンズは、複数のマイクロミラーを備え、マイクロミラーのそれぞれは、マイクロミラーレンズの焦点距離を変化するよう制御される。撮像システムは、さらに、イメージングユニットにより取り込まれるイメージ及びマイクロミラーレンズの焦点距離情報を用いて3次元画像データを生成するイメージングユニット及びイメージ処理ユニットを備える。
【0007】
Optics Letters,31巻,14号,2006年7月15日におけるWebb,S.E.Dらの論文「全反射照明蛍光顕微鏡を用いた生細胞の多次元単一分子撮像(Multidimensional single-molecule imaging in live cells using total-internal-reflection fluorescence microscopy)」は、波長及び偏光の両方において解像される生細胞内の単一分子を撮像できる広視野の全反射照明蛍光顕微鏡を示す。生細胞の細胞膜におけるシグナリング受容体に結合する蛍光分子の単一のペアの間の蛍光共鳴性エネルギー移行が説明される。
【0008】
米国2011/0096393A1は、3又はより多くのデバイスが、顕微鏡に接続されることができ、同時に使用されることができることを教示する。顕微鏡接続ポートを含む顕微鏡接続ユニットは、サンプルを観察するのに使用される顕微鏡に接続される。
【0009】
米国2007/0279733A1では、標本を撮像するための光デバイスが示される。光デバイスは、メイン対物レンズ及び被写界深度を修正するためのデバイスを備える。そのデバイスは、それらの空間的配向に関して個別に制御可能で調節可能なマイクロミラーを有するマイクロミラーアレイを表す。
【0010】
Optics Letters,42巻,5号,2017年3月1日におけるShain,William J.らの論文「高速可変形ミラーを有する拡張被写界深度顕微鏡(Extended depth-of-field microscopy with a high-speed deformable mirror)」は、20kHzのアップデートレートで可変形ミラーを用いる光速、光効率の拡張被写界深度(EDOF)を提供する広視野の蛍光顕微鏡アドオンを教示する。
【0011】
米国2006/0018651A1は、少なくとも1つのマイクロミラーレンズ、イメージセンサ、及び信号処理器を備える自動フォーカスシステムを示す。マイクロミラーレンズは、物体をイメージし、イメージセンサ上でイメージに焦点を合わせる。
【発明の概要】
【0012】
本発明の目的は、拡大された被写界深度でイメージの効率的記録を可能とする顕微鏡の機能モジュール及び対応する顕微鏡を提供することである。
【0013】
前述の目的は、添付の請求項1に係る機能モジュールにより、また添付の請求項15に係る顕微鏡により実現される。
【0014】
本発明に係る機能モジュールは、顕微鏡に又は顕微鏡の基体に取り付けられるのに適用可能である。特に、本発明に係る機能モジュールは、顕微鏡に又は対物レンズを備える顕微鏡の基体に取り付けられるのに適用可能である。したがって、機能モジュールは、顕微鏡のモジュールサポートに機能モジュールを取り外し可能に取り付けるための機械的インタフェース、特に、顕微鏡にて機械的接続への機能モジュールのアタッチメントを備える。モジュールサポートは、顕微鏡に、特に対物レンズを備える顕微鏡の基体に形成される。さらに、機能モジュールは、顕微鏡の対物レンズから機能モジュールへの光学経路を確立するための光学インタフェースを備える。光学インタフェースは、好ましくは、機械的インタフェースに統合される。
【0015】
本発明に係る機能モジュールは、さらに、光学インタフェースを介してイメージセンサに移動されるイメージを電気信号に変換するための少なくとも1つのイメージセンサを備える。そこから、イメージセンサは、対物レンズにより得られるイメージを電気信号に変換する。イメージセンサは、好ましくは半導体、例えば、CMOSである。イメージセンサは、好ましくは、偏光に敏感なイメージセンサである。
【0016】
本発明に係る機能モジュールは、さらに、第1の微小電気機械光学システム及び第2の微小電気機械光学システムを備える。第1の微小電気機械光学システムは、第1の光学サブパスの被写界深度を高めるために構成される。第1の光学サブパスは、イメージセンサに方向付けられる。そこから、第1の微小電気機械光学システムは、光学インタフェース、第1の光学サブパス、及びイメージセンサを用いて被写界深度を高めるために構成される。第2の微小電気機械光学システムは、第2の光学サブパスの被写界深度を高めるために構成される。第2の光学サブパスも、イメージセンサに方向付けられる。そこから、第2の微小電気機械光学システムは、光学インタフェース、第2の光学サブパス、及びイメージセンサを用いて被写界深度を高めるために構成される。第1の光学サブパス及び第2の光学サブパスは、光学インタフェースを交差する光学経路から導かれる。第1の微小電気機械光学システム及び第2の微小電気機械光学システムのそれぞれは、イメージをイメージセンサに方向付けられ、これらのイメージは、拡大された被写界深度でイメージを生成するのに好適である。好ましくは、第1の微小電気機械光学システムにより方向付けられるイメージ及び第2の微小電気機械光学システムにより方向付けられるイメージは、顕微鏡の対物レンズにより得られる同一のイメージを表す。代替的に、第1の微小電気機械光学システムにより方向付けられるイメージ及び第2の微小電気機械光学システムにより方向付けられるイメージは、顕微鏡の対物レンズにより得られるイメージの異なるエリアを表す。代替的に、第1の微小電気機械光学システムにより方向付けられるイメージ及び第2の微小電気機械光学システムにより方向付けられるイメージは、顕微鏡の対物レンズにより観察されるサンプルのイメージセンサでの異なる倍率を表す。代替的に、第1の微小電気機械光学システムにより方向付けられるイメージ及び第2の微小電気機械光学システムにより方向付けられるイメージは、光の偏光の異なる状態、光の異なるスペクトル領域、光の異なる位相状態を表す。
【0017】
本発明に係る機能モジュールの特別な利点は、少なくとも2つの微小電気機械光学システムにより多くの光が収集されることができるから、拡大された被写界深度(EDOF)を有するイメージが、微視的に調査されるのにサンプルの低い光レベルで生成されることができることである。これは、理想的な反射及び散乱、口径食などに起因する損失がないことを考慮すると、対物レンズによって収集される光の100%に近い可能性がある。本発明に係る機能モジュールのさらなる利点は、2つの微小電気機械光学システムによるフォーカスが速いから、拡大された被写界深度(EDOF)を有するイメージが短時間で生成されることができることである。
【0018】
本発明に係る機能モジュールの好ましい実施形態では、機能モジュールは、少なくとも2つのイメージセンサを備える。第1の光学サブパス及び第2の光学サブパスは、第1イメージセンサに方向付けられる。そこから、第1の微小電気機械光学システム及び第2の微小電気機械光学システムは、第1イメージセンサに関連する。好ましくは、機能モジュールは、少なくとも3つの微小電気機械光学システムを備える。好ましくは、1又は複数のさらなる微小電気機械光学システムは、第2のイメージセンサに関連する。
【0019】
本発明に係る機能モジュールの好ましい実施形態では、微小電気機械光学システムのそれぞれは、可動マイクロミラーのアレイを備える。可動マイクロミラーのそれぞれは、2自由度回転及び1自由度並進を示す。第1の微小電気機械光学システムの可動マイクロミラーの自由度並進は、好ましくは、第1の光学サブパスに沿っている。第2の微小電気機械光学システムの可動マイクロミラーの自由度並進は、好ましくは、第2の光学サブパスに沿っている。第1の微小電気機械光学システムの可動マイクロミラーの2自由度回転は、好ましくは、第1の光学サブパスに垂直である。第2の微小電気機械光学システムの可動マイクロミラーの2自由度回転は、好ましくは、第2の光学サブパスに垂直である。
【0020】
微小電気機械光学システムは、好ましくは、ミラーアレイレンズシステムである。そのようなミラーアレイレンズシステムは、MALSの商標の下で提供されている。
【0021】
好ましくは、第1の微小電気機械光学システム及び第2の微小電気機械光学システムは等しい。代替的に、第1の微小電気機械光学システム及び第2の微小電気機械光学システムは、異なるミラーアレイレンズシステムである。
【0022】
好ましくは、微小電気機械光学システムのそれぞれはフレネルレンズを形成する。
【0023】
本発明に係る機能モジュールの好ましい実施形態では、微小電気機械光学システムのそれぞれは、ビームスプリッタ、カラービームスプリッタ、又は偏光ビームスプリッタに方向付けられる。ビームスプリッタ、カラービームスプリッタ、又は偏光ビームスプリッタは、2つの光学サブパスを組み合わせ、イメージセンサに向けて光を方向付ける。ビームスプリッタ、カラービームスプリッタ、又は偏光ビームスプリッタは、光学インタフェースを交差する光学経路を第1の微小電気機械光学システムに方向付けられる第1の光学サブパス及び第2の微小電気機械光学システムに方向付けられる第2の光学サブパスに分割される。さらに、第1の微小電気機械光学システムは、好ましくは、ビームスプリッタ、カラービームスプリッタ、又は偏光ビームスプリッタを介してイメージセンサに光学的に方向付けられる。また、第2の微小電気機械光学システムは、好ましくは、ビームスプリッタ、カラービームスプリッタ、又は偏光ビームスプリッタを介してイメージセンサに光学的に方向付けられる。
【0024】
好ましくは、ビームスプリッタ、カラービームスプリッタ、又は偏光ビームスプリッタは、第1の微小電気機械光学システムと光学インタフェースとの間に配置される。好ましくは、ビームスプリッタ、カラービームスプリッタ、又は偏光ビームスプリッタは、第2の微小電気機械光学システムとイメージセンサとの間に配置される。
【0025】
好ましくは、第1の光学サブパス及び第2の光学サブパスは、互いに垂直であり、ビームスプリッタ、カラービームスプリッタ、又は偏光ビームスプリッタ内で互いに交差する。
【0026】
好ましくは、第1の微小電気機械光学システム、及びビームスプリッタ、カラービームスプリッタ、又は偏光ビームスプリッタ、及び光学インタフェースは、直線上に配置される。好ましくは、第2の微小電気機械光学システム、ビームスプリッタ、及びカラービームスプリッタ、又は偏光ビームスプリッタ、及びイメージセンサは、直線上に配置される。
【0027】
好ましくは、ビームスプリッタは、好ましくは偏光ビームスプリッタである。偏光ビームスプリッタは、光学経路の光を偏光する。
【0028】
本発明に係る機能モジュールの好ましい実施形態では、波長板は、第1の光学サブパス及び/又は第2の光学サブパス上に配置される。1つの波長板又は波長板のそれぞれは、好ましくは、λ/4波長板である。好ましくは、第1波長板が第1の光学サブパス上に配置され、第2波長板が第2の光学サブパス上に配置される。好ましくは、第1波長板は、第1の微小電気機械光学システムとビームスプリッタとの間で第1の光学サブパス上に配置される。好ましくは、第2波長板は、第2の微小電気機械光学システムとビームスプリッタとの間で第2の光学サブパス上に配置される。
【0029】
本発明に係る機能モジュールの好ましい実施形態では、ビームスプリッタは偏光ビームスプリッタであり、機能モジュールはさらに第1の微小電気機械光学システムとビームスプリッタとの間で第1の光学サブパス上に配置される第1のλ/4波長板を備え、第2のλ/4波長板は、第2の微小電気機械光学システムとビームスプリッタとの間で第2の光学サブパス上に配置される。実施形態は、唯一の微小電気機械光学システムを備える先行技術に係る実施形態と比較すると、2つの微小電気機械光学システムにより最大75%の多くの光を収集することができるから、微視的に調査されるサンプルの非常に低い光レベルで拡大された被写界深度を有するイメージを生成できるという特別な利点を示す。対物レンズにより収集される光の100%近くを、イメージセンサに方向付けることができる。
【0030】
本発明に係る機能モジュールの好ましい実施形態では、レンズ、カラーフィルタ、アクティブ音響光学変調器、アクティブ電気光学変調器、及び/又はパッシブ又はアクティブ干渉素子は、第1の光学サブパス上、第2の光学サブパス上、及び/又は光学経路上に配置される。さらに、これらのコンポーネントは、特定の機能を提供することができる。
【0031】
レンズ、カラーフィルタ、アクティブ音響光学変調器、アクティブ電気光学変調器、及び/又はパッシブ又はアクティブ干渉素子は、好ましくは、第1の微小電気機械光学システムとビームスプリッタ、カラービームスプリッタ、又は偏光ビームスプリッタとの間、第2の微小電気機械光学システムとビームスプリッタ、カラービームスプリッタ、又は偏光ビームスプリッタとの間、ビームスプリッタとイメージセンサ及び/又は光学インタフェースとの間に配置される。レンズ、カラーフィルタ、アクティブ音響光学変調器、アクティブ電気光学変調器、及び/又はパッシブ又はアクティブ干渉素子は、好ましくは、第1の微小電気機械光学システムとビームスプリッタ、カラービームスプリッタ、又は偏光ビームスプリッタとの間の第1のサブパス、及び/又は第2の微小電気機械光学システムとビームスプリッタ、カラービームスプリッタ、又は偏光ビームスプリッタとの間で第2の光学サブパスに配置される。第1の微小電気機械光学システムとビームスプリッタ、カラービームスプリッタ、又は偏光ビームスプリッタとの間のレンズ、ビームスプリッタ、カラービームスプリッタ、又は偏光ビームスプリッタとイメージセンサとの間のレンズに結合される、第2の微小電気機械光学システムとビームスプリッタ、カラービームスプリッタ、又は偏光ビームスプリッタとの間のレンズ、及び光学インタフェースにおけるレンズは、第1の光学サブパス及び第2の光学サブパスに対して様々な拡大及びイメージセンサによる連続的検出をもたらしてよい。
【0032】
本発明に係る機能モジュールの好ましい実施形態は、さらに、2つの微小電気機械光学システム及びイメージセンサの同期制御のための制御ユニットを備える。好ましくは、制御ユニットは、さらに、イメージセンサにより変換されるイメージを処理するために構成される。2つの微小電気機械光学システムは、完全な機能モジュールに必要な正確な機能に依存して異なるやり方で同期されることができる。
【0033】
好ましくは、制御ユニットは、さらに、第1の微小電気機械光学システムによりフレネルレンズ又はグレーティングを形成するため、また第2の微小電気機械システムによりフレネルレンズ又はグレーティングを形成するために構成される。
【0034】
好ましくは、制御ユニットは、さらに、異なる値の焦点を有する複数のイメージを取得して、イメージのスタックをもたらすよう構成される。異なる値の焦点は、2つの微小電気機械光学システムを制御することにより、特に、両方の微小電気機械光学システムの可動マイクロミラーを移動することにより、さらに特に、両方の微小電気機械光学システムの可動マイクロミラーを移動することにより、様々な値の焦点距離をそれぞれ用いてフレネルレンズ又はグレーティングを形成することで得られる。2つの微小電気機械光学システムの焦点位置は、必要な機能に依存して同一又は異なることができる。焦点位置の変更は、同期又は独立させることができる。
【0035】
好ましくは、制御ユニットは、さらに、イメージのスタックを拡大された被写界深度を有するイメージに処理するよう構成される。
【0036】
好ましくは、制御ユニットは、さらに、イメージのスタック又は拡大された被写界深度を有するイメージを処理して3次元画像を実現するよう構成される。好ましくは、制御ユニットは、さらに、複数のイメージのスタック又は拡大された被写界深度を有する複数のイメージを処理して3次元画像を実現するよう構成される。
【0037】
好ましくは、制御ユニットは、さらに、2つの微小電気機械光学システムにより予め定められた焦点位置に従う、又は2つの微小電気機械光学システムにより異なる焦点位置に従う、又は2つの微小電気機械光学システムにより少なくとも1つの特定の焦点位置を見つけるよう構成される。2又はそれより多くの焦点位置は、空間的に離間、すなわちXY面内で離間されることができる。分離は、好ましくは、固定又は調節可能な光学装置を用いることにより、又は偏光により、又はスペクトル域により、これらの組み合わせにより得られる。
【0038】
代替的に、制御ユニットは、好ましくはさらに、一時的な分離をもたらすレジストレーション時間に基づいて2又はそれより多くの焦点位置を分離するために構成される。このため、光学サブパスは、一定期間、個別にブロック又はスイッチオフされる。そのようなシャッタ機能を提供すべく、機能モジュールは、好ましくはシャッタ、例えば機械的シャッタ、電気光学シャッタ、又は音響光学シャッタを備える。代替的に、シャッタ機能は、スペクトル分離又は光の偏光のスイッチングに基づく。
【0039】
好ましくは、制御ユニットは、さらに、それぞれ機能モジュールの可変的感度及び機能モジュールが設けられた顕微鏡を提供するために構成される。好ましくは、制御ユニットは、さらに、拡大された被写界深度を有するイメージの生成の可変的効率を提供するために構成される。
【0040】
好ましくは、制御ユニットは、さらに、第1の光学サブパスのイメージ及び第2の光学サブパスのイメージを分割するために構成される。その分割は、好ましくは、偏光、スペクトル域、光の位相、又は焦点位置に基づいて得られる。
【0041】
好ましくは、制御ユニットは、さらに、顕微鏡の対物レンズにより得られるイメージの異なるエリアが第1の微小電気機械光学システムにより及び第2の微小電気機械システムにより方向付けられるよう構成される。
【0042】
好ましくは、制御ユニットは、さらに、蛍光検出の効率を高めるために構成される。
【0043】
好ましくは、制御ユニットは、さらに、第1の光学サブパス及び第2の光学サブパスの異なる倍率のために構成される。好ましくは、制御ユニットは、さらに、第1の光学サブパス及び第2の光学サブパスの可変倍率のために構成される。
【0044】
好ましくは、制御ユニットは、さらに、第1の光学サブパス及び第2の光学サブパスの異なる値の被写界深度のために構成される。好ましくは、制御ユニットは、さらに、第1の光学サブパス及び第2の光学サブパスの被写界深度の可変値のために構成される。
【0045】
好ましくは、制御ユニットは、さらに、第1の光学サブパス及び第2の光学サブパスの横方向又は軸方向の解像度の異なる値のために構成される。好ましくは、制御ユニットは、さらに、第1の光学サブパス及び第2の光学サブパスの横方向又は軸方向の解像度の可変値のために構成される。
【0046】
好ましくは、制御ユニットは、さらに、第1の光学サブパス及び第2の光学サブパスのデュアルカラー検出の可変値のために構成される。
【0047】
好ましくは、機能モジュールは、好ましくは、3色のビームスプリッタにより、デュアルカラービームスプリッタのセットにより、又は次々に配置された誘電体ミラーにより形成されるマルチカラービームスプリッタユニットを備える。マルチカラービームスプリッタユニットは、個々のスペクトル領域を有する複数のチャネルを提供する。これらは、2より大きチャネルである。機能モジュールの実施形態は、好ましくは、上記のようなイメージセンサの複数を備える。複数のチャネル及び光学サブパスは、好ましくはさらに、複数のイメージセンサを拡大することでスケールされる。代替的に、機能モジュールは、1チャネル内で異なる色を分割する音響光学アクチュエータ又は干渉計を備える。
【0048】
好ましくは、制御ユニットは、さらに、第1の光学サブパス及び第2の光学サブパス上のマルチスペクトル検出のために構成される。
【0049】
好ましくは、制御ユニットは、さらに、第1の光学サブパス及び第2の光学サブパス上の偏光感度検出のために構成される。
【0050】
好ましくは、制御ユニットは、さらに、第1の光学サブパス及び第2の光学サブパス上の位相感度検出のために構成される。
【0051】
本発明に係る顕微鏡は、微視的に調査されるサンプルからの光を収集するための対物レンズを備える。顕微鏡は、さらに、本発明に係る機能モジュールを備える。機能モジュールの機械的インタフェースは、顕微鏡のモジュールサポートに取り付けられる。したがって、光学経路は、光学インタフェースを介して対物レンズから機能モジュールに確立される。光学経路は、機能モジュール内で第1の光学サブパス及び第2の光学サブパスに分割される。
【0052】
好ましくは、顕微鏡は、本発明に係る機能モジュールの好ましい実施形態を備える。
【0053】
好ましくは、顕微鏡は、微視的に調査されるサンプルを照明するための照明を備える。
【図面の簡単な説明】
【0054】
本発明のさらなる利点、詳細及び改良は、図面を参照して、本発明の好ましい実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。
図1】本発明に係る顕微鏡の第1の好ましい実施形態の概略図である。
図2】本発明に係る顕微鏡の第2の好ましい実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
図1は、本発明に係る顕微鏡の第1の好ましい実施形態の概略図を示す。顕微鏡は、基体01及び本発明に係る機能モジュール02の第1の好ましい実施形態を備える。顕微鏡の基体01は、微視的に調査されるサンプル04からの光を収集する対物レンズ03を備える。顕微鏡の基体01は、さらに、レンズ07を含む異なるタイプの照明06、及び照明06の光を顕微鏡の光学経路09にフィードするためのビームスプリッタ08をさらに備える。
【0056】
機能モジュール02は、機能モジュール02を、顕微鏡の基体01のモジュールサポート(不図示)上へ取り付けるための機械的インタフェース10を備える。中間像面11及び瞳12は、機械的インタフェース10内に配置されることができ、かつ、基体01の光学経路09を機能モジュール02に拡張する光学インタフェースを形成する。機能モジュール02は、顕微鏡の基体01のモジュールサポート(不図示)上へ取り外し可能に取り付けられる。したがって、機能モジュール02は、他のモジュール(不図示)により置き換えることができる。
【0057】
機能モジュール02は、光学経路09を第1の光学サブパス14及び第2の光学サブパス16に分割するビームスプリッタ13を備える。第1の光学サブパス14及び第2の光学サブパス16は、互いに垂直である。第1の光学サブパス14及び光学経路09は、同軸上に配置される。
【0058】
機能モジュール02の第1の微小電気機械光学システム17は、第1の光学サブパス14上に配置される。機能モジュール02の第2の微小電気機械光学システム18は、第2の光学サブパス16上に配置される。微小電気機械光学システム17、18のそれぞれは、可動マイクロミラー19のアレイを備える。可動マイクロミラー19のそれぞれは、2自由度回転及び1自由度並進を示す。
【0059】
機能モジュール02は、さらに、イメージセンサ21を備える。第1の微小電気機械光学システム17及び第2の微小電気機械光学システム18のマイクロミラー19により反射される光は、ビームスプリッタ13を介してイメージセンサ21に方向付けられる。
【0060】
図2は、本発明に係る顕微鏡の第2の好ましい実施形態の概略図を示す。顕微鏡は、本発明に係る機能モジュール02の第2の好ましい実施形態を備える。基体01は、図1に示される実施形態と同様である。機能モジュール02の第2の好ましい実施形態は、図1に示される機能モジュール02の第1の好ましい実施形態のすべてのコンポーネントを備える。また、ビームスプリッタ13は、光学経路09の光を偏光している。また、第1の微小電気機械光学システム17は、第1の光学サブパス14上に第1のλ/4波長板23を備える。また、第2の微小電気機械光学システム18は、第2の光学サブパス16上に第2のλ/4波長板24を備える。
【0061】
さらに、第1の微小電気機械光学システム17は、第1の光学サブパス14上にレンズ又はカラーフィルタのような第1の光学素子26を備えることができる。さらに、第2の微小電気機械光学システム18は、第2の光学サブパス16上にレンズ又はカラーフィルタのような第2の光学素子27を備えることができる。レンズ又はカラーフィルタのような第3の光学素子28は、ビームスプリッタ13及びイメージセンサ21の間に配置されることができる。レンズ又はカラーフィルタのような第4の光学素子29は、光学経路09上に配置されることができる。
【符号の説明】
【0062】
01 基体
02 機能モジュール
03 対物レンズ
04 サンプル
06 照明
07 レンズ
08 ビームスプリッタ
09 光学経路
10 機械的インタフェース
11 中間像面
12 瞳
13 ビームスプリッタ
14 第1の光学サブパス
16 第2の光学サブパス
17 第1の微小電気機械光学システム
18 第2の微小電気機械光学システム
19 可動マイクロミラー
21 イメージセンサ
23 第1のλ/4波長板
24 第2のλ/4波長板
26 第1の光学素子
27 第2の光学素子
28 第3の光学素子
29 第4の光学素子
図1
図2