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特許7338106経済状態の予測方法、経済状態予測モデルの構築方法及び対応装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】経済状態の予測方法、経済状態予測モデルの構築方法及び対応装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/04 20230101AFI20230829BHJP
   G06Q 50/26 20120101ALI20230829BHJP
【FI】
G06Q10/04
G06Q50/26
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021077050
(22)【出願日】2021-04-30
(65)【公開番号】P2021174560
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2021-04-30
(31)【優先権主張番号】202010360886.6
(32)【優先日】2020-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512015127
【氏名又は名称】バイドゥ オンライン ネットワーク テクノロジー(ペキン) カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フアン、ジジョウ
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ハイフェン
(72)【発明者】
【氏名】ファン、ミアオ
(72)【発明者】
【氏名】ション、ハオイ
(72)【発明者】
【氏名】ズオ、アン
(72)【発明者】
【氏名】リ、イン
(72)【発明者】
【氏名】ドウ、デジン
【審査官】毛利 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-046376(JP,A)
【文献】特開平08-314892(JP,A)
【文献】特開2018-180996(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109376899(CN,A)
【文献】Lei Dong 他,Measuring Economic Activities of China with Mobile Big Data[online],arXiv,2016年08月02日,https://arxiv.org/pdf/1607.04451v4.pdf,[2020年12月9日検索]<URL:https://arxiv.org/pdf/1607.04451v4.pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータにより実行される、経済状態を予測する方法であって、
地図型アプリケーションデータから、予測待ち領域について、将来の予測待ち時間帯よりも前のN個の履歴時間帯における地理位置点アクティブデータをそれぞれ取得し、前記Nは正整数であり、
前記予測待ち時間帯よりも前のN個の履歴時間帯における地理位置点アクティブデータの特徴ベクトルを予め訓練された経済状態予測モデルにそれぞれ入力し、前記予測待ち時間帯における前記予測待ち領域の経済指標データを得る、
ことを含み、
前記経済状態予測モデルは、入力層と、埋め込み層と、予測層とを含み、
前記入力層は、予測待ち時間帯よりも前のN個の履歴時間帯における地理位置点アクティブデータの特徴ベクトル表現を埋め込み層に出力し、
前記埋め込み層は、入力されたi個目の時間帯における地理位置点アクティブデータの特徴ベクトルxと、i-1個目の時間帯に対応する埋め込み層ベクトルhi-1とを重み付け処理してi個目の時間帯に対応する埋め込み層ベクトルhを得、前記予測待ち時間帯の1つ前の時間帯に対応する埋め込み層ベクトルに重み付け係数を乗算して前記予測待ち時間帯に対応する埋め込み層ベクトルを得、前記i個目の時間帯は、前記N個の履歴時間帯における各時間帯を時間順でそれぞれ取り、
前記予測層は、前記予測待ち時間帯に対応する埋め込み層ベクトルに基づいて、前記予測待ち時間帯の経済指標データをマッピングして得る
方法。
【請求項2】
前記経済状態予測モデルは、時系列モデルを用いて、地理位置点アクティブデータの時間分布と経済指標データの時間分布との間の強い相関関係を構築する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記地理位置点アクティブデータは、ユーザが商業系の地理位置点に訪問したデータ、新規の商業系の地理位置点のデータ、ユーザが商業系の地理位置点を問い合わせたデータ及び有効な商業系の地理位置点のデータのうちの少なくとも一つを含み、
前記経済指標データは、国民総生産GDP、経営者購買指数PMI、及び住民消費指数CPIのうちの少なくとも1つを含む、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記地理位置点アクティブデータは、特定の業種に対応する地理位置点のタイプの地理位置点アクティブデータであり、
得られた前記経済指標データは、前記特定の業種に対する経済指標データである、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
コンピュータにより実行される、経済状態予測モデルを構築する方法であって、
地図型アプリケーションデータから、予測待ち領域について、それぞれ連続するM個の時間帯における地理位置点アクティブデータを取得し、経済指標データベースから前記M個の時間帯における前記予測待ち領域の実際の経済指標データを取得し、前記Mは1より大きい正整数であり、
取得された前記連続するM個の時間帯における地理位置点アクティブデータと実際の経済指標データとを訓練データとして時系列モデルを訓練し、前記予測待ち領域に対する経済状態予測モデルを得る、ことを含み、
前記経済状態予測モデルは、将来の予測待ち時間帯よりも前のN個の履歴時間帯における前記予測待ち領域の地理位置点アクティブデータに基づいて、前記予測待ち時間帯における前記予測待ち領域の経済指標データを出力し、前記Nは正整数であり、M≧Nであり、
前記経済状態予測モデルは、入力層と、埋め込み層と、予測層とを含み、
前記入力層は、前記訓練データから複数の時間帯を目標時間帯としてそれぞれ選択し、前記訓練データにおける各時間帯の地理位置点アクティブデータの特徴ベクトルを埋め込み層に出力し、
前記埋め込み層は、i個目の時間帯における地理位置点アクティブデータの特徴ベクトルxと、i-1個目の時間帯に対応する埋め込み層ベクトルhi-1とを重み付け処理してi個目の時間帯に対応する埋め込み層ベクトルhを得、前記目標時間帯の1つ前の時間帯に対応する埋め込み層ベクトルに重み付け係数を乗算して前記目標時間帯に対応する埋め込み層ベクトルを得、前記i個目の時間帯は、前記訓練データにおける目標時間帯よりも前の各時間帯を時間順でそれぞれ取り、
前記予測層は、目標時間帯に対応する埋め込み層ベクトルに基づいて、前記目標時間帯の経済指標データをマッピングして得、
前記経済状態予測モデルの訓練目標は、前記予測層により得られた経済指標データと訓練データの中の対応する実際の経済指標データとの差を最小化することである、
方法。
【請求項6】
前記経済状態予測モデルは、訓練過程において、地理位置点アクティブデータの時間分布と経済指標データの時間分布との間の強い相関関係を学習する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記地理位置点アクティブデータは、ユーザが商業系の地理位置点に訪問したデータ、新規の商業系の地理位置点のデータ、ユーザが商業系の地理位置点を問い合わせたデータ及び有効な商業系の地理位置点のデータのうちの少なくとも1つを含み、
前記経済指標データは、国民総生産GDP、経営者購買指数PMI、及び住民消費指数CPIのうちの少なくとも1つを含む、
請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
経済状態を予測する装置であって、
地図型アプリケーションデータから、予測待ち領域について、将来の予測待ち時間帯よりも前のN個(Nは正整数である)の履歴時間帯における地理位置点アクティブデータをそれぞれ取得するデータ取得ユニットと、
前記予測待ち時間帯よりも前のN個の履歴時間帯における地理位置点アクティブデータの特徴ベクトルを予め訓練された経済状態予測モデルにそれぞれ入力し、前記予測待ち時間帯における前記予測待ち領域の経済指標データを得る予測処理ユニットと、
を備え、
前記経済状態予測モデルは、入力層と、埋め込み層と、予測層とを含み、
前記入力層は、予測待ち時間帯よりも前のN個の履歴時間帯における地理位置点アクティブデータの特徴ベクトル表現を埋め込み層に出力し、
前記埋め込み層は、入力されたi個目の時間帯における地理位置点アクティブデータの特徴ベクトルxと、i-1個目の時間帯に対応する埋め込み層ベクトルhi-1とを重み付け処理してi個目の時間帯に対応する埋め込み層ベクトルhを得、前記予測待ち時間帯の1つ前の時間帯に対応する埋め込み層ベクトルに重み付け係数を乗算して前記予測待ち時間帯に対応する埋め込み層ベクトルを得、前記i個目の時間帯は、前記N個の履歴時間帯における各時間帯を時間順でそれぞれ取り、
前記予測層は、前記予測待ち時間帯に対応する埋め込み層ベクトルに基づいて、前記予測待ち時間帯の経済指標データをマッピングして得る、
装置。
【請求項9】
前記経済状態予測モデルは、時系列モデルを用いて地理位置点アクティブデータの時間分布と経済指標データの時間分布との間の強い相関関係を構築する、
請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記地理位置点アクティブデータは、ユーザが商業系の地理位置点に訪問したデータ、新規の商業系の地理位置点のデータ、ユーザが商業系の地理位置点を問い合わせたデータ及び有効な商業系の地理位置点のデータのうちの少なくとも1つを含み、
前記経済指標データは、国民総生産GDP、経営者購買指数PMI、及び住民消費指数CPIのうちの少なくとも1つを含む、
請求項8又は9に記載の装置。
【請求項11】
経済状態予測モデルを構築する装置であって、
地図型アプリケーションデータから、予測待ち領域についてそれぞれ連続するM個(Mは1より大きい正整数である)の時間帯における地理位置点アクティブデータを取得し、経済指標データベースから前記M個の時間帯における前記予測待ち領域の実際の経済指標データをそれぞれ取得するデータ取得ユニットと、
取得された前記連続するM個の時間帯における地理位置点アクティブデータと実際の経済指標データとを訓練データとして時系列モデルを訓練し、前記予測待ち領域に対する経済状態予測モデルを得るモデル訓練ユニットと、を備え、
前記経済状態予測モデルは、将来の予測待ち時間帯よりも前のN個の履歴時間帯における前記予測待ち領域の地理位置点アクティブデータに基づいて、前記予測待ち時間帯における前記予測待ち領域の経済指標データを出力し、前記Nは正整数であり、M≧Nであり、
前記経済状態予測モデルは、入力層と、埋め込み層と、予測層とを含み、
前記入力層は、前記訓練データから複数の時間帯を目標時間帯としてそれぞれ選択し、前記訓練データにおける各時間帯の地理位置点アクティブデータの特徴ベクトルを埋め込み層に出力し、
前記埋め込み層は、i個目の時間帯における地理位置点アクティブデータの特徴ベクトルxと、i-1個目の時間帯に対応する埋め込み層ベクトルhi-1とを重み付け処理してi個目の時間帯に対応する埋め込み層ベクトルhを得、前記目標時間帯の1つ前の時間帯に対応する埋め込み層ベクトルに重み付け係数を乗算して前記目標時間帯に対応する埋め込み層ベクトルを得、前記i個目の時間帯は、前記訓練データにおける目標時間帯よりも前の各時間帯を時間順でそれぞれ取り、
前記予測層は、目標時間帯に対応する埋め込み層ベクトルに基づいて、前記目標時間帯の経済指標データをマッピングして得、
前記経済状態予測モデルの訓練目標は、前記予測層により得られた経済指標データと訓練データの中の対応する実際の経済指標データとの差を最小化することである、
装置。
【請求項12】
前記経済状態予測モデルは、訓練過程において、地理位置点アクティブデータの時間分布と経済指標データの時間分布との間の強い相関関係を学習する、
請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記地理位置点アクティブデータは、ユーザが商業系の地理位置点に訪問したデータ、新規の商業系の地理位置点のデータ、ユーザが商業系の地理位置点を問い合わせたデータ及び有効な商業系の地理位置点のデータのうちの少なくとも1つを含み、
前記経済指標データは、国民総生産GDP、経営者購買指数PMI、及び住民消費指数CPIのうちの少なくとも1つを含む、
請求項11又は12に記載の装置。
【請求項14】
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサと通信接続されたメモリと、を備え、
前記メモリに前記少なくとも1つのプロセッサにより実行可能なコマンドが記憶されており、前記コマンドが前記少なくとも1つのプロセッサにより実行されると、前記少なくとも1つのプロセッサに請求項1~7のいずれか1項に記載の方法を実行させる電子デバイス。
【請求項15】
コンピュータに請求項1~7のいずれか1項に記載の方法を実行させるためのコンピュータコマンドが記憶された非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項16】
コンピュータに請求項1~7のいずれか1項に記載の方法を実行させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、コンピュータ応用技術分野に関し、特にビッグデータ技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
GDP(Gross Domestic Product、国民総生産)、CPI(consumer price index、住民消費指数)は経済状況を描写する重要な指標として、理想的な状態で経済の動向を予め取得し、国家或いは地域などが関連政策を策定する時に重要な参考根拠とするべきである。例えば、最近の新型コロナウイルスの疫病は急速に爆発し、多くの地域と業種の経済は短期内にある程度の衝撃を受けた。しかし、疫病発生の過程でマクロ経済の動向をリアルタイムで把握することは困難である。
【0003】
既存の経済状態の取得手段は、統計による手段、例えば四半期ごとの実際の経済指標を統計することしかできません。しかし、このような統計方式は前の各時期の経済状況を遅れて取得することしかできず、政策策定の参考を事前に与えることができない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
これに鑑み、本出願は、経済状態の事前予測を実現し、遅れた統計方式による上述の問題を解決するための技術案を提供する。
【0005】
第1の態様では、本出願は、地図型アプリケーションデータから、予測待ち領域について、将来の予測待ち時間帯よりも前のN個の履歴時間帯における地理位置点アクティブデータをそれぞれ取得し、前記Nは正整数であり、前記予測待ち時間帯よりも前のN個の履歴時間帯における地理位置点アクティブデータの特徴ベクトルを予め訓練された経済状態予測モデルにそれぞれ入力し、前記予測待ち時間帯における前記予測待ち地域の経済指標データを得ることを含む経済状態の予測方法を提供する。
【0006】
第2の態様では、本出願は、地図型アプリケーションデータから、予測待ち領域についてそれぞれ連続するM個の時間帯における地理位置点アクティブデータを取得し、経済指標データベースから前記M個の時間帯における前記予測待ち領域の実際の経済指標データを取得し、前記Mは1より大きい正整数であり、取得された前記連続するM個の時間帯における地理位置点アクティブデータと実際の経済指標データとを訓練データとして時系列モデルを訓練し、前記予測待ち地域に対する経済状態予測モデルを得ることを含み、前記経済状態予測モデルは、将来の予測待ち時間帯よりも前のN個の履歴時間帯における前記予測待ち領域の地理位置点アクティブデータに基づいて、前記予測待ち時間帯における前記予測待ち領域の経済指標データを出力し、前記Nは正整数であり、前記M≧Nである経済状態予測モデルの構築方法を提供する。
【0007】
第3の態様では、本出願は、地図型アプリケーションデータから、予測待ち領域について、将来の予測待ち時間帯よりも前のN個(Nは正整数である)の履歴時間帯における地理位置点アクティブデータをそれぞれ取得するデータ取得ユニットと、前記予測待ち時間帯よりも前のN個の履歴時間帯における地理位置点アクティブデータの特徴ベクトルを予め訓練された経済状態予測モデルにそれぞれ入力し、前記予測待ち時間帯における前記予測待ち地域の経済指標データを得る予測処理ユニットと、を備える経済状態の予測装置を更に提供する。
【0008】
第4の態様では、本出願は、地図型アプリケーションデータから、予測待ち領域についてそれぞれ連続するM個(Mは1より大きい正整数である)の時間帯における地理位置点アクティブデータを取得し、経済指標データベースから前記M個の時間帯における前記予測待ち領域の実際の経済指標データを取得するデータ取得ユニットと、取得された前記連続するM個の時間帯における地理位置点アクティブデータと実際の経済指標データとを訓練データとして時系列モデルを訓練し、前記予測待ち地域に対する経済状態予測モデルを得るモデル訓練ユニットと、を備え、前記経済状態予測モデルは、将来の予測待ち時間帯よりも前のN個の履歴時間帯における前記予測待ち領域の地理位置点アクティブデータに基づいて、前記予測待ち時間帯における前記予測待ち領域の経済指標データを出力し、前記Nは正整数であり、前記M≧Nである経済状態予測モデルの構築装置を更に提供する。
【0009】
第5の態様では、本出願は、少なくとも1つのプロセッサと、前記少なくとも1つのプロセッサと通信接続されたメモリと、を備え、前記メモリに前記少なくとも1つのプロセッサにより実行可能なコマンドが記憶されており、前記コマンドが前記少なくとも1つのプロセッサにより実行されると、前記少なくとも1つのプロセッサに上記のいずれか1項に記載の方法を実行させる電子デバイスを提供する。
【0010】
第6の態様では、本出願は、コンピュータに上記のいずれか1項に記載の方法を実行させるためのコンピュータコマンドが記憶された非一時的なコンピュータ可読記憶媒体を提供する。
【0011】
以上の技術案から分かるように、本出願は、予測待ち時間帯よりも前の履歴時間帯における予測待ち地域の地理位置点アクティブデータにより、当該予測待ち地域に対して将来の予測待ち時間帯における経済状態の予測を実現することができ、それにより政策策定の参考を事前に与えることができる。
【0012】
上記の選択可能な方法が有する他の効果は、以下で具体的な実施形態と合わせて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図面は、本出願をより良く理解するためのものであり、本出願を限定しない。ここで、
図1】本出願の実施形態により提供される四半期GDP、V及びNVCの時間分布図である。
図2】本出願の実施形態一により提供される経済状態を予測する方法のフローチャートである。
図3】本出願の実施形態一により提供する経済状態予測モデルの概略構造図である。
図4】本出願の実施形態二により提供される経済状態予測モデルを構築する方法のフローチャートである。
図5】本出願の実施形態二により提供される経済状態予測モデルの訓練の概略図である。
図6】本出願の実施形態三により提供される経済状態を予測するための装置構成図である。
図7】本出願の実施形態四により提供される経済状態予測モデルを構築するための構成図である。
図8】本出願の実施形態を実現するための電子デバイスのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づいて、本出願の例示的な実施例を説明する。理解を容易にするために、本出願の実施例の様々な詳細が含まれており、それらは単なる例示と見なされるべきである。従って、当業者は、本出願の範囲及び精神から逸脱することなく、本明細書に記載の実施形態に対して様々な変更及び修正を行うことができることを認識するはずである。同様に、簡明のために、以下の説明では、よく知られた機能と構造の説明は省略される。
【0015】
長期にわたる観察と研究の結果、地図型アプリケーションから同一の時間区間内の地理位置点アクティブデータが取得され、経済指標データベースから同一地域の同一時間区間内の経済指標データが取得される場合に、統計分析と比較により、地理位置点アクティブデータの時間分布と経済指標データの時間分布は非常に強い相関性があることが発見された。
【0016】
例えば、四半期単位で、2018年第1四半期から2020年第1四半期までの計9四半期の各四半期における中国大陸のユーザの来店データ総量をV(Volumes of Visits to Venue)として統計し、中国大陸の業者が四半期ごとに新規店舗の登録総量をNVC(New Venues Created)として統計し、中国大陸の四半期ごとの実GDP総量を統計した。
【0017】
これにより、四半期GDP、四半期V、四半期NVCという3つのデータセットが得られた。各データセットは9点であり、すべての値を正規化した後、図1に示すような時間分布図が得られる。図1において、横軸のQ1~Q4はそれぞれ第1四半期~第4四半期を指し、縦軸は正規化後の四半期GDP、四半期Vおよび四半期NVCの値を示す。図面からわかるように、GDPとVの間、GDPとNVCとの間に非常に強い相関がある。ピアソン相関係数(Pearson Correlation Coefficent)分析によると、GDPとVの間の相関係数は81.41%、GDPとNVCの間の相関係数は82.11%と強い正の相関を示した。
【0018】
上記の理論に基づいて、本出願の核心的な考え方は、地図型アプリケーションデータにおける地理位置点アクティブデータを利用して将来の時間帯における経済状態データを予測することである。以下で実施形態と合わせて本出願で提供される方法を詳細に説明する。
【0019】
実施形態一、
図2は、本出願の実施形態一により提供される経済状態を予測する方法のフローチャートである。この方法を実行する装置は、地図型サーバから地図型アプリケーションによりメンテナンスされるデータを取得可能なコンピュータ装置またはサーバであって良い。本方法を実行して予測された経済指標データは、本コンピュータ装置またはサーバ上に表示してもよく、他の装置に出力して表示してもよい。図2に示すように、当該方法は以下のステップを含むことができる。
【0020】
201では、地図型アプリケーションデータから、予測待ち領域について、予測待ち時間帯よりも前のN個の履歴時間帯における地理位置点アクティブデータをそれぞれ取得し、前記Nは正整数である。
【0021】
本願に係る「地理位置点」とは、地図型アプリケーションデータにおける地理位置点を指す。この地理位置点は、ユーザが検索、閲覧、ユーザへの推薦等を行うことができる。これらの地理位置点には、緯度経度、名称、管理住所、タイプなどの基本的な属性がある。ここで、地理位置点は、POI(Point Of Interest、関心地点)、AOI(Area of Interest、関心エリア)、ROI(Regin of Interest、関心地域)等を含んで良いが、これらに限定されない。
【0022】
地理位置点アクティブデータとは、地理位置点がアクティブな状態にあることを示すデータであり、主に、ユーザが商業系の地理位置点に訪問したデータ、新規の商業系の地理位置点のデータ、ユーザが商業系の地理位置点を問い合わせたデータ、及び有効な商業系の地理位置点のデータを含む。商業系の地理位置点は経済行為とより関連しているので、本出願では商業系の地理位置点に関連するアクティブデータを主に採用する。商業系の地理位置点は、例えば、ショッピングモール、スーパーマーケット、店舗、銀行、会社、ホテル、観光地などの実店舗を有する地理位置点であってよい。これに加えて、例えば病院や学校などの非商業系の地理位置点に関連するアクティブデータを追加することもできる。
【0023】
ユーザが商業系の地理位置点に訪問するデータには、ユーザが商業系の実店舗に行った回数、時点、時間、頻度などの情報が含まれてよい。
【0024】
新規の商業系の地理位置点のデータは、例えば、新規店舗の数、時点などであってよい。
【0025】
ユーザが商業系の地理位置点を問い合わせるデータは、ユーザが地図型アプリケーション上で商業系の地理位置点を問い合わせた回数、時点、頻度などの情報を含んで良い。
【0026】
有効な商業系の地理位置点のデータは、地図型アプリケーションがメンテナンスする、有効状態にある商業系の地理位置点の数、位置などの情報であってよい。有効状態とは、当該商業地理位置点が正常に営業し、正常に訪問できることを指す。
【0027】
本願に係る予測待ち地域は、行政区画に基づいて区分しても良く、地理位置上の地域に基づいて区分しても良い。しかし、通常の経済状態のモニタリングと計画は行政区画に基づいて実行されるため、行政区画に基づいて区分する方式が好ましい。例えば、予測待ち地域は、国であってもよく、省であってもよく、都市であってもよい。
【0028】
さらに、本出願の実施形態の目的は、予測待ち時間帯よりも前の履歴時間帯における地理位置点アクティブデータを使用して、将来の予測待ち時間帯における予測待ち地域の経済状態を予測することである。ここで、履歴時間帯の長さは、事前に設定された値を使用することができる。たとえば、ある省の将来の一年の経済状態を予測する場合に、その省の現在の一年と前の9年間(合計10年間)の地理位置点アクティブデータを使用することができる。また、例えば、ある省の将来の1ヶ月の経済状態を予測する場合に、その省の現在の1ヶ月と前の9ヶ月(合計10ヶ月)の地理位置点アクティブデータを使用することができる。現在の時間帯における地理位置点アクティブデータが既に取得できたため、現在の時間帯を将来の予測待ち時間帯の履歴時間帯とみなすことができる。
【0029】
202では、予測待ち時間帯よりも前のN個の履歴時間帯における地理位置点アクティブデータの特徴ベクトルを予め訓練された経済状態予測モデルにそれぞれ入力し、予測待ち時間帯における予測待ち地域の経済指標データを得る。
【0030】
本ステップでは、上記各履歴時間帯における地理位置点アクティブデータの特徴ベクトルをそれぞれ確定し、すなわちN個の特徴ベクトルを確定する。将来の予測待ち時間帯をt+1、現在の時間帯における地理位置点アクティブデータの特徴ベクトルをx、前のN-1個の履歴時間帯における地理位置点アクティブデータの特徴ベクトルをそれぞれxt-N+1,…,xt-1とし、xt-N+1,…,xt-1,xを経済状態予測モデルに入力する。
【0031】
地理位置点アクティブデータの特徴ベクトルは、複数の種類の地理位置点アクティブデータを含み、各種類の地理位置点アクティブデータを1つのベクトルの形に統合して表現することができる。
【0032】
本出願の実施形態における経済状態予測モデルは、地理位置点アクティブデータの時間分布と経済指標データの時間分布との間に正の相関関係が予め確立された時系列モデルを採用する。経済状態予測モデルの訓練過程については、後に実施形態二を用いて詳細に説明する。
【0033】
経済状態予測モデルから出力される経済指標データには、GDP、PMI(マネージャ購買指数)、CPIの少なくとも1つが含まれて良い。当該経済指標データは、ベクトルの形で出力されて良く、予測待ち時間帯がt+1とする場合に、予測待ち時間帯における経済指標データのベクトルはyt+1と示される。
【0034】
以下、本実施形態が提供する経済状態予測モデルの構成について詳細に説明する。図3に示すように、経済状態予測モデルは、入力層、埋め込み層、および予測層を含むことができる。
【0035】
入力層は、予測待ち時間帯よりも前のN個の履歴時間帯における地理位置点アクティブデータの特徴ベクトル表現を埋め込み層に出力するために使用される。図3に示すように、xt-N+1,…,xt-1,xを埋め込み層に出力する。
【0036】
埋め込み層は、入力されたi個目の時間帯における地理位置点アクティブデータの特徴ベクトルxとi-1個目の時間帯に対応する埋め込み層ベクトルhi-1とを重み付け処理した後、i個目の時間帯に対応する埋め込み層ベクトルhを得、予測待ち時間帯の1つ前の時間帯に対応する埋め込み層ベクトルに重み付け係数を乗算して、予測待ち時間帯に対応する埋め込み層ベクトルを得る。ここで、前記i個目の時間帯は、前記N個の履歴時間帯における各時間帯を時間順でそれぞれ取得する。
【0037】
埋め込み層では、予測待ち時間帯の前(すなわち、現在の時間帯および現在の時間帯よりも前のN-1個の時間帯に対して)に入力された各時間帯の特徴ベクトルに対して埋め込み層ベクトルをそれぞれ時系列的に計算する。1つの時間帯iに対応する埋め込み層ベクトルは、当該時間帯の入力ベクトルxに相関するだけではなく、前の一つの時間帯i-1の埋め込み層ベクトルhi-1にも相関する。具体的な計算方法は次のとおりである。
【0038】
【数1】
【0039】
ここで、Ul×kはパラメータ行列であり、xの変換後の次元を埋め込み層ベクトルの次元と一致させるためである。kはxの次元、lは埋め込み層ベクトルの次元である。λは、入力された特徴ベクトルxに相関する重み係数で、次の式を使用できる。
【0040】
【数2】
【0041】
ここで、wはk次元のパラメータベクトル、bはスカラーである。
【0042】
【数3】
【0043】
はスカラーである。
【0044】
予測待ち時間帯t+1については、その埋め込み層ベクトルht+1は、前の時間帯tに対応する埋め込み層ベクトルhとのみ相関する。具体的な計算方法は次のとおりである。
【0045】
【数4】
【0046】
この場合に、λt+1も上記式(2)を用いて計算を行うが、このときxt+1のベクトルでは各値はすべて0をとる。
【0047】
埋め込み層は、各時間帯ごとに対応する埋め込み層ベクトルを時系列的に順次算出する。
【0048】
予測層は、予測待ち時間帯に対応する埋め込み層ベクトルに基づいて、予測待ち時間帯における経済指標データをマッピングして得るために使用される。
【0049】
図3に示すように、予測待ち時間帯をt+1で示すと、予測待ち時間帯における経済指標データのベクトル表現yt+1は、次式により得られる。
【0050】
【数5】
【0051】
ここで、yt+1のベクトル次元はm、パラメータ行列Vの次元はm×lである。
【0052】
上記のUl×K、V、w、bはいずれも経済状態予測モデルのモデルパラメータであり、モデル訓練過程で事前に訓練されて得られた。
【0053】
また、予測待ち時間帯における予測待ち地域の経済状態を予測する際には、業種別に区分することもでき、例えば、予測待ち時間帯における予測待ち地域のある業種の経済状態を予測する場合に、地理位置点アクティブデータを取得する際に、その業種に関連する地理位置点アクティブデータを取得する。つまり、地理位置点のタイプは業種に関連付けることができる。例えば、観光産業の経済状態を予測する際には、ホテル、旅館、観光地などのタイプの地理位置点アクティブデータを取得することができる。例えば、小売業の経済状態を予測する際には、ショッピングモール、スーパーマーケット、コンビニエンスストアなどのタイプの地理位置点アクティブデータを取得することができる。
【0054】
本実施形態で提供される方法により、例えば、以下のような応用シナリオを実現することができる。
【0055】
シナリオ一:
現在は2020年4月で、ある省の2019年7月~2020年4月のVデータ、NVCデータなどの地理位置点アクティブデータを収集し、同省に対してあらかじめ構築した経済状態予測モデルに入力することにより、同省の2020年5月のGDP指標を予測することができる。5月を過ぎてから経済データ統計でGDP指標を遅れて取得する必要はない。
【0056】
シナリオ二:
現在は2020年4月で、2019年7月から2020年4月までの全中国のホテル、旅館、観光地、レストランなどの種類別のVデータ、NVCデータを収集し、全中国に対して予め構築した経済状態予測モデルに入力することにより、全中国の2020年5月の観光産業におけるGDPを予測することができる。
【0057】
実施形態二、
図4は、本出願の実施形態二により提供される経済状態予測モデルを構築する方法のフローチャートである。図4に示されたように、この方法は、以下のステップを含むことができる。
【0058】
401では、地図型アプリケーションデータから、予測待ち領域について、それぞれ連続するM個の時間帯における地理位置点アクティブデータを取得し、経済指標データベースから当該M個の時間帯における予測待ち領域の実際の経済指標データを取得し、Mは1より大きい正整数である。
【0059】
経済状態予測モデルは特定の地域に対して構築されるため、訓練データを取得する際には、予測待ち地理位置点アクティブデータと実際の経済指標データとを訓練データとして取得する必要がある。
【0060】
地図型アプリケーションデータは、地図型アプリケーションのサーバまたはデータベースから取得または呼び出し、実際の経済指標データは、経済指標データベースから取得することができる。当該経済指標データベースに地域別、時間帯別の実際の経済指標データが記録された。当該実際の経済指標データは、経済データに基づいて統計的に得られた実データであってよい。
【0061】
実施形態一と同様に、地理的位置地点アクティブデータとは、地理位置点がアクティブな状態にあることを示すデータを指し、主に、ユーザが商業系の地理位置点に訪問したデータ、新規の商業系の地理位置点のデータ、ユーザが商業系の地理位置点を問い合わせたデータ及び有効な商業系の地理位置点のデータを含む。
【0062】
経済状態予測モデルが出力する経済指標データは、GDP、PMI、CPIの少なくとも1つを含むことができる。
【0063】
予測待ち地域は行政区画に基づいて区分しても良く、地理位置の地域に基づいて区分しても良い。しかし、通常の経済状態のモニタリングと計画は行政区画に基づいて実行されるため、行政区画に基づいて区分する方式が好ましい。例えば、予測待ち地域は、国であってもよく、省であってもよく、都市であってもよい。
【0064】
実際の使用過程において、モデルを作成する際に使用する地理位置点アクティブデータ、経済指標データのタイプは、モデルを使用して予測を行う際に使用する地理位置点アクティブデータ、経済指標データのタイプと一致する必要がある。モデルを構築する時に係わる地域も、予測する時に係わる地域と一致する必要がある。
【0065】
例えば、全国の2018年1月から11月までのVデータ、NVCデータ、及びGDPデータを一つの訓練データとしたり、全国の2018年2月から12月までのVデータ、NVCデータ、及びGDPデータを一つの訓練データとしたり、全国の2018年3月から2019年1月までのVデータ、NVCデータ、及びGDPデータを一つの訓練データとしたりする。多くの訓練データを構築することができる。
【0066】
402では、取得された連続するM個の時間帯における地理位置点アクティブデータと実際の経済指標データとを訓練データとして時系列モデルを訓練し、上記予測待ち地域に対する経済状態予測モデルを得る。
【0067】
訓練過程は、実際には、経済状態予測モデルが訓練過程において地理位置点アクティブデータの時間分布と経済指標データの時間分布との間の正の相関関係を学習することである。
【0068】
同様に、図5に示すように、経済状態予測モデルにより採用される時系列モデルは、入力層、埋め込み層、および予測層を含むことができる。
【0069】
入力層は、訓練データにおける各時間帯の地理位置点アクティブデータの特徴ベクトルを埋め込み層に出力するために使用される。
【0070】
経済状態予測モデルを訓練する際には、訓練データが用いる時間帯の個数は、このモデルを用いて予測を行う際に用いる時間帯の個数と一致する必要がある。実施形態一で説明された予測を達成しようとする場合、訓練サンプル当たりの時間帯の数はN+1であり、即ち、N+1個ごとの連続する時間帯の地理位置点アクティブデータおよび実際の経済指標データを1つの訓練サンプルとする。これは、N個の連続する時間帯における地理位置点アクティブデータでN+1個目の時間帯における経済指標データを予測するからである。従って、図5に示すように、N個の時間帯の入力特徴ベクトルについて、1個目からN個目までは、それぞれ、x,…,xと表すことができる。時系列で埋め込み層にそれぞれ出力される。
【0071】
埋め込み層は、i個目の時間帯における地理位置点アクティブデータの特徴ベクトルxと、i-1個目の時間帯に対応する埋め込み層ベクトルhi-1とを重み付け処理した後、i個目の時間帯に対応する埋め込み層ベクトルhを得、目標時間帯の1つ前の時間帯に対応する埋め込み層ベクトルに重み係数を乗算して、目標時間帯に対応する埋め込み層ベクトルを得る。ここで、i個目の時間帯は、訓練データにおける目標時間帯よりも前の各時間帯を時系列で順次に取得する。
【0072】
上述したように、1つの訓練サンプルはN+1個の時間帯を含み、訓練中に1つの訓練サンプル内の最初のN個の時間帯における地理位置点アクティブデータを使用し、目標時間帯はN+1個目の時間帯である。
【0073】
ここで、最初のN個の時間帯に対応するhとλの算出方法は、実施形態一の式(1)および式(2)を参照することができ、ここでは詳しく説明しない。
【0074】
N+1個目の時間帯である目標時間帯のhの算出方法は、実施形態一の式(3)を用いることができる。
【0075】
各時間帯について、対応する埋め込み層ベクトルを計算して予測層に出力することができる。
【0076】
予測層は、目標時間帯に対応する埋め込み層ベクトルに基づいて、目標時間帯の経済指標データをマッピングして得るために用いられる。
【0077】
目標時間帯に対応する経済指標データyN+1について、次の式を使用できる。
【0078】
【数6】
【0079】
ここで、Vの意味は実施形態一の式(4)のVと同じ意味であり、ここでは詳しく説明しない。
【0080】
一方、目標時間帯を除いた他の時間帯iの経済指標データについても、式(5)のように計算することができるが、その違いは、目標時間帯と他の時間帯との埋め込み層における埋め込み層ベクトルの計算方法の違いのみである。
【0081】
計算後、時間帯(予測待ち時間帯を含む)ごとに予測層が予測した経済指標データを算出することができ、訓練データには時間帯ごとに実際の経済指標データがあるため、モデル訓練過程において、予測層により得られた経済指標データと訓練データにおける対応する実際の経済指標データとの差を最小化することができる。
【0082】
上述の差を利用して損失関数を構築し、損失関数の値を利用してモデルパラメータを最適化することができる。ここで、関連するモデルパラメータは、Ul×k、V、w及びbを 含む。具体的には、予測層は、各時間帯ごとに予測された経済指標データを出力し、すなわち、各時間帯ごとに損失関数を求め、各時間帯の損失関数の値を用いてモデルパラメータを最適化する。訓練終了後に図3に示す経済状況予測モデルを得ることができる。
【0083】
以上は、本出願で提供される方法の詳細な説明であり、以下で実施形態と合わせて本出願で提供される装置を詳細に説明する。
【0084】
実施形態三、
図6は、本出願の実施形態三により提供される経済状態を予測するための装置の構成図である。当該装置は、コンピュータ装置のアプリケーションに配置されてもよく、コンピュータ装置に配置されるアプリケーションにおけるプラグインまたはソフトウェア開発キット(Software Development Kit、SDK)などの機能ユニットであっても良く、サーバ側に配置されてもよく、本出願の実施形態では特に限定されない。当該装置は、データ取得ユニット01および予測処理ユニット02を備える。これらの各構成ユニットの主な機能は次のとおりである。
【0085】
データ取得ユニット01は、地図型アプリケーションデータから、予測待ち領域について、予測待ち時間帯及び予測待ち時間帯よりも前のN個の履歴時間帯における地理位置点アクティブデータとをそれぞれ取得する。Nは正整数である。
【0086】
予測処理ユニット02は、地図型アプリケーションデータから、予測待ち領域について、将来の予測待ち時間帯よりも前のN(Nは正整数)個の履歴時間帯における地理位置点アクティブデータをそれぞれ取得する。
【0087】
ここで、経済状態予測モデルは時系列モデルを用いて地理位置点アクティブデータの時間分布と経済指標データの時間分布との間の正の相関関係を構築した。
【0088】
具体的には、経済状態予測モデルは、入力層、埋め込み層、および予測層を含む。
【0089】
入力層は、予測待ち時間帯よりも前のN個の履歴時間帯における地理位置点アクティブデータの特徴ベクトル表現を埋め込み層に出力するために使用される。
【0090】
埋め込み層は、入力されたi個目の時間帯における地理位置点アクティブデータの特徴ベクトルx、i-1個目の時間帯に対応する埋め込み層ベクトルhi-1とを重み付け処理した後、i個目の時間帯に対応する埋め込み層ベクトルhを得、予測待ち時間帯の1つ前の時間帯に対応する埋め込み層ベクトルに重み付け係数を乗算して予測待ち時間帯に対応する埋め込み層ベクトルを得る。ここで、i個目の時間帯は、N個の履歴時間帯における各時間帯を時間順でそれぞれ取得する。
【0091】
予測層は、予測待ち時間帯に対応する埋め込み層ベクトルに基づいて、予測待ち時間帯の経済指標データをマッピングして得るために使用される。
【0092】
地理位置点アクティブデータには、ユーザが商業系の地理位置点に訪問したデータ、新規の商業系の地理位置点のデータ、ユーザが商業系の地理位置点を問い合わせたデータ、および有効な商業系の地理位置点のデータのうちの少なくとも1つが含まれる。
【0093】
経済指標データには、GDP、PMI、CPIの少なくとも1つが含まれる。
【0094】
当該装置は、予測待ち時間帯における予測待ち地域の経済状態を予測する際に、業種別に区分してもよく、例えば、予測待ち時間帯における予測待ち地域のある業種の経済状態を予測する場合に、データ取得ユニット01は、地理位置点アクティブデータを取得する際に、その業種に関連する地理位置点アクティブデータを取得する。つまり、地理位置点のタイプは業種に関連付けることができる。例えば、観光産業の経済状態を予測する際には、ホテル、旅館、観光地などのタイプの地理位置点アクティブデータを取得することができる。例えば、小売業の経済状態を予測する際には、ショッピングモール、スーパーマーケット、コンビニエンスストアなどのタイプの地理位置点アクティブデータを取得することができる。
【0095】
実施形態四、
図7は、本出願の実施形態四により提供される経済状態予測モデルを構築するための構成図である。当該装置は、コンピュータ装置のアプリケーションに配置されてもよく、コンピュータ装置に配置されるアプリケーションにおけるプラグインまたはソフトウェア開発キット(Software Development Kit、SDK)等の機能ユニットであってもよく、サーバ側に配置されてもよく、本出願の実施形態では特に限定されない。当該装置は、データ取得ユニット11およびモデル訓練ユニット12を備える。これらの各構成ユニットの主な機能は次のとおりである。
【0096】
データ取得ユニット11は、地図型アプリケーションデータから、予測待ち地域についてそれぞれ連続するM個の時間帯における地理位置点アクティブデータを取得し、経済指標データベースからM個の時間帯における予測待ち地域の実際の経済指標データをそれぞれ取得する。Mは1より大きい正整数である。
【0097】
モデル訓練ユニット12は、取得された連続するM個の時間帯における地理位置点アクティブデータと実際の経済指標データとを訓練データとして時系列モデルを訓練し、予測待ち地域に対する経済状態予測モデルを得る。
【0098】
経済状態予測モデルは、将来の予測待ち時間帯よりも前のN個の履歴時間帯における予測待ち地域の地理位置点アクティブデータに基づいて、予測待ち時間帯における予測待ち地域の経済指標データを出力するために使用され、Nは正整数であり、M≧Nである。
【0099】
ここで、経済状態予測モデルは、訓練過程において、地理位置点アクティブデータの時間分布と経済指標データの時間分布との間の正の相関関係を学習する。
【0100】
具体的には、経済状態予測モデルは、入力層、埋め込み層、および予測層を含むことができる。
【0101】
入力層は、訓練データから複数の時間帯をそれぞれ目標時間帯として選択し、訓練データにおける各時間帯の地理位置点アクティブデータの特徴ベクトルを埋め込み層に出力する。
【0102】
埋め込み層は、i個目の時間帯における地理位置点アクティブデータの特徴ベクトルxと、i-1個目の時間帯に対応する埋め込み層ベクトルhi-1とを重み付け処理した後、i個目の時間帯に対応する埋め込み層ベクトルhを得、目標時間帯の1つ前の時間帯に対応する埋め込み層ベクトルに重み係数を乗算して目標時間帯に対応する埋め込み層ベクトルを得る。ここで、i個目の時間帯は、訓練データにおける目標時間帯よりも前の各時間帯を時間順でそれぞれ取得する。
【0103】
予測層は、目標時間帯に対応する埋め込み層ベクトルに基づいて、目標時間帯の経済指標データをマッピングして得るために使用される。
【0104】
経済状態予測モデルの訓練目標は、予測層で得られた経済指標データと訓練データ中の対応する実際の経済指標データとの差を最小化することである。
【0105】
また、予測層では目標時間帯以外の時間帯についても、各時間帯に対応する埋め込み層ベクトルに基づいて、各時間帯の経済指標データをそれぞれマッピングすることができる。つまり、予測層が予測した経済指標データを時間帯(目標時間帯を含む)ごとに算出することができ、訓練データには時間帯ごとに実際の経済指標データがあるため、モデル訓練過程において、予測層で得られた経済指標データと訓練データの中に対応する実際の経済指標データとの差を最小化することができる。具体的には、予測層は、各時間帯ごとに予測された経済指標データを出力し、すなわち、各時間帯ごとに損失関数を求め、各時間帯の損失関数の値を用いてモデルパラメータを最適化する。訓練終了後、図3に示すような経済状況予測モデルが得られる。
【0106】
上記の地理位置点アクティブデータには、ユーザが商業系の地理位置点に訪問したデータ、新規の商業系の地理位置点のデータ、ユーザが商業系の地理位置点を問い合わせたデータ、および有効な商業系の地理位置点のデータのうちの少なくとも1つが含まれる。
【0107】
経済指標データには、国民総生産GDP、経営者購買指数PMI、住民消費指数CPIの少なくとも1つが含まれる。
【0108】
本出願の実施形態によれば、本出願は更に、電子デバイスおよび可読記憶媒体を提供する。
【0109】
図8は、本出願の実施形態に係る経済状態を予測し、経済状態予測モデルを構築する方法の電子デバイスのブロック図である。電子デバイスは、様々な形式のデジタルコンピュータ、例えば、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ワークステーション、PDA、サーバ、ブレードサーバ、メインフレームコンピュータ、及び他の適切なコンピュータであることが意図される。電子デバイスは、様々な形式のモバイル装置、例えば、PDA、携帯電話、スマートフォン、ウェアラブルデバイス、及び他の類似するコンピューティング装置を示してもよい。本文で示された構成要素、それらの接続及び関係、ならびにそれらの機能は例示にすぎなく、本明細書において説明及び/又は請求される本出願の実現を限定することが意図されない。
【0110】
図8に示すように、この電子デバイスは、一つ又は複数のプロセッサ801、メモリ802、及び各構成要素に接続するための高速インターフェース及び低速インターフェースを含むインターフェースを備える。各構成要素は、異なるバスで相互接続され、そして、共通マザーボードに、又は必要に応じて、他の態様で実装されてもよい。プロセッサは、電子デバイス内で実行されるコマンドを処理してもよく、メモリに記憶される又はメモリ上で外部入力/出力装置(例えば、インターフェースに結合される表示装置)にグラフィカルユーザインターフェースのグラフィカル情報を表示するコマンドを含む。他の実施形態において、必要な場合に、複数のプロセッサ及び/又は複数のバスが、複数のメモリとともに用いられてもよい。同様に、複数の電子デバイスが接続されてもよく、それぞれのデバイスが必要な操作の一部を提供する(例えば、サーババンク、ブレードサーバの集まり、又はマルチプロセッサシステムとする)。図8において、一つのプロセッサ801を例とする。
【0111】
メモリ802は、本出願で提供される非一時的コンピュータ可読記憶媒体である。なお、前記メモリには、少なくとも1つのプロセッサが本願に提供された経済状態を予測し、経済状態予測モデルを構築する方法を実行するように、前記少なくとも1つのプロセッサに実行可能なコマンドが記憶されている。本出願の非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、本願に提供された経済状態を予測し、経済状態予測モデルを構築する方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータコマンドを記憶している。
【0112】
メモリ802は、非一時的コンピュータ可読記憶媒体として、非一時的ソフトウェアプログラム、非一時的コンピュータ実行可能なプログラム、モジュール、例えば、本出願の実施例における経済状態を予測し、経済状態予測モデルを構築する方法に対応するプログラムコマンド/モジュールを記憶するために用いられる。プロセッサ801は、メモリ802に記憶されている非一時的ソフトウェアプログラム、コマンド及びモジュールを実行することで、サーバの様々な機能アプリケーション及びデータ処理を実行し、即ち、上記の方法実施例における経済状態を予測し、経済状態予測モデルを構築する方法を実現する。
【0113】
メモリ802は、プログラム記憶領域及びデータ記憶領域を含んでもよく、プログラム記憶領域はオペレーティングシステム、少なくとも一つの機能に必要なアプリケーションプログラムを記憶してもよく、データ記憶領域は電子デバイスの使用により作成されたデータなどを記憶してもよい。また、メモリ802は、高速ランダムアクセスメモリを含んでもよく、さらに非一時的メモリ、例えば、少なくとも一つの磁気ディスク記憶装置、フラッシュメモリ装置、又は他の非一時的固体記憶装置を含んでもよい。幾つかの実施例において、メモリ802は、プロセッサ801に対して遠隔設置されたメモリを選択的に含んでもよく、これらのリモートメモリは、ネットワークを介して当該電子デバイスに接続されてもよい。上記のネットワークの実例には、インターネット、イントラネット、ローカルエリアネットワーク、モバイル通信ネットワーク、及びそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0114】
当該電子デバイスは、更に、入力装置803と出力装置804とを備えても良い。プロセッサ801、メモリ802、入力装置803及び出力装置804は、バス又は他の手段により接続されても良く、図8においてバスによる接続を例とする。
【0115】
入力装置803は、入力された数字又はキャラクタ情報を受信し、当該電子デバイスのユーザ設定及び機能制御に関連するキー信号入力を生成でき、例えば、タッチスクリーン、キーパッド、マウス、トラックパッド、タッチパッド、ポインティングスティック、一つ又は複数のマウスボタン、トラックボール、ジョイスティックなどの入力装置である。出力装置804は、表示装置、補助照明装置(例えば、LED)、触覚フィードバック装置(例えば、振動モータ)などを含むことができる。当該表示装置は、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオードディスプレイ(LED)、及びプラズマディスプレイを含み得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、表示装置はタッチパネルであってもよい。
【0116】
本明細書に説明されるシステム及び技術の様々な実施形態は、デジタル電子回路システム、集積回路システム、専用ASIC(専用集積回路)、コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、及び/又はそれらの組み合わせにおいて実現することができる。これらの様々な実施形態は、記憶システム、少なくとも一つの入力装置、及び少なくとも一つの出力装置からデータ及びコマンドを受信し、当該記憶システム、当該少なくとも一つの入力装置、及び当該少なくとも一つの出力装置にデータ及びコマンドを送信するようにつなげられた、特殊用途でもよく一般用途でもよい少なくとも一つのプログラマブルプロセッサを含む、プログラマブルシステム上で実行可能及び/又は解釈可能な一つ又は複数のコンピュータプログラムにおける実行を含んでもよい。
【0117】
これらのコンピューティングプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、又は、コードとも称される)は、プログラマブルプロセッサの機械命令を含み、高水準のプロセス及び/又はオブジェクト向けプログラミング言語、及び/又はアセンブリ/機械言語で実行されることができる。本明細書で用いられる「機械可読媒体」及び「コンピュータ可読媒体」という用語は、機械可読信号としての機械命令を受け取る機械可読媒体を含むプログラマブルプロセッサに機械命令及び/又はデータを提供するのに用いられる任意のコンピュータプログラム製品、機器、及び/又は装置(例えば、磁気ディスク、光ディスク、メモリ、及びプログラマブル論理デバイス)を指す。「機械可読信号」という用語は、プログラマブルプロセッサに機械命令及び/又はデータを提供するために用いられる任意の信号を指す。
【0118】
ユーザとのインタラクティブを提供するために、本明細書に説明されるシステムと技術は、ユーザに対して情報を表示するための表示装置(例えば、CRT(ブラウン管)又はLCD(液晶ディスプレイ)モニタ)、ユーザがコンピュータに入力を与えることができるキーボード及びポインティングデバイス(例えば、マウスや、トラックボール)を有するコンピュータ上に実施されることが可能である。その他の種類の装置は、さらに、ユーザとのインタラクションを提供するために使用されることが可能であり、例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、任意の形態のセンシングフィードバック(例えば、視覚的なフィードバック、聴覚的なフィードバック、又は触覚的なフィードバック)であり得、ユーザからの入力は、任意の形態で(音響、音声又は触覚による入力を含む)受信され得る。
【0119】
本明細書に説明されるシステムと技術は、バックエンド構成要素を含むコンピューティングシステム(例えば、データサーバとする)、又はミドルウェア構成要素を含むコンピューティングシステム(例えば、アプリケーションサーバ)、又はフロントエンド構成要素を含むコンピューティングシステム(例えば、グラフィカルユーザインターフェースもしくはウェブブラウザを有するクライアントコンピュータであり、ユーザは、当該グラフィカルユーザインターフェースもしくは当該ウェブブラウザを通じて本明細書で説明されるシステムと技術の実施形態とインタラクションすることができる)、そのようなバックエンド構成要素、ミドルウェア構成要素、もしくはフロントエンド構成要素の任意の組合せを含むコンピューティングシステムに実施されることが可能である。システムの構成要素は、任意の形態又は媒体のデジタルデータ通信(例えば、通信ネットワーク)によって相互に接続されることが可能である。通信ネットワークの例は、ローカルエリアネットワーク(「LAN」)、ワイド・エリア・ネットワーク(「WAN」)、インターネットワークを含む。
【0120】
コンピュータシステムは、クライアントとサーバを含み得る。クライアントとサーバは、一般的に互いから遠く離れており、通常は、通信ネットワークを通じてインタラクトする。クライアントとサーバとの関係は、相応するコンピュータ上で実行され、互いにクライアント-サーバの関係を有するコンピュータプログラムによって生じる。
【0121】
以上で示された様々な形式のフローを使用して、ステップを並べ替え、追加、又は削除できることを理解されたい。例えば、本出願に説明される各ステップは、並列の順序又は順次的な順序で実施されてもよいし、又は異なる順序で実行されてもよく、本出願で開示された技術案の望ましい結果が達成できる限り、ここで制限されない。
【0122】
前記の具体的な実施形態は本出願の保護範囲に対する制限を構成しない。設計要件及び他の要因に従って、様々な修正、組み合わせ、部分的組み合わせ及び置換を行うことができることを当業者は理解するべきである。本出願の精神及び原則の範囲内で行われる修正、同等の置換、改善は、何れも本出願の保護範囲内に含まれるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8