(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】鉄骨部材の接合構造
(51)【国際特許分類】
E04B 1/58 20060101AFI20230829BHJP
E04B 1/94 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
E04B1/58 508T
E04B1/94 P
E04B1/94 R
(21)【出願番号】P 2019145189
(22)【出願日】2019-08-07
【審査請求日】2022-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】岡▲崎▼ 智仁
(72)【発明者】
【氏名】田邊 裕介
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-029092(JP,A)
【文献】特開2019-044514(JP,A)
【文献】特開2017-053098(JP,A)
【文献】特開2018-111940(JP,A)
【文献】特開2008-014036(JP,A)
【文献】特開2014-029093(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/00-1/36
E04B 1/38-1/61
E04B 1/62-1/99
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可燃性の
柱と、
上下の前記柱を接合し軸力を伝達する鋼製部材が埋設され、前記柱よりも熱容量が大きい不燃材又は結晶水及び自由水の少なくとも一方を含む不燃材で構成された仕口部と、
前記仕口部の全側面を覆い、前記仕口部への熱伝達を遅延させる遅延部材と、
前記鋼製部材に接合され、前記遅延部材の側面から突出する接合プレートと、
前記接合プレートに接合された鉄骨部材と、
を備えた鉄骨部材の接合構造。
【請求項2】
前記遅延部材は、木質のパネル材である、
請求項1に記載の鉄骨部材の接合構造。
【請求項3】
前記木質のパネル材は、板厚18mm以上の単板積層材である、
請求項2に記載の鉄骨部材の接合構造。
【請求項4】
前記柱は、
荷重を支持する木質の荷重支持部と、
前記荷重支持部の周囲に設けられた燃止層と、
前記燃止層の周囲に設けられた木質の燃代層と、
を有し、
前記仕口部に設けられた前記鋼製部材は、前記荷重支持部に接合されている、
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の鉄骨部材の接合構造。
【請求項5】
前記鋼製部材は、
前記接合プレートが接合され、前記柱の材軸方向に沿った軸部と、
前記軸部の端部に接合され、前記荷重支持部に当接するベースプレートと、
前記ベースプレートに接合され、前記荷重支持部に形成された切込部に挿入されて固定された連結部と、
を有する請求項4に記載の鉄骨部材の接合構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄骨部材の接合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、鋼製の構造部材と木製の構造部材とを接合した構造部材の接合構造に関する技術が開示されている。この先行技術の接合構造は、鋼製の第1構造部材と、心材及び燃え止まり層を備えた第2構造部材と、第1構造部材と第2構造部材とを接合し第1構造部材から心材への熱の伝達を抑制する遮蔽部材と、を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、木柱の上側柱と下側柱との間のコンクリートで構成された仕口部に鉄骨梁が接合されている場合、仕口部のコンクリートは熱容量が大きいため火災時に蓄熱され、火災終了後に蓄熱したコンクリート仕口部からの伝熱によって上下の木柱が高温に加熱される虞がある。
【0005】
本発明は、上記事実に鑑み、構造材におけるコンクリート等の不燃材で構成された仕口部の火災時の温度上昇を遅延させることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第一態様は、可燃性の構造材と、前記構造材に設けられ、前記構造材よりも熱容量が大きい不燃材又は結晶水及び自由水の少なくとも一方を含む不燃材で構成された仕口部と、前記仕口部に設けられた接合部材に接合された鉄骨部材と、前記仕口部の前記不燃材が露出した露出面に設けられ、前記仕口部への熱伝達を遅延させる遅延部材と、を備えた鉄骨部材の接合構造である。
【0007】
第一態様の鉄骨部材の接合構造によれば、仕口部の不燃材が露出した露出面に設けられた遅延部材によって、火災時の仕口部への熱伝達が遅延し、その結果、仕口部の温度上昇が遅延する。したがって、火災時に仕口部に蓄熱される蓄熱量が抑制されるので、火災終了後の可燃性の構造部材の温度上昇が抑制される。
【0008】
第二態様は、前記遅延部材は、木質のパネル材である、第一態様の鉄骨部材の接合構造である。
【0009】
第二態様の鉄骨部材の接合構造によれば、仕口部の不燃材が露出した露出面に接合された木質のパネルが、火災時に炭化して炭化層となる。そして、炭化層によって仕口部へ浸入する火災熱が低減されることで、仕口部の温度上昇が効果的に遅延する。
【0010】
第三態様は、前記構造材は、荷重を支持する木質の荷重支持部と、前記荷重支持部の周囲に設けられた燃止層と、前記燃止層の周囲に設けられた木質の燃代層と、を有し、前記仕口部に設けられた前記接合部材は、前記荷重支持部に接合されている、第一態様又は第二態様の鉄骨部材の接合構造である。
【0011】
第三態様の鉄骨部材の接合構造によれば、構造材の可燃部は、荷重を支持する木質の荷重支持部と、荷重支持部の周囲に設けられた燃止層と、燃止層の周囲に設けられた木質の燃代層と、を有している。よって、火災時に燃代層が炭化することで、燃止層及び荷重支持部へ浸入する火災熱が低減される。更に、燃止層によって燃焼が阻止される。このように、火災時には、荷重支持部の燃焼が防止又は抑制されるので、耐火性能を有する木質の構造材として使用することが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、構造材における不燃材で構成された仕口部の火災時の温度上昇を遅延させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】鉄骨部材の接合構造のX方向に沿った縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施形態>
本発明の一実施形態の鉄骨部材の接合構造について説明する。なお、水平方向の直交する二方向をX方向及びY方向とし、それぞれ矢印X及び矢印Yで示す。また、X方向及びY方向に直交する鉛直方向をZ方向とし、矢印Zで示す。
【0015】
[構造]
先ず、本実施形態の鉄骨部材の接合構造の全体構造について
図1~
図3を用いて説明する。
【0016】
図1及び
図3に示すように、鉄骨部材の接合構造10は、鉄骨部材の一例としての鉄骨梁12と可燃性の構造部材の一例としての木質柱14とを有している。また、木質柱14は、木質の上側柱15U及び木質の下側柱15Lを有し、上側柱15Uと下側柱15Lとの間の仕口部100に設けられた接合部材150に鉄骨梁12が接合されている(
図2も参照)。
【0017】
鉄骨梁12は、上下方向に互いに対向する一対のフランジ部82、84と、一対のフランジ部82、84を接続するウェブ部80と、を有するH形鋼によって構成されている。鉄骨梁12の上側のフランジ部82の上には、スラブ48が設けられている。なお、本実施形態における鉄骨梁12の材軸方向は、X方向である。また、本実施形態のスラブ48は、鉄筋コンクリート製であるが、これに限定されるものではない。なお、鉄骨梁12の周囲は、図示していない耐火被覆材によって覆われていてもよい。
【0018】
木質柱14を構成する上側柱15Uと下側柱15Lとは、同様の構成である。よって、以降、上側柱15Uを構成する部材には符号の後にUを付し、下側柱15Lを構成する部材には符号の後にLを付する。なお、上下を区別する必要がない場合は、U及びLを省略して説明する場合がある。また、
図3には上側柱15Uの断面が図示され、下側柱15Lの断面は図示されていないが、前述のように上側柱15Uと下側柱15Lとは同様の構造であるので、
図3を用いて下側柱15Lの内部構造も説明する。
【0019】
可燃性の構造体の一例としての木質柱14を構成する上側柱15U及び下側柱15Lは、耐火構造となっている。具体的には、上側柱15U及び15Lは、荷重を支持する木質の荷重支持部18と、荷重支持部18を耐火被覆する耐火層17と、を有している。
【0020】
荷重支持部18は、集成材や無垢材等の木質材によって構成されている。この荷重支持部18は、木質柱14が負担する荷重を支持可能な剛性及び耐力を有している。耐火層17は、荷重支持部18の周囲を取り囲む燃止層20と、燃止層20の周囲を取り囲む木製の燃代層22と、を備えている。
【0021】
図3に示すように、燃止層20は、荷重支持部18の外周面に沿って交互に配列された複数のセメント系硬化体50及び木質板材52とで構成されている。セメント系硬化体50及び木質板材52は、角柱状に形成され、荷重支持部18の材軸方向に沿って配置されている。これらのセメント系硬化体50及び木質板材52は、例えば、接着剤によって荷重支持部18に接合されている。
【0022】
セメント系硬化体50は、例えば、モルタル、グラウト及び石膏等のように、木質板材52よりも高熱容量の高熱容量部材によって形成されている。これにより、燃止層20の熱容量が、全体として荷重支持部18及び燃代層22の熱容量よりも大きくなっている。この燃止層20によって、火災時における燃代層22の燃焼が自然鎮火され、その結果、荷重支持部18の燃焼が抑制される。
【0023】
燃代層22は、集成材等の木質材によって形成され、火災時に燃焼して断熱層として機能する炭化層を形成することにより、荷重支持部18への火災熱の浸入を抑制する。この燃代層22は、燃止層20の外周面に沿った環状に形成されており、燃止層20を囲むとともに、燃止層20の外周面を被覆している。また、燃代層22は、例えば、接着剤等によっても燃止層20の外周面に接着されている。
【0024】
図1及び
図2に示すように、仕口部100は、不燃材の一例としてのコンクリートGで構成され、接合部材150が埋設されている。なお、コンクリートGは、木質柱14よりも熱容量が大きく且つ自由水を含む不燃材である。また、仕口部100におけるコンクリートGで構成された部分を不燃材部102とする。なお、
図1では、判りやすくするため、接合部材150は全て実線で図示している。
【0025】
図1に示すように、接合部材150は、軸部160、上下のベースプレート162U、162L、上下の連結部164U、164L及び接合プレート152を有している。軸部160は、H形鋼で構成され、材軸方向を上下方向として配置されている。上下のベースプレート162U、162Lは、軸部160の上下に接合されている。上下の連結部164U、164Lは平面視で十字状とされ、上下のベースプレート162U、162Lに接合されている。なお、上下の連結部164U、164Lは、平面視で十字状の構成に限定されない。例えば、平面視でI字状であってもよい。
【0026】
図1及び
図2に示すように、接合プレート152は、一端部154が軸部160に接合され、他端部156が不燃材部102から突出している。そして、接合プレート152における他端部156に、鉄骨梁12のウェブ部80がボルト締結されている。
【0027】
図1に示すように、接合部材150の上下のベースプレート162U、162Lは、上側柱15U及び下側柱15Lの荷重支持部18U、18Lに当接し、連結部164U、164Lは荷重支持部18U、18Lに形成された切込部(図示省略)に挿入されている。そして、荷重支持部18U、18Lに略水平に形成された貫通孔(図示略)にドリフトピン169を貫通されることで、荷重支持部18U、18Lに固定されている。なお、ドリフトピン169は、荷重支持部18U、18L内に収まる長さとされ、貫通孔(図示略)の両端部は充填剤等で充填され塞がれている。
【0028】
仕口部100のコンクリートGが露出した露出面103には、遅延部材の一例して木質パネル200が接合されている。本実施形態の木質パネル200は、単板積層材で構成され、その板厚は18mm以上が望ましい。なお、木質パネル200の板厚分、仕口部100を構成するコンクリートG部分、すなわち不燃材部102が小さくなっている。また、本実施形態の木質パネル200は、コンクリートGを打設する際の型枠として機能させることが可能である。
【0029】
なお、本実施形態では、木質パネル200は、露出面103に耐熱性を有する接着剤で接合されているが、これに限定されるものではない。ビス等で木質パネル200は、露出面103に接合されていてもよい。但し、ビス等で木質パネル200を接合する場合は、ビス等を介して直接、仕口部100のコンクリートGに火災熱が伝導しないようにすることが望ましい。例えば、ビス頭部等が露出しないようにし、ビス穴を木栓等で塞ぐようにする。
【0030】
本実施形態の木質柱14では、上側柱15Uから仕口部100を介しての下側柱15Lへの軸力の伝達は、仕口部100に設けられた接合部材150の軸部160によって主に伝達される。
【0031】
[作用及び効果]
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0032】
火災時に、鉄骨梁12のウェブ部80から接合部材150を介して仕口部100に火災熱が伝達され、仕口部100が加熱されて蓄熱する。
【0033】
更に、仕口部100は、直接火災熱によって加熱されて蓄熱する。しかし、本実施形態では、仕口部100を構成するコンクリートGが露出した露出面103に設けられた木質パネル200が火災時に炭化して炭化層となる。そして、炭化層によって仕口部100に直接浸入する火災熱が低減され、仕口部100の温度上昇が効果的に遅延する。
【0034】
また、コンクリートGは自由水を含んでいる。そして、火災時に自由水が放出することで、仕口部100の温度上昇が抑制され、遅延する。
【0035】
したがって、火災時における仕口部100の温度上昇が遅延するので、火災終了時に仕口部100に蓄熱された蓄熱量が抑制され、その結果、木質柱14の上側柱15U及び下側柱15Lの火災終了後の可燃部の温度上昇が抑制される。
【0036】
また、木質柱14を構成する上側柱15U及び下側柱15Lは、荷重を支持する木質の荷重支持部18と、荷重支持部18の周囲に設けられた燃止層20と、燃止層20の周囲に設けられた木質の燃代層22と、を有している。
【0037】
よって、火災時に燃代層22が炭化することで、燃止層20及び荷重支持部18へ浸入する火災熱が低減される。更に、燃止層20によって燃焼が阻止される。このように、火災時には、荷重支持部18の燃焼が防止又は抑制されるので、耐火性能を有する木質柱14として使用することが可能となる。
【0038】
また、木質パネル200の板厚分、仕口部100を構成するコンクリートG部分、すなわち不燃材部102を小さくすることができ、施工コストが抑制される。
【0039】
[耐火実験]
次に仕口部100を構成するコンクリートGが露出した露出面103に木質パネル200を設けることによって、仕口部100に直接浸入する火災熱が低減され、仕口部100の温度上昇が効果的に遅延することを確認した耐火実験について説明する。
【0040】
耐火実験に使用した実験部材は、第一実験試料A、第二実験試料B及び第三実験試料Cの三つを用いた。
第一実験試料Aは、φ230mmのコンクリート製の円柱である。
第二実験試料Bは、φ230mmのコンクリート製の円柱の外周に層厚18mmの木質の耐火被覆層を設けたものである。
第三実験試料Cは、φ230mmのコンクリート製の円柱の外周に層厚27mmの木質の耐火被覆層を設けたものである。
また、各試料のコンクリート製の円柱には、中心部に熱電対が埋設され、内部温度を測定する。
【0041】
そして、所定の温度で144分間、加熱した際のコンクリート製の円柱の内部温度の変化を示したものが、
図4のグラフである。なお、グラフにおける一点鎖線Aが第一実験試料Aの結果であり、破線Bが第二実験試料Bの結果であり、実線Cが第三実験試料Bの結果である。
【0042】
このグラフを見ると判るように、第一実験試料Aが最も温度上昇が大きく、第二実験試料B及び第三実験試料Cは第一実験試料Aよりも温度上昇が小さい。また、第二実験試料Bよりも第三実験試料Cの方が、温度上昇が小さい。
【0043】
よって、コンクリート製の円柱の外周に木質の耐火被覆層を設けることによって、コンクリート製の円柱に直接浸入する火災熱が低減され、コンクリート製の円柱の温度上昇が効果的に遅延することが確認された。また、その効果は、木質の耐火被覆層の層厚が大きいほど、その効果も大きいことが確認された。
【0044】
<その他>
尚、本発明は上記実施形態に限定されない。
【0045】
例えば、上記実施形態では、仕口部100を構成する不燃材はコンクリートGであったが、これに限定されない。例えば、結晶水及び自由水を含む石膏で構成されていてもよい。要は、仕口部100を構成する不燃材は、木質柱14よりも熱容量が大きい材料又は結晶水及び自由水の少なくとも一方を含む材料で構成されていればよい。
【0046】
また、上記実施形態では、仕口部100には、遅延部材の一例して木質パネル200が接合されていたが、これに限定されない。例えば、仕口部100には、石膏ボートが接合されていてもよい。また、遅延部材は、例えば、FRP樹脂、ブチルゴム及び耐火塗料等の火災時に炭化する素材で構成されていてもよい。要は、遅延部材は、仕口部への熱伝達を遅延させる効果を有する部材であればよい。
【0047】
また、上記実施形態では、木質柱14の燃止層20は、荷重支持部18の外周面に沿って交互に配列された複数のセメント系硬化体50及び木質板材52とで構成されていたが、これに限定されない。燃止層20は、木質心部32への火災熱の浸入を抑制可能な層であればよく、例えば、難燃性を有する難燃性層や熱の吸収が可能な吸熱性層であってもよい。
【0048】
なお、難燃性層としては、木材に難燃薬剤を注入して不燃化処理した難燃薬剤注入層が挙げられる。また、吸熱性層としては、一般木材よりも熱容量が大きな材料、一般木材よりも断熱性が高い材料等及び一般木材よりも熱慣性が高い材料等が挙げられる。更にこれらの材料と一般木材とを適宜組み合わせて形成してもよい。
【0049】
また、難燃性層と吸熱性層とを適宜組み合わせて、例えば、難燃性層と吸熱性層とを交互に配置して、燃止層を形成してもよい。
【0050】
なお、一般木材とは、米松、唐松、檜、杉及びあすなろ等の一般の木造建築に用いられる木材である。また、一般木材よりも熱容量が大きな材料としては、モルタル、石材、ガラス、繊維補強セメント、石膏等の無機質材料、各種の金属材料などが挙げられる。また、一般木材よりも断熱性が高い材料としては、けい酸カルシウム板、ロックウール、グラスウールなどが挙げられる。一般木材よりも熱慣性が高い材料としては、セランガンバツ、ジャラ、ボンゴシ等の木材が挙げられる。
【0051】
また、上記実施形態では、荷重支持部18を耐火被覆する耐火層15は、燃止層20及び燃代層22の二層構造であったが、これに限定されない。例えば、燃代層22を省略し、耐火層15を燃止層20のみで構成してもよい。更に、木質柱14は、耐火層を有しない無耐火構造であってもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、鉄骨梁12は、ウェブ部80が木質柱14に接合部材150を介して接合されていたが、これに限定されない。ウェブ部80以外も木質柱14に接合されていてもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、鉄骨梁12は、木質柱14に接合されていたが、これに限定されない。例えば、鉄骨梁12の端部13は、鉄骨梁12とは別の梁、例えば木質梁に接合されていてもよい。また、鉄骨梁12以外の鉄骨部材であってもよい。例えば、鉄骨部材が鉄骨柱であり、構造材は木質梁であってもよい。更に、鉄骨部材は、木質柱及び木質梁以外の可燃性の構造材に接合されていてもよい。例えば、ガラス繊維強化プラスチックや炭素繊維強化プラスチック等の繊維強化プラスチックで構成された柱や梁等の可燃性の構造材に接合されていてもよい。
【0054】
更に、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得る。また、複数の実施形態及び変形例等は、適宜、組み合わされて実施可能である。
【符号の説明】
【0055】
10 接合構造
12 鉄骨梁(鉄骨部材の一例)
14 木質柱(可燃性の構造材の一例)
18L 荷重支持部
18U 荷重支持部
20L 燃止層
20U 燃止層
22L 燃代層
22U 燃代層
100 仕口部
102 コンクリート部
103 露出面
150 接合部材
200 木質パネル(遅延部材の一例)
G コンクリート(不燃材の一例)