IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社竹中工務店の特許一覧

特許7338123建物の防火検査システム及び防火検査方法
<>
  • 特許-建物の防火検査システム及び防火検査方法 図1
  • 特許-建物の防火検査システム及び防火検査方法 図2
  • 特許-建物の防火検査システム及び防火検査方法 図3
  • 特許-建物の防火検査システム及び防火検査方法 図4
  • 特許-建物の防火検査システム及び防火検査方法 図5
  • 特許-建物の防火検査システム及び防火検査方法 図6
  • 特許-建物の防火検査システム及び防火検査方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】建物の防火検査システム及び防火検査方法
(51)【国際特許分類】
   A62C 3/16 20060101AFI20230829BHJP
   G06T 19/00 20110101ALI20230829BHJP
【FI】
A62C3/16 B
G06T19/00 600
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019199566
(22)【出願日】2019-11-01
(65)【公開番号】P2021069824
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-10-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】花岡 郁哉
(72)【発明者】
【氏名】錦古里 洋介
(72)【発明者】
【氏名】市倉 隆平
(72)【発明者】
【氏名】吉田 徹
(72)【発明者】
【氏名】橋口 寛人
(72)【発明者】
【氏名】園田 真吾
(72)【発明者】
【氏名】染谷 俊介
(72)【発明者】
【氏名】二村 慎哉
(72)【発明者】
【氏名】福西 英知
【審査官】飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-027855(JP,A)
【文献】特開2016-217114(JP,A)
【文献】特開2008-299714(JP,A)
【文献】特開2019-028595(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0182167(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 2/00-99/00
G06T 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
防火区画を構成する構造体及び該構造体の仕様が識別可能な建物の三次元モデルが記憶された記憶部と、
前記構造体の実物又は撮像装置が撮像した前記構造体の撮像画像に、前記記憶部に記憶された前記三次元モデルの仮想画像を重ねて表示装置に表示する表示部と、
前記構造体に形成された防火区画貫通部を防火区画処理する処理部材の情報を持つ情報部材から読取装置を用いて前記情報を読み取る読取部と、
前記読取部が読み取った前記情報から前記処理部材の防火性能情報を取得し、取得した前記防火性能情報と前記記憶部に記憶された前記仕様とを照合し、照合結果を前記表示装置に表示する照合部と、
を備え
前記構造体は、前記仕様毎に色分けされて識別可能に表示されている、
た建物の防火検査システム。
【請求項2】
前記表示装置は、検査員の頭部に装着されるヘッドマウントディスプレイ装置であり、
前記読取装置は、前記ヘッドマウントディスプレイ装置に設けられている、
請求項1に記載の建物の防火検査システム。
【請求項3】
構造体の実物又は撮像装置が撮像した構造体の撮像画像に、防火区画を構成する前記構造体及び該構造体の仕様が前記仕様毎に色分けされて表示される三次元モデルの仮想画像を重ねた複合画像を表示装置に表示する工程と、
前記構造体に形成された防火区画貫通部を防火区画処理する処理部材の情報を持つ情報部材から読取装置を用いて前記情報を読み取る工程と、
読み取られた前記情報から前記処理部材の防火性能情報を取得し、前記防火性能情報と前記仕様とを照合し、照合結果を前記表示装置に表示する工程と、
を備えた建物の防火検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の防火検査システム及び防火検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1及び特許文献2には、構造物の検査を支援するための検査処理システム、検査処理方法及び検査処理プログラムに関する技術が開示されている。
【0003】
特許文献1では、制御部は、ユーザ端末により、現在位置を特定し、現在位置に応じた三次元モデルの仮想画像を、カメラから取得した構造物画像に合わせて重畳表示する。そして、制御部は、構造物画像を用いて、検査対象の評価項目の評価結果を取得し、評価結果を、三次元モデルにおける検査対象の位置に関連付けて、検査情報記憶部に記録する。
【0004】
特許文献2では、制御部は、現在位置を特定し、現在位置における構造物の検査対象の検査結果を取得し、評価結果を、3次元モデルにおける検査対象の位置に関連付けて記録する。そして、3次元モデルを閲覧するユーザ及び現在位置を特定し、検査情報記憶部において、ユーザが検査対象の関連者として記録されている検査結果を、現在位置に対応する3次元モデルに応じた仮想画像上に貼り付けてタッチパネルディスプレイに出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-27855号公報
【文献】特開2019-28595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1及び特許文献2の技術は、防火区画貫通部を防火区画処理する処理部材の防火性能が防火区画を構成する構造体の仕様に対応していることを確認する防火検査の検査効率を向上させることは、考慮されていない。
【0007】
本発明は、上記事実に鑑み、防火区画貫通部を防火区画処理する処理部材の防火性能が防火区画を構成する構造体の仕様に対応していることを確認する防火検査の検査効率を向上させることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第一態様は、防火区画を構成する構造体及び該構造体の仕様が識別可能な建物の三次元モデルが記憶された記憶部と、前記構造体の実物又は撮像装置が撮像した前記構造体の撮像画像に、前記記憶部に記憶された前記三次元モデルの仮想画像を重ねて表示装置に表示する表示部と、前記構造体に形成された防火区画貫通部を防火区画処理する処理部材の情報を持つ情報部材から読取装置を用いて前記情報を読み取る読取部と、前記読取部が読み取った前記情報から前記処理部材の防火性能情報を取得し、取得した前記防火性能情報と前記記憶部に記憶された前記仕様とを照合し、照合結果を前記表示装置に表示する照合部と、を備えた建物の検査システムである。
【0009】
第一態様の建物の防火検査システムでは、構造体の実物又は撮像装置が撮像した構造体の撮像画像に、防火区画を構成する構造体及びその仕様が識別可能に表示された三次元モデルの仮想画像を重ねて表示装置に表示する。これにより、防火区画を構成する構造体及びその仕様を容易に確認することができる。
【0010】
構造体に形成された防火区画貫通部を防火区画処理する処理部材の情報を情報部材から読取装置を用いて読取部が読み取る。読取部が読み取った情報から処理部材の防火性能情報をデータベース等から取得し、取得された防火性能情報と構造体の仕様とを照合し、照合結果を表示装置に表示する。これにより、防火区画貫通部を防火区画処理する処理部材の防火性能が防火区画を構成する構造体の仕様に対応していることを容易に確認することができる。
【0011】
このように、防火区画貫通部を防火区画処理する処理部材の防火性能が防火区画を構成する構造体の仕様に対応していることを確認する防火検査の検査効率が、検査員が書類を見ながら行う場合と比較し、向上する。
【0012】
第二態様は、前記構造体は、前記仕様毎に色分けされて識別可能に表示されている、第一態様に記載の建物の防火検査システムである。
【0013】
第二態様の建物の防火検査システムでは、構造体の実物又は撮像装置が撮像した構造体の撮像画像に、防火区画を構成する構造体の仕様が色分けされた三次元モデルの仮想画像を重ねて表示装置に表示する。よって、防火区画を構成する構造体の仕様が文字又は図面で表示される場合と比較し、防火区画を構成する構造体の仕様を容易に確認することができる。したがって、防火区画貫通部を防火区画処理する処理部材の防火性能が、防火区画を構成する構造体の仕様に対応していることを確認する防火検査の検査効率が向上する。
【0014】
第三態様は、前記表示装置は、検査員の頭部に装着されるヘッドマウントディスプレイ装置であり、前記読取装置は、前記ヘッドマウントディスプレイ装置に設けられている、第一態様又は第二態様に記載の建物の防火検査システムである。
【0015】
第三態様の建物の防火検査システムでは、検査員の頭部に装着するヘッドマウントディスプレイ装置に表示すると共にヘッドマウントディスプレイ装置に設けられた読取装置を用いて情報部材の情報を読み取る。よって、検査員は両手を検査以外のことに利用、例えば、物を運んだり脚立に上ったりすることを容易に行うことができるので、検査効率が向上する。
【0016】
第四態様は、構造体の実物又は撮像装置が撮像した構造体の撮像画像に、防火区画を構成する前記構造体及び該構造体の仕様が識別されて表示される三次元モデルの仮想画像を重ねて表示装置に表示する工程と、前記構造体に形成された防火区画貫通部を防火区画処理する処理部材の情報を持つ情報部材から読取装置を用いて前記情報を読み取る工程と、読み取られた前記情報から前記処理部材の防火性能情報を取得し、前記防火性能情報と前記仕様とを照合し、照合結果を前記表示装置に表示する工程と、を備えた建物の防火検査方法である。
【0017】
第四態様の建物の防火検査方法では、構造体の実物又は撮像装置が撮像した構造体の撮像画像に、防火区画を構成する構造体及びその仕様が識別可能に表示された三次元モデルの仮想画像を重ねて表示装置に表示する。これにより、防火区画を構成する構造体及びその仕様を容易に確認することができる。
【0018】
構造体に形成された防火区画貫通部を防火区画処理する処理部材の情報を情報部材から読取装置を用いて読み取る。読み取った情報から処理部材の防火性能情報をデータベース等から取得し、取得された防火性能情報と構造体の仕様とを照合し、照合結果を表示装置に表示する。これにより、防火区画貫通部を防火区画処理する処理部材の防火性能が防火区画を構成する構造体の仕様に対応していることを容易に確認することができる。
【0019】
このように、防火区画貫通部を防火区画処理する処理部材の防火性能が防火区画を構成する構造体に対応していることを確認する防火検査の検査効率が、検査員が書類を見ながら行う場合と比較し、向上する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、防火区画貫通部を防火区画処理する処理部材の防火性能が防火区画を構成する構造体の仕様に対応していることを確認する防火検査の検査効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施形態の防火検査システムを用いて検査員が防火検査を行っている建物の断面図である。
図2】実施形態の防火検査システムを用いて検査員が防火検査を行っている建物内の斜視図である。
図3図2の要部を拡大した拡大斜視図である。
図4】実施形態の防火検査システムのブロック図である。
図5】制御装置のハード構成のブロック図である。
図6】防火検査ルーチーンのフローチャート図である。
図7】変形例のタブレット端末の画面の図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<実施形態>
本発明の一実施形態の建物の防火検査システム及び防火検査方法について説明する。
【0023】
[建物の構成]
まず、本実施形態の防火検査システムを用いて防火検査を行う建物の構成について説明する。
【0024】
図1及び図2に示すように、建物10を構成する構造体の一例としての壁20(図2参照)及び壁30には、貫通部22(図2参照)及び防火区画貫通部32が形成されている。貫通部22(図2参照)及び防火区画貫通部32には、配管12が挿通している。また、貫通部22(図2参照)及び防火区画貫通部32は、処理部材24(図2参照)及び処理部材34によって処理されている(図3も参照)。
【0025】
なお、図1及び図2は、スラブ14(図1参照)の下に天井材16(図1参照)を張る前の状態の建築途中の状態の建物10を図示している。よって、前述のように配管12が露出している。
【0026】
壁20(図2参照)は防火区画を構成しない雑壁である。よって、貫通部22(図2参照)を処理する処理部材24(図2参照)は、防火区画処理の機能を必要としない。一方、壁30は、防火区画を構成する壁である。よって、防火区画貫通部32を処理する処理部材34は、防火区画処理の機能を有している。防火区画処理の機能を有する処理部材34には、例えば、フィブロック(登録商標)及びファイバリア(登録商標)等を用いることができる。
【0027】
図1図3に示すように、壁30における防火区画貫通部32の下には、情報部材の一例としてのシール40が貼られている。シール40には、処理部材34の情報を持つQRコード(登録商標)等のマトリックス型二次元コードが印刷されている。
【0028】
[防火検査システムの構成]
次に、防火検査システムの構成について説明する。
【0029】
図1図2及び図4に示すように、防火検査システム100は、表示装置の一例としてのヘッドマウントディスプレイ70(以降、「HMD70」と記す)と、読取装置の一例としてのカメラ74と、制御装置110(図4参照)と、を有している。
【0030】
図1及び図2に示すように、HMD70は、検査員50の頭部52に装着されるシースルー型のヘッドマウントディスプレイであり、光学透過型(光学シースルー、Optical See-Through)のディスプレイ72を有している。また、カメラ74は、HMD70に一体的に設けられている。
【0031】
図4に示す制御装置110は、コンピュータによって構成され、そのハードウェア構成は、図5に示すように、CPU231、ROM232、RAM233、ストレージ234及び通信インタフェース235を有している。各構成は、バス239を介して相互に通信可能に接続されている。
【0032】
CPU231は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU231は、ROM232又はストレージ234からプログラムを読み出し、RAM233を作業領域としてプログラムを実行する。また、CPU231は、ROM232又はストレージ234に記録されているプログラムにしたがって、上記各構成の制御及び各種の演算処理を行う。
【0033】
ROM232は、各種プログラム及び各種データを格納する。RAM233は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。ストレージ234は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)及びフラッシュメモリー等により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム及び各種データを格納する。
【0034】
通信インタフェース235は、制御装置110が、HMD70(図1図2参照)及びカメラ74(図1及び図2参照)等と通信するためのインタフェースである。なお、制御装置110は、HMD70及びカメラ74と、Wi-Fi(登録商標)等の無線インタフェースによって接続され、HMD70(図1図2参照)及びカメラ74(図1図2参照)を制御する。
【0035】
図4に示すように、制御装置110は、機能的には、記憶部120、表示部122、読取部124及び照合部126で構成されている。各機能構成は、CPU231(図5参照)がROM232(図5参照)又はストレージ234(図5参照)に記憶されたプログラムを読み出し、実行することにより実現される。
【0036】
記憶部120には、建物10(図1及び図2)を構成する各壁が防火区画を構成する壁であるか否かと、防火区画を構成する壁の仕様と、が識別可能な建物10(図1及び図2)の三次元モデルが記憶されている。
【0037】
表示部122は、複合現実(Mixed Reality(MR))の技術を用いて、HMD70の透過型のディスプレイ72を透過して目視される建物10の実物に、記憶部120に記憶された建物10の三次元モデルの仮想画像31(図1図3参照)を重ねて、透過型のディスプレイ72に表示する。具体的には、HMD70を装着した検査員50(図1参照)が目視する実物(壁20、30等)を把握し、記憶部120に記憶された仮想画像31(図1図3参照)を重ねて合わせてディスプレイ72に表示する。
【0038】
本実施形態では、防火区画を構成する壁は、仕様毎に色分けされて識別可能に表示される。本実施形態の図1図3に示す防火区画を構成する壁30の仕様は、LGS(Light Gauge Steel)下地石膏ボード貼り(認定工法)等の乾式間仕切りであり、赤色に表示される。なお、図1図3では、赤色はハーフトーン(ドット)で表現している。また、壁30が乾式間仕切り以外の仕様の場合は、異なる色で表示される。例えば、鉄筋コンクリート造の壁は緑、ALC(autoclaved lightweight aerated concrete)壁では青色、片壁の場合は黄色及び中空壁の場合は紫色で表示される。
【0039】
読取部124は、カメラ74が撮影したシール40の撮影画像からマトリックス型二次元コードが持つ防火区画貫通部32(図1図3参照)を防火区画処理する処理部材34(図1図3参照)の情報を読み取る。具体的には、検査員50(図1及び図2参照)が、シール40(図1図3参照)に視線を合わせると、自動的に撮影画像を拡大してシール40のマトリックス型二次元コードが持つ処理部材34(図1図3参照)の情報を読み取る。本実施形態では、処理部材34(図1図3参照)の情報は、処理部材34の品番である。
【0040】
なお、本実施形態では、検査員50(図1及び図2参照)が、シール40(図1図3参照)に視線を合わせたあと、自動的にシール40(図1図3参照)のマトリックス型二次元コードを読みとったが、これに限定されない。例えば、検査員50が、HMD70の図示していない操作部を操作して、マトリックス型二次元コードを読み取るようにしてもよい。
【0041】
照合部126は、読取部124が読み取った処理部材34の情報、本実施形態では処理部材34の品番から処理部材34の防火性能情報を取得する。本実施形態では、インターネット127を介してサーバ128のデータベースから防火性能情報を取得している。また、本実施形態における処理部材34の防火性能情報は、国土交通大臣認定書の認定番号である。
【0042】
なお、処理部材34の防火性能情報(認定番号)の取得は、インターネット127を介してのサーバ128からの取得に限定されない。他の方法で取得、例えば記憶部120又は他の記憶装置に記憶されており、そこから取得してもよい。
【0043】
照合部126は、取得した処理部材34の防火情報(本実施形態では認定番号)と、記憶部120に記憶された防火区画を構成する壁30の仕様(本実施形態では乾式間仕切り)と、を照合し、HMD70のディスプレイ72に照合結果を表示する。
【0044】
なお、図3における照合結果表示42がディスプレイ72に表示する照合結果の表示の例である。なお、照合結果表示42には、照合結果に加え、処理部材34の防火性能情報(本実施形態では認定番号)及び防火区画を構成する壁30の仕様(本実施形態では乾式間仕切り)等の情報が表示されていてもよい。
【0045】
[防火検査ルーチーン]
次に、防火検査ルーチーンの一例について、図6のフローチャートを用いて説明する。なお、図5に示すCPU231がROM232又はストレージ234からプログラムを読み出して、RAM233に展開して実行することによって処理が行なわれる。
【0046】
図6に示すように、ステップS100において、制御装置110(図4及び図5参照)は、防火区画を構成する壁30(図1図3参照)が赤色(図6ではハーフトーン)に色分けされた三次元モデルの仮想画像31(図1図3参照)を重ねた複合画像を、HMD70のディスプレイ72(図1及び図2参照)に表示する。
【0047】
ステップS110において、制御装置110は、カメラ74(図1及び図2参照)が撮影したシール40(図1図3参照)の撮影画像を拡大し、マトリックス型二次元コードが持つ処理部材34の品番を読み取る。
【0048】
ステップS120において、制御装置110は、読み取った処理部材34(図1図3参照)の品番から処理部材34の認定番号を取得する。
【0049】
ステップS130において、制御装置110は、処理部材34の認定番号と壁30の仕様(乾式間仕切り)とを照合し、照合結果である照合結果表示42(図2及び図3参照)をHMD70のディスプレイ72に表示する。
【0050】
[作用及び効果]
次に本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0051】
防火区画を構成する壁30及びその仕様(乾式間仕切り等)が色分けされた三次元モデルの仮想画像31を重ねてHMD70のディスプレイ72に表示することで、防火区画を構成する壁30及び壁30の仕様を容易に確認することができる。
【0052】
また、防火区画を構成する壁30の仕様(乾式間仕切り等)が色分けされて表示されることで、仕様が文字又は図面で表示される場合と比較し、防火区画を構成する壁30の仕様を容易に確認することができる。
【0053】
壁30の防火区画貫通部32の近傍に貼られたシール40をカメラ74が撮像し、撮像した撮像画像からマトリックス型二次元コードを読み取って得た処理部材34の品番から処理部材34の認定番号を取得する。そして、取得された処理部材34の認定番号と壁30の仕様(乾式間仕切り)とを照合し、照合結果表示42をHMD70のディスプレイ72に表示する。これにより、防火区画貫通部32を防火区画処理する処理部材34の認定番号が防火区画を構成する壁30の仕様(乾式間仕切り)に対応していることを容易に確認することができる。
【0054】
このように、防火区画貫通部32を防火区画処理する処理部材34の認定番号が防火区画を構成する壁30の仕様(乾式間仕切り)に対応していることを確認する防火検査の検査効率が、検査員50が書類を見ながら行う場合と比較し、向上する。
【0055】
また、本実施形態では、三次元モデルの仮想画像31及び照合結果表示42を検査員50の頭部52に装着するHMD70のディスプレイ72に表示すると共にHMD70に設けられたカメラ74によってシール40のマトリックス型二次元コードを撮影して読み取っている。よって、検査員50は両手を検査以外のことに利用、例えば、物を運んだり脚立に上ったりすることを容易に行うことができるので、検査効率が向上する。
【0056】
<変形例>
次に、本実施形態の変形例について説明する。
【0057】
図7に示すように本変形では、タブレット端末300を用いる。タブレット端末300は、表面に画面310が設けられ、背面に図示していないカメラが設けられている。
【0058】
制御装置110(図4及び図5参照)は、端末のカメラが撮像した撮像画像333に、防火区画を構成する壁30及び壁30の仕様(乾式間仕切り等)が色分けされた三次元モデルの仮想画像31を重ねてタブレット端末300の画面310に表示する。
【0059】
また、制御装置110(図4及び図5参照)は、端末のカメラが撮像したシール40の撮像画像からマトリックス型二次元コードを読み取って得た処理部材34(図1及び図2参照)の品番から処理部材34の認定番号を取得する。そして、制御装置110(図4及び図5参照)は、取得した処理部材34の認定番号と壁30(図1図3参照)の仕様(乾式間仕切り)とを照合し、照合結果表示42をタブレット端末300の画面310に表示する。
【0060】
よって、防火区画を構成する壁30(図1図3参照)及び壁30の仕様を容易に確認することができる。また、防火区画貫通部32を防火区画処理する処理部材34の認定番号が防火区画を構成する壁30の仕様(乾式間仕切り)に対応していることを確認する防火検査の検査効率が、検査員50(図1及び図2参照)が書類を見ながら行う場合と比較し、向上する。
【0061】
<その他>
尚、本発明は上記実施形態及び変形例に限定されない。
【0062】
例えば、上記実施形態では、HMD70の透過型のディスプレイ72を透過して目視される建物10の実物に、記憶部120に記憶された建物10の三次元モデルの仮想画像31を重ねて、透過型のディスプレイ72に表示したが、これに限定されない。カメラを通じてディスプレイに外の様子が映し出されるビデオ透過型(ビデオシースルー、Video See-Through)のHMDを用いてもよい。つまり、HMDに設けられた撮像装置の一例としてのカメラが撮像した壁などの構造体の撮像画像に、記憶部120に記憶された三次元モデルの仮想画像を重ねてHMDのディスプレイに表示してもよい。
【0063】
また、例えば、上記実施形態及び変形例では、防火区画を構成する壁は、仕様毎に色分けされて識別可能に表示されたが、これに限定されない。例えば、仕様が文字又は記号等で識別されて表示されてもよい。
【0064】
また、例えば、上記実施形態及び変形例では、防火区画を構成する構造体の例は、壁であったが、これに限定されない。防火区画を構成する構造体は、例えば、スラブ、梁及び柱等であってもよい。
【0065】
また、例えば、上記実施形態及び変形例では、処理部材34の情報は品番であったが、これに限定されない。他の情報、例えば製品名及び別途付与した識別番号等であってもよい。また、シール40が持つ処理部材34の防火性能情報は、国土交通大臣認定書の認定番号に限定されない。他の防火性能情報、例えば別途付与した防火性能グレード等であってもよい。要は、防火区画貫通部を防火区画処理する処理部材の防火性能が防火区画を構成する構造体の仕様に対応していることを確認できればよい。
【0066】
また、例えば、上記実施形態及び変形例では、情報部材は、マトリックス型二次元コードが印刷されたシール40であったが、これに限定されない。シール40以外、例えば、RFID(Radio Frequency IDentification)等の近距離無線通信技術を用いた無線タグであってもよい。なお、無線タグの場合、読取装置としてリーダーを用いる。情報部材及び読取装置には、どのような技術を用いてもよい。
【0067】
更に、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得る。複数の実施形態及び変形例等は、適宜、組み合わされて実施可能である。
【符号の説明】
【0068】
10 建物
30 壁(防火区画を構成する構造体の一例)
31 仮想画像
32 防火区画貫通部
33 撮像画像
34 処理部材
40 シール(情報部材の一例)
50 検査員
52 頭部
70 ヘッドマウントディスプレイ(表示装置の一例)
74 カメラ(読取装置の一例)
100 防火検査システム
110 制御装置
120 記憶部
122 表示部
124 読取部
126 照合部
300 タブレット端末(表示装置及び読取装置の一例)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7