(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】媒体搬送装置、画像読取り装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 7/12 20060101AFI20230829BHJP
B65H 5/06 20060101ALI20230829BHJP
B65H 5/36 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
B65H7/12
B65H5/06 F
B65H5/36
(21)【出願番号】P 2018071285
(22)【出願日】2018-04-03
【審査請求日】2021-03-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中田 隆介
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-314108(JP,A)
【文献】特開2005-272145(JP,A)
【文献】特開2005-178945(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0069456(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00- 3/68
B65H 5/36- 5/38
B65H 7/00- 7/20
B65H 43/00-43/08
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートの搬送経路を形成するように所定の間隙を隔てた上側ガイドと下側ガイドで構成され、
第1の搬送ローラ対で送り込まれる前記シートを固定ローラと変位ローラのニップ部に挟んで搬送する
第2の搬送ローラ対を備えたシート搬送路と、
前記シート搬送路における前記
第2の搬送ローラ対のシート搬送方向上流側に設けられ前記
第1の搬送ローラ対で送り込まれる前記シートの重なりを検知する検知手段と、
前記上側ガイドに回転可能に支持され前記
第2の搬送ローラ対のシート搬送方向上流側で前記上側ガイドのシート搬送面の一部を形成し前記下側ガイドと一定間隔を保つように前記変位ローラの変位に追従して移動する案内部材と、を備えた、
ことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
前記案内部材は、一端が前記上側ガイドに回転可能に支持され、他端が前記変位ローラの回転軸に前記シートの搬送方向に移動可能に嵌め込まれて、前記変位ローラの変位に追従して移動する、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記案内部材は、前記検知手段を覆うように、前記シートの搬送方向において、前記案内部材の前記一端が前記検知手段の上流側に設けられ、前記案内部材の前記他端は前記検知手段の下流側に設けられている、
ことを特徴とする請求項2に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記案内部材は、前記シート搬送路のシート案内面から分割されて形成されている、
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項5】
前記シート搬送路は湾曲した湾曲搬送路を有しており、前記検知手段は前記湾曲搬送路を挟むように配置されている、
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項6】
原稿の画像を読み取る撮像手段と、
前記撮像手段が前記原稿を読み取る読取り位置に前記原稿を搬送する請求項1ないし5のいずれか1項に記載のシート搬送装置と、を備えた、
ことを特徴とする画像読取り装置。
【請求項7】
原稿の画像を読み取る請求項6に記載の画像読取り装置と、
前記画像読取り装置で読み取った
前記画像を記録媒体に記録する画像記録手段と、を備えた、
ことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート搬送装置、画像読取り装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シートを積載するスタッカと、スタッカに配置されシートを分離給送する給紙手段と、給紙手段からのシートを所定の処理位置に案内するシート搬送経路と、シート搬送経路に配置され、給紙手段から送られたシートを一時的に待機させるレジスト手段と、レジスト手段と処理位置との間のシート搬送経路に配置され、レジスト手段からのシートを処理位置に給送するシート給送手段と、スタッカから処理位置に移送するシートの重なりを検出する重送検知センサと、を備え、レジスト手段と処理位置との間のシート搬送経路は、互いに間隔を隔てて対向する一対のガイド部材で構成され、レジスト手段から処理位置にシートを案内するシート搬送経路は、互いに間隔を隔てて対向する一対のガイド部材で構成され、この一対のガイド部材には、レジスト手段とシート給送手段との間に重送検知センサが配置され、この重送検知センサとシート給送手段との間にシートを一方のガイド部材側に偏向させる押圧手段が配置されているシート供給装置が知られている(特許文献1)。
【0003】
シート処理プラテンと、この処理プラテンにシートを供給するシート給送ローラと、処理プラテンからシートを搬出するシート搬出ローラと、処理プラテンとの間にシート搬送経路を形成して対向配置され給送ローラから搬出ローラに至るガイド部材とを備え、給送ローラをシートの搬送方向と直交する方向に間隔を隔てた2つ以上のローラで構成し、このローラ間にシートと接して従動する遊動ローラを給送ローラの外周とシート搬送方向に互いに交叉するように配置し、シートを給送ローラ外周と遊動ローラ外周で処理プラテンに導くようにしたシート供給装置も知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-298599号公報
【文献】特開2005-001828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、検知手段と一定間隔を保つように変位ローラの変位に追従して移動する案内部材を備えていない構成に比べて、搬送されるシートの重なり検知の精度を向上させることができるシート搬送装置、画像読取り装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、請求項1に記載のシート搬送装置は、
シートの搬送経路を形成するように所定の間隙を隔てた上側ガイドと下側ガイドで構成され、第1の搬送ローラ対で送り込まれる前記シートを固定ローラと変位ローラのニップ部に挟んで搬送する第2の搬送ローラ対を備えたシート搬送路と、
前記シート搬送路における前記第2の搬送ローラ対のシート搬送方向上流側に設けられ前記第1の搬送ローラ対で送り込まれる前記シートの重なりを検知する検知手段と、
前記上側ガイドに回転可能に支持され前記第2の搬送ローラ対のシート搬送方向上流側で前記上側ガイドのシート搬送面の一部を形成し前記下側ガイドと一定間隔を保つように前記変位ローラの変位に追従して移動する案内部材と、を備えた、
ことを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載のシート搬送装置において、
前記案内部材は、一端が前記上側ガイドに回転可能に支持され、他端が前記変位ローラの回転軸に前記シートの搬送方向に移動可能に嵌め込まれて、前記変位ローラの変位に追従して移動する、
ことを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項2に記載のシート搬送装置において、
前記案内部材は、前記検知手段を覆うように、前記シートの搬送方向において、前記案内部材の前記一端が前記検知手段の上流側に設けられ、前記案内部材の前記他端は前記検知手段の下流側に設けられている、
ことを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のシート搬送装置において、
前記案内部材は、前記シート搬送路のシート案内面から分割されて形成されている、
ことを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のシート搬送装置において、
前記シート搬送路は湾曲した湾曲搬送路を有しており、前記検知手段は前記湾曲搬送路を挟むように配置されている、
ことを特徴とする。
【0012】
前記課題を解決するために、請求項6に記載の画像読取り装置は、
原稿の画像を読み取る撮像手段と、
前記撮像手段が前記原稿を読み取る読取り位置に前記原稿を搬送する請求項1ないし5のいずれか1項に記載の原稿搬送装置と、を備えた、
ことを特徴とする。
【0013】
前記課題を解決するために、請求項7に記載の画像形成装置は、
原稿の画像を読み取る請求項6に記載の画像読取り装置と、
前記画像読取り装置で読み取った前記画像を記録媒体に記録する画像記録手段と、を備えた、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1、6、7に記載の発明によれば、検知手段と一定間隔を保つように変位ローラの変位に追従して移動する案内部材を備えていない構成に比べて、搬送されるシートの重なり検知の精度を向上させることができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、シート搬送路のシート案内面と検知手段の間隔を一定に保つことができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、案内部材の変位ローラの変位への追従性を向上させることができる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、案内部材を小型化することができる。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、シート搬送装置を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】画像形成装置の内部構成を示す断面模式図である。
【
図3】シート搬送路を露出させた状態の画像読取装置を示す断面模式図である。
【
図4】画像形成装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】自動原稿送り部のテイクアウェイローラとプレレジローラを含むシート搬送路を示す縦断面模式図である。
【
図6】自動原稿送り部のテイクアウェイローラとプレレジローラを含むシート搬送路を示す平面模式図である。
【
図8】重送検知センサの配置を説明する断面模式図である。
【
図10】シート搬送路における原稿の搬送状態を示す断面模式図である。
【
図11】比較例に係るシート搬送路における原稿の搬送状態を示す縦断面模式図ある。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に図面を参照しながら、以下に実施形態及び具体例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態及び具体例に限定されるものではない。
また、以下の図面を使用した説明において、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【0022】
(1)画像形成装置の全体構成及び動作
図1は本実施形態に係る画像形成装置1の内部構成を示す断面模式図、
図2は画像読取装置2の内部構成を示す断面構成図、
図3はシート搬送路Sを露出させた状態の画像読取装置を示す断面模式図、
図4は画像形成装置1の機能構成の一例を示すブロック図である。以下、図面を参照しながら、画像形成装置1の全体構成及び動作を説明する。
【0023】
(1.1)全体構成
画像形成装置1は、原稿から画像を読み取って画像データに変換する画像読取装置2、読み取った画像データを記録媒体としての用紙に印刷する画像記録手段としての画像形成部3、ユーザーインターフェイスとしての操作情報部4、画像処理部5、を備えて構成されている。
【0024】
画像読取装置2は、原稿積載部21と、自動原稿送り部22と、画像読取部23とを備えて構成されている。自動原稿送り部22は、原稿積載部21に置かれたシートの一例としての原稿Gを画像読取部23の読取位置に搬送し、画像読取部23でCCD(Charge Coupled Device)ラインセンサ等のイメージセンサ(不図示)で読み取られた画像は電気信号である画像データに変換される。
【0025】
画像形成部3は、給紙装置31、露光装置32、感光体ユニット33、現像装置34、転写装置35、定着装置36を備えて構成され、画像処理部5から受け取った画像情報を給紙装置31から送り込まれた用紙P上にトナー像として形成する。
【0026】
画像読取装置2の前面側には、ユーザーインターフェイスとしての操作情報部4が配置されている。操作情報部4は、液晶表示パネル、各種操作ボタン、タッチパネル等を組み合わせて構成され、画像形成装置1の使用者は、受付手段の一例としての操作情報部4を介して各種の設定や指示の入力を行う。また、液晶表示パネルを介して画像形成装置1の使用者へ各種情報を表示する。
【0027】
画像処理部5は、画像読取装置2で読み取られた画像及び外部機器(例えばパーソナルコンピュータ等)から送信された印刷情報から画像データを生成する。
【0028】
(1.2)画像読取装置
画像読取装置2は、原稿積載部21と、自動原稿送り部22と、画像読取部23とを備えている。なお、原稿積載部21と自動原稿送り部22は、画像読取部23の上方へ開閉可能に連結されている。
【0029】
原稿積載部21は、画像が記録された原稿Gが載置される原稿トレイ212を備えている。原稿トレイ212は、載置される原稿Gの枚数に応じて昇降可能で、原稿Gの上面がナジャーローラ221に接触するよう上昇した位置で原稿Gを保持する。
【0030】
自動原稿送り部22は、原稿トレイ212上に積載された原稿Gを上から順に取り出すナジャーローラ221と、送りローラとしてのフィードローラ222とフィードローラ222に圧接しながら原稿Gを分離するリタードローラ223からなる分離部224を備えている。
【0031】
分離部224は、原稿積載部21の原稿送り出し方向における下流側で、フィードローラ222とフィードローラ222に圧接してニップ部Nを形成するリタードローラ223から構成されている。フィードローラ222は、ナジャーローラ221と同方向に回転し、ナジャーローラ221から送り出される原稿Gに対してさらに搬送方向下流側へと搬送する。
【0032】
リタードローラ223は、
図2に示す例では時計回り(矢印CW方向)に回転駆動され、原稿Gを挟んでフィードローラ222と同方向に回転駆動している。これにより、リタードローラ223は、フィードローラ222とは逆に、搬送方向上流側へと原稿Gを搬送し、複数枚の原稿Gを分離する。
【0033】
例えば、ニップ部Nに2枚の原稿Gが送り出されてきた場合、フィードローラ222と1枚目の原稿Gとの間の摩擦係数及びリタードローラ223と2枚目の原稿Gとの間の摩擦係数は、原稿G間の摩擦係数より大きく設定されている。その結果、1枚目の原稿Gはフィードローラ222によって送り出し方向下流側へと搬送され、2枚目の原稿Gはリタードローラ223により送り出し方向上流側へと搬送され、2枚の原稿Gは分離するように捌かれる。
【0034】
シート搬送路Sには、原稿Gの搬送方向に対して、フィードローラ222の下流側の位置に、ローラ対で構成されたテイクアウェイローラ225が配置されている。テイクアウェイローラ225は、フィードローラ222で送り出される原稿Gを、更に下流側のプレレジローラ226へ搬送する。
【0035】
テイクアウェイローラ225の上流側には、フィードアウトセンサSNRが設けられている。フィードアウトセンサSNRは反射型の光センサを用いて構成され、原稿Gの先端を検知することで、停止しているテイクアウェイローラ225に分離部224から搬送される原稿Gを突き当ててループを形成するトリガーとなっている。フィードアウトセンサSNRがオンしてから所定のパルス数に相当する送り量が設定され、原稿Gにループが形成される。
そして、テイクアウェイローラ225が回転駆動されて、原稿Gの後端がフィードアウトセンサSNRを通過してフィードアウトセンサSNRがオフになるまでの時間で、搬送される原稿Gの送り方向サイズが検知される。
【0036】
シート搬送路Sは、原稿Gの搬送経路を形成するように所定の間隙を隔てた上側ガイドSaと下側ガイドSbで構成され、レジローラ227に向けて略U字状の搬送経路を形成している。上側ガイドSaは、自動原稿送り部22を覆う開閉部材としての開閉カバー2aの内面に固定され、
図3に示すように、開閉カバー2aを開放することで、シート搬送路Sの搬送経路が露出してシート搬送路S内でのジャム除去処理ができるようになっている。
【0037】
シート搬送路Sには、テイクアウェイローラ225の下流側にプレレジローラ226が設けられている。プレレジローラ226は、回転駆動される固定ローラ226Aと、バネ等の押圧手段(不図示)を介して固定ローラ226Aに対して移動可能に圧接されて従動回転する変位ローラ226Bからなる搬送ローラ対であり、停止しているレジローラ227に原稿Gの先端を突き当てて原稿Gにループを形成する。
【0038】
また、テイクアウェイローラ225とプレレジローラ226の間でプレレジローラ226に近接するように重送検知センサS10が設けられ、テイクアウェイローラ225から送り出される原稿Gの重送(多数枚送り)を検知している。これにより、自動原稿送り部22は、より小型化された状態で重送検知が可能となっている。
【0039】
プレレジローラ226の下流側には、原稿Gの搬送タイミングを調整するレジローラ227が配置されている。プレレジローラ226は停止しているレジローラ227に原稿Gの先端を突き当てた状態でループを形成して斜行を補正する。レジローラ227は読み取りの開始タイミングに合わせて回転駆動され、原稿Gはテイクアウェイローラ225及びプレレジローラ226でループを保持された状態でプラテンローラ228によって、原稿の通過面PG1に押し当てられて表面を画像読取部23で読み取られる。
【0040】
原稿の通過面PG1の右方には、操作者が載置した原稿Gが支持される原稿の載置面PG2が配置されている。原稿の通過面PG1と、原稿の載置面PG2との間には、原稿ガイドPG3が配置され、原稿の通過面PG1を通過した原稿Gは原稿ガイドPG3に案内されて読取センサ232へ搬送される。表面を画像読取部23で読み取られた原稿Gは、読取センサ232で裏面を読み取られながら、排出ローラ229で原稿積載部21の下方に形成された排紙部217に排出される。
【0041】
原稿の載置面PG22の下部には、原稿Gの画像を光学的に読み取って電気信号に変換する画像読取センサ231が設けられており、原稿の通過面PG1上を通過する原稿G、又は、原稿の載置面PG2上に設置された原稿Gの画像を読み取る。読み取った画像は、電気信号である画像データに変換される。
【0042】
(1.3)画像形成部
画像形成部3では、画像形成のタイミングに合わせて給紙装置31から印刷ジョブで印刷の1枚毎に指定された用紙Pが画像形成部3へ送り込まれる。
【0043】
感光体ユニット33は、給紙装置31の上方(Z方向)に、それぞれが並列して設けられ、回転駆動する感光体ドラム341を備えている。露光装置32により静電潜像が形成されたそれぞれの感光体ドラム341上には、それぞれの現像装置34によってイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像が形成される。
【0044】
各感光体ユニット33の感光体ドラム341に形成された各色トナー像は、転写装置35の中間転写ベルト361上に順次静電転写(一次転写)され、各色トナーが重畳された重畳トナー像が形成される。中間転写ベルト361上の重畳トナー像は、レジストローラ対321から送り出され、搬送ガイドにより案内された用紙Pに二次転写ローラ362によって一括転写される。
【0045】
定着装置36は一対の加熱モジュール371と加圧モジュール372の圧接領域によって定着ニップFN(定着領域)が形成される。
転写装置35においてトナー像が一括転写された用紙Pは、トナー像が未定着の状態で搬送ガイド363を介して定着装置36の定着ニップFNに搬送され、一対の加熱モジュール371と加圧モジュール372により、圧着と加熱の作用でトナー像が定着される。
【0046】
定着トナー像が形成された用紙Pは、切替ゲートG1にガイドされ、第1排出ローラ対373から画像形成装置1上面の排紙トレイ部TR1に排出・収容される。また、両面印刷のために反転したり、画像記録面を上側にして排出する場合は、切替ゲートG1で搬送路375に向って搬送方向が切り替えられる。
【0047】
(1.3)画像形成装置のブロック構成
画像形成装置1は、画像出力制御部11、読取制御部12、電源制御部13、露光制御部14、定着温度制御部15を含むシステム制御装置10を備え、メモリに記憶された制御プログラムを実行して、画像形成装置1全体の動作制御を行う。
【0048】
画像出力制御部11は、画像形成部3が備える給紙装置31、露光装置32、感光体ユニット33、現像装置34、転写装置35、定着装置36等に対して、動作制御指示を与える。
又、画像出力制御部11は、システム制御装置10が備える電源制御部13、露光制御部14、定着温度制御部15に対して、それぞれ動作制御指示を与える。すなわち、画像形成部3を構成する給紙装置31、露光装置32、感光体ユニット33、現像装置34、転写装置35、定着装置36等への給電、駆動を行うか否かを決定し、その決定結果をそれぞれの制御部に対して指示する。
【0049】
更に、画像出力制御部11は、読取制御部12との間の情報授受を行い、操作情報部4を介して画像読取の指示を受け付けた場合に、予め定められた画像読取制御を行う。
【0050】
読取制御部12は、画像読取装置2の動作を制御して原稿積載部21に積載された原稿Gを自動原稿送り部22を介して画像読取部23へ搬送しながら走査によって原稿Gの画像を読み取り、読み取られた画像データを受け入れる。受け入れた画像データは記憶部(HDD)に蓄積される。
【0051】
(2)シート搬送路の構成と動作
図5は自動原稿送り部22のテイクアウェイローラ225とプレレジローラ226を含むシート搬送路Sを示す縦断面模式図、
図6は自動原稿送り部22のテイクアウェイローラ225とプレレジローラ226を含むシート搬送路Sを示す平面模式図、
図7は案内部材100の構成を示す図、
図8は重送検知センサS10の配置を説明する断面模式図、
図9は重送検知センサS10の信号例を示す図、
図10はシート搬送路Sにおける原稿Gの搬送状態を示す断面模式図、
図11は比較例に係るシート搬送路S1における原稿Gの搬送状態を示す縦断面模式図ある。以下、図面を参照しながら、自動原稿送り部の22の構成と動作について説明する。
【0052】
自動原稿送り部22は、原稿積載部21に積載された原稿Gを分離部224で一枚ずつ分離して、シート搬送路Sに配置されたテイクアウェイローラ225、プレレジローラ226、レジローラ227を介して原稿Gを画像読取部23に送り出す。
【0053】
テイクアウェイローラ225とプレレジローラ226との間には、
図5、
図6に示すように、搬送される原稿Gの重送(重なり)を検知する検知手段の一例としての重送検知センサS10が配置されている。
重送検知センサS10は超音波センサであり、
図8に示すように、送波素子S10Aと受波素子S10Bとは同一構造の素子で構成され、金属性のケースS10aに圧電セラミック板などの圧電振動体S10bが弾性樹脂S10c内に埋設してある。
【0054】
圧電振動体S10bには高周波発振回路(不図示)から、例えば30KHz~400KHzの高周波信号を増幅した高周波が供給され、圧電振動体S10bはケースS10aに密着していて両者が一体となった固有振動数のもとに特定の周波数で振動することにより、ケースS10aの一部を成す送波表面S10Aaから一定振幅(
図9(a):出力レベルV1)の高周波で超音波を発する。
一方、受波素子S10BはケースS10aの受波表面S10Bbと、これと一体の圧電振動体S10bが受信した超音波によって共振し、生起した電力を信号として出力する。このとき搬送される原稿Gを通過する際の超音波の減衰が、
図9に模式的に示すように、原稿Gが一枚のとき(
図9(b):出力レベルV2)と2枚のとき(
図9(c):出力レベルV3)で異なった出力となることから、搬送される原稿Gの重なり具合が検出可能となっている。
【0055】
このような構造の重送検知センサ(超音波センサ)S10は、
図8に示すように、送波素子S10Aと受波素子S10Bとはシート搬送路Sを走行する原稿Gに対して所定角度傾斜して対向するように配置されている。
具体的には、シート搬送路Sと直交する垂線N-Nに対し角度αで傾斜した状態で配置されている(角度α:30度~45度)。これにより、送波素子S10Aから発振した超音波が原稿G表面で反射して送波素子S10Aの送波表面S10Aaに戻ることによる発振波と反射波の干渉を防止している。また、同様の干渉が原稿G表面と受波素子S10Bの受波表面S10Bbとの間で起こるのを防止している。
【0056】
また、シート搬送路Sに対し重力方向における下側に送波素子S10Aを、上側に受波素子S10Bを配置して、シート搬送路Sから落下する紙粉その他の塵埃が検出精度に与える影響を少なくしている。さらに、下方に配置した送波素子S10Aの送波表面S10Aaを水平方向に対し角度β傾斜するように配置して(角度β:60度~70度)、送波表面S10Aaから塵埃が自然落下するか或いは超音波振動と協働して下方に落下するようにしている。
【0057】
図11には、案内部材100を有しない比較例に係るシート搬送路S1の例を示している。シート搬送路S1は、間隙D1を隔てた上側ガイドSaと下側ガイドSbで構成され、上側ガイドSaは、開閉する開閉カバー2aの内面に固定されているために、搬送路の間隙D1を狭く設定することは、ばらつきを考慮すると難しい。
【0058】
このようなシート搬送路S1に配置された重送検知センサS10に対して、原稿G(G1、G2)がループを形成した状態でテイクアウェイローラ225からから繰り出されると、原稿G(G1、G2)の先端部はバタツキやすく(
図11中 矢印参照)、重送検知センサS10の検出値が不安定になる虞があった。このバタツキは、原稿G(G1、G2)がプレレジローラ226に到達した後は、原稿G(G1、G2)がテイクアウェイローラ225とプレレジローラ226とにニップされながら上側ガイドSaに沿うように搬送され安定する。そして、原稿G(G1、G2)の後端がテイクアウェイローラ225のニップを抜けると、後端部がバタツキやすくなり、重送検知センサS10の検出値が不安定になる虞があった。
【0059】
本実施形態においては、シート搬送路Sは、開閉カバー2aに設けられ重送検知センサS10と一定間隔を保つようにプレレジローラ226の変位ローラ226Bの変位に追従して移動する案内部材100を備えている。
案内部材100は、
図7に示すように、全体が矩形の板状体であり、一端側には回転支点となるボス部101が設けられ、他端側には変位ローラ226Bを回転自在に支持するシャフト226Cに挿通されて変位ローラ226bの変位に追従して移動する長孔部102が設けられている。
また、案内部材100の原稿案内面100aの略中央部には、貫通孔103が形成され、重送検知センサS10の送波素子S10Aと受波素子S10Bが対向して配置されるようになっている。
【0060】
このように構成される案内部材100は、
図5に示すように、ボス部101がテイクアウェイローラ225の下流側で上側ガイドSaに回転可能に支持され、長孔部102がプレレジローラ226の上流側でシャフト226Cに挿通されて、プレレジローラ226の変位ローラ226Bの変位に追従して移動可能な状態に配置される。
また、
図6に示すように、案内部材100は、平面視で上側ガイドSaのシート案内面の一部が分割されてシート案内面をなすように配置される。
【0061】
このように、シート搬送路Sは、上側ガイドSaのシート案内面の一部が、プレレジローラ226の変位ローラ226Bの変位に追従して移動する案内部材100からなることで、
図10に示すように、上側ガイドSaと下側ガイドSbの間隙D2が比較例のシート搬送路S1に比べて狭く設定することができる。
【0062】
すなわち、案内部材100が、上流側はボス部101で上側ガイドSaに回転可能に支持され、下流側は長孔部102が固定ローラ226Aに圧接される変位ローラ226Bを回転支持するシャフト226Cに移動可能に支持されるために、固定ローラ226Aで常に間隙D2を安定して保持できる。
そのために、テイクアウェイローラ225からループを形成した状態で繰り出される原稿G(G1、G2)の先端部及び後端部のバタツキが抑制されてやすく、重送検知センサS10の検出値が安定化する。
【0063】
本実施形態においては、案内部材100が上流側で上側ガイドSaに回転支持される態様について説明したが、案内部材100は、後端側が変位ローラ226Bを回転支持するシャフト226Cに移動可能に支持されていれば、上流側はテイクアウェイローラ225の移動ローラ225Bの軸部に回転支持されてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1・・・画像形成装置
2・・・画像読取装置
21・・・原稿積載部
22・・・自動原稿送り部
221・・・ナジャーローラ
222・・・フィードローラ
223・・・リタードローラ
225・・・テイクアウェイローラ
226・・・プレレジローラ
227・・・レジローラ
S、S1・・・シート搬送路
Sa・・・上側ガイド
Sb・・・下側ガイド
100・・・案内部材
S10・・・重送検知センサ
23・・・画像読取部
3・・・画像形成部
4・・・操作情報部
5・・・画像処理部
10・・・システム制御装置
11・・・画像出力制御部
12・・・読取制御部