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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】ゴルフ診断システム
(51)【国際特許分類】
   A63B 69/36 20060101AFI20230829BHJP
【FI】
A63B69/36 541Z
A63B69/36 541Q
A63B69/36 541W
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018208677
(22)【出願日】2018-11-06
(65)【公開番号】P2020074835
(43)【公開日】2020-05-21
【審査請求日】2021-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(74)【代理人】
【識別番号】100179213
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 未知子
(74)【代理人】
【識別番号】100170542
【弁理士】
【氏名又は名称】桝田 剛
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 弘祐
(72)【発明者】
【氏名】中村 佑斗
(72)【発明者】
【氏名】植田 勝彦
【審査官】早川 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-209120(JP,A)
【文献】特開2017-029460(JP,A)
【文献】特開2016-127880(JP,A)
【文献】特表2013-533786(JP,A)
【文献】特表2012-531941(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0122504(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 69/00-71/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバーに接続されるゴルフ診断システムであって、
ゴルファーがゴルフクラブを試打する様子を計測した計測データを収集する計測機器と、
第1ディスプレイを有し、前記計測機器に接続されるコンピュータと、
第2ディスプレイを有し、前記ゴルファー及び前記ゴルファーを案内するオペレータに操作される入力端末と
を備え、
前記入力端末は、
前記ゴルファーから前記ゴルファーの属性情報の入力を受け付け、
前記ゴルファーの属性情報に一意に関連付けられたコードを生成し、
前記オペレータから前記ゴルファーを観察した結果に関する観察情報の入力を受け付け、
前記サーバーに前記ゴルファーの属性情報及び前記観察情報を、前記コードを関連付けてアップロードし、
前記第2ディスプレイ上に前記コードを表示し、
前記コンピュータは、
前記計測機器から前記計測データを受信し、
前記オペレータから前記コードの入力を受け付け、
前記コードをキーとして、前記サーバーから、前記コードに関連付けられた前記ゴルファーの属性情報及び前記観察情報をダウンロードし、
前記コンピュータに接続されるリーダー装置を介して、前記ゴルファーの試打に使用される前記ゴルフクラブに関するクラブ情報を保持したコードを読み取ることにより、前記クラブ情報の入力を受け付け、
前記計測データ、前記ゴルファーの属性情報、前記観察情報及び前記クラブ情報に基づいて、前記ゴルファーのショットの診断結果を作成し、
前記第1ディスプレイ上に前記診断結果を表示し、
前記観察情報は、前記試打を行うときの前記ゴルファーの挙動の特徴を含み、
前記入力端末は、前記挙動の特徴を表す分類を階層化された選択形式で入力するための画面を生成し、前記第2ディスプレイに表示し、
前記クラブ情報には、ヘッドのモデル名、ロフト角、ライ角、バンス角、ヘッドの重量、シャフトのモデル名、シャフトのフレックス、シャフトのインターナショナルフレックスコード、シャフトのトルク、シャフトの重量、グリップのモデル名、及びグリップの重量の少なくとも1つに関する、クラブの仕様情報が含まれる、
ゴルフ診断システム。
【請求項2】
前記コンピュータは、前記計測データ及び前記コードを関連付けて、或いは、前記計測データ及び前記ゴルファーの属性情報を関連付けて、前記サーバーにアップロードする、
請求項1に記載のゴルフ診断システム。
【請求項3】
前記コンピュータは、前記観察情報、前記計測データ及び前記ゴルファーの属性情報を関連付けて、前記サーバーにアップロードする、
請求項1または2に記載のゴルフ診断システム。
【請求項4】
前記コンピュータは、前記クラブ情報、前記計測データ及び前記コードを関連付けて、或いは、前記クラブ情報、前記計測データ及び前記ゴルファーの属性情報を関連付けて、前記サーバーにアップロードする、
請求項1からのいずれかに記載のゴルフ診断システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフ診断システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフ用品の販売店やゴルフスクール等においては、ゴルファーにゴルフクラブを試打させ、専門のスタッフ(以下、オペレータという)がこのときのショットを観察し、診断することが行われている。診断結果は、様々な目的で利用することができ、例えば、ゴルファーが今後のプレーに活かすこともできるし、ゴルファーに適したゴルフクラブを選択する(所謂、フィッティング)のためにも利用され得る。こうした診断の場面では、特許文献1のように、ゴルファーのショットをカメラ等の計測装置により計測し、このときの計測データに基づきコンピュータがゴルファーのショットを解析した結果を表示し、これをオペレータが参照することもしばしば行われる。
【0003】
以上のような診断の場面では、まず、ゴルファーが問診表に、年齢、性別、ゴルフ歴、現在使用しているゴルフクラブの種類、自身のプレーに関する悩み等を記入する。オペレータは、このような問診の内容と、コンピュータによる解析結果と、さらに自身が観察した内容とを複合的に考慮して、自身の経験及び知識に基づき、診断を下す。そして、オペレータは、診断結果を診断表に書き込み、これをゴルファーに手渡して、診断が完了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-077246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、以上のような問診の内容、コンピュータによる解析結果、観察した内容、及び診断結果等に関する情報は、オペレータ及びゴルファーがその場限りで確認するだけであり、一元管理されてこなかった。つまり、従来のゴルフ診断システムでは、ゴルフの診断時に得られる様々な種類の情報が、十分に複合的に活用されていない。
【0006】
本発明は、ゴルフの診断時に得られる様々な種類の情報を統合し、複合的に活用する又は活用できるようにするゴルフ診断システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1観点に係るゴルフ診断システムは、サーバーに接続されるゴルフ診断システムであって、ゴルファーがゴルフクラブを試打する様子を計測した計測データを収集する計測機器と、第1ディスプレイを有し、前記計測機器に接続されるコンピュータと、第2ディスプレイを有し、前記ゴルファー及び前記ゴルファーを案内するオペレータに操作される入力端末とを備える。前記入力端末は、前記ゴルファーから前記ゴルファーの属性情報の入力を受け付け、前記ゴルファーの属性情報に一意に関連付けられたコードを生成し、前記サーバーに前記ゴルファーの属性情報及び前記コードを関連付けてアップロードし、前記第2ディスプレイ上に前記コードを表示する。前記コンピュータは、前記計測機器から前記計測データを受信し、前記オペレータから前記コードの入力を受け付け、前記コードをキーとして、前記サーバーから、前記コードに関連付けられた前記ゴルファーの属性情報をダウンロードし、前記計測データ及び前記ゴルファーの属性情報に基づいて、前記ゴルファーのショットの診断結果を作成し、前記第1ディスプレイ上に前記診断結果を表示する。
【0008】
第2観点に係るゴルフ診断システムは、第1観点に係るゴルフ診断システムであって、前記コンピュータは、前記計測データ及び前記コードを関連付けて、或いは、前記計測データ及び前記ゴルファーの属性情報を関連付けて、前記サーバーにアップロードする。
【0009】
第3観点に係るゴルフ診断システムは、第1観点又は第2観点に係るゴルフ診断システムであって、前記入力端末は、前記オペレータから前記ゴルファーを観察した結果に関する観察情報の入力を受け付け、前記観察情報及び前記コードを関連付けて前記サーバーにアップロードする。前記コンピュータは、前記コードをキーとして、前記サーバーから、前記コードに関連付けられた前記観察情報をダウンロードし、前記計測データ及び前記ゴルファー属性情報に加え、前記観察情報にさらに基づいて、前記診断結果を作成する。
【0010】
第4観点に係るゴルフ診断システムは、第3観点に係るゴルフ診断システムであって、前記コンピュータは、前記観察情報、前記計測データ及び前記ゴルファーの属性情報を関連付けて、前記サーバーにアップロードする。
【0011】
第5観点に係るゴルフ診断システムは、第1観点から第4観点のいずれかに係るゴルフ診断システムであって、前記コンピュータは、前記ゴルファーの試打に使用される前記ゴルフクラブに関するクラブ情報の入力を受け付け、前記計測データ及び前記ゴルファー属性情報に加え、前記クラブ情報にさらに基づいて、前記診断結果を作成する。
【0012】
第6観点に係るゴルフ診断システムは、第5観点に係るゴルフ診断システムであって、前記コンピュータは、前記コンピュータに接続されるリーダー装置を介して、前記クラブ情報を保持したコードを読み取ることにより、前記クラブ情報の入力を受け付ける。
【0013】
第7観点に係るゴルフ診断システムは、第5観点又は第6観点に係るゴルフ診断システムであって、前記コンピュータは、前記クラブ情報、前記計測データ及び前記コードを関連付けて、或いは、前記クラブ情報、前記計測データ及び前記ゴルファーの属性情報を関連付けて、前記サーバーにアップロードする。
【0014】
第8観点に係るゴルフ診断システムは、サーバーに接続されるゴルフ診断システムであって、ゴルファーがゴルフクラブを試打する様子を計測した計測データを収集する計測機器と、前記計測機器に接続されるコンピュータと、前記ゴルファー及び前記ゴルファーを案内するオペレータに操作される入力端末とを備える。前記コンピュータは、前記計測機器から前記計測データを受信し、前記サーバーに前記計測データをアップロードし、前記入力端末は、前記ゴルファーから前記ゴルファーの属性情報の入力を受け付け、前記サーバーに前記ゴルファーの属性情報をアップロードし、前記サーバーは、前記計測データ及び前記ゴルファーの属性情報を関連付けて保存する。
【0015】
第9観点に係るゴルフ診断システムは、第8観点に係るゴルフ診断システムであって、前記コンピュータは、前記ゴルファーの試打に使用される前記ゴルフクラブに関するクラブ情報の入力を受け付け、前記サーバーに前記クラブ情報をアップロードし、前記サーバーは、前記計測データ、前記ゴルファーの属性情報及び前記クラブ情報を関連付けて保存する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の第1観点から第7観点によれば、ゴルフの診断時に得られる、ゴルファーの属性情報及び計測データを含む様々な種類の情報をコンピュータにおいて統合し、複合的に活用することができる。
【0017】
本発明の第8観点及び第9観点によれば、ゴルフの診断時に得られる、ゴルファーの属性情報及び計測データを含む様々な種類の情報をサーバーにおいて統合し、複合的に活用できるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係るゴルフ診断システムの全体構成を示す図。
図2図1のゴルフ診断システムの電気的構成を示すブロック図。
図3】ゴルフ診断システムとサーバーとの接続関係を示す図。
図4】フィッティングのためのゴルフ診断処理の流れを示すフローチャート。
図5】問診画面を示す図。
図6】問診結果画面を示す図。
図7】解析結果画面を示す図。
図8】第1選択画面を示す図。
図9】第2選択画面を示す図。
図10】診断結果画面を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係るゴルフ診断システムについて説明する。
【0020】
<1.ゴルフ診断システムの全体構成>
図1に、本実施形態に係るゴルフ診断システム100の全体構成を示し、図2に、その電気的構成を示す。ゴルフ診断システム100は、ゴルファーGがゴルフクラブ4を試打したときの計測データに基づいてゴルファーGのショットを解析し、ゴルファーGに関する各種診断を支援するためのシステムである。ゴルフの診断は、専門のスタッフ(以下、オペレータという)Fが、ゴルファーGを案内しながら行う。また、これに限定されないが、本実施形態のゴルフ診断システム100は、多数のゴルフクラブの中からゴルファーGに適した1又は複数本のゴルフクラブを選択する、言い換えると、ゴルファーGに1又は複数本のゴルフクラブをフィッティングするのを補助するためのシステムである。オペレータFは、ゴルファーGが1又は複数本の試打用のゴルフクラブ(以下、テストクラブという)4を試打する様子を観察しながら、最終的にゴルファーGに推奨されるべき、ゴルファーGに適したゴルフクラブ(以下、推奨クラブという)を決定する。
【0021】
ゴルフ診断システム100は、オペレータF及びゴルファーGが必要事項を入力するために操作する入力端末6を含み、入力端末6は、オペレータFとゴルファーGとのやりとりを補助する。また、ゴルフ診断システム100は、ゴルファーGがテストクラブ4を試打する様子を計測する計測装置2と、計測装置2に接続され、計測装置2により収集された計測データを解析するコンピュータ1とをさらに含む。コンピュータ1は、計測データに基づいてゴルファーGのショットを解析し、その解析結果をオペレータF及びゴルファーGに向けて表示する。オペレータFは、コンピュータ1から提示されるゴルファーGのショットの解析結果を参考にしながら、ショットの診断を行い、フィッティングを進める。
【0022】
また、図3に示すとおり、ゴルフ診断システム100に含まれるコンピュータ1及び入力端末6は、インターネット上のサーバー8に接続されている。サーバー8は、ゴルフ診断システム100で収集された各種データを統合して一元管理するサーバーであり、各種データを保存しておくためのデータベース83を備える。図示されないが、サーバー8は、各地に設置される多数のゴルフ診断システム100に接続されており、データベース83には、多数のゴルフ診断システム100から収集された各種データが蓄積されてゆく。
【0023】
以下、テストクラブ4、計測装置2、コンピュータ1、入力端末6及びサーバー8の構成について説明した後、ゴルフ診断システム100を用いて実施されるフィッティングのためのゴルフ診断処理の流れについて説明する。
【0024】
<2.各部の構成>
<2-1.テストクラブ>
テストクラブ4は、一般的なゴルフクラブと同様に、シャフト40と、シャフト40の一端に設けられたヘッド41と、シャフト40の他端に設けられたグリップ42とから構成される。テストクラブ4と総称するが、テストクラブ4としては、ドライバー、フェアウェイウッド、ハイブリッド及びアイアン等の様々なクラブ種類の、様々な番手のゴルフクラブが用意される。また、テストクラブ4としては、同じクラブ種類及び同じ番手であっても、モデルが異なり、仕様の異なる複数のゴルフクラブが用意される。
【0025】
各テストクラブ4の所定の位置には、当該テストクラブ4に関するクラブ情報を保持するコード(以下、クラブコードという)が付与されている。これに限定されないが、本実施形態のクラブコードは、QRコード(登録商標)のような二次元バーコードの形態を有する。このクラブコードは、テストクラブ4に刻印又は印刷等の態様で直接付与されていてもよいし、クラブコードが刻印又は印刷等の態様で付与されたタグがテストクラブ4に取り付けられていてもよい。ここでいうクラブ情報とは、例えば、テストクラブ4の仕様を示す仕様情報であり、ここでいう仕様情報には、例えば、ヘッド41のモデル名、ロフト角、ライ角、バンス角、ヘッド41の重量、シャフト40のモデル名、シャフト40のフレックス、シャフト40のインターナショナルフレックスコード、シャフト40のトルク、シャフト40の重量、グリップ42のモデル名、及びグリップ42の重量の少なくとも1つに関する情報が含まれる。なお、インターナショナルフレックスコードとは、シャフト40の長手方向に沿う所定の複数個所(典型的には、4か所)における硬さ(フレックス)を1~9の数値で表し、その数値を並べて組み合わせた4桁の数字である。
【0026】
以上のクラブコードは、これを読み取り可能なスキャナ(読取り装置)7により読み取られる。スキャナ7は、コンピュータ1に接続されており、コンピュータ1は、スキャナ7を介してクラブ情報を取得する。
【0027】
<2-2.計測装置>
計測装置2は、ゴルフ用品の販売店やゴルフスクール等の専門の場所において、ゴルファーGが試打を行う打席P1に導入されており、打席P1に立つゴルファーGのショットを計測する。計測装置2により計測された計測データは、計測装置2に接続されているコンピュータ1に送信される。
【0028】
図2に示すように、本実施形態に係る計測装置2は、慣性センサユニット3及びカメラシステム5を含む。ただし、計測装置2の構成は、これに限られず、ゴルファーGのショットを診断するのに適した計測データを計測可能なものであれば、特に限定されない。ゴルファーGは、カメラシステム5が据え置かれている打席P1において、慣性センサユニット3が取り付けられているテストクラブ4の試打を行う。打席P1には、ショットマット58が敷かれており、このショットマット58上でゴルファーGは試打を行う。
【0029】
<2-2-1.慣性センサユニット>
慣性センサユニット3は、図1に示す通り、テストクラブ4のグリップ42に取り付けられており、スイング中のテストクラブ4の挙動を計測する。ただし、慣性センサユニット3は、ヘッド41やシャフト40等の別の箇所に取り付けることもできる。慣性センサユニット3は、ゴルファーGのスイング動作の妨げとならないよう、小型且つ軽量に構成されている。慣性センサユニット3は、テストクラブ4に対して着脱自在であってもよいし、取り外し不能に固定されていてもよい。
【0030】
図2に示すように、慣性センサユニット3には、加速度センサ31、角速度センサ32及び地磁気センサ33が搭載されている。これらのセンサ31~33はそれぞれ、これらのセンサ31~33の取付位置を原点とするxyz局所座標系での加速度、角速度及び地磁気のデータを検出する三軸センサである。慣性センサユニット3には、これらのセンサ31~33から出力される計測データを外部のコンピュータ1に送信するための通信装置34も搭載されている。なお、本実施形態では、通信装置34は、スイング動作の妨げにならないように無線式であるが、ケーブルを介して有線式にコンピュータ1に接続するようにしてもよい。
【0031】
<2-2-2.カメラシステム>
図1及び図2に示す通り、カメラシステム5は、複数台のカメラ51及び52と、複数台のストロボ53、53、54及び54とを備えており、ストロボ式の撮影を行う。カメラ51は、インパクト前後のヘッド41及びボール60の様子を上方から撮影できるように、ゴルファーGの正面側において支持台57に固定されており、アドレス時のボール60の斜め上方に配置されている。ストロボ53及び53も、支持台57に固定されており、カメラ51の下方に配置されている。また、カメラ52は、カメラ51とは異なる位置からインパクト前後のヘッド41及びボール60の様子を撮影できるように、ゴルファーGの正面側においてアドレス時のボール60の前方に配置されている。ストロボ54及び54は、カメラ52の左右に配置されている。ゴルフボール60には、カメラ51及び52により撮影された画像データからボール60の挙動を抽出し易いように、適宜、点状、線状等の形状のマーカーが付されている。
【0032】
また、カメラシステム5は、投光器55A及び55Bと、受光器56A及び56Bとを備えており、投光器55A及び受光器56Aが1つのタイミングセンサを構成し、投光器55B及び受光器56Bがもう1つのタイミングセンサを構成している。これらのタイミングセンサにより生成されるタイミング信号は、ストロボ53、53、54及び54の発光及びそれに続くカメラ51及び52の撮影のタイミングを決定するのに使用される。
【0033】
さらに、カメラシステム5は、以上の装置51~56Bの動作を制御するための制御装置50も備えている。制御装置50は、CPU、ROM及びRAM等を有しており、以上の装置51~56Bの他、コンピュータ1の通信部15にも接続されている。
【0034】
投光器55A及び55Bは、ゴルファーGの正面側の地面付近において、カメラ51の下方に配置されている。一方、受光器56A及び56Bは、打席P1に立つゴルファーGの足のつま先付近に配置されている。投光器55A及び受光器56Aは、ゴルファーGの背から腹に向かう方向に概ね平行な直線上に配置されており、互いに対向している。投光器55B及び受光器56Bについても同様である。投光器55A及び55Bは、ゴルフスイング中、常時、それぞれ受光器56A及び56Bに向けて光を照射しており、受光器56A及び56Bがこれを受光する。しかし、テストクラブ4が投光器55A及び55Bと受光器56A及び56Bとの間を通過するタイミングでは、投光器55A及び55Bからの光がテストクラブ4により遮られるため、受光器56A及び56Bはこれを受光することができない。受光器56A及び56Bはこのタイミングを検出し、これを受けてタイミング信号を生成する。制御装置50は、タイミング信号が生成された時刻を基準として、一定の時間、ストロボ53、53、54及び54に発光を命令するとともに、カメラ51及び52に撮影を命令する。カメラ51及び52により撮影された画像データは、計測データとして制御装置50に送信され、制御装置50からさらにコンピュータ1に送信される。
【0035】
<2-3.コンピュータ>
コンピュータ1は、その名のとおり、ハードウェアとしては汎用のコンピュータであり、例えば、デスクトップ型コンピュータ、ノート型コンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォンとして実現される。図2に示す通り、コンピュータ1には、プログラム13aがインストールされている。プログラム13aは、コンピュータ1が読み取り可能なCD-ROM等の記録媒体から、或いはコンピュータ1が接続されるLANやインターネット等の通信ネットワーク上の端末から取得される。プログラム13aは、コンピュータ1に後述する動作を実行させる。
【0036】
コンピュータ1は、ディスプレイ11、入力部12、記憶部13、制御部14及び通信部15を備える。これらの部11~15は、互いにバス線等の通信線16を介して接続されており、相互に通信可能である。ディスプレイ11は、コンピュータ1の本体(制御部14等を収容する筐体)に一体的に組み込まれていても、外付けであってもよい。
【0037】
記憶部13は、ハードディスクやフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶装置から構成することができる。記憶部13内には、プログラム13aが格納されている他、計測装置2から送信されてくる計測データが保存される。制御部14は、CPU、ROM及びRAM等から構成することができる。制御部14は、記憶部13内のプログラム13aを読み出して実行することにより、記憶部13内の計測データに基づいてゴルファーGのショットを解析する。通信部15は、様々な形式の通信接続を確立する通信インターフェースとして機能し、計測装置2やサーバー8、スキャナ7等の外部のデバイスとの間でのデータの送受信を可能にする。これに限定されないが、本実施形態では、通信部15は、LANポートを介して計測装置2に有線接続されるとともに、Wifiルーターに接続され、Wifiルーターを介してインターネット上のサーバー8に接続される。また、通信部15は、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信、又はケーブルを介しての有線通信により、スキャナ7に接続される。入力部12は、マウス、キーボード、タッチパネル等で構成することができ、コンピュータ1に対する主としてオペレータFからの操作を受け付ける。ディスプレイ11は、液晶ディスプレイ等で構成することができ、制御部14によるショットの解析結果や、フィッティングの結果を含むショットの診断結果等をオペレータF及びゴルファーGに対し表示する。
【0038】
<2-4.入力端末>
入力端末6は、ハードウェアとしては汎用のコンピュータであり、例えば、タブレットコンピュータ、スマートフォン、ノート型コンピュータ、デスクトップ型コンピュータとして実現される。図2に示す通り、入力端末6には、プログラム63aがインストールされている。プログラム63aは、入力端末6が読み取り可能なCD-ROM等の記録媒体から、或いは入力端末6が接続されるLANやインターネット等の通信ネットワーク上の端末から取得される。プログラム63aは、入力端末6に後述する動作を実行させる。
【0039】
入力端末6は、ディスプレイ61、入力部62、記憶部63、制御部64及び通信部65を備える。これらの部61~65は、互いにバス線等の通信線66を介して接続されており、相互に通信可能である。ディスプレイ61は、入力端末6の本体(制御部64等を収容する筐体)に一体的に組み込まれていても、外付けであってもよい。
【0040】
記憶部63は、フラッシュメモリやハードディスク等の不揮発性の記憶装置から構成することができる。記憶部63内には、プログラム63aが格納されている他、オペレータF及びゴルファーGにより入力される各種データが保存される。制御部64は、CPU、ROM及びRAM等から構成することができる。制御部64は、記憶部63内のプログラム63aを読み出して実行する。通信部65は、様々な形式の通信接続を確立する通信インターフェースとして機能し、サーバー8等の外部のデバイスとの間でのデータの送受信を可能にする。これに限定されないが、本実施形態では、通信部65は、Wifiルーターに接続され、Wifiを介してインターネット上のサーバー8に接続される。入力部62は、タッチパネル、キーボード、マウス等で構成することができ、入力端末6に対するオペレータF及びゴルファーGからの操作を受け付ける。ディスプレイ61は、液晶ディスプレイ等で構成することができ、後述する画面等をオペレータF及びゴルファーGに対し表示する。
【0041】
<2-5.サーバー>
サーバー8は、ハードウェアとしてはデータベースサーバーやストレージサーバー等と呼ばれるサーバーコンピュータである。サーバー8は、不揮発性の大容量記憶装置から構成されるデータベース83を含み、インターネットに接続される。この大容量記憶装置には、コンピュータ1及び入力端末6からアップロードされる各種データが保存される。
【0042】
<3.フィッティングのためのゴルフ診断処理の流れ>
以下、図4を参照しつつ、ゴルフ診断システム100を用いて実施されるフィッティングのためのゴルフ診断処理の流れについて説明する。
【0043】
まず、ゴルファーGの問診が行われる(ステップS1)。オペレータFは、問診に使用する入力端末6を用意し、入力端末6上でプログラム63aを起動する。オペレータFは、図5に示すようなゴルファーG向けの問診画面W1をディスプレイ61上に表示させ、ゴルファーGに入力端末6を手渡す。なお、問診画面W1を含む、入力端末6のディスプレイ61上に表示される画面全ては、制御部64により作成されるものとする。
【0044】
問診画面W1は、ゴルファーGに対する複数の問診項目を表示するとともに、複数の問診項目のそれぞれに対する回答の入力を受け付ける画面である。これに限定されないが、ここでいう問診項目は、ゴルファーGの属性情報に関するものであり、ゴルファーGの年齢、性別、探しているゴルフクラブの種類、ゴルフ歴、(例えば1年あたりの)ラウンド数、(例えば1月あたりの)練習量、平均スコア、ベストスコア、ベストスコアの更新年、弾道に関する自己評価、現在使用しているゴルフクラブに関する悩み、及び現在使用しているゴルフクラブのモデルの少なくとも1つに関する項目を含む。制御部64は、入力部62を介して、問診画面W1上で回答の入力を受け付ける。図5に示すように、問診項目に対する回答は、選択形式で入力することができる。例えば、同図の通り、問診項目である「年齢」に対しては、問診画面W1上に回答の選択肢である「10代以下」「20代」「30代」・・・「70代」「80代以上」にそれぞれ対応するオブジェクトが表示される。そして、ゴルファーGがこれらのオブジェクトをクリック等の態様により選択すると、選択されたオブジェクトに対する回答が選択される。問診項目に応じて、択一的な選択が要求される場合と、複数選択が可能な場合とがある。また、少なくとも一部の問診項目に対する回答は、自由記述形式で入力可能であってもよい。
【0045】
ゴルファーGによる全ての問診項目に対する回答の入力が終了すると、制御部64は、回答であるゴルファーGの属性情報を記憶部63内に格納する。また、制御部64は、図6に示すような問診結果画面W2を作成し、これをゴルファーGに向けてディスプレイ61上に表示させる。問診結果画面W2は、問診画面W1を介して入力された複数の問診項目のそれぞれに対する回答をまとめて表示する画面であり、ゴルファーGはこれを見て、自身の入力内容を確認する。ゴルファーGは、入力内容に誤りがあれば、適宜修正した後、オペレータFに入力端末6を手渡す。オペレータFは、問診結果画面W2を見て、同画面W2に一覧表示されているゴルファーGの属性情報を把握し、フィッティングの参考にする。よって、問診結果画面W2は、オペレータF向けの画面でもある。
【0046】
問診が終了すると、ゴルファーGによる試打が行われ、この時の様子が計測装置2により計測される(ステップS2)。まず、計測装置2による計測のための事前準備として、オペレータFは、コンピュータ1上でプログラム13aを起動する。これにより、ディスプレイ11上には、図示されない基本設定画面が表示され、基本情報の設定が行われる。具体的には、制御部14が、基本設定画面を介してゴルファーGの基本情報の入力を受け付けており、オペレータFは、入力部12を操作して、同画面上でゴルファーGの基本情報を入力する。この基本情報は、記憶部13に格納され、適宜、制御部14による解析に使用される。ここでいう基本情報とは、例えば、ゴルファーGの性別等である。なお、基本画面を含め、コンピュータ1のディスプレイ11上に表示される画面は全て、制御部14により作成されるものとする。
【0047】
オペレータFは、問診結果画面W2上で確認したゴルファーGの属性情報を参考にしながら、ゴルファーGに試打させるテストクラブ4を選択する。典型的には、オペレータFは、ゴルファーGに様々なテストクラブ4を試打させる。ここでいう様々なテストクラブ4とは、クラブ種類が異なるもの、同じクラブ種類であっても番手が異なるもの、或いは、同じクラブ種類で同じ番手であっても、仕様の異なるものを意味する。ゴルファーGは、オペレータFにより選択されたテストクラブ4を打席P1において試打し、オペレータFは、このときのショットの様子を観察する。ゴルファーGによるショットは、1本のテストクラブ4に対し1又は複数回実施される。
【0048】
オペレータFが自身の眼でショットの様子を観察するのと並行して、計測装置2は、ゴルファーGの各ショットを計測した計測データを収集する。より具体的には、テストクラブ4がスイングされ、ボール60が打撃されると、このショット時の少なくともアドレスからインパクトまでのグリップ42の加速度、角速度及び地磁気の計測データが、慣性センサユニット3により計測される。これらの計測データは、慣性センサユニット3からコンピュータ1に送信される。また、慣性センサユニット3による計測と並行して、カメラシステム5が、このショット時のインパクト前後のヘッド41及びボール60の近傍の様子を写す画像データを撮影する。これらの画像データも計測データとして、制御装置50を介してコンピュータ1に送信される。コンピュータ1側では、制御部14が、通信部15を介して、慣性センサユニット3及びカメラシステム5から計測データを受信し、記憶部13内に格納する。
【0049】
コンピュータ1の制御部14は、新たに1ショット分の計測データが記憶部13内に格納される度に、当該計測データを解析する。より具体的には、制御部14は、記憶部13内の計測データを解析することにより、ショットの解析結果として様々なショット特性値を算出し、記憶部13内に格納する。本実施形態では、ショット特性値として、インパクト直前のヘッドスピード、インパクト直後のボールスピード、ミート率(ヘッドスピードに対するボールスピードの割合)、上下打ち出し角、バックスピン量、左右打ち出し角(左右振れ角ともいう)、サイドスピン量、左右方向の飛距離(左右ブレともいう)、キャリーのみの飛距離、キャリー及びランの合計の飛距離、フェースの開き量、ヘッド41の軌道角、及びフェース面上における打点(左右の打点)が算出される。また、ショットの解析結果として、ボール60の軌道も算出される。ただし、これらは例示であり、ここで挙げたショットの解析項目の全てが算出される必要はないし、他の解析項目が算出されてもよい。なお、上記のような計測データに基づく上記のようなショットの解析項目の算出方法としては、様々知られているため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0050】
計測装置2によるショットの計測が行われている間、制御部14は、図7に示すような解析結果画面W3をディスプレイ11上に表示させる。解析結果画面W3上には、以上のショットの解析結果が表示される。より具体的には、解析結果画面W3上には、ショット特性値を一覧表示するためのテーブルT1が配置されている。そして、1ショット分のショット特性値が新たに算出される度に、このテーブルT1にそれらのショット特性値が入力される。さらに、テーブルT1の下には、同じショットに対応するボール60の軌道を表すグラフィックT2が表示される。テーブルT1及びグラフィックT2は、テストクラブ4毎に表示される。テーブルT1内では、同じテストクラブ4での1打目のショット特性値のセットが1行目に、2打目のショット特性値のセットが2行目に表示され、3打目以降も同様である。また、グラフィックT2においても、同じテストクラブ4でのショットの数だけ、ボール60の軌道が表示される。テーブルT1の最下段の行には、同じテストクラブ4に対する複数回のショットでのショット特性値の平均値が表示される。ショット特性値の平均値は、同じテストクラブ4での新たなショット特性値のセットが算出される度に、制御部14により算出される。異なるテストクラブ4の試打の結果は、解析結果画面W3上で、択一的に選択可能なタブT3及びT4を適宜切り替えることで表示される別のテーブルT1及びグラフィックT2に表示される。タブT3は、クラブ種類を切り替えるためのタブであり、タブT4は、タブT3により現在選択されているクラブ種類のテストクラブ4を切り替えるためのタブである。
【0051】
オペレータFは、解析結果画面W3上に表示されるゴルファーGのショット特性値を参考にしつつ、ゴルファーGのショットを自身の目で観察しながら、ゴルファーGの特徴(主として、ゴルファーGのショットに関する特徴)を判断する。そして、オペレータFは、観察したゴルファーGの特徴を、ゴルファーGを観察した結果に関する観察情報として、入力端末6に入力する。このとき、オペレータFは、図8に示すようなオペレータF向けの第1選択画面W4をディスプレイ61上に表示させる。制御部64は、入力部62を介して、第1選択画面W4上でゴルファーGの特徴の入力を受け付ける。ここでいうゴルファーGの特徴には、ゴルファーがショットを行うときのゴルファーの挙動、ゴルフクラブの挙動及びゴルフボールの挙動、ゴルファーが現在使用しているゴルフクラブの属性、ゴルファーの練習量、並びにゴルファーの好みの少なくとも1つが含まれる。
【0052】
本実施形態では、ゴルファーGの特徴は、選択形式で入力することができ、図8に示すように、第1選択画面W4上には、選択肢となるゴルファーの特徴を表す分類が階層的に表示される。図8に示す例では、オペレータFが、第1階層として「ダウンスイング」を、第2階層として「ローテーション」を、第3階層として「多い」を選択したときの例が示されている。そして、このような選択により、「ダウンスイング時のローテーションが多い」というゴルファーGの特徴が入力される。なお、ゴルファーGの特徴は、少なくとも一部の内容について、自由記述形式で入力可能であってもよい。入力されたゴルファーGの特徴は、観察情報として記憶部63内に格納される。
【0053】
また、オペレータFは、ゴルファーGの特徴を入力する一方で、ゴルファーGに適したゴルフクラブ(以下、推奨クラブという)の特徴を判断する。そして、オペレータFは、推奨クラブの特徴を、ゴルファーGを観察した結果に関する観察情報として、入力端末6に入力する。このとき、オペレータFは、図9に示すようなオペレータF向けの第2選択画面W5をディスプレイ61上に表示させる。制御部64は、入力部62を介して、第2選択画面W5上で推奨クラブの特徴の入力を受け付ける。ここでいう推奨クラブの特徴には、ゴルフクラブの属性、ヘッドの属性、シャフトの属性及びグリップの属性の少なくとも1つが含まれる。
【0054】
本実施形態では、推奨クラブの特徴は、選択形式で入力することができ、図9に示すように、第2選択画面W5上には、選択肢となるゴルフクラブの特徴を表す分類が階層的に表示される。図9に示す例では、オペレータFが、第1階層として「クラブ」を、第2階層として「バランス」を、第3階層として「B6」を選択したときの例が示されている。そして、このような選択により、「ゴルフクラブのバランスがB6」という、ゴルファーGに推奨されるべき推奨クラブの特徴が入力される。なお、推奨クラブの特徴は、少なくとも一部の内容について、自由記述形式で入力可能であってもよい。入力された推奨クラブの特徴は、観察情報として記憶部63内に格納される。
【0055】
また、コンピュータ1の制御部14は、ゴルファーGの試打に使用される各テストクラブ4に関するクラブ情報の入力を受け付ける。このクラブ情報は、テストクラブ4に付与されているクラブコードから取得される。オペレータFは、ゴルファーGに使用されるテストクラブ4毎に、スキャナ7を操作してテストクラブ4に付与されているクラブコードを読み取ることにより、クラブ情報をコンピュータ1に入力する。これを受けて、制御部14は、クラブコードに保持されているクラブ情報を解釈し、記憶部13内に格納する。クラブ情報の入力の操作は、当該テストクラブ4の試打前であっても、試打後であっても行うことができる。
【0056】
全ての試打が終了し、オペレータFが入力端末6の入力部62を介して所定の操作を行うと、制御部64は、現在実施されているゴルフ診断処理を特定するためのコード(以下、診断コードという)を生成する(ステップS3)。これに限定されないが、例えば、診断コードは、日付とその日の診断処理に割り振られる通し番号との組み合わせ等、同じ日に同じ場所で複数人の診断が行われたとしても、各診断を特定可能な情報である。診断コードは、問診(ステップS1)及び計測(ステップS2)時に取得されたゴルファーGの属性情報及び観察情報に一意に関連付けられて、記憶部63内に格納される。
【0057】
続けて、制御部64は、通信部65を介してサーバー8にアクセスし、ゴルファーGの属性情報及び観察情報を診断コードに関連付けて、診断コードとともにデータベース83にアップロードする(ステップS4)。これを受けて、データベース83内では、ゴルファーGの属性情報及び観察情報が診断コードに関連付けて保存される。
【0058】
また、オペレータFが入力端末6の入力部62を介して所定の操作を行うと、制御部64は、ディスプレイ61上に診断コードを表示する(ステップS5)。これに限定されないが、ディスプレイ61上に表示される本実施形態の診断コードは、QRコード(登録商標)のような二次元バーコードの形態を有する。一方、コンピュータ1の制御部14は、オペレータFから診断コードの入力を受け付ける(ステップS6)。オペレータFは、スキャナ7を操作してディスプレイ61上に表示される診断コードを読み取ることにより、診断コードを入力端末6に入力する。これを受けて、制御部14は、二次元バーコードの形態の診断コードを解釈し、この診断コードを、計測(ステップS2)時に取得された計測データ、これに基づくショットの解析結果、及びクラブ情報に一意に関連付けて、記憶部13内に格納する。
【0059】
また、コンピュータ1の制御部14は、通信部15を介してサーバー8にアクセスし、診断コードをキーとして、サーバー8のデータベース83内から診断コードに関連付けられたゴルファーGの属性情報及び観察情報を抽出し、これらの情報をダウンロードする(ステップS7)。ダウンロードされたゴルファーGの属性情報及び観察情報は、診断コードをキーとして、計測データ、ショットの解析結果、及びクラブ情報に関連付けられて、記憶部13内に格納される。こうして、ゴルフの診断時に様々な方法で得られる様々な種類の情報が、コンピュータ1において統合される。
【0060】
続いて、コンピュータ1の制御部14は、記憶部13内の計測データ、ショットの解析結果、クラブ情報、ゴルファーGの属性情報及び観察情報を含む様々な種類の情報を複合的に解析し、ゴルファーGのショットの診断結果を作成する(ステップS8)。診断結果には、試打を行ったゴルファーGの属性情報、試打に使用されたテストクラブ4に関するクラブ情報、ゴルファーGのショットの解析結果、これらの情報に基づき算出されるゴルファーGのショットの傾向、及び観察情報が含まれる。また、診断結果には、フィッティングの最終結果として、観察情報に含まれる推奨クラブの特徴に合致する推奨クラブ及び/又はその部品(以下、推奨クラブ/部品ということがある)を特定する情報(モデルや型番等)も含まれる。なお、記憶部13内には、様々なラインナップのゴルフクラブ及び/又はその部品を特定する情報が、それぞれの特徴に関連付けて記憶されている。そして、制御部14は、記憶部13内のこの情報に推奨クラブの特徴を照合することにより、推奨クラブ/部品を特定する。制御部14は、診断結果をまとめた診断結果画面を作成し、これをディスプレイ11上に表示させる。図10の画面W6は、推奨クラブ/部品を特定する情報を表示する診断結果画面の例である。
【0061】
オペレータFは、ディスプレイ11上に表示される診断結果画面をゴルファーGに提示し、ともに確認しながら、フィッティングの結果を含む診断結果について話をする。
【0062】
コンピュータ1の制御部14は、通信部15を介してサーバー8にアクセスし、未だサーバー8にアップロードされていない情報、すなわち、記憶部13内の計測データ、ショットの解析結果、クラブ情報及び診断結果を、診断コードに関連付けて、診断コードとともにデータベース83にアップロードする(ステップS9)。これを受けて、データベース83内では、既にアップロードされていたゴルファーGの属性情報及び観察情報と、計測データ、ショットの解析結果、クラブ情報及び診断結果とが、診断コードをキーに関連付けられて、保存される。こうして、ゴルフの診断時に様々な方法で得られる様々な種類の情報が、サーバー8において統合される。これにより、一連のフィッティングに関する処理は終了する。
【0063】
既に述べた通り、サーバー8は、多数のゴルフ診断システム100に接続されているため、データベース83内には、多数のゴルフ診断システム100により収集された以上のようなデータが保存される。以後、サーバー8内に蓄積されたデータは、ビッグデータ解析等に使用され得る。
【0064】
<4.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、以下の変更が可能である。また、以下の変形例の要旨は、適宜組み合わせることができる。
【0065】
<4-1>
サーバー8は、インターネット上に存在しなくてもよい。例えば、LAN内に存在してもよい。
【0066】
<4-2>
上記実施形態では、テストクラブ4にクラブコードが付与されたが、クラブコードは、テストクラブ4自体に付与するのではなく、テストクラブ4と、そのクラブ情報を保持するクラブコードとが対応付けて表示されるリストが印刷された紙を用意しておいてもよい。この場合、オペレータFは、スキャナ7で、試打に使用されるテストクラブ4に対応するクラブコードを紙から読み取ればよい。また、スキャナ7は、例えば、カメラが搭載されたスマートフォンやタブレット等として実現することもできる。
【0067】
<4-3>
上記実施形態では、コンピュータ1への診断コード及びクラブコードの入力にスキャナ7が使用されたが、これらの少なくとも一方のコードの入力は、手入力で行われてもよい。例えば、英数字等からなる診断コードを入力端末6のディスプレイ61上に表示させ、これをオペレータFがコンピュータ1のキーボードやタッチパネル等を介してコンピュータ1に入力するようにしてもよい。
【0068】
<4-4>
上記実施形態では、ステップS9において、既にサーバー8にアップロードされていたゴルファーGの属性情報及び観察情報は、コンピュータ1からサーバー8へと送信されず、データベース83内においては、既にサーバー8にアップロードされていたこれらの情報と、新たにアップロードされた情報とが、診断コードをキーとして紐づけられた。しかしながら、ステップS9において、既にサーバー8にアップロードされていたゴルファーGの属性情報及び観察情報も、新たにアップロードされる計測データ、ショットの解析結果、クラブ情報及び診断結果に関連付けて、コンピュータ1からサーバー8へとアップロードされてもよい。この場合、サーバー8内において、診断コードでこれらの情報を紐づける処理を行う必要は必ずしもない。
【符号の説明】
【0069】
100 ゴルフ診断システム
1 コンピュータ
11 ディスプレイ(第1ディスプレイ)
2 計測装置
4 テストクラブ(ゴルフクラブ)
6 入力端末
61 ディスプレイ(第2ディスプレイ)
7 スキャナ(リーダー装置)
8 サーバー
83 データベース
G ゴルファー
F オペレータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10