(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】システム
(51)【国際特許分類】
B41J 2/175 20060101AFI20230829BHJP
【FI】
B41J2/175 153
B41J2/175 119
B41J2/175 115
B41J2/175 171
(21)【出願番号】P 2019005745
(22)【出願日】2019-01-17
【審査請求日】2022-01-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】大野 彰人
(72)【発明者】
【氏名】石部 陽雅
(72)【発明者】
【氏名】高橋 宏明
(72)【発明者】
【氏名】宮尾 崇宏
(72)【発明者】
【氏名】温井 康介
【審査官】長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-140607(JP,A)
【文献】特開2017-81078(JP,A)
【文献】特開2018-187779(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0201761(US,A1)
【文献】特開2015-93428(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高さ方向と交差する奥行き方向に延びておりシートが通過する搬送路を有する筐体と、
上記高さ方向及び上記奥行き方向と直交する幅方向において上記筐体の内部における上記搬送路より一方に配置されており、液体が貯留される第1タンクと、
上記幅方向において上記筐体の内部における上記搬送路より他方に配置されており、液体が貯留される第2タンクと、
上記第1タンクと接続可能であり、液体が貯留される第1貯留体と、
上記第2タンクと接続可能であり、液体が貯留される第2貯留体と、
上記筐体の内部に配置されており、上記第1タンク及び上記第2タンクから供給された液体を吐出する液体吐出ヘッドと、を備え、
上記第1貯留体及び上記第2貯留体は、貯留された液体が外部へ流通可能な液体流通孔を備え、
上記第1タンクは、上記第1タンクの上端から上方に延び、上記第1貯留体の上記液体流通孔に接続可能な第1流通管を備え、
上記第2タンクは、上記第2タンクの上端から上方に延び、上記第2貯留体の上記液体流通孔に接続可能な第2流通管を備えており、
上記第1タンクまたは上記第2タンクの少なくとも一方は、透光性を有する第1壁を備え、
上記筐体は、シートが排出される開口を有する前壁を備え、
上記第1壁は、上記前壁に形成された透光性を有する第1透光部を通じて上記筐体の外部から視認可能であるシステム。
【請求項2】
高さ方向と交差する奥行き方向に延びておりシートが通過する搬送路を有する筐体と、
上記高さ方向及び上記奥行き方向と直交する幅方向において上記筐体の内部における上記搬送路より一方に配置されており、液体が貯留される第1タンクと、
上記幅方向において上記筐体の内部における上記搬送路より他方に配置されており、液体が貯留される第2タンクと、
上記第1タンクと接続可能であり、液体が貯留される第1貯留体と、
上記第2タンクと接続可能であり、液体が貯留される第2貯留体と、
上記筐体の内部に配置されており、上記第1タンク及び上記第2タンクから供給された液体を吐出する液体吐出ヘッドと、を備え、
上記第1貯留体及び上記第2貯留体は、貯留された液体が外部へ流通可能な液体流通孔を備え、
上記第1タンクは、上記第1タンクの上端から上方に延び、上記第1貯留体の上記液体流通孔に接続可能な第1流通管を備え、
上記第2タンクは、上記第2タンクの上端から上方に延び、上記第2貯留体の上記液体流通孔に接続可能な第2流通管を備えており、
上記第1タンクまたは上記第2タンクの少なくとも一方は、複数備えられており、
複数の上記第1タンクまたは複数の上記第2タンクの少なくとも一方は、上記奥行き方向に沿って並列配置されているシステム。
【請求項3】
高さ方向と交差する奥行き方向に延びておりシートが通過する搬送路を有する筐体と、
上記高さ方向及び上記奥行き方向と直交する幅方向において上記筐体の内部における上記搬送路より一方に配置されており、液体が貯留される第1タンクと、
上記幅方向において上記筐体の内部における上記搬送路より他方に配置されており、液体が貯留される第2タンクと、
上記第1タンクと接続可能であり、液体が貯留される第1貯留体と、
上記第2タンクと接続可能であり、液体が貯留される第2貯留体と、
上記筐体の内部に配置されており、上記第1タンク及び上記第2タンクから供給された液体を吐出する液体吐出ヘッドと、を備え、
上記第1貯留体及び上記第2貯留体は、貯留された液体が外部へ流通可能な液体流通孔を備え、
上記第1タンクは、上記第1タンクの上端から上方に延び、上記第1貯留体の上記液体流通孔に接続可能な第1流通管を備え、
上記第2タンクは、上記第2タンクの上端から上方に延び、上記第2貯留体の上記液体流通孔に接続可能な第2流通管を備えており、
上記第1貯留体または上記第2貯留体の少なくとも一方は、複数備えられており、
複数の上記第1貯留体または複数の上記第2貯留体の少なくとも一方は、上記奥行き方向に沿って並列配置されているシステム。
【請求項4】
高さ方向と交差する奥行き方向に延びておりシートが通過する搬送路を有する筐体と、
上記高さ方向及び上記奥行き方向と直交する幅方向において上記筐体の内部における上記搬送路より一方に配置されており、液体が貯留される第1タンクと、
上記幅方向において上記筐体の内部における上記搬送路より他方に配置されており、液体が貯留される第2タンクと、
上記第1タンクと接続可能であり、液体が貯留される第1貯留体と、
上記第2タンクと接続可能であり、液体が貯留される第2貯留体と、
上記筐体の内部に配置されており、上記第1タンク及び上記第2タンクから供給された液体を吐出する液体吐出ヘッドと、を備え、
上記第1貯留体及び上記第2貯留体は、貯留された液体が外部へ流通可能な液体流通孔を備え、
上記第1タンクは、上記第1タンクの上端から上方に延び、上記第1貯留体の上記液体流通孔に接続可能な第1流通管を備え、
上記第2タンクは、上記第2タンクの上端から上方に延び、上記第2貯留体の上記液体流通孔に接続可能な第2流通管を備えており、
上記第1タンク、上記第2タンク、上記第1貯留体、及び上記第2貯留体は、その内部を大気に連通させる大気連通孔を備えており、
上記第1貯留体が上記第1タンクに接続されているとき、上記第1貯留体に貯留された液体の液面と上記第1タンクに貯留された液体の液面との水頭差によって、上記第1貯留体及び上記第1タンクの間で液体が流通し、
上記第2貯留体が上記第2タンクに接続されているとき、上記第2貯留体に貯留された液体の液面と上記第2タンクに貯留された液体の液面との水頭差によって、上記第2貯留体及び上記第2タンクの間で液体が流通するシステム。
【請求項5】
高さ方向と交差する奥行き方向に延びておりシートが通過する搬送路を有する筐体と、
上記高さ方向及び上記奥行き方向と直交する幅方向において上記筐体の内部における上記搬送路より一方に配置されており、液体が貯留される第1タンクと、
上記幅方向において上記筐体の内部における上記搬送路より他方に配置されており、液体が貯留される第2タンクと、
上記第1タンクと接続可能であり、液体が貯留される第1貯留体と、
上記第2タンクと接続可能であり、液体が貯留される第2貯留体と、
上記筐体の内部に配置されており、上記第1タンク及び上記第2タンクから供給された液体を吐出する液体吐出ヘッドと、
上記第1タンクに接続された上記第1貯留体及び上記第2タンクに接続された上記第2貯留体の上端を覆う被覆位置、及び当該上端を開放する開放位置へ移動可能なカバーと、を備え、
上記第1貯留体及び上記第2貯留体は、貯留された液体が外部へ流通可能な液体流通孔を備え、
上記第1タンクは、上記第1タンクの上端から上方に延び、上記第1貯留体の上記液体流通孔に接続可能な第1流通管を備え、
上記第2タンクは、上記第2タンクの上端から上方に延び、上記第2貯留体の上記液体流通孔に接続可能な第2流通管を備えるシステム。
【請求項6】
上記第1タンクまたは上記第2タンクの少なくとも一方は、透光性を有する第1壁を備え、
上記筐体は、シートが排出される開口を有する前壁を備え、
上記第1壁は、上記前壁に形成された透光性を有する第1透光部を通じて上記筐体の外部から視認可能である請求項2から
5のいずれかに記載のシステム。
【請求項7】
上記第1貯留体は、透光性を有する第2壁を備え、
上記第1貯留体が上記第1タンクに接続されているとき、上記第2壁は、上記第1透光部を通じて上記筐体の外部から視認可能である請求項1または
6に記載のシステム。
【請求項8】
上記第2貯留体は、透光性を有する第3壁を備え、
上記第2貯留体が上記第2タンクに接続されているとき、上記第3壁は、上記第1透光部を通じて上記筐体の外部から視認可能である請求項1、
6、
7のいずれかに記載のシステム。
【請求項9】
上記筐体は、上記前壁の上記幅方向の端部から、上記幅方向及び上記高さ方向と交差する向きへ延びた側壁を備え、
上記第1壁は、上記側壁に形成された透光性を有する第2透光部を通じて上記筐体の外部から視認可能である請求項1、
6から
8のいずれかに記載のシステム。
【請求項10】
上記第1貯留体は、透光性を有する第2壁を備え、
上記第1貯留体が上記第1タンクに接続されているとき、上記第2壁は、上記第2透光部を通じて上記筐体の外部から視認可能である請求項
9に記載のシステム。
【請求項11】
上記第2貯留体は、透光性を有する第3壁を備え、
上記第2貯留体が上記第2タンクに接続されているとき、上記第3壁は、上記第2透光部を通じて上記筐体の外部から視認可能である請求項
9または
10に記載のシステム。
【請求項12】
上記システムは、上記第1タンクまたは上記第2タンクの少なくとも一方を、複数備えており、
複数の上記第1タンクまたは複数の上記第2タンクの少なくとも一方は、上記幅方向に沿って並列配置されている請求項1から
11のいずれかに記載のシステム。
【請求項13】
上記システムは、上記第1貯留体または上記第2貯留体の少なくとも一方を、複数備えており、
複数の上記第1貯留体または複数の上記第2貯留体の少なくとも一方は、上記幅方向に沿って並列配置されている請求項1から
12のいずれかに記載のシステム。
【請求項14】
上記第1タンク及び上記第1貯留体には、第1の比重を有する液体が貯留されており、
上記第2タンク及び上記第2貯留体には、上記第1の比重よりも小さい第2の比重を有する液体が貯留されている請求項1から
13のいずれかに記載のシステム。
【請求項15】
上記第1タンク及び上記第2タンクは、
上記第1タンク及び上記第2タンクの内部空間を大気に連通させる大気連通孔と、
一端が上記内部空間における上記大気連通孔よりも下方にあり、他端が上記第1流通管または上記第2流通管を通じて外部に開口された第1流路と、
一端が上記内部空間における上記第1流路の一端よりも下方にあり、他端が上記第1流通管または上記第2流通管を通じて外部に開口された第2流路と、を備える請求項1から
14のいずれかに記載のシステム。
【請求項16】
上記第1タンクに接続された上記第1貯留体及び上記第2タンクに接続された上記第2貯留体の上端を覆う被覆位置、及び当該上端を開放する開放位置へ移動可能なカバーを備え、
上記第1貯留体及び上記第2貯留体は、
上記第1貯留体及び上記第2貯留体の上記大気連通孔を閉塞する閉位置、及び上記第1貯留体及び上記第2貯留体の上記大気連通孔を開放する開位置に移動可能なバルブと、
上記バルブを上記閉位置へ付勢する付勢部材と、を備え、
上記バルブは、上記被覆位置の上記カバーに当接されることによって上記付勢部材の付勢力に抗して上記開位置へ移動する請求項4に記載のシステム。
【請求項17】
上記被覆位置の上記カバーは、上方から上記第1貯留体に当接しており、
上記被覆位置の上記カバーが上記第1貯留体に当接している位置と、上記第1貯留体の上記液体流通孔とは、上記高さ方向に沿った視線において重複している請求項5または
16に記載のシステム。
【請求項18】
上記被覆位置の上記カバーは、上方から上記第2貯留体に当接しており、
上記被覆位置の上記カバーが上記第2貯留体に当接している位置と、上記第2貯留体の上記液体流通孔とは、上記高さ方向に沿った視線において重複している請求項5、
16、
17のいずれかに記載のシステム。
【請求項19】
上記システムは、上記第1タンクまたは上記第2タンクの少なくとも一方を、複数備えており、
複数の上記第1タンクまたは複数の上記第2タンクの少なくとも一方は、上記奥行き方向に沿って並列配置されている請求項1、3から
5のいずれかに記載のシステム。
【請求項20】
上記システムは、上記第1貯留体または上記第2貯留体の少なくとも一方を、複数備えており、
複数の上記第1貯留体または複数の上記第2貯留体の少なくとも一方は、上記奥行き方向に沿って並列配置されている請求項1、2、4から
6のいずれかに記載のシステム。
【請求項21】
上記第1タンク、上記第2タンク、上記第1貯留体、及び上記第2貯留体は、その内部を大気に連通させる大気連通孔を備えており、
上記第1貯留体が上記第1タンクに接続されているとき、上記第1貯留体に貯留された液体の液面と上記第1タンクに貯留された液体の液面との水頭差によって、上記第1貯留体及び上記第1タンクの間で液体が流通し、
上記第2貯留体が上記第2タンクに接続されているとき、上記第2貯留体に貯留された液体の液面と上記第2タンクに貯留された液体の液面との水頭差によって、上記第2貯留体及び上記第2タンクの間で液体が流通する請求項1から3、
5のいずれかに記載のシステム。
【請求項22】
上記第1タンクに接続された上記第1貯留体及び上記第2タンクに接続された上記第2貯留体の上端を覆う被覆位置、及び当該上端を開放する開放位置へ移動可能なカバーを備える請求項1から
4のいずれかに記載のシステム。
【請求項23】
上記第1貯留体を上記第1タンクと接続した状態に保持する第1保持機構を備える請求項1から
5のいずれかに記載のシステム。
【請求項24】
上記第2貯留体を上記第2タンクと接続した状態に保持する第2保持機構を備える請求項1から
5のいずれかに記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を貯留する貯留体と当該貯留体が接続可能なタンクとを備えるシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
液体を貯留する貯留体と当該貯留体が接続可能なタンクとを備えるシステムが、従来から知られている。例えば、特許文献1には、インクを貯留するインクカートリッジと、インクカートリッジが接続可能なタンクを備えた画像記録装置とで構成されるシステムが開示されている。
【0003】
特許文献1に開示された画像記録装置は、装置内に給送されるシートを支持する給送トレイと、装置から排出されたシートを支持する排出トレイとを備えている。給送トレイ及び排出トレイは、画像記録装置の幅方向の中央部に配置されている。
【0004】
特許文献1に開示された画像記録装置は、4つのタンクを備えており、各タンクにインクカートリッジが接続される。ユーザが画像記録装置を操作するときに(例えば、ユーザが画像記録装置のタッチパネルを操作したり、画像記録装置に用紙をセットしたりするときに)当該ユーザから見て、4つのタンクの全てが、給送トレイ及び排出トレイよりも右方に配置されている。また、インクカートリッジは、水平方向に沿ってタンクに接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された画像記録装置では、ユーザが画像記録装置を操作するときに当該ユーザから見て、給送トレイ及び排出トレイよりも右方にタンクが配置されている一方で、給送トレイ及び排出トレイよりも左方にタンクが配置されていない。よって、特許文献1に開示された画像記録装置は、給送トレイ及び排出トレイよりも左方のスペースを有効に活用できていなかった。そのため、タンクのサイズの大型化が制限されていた。
【0007】
また、特許文献1に開示された画像記録装置では、インクカートリッジは水平方向に沿ってタンクに接続されるため、インクカートリッジがタンクから誤って抜けてしまうおそれがあった。
【0008】
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、タンクを大型化でき且つタンクに接続された貯留体がタンクから誤って抜ける可能性を低くすることができるシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1) 本発明に係るシステムは、高さ方向と交差する奥行き方向に延びておりシートが通過する搬送路を有する筐体と、上記高さ方向及び上記奥行き方向と直交する幅方向において上記筐体の内部における上記搬送路より一方に配置されており、液体が貯留される第1タンクと、上記幅方向において上記筐体の内部における上記搬送路より他方に配置されており、液体が貯留される第2タンクと、上記第1タンクと接続可能であり、液体が貯留される第1貯留体と、上記第2タンクと接続可能であり、液体が貯留される第2貯留体と、上記筐体の内部に配置されており、上記第1タンク及び上記第2タンクから供給された液体を吐出する液体吐出ヘッドと、を備える。上記第1貯留体及び上記第2貯留体は、貯留された液体が外部へ流通可能な液体流通孔を備える。上記第1タンクは、上記第1タンクの上端から上方に延び、上記第1貯留体の上記液体流通孔に接続可能な第1流通管を備える。上記第2タンクは、上記第2タンクの上端から上方に延び、上記第2貯留体の上記液体流通孔に接続可能な第2流通管を備える。
【0010】
本構成によれば、第1タンク及び第2タンク(以下、第1タンク及び第2タンクを総称してタンクとも記す。)は、幅方向における搬送路の一方及び他方に分かれて配置されている。これにより、タンクの全てが幅方向における搬送路の一方のみに配置されている構成よりも、各タンクのサイズを大型化することができる。
【0011】
また、本構成によれば、貯留体は上方からタンクに接続される。そのため、貯留体が水平方向に沿ってタンクに接続される構成よりも、貯留体がタンクから誤って抜けてしまう可能性を低くすることができる。
【0012】
(2) 上記第1タンクまたは上記第2タンクの少なくとも一方は、透光性を有する第1壁を備える。上記筐体は、シートが排出される開口を有する前壁を備える。上記第1壁は、上記前壁に形成された透光性を有する第1透光部を通じて上記筐体の外部から視認可能である。
【0013】
通常、システムのユーザは、筐体の前壁と対面して排出されたシートを取り出す。つまり、筐体の前方から排出されたシートを取り出す。本構成によれば、筐体の前方から第1壁を通じてタンクに貯留された液体の残量を確認することができる。
【0014】
(3) 上記第1貯留体は、透光性を有する第2壁を備える。上記第1貯留体が上記第1タンクに接続されているとき、上記第2壁は、上記第1透光部を通じて上記筐体の外部から視認可能である。
【0015】
(4) 上記第2貯留体は、透光性を有する第3壁を備える。上記第2貯留体が上記第2タンクに接続されているとき、上記第3壁は、上記第1透光部を通じて上記筐体の外部から視認可能である。
【0016】
通常、システムのユーザは、筐体の前壁と対面して排出されたシートを取り出す。つまり、筐体の前方から排出されたシートを取り出す。(3)及び(4)の構成によれば、筐体の前方から第2壁や第3壁を通じて貯留体に貯留された液体の残量を確認することができる。
【0017】
(5) 上記筐体は、上記前壁の上記幅方向の端部から、上記幅方向及び上記高さ方向と交差する向きへ延びた側壁を備える。上記第1壁は、上記側壁に形成された透光性を有する第2透光部を通じて上記筐体の外部から視認可能である。
【0018】
本構成によれば、前方に加えて側方から第1壁を通じてタンクに貯留された液体の残量を確認することができる。
【0019】
(6) 上記第1貯留体は、透光性を有する第2壁を備える。上記第1貯留体が上記第1タンクに接続されているとき、上記第2壁は、上記第2透光部を通じて上記筐体の外部から視認可能である。
【0020】
(7) 上記第2貯留体は、透光性を有する第3壁を備える。上記第2貯留体が上記第2タンクに接続されているとき、上記第3壁は、上記第2透光部を通じて上記筐体の外部から視認可能である。
【0021】
本構成によれば、前方に加えて側方から第2壁や第3壁を通じて貯留体に貯留された液体の残量を確認することができる。
【0022】
(8) 本発明に係るシステムは、上記第1タンクまたは上記第2タンクの少なくとも一方を、複数備えている。複数の上記第1タンクまたは複数の上記第2タンクの少なくとも一方は、上記幅方向に沿って並列配置されている。
【0023】
本構成によれば、幅方向に沿って並列配置されたタンクを前方から視認可能に構成することが容易である。
【0024】
(9) 本発明に係るシステムは、上記第1貯留体または上記第2貯留体の少なくとも一方を、複数備えている。複数の上記第1貯留体または複数の上記第2貯留体の少なくとも一方は、上記幅方向に沿って並列配置されている。
【0025】
本構成によれば、幅方向に沿って並列配置された貯留体を前方から視認可能に構成することが容易である。
【0026】
(10) 本発明に係るシステムは、上記第1タンクまたは上記第2タンクの少なくとも一方を、複数備えている。複数の上記第1タンクまたは複数の上記第2タンクの少なくとも一方は、上記奥行き方向に沿って並列配置されている。
【0027】
本構成によれば、奥行き方向に沿って並列配置されたタンクを側方から視認可能に構成することが容易である。
【0028】
(11) 本発明に係るシステムは、上記第1貯留体または上記第2貯留体の少なくとも一方を、複数備えている。複数の上記第1貯留体または複数の上記第2貯留体の少なくとも一方は、上記奥行き方向に沿って並列配置されている。
【0029】
本構成によれば、奥行き方向に沿って並列配置された貯留体を側方から視認可能に構成することが容易である。
【0030】
(12) 上記第1タンク及び上記第1貯留体には、第1の比重を有する液体が貯留されている。上記第2タンク及び上記第2貯留体には、上記第1の比重よりも小さい第2の比重を有する液体が貯留されている。
【0031】
本構成によれば、例えば、第1の比重を有する液体にのみ必要な機構(例えば、第1の比重を有する液体が顔料である場合の必要な顔料撹拌機構)は、第1タンクの近くのみに配置すればよい。つまり、当該機構は、第2タンクの近くに配置する必要がない。そのため、第2タンクを大型化することができる。
【0032】
(13) 上記第1タンク及び上記第2タンクは、上記第1タンク及び上記第2タンクの内部空間を大気に連通させる大気連通孔と、一端が上記内部空間における上記大気連通孔よりも下方にあり、他端が上記第1流通管または上記第2流通管を通じて外部に開口された第1流路と、一端が上記内部空間における上記第1流路の一端よりも下方にあり、他端が上記第1流通管または上記第2流通管を通じて外部に開口された第2流路と、を備える。
【0033】
本構成によれば、貯留体がタンクに接続された状態において、タンクに貯留された液体が消費されて液体の液面が第1流路の下端にある開口よりも低くなると、空気が大気連通孔からタンク内に入り込み、第1流路を通じて貯留体内に入り込む。そして、貯留体内に入り込んだ空気の体積分の液体が貯留体から第2流路を通じてタンク内へ供給される。タンク内の液体の液面が第1流路の開口に達すると、液体の供給は停止される。これにより、タンクに貯留された液体の液面を一定に維持することができる。
【0034】
(14) 上記第1タンク、上記第2タンク、上記第1貯留体、及び上記第2貯留体は、その内部を大気に連通させる大気連通孔を備えている。上記第1貯留体が上記第1タンクに接続されているとき、上記第1貯留体に貯留された液体の液面と上記第1タンクに貯留された液体の液面との水頭差によって、上記第1貯留体及び上記第1タンクの間で液体が流通する。上記第2貯留体が上記第2タンクに接続されているとき、上記第2貯留体に貯留された液体の液面と上記第2タンクに貯留された液体の液面との水頭差によって、上記第2貯留体及び上記第2タンクの間で液体が流通する。
【0035】
本構成によれば、複雑な構成を要することなく、貯留体に貯留された液体を、タンクに供給することができる。
【0036】
(15) 本発明に係るシステムは、上記第1タンクに接続された上記第1貯留体及び上記第2タンクに接続された上記第2貯留体の上端を覆う被覆位置、及び当該上端を開放する開放位置へ移動可能なカバーを備える。上記第1貯留体及び上記第2貯留体は、上記第1貯留体及び上記第2貯留体の上記大気連通孔を閉塞する閉位置、及び上記第1貯留体及び上記第2貯留体の上記大気連通孔を開放する開位置に移動可能なバルブと、上記バルブを上記閉位置へ付勢する付勢部材と、を備える。上記バルブは、上記被覆位置の上記カバーに当接されることによって上記付勢部材の付勢力に抗して上記開位置へ移動する。
【0037】
本構成によれば、貯留体がタンクに接続されていないとき、バルブは付勢部材に付勢されて閉位置にある。そのため、貯留体に貯留された液体が貯留体の大気連通孔を通じて外部へ漏れることを防止することができる。
【0038】
また、本構成によれば、貯留体がタンクに接続されたとき、カバーが被覆位置に移動されると、バルブは開位置へ移動する。これにより、貯留体からタンクへ、水頭差による液体の供給が可能となる。
【0039】
(16) 本発明に係るシステムは、上記第1タンクに接続された上記第1貯留体及び上記第2タンクに接続された上記第2貯留体の上端を覆う被覆位置、及び当該上端を開放する開放位置へ移動可能なカバーを備える。
【0040】
本構成によれば、タンクに接続された貯留体をカバーによって保護することができる。
【0041】
(17) 上記被覆位置の上記カバーは、上方から上記第1貯留体に当接している。上記被覆位置の上記カバーが上記第1貯留体に当接している位置と、上記第1貯留体の上記液体流通孔とは、上記高さ方向に沿った視線において重複している。
【0042】
(18) 上記被覆位置の上記カバーは、上方から上記第2貯留体に当接している。上記被覆位置の上記カバーが上記第2貯留体に当接している位置と、上記第2貯留体の上記液体流通孔とは、上記高さ方向に沿った視線において重複している。
【0043】
(17)及び(18)の構成によれば、被覆位置のカバーが貯留体に当接している位置と、液体流通孔とが、上下方向に沿った視線において重複している。そのため、タンクに接続された貯留体の姿勢を安定することができる。
【0044】
(19) 本発明に係るシステムは、上記第1貯留体を上記第1タンクと接続した状態に保持する第1保持機構を備える。
【0045】
(20) 本発明に係るシステムは、上記第2貯留体を上記第2タンクと接続した状態に保持する第2保持機構を備える。
【0046】
本構成によれば、貯留体が意図せずタンクから外れることを防止することができる。
【発明の効果】
【0047】
本発明によれば、タンクを大型化でき且つタンクに接続された貯留体がタンクから誤って抜ける可能性を低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1】
図1は、インクカートリッジ30が装着された複合機10の斜視図である。
【
図2】
図2は、インクカートリッジ30が装着されていない複合機10の斜視図である。
【
図3】
図3は、複合機10の内部構造を模式的に示す縦断面図である。
【
図6】
図6(A)は、下部筐体13の右側面図であり、
図6(B)は、下部筐体13の左側面図である。
【
図7】
図7(A)は、インクカートリッジ30の斜視図であり、
図7(B)は、タンク103の斜視図である。
【
図8】
図8は、装着状態のインクカートリッジ30周辺の縦断面図である。
【
図9】
図9は、変形例における下部筐体13の正面図である。
【
図10】
図10は、変形例における下部筐体13の平面図である。
【
図11】
図11(A)は、変形例における下部筐体13の右側面図であり、
図11(B)は、変形例における下部筐体13の左側面図である。
【
図12】
図12は、変形例における下部筐体13の正面図である。
【
図13】
図13は、変形例における下部筐体13の平面図である。
【
図14】
図14(A)は、変形例における下部筐体13の右側面図であり、
図14(B)は、変形例における下部筐体13の左側面図である。
【
図15】
図15は、変形例における装着状態のインクカートリッジ30周辺の縦断面図であり、(A)は、カバー18が被覆位置の状態を示し、(B)は、カバー18が開放位置の状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明が具体化された一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
【0050】
[複合機10の全体構成]
図1及び
図2に示されるように、複合機10は、全体として概ね直方体形状である。
【0051】
複合機10が使用可能に水平面に設置された姿勢を基準として、重力方向が下方向53と定義され、下方向53と逆方向が上方向54と定義される。また、複合機10の開口17が設けられている壁を前壁44として、前方向51、及び前方向51と逆方向の後方向52が定義される。また、複合機10を前方から見て右方向55及び左方向56が定義される。上方向54及び下方向53と、前方向51及び後方向52と、右方向55及び左方向56とは、互いに直交している。前方向51及び後方向52は、前後方向(奥行き方向の一例)と定義される。上方向54及び下方向53は、上下方向(高さ方向の一例)と定義される。右方向55及び左方向56は、左右方向(幅方向の一例)と定義される。
【0052】
複合機10は、プリンタ11及びスキャナ12を備える。複合機10と、後述するインクカートリッジ30とによって、システムが構成される。
【0053】
プリンタ11は、インクジェット記録方式に基づいて、用紙2(シートの一例、
図3参照)に対してインク滴を吐出することにより画像を記録する画像記録装置であり、例えばインクジェットプリンタである。スキャナ12は、フラットベッドスキャナである。
【0054】
プリンタ11は、複合機10の下部筐体13(筐体の一例)にある。スキャナ12は、下部筐体13におけるプリンタ11の上方にある。なお、スキャナ12は、複合機10の上部筐体14に設けられていてもよい。
【0055】
上部筐体14は、下部筐体13の上方にある。上部筐体14は、複合機10の後端部において下部筐体13と連結されている。上部筐体14は、下部筐体13との連結部分に位置する軸106を中心として矢印104の方向に回動可能である。これにより、上部筐体14は、
図1に破線で示される被覆位置と、
図1に実線で示される開放位置とに回動可能である。被覆位置の上部筐体14は、下部筐体13の上端を覆っている。開放位置の上部筐体14は、下部筐体13の上端を開放している。
【0056】
図3に示されるように、複合機10は、記録ヘッド21(液体吐出ヘッドの一例)と、装着部110と、インクチューブ20とを備えている。装着部110には、インクを貯留可能な少なくとも1つのタンク103が配置されている。装着部110には、インクカートリッジ30が装着される。インクカートリッジ30には、記録ヘッド21に供給するインク(液体の一例)が貯留される。装着部110に装着されたインクカートリッジ30は、タンク103と接続されている。インクチューブ20は、記録ヘッド21と少なくとも1つのタンク103とを接続する。装着部110の上端に開口112が形成されている。
【0057】
インクカートリッジ30は、開口112を通じて上方から下方へ向けて装着部110に挿入されて装着される。インクカートリッジ30は、開口112を通じて下方から上方へ向けて装着部110から抜き出される。
図1、
図3、及び
図8には、インクカートリッジ30の装着部110への装着が完了した状態である装着状態が示されている。
図2には、インクカートリッジ30が装着部110へ装着されていない状態が示されている。
【0058】
図3に示されるように、装着状態において、インクカートリッジ30と記録ヘッド21とは、タンク103及びインクチューブ20を介して接続されている。記録ヘッド21は、下部筐体13の内部に配置されている。記録ヘッド21は、サブタンク28を備えている。サブタンク28は、インクチューブ20を通じて供給されるインクを一時的に貯留する。記録ヘッド21は、インクジェット記録方式によって、サブタンク28から供給されたインクをノズル29から吐出する。具体的には、記録ヘッド21に設けられたヘッド制御基板(不図示)から各ノズル29に対応して設けられたピエゾ素子29Aに選択的に駆動電圧が印加される。これにより、ノズル29からインクが吐出される。記録ヘッド21は、キャリッジ34に搭載されている。キャリッジ34は、下部筐体13のフレーム(不図示)によって、左右方向に沿って移動可能に支持されている。
【0059】
複合機10は、給送トレイ15と、給送ローラ23と、搬送ローラ対25と、プラテン26と、排出ローラ対27と、排出トレイ16と、を備えている。給送トレイ15から給送ローラ23によって搬送路24へ給送された用紙2は、搬送ローラ対25によって搬送向き19に搬送される。搬送向き19は、
図3に一点鎖線の矢印で示されている。用紙2が搬送ローラ対25によってプラテン26へ搬送されると、キャリッジ34が左右方向に沿って移動する。このとき、記録ヘッド21は、プラテン26上を通過する用紙に対してインクを吐出する。これにより、用紙2に画像が記録される。プラテン26を通過した用紙2は、排出ローラ対27によって、搬送路24の最下流に設けられた排出トレイ16に支持される。排出トレイ16に支持された用紙2は、開口17を通じて排出される。
【0060】
図5に示されるように、搬送路24は、搬送ローラ対25から記録ヘッド21及びプラテン26の間を経て排出ローラ対27へ、前後方向に延びている。搬送路24は、下部筐体13の概ね左右方向の中央部に形成されている。キャリッジ34は、搬送路24が形成された領域(
図5における2本の一点鎖線の間の領域)、搬送路24より右方の領域、及び搬送路24より左方の領域へ移動可能である。
【0061】
[装着部110]
図1及び
図2に示されるように、装着部110は、下部筐体13の右端部に配置された装着部110Aと、下部筐体13の左端部に配置された装着部110Bとを備える。
図5に示されるように、装着部110Aは、搬送路24より右方にある。装着部110Bは、搬送路24より左方にある。装着部110A及び装着部110Bは、概ね同構成である。そのため、以下において、装着部110Aの構成が説明され、装着部110Bの構成については、原則省略され、必要に応じて説明される。
【0062】
図3に示されるように、装着部110Aは、ホルダ101と、タンク103と、光学センサ113と、コネクタ130と、ストッパ131とを備えている。なお、装着部110Aは、光学センサ113を備えていなくてもよい。
【0063】
[ホルダ101]
図3に示されるように、ホルダ101は、装着部110Aの筐体を構成する。ホルダ101は、奥壁81と、底壁82とを備える。奥壁81は、下部筐体13の前壁44の後方に位置しており、前後方向において前壁44と対向している。底壁82は、奥壁81の下端部から前方へ延びている。奥壁81、底壁82、下部筐体13の前壁44、及び下部筐体13の右側壁45(側壁の一例)によって、ホルダ101の内部空間108が形成されている。右側壁45は、前壁44の右端部から後方へ延びており、下部筐体13の右端を構成している。
【0064】
なお、装着部110Bの場合、ホルダ101の内部空間108は、奥壁81、底壁82、下部筐体13の前壁44、及び下部筐体13の左側壁46(側壁の一例)によって形成されている。左側壁46は、前壁44の左端部から後方へ延びており、下部筐体13の左端を構成している。
【0065】
図1及び
図4に示されるように、前壁44の右端部及び左端部に、開口47(第1透光部の一例)が形成されている。
図1及び
図6(A)に示されるように、右側壁45の前端部に、開口48(第2透光部の一例)が形成されている。
図6(B)に示されるように、左側壁46の前端部に、開口49(第2透光部の一例)が形成されている。
【0066】
図3に示されるように、底壁82と上下方向に対向するホルダ101の上端は、ホルダ101の内部空間108とホルダ101の外部とを連通する開口112である。
【0067】
ホルダ101の開口112付近には、カバー18がある。カバー18は、奥壁81の上端部によって回動可能に支持されている。カバー18は、上部筐体14が開位置のときに、奥壁81との連結部分に位置する軸107を中心として矢印105の方向に回動可能である。これにより、カバー18は、
図1~
図3に破線で示されており開口112を塞ぐ被覆位置と、
図1~
図3に実線で示されており開口112を外部へ露出させる開放位置とに回動可能である。
【0068】
図1及び
図3に示されるように、インクカートリッジ30がタンク103に接続されているとき、被覆位置のカバー18は、インクカートリッジ30の上端を覆っており、開放位置のカバー18は、インクカートリッジ30の上端を開放している。
【0069】
ホルダ101の内部空間108は、不図示の隔壁によって、左右方向に並んだ3つの部屋に仕切られている。タンク103、光学センサ113、及びコネクタ130は、仕切られた内部空間108それぞれの部屋に配置され得る。なお、内部空間108は、隔壁を備えていなくてもよい。この場合、1つの部屋である内部空間108に、配置すべき全てのタンク103、光学センサ113、及びコネクタ130が配置される。
【0070】
本実施形態において、装着部110Bには、1つのインクカートリッジ30が装着される。そのため、装着部110Bのホルダ101の内部空間108は、複数の部屋に仕切られていない(1つの部屋で構成されている。)。
【0071】
本実施形態では、装着部110Aの3つの部屋の各々には、タンク103及び光学センサ113が配置され、コネクタ130は配置されていない。一方、装着部110Bの1つの部屋には、タンク103、光学センサ113、及びコネクタ130が配置されている。
【0072】
なお、装着部110A、110Bのホルダ101の内部空間108の部屋の数、並びに、当該部屋の各々に配置されるタンク103、光学センサ113、及びコネクタ130の数は、前記の数に限定されない。
【0073】
[タンク103]
図3に示されるように、ホルダ101の内部空間108の下部に、タンク103がある。タンク103は、底壁82に支持されている。
【0074】
上述したように、装着部110Aのホルダ101の内部空間108は、左右方向に並んだ3つの部屋に仕切られている。つまり、
図4に示されるように、装着部110Aのホルダ101の内部空間108には、3つのタンク103が、左右方向に沿って並列に配置されている。なお、装着部110Bに複数のタンク103が配置される場合に、当該複数のタンク103も左右方向に沿って並列に配置されてもよい。
【0075】
図7(B)に示されるように、タンク103は、概ね直方体形状の筐体117を有している。
【0076】
筐体117は、前壁91と、後壁92と、上壁93と、下壁94と、右側壁95と、左側壁96とを備える。前壁91、右側壁95、及び左側壁96は、第1壁の一例である。前壁91と後壁92とは前後方向に離れている。上壁93は、前壁91及び後壁92の間にあり、前壁91の上端から後壁92の上端へ延びている。下壁94は、前壁91及び後壁92の間にあり、前壁91の下端から後壁92の下端へ延びている。上壁93及び下壁94は、前壁91及び後壁92を繋いでいる。右側壁95は、前壁91及び後壁92の間にあり、前壁91の右端から後壁92の右端へ延びている。左側壁96は、前壁91及び後壁92の間にあり、前壁91の左端から後壁92の左端へ延びている。右側壁95及び左側壁96は、前壁91及び後壁92を繋いでいる。上壁93と下壁94とは上下方向に離れている。右側壁95と左側壁96とは左右方向に離れている。右側壁95及び左側壁96の周縁は、前壁91、後壁92、上壁93、及び下壁94と連続している。
【0077】
図8に示されるように、筐体117は、内部空間119を有する。内部空間119は、前壁91と、後壁92と、上壁93と、下壁94と、右側壁95と、左側壁96とによって構成される空間である。内部空間119に、インクが貯留可能である。
【0078】
本実施形態では、
図2に示されるように、装着部110Aのホルダ101の内部空間108の3つの部屋には、左の部屋から順に、シアン色のインクが貯留されたタンク103(以下、タンク103Cと称する。)、マゼンタ色のインクが貯留されたタンク103(以下、タンク103Mと称する。)、及びイエロー色のインクが貯留されたタンク103(以下、タンク103Yと称する。)が配置されている。装着部110Bのホルダ101の内部空間108の1つの部屋には、ブラック色のインクが貯留されたタンク103(以下、タンク103Bと称する。)が配置されている。以下、タンク103C、103M、103Y、103Bを総称してタンク103とも記す。また、本実施形態では、全てのタンク103に、染料インクが貯留されている。タンク103Bは、第1タンクの一例である。タンク103C、103M、103Yは、第2タンクの一例である。
【0079】
なお、各タンク103に貯留されるインクの色は、上述した色に限定されない。また、各タンク103に貯留されるインクの材質は、染料に限定されない。例えば、装着部110Bのホルダ101の内部空間108の1つの部屋に配置されたタンク103には、装着部110Aのホルダ101の内部空間108の3つの部屋に配置されたタンク103に貯留されたインクの比重(第1の比重)よりも大きな比重(第2の比重)のインクが貯留されていてもよい。第2の比重のインクとしては、例えばホワイト色のインクや、顔料インクが挙げられる。第1の比重のインクとしては、例えばシアン、マゼンタ、イエロー色のインクや、染料インクが挙げられる。
【0080】
なお、各部屋に配置されるタンク103に貯留されるインクの色や材質は、前記の例に限らず、適宜設定可能であることは言うまでもない。
【0081】
筐体117は、内部空間119に貯留されたインクを外部から視認可能な透光性を有する。
【0082】
図1及び
図4に示されるように、筐体117の前壁91は、下部筐体13の前壁44に形成された開口47と前後方向に対向している。これにより、下部筐体13を前方から見た場合に、前壁91は、開口47を通じて視認可能である。前壁91は、透光性を有する。そのため、下部筐体13を前方から見た場合に、内部空間119に貯留されたインクは、開口47及び前壁91を通じて視認可能である。本実施形態では、タンク103C、103M、103Yに貯留されたインクが、前壁44の右端部に形成された開口47及び前壁91を通じて視認可能であり、タンク103Bに貯留されたインクが、前壁44の左端部に形成された開口47及び前壁91を通じて視認可能である。
【0083】
図1及び
図6(A)に示されるように、筐体117の右側壁95は、下部筐体13の右側壁45に形成された開口48と左右方向に対向している。これにより、下部筐体13を右方から見た場合に、右側壁95は、開口48を通じて視認可能である。また、右側壁95は、透光性を有する。そのため、下部筐体13を右方から見た場合に、内部空間119に貯留されたインクは、開口48及び右側壁95を通じて視認可能である。本実施形態では、タンク103Yに貯留されたインクが、開口48及び右側壁95を通じて視認可能である。
【0084】
図6(B)に示されるように、筐体117の左側壁96は、下部筐体13の左側壁46に形成された開口49と左右方向に対向している。これにより、下部筐体13を左方から見た場合に、左側壁96は、開口49を通じて視認可能である。また、左側壁96は、透光性を有する。そのたため、下部筐体13を左方から見た場合に、内部空間119に貯留されたインクは、開口49及び左側壁96を通じて視認可能である。本実施形態では、タンク103Bに貯留されたインクが、開口49及び左側壁96を通じて視認可能である。
【0085】
なお、装着部110Aに装着されるタンク103(本実施形態では、タンク103C、103M、103Y)の筐体31において、少なくとも前方を向く前壁91と右方を向く右側壁95とが、透光性を有していればよい。また、装着部110Bに装着されるタンク103(本実施形態では、タンク103B)の筐体31において、少なくとも前方を向く前壁91と左方を向く左側壁96とが、透光性を有していればよい。
【0086】
また、タンク103B、103C、103M、103Yの全てが、透光性を有する壁を備えていなくてもよいが、タンク103B、103C、103M、103Yの少なくとも一つが、透光性を有する壁を備えていることが好ましく、さらにタンク103B、103C、103M、103Yの全てが、透光性を有する壁を備えていることがなお好ましい。
【0087】
図7(B)に示されるように、タンク103の筐体117の上壁93に、上壁93を貫通する大気連通孔124が形成されている。これにより、内部空間119は、大気と連通している。また、内部空間119は、インクチューブ20と連通している。これにより、内部空間119に貯留されたインクがインクチューブ20を通じて記録ヘッド21へ供給される。
【0088】
図8に示されるように、タンク103は、流通管120を備える。タンク103Bが備える流通管120は、第1流通管の一例である。タンク103C、103M、103Yが備える流通管120は、第2流通管の一例である。
【0089】
流通管120は、上下方向に延びており、上壁93を貫通している。流通管120は、上壁93から上方へ延びている。
【0090】
流通管120は、外周壁122と、隔壁123とを備えている。隔壁123は、外周壁122よりも上方まで延びている。隔壁123は、外周壁122の内部空間を2つの空間に分けている。2つの空間の一方は第1流路125である。2つの空間の他方は第2流路126である。
【0091】
第1流路125は、外周壁122の後部と隔壁123とで囲まれた空間である。第1流路125の一端には開口125Aが形成されており、第1流路125の他端には開口125Bが形成されている。
【0092】
第2流路126は、外周壁122の前部と隔壁123とで囲まれた空間である。第2流路126の一端には開口126Aが形成されており、第2流路126の他端には開口126Bが形成されている。
【0093】
開口125A、126Aは、内部空間119にある。開口125A、126Aは、大気連通孔124より下方にある。開口126Aは、開口125Aより下方にある。
【0094】
開口125B、126Bは、タンク103の外部にある。開口125Bは、内部空間119を第1流路125を介してタンク103の外部に連通させる。開口126Bは、内部空間119を第2流路126を介してタンク103の外部に連通させる。
【0095】
[光学センサ113]
図3及び
図8に示されるように、ホルダ101の奥壁81に、光学センサ113が配置されている。光学センサ113は、発光部及び受光部を備える。発光部及び受光部は、左右方向に間隔を空けて対向配置されている。
【0096】
光学センサ113は、発光部から左右方向に沿って照射された光が受光部で受光されたか否かに応じて、異なる検知信号をコントローラ1(
図3参照)へ出力する。光学センサ113及びコントローラ1は、ケーブル4によって接続されている。例えば、光学センサ113は、発光部から照射された光が受光部で受光できない(つまり、受光強度が所定の強度未満である)ことを条件として、ローレベル信号をコントローラ1へ出力する。一方、光学センサ113は、発光部から出力された光が受光部で受光できた(つまり、受光強度が所定の強度以上である)ことを条件として、ハイレベル信号をコントローラ1へ出力する。
【0097】
コントローラ1は、複合機10の動作を制御するものであり、例えばCPU、ROM、RAMなどからなるものである。CPU、ROM、RAMなどは制御基板3に実装されている。
図1に示されるように、制御基板3は、下部筐体13の内部の右後部に配置されている。
図5に示されるように、装着部110Bの光学センサ113と制御基板3とを接続するケーブル4は、装着部110Bから装着部110Aへ向けて、搬送路24の上方であって、記録ヘッド21の前方の空間を通り右方へ配線され、装着部110Aの各タンク103C、103M、103Yに対応して配置された光学センサ113から延びるケーブル4と共に、制御基板3へ向けて後方へ配線されている。装着部110Aの光学センサ113と制御基板3とを接続するケーブル4は、装着部110Aから制御基板3へ向けて後方へ配線されている。なお、制御基板3の配置位置は、下部筐体13の内部の右後部以外であってもよい。ケーブル4の配線は、制御基板3の配置位置に応じて適宜決定される。
【0098】
[コネクタ130]
図3及び
図8に示されるように、ホルダ101の奥壁81に、コネクタ130が配置されている。コネクタ130は、4つの接点132を備える。4つの接点132は、左右方向に間隔を空けて並列配置されている。各接点132は、インクカートリッジ30の回路基板64の電極65の各々に対応している。なお、接点132の数は、4つに限らない。
【0099】
接点132は、導電性及び弾性を有する部材で構成されている。接点132は、コネクタ130よりも前方へ突出している。接点132は、不図示の基板に接続されている。これにより、接点132は、同じく当該基板に実装された電気回路と電気的に接続されている。当該電気回路は、ケーブル5によってコントローラ1(
図3参照)と電気的に接続されている。ケーブル5は、ケーブル4と同様に配線されている(
図3参照)。
【0100】
なお、本実施形態において、コネクタ130は、タンク103B、103C、103M、103Yのうち、タンク103Bに対応するもののみ設けられている。つまり、コネクタ130は、装着部110Bの1つの部屋に対応して設けられており、装着部110Aには設けられていない。しかし、コネクタ130は、タンク103C、103M、103Yの少なくとも1つに対応して設けられていてもよい。つまり、コネクタ130は、装着部110Aの3つの部屋の少なくとも1つの部屋に設けられていてもよい。
【0101】
[ストッパ131]
図3に示されるように、ストッパ131は、筐体の前壁44の上端部から後方へ突出している。ストッパ131は、インクカートリッジ30を装着部110に装着した状態に保持するためのものである。ストッパ131は、前壁44によって左右方向に移動可能に支持されている。ストッパ131は、インクカートリッジ30を装着部110に装着された状態(インクカートリッジ30がタンク103と接続した状態)に保持する保持位置と、当該保持を解除する解除位置とに左右方向にスライド可能である。装着部110Bが備えるストッパ131(装着部110Aのホルダ101の内部空間108へ突出したストッパ131)は、第1保持機構の一例である。装着部110Aが備えるストッパ131(装着部110Bのホルダ101の内部空間108へ突出したストッパ131)は、第2保持機構の一例である。
【0102】
なお、インクカートリッジ30の後述する貫通孔152がバネで付勢されたバルブによって開閉可能に構成されている場合、タンク103と接続されたインクカートリッジ30が当該バネの反力によってタンク103との接続が解除される向きへ移動することを、ストッパ131によって規制して、インクカートリッジ30をタンク103と接続した状態に保持することができる。本実施形態のように、タンク103と接続されたインクカートリッジ30がバネの反力によってタンク103との接続が解除される向きへ移動することがない場合には、装着部110は、ストッパ131を備えていなくてもよい。
【0103】
[インクカートリッジ30]
図7(A)に示されるインクカートリッジ30は、インクが貯留される容器である。3つのインクカートリッジ30が、装着部110Aのホルダ101の3つに区切られた内部空間108(
図3参照)の各々の部屋に収容される。また、1つのインクカートリッジ30が、装着部110Bのホルダ101の内部空間108(
図3参照)に収容される。
【0104】
上述したように、装着部110Aのホルダ101の内部空間108は、左右方向に並んだ3つの部屋に仕切られている。つまり、
図4に示されるように、装着部110Aのホルダ101の内部空間108に装着された3つのインクカートリッジ30が、左右方向に沿って並列に配置されている。なお、装着部110Bに複数のインクカートリッジ30が配置される場合に、当該複数のインクカートリッジ30も左右方向に沿って並列に配置されてもよい。
【0105】
内部空間108の各部屋に配置されるインクカートリッジ30に貯留されたインクの色は、当該各部屋に配置されたタンク103に貯留されたインクの色と同色である。つまり、本実施形態では、装着部110Aのホルダ101の内部空間108の3つの部屋には、左の部屋から順に、シアン色のインクが貯留されたインクカートリッジ30(以下、インクカートリッジ30Cと称する。)、マゼンタ色のインクが貯留されたインクカートリッジ30(以下、インクカートリッジ30Mと称する。)、及びイエロー色のインクが貯留されたインクカートリッジ30(以下、インクカートリッジ30Yと称する。)が装着される。装着部110Bのホルダ101の内部空間108の1つの部屋には、ブラック色のインクが貯留されたインクカートリッジ30(以下、インクカートリッジ30Bと称する。)が装着される。すなわち、インクカートリッジ30Cはタンク103Cと接続され、インクカートリッジ30Mはタンク103Mと接続され、インクカートリッジ30Yはタンク103Yと接続され、インクカートリッジ30Bはタンク103Bと接続される。以下、インクカートリッジ30C、30M、30Y、30Bを総称してインクカートリッジ30とも記す。インクカートリッジ30Bは、第1貯留体の一例である。インクカートリッジ30C、30M、30Yは、第2貯留体の一例である。
【0106】
なお、内部空間108に配置されるインクカートリッジ30の数や、各部屋に配置されるインクカートリッジ30に貯留されたインクの色、材質は、装着部110の構成(装着部110のホルダ101の内部空間108の部屋の数や、各タンク103に貯留されるインクの色、材質)に応じて決定される。
【0107】
インクカートリッジ30C、30M、30Y、30Bは、インクカートリッジ30Bがインクカートリッジ30C、30M、30Yよりも大きいことを除いて概ね同構成である。そのため、以下において、インクカートリッジ30Bの構成が説明され、インクカートリッジ30C、30M、30Yの構成については、原則省略され、必要に応じて説明される。なお、以下では、インクカートリッジ30Bの構成が説明されるが、便宜上、インクカートリッジ30Bをインクカートリッジ30と記す。
【0108】
図7(A)及び
図8に示されるように、インクカートリッジ30は、筐体31と、突起67と、回路基板64と、突起70とを備える。以下のインクカートリッジ30の構成の説明において、特に記載のない限り、インクカートリッジ30が起立姿勢(タンク103に接続された姿勢であり、
図8に示された姿勢)であるとして、前後方向、上下方向、及び左右方向が定義される。
【0109】
図7(A)に示されるように、筐体31は、概ね直方体形状である。筐体31は、全体として、左右方向に沿った寸法が前後方向に沿った寸法よりも小さく、上下方向及び前後方向それぞれに沿った寸法が、左右方向に沿った寸法よりも大きい扁平形状である。
【0110】
筐体31は、前壁40と、後壁41と、上壁39と、下壁42と、右側壁37と、左側壁38とを備える。前壁40と後壁41とは前後方向に離れている。上壁39は、前壁40及び後壁41の間にあり、前壁40の上端から後壁41の上端へ延びている。下壁42は、前壁40及び後壁41の間にあり、前壁40の下端から後壁41の下端へ延びている。上壁39及び下壁42は、前壁40及び後壁41を繋いでいる。右側壁37は、前壁40及び後壁41の間にあり、前壁40の右端から後壁41の右端へ延びている。左側壁38は、前壁40及び後壁41の間にあり、前壁40の左端から後壁41の左端へ延びている。右側壁37及び左側壁38は、前壁40及び後壁41を繋いでいる。上壁39と下壁42とは上下方向に離れている。右側壁37と左側壁38とは左右方向に離れている。右側壁37及び左側壁38の周縁は、前壁40、後壁41、上壁39、及び下壁42と連続している。
【0111】
図8に示されるように、筐体31は、内部空間151を有する。内部空間151は、前壁40と、後壁41と、上壁39と、下壁42と、右側壁37と、左側壁38とによって構成される空間である。内部空間151には、インクが貯留可能である。
【0112】
図3に示されるように、筐体31は、カバー18が開放位置である状態で、開口112を通じてホルダ101に対して下方に向けて挿入されて装着され、上方に向けて抜き出される。
【0113】
筐体31は、内部空間151に貯留されたインクを外部から視認可能な透光性を有する。
【0114】
図1及び
図4に示されるように、装着状態において、筐体31の前壁40は、下部筐体13の前壁44に形成された開口47と前後方向に対向している。これにより、下部筐体13を前方から見た場合に、前壁40は、開口47を通じて視認可能である。また、前壁40は、透光性を有するため、下部筐体13を前方から見た場合に、内部空間151に貯留されたインクは、開口47及び前壁40を通じて視認可能である。本実施形態では、インクカートリッジ30C、30M、30Yに貯留されたインクが、前壁44の右端部に形成された開口47及び前壁40を通じて視認可能であり、インクカートリッジ30Bに貯留されたインクが、前壁44の左端部に形成された開口47及び前壁40を通じて視認可能である。インクカートリッジ30Bの前壁40は、第2壁の一例である。インクカートリッジ30C、30M、30Yの前壁40は、第3壁の一例である。
【0115】
図1及び
図6(A)に示されるように、装着状態において、筐体31の右側壁37は、下部筐体13の右側壁45に形成された開口48と左右方向に対向している。これにより、下部筐体13を右方から見た場合に、右側壁37は、開口48を通じて視認可能である。また、右側壁37は、透光性を有するため、下部筐体13を右方から見た場合に、内部空間151に貯留されたインクは、開口48及び右側壁37を通じて視認可能である。本実施形態では、インクカートリッジ30Yに貯留されたインクが、開口48及び右側壁95を通じて視認可能である。インクカートリッジ30Yの右側壁37は、第3壁の一例である。
【0116】
図6(B)に示されるように、装着状態において、筐体31の左側壁38は、下部筐体13の左側壁46に形成された開口49と左右方向に対向している。これにより、下部筐体13を左方から見た場合に、左側壁38は、開口49を通じて視認可能である。また、左側壁38は、透光性を有するため、下部筐体13を左方から見た場合に、内部空間151に貯留されたインクは、開口49及び左側壁38を通じて視認可能である。本実施形態では、インクカートリッジ30Bに貯留されたインクが、開口49及び左側壁96を通じて視認可能である。インクカートリッジ30Bの左側壁38は、第3壁の一例である。
【0117】
なお、装着部110Aに装着されるインクカートリッジ30(本実施形態では、インクカートリッジ30C、30M、30Y)の筐体31において、少なくとも前方を向く前壁40と右方を向く右側壁37とが、透光性を有していればよい。また、装着部110Bに装着されるインクカートリッジ30(本実施形態では、インクカートリッジ30B)の筐体31において、少なくとも前方を向く前壁40と左方を向く左側壁38とが、透光性を有していればよい。
【0118】
また、インクカートリッジ30B、30C、30M、30Yの全てが、透光性を有する壁を備えていなくてもよいが、インクカートリッジ30B、30C、30M、30Yの少なくとも一つが、透光性を有する壁を備えていることが好ましく、さらにインクカートリッジ30B、30C、30M、30Yの全てが、透光性を有する壁を備えていることがなお好ましい。
【0119】
図7(A)に示されるように、筐体31の下壁42に、貫通孔152(液体流通孔の一例)が形成されている。内部空間151は、貫通孔152を通じて外部と連通している。内部空間151に貯留されたインクは、貫通孔152を通じて外部へ流通可能である。但し、本実施形態において、下壁42の外面に貼付されたシール153によって、貫通孔152は塞がれている。そのため、内部空間151に貯留されたインクの外部へ流通は規制されている。
【0120】
なお、貫通孔152を塞ぐ手段は、シール153に限らない。例えば、所謂ダックビル型のバルブが貫通孔152に取り付けられていてもよいし、後述する
図15に示された構成のバルブ35と同構成のバルブによって貫通孔152が塞がれてもよい。
【0121】
[突起67]
図7(A)及び
図8に示されるように、筐体31の後壁41に、後方に突出する突起67がある。突起67は、上下方向に延びている。
【0122】
突起67の右面または左面は、装着部110の光学センサ113が照射する光が当たる面である。本実施形態において、突起67は、例えば光を遮断または減衰可能な色材料(黒色顔料)を含む樹脂製の板である。その他の形態としては、突起67の少なくとも光遮断面に、アルミ箔などの光が透過不能な材料が貼り付けられたものであってもよい。
【0123】
[回路基板64]
図7(A)及び
図8に示されるように、筐体31の後壁41に回路基板64が取り付けられている。回路基板64は、突起67より下方にある。なお、回路基板64の位置は、突起67より下方に限らない。回路基板64は、基板63と、メモリ(不図示)と、電極65とを有する。
【0124】
なお、本実施形態において、回路基板64は、インクカートリッジ30B、30C、30M、30Yのうち、インクカートリッジ30Bにのみ設けられている。つまり、回路基板64は、インクカートリッジ30C、30M、30Yには設けられていない。しかし、回路基板64は、インクカートリッジ30C、30M、30Yの少なくとも1つに設けられていてもよい。
【0125】
回路基板64は、ガラスエポキシなどで形成されたリジッド基板である基板63に、メモリが搭載され、4つの電極65が形成されたものである。なお、電極65の数は、装着部110の接点132の数に応じて決定されるものであり、4つに限定されない。
【0126】
メモリは、基板63の裏面(後壁41を向く面)に実装されている。なお、本実施形態では、基板63が後壁41に取り付けられる際に、後壁41におけるメモリに対応する位置には、メモリを収容可能な凹部(不図示)が形成されている。なお、メモリの実装位置は、基板63の裏面に限らない。
【0127】
メモリには、インクカートリッジ30に関する情報が複合機10のコントローラ1(
図3参照)によって読み出し可能に格納されている。インクカートリッジ30に関する情報は、例えば、ロット番号や製造年月日、インク色などの情報を示すデータである。ほかにも、インクの消費量などインクカートリッジ30に貯留されるインク量に関する情報などが記憶されてもよい。メモリは、例えばFRAM(登録商標)などの不揮発性メモリや、SRAMなどの揮発性メモリといった半導体メモリである。
【0128】
4つの電極65の各々は、装着部110の4つの接点132の各々に対応している。
図7(A)に示されるように、4つの電極65は、電気的に接続可能に露出されている。各電極65は、それぞれが上下方向に沿って延びている。各電極65は、左右方向に離間されて並んでいる。各電極65はメモリと電気的に接続されている。
【0129】
[突起70]
図8に示されるように、突起70は、筐体31の前壁40から前方へ突出している。装着状態において、装着部110のストッパ131が保持位置のとき、突起70がストッパ131の真下にある。このとき、インクカートリッジ30が装着部110から抜き出されることが、ストッパ131によって規制される。装着状態において、装着部110のストッパ131が解除位置のとき、突起70は、ストッパ131とは左右方向に異なる位置にある。このとき、インクカートリッジ30は、ストッパ131によって規制されることなく装着部110から抜き出し可能である。インクカートリッジ30Bが備える突起70は、第1保持機構の一例である。インクカートリッジ30C、30M、30Yが備える突起70は、第2保持機構の一例である。
【0130】
なお、ストッパ131がスライドするのではなく、インクカートリッジ30が左右方向へ移動されたり回動されたりしてもよい。インクカートリッジ30の移動や回動によって、突起70とストッパ131とが上下に重なる位置からずれた位置関係とされることで、インクカートリッジ30がストッパ131によって規制されることなく装着部110から抜き出し可能とされてもよい。
【0131】
また、インクカートリッジ30は突起70を備えていなくてもよい。この場合、例えば、保持位置のストッパ131がインクカートリッジ30の上壁39に接触することによって、インクカートリッジ30が装着部110から抜き出されることがストッパ131によって規制されてもよい。
【0132】
[インクカートリッジ30が装着部110へ装着される動作]
以下、インクカートリッジ30が装着部110のホルダ101に装着される動作が説明される。
【0133】
図7(A)に示されるように、装着部110に装着されていないインクカートリッジ30において、貫通孔152はシール153によって封止されているため、内部空間151に貯留されたインクが外部へ流出することが防止されている。
【0134】
また、インクカートリッジ30が装着されていない装着部110において、光学センサ113の発光部と受光部との間には、他の部材がない。これにより、光が発光部から受光部に進むことができる。このとき、光学センサ113は、ハイレベルの検知信号をコントローラ1(
図3参照)へ出力する。コントローラ1は、光学センサ113からハイレベルの検知信号を受け取ると、インクカートリッジ30が装着部110に装着されていないと判断する。
【0135】
また、インクカートリッジ30が装着されていない装着部110において、ストッパ131は解除位置にある。
【0136】
最初に、上部筐体14(
図1参照)が被覆位置から開放位置へ回動される。これにより、下部筐体13の上端が開放され、カバー18が露出される。次に、カバー18が被覆位置から開放位置へ回動される。これにより、開口112が露出される。
【0137】
インクカートリッジ30は、ホルダ101の上方から開口112を通じてホルダ101の内部空間108へ挿入される。なお、本実施形態において、インクカートリッジ30は、下方へ向けてホルダ101へ挿入されるが、これに限らず、インクカートリッジ30は、上下方向に対して傾斜した方向(下斜め方向)へ向けてホルダ101へ挿入されてもよい。
【0138】
図8に示されるように、インクカートリッジ30がホルダ101に挿入されると、流通管120が、インクカートリッジ30の下方からシール153を突き破って貫通孔152を貫通して、インクカートリッジ30の内部空間151へ進入する。つまり、流通管120が貫通孔152に接続される。これにより、内部空間151に貯留されているインクが、流通管120を介してタンク103の内部空間119へ流通することが可能になる。
【0139】
なお、貫通孔152の周縁には、ゴムなどの弾性体で構成されたリング部材(不図示)が取り付けられている。リング部材は、貫通孔152を貫通した流通管120の外周面に液密に密着する。
【0140】
また、インクカートリッジ30がホルダ101に挿入されると、突起67が光学センサ113の発光部と受光部との間に位置する。これにより、突起67は、光が発光部から受光部に進むのを遮断している。このとき、光学センサ113は、ローレベルの検知信号をコントローラ1(
図3参照)へ出力する。コントローラ1は、光学センサ113からローレベルの検知信号を受け取ると、インクカートリッジ30が装着部110に装着されていると判断する。
【0141】
また、インクカートリッジ30がホルダ101に挿入されると、回路基板64の各電極65は、前方から対応する各接点132に接触する。各電極65が対応する接点132と接触して導通することによって、電圧Vcが電極65に印加されたり、電極65がアースされたり、電極65に電力が供給されたりする。また、接点132と電極65との導通により、回路基板64に実装されたメモリがコントローラ1(
図3参照)と導通する。これにより、コントローラ1は、メモリにアクセス可能となる。その結果、メモリに格納されたデータは、コントローラ1に入力される。
【0142】
また、インクカートリッジ30がホルダ101に挿入された後、ストッパ131が解除位置から保持位置へ移動される。これにより、インクカートリッジ30は、装着部110に装着された状態に保持される。その後、カバー18が開放位置から被覆位置へ回動され、上部筐体14が開放位置から被覆位置へ回動される。
【0143】
インクカートリッジ30がホルダ101から抜き出されるとき、上部筐体14が被覆位置から開放位置へ回動され、カバー18が被覆位置から開放位置へ回動される。その後、ストッパ131が保持位置から解除位置へ移動される。これにより、インクカートリッジ30は、ストッパ131によって規制されることなく装着部110から抜き出し可能となる。次に、ユーザは、インクカートリッジ30を把持して、インクカートリッジ30を上方へ引っ張る。これにより、貫通孔152から流通管120が抜けて、インクカートリッジ30がホルダ101から抜き出される。
【0144】
以下、
図8に示される装着状態におけるインクカートリッジ30からタンク103へのインクの供給が説明される。本実施形態では、インクカートリッジ30からタンク103へのインクの供給は、以下に詳述するように、所謂チキンフィード方式で行われる。
【0145】
インクカートリッジ30がタンク103へ接続されて、流通管120の開口125B、126Bがインクカートリッジ30の内部空間151に位置するようになると、内部空間151とタンク103の内部空間119とが第1流路125及び第2流路126を通じて連通する。これにより、
図8に一点鎖線の矢印で示されるように、内部空間151に貯留されたインクが、開口126Bを介して第2流路126へ流通し、第2流路126の開口126Aから内部空間119へ流通する。また、インクの流通に際して、
図8に破線の矢印で示されるように、空気が大気連通孔124から内部空間119に入り込み、第1流路125から開口125Bを介して内部空間151に流入する。ここで、インクカートリッジ30からタンク103へ流通するインクの体積と、タンク103からインクカートリッジ30へ流通する空気の体積とは、ほぼ同じである。このようにして、いわゆる気液置換が行われる。
【0146】
内部空間119にインクが流入することにより、内部空間119のインクの液面が上昇して第1流路125の開口125Aに達すると、第1流路125と内部空間151との間の空気の流通が遮断される。これにより、内部空間119から内部空間151への空気の流通が停止される。そのため、内部空間151から内部空間119へのインクの流通が停止される。
【0147】
[本実施形態の作用効果]
本実施形態によれば、タンク103B及びタンク103C、103M、103Yは、搬送路24の左方及び右方に分かれて配置されている。これにより、タンク103の全てが左右方向における搬送路24の一方のみに配置されている構成よりも、各タンク103のサイズを大型化することができる。
【0148】
本実施形態によれば、インクカートリッジ30は上方からタンク103に接続される。そのため、インクカートリッジ30が水平方向に沿ってタンク103に接続される実施形態よりも、インクカートリッジ30がタンク103から誤って抜けてしまう可能性を低くすることができる。
【0149】
本実施形態によれば、インクカートリッジ30は上方からタンク103に接続される。そのため、インクカートリッジ30がタンク103より上方にある。これにより、インクカートリッジ30に貯留されたインクを使い切ることが容易である。
【0150】
通常、ユーザは、下部筐体13の前に立って、排出された用紙2を取り出す。本実施形態によれば、下部筐体13の前方から前壁91を通じてタンク103に貯留されたインクの残量を確認することができる。
【0151】
通常、ユーザは、下部筐体13の前に立って、排出された用紙2を取り出す。上記実施形態によれば、下部筐体13の前方から前壁40を通じてインクカートリッジ30に貯留されたインクの残量を確認することができる。
【0152】
本実施形態によれば、前方に加えて側方から前壁91を通じてタンク103に貯留されたインクの残量を確認することができる。
【0153】
本実施形態によれば、前方に加えて側方から前壁40を通じてインクカートリッジ30に貯留されたインクの残量を確認することができる。
【0154】
本実施形態によれば、左右方向に沿って並列配置されたタンク103を前方から視認可能に構成することが容易である。
【0155】
本実施形態によれば、左右方向に沿って並列配置されたインクカートリッジ30を前方から視認可能に構成することが容易である。
【0156】
本実施形態によれば、例えば、第1の比重を有するインクにのみ必要な機構(例えば、第1の比重を有するインクが顔料である場合の必要な顔料撹拌機構)は、タンク103Bの近くのみに配置すればよい。つまり、当該機構は、タンク103C、103M、103Yの近くに配置する必要がない。そのため、タンク103C、103M、103Yを大型化することができる。
【0157】
本実施形態によれば、装着状態において、タンク103に貯留されたインクが消費されてインクの液面が第1流路125の下端にある開口125Aよりも低くなると、空気が大気連通孔124からタンク103内に入り込み、第1流路125を通じてインクカートリッジ30内に入り込む。そして、インクカートリッジ30内に入り込んだ空気の体積分のインクがインクカートリッジ30から第2流路126を通じてタンク103内へ供給される。タンク103内のインクの液面が第1流路125の開口125Aに達すると、インクの供給は停止される。これにより、タンク103に貯留されたインクの液面を一定に維持することができる。
【0158】
本実施形態によれば、タンク103に接続されたインクカートリッジ30をカバー18によって保護することができる。
【0159】
本実施形態によれば、突起70、131によって、インクカートリッジ30が意図せずタンク103から外れることを防止することができる。
【0160】
[変形例]
上記実施形態では、ホルダ101の内部空間108において、タンク103は、左右方向に沿って並列に配置されていた。しかし、タンク103の配置は、左右方向に沿った並列配置に限らない。
【0161】
例えば、
図9~
図11に示されるように、装着部110Aのホルダ101の内部空間108において、タンク103及びインクカートリッジ30は、前後方向に沿って並列に配置されていてもよい。
【0162】
この場合、タンク103Yの前壁91、及びインクカートリッジ30Yの前壁40が、下部筐体13の前壁44の右端部に形成された開口47を通じて視認可能である。また、タンク103Yに貯留されたインクが、開口47及び前壁91を通じて視認可能であり、インクカートリッジ30Yに貯留されたインクが、開口47及び前壁40を通じて視認可能である。
【0163】
また、タンク103C、103M、103Yの右側壁95、及びインクカートリッジ30C、30M、30Yの右側壁37が、下部筐体13の右側壁45に形成された開口48を通じて視認可能である。また、タンク103C、103M、103Yに貯留されたインクが、開口48及び右側壁95を通じて視認可能であり、インクカートリッジ30C、30M、30Yに貯留されたインクが、開口48及び右側壁37を通じて視認可能である。
【0164】
これによって、インクカートリッジ30の下端付近までインクの液面が近づいてインクカートリッジ30の交換時期が近付いてきたことをユーザに認識させることができる。また、タンク103の液面も視認可能なので、インクカートリッジ30のインクがなくなってもまだいくらかは印刷が可能であることを認識させることができる。また、タンク103の液面が下端に近づいている場合は、インクカートリッジ中のインクが使い切られたことを意味する。ユーザは、タンク103の液面が下端に近づいたことでインクカートリッジの交換(インク補給)の必要性を認知させることができる。
【0165】
なお、装着部110Bに複数のタンク103及びインクカートリッジ30が配置される場合に、当該複数のタンク103及びインクカートリッジ30も前後方向に沿って並列に配置されてもよい。
【0166】
図9~
図11に示された変形例によれば、前後方向に沿って並列配置されたインクカートリッジ30及びタンク103を側方から視認可能に構成することが容易である。
【0167】
また、各タンク103の形状は、同一とは限らず、異なる形状であってもよい。例えば、
図12~
図14に示されるように、タンク103C、103M、103Yが構成されていてもよい。タンク103Yは直方体形状である。タンク130Mは、平面視においてL字形状であってタンク103Yより大きく、タンク103Yの左方から後方に亘って配置されている。タンク130Cは、平面視においてL字形状であってタンク103Mより大きく、タンク103Mの左方から後方に亘って配置されている。
【0168】
図12~
図14に示される構成の場合、タンク103C、103M、103Yの前壁91が、下部筐体13の前壁44の右端部に形成された開口47を通じて視認可能である。また、タンク103C、103M、103Yに貯留されたインクが、開口47及び前壁91を通じて視認可能である。
【0169】
また、タンク103C、103M、103Yの右側壁95が、下部筐体13の右側壁45に形成された開口48を通じて視認可能である。また、タンク103C、103M、103Yに貯留されたインクが、開口48及び右側壁95を通じて視認可能である。
【0170】
なお、
図12~
図14に示される構成では、インクカートリッジ30の配置は、上記実施形態(
図4~
図6参照)と同様に、左右方向に沿って並列配置されている。もちろん、各インクカートリッジ30の構成は左右方向に沿った並列配置に限らない。例えば、インクカートリッジ30C、30M、30Yは、それぞれ
図12~
図14に示されるタンク103C、103M、103Yと同様の形状に構成されていてもよい。
【0171】
上記実施形態では、インクカートリッジ30からタンク103へのインクの供給は、チキンフィード方式で行われたが、チキンフィード方式以外で行われてもよい。例えば、インクカートリッジ30からタンク103へのインクの供給は、以下に
図15を参照しつつ詳述するように、インクカートリッジ30の内部空間151に貯留されたインクの液面と、タンク103の内部空間119に貯留されたインクの液面との水頭差によって行われてもよい。なお、以下の説明では、上記実施形態と異なる構成の部分について説明され、上記実施形態と同じ構成の部分についても説明は省略される。
【0172】
図15に示されるように、タンク103は、側面視においてL字形状である。タンク103は、ホルダ101の奥壁81よりも後方まで延びており、奥壁81よりも後方において上方へ延びている。
【0173】
流通管120は、隔壁123を備えていない。つまり、流通管120の内部空間は、1つの流路127のみで形成されている。
【0174】
インクカートリッジ30の上壁39に、上壁39を貫通する大気連通孔155が形成されている。これにより、内部空間151は、大気と連通している。大気連通孔155は、開閉可能に構成されている。
図15に示される構成では、インクカートリッジ30は、バルブ35と、コイルバネ36(付勢部材の一例)とを備えている。バルブ35及びコイルバネ36は、筐体31の内壁50によって構成されたサブ空間154に配置されている。バルブ35は、大気連通孔155を開く開位置(
図15(A)参照)と、大気連通孔155を閉じる閉位置(
図15(B)参照)とに移動可能である。コイルバネ36は、バルブ35を閉位置へ付勢している。バルブ35が閉位置のとき、バルブ35の先端部35Aは、筐体31の上壁39よりも上方へ突出している。なお、大気連通孔155を開閉可能とする構成は、バルブ35及びコイルバネ36を備えた構成に限らず、公知の種々の構成が採用可能である。
【0175】
インクカートリッジ30は、上記実施形態と同様にして、装着部110のホルダ101に装着される。
【0176】
インクカートリッジ30がホルダ101に装着された後に、カバー18が開放位置から被覆位置へ回動されるまで、
図15(B)に示されるように、バルブ35はコイルバネ36に付勢されて閉位置にある。つまり、インクカートリッジ30の内部空間151は大気開放されていない。そのため、内部空間151から流路127を介してタンク103の内部空間119へインクが流通せず、内部空間151に貯留されたインクの液面は、位置P1に維持される。
【0177】
装着状態において、カバー18が開放位置から被覆位置へ回動されると、バルブ35の先端部35Aが上方からカバー18に当接されて下方へ押される。これにより、
図15(A)に示されるように、バルブ35は、コイルバネ36の付勢力に抗して閉位置から開位置へ移動する。これにより、インクカートリッジ30の内部空間151が大気開放される。そのため、内部空間151、119の液面の水頭差によって、内部空間151から流路127を介して内部空間119へインクが流通する。その結果、内部空間151、119に貯留されたインクの液面は、位置P2となる。
【0178】
ここで、バルブ35の先端部35Aは、貫通孔152の真上にある。つまり、平面視において、バルブ35の先端部35Aと、貫通孔152とは、その少なくとも一部同士が重複している。換言すると、平面視において、カバー18がインクカートリッジ30に当接している位置と、貫通孔152とは、その少なくとも一部同士が重複している。なお、平面視において、バルブ35の先端部35Aと、貫通孔152とが重複していなくてもよい。
【0179】
なお、上記実施形態(
図8に示される構成)においても、被覆位置のカバー18が上方からインクカートリッジ30に当接してもよい。また、この場合、平面視において、カバー18がインクカートリッジ30に当接している位置と、貫通孔152とは、その少なくとも一部同士が重複していることが好ましい。
【0180】
図15に示された変形例によれば、複雑な構成を要することなく、インクカートリッジ30に貯留されたインクを、タンク103に供給することができる。
【0181】
図15に示された変形例によれば、インクカートリッジ30がタンク103に接続されていないとき、バルブ35はコイルバネ36に付勢されて閉位置にある。そのため、インクカートリッジ30に貯留されたインクが大気連通孔155を通じて外部へ漏れることを防止することができる。
【0182】
図15に示された変形例によれば、インクカートリッジ30がタンク103に接続されたとき、カバー18が被覆位置に移動されると、バルブ35は開位置へ移動する。これにより、インクカートリッジ30からタンク103へ、水頭差によるインクの供給が可能となる。
【0183】
図15に示された変形例によれば、被覆位置のカバー18がインクカートリッジ30に当接している位置と、貫通孔152とが、上下方向に沿った視線において重複している。そのため、タンク103に接続されたインクカートリッジ30の姿勢を安定することができる。
【0184】
上記実施形態では、インクカートリッジ30及びタンク103に貯留されたインクは、下部筐体13に形成された第1透光部の一例である開口47や、第2透光部の一例である48、49を介して視認可能であった。しかし、インクカートリッジ30及びタンク103に貯留されたインクを視認するための手段は、透光性を有するものであればよく、開口47、48、49に限らない。例えば、開口47、48、49に透明な板が張り付けられていてもよい。この場合、当該板は、透光性を有するため、インクカートリッジ30及びタンク103に貯留されたインクは、当該板を介して視認可能である。前壁44に設けられた板は、第1透光部の一例である。右側壁45及び左側壁46に設けられた板は、第2透光部の一例である。
【0185】
複合機10は、カバー18を備えていなくてもよい。この場合、
図15に示される構成において、バルブ35の先端部35Aに当接するのは、上部筐体14であってもよい。つまり、上部筐体14が、カバー18の代わりにカバーとしての機能を果たす。
【0186】
上記実施形態では、上部筐体14、カバー18は、回動によって被覆位置及び開放位置に移動したが、回動以外(例えば前後へのスライド)によって被覆位置及び開放位置に移動してもよい。
【0187】
上記実施形態では、回路基板64や突起67を備えたインクカートリッジ30がタンク103に接続されたが、タンク103に接続される貯留体は、インクカートリッジ30に限らない。例えば、貯留体として、回路基板64や突起67を備えていないボトルがタンク103に接続されてもよい。この場合、ボトルに貯留されたインクがタンク103へ流通される手段は、上述したようなチキンフィード方式による手段や水頭差による手段でもよいし、それ以外の手段(例えば、ボトルがポンピングされることによって、ボトルに貯留されたインクがタンク103へ流通される手段)でもよい。
【0188】
貯留体の形状は、インクカートリッジ30のように直方体であってもよいし、それ以外の形状でもよい。例えば、上記のボトルが円筒形状に構成されていてもよい。また、タンク103の形状も直方体に限らない。
【0189】
上記実施形態では、インクが液体の一例として説明されているが、例えば、インクに代えて、印刷時にインクに先立って用紙などに吐出される前処理液が液体カートリッジに貯留されていてもよい。また、記録ヘッド21を洗浄するための水が液体カートリッジに貯留されていてもよい。
【符号の説明】
【0190】
2・・・用紙(シート)
13・・・下部筐体(筐体)
21・・・記録ヘッド(液体吐出ヘッド)
24・・・搬送路
30B・・・インクカートリッジ(第1貯留体)
30C、30M、30Y・・・インクカートリッジ(第2貯留体)
103B・・・タンク(第1タンク)
103C、103M、103Y・・・タンク(第2タンク)
120・・・流通管(第1流通管、第2流通管)
152・・・貫通孔(液体流通孔)