IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ブラザー工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-制御プログラム 図1
  • 特許-制御プログラム 図2
  • 特許-制御プログラム 図3
  • 特許-制御プログラム 図4
  • 特許-制御プログラム 図5
  • 特許-制御プログラム 図6
  • 特許-制御プログラム 図7
  • 特許-制御プログラム 図8
  • 特許-制御プログラム 図9
  • 特許-制御プログラム 図10
  • 特許-制御プログラム 図11
  • 特許-制御プログラム 図12
  • 特許-制御プログラム 図13
  • 特許-制御プログラム 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20230829BHJP
【FI】
G06F3/12 353
G06F3/12 305
G06F3/12 308
G06F3/12 332
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019031238
(22)【出願日】2019-02-25
(65)【公開番号】P2020135682
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2022-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】塩谷 丈史
【審査官】征矢 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-309624(JP,A)
【文献】特開2003-283750(JP,A)
【文献】特開2015-084172(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のプリンタと通信可能な通信インタフェースを備える情報処理装置のコンピュータが読み取り可能な制御プログラムであって、
印刷対象の画像の種類が、ユーザ操作により選択されるように構成されており、
前記コンピュータを、
前記複数のプリンタのうちの任意のプリンタの選択を受け付ける受付手段と、
前記受付手段により受け付けられたプリンタである選択プリンタのスペックと、ユーザ操作により選択された前記印刷対象の画像の種類と、ユーザ設定により設定された設定解像度とに応じて、印刷処理を実行するための当該選択プリンタの解像度を基準解像度として決定する決定手段として機能させ
前記決定手段は、
ユーザ操作により選択された前記印刷対象の画像の種類がファックスであり、前記印刷対象の画像が複数ページの画像である場合に、1ページ目の画像の印刷処理を実行するための解像度として前記基準解像度より低い解像度を決定することを特徴とする制御プログラム。
【請求項2】
複数のプリンタと通信可能な通信インタフェースを備える情報処理装置のコンピュータが読み取り可能な制御プログラムであって、
印刷対象の画像の種類が、ユーザ操作により選択されるように構成されており、
前記コンピュータを、
前記複数のプリンタのうちの任意のプリンタの選択を受け付ける受付手段と、
前記受付手段により受け付けられたプリンタである選択プリンタのスペックと、ユーザ操作により選択された前記印刷対象の画像の種類と、ユーザ設定により設定された設定解像度とに応じて、印刷処理を実行するための当該選択プリンタの解像度を基準解像度として決定する決定手段と、
OSが提供する機械学習APIに基づいて推定される画像の種類に応じて、前記決定手段により決定された前記基準解像度を変更する変更手段として機能させることを特徴とする制御プログラム。
【請求項3】
前記決定手段は、
印刷対象の画像を示す画像データの解像度である実データ解像度が、前記決定手段により決定された基準解像度より低い場合に、前記実データ解像度に合わせて、前記基準解像度より低い解像度を、印刷処理を実行するための解像度として決定することを特徴とする請求項1又は2に記載の制御プログラム。
【請求項4】
前記決定手段は、
前記情報処理装置のメモリ残量が少ない場合に、前記メモリ残量に合わせて、前記決定手段により決定された基準解像度より低い解像度を、印刷処理を実行するための解像度として決定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の制御プログラム。
【請求項5】
前記選択プリンタのスペックは、前記選択プリンタの印刷方式であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の制御プログラム。
【請求項6】
前記選択プリンタのスペックは、前記選択プリンタでの印刷用紙の搬送速度であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタと通信するための通信インタフェースを備える情報処理装置のコンピュータが読み取り可能な制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献には、印刷対象の画像の各ページのオブジェクトに応じて解像度を決定する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-105348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献に記載の技術によれば、オブジェクト毎に最適な解像度で印刷することができるが、プリンタのスペック等は、一切、考慮されていない。そこで、本発明は、プリンタのスペックを考慮した印刷処理を実行することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の制御プログラムは、プリンタと通信するための通信インタフェースを備える情報処理装置のコンピュータが読み取り可能な制御プログラムであって、前記コンピュータを、前記プリンタのスペックに応じて、印刷処理を実行するための解像度を決定する決定手段として機能させることを特徴とする。
【0006】
本明細書の実施形態として記載の制御プログラムでは、プリンタのスペックに応じて、印刷処理を実行するための解像度が決定される。これにより、プリンタのスペックを考慮した印刷処理を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】通信システム1のブロック図である。
図2】トップ画面100を示す図である。
図3】画像種選択画面110を示す図である。
図4】プレビュー画面120を示す図である。
図5】設定画面130を示す図である。
図6】テーブル140を示す図である。
図7】ファックス処理選択画面150を示す図である。
図8】ファックス画像選択画面160を示す図である。
図9】プレビュー画面170を示す図である。
図10】プレビュー画面170を示す図である。
図11】制御アプリケーション30のフローチャートを示す図である。
図12】制御アプリケーション30のフローチャートを示す図である。
図13】制御アプリケーション30のフローチャートを示す図である。
図14】画像180を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1に、本願に係る実施形態として例示される通信システム1のブロック図を示す。通信システム1は、携帯電話(情報処理装置の一例)10、MFP(プリンタの一例)50,52,54、アクセスポイント56、基地局60を備える。MFP50,52,54は、印刷処理,スキャン処理,ファックスの送受信処理等の各種処理を実行可能な装置である。なお、MFP50での印刷処理は、MFP50に内蔵されているレーザプリンタにより実行され、MFP52,54での印刷処理は、MFP52,54に内蔵されているインクジェットプリンタにより実行される。また、MFP52に内蔵されているインクジェットプリンタは、スキャン方式のプリンタであり、MFP54に内蔵されているインクジェットプリンタは、シングルパス方式のプリンタである。ちなみに、スキャン方式のプリンタでは、印刷用紙が主走査方向に搬送されるとともに、インクジェットヘッドが副走査方向に移動することで、印刷用紙に画像が印刷される。一方、シングルパス方式のプリンタでは、印刷用紙が主走査方向に搬送されるが、インクジェットヘッドは固定された状態で、印刷用紙に画像が印刷される。
【0009】
携帯電話10は、CPU(コンピュータの一例)12、記憶部14、無線通信I/F(通信インタフェースの一例)16、携帯電話通信I/F18、LCD20、タッチパネル22を主に備えている。これらの構成要素は、バス28を介して互いに通信可能とされている。
【0010】
無線通信I/F16は、IEEEの802.11の規格およびそれに準ずる規格に基づいて、Wi-Fi(R)(Wi-Fi Allianceの登録商標)方式(WF方式と略して記載する場合もある)の無線通信を行うことが可能とされている。すなわち、携帯電話10は、アクセスポイント56へアクセスし、WF方式の無線通信を行える状態になれば、アクセスポイント56を介して、MFP50,52,54とデータ通信することが可能になる。
【0011】
携帯電話通信I/F18は、基地局60との間で携帯電話通信方式の無線通信を行うことが可能とされている。すなわち、携帯電話10は、携帯電話通信方式の無線通信を行える状態になれば、基地局60を介して、データ通信することが可能になる。
【0012】
CPU12は、記憶部14内の制御アプリケーション(制御プログラムの一例)30、OS31に従って処理を実行する。制御アプリケーション30は、携帯電話10を用いてMFP50,52,54に各種処理を実行させるためのプログラムである。また、OS31は、制御アプリケーション30に利用される基本的な機能を提供するプログラムである。なお、制御アプリケーション30等を実行するCPU12のことを、単にプログラム名でも記載する場合がある。例えば、「制御アプリケーション30が」という記載は、「制御アプリケーション30を実行するCPU12が」ということを意味する場合がある。
【0013】
また、記憶部14は、データ記憶領域32を備える。データ記憶領域32は、制御アプリケーション30の実行に必要なデータなどを記憶する領域である。なお、記憶部14は、RAM、ROM、フラッシュメモリー、HDD、CPU12が備えるバッファなどが組み合わされて構成されている。
【0014】
記憶部14は、コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体であってもよい。コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体とは、non-transitoryな媒体である。non-transitoryな媒体には、上記の例の他に、CD-ROM、DVD-ROM等の記録媒体も含まれる。また、non-transitoryな媒体は、tangibleな媒体でもある。一方、インターネット上のサーバなどからダウンロードされるプログラムを搬送する電気信号は、コンピュータが読み取り可能な媒体の一種であるコンピュータが読み取り可能な信号媒体であるが、non-transitoryなコンピュータが読み取り可能なストレージ媒体には含まれない。
【0015】
LCD20は、携帯電話10の各種機能を表示する表示面を備える。タッチパネル22は、タッチセンサを有し、LCD20の表示面を覆うように配置されている。タッチパネル22は、ユーザの指、タッチペン等のタッチパネル22への接近・接触を検出し、検出に応じて電気信号を出力する。
【0016】
なお、本明細書では、主に、プログラムに記述された命令に従ったCPU12の処理を示す。すなわち、以下の説明における「判断」、「抽出」、「選択」、「算出」、「決定」、「特定」、「取得」、「受付」、「制御」等の処理は、CPU12の処理を表している。CPU12による処理は、OS31を介したハードウェア制御も含む。なお「取得」は要求を必須とはしない概念で用いる。すなわち、CPU12が要求することなくデータを受信するという処理も、「CPU12がデータを取得する」という概念に含まれる。また、本明細書中の「データ」とは、コンピュータに読取可能なビット列で表される。そして、実質的な意味内容が同じでフォーマットが異なるデータは、同一のデータとして扱われるものとする。本明細書中の「情報」についても同様である。また、「命令」「応答」「要求」等の処理は、「命令」「応答」「要求」等を示す情報を通信することにより行われる。また、「設定」等の処理は、入力された設定情報をメモリに記憶することで行われる。
【0017】
上述した構成により、通信システム1では、携帯電話10からの指令に従ってMFP50,52,54により印刷処理が実行される。なお、MFP50,52,54により印刷処理が実行される際の解像度は、MFP50,52,54に内蔵されているプリンタのスペックに応じて決定される。また、印刷対象の原稿のページ毎に、印刷処理が実行される際の解像度が変更される。
【0018】
詳しくは、携帯電話10において、制御アプリケーション30の実行により、LCD20に、図2に示すトップ画面100が表示される。トップ画面100には、デバイス選択ボタン102が表示される。デバイス選択ボタン102は、携帯電話10を用いて各種処理を実行するためのデバイスを選択するためのボタンであり、デバイス選択ボタン102が操作されることで、制御アプリケーション30は、LCD20にデバイス選択画面(図示省略)を表示する。
【0019】
デバイス選択画面には、携帯電話10と通信可能なデバイスのデバイス名が選択可能な状態で表示される。携帯電話10では、3台のMFP50,52,54と通信可能であるため、デバイス選択画面では、3台のMFP50,52,54のデバイス名が選択可能な状態で表示される。そして、デバイス選択画面において、3台のMFP50,52,54のデバイス名のうちの任意のデバイス名が選択されると、制御アプリケーション30は、LCD20にトップ画面100を表示する。この際、トップ画面100のデバイス選択ボタン102には、デバイス選択画面で選択されたデバイス(以下、「選択デバイス」と記載する)のデバイス名が表示される。
【0020】
また、デバイス選択ボタン102の上方には、選択デバイスで実行可能な各種処理を実行するための複数の実行ボタン104が表示される。それら複数の実行ボタン104は、選択デバイスにより印刷処理を実行するための第1実行ボタン104a、選択デバイスでのファックスに関する処理を実行するための第2実行ボタン104b等により構成されている。そして、第1実行ボタン104aが操作されることで、制御アプリケーション30は、図3に示す画像種選択画面110をLCD20に表示する。画像種選択画面110は、印刷対象の画像の種類を選択するための画面であり、画像種選択画面110には、印刷対象の画像の種類として、写真を選択するための選択ボタン112a、文書を選択するための選択ボタン112b等が表示される。
【0021】
その画像種選択画面110において、選択ボタン112a,112b等が操作されると、制御アプリケーション30は、操作されたボタンに応じた種類の画像をLCD20に表示する。そして、制御アプリケーション30は、画像種選択画面110において操作されたボタンに応じた画像の種類(以下、「選択画像種」と記載する)をデータ記憶領域32に記憶する。つまり、例えば、選択ボタン112bが操作されると、制御アプリケーション30は、図4に示すプレビュー画面120をLCD20に表示する。そのプレビュー画面120には、文書のプレビュー画像122が表示されている。また、制御アプリケーション30は、選択ボタン112bが操作されたことに応じて、選択画像種として、文書の画像を示す情報をデータ記憶領域32に記憶する。
【0022】
なお、図4のプレビュー画面120には、5枚のプレビュー画像122が表示されている。そして、それら5枚のプレビュー画像122の各々に、チェック欄124が表示されており、各チェック欄124へのユーザ操作により、印刷対象の画像として、チェックされたプレビュー画像122が選択される。なお、5枚のプレビュー画像122が、印刷対象の画像として選択された場合に、それら5枚のプレビュー画像122は、5枚の印刷用紙に印刷され、5ページ分の原稿となる。ちなみに、左上のプレビュー画像122aは、1ページ目の原稿に印刷され、右上のプレビュー画像122bは、2ページ目の原稿に印刷され、左下のプレビュー画像122cは、3ページ目の原稿に印刷され、中央下のプレビュー画像122dは、4ページ目の原稿に印刷され、右下のプレビュー画像122eは、5ページ目の原稿に印刷される。
【0023】
また、プレビュー画面120には、設定ボタン126も表示されており、設定ボタン126が操作されることで、制御アプリケーション30は、図5に示す設定画面130をLCD20に表示する。設定画面130には、印刷用紙のサイズを設定するための設定ボタン132a、印刷部数を設定するための設定ボタン132b、印刷処理を実行するための解像度を設定するための設定ボタン132c等が表示される。そして、各種設定ボタン132へのユーザ操作により印刷設定が行われると、その印刷設定に関する情報がデータ記憶領域32に記憶される。なお、設定ボタン132cへのユーザ操作により、Fine,Normal,Fastの何れかが選択され、選択されたものに応じた解像度が設定される。ちなみに、Fineは高解像度を示す選択肢であり、Fastは低解像度を示す選択肢であり、Normalは通常の解像度を示す選択肢である。
【0024】
また、プレビュー画面120には、図4に示すように、印刷ボタン128も表示されている。そして、印刷ボタン128が操作されることで、制御アプリケーション30は、選択デバイスに内蔵されているプリンタのスペックに応じて、基準となる解像度(以下、「基準解像度」と記載する)(スペック対応解像度の一例)を決定する。詳しくは、データ記憶領域32には、図6に示すテーブル140が記憶されている。そのテーブル140は、基準解像度を決定するためのものであり、そのテーブル140では、スペック情報と選択画像種と設定解像度とに応じて、基準解像度が設定されている。
【0025】
スペック情報は、選択デバイスに内蔵されているプリンタのスペックを示す情報であり、レーザプリンタであることを示す情報と、シングルパス方式のインクジェットプリンタであることを示す情報と、スキャン方式のインクジェットプリンタであることを示す情報とにより構成される。なお、携帯電話10と通信可能なデバイス、つまり、MFP50,52,54のスペック情報が、データ記憶領域32に記憶されており、制御アプリケーション30は、選択デバイスのスペック情報をデータ記憶領域32から取得する。つまり、制御アプリケーション30は、選択デバイスがMFP50である場合に、レーザプリンタであることを示す情報を、スペック情報として取得し、選択デバイスがMFP52である場合に、スキャン方式のインクジェットプリンタであることを示す情報を、スペック情報として取得し、選択デバイスがMFP54である場合に、シングルパス方式のインクジェットプリンタであることを示す情報を、スペック情報として取得する。また、MFP50,52,54のスペック情報がデータ記憶領域32に記憶されていない場合もあり、このような場合には、制御アプリケーション30が、選択デバイスが選択された後に、選択デバイスと通信を行って、選択デバイスからスペック情報を取得する。
【0026】
また、選択画像種は、上述したように、印刷対象の画像の種類を示す情報として、画像種選択画面110において操作されたボタンの種類に応じて記憶されている。このため、制御アプリケーション30は、データ記憶領域32から選択画像種を取得する。また、設定解像度は、設定画面130において設定ボタン132cへの操作により設定された解像度であり、Fine,Normal,Fastのうちの何れかに応じた解像度である。なお、設定画面130での設定ボタン132へのユーザ操作による印刷設定に関する情報は、上述したように、データ記憶領域32に記憶されているため、制御アプリケーション30は、その情報に基づいて、設定解像度を特定する。
【0027】
そして、制御アプリケーション30は、スペック情報と選択画像種と設定解像度とに基づいて、テーブル140を利用して基準解像度を決定する。なお、基準解像度は、入力解像度と出力解像度とにより構成されている。入力解像度は、選択デバイスに入力される画像データ、つまり、印刷対象の画像を示す印刷用画像データの解像度である。また、出力解像度は、選択デバイスが出力する画像、つまり、印刷用紙に印刷される画像の解像度である。
【0028】
そして、基準解像度の決定に用いられるテーブル140では、スペック情報がレーザプリンタであることを示す場合に、スペック情報がシングルパス方式のインクジェットプリンタであることを示す場合と比較して、基準解像度は高く設定されており、スペック情報がシングルパス方式のインクジェットプリンタであることを示す場合に、スペック情報がスキャン方式のインクジェットプリンタであることを示す場合と比較して、基準解像度は高く設定されている。つまり、スペック情報がレーザプリンタであることを示す場合、シングルパス方式のインクジェットプリンタであることを示す場合、スキャン方式のインクジェットプリンタであることを示す場合の順に、基準解像度は低くされている。ただし、スペック情報に応じて、基準解像度の出力解像度は異なる数値に設定されているが、基準解像度の入力解像度は同じ数値に設定されている。これは、スペック情報により示されるプリンタのスペックにより印刷用紙に画像が印刷される際の印刷時間に起因している。
【0029】
詳しくは、レーザプリンタでは、感光体ドラムへのレーザ照射により、潜像が形成され、その潜像が形成された感光体ドラムにトナーが付着される。そして、印刷用紙に、感光体ドラムに付着したトナーが転写されることで、印刷用紙に画像が印刷される。このため、出力解像度が高いほど、潜像が緻密になるが、潜像の形成時間は、出力解像度の影響を受け難い。つまり、レーザプリンタでは、出力解像度が高くなっても、印刷時間は然程長くならない。一方、インクジェットプリンタでは、ノズルからインクが吐出され、印刷用紙に画像が印刷される。このため、出力解像度が高いほど、ノズルからのインクの吐出回数が増加するため、印刷時間は、出力解像度の影響を受け易く、インクジェットプリンタでは、出力解像度が高くなるほど、印刷時間は長くなる。このようなことに鑑みて、テーブル140では、スペック情報がインクジェットプリンタであることを示す場合に、レーザプリンタであることを示す場合と比較して、出力解像度が低く設定されている。つまり、テーブル140では、スペック情報がレーザプリンタであることを示す場合に、インクジェットプリンタであることを示す場合と比較して、出力解像度が高く設定されている。
【0030】
また、インクジェットプリンタにおいて、スキャン方式のプリンタでは、印刷用紙が主走査方向に搬送されるとともに、インクジェットヘッドが副走査方向に移動することで、印刷用紙に画像が印刷される。一方、シングルパス方式のプリンタでは、印刷用紙が主走査方向に搬送されるが、インクジェットヘッドは固定された状態で、印刷用紙に画像が印刷される。このため、副走査方向へのインクジェットヘッドの移動を考慮すると、ノズルからのインクの吐出回数の増加するほど、つまり、出力解像度が高くなるほど、印刷時間は、スキャン方式のプリンタにおいて、シングルパス方式のプリンタより長くなる。このため、テーブル140では、スペック情報がスキャン方式のインクジェットプリンタであることを示す場合に、シングルパス方式のインクジェットプリンタであることを示す場合と比較して、出力解像度が低く設定されている。つまり、スペック情報がシングルパス方式のインクジェットプリンタであることを示す場合に、スキャン方式のインクジェットプリンタであることを示す場合と比較して、出力解像度が高く設定されている。
【0031】
なお。入力解像度が相違しても、レーザプリンタとスキャン方式のインクジェットプリンタとシングルパス方式のインクジェットヘッドとにおいて、印刷時間は然程変わらない。このため、スペック情報がレーザプリンタであることを示す場合と、スキャン方式のインクジェットプリンタであることを示す場合と、シングルパス方式のインクジェットプリンタであることを示す場合とで、入力解像度は同じに設定されている。
【0032】
また、テーブル140では、選択画像種が写真である場合に、選択画像種が文書である場合と比較して、入力解像度と出力解像度との両方の基準解像度が高く設定されている。また、設定解像度が「Fine」である場合に、設定解像度が「Normal」である場合と比較して、入力解像度と出力解像度との両方の基準解像度が高く設定されており、設定解像度が「Normal」である場合に、設定解像度が「Fast」である場合と比較して、入力解像度と出力解像度との両方の基準解像度が高く設定されている。
【0033】
このように設定されたテーブル140を利用して、制御アプリケーション30は、スペック情報と選択画像種と設定解像度とに基づいて基準解像度を決定する。つまり、例えば、スペック情報がレーザプリンタを示し、選択画像種が写真を示し、設定解像度がFineである場合に、基準解像度が「600dpi/1200dpi」に決定される。また、例えば、スペック情報がシングルパス方式のインクジェットプリンタを示し、選択画像種が文書を示し、設定解像度がFastである場合に、基準解像度が「100dpi/150dpi」に決定される。
【0034】
ただし、印刷対象の画像を示す画像データの解像度(以下、「実データ解像度」と記載する)が、基準解像度より低い場合には、実データ解像度の画像データに基づいて、基準解像度の印刷用画像データを作成することはできない。つまり、例えば、実データ解像度が200dpiであり、基準解像度の入力解像度が400dpiに設定された場合には、200dpiの画像データに基づいて、400dpiの印刷用画像データを作成することはできない。このため、実データ解像度が基準解像度の入力解像度より低い場合に、制御アプリケーション30は、実データ解像度に合わせて、基準解像度の入力解像度を低下させる。具体的には、実データ解像度が基準解像度の入力解像度より低い場合に、制御アプリケーション30は、基準解像度の入力解像度を、実データ解像度に再設定する。つまり、例えば、基準解像度の入力解像度が400dpiに設定されている場合に、実データ解像度が200dpiであれば、制御アプリケーション30は、基準解像度の入力解像度を200dpiに再設定する。なお、基準解像度の出力解像度は、低下されず、そのまま用いられる。つまり、テーブル140を利用して基準解像度が「400dpi/400dpi」に設定された場合に、実データ解像度が200dpiであれば、基準解像度が「200dpi/400dpi」に再設定される。
【0035】
また、携帯電話10のデータ記憶領域32におけるメモリ残量が少ない場合に、印刷用画像データを作成する際に、高解像度の画像データをデータ記憶領域32において展開できない場合がある。このため、メモリ残量が予め設定された設定残量より少ない場合に、制御アプリケーション30は、メモリ残量に合わせて、基準解像度の入力解像度を低下させる。なお、基準解像度の出力解像度は、低下されず、そのまま用いられる。つまり、テーブル140を利用して基準解像度が「400dpi/400dpi」に設定された場合に、メモリ残量が設定残量より少なければ、例えば、基準解像度が「200dpi/400dpi」に再設定される。
【0036】
また、制御アプリケーション30は、テーブル140に基づいて設定された基準解像度、若しくは、再設定された基準解像度を基準として、印刷対象の画像のページ毎に、印刷処理が実行される際の解像度を変更する。具体的には、例えば、印刷対象の画像が文書である場合には、一般的に、1ページ目の原稿は表紙として用いられることが多く、表紙に印刷される画像の量、つまり、印字数は、比較的少ない。このため、1ページ目の原稿に印刷される画像が、低い解像度で印刷されても影響は少ない。そこで、制御アプリケーション30は、印刷対象の画像が文書である場合に、1ページ目の原稿に印刷される画像の解像度を、基準解像度より低い解像度に設定する。つまり、例えば、基準解像度が「300dpi/600dpi」に決定された場合に、1ページ目の原稿に印刷される画像の解像度は「300dpi/600dpi」より低い解像度に設定される。この際、入力解像度と出力解像度との少なくとも一方が低くされればよい。つまり、1ページ目の原稿に印刷される画像の解像度は、例えば、「300dpi/300dpi」、若しくは、「200dpi/600dpi」、若しくは、「200dpi/300dpi」に設定される。なお、印刷対象の画像が文書であるか否かの判断は、データ記憶領域32に記憶された選択画像種に基づいて行われる。ただし、印刷用画像データの選択デバイスへの通信時間を考慮した場合に、印刷用画像データのデータ量を少なくするべく、少なくとも入力解像度を低くすることが好ましい。
【0037】
また、印刷用紙に印刷される画像が写真である場合において、その画像は、印刷用紙に印刷される画像が文書である場合と比較して、鮮明であることが望まれる。このため、写真が印刷される際の解像度は、文書が印刷される際の解像度より高いことが望まれる。つまり、逆に言えば、文書が印刷される際の解像度は、写真が印刷される際の解像度より低くすることができる。また、印刷用紙にイラストが印刷された場合の画像の鮮明さは、印刷用紙に写真が印刷された場合の画像の鮮明さと、印刷用紙に文書が印刷された場合の画像の鮮明さとの間ぐらいが望まれる。このため、イラストが印刷される際の解像度は、写真が印刷される際の解像度と、文書が印刷される際の解像度との間の解像度に設定することができる。つまり、写真が印刷される際の解像度、イラストが印刷される際の解像度、文書が印刷される際の解像度の順に、解像度は低くされる。
【0038】
そこで、印刷対象の画像の種類がページ毎に分析され、分析結果に応じて、ページ毎の解像度が設定される。具体的には、携帯電話10では、OS31により機械学習APIが提供される。この機械学習APIは、サンプル画像に基づいて、対象の画像の種類を判定する。このため、制御アプリケーション30は、サンプル画像の画像データと、印刷対象の画像のページ毎の画像データとを、OS31に出力する。サンプル画像の画像データは、写真の画像データと、イラストの画像データと、文書の画像データとを含んでおり、機械学習APIは、各サンプル画像の画像データに基づいて、色の変化,色密度,配列パターン等を分析する。また、機械学習APIは、印刷対象の画像のページ毎の画像データに基づいて、色の変化,色密度,配列パターン等を分析する。そして、機械学習APIは、印刷対象の画像のページ毎の画像データが、サンプル画像の写真とイラストと文書との何れの画像データと近似しているかを判断する。この際、機械学習APIは、印刷対象の画像のページ毎の種類を、近似しているサンプル画像の写真とイラストと文書との何れかに決定する。そして、機械学習APIにより印刷対象の画像のページ毎の種類が決定されると、OS31は、その結果を制御アプリケーション30に出力する。
【0039】
制御アプリケーション30は、OS31から機械学習APIによる分析結果を取得すると、分析結果に応じて、ページ毎の解像度を設定する。例えば、図4に示す4枚のプレビュー画像122が印刷対象の画像である場合において、まず、それら4枚のプレビュー画像122は、先に説明したように、画像種選択画面110での文書を選択するための選択ボタン112bへの操作により表示される。つまり、それら4枚のプレビュー画像122は、文書であり、印刷対象の画像が文書である場合に、1ページ目の原稿に印刷される画像の解像度は、基準解像度より低い解像度に設定される。このため、制御アプリケーション30は、プレビュー画像122aの解像度を、基準解像度より低い解像度に設定する。
【0040】
また、プレビュー画像122b及びプレビュー画像122dの種類は、機械学習APIにより文書であると判断され、プレビュー画像122cの種類は、機械学習APIにより写真であると判断され、プレビュー画像122eの種類は、機械学習APIによりイラストであると判断される。このため、プレビュー画像122cの解像度は、プレビュー画像122eの解像度より高く設定され、プレビュー画像122eの解像度は、プレビュー画像122b及びプレビュー画像122dの解像度より高く設定される。そこで、制御アプリケーション30は、プレビュー画像122cの解像度を、基準解像度に設定し、プレビュー画像122eの解像度を、基準解像度より低い解像度に設定する。さらに、制御アプリケーション30は、プレビュー画像122b及びプレビュー画像122dの解像度を、プレビュー画像122eの解像度より低い解像度に設定する。
【0041】
なお、上述したように、プレビュー画像122cの解像度は、基準解像度に設定され、プレビュー画像122a,122b,122d,122eの解像度は、基準解像度より低い解像度に設定されるが、基準解像度より低い解像度に設定される際の解像度の低減率は、適宜設定されている。例えば、1ページ目の原稿に印刷される画像の解像度は、基準解像度の1/3程度に低減され、イラストの画像印刷時の解像度は、基準解像度の2/3程度に低減され、文書の画像印刷時の解像度は、基準解像度の1/2程度に低減されるように、設定されている。
【0042】
そして、ページ毎の解像度が設定されると、制御アプリケーション30は、設定された解像度に応じた印刷用画像データを作成し、作成した印刷用画像データを選択デバイスに送信する。つまり、制御アプリケーション30は、設定された解像度のうちの入力解像度に基づいて印刷用画像データを作成する。そして、制御アプリケーション30は、作成した印刷用画像データ及び、設定された解像度のうちの出力解像度での印刷指示を選択デバイスに送信する。具体的には、例えば、Xページ目の画像の解像度が、例えば、「200dpi/400dpi」に設定された場合に、制御アプリケーション30は、200dpiの印刷用画像データを作成し、その200dpiの印刷用画像データ及び、400dpiでの印刷指示を選択デバイスに送信する。これにより、選択デバイスにおいて、200dpiの印刷用画像データに基づいて、400dpiの画像が印刷用紙に印刷される。
【0043】
このように、携帯電話10において印刷用画像データを作成し、その印刷用画像データに基づく画像の印刷処理を、選択デバイスにより実行させることができる。また、携帯電話10では、選択デバイスでのファックスに関する処理も実行することができる。詳しくは、図2に示すトップ画面100において、第2実行ボタン104bが操作されると、制御アプリケーション30は、図7に示すファックス処理選択画面150をLCD20に表示する。なお、第2実行ボタン104bが操作されると、制御アプリケーション30は、選択画像種として、ファックスの画像を示す情報をデータ記憶領域32に記憶する。これは、第2実行ボタン104bへの操作により、ファックスに関する処理が実行されるためである。
【0044】
第2実行ボタン104bへの操作により表示されたファックス処理選択画面150には、ファックスの送信処理を選択するための選択ボタン152aと、ファックス画像のプレビュー処理を選択するための選択ボタン152bとが表示される。そして、選択ボタン152bが操作されることで、制御アプリケーション30は、図8に示すファックス画像選択画面160をLCD20に表示する。また、制御アプリケーション30は、選択ボタン152bへの操作に応じて、選択デバイスから、選択デバイスが受信したファックスに関する情報を取得する。このファックスに関する情報には、ファックスの受信日時が含まれている。そして、制御アプリケーション30は、ファックスに関する情報に含まれるファックスの受信日時を、ファックス画像選択画面160に選択ボタン162として表示する。
【0045】
このファックス画像選択画面160において、任意の選択ボタン162が操作されると、制御アプリケーション30は、操作された選択ボタン162に応じた日時に選択デバイスが受信したファックスの画像データを、選択デバイスから取得する。そして、制御アプリケーション30は、図9に示すプレビュー画面170を表示する。プレビュー画面170には、選択デバイスから取得したファックスの画像データに基づくプレビュー画像172が表示される。また、プレビュー画面170には、遷移ボタン174も表示されており、遷移ボタン174が操作されることで、図10に示すように、プレビュー画面170に設定ボタン176および印刷ボタン178が表示される。
【0046】
そして、設定ボタン176が操作されることで、制御アプリケーション30は、図5に示す設定画面130をLCD20に表示する。この設定画面130では、上述したように、各種設定ボタン132へのユーザ操作により印刷設定が行われる。また、各種設定ボタン132へのユーザ操作により印刷設定が行われると、その印刷設定に関する情報がデータ記憶領域32に記憶される。また、プレビュー画面170において印刷ボタン178が操作されると、制御アプリケーション30は、選択デバイスのスペック情報と、選択画像種と、設定解像度とに基づいて、テーブル140を利用して、基準解像度を決定する。なお、ここでの基準解像度の決定手法は、先に説明した基準解像度の決定手法と同じである。ただし、選択画像種は、トップ画面100での第2実行ボタン104bへの操作により、ファックスの画像を示す情報とされている。このため、テーブル140を用いて基準解像度が決定される際に、選択画像種として、ファックスを示す情報が用いられる。
【0047】
また、基準解像度が決定されると、制御アプリケーション30は、その基準解像度を基準として、印刷対象のファックスのページ毎に、印刷処理が実行される際の解像度を変更する。具体的には、印刷対象の画像がファックスである場合には、一般的に、1ページ目の原稿は送り状として用いられることが多く、送り状に印刷される画像の量、つまり、印字数は、比較的少ない。このため、1ページ目の原稿に印刷される画像が、低い解像度で印刷されても影響は少ない。そこで、制御アプリケーション30は、印刷対象の画像がファックスである場合に、印刷対象の画像が文書である場合と同様に、1ページ目の原稿に印刷される画像の解像度を、基準解像度より低い解像度に設定する。
【0048】
また、2ページ目以降の原稿に印刷されるファックスの画像に関しても、先に説明した機械学習APIを用いて、ページ毎の画像が分析され、分析結果に応じて、ページ毎の解像度が設定される。つまり、制御アプリケーション30は、画像の種類が写真であると判断されたページの解像度を、基準解像度に設定し、画像の種類がイラストであると判断されたページの解像度を、基準解像度より低い解像度に設定する。さらに、制御アプリケーション30は、画像の種類が文書であると判断されたページの解像度を、画像の種類がイラストであると判断されたページの解像度より低い解像度に設定する。
【0049】
そして、ページ毎の解像度が設定されると、制御アプリケーション30は、設定された解像度に応じた印刷用画像データを作成し、作成した印刷用画像データを選択デバイスに送信する。つまり、制御アプリケーション30は、設定された解像度のうちの入力解像度に基づいて印刷用画像データを作成する。そして、制御アプリケーション30は、作成した印刷用画像データ及び、設定された解像度のうちの出力解像度での印刷指示を選択デバイスに送信する。これにより、選択デバイスが受信したファックスを携帯電話10により確認した後に、必要なファックスのみを選択デバイスにおいて印刷することができる。
【0050】
次に、携帯電話10のCPU12において制御アプリケーション30が実行される処理について図11図13を用いて説明する。まず、制御アプリケーション30は、トップ画面100でのデバイス選択ボタン102への操作により、選択デバイスを受け付ける(S100)。続いて、制御アプリケーション30は、プレビュー画面120での印刷ボタン128、若しくは、プレビュー画面170での印刷ボタン178への操作により、基準解像度決定サブルーチンを実行する(S101)。
【0051】
基準解像度決定サブルーチンでは、制御アプリケーション30は、選択デバイスのスペック情報と、設定解像度と、選択画像種とに基づいて、基準解像度を決定する(S200)。次に、制御アプリケーション30は、実データ解像度がS200で決定された基準解像度より低いか否かを判断する(S202)。そして、実データ解像度が基準解像度より低い場合(S202:YES)に、制御アプリケーション30は、実データ解像度に合わせて基準解像度を下げる(204)。そして、S206に進む。一方、実データ解像度が基準解像度以上である場合(S202:NO)に、S204の処理がスキップされ、S206に進む。
【0052】
S206では、制御アプリケーション30は、データ記憶領域32のメモリ残量が設定残量より少ないか否かを判断する(S206)。そして、メモリ残量が設定残量より少ない場合(S206:YES)に、制御アプリケーション30は、メモリ残量に合わせて基準解像度を下げる(208)。そして、基準解像度決定サブルーチンが終了する。一方、メモリ残量が設定残量以上である場合(S206:NO)に、S208の処理がスキップされ、基準解像度決定サブルーチンが終了する。
【0053】
基準解像度決定サブルーチンが終了すると、メインルーチンに戻り、制御アプリケーション30は、部分解像度決定サブルーチンを実行する(S104)。部分解像度決定サブルーチンでは、制御アプリケーション30は、選択画像種がファックス若しくは文書であるか否かを判断する(S300)。そして、選択画像種がファックス若しくは文書である場合(S300:YES)に、制御アプリケーション30は、1ページ目の画像の解像度を、基準解像度より低い解像度に設定する(S302)。そして、S304に進む。一方、選択画像種がファックス若しくは文書でない場合(S300:NO)に、S302の処理がスキップされ、S304に進む。
【0054】
S304では、制御アプリケーション30は、機械学習APIを利用可能であるか否かを判断する(S304)。そして、機械学習APIを利用不能である場合(S304:NO)に、部分解像度決定サブルーチンが終了する。一方、機械学習APIを利用可能である場合(S304:YES)に、制御アプリケーション30は、サンプル画像の画像データと、印刷対象の画像のページ毎の画像データとを、OS31に出力する(S306)。そして、制御アプリケーション30は、サンプル画像の画像データ及び、印刷対象の画像のページ毎の画像データの出力に応じて、OS31から機械学習APIによる判断結果を受け付ける(S308)。続いて、制御アプリケーション30は、機械学習APIの判断結果に基づいて、印刷対象の画像のページ毎の解像度を設定する(S310)。そして、部分解像度決定サブルーチンが終了する。
【0055】
部分解像度決定サブルーチンが終了すると、メインルーチンに戻り、制御アプリケーション30は、設定された解像度の入力解像度に応じた印刷用画像データを作成する(S104)。そして、制御アプリケーション30は、作成した印刷用画像データ、及び、設定された解像度のうちの出力解像度での印刷指示を選択デバイスに送信する(S106)。これにより、本フローチャートが終了する。
【0056】
なお、S101を実行するCPU12は、決定手段の一例である。S102を実行するCPU12は、変更手段の一例である。
【0057】
<実施形態の効果>
上記した実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0058】
携帯電話10では、スペック情報に応じて基準解像度が決定される。これにより、画像を印刷するMFP50,52,54のスペックに応じた印刷用画像データを作成することができる。さらに言えば、MFP50,52,54のスペックとして、各デバイスの印刷方式が採用されており、出力解像度が高いほど印刷時間が長くなるインクジェットプリンタ、特に、スキャン方式のインクジェットプリンタが選択デバイスとして選択されている場合に、基準解像度は低く設定される。これにより、印刷時間の短縮を図ることができる。
【0059】
また、基準解像度は、スペック情報だけでなく、ユーザにより設定された解像度、つまり、設定解像度も考慮して決定される。これにより、ユーザの意思を反映した画像を印刷することができる。
【0060】
また、上述したように、インクジェットプリンタは、出力解像度が高いほど印刷時間が長くなるプリンタであり、レーザプリンタは、出力解像度が高くなっても、印刷時間は然程長くならないプリンタである。一方、入力解像度の高低は、インクジェットプリンタとレーザプリンタとの印刷時間の相違に然程影響を及ぼさない。このため、基準解像度として、出力解像度と入力解像度とが決定されることで、各デバイスの印刷方式に応じた解像度に決定することができる。
【0061】
また、実データ解像度が基準解像度より低い場合に、実データ解像度に合わせて、基準解像度が、テーブル140に基づいて決定された基準解像度より低い解像度に再設定される。これにより、印刷対象の画像が低解像度であっても、その画像に応じた印刷用画像データを作成することができる。
【0062】
また、データ記憶領域32のメモリ残量が少ない場合に、メモリ残量に合わせて、基準解像度が、テーブル140に基づいて決定された基準解像度より低い解像度に再設定される。これにより、少ないメモリ残量のデータ記憶領域32であっても、画像データの展開が担保され、適切に印刷用画像データを作成することができる。
【0063】
また、携帯電話10では、基準解像度を基準として、印刷対象の画像のページ毎に、印刷処理が実行される際の解像度が設定される。これにより、画像の種類に応じた解像度で印刷処理を実行することが可能となる。
【0064】
具体的には、画像の種類が文書若しくはファックスである場合に、1ページ目の原稿に印刷される画像の解像度が、基準解像度より低い解像度に設定される。これにより、低い解像度で印刷されても影響の少ない画像の解像度を低く設定することが可能となり、印刷品質を担保しつつ、印刷時間の短縮を図ることが可能となる。特に、複数ページの画像が印刷される際に、1ページ目の印刷用画像データの送信に要する時間が長くなると、その時間がボトルネックとなり、印刷時間の短縮を図り難くなる。このため、1ページ目の印刷用画像データの解像度が低く設定されることで、データ量が少なくなり、1ページ目の印刷用画像データの送信に要する時間を短くすることが可能となり、効果的に印刷時間が短縮される。
【0065】
また、印刷対象の画像の種類が、1ページに印刷される画像毎に、機械学習APIにより判断され、その判断結果に応じて、1ページに印刷される画像毎の解像度が設定される。これにより、画像の種類に応じた解像度で印刷処理を実行することが可能となる。特に、写真,イラスト,文書の順に、解像度が低く設定されることで、低解像度で印刷されても影響の少ない画像の解像度を低く設定することができる。これにより、印刷品質を担保しつつ、印刷時間の短縮を図ることが可能となる。
【0066】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することが可能である。具体的には、例えば、上記実施形態では、プリンタの印刷方式、つまり、レーザプリンタであるかインクジェットプリンタであるかに応じて、基準解像度が決定されているが、プリンタの種々のスペックに応じて、基準解像度が決定されてもよい。具体的には、例えば、プリンタの解像度,印刷用紙の搬送速度などに応じて、基準解像度が決定されてもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、画像の種類が、OS31が提供する機械学習APIにより判断されているが、制御アプリケーション30が、画像の種類を判断してもよい。つまり、制御アプリケーション30が機械学習APIの機能を有していてもよい。また、例えば、機械学習APIが携帯電話10と異なるデバイスにおいて提供されており、制御アプリケーション30が、そのデバイスに画像の種類の判断を問いかけてもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、写真の解像度が、基準解像度に設定され、イラストの解像度が、基準解像度より低い解像度に設定され、文書の解像度が、イラストの解像度より低い解像度に設定されているが、文書の解像度が、基準解像度に設定され、イラストの解像度が、基準解像度より高い解像度に設定され、写真の解像度が、イラストの解像度より高い解像度に設定されてもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、ページ毎に画像の種類が判断され、ページ毎に解像度が設定されているが、1ページの画像の一部毎に画像の種類が判断され、その一部毎に解像度が設定されてもよい。具体的には、例えば、図14に示す画像180において、その画像の長手方向がMFP50,52,54での印刷用紙の搬送方向である場合に、その長手方向に沿って、画像180が所定の幅の複数の領域に分割される。そして、それら複数の領域毎に、画像の種類が判断される。この際、例えば、画像180の上方の領域の画像182が、文書と判断され、画像180の中央の領域の画像184が、写真と判断され、画像180の下方の領域の画像186が、イラストと判断された場合に、それら各領域の画像182,184,186毎に解像度が設定される。これにより、1ページ分の画像においても、画像の種類に応じた解像度で印刷することが可能となる。
【0070】
また、上記実施形態では、CPU12によって図11乃至図13に示す処理が実行される例を説明したが、これら処理は、CPU12に限らず、ASICや他の論理集積回路により実行されてもよいし、これら処理が、CPU等やASIC、他の論理集積回路が協働することにより実行されてもよい。
【符号の説明】
【0071】
10:携帯電話、12:CPU、16:無線通信I/F、30:制御アプリケーション、50:MFP、52:MFP、54:MFP
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14