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特許7338195情報処理装置、情報処理装置の制御方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理装置の制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/26 20060101AFI20230829BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20230829BHJP
   B41J 3/36 20060101ALI20230829BHJP
   B41J 29/42 20060101ALI20230829BHJP
   G06F 1/3237 20190101ALI20230829BHJP
【FI】
G06F1/26 303
B41J29/38 104
B41J3/36 Z
B41J29/42 F
G06F1/26 306
G06F1/3237
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019065501
(22)【出願日】2019-03-29
(65)【公開番号】P2020166486
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2022-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】加藤 直
(72)【発明者】
【氏名】大竹 雅樹
(72)【発明者】
【氏名】宇佐美 元
【審査官】松浦 かおり
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-004516(JP,A)
【文献】特開2013-246711(JP,A)
【文献】特開2003-263245(JP,A)
【文献】特開平11-252489(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/26- 1/3296
B41J 3/01- 3/54
B41J 3/62
B41J 29/00-29/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インタフェースと、
第1負荷装置と、
前記第1負荷装置へ電力を供給可能なバッテリと、
制御装置と、
電力伝送路であって、前記インタフェースと前記制御装置とを前記バッテリを介さず接続する第1電力伝送路と、前記インタフェースと前記第1負荷装置とを前記バッテリを介さず接続する第2電力伝送路と、前記インタフェースと前記バッテリとを接続する第3電力伝送路と、を有する前記電力伝送路と、
を備え、
前記制御装置は、
外部機器から前記インタフェースを介して第1電力量の電力の供給を受けているとき、前記インタフェース及び前記第1電力伝送路を介して供給される電力により起動する第1起動処理と、
前記第1起動処理を実行した後、前記第1電力量より大きな電力量である第2電力量の電力を、前記インタフェースを介して前記外部機器へ要求する電力要求処理と、
前記電力要求処理を実行した後、前記外部機器から前記インタフェースを介して前記第2電力量の電力供給を受けることが可能であるか否かを判断する第1判断処理と、
前記第1判断処理において肯定判断する場合、前記電力要求処理の結果、前記外部機器から前記インタフェースを介して前記第2電力量の電力が供給されると、前記外部機器から前記インタフェースを介して供給された電力を、前記第2電力伝送路を介して前記第1負荷装置へ供給し、前記第1負荷装置を起動させる第2起動処理と、
前記第1判断処理において否定判断する場合、前記外部機器から前記インタフェースを介して供給される電力を、前記第3電力伝送路を介して前記バッテリへ供給する第1供給処理と、
を実行する、情報処理装置。
【請求項2】
前記バッテリと接続され、前記インタフェースを介して供給された電力に基づいて前記バッテリを充電する充電回路を、さらに備え、
前記充電回路は、
前記制御装置の制御に基づいて起動可能であり、
前記制御装置は、
前記第2起動処理を実行し、前記第1負荷装置を起動させた後に、前記充電回路を起動し前記バッテリの充電を開始する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第1負荷装置は、
表示装置であり、
前記制御装置は、
前記第2起動処理において前記表示装置を起動させた場合、前記外部機器へ要求する要求電力量、前記外部機器が供給可能な最大の電力量である供給可能電力量、前記要求電力量を受電した場合に、前記バッテリを満受電するまでに必要な充電時間、の3つの情報の組み合わせを前記表示装置に複数組表示させ、各組み合わせについてその組み合わせの前記要求電力量の電力を受電可能であるか否かを識別可能に表示し、
前記表示装置を起動させた後、供給可能な前記第2電力量を前記外部機器へ問い合わせ、問い合わせた結果に応じて、各組み合わせについてその組み合わせの前記要求電力量の電力を受電可能であるか否かの表示を更新する、請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
第2負荷装置をさらに備え、
前記制御装置は、
前記第2電力量が、前記第1負荷装置と前記第2負荷装置の両方を起動するのに必要な第1起動電力量以上であるか否かを判断する第1電力量判断処理を実行し、
前記制御装置は、
前記第1電力量判断処理により、前記第2電力量が前記第1起動電力量以上であると判断した場合、前記第2起動処理において、前記第1負荷装置と前記第2負荷装置の両方を起動させる、請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
第2負荷装置をさらに備え、
前記制御装置は、
前記第2電力量が、前記第1負荷装置と前記第2負荷装置の両方を起動するのに必要な第1起動電力量より少ない第2起動電力量以上であるか否かを判断する第2電力量判断処理を実行し、
前記制御装置は、
前記第2電力量判断処理により、前記第2電力量が前記第2起動電力量以上であると判断した場合、前記第2起動処理において、前記第1負荷装置を起動させる、請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第1負荷装置は、
表示装置である、請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記第2負荷装置は、
画像データに基づいた画像処理を行なう画像処理部である、請求項4又は請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記電力伝送路は、
前記制御装置と前記バッテリとを接続する第4電力伝送路を有し、
前記情報処理装置は、
前記第1電力伝送路と前記制御装置との接続と、前記第4電力伝送路と前記制御装置との接続を切り替えるスイッチ装置を備え、
前記スイッチ装置は、
前記バッテリから電力が供給される場合、前記第4電力伝送路を前記制御装置に接続し、前記バッテリから電力が供給されない場合、前記第1電力伝送路を前記制御装置に接続する電磁開閉スイッチである、請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記制御装置は、
複数の処理部を有し、
前記複数の処理部は、
前記電力要求処理を実行する通信処理部を含み、
前記制御装置は、
前記第1起動処理において、前記複数の処理部のうち、前記通信処理部を他の処理部に優先して起動する、請求項1乃至請求項8の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記インタフェースは、
USB(Universal Serial Bus)規格に準ずる接続により電力授受及び通信を行うインタフェースである、請求項1乃至請求項9の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記インタフェースは、
USB(Universal Serial Bus)規格に準ずる通信を前記制御装置と実行する場合、前記制御装置に対してUSB規格の通信ロールにおける通信デバイスとして接続される、請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
インタフェースと、第1負荷装置と、前記第1負荷装置へ電力を供給可能なバッテリと、制御装置と、電力伝送路であって、前記インタフェースと前記制御装置とを前記バッテリを介さず接続する第1電力伝送路と、前記インタフェースと前記第1負荷装置とを前記バッテリを介さず接続する第2電力伝送路と、前記インタフェースと前記バッテリとを接続する第3電力伝送路と、を有する前記電力伝送路と、を備える情報処理装置の制御方法であって、
外部機器から前記インタフェースを介して第1電力量の電力の供給を受けているとき、前記インタフェース及び前記第1電力伝送路を介して供給される電力により前記制御装置を起動する第1起動工程と、
前記第1起動工程を実行した後、前記第1電力量より大きな電力量である第2電力量の電力を、前記インタフェースを介して前記外部機器へ要求する電力要求工程と、
前記電力要求工程を実行した後、前記外部機器から前記インタフェースを介して前記第2電力量の電力供給を受けることが可能であるか否かを判断する第1判断工程と、
前記第1判断工程において肯定判断する場合、前記電力要求工程の結果、前記外部機器から前記インタフェースを介して前記第2電力量の電力が供給されると、前記外部機器から前記インタフェースを介して供給された電力を、前記第2電力伝送路を介して前記第1負荷装置へ供給し、前記第1負荷装置を起動させる第2起動工程と、
前記第1判断工程において否定判断する場合、前記外部機器から前記インタフェースを介して供給される電力を、前記第3電力伝送路を介して前記バッテリへ供給する第1供給工程と、
を含む、情報処理装置の制御方法。
【請求項13】
インタフェースと、第1負荷装置と、前記第1負荷装置へ電力を供給可能なバッテリと、制御装置と、電力伝送路であって、前記インタフェースと前記制御装置とを前記バッテリを介さず接続する第1電力伝送路と、前記インタフェースと前記第1負荷装置とを前記バッテリを介さず接続する第2電力伝送路と、前記インタフェースと前記バッテリとを接続する第3電力伝送路と、を有する前記電力伝送路と、を備える情報処理装置の制御をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記コンピュータに、
外部機器から前記インタフェースを介して第1電力量の電力の供給を受けているとき、前記インタフェース及び前記第1電力伝送路を介して供給される電力により前記制御装置を起動する第1起動処理と、
前記第1起動処理を実行した後、前記第1電力量より大きな電力量である第2電力量の電力を、前記インタフェースを介して前記外部機器へ要求する電力要求処理と、
前記電力要求処理を実行した後、前記外部機器から前記インタフェースを介して前記第2電力量の電力供給を受けることが可能であるか否かを判断する第1判断処理と、
前記第1判断処理において肯定判断する場合、前記電力要求処理の結果、前記外部機器から前記インタフェースを介して前記第2電力量の電力が供給されると、前記外部機器から前記インタフェースを介して供給された電力を、前記第2電力伝送路を介して前記第1負荷装置へ供給し、前記第1負荷装置を起動させる第2起動処理と、
前記第1判断処理において否定判断する場合、前記外部機器から前記インタフェースを介して供給される電力を、前記第3電力伝送路を介して前記バッテリへ供給する第1供給処理と、
を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、インタフェースを介して電力を受電する情報処理装置、情報処理装置の制御方法、及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、USB(Universal Serial Bus)規格に準ずる接続により電力を受電する情報処理装置に係る技術が種々提案されている。例えば、特許文献1に開示されるデジタルカメラは、AC電源に接続されたプリンタに、USBケーブルで接続され、USBケーブル及びプリンタを介してAC電源から電力を受電する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-252489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したデジタルカメラのように外部機器から電力を受電する情報処理装置では、外部機器から受電した電力を、例えば、情報処理装置が備える制御装置、バッテリ、負荷装置などの各装置へ供給する。ここでいう負荷装置とは、ディスプレイなどの情報処理装置が備える電力で駆動する各種装置である。また、バッテリを備える情報処理装置では、電力ソースの外部機器や商用電源に接続されていない場合でも、内部のバッテリを駆動源として、制御装置や負荷装置を駆動することができる。
【0005】
ところで、バッテリを駆動源として制御装置や負荷装置を駆動する情報処理装置では、バッテリ残量が少ない状態で外部機器から電力を受電した場合、バッテリの充電に時間が掛かり、負荷装置の起動が遅れる可能性がある。具体的には、負荷装置を動作させるドライバ回路や負荷装置が要求する電圧を生成する変圧器などは、負荷装置を起動する際に、通常時よりも大きな電力を必要とする場合がある。負荷装置を起動するのに必要な電力を、バッテリからドライバ回路等に供給できない場合、即ち、負荷装置を起動するのに必要な電力量を供給するだけのバッテリ残量がない場合、外部機器を接続しても、バッテリを十分に充電した後でなければ負荷装置を起動できない状態となる。その結果、負荷装置の起動が遅れることが問題となる。
【0006】
本願は、上記の課題に鑑み提案されたものであって、バッテリ残量が少ない状態で電力ソースである外部機器をインタフェースに接続された場合、負荷装置を起動する時間を短縮できる情報処理装置、情報処理装置の制御方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願に係る情報処理装置は、インタフェースと、第1負荷装置と、前記第1負荷装置へ電力を供給可能なバッテリと、制御装置と、電力伝送路であって、前記インタフェースと前記制御装置とを前記バッテリを介さず接続する第1電力伝送路と、前記インタフェースと前記第1負荷装置とを前記バッテリを介さず接続する第2電力伝送路と、前記インタフェースと前記バッテリとを接続する第3電力伝送路と、を有する前記電力伝送路と、を備え、前記制御装置は、外部機器から前記インタフェースを介して第1電力量の電力の供給を受けているとき、前記インタフェース及び前記第1電力伝送路を介して供給される電力により起動する第1起動処理と、前記第1起動処理を実行した後、前記第1電力量より大きな電力量である第2電力量の電力を、前記インタフェースを介して前記外部機器へ要求する電力要求処理と、前記電力要求処理を実行した後、前記外部機器から前記インタフェースを介して前記第2電力量の電力供給を受けることが可能であるか否かを判断する第1判断処理と、前記第1判断処理において肯定判断する場合、前記電力要求処理の結果、前記外部機器から前記インタフェースを介して前記第2電力量の電力が供給されると、前記外部機器から前記インタフェースを介して供給された電力を、前記第2電力伝送路を介して前記第1負荷装置へ供給し、前記第1負荷装置を起動させる第2起動処理と、前記第1判断処理において否定判断する場合、前記外部機器から前記インタフェースを介して供給される電力を、前記第3電力伝送路を介して前記バッテリへ供給する第1供給処理と、を実行する。
また、本願に開示の内容は、情報処理装置としての実施だけでなく、情報処理装置を制御する制御方法、情報処理装置を制御するコンピュータで実行するプログラムとしても実施し得るものである。
【発明の効果】
【0008】
本願に係る情報処理装置等によれば、バッテリ残量が少ない状態で、外部機器から電力を受電した場合、まず、制御装置へ電力を供給して制御装置の起動を実行する。情報処理装置等は、制御装置を起動すると、現状の第1電力量より大きな第2電力量を、外部機器へ要求する。情報処理装置等は、第2電力量の受電に成功すると、外部機器からインタフェースを介して供給される電力により第1負荷装置を起動させる。これにより、第1負荷装置を起動するのに必要な電力を供給するだけのバッテリ残量がなく、第1電力量の電力を受電する状態ではバッテリの充電に時間が掛かる場合でも、外部機器へ電力量の増加を要求することで、バッテリの充電を待たずに第1負荷装置を早期に起動することができる。即ち、第1負荷装置の起動時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係るプリンタのブロック図である。
図2】本実施形態に係る電源部の構成を示すブロック図である。
図3】プリンタによる電力制御を説明するためのフローチャート図である。
図4】プリンタによる電力制御を説明するためのフローチャート図である。
図5】第1起動電力量、第2起動電力量、供給可能電力量を示す図である。
図6】表示装置の表示画面を示す図である。
図7】表示装置の表示画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本願の情報処理装置を具体化した一実施形態である携帯型のプリンタ10について図1を参照しつつ説明する。
【0011】
(1.携帯型のプリンタの構成)
図1は、本実施形態の携帯型のプリンタ10の電気的構成を示している。プリンタ10は、例えば、持ち運び可能な携帯型の印刷装置であり、PCやスマートフォン等との間で有線通信又は無線通信を介して受信した印刷ジョブの画像データを所定のシート(感熱紙など)に印刷する。プリンタ10は、制御装置12、RAM13、ROM14、NVRAM15、画像形成部16、USB接続部19、表示装置20、通信部24、電源部27、画像処理回路28などを備えている。これらの制御装置12等は、バス11で互いに接続されている。
【0012】
ROM14は、例えば、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリであり、制御プログラム41などの各種プログラムを記憶している。例えば、制御装置12は、CPU等の処理回路を備え、ROM14から読み出した制御プログラム41を実行して、プリンタ10のシステムを起動する。NVRAM15は、不揮発性のメモリである。NVRAM15は、画像データ45や各種の設定データを記憶する。なお、上記したデータの記憶先は一例である。例えば、制御プログラム41を、NVRAM15に記憶しても良い。また、画像データ45をRAM13に記憶しても良い。また、制御プログラム41を記憶する記憶部は、ROMに限らず、フラッシュメモリなどでも良い。また、制御プログラム41を記憶する記憶部は、コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体であってもよい。コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体としては、上記の例の他に、CD-ROM、DVD-ROM等の記録媒体を採用しても良い。
【0013】
制御プログラム41は、例えば、プリンタ10の各部を統括的に制御するファームウェアである。制御装置12は、制御プログラム41を実行し、実行した処理結果をRAM13に一時的に記憶させながら、バス11で接続された各部を制御する。画像データ45は、例えば、PCやスマートフォン等との間で有線通信又は無線通信を介して受信した印刷ジョブの画像データである。なお、以下の説明では、制御プログラム41を実行する制御装置12のことを、単に制御装置12として記載する場合がある。例えば、「制御装置12が第1切替部62を切り替える」という記載は、「制御装置12が制御プログラム41を実行し、第1切替部62を制御することで、第1切替部62を切り替える」ということを意味する場合がある。
【0014】
画像形成部16は、例えば、ライン型のサーマルヘッド47を備え、制御装置12の制御に基づいて、ダイレクトサーマル方式によりシートに画像を印刷する。画像形成部16は、サーマルヘッド47に対向して設けられたプラテンローラ48を回転させシートを搬送する。例えば、印刷を開始する際に、プリンタ10の挿入口にシートが挿入されると、挿入されたシートは、プラテンローラ48とサーマルヘッド47との対向部分に案内され、印刷完了後に排出口より排出される。
【0015】
また、USB接続部19は、例えば、USB PD(USB Power Delivery)規格に準拠した通信や電力授受を行うインタフェースである。USB接続部19は、例えば、コネクタとして3つのレセプタクル51を備える。USB接続部19は、レセプタクル51に接続された様々な外部機器との間で、データ通信や電力授受を行う。接続される外部機器は、図1に示すように、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)81である。なお、接続される外部機器としては、PC81に限らず、例えば、スマートフォン、デジタルカメラ、外付けハードディスクなど、USB規格で接続可能な様々な機器を採用できる。
【0016】
レセプタクル51は、例えば、USB Type-C規格に準拠したコネクタである。各レセプタクル51は、データ通信や電力授受を行うための複数のピンを備える。例えば、レセプタクル51は、複数のピンとして、USB Type-C規格のコネクタにおけるTXピン、RXピン、Dピン、Vbusピン、CCピンなどを備える。レセプタクル51は、例えば、TXピン、RXピン、Dピンのいずれかを用いてデータ通信を行う。また、レセプタクル51は、Vbusピンを用いて電力の供給、電力の受電を行う。
【0017】
また、CCピンは、例えば、電力ロールを決定するために用いられるピンであり、レセプタクル51に接続するプラグの表裏に対応してCC1ピン、CC2ピンを備えている。各レセプタクル51は、電力ロールとして、電力の供給源である電力ソース、又は電力の供給先である電力シンクに切り替え可能なデュアル・ロール・パワー(DRP)機能を有している。
【0018】
また、各レセプタクル51は、PC81等の外部機器を接続されると、USB規格に準じたデータ通信における通信ロールとして通信デバイスとして機能する。プリンタ10は、レセプタクル51に外部機器を接続されると、例えば、通信ホストとして機能する外部機器によりデータ通信を制御される。
【0019】
次に、電源部27の構成について説明する。図2は、電源部27の構成を示している。図2に示すように、電源部27は、バッテリ30、充電回路31、電力コントローラ33、第1レギュレータ35、第2レギュレータ36、DC/DCコンバータ37等を備えている。また、電源部27は、各装置を接続する電力伝送路29を備えている。電力伝送路29は、第1電力伝送路29A~第7電力伝送路29Gを有し、各装置へ電力を伝送する。
【0020】
バッテリ30は、プリンタ10内の各装置の電源として機能し、各装置へ電力を供給する。充電回路31は、バッテリ30に接続され、バッテリ30を充電する充電電圧V1を生成する。充電回路31は、電力伝送路29の第3電力伝送路29Cを介して電力コントローラ33に接続されている。充電回路31は、第3電力伝送路29C、電力コントローラ33及びUSB接続部19を介して外部機器に接続され、USB接続により外部機器から入力電圧V2の電力を受電する。充電回路31は、外部機器から受電した入力電圧V2の電力を変圧等して充電電圧V1の電力を生成し、生成した充電電圧V1の電力をバッテリ30へ供給する。
【0021】
また、充電回路31は、制御装置12から出力される制御信号CS1により、起動又は停止を制御可能となっている。充電回路31は、例えば、ハイレベルの制御信号CS1を入力することに基づいて動作を開始し、ローレベルの制御信号CS1を入力することに基づいて動作を停止する。これにより、制御装置12は、バッテリ30の充電の開始と停止を切り替えることができる。なお、プリンタ10は、電源部27を外部のAC電源に接続するためのACコードや、AC/DC回路などを備えても良い。この場合、電源部27は、AC電源から受電した電力によりバッテリ30を充電しても良く、制御装置12等に電力を供給しても良い。
【0022】
電力コントローラ33は、USB接続部19を介した電力の授受を制御する。また、電力コントローラ33は、USB接続部19(レセプタクル51)に接続された外部機器との間で、電力授受に係る通信を実行する。電力授受に係る通信とは、例えば、装置の電源情報(バッテリの有無など)に係る通信や、電力授受のネゴシエーションに係る通信である。ここでいうネゴシエーションとは、例えば、電力ロールの設定、授受する電力量の設定などを行う処理である。電力ロールとは、電力を供給する供給源として機能する電力ソース、又は電力ソースから電力を受電する電力シンクである。なお、図2では、電力コントローラ33が一体的な処理ブロックとして図示されているが、電力コントローラ33は、USB接続部19を介して電力を授受する処理ブロックと、USB接続部19を介して電力授受に係る通信を行う処理ブロックと、を別々に有していてもよい。
【0023】
電力コントローラ33は、例えば、USB PD規格による電力授受により、外部機器から直流の入力電圧V2を受電する。電力コントローラ33は、USB接続部19を介して受電した入力電圧V2を、充電回路31、第1レギュレータ35、第2レギュレータ36、DC/DCコンバータ37に供給可能となっている。従って、電源部27は、電力コントローラ33から第1レギュレータ35等へ直流電圧を供給可能となっている。
【0024】
電源部27は、制御装置12の制御に基づいて、電力コントローラ33から各装置へ供給する電力量を変更可能となっている。第1レギュレータ35、第2レギュレータ36、及びDC/DCコンバータ37は、電力コントローラ33から供給される入力電圧V2やバッテリ30から供給される電圧を変圧する変圧回路であり、プリンタ10の内部電源の電力を生成する。
【0025】
第1レギュレータ35は、入力側にスイッチ61を接続され、出力側に制御装置12が接続されている。スイッチ61は、電力伝送路29の第1電力伝送路29Aを介して電力コントローラ33に接続されている。また、スイッチ61は、第4電力伝送路29Dを介してバッテリ30に接続されている。スイッチ61は、第4電力伝送路29Dを介したバッテリ30と第1レギュレータ35の接続と、第1電力伝送路29Aを介した電力コントローラ33と第1レギュレータ35の接続を切り替え可能となっている。第1レギュレータ35は、例えば、リニアレギュレータであり、バッテリ30又は電力コントローラ33から受電した電圧を変圧して出力電圧V3を生成し、制御装置12へ出力電圧V3を出力する。出力電圧V3の電圧値は、例えば、3.3Vである。
【0026】
スイッチ61は、例えば、電磁開閉スイッチであり、所定電圧値以上の電力をバッテリ30から供給される状態では、第1レギュレータ35にバッテリ30(第4電力伝送路29D)を接続する。また、スイッチ61は、バッテリ30から所定電圧値以上の電力を供給されない状態では、第1レギュレータ35に電力コントローラ33(第1電力伝送路29A)を接続する。ここでいう所定電圧値とは、例えば、電磁開閉スイッチのオンオフを切り替える定格の電圧値である。
【0027】
スイッチ61は、例えば、バッテリ30のバッテリ残量が少なくなり、バッテリ30から所定電圧値以上の電力を供給されなくなると、電力コントローラ33と第1レギュレータ35とを自動で接続する。従って、スイッチ61は、バッテリ30のバッテリ残量が空の状態では、電力コントローラ33と第1レギュレータ35とを接続する。また、スイッチ61は、バッテリ30が充電されバッテリ残量が多くなり、バッテリ30から所定電圧値以上の電力を受電すると、バッテリ30と第1レギュレータ35とを接続する。なお、スイッチ61は、所定電圧値を基準として接続を切り替える構成に限らず、バッテリ30から電力を受電できない場合、即ち、バッテリ30のバッテリ残量が空の場合のみ、電力コントローラ33と第1レギュレータ35を接続する構成でも良い。
【0028】
第1レギュレータ35は、例えば、所望のレンジ内の電圧値(定格の電圧値)の電力を入力したことを検出すると自動的に起動し、出力電圧V3の生成を開始して、制御装置12へ出力電圧V3を供給する。一方で、第2レギュレータ36及びDC/DCコンバータ37は、制御装置12から入力する制御信号CS2に基づいて、起動又は停止を変更可能となっている。従って、制御装置12は、第2レギュレータ36及びDC/DCコンバータ37による変圧動作の開始と停止を切り替え可能となっている。なお、第1レギュレータ35は、制御装置12により動作の開始及び停止を制御可能な構成でも良い。
【0029】
第2レギュレータ36は、入力側に第1切替部62を接続され、出力側に表示装置20を接続されている。第1切替部62は、電力伝送路29の第2電力伝送路29Bを介して電力コントローラ33に接続されている。また、第1切替部62は、第5電力伝送路29Eを介してバッテリ30に接続されている。第1切替部62は、第5電力伝送路29Eを介したバッテリ30と第2レギュレータ36の接続と、第2電力伝送路29Bを介した電力コントローラ33と第2レギュレータ36の接続を切り替え可能となっている。第1切替部62は、制御装置12から入力した制御信号CS3に基づいて、第2レギュレータ36の接続を切り替える。第2レギュレータ36は、バッテリ30又は電力コントローラ33から受電した電圧を変圧し、表示装置20を駆動するのに必要な出力電圧V4を生成する。第2レギュレータ36は、変圧した出力電圧V4を表示装置20へ供給する。
【0030】
また、DC/DCコンバータ37は、入力側に第2切替部63を接続され、画像形成部16、通信部24、画像処理回路28などの表示装置20(第1負荷装置の一例)以外の負荷装置(第2負荷装置の一例)が出力側に接続されている。ここでいう表示装置20以外の負荷装置とは、図1に示す装置に限らず、図1に図示していない装置、例えば、マイコン、各種のセンサ、サーマルヘッド47やプラテンローラ48を駆動するモータ等を含んでも良い。
【0031】
第2切替部63は、電力伝送路29の第6電力伝送路29Fを介して電力コントローラ33に接続されている。また、第2切替部63は、第7電力伝送路29Gを介してバッテリ30に接続されている。第2切替部63は、第7電力伝送路29Gを介したバッテリ30とDC/DCコンバータ37の接続と、第6電力伝送路29Fを介した電力コントローラ33とDC/DCコンバータ37の接続を切り替え可能となっている。第2切替部63は、制御装置12から入力する制御信号CS3に基づいて、DC/DCコンバータ37の接続を切り替える。DC/DCコンバータ37は、バッテリ30又は電力コントローラ33から受電した電圧を変圧し、画像形成部16等を駆動するのに必要な出力電圧V5を生成する。DC/DCコンバータ37は、生成した出力電圧V5を画像形成部16等へ供給する。
【0032】
なお、図2に示す電源部27の構成は、一例である。例えば、電源部27は、3つのリニアレギュレータを備えても良く、3つのDC/DCコンバータを備えても良い。また、電源部27は、表示装置20や画像形成部16に出力電圧を供給する変圧回路として1つの変圧回路を備える構成でも良く、表示装置20、画像形成部16、画像処理回路28などの各々に出力電圧を供給する3つ以上の変圧回路を備えても良い。
【0033】
また、電力伝送路29の接続を切り替える装置は、第1切替部62及び第2切替部63のような切替装置に限らない。例えば、第2レギュレータ36は、第1スイッチを介して第2電力伝送路29Bと接続され、第2スイッチを介して第5電力伝送路29Eと接続される構成でも良い。そして、制御装置12は、第1及び第2スイッチのオン/オフを切り替えることで、第2レギュレータ36に対する第2電力伝送路29B等の接続を切り替えても良い。
【0034】
また、制御装置12は、通信処理部12A、タイマー回路12Bなどの複数の処理部を備えている。通信処理部12A、タイマー回路12Bを含む複数の処理部は、例えば、制御装置12のCPUで制御プログラム41を実行することで実現される処理モジュールである。なお、通信処理部12A等の処理を実現する方法は、ソフトウェア処理による実現方法に限らず、例えば、ハードウェア処理によって実現する方法でも良い。また、通信処理部12A等の処理を、ソフトウェア処理とハードウェア処理とを併用して実現しても良い。
【0035】
通信処理部12Aは、電力コントローラ33を制御して外部機器との間でUSB PDに係わるネゴシエーション等を実行する処理回路である。後述するように、本実施形態のプリンタ10は、USB接続部19に外部機器を接続された初期段階では、通信ロールにおける通信デバイスとして機能し、外部機器から第1電力量W1の電力を受電する。ここでいう第1電力量W1とは、例えば、USB PD規格によるネゴシエーションを実行する前の電力量であり、2.5W(5V、0.5A)の電力量である。後述するように、プリンタ10は、バッテリ残量が空などの状態では、制御装置12の処理部のうち、通信処理部12Aのみを起動する。
【0036】
また、タイマー回路12Bは、通信処理部12Aによるネゴシエーションを定期的に実行する際に、実行する時間間隔をカウントするための回路である。通信処理部12Aは、タイマー回路12Bでカウントされるカウント値が所定の値となるまで、次のネゴシエーションの開始を待機する。
【0037】
また、表示装置20は、例えば、タッチパネルであり、液晶パネル、液晶パネルの背面側から光を照射するLED等の光源、液晶パネルの表面に貼り合わされた接触感知膜等を備えている。表示装置20は、プリンタ10に対する操作を受け付け、操作入力に応じた信号を制御装置12へ出力する。また、表示装置20は、プリンタ10に係わる情報の表示を行う。表示装置20は、制御装置12の制御に基づいて液晶パネルの表示内容を変更する。
【0038】
なお、本願の表示装置は、タッチパネルに限らない。例えば、表示装置は、表示機能のみを有する液晶画面でも良い。また、本願の第1負荷装置は、表示機能を有する装置に限らず、操作入力を受け付けるスイッチ、プリンタ10の状態を示すランプ、スピーカなど、ユーザとの間で情報の提供及び受け付けのうち、少なくとも一方を行なうことができる様々なユーザインタフェースを採用できる。
【0039】
また、図1に示す通信部24は、有線通信や無線通信が可能となっている。制御装置12は、通信部24を制御し、有線通信や無線通信を介して印刷ジョブ(画像データ45など)を受信する。なお、制御装置12は、USB接続部19のデータ通信により印刷ジョブを受信しても良い。制御装置12は、受信した印刷ジョブに基づいて画像形成部16による印刷を実行する。画像処理回路28は、受信した印刷ジョブに係る画像データの加工処理や展開処理等をするための回路である。
【0040】
(2.電力制御)
次に、本実施形態のプリンタ10による電力制御について、図3及び図4を参照しつつ、説明する。図3及び図4は、プリンタ10に対して外部機器を接続されてから、制御装置12によってプリンタ10のシステムの全部又は一部を起動するまでの流れを示している。なお、図3及び図4に示すフローチャートは、説明の便宜上、制御装置12(通信処理部12A)による処理だけでなく、プリンタ10に対して行なわれたユーザ動作やプリンタ10のハードウェア処理を含んでいる。より具体的には、図3に示すステップ(以下、単にSと略記する)11はユーザ動作であり、S13、S15は、プリンタ10のハードウェア処理を示している。
【0041】
なお、以下の説明では、外部機器としてPC81を接続した場合について説明する。また、バッテリ30のバッテリ残量が、全くない空の状態である場合について説明する。従って、バッテリ30は、第1レギュレータ35、第2レギュレータ36、DC/DCコンバータ37、制御装置12、表示装置20、画像形成部16等を起動するのに必要な電力を供給できない状態となっている。
【0042】
また、S17以降のソフトウェア処理は、基本的に、制御プログラム41に記述された命令に従った制御装置12の通信処理部12Aの処理を示す。即ち、以下の説明における「判断」、「切り替え」、「表示」等の処理は、通信処理部12Aの処理を表している。通信処理部12Aによる処理は、ハードウェア制御も含む。また、図3及び図4のS17以降に示す処理を、通信処理部12A以外の装置が実行しても良い。例えば、電力コントローラ33が、実行しても良い。
【0043】
まず、図3のS11において、バッテリ残量が空の状態のプリンタ10にPC81が接続される。プリンタ10は、通信ロールとして通信デバイスとして動作し、通信ホストであるPC81から第1電力量W1(例えば、2.5W)の電力を受電する(S13)。バッテリ残量が空であるため、スイッチ61は、バッテリ30から電力を供給されない状態となり、第1レギュレータ35を電力コントローラ33(第1電力伝送路29A)に接続する(S15)。
【0044】
第1レギュレータ35は、USB接続部19、電力コントローラ33、第1電力伝送路29A、スイッチ61を介してPC81から第1電力量W1の電力を受電し起動する(S15)。第1レギュレータ35は、出力電圧V3の生成を開始し、出力電圧V3を制御装置12へ供給する。従って、本実施形態の第1レギュレータ35は、2.5WなどのUSB接続で授受される最低電力で起動可能な変圧回路である。
【0045】
制御装置12は、第1レギュレータ35から出力電圧V3を受電すると、CPUで制御プログラム41を実行し、複数の処理部のうち、通信処理部12Aのみを起動する(S17)。従って、通信処理部12Aは、2.5W(5Vの入力電圧V2)から生成できる3.3Vの出力電圧V3により起動可能な処理ブロックである。なお、通信処理部12Aを起動するのに必要な電圧は、通常時に制御装置12へ供給する電圧(例えば、3.3V)より低い電圧でも良い。即ち、第1レギュレータ35は、S17では通常時よりも低い電圧を制御装置12へ供給し、通信処理部12Aを起動しても良い。また、制御装置12は、S17において、通信処理部12A以外の処理部も起動しても良い。
【0046】
次に、通信処理部12Aは、S17で開始した起動処理を完了させると、電力コントローラ33を制御して、PC81との間でネゴシエーションを実行する(S19)。電力コントローラ33は、USB PD規格に準じた方式により通信を行ない、PC81を接続されたレセプタクル51を電力ロールの電力シンクとして機能させる。
【0047】
ここで、例えば、USB PD規格に準じた方式では、2.5W(5V、0.5A)~100W(20V、5A)までの電力量の範囲で、電力ソースから電力を受電できる。通信処理部12Aは、例えば、PC81との間で電力授受に係わるネゴシエーションを開始し、上記した電力量の範囲内で、且つ供給可能な電圧値及び電流値の組み合わせの電力リストを含む情報(電力プロファイル情報)をPC81から受信する(S19)。通信処理部12Aは、受信した電力リストから要求する電圧値及び電流値の組み合わせ(以下、「電力の組み合わせ」という場合がある)を決定し、決定した電力の組み合わせを要求する電力要求(リクエスト情報)をPC81へ送信する。通信処理部12Aは、例えば、PC81から了承する通知(アクセプト情報)を受信するとネゴシエーションに成功したと判断し、所望の電力を、Vbusピンを介してPC81から受電する。また、通信処理部12Aは、例えば、PC81から拒否する通知(リジェクト情報)を受信するとネゴシエーションに失敗したと判断し、2.5Wの電力を受電する。
【0048】
本実施形態の通信処理部12Aは、例えば、第1起動電力量SW1と、第2起動電力量SW2を基準に、電力リストを参照して要求する電圧値及び電流値を決定する。ここでいう第1起動電力量SW1は、プリンタ10が備える全ての負荷装置を起動するのに必要な電力量である。全ての負荷装置とは、表示装置20やDC/DCコンバータ37に接続された画像形成部16等である。本実施形態では、第1起動電力量SW1は、例えば、バッテリ30の充電に必要な電力量、制御装置12を起動するのに必要な電力量、全ての負荷装置(表示装置20など)を起動するのに必要な電力量、制御装置12や負荷装置へ電力を供給する変圧回路(第2レギュレータ36など)を起動させるのに必要な電力量を合計した電力量である。制御装置12を起動するのに必要な電力量とは、通信処理部12Aを含む全ての処理部を起動するのに必要な電力量である。従って、第1起動電力量SW1は、バッテリ30を充電しつつ、プリンタ10のシステムを起動するのに必要な電力量である。
【0049】
また、第2起動電力量SW2とは、第1起動電力量SW1より少ない電力量であり。例えば、複数の負荷装置のうち、優先度の高い一部の負荷装置のみを起動するのに必要な電力量である。本実施形態の第2起動電力量SW2は、表示装置20を起動するのに必要な電力量である。
【0050】
図5は、第1起動電力量SW1と、第2起動電力量SW2と、PC81が供給可能な供給可能電力(電力の組み合わせ)の一例を示している。図5に示すように、第1起動電力量SW1は、例えば、25Wである。第2起動電力量SW2は、5Wである。また、PC81は、5W、7.5W、25W、35Wの各電力量を供給可能である。この供給可能電力量は、PC81が電力不足となっていない状態で供給できる電力量である。このため、電源状態に応じて、PC81は、供給を拒否する、又は供給する電力量を減らす。従って、PC81は、S19で電力リストを要求されると、その時点で供給可能な電力の組み合わせを送信する。
【0051】
通信処理部12Aは、S19を実行した後、第2起動電力量SW2以上の第2電力量W2の電力供給を受けることが可能であるか否かを判断する(S21)。ここでいう第2電力量W2とは、S19で電力要求する電力量であり、要求を了承され(ネゴシエーションに成功し)た後に受電する電力量である。通信処理部12Aは、例えば、S19において電力リストの中から第2起動電力量SW2以上となる第2電力量W2を要求する電力要求(リクエスト情報)を送信する。通信処理部12Aは、要求した結果、PC81から拒否通知を受信すると、S21において否定判断し(S21:NO)、S23を実行する。なお、S21における判断基準は、上記した拒否通知に限らない。例えば、通信処理部12Aは、PC81から受信した電力リストの中に、第2起動電力量SW2以上となる第2電力量W2の電力の組み合わせがあるか否かを判断しても良い(S21)。通信処理部12Aは、電力リストの中に、第2起動電力量SW2以上となる第2電力量W2の電力の組み合わせがない場合、S21において否定判断しても良い。
【0052】
S23を実行する場合、プリンタ10は、例えば、PC81から2.5Wの電力を受電する状態を維持する。S23において、通信処理部12Aは、充電回路31を起動させる。充電回路31は、第1電力量W1の電力に基づいて充電電圧V1を生成し、バッテリ30の充電を行なう。この場合、PC81から受電する電力量の増大に失敗したため、通信処理部12Aは、消費電力を減らす制御を実行しても良い。例えば、通信処理部12Aは、制御装置12のモードを、CPU等の消費電力を少なくするモードに切り替えても良い。具体的には、通信処理部12Aは、制御装置12が有する処理部のうち、起動していない処理部へ供給するクロック信号を停止し、消費電力を抑制しても良い。
【0053】
通信処理部12Aは、S23を実行すると、図3及び図4に示す処理を終了する。プリンタ10は、2.5Wの第1電力量W1によりバッテリ30を充電し、バッテリ30を十分に充電した後、表示装置20などの起動を行なう。なお、通信処理部12Aは、PC81以外の新たな外部機器の接続を検出した場合、その外部機器に対して、S19以降の処理を実行し、第2起動電力量SW2の電力を外部機器へ要求しても良い。
【0054】
一方で、通信処理部12Aは、S19においてPC81から受信した電力リストの中に、第2起動電力量SW2以上の第2電力量W2の電力の組み合わせがあった場合、その組み合わせの第2電力量W2を要求する。通信処理部12Aは、要求した第2電力量W2を受電できた場合、S21において肯定判断する(S21:YES)。上記したように、本実施形態の第2起動電力量SW2は、表示装置20を起動するのに必要な電力量である。このため、通信処理部12Aは、第1切替部62を制御して、電力コントローラ33と第2レギュレータ36を接続する(S25)。
【0055】
通信処理部12Aは、S25を実行した後、第2レギュレータ36を起動する(S27)。第2レギュレータ36は、起動すると、PC81から電力を受電し、出力電圧V4を生成する。表示装置20は、第2レギュレータ36から出力電圧V4を受電し起動する。通信処理部12Aは、表示装置20の起動を検出すると、表示装置20に要求電力等の表示を行なう処理を実行する(S29)。これにより、バッテリ残量が少ない状態でも、PC81の供給電力量の増大を実行することで、表示装置20の表示を早期に実行できる。
【0056】
図6は、表示装置20の表示画面の一例を示している。図6に示すように、通信処理部12Aは、要求電力量、供給可能電力量、受電状態情報を、表示装置20の表示画面65に表示する。ここいう要求電力量とは、PC81へ要求する電力量(例えば、第2電力量W2)である。要求する電力量とは、実際に要求できる電力量だけでなく、要求する予定の電力量を含む。具体的には、本実施形態であれば、第1起動電力量SW1と第2起動電力量SW2である。
【0057】
また、供給可能電力量は、PC81が供給可能な最大の電力量である。図6に示す例では、PC81の供給可能電力量が、7.5Wとなっている。この場合、PC81は、最大で7.5Wまでの電力を供給できる電源状態にある。このため、通信処理部12Aは、5Wの第2起動電力量SW2を受電することは可能であるが、25Wの第1起動電力量SW1を受電することはできない。図6の黒い三角で示すように、通信処理部12Aは、現在の受電している電力量が5Wであること表示する。また、図6に破線で示すように、通信処理部12Aは、受電できない25Wの表示欄をグレーアウト表示する。また、後述するように、通信処理部12Aは、25Wの第2電力量W2を受電可能であると判断すると、表示装置20の表示を更新し、25Wの表示欄のグレーアウトを止める(図7参照)。
【0058】
また、受電状態情報は、各要求電力量を受電した場合のプリンタ10の状態を示す情報である。具体的には、図6に示すように、通信処理部12Aは、受電状態情報として、各要求電力を受電した場合に、バッテリ30を満受電するまでに必要な充電時間を表示する。図6に示す例では、バッテリ残量が空の状態で第2起動電力量SW2(5W)を受電すると、満充電まで60分必要となっている。また、バッテリ残量が空の状態で第1起動電力量SW1(25W)を受電した場合、充電時間が30分に短縮される。また、受電状態情報は、上記した充電時間の情報に限らない。図6に示すように、通信処理部12Aは、例えば、第1起動電力量SW1(25W)を受電した場合、プリンタ10のシステムを起動できる内容を受電状態情報として表示しても良い。また、表示画面65の下端に示すように、通信処理部12Aは、バッテリ残量と、受電電力量が少ないため、システムを起動できないことを示す情報を、受電状態情報として表示しても良い。
【0059】
通信処理部12Aは、S29を実行すると、充電回路31を起動させ、バッテリ30の充電を開始する(S31)。次に、図4のS33に示すように、通信処理部12Aは、PC81との間で再度ネゴシエーションを実行し、電力リストを要求する(S33)。通信処理部12Aは、受信した電力リストの中から、第1起動電力量SW1以上の第2電力量W2を受電可能な電力の組み合わせがあるか否かを判断する(S35)。通信処理部12Aは、第1起動電力量SW1以上の第2電力量W2を受電可能な電力の組み合わせが電力リストにない場合や、電力の組み合わせがあっても電力要求を拒否された場合、S35で否定判断し、S37を実行する。
【0060】
S37において、通信処理部12Aは、タイマー回路12Bを起動し、タイマー回路12Bでカウントされるカウント値が所定の値となるまで、即ち、所定時間だけ、次の処理を待機する。通信処理部12Aは、S37で待機処理を実行した後、S33からの処理を再度実行する。このため、通信処理部12Aは、S37で所定時間だけ待機するごとに、電力リストの取得と(S33)と、取得した電力リストに基づく判断処理(S35)とを繰り返し実行する。
【0061】
ここで、通信処理部12Aは、上記したS29で、図6に示す表示を表示装置20に行なうことで、PC81の供給可能電力量を25W以上まで増やせば、バッテリ30の充電時間を短縮でき、且つシステムが起動できることをユーザに認識させることができる。その結果、ユーザは、例えば、表示装置20の表示が変更されるまで(25Wの表示欄のグレーアウト表示がなくなるまで)、PC81に接続されている他のUSB機器(電力シンク)を取り外して供給可能電力量を増やす作業を行なう。あるいは、ユーザは、例えば、PC81にモバイルバッテリを接続して供給可能電力量を増やす作業を行なう。また、供給可能電力量は、例えば、PC81の処理負荷の低下など、ユーザによる作業以外の要因によって増加する可能性もある。
【0062】
従って、S37で待機する所定時間は、通信処理部12Aが、S33,S35を繰り返し実行することで、上記したユーザによる作業や他の要因によってPC81の電源状態が変化したことを適切に検出できる時間間隔である。例えば、S37の所定時間は、数秒から数十秒である。
【0063】
一方で、通信処理部12Aは、S33で受信した電力リストの中に、第1起動電力量SW1以上の第2電力量W2を受電可能な電力の組み合わせがあった場合、その組み合わせの第2電力量W2を要求する。即ち、通信処理部12Aは、供給電力量(第2電力量W2)の増大をPC81へ要求する。通信処理部12Aは、要求した第2電力量W2を受電できた場合、S35において肯定判断し(S35:YES)、表示装置20の表示を更新する(S39)。
【0064】
図7に示すように、通信処理部12Aは、25Wの表示欄のグレーアウトを停止し、黒い三角のマークを25Wの表示欄に移動させる。通信処理部12Aは、充電時間の短縮が図れることや、システムを起動できることを示す内容(受電状態情報の一例)を表示画面65に表示する。また、通信処理部12Aは、OKキー65Aと、キャンセルキー65Bを表示画面65に表示する。
【0065】
次に、通信処理部12Aは、S41において、表示画面65のOKキー65Aをタッチ操作されたか否かを判断する。通信処理部12Aは、OKキー65Aのタッチ操作を検出すると(S41:YES)、第2切替部63を制御し、電力コントローラ33とDC/DCコンバータ37を接続する(S43)。
【0066】
次に、通信処理部12Aは、DC/DCコンバータ37を起動する(S45)。DC/DCコンバータ37は、PC81から電力を受電し、出力電圧V5を画像形成部16などに供給する。これにより、表示装置20以外の負荷装置が起動する。制御装置12は、通信処理部12A以外の処理部を全て起動する(S47)。制御装置12は、全ての処理部を起動しつつ、画像形成部16の初期設定などを実行し、プリンタ10のシステムを起動する(S47)。制御装置12は、表示装置20に起動画面や起動後の初期画面を表示する。これにより、バッテリ残量が少ない状態でも、PC81の供給電力量の増大を実行することで、システムを早期に起動することができる。
【0067】
一方で、通信処理部12Aは、S41において、表示画面65のキャンセルキー65Bのタッチ操作を検出すると否定判断し(S41:NO)、電力量の維持や再度の確認処理などを実行する(S49)。通信処理部12Aは、例えば、S23と同様に、制御装置12の消費電力を減らしながら、5Wの第2電力量W2によりバッテリ30の充電を継続する。通信処理部12Aは、バッテリ残量に応じて、DC/DCコンバータ37や画像形成部16を起動し、システムを起動する(S49)。また、通信処理部12Aは、図7に示す表示内容を表示画面65に再度表示して、ユーザの意思を再度確認しても良い。
【0068】
因みに、プリンタ10は、情報処理装置の一例である。通信処理部12Aは、処理部の一例である。USB接続部19は、インタフェースの一例である。表示装置20は、第1負荷装置の一例である。PC81は、外部機器の一例である。画像形成部16、通信部24、画像処理回路28等は、第2負荷装置の一例である。スイッチ61は、スイッチ装置の一例である。
【0069】
(3.効果)
以上、上記した実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)本実施形態のプリンタ10の制御装置12は、電力伝送路29を備える。電力伝送路29は、USB接続部19と制御装置12とをバッテリ30を介さず接続する第1電力伝送路29Aと、USB接続部19と表示装置20とをバッテリ30を介さず接続する第2電力伝送路29Bと、USB接続部19とバッテリ30とを接続する第3電力伝送路29Cと、を有する。制御装置12(通信処理部12A)は、PC81からUSB接続部19を介して第1電力量W1の電力の供給を受けているとき、USB接続部19及び第1電力伝送路29Aを介して供給される電力により起動するS17の処理(第1起動処理の一例)と、S17の処理を実行した後、第1電力量W1より大きな電力量である第2電力量W2の電力を、USB接続部19を介してPC81へ要求するS19の処理(電力要求処理の一例)と、S19の処理を実行した後、PC81からUSB接続部19を介して第2電力量W2の電力供給を受けることが可能であるか否かを判断するS21の処理(第1判断処理の一例)を実行する。制御装置12は、S21の処理において肯定判断する場合(S21:YES)、S19の処理の結果、PC81からUSB接続部19を介して第2電力量W2の電力が供給されると、PC81からUSB接続部19を介して供給された電力を、第2電力伝送路29Bを介して表示装置20へ供給し、表示装置20を起動させるS29の処理(第2起動処理の一例)を実行する。また、制御装置12は、S21の処理において否定判断する場合(S21:NO)、PC81からUSB接続部19を介して供給される電力を、第3電力伝送路29Cを介してバッテリ30へ供給するS23の処理(第1供給処理の一例)を実行する。
【0070】
これによれば、プリンタ10は、バッテリ残量が少ない状態で、PC81から電力を受電した場合、まず、制御装置12へ電力を供給して制御装置12(通信処理部12A)の起動を実行する。制御装置12は、起動すると、現状の第1電力量W1より大きな第2電力量W2を、PC81へ要求する。制御装置12は、第2電力量W2の受電に失敗すると、PC81からUSB接続部19を介して供給される電力によりバッテリ30を充電する。そして、制御装置12は、第2電力量W2の受電に成功すると、PC81からUSB接続部19を介して供給される電力により表示装置20を起動させる。これにより、表示装置20を起動するのに必要な電力を供給するだけのバッテリ残量がなく、第1電力量W1の電力を受電する状態ではバッテリ30の充電に時間が掛かる場合でも、PC81へ電力量の増加を要求することで、バッテリ30の充電を待たずに表示装置20を早期に起動することができる。例えば、表示装置20の起動が遅れると、ユーザは、PC81を接続してもプリンタ10の状態に変化がないため、バッテリ30の充電を実行しているのか、故障により充電すら出来ていないのか分からなくなってしまう。これに対し、本実施形態のプリンタ10では、バッテリ30が空の状態でも表示装置20の起動を優先する。プリンタ10は、PC81を接続されるとネゴシエーションを実行して早期に表示装置20を起動する。これにより、表示装置20の表示を行なうことで、PC81から正常に電力が供給されていることを、ユーザに認識させることができる。
【0071】
(2)また、プリンタ10は、画像処理回路28や画像形成部16(第2負荷装置の一例)をさらに備る。制御装置12は、第2電力量W2が、表示装置20や画像形成部16等の全てを起動するのに必要な第1起動電力量SW1以上であるか否かを判断するS35の処理(第1電力量判断処理の一例)を実行する。制御装置12は、S35の処理により、第2電力量W2が第1起動電力量SW1以上であると判断した場合(S35:YES)、表示装置20と画像形成部16等の全てを起動させる(S47)。
【0072】
これによれば、制御装置12は、画像形成部16等を含む全ての負荷装置を起動可能な第1起動電力量SW1以上の電力を受電可能である場合、受電した電力により全ての負荷装置を起動させる。これにより、全ての負荷装置を早期に起動させることができる。
【0073】
(3)また、制御装置12は、第2電力量W2が、表示装置20や画像形成部16等を起動するのに必要な第1起動電力量SW1より少ない第2起動電力量SW2以上であるか否かを判断するS21の処理(第2電力量判断処理の一例)を実行する。制御装置12は、S21の処理により、第2電力量W2が第2起動電力量SW2以上であると判断した場合(S21:YES)、表示装置20を起動させる(S29)。
【0074】
これによれば、制御装置12は、全ての負荷装置を起動するのに必要な第1起動電力量SW1の電力を受電できない場合、表示装置20を優先的に起動する。これにより、第2電力量W2が第1起動電力量SW1より少ない場合に、表示装置20を、画像形成部16等の他の負荷装置に比べて早期に起動できる。
【0075】
(4)また、プリンタ10は、第1負荷装置の一例として、表示装置20を備える。これによれば、表示装置20を優先的に起動させ、表示装置20の表示状態の変化をユーザに認識させ、PC81からプリンタ10へ電力が供給されていることを、ユーザに早期に認識させることができる。
【0076】
(5)また、プリンタ10は、第2負荷装置の一例として、画像データ45に基づいた画像処理を行なう画像形成部16や画像処理回路28(画像処理部の一例)を備える。これによれば、画像処理を行なう画像形成部16等の優先度を表示装置20に比べて下げ、表示装置20を優先的に起動できる。
【0077】
(6)また、制御装置12は、表示装置20を起動させた場合、PC81へ要求する要求電力量、PC81が供給可能な最大の電力量である供給可能電力量、要求電力量を受電した場合のプリンタ10の状態を示す受電状態情報を表示装置20に表示させる(S29、図6)。
【0078】
これによれば、、要求電力量等を表示装置20に表示させることで、電力授受の状態や、その電力授受によってプリンタ10がどのような状態になるのかを、ユーザに認識させることができる。これにより、ユーザは、表示装置20の表示内容を確認することで適切な対応を実行することができる。例えば、要求電力量を増大させることで、バッテリ30の充電時間を短くすることができる。また、例えば、供給可能電力量を確認しながらPC81に接続された他の電子機器(電力シンク)を取り外すことで、供給可能電力量を所望の電力量まで増大させることができる。
【0079】
(7)また、電力伝送路29は、制御装置12とバッテリ30とを接続する第4電力伝送路29Dを有する。プリンタ10は、第1電力伝送路29Aと制御装置12との接続と、第4電力伝送路29Dと制御装置12との接続を切り替えるスイッチ61を備える。スイッチ61は、バッテリ30から電力が供給される場合、第4電力伝送路29Dを制御装置12に接続し、バッテリ30から電力が供給されない場合、第1電力伝送路29Aを制御装置12に接続する電磁開閉スイッチである。
【0080】
これによれば、電磁開閉スイッチであるスイッチ61は、バッテリ30から電力を供給されている間、バッテリ30を制御装置12に接続する。また、スイッチ61は、バッテリ30から電力を供給されなくなると、USB接続部19を制御装置12に接続する。これにより、バッテリ残量が少ない状態でプリンタ10にPC81が接続された場合、PC81から供給された電力を、自動的に制御装置12へ供給することができる。
【0081】
(8)また、制御装置12は、電力要求を実行する通信処理部12Aを有する。制御装置12は、S17の処理において、通信処理部12Aを他の処理部に優先して起動する。これによれば、制御装置12は、第1電力量W1の電力を受電する状態では、全ての処理部を起動せずに、通信処理部12Aを優先的に起動する。通信処理部12Aは、起動することで、PC81へ電力要求を実行する。これにより、必要な通信処理部12Aだけを起動することで、制御装置12で消費する電力量を減らすことができる。
【0082】
(9)また、本願のインタフェースとして、USB(Universal Serial Bus)規格に準ずる接続により電力授受及び通信を行うUSB接続部19を採用できる。USB PD規格などに準じた電力授受が可能なインタフェースを備えるプリンタ10では、USB接続により接続されたPC81との間で、受電する電力量のネゴシエーションを実行することができる。制御装置12は、ネゴシエーションにより電力量を第1電力量W1から第2電力量W2へ増やすことを要求できる。このため、USB規格のインタフェースを備えるプリンタ10において、第2電力量W2を要求し表示装置20を早期に起動させることは極めて有効である。
【0083】
(10)また、USB接続部19は、PC81に対してUSB規格の通信ロールにおける通信デバイスとして接続される。これによれば、USB接続部19は、制御装置12と接続された場合、USB規格の通信デバイスとして機能し、所定の電力(2.5Wなど)の電力を通信ホストの制御装置12から受電する。これにより、通信デバイスとして機能し所定電力を受電することで、受電した電力により制御装置12を起動することができる。
【0084】
(4.変形例)
尚、本願は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内での種々の改良、変更が可能であることは言うまでもない。
例えば、図3及び図4に示すフローチャートの内容、処理の順番は、一例である。例えば、制御装置12(通信処理部12A)は、S21において、第2起動電力量SW2を確認し、表示装置20を起動した後(S29)、第1起動電力量SW1の確認を実行した(S35)。しかしながら、通信処理部12Aは、先に第1起動電力量SW1の確認を実行し、第1起動電力量SW1以上の電力を受電できる場合、表示装置20や画像形成部16を全て起動しても良い。この場合、制御装置12は、第1起動電力量SW1以上の電力量を受電できない場合、S21、S25以降の処理を実行しても良い。
【0085】
また、制御装置12(通信処理部12A)は、要求電力量、供給可能電力量、受電状態情報の全てを表示装置20へ表示したが、少なくとも1つの情報のみを表示装置20へ表示しても良い。
また、本願におけるインタフェースの通信規格は、USB PD規格に限らず、電力の授受が可能な他の通信規格でもよい。
また、電力コントローラ33の少なくとも一部は、USB PD規格に準拠して電力の授受を制御する機能を有するコントローラ、所謂、PDコントローラであっても良い。
【0086】
また、上記実施形態では、本願の制御装置12の少なくとも一部を、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの専用のハードウェアで構成してもよい。また、制御装置12は、例えばソフトウェアによる処理と、ハードウェアによる処理とを併用して動作する構成でもよい。
また、上記実施形態では、本願の情報処理装置として携帯型のプリンタ10を採用したが、これに限らない。例えば、情報処理装置は、携帯型のスキャナ装置や、ファックス装置でも良い。また、例えば、本願の内容をスキャナ装置に適用する場合、本願の第2負荷装置として、CIS(Contact Image Sensor)やCCD(Charge Coupled Device)等の撮像装置を含むスキャンエンジンを採用できる。あるいは、情報処理装置としては、スマートフォン、デジタルカメラなど、バッテリ30を備える様々な電子機器を採用できる。
【符号の説明】
【0087】
10 プリンタ(情報処理装置)、12 制御装置、12A 通信処理部(制御装置、処理部)、16 画像形成部(第2負荷装置、画像処理部)、19 USB接続部(インタフェース)、20 表示装置(第1負荷装置)、24 通信部(第2負荷装置)、28 画像処理回路(第2負荷装置、画像処理部)、29 電力伝送路、29A 第1電力伝送路、29B 第2電力伝送路、29C 第3電力伝送路、29D 第4電力伝送路、30 バッテリ、45 画像データ、61 スイッチ(スイッチ装置)、81 PC(外部機器)、W1 第1電力量、W2 第2電力量、SW1 第1起動電力量、SW2 第2起動電力量。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7