(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】冷凍サイクル試験装置
(51)【国際特許分類】
F25B 49/02 20060101AFI20230829BHJP
【FI】
F25B49/02 A
(21)【出願番号】P 2019090690
(22)【出願日】2019-05-13
【審査請求日】2022-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142642
【氏名又は名称】小澤 次郎
(72)【発明者】
【氏名】小名 功一
【審査官】森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0098072(US,A1)
【文献】特開2007-303807(JP,A)
【文献】特開2009-156531(JP,A)
【文献】特開平02-203176(JP,A)
【文献】特開平08-121914(JP,A)
【文献】国際公開第2017/175299(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 49/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍サイクル回路の冷媒不足の状態を模擬する冷凍サイクル試験装置であって、
冷媒を圧縮する圧縮機と、
前記圧縮機から吐出された冷媒と第一熱媒体との間で熱交換を行う第一熱交換器と、
前記第一熱交換器を通過した冷媒を減圧する減圧装置と、
前記減圧装置を通過した冷媒と第二熱媒体との間で熱交換を行う第二熱交換器と、
を順に接続した冷凍サイクル回路と、
前記冷凍サイクル回路における前記圧縮機の吐出側と前記減圧装置の吸込側との間の第一位置と、前記冷凍サイクル回路における前記減圧装置の吐出側と前記圧縮機の吸込側との間の第二位置とを接続する冷媒回収配管と、
前記冷媒回収配管の途中に配置された冷媒回収装置と、
前記冷媒回収配管における前記第一位置と前記冷媒回収装置との間に配置された第一開閉弁と、
前記冷媒回収配管における前記第二位置と前記冷媒回収装置との間に配置された第二開閉弁と、
前記冷媒回収装置に回収された液相冷媒の回収量を検出する冷媒量検出装置と、
前記第一開閉弁及び前記第二開閉弁の動作を制御する制御部と、を備え
、
前記制御部は、
前記冷凍サイクル回路を流れる冷媒の一部を前記冷媒回収装置に回収する冷媒回収処理を行う場合、前記冷凍サイクル回路の動作中の前記第二開閉弁を閉弁するとともに前記第一開閉弁を開弁するように構成され、
前記冷媒回収装置に回収された冷媒を前記冷凍サイクル回路へ戻す冷媒戻し処理を行う場合、前記冷凍サイクル回路の動作中の前記第一開閉弁を閉弁するとともに前記第二開閉弁を開弁するように構成され、
前記冷媒回収処理の実行中に、検出された前記回収量が冷媒不足の状態に対応した目標量に到達した場合、前記第一開閉弁を閉弁する
ように構成される冷凍サイクル試験装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記冷媒戻し処理の実行中に、検出された前記回収量がゼロに到達した場合、前記第二開閉弁を閉弁するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の冷凍サイクル試験装置。
【請求項3】
冷凍サイクル回路の冷媒不足の状態を模擬する冷凍サイクル試験装置であって、
冷媒を圧縮する圧縮機と、
前記圧縮機から吐出された冷媒と第一熱媒体との間で熱交換を行う第一熱交換器と、
前記第一熱交換器を通過した冷媒を減圧する減圧装置と、
前記減圧装置を通過した冷媒と第二熱媒体との間で熱交換を行う第二熱交換器と、
を順に接続した冷凍サイクル回路と、
前記冷凍サイクル回路における前記圧縮機の吐出側と前記減圧装置の吸込側との間の第一位置と、前記冷凍サイクル回路における前記減圧装置の吐出側と前記圧縮機の吸込側との間の第二位置とを接続する冷媒回収配管と、
前記冷媒回収配管の途中に配置された冷媒回収装置と、
前記冷媒回収配管における前記第一位置と前記冷媒回収装置との間に配置された第一開閉弁と、
前記冷媒回収配管における前記第二位置と前記冷媒回収装置との間に配置された第二開閉弁と、
前記圧縮機の吸込側の冷媒圧力を検出する圧力センサと、
前記第一開閉弁及び前記第二開閉弁の動作を制御する制御部と、を備え
、
前記制御部は、
前記冷凍サイクル回路を流れる冷媒の一部を前記冷媒回収装置に回収する冷媒回収処理を行う場合、前記冷凍サイクル回路の動作中の前記第二開閉弁を閉弁するとともに前記第一開閉弁を開弁するように構成され、
前記冷媒回収装置に回収された冷媒を前記冷凍サイクル回路へ戻す冷媒戻し処理を行う場合、前記冷凍サイクル回路の動作中の前記第一開閉弁を閉弁するとともに前記第二開閉弁を開弁するように構成され、
前記冷媒回収処理の実行中に、検出された前記冷媒圧力が冷媒不足の状態に対応した目標冷媒圧力まで低下した場合、前記第一開閉弁を閉弁する
ように構成される冷凍サイクル試験装置。
【請求項4】
前記冷媒回収装置に回収された液相冷媒の回収量を検出する冷媒量検出装置を更に備え、
前記制御部は、前記冷媒戻し処理の実行中に、検出された前記回収量がゼロに到達した場合、前記第二開閉弁を閉弁するように構成されることを特徴とする請求項3に記載の冷凍サイクル試験装置。
【請求項5】
前記冷媒回収装置は、
冷媒を冷却する冷却装置と、
前記冷却装置によって冷却されて液化した冷媒を貯留する冷媒回収ボンベと、
を備えることを特徴とする請求項1
から請求項4の何れか1項に記載の冷凍サイクル試験装置。
【請求項6】
前記冷却装置は、
冷媒と空気との熱交換を行う第三熱交換器と、
前記第三熱交換器へと空気を送風する送風機と、
を含むことを特徴とする請求項
5に記載の冷凍サイクル試験装置。
【請求項7】
前記冷媒回収ボンベの圧力が上限値に到達した場合に圧力を逃がすための安全弁を備えることを特徴とする請求項
5又は請求項
6に記載の冷凍サイクル試験装置。
【請求項8】
前記冷媒回収装置を加熱する加熱装置を更に備えることを特徴とする請求項1から請求項
7の何れか1項に記載の冷凍サイクル試験装置。
【請求項9】
前記圧縮機及び前記第一熱交換器が収納された室外機と、
前記減圧装置と前記第二熱交換器が収納された室内機と、
を備えることを特徴とする請求項1から請求項
8の何れか1項に記載の冷凍サイクル試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍サイクル回路を備えた冷凍サイクル試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1には、冷媒漏れの検知が可能な冷凍サイクル装置に関する技術が開示されている。この技術では、冷凍サイクルを構成する凝縮器と膨張手段の間に、液溜が設けられている。冷凍サイクル装置は、圧縮機の起動後一定時間経過と判別した時の液溜内の冷媒液面位置により冷媒量を算出し、冷媒漏れを判断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、冷凍サイクル回路を用いた空気調和機等の冷凍サイクル装置は、専門知識を有する技術者によって保守点検又は修理等が行われる。このような専門技術者の養成課程では、装置の不具合を模擬した試験装置を用いた研修等が行われる。例えば、冷凍サイクル回路の冷媒不足の状態を模擬した試験装置を構築する場合、冷媒を回収する回収機材を実際の冷凍サイクル装置に接続することで冷媒を回収する。そして、研修等の終了後は、回収した冷媒を回収機材から冷凍サイクル回路へと再度充填する。
【0005】
しかしながら、冷凍サイクル装置に回収機材を都度接続して冷媒の回収及び充填を行うと、回収機材の内部に残留した冷媒のロスが発生するという課題がある。また、研修を行う度に冷凍サイクル装置に回収機材を接続する方法は、準備及び作業に時間を要するという課題もある。
【0006】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、冷媒のロスを発生させずに冷凍サイクル回路の冷媒量を調整することができる冷凍サイクル試験装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の冷凍サイクル試験装置は、冷凍サイクル回路の冷媒不足の状態を模擬する冷凍サイクル試験装置であって、冷媒を圧縮する圧縮機と、圧縮機から吐出された冷媒と第一熱媒体との間で熱交換を行う第一熱交換器と、第一熱交換器を通過した冷媒を減圧する減圧装置と、減圧装置を通過した冷媒と第二熱媒体との間で熱交換を行う第二熱交換器と、を順に接続した冷凍サイクル回路と、冷凍サイクル回路における圧縮機の吐出側と減圧装置の吸込側との間の第一位置と、冷凍サイクル回路における減圧装置の吐出側と圧縮機の吸込側との間の第二位置とを接続する冷媒回収配管と、冷媒回収配管の途中に配置された冷媒回収装置と、冷媒回収配管における第一位置と冷媒回収装置との間に配置された第一開閉弁と、冷媒回収配管における第二位置と冷媒回収装置との間に配置された第二開閉弁と、冷媒回収装置に回収された液相冷媒の回収量を検出する冷媒量検出装置と、第一開閉弁及び第二開閉弁の動作を制御する制御部と、を備え、制御部は、冷凍サイクル回路を流れる冷媒の一部を冷媒回収装置に回収する冷媒回収処理を行う場合、冷凍サイクル回路の動作中の第二開閉弁を閉弁するとともに第一開閉弁を開弁するように構成され、冷媒回収装置に回収された冷媒を冷凍サイクル回路へ戻す冷媒戻し処理を行う場合、冷凍サイクル回路の動作中の第一開閉弁を閉弁するとともに第二開閉弁を開弁するように構成され、冷媒回収処理の実行中に、検出された回収量が冷媒不足の状態に対応した目標量に到達した場合、第一開閉弁を閉弁するように構成されるものである。
また、本発明の冷凍サイクル試験装置は、冷凍サイクル回路の冷媒不足の状態を模擬する冷凍サイクル試験装置であって、冷媒を圧縮する圧縮機と、圧縮機から吐出された冷媒と第一熱媒体との間で熱交換を行う第一熱交換器と、第一熱交換器を通過した冷媒を減圧する減圧装置と、減圧装置を通過した冷媒と第二熱媒体との間で熱交換を行う第二熱交換器と、を順に接続した冷凍サイクル回路と、冷凍サイクル回路における圧縮機の吐出側と減圧装置の吸込側との間の第一位置と、冷凍サイクル回路における減圧装置の吐出側と圧縮機の吸込側との間の第二位置とを接続する冷媒回収配管と、冷媒回収配管の途中に配置された冷媒回収装置と、冷媒回収配管における第一位置と冷媒回収装置との間に配置された第一開閉弁と、冷媒回収配管における第二位置と冷媒回収装置との間に配置された第二開閉弁と、圧縮機の吸込側の冷媒圧力を検出する圧力センサと、第一開閉弁及び第二開閉弁の動作を制御する制御部と、を備え、制御部は、冷凍サイクル回路を流れる冷媒の一部を冷媒回収装置に回収する冷媒回収処理を行う場合、冷凍サイクル回路の動作中の第二開閉弁を閉弁するとともに第一開閉弁を開弁するように構成され、冷媒回収装置に回収された冷媒を冷凍サイクル回路へ戻す冷媒戻し処理を行う場合、冷凍サイクル回路の動作中の第一開閉弁を閉弁するとともに第二開閉弁を開弁するように構成され、冷媒回収処理の実行中に、検出された冷媒圧力が冷媒不足の状態に対応した目標冷媒圧力まで低下した場合、第一開閉弁を閉弁するように構成されるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の冷凍サイクル試験装置によれば、冷凍サイクル回路の動作中に第一開閉弁を開弁して第二開閉弁を閉弁することによって、冷凍サイクル回路を循環する冷媒を冷媒回収装置に回収することができる。また、冷凍サイクル回路の動作中に第一開閉弁を閉弁して第二開閉弁を開弁することによって、冷媒回収装置の冷媒を冷凍サイクル回路へと戻すことができる。これにより、冷媒のロスを発生させずに冷凍サイクル回路を循環する冷媒量を任意の量に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1における冷凍サイクル試験装置の回路構成を示す図である。
【
図2】冷凍サイクル試験装置の冷房運転の動作を説明するための図である。
【
図3】冷凍サイクル試験装置において実行される冷媒回収処理を説明するための図である。
【
図4】冷凍サイクル試験装置において実行される冷媒戻し処理を説明するための図である。
【
図5】実施の形態2における冷凍サイクル試験装置の回路構成を示す図である。
【
図6】実施の形態2の冷凍サイクル試験装置100において実行される冷媒回収処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。
【
図7】実施の形態2の冷凍サイクル試験装置において実行される冷媒戻し処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。
【
図8】実施の形態2の冷凍サイクル試験装置が備える制御部のハードウェア構成の例を示す図である。
【
図9】実施の形態2の冷凍サイクル試験装置が備える制御部のハードウェア構成の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。なお、各図において共通する要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0011】
実施の形態1.
1-1.実施の形態1の冷凍サイクル試験装置の構成
図1は、実施の形態1における冷凍サイクル試験装置の回路構成を示す図である。
図1では、冷凍サイクル試験装置の一例として、空気調和機の試験装置の回路構成を示している。なお、冷凍サイクル試験装置としては、空気調和機の他に、例えば、給湯器、ショーケース、あるいは冷蔵庫等を用いた試験装置が例示される。
【0012】
図1に示すように、冷凍サイクル試験装置100は、室内機10と、室外機30と、冷媒量調整装置50と、を備えている。室内機10は、空気調和の対象となる部屋の室内に設置される。室外機30及び冷媒量調整装置50は、当該部屋の室外に設置される。
【0013】
室内機10の内部には、膨張弁12と、室内機熱交換器14と、室内機ファン16とが収納されている。室外機30の内部には、圧縮機32と、四方弁34と、室外機熱交換器36と、室外機ファン38と、制御基板40とが収納されている。圧縮機32、四方弁34、室外機熱交換器36、膨張弁12、及び室内機熱交換器14が冷媒配管20によって環状に接続されることにより、冷凍サイクル回路が形成されている。制御基板40は、冷凍サイクル回路を構成する機器類の動作を制御する。
【0014】
冷媒配管20内には冷媒が封入されている。圧縮機32は、冷媒配管20から吸い込まれる低圧冷媒ガスを圧縮する。冷媒は、地球温暖化係数(GWP)の小さいものを用いることが地球環境保護上の観点から好ましい。このような冷媒としては、例えば、テトラフルオロプロペン(CF3CF=CH2:HFO-1234yf)、ジフルオロメタン(CH2F2:R32)、プロパン(R290)、プロピレン(R1270)、エタン(R170)、ブタン(R600)、イソブタン(R600a)、1.1.1.2-テトラフルオロエタン(C2H2F4:R134a)、ペンタフルオロエタン(C2HF5:R125)、1.3.3.3-テトラフルオロ-1-プロペン(CF3-CH=CHF:HFO-1234ze)等の冷媒が例示される。圧縮機32は、例えば、ロータリ圧縮機、又は、スクロール圧縮機等を用いることができる。
【0015】
四方弁34は、
図1に示すように冷媒配管20における圧縮機32の前後に介在するように配置される。四方弁34は、連通させるポートの切り替えを行うことにより、冷媒配管20を流通する冷媒の流れ方向を切り替え可能に構成されている。
【0016】
室外機熱交換器36は、圧縮機32から吐出された高温高圧の冷媒と第一熱媒体である室外の空気との間で熱を交換する。室外機熱交換器36は、以下「第一熱交換器」とも呼ばれる。室外機ファン38は、室外機熱交換器36に対向して配置される。室外機ファン38が室外機熱交換器36へ送風することで、室外機熱交換器36での熱交換を促進できる。
【0017】
膨張弁12は、高圧冷媒を減圧して低圧冷媒にする減圧装置の例である。減圧された低圧冷媒は、気液二相の状態になる。室内機熱交換器14は、低圧冷媒と第二熱媒体である室内空気との間で熱を交換する熱交換器である。室内機熱交換器14は、以下「第二熱交換器」とも呼ばれる。室内機熱交換器14は、室内機ファン16の前方に配置される。室内機熱交換器14において、低圧冷媒は、大気の熱を吸収することで蒸発する。室内機ファン16が室内機熱交換器14へ送風することで、室内機熱交換器14での熱交換を促進できる。室内機熱交換器14で蒸発した低圧冷媒ガスは、圧縮機32に吸入される。
【0018】
冷媒配管20は、室内機10側の室内機冷媒配管202と、室外機30側の室外機冷媒配管204と、第一外部冷媒配管206と、第二外部冷媒配管208とにより構成されている。第一外部冷媒配管206及び第二外部冷媒配管208は、室内機冷媒配管202及び室外機冷媒配管204の端部に設けられた継手等の金属接続部を介してそれぞれ接続されている。具体的には、第一外部冷媒配管206は、室内機冷媒配管202の膨張弁12側の室内金属接続部22と、室外機冷媒配管204の室外機熱交換器36の側の室外金属接続部24とに接続されている。また、第二外部冷媒配管208は、室内機冷媒配管202の室内機熱交換器14の側の室内金属接続部22と、室外機冷媒配管204の圧縮機32の側の室外金属接続部24とに接続されている。
【0019】
冷媒量調整装置50は、冷媒回収配管52と、冷媒回収装置60と、第一開閉弁54と、第二開閉弁56と、保護装置58とを備えている。冷媒回収配管52は、第一外部冷媒配管206の途中の第一位置26と、第二外部冷媒配管208の途中の第二位置28との間を接続している。冷媒回収装置60は、冷媒配管20を循環する冷媒の一部を一時的に回収するための装置である。冷媒回収装置60は、具体的には、冷媒回収用熱交換器62と、冷却ファン64と、冷媒回収ボンベ66とを備えている。
【0020】
冷媒回収用熱交換器62は、冷媒を冷却する冷却装置の例である。冷媒回収用熱交換器62は、冷媒回収配管52を流れる中温高圧の冷媒と室外の空気との間で熱を交換する。冷媒回収用熱交換器62は、以下「第三熱交換器」とも呼ばれる。冷却ファン64は送風機であり、冷媒回収用熱交換器62に対向して配置される。冷却ファン64が冷媒回収用熱交換器62へ送風することで、冷媒回収用熱交換器62での熱交換を促進できる。冷媒回収ボンベ66は、冷媒を液相の状態で貯留するためのタンクである。
【0021】
冷媒回収用熱交換器62及び冷媒回収ボンベ66は、冷媒回収配管52の途中に介在するように接続される。具体的には、冷媒回収配管52は、第一回収配管522と、第二回収配管524と、第三回収配管526と、を備えている。第一回収配管522は、第一外部冷媒配管206の第一位置26と冷媒回収用熱交換器62の入口側とを接続する。第二回収配管524は、第二外部冷媒配管208の第二位置28と冷媒回収ボンベ66の上部とを接続する。そして、第三回収配管526は、冷媒回収用熱交換器62の出口側と冷媒回収ボンベ66の下部とを接続する。なお、冷媒回収ボンベ66は、液封を防止するために、冷媒配管20を循環する冷凍サイクル回路の全冷媒を貯留可能な容積を有していることが好ましい。
【0022】
第一回収配管522の途中には、第一回収配管522を開閉する第一開閉弁54が配置される。また、第二回収配管524の途中には、第二回収配管524を開閉する第二開閉弁56が配置される。
【0023】
保護装置58は、冷媒回収ボンベ66の圧力が安全上許容される上限値を超えないようにするための保護装置である。保護装置58は、具体的には、安全弁582と、保護配管584とを備えている。保護配管584は、冷媒回収ボンベ66の上部と第二外部冷媒配管208の途中とを接続する。安全弁582は、保護配管584の途中に配置される。安全弁582は、冷媒回収ボンベ66の圧力が上限値に達した時に開弁して圧力を逃がすように構成されている。なお、保護配管584の接続先は、第二外部冷媒配管208に限られない。すなわち、保護配管584は、例えば、第二回収配管524における第二開閉弁56と第二位置28との間に接続される構成でもよい。
【0024】
1-2.実施の形態1の冷凍サイクル試験装置の動作
次に、実施の形態1の冷凍サイクル試験装置100の動作について説明する。冷凍サイクル試験装置100は、室内機熱交換器14及び室外機熱交換器36のそれぞれにおいて冷媒と空気の間で熱交換を行うことにより、室内機10と室外機30との間で熱を移動させるヒートポンプとして働く。この際、四方弁34を切り換えることにより、冷凍サイクル回路における冷媒の循環方向を反転させて冷房運転と暖房運転とを切り換えることができる。以下、冷凍サイクル試験装置100の冷房運転時の動作を説明する。
【0025】
1-2-1.冷凍サイクル試験装置による冷房運転動作
図2は、冷凍サイクル試験装置の冷房運転の動作を説明するための図である。冷凍サイクル試験装置100による冷房運転は、第一開閉弁54と第二開閉弁56とを閉弁した状態で、制御基板40が冷凍サイクル回路を構成する機器類を制御することにより実行される。
【0026】
冷房運転では、四方弁34を冷房運転に対応する位置に動作させるとともに圧縮機32が駆動される。これにより、例えば10℃程度の低温低圧の気相冷媒が室内機熱交換器14から第二外部冷媒配管208を通って圧縮機32へと送られる。圧縮機32では、気相冷媒が圧縮されることにより、例えば80℃程度の高圧冷媒となる。圧縮機32を通過した冷媒は、次に室外機熱交換器36へと送られる。室外機熱交換器36では、室外機ファン38が回転することによって、冷媒と外気との間の熱交換が行われる。室外機熱交換器36の冷媒は冷やされて、例えば常温よりも若干高い50℃程度の気液二相の高圧冷媒となる。
【0027】
室外機熱交換器36を通過した冷媒は、第一外部冷媒配管206を通って膨張弁12へと送られる。膨張弁12では、冷媒が膨張されることにより、例えば5℃程度の低圧冷媒となる。膨張弁12を通過した冷媒は、室内機熱交換器14に送られる。室内機熱交換器14では、室内機ファン16が回転することによって、冷媒と室内空気との間の熱交換が行われる。室内空気は室内機熱交換器14を通過することで冷やされ、通過前の空気温度より低い温度になる。反対に室内機熱交換器14の冷媒は暖められて、例えば10℃程度低温低圧の気相冷媒となる。このような冷房運転による冷凍サイクル回路の動作中は、圧縮機32の吐出側と膨張弁12の吸込側との間に位置する第一位置26が高圧となり、膨張弁12の吐出側と圧縮機32の吸込側との間に位置する第一位置26が低圧となる。
【0028】
1-2-2.冷凍サイクル試験装置による冷媒回収動作
実施の形態1の冷凍サイクル試験装置100は、冷凍サイクル回路を循環する冷媒量を任意に調整可能な構成に特徴を有している。具体的には、冷凍サイクル試験装置100は、冷媒不足の状態を模擬した試験装置を構築する場合、冷凍サイクル回路を循環する冷媒を回収する冷媒回収処理を実行する。
【0029】
図3は、冷凍サイクル試験装置において実行される冷媒回収処理を説明するための図である。冷媒回収処理は、冷媒量調整装置50を操作して行われる。冷媒回収処理は、冷房運転による冷凍サイクル回路の動作中に第一開閉弁54を開弁する。第一開閉弁54は、手動による開弁操作でもよいし、電磁弁として構成されている場合には、電気的な開弁操作でもよい。
【0030】
冷房運転中は、第一位置26を含む第一外部冷媒配管206に高圧の気液二相冷媒が流れている。第一開閉弁54が開弁されると、第一外部冷媒配管206と冷媒回収配管52との圧力差によって、第一外部冷媒配管206を流れる冷媒の一部が第一回収配管522を通って冷媒回収用熱交換器62へと導入される。冷媒回収用熱交換器62では、冷却ファン64が回転することによって、冷媒と外気との間の熱交換が行われる。これにより、冷媒回収用熱交換器62内の冷媒は凝縮が促進されて液相の冷媒となる。凝縮された冷媒は、第三回収配管526を通って冷媒回収ボンベ66内に貯留される。このような冷媒回収処理が冷房運転中に継続されることにより、冷凍サイクル回路を循環する冷媒が徐々に冷媒回収ボンベ66へと回収される。
【0031】
第一開閉弁54が閉弁されると、冷媒回収処理は終了される。これにより、外部系への冷媒ロスを発生させることなく、任意の冷媒不足の状態を模擬することが可能となる。
【0032】
なお、冷媒回収装置60は、冷媒回収ボンベ66に回収された液相冷媒の回収量を検出するための冷媒量検出装置を備えていてもよい。例えば、冷媒量検出装置は、冷媒回収ボンベ66内の冷媒の液面位置を検知するためのフロート装置によって構成されていてもよい。また、冷媒回収ボンベ66内の冷媒の液面を視認可能な冷媒回収ボンベ66によって構成されていてもよい。このような冷媒量検出装置によれば、冷凍サイクル回路から冷媒回収ボンベ66に回収された回収量を正確に把握することができる。
【0033】
また、冷媒回収装置60は、保護装置58を備えている。これにより、冷媒が貯留されている冷媒回収ボンベ66の圧力が、安全上許容される上限値を超えることを防ぐことが可能となる。
【0034】
1-2-3.冷凍サイクル試験装置による冷媒戻し動作
実施の形態1の冷凍サイクル試験装置100は、冷媒回収処理により回収された冷媒を再び冷凍サイクル回路に戻すことが可能な構成に特徴を有している。具体的には、冷凍サイクル試験装置100は、冷媒回収処理によって冷媒不足の状態を模擬した後、冷凍サイクル回路を元の正常な状態に戻す場合、冷媒回収装置60に回収された冷媒を戻す冷媒戻し処理を実行する。
【0035】
図4は、冷凍サイクル試験装置において実行される冷媒戻し処理を説明するための図である。冷媒戻し処理は、冷媒量調整装置50を操作することによって行われる。冷媒戻し処理は、冷房運転による冷凍サイクル回路の動作中に第二開閉弁56を開弁する。第二開閉弁56は、手動による開弁操作でもよいし、電磁弁として構成されている場合には、電気的な開弁操作でもよい。
【0036】
冷房運転中は、第二位置28を含む第二外部冷媒配管208に低圧の気相冷媒が流れている。一方、冷媒回収ボンベ66には、高圧の状態で冷媒が回収されている。第二開閉弁56が開弁されると、第二外部冷媒配管208と冷媒回収ボンベ66との圧力差によって、冷媒回収用熱交換器62及び冷媒回収ボンベ66内の気相冷媒が第二回収配管524を通って第二外部冷媒配管208へと導入される。このような冷媒回収処理が冷房運転中に継続されることにより、冷媒回収ボンベ66内に回収されていた冷媒が徐々に冷凍サイクル回路へと戻されていく。
【0037】
第二開閉弁56が閉弁されると、冷媒戻し処理は終了される。これにより、外部系への冷媒ロスを発生させることなく、正常な冷凍サイクル回路へと戻すことが可能となる。
【0038】
なお、冷媒回収装置60は、冷媒回収ボンベ66に回収された冷媒の蒸発を促進するための加熱装置を備えていてもよい。例えば、加熱装置は、冷媒戻し処理に冷媒回収ボンベ66を直接的に加温するヒータによって構成されていてもよい。また、冷媒戻し処理に室外機ファン38からの送風を冷媒回収装置60に流す整流構造によって構成されていてもよい。このような加熱装置によれば、冷媒回収ボンベ66に回収された冷媒を冷凍サイクル回路へ効率よく戻すことが可能となる。
【0039】
1-3.冷凍サイクル試験装置の変形例
実施の形態1の冷凍サイクル試験装置100は、以下のように変形した態様を適用してもよい。
【0040】
冷媒回収用熱交換器62の構成は必須ではない。ただし、この場合、冷媒回収ボンベ66を冷却可能に構成されていることが、冷媒回収処理の効率を高めるために好ましい。また、冷媒回収用熱交換器62に代えて、冷媒を冷却することができる他の冷却装置を備えることとしてもよい。また、冷却ファン64の構成についても必須ではない。なお、この変形例は、後述する他の実施の形態の冷凍サイクル試験装置においても適用することができる。
【0041】
冷媒量調整装置50の冷媒回収配管52と、第一位置26及び第二位置28との接続関係は逆でもよい。その場合、暖房運転による冷凍サイクルの動作中に冷媒回収処理及び冷媒戻し処理を実行すればよい。なお、この変形例は、後述する他の実施の形態の冷凍サイクル試験装置においても適用することができる。
【0042】
第一位置26は、冷凍サイクル回路動作中において、圧縮機32の吐出側と膨張弁12の吸込側との間に位置していれば、その位置に限定はない。また、第二位置28についても、冷凍サイクル回路動作中において、膨張弁12の吐出側と圧縮機32の吸込側との間に位置していれば、その位置に限定はない。なお、この変形例は、後述する他の実施の形態の冷凍サイクル試験装置においても適用することができる。
【0043】
2.実施の形態2.
2-1.実施の形態2の冷凍サイクル試験装置の構成
実施の形態2の冷凍サイクル試験装置は、冷媒回収処理及び冷媒戻し処理を自動で行う点に特徴を有している。
図5は、実施の形態2における冷凍サイクル試験装置の回路構成を示す図である。実施の形態2の冷凍サイクル試験装置100の構成は、冷媒量調整装置50の構成を除き、実施の形態1の冷凍サイクル試験装置100の構成と同様である。また、冷凍サイクル回路の冷房運転の基本的な考え方は、実施の形態1と同じである。実施の形態1と重複する説明は、適宜省略される。
【0044】
図5に示すように、実施の形態2の冷凍サイクル試験装置100の冷媒量調整装置50は、冷媒量検出装置72と、加熱装置74とを備えている。冷媒量検出装置72は、冷媒回収ボンベ66に回収された液相の冷媒量を検出する。なお、冷媒量検出装置72の構成に限定はない。例えば、冷媒量検出装置72は、冷媒回収ボンベ66内の冷媒の液面位置を検知するためのフロート装置によって構成されていてもよい。また、冷媒量検出装置72は、冷媒回収ボンベ66内の冷媒の質量を検知するための質量計によって構成されていてもよい。
【0045】
加熱装置74は、冷媒回収装置60を加熱する。なお、加熱装置74の構成に限定はない。例えば、加熱装置74は、冷媒回収ボンベ66を直接的に加温するヒータによって構成されていてもよい。また、加熱装置74は、室外機ファン38からの送風を冷媒回収装置60に流す整流構造によって構成されていてもよい。なお、加熱装置74の構成は必須ではない。
【0046】
冷媒量調整装置50は、制御部70を備えている。第一開閉弁54及び第二開閉弁56は、電気的に開閉を行う電磁弁により構成されている。制御部70は、冷媒量検出装置72によって検出される液相冷媒量に基づいて、第一開閉弁54、第二開閉弁56、冷却ファン64、及び加熱装置74を制御する。
【0047】
2-2.実施の形態2の冷凍サイクル試験装置の動作
実施の形態2の冷凍サイクル試験装置100は、設定された目標量の冷媒を回収する動作に特徴を有している。具体的には、冷凍サイクル試験装置100は、冷房運転中に第一開閉弁54及び第二開閉弁56を制御することにより、目標量の冷媒を冷媒回収ボンベ66に回収する冷媒回収処理を実行する。また、実施の形態2の冷凍サイクル試験装置100は、冷媒回収ボンベ66に回収された冷媒を冷凍サイクル回路へと戻す冷媒戻し処理を実行する。以下、フローチャートに沿って、制御部70が実行する具体的な処理について説明する。
【0048】
2-2-1.冷凍サイクル試験装置による冷媒回収動作
図6は、実施の形態2の冷凍サイクル試験装置100において実行される冷媒回収処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。
図6に示すルーチンは、冷媒回収処理の実行要求が出された場合に制御部70によって実行される。なお、本ルーチンの冷媒回収処理が開始される初期状態では、第一開閉弁54及び第二開閉弁56が共に閉弁されている。
【0049】
図6に示すルーチンでは、先ず、冷房運転による冷凍サイクル回路の動作中か否かが判定される(ステップS100)。なお、このステップでは、制御部70から制御基板40に対して冷房運転の実行命令を出すように構成してもよい。冷房運転が開始されるまでは本ステップの処理が繰り返し実行され、冷房運転が開始されると次のステップに移行する。
【0050】
次のステップでは、第二開閉弁56を閉弁状態に維持した状態で第一開閉弁54が開弁される(ステップS102)。これにより、第一外部冷媒配管206を流れる冷媒の一部が第一回収配管522を通って冷媒回収用熱交換器62へと導入される。
【0051】
次のステップでは、冷却ファン64が駆動される(ステップS104)。これにより、冷媒回収用熱交換器62内の冷媒は凝縮が促進されて液相の冷媒となる。凝縮された冷媒は、第三回収配管526を通って冷媒回収ボンベ66内に貯留される。
【0052】
次のステップでは、冷媒量検出装置72によって、冷媒回収ボンベ66内に回収された冷媒の回収量が検出される(ステップS106)。次のステップでは、検出された回収量が予め設定された目標量に到達したか否かが判定される(ステップS108)。その結果、回収量が目標量に未だ到達していない場合、処理は再びステップS106に移行する。
【0053】
一方、ステップS108の処理において、回収量が目標量に到達した場合、第一開閉弁54が閉弁される(ステップS110)。次のステップでは、冷却ファン64が停止される(ステップS112)。これにより、冷媒回収装置60と冷凍サイクル回路との連通が完全に遮断される。ステップS112の処理が完了すると、本ルーチンは終了される。
【0054】
このように、上述した冷媒回収処理によれば、予め設定した目標量の冷媒を冷媒回収ボンベ66内に回収することができる。これにより、目標量に応じた任意の冷媒不足の状態を模擬することが可能となる。
【0055】
2-2-2.冷凍サイクル試験装置による冷媒戻し動作
図7は、実施の形態2の冷凍サイクル試験装置において実行される冷媒戻し処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。
図7に示すルーチンは、冷媒回収処理の実行後、冷媒戻し処理の要求が出された場合に制御部70によって実行される。なお、本ルーチンの冷媒戻し処理が開始される初期状態では、第一開閉弁54及び第二開閉弁56が共に閉弁されている。
【0056】
図7に示すルーチンでは、先ず、冷房運転による冷凍サイクル回路の動作中か否かが判定される(ステップS120)。なお、このステップでは、制御部70から制御基板40に対して冷房運転の実行命令を出すように構成してもよい。冷房運転が開始されるまでは本ステップの処理が繰り返し実行され、冷房運転が開始されると次のステップに移行する。
【0057】
次のステップでは、第一開閉弁54を閉弁状態に維持した状態で第二開閉弁56が開弁される(ステップS122)。これにより、冷媒回収ボンベ66と第二外部冷媒配管208とが、第二回収配管524を介して連通される。
【0058】
次のステップでは、加熱装置74が駆動される(ステップS124)。これにより、冷媒回収ボンベ66内の冷媒は蒸発が促進されて気相の冷媒となる。気相となった冷媒は、第二回収配管524を通って第二外部冷媒配管208へと戻される。
【0059】
次のステップでは、冷媒量検出装置72によって、冷媒回収ボンベ66内に回収された冷媒の回収量が検出される(ステップS126)。次のステップでは、検出された回収量がゼロに到達したか否かが判定される(ステップS128)。その結果、回収量がゼロに未だ到達していない場合、処理は再びステップS126に移行する。
【0060】
一方、ステップS128の処理において、回収量がゼロに到達した場合、第二開閉弁56が閉弁される(ステップS130)。次のステップでは、加熱装置74が停止される(ステップS132)。これにより、冷媒回収装置60と冷凍サイクル回路との連通が完全に遮断される。ステップS132の処理が完了すると、本ルーチンは終了される。
【0061】
このように、上述した冷媒戻し処理によれば、回収した冷媒の全量を冷凍サイクル回路へと戻すことができる。これにより、冷媒のロスを招くことなく冷凍サイクル回路を正常な状態に戻すことが可能となる。
【0062】
2-3.冷凍サイクル試験装置の変形例
実施の形態2の冷凍サイクル試験装置100は、以下のように変形した態様を適用してもよい。
【0063】
実施の形態2の冷凍サイクル試験装置100が備える制御部70は、以下のように構成されてもよい。
図8は、実施の形態2の冷凍サイクル試験装置が備える制御部のハードウェア構成の例を示す図である。制御部70の各機能は、処理回路により実現される。
図8に示す例では、制御部70の処理回路は、少なくとも1つのプロセッサ702と少なくとも1つのメモリ704とをそれぞれ備える。
【0064】
処理回路が少なくとも1つのプロセッサ702と少なくとも1つのメモリ704とを備える場合、制御部70の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、少なくとも1つのメモリ704に格納される。少なくとも1つのプロセッサ702は、少なくとも1つのメモリ704に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、制御部70の各機能を実現する。少なくとも1つのプロセッサ702は、CPU(Central Processing Unit)、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSP(Digital Signal Processor)ともいう。例えば、少なくとも1つのメモリ704は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD(Digital Versatile Disc)等である。
【0065】
図9は、実施の形態2の冷凍サイクル試験装置が備える制御部のハードウェア構成の他の例を示す図である。
図9に示す例では、制御部70の処理回路は、少なくとも1つの専用のハードウェア706をそれぞれ備える。
【0066】
処理回路が少なくとも1つの専用のハードウェア706を備える場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものである。制御部70の各部の機能がそれぞれ処理回路で実現されても良い。また、制御部70の各部の機能がまとめて処理回路で実現されても良い。
【0067】
実施の形態2の冷凍サイクル試験装置100において実行される冷媒回収処理では、冷媒の回収量に代えて、冷媒配管20の冷媒圧力に基づいて終了時期を判断してもよい。すなわち、例えば、冷凍サイクル試験装置100は、圧縮機32の吸込側の冷媒圧力を検出するための圧力センサを備える。そして、制御部70は、上記ステップS106において、圧力センサによって冷媒圧力を検出し、次のステップS108において、検出された冷媒圧力が予め設定された目標冷媒圧力に到達したか否かを判定する。ここでの目標冷媒圧力は、目標とする任意の冷媒不足の状態に対応した冷媒圧力に設定すればよい。そして、判定が成立しない場合、処理は再びステップS106に移行し、判定が成立した場合、処理はステップS110に移行する。このような処理によれば、目標とする冷媒不足の状態を精度よく模擬することが可能となる。
【0068】
また、冷媒戻し処理においても、上述の冷媒回収処理の変形例と同様に、冷媒の回収量に代えて冷媒配管20の冷媒圧力に基づいて終了時期を判断してもよい。この場合、制御部70は、上記ステップS126において、圧力センサによって冷媒圧力を検出し、次のステップS128において、検出された冷媒圧力が予め設定された目標冷媒圧力に到達したか否かを判定する。ここでの目標冷媒圧力は、正常な冷凍サイクル回路の動作中の冷媒圧力に設定すればよい。そして、判定が成立しない場合、処理は再びステップS126に移行し、判定が成立した場合、処理はステップS130に移行する。このような処理によれば、冷凍サイクル回路が正常な状態に戻ったか否かを正確に判断することが可能となる。
【符号の説明】
【0069】
10 室内機、 12 膨張弁、 14 室内機熱交換器、 16 室内機ファン、 20 冷媒配管、 22 室内金属接続部、 24 室外金属接続部、 26 第一位置、 28 第二位置、 30 室外機、 32 圧縮機、 34 四方弁、 36 室外機熱交換器、 38 室外機ファン、 40 制御基板、 50 冷媒量調整装置、 52 冷媒回収配管、 54 第一開閉弁、 56 第二開閉弁、 58 保護装置、 60 冷媒回収装置、 62 冷媒回収用熱交換器、 64 冷却ファン、 66 冷媒回収ボンベ、 70 制御部、 72 冷媒量検出装置、 74 加熱装置、 100 冷凍サイクル試験装置、 202 室内機冷媒配管、 204 室外機冷媒配管、 206 第一外部冷媒配管、 208 第二外部冷媒配管、 522 第一回収配管、 524 第二回収配管、 526 第三回収配管、 582 安全弁、 584 保護配管、 702 プロセッサ、 704 メモリ、 706 ハードウェア