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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/14 20060101AFI20230829BHJP
   G03G 15/01 20060101ALI20230829BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
G03G21/14
G03G15/01 111
G03G21/16 147
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019105636
(22)【出願日】2019-06-05
(65)【公開番号】P2020197690
(43)【公開日】2020-12-10
【審査請求日】2022-05-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100195224
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 宏憲
(72)【発明者】
【氏名】坂口 新太郎
(72)【発明者】
【氏名】佐野 利幸
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 正仁
【審査官】大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-045084(JP,A)
【文献】特開2009-025378(JP,A)
【文献】特開2012-212074(JP,A)
【文献】特開2012-220733(JP,A)
【文献】特開2011-018017(JP,A)
【文献】特開2006-349763(JP,A)
【文献】特開2016-110002(JP,A)
【文献】特開2010-128401(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/14
G03G 21/16
G03G 15/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセスモータと、
前記プロセスモータから駆動力が伝達されることでシートを搬送する搬送装置と、
前記プロセスモータから駆動力が伝達されることで回転する第1感光ドラムと、
前記プロセスモータから駆動力が伝達されることで回転する第2感光ドラムであって、シートの搬送方向において前記第1感光ドラムよりも下流側に配置された第2感光ドラムと、
シートを検知するセンサであって、前記搬送方向において前記第1感光ドラムよりも上流側に配置されたセンサと、
現像モータと、
前記現像モータから駆動力が伝達されることで回転する第1現像ローラであって、前記第1感光ドラムに接触する接触位置と、前記第1感光ドラムから離間する離間位置との間で移動可能な第1現像ローラと、
前記現像モータから駆動力が伝達されることで回転する第2現像ローラであって、前記第2感光ドラムに接触する接触位置と、前記第2感光ドラムから離間する離間位置との間で移動可能な第2現像ローラと、
前記現像モータから駆動力が伝達されることで所定の回転方向に回転する第1カムであって、前記第1現像ローラを離間位置から接触位置へ移動させるとともに、前記第1現像ローラを接触位置から離間位置へ移動させる第1カムと、
前記現像モータから駆動力が伝達されることで所定の回転方向に回転する第2カムであって、前記第2現像ローラを前記第1現像ローラよりも後に離間位置から接触位置へ移動させるとともに、前記第2現像ローラを前記第1現像ローラよりも後に接触位置から離間位置へ移動させる第2カムと、
前記現像モータからの駆動力を前記第1カムおよび前記第2カムに伝達する伝達状態と、前記現像モータからの駆動力を前記第1カムおよび前記第2カムに伝達しない切断状態とを切り替える切替機構と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記現像モータを第1回転速度で回転させ、かつ、前記プロセスモータを第2回転速度で回転させてシートに画像を形成する標準モードと、
前記現像モータを前記第1回転速度よりも遅い回転速度で回転させ、かつ、前記プロセスモータを前記第2回転速度で回転させることで、前記第1感光ドラムと前記第1現像ローラの回転速度比、および、前記第2感光ドラムと前記第2現像ローラの回転速度比を、前記標準モードとは異ならせた状態でシートに画像を形成する低速モードと、を実行可能であり、
前記制御部は、前記第1現像ローラおよび前記第2現像ローラを離間位置から接触位置へ移動させる場合、前記低速モードにおいて前記センサがシートを検知した時点を基準とした前記第2現像ローラが前記第2感光ドラムに接触するタイミングが、前記標準モードにおいて前記センサがシートを検知した時点を基準とした前記第2現像ローラが前記第2感光ドラムに接触するタイミング以前のタイミングとなるように、前記切替機構を前記伝達状態とすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1現像ローラおよび前記第2現像ローラを離間位置から接触位置へ移動させる場合、前記低速モードにおいて前記センサがシートを検知した時点を基準とした前記第2現像ローラが前記第2感光ドラムに接触するタイミングが、前記標準モードにおいて前記センサがシートを検知した時点を基準とした前記第2現像ローラが前記第2感光ドラムに接触するタイミングと同じタイミングとなるように、前記切替機構を前記伝達状態とすることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1現像ローラおよび前記第2現像ローラを接触位置から離間位置へ移動させる場合、前記低速モードにおいて前記センサがシートを検知した時点を基準とした前記第1現像ローラが前記第1感光ドラムから離間し始めるタイミングが、前記標準モードにおいて前記センサがシートを検知した時点を基準とした前記第1現像ローラが前記第1感光ドラムから離間し始めるタイミング以降のタイミングとなるように、前記切替機構を前記伝達状態とすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、さらに、前記現像モータを前記第1回転速度よりも速い回転速度で回転させ、かつ、前記プロセスモータを前記第2回転速度で回転させる高速モードを実行可能であり、
前記制御部は、前記第1現像ローラおよび前記第2現像ローラを離間位置から接触位置へ移動させる場合、前記高速モードにおいて前記センサがシートを検知した時点を基準とした前記第1現像ローラが前記第1感光ドラムに接触するタイミングが、前記標準モードにおいて前記センサがシートを検知した時点を基準とした前記第1現像ローラが前記第1感光ドラムに接触するタイミング以前のタイミングとなるように、前記切替機構を前記伝達状態とすることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1現像ローラおよび前記第2現像ローラを接触位置から離間位置へ移動させる場合、前記高速モードにおいて前記センサがシートを検知した時点を基準とした前記第2現像ローラが前記第2感光ドラムから離間し始めるタイミングが、前記標準モードにおいて前記センサがシートを検知した時点を基準とした前記第2現像ローラが前記第2感光ドラムから離間し始めるタイミング以降のタイミングとなるように、前記切替機構を前記伝達状態とすることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記プロセスモータから駆動力が伝達されることで回転する第3感光ドラムであって、前記搬送方向において前記第1感光ドラムと前記第2感光ドラムの間に配置された第3感光ドラムと、
前記現像モータから駆動力が伝達されることで回転する第3現像ローラであって、前記第3感光ドラムに接触する接触位置と、前記第3感光ドラムから離間する離間位置との間で移動可能な第3現像ローラと、
前記現像モータから駆動力が伝達されることで所定の回転方向に回転する第3カムであって、前記第3現像ローラを前記第1現像ローラ以降かつ前記第2現像ローラ以前に離間位置から接触位置へ移動させるとともに、前記第3現像ローラを前記第1現像ローラ以降かつ前記第2現像ローラ以前に接触位置から離間位置へ移動させる第3カムと、を備え、
前記切替機構は、前記伝達状態において前記現像モータからの駆動力を前記第1カム、前記第2カムおよび前記第3カムに伝達し、前記切断状態において前記現像モータからの駆動力を前記第1カム、前記第2カムおよび前記第3カムに伝達しないことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第1感光ドラム、前記第2感光ドラムおよび前記第3感光ドラムを露光する複数の光ビームを発する露光装置と、
前記第1現像ローラを有する第1現像カートリッジと、
前記第2現像ローラを有し、前記第2現像ローラが離間位置にある場合に前記第3感光ドラムを露光する光ビームの光路と重なる第2現像カートリッジと、
前記第3現像ローラを有し、前記第3現像ローラが離間位置にある場合に前記第1感光ドラムを露光する光ビームの光路と重なる第3現像カートリッジと、を備え、
前記制御部は、前記第1感光ドラムの露光を開始する以前に前記第3現像ローラを接触位置に移動させるとともに、前記第3感光ドラムの露光を開始する以前に前記第2現像ローラを接触位置に移動させることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
筐体と、
前記筐体内の温度を検知する温度センサと、を備え、
前記制御部は、前記温度センサの検知温度が所定温度以下である場合、前記低速モードを実行することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記第1現像ローラおよび前記第2現像ローラから対応する感光ドラムに供給されるトナーの量を前記標準モードよりも少なくして印刷をする場合、前記低速モードを実行することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
プロセスモータと、
シートを搬送する搬送装置と、
前記プロセスモータから駆動力が伝達されることで回転する第1感光ドラムと、
前記プロセスモータから駆動力が伝達されることで回転する第2感光ドラムであって、シートの搬送方向において前記第1感光ドラムよりも下流側に配置された第2感光ドラムと、
現像モータと、
前記現像モータから駆動力が伝達されることで回転する第1現像ローラであって、前記第1感光ドラムに接触する接触位置と、前記第1感光ドラムから離間する離間位置との間で移動可能な第1現像ローラと、
前記現像モータから駆動力が伝達されることで回転する第2現像ローラであって、前記第2感光ドラムに接触する接触位置と、前記第2感光ドラムから離間する離間位置との間で移動可能な第2現像ローラと、
前記現像モータから駆動力が伝達されることで所定の回転方向に回転する第1カムであって、前記第1現像ローラを離間位置から接触位置へ移動させるとともに、前記第1現像ローラを接触位置から離間位置へ移動させる第1カムと、
前記現像モータから駆動力が伝達されることで所定の回転方向に回転する第2カムであって、前記第2現像ローラを前記第1現像ローラよりも後に離間位置から接触位置へ移動させるとともに、前記第2現像ローラを前記第1現像ローラよりも後に接触位置から離間位置へ移動させる第2カムと、
前記現像モータからの駆動力を前記第1カムおよび前記第2カムに伝達する伝達状態と、前記現像モータからの駆動力を前記第1カムおよび前記第2カムに伝達しない切断状態とを切り替える切替機構と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記現像モータを第1回転速度で回転させ、かつ、前記プロセスモータを第2回転速度で回転させてシートに画像を形成する第1モードと、
前記現像モータを前記第1回転速度とは異なる第3回転速度で回転させ、かつ、前記プロセスモータを前記第2回転速度で回転させることで、前記第1感光ドラムと前記第1現像ローラの回転速度比、および、前記第2感光ドラムと前記第2現像ローラの回転速度比を、前記第1モードとは異ならせた状態でシートに画像を形成する第2モードと、を実行可能であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
前記第3回転速度は、前記第1回転速度よりも遅い回転速度であることを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
シートを検知するセンサであって、前記搬送方向において前記第1感光ドラムよりも上流側に配置されたセンサを備え、
前記搬送装置は、前記プロセスモータから駆動力が伝達されることでシートを搬送するように構成され、
前記制御部は、前記第1現像ローラおよび前記第2現像ローラを離間位置から接触位置へ移動させる場合、前記第2モードにおいて前記センサがシートを検知した時点を基準とした前記第2現像ローラが前記第2感光ドラムに接触するタイミングが、前記第1モードにおいて前記センサがシートを検知した時点を基準とした前記第2現像ローラが前記第2感光ドラムに接触するタイミング以前のタイミングとなるように、前記切替機構を前記伝達状態とすることを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記第3回転速度は、前記第1回転速度よりも速い回転速度であることを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項14】
シートを検知するセンサであって、前記搬送方向において前記第1感光ドラムよりも上流側に配置されたセンサを備え、
前記搬送装置は、前記プロセスモータから駆動力が伝達されることでシートを搬送するように構成され、
前記制御部は、前記第1現像ローラおよび前記第2現像ローラを離間位置から接触位置へ移動させる場合、前記第2モードにおいて前記センサがシートを検知した時点を基準とした前記第1現像ローラが前記第1感光ドラムに接触するタイミングが、前記第1モードにおいて前記センサがシートを検知した時点を基準とした前記第1現像ローラが前記第1感光ドラムに接触するタイミング以前のタイミングとなるように、前記切替機構を前記伝達状態とすることを特徴とする請求項13に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光ドラムや現像ローラを備える電子写真方式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、接触現像によりトナー像を形成する電子写真方式の画像形成装置として、カムの回転に伴い現像ローラが感光ドラムに対して接触・離間する機構を備えるものが知られている(特許文献1)。特許文献1の画像形成装置は、カムを回転させるステッピングモータと、現像ローラや感光ドラムを含む画像形成部を駆動させるメインモータとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-128017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、接触現像によりトナー像を形成する画像形成装置においては、装置の設置環境や使用状況などに合わせて、感光ドラムと現像ローラの回転速度比を変更できることが望まれる場合がある。感光ドラムと現像ローラの回転速度比の変更は、例えば、現像ローラを駆動させるモータと、感光ドラムを駆動させるモータとを別々に設けて駆動させることで実現可能ではあるが、従来の、カムの回転に伴い現像ローラが感光ドラムに対して接触・離間する画像形成装置には、カムを回転させるモータも設けられているため、モータの数が多くなるという問題が生じる。
【0005】
そこで、本発明は、現像ローラと感光ドラムを接触・離間させることが可能な画像形成装置において、モータの数を抑制しつつ、感光ドラムと現像ローラの回転速度比を変更することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、プロセスモータと、プロセスモータから駆動力が伝達されることでシートを搬送する搬送装置と、プロセスモータから駆動力が伝達されることで回転する第1感光ドラムと、プロセスモータから駆動力が伝達されることで回転する第2感光ドラムであって、シートの搬送方向において第1感光ドラムよりも下流側に配置された第2感光ドラムと、現像モータと、現像モータから駆動力が伝達されることで回転する第1現像ローラであって、第1感光ドラムに接触する接触位置と第1感光ドラムから離間する離間位置との間で移動可能な第1現像ローラと、現像モータから駆動力が伝達されることで回転する第2現像ローラであって、第2感光ドラムに接触する接触位置と第2感光ドラムから離間する離間位置との間で移動可能な第2現像ローラと、現像モータから駆動力が伝達されることで所定の回転方向に回転する第1カムであって、第1現像ローラを離間位置から接触位置へ移動させるとともに、第1現像ローラを接触位置から離間位置へ移動させる第1カムと、現像モータから駆動力が伝達されることで所定の回転方向に回転する第2カムであって、第2現像ローラを第1現像ローラよりも後に離間位置から接触位置へ移動させるとともに、第2現像ローラを第1現像ローラよりも後に接触位置から離間位置へ移動させる第2カムと、現像モータからの駆動力を第1カムおよび第2カムに伝達する伝達状態と、現像モータからの駆動力を第1カムおよび第2カムに伝達しない切断状態とを切り替える切替機構と、制御部と、を備える。
制御部は、現像モータを第1回転速度で回転させ、かつ、プロセスモータを第2回転速度で回転させる標準モードと、現像モータを第1回転速度よりも遅い回転速度で回転させ、かつ、プロセスモータを第2回転速度で回転させる低速モードと、を実行可能である。
制御部は、第1現像ローラおよび第2現像ローラを離間位置から接触位置へ移動させる場合、低速モードにおいて第2現像ローラが第2感光ドラムに接触するタイミングが、標準モードにおいて第2現像ローラが第2感光ドラムに接触するタイミング以前のタイミングとなるように、切替機構を伝達状態とする。
【0007】
このような構成によれば、プロセスモータにより感光ドラムを駆動させ、現像モータにより現像ローラとカムを駆動させるので、現像ローラと感光ドラムを接触・離間させることが可能な画像形成装置において、モータの数を抑制しつつ、感光ドラムと現像ローラの回転速度比を変更することができる。
【0008】
なお、プロセスモータにより感光ドラムと搬送装置を駆動させ、現像モータにより現像ローラとカムを駆動させる画像形成装置においては、現像モータ(現像ローラ)の回転速度が変わると、現像ローラの接触位置と離間位置との間の移動速度が変わる一方で、シートの搬送速度は変わらない。そのため、標準モードであるかそれ以外のモードであるかに関わらず、シートの搬送に合わせて感光ドラムの現像に間に合うタイミングで現像ローラを対応する感光ドラムに接触させる必要がある。
【0009】
前記した画像形成装置によれば、現像ローラを離間位置から接触位置へ移動させる場合、低速モードにおいて第2現像ローラが第2感光ドラムに接触するタイミングが、標準モードにおいて第2現像ローラが第2感光ドラムに接触するタイミング以前のタイミングとなるように、切替機構を伝達状態としてカムを回転させ、現像ローラを離間位置から接触位置に向けて移動させるので、モードに関わらず、シートの搬送に合わせて感光ドラムの現像に間に合うタイミングで現像ローラを対応する感光ドラムに接触させることができる。
【0010】
このように、前記した画像形成装置によれば、感光ドラムと現像ローラの回転速度比を変更することと、シートの搬送に合わせて感光ドラムの現像に間に合うタイミングで現像ローラを感光ドラムに接触させることを両立することができる。
【0011】
前記した画像形成装置において、制御部は、第1現像ローラおよび第2現像ローラを離間位置から接触位置へ移動させる場合、低速モードにおいて第2現像ローラが第2感光ドラムに接触するタイミングが、標準モードにおいて第2現像ローラが第2感光ドラムに接触するタイミングと同じタイミングとなるように、切替機構を伝達状態とする構成とすることができる。
【0012】
これによれば、低速モードにおいて第2現像ローラが第2感光ドラムに接触するタイミングが、標準モードにおいて第2現像ローラが第2感光ドラムに接触するタイミングよりも早い場合と比較して、低速モードの場合に、第2現像ローラと第2感光ドラムの接触時間が延びるのを防止することができるとともに、第1現像ローラと第1感光ドラムの接触時間が延びるのを最小限にすることができる。
【0013】
前記した画像形成装置において、制御部は、第1現像ローラおよび第2現像ローラを接触位置から離間位置へ移動させる場合、低速モードにおいて第1現像ローラが第1感光ドラムから離間し始めるタイミングが、標準モードにおいて第1現像ローラが第1感光ドラムから離間し始めるタイミング以降のタイミングとなるように、切替機構を伝達状態とする構成とすることができる。
【0014】
これによれば、特に、標準モードと低速モードとで第1現像ローラが第1感光ドラムから離間し始めるタイミングを同じとした場合には、低速モードにおいて第1現像ローラが離間し始めるタイミングが、標準モードにおいて第1現像ローラが離間し始めるタイミングよりも遅い場合と比較して、低速モードの場合に、第1現像ローラと第1感光ドラムの接触時間が延びるのを防止することができるとともに、第2現像ローラと第2感光ドラムの接触時間が延びるのを最小限にすることができる。
【0015】
前記した画像形成装置において、制御部は、さらに、現像モータを第1回転速度よりも速い回転速度で回転させ、かつ、プロセスモータを第2回転速度で回転させる高速モードを実行可能であり、制御部は、第1現像ローラおよび第2現像ローラを離間位置から接触位置へ移動させる場合、高速モードにおいて第1現像ローラが第1感光ドラムに接触するタイミングが、標準モードにおいて第1現像ローラが第1感光ドラムに接触するタイミング以前のタイミングとなるように、切替機構を伝達状態とする構成とすることができる。
【0016】
これによれば、モードに関わらず、シートの搬送に合わせて感光ドラムの現像に間に合うタイミングで現像ローラを対応する感光ドラムに接触させることができる。また、標準モードと高速モードとで第1現像ローラが第1感光ドラムに接触するタイミングを同じとした場合には、高速モードにおいて第1現像ローラが第1感光ドラムに接触するタイミングが、標準モードにおいて第1現像ローラが第1感光ドラムに接触するタイミングよりも早い場合と比較して、高速モードの場合に、第1現像ローラと第1感光ドラムの接触時間が延びるのを防止することができるとともに、第2現像ローラと第2感光ドラムの接触時間が延びるのを最小限にすることができる。
【0017】
前記した画像形成装置において、制御部は、第1現像ローラおよび第2現像ローラを接触位置から離間位置へ移動させる場合、高速モードにおいて第2現像ローラが第2感光ドラムから離間し始めるタイミングが、標準モードにおいて第2現像ローラが第2感光ドラムから離間し始めるタイミング以降のタイミングとなるように、切替機構を伝達状態とする構成とすることができる。
【0018】
これによれば、高速モードにおいて第2感光ドラムの現像中に第2現像ローラが第2感光ドラムから離間するのを防止することができる。また、標準モードと高速モードとで第2現像ローラが第2感光ドラムから離間し始めるタイミングを同じとした場合には、高速モードにおいて第2現像ローラが離間し始めるタイミングが、標準モードにおいて第2現像ローラが離間し始めるタイミングよりも遅い場合と比較して、高速モードの場合に、第2現像ローラと第2感光ドラムの接触時間が延びるのを防止することができるとともに、第1現像ローラと第1感光ドラムの接触時間が延びるのを最小限にすることができる。
【0019】
前記した画像形成装置は、プロセスモータから駆動力が伝達されることで回転する第3感光ドラムであって、シートの搬送方向において第1感光ドラムと第2感光ドラムの間に配置された第3感光ドラムと、現像モータから駆動力が伝達されることで回転する第3現像ローラであって、第3感光ドラムに接触する接触位置と第3感光ドラムから離間する離間位置との間で移動可能な第3現像ローラと、現像モータから駆動力が伝達されることで所定の回転方向に回転する第3カムであって、第3現像ローラを第1現像ローラ以降かつ第2現像ローラ以前に離間位置から接触位置へ移動させるとともに、第3現像ローラを第1現像ローラ以降かつ第2現像ローラ以前に接触位置から離間位置へ移動させる第3カムと、を備え、切替機構は、伝達状態において現像モータからの駆動力を第1カム、第2カムおよび第3カムに伝達し、切断状態において現像モータからの駆動力を第1カム、第2カムおよび第3カムに伝達しない構成とすることができる。
【0020】
前記した画像形成装置は、第1感光ドラム、第2感光ドラムおよび第3感光ドラムを露光する複数の光ビームを発する露光装置と、第1現像ローラを有する第1現像カートリッジと、第2現像ローラを有し、第2現像ローラが離間位置にある場合に第3感光ドラムを露光する光ビームの光路と重なる第2現像カートリッジと、第3現像ローラを有し、第3現像ローラが離間位置にある場合に第1感光ドラムを露光する光ビームの光路と重なる第3現像カートリッジと、を備え、制御部は、第1感光ドラムの露光を開始する以前に第3現像ローラを接触位置に移動させるとともに、第3感光ドラムの露光を開始する以前に第2現像ローラを接触位置に移動させる構成とすることができる。
【0021】
これによれば、現像カートリッジの形状を大きくすることができるので、現像カートリッジのトナー容量を大きくすることができる。
【0022】
前記した画像形成装置は、筐体と、筐体内の温度を検知する温度センサと、を備え、制御部は、温度センサの検知温度が所定温度以下である場合、低速モードを実行する構成とすることができる。
【0023】
前記した画像形成装置において、制御部は、第1現像ローラおよび第2現像ローラから対応する感光ドラムに供給されるトナーの量を標準モードよりも少なくして印刷をする場合、低速モードを実行する構成とすることができる。
【0024】
また、画像形成装置は、プロセスモータと、シートを搬送する搬送装置と、プロセスモータから駆動力が伝達されることで回転する第1感光ドラムと、プロセスモータから駆動力が伝達されることで回転する第2感光ドラムであって、シートの搬送方向において第1感光ドラムよりも下流側に配置された第2感光ドラムと、現像モータと、現像モータから駆動力が伝達されることで回転する第1現像ローラであって、第1感光ドラムに接触する接触位置と第1感光ドラムから離間する離間位置との間で移動可能な第1現像ローラと、現像モータから駆動力が伝達されることで回転する第2現像ローラであって、第2感光ドラムに接触する接触位置と第2感光ドラムから離間する離間位置との間で移動可能な第2現像ローラと、現像モータから駆動力が伝達されることで所定の回転方向に回転する第1カムであって、第1現像ローラを離間位置から接触位置へ移動させるとともに、第1現像ローラを接触位置から離間位置へ移動させる第1カムと、現像モータから駆動力が伝達されることで所定の回転方向に回転する第2カムであって、第2現像ローラを第1現像ローラよりも後に離間位置から接触位置へ移動させるとともに、第2現像ローラを第1現像ローラよりも後に接触位置から離間位置へ移動させる第2カムと、現像モータからの駆動力を第1カムおよび第2カムに伝達する伝達状態と、現像モータからの駆動力を第1カムおよび第2カムに伝達しない切断状態とを切り替える切替機構と、制御部と、を備える。
制御部は、現像モータを第1回転速度で回転させ、かつ、プロセスモータを第2回転速度で回転させる第1モードと、現像モータを第1回転速度とは異なる第3回転速度で回転させ、かつ、プロセスモータを第2回転速度で回転させる第2モードと、を実行可能である。
【0025】
このような構成によれば、現像ローラと感光ドラムを接触・離間させることが可能な画像形成装置において、モータの数を抑制しつつ、感光ドラムと現像ローラの回転速度比を変更することができる。
【0026】
前記した画像形成装置において、第3回転速度は、第1回転速度よりも遅い回転速度である構成とすることができる。
【0027】
前記した画像形成装置において、搬送装置は、プロセスモータから駆動力が伝達されることでシートを搬送するように構成され、制御部は、第1現像ローラおよび第2現像ローラを離間位置から接触位置へ移動させる場合、第2モードにおいて第2現像ローラが第2感光ドラムに接触するタイミングが、第1モードにおいて第2現像ローラが第2感光ドラムに接触するタイミング以前のタイミングとなるように、切替機構を伝達状態とする構成とすることができる。
【0028】
これによれば、モードに関わらず、シートの搬送に合わせて感光ドラムの現像に間に合うタイミングで現像ローラを対応する感光ドラムに接触させることができる。
【0029】
前記した画像形成装置において、第3回転速度は、第1回転速度よりも速い回転速度である構成とすることができる。
【0030】
前記した画像形成装置において、搬送装置は、プロセスモータから駆動力が伝達されることでシートを搬送するように構成され、制御部は、第1現像ローラおよび第2現像ローラを離間位置から接触位置へ移動させる場合、第2モードにおいて第1現像ローラが第1感光ドラムに接触するタイミングが、第1モードにおいて第1現像ローラが第1感光ドラムに接触するタイミング以前のタイミングとなるように、切替機構を伝達状態とする構成とすることができる。
【0031】
これによれば、モードに関わらず、シートの搬送に合わせて感光ドラムの現像に間に合うタイミングで現像ローラを対応する感光ドラムに接触させることができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、現像ローラと感光ドラムを接触・離間させることが可能な画像形成装置において、モータの数を抑制しつつ、感光ドラムと現像ローラの回転速度比を変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。
図2】支持部材、カムおよびカムフォロワの斜視図である。
図3】現像カートリッジの斜視図(a)と、側面図(b)である。
図4】スライド部材を説明する、現像カートリッジの周辺を上から見た模式図であり、カムフォロワが待機位置に位置するとき(a)と作動位置に位置するとき(b)を示す。
図5】支持部材のサイドフレームの内面(現像カートリッジ側)を示す図である。
図6】画像形成装置の駆動系を示すブロック図である。
図7】駆動伝達機構を左上から見た斜視図である。
図8】駆動伝達機構を軸方向に沿って左側から見た図である。
図9】駆動伝達機構を右上から見た斜視図である。
図10】駆動伝達機構を軸方向に沿って右側から見た図である。
図11】クラッチをサンギヤ側から見た分解斜視図(a)と、キャリア側から見た分解斜視図(b)である。
図12】現像ローラが接触位置にあり、クラッチが伝達状態にあるときの離間機構と、レバーと、クラッチと、カップリングギヤとを示す、軸方向から見た図(a)と斜視図(b)である。
図13図12の状態からカムが回転し、イエローに対応する現像ローラが接触位置で画像形成しているときの、離間機構と、レバーと、クラッチと、カップリングギヤとを示す、軸方向から見た図(a)と斜視図(b)である。
図14図13の状態からカムが回転し、現像ローラが離間位置にあり、クラッチが伝達状態にあるときの離間機構と、レバーと、クラッチと、カップリングギヤとを示す、軸方向から見た図(a)と斜視図(b)である。
図15図14の状態からカムが回転し、現像ローラが離間位置にあり、クラッチが切断状態にあるときの離間機構と、レバーと、クラッチと、カップリングギヤとを示す、軸方向から見た図(a)と斜視図(b)である。
図16図15の状態からカムが回転し、イエローに対応する現像ローラが接触位置に移動し始める直前の状態で一時停止しているときの、離間機構と、レバーと、クラッチと、カップリングギヤとを示す、軸方向から見た図(a)と斜視図(b)である。
図17】現像ローラの離間・接触の動作を説明する図(a)~(d)である。
図18】現像ローラの離間・接触の動作を説明する、図17に続く図(a)~(d)である。
図19】印刷ジョブを受信したときの処理の一例を示すフローチャートである。
図20】パラメータを設定する処理の一例を示すフローチャートである。
図21】YMCクラッチの制御の処理の一例を示すフローチャート(a)と、Kクラッチの制御の処理の一例を示すフローチャート(b)である。
図22】標準モードでカラー印刷をする場合の現像ローラの動作と各センサの出力に基づくYMCクラッチとKクラッチの制御を説明するタイミングチャートである。
図23】低速モードでカラー印刷をする場合の現像ローラの動作と各センサの出力に基づくYMCクラッチとKクラッチの制御を説明するタイミングチャートである。
図24】高速モードでカラー印刷をする場合の現像ローラの動作と各センサの出力に基づくYMCクラッチとKクラッチの制御を説明するタイミングチャートである。
図25】カラー印刷をする場合のイエロー、マゼンタ、シアンの現像ローラと、YMCクラッチ(カム)の動作を示すタイミングチャートであり、標準モード(a)と、低速モード(b)と、高速モード(c)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1に示すように、実施形態に係る画像形成装置1は、カラープリンタであり、筐体10と、シート供給部20と、画像形成部30と、制御部2とを主に備えている。
【0035】
シート供給部20は、筐体10内の下部に設けられ、シートSを収容するシートトレイ21と、シートSをシートトレイ21から画像形成部30に供給する供給機構22とを備えている。供給機構22は、給紙ローラ23と、分離ローラ24と、分離パッド25と、レジストレーションローラ27とを備えている。なお、本明細書においては、図1の左側を前、右側を後、上下をそのまま上下とし、図1の紙面手前側を右、紙面奥側を左とする。シートSは、画像形成装置1が画像を形成することができる媒体であって、普通紙、封筒、葉書、薄紙、厚紙、光沢紙、樹脂シート、シール等を含む。
【0036】
シート供給部20では、シートトレイ21内のシートSが給紙ローラ23により送り出された後、分離ローラ24と分離パッド25との間でシートSが1枚ずつに分離される。その後、シートSは、回転が停止した状態のレジストレーションローラ27によって先端位置が規制された後、レジストレーションローラ27が回転することで画像形成部30に供給される。
【0037】
シートSの搬送方向における分離ローラ24の下流側には、シートSの通過を検知する給紙センサ28Aが設けられている。シートSの搬送方向におけるレジストレーションローラ27の上流側には、シートSと接触して、シートSの通過を検知するレジ前センサ28Bが配置されている。シートSの搬送方向におけるレジストレーションローラ27の下流側には、レジ後センサ28Cが配置されている。
【0038】
画像形成部30は、露光装置40と、複数の感光ドラム50と、複数の現像カートリッジ60と、搬送装置70と、定着器80とを備えている。
露光装置40は、図示しないレーザダイオード、偏向器、レンズおよびミラーを有している。露光装置40は、複数の感光ドラム50を露光する複数の光ビームを発して、感光ドラム50の表面を走査するように構成されている。
【0039】
感光ドラム50は、第1色の一例であるイエローに対応したY感光ドラム50Yと、第2色の一例であるマゼンタに対応したM感光ドラム50Mと、第3色の一例であるシアンに対応したC感光ドラム50Cと、第4色の一例であるブラックに対応したK感光ドラム50Kとを含む。ここで、本実施形態においては、Y感光ドラム50Yが「第1感光ドラム」に相当し、M感光ドラム50Mが「第3感光ドラム」に相当し、C感光ドラム50Cが「第2感光ドラム」に相当する。また、本明細書および図面においては、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの各色に対応して設けられている部材について、色を区別して示す場合には、符号にY,M,C,Kを付し、色を区別しないで説明する場合には、符号にY,M,C,Kを付さない。
【0040】
Y感光ドラム50Yは、シートSの搬送方向において最も上流側に配置され、K感光ドラム50Kは、シートSの搬送方向において最も下流側に配置されている。また、C感光ドラム50Cは、シートSの搬送方向においてY感光ドラム50Yよりも下流側、具体的には、Y感光ドラム50YとK感光ドラム50Kの間に配置されている。また、M感光ドラム50Mは、シートSの搬送方向においてY感光ドラム50YとC感光ドラム50Cの間に配置されている。すなわち、感光ドラム50Y,50M,50C,50Kは、シートSの移動方向の上流側から下流側に向かってこの順に並んで配置されている。
【0041】
現像カートリッジ60は、各感光ドラム50に対応して設けられている。具体的には、現像カートリッジ60は、Y感光ドラム50Yにトナーを供給するY現像ローラ61Yを有するY現像カートリッジ60Yと、M感光ドラム50Mにトナーを供給するM現像ローラ61Mを有するM現像カートリッジ60Mと、C感光ドラム50Cにトナーを供給するC現像ローラ61Cを有するC現像カートリッジ60Cと、K感光ドラム50Kにトナーを供給するK現像ローラ61Kを有するK現像カートリッジ60Kとを含む。現像ローラ61Y,61M,61C,61Kは、シートSの移動方向の上流側から下流側に向かってこの順に配置されている。
【0042】
各現像カートリッジ60は、図1に実線で示した、現像ローラ61が対応する感光ドラム50に接触する接触位置にある位置と、図1に仮想線で示した、現像ローラ61が対応する感光ドラム50から離間する離間位置にある位置との間で移動可能である。現像カートリッジ60M,60C,60Kは、現像ローラ61が離間位置にある場合に、シートSの移動方向の上流側に隣接する感光ドラム50を露光する一点鎖線で示した光ビームの光路と重なる。具体的には、M現像カートリッジ60Mは、M現像ローラ61Mが離間位置にある場合にY感光ドラム50Yを露光する光ビームの光路と重なり、C現像カートリッジ60Cは、C現像ローラ61Cが離間位置にある場合にM感光ドラム50Mを露光する光ビームの光路と重なり、K現像カートリッジ60Kは、K現像ローラ61Kが離間位置にある場合にC感光ドラム50Cを露光する光ビームの光路と重なる。
【0043】
ここで、本実施形態においては、Y現像カートリッジ60Yが「第1現像カートリッジ」に相当し、M現像カートリッジ60Mが「第3現像カートリッジ」に相当し、C現像カートリッジ60Cが「第2現像カートリッジ」に相当する。また、Y現像ローラ61Yが「第1現像ローラ」に相当し、M現像ローラ61Mが「第3現像ローラ」に相当し、C現像ローラ61Cが「第2現像ローラ」に相当する。
【0044】
図2に示すように、感光ドラム50は、支持部材90に回転可能に支持されている。また、支持部材90は、現像カートリッジ60を着脱可能に支持する。支持部材90は、筐体10のフロントカバー11(図1参照)を開くことで形成される開口から、筐体10に対して着脱可能である。支持部材90は、感光ドラム50の軸方向に離れて配置された一対のサイドフレーム91と、一対のサイドフレーム91の前部同士を連結する連結フレーム92と、一対のサイドフレーム91の後部同士を連結する連結フレーム93とを備える。一対のサイドフレーム91は、右側のサイドフレーム91Rと、左側のサイドフレーム91Lとを含む。支持部材90には、各感光ドラム50に対向して配置された、感光ドラム50を帯電させるための帯電器52(図1参照)が設けられている。
【0045】
図1に戻り、搬送装置70は、シートトレイ21と感光ドラム50との間に設けられている。搬送装置70は、駆動ローラ71と、従動ローラ72と、無端状のベルトからなる搬送ベルト73と、4つの転写ローラ74とを備えている。搬送ベルト73は、駆動ローラ71と従動ローラ72との間に張設され、外側の面が各感光ドラム50に対向配置されている。各転写ローラ74は、各感光ドラム50との間で搬送ベルト73を挟持するように搬送ベルト73の内側に配置されている。搬送装置70は、上側の外周面にシートSを載せた状態で搬送ベルト73を移動させることでシートSを搬送し、このときに、感光ドラム50上に形成されたトナー像をシートSに転写する。
【0046】
定着器80は、感光ドラム50および搬送装置70の後方に設けられている。定着器80は、加熱ローラ81と、加熱ローラ81に対向して配置された加圧ローラ82とを備えている。シートSの搬送方向における定着器80の下流側には、シートSの通過を検出する排紙センサ28Dが設けられている。定着器80の上方には搬送ローラ15が設けられ、搬送ローラ15の上方には排出ローラ16が設けられている。
【0047】
このように構成される画像形成部30では、まず、感光ドラム50の表面が、帯電器52により一様に帯電された後、露光装置40から照射される光ビームにより露光される。これにより、感光ドラム50上に画像データに基づく静電潜像が形成される。また、ケース63内のトナーは現像ローラ61の表面に担持され、現像ローラ61が感光ドラム50に対向して接触するときに、感光ドラム50上に形成された静電潜像に供給される。これにより、感光ドラム50上でトナー像が形成される。
【0048】
次に、搬送ベルト73上に供給されたシートSが感光ドラム50と転写ローラ74との間を通過することで、感光ドラム50上に形成されたトナー像がシートS上に転写される。そして、シートSが加熱ローラ81と加圧ローラ82との間を通過することで、シートS上に転写されたトナー像がシートSに熱定着される。定着器80から排出されたシートSは、搬送ローラ15および排出ローラ16によって筐体10の上面の排紙トレイ13に蓄積される。
【0049】
図2に示すように、画像形成装置1は、現像ローラ61を、複数の感光ドラム50のうち対応する感光ドラム50に接触する接触位置と、当該感光ドラム50から離間した離間位置との間で移動させる離間機構5を有する。
【0050】
離間機構5は、現像ローラ61の回転軸線61X(図1参照)と平行な軸周りに回転するカム150(Yカム150Y、Mカム150M、Cカム150CおよびKカム150K)と、各カム150に対応して設けられたカムフォロワ170とを備える。ここで、本実施形態においては、Yカム150Yが「第1カム」に相当し、Mカム150Mが「第3カム」に相当し、Cカム150Cが「第2カム」に相当する。
【0051】
カム150は、現像モータ3D(図6参照)から駆動力が伝達されることで所定の回転方向に回転する。カム150は、現像ローラ61の回転軸線方向(以下、単に「回転軸線方向」という。)に突出する第1カム部152Aを有する。
カムフォロワ170は、カム150の第1カム部152Aの端面であるカム面152Fに接触して、図4(b)に示す、現像ローラ61を離間位置に位置させる作動位置と、図4(a)に示す、現像ローラ61を接触位置に位置させる待機位置との間で移動可能である。カムフォロワ170は、カム150の第1カム部152Aと接触して回転軸線方向にスライド移動して作動位置に位置し、対応する現像カートリッジ60を押圧する。また、カムフォロワ170は待機位置において、対応する現像カートリッジ60から離間する。
【0052】
図2に戻り、カム150と、カムフォロワ170とは、各現像カートリッジ60に対応して設けられている。カム150およびカムフォロワ170は、左側のサイドフレーム91Lの左右方向外側に配置されている。カム150とカムフォロワ170の詳細な構造については後述する。
【0053】
支持部材90は、サイドフレーム91R,91Lの上部に、後述するスライド部材64に当接する被当接部94が設けられている。被当接部94は、例えば、上下方向に沿った軸回りに回転可能なローラからなる。また、支持部材90は、各現像カートリッジ60に対応して設けられた、押圧部材95を備えている。押圧部材95は、各現像カートリッジ60ごとに、感光ドラム50の軸方向の両端部に設けられている。押圧部材95は、バネ95A(図4(a),(b)参照)により後方へ向けて付勢されており、支持部材90に現像カートリッジ60が装着されると、現像カートリッジ60の突起63Dを押圧して、現像ローラ61を対応する感光ドラム50に圧接させるようになっている。
【0054】
図3(a),(b)に示すように、現像カートリッジ60は、トナーを収容するケース63と、スライド部材64と、カップリング65を有する。
ケース63は、一方の側面に、回転軸線方向に突出する突出部として、第1突出部63Aおよび第2突出部63Bを有する。
【0055】
第1突出部63Aは、現像ローラ61の回転軸線61Xと同軸に配置され、回転軸線方向に突出している。第2突出部63Bは、第1突出部63Aから所定距離離れて配置されている。本実施形態では、第2突出部63Bは、第1突出部63Aの上方に配置されている。第1突出部63Aおよび第2突出部63Bは、ともに、回転軸線方向に平行な軸線周りに回転可能なローラである。図示は省略するが、ケース63は、他方の側面にも、一方の側面と対称な位置に第1突出部63Aと第2突出部63Bが設けられている。
【0056】
また、ケース63は、前側の面の上部に、押圧部材95により押圧される突起63Dを有している。突起63Dは、ケース63の、回転軸線方向における両端部に設けられている。
【0057】
カップリング65は、後述するカップリング軸119と係合して、カップリング軸119から回転駆動力が入力される。
【0058】
スライド部材64は、ケース63に対して回転軸線方向にスライド移動可能な部材である。スライド部材64は、カムフォロワ170に押圧されることで回転軸線方向にスライド移動可能である。図4(a),(b)に示すように、スライド部材64は、シャフト181と、第1当接部材182と、第2当接部材183とを備える。第1当接部材182は、シャフト181の一端に固定され、第2当接部材183は、シャフト181の他端に固定されている。
【0059】
シャフト181は、ケース63に形成された、回転軸線方向に延びる孔に貫通して配置され、ケース63にスライド移動可能に支持されている。
【0060】
第1当接部材182は、回転軸線方向における端面である押圧面182Aと、回転軸線方向に対して傾斜した斜面182Bとを有する。押圧面182Aは、カムフォロワ170により押圧される面である。斜面182Bは、スライド部材64がカムフォロワ170により回転軸線方向に押圧された場合に、支持部材90の被当接部94に当接して、現像カートリッジ60をシートSの移動方向に平行な方向へ向けて付勢し、現像カートリッジ60を移動させる(図4(b)参照)。斜面182Bは、シャフト181の一端から他端に向かうにつれて、感光ドラム50が並ぶ方向における感光ドラム50から対応する現像ローラ61に向かう方向(前方)に位置するように傾斜している。
【0061】
第2当接部材183は、第1当接部材182の斜面182Bと同様に傾斜した斜面183Bを有している。斜面183Bもスライド部材64がカムフォロワ170により回転軸線方向に押圧された場合に、支持部材90の被当接部94に当接して、現像カートリッジ60をシートSの移動方向に平行な方向へ向けて付勢し、現像カートリッジ60を移動させる(図4(b)参照)。
【0062】
第1当接部材182とケース63の間には、スライド部材64を回転軸線方向の一方、ここでは、左側に向けて付勢するバネ184が配置されている。バネ184は、圧縮コイルバネであり、コイル内にシャフト181が通るようにシャフト181の外側に配置されている。
【0063】
図5に示すように、支持部材90は、一方のサイドフレーム91Lの内側の面に、支持面としての第1支持面96Aおよび第2支持面96Bを有する。第1支持面96Aおよび第2支持面96Bは、現像ローラ61が接触位置から離間位置に移動するときに、第1突出部63Aおよび第2突出部63Bをそれぞれ下から支持する。第1支持面96Aおよび第2支持面96Bは、シートSの移動方向に延びている。第1支持面96Aは、第1突出部63Aを支持するように配置されている。第1支持面96Aは、現像カートリッジ60を支持部材90に装着するときの現像ローラ61の案内と上下方向の位置決めの機能を兼ねている。第2支持面96Bは、第2突出部63Bを支持するように第1支持面96Aの上方に配置されている。図示は省略するが、支持部材90は、他方のサイドフレーム91Rの内側の面にも、一方のサイドフレーム91Lと左右対称な第1支持面96Aおよび第2支持面96Bを有している。
【0064】
現像ローラ61が感光ドラム50に接触する接触位置に位置するとき、現像カートリッジ60Y,60M,60Cのように第1突出部63Aが第1支持面96Aにおける後寄りに位置する。一方、現像ローラ61が感光ドラム50から離間する離間位置に位置するとき、K現像カートリッジ60Kのように第1突出部63Aが第1支持面96Aにおける前寄りに位置する。
離間機構5は、現像ローラ61を、接触位置から離間位置に移動させるときに、現像ローラ61を、シートSの移動方向の下流側から上流側へ向けて移動させる。
【0065】
次に、カム150とカムフォロワ170の詳細な構造について説明する。
図12(a),(b)に示すように、カム150は、円板部151と、ギヤ部150Gと、端面カム152と、クラッチ制御カム153とを有する。カム150は、回転することにより、対応する現像ローラ61を接触位置と離間位置との間で移動させる。
円板部151は、略円板形状を有し、支持プレート102(図9参照)に回転可能に支持されている。
ギヤ部150Gは、円板部151の外周に形成されている。
【0066】
端面カム152は、離間機構5を構成する、円板部151から突出した部分である第1カム部152Aを有する。端面カム152は、回転軸線方向における端面にカム面152Fを有する。カム面152Fは、第1保持面F1と、第2保持面F2と、第1案内面F3と、第2案内面F4とを有する。第1保持面F1は、カムフォロワ170を待機位置に保持する。第2保持面F2は、カムフォロワ170を作動位置に保持する。第1案内面F3は、第1保持面F1と第2保持面F2を繋ぐ、第1保持面F1に対して傾斜した面である。第1案内面F3は、カム150が回転するにつれてカムフォロワ170を第1保持面F1から第2保持面F2に案内する。第2案内面F4は、第2保持面F2と第1保持面F1を繋ぐ、第1保持面F1に対して傾斜した面である。第2案内面F4は、カム150が回転するにつれてカムフォロワ170を第2保持面F2から第1保持面F1に案内する。
【0067】
クラッチ制御カム153は、レバー160と協働してクラッチ120の伝達・切断を切り換える部分である。クラッチ制御カム153は、円柱形状のベース円部153Aと、ベース円部153Aからカム150の直径方向に突出した第2カム部153Bとを有する。クラッチ制御カム153は、円板部151と一体に形成されている。このため、第2カム部153Bは、カム150とともに回転する。
【0068】
カムフォロワ170は、スライド軸部171と、接触部172とを有する。
スライド軸部171は、筐体10に固定された図示しない軸部にスライド移動可能に支持されて、回転軸線方向にスライド移動可能である。スライド軸部171は、付勢部材であるバネ173により、接触部172がカム150のカム面152Fに接触する方向に付勢されている。これにより、カムフォロワ170は、待機位置に向けて付勢されている。バネ173は、引張コイルバネであり、一端がスライド軸部171に掛止され、他端が筐体10内に設けられた図示しないバネ取付部に掛止されている。
接触部172は、スライド軸部171から延出して設けられている。接触部172の、回転軸線方向の端面は、カム面152Fに対向し、カム面152Fに接触可能である。
【0069】
図9に示すように、カム150Y,150M,150C,150Kは、その回転方向における第1カム部152Aの長さがYカム150Yだけが他よりも長い点が異なるだけで、他の構成はほぼ同じである。カム150C,150Kは、第1カム部152Aよりも回転中心に近い位置に、円板部151から軸方向に突出する被検出部154を有する。
【0070】
筐体10には、ブラックとシアンに対応して離間センサ4K,4Cが設けられている。離間センサ4Kは、Kカム150Kの位相を検知する位相センサであり、離間センサ4Cは、Cカム150Cの位相を検知する位相センサである。離間センサ4C,4Kは、カム150C,150Kが現像ローラ61C,61Kが離間位置にある所定の位相範囲に位置する場合に離間信号を出力し、カム150C,150Kが所定の位相範囲に位置しない場合に離間信号を出力しない。本実施形態においては、便宜上、離間信号を出力する場合をONと呼び、離間信号を出力しない場合をOFFと呼ぶ。離間信号を出力する場合と出力しない場合は、どちらの電圧が高くても構わない。
【0071】
離間センサ4K,4Cは、検出光を発する発光部4Pと、発光部4Pからの検出光を受光可能な受光部4Rを有する。離間センサ4K,4Cは、発光部4Pと受光部4Rの間に被検出部154が入って発光部4Pの検出光を遮り、受光部4Rが検出光を受光しないときに、ON信号を制御部2に出力し、発光部4Pと受光部4Rの間から被検出部154から外れて受光部4Rが発光部4Pの検出光を受光したときに、OFF信号を制御部2に出力する。なお、カム150Y,150Mにも被検出部154と同様の形状が設けられているが、カム150Y,150Mに対応する離間センサは設けられていないので、これらは、被検出部としては機能しない。
【0072】
図6に示すように、画像形成装置1は、現像モータ3Dと、プロセスモータ3Pと、定着モータ3Fと、現像モータ3Dからの駆動力を現像ローラ61に伝達する駆動伝達機構100とを備えている。各現像ローラ61(61Y,61M,61C,61K)および各カム150(150Y,150M,150C,150K)は、現像モータ3Dから駆動力が伝達されることで回転する。供給機構22は、プロセスモータ3Pから駆動力が伝達されることで駆動する。各感光ドラム50(50Y,50M,50C,50K)は、プロセスモータ3Pから駆動力が伝達されることで回転する。搬送装置70は、駆動ローラ71にプロセスモータ3Pから駆動力が伝達されることで搬送ベルト73が回転し、これによって、感光ドラム50との間でシートSを搬送するように構成されている。定着器80の加熱ローラ81は、定着モータ3Fから駆動力が伝達されることで回転する。
【0073】
次に、現像ローラ61を駆動・停止するための構成と、現像ローラ61を感光ドラム50に対して接触・離間させるように動かすための構成の詳細について説明する。
図7図8に示すように、駆動伝達機構100は、離間機構5の一部であるカム150と機械的に接続されている。駆動伝達機構100は、現像ローラ61が接触位置にある場合に現像モータ3Dからの駆動力を現像ローラ61に伝達し、現像ローラ61が離間位置にある場合に現像モータ3Dからの駆動力を現像ローラ61に伝達しないように構成されている。
【0074】
駆動伝達機構100は、図8に、現像モータ3Dの駆動力を現像ローラ61に伝達するための駆動伝達ギヤ列100Dを含んでなり、駆動伝達ギヤ列100Dの駆動力の伝達を制御するための駆動制御ギヤ列100Cと機械的に接続されている。図8図10において、駆動伝達ギヤ列100Dの各ギヤ同士の噛み合いは、太い実線で示し、駆動制御ギヤ列100Cの各ギヤ同士の噛み合いは、太い破線で示す。
【0075】
駆動伝達ギヤ列100Dは、2つの第1アイドルギヤ110(110A,110B)と、3つの第2アイドルギヤ113A,113B,113Cと、第3アイドルギヤ115(115Y,115M,115C,115K)と、4つのクラッチ120(120Y,120M,120C,120K)と、4つのカップリングギヤ117(117Y,117M,117C,117K)とを含んでなる。駆動伝達ギヤ列100Dを構成する各ギヤは、支持プレート102または図示しないフレームに支持されており、感光ドラム50の軸方向に平行な回転軸周りに回転可能である。
【0076】
各カップリングギヤ117は、同軸で一体に回転するカップリング軸119を有している(図7参照)。カップリング軸119は、フロントカバー11の開閉に連動して感光ドラム50の軸方向に移動可能に構成され、フロントカバー11を閉めると現像カートリッジ60のカップリング65(図3(a)参照)と係合する。
クラッチ120の構成とその機能については後述する。
【0077】
イエローのカップリングギヤ117Yは、現像モータ3Dの出力軸3Aから、第1アイドルギヤ110A、第2アイドルギヤ113A、第3アイドルギヤ115Yおよびクラッチ120Yを介して駆動力が伝達される。
マゼンタのカップリングギヤ117Mは、現像モータ3Dの出力軸3Aから、第1アイドルギヤ110A、第2アイドルギヤ113A、第3アイドルギヤ115Mおよびクラッチ120Mを介して駆動力が伝達される。
シアンのカップリングギヤ117Cは、現像モータ3Dの出力軸3Aから、第1アイドルギヤ110B、第2アイドルギヤ113B、第3アイドルギヤ115Cおよびクラッチ120Cを介して駆動力が伝達される。
ブラックのカップリングギヤ117Kは、現像モータ3Dの出力軸3Aから、第1アイドルギヤ110B、第2アイドルギヤ113B、第3アイドルギヤ115C、第2アイドルギヤ113C、第3アイドルギヤ115Kおよびクラッチ120Kを介して駆動力が伝達される。
【0078】
図9図10に示すように、駆動制御ギヤ列100Cは、2つの第4アイドルギヤ131(131A,131B)と、2つの第5アイドルギヤ132(132A,132B)と、切替機構の一例であるYMCクラッチ140Aと、Kクラッチ140Kと、2つの第6アイドルギヤ133(133A,133B)と、第7アイドルギヤ134と、第8アイドルギヤ135と、第9アイドルギヤ136と、第10アイドルギヤ137と、カム150(150Y,150M,150C,150K)とを含んでなる。駆動制御ギヤ列100Cを構成する各ギヤは、支持プレート102または図示しないフレームに支持されており、感光ドラム50の軸方向に平行な回転軸周りに回転可能である。
【0079】
YMCクラッチ140Aは、カム150Y,150M,150Cに駆動力を伝達する系列の駆動制御ギヤ列100Cの、駆動力の伝達・切断を切り換える。YMCクラッチ140Aは、現像モータ3Dからの駆動力をYカム150Y、Mカム150MおよびCカム150Cに伝達する伝達状態と、現像モータ3Dからの駆動力をYカム150Y、Mカム150MおよびCカム150Cに伝達しない切断状態とを切り替える。すなわち、YMCクラッチ140Aは、カム150Y,150M,150Cの回転・停止を切り替え可能である。YMCクラッチ140Aは、大径ギヤ140Lと、大径ギヤ140Lよりも歯数が少ない小径ギヤ140Sとを備える。YMCクラッチ140Aは、大径ギヤ140Lが第5アイドルギヤ132Aと噛み合っており、小径ギヤ140Sが第6アイドルギヤ133Aと噛み合っている。
【0080】
Kクラッチ140Kは、Kカム150Kに駆動力を伝達する系列の駆動制御ギヤ列100Cの、駆動力の伝達・切断を切り換える。Kクラッチ140Kは、現像モータ3Dからの駆動力をKカム150Kに伝達する伝達状態と、現像モータ3Dからの駆動力をKカム150Kに伝達しない切断状態とを切り替える。すなわち、Kクラッチ140Kは、Kカム150Kの回転・停止を切り替え可能である。Kクラッチ140Kは、大径ギヤ140Lと、大径ギヤ140Lよりも歯数が少ない小径ギヤ140Sとを備える。Kクラッチ140Kは、大径ギヤ140Lが第5アイドルギヤ132Bと噛み合っており、小径ギヤ140Sが第6アイドルギヤ133Bと噛み合っている。
【0081】
YMCクラッチ140AおよびKクラッチ140Kは、例えば、電磁クラッチであり、通電すること(ONとする)により、大径ギヤ140Lと小径ギヤ140Sが一体に回転し、通電を止めると(OFFとする)、大径ギヤ140Lが空転して小径ギヤ140Sが回転しない。なお、以下では、Kクラッチ140KやYMCクラッチ140Aを伝達状態とする場合をONと呼び、切断状態とする場合をOFFと呼ぶことがある。
【0082】
イエローのYカム150Yは、現像モータ3Dの出力軸3Aから、第1アイドルギヤ110A、第4アイドルギヤ131A、第5アイドルギヤ132A、YMCクラッチ140A、第6アイドルギヤ133Aおよび第7アイドルギヤ134を介して駆動力が伝達される。マゼンタのMカム150Mは、Yカム150Yから、第8アイドルギヤ135を介して駆動力が伝達される。シアンのCカム150Cは、Mカム150Mから、第9アイドルギヤ136を介して駆動力が伝達される。カム150Y,150M,150Cは、YMCクラッチ140Aに通電することにより同時に回転し、YMCクラッチ140Aの通電を止めることによりともに停止する。
【0083】
一方、ブラックのKカム150Kは、現像モータ3Dの出力軸3Aから、第1アイドルギヤ110B、第4アイドルギヤ131B、第5アイドルギヤ132B、Kクラッチ140K、第6アイドルギヤ133Bおよび第10アイドルギヤ137を介して駆動力が伝達される。Kカム150Kは、Kクラッチ140Kに通電することにより回転し、Kクラッチ140Kの通電を止めることにより停止する。
【0084】
次に、クラッチ120の構成とその機能について説明する。
図11(a),(b)に示すように、クラッチ120は、遊星歯車機構を有してなる。クラッチ120は、現像モータ3Dからの駆動力を現像ローラ61に伝達する伝達状態と、現像モータ3Dからの駆動力を現像ローラ61に伝達しない切断状態とで切替可能に構成されている。具体的に、クラッチ120は、一つの軸を中心に回転可能な要素であるサンギヤ121、リングギヤ122およびキャリア123と、キャリア123に支持されるプラネタリギヤ124とを備えて構成されている。
【0085】
サンギヤ121は、ギヤ部121Aと一体に回転する円板部121Bと、円板部121Bの外周に設けられた複数の爪部121Cとを有する。爪部121Cは、尖った先端を有し、この尖った先端が周方向において、一方の回転方向に傾いている。
リングギヤ122は、内周面に設けられたインナーギヤ122Aと、外周面に設けられた入力ギヤ122Bとを有する。
【0086】
キャリア123は、プラネタリギヤ124を回転可能に支持する4つの軸部123Aを有する。また、キャリア123は、外周面に出力ギヤ123Bが設けられている。
プラネタリギヤ124は、4つ設けられ、それぞれ、キャリア123の軸部123Aに回転可能に支持されている。プラネタリギヤ124は、サンギヤ121のギヤ部121Aに噛み合っているとともにリングギヤ122のインナーギヤ122Aに噛み合っている。
【0087】
クラッチ120は、入力ギヤ122Bが第3アイドルギヤ115と噛み合い、出力ギヤ123Bがカップリングギヤ117と噛み合っている(図7参照)。クラッチ120は、サンギヤ121が回転しないように止められた状態では、入力ギヤ122Bに入力された駆動力を出力ギヤ123Bに伝達できる伝達状態となり、サンギヤ121が回転できる状態では、入力ギヤ122Bに入力された駆動力を出力ギヤ123Bに伝達できない切断状態となる。クラッチ120が切断状態かつ出力ギヤ123Bに負荷が掛かっている状態で入力ギヤ122Bに駆動力が入力された場合は、出力ギヤ123Bは回転せず、サンギヤ121が空転する。
【0088】
図10に示すように、駆動伝達機構100は、レバー160をさらに備える。レバー160は、支持プレート102に固定された支持軸102Aに揺動可能に支持されている。レバー160は、カム150と協働することにより、遊星歯車機構の要素であるサンギヤ121、リングギヤ122およびキャリア123のうちの1つの要素であるサンギヤ121に係合してサンギヤ121が回転しないように規制し、クラッチ120を伝達状態とし、サンギヤ121から離脱してクラッチ120を切断状態とする機能を有する。
【0089】
具体的に、図12(a)に示すように、レバー160は、回転支持部161と、回転支持部161から延びる第1アーム162と、回転支持部161から第1アーム162と異なる方向に延びる第2アーム163とを有する。
回転支持部161は、円筒形状を有し、その内側に支持プレート102の支持軸102Aが入って、支持軸102Aに支持されている。
【0090】
第2アーム163の先端は、クラッチ120の円板部121Bの外周面に向けて延びている。レバー160は、図示しないトーションスプリングにより先端がサンギヤ121(円板部121B)の外周面に向かうように付勢されている。第2アーム163は、先端にフック163Aを有する。フック163Aは、サンギヤ121の外周面の爪部121Cに係合してサンギヤ121の回転を規制することが可能である。
【0091】
レバー160は、第1アーム162の先端部162Aが、第2カム部153Bと接触可能である。レバー160は、第1アーム162の先端部162Aがベース円部153Aと対向してフック163Aがクラッチ120の爪部121Cに係合する係合位置と、第1アーム162の先端部162Aが第2カム部153Bと接触して押し動かされることで、フック163Aが遊星歯車機構の1つの要素であるサンギヤ121の爪部121Cから離脱する離脱位置とに移動可能である。レバー160は、第2カム部153Bから離間して係合位置に位置する場合にクラッチ120を伝達状態とし、第2カム部153Bに接触して離脱位置に位置する場合にクラッチ120を切断状態とする。
【0092】
この動作について、図12から図16を参照して説明する。なお、図12から図16に示した各部材は、イエローに対応する部材であるが、他の色についても、カム150の位相が異なるのみで、基本的な動作は同じである。
【0093】
図12(a),(b)に示すように、第1アーム162の先端部162Aは、第2カム部153Bから離間した後に、ベース円部153Aに対向する。すると、第2アーム163のフック163Aは、クラッチ120のサンギヤ121の爪部121Cと係合して、レバー160は係合位置に位置する。クラッチ120は、レバー160によりサンギヤ121の回転が止められるので、入力ギヤ122Bが回転させられたときに出力ギヤ123Bが回転する伝達状態となる。これにより、現像ローラ61には、現像モータ3Dからの駆動力が伝達可能となり、現像モータ3Dが回転すると、駆動伝達ギヤ列100Dを介して現像ローラ61が回転する。また、カムフォロワ170は、接触部172の端面がカム面152Fの第1保持面F1に位置する。このため、スライド軸部171は、現像カートリッジ60のスライド部材64から離間している(図4(a)参照)。したがって、現像ローラ61は、接触位置に位置する。
【0094】
図13(a),(b)に示すように、図12(a),(b)の状態からカム150が回転すると、カムフォロワ170の接触部172が第1保持面F1上を滑り、第1案内面F3に近づく。4つあるカム150のうち、特にYカム150Yを現像ローラ61が接触位置にある状態で停止させる場合は、図13(a),(b)のような、接触部172が第1案内面F3に接する位置で停止させる。
【0095】
現像ローラ61を感光ドラム50から離間させるとき、カム150Yはさらに回転し、接触部172が第1案内面F3と摺動して第1案内面F3に押し動かされ、図14(a),(b)に示すように、接触部172が第2保持面F2に接触する。このとき、スライド軸部171は、現像カートリッジ60のスライド部材64を回転軸線方向に押し動かす。これにより、現像カートリッジ60が支持部材90の反力によって前側に押し動かされる(図4(b)参照)。現像ローラ61は、接触部172が第1案内面F3の第2保持面F2に近い位置にあるときに感光ドラム50から離間する。接触部172が第2保持面F2に接触すると、現像ローラ61は離間位置に保持される。
【0096】
図15(a),(b)に示すように、現像ローラ61が離間位置に位置した後、カム150はさらに回転し、レバー160の第1アーム162の先端部162Aが第2カム部153Bに接触する。レバー160は、第1アーム162が第2カム部153Bに押し動かされることで揺動し、フック163Aがサンギヤ121の爪部121Cから外れて離脱位置に位置する。クラッチ120のサンギヤ121は、レバー160により回転が止められなくなるので、入力ギヤ122Bが回転させられたときに出力ギヤ123Bが駆動力を伝達しない切断状態となる。これにより、現像ローラ61には、現像モータ3Dからの駆動力が伝達不能となり、現像モータ3Dが回転しても、サンギヤ121が空転するだけで現像ローラ61は回転しない。
【0097】
現像ローラ61を離間位置に位置させて維持する場合、図15(a),(b)のようなレバー160が離脱位置にある位置でカム150が停止する。4つあるカム150のうち、特にYカム150Yを現像ローラ61が離間位置にある状態で一時停止させる場合は、図15(a),(b)の状態からさらに回転させる。そして、図16(a),(b)に示すように、接触部172が第2保持面F2のうち第2案内面F4側の端部(接触部172が第2案内面F4に接触する直前の位置)で一時停止させる。
【0098】
現像ローラ61を離間位置から接触位置に移動させる場合、図15(a),(b)または図16(a),(b)の状態から、カム150を回転させる。すると、接触部172は、第2案内面F4を摺動して図12(a),(b)に示すような第1保持面F1と対向する位置に位置する。これにより、スライド軸部171は、バネ173の付勢力によって回転軸線方向に動き、スライド部材64から離れる。スライド部材64は、図4(a)の位置に戻り、現像カートリッジ60は図1の実線の位置に戻る。これによって、現像ローラ61は、感光ドラム50に接触する。現像ローラ61は、接触部172が第2案内面F4の第2保持面F2に近い位置を通過したときに感光ドラム50に接触する(図16(b)参照)。クラッチ120は、前記したように、レバー160がベース円部153Aと対向してサンギヤ121と係合する係合位置に位置することで伝達状態となる。
【0099】
本実施形態において、画像形成装置1は、4つの現像ローラ61Y,61M,61C,61Kを使ってシートSに画像を形成するカラー印刷をする場合、シートSの移動に合わせて、現像ローラ61Y,61M,61C,61Kを、離間位置から接触位置に移動させ、トナー像の転写後に接触位置から離間位置に順次移動させる。
【0100】
このため、カム150Y,150M,150Cは、第1カム部152Aの位相が所定角度ずつずれるように組み付けられている(図9参照)。具体的には、カム150M,150Cは、同じ部品が用いられ、Yカム150Yは、カム150M,150Cよりも第1カム部152Aの回転方向の長さが長い部品が用いられている。そして、Yカム150YとMカム150Mは、第1カム部152Aの回転方向の上流端の位相が揃っており、Cカム150Cは、カム150Y,150Mに対し第1カム部152Aの回転方向の上流端の位相が所定角度ずれている。また、カム150Y,150M,150Cは、第1カム部152Aの回転方向の下流端の位相が所定角度ずつずれている。一方、Kカム150Kは、カム150M,150Cと同じ部品であり、制御部2により、Cカム150Cよりも所定角度、位相が遅れて動作するように制御される。
【0101】
これにより、カム150Y,150M,150Cは、現像モータ3Dから駆動力が伝達されて同時に回転することで、Yカム150Yが、Y現像ローラ61Yを離間位置から接触位置へ移動させ、Mカム150Mが、M現像ローラ61MをY現像ローラ61Y以降かつC現像ローラ61C以前に離間位置から接触位置へ移動させ、Cカム150Cが、C現像ローラ61Cを現像ローラ61Y,61Mよりも後に離間位置から接触位置へ移動させる。具体的には、Mカム150Mは、M現像ローラ61MをY現像ローラ61Yと略同時に離間位置から接触位置へ移動させ、Cカム150Cは、C現像ローラ61CをM現像ローラ61Mよりも後に離間位置から接触位置へ移動させる。また、Kカム150Kは、K現像ローラ61KをC現像ローラ61Cよりも後に離間位置から接触位置へ移動させるように制御される。
【0102】
また、カム150Y,150M,150Cは、現像モータ3Dから駆動力が伝達されて同時に回転することで、Yカム150Yが、Y現像ローラ61Yを接触位置から離間位置へ移動させ、Mカム150Mが、M現像ローラ61MをY現像ローラ61Y以降かつC現像ローラ61C以前に接触位置から離間位置へ移動させ、Cカム150Cが、C現像ローラ61Cを現像ローラ61Y,61Mよりも後に接触位置から離間位置へ移動させる。具体的には、Mカム150Mは、M現像ローラ61MをY現像ローラ61Yよりも後に接触位置から離間位置へ移動させ、Cカム150Cは、C現像ローラ61CをM現像ローラ61Mよりも後に接触位置から離間位置へ移動させる。また、Kカム150Kは、K現像ローラ61KをC現像ローラ61Cよりも後に接触位置から離間位置へ移動させるように制御される。
【0103】
制御部2は、画像形成装置1の全体の動作を制御する装置である。制御部2は、CPU、ROM、RAM、入出力部等を有し、予め記憶されたプログラムを実行することで各処理を実行する。本実施形態において、制御部2は、給紙センサ28A、レジ前センサ28B、レジ後センサ28C、離間センサ4C,4Kからの信号に基づいて、YMCクラッチ140AおよびKクラッチ140Kを制御し、現像ローラ61の感光ドラム50に対する接触・離間を制御する。
【0104】
前記したように、本実施形態において、現像カートリッジ60M,60C,60Kは、現像ローラ61が離間位置にある場合に、シートSの移動方向の上流側に隣接する感光ドラム50を露光する光ビームの光路と重なるので、制御部2は、上流側に隣接する感光ドラム50の露光を開始する以前に現像ローラ61M,61C,61Kを接触位置に移動させるように構成されている。
【0105】
すなわち、現像ローラ61M,61Cについては、カム150Y,150M,150Cの第1カム部152Aの回転方向の長さの設定と、互いの位相のずれの機械的な設定によって、上流側に隣接する感光ドラム50の露光を開始する以前に接触位置に移動するようになっている。特にM現像ローラ61Mについては、Y現像ローラ61Yの露光以前に、M現像ローラ61Mを接触位置に位置させるため、カム150Y,150Mは、Y現像ローラ61YをY感光ドラム50Yに接触させる以前、本実施形態では、Y現像ローラ61YをY感光ドラム50Yに接触させるのと略同時にM現像ローラ61MをM感光ドラム50Mに接触させるように設定されている。
【0106】
また、K現像ローラ61Kについては、カラー印刷をする場合、C現像ローラ61Cとの関係で、Kカム150KがCカム150Cに対して所定角度遅れるように制御部2が制御する。すなわち、制御部2は、カラー印刷をする場合、C感光ドラム50Cの露光を開始する以前に、K現像ローラ61Kを接触位置へ移動させる。
【0107】
具体的には、図17(a)に示すように、制御部2は、印刷を開始する前は、現像ローラ61Y,61M,61C,61Kのすべてを離間位置に位置させておく。そして、図17(b)に示すように、制御部2は、カラー印刷の場合、シートSがY感光ドラム50Yに近づくと、Y感光ドラム50Yの露光を開始する以前に、Y現像カートリッジ60YおよびM現像カートリッジ60Mを同時に移動させ、Y現像ローラ61YおよびM現像ローラ61Mを接触位置に移動させる。具体的には、そのように現像ローラ61Y,61Mが移動するようにカム150Y,150Mの形状および位相が設定されている。これにより、Y現像ローラ61YがY感光ドラム50Yを現像し、Y感光ドラム50Yからトナー像がシートSに転写される。
【0108】
その後、図17(c)に示すように、シートSがM感光ドラム50Mに近づくと、M感光ドラム50Mの露光を開始する以前に、C現像カートリッジ60Cを移動させて、C現像ローラ61Cを接触位置に移動させる。具体的には、そのようにC現像ローラ61Cが移動するようにCカム150Cの形状および位相が設定されている。これにより、M現像ローラ61MがM感光ドラム50Mを現像し、M感光ドラム50Mからトナー像がシートSに転写される。
【0109】
そして、図17(d)に示すように、制御部2は、シートSがC感光ドラム50Cに近づくと、C感光ドラム50Cの露光を開始する以前に、K現像カートリッジ60Kを移動させ、K現像ローラ61Kを接触位置に移動させる。これにより、C現像ローラ61CがC感光ドラム50Cを現像し、C感光ドラム50Cからトナー像がシートSに転写される。また、K現像ローラ61Kが接触位置に位置することで、K現像ローラ61KがK感光ドラム50Kを現像することが可能となる。
【0110】
また、図18(a)に示すように、制御部2は、Y現像ローラ61YによるY感光ドラム50Yの現像が終了した後で、かつ、M現像ローラ61MによるM感光ドラム50Mの現像が終了する前に、Y現像カートリッジ60Yを移動させ、Y現像ローラ61Yを離間位置に移動させる。その後、図18(b)に示すように、M現像ローラ61MによるM感光ドラム50Mの現像が終了した後で、かつ、C現像ローラ61CによるC感光ドラム50Cの現像が終了する前に、M現像カートリッジ60Mが移動して、M現像ローラ61Mが離間位置に移動する。
【0111】
さらにその後、図18(c)に示すように、C現像ローラ61CによるC感光ドラム50Cの現像が終了した後で、かつ、K現像ローラ61KによるK感光ドラム50Kの現像が終了する前に、C現像カートリッジ60Cが移動して、C現像ローラ61Cが離間位置に移動する。そして、図18(d)に示すように、制御部2は、K現像ローラ61KによるK感光ドラム50Kの現像が終了した後に、K現像カートリッジ60Kを移動させ、K現像ローラ61Kを離間位置に移動させる。
【0112】
一方、制御部2は、K現像ローラ61Kだけを使ってシートSに画像を形成するモノクロ印刷をする場合、現像ローラ61Y,61M,61Cを離間位置に維持し、K感光ドラム50Kの露光を開始する以前に、K現像カートリッジ60Kを移動させてK現像ローラ61Kを接触位置に移動させる。そして、制御部2は、K感光ドラム50Kの現像が終了した後に、K現像ローラ61Kを離間位置へ移動させる。
【0113】
また、制御部2は、シートSの搬送と現像ローラ61Y,61Kの対応する感光ドラム50Y,50Kへの接触タイミングを合わせる制御を実行する。すなわち、制御部2は、印刷ジョブを受信した場合、カム150Y,150M,150C,150Kを回転させる。そして、離間センサ4CからON信号を取得しなくなった時点(OFF信号になった時点)から第1時間TC1経過後の一時停止タイミングであって、Y現像ローラ61YがY感光ドラム50Yに接触しない一時停止タイミングでYMCクラッチ140Aを制御してカム150Y,150M,150Cを停止させる。そして、レジ前センサ28BがシートSの前端の通過を検知した時点から第2時間TC2経過後の再開タイミングでYMCクラッチ140Aを制御してカム150Y,150M,150Cを回転させ、Y現像ローラ61YをY感光ドラム50Yに接触させて画像形成を実行する。
【0114】
また、制御部2は、離間センサ4KからON信号を取得しなくなった時点(OFF信号になった時点)から第1時間TK1経過後の一時停止タイミングであって、K現像ローラ61KがK感光ドラム50Kに接触しない一時停止タイミングでKクラッチ140Kを制御してKカム150Kを停止させる。そして、レジ後センサ28CがシートSの前端の通過を検知した時点から第2時間TK2経過後の再開タイミングでKクラッチ140Kを制御してKカム150Kを回転させ、K現像ローラ61KをK感光ドラム50Kに接触させて現像を実行する。
【0115】
また、本実施形態において、制御部2は、現像モータ3Dの回転速度を変更して現像ローラ61の回転速度を変更可能に構成されている。具体的には、制御部2は、第1モードと、第2モードとを実行可能である。第1モードは、現像モータ3Dを第1回転速度で回転させ、かつ、プロセスモータ3Pを第2回転速度で回転させ、定着モータ3Fを第4回転速度で回転させるモードである。本実施形態では、第1モードを標準モードと呼ぶ。
【0116】
一方、第2モードは、現像モータ3Dを標準モードの場合の第1回転速度とは異なる第3回転速度で回転させ、かつ、プロセスモータ3Pを標準モードの場合と同じ第2回転速度で回転させ、定着モータ3Fを標準モードの場合と同じ第4回転速度で回転させるモードである。本実施形態において、第2モードは、低速モードと、高速モードとを含む。低速モードでは、第3回転速度は、第1回転速度よりも遅い回転速度であり、高速モードでは、第3回転速度は、第1回転速度よりも速い回転速度である。
【0117】
このように、本実施形態において、制御部2は、現像モータ3Dを第1回転速度で回転させる標準モードと、現像モータ3Dを第1回転速度よりも遅い回転速度で回転させる低速モードと、現像モータ3Dを第1回転速度よりも速い回転速度で回転させる高速モードとを実行可能である。なお、前記したように、制御部2は、画像形成のモードの切り替えにおいて、現像モータ3Dの回転速度の変更するのみであり、プロセスモータ3Pおよび定着モータ3Fの回転速度、すなわち、シートSの搬送速度は変更しない。
【0118】
画像形成装置1は、筐体10内の温度を検知する温度センサ6(図1参照)を備えている。そして、制御部2は、温度センサ6の検知温度が所定温度よりも高い場合、標準モードを実行し、温度センサ6の検知温度が所定温度以下である場合、低速モードを実行する。また、制御部2は、トナー節約モードのように、単位時間あたりの現像ローラ61から対応する感光ドラム50に供給されるトナーの量を標準モードよりも少なくして印刷をする場合、低速モードを実行する。また、制御部2は、シートSに形成される画像の濃度を濃くするため、単位時間あたりの現像ローラ61から対応する感光ドラム50に供給されるトナーの量を標準モードよりも多くして印刷をする場合、高速モードを実行する。
【0119】
なお、画像形成装置1においては、現像モータ3Dからの駆動力が現像ローラ61と、現像ローラ61を接触位置と離間位置との間で移動させるカム150の両方に伝達されるため、低速モードの場合には、現像ローラ61の回転速度だけでなく、カム150の回転速度と、カム150の回転に伴う現像ローラ61の接触位置と離間位置との間の移動速度も、標準モードの場合よりも遅くなる。また、高速モードの場合には、現像ローラ61の回転速度だけでなく、カム150の回転速度と、現像ローラ61の接触位置と離間位置との間の移動速度も、標準モードの場合よりも速くなる。
【0120】
また、制御部2は、現像ローラ61Y,61M,61Cを離間位置から接触位置へ移動させる場合、低速モードにおいてC現像ローラ61CがC感光ドラム50Cに接触するタイミングが、標準モードにおいてC現像ローラ61CがC感光ドラム50Cに接触するタイミング以前のタイミングとなるように、YMCクラッチ140Aを伝達状態とする。本実施形態では、制御部2は、低速モードにおいてC現像ローラ61CがC感光ドラム50Cに接触するタイミングが、標準モードにおいてC現像ローラ61CがC感光ドラム50Cに接触するタイミングと同じタイミングとなるように、YMCクラッチ140AをONとする。
【0121】
具体的には、制御部2は、図22に示す標準モードの場合、レジ前センサ28BがシートSの前端の通過を検知した時点(t1)から第2時間TC2nが経過したときに、YMCクラッチ140AをONとし、カム150Y,150M,150Cを回転させて、現像ローラ61Y,61M,61Cの離間位置から接触位置への移動を開始する。一方、制御部2は、図23に示す低速モードの場合、レジ前センサ28BがシートSの前端の通過を検知した時点(t1)から、標準モードの場合の第2時間TC2nよりも短い第2時間TC2sが経過したときに、YMCクラッチ140AをONとし、標準モードの場合よりも早いタイミングでカム150Y,150M,150Cを回転させて、現像ローラ61Y,61M,61Cの離間位置から接触位置への移動を開始する。低速モードの場合の第2時間TC2sは、C現像ローラ61CがC感光ドラム50Cに接触するタイミングが、標準モードの場合と同じタイミングとなるような時間に設定されている。
【0122】
また、本実施形態において、制御部2は、K現像ローラ61Kを離間位置から接触位置へ移動させる場合、低速モードにおいてK現像ローラ61KがK感光ドラム50Kに接触するタイミングが、標準モードにおいてK現像ローラ61KがK感光ドラム50Kに接触するタイミングと同じタイミングとなるように、Kクラッチ140KをONとする。
【0123】
具体的には、制御部2は、図22に示す標準モードの場合、レジ後センサ28CがシートSの前端の通過を検知した時点(t2)から第2時間TK2nが経過したときに、Kクラッチ140KをONとし、Kカム150Kを回転させて、K現像ローラ61Kの離間位置から接触位置への移動を開始する。一方、制御部2は、図23に示す低速モードの場合、レジ後センサ28CがシートSの前端の通過を検知した時点(t2)から、標準モードの場合の第2時間TK2nよりも短い第2時間TK2sが経過したときに、Kクラッチ140KをONとし、標準モードの場合よりも早いタイミングでKカム150Kを回転させて、K現像ローラ61Kの離間位置から接触位置への移動を開始する。低速モードの場合の第2時間TK2sは、K現像ローラ61KがK感光ドラム50Kに接触するタイミングが、標準モードの場合と同じタイミングとなるような時間に設定されている。
【0124】
また、制御部2は、現像ローラ61Y,61M,61Cを接触位置から離間位置へ移動させる場合、低速モードにおいてY現像ローラ61YがY感光ドラム50Yから離間し始めるタイミングが、標準モードにおいてY現像ローラ61YがY感光ドラム50Yから離間し始めるタイミング以降のタイミングとなるように、YMCクラッチ140Aを伝達状態とする。本実施形態では、制御部2は、低速モードにおいてY現像ローラ61YがY感光ドラム50Yから離間し始めるタイミングが、標準モードにおいてY現像ローラ61YがY感光ドラム50Yから離間し始めるタイミングと同じタイミングとなるように、YMCクラッチ140AをONとする。
【0125】
具体的には、制御部2は、図22に示す標準モードおよび図23に示す低速モードのいずれの場合においても、レジ後センサ28CがシートSの後端の通過を検知した時点(t4)から第4時間TC4nが経過したときに、YMCクラッチ140AをONとし、カム150Y,150M,150Cを回転させて、現像ローラ61Y,61M,61Cの接触位置から離間位置への移動を開始する。
【0126】
また、制御部2は、K現像ローラ61Kを接触位置から離間位置へ移動させる場合、低速モードにおいてK現像ローラ61KがK感光ドラム50Kから離間し始めるタイミングが、標準モードにおいてK現像ローラ61KがK感光ドラム50Kから離間し始めるタイミングと同じタイミングとなるように、Kクラッチ140KをONとする。
【0127】
具体的には、制御部2は、標準モードおよび低速モードのいずれの場合においても、レジ後センサ28CがシートSの後端の通過を検知した時点(t4)から第4時間TK4が経過したときに、Kクラッチ140KをONとし、Kカム150Kを回転させて、K現像ローラ61Kの接触位置から離間位置への移動を開始する。
【0128】
また、制御部2、現像ローラ61Y,61M,61Cを離間位置から接触位置へ移動させる場合、高速モードにおいてY現像ローラ61YがY感光ドラム50Yに接触するタイミングが、標準モードにおいてY現像ローラ61YがY感光ドラム50Yに接触するタイミング以前のタイミングとなるように、YMCクラッチ140Aを伝達状態とする。本実施形態では、制御部2、高速モードにおいてY現像ローラ61YがY感光ドラム50Yに接触するタイミングが、標準モードにおいてY現像ローラ61YがY感光ドラム50Yに接触するタイミングと同じタイミングとなるように、YMCクラッチ140AをONとする。
【0129】
具体的には、制御部2は、図24に示す高速モードの場合、レジ前センサ28BがシートSの前端の通過を検知した時点(t1)から、標準モードの場合の第2時間TC2nよりも長い第2時間TC2fが経過したときに、YMCクラッチ140AをONとし、標準モードの場合よりも遅いタイミングでカム150Y,150M,150Cを回転させて、現像ローラ61Y,61M,61Cの離間位置から接触位置への移動を開始する。高速モードの場合の第2時間TC2fは、Y現像ローラ61YがY感光ドラム50Yに接触するタイミングが、標準モードの場合と同じタイミングとなるような時間に設定されている。
【0130】
また、本実施形態において、制御部2は、K現像ローラ61Kを離間位置から接触位置へ移動させる場合、高速モードにおいてK現像ローラ61KがK感光ドラム50Kに接触するタイミングが、標準モードにおいてK現像ローラ61KがK感光ドラム50Kに接触するタイミングと同じタイミングとなるように、Kクラッチ140KをONとする。
【0131】
具体的には、制御部2は、高速モードの場合、レジ後センサ28CがシートSの前端の通過を検知した時点(t2)から、標準モードの場合の第2時間TK2nよりも長い第2時間TK2fが経過したときに、Kクラッチ140KをONとし、標準モードの場合よりも遅いタイミングでKカム150Kを回転させて、K現像ローラ61Kの離間位置から接触位置への移動を開始する。高速モードの場合の第2時間TK2fは、K現像ローラ61KがK感光ドラム50Kに接触するタイミングが、標準モードの場合と同じタイミングとなるような時間に設定されている。
【0132】
また、制御部2は、現像ローラ61Y,61M,61Cを接触位置から離間位置へ移動させる場合、高速モードにおいてC現像ローラ61CがC感光ドラム50Cから離間し始めるタイミングが、標準モードにおいてC現像ローラ61CがC感光ドラム50Cから離間し始めるタイミング以降のタイミングとなるように、YMCクラッチ140Aを伝達状態とする。本実施形態では、制御部2は、高速モードにおいてC現像ローラ61CがC感光ドラム50Cから離間し始めるタイミングが、標準モードにおいてC現像ローラ61CがC感光ドラム50Cから離間し始めるタイミングと同じタイミングとなるように、YMCクラッチ140AをONとする。
【0133】
具体的には、制御部2は、高速モードの場合、レジ後センサ28CがシートSの後端の通過を検知した時点(t4)から、標準モードの場合の第4時間TC4nよりも長い第4時間TC4fが経過したときに、YMCクラッチ140AをONとし、標準モードの場合よりも遅いタイミングでカム150Y,150M,150Cを回転させて、現像ローラ61Y,61M,61Cの接触位置から離間位置への移動を開始する。高速モードの場合の第4時間TC4fは、C現像ローラ61CがC感光ドラム50Cから離間し始めるタイミングが、標準モードの場合と同じタイミングとなるような時間に設定されている。
【0134】
また、制御部2は、K現像ローラ61Kを接触位置から離間位置へ移動させる場合、高速モードにおいてK現像ローラ61KがK感光ドラム50Kから離間し始めるタイミングが、標準モードにおいてK現像ローラ61KがK感光ドラム50Kから離間し始めるタイミングと同じタイミングとなるように、Kクラッチ140KをONとする。
【0135】
具体的には、制御部2は、高速モードの場合も、標準モード(および低速モード)の場合と同様に、レジ後センサ28CがシートSの後端の通過を検知した時点(t4)から、標準モードの場合と同じ第4時間TK4が経過したときに、Kクラッチ140KをONとし、Kカム150Kを回転させて、K現像ローラ61Kの接触位置から離間位置への移動を開始する。
【0136】
次に、制御部2の処理の一例について、図19図24を参照して説明する。
図19に示すように、制御部2は、印刷ジョブを受信したとき、印刷ジョブに含まれる1頁目の画像形成のモードを判定してパラメータを設定するとともに(S11)、印刷ジョブに含まれる1頁目の画像形成がカラー画像か否かを判定する(S12)。
【0137】
具体的には、図20に示すように、ステップS11において、制御部2は、画像形成のモードが標準モードである場合(S101,NoかつS102,No)、第1時間TC1をTC1nに設定し、第1時間TK1をTK1nに設定し、第2時間TC2をTC2nに設定し、第2時間TK2をTK2nに設定し、第3時間TC3をTC3nに設定し、第3時間TK3をTK3nに設定し、第4時間TC4をTC4nに設定する(S103)。なお、本実施形態において、第4時間TK4は、固定値である。
【0138】
そして、図19に示すように、制御部2は、形成すべき画像がカラー画像であると判定した場合(S12,Yes)、カラー印刷の処理を実行し(S21)、形成すべき画像がモノクロ画像である(カラー画像でない)と判定した場合(S12,No)、モノクロ印刷の処理を実行する(S22)。そして、ステップS21またはS22で1頁の画像形成が終了すると、印刷ジョブに次の頁があるか判定し(S31)、次の頁がある場合(S31,Yes)、ステップS11からの処理を繰り返し、印刷ジョブに次の頁がない場合(S31,No)、処理を終了する。
【0139】
次に、図21のフローチャートおよび図22のタイミングチャートを参照して、標準モードでカラー印刷の処理を実行する場合について説明する。図21および図22と、後で参照する図23および図24では、1枚の印刷をする処理を示している。また、図21では、(a)にYMCクラッチ140Aの制御を示し、(b)にKクラッチ140Kの制御を示している。また、図22図24では、一番上のイエローのY現像ローラ61Yの動作のタイミングチャートに重ねて、線種を変えてマゼンタのM現像ローラ61MおよびシアンのC現像ローラ61Cの動作を示している。
【0140】
カラー印刷の処理をする場合、画像形成動作の前はすべての現像ローラ61が離間位置にある。制御部2は、現像ローラ61を順次、接触位置にするため、まず、YMCクラッチ140AをONにするとともに(S201)、Kクラッチ140KをONにする(S301)(t0)。これにより、カム150Y,150M,150C,150Kが回転する。カム150Y,150M,150C,150Kが回転すると、すぐに、離間センサ4C,4KがOFFになる(t11)。
【0141】
そして、制御部2は、シートSの搬送を開始後、シートSがY感光ドラム50Yに到達する前の期間に、シアンの離間センサ4CがOFF信号を出力した時点(t11)から第1時間TC1(TC1n)が経過したか否か判定する(S202)。制御部2は、第1時間TC1(TC1n)が経過したと判定したら(図21(a)、S202,Yes)、YMCクラッチ140AをOFFにして(S203,t12)、一時停止タイミングでカム150Y,150M,150Cを停止させる。第1時間TC1は、一時停止タイミングにおいて、イエローのカムフォロワ170の接触部172が、Yカム150Yの第2保持面F2のうち、最も第2案内面F4に近い位置に位置するような時間に設定されている。これにより、カム150Y,150M,150Cの回転が再開すると、すぐにイエローのカムフォロワ170が第2案内面F4に移動し、Y現像ローラ61Yが接触位置へ向けて動き出すようになっている。
【0142】
また、制御部2は、シートSがK感光ドラム50Kに到達する前の期間に、ブラックの離間センサ4KがOFF信号を出力した時点(t11)から第1時間TK1(TK1n)が経過したか否か判定する(図21(b)、S302)。制御部2は、第1時間TK1(TK1n)が経過したと判定したら(S302,Yes)、Kクラッチ140KをOFFにして(S303,t22)、一時停止タイミングでKカム150Kを停止させる。第1時間TK1は、一時停止タイミングにおいて、ブラックのカムフォロワ170の接触部172が、Kカム150Kの第2保持面F2のうち、最も第2案内面F4に近い位置に位置するような時間に設定されている。これにより、Kカム150Kの回転が再開すると、すぐにカムフォロワ170が第2案内面F4に移動し、K現像ローラ61Kが接触位置へ向けて動き出すようになっている。なお、第1時間TC1と第1時間TK1は異なる時間である。
【0143】
次に、制御部2は、レジ前センサ28BがシートSの前端の通過を検知してONとなった時点(t1)から第2時間TC2(TC2n)が経過したか否か判定し(図21(a)、S211)、経過したと判定したら(S211,Yes)、YMCクラッチ140AをONにして(S212,t13)、再開タイミングでカム150Y,150M,150Cの回転を再開させる。第2時間TC2は、Y現像ローラ61YによるY感光ドラム50Yの現像が、搬送されてきたシートSへのトナー像の転写に間に合うような時間に設定されている。
【0144】
次に、制御部2は、レジ後センサ28CがシートSの前端の通過を検知してONとなった時点(t2)から第2時間TK2(TK2n)が経過したかを判定し(図21(b)、S311)、経過したと判定したら(S311,Yes)、Kクラッチ140KをONにして(S312,t23)、Kカム150Kを回転させる。第2時間TK2は、K現像ローラ61KによるK感光ドラム50Kの現像が、搬送されてきたシートSへのトナー像の転写に間に合うような時間に設定されている。
【0145】
次に、制御部2は、YMCクラッチ140AをON(t13)にしてから第3時間TC3(TC3n)が経過したか否か判定し(図21(a)、S213)、経過したと判定したら(S213,Yes)、YMCクラッチ140AをOFFにして(S214,t14)、カム150Y,150M,150Cを停止させる。第3時間TC3は、現像ローラ61Y,61M,61Cのすべてが接触位置に位置した後、イエローのカムフォロワ170の接触部172が、Yカム150Yの第1保持面F1のうち、最も第1案内面F3に近い位置に位置するような時間に設定されている。これにより、カム150Y,150M,150Cの回転が再開すると、すぐにイエローのカムフォロワ170が第1案内面F3に移動し、Y現像ローラ61Yが離間位置へ向けて動き出すようになっている。
【0146】
次に、制御部2は、Kクラッチ140KをON(t23)にしてから第3時間TK3(TK3n)が経過したか否か判定し(図21(b)、S313)、経過したと判定したら(S313,Yes)、Kクラッチ140KをOFFにして(S314,t24)、Kカム150Kを停止させる。第3時間TK3は、K現像ローラ61Kが接触位置に位置した後、ブラックのカムフォロワ170の接触部172が、Kカム150Kの第1保持面F1のうち、最も第1案内面F3に近い位置に位置するような時間に設定されている。これにより、Kカム150Kの回転が再開すると、すぐにカムフォロワ170が第1案内面F3に移動し、K現像ローラ61Kが接触位置へ向けて動き出すようになっている。
【0147】
なお、制御部2は、レジ後センサ28CがONとなった時点(t2)から所定時間TE1が経過したら露光装置40から光ビームを照射させて感光ドラム50Y,50M,50M,50Kの露光を順次開始する。標準モードの場合、Y感光ドラム50Yの露光開始と略同時にY現像ローラ61YおよびM現像ローラ61Mが接触位置に位置し、M感光ドラム50Mの露光開始と略同時にC現像ローラ61Cが接触位置に位置し、C感光ドラム50Cの露光開始と略同時にK現像ローラ61Kが接触位置に位置する。
【0148】
その後、制御部2は、レジ後センサ28CがシートSの後端の通過を検知してOFFとなった時点(t4)から第4時間TC4(TC4n)が経過したかを判定し(図21(a)、S231)、経過したと判定したら(S231,Yes)、YMCクラッチ140AをONにして(S232,t15)、カム150Y,150M,150Cを回転させ、Y現像ローラ61Y、M現像ローラ61M、C現像ローラ61Cを順次離間させ始める。第4時間TC4は、Y現像ローラ61YによりY感光ドラム50Yの現像が完了し、さらに、Y感光ドラム50YからシートSへの転写が終わった直後にY現像ローラ61Yが離間位置に移動し始めるような時間に設定されている。
【0149】
そして、制御部2は、シアンの離間センサ4CがON信号(離間信号)を出力したか否かを判定し(S233)、ON信号を出力したと判定したら(S233,Yes)、YMCクラッチ140AをOFFにして(S234,t16)、カム150Y,150M,150Cを停止させる。
【0150】
また、制御部2は、レジ後センサ28CがOFFとなった時点(t4)から第4時間TK4が経過したかを判定し(図21(b)、S331)、経過したと判定したら(S331,Yes)、Kクラッチ140KをONにして(S332,t25)、Kカム150Kを回転させる。第4時間TK4は、K現像ローラ61KによりK感光ドラム50Kに現像が完了し、さらに、K感光ドラム50KからシートSへの転写が終わった直後にK現像ローラ61Kが離間位置に移動し始めるような時間に設定されている。
【0151】
そして、制御部2は、ブラックの離間センサ4KがON信号を出力したか否かを判定し(S333)、ON信号を出力したと判定したら(S333,Yes)、Kクラッチ140KをOFFにして(S334,t26)、Kカム150Kを停止させる。
【0152】
なお、制御部2は、レジ後センサ28CがOFFとなった時点(t4)から所定時間TE2が経過したら露光装置40からの光ビームの照射を停止して感光ドラム50Y,50M,50M,50Kの露光を順次終了する。標準モードの場合、Y感光ドラム50Yの露光終了と略同時にY現像ローラ61Yが離間位置に移動し始め、M感光ドラム50Mの露光終了と略同時にM現像ローラ61Mが離間位置に移動し始め、C感光ドラム50Cの露光終了と略同時にC現像ローラ61Cが離間位置に移動し始め、K感光ドラム50Kの露光終了と略同時にK現像ローラ61Kが離間位置に移動し始める。
【0153】
次に、図23のタイミングチャートを参照して、低速モードでカラー印刷の処理を実行する場合について説明する。
低速モードの場合(図20、S101,Yes)、第1時間TC1をTC1sに設定し、第1時間TK1をTK1sに設定し、第2時間TC2をTC2sに設定し、第2時間TK2をTK2sに設定し、第3時間TC3をTC3sに設定し、第3時間TK3をTK3sに設定し、第4時間TC4を標準モードの場合と同じTC4nに設定する(S104)。
【0154】
そして、制御部2は、YMCクラッチ140AおよびKクラッチ140KをONにする(t0)。これにより、カム150が回転し、離間センサ4C,4KがOFFになる(t31)。そして、制御部2は、シアンの離間センサ4CがOFFとなってから第1時間TC1sが経過したら、YMCクラッチ140AをOFFにして(t32)、カム150Y,150M,150Cを停止させる。カム150の回転速度が遅くなる低速モードの場合の第1時間TC1sは、標準モードの場合の第1時間TC1nよりも長い時間に設定されている。次に、制御部2は、レジ前センサ28BがONとなった時点(t1)から第2時間TC2sが経過したら、YMCクラッチ140AをONにして(t33)、カム150Y,150M,150Cの回転を再開させる。
【0155】
また、制御部2は、ブラックの離間センサ4KがOFFとなってから第1時間TK1sが経過したら、Kクラッチ140KをOFFにして(t42)、Kカム150Kを停止させる。低速モードの場合の第1時間TK1sは、標準モードの場合の第1時間TK1nよりも長い時間に設定されている。次に、制御部2は、レジ後センサ28CがONとなった時点(t2)から第2時間TK2sが経過したら、Kクラッチ140KをONにして(t43)、Kカム150Kを回転させる。
【0156】
次に、制御部2は、YMCクラッチ140AをON(t33)にしてから第3時間TC3sが経過したら、YMCクラッチ140AをOFFにして(t34)、カム150Y,150M,150Cを停止させる。現像ローラ61の離間位置から接触位置への移動速度が遅くなる低速モードの場合の第3時間TC3sは、標準モードの場合の第3時間TC3nよりも長い時間に設定されている。
【0157】
次に、制御部2は、Kクラッチ140KをON(t43)にしてから第3時間TK3sが経過したら、Kクラッチ140KをOFFにして(t44)、Kカム150Kを停止させる。低速モードの場合の第3時間TK3sは、標準モードの場合の第3時間TK3nよりも長い時間に設定されている。
【0158】
低速モードの場合、Y感光ドラム50Yの露光開始よりも前にY現像ローラ61YおよびM現像ローラ61Mが接触位置に位置し、M感光ドラム50Mの露光開始と略同時にC現像ローラ61Cが接触位置に位置し、C感光ドラム50Cの露光開始と略同時にK現像ローラ61Kが接触位置に位置する。
【0159】
次に、制御部2は、レジ後センサ28CがOFFとなった時点(t4)から第4時間TC4nが経過したら、YMCクラッチ140AをONにして(t35)、カム150Y,150M,150Cを回転させ、Y現像ローラ61Y、M現像ローラ61M、C現像ローラ61Cを順次離間させ始める。そして、制御部2は、シアンの離間センサ4CがONとなったら、YMCクラッチ140AをOFFにして(t36)、カム150Y,150M,150Cを停止させる。
【0160】
また、制御部2は、レジ後センサ28CがOFFとなった時点(t4)から第4時間TK4が経過したら、Kクラッチ140KをONにして(t45)、Kカム150Kを回転させ、K現像ローラ61Kを離間させ始める。そして、制御部2は、ブラックの離間センサ4KがONとなったら、Kクラッチ140KをOFFにして(t46)、Kカム150Kを停止させる。
【0161】
低速モードの場合、Y感光ドラム50Yの露光終了と略同時にY現像ローラ61Yが離間位置に移動し始め、M感光ドラム50Mの露光終了後にM現像ローラ61Mが離間位置に移動し始め、C感光ドラム50Cの露光終了後にC現像ローラ61Cが離間位置に移動し始め、K感光ドラム50Kの露光終了と略同時にK現像ローラ61Kが離間位置に移動し始める。
【0162】
次に、図24のタイミングチャートを参照して、高速モードでカラー印刷の処理を実行する場合について説明する。
高速モードの場合(図20、S101,NoかつS102,Yes)、第1時間TC1をTC1fに設定し、第1時間TK1をTK1fに設定し、第2時間TC2をTC2fに設定し、第2時間TK2をTK2fに設定し、第3時間TC3をTC3fに設定し、第3時間TK3をTK3fに設定し、第4時間TC4をTC4fに設定する(S105)。
【0163】
そして、制御部2は、YMCクラッチ140AおよびKクラッチ140KをONにする(t0)。これにより、カム150が回転し、離間センサ4C,4KがOFFになる(t51)。そして、制御部2は、シアンの離間センサ4CがOFFとなってから第1時間TC1fが経過したら、YMCクラッチ140AをOFFにして(t52)、カム150Y,150M,150Cを停止させる。カム150の回転速度が速くなる高速モードの場合の第1時間TC1fは、標準モードの場合の第1時間TC1nよりも短い時間に設定されている。
【0164】
また、制御部2は、ブラックの離間センサ4KがOFFとなってから第1時間TK1fが経過したら、Kクラッチ140KをOFFにして(t62)、Kカム150Kを停止させる。高速モードの場合の第1時間TK1fは、標準モードの場合の第1時間TK1nよりも短い時間に設定されている。
【0165】
次に、制御部2は、レジ前センサ28BがONとなった時点(t1)から第2時間TC2fが経過したら、YMCクラッチ140AをONにして(t53)、カム150Y,150M,150Cの回転を再開させる。次に、制御部2は、YMCクラッチ140AをON(t53)にしてから第3時間TC3fが経過したら、YMCクラッチ140AをOFFにして(t54)、カム150Y,150M,150Cを停止させる。現像ローラ61の離間位置から接触位置への移動速度が速くなる高速モードの場合の第3時間TC3fは、標準モードの場合の第3時間TC3nよりも短い時間に設定されている。
【0166】
次に、制御部2は、レジ後センサ28CがONとなった時点(t2)から第2時間TK2fが経過したら、Kクラッチ140KをONにして(t63)、Kカム150Kを回転させる。次に、制御部2は、Kクラッチ140KをON(t63)にしてから第3時間TK3fが経過したら、Kクラッチ140KをOFFにして(t64)、Kカム150Kを停止させる。高速モードの場合の第3時間TK3fは、標準モードの場合の第3時間TK3nよりも短い時間に設定されている。
【0167】
高速モードの場合、Y感光ドラム50Yの露光開始と略同時にY現像ローラ61YおよびM現像ローラ61Mが接触位置に位置し、M感光ドラム50Mの露光開始前にC現像ローラ61Cが接触位置に位置し、C感光ドラム50Cの露光開始と略同時にK現像ローラ61Kが接触位置に位置する。
【0168】
次に、制御部2は、レジ後センサ28CがOFFとなった時点(t4)から第4時間TC4fが経過したら、YMCクラッチ140AをONにして(t55)、カム150Y,150M,150Cを回転させ、Y現像ローラ61Y、M現像ローラ61M、C現像ローラ61Cを順次離間させ始める。そして、制御部2は、シアンの離間センサ4CがONとなったら、YMCクラッチ140AをOFFにして(t56)、カム150Y,150M,150Cを停止させる。
【0169】
次に、制御部2は、レジ後センサ28CがOFFとなった時点(t4)から第4時間TK4が経過したら、Kクラッチ140KをONにして(t65)、Kカム150Kを回転させ、K現像ローラ61Kを離間させ始める。そして、制御部2は、ブラックの離間センサ4KがONとなったら、Kクラッチ140KをOFFにして(t66)、Kカム150Kを停止させる。
【0170】
高速モードの場合、Y感光ドラム50Yの露光終了後にY現像ローラ61Yが離間位置に移動し始め、M感光ドラム50Mの露光終了後にM現像ローラ61Mが離間位置に移動し始め、C感光ドラム50Cの露光終了と略同時にC現像ローラ61Cが離間位置に移動し始め、K感光ドラム50Kの露光終了と略同時にK現像ローラ61Kが離間位置に移動し始める。
【0171】
なお、モノクロ印刷の処理については、YMCクラッチ140Aを一切動かさず、現像ローラ61Y,61M,61Cを離間位置に位置させたままとすること(すなわち、図21(a)の処理を実行しないこと)以外は、上記と同様であるため説明を省略する。
【0172】
以上に説明した画像形成装置1による作用効果について説明する。
画像形成装置1は、図6に示したように、プロセスモータ3Pにより感光ドラム50等のシートSの搬送に関わる部材を駆動させ、現像モータ3Dにより現像ローラ61とカム150を駆動させるので、現像ローラ61と感光ドラム50を接触・離間させることが可能な構成において、感光ドラム、現像ローラおよびカムのそれぞれに対応してモータを設ける場合と比較して、モータの数を抑制しつつ、感光ドラム50と現像ローラ61の回転速度比を変更することができる。
【0173】
また、画像形成装置1は、現像ローラ61を離間位置から接触位置へ移動させる場合、図25(b)に示す低速モードでC現像ローラ61Cが接触位置に位置するタイミングが、図25(a)に示す標準モードでC現像ローラ61Cが接触位置に位置するタイミング以前のタイミングとなるように、標準モードの場合(t13)よりも早いタイミング(t33)でYMCクラッチ140AをONとしてカム150Y,150M,150Cを回転させ、現像ローラ61Y,61M,61Cを接触位置に向けて移動させるので、画像形成のモードに関わらず、シートSの搬送に合わせて感光ドラム50Y,50M,50Cの現像に間に合うタイミングで現像ローラ61Y,61M,61Cを対応する感光ドラム50Y,50M,50Cに接触させることができる。
【0174】
このように、画像形成装置1は、感光ドラム50と現像ローラ61の回転速度比を変更することと、シートSの搬送に合わせて感光ドラム50の現像に間に合うタイミングで現像ローラ61を感光ドラム50に接触させることを両立することができる。
【0175】
また、画像形成装置1は、図25(a)に示す標準モードと図25(b)に示す低速モードとでC現像ローラ61Cが接触位置に位置するタイミングが同じなので、低速モードでC現像ローラ61Cが接触位置に位置するタイミングが標準モードのときよりも早い場合と比較して、低速モードの場合に、C現像ローラ61CとC感光ドラム50Cの接触時間が延びるのを防止することができるとともに、現像ローラ61Y,61Mと対応する感光ドラム50Y,50Mの接触時間が延びるのを最小限にすることができる。
【0176】
また、画像形成装置1は、図25(a)に示す標準モードと図25(b)に示す低速モードとでY現像ローラ61YがY感光ドラム50Yから離間し始めるタイミングが同じなので、低速モードでY現像ローラ61Yが離間し始めるタイミングが標準モードのときよりも遅い場合と比較して、低速モードの場合に、Y現像ローラ61YとY感光ドラム50Yの接触時間が延びるのを防止することができるとともに、現像ローラ61M,61Cと対応する感光ドラム50M,50Cの接触時間が延びるのを最小限にすることができる。
【0177】
また、画像形成装置1は、現像ローラ61を離間位置から接触位置へ移動させる場合、図25(c)に示す高速モードでY現像ローラ61Yが接触位置に位置するタイミングが、図25(a)に示す標準モードでY現像ローラ61Yが接触位置に位置するタイミング以前のタイミングとなるように、標準モードの場合(t13)よりも遅いタイミング(t53)でYMCクラッチ140AをONとしてカム150Y,150M,150Cを回転させ、現像ローラ61Y,61M,61Cを接触位置に向けて移動させるので、画像形成のモードに関わらず、シートSの搬送に合わせて感光ドラム50Y,50M,50Cの現像に間に合うタイミングで現像ローラ61Y,61M,61Cを対応する感光ドラム50Y,50M,50Cに接触させることができる。
【0178】
また、標準モードの場合よりも早いタイミングでYMCクラッチ140AをONとしてカム150Y,150M,150Cを回転させる場合と比較して、高速モードの場合に、現像ローラ61と感光ドラム50の接触時間が必要以上に延びるのを抑制することができる。
【0179】
また、画像形成装置1は、標準モードと高速モードとでY現像ローラ61Yが接触位置に位置するタイミングが同じなので、高速モードでY現像ローラ61Yが接触位置に位置するタイミングが標準モードのときよりも早い場合と比較して、高速モードの場合に、Y現像ローラ61YとY感光ドラム50Yの接触時間が延びるのを防止することができるとともに、現像ローラ61M,61Cと対応する感光ドラム50M,50Cの接触時間が延びるのを最小限にすることができる。
【0180】
また、画像形成装置1は、高速モードでC現像ローラ61Cが離間し始めるタイミングが、標準モードでC現像ローラ61Cが離間し始めるタイミング以降のタイミングとなるように、標準モードの場合(t15)よりも遅いタイミング(t55)でYMCクラッチ140AをONとしてカム150Y,150M,150Cを回転させ、現像ローラ61Y,61M,61Cを離間させ始めるので、高速モードの場合に、C感光ドラム50Cの現像中にC現像ローラ61CがC感光ドラム50Cから離間するのを防止することができる。
【0181】
また、画像形成装置1は、標準モードと高速モードとでC現像ローラ61Cが離間し始めるタイミングが同じなので、高速モードでC現像ローラ61Cが離間し始めるタイミングが標準モードのときよりも遅い場合と比較して、高速モードの場合に、C現像ローラ61CとC感光ドラム50Cの接触時間が延びるのを防止することができるとともに、現像ローラ61Y,61Mと対応する感光ドラム50Y,50Mの接触時間が延びるのを最小限にすることができる。
【0182】
また、画像形成装置1は、現像カートリッジ60M,60C,60Kが、現像ローラ61が離間位置にある場合に、シートSの移動方向の上流側に隣接する感光ドラム50を露光する光ビームの光路と重なる構成であるが、上流側に隣接する感光ドラム50の露光を開始する以前に現像ローラ61M,61C,61Kを接触位置に移動させるので、現像カートリッジ60の形状を、現像カートリッジが現像ローラの位置に関わらず光ビームの光路と干渉しない場合と比較して、大きくすることができる。これにより、現像カートリッジ60のトナー容量を大きくすることができる。
【0183】
以上に本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前記実施形態に限定されることなく適宜変形して実施することが可能である。
【0184】
例えば、前記実施形態においては、標準モードと低速モードとでC現像ローラ61Cが接触位置に位置するタイミングが同じであったが、低速モードでC現像ローラ61Cが接触位置に位置するタイミングが標準モードの場合より早くてもよい。また、前記実施形態においては、標準モードと低速モードとでY現像ローラ61Yが離間し始めるタイミングが同じであったが、低速モードでY現像ローラ61Yが離間し始めるタイミングが標準モードの場合より遅くてもよい。
【0185】
また、前記実施形態においては、標準モードと高速モードとでY現像ローラ61Yが接触位置に位置するタイミングが同じであったが、高速モードでY現像ローラ61Yが接触位置に位置するタイミングが標準モードの場合より早くてもよい。また、前記実施形態においては、標準モードと高速モードとでC現像ローラ61Cが離間し始めるタイミングが同じであったが、高速モードでC現像ローラ61Cが離間し始めるタイミングが標準モードの場合より遅くてもよい。
【0186】
また、前記実施形態において、画像形成装置1は、標準モード、低速モードおよび高速モードを実行可能であったが、例えば、標準モードと低速モードだけを実行可能であってもよい。また、標準モードと高速モードだけを実行可能であってもよい。また、低速モードや高速モードの実行条件は、前記実施形態で例示した条件に限定されない。
【0187】
また、前記実施形態においては、現像カートリッジ60M,60C等が、現像ローラ61が離間位置にある場合に、シートSの移動方向の上流側に隣接する感光ドラム50を露光する光ビームの光路と重なる構成であったが、現像ローラの位置に関わらず光ビームの光路と干渉しない構成であってもよい。
【0188】
また、前記実施形態においては、4色のトナーを用いてカラー画像を印刷する画像形成装置1を例示したが、3色や5色のトナーを用いてカラー画像を印刷する装置であってもよい。また、画像形成装置は、複合機やコピー機であってもよい。
【0189】
また、前記した実施形態および変形例で説明した各要素は、適宜組み合わせて実施することが可能である。
【符号の説明】
【0190】
1 画像形成装置
2 制御部
3D 現像モータ
3P プロセスモータ
6 温度センサ
10 筐体
40 露光装置
50Y Y感光ドラム
50M M感光ドラム
50C C感光ドラム
60Y Y現像カートリッジ
60M M現像カートリッジ
60C C現像カートリッジ
61Y Y現像ローラ
61M M現像ローラ
61C C現像ローラ
70 搬送装置
140A YMCクラッチ
150Y Yカム
150M Mカム
150C Cカム
S シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図11
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