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特許7338257昇降方向判定装置および昇降方向判定システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】昇降方向判定装置および昇降方向判定システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/01 20060101AFI20230829BHJP
   G07C 9/28 20200101ALI20230829BHJP
【FI】
G08G1/01 F
G07C9/28
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2019112991
(22)【出願日】2019-06-18
(65)【公開番号】P2020204569
(43)【公開日】2020-12-24
【審査請求日】2022-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142642
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 次郎
(72)【発明者】
【氏名】若林 正男
(72)【発明者】
【氏名】朝比奈 努
(72)【発明者】
【氏名】蔦田 広幸
(72)【発明者】
【氏名】小堀 真吾
(72)【発明者】
【氏名】小林 純
(72)【発明者】
【氏名】鷹取 真帆
(72)【発明者】
【氏名】石川 敦雄
(72)【発明者】
【氏名】天雲 伸一
(72)【発明者】
【氏名】水谷 敦司
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 頼多
【審査官】小林 勝広
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-244916(JP,A)
【文献】特開2008-244830(JP,A)
【文献】特開平08-194011(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00-21/36、23/00-25/00
G01S 7/00- 7/42、13/00-13/95
G07C 1/00-15/00
G08B 17/02-21/24
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線による検出信号を無線タグが受信するときに当該無線タグが無線信号によって発信する固有情報を各々が読み取り、前記検出信号を各々の周りの通信範囲に互いに干渉を避けて出力し、階段の利用者が通行する空間の部分のうち上下方向の高さが互いに異なる複数の部分の各々を前記通信範囲に各々が含むように配置される複数の読取装置と、
前記複数の読取装置のうち前記無線タグから前記固有情報を読み取った読取装置を識別し、前記複数の読取装置が前記固有情報を読み取った順序、前記複数の読取装置を識別する識別情報および当該固有情報に基づいて、当該無線タグを所持する利用者の前記階段の昇降方向を判定する判定部と、
を備え
前記複数の読取装置の各々は、予め設定された通信半径を半径とし当該読取装置を中心とする球の内部を通信範囲として検出信号を出力し、
前記複数の読取装置のうちの上下方向の高さが最も高い読取装置は、前記階段の最上段から前記階段の通行方向に前記通信半径の長さを下った位置より下方に配置され、
前記複数の読取装置のうちの上下方向の高さが最も低い読取装置は、前記階段の最下段から前記階段の通行方向に前記通信半径の長さを上った位置より上方に配置される
昇降方向判定装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記複数の読取装置の1つである第1読取装置が読み取った固有情報と、前記複数の読取装置の他の1つである第2読取装置が前記第1読取装置より後に読み取った固有情報とが同一である場合に、当該固有情報を発信した無線タグを所持する利用者の昇降方向を、前記第1読取装置から前記第2読取装置へ向かう方向として判定する
請求項1に記載の昇降方向判定装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記複数の読取装置の1つである第1読取装置が固有情報を読み取った時刻において当該固有情報を発信した無線タグの状態の判定を開始していない場合に、前記第1読取装置の前記階段に対する位置に基づいて、当該無線タグを所持する利用者の昇降方向を推定する
請求項1に記載の昇降方向判定装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記無線タグについて滞留判定値を記憶し、前記複数の読取装置の1つである第1読取装置が固有情報を読み取った時刻の後から第1の時間を経過する毎に前記複数の読取装置のいずれもが当該固有情報を読み取らない場合に前記滞留判定値を増加させ、前記滞留判定値が予め設定された閾値を超える場合に当該固有情報を発信した無線タグを所持する利用者について前記階段を利用していないと判定する
請求項1に記載の昇降方向判定装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記複数の読取装置の1つである第1読取装置が固有情報を読み取った時刻と当該時刻より第2の時間だけ後の時刻との間に前記複数の読取装置のいずれもが当該固有情報を読み取らない場合に、当該固有情報を発信した無線タグを所持する利用者について前記階段を利用していないと判定する
請求項1に記載の昇降方向判定装置。
【請求項6】
無線による検出信号を無線タグが受信するときに当該無線タグが無線信号によって発信する固有情報を各々が読み取り、前記検出信号を各々の周りの通信範囲に互いに干渉を避けて出力し、階段の利用者が通行する空間の部分のうち上下方向の高さが互いに異なる複数の部分の各々を前記通信範囲に各々が含むように配置される複数の読取装置と、
前記複数の読取装置のうち前記無線タグから前記固有情報を読み取った読取装置を識別し、前記複数の読取装置が前記固有情報を読み取った順序、前記複数の読取装置を識別する識別情報および当該固有情報に基づいて、当該無線タグを所持する利用者の前記階段の昇降方向を判定する判定部と、
を備え
前記判定部は、前記複数の読取装置の1つである第1読取装置が固有情報を読み取った時刻において当該固有情報を発信した無線タグの状態の判定を開始していない場合に、前記第1読取装置の前記階段に対する位置に基づいて、当該無線タグを所持する利用者の昇降方向を推定する
昇降方向判定装置。
【請求項7】
前記判定部は、昇降方向が推定された利用者に所持される無線タグの固有情報を前記複数の読取装置の他の1つである第2読取装置が読み取った場合に、当該利用者の昇降方向を前記第1読取装置から前記第2読取装置へ向かう方向として判定する
請求項3または請求項6に記載の昇降方向判定装置。
【請求項8】
無線による検出信号を無線タグが受信するときに当該無線タグが無線信号によって発信する固有情報を各々が読み取り、前記検出信号を各々の周りの通信範囲に互いに干渉を避けて出力し、階段の利用者が通行する空間の部分のうち上下方向の高さが互いに異なる複数の部分の各々を前記通信範囲に各々が含むように配置される複数の読取装置と、
前記複数の読取装置のうち前記無線タグから前記固有情報を読み取った読取装置を識別し、前記複数の読取装置が前記固有情報を読み取った順序、前記複数の読取装置を識別する識別情報および当該固有情報に基づいて、当該無線タグを所持する利用者の前記階段の昇降方向を判定する判定部と、
を備え
前記判定部は、前記無線タグについて滞留判定値を記憶し、前記複数の読取装置の1つである第1読取装置が固有情報を読み取った時刻の後から第1の時間を経過する毎に前記複数の読取装置のいずれもが当該固有情報を読み取らない場合に前記滞留判定値を増加させ、前記滞留判定値が予め設定された閾値を超える場合に当該固有情報を発信した無線タグを所持する利用者について前記階段を利用していないと判定する
昇降方向判定装置。
【請求項9】
前記判定部は、前記第1読取装置が固有情報を読み取った後において前記滞留判定値が前記閾値を超えていない場合に前記第1読取装置が当該固有情報を再度読み取ったときに、当該固有情報を発信した無線タグを所持する利用者について前記階段を折り返したと判定する
請求項4または請求項8に記載の昇降方向判定装置。
【請求項10】
前記判定部は、前記第1読取装置が固有情報を読み取った後において前記滞留判定値が前記閾値を超えていない場合に前記複数の読取装置の他の1つである第2読取装置が当該固有情報を読み取ったときに、当該固有情報を発信した無線タグを所持する利用者の昇降方向を前記第1読取装置から前記第2読取装置へ向かう方向として判定する
請求項4または請求項8に記載の昇降方向判定装置。
【請求項11】
前記無線タグが無線信号によって発信する固有情報を読み取り、前記検出信号を自身の周りの通信範囲に出力し、当該通信範囲に前記階段の利用者が通行する空間を含まないように配置される第3読取装置
を備え、
前記判定部は、前記第1読取装置が固有情報を読み取った後において前記滞留判定値が前記閾値を超えていない場合に前記第3読取装置が当該固有情報を読み取ったときに、当該固有情報を発信した無線タグを所持する利用者について前記階段を利用していないと判定する
請求項4または請求項8に記載の昇降方向判定装置。
【請求項12】
無線による検出信号を無線タグが受信するときに当該無線タグが無線信号によって発信する固有情報を各々が読み取り、前記検出信号を各々の周りの通信範囲に互いに干渉を避けて出力し、階段の利用者が通行する空間の部分のうち上下方向の高さが互いに異なる複数の部分の各々を前記通信範囲に各々が含むように配置される複数の読取装置と、
前記複数の読取装置のうち前記無線タグから前記固有情報を読み取った読取装置を識別し、前記複数の読取装置が前記固有情報を読み取った順序、前記複数の読取装置を識別する識別情報および当該固有情報に基づいて、当該無線タグを所持する利用者の前記階段の昇降方向を判定する判定部と、
を備え
前記判定部は、前記複数の読取装置の1つである第1読取装置が固有情報を読み取った時刻と当該時刻より第2の時間だけ後の時刻との間に前記複数の読取装置のいずれもが当該固有情報を読み取らない場合に、当該固有情報を発信した無線タグを所持する利用者について前記階段を利用していないと判定する
昇降方向判定装置。
【請求項13】
前記複数の読取装置の各々は、各々の左右方向の範囲が前記階段の踏み段の左端より左方から前記踏み段の右端より右方にわたる複数の通信範囲の各々に検出信号を出力する
請求項6、請求項8、または請求項12のいずれか一項に記載の昇降方向判定装置。
【請求項14】
前記複数の読取装置の各々は、予め設定された通信半径を半径とし当該読取装置を中心とする球の内部を通信範囲として検出信号を出力する
請求項6、請求項8、または請求項12のいずれか一項に記載の昇降方向判定装置。
【請求項15】
前記複数の読取装置の各々は、前記通信半径を前記階段の踏み段の左右方向の長さ以上とする通信範囲に検出信号を出力する
請求項1から請求項5、または請求項14のいずれか一項に記載の昇降方向判定装置。
【請求項16】
前記複数の読取装置の各々は、前記通信半径を前記階段の踏み段の左右方向の長さの半分以上とする通信範囲に検出信号を出力する
請求項1から請求項5、または請求項14のいずれか一項に記載の昇降方向判定装置。
【請求項17】
前記複数の読取装置の各々は、前記通信半径を前記階段の通行方向の長さの半分以下とする通信範囲に検出信号を出力する
請求項1から請求項5、または請求項14から請求項16のいずれか一項に記載の昇降方向判定装置。
【請求項18】
前記複数の読取装置の各々は、予め設定された通信半径を半径とし当該読取装置を中心とする球の内部を通信範囲として検出信号を出力し、
前記複数の読取装置の1つは、前記階段の最上段に設けられ、
前記複数の読取装置の他の1つは、前記階段の最下段に設けられる
請求項8または請求項12に記載の昇降方向判定装置。
【請求項19】
前記複数の読取装置のいずれかに読み取られた前記固有情報、および当該読取装置を識別する前記識別情報を関連付けて通行履歴として順次記憶する記憶部
を備え、
前記判定部は、前記記憶部が記憶している前記通行履歴に基づいて前記無線タグを所持する利用者の前記階段の昇降方向を判定する
請求項1から請求項18のいずれか一項に記載の昇降方向判定装置。
【請求項20】
前記複数の読取装置の各々は、互いに空間的に分離される複数の通信範囲の各々に前記検出信号を出力する
請求項1から請求項19のいずれか一項に記載の昇降方向判定装置。
【請求項21】
前記複数の読取装置の各々は、互いに時間的に重複することを避けて前記検出信号を出力する
請求項1から請求項20のいずれか一項に記載の昇降方向判定装置。
【請求項22】
前記複数の読取装置の1つは、前記複数の読取装置の他の1つの通信範囲より広い通信範囲に検出信号を出力する
請求項1から請求項21のいずれか一項に記載の昇降方向判定装置。
【請求項23】
前記判定部が判定した昇降方向に基づいて、前記無線タグを所持する利用者についての前記階段の利用状況の情報を管理する管理部
を備える請求項1から請求項22のいずれか一項に記載の昇降方向判定装置。
【請求項24】
無線による検出信号を受信するときに無線信号によって固有情報を発信する無線タグと、
昇降方向判定装置と、
を備え、
前記昇降方向判定装置は、
前記固有情報を各々が読み取り、前記検出信号を各々の周りの通信範囲に互いに干渉を避けて出力し、階段の利用者が通行する空間の部分のうち上下方向の高さが互いに異なる複数の部分の各々を前記通信範囲に各々が含むように配置される複数の読取装置と、
前記複数の読取装置のうち前記無線タグから前記固有情報を読み取った読取装置を識別し、前記複数の読取装置が前記固有情報を読み取った順序、前記複数の読取装置を識別する識別情報および当該固有情報に基づいて、当該無線タグを所持する利用者の前記階段の昇降方向を判定する判定部と、
を備え
前記複数の読取装置の各々は、予め設定された通信半径を半径とし当該読取装置を中心とする球の内部を通信範囲として検出信号を出力し、
前記複数の読取装置のうちの上下方向の高さが最も高い読取装置は、前記階段の最上段から前記階段の通行方向に前記通信半径の長さを下った位置より下方に配置され、
前記複数の読取装置のうちの上下方向の高さが最も低い読取装置は、前記階段の最下段から前記階段の通行方向に前記通信半径の長さを上った位置より上方に配置される
昇降方向判定システム。
【請求項25】
無線による検出信号を受信するときに無線信号によって固有情報を発信する無線タグと、
昇降方向判定装置と、
を備え、
前記昇降方向判定装置は、
前記固有情報を各々が読み取り、前記検出信号を各々の周りの通信範囲に互いに干渉を避けて出力し、階段の利用者が通行する空間の部分のうち上下方向の高さが互いに異なる複数の部分の各々を前記通信範囲に各々が含むように配置される複数の読取装置と、
前記複数の読取装置のうち前記無線タグから前記固有情報を読み取った読取装置を識別し、前記複数の読取装置が前記固有情報を読み取った順序、前記複数の読取装置を識別する識別情報および当該固有情報に基づいて、当該無線タグを所持する利用者の前記階段の昇降方向を判定する判定部と、
を備え
前記判定部は、前記複数の読取装置の1つである第1読取装置が固有情報を読み取った時刻において当該固有情報を発信した無線タグの状態の判定を開始していない場合に、前記第1読取装置の前記階段に対する位置に基づいて、当該無線タグを所持する利用者の昇降方向を推定する
昇降方向判定システム。
【請求項26】
無線による検出信号を受信するときに無線信号によって固有情報を発信する無線タグと、
昇降方向判定装置と、
を備え、
前記昇降方向判定装置は、
前記固有情報を各々が読み取り、前記検出信号を各々の周りの通信範囲に互いに干渉を避けて出力し、階段の利用者が通行する空間の部分のうち上下方向の高さが互いに異なる複数の部分の各々を前記通信範囲に各々が含むように配置される複数の読取装置と、
前記複数の読取装置のうち前記無線タグから前記固有情報を読み取った読取装置を識別し、前記複数の読取装置が前記固有情報を読み取った順序、前記複数の読取装置を識別する識別情報および当該固有情報に基づいて、当該無線タグを所持する利用者の前記階段の昇降方向を判定する判定部と、
を備え
前記判定部は、前記無線タグについて滞留判定値を記憶し、前記複数の読取装置の1つである第1読取装置が固有情報を読み取った時刻の後から第1の時間を経過する毎に前記複数の読取装置のいずれもが当該固有情報を読み取らない場合に前記滞留判定値を増加させ、前記滞留判定値が予め設定された閾値を超える場合に当該固有情報を発信した無線タグを所持する利用者について前記階段を利用していないと判定する
昇降方向判定システム。
【請求項27】
無線による検出信号を受信するときに無線信号によって固有情報を発信する無線タグと、
昇降方向判定装置と、
を備え、
前記昇降方向判定装置は、
前記固有情報を各々が読み取り、前記検出信号を各々の周りの通信範囲に互いに干渉を避けて出力し、階段の利用者が通行する空間の部分のうち上下方向の高さが互いに異なる複数の部分の各々を前記通信範囲に各々が含むように配置される複数の読取装置と、
前記複数の読取装置のうち前記無線タグから前記固有情報を読み取った読取装置を識別し、前記複数の読取装置が前記固有情報を読み取った順序、前記複数の読取装置を識別する識別情報および当該固有情報に基づいて、当該無線タグを所持する利用者の前記階段の昇降方向を判定する判定部と、
を備え
前記判定部は、前記複数の読取装置の1つである第1読取装置が固有情報を読み取った時刻と当該時刻より第2の時間だけ後の時刻との間に前記複数の読取装置のいずれもが当該固有情報を読み取らない場合に、当該固有情報を発信した無線タグを所持する利用者について前記階段を利用していないと判定する
昇降方向判定システム。
【請求項28】
前記無線タグは、前記複数の読取装置のいずれかからの検出信号に対して固有情報を発信してから休止時間が経過するまでの間、当該読取装置からの検出信号に対する固有情報の発信を休止する
請求項24から請求項27のいずれか一項に記載の昇降方向判定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇降方向判定装置および昇降方向判定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、昇降状態監視システムの例を開示する。この例において、階段の各踏み段の上を検出エリアとするように赤外線センサーが設けられる。階段の利用者の昇降状態は、赤外線センサーの検出信号に基づいて算出される評価関数に基づいて判定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5138554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の昇降状態監視システムにおいて、赤外線センサーは利用者を区別して検出しない。このため、昇降状態監視システムは、例えば階段の混雑時などにおいて利用者の昇降方向を誤って判定する可能性がある。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされた。本発明の目的は、階段の混雑時においても昇降方向の判定の誤りが起こりにくい昇降方向判定装置および昇降方向判定システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る昇降方向判定装置は、無線による検出信号を無線タグが受信するときに当該無線タグが無線信号によって発信する固有情報を各々が読み取り、検出信号を各々の周りの通信範囲に互いに干渉を避けて出力し、階段の利用者が通行する空間の部分のうち上下方向の高さが互いに異なる複数の部分の各々を通信範囲に各々が含むように配置される複数の読取装置と、複数の読取装置のうち無線タグから固有情報を読み取った読取装置を識別し、複数の読取装置が固有情報を読み取った順序、複数の読取装置を識別する識別情報および当該固有情報に基づいて、当該無線タグを所持する利用者の階段の昇降方向を判定する判定部と、を備え、複数の読取装置の各々は、予め設定された通信半径を半径とし当該読取装置を中心とする球の内部を通信範囲として検出信号を出力し、複数の読取装置のうちの上下方向の高さが最も高い読取装置は、階段の最上段から階段の通行方向に通信半径の長さを下った位置より下方に配置され、複数の読取装置のうちの上下方向の高さが最も低い読取装置は、階段の最下段から階段の通行方向に通信半径の長さを上った位置より上方に配置される
本発明に係る昇降方向判定装置は、無線による検出信号を無線タグが受信するときに当該無線タグが無線信号によって発信する固有情報を各々が読み取り、検出信号を各々の周りの通信範囲に互いに干渉を避けて出力し、階段の利用者が通行する空間の部分のうち上下方向の高さが互いに異なる複数の部分の各々を通信範囲に各々が含むように配置される複数の読取装置と、複数の読取装置のうち無線タグから固有情報を読み取った読取装置を識別し、複数の読取装置が固有情報を読み取った順序、複数の読取装置を識別する識別情報および当該固有情報に基づいて、当該無線タグを所持する利用者の階段の昇降方向を判定する判定部と、を備え、判定部は、複数の読取装置の1つである第1読取装置が固有情報を読み取った時刻において当該固有情報を発信した無線タグの状態の判定を開始していない場合に、第1読取装置の階段に対する位置に基づいて、当該無線タグを所持する利用者の昇降方向を推定する。
本発明に係る昇降方向判定装置は、無線による検出信号を無線タグが受信するときに当該無線タグが無線信号によって発信する固有情報を各々が読み取り、検出信号を各々の周りの通信範囲に互いに干渉を避けて出力し、階段の利用者が通行する空間の部分のうち上下方向の高さが互いに異なる複数の部分の各々を通信範囲に各々が含むように配置される複数の読取装置と、複数の読取装置のうち無線タグから固有情報を読み取った読取装置を識別し、複数の読取装置が固有情報を読み取った順序、複数の読取装置を識別する識別情報および当該固有情報に基づいて、当該無線タグを所持する利用者の階段の昇降方向を判定する判定部と、を備え、判定部は、無線タグについて滞留判定値を記憶し、複数の読取装置の1つである第1読取装置が固有情報を読み取った時刻の後から第1の時間を経過する毎に複数の読取装置のいずれもが当該固有情報を読み取らない場合に滞留判定値を増加させ、滞留判定値が予め設定された閾値を超える場合に当該固有情報を発信した無線タグを所持する利用者について階段を利用していないと判定する。
本発明に係る昇降方向判定装置は、無線による検出信号を無線タグが受信するときに当該無線タグが無線信号によって発信する固有情報を各々が読み取り、検出信号を各々の周りの通信範囲に互いに干渉を避けて出力し、階段の利用者が通行する空間の部分のうち上下方向の高さが互いに異なる複数の部分の各々を通信範囲に各々が含むように配置される複数の読取装置と、複数の読取装置のうち無線タグから固有情報を読み取った読取装置を識別し、複数の読取装置が固有情報を読み取った順序、複数の読取装置を識別する識別情報および当該固有情報に基づいて、当該無線タグを所持する利用者の階段の昇降方向を判定する判定部と、を備え、判定部は、複数の読取装置の1つである第1読取装置が固有情報を読み取った時刻と当該時刻より第2の時間だけ後の時刻との間に複数の読取装置のいずれもが当該固有情報を読み取らない場合に、当該固有情報を発信した無線タグを所持する利用者について階段を利用していないと判定する。
【0007】
本発明に係る昇降方向判定システムは、無線による検出信号を受信するときに無線信号によって固有情報を発信する無線タグと、昇降方向判定装置と、を備え、昇降方向判定装置は、固有情報を各々が読み取り、検出信号を各々の周りの通信範囲に互いに干渉を避けて出力し、階段の利用者が通行する空間の部分のうち上下方向の高さが互いに異なる複数の部分の各々を通信範囲に各々が含むように配置される複数の読取装置と、複数の読取装置のうち無線タグから固有情報を読み取った読取装置を識別し、複数の読取装置が固有情報を読み取った順序、複数の読取装置を識別する識別情報および当該固有情報に基づいて、当該無線タグを所持する利用者の階段の昇降方向を判定する判定部と、を備え、複数の読取装置の各々は、予め設定された通信半径を半径とし当該読取装置を中心とする球の内部を通信範囲として検出信号を出力し、複数の読取装置のうちの上下方向の高さが最も高い読取装置は、階段の最上段から階段の通行方向に通信半径の長さを下った位置より下方に配置され、複数の読取装置のうちの上下方向の高さが最も低い読取装置は、階段の最下段から階段の通行方向に通信半径の長さを上った位置より上方に配置される
本発明に係る昇降方向判定システムは、無線による検出信号を受信するときに無線信号によって固有情報を発信する無線タグと、昇降方向判定装置と、を備え、昇降方向判定装置は、固有情報を各々が読み取り、検出信号を各々の周りの通信範囲に互いに干渉を避けて出力し、階段の利用者が通行する空間の部分のうち上下方向の高さが互いに異なる複数の部分の各々を通信範囲に各々が含むように配置される複数の読取装置と、複数の読取装置のうち無線タグから固有情報を読み取った読取装置を識別し、複数の読取装置が固有情報を読み取った順序、複数の読取装置を識別する識別情報および当該固有情報に基づいて、当該無線タグを所持する利用者の階段の昇降方向を判定する判定部と、を備え、判定部は、複数の読取装置の1つである第1読取装置が固有情報を読み取った時刻において当該固有情報を発信した無線タグの状態の判定を開始していない場合に、第1読取装置の階段に対する位置に基づいて、当該無線タグを所持する利用者の昇降方向を推定する。
本発明に係る昇降方向判定システムは、無線による検出信号を受信するときに無線信号によって固有情報を発信する無線タグと、昇降方向判定装置と、を備え、昇降方向判定装置は、固有情報を各々が読み取り、検出信号を各々の周りの通信範囲に互いに干渉を避けて出力し、階段の利用者が通行する空間の部分のうち上下方向の高さが互いに異なる複数の部分の各々を通信範囲に各々が含むように配置される複数の読取装置と、複数の読取装置のうち無線タグから固有情報を読み取った読取装置を識別し、複数の読取装置が固有情報を読み取った順序、複数の読取装置を識別する識別情報および当該固有情報に基づいて、当該無線タグを所持する利用者の階段の昇降方向を判定する判定部と、を備え、判定部は、無線タグについて滞留判定値を記憶し、複数の読取装置の1つである第1読取装置が固有情報を読み取った時刻の後から第1の時間を経過する毎に複数の読取装置のいずれもが当該固有情報を読み取らない場合に滞留判定値を増加させ、滞留判定値が予め設定された閾値を超える場合に当該固有情報を発信した無線タグを所持する利用者について階段を利用していないと判定する。
本発明に係る昇降方向判定システムは、無線による検出信号を受信するときに無線信号によって固有情報を発信する無線タグと、昇降方向判定装置と、を備え、昇降方向判定装置は、固有情報を各々が読み取り、検出信号を各々の周りの通信範囲に互いに干渉を避けて出力し、階段の利用者が通行する空間の部分のうち上下方向の高さが互いに異なる複数の部分の各々を通信範囲に各々が含むように配置される複数の読取装置と、複数の読取装置のうち無線タグから固有情報を読み取った読取装置を識別し、複数の読取装置が固有情報を読み取った順序、複数の読取装置を識別する識別情報および当該固有情報に基づいて、当該無線タグを所持する利用者の階段の昇降方向を判定する判定部と、を備え、判定部は、複数の読取装置の1つである第1読取装置が固有情報を読み取った時刻と当該時刻より第2の時間だけ後の時刻との間に複数の読取装置のいずれもが当該固有情報を読み取らない場合に、当該固有情報を発信した無線タグを所持する利用者について階段を利用していないと判定する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、昇降方向判定装置は、複数の読取装置と、判定部と、を備える。複数の読取装置の各々は、固有情報を読み取る。固有情報は、無線による検出信号を無線タグが受信するときに当該無線タグから無線信号によって発信される。複数の読取装置の各々は、検出信号を各々の周りの通信範囲に互いに干渉を避けて出力する。複数の読取装置の各々は、階段の利用者が通行する空間の部分のうち上下方向の高さが互いに異なる複数の部分の各々を通信範囲に含むように配置される。判定部は、複数の読取装置のうち無線タグから固有情報を読み取った読取装置を識別する。判定部は、複数の読取装置が固有情報を読み取った順序、複数の読取装置を識別する識別情報および当該固有情報に基づいて、当該無線タグを所持する利用者の階段の昇降方向を判定する。これにより、階段の混雑時においても昇降方向の判定の誤りが起こりにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る昇降方向判定システムの構成図である。
図2】実施の形態1に係る読取装置の配置を示す図である。
図3】実施の形態1に係る読取装置の配置を示す図である。
図4】実施の形態1に係る昇降方向判定システムを示すブロック図である。
図5】実施の形態1に係る昇降方向判定装置の動作の例を示すフローチャートである。
図6】実施の形態1の変形例に係る読取装置の配置を示す図である。
図7】実施の形態1の変形例に係る読取装置の配置を示す図である。
図8】実施の形態1の変形例に係る読取装置の配置を示す図である。
図9】実施の形態1の変形例に係る読取装置の配置を示す図である。
図10】実施の形態1に係る昇降方向判定装置の主要部のハードウェア構成を示す図である。
図11】実施の形態2に係る読取装置の配置を示す図である。
図12】実施の形態2に係る読取装置の配置を示す図である。
図13】実施の形態2に係る昇降方向判定装置の動作の例を示すフローチャートである。
図14】実施の形態2に係る昇降方向判定装置の動作の例を示すフローチャートである。
図15】実施の形態3に係る読取装置の配置を示す図である。
図16】実施の形態4に係る読取装置の配置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一または相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化または省略する。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る昇降方向判定システムの構成図である。
【0012】
昇降方向判定システム1は、階段2に適用される。
【0013】
図1において、紙面の上下方向が階段2の上下方向である。図1において、紙面の左右方向が階段2の前後方向である。図1において、紙面に垂直な方向が階段2の左右方向である。図1において、紙面に矢印で示す方向が階段2の通行方向である。
【0014】
階段2は、例えば複数の階床を有する建築物に設けられる。階段2の通行方向は、利用者が通行する方向である。この例において、階段2は、複数の階床のうち上下に続く一対の階床の間に掛け渡される。この例において、階段2は、上階および下階の間にまっすぐ掛け渡される直階段である。例えば、階段2aは、1階および2階の間に掛け渡される。また、階段2bは、2階および3階の間に掛け渡される。階段2は、複数の踏み段3を備える。階段2において、利用者は、複数の踏み段3の上の空間を通行する。
【0015】
昇降方向判定システム1は、無線タグ4と、昇降方向判定装置5と、を備える。
【0016】
無線タグ4は、無線通信の機能を搭載する可搬な装置である。無線タグ4による無線通信は、例えば電磁波によって行われる。無線タグ4は、固有情報を記憶している。固有情報は、無線タグ4に固有の情報である。無線タグ4は、検出信号を受信しうるように、例えば図示されない受信アンテナを備える。検出信号は、無線タグ4の外部の装置から発信される無線信号である。無線タグ4は、受信した検出信号に対する応答として無線信号によって固有情報を発信しうるように、例えば図示されない送信アンテナを備える。無線タグ4は、階段2の利用者に所持される。無線タグ4は、例えば利用者の腰または胸などの位置において所持される。
【0017】
昇降方向判定装置5は、複数の読取装置6を備える。
【0018】
複数の読取装置6の各々は、例えば階段2の通行方向に沿って設けられる。この例において、昇降方向判定装置5は、階段2に対して一対の読取装置6を備える。一対の読取装置6の一方は、階段2の上側に設けられる。一対の読取装置6の他方は、階段2の下側に設けられる。上側の読取装置6は、下側の読取装置6より上方に配置される。
【0019】
複数の読取装置6の各々は、識別情報を記憶している。識別情報は、複数の読取装置6の各々を識別する情報である。複数の読取装置6の各々は、各々の通信範囲7に無線によって検出信号を出力しうるように、図示されない送信部を備える。複数の読取装置6の各々は、無線タグ4が発信する固有情報を受信しうるように、図示されない受信部を備える。ここで、読取装置6の通信範囲7は、当該読取装置6の周りの空間的な範囲である。通信範囲7の広さは、例えば送信部の出力の大きさによって調整される。読取装置6の通信範囲7は、例えば予め設定された通信半径Rを半径とし当該読取装置6を中心とする球の内部である。このとき、通信範囲7の広さは、例えば通信半径Rを半径とする球の体積である。ここで、通信半径Rは、読取装置6から当該読取装置6の通信範囲7の境界までの距離である。
【0020】
この例において、一対の読取装置6の各々の通信範囲7は、互いに空間的に分離されている。一対の読取装置6の各々は、これにより互いの検出信号の干渉を回避する。上側の読取装置6の通信範囲7は、階段2の利用者が通行する空間の部分のうちの上階側の部分を含む。下側の読取装置6の通信範囲7は、階段2の利用者が通行する空間の部分のうちの下階側の部分を含む。階段2の利用者が通行する空間について一対の読取装置6の各々の通信範囲7に含まれる部分の上下方向の高さは、互いに異なる。ここで、空間の複数の部分の各々の高さは、例えば複数の部分の1つに含まれるいずれかの空間点の高さが複数の部分の他の1つに含まれるいずれの空間点の高さとも異なる場合に、互いに異なるものとしてもよい。
【0021】
図2および図3は、実施の形態1に係る読取装置の配置を示す図である。
【0022】
図2において、左右方向からみた階段2の踏み段3が示される。図2において、紙面の左側が踏み段3の奥側である。図2において、紙面の右側が踏み段3の手前側である。
【0023】
階段2は、例えばオープン型の階段である。この例において、階段2は、踏み段3の手前側の端部の下方に例えば蹴込み板などの構造物を有しない。この例において、踏み段3の奥側の部分は、一段上の踏み段3の手前側の部分に上方から覆われる。
【0024】
読取装置6は、例えば複数の踏み段3のいずれかの奥側の部分に設けられる。あるいは、読取装置6は、複数の踏み段3のいずれかの下面に設けられてもよい。
【0025】
図3において、上方からみた階段2が示される。この例において、階段2aおよび階段2bは、左右方向に並ぶ。
【0026】
複数の読取装置6の各々は、例えば左右方向に並ぶ階段2において、左右方向の外側の部分に配置される。上側の読取装置6は、例えば、階段2の最上段から階段2の通行方向に通信半径Rの長さを下った位置より下方に設けられる。下側の読取装置6は、例えば、階段2の最下段から階段2の通行方向に通信半径Rの長さを上った位置より上方に設けられる。ここで、階段2の最上段の高さは、例えば上階の床面の高さである。階段2の最下段の高さは、例えば下階の床面の高さである。
【0027】
複数の読取装置6の各々の通信範囲7の通信半径Rは、踏み段3の左右方向の長さ以上に調整される。複数の読取装置6の各々の通信範囲7の左右方向の範囲は、踏み段3の左端より左方から踏み段3の右端より右方にわたる。複数の読取装置6の各々の通信範囲7の通信半径Rは、階段2の通行方向の長さの半分以下に調整される。
【0028】
図4は、実施の形態1に係る昇降方向判定システムを示すブロック図である。
【0029】
昇降方向判定装置5は、情報処理装置8を備える。
【0030】
情報処理装置8は、例えば階段2が設けられる建築物と同一の建築物に設けられる。あるいは、情報処理装置8の全部または一部は、階段2が設けられる建築物と異なる場所に設けられてもよい。情報処理装置8の全部又は一部は、例えば情報センターに設けられてもよい。ここで、情報センターは、階段2および階段2の利用者に関する情報の収集および管理を行う拠点である。情報処理装置8は、通信部9と、記憶部10と、判定部11と、管理部12と、を備える。
【0031】
通信部9は、複数の読取装置6のいずれかが無線タグ4から発信された固有情報を読み取るときに、当該読取装置6から情報を取得する部分である。通信部9が取得する情報は、例えば、読み取られた固有情報および当該固有情報を読み取った読取装置6の識別情報を含む。
【0032】
記憶部10は、通信部9が複数の読取装置6の各々から取得した情報を通行履歴として順次記憶する部分である。通行履歴は、例えば、固有情報、当該固有情報を読み取った読取装置6の識別情報、および当該固有情報が読み取られた時刻を関連付けて含む。
【0033】
判定部11は、通信部9が複数の読取装置6の各々から取得した情報に基づいて、無線タグ4を所持している利用者の階段2の昇降方向を判定する部分である。ここで、階段2の昇降方向は、上りまたは下りのいずれかである。判定部11は、無線タグ4の固有情報と、当該無線タグ4を所持する利用者を識別する情報と、を関連付けて記憶する。判定部11は、読取装置6の識別情報と、当該読取装置6が設けられる階段2を識別する情報と、を関連付けて記憶する。判定部11は、読取装置6の識別情報と、当該読取装置6の階段2に対する位置の情報と、を関連付けて記憶する。
【0034】
管理部12は、判定部11が判定した昇降方向に基づいて、無線タグ4を所持する利用者についての階段2の利用状況の情報を管理する部分である。階段2の利用状況の情報は、例えば、無線タグ4を所持する利用者が利用した階段2、当該階段2を利用した時刻および利用の際の昇降方向などを含む。管理部12による情報の管理は、例えば情報の記憶、および適切な権限のもとの要求に対する情報の開示などを含む。管理部12は、階段2の利用状況の情報とともに、無線タグ4を所持する利用者の位置情報を管理してもよい。利用者の位置情報は、例えば利用者の各階床の間の移動の履歴である。
【0035】
続いて、昇降方向判定システム1による昇降方向の判定を説明する。
【0036】
無線タグ4を所持している利用者は、例えば上階から下階への移動に階段2を利用する。利用者は、上階側から階段2の上を通行する。
【0037】
利用者が所持している無線タグ4は、上側の読取装置6の通信範囲7に入る。上側の読取装置6は、検出信号を出力している。無線タグ4は、検出信号を受信する。検出信号を受信した無線タグ4は、固有情報を発信する。上側の読取装置6は、無線タグ4が発信した固有情報を受信する。上側の読取装置6は、無線タグ4から読み取った固有情報と自身の識別情報とを、情報処理装置8に送信する。
【0038】
この例において、無線タグ4は、上側の読取装置6からの検出信号に対して固有情報を発信してから休止時間が経過するまでの間、上側の読取装置6からの検出信号に対して固有情報を発信しない。ここで、休止時間は、予め設定された時間である。
【0039】
利用者は、階段2を上階側から下階側まで下りる。
【0040】
利用者が所持している無線タグ4は、下側の読取装置6の通信範囲7に入る。下側の読取装置6は、検出信号を出力している。無線タグ4は、検出信号を受信する。検出信号を受信した無線タグ4は、固有情報を発信する。下側の読取装置6は、無線タグ4が発信した固有情報を受信する。下側の読取装置6は、無線タグ4から読み取った固有情報と、自身の識別情報と、を情報処理装置8に送信する。
【0041】
この例において、無線タグ4は、下側の読取装置6からの検出信号に対して固有情報を発信してから休止時間が経過するまでの間、下側の読取装置6からの検出信号に対して固有情報を発信しない。
【0042】
情報処理装置8の通信部9は、固有情報を読み取った読取装置6から情報を取得する。記憶部10は、取得された情報を通行履歴として順次記憶する。
【0043】
判定部11は、複数の読取装置6のいずれかが固有情報を読み取ったか否かに基づいて、無線タグ4が検知されたかを判定する。
【0044】
無線タグ4が検知された場合に、判定部11は、通信部9が取得した固有情報に基づいて、無線タグ4を所持して階段2を利用した利用者を特定する。
【0045】
判定部11は、通信部9が取得した識別情報に基づいて、当該利用者が利用した階段2を特定する。
【0046】
判定部11は、通信部9が取得した識別情報および固有情報に基づいて、当該利用者の階段2の昇降方向を判定する。この例において、固有情報は、まず上側の読取装置6に、次に下側の読取装置6に読み取られたので、判定部11は、利用者の昇降方向を下りであると判定する。
【0047】
一方、無線タグ4が検知されなかった場合に、判定部11は、予め定められた時間が経過した後に、無線タグ4が検知されたかを再び判定する。
【0048】
無線タグ4を所持している利用者が下階から上階への移動に階段2を利用する場合においても、昇降方向判定システム1は、同様に昇降方向の判定を行う。
【0049】
続いて、図5を用いて、昇降方向判定装置5の動作の例を説明する。
図5は、実施の形態1に係る昇降方向判定装置の動作の例を示すフローチャートである。
【0050】
ステップS101において、判定部11は、無線タグ4が検知されたかを判定する。判定結果がNoの場合に、昇降方向判定装置5の動作は、再びステップS101に進む。判定結果がYesの場合に、昇降方向判定装置5の動作は、ステップS102に進む。
【0051】
ステップS102において、判定部11は、通信部9が取得した固有情報に基づいて、階段2を利用した利用者を特定する。その後、昇降方向判定装置5の動作は、ステップS103に進む。
【0052】
ステップS103において、判定部11は、通信部9が取得した識別情報に基づいて、利用者が利用した階段2を特定する。その後、昇降方向判定装置5の動作は、ステップS104に進む。
【0053】
ステップS104において、判定部11は、通信部9が取得した識別情報および固有情報に基づいて、利用者の階段2の昇降方向を判定する。その後、昇降方向判定システム1の動作は、ステップS101に進む。
【0054】
以上に説明したように、実施の形態1に係る昇降方向判定システム1は、無線タグ4と、昇降方向判定装置5と、を備える。無線タグ4は、無線による検出信号を受信するときに、当該検出信号に対する応答として無線信号によって固有情報を発信する。昇降方向判定装置5は、複数の読取装置6と、判定部11と、を備える。複数の読取装置6の各々は、無線タグ4が発信する固有情報を読み取る。複数の読取装置6の各々は、検出信号を各々の周りの通信範囲7に互いに干渉を避けて出力する。複数の読取装置6の各々は、階段2の利用者が通行する空間の部分のうち上下方向の高さが互いに異なる複数の部分の各々を通信範囲7に含むように配置される。判定部11は、複数の読取装置6のうち無線タグ4から固有情報を読み取った読取装置6を識別する。判定部11は、複数の読取装置6が固有情報を読み取った順序、複数の読取装置6を識別する識別情報および当該固有情報に基づいて、当該無線タグ4を所持する利用者の階段2の昇降方向を判定する。
【0055】
複数の読取装置6は、階段2の3次元的な構造を考慮して配置される。これにより、判定部11は、無線タグ4の固有情報が読み取られた順序および当該固有情報を読み取った読取装置6の識別情報によって昇降方向を判定できる。また、判定部11は、階段2の各段に読取装置6が設けられていなくても昇降方向を判定できる。これにより、昇降方向判定装置5の設置がしやすくなる。判定部11は、無線タグ4の固有情報によって利用者を区別して昇降方向の判定を行う。このため、混雑時においても、判定部11は、階段2の上を同時に移動する利用者を互いに区別して昇降方向の判定を行える。これにより、階段2の混雑時においても昇降方向の判定の誤りが起こりにくくなる。
【0056】
また、複数の読取装置6の各々は、互いに空間的に分離される複数の通信範囲7の各々に検出信号を出力する。
【0057】
複数の読取装置6の各々の検出信号の出力は、各々の通信範囲7が互いに空間的に分離されるように調整される。これにより、複数の読取装置6の各々の検出信号の干渉が避けられる。複数の読取装置6の各々は、検出信号の干渉を避けるために例えば互いに同期を取る必要がない。
【0058】
また、複数の読取装置6の各々は、各々の左右方向の範囲が階段2の踏み段3の左端より左方から踏み段3の右端より右方にわたる複数の通信範囲7の各々に検出信号を出力する。
【0059】
複数の読取装置6の各々の検出信号の出力は、各々の通信範囲7の左右方向の範囲が階段2の踏み段3の左端より左方から踏み段3の右端より右方にわたるように調整される。これにより、複数の踏み段3のいずれかの上において利用者が通行する空間の左右方向の全体が、複数の読取装置6のいずれかの通信範囲7に含まれる。このため、当該踏み段3の上を通行する利用者は、当該通信範囲7の外を通らない。これにより、利用者が所持する無線タグ4は、より確実に検知される。したがって、利用者の昇降方向の判定がより確実に行われる。
【0060】
また、複数の読取装置6の各々は、予め設定された通信半径Rを半径とし当該読取装置6を中心とする球の内部を通信範囲7として検出信号を出力する。
【0061】
複数の読取装置6の各々の検出信号の出力は、各々の通信範囲7が通信半径Rを半径とし当該読取装置6を中心とする球の内部となるように調整される。このとき、通信範囲7の広さは、単一のパラメーターである通信半径Rによって調整される。このため、検出信号の出力の調整がしやすくなる。
【0062】
また、複数の読取装置6の各々は、通信半径Rを階段2の踏み段3の左右方向の長さ以上とする通信範囲7に検出信号を出力する。
【0063】
複数の読取装置6の各々の検出信号の出力は、通信半径Rが階段2の踏み段3の左右方向の長さ以上となるように調整される。これにより、読取装置6は、左右方向において踏み段3のどの位置に配置されても、当該踏み段3の上において利用者が通行する空間の左右方向の全体を通信範囲7に含む。このため、読取装置6の配置の自由度が高まる。特に、読取装置6を踏み段3の左右の端部に配置できる。これにより、読取装置6は利用者の通行の妨げになりにくい。
【0064】
また、複数の読取装置6の各々は、通信半径Rを階段2の通行方向の長さの半分以下とする通信範囲7に検出信号を出力する。
【0065】
複数の読取装置6の各々の検出信号の出力は、通信半径Rが階段2の通行方向の長さの半分以下となるように調整される。これにより、階段2の上側に配置される読取装置6および階段2の下側に配置される読取装置6の通信範囲7を空間的に分離するために読取装置6の左右方向などの配置を考慮する必要がなくなる。
【0066】
また、複数の読取装置6のうちの上下方向の高さが最も高い読取装置6は、階段2の最上段から階段2の通行方向に通信半径Rの長さを下った位置より下方に配置される。複数の読取装置6のうちの上下方向の高さが最も低い読取装置6は、階段2の最下段から階段2の通行方向に通信半径Rの長さを上った位置より上方に配置される。
【0067】
これにより、上側の読取装置6の通信範囲7は、上階側にはみださない。下側の読取装置6の通信範囲7は、下階側にはみ出さない。このため、階段2を通行しない利用者が所持する無線タグ4が誤って検知されることが抑制される。
【0068】
また、無線タグ4は、複数の読取装置6のいずれかからの検出信号に対して固有情報を発信してから休止時間が経過するまでの間、当該読取装置6からの検出信号に対する固有情報の発信を休止する。
【0069】
これにより、無線タグ4が固有情報を発信する回数が低減される。このため、無線タグ4の電力消費が抑えられる。
【0070】
また、昇降方向判定装置5は、記憶部10を備える。記憶部10は、複数の読取装置6のいずれかに読み取られた固有情報、および当該読取装置6を識別する識別情報を関連付けて通行履歴として順次記憶する。ここで、判定部11は、記憶部10が記憶している通行履歴に基づいて無線タグ4を所持する利用者の階段2の昇降方向を判定してもよい。
【0071】
判定部11は、例えば記憶部10が記憶している通行履歴に基づいて、バッチ処理によって複数回の階段2の昇降についてまとめて昇降方向を判定してもよい。例えば同一の固有情報に対応する無線タグ4についての複数回の検知について、前後の検知との整合性を考慮することによって昇降方向の判定の精度が高められる。また、昇降方向の判定の時期を利用者の通行の時期とずらすことができるので、同時に多数の利用者が階段2を通行する混雑時においても、昇降方向の判定が処理のボトルネックにならない。
【0072】
また、複数の読取装置6の各々は、互いに時間的に重複することを避けて検出信号を出力してもよい。
【0073】
複数の読取装置6の各々は、例えば互いに同期することで、互いに時間的に重複しないタイミングで検出信号を出力してもよい。これにより、読取装置6の配置の自由度が高まる。また、読取装置6の各々について、検出信号の出力の調整を厳密にしなくてもよい。
【0074】
また、無線タグ4は、形状に関わらず、可搬な装置であればよい。無線タグ4は、専用の装置でなくてもよい。無線タグ4は、無線タグ4の機能を一部の機能として搭載する例えば汎用の携帯端末であってもよい。携帯端末は、例えば携帯電話、スマートフォン、ウェアラブル端末、またはその他の可搬な情報端末などである。
【0075】
続いて、図6から図9を用いて実施の形態1に係る昇降方向判定システムの他の例を説明する。
図6から図9は、実施の形態1の変形例に係る読取装置の配置を示す図である。
図6から図8において、左右方向からみた階段2の踏み段3が示される。図6から図8において、紙面の左側が踏み段3の奥側である。図6から図8において、紙面の右側が踏み段3の手前側である。図9において、上方からみた階段2が示される。
【0076】
図6に示されるように、階段2は、例えば箱型の階段であってもよい。この例において、階段2は、複数の蹴込み板13を備える。蹴込み板13は、踏み段3の手前側の端部から下方に延びる板状部材である。この例において、蹴込み板13より奥側の領域は、利用者から隠蔽される。
【0077】
読取装置6は、例えば複数の蹴込み板13のいずれかより奥側の領域に設けられる。
【0078】
あるいは、図7に示されるように、階段2は、側桁14と、支柱15と、手摺16と、を踏み板の左右方向の少なくとも一方に備えてもよい。側桁14は、踏み板の左右の端部に設けられる。この例において、側桁14の上面は、階段2の傾斜に沿う斜面である。支柱15は、側桁14の上面から上方に延びる。手摺16は、支柱15の上端に設けられる。手摺16は、支柱15に支持される。読取装置6は、例えば側桁14の上面に設けられる。
【0079】
あるいは、図8に示されるように、読取装置6は、例えば支柱15の間に設けられてもよい。
【0080】
あるいは、階段2が壁に隣接する場合に、読取装置6は、当該壁に設けられてもよい。
【0081】
また、図9に示されるように、階段2は、上階および下階の間の中間部に踊り場17を有する折返し階段であってもよい。この例において、複数の読取装置6の各々は、左右の内側に配置される。
【0082】
あるいは、階段2は、上階および下階の間の中間部において直角に曲がるかね折れ階段であってもよい。あるいは、階段2は、上階および下階の間に円弧を描くように掛け渡されるカーブ階段であってもよい。あるいは、階段2は、上階および下階の間にらせんを描くように掛け渡されるらせん階段であってもよい。複数の読取装置6の各々は、これらの階段2の3次元空間における構造を考慮して、互いの検出信号の干渉を避けるように配置される。
【0083】
続いて、図10を用いて昇降方向判定装置5のハードウェア構成の例について説明する。
図10は、実施の形態1に係る昇降方向判定装置の主要部のハードウェア構成を示す図である。
【0084】
昇降方向判定装置5の各機能は、処理回路により実現し得る。処理回路は、少なくとも1つのプロセッサ5bと少なくとも1つのメモリ5cとを備える。処理回路は、プロセッサ5bおよびメモリ5cと共に、あるいはそれらの代用として、少なくとも1つの専用のハードウェア5aを備えてもよい。
【0085】
処理回路がプロセッサ5bとメモリ5cとを備える場合、昇降方向判定装置5の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせで実現される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述される。そのプログラムはメモリ5cに格納される。プロセッサ5bは、メモリ5cに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、昇降方向判定装置5の各機能を実現する。
【0086】
プロセッサ5bは、CPU(Central Processing Unit)、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSPともいう。メモリ5cは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等により構成される。
【0087】
処理回路が専用のハードウェア5aを備える場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらの組み合わせで実現される。
【0088】
昇降方向判定装置5の各機能は、それぞれ処理回路で実現することができる。あるいは、昇降方向判定装置5の各機能は、まとめて処理回路で実現することもできる。昇降方向判定装置5の各機能について、一部を専用のハードウェア5aで実現し、他部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。このように、処理回路は、ハードウェア5a、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせで昇降方向判定装置5の各機能を実現する。
【0089】
実施の形態2.
実施の形態2では、実施の形態1で開示された例と相違する点について詳しく説明する。実施の形態2で説明しない特徴については、実施の形態1で開示された例のいずれの特徴が採用されてもよい。
【0090】
図11および図12は、実施の形態2に係る読取装置の配置を示す図である。
図11において、側方からみた階段2が示される。図12において、上方からみた階段2が示される。
【0091】
図11に示されるように、この例の階段2は、上階および下階の間の中間部に踊り場17を有する折返し階段である。例えば、階段2aは、1階および2階の間に掛け渡される。階段2bは、2階および3階の間に掛け渡される。
【0092】
判定部11は、無線タグ4について滞留判定値を記憶する。滞留判定値は、例えば非負の整数値である。
【0093】
図12に示されるように、一対の読取装置6の各々は、左右方向において階段2の踏み段3の中央部に配置される。一対の読取装置6の各々の通信半径Rは、踏み段3の左右方向の長さの半分以上に調整される。
【0094】
続いて、昇降方向判定システム1による昇降方向の判定を説明する。
【0095】
判定部11は、複数の読取装置6のいずれかが固有情報を読み取ったか否かに基づいて、無線タグ4が検知されたかを判定する。
【0096】
例えば利用者が階段2をまだ利用していないときに、無線タグ4は検知されない。このとき、判定部11は、状態の判定を開始した無線タグ4のうち、状態の判定が完了していない無線タグ4があるかを判定する。ここで、状態の判定は、例えば昇降方向の判定を含む。この時点において、まだ利用者が階段2を利用していないので、無線タグ4について状態の判定は開始されていない。このため、判定部11は、状態の判定が完了していない無線タグ4はないと判定する。その後、判定部11は、無線タグ4が検知されたかを再び判定する。
【0097】
無線タグ4を所持している利用者は、例えば下階から上階への移動に階段2を利用する。利用者は、下階側から階段2の上を通行する。
【0098】
利用者が所持している無線タグ4は、下側の読取装置6の通信範囲7に入る。下側の読取装置6は、検出信号を出力している。無線タグ4は、検出信号を受信する。検出信号を受信した無線タグ4は、固有情報を発信する。下側の読取装置6は、無線タグ4が発信した固有情報を受信する。下側の読取装置6は、無線タグ4から読み取った固有情報と、自身の識別情報と、を情報処理装置8に送信する。
【0099】
情報処理装置8の通信部9は、下側の読取装置6から情報を取得する。記憶部10は、取得された情報を通行履歴として順次記憶する。
【0100】
下側の読取装置6が固有情報を読み取ったことに基づいて、判定部11は、無線タグ4が検知されたと判定する。ここで、下側の読取装置6は、第1読取装置の例である。この例において、第1読取装置は、状態の判定が開始されていない無線タグ4の固有情報を初めに読み取った読取装置6である。判定部11は、受信した固有情報に基づいて、無線タグ4を所持して階段2を利用した利用者を特定する。判定部11は、受信した識別情報に基づいて、当該利用者が利用した階段2を特定する。
【0101】
判定部11は、記憶部10が記憶する通行履歴に基づいて、第1読取装置が固有情報を読み取った時刻より前に当該固有情報に対応する無線タグ4が検知されており、かつ、当該無線タグ4の状態の判定が開始しているかを判定する。この例において、利用者が下階側から階段2の通行を開始した時点では、第1読取装置が固有情報を読み取る前に、当該固有情報に対応する無線タグ4は検知されていない。このため、判定部11は、第1読取装置が読み取った固有情報に対応する無線タグ4の状態の判定は開始していないと判定する。このとき、当該無線タグ4について、状態の判定が開始される。ここで、状態の判定が開始しているか否かの状況は、例えば記憶部10に記憶される。判定部11は、第1読取装置が設けられる位置に基づいて、当該固有情報を発信した無線タグ4を所持する利用者の昇降方向を推定する。この例において、第1読取装置は下側の読取装置6であるので、判定部11は、利用者の昇降方向を上りであると推定する。その後、判定部11は、無線タグ4が検知されたかを再び判定する。
【0102】
利用者は、階段2の下階側から踊り場17まで上る。この例において、踊り場17は、一対の読取装置6の通信範囲7のいずれにも含まれない。
【0103】
利用者が踊り場17にいる場合に、無線タグ4は一対の読取装置6のいずれによっても検知されないことがある。このとき、判定部11は、状態の判定が完了していない無線タグ4があるかを判定する。この時点において、下側の読取装置6の通信範囲7を通過した利用者が所持している無線タグ4について、状態の判定は、まだ昇降方向の推定に留まっている。このため、判定部11は、状態の判定が完了していない無線タグ4があると判定する。
【0104】
判定部11は、基準とする時刻から第1の時間が経過したかを判定する。ここで、第1の時間は、予め設定された時間である。また、基準とする時刻は、第1読取装置が固有情報を読み取った時刻、または第1の時間が経過したと以前に判定した時刻のいずれか遅い時刻である。
【0105】
基準とする時刻から第1の時間が経過したと判定する場合に、判定部11は、状態の判定が完了していない無線タグ4についての滞留判定値を増加させる。判定部11は、例えば現在値に1を加算することで滞留判定値を増加させる。その後、判定部11は、滞留判定値が予め設定された閾値を超えるかを判定する。滞留判定値が閾値を超えない場合に、判定部11は、無線タグ4が検知されたかを再び判定する。一方、滞留判定値が閾値を超える場合に、判定部11は、第1読取装置が読み取った固有情報に対応する無線タグ4を所持する利用者について階段2を利用していないと判定する。これにより、当該無線タグ4は、状態の判定が開始されていない状況になる。このとき、滞留判定値は例えば0に初期化される。その後、判定部11は、無線タグ4が検知されたかを再び判定する。
【0106】
一方、基準とする時刻から第1の時間が経過していないと判定する場合に、判定部11は、第1読取装置が固有情報を読み取った時刻から第2の時間が経過したかを判定する。ここで、第2の時間は、予め設定された時間である。第2の時間が経過していない場合に、判定部11は、無線タグ4が検知されたかを再び判定する。一方、第2の時間が経過した場合に、判定部11は、第1読取装置が読み取った固有情報に対応する無線タグ4を所持する利用者について階段2を利用していないと判定する。これにより、当該無線タグ4は、状態の判定が開始されていない状況になる。このとき、滞留判定値は例えば0に初期化される。その後、判定部11は、無線タグ4が検知されたかを再び判定する。
【0107】
利用者は、階段2の踊り場17から上階側まで上る。
【0108】
この例において、第1読取装置が固有情報を読み取った時刻に利用者の昇降方向が上りであると推定された状況で、利用者が所持している無線タグ4は、上側の読取装置6の通信範囲7に入る。上側の読取装置6は、検出信号を出力している。無線タグ4は、検出信号を受信する。検出信号を受信した無線タグ4は、固有情報を発信する。上側の読取装置6は、無線タグ4が発信した固有情報を受信する。上側の読取装置6は、無線タグ4から読み取った固有情報と、自身の識別情報と、を情報処理装置8に送信する。
【0109】
情報処理装置8の通信部9は、上側の読取装置6から情報を受信する。記憶部10は、取得された情報を通行履歴として順次記憶する。
【0110】
上側の読取装置6が固有情報を読み取ったことに基づいて、判定部11は、無線タグ4が検知されたと判定する。判定部11は、受信した固有情報に基づいて、無線タグ4を所持して階段2を利用した利用者を特定する。判定部11は、受信した識別情報に基づいて、当該利用者が利用した階段2を特定する。
【0111】
判定部11は、記憶部10が記憶する通行履歴に基づいて、第1読取装置が固有情報を読み取った時刻より前に当該固有情報に対応する無線タグ4が検知されており、かつ、当該無線タグ4の状態の判定が開始しているかを判定する。この時点において、上側の読取装置6が固有情報を読み取る前に、当該固有情報に対応する無線タグ4は下側の読取装置6によって検知されている。このため、判定部11は、このときに読み取られた固有情報に対応する無線タグ4について状態の判定が開始していると判定する。判定部11は、このときに固有情報を読み取った読取装置6が第1読取装置と同一であるかを判定する。
【0112】
ここで、例えば利用者が踊り場17から上階側に上らずに下階側に引き返した場合などに、利用者が所持する無線タグ4の固有情報は、第1読取装置に再び読み取られることがある。このとき、判定部11は、固有情報を後に読み取った読取装置6が第1読取装置と同一であると判定する。この場合に、判定部11は、当該利用者について階段2を折り返したと判定する。これにより、当該無線タグ4の状態の判定は完了する。このとき、滞留判定値は例えば0に初期化される。その後、判定部11は、無線タグ4が検知されたかを再び判定する。
【0113】
一方、この例において、利用者は踊り場17から上階側に上っているので、利用者が所持する無線タグ4の固有情報は上側の読取装置6に読み取られている。このとき、判定部11は、固有情報を後に読み取った読取装置6が第1読取装置と同一でないと判定する。判定部11は、当該読取装置6が第1読取装置と同一の階段2に設けられた読取装置6であるかを判定する。
【0114】
この例において、第1読取装置である下側の読取装置6より後に固有情報を読み取った上側の読取装置6は、第1読取装置と同一の階段2に設けられる読取装置6である。ここで、上側の読取装置6は、第2読取装置の例である。この例において、第2読取装置は、第1読取装置と同一の階段2に設けられ、第1読取装置より後に同一の固有情報を読み取った読取装置6である。このとき、判定部11は、推定していた利用者の昇降方向を第1読取装置から第2読取装置へ向かう方向として確定させる。この例において、確定した昇降方向は、下側の読取装置6から上側の読取装置6へ向かう上り方向である。これにより、当該無線タグ4について、状態の判定が完了する。このとき、滞留判定値は例えば0に初期化される。その後、判定部11は、無線タグ4が検知されたかを再び判定する。
【0115】
一方、例えば第1読取装置が設けられる階段2aの近くを通過する利用者の無線タグ4が誤検知されていた場合などに、第1読取装置と異なる階段2bに設けられる読取装置6が第1読取装置より後に同一の固有情報を読み取ることがある。ここで、階段2bに設けられる読取装置6は、第3読取装置の例である。この例において、第3読取装置は、第1読取装置と異なる階段2に設けられ、第1読取装置より後に同一の固有情報を読み取った読取装置6である。このとき、判定部11は、後に固有情報を読み取った読取装置6が第1読取装置と異なる階段2bに設けられた読取装置6であると判定する。この場合に、判定部11は、当該固有情報を発信した無線タグ4を所持する利用者について第1読取装置が設けられる階段2aを利用していないと判定する。これにより、当該無線タグ4は、状態の判定が開始されていない状況になる。このとき、滞留判定値は例えば0に初期化される。その後、判定部11は、第3読取装置を新たな第1読取装置であるとして、同様の処理によって利用者の昇降方向を判定する。
【0116】
続いて、図13および図14を用いて、昇降方向判定装置5の動作の例を説明する。
図13および図14は、実施の形態2に係る昇降方向判定装置の動作の例を示すフローチャートである。
【0117】
図13のステップS201において、判定部11は、無線タグ4が検知されたかを判定する。判定結果がYesの場合に、昇降方向判定装置5の動作は、ステップS203に進む。判定結果がNoの場合に、昇降方向判定装置5の動作は、図14のステップS202に進む。
【0118】
ステップS203において、判定部11は、固有情報に基づいて、階段2を利用した利用者を特定する。その後、昇降方向判定装置5の動作は、ステップS204に進む。
【0119】
ステップS204において、判定部11は、検知された無線タグ4の状態の判定が開始しているかを判定する。判定結果がNoの場合に、昇降方向判定装置5の動作は、ステップS205に進む。判定結果がYesの場合に、昇降方向判定装置5の動作は、ステップS211に進む。
【0120】
ステップS205において、判定部11は、識別情報に基づいて、固有情報を読み取った読取装置6を識別する。判定部11は、識別された読取装置6が設けられる位置に基づいて、当該固有情報を発信した無線タグ4を所持する利用者の昇降方向を推定する。その後、昇降方向判定装置5の動作は、ステップS201に進む。
【0121】
ステップS211において、判定部11は、識別情報に基づいて、状態の判定が開始している同一の無線タグ4を検知した2つの読取装置6が同一であるかを判定する。判定結果がYesの場合に、昇降方向判定装置5の動作は、ステップS212に進む。判定結果がNoの場合に、昇降方向判定装置5の動作は、ステップS213に進む。
【0122】
ステップS212において、判定部11は、利用者が階段2を折り返したと判定する。その後、昇降方向判定装置5の動作は、ステップS201に進む。
【0123】
ステップS213において、判定部11は、識別情報に基づいて、状態の判定が開始している同一の無線タグ4を検知した2つの読取装置6が同一の階段2に設けられたものであるかを判定する。判定結果がYesの場合に、昇降方向判定装置5の動作は、ステップS214に進む。判定結果がNoの場合に、昇降方向判定装置5の動作は、ステップS215に進む。
【0124】
ステップS214において、判定部11は、状態の判定が開始している同一の無線タグ4を検知した2つの読取装置6の位置に基づいて、推定していた利用者の昇降方向を確定させる。その後、昇降方向判定装置5の動作は、ステップS201に進む。
【0125】
ステップS215において、判定部11は、検知された無線タグ4を所持している利用者について、固有情報を先に読み取った読取装置6が設けられる階段2を使用していなかったと判定する。その後、昇降方向判定装置5の動作は、ステップS205に進む。
【0126】
図14のステップS202において、判定部11は、状態の判定が完了していない無線タグ4があるかを判定する。判定結果がNoの場合に、昇降方向判定装置5の動作は、図13のステップS201に進む。判定結果がYesの場合に、昇降方向判定装置5の動作は、ステップS206に進む。
【0127】
ステップS206において、判定部11は、基準とする時刻から第1の時間が経過したかを判定する。ここで、基準とする時刻は、先に固有情報が読み取られた時刻、または第1の時間が経過したと以前に判定した時刻のいずれか遅い時刻である。判定結果がYesの場合に、昇降方向判定装置5の動作は、ステップS207に進む。判定結果がNoの場合に、昇降方向判定装置5の動作は、ステップS210に進む。
【0128】
ステップS207において、判定部11は、滞留判定値を増加させる。その後、昇降方向判定装置5の動作は、ステップS208に進む。
【0129】
ステップS208において、判定部11は、滞留判定値が閾値を超えたかを判定する。判定結果がYesの場合に、昇降方向判定装置5の動作は、ステップS209に進む。判定結果がNoの場合に、昇降方向判定装置5の動作は、図13のステップS201に進む。
【0130】
ステップS209において、判定部11は、検知された無線タグ4を所持している利用者について、階段2を使用していなかったと判定する。その後、昇降方向判定装置5の動作は、図13のステップS201に進む。
【0131】
ステップS210において、判定部11は、先に固有情報が読み取られた時刻から第2の時間が経過したかを判定する。判定結果がYesの場合に、昇降方向判定装置5の動作は、ステップS209に進む。判定結果がNoの場合に、昇降方向判定装置5の動作は、図13のステップS201に進む。
【0132】
以上に説明したように、実施の形態2に係る昇降方向判定装置5において、複数の読取装置6の各々は、通信半径Rを階段2の踏み段3の左右方向の長さの半分以上とする通信範囲7に検出信号を出力する。
【0133】
複数の読取装置6の各々の検出信号の出力は、通信半径Rが階段2の踏み段3の左右方向の長さの半分以上となるように調整される。これにより、単一の読取装置6は、踏み段3の左右方向の中心部に配置されることで、当該踏み段3の上において利用者が通行する空間の左右方向の全体を通信範囲7に含む。このとき、当該踏み段3の上を通行する利用者は、当該通信範囲7の外を通らない。これにより、無線タグ4がより確実に検知されるようにできる。また、昇降方向判定装置5は、同じ高さに複数の読取装置6を必要としない。このため、昇降方向判定装置5の適用が容易になる。
【0134】
また、判定部11は、第1読取装置が読み取った固有情報と第2読取装置が第1読取装置より後に読み取った固有情報とが同一である場合に、利用者の昇降方向を第1読取装置から第2読取装置へ向かう方向として判定する。当該利用者は、当該固有情報を発信した無線タグ4を所持する利用者である。第1読取装置は、複数の読取装置6の1つである。第2読取装置は、複数の読取装置6の他の1つである。
【0135】
判定部11は、階段2の2点において同一の無線タグ4を検知した2つの読取装置6の位置関係に基づいて昇降方向を判定する。2つの読取装置6の位置関係は、予め定まっている。このため、判定部11は、利用者の昇降方向を容易に判定できる。
【0136】
また、判定部11は、第1読取装置が固有情報を読み取った時刻において当該固有情報を発信した無線タグ4の状態の判定を開始していない場合に、第1読取装置の階段2に対する位置に基づいて、利用者の昇降方向を推定する。当該利用者は、当該無線タグ4を所持する利用者である。第1読取装置は、複数の読取装置6の1つである。
【0137】
判定部11は、階段2の1点において無線タグ4を検知した1つの読取装置6の位置に基づいて昇降方向を推定する。これにより、判定部11は、利用者が階段2の昇降を終える前に昇降方向を推定できる。
【0138】
また、判定部11は、昇降方向が推定された利用者に所持される無線タグ4の固有情報を第2読取装置が読み取った場合に、当該利用者の昇降方向を第1読取装置から第2読取装置へ向かう方向として判定する。第2読取装置は、複数の読取装置6のうち第1読取装置の他の1つである。
【0139】
判定部11は、階段2の2点において無線タグ4を検知した2つの読取装置6の位置に基づいて、推定していた昇降方向を確定させて判定する。これにより、判定部11は、昇降方向の速やかな推定と確実な判定とを両立できる。
【0140】
また、判定部11は、無線タグ4について滞留判定値を記憶する。判定部11は、第1読取装置が固有情報を読み取った時刻の後から第1の時間を経過する毎に、複数の読取装置6のいずれもが当該固有情報を読み取らない場合に滞留判定値を増加させる。第1読取装置は、複数の読取装置6の1つである。判定部11は、滞留判定値が予め設定された閾値を超える場合に利用者について階段2を利用していないと判定する。当該利用者は、当該固有情報を発信した無線タグ4を所持する利用者である。
【0141】
これにより、判定部11は、例えば無線タグ4が誤検知された場合においても、当該利用者が階段2を利用していなかったことを判定できる。
【0142】
また、判定部11は、第1読取装置が固有情報を読み取った後において滞留判定値が閾値を超えていない場合に第1読取装置が当該固有情報を再度読み取ったときに、利用者について階段2を折り返したと判定する。利用者は、当該固有情報を発信した無線タグ4を所持する利用者である。
【0143】
これにより、判定部11は、例えば利用者が階段2に進入した後に折り返した場合においても、当該利用者が階段2を折り返したことを判定できる。
【0144】
また、判定部11は、第1読取装置が固有情報を読み取った後において滞留判定値が閾値を超えていない場合に第2読取装置が当該固有情報を読み取ったときに、利用者の昇降方向を第1読取装置から第2読取装置へ向かう方向として判定する。利用者は、当該固有情報を発信した無線タグ4を所持する利用者である。第2読取装置は、複数の読取装置6のうち第1読取装置の他の1つである。
【0145】
これにより、判定部11は、例えば利用者が階段2に進入した後の階段2における滞留と通行とを判別して昇降方向を判定できる。
【0146】
また、昇降方向判定装置5は、第3読取装置を備える。第3読取装置は、無線タグ4が無線信号によって発信する固有情報を読み取る。第3読取装置は、検出信号を自身の周りの通信範囲7に出力する。第3読取装置は、当該通信範囲7に階段2の利用者が通行する空間を含まないように配置される。判定部11は、第1読取装置が固有情報を読み取った後において滞留判定値が閾値を超えていない場合に第3読取装置が当該固有情報を読み取ったときに、利用者について前記階段2を利用していないと判定する。利用者は、当該固有情報を発信した無線タグ4を所持する利用者である。
【0147】
これにより、判定部11は、例えば無線タグ4が誤検知された場合においても、当該利用者が階段2を利用していなかったことを判定できる。
【0148】
また、判定部11は、第1読取装置が固有情報を読み取った時刻と当該時刻より第2の時間だけ後の時刻との間に複数の読取装置6のいずれもが当該固有情報を読み取らない場合に、利用者について階段2を利用していないと判定する。当該利用者は、当該固有情報を発信した無線タグ4を所持する利用者である。第1読取装置は、複数の読取装置6の1つである。
【0149】
これにより、判定部11は、例えば無線タグ4が誤検知された場合においても、当該利用者が階段2を利用していなかったことを判定できる。
【0150】
実施の形態3.
実施の形態3では、実施の形態1または実施の形態2で開示された例と相違する点について詳しく説明する。実施の形態3で説明しない特徴については、実施の形態1または実施の形態2で開示された例のいずれの特徴が採用されてもよい。
【0151】
図15は、実施の形態3に係る読取装置の配置を示す図である。
図15において、側方からみた階段2が示される。
【0152】
昇降方向判定装置5は、階段2に対して3つの読取装置6を備える。
【0153】
3つの読取装置6の1つは、階段2の上階側に設けられる。3つの読取装置6の他の1つは、階段2の下階側に設けられる。上階側の読取装置6は、下階側の読取装置6より上方に配置される。3つの読取装置6の残りの1つは、例えば踊り場17に設けられる。踊り場17の読取装置6は、上下方向において上階側の読取装置6と下階側の読取装置6のとの間に配置される。
【0154】
この例において、3つの読取装置6の各々の通信範囲7は、互いに空間的に分離されている。上側の読取装置6の通信範囲7は、階段2の利用者が通行する空間の部分のうちの上階側の部分を含む。下側の読取装置6の通信範囲7は、階段2の利用者が通行する空間の部分のうちの下階側の部分を含む。踊り場17の読取装置6の通信範囲7は、階段2の利用者が通行する空間の部分のうちの踊り場17の上の部分を含む。この例において、踊り場17の読取装置6の通信範囲7は、上側の読取装置6の通信範囲7および下側の読取装置6の通信範囲7より広く設定される。例えば、踊り場17の読取装置6の検出信号の出力は、通信半径Rが上側の読取装置6の通信半径Rおよび下側の読取装置6の通信半径Rより大きくなるように調整される。
【0155】
昇降方向判定装置5は、例えば3つの読取装置6の各々が高さの順に無線タグ4を検知するときに、利用者の昇降方向を判定してもよい。
【0156】
以上に説明したように、実施の形態3に係る昇降方向判定装置5において、複数の読取装置6の1つは、複数の読取装置6の他の1つの通信範囲7より広い通信範囲7に検出信号を出力する。
【0157】
複数の読取装置6の1つの検出信号の出力は、通信範囲7が複数の読取装置6の他の1つの通信範囲7より広くなるように調整される。これにより、階段2が例えば踊り場17のように広い領域を有する場合においても、当該領域を通行する利用者が所持する無線タグ4がより確実に検知される。
【0158】
なお、昇降方向判定装置5は、階段2に対して4つ以上の読取装置6を備えてもよい。
【0159】
実施の形態4.
実施の形態4では、実施の形態1から実施の形態3のいずれかで開示された例と相違する点について詳しく説明する。実施の形態4で説明しない特徴については、実施の形態1から実施の形態3のいずれかで開示された例のいずれの特徴が採用されてもよい。
【0160】
図16は、実施の形態4に係る読取装置の配置を示す図である。
図16において、側方からみた階段2が示される。
【0161】
この例において、階段2は、複数の階床のうち上下に続く一対の階床の間に掛け渡される。この例において、階段2は、上階および下階の間にまっすぐ掛け渡される直階段である。例えば、階段2aは、1階および2階の間に掛け渡される。また、階段2bは、2階および3階の間に掛け渡される。
【0162】
複数の読取装置6の各々は、例えば階段2の通行方向に沿って設けられる。この例において、昇降方向判定装置5は、階床の数より1つ多い読取装置6を備える。1つの階段2に対して、昇降方向判定装置5が備える複数の読取装置6のうちの一対の読取装置6が対応する。一対の読取装置6の一方は、対応する階段2の最上段に配置される。一対の読取装置6の他方は、対応する階段2の最下段に配置される。
【0163】
例えば、階段2aに対応する下側の読取装置6は、階段2aの最下段に配置される。階段2aに対応する上側の読取装置6は、階段2aの最上段に配置される。ここで、当該読取装置6は、階段2bにも対応する。当該読取装置6は、階段2bの最下段に配置されていることにもなる。
【0164】
以上に説明したように、実施の形態4に係る昇降方向判定装置5において、複数の読取装置6の1つは、階段2の最上段に設けられる。複数の読取装置6の他の1つは、階段2の最下段に設けられる。
【0165】
これにより、昇降方向判定装置5は、上下に続く2つの階段2について読取装置6を共有できる。このため、昇降方向判定装置5は、必要な読取装置6の数を低減できる。よって、昇降方向判定装置5の階段2への適用が容易になる。
【0166】
本発明に係る昇降方向判定装置は、昇降方向判定システムに適用できる。本発明に係る昇降方向判定システムは、階段に適用できる。
【符号の説明】
【0167】
1 昇降方向判定システム、 2、2a、2b 階段、 3 踏み段、 4 無線タグ、 5 昇降方向判定装置、 6 読取装置、 7 通信範囲、 8 情報処理装置、 9 通信部、 10 記憶部、 11 判定部、 12 管理部、 13 蹴込み板、 14 側桁、 15 支柱、 16 手摺、 17 踊り場、 5a ハードウェア、 5b プロセッサ、 5c メモリ、 R 通信半径
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