(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 61/2503 20220101AFI20230829BHJP
H04L 12/46 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
H04L61/2503
H04L12/46 Z
(21)【出願番号】P 2019124198
(22)【出願日】2019-07-03
【審査請求日】2022-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115129
【氏名又は名称】清水 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100102716
【氏名又は名称】在原 元司
(74)【代理人】
【識別番号】100122275
【氏名又は名称】竹居 信利
(72)【発明者】
【氏名】星野 聖
【審査官】羽岡 さやか
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-135108(JP,A)
【文献】特開2003-018184(JP,A)
【文献】特開2002-325104(JP,A)
【文献】特開平05-227161(JP,A)
【文献】米国特許第06845094(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/46
H04L 61/00-61/59
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信回線におけるネットワークアドレスの変更があった場合に、該通信回線に接続されている端末における変更前のネットワークアドレスと、ネットワークアドレスの変更が行われた端末にあっては変更後のネットワークアドレスとを対応させて記憶する記憶手段と、
変更前のネットワークアドレスを用いた端末への通信があった場合
、前記記憶手段内に、変更前のネットワークアドレスに対応する変更後のネットワークアドレスが記憶されていない場合は、該通信をそのまま行い、
前記記憶手段内に、変更前のネットワークアドレスに対応する変更後のネットワークアドレスが記憶されている場合は、変更前のネットワークアドレスを変更後のネットワークアドレスに変換して該端末への通信を行うように制御する制御手段
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、変更対象の通信回線に接続されている端末における変更前のネットワークアドレスを、前記記憶手段に記憶させる、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記通信回線におけるネットワークアドレスの変更があった場合に、ネットワークアドレスの変更が行われた端末を検知し、該端末の変更後のネットワークアドレスを、該端末の変更前のネットワークアドレスに対応させて、前記記憶手段に記憶させる、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記記憶手段は、前記端末を特定する情報と、該端末の変更前のネットワークアドレスと、ネットワークアドレスの変更が行われた端末にあっては変更後のネットワークアドレスを対応させて記憶する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御手段は、ネットワークアドレスの変更が行われた第1端末から、前記通信回線のネットワークアドレスの変更が反映されていない第2通信回線に接続されている第2端末への通信があった場合、該第1端末のネットワークアドレスを変更前のネットワークアドレスに変換して通信を行うように制御する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記第2端末から前記第1端末の変更前のネットワークアドレスへの通信があった場合、該第1端末のネットワークアドレスを変更後のネットワークアドレスに変換して通信を行うように制御する、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記制御手段は、ネットワークアドレスの変更が行われた第1端末へ、変更前のネットワークアドレスを用いた通信を行う第2端末に対して、ネットワークアドレスの変更の反映を行う旨の通知を行うように制御する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記第1端末におけるネットワークアドレスの変更が行われたときからの経過時間、又は、前記第2端末の数が、予め定められた条件を満たす場合に、前記通知を行うように制御する、
請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
コンピュータを、
通信回線におけるネットワークアドレスの変更があった場合に、該通信回線に接続されている端末における変更前のネットワークアドレスと、ネットワークアドレスの変更が行われた端末にあっては変更後のネットワークアドレスとを対応させて記憶する記憶手段と、
変更前のネットワークアドレスを用いた端末への通信があった場合
、前記記憶手段内に、変更前のネットワークアドレスに対応する変更後のネットワークアドレスが記憶されていない場合は、該通信をそのまま行い、
前記記憶手段内に、変更前のネットワークアドレスに対応する変更後のネットワークアドレスが記憶されている場合は、変更前のネットワークアドレスを変更後のネットワークアドレスに変換して該端末への通信を行うように制御する制御手段
として機能させるための情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、周辺装置がネットワークに参加したり、該周辺装置のIPアドレスが変更されたりしたりしたことを確実に認識し、認識した結果に基づいて、周辺装置を制御する制御プログラムの設定を変更する仕組みを提供することを課題とし、ネットワークデバイスが、固定識別情報の一例であるMACアドレスと、可変識別情報の一例であるIPアドレスの組合せを管理し、組合せの変化を認識することが開示されている。
【0003】
特許文献2には、複数種類の通信プロトコルが混在しているネットワークにおいて、1種類の通信プロトコルのみをサポートしたネットワーク管理サーバシステムが、他の通信プロトコルを採用したネットワークを管理できるようにし、その際に、ネットワーク管理サーバシステムの変更を極めて少なく抑えることを課題とし、2種類の通信プロトコルIPv4,IPv6が混在し、IPv4のみをサポートしたネットワーク管理サーバシステムが稼動しているネットワークにおいて、ネットワーク管理プロキシサーバシステムは、IPv6アドレスが付与されたノードに対してアドレス管理サーバシステムが動的に割り付けたIPv4アドレスを、該IPv6アドレスと対応付けて記憶し、ネットワーク管理サーバシステムからノードに向けて発行された、IPv4アドレスを用いたネットワーク管理コマンドを、一旦受信し、IPv6アドレスを用いたネットワーク管理コマンドに変換してから転送することが開示されている。
【0004】
特許文献3には、機器が同じ物理的ネットワーク上にあって、静的に異なるIPアドレス空間が付与された機器同士であっても接続を確立することを課題とし、ネットワーク機器に仮想インタフェースを実装し、その仮想インタフェースに対して端末(PC)からアクセスがあったときに、そのアクセス元である端末を宛先としてダイナミックにルート情報の追加を行う。このことにより、ネットワーク設定他を変更することなく機器間の相互の通信を実現することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-048462号公報
【文献】特開2000-183874号公報
【文献】特開2008-028798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
通信回線のネットワークアドレスの変更が行われた場合、個々の端末の事情によって、端末のネットワークアドレスの変更の時期が異なることが生じる。そのため、変更後のネットワークアドレスを用いた通信を行った場合は、変更前のネットワークアドレスである端末との通信ができない状況が発生し、逆に、変更前のネットワークアドレスを用いた通信を行った場合は、変更後のネットワークアドレスである端末との通信ができない状況が発生する。そこで、本発明は、通信回線のネットワークアドレスの変更が行われた場合に、ネットワークアドレスの変更が行われた端末と未だ変更が行われていない端末が混在していた場合であっても、それらの端末との通信ができる情報処理装置及び情報処理プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。なお、以下の「請求項」とあるのは、出願当初の請求項である。
請求項1の発明は、通信回線におけるネットワークアドレスの変更があった場合に、該通信回線に接続されている端末における変更前のネットワークアドレスと、ネットワークアドレスの変更が行われた端末にあっては変更後のネットワークアドレスとを対応させて記憶する記憶手段と、変更前のネットワークアドレスを用いた端末への通信があった場合、前記記憶手段を用いて、該端末がネットワークアドレスの変更を行っていない場合は、該通信をそのまま行い、該端末がネットワークアドレスの変更を行っている場合は、変更前のネットワークアドレスを変更後のネットワークアドレスに変換して該端末への通信を行うように制御する制御手段を有する情報処理装置である。
【0008】
請求項2の発明は、前記制御手段は、変更対象の通信回線に接続されている端末における変更前のネットワークアドレスを、前記記憶手段に記憶させる、請求項1に記載の情報処理装置である。
【0009】
請求項3の発明は、前記制御手段は、前記通信回線におけるネットワークアドレスの変更があった場合に、ネットワークアドレスの変更が行われた端末を検知し、該端末の変更後のネットワークアドレスを、該端末の変更前のネットワークアドレスに対応させて、前記記憶手段に記憶させる、請求項2に記載の情報処理装置である。
【0010】
請求項4の発明は、前記記憶手段は、前記端末を特定する情報と、該端末の変更前のネットワークアドレスと、ネットワークアドレスの変更が行われた端末にあっては変更後のネットワークアドレスを対応させて記憶する、請求項1に記載の情報処理装置である。
【0011】
請求項5の発明は、前記制御手段は、ネットワークアドレスの変更が行われた第1端末から、前記通信回線のネットワークアドレスの変更が反映されていない第2通信回線に接続されている第2端末への通信があった場合、該第1端末のネットワークアドレスを変更前のネットワークアドレスに変換して通信を行うように制御する、請求項1に記載の情報処理装置である。
【0012】
請求項6の発明は、前記制御手段は、前記第2端末から前記第1端末の変更前のネットワークアドレスへの通信があった場合、該第1端末のネットワークアドレスを変更後のネットワークアドレスに変換して通信を行うように制御する、請求項5に記載の情報処理装置である。
【0013】
請求項7の発明は、前記制御手段は、ネットワークアドレスの変更が行われた第1端末へ、変更前のネットワークアドレスを用いた通信を行う第2端末に対して、ネットワークアドレスの変更の反映を行う旨の通知を行うように制御する、請求項1に記載の情報処理装置である。
【0014】
請求項8の発明は、前記制御手段は、前記第1端末におけるネットワークアドレスの変更が行われたときからの経過時間、又は、前記第2端末の数が、予め定められた条件を満たす場合に、前記通知を行うように制御する、請求項7に記載の情報処理装置である。
【0015】
請求項9の発明は、コンピュータを、通信回線におけるネットワークアドレスの変更があった場合に、該通信回線に接続されている端末における変更前のネットワークアドレスと、ネットワークアドレスの変更が行われた端末にあっては変更後のネットワークアドレスとを対応させて記憶する記憶手段と、変更前のネットワークアドレスを用いた端末への通信があった場合、前記記憶手段を用いて、該端末がネットワークアドレスの変更を行っていない場合は、該通信をそのまま行い、該端末がネットワークアドレスの変更を行っている場合は、変更前のネットワークアドレスを変更後のネットワークアドレスに変換して該端末への通信を行うように制御する制御手段として機能させるための情報処理プログラムである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の情報処理装置によれば、通信回線のネットワークアドレスの変更が行われた場合に、ネットワークアドレスの変更が行われた端末と未だ変更が行われていない端末が混在していた場合であっても、それらの端末との通信ができる。
【0017】
請求項2の情報処理装置によれば、変更対象の通信回線に接続されている端末における変更前のネットワークアドレスを収集することができる。
【0018】
請求項3の情報処理装置によれば、通信回線におけるネットワークアドレスの変更があった場合に、ネットワークアドレスの変更が行われた端末を検知して管理することができる。
【0019】
請求項4の情報処理装置によれば、端末のMACアドレスと、変更前のネットワークアドレスと、変更後のネットワークアドレスを対応させて管理することができる。
【0020】
請求項5の情報処理装置によれば、ネットワークアドレスの変更が行われた第1端末から、通信回線のネットワークアドレスの変更が反映されていない第2通信回線に接続されている第2端末への通信があった場合、第2端末では、変更前のネットワークアドレスで第1端末と通信することができる。
【0021】
請求項6の情報処理装置によれば、第2端末から第1端末の変更前のネットワークアドレスへの通信があった場合、第2端末では、変更前のネットワークアドレスで第1端末と通信することができる。
【0022】
請求項7の情報処理装置によれば、ネットワークアドレスの変更があった第1端末に対して、変更前のネットワークアドレスを用いた通信を行う第2端末に対して、ネットワークアドレスの変更の反映を行う旨の通知をすることができる。
【0023】
請求項8の情報処理装置によれば、第1端末におけるネットワークアドレスの変更が行われたときからの経過時間、又は、第2端末の数に応じて、通知を行うことができる。
【0024】
請求項9の情報処理プログラムによれば、通信回線のネットワークアドレスの変更が行われた場合に、ネットワークアドレスの変更が行われた端末と未だ変更が行われていない端末が混在していた場合であっても、それらの端末との通信ができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本実施の形態の構成例についての概念的なモジュール構成図である。
【
図2】本実施の形態を利用したシステム構成例を示す説明図である。
【
図3】本実施の形態による処理例を示す説明図である。
【
図4】本実施の形態による処理例を示す説明図である。
【
図5】MAC・IP管理テーブルのデータ構造例を示す説明図である。
【
図6】本実施の形態による処理例を示す説明図である。
【
図7】本実施の形態による処理例を示す説明図である。
【
図8】本実施の形態による処理例を示す説明図である。
【
図9】新IP通信管理テーブルのデータ構造例を示す説明図である。
【
図10】本実施の形態による処理例を示す説明図である。
【
図11】本実施の形態による処理例を示す説明図である。
【
図12】MAC・IP管理テーブルのデータ構造例を示す説明図である。
【
図13】本実施の形態による処理例を示す説明図である。
【
図14】本実施の形態による処理例を示すフローチャートである。
【
図15】本実施の形態による処理例を示すフローチャートである。
【
図16】本実施の形態による処理例を示すフローチャートである。
【
図17】本実施の形態を実現するコンピュータのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面に基づき本発明を実現するにあたっての好適な一実施の形態の例を説明する。
図1は、本実施の形態の構成例についての概念的なモジュール構成図を示している。
なお、モジュールとは、一般的に論理的に分離可能なソフトウェア(「ソフトウェア」の解釈として、コンピュータ・プログラムを含む)、ハードウェア等の部品を指す。したがって、本実施の形態におけるモジュールはコンピュータ・プログラムにおけるモジュールのことだけでなく、ハードウェア構成におけるモジュールも指す。それゆえ、本実施の形態は、それらのモジュールとして機能させるためのコンピュータ・プログラム(例えば、コンピュータにそれぞれの手順を実行させるためのプログラム、コンピュータをそれぞれの手段として機能させるためのプログラム、コンピュータにそれぞれの機能を実現させるためのプログラム)、システム及び方法の説明をも兼ねている。ただし、説明の都合上、「記憶する」、「記憶させる」、これらと同等の文言を用いるが、これらの文言は、実施の形態がコンピュータ・プログラムの場合は、記憶装置に記憶させる、又は記憶装置に記憶させるように制御するという意味である。また、モジュールは機能に一対一に対応していてもよいが、実装においては、1モジュールを1プログラムで構成してもよいし、複数モジュールを1プログラムで構成してもよく、逆に1モジュールを複数プログラムで構成してもよい。また、複数モジュールは1コンピュータによって実行されてもよいし、分散又は並列環境におけるコンピュータによって1モジュールが複数コンピュータで実行されてもよい。なお、1つのモジュールに他のモジュールが含まれていてもよい。また、以下、「接続」とは物理的な接続の他、論理的な接続(例えば、データの授受、指示、データ間の参照関係、ログイン等)の場合にも用いる。「予め定められた」とは、対象としている処理の前に定まっていることをいい、本実施の形態による処理が始まる前はもちろんのこと、本実施の形態による処理が始まった後であっても、対象としている処理の前であれば、そのときの状況・状態にしたがって、又はそれまでの状況・状態にしたがって定まることの意を含めて用いる。「予め定められた値」が複数ある場合は、それぞれ異なった値であってもよいし、2以上の値(「2以上の値」には、もちろんのことながら、全ての値も含む)が同じであってもよい。また、「Aである場合、Bをする」という記載は、「Aであるか否かを判断し、Aであると判断した場合はBをする」の意味で用いる。ただし、Aであるか否かの判断が不要である場合を除く。また、「A、B、C」等のように事物を列挙した場合は、断りがない限り例示列挙であり、その1つのみを選んでいる場合(例えば、Aのみ)を含む。
また、システム又は装置とは、複数のコンピュータ、ハードウェア、装置等がネットワーク(「ネットワーク」には、一対一対応の通信接続を含む)等の通信手段で接続されて構成されるほか、1つのコンピュータ、ハードウェア、装置等によって実現される場合も含まれる。「装置」と「システム」とは、互いに同義の用語として用いる。もちろんのことながら、「システム」には、人為的な取り決めである社会的な「仕組み」(つまり、社会システム)にすぎないものは含まない。
また、各モジュールによる処理毎に又はモジュール内で複数の処理を行う場合はその処理毎に、対象となる情報を記憶装置から読み込み、その処理を行った後に、処理結果を記憶装置に書き出すものである。したがって、処理前の記憶装置からの読み込み、処理後の記憶装置への書き出しについては、説明を省略する場合がある。なお、ここでの記憶装置としては、ハードディスクドライブ、RAM(Random Access Memoryの略)、外部記憶媒体、通信回線を介した記憶装置、CPU(Central Processing Unitの略)内のレジスタ等を含んでいてもよい。
【0027】
本実施の形態である情報処理装置100は、
図1の例に示すように、新旧ネットワーク情報記憶モジュール105、アドレス取得モジュール110、IPアドレス書き換えモジュール115、ネットワークインタフェースモジュール120を有している。情報処理装置100は、通信を中継する装置であって、ネットワーク交換機であるゲートウェイ、又は、ルータの機能を有している。さらに、DHCPサーバの機能を有していてもよい。情報処理装置100は、LAN190配下の端末同士の通信、LAN190配下の端末と他のLAN配下の端末との通信を仲介する。ここで、「LAN190配下の端末」とは、LAN190に接続された端末をいい、
図1の例では、サーバ150、PC155が該当する。これらの端末を、同じサブネットマスク(単に、サブネットともいう)によって管理している。他のLANは、他の情報処理装置100(情報処理装置100と同等の機能を有しているものを含む)であってもよいし、又は、ルータ、DHCPサーバ等のように既存の装置によって管理されていてもよい。もちろんのことながら、LAN190と他のLANは、サブネットが異なる。
【0028】
新旧ネットワーク情報記憶モジュール105は、通信回線であるLAN190におけるネットワークアドレスの変更があった場合に、そのLAN190に接続されている端末における変更前のネットワークアドレスと、ネットワークアドレスの変更が行われた端末にあっては変更後のネットワークアドレスとを対応させて記憶する。
したがって、新旧ネットワーク情報記憶モジュール105は、LAN190のネットワークアドレスの変更後であっても、そのLAN190に接続されている端末の変更前のネットワークアドレスを記憶していることになる。
【0029】
また、新旧ネットワーク情報記憶モジュール105は、端末を特定する情報と、その端末の変更前のネットワークアドレスと、ネットワークアドレスの変更が行われた端末にあっては変更後のネットワークアドレスを対応させて記憶するようにしてもよい。ここで「端末を特定する情報」は、本実施の形態において、端末を一意に識別するための識別子であり、例えば、MACアドレスを用いてもよい。具体的には、新旧ネットワーク情報記憶モジュール105は、LAN190配下の端末のMACアドレスと、それに対応する新旧ネットワークアドレスを格納する。
【0030】
さらに、新旧ネットワーク情報記憶モジュール105は、他のLANが存在する場合、そのLANから新しいネットワークアドレスに通信がきたか否かを示す情報を記憶するようにしてもよい。つまり、他のLANから新しいネットワークアドレスに通信がきた場合は、その「他のLAN」は、本LAN190におけるネットワークアドレスの変更が既に反映されていることを示しており、旧ネットワークアドレスを使用する必要がなくなる。つまり、新しいネットワークアドレスでの通信をそのまま行えばよい。逆に、他のLANから新しいネットワークアドレスへの通信がない(古いネットワークアドレスに通信がきている)場合は、その「他のLAN」は、本LAN190におけるネットワークアドレスの変更が反映されていないことを示しており、旧ネットワークアドレスに変換する必要がある。
また、複数回のネットワークアドレスの変更が行われた場合、2世代(現在のネットワークアドレスよりも前に使われていたネットワークアドレス)、3世代(2世代のネットワークアドレスよりも前に使われていたネットワークアドレス)等のように複数のネットワークアドレスを記憶してもよい。特に、短期間にネットワークアドレスの変更が行われた場合は、このようにしてもよい。
【0031】
IPアドレス書き換えモジュール115は、変更前のネットワークアドレスを用いた端末への通信があった場合、新旧ネットワーク情報記憶モジュール105を用いて、その端末がネットワークアドレスの変更を行っていない場合は、その通信をそのまま行い、その端末がネットワークアドレスの変更を行っている場合は、変更前のネットワークアドレスを変更後のネットワークアドレスに変換して、その端末への通信を行うように制御する。
つまり、IPアドレス書き換えモジュール115は、新旧ネットワーク情報記憶モジュール105の情報に基づいて、通信するネットワークアドレスを書き換え、通信を行う端末相互の認識が違っていても通信を成立させるようにしている。
具体的には、通信元の端末は、通信先の端末のネットワークアドレスが変更されているか否かを事前に把握することは困難であり、変更前のネットワークアドレスを用いて通信が行われることが想定される。一方、LAN190のサブネットは変更されたが、送信先の端末自身のネットワークアドレスが変更されている場合もあれば、変更されずに古いネットワークアドレスのままである場合もある。そこで、送信先の端末がネットワークアドレスの変更を行っていない場合(つまり、変更されずに古いネットワークアドレスのままである場合)、その変更前のネットワークアドレスを用いた通信を行う。一方、送信先の端末がネットワークアドレスの変更を行っている場合(つまり、変更されて新しいネットワークアドレスである場合)、変更前のネットワークアドレスを変更後のネットワークアドレスに変換して、その端末への通信を行う。
【0032】
また、IPアドレス書き換えモジュール115は、ネットワークアドレスの変更が行われた第1端末から、LAN190のネットワークアドレスの変更が反映されていない第2LANに接続されている第2端末への通信があった場合、その第1端末のネットワークアドレスを変更前のネットワークアドレスに変換して通信を行うよう制御するようにしてもよい。
ここで「第2LAN」は、ネットワークアドレスの変更が行われたLAN190とは異なるLANである。具体的には、サブネットマスクが異なるLANである。
さらに、IPアドレス書き換えモジュール115は、第2端末から第1端末の変更前のネットワークアドレスへの通信があった場合、その第1端末のネットワークアドレスを変更後のネットワークアドレスに変換して通信を行うよう制御するようにしてもよい。
【0033】
また、IPアドレス書き換えモジュール115は、ネットワークアドレスの変更が行われた第1端末へ、変更前のネットワークアドレスを用いた通信を行う第2端末に対して、ネットワークアドレスの変更の反映を行う旨の通知を行うよう制御するようにしてもよい。通知を行う先は、第2端末である。
さらに、IPアドレス書き換えモジュール115は、第1端末におけるネットワークアドレスの変更が行われたときからの経過時間、又は、第2端末の数が、予め定められた条件を満たす場合に、ネットワークアドレスの変更の反映を行う旨の通知を行うよう制御するようにしてもよい。
ここで、「予め定められた条件」として、以下のものがある。
(1)第1端末においてネットワークアドレスの変更が行われてからの経過時間が、予め定められた期間より長い又は以上であること。もちろんのことながら、情報処理装置100は、第1端末においてネットワークアドレスの変更が行われた日時を管理している。
(2)第2端末の数が、予め定められた数より少ない又は以下であること。もちろんのことながら、情報処理装置100は、第2端末の数を管理している。
【0034】
また、通知として、以下のようにしてもよい。
(1)変更前のネットワークアドレスを用いた通信がHTTP通信の場合、応答するHTTPコンテンツ内にブックマークアドレス変更が必要な旨を埋め込んで返す。
(2)変更前のネットワークアドレスを用いた通信が電子メールの送受信の場合は、通信元のメールアドレスに対してネットワークアドレスが変わっている旨を通知する。
(3)管理者のメールアドレスに対して、旧ネットワークアドレスを用いている端末のリストを、電子メール、又は、UI(ユーザーインタフェース)画面で通知する。
【0035】
アドレス取得モジュール110は、変更対象のLAN190に接続されている端末における変更前のネットワークアドレスを、新旧ネットワーク情報記憶モジュール105に記憶させる。
さらに、アドレス取得モジュール110は、LAN190におけるネットワークアドレスの変更があった場合に、ネットワークアドレスの変更が行われた端末を検知し、その端末の変更後のネットワークアドレスを、その端末の変更前のネットワークアドレスに対応させて、新旧ネットワーク情報記憶モジュール105に記憶させるようにしてもよい。
つまり、アドレス取得モジュール110は、LAN190配下の端末のネットワークアドレスを取得する。例えば、アドレス取得モジュール110は、LAN190配下の端末のMACアドレスとネットワークアドレスの現在の組み合わせを調査して新旧ネットワーク情報記憶モジュール105を更新する。同じMACアドレスの端末で、過去のネットワークアドレスと今回のネットワークアドレスが異なれば、旧ネットワークアドレスと新ネットワークアドレスとの組み合わせを生成することができる。
具体的には、アドレス取得モジュール110は、後述する
図14の例に示すフローチャートによる処理によって、MACアドレスとネットワークアドレスの組を取得する。
【0036】
ネットワークインタフェースモジュール120は、ネットワークアドレス変更前及び変更後のネットワークアドレスを保持できるインタフェースである。つまり、情報処理装置100は、2つのネットワークアドレスを有している。
サーバ150、PC155は、LAN190配下にある端末の例である。もちろんのことながら、複合機(スキャナ、プリンタ、複写機、ファックス等のいずれか2つ以上の機能を有している画像処理装置)、携帯情報端末等の通信可能な他の端末があってもよい。
【0037】
図2は、本実施の形態を利用したシステム構成例を示す説明図である。ネットワークアドレスとして、IPアドレスを例として用いる。
情報処理装置100、サーバ150、PC155は、LAN190を介してそれぞれ接続されている。ルータ200B、PC255Bは、LAN290Bを介して接続されている。ルータ200C、PC255Cは、LAN290Cを介して接続されている。情報処理装置100とルータ200B、ルータ200Cは、通信回線295を介して接続されている。LAN190、LAN290は、無線、有線、これらの組み合わせであってもよく、例えば、通信インフラとしてのイントラネット等であってもよい。通信回線295は、例えば、LANに対応してVPN(Virtual Private Network)と呼ばれるものであり、無線、有線、これらの組み合わせであってもよく、例えば、通信インフラとしてのインターネット、イントラネット等であってもよい。
【0038】
ネットワークの環境整備、部門の統廃合等に伴い、社内ネットワークアドレスの変更はたびたび発生する作業である。
しかし、ネットワークアドレス変更は、各ユーザーのPCの個別の設定(具体的には、ブックマーク、メールサーバ等)変更作業等を伴う場合があり、管理者の負担が大きい。
IoT機器等においては、設定の更新、又は、再起動をしないとIPアドレスが更新されずネットワークアドレスの変更が即時に反映されないケースもある。
また、例えば、
図2に示すように、複数ネットワークがVPN等を介して接続される環境の場合、物理的に離れたネットワーク環境においても同時に設定変更をしないと目的のサーバと通信ができない期間ができてしまう。
【0039】
ネットワークアドレスの変更に伴い、各端末又は各拠点(具体的に、
図2の示す例では、サーバ150、PC155、ルータ200、PC255等)が任意のタイミングで設定変更せざるをえない場合でも、通信断を発生させることなく変更作業を行いたい、という要望がある。
本実施の形態である情報処理装置100は、新旧ネットワークアドレスを関連付けて記憶することで、通信を円滑に行うようにしている。さらに、機器固有識別情報(例えば、MACアドレス)と新旧ネットワークアドレスを関連付けて記憶するようにしてもよい。
【0040】
情報処理装置100は、例えば、以下のような処理を行う。なお、この説明は、本実施の形態の理解を容易にすることを目的とするものであり、この説明を用いて限定解釈することは意図していない。そして、この説明部分のみを用いて、特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであること(特許法第36条第6項第1号)の判断を行うべきではないことは当然である。
・情報処理装置100は、ネットワークアドレスの変更対象であるLAN190に接続された端末の旧IPアドレスを予め記憶しておく。
・ネットワークアドレスの変更後、新しいネットワークアドレスに切り替わった端末を把握する。
・ネットワークアドレスの変更後、変更前のネットワークアドレスをネットワークインタフェースモジュール120に維持する。つまり、変更前後のネットワークアドレスの両方を使えるようにする。
・ある端末から旧IPアドレスへの通信要求があった場合、以下の処理を行う。
通信先の端末がまだ旧IPアドレスを保持している端末であれば、そのまま通信を行わせる。
通信先の端末が新しいIPアドレスに切り替わった端末であれば、新しいIPアドレスに書き換えて通信させる。
・LAN190のネットワークアドレスの変更が、他のLAN290で反映されているかについても把握する。
・他のLAN290と通信をするときに、新旧どのIPアドレスを使っているかにより、IPアドレスを適宜書き換えて、設定変更状態に差があっても通信を維持できるようにする。
・例えば、新IPアドレスの端末から、設定変更が反映されていない他のLAN290の端末への通信要求があった場合、
送信元のIPアドレスを旧IPアドレスに書き換えて通信する。
・長期間旧IPアドレスを使っている等の予め定められた条件を満たす端末に対し、変更を促す通知を行う。
これらの処理をゲートウェイである情報処理装置100内で行わせることで、管理者による作業の負担を減少させる。
【0041】
図3は、本実施の形態による処理例を示す説明図である。
図3の例は、IPアドレスの変更前の状態を示している。
LAN190とLAN290B、LAN190とLAN290Cは、VPNによって接続されている。具体的には、情報処理装置100とルータ200B、情報処理装置100とルータ200Cが、VPNによって接続されており、LAN190配下の端末とLAN290B又はLAN290C配下の端末とが通信するには、情報処理装置100がその通信を中継することになる。また、LAN190配下の端末であるサーバ150とPC155とが通信する場合にも、情報処理装置100がその通信を中継することになる。
情報処理装置100のIPアドレスは、「10.0.1.254」である。
サーバ150のMACアドレスは、「22:22:22:22:22:22」であり、IPアドレスは、「10.0.1.100」である。
PC155のMACアドレスは、「11:11:11:11:11:11」であり、IPアドレスは、「10.0.1.10」である。
LAN190のIPアドレスは、「10.0.1.0/24」(サブネット)である。
ルータ200BのIPアドレスは、「10.0.2.254」である。PC255BのIPアドレスは、「10.0.2.10」である。LAN290BのIPアドレスは、「10.0.2.0/24」(サブネット)である。
ルータ200CのIPアドレスは、「10.0.3.254」である。PC255CのIPアドレスは、「10.0.3.10」である。LAN290CのIPアドレスは、「10.0.3.0/24」(サブネット)である。
【0042】
図4は、本実施の形態による処理例を示す説明図である。
図4の例は、IPアドレスの変更後であって、PC155がIPアドレスを変更した状態を示している。
IPアドレスを情報処理装置100で変更する。具体的には、LAN190のIPアドレスは「10.0.1.0/24」(サブネット)から「10.0.9.0/24」(サブネット)に変更し、情報処理装置100は「10.0.1.254」と「10.0.9.254」の2つのIPアドレスを有している。なお、
図6、7、8、10、11、13においても、LAN190のIPアドレスが変更された後の状態であることを示している。
PC155は再起動されて情報処理装置100からDHCPを再取得し、PC155のIPアドレスは「10.0.1.10」から「10.0.9.1」に変更される。
【0043】
この状態で、情報処理装置100は、例えばMAC・IP管理テーブル500を生成する。
図5は、MAC・IP管理テーブル500のデータ構造例を示す説明図である。MAC・IP管理テーブル500は、MAC欄510、旧IP欄520、新IP欄530を有している。MAC欄510は、MACアドレスを記憶している。旧IP欄520は、旧IPアドレスを記憶している。新IP欄530は、新IPアドレスを記憶している。
例えば、MAC・IP管理テーブル500の1行目は、MACアドレス「11:11:11:11:11:11」のPC155は、旧IPアドレスが「10.0.1.10」であり、新IPアドレスが「10.0.9.1」であることを示しており、2行目は、MACアドレス「22:22:22:22:22:22」のサーバ150は、旧IPアドレスが「10.0.1.100」であり、新IPアドレスは未設定であることを示している。
【0044】
図6は、本実施の形態による処理例を示す説明図である。
図6の例は、PC155からサーバ150への通信例を示したものである。
通常は別ネットワークになると通信できないが、ゲートウェイである情報処理装置100が新旧のIPアドレスを把握してフォワードすることで通信を可能にしている。
具体的には、PC155からサーバ150に送信する場合は、PC155から情報処理装置100へ「Dst(送信先のIPアドレス):10.0.1.100、Src(送信元のIPアドレス):10.0.9.1」とし、情報処理装置100からサーバ150へ「Dst:10.0.1.100、Src:10.0.9.1」とする。MAC・IP管理テーブル500から、送信先であるサーバ150はネットワークアドレスの変更を行っていないと判明する。したがって、送信先のIPアドレス、送信元のIPアドレスを変更せずに通信を行っている。つまり、この例は、「変更前のネットワークアドレスを用いた端末への通信があった場合、MAC・IP管理テーブル500を用いて、その端末がネットワークアドレスの変更を行っていない場合は、その通信をそのまま行うように制御する」の一例である。
【0045】
図7は、本実施の形態による処理例を示す説明図である。
サーバ150も情報処理装置100からDHCPを再取得することによって、サーバ150のIPアドレスは「10.0.1.100」から「10.0.9.100」へ変更される。
この状態で、情報処理装置100は、MAC・IP管理テーブル500を書き換える。具体的には、MAC・IP管理テーブル500の新IP欄530の2行目を空欄から「10.0.9.100」と書き換える。
【0046】
図8は、本実施の形態による処理例を示す説明図である。
図8の例では、LAN290B配下のPC255BとLAN190配下のサーバ150との間での通信について説明する。
この例では、LAN190又はサーバ150におけるネットワークアドレスの変更をPC255Bが把握していないので、PC255Bはサーバ150の旧IPアドレス宛に通信しようとする。
つまり、PC255Bから情報処理装置100へ「Dst:10.0.1.100、Src:10.0.2.10」とし、情報処理装置100からサーバ150へ「Dst:10.0.9.100、Src:10.0.2.10」とする通信を行う。ここでは、MAC・IP管理テーブル500を用いて、Dstを旧IPアドレスから新IPアドレスに書き換えて通信可能とする。
そして、返信として、サーバ150から情報処理装置100へ「Dst:10.0.2.10、Src:10.0.9.100」とし、情報処理装置100からPC255Bへ「Dst:10.0.2.10、Src:10.0.1.100」とする通信を行う。ここでは、MAC・IP管理テーブル500を用いて、Srcを新IPアドレスから旧IPアドレスに書き換えて、送信先と同じ「10.0.1.100」からの返信であることを担保している。
【0047】
図9は、新IP通信管理テーブル900のデータ構造例を示す説明図である。新IP通信管理テーブル900は、新旧ネットワーク情報記憶モジュール105が記憶しており、情報処理装置100でIPアドレスを変更した後に、他のLANとの通信があった場合に、変更後のIPアドレスが使われたか否かを管理するものである。なお、情報処理装置100は、LAN190配下の端末から他のLAN290配下の端末への通信を行う場合に利用されるが、
図8の例に示したように他のLAN290配下の端末からLAN190配下の端末への通信を行う場合は不要である。
新IP通信管理テーブル900は、LAN欄910、新IPへの通信欄920を有している。LAN欄910は、LANを記憶している。新IPへの通信欄920は、新IPアドレスへの通信があるか否かの情報を記憶している。
例えば、新IP通信管理テーブル900の1行目は、LAN「10.0.2.0/24」は、新IPアドレスへの通信が「なし」であることを示しており、2行目は、LAN「10.0.3.0/24」は、新IPアドレスへの通信が「あり」であることを示している。
【0048】
図10は、本実施の形態による処理例を示す説明図である。
図10の例は、新IP通信管理テーブル900を用い、PC155からPC255Bへの通信例を示している。LAN290Bのルータ200Bで、LAN190のIPアドレス(ネットマスク)の変更を反映していない場合、LAN190の「10.0.9.0/24」への通信経路が設定されていないため、本来は(つまり、本実施の形態を用いないと)通信できない。
PC155からPC255Bへ通信を行う際、Srcを新IPアドレスから旧IPアドレスに書き換えて通信可能としている。具体的には、PC155から情報処理装置100へ「Dst:10.0.2.10、Src:10.0.9.1」とし、情報処理装置100からPC255Bへ「Dst:10.0.2.10、Src:10.0.1.10」とする通信を行う。ここでは、新IP通信管理テーブル900を用いて、LAN290B配下の端末から新IPアドレスからの通信が「なし」であるので、LAN290Bでは、LAN190のIPアドレス(ネットマスク)の変更が反映されていないと判断される。そこで、MAC・IP管理テーブル500を用いて、Srcを新IPアドレスから旧IPアドレスに書き換えて通信可能とする。
そして、PC255BからPC155への返信として、PC255Bから情報処理装置100へ「Dst:10.0.1.10、Src:10.0.2.10」とし、情報処理装置100からPC155へ「Dst:10.0.9.1、Src:10.0.2.10」とする通信を行う。ここでは、MAC・IP管理テーブル500を用いて、Dstを旧IPアドレスから新IPアドレスに書き換えて通信可能とする。
【0049】
図11は、本実施の形態による処理例を示す説明図である。
図11の例は、2つのLAN間でIPアドレス(ネットマスク)の変更の設定がスムーズに行われた環境では、期待通りの通信が可能であることを示している。
LAN290Cのルータ200Cで、LAN190のIPアドレス(ネットマスク)の変更を反映した場合、LAN190の「10.0.9.0/24」への通信経路が設定されているため、本実施の形態を用いた場合でも通信可能である。
PC255Cとサーバ150との通信例を示す。
LAN290C配下のPC255Cから情報処理装置100へ「Dst:10.0.9.100、Src:10.0.3.10」とし、情報処理装置100からサーバ150へ「Dst:10.0.9.100、Src:10.0.3.10」とする通信を行う。ここでは、新IP通信管理テーブル900を用いて、LAN290C配下の端末から新IPアドレスからの通信が「あり」なので、LAN290Cでは、LAN190のIPアドレス(ネットマスク)の変更が反映されていると判断されるため、IPアドレスの変更なしにそのままの通信を行っている。
そして、返信では同様に、サーバ150から情報処理装置100へ「Dst:10.0.3.10、Src:10.0.9.100」とし、情報処理装置100からPC255Cへ「Dst:10.0.3.10、Src:10.0.9.100」とする通信を行う。ここでは、MAC・IP管理テーブル500からSrcは新IPアドレスであることが判明するので、IPアドレスの変更なしにそのままの通信を行っている。
【0050】
ネットワークアドレスの変更が行われた第1端末へ、変更前のネットワークアドレスを用いた通信を行う第2端末に対して、ネットワークアドレスの変更の反映を行う旨の通知を行うように制御するために、例えば、MAC・IP管理テーブル1200を用いる。
図12は、MAC・IP管理テーブル1200のデータ構造例を示す説明図である。MAC・IP管理テーブル1200は、MAC・IP管理テーブル500に旧IPが使われた最終日時欄1240、旧IPを使ったリスト欄1250を追加したものである。MAC・IP管理テーブル1200は、MAC欄1210、旧IP欄1220、新IP欄1230、旧IPが使われた最終日時欄1240、旧IPを使ったリスト欄1250を有している。MAC欄1210は、MACアドレスを記憶している。旧IP欄1220は、旧IPアドレスを記憶している。新IP欄1230は、新IPアドレスを記憶している。旧IPが使われた最終日時欄1240は、旧IPアドレスが使われた最終日時(年、月、日、時、分、秒、秒以下、又はこれらの組み合わせであってもよい)を記憶している。旧IPを使ったリスト欄1250は、旧IPアドレスを用いた通信を行った端末のリストを記憶している。ここでは、その端末のIPアドレスのリストを例として挙げている。
【0051】
図13は、本実施の形態による処理例を示す説明図である。
図13の例は、ネットワークアドレスの変更が行われたサーバ150へ、変更前のネットワークアドレスを用いた通信を行うPC255Bに対して、ネットワークアドレスの変更の反映を行う旨の通知を行うように制御する例を示すものである。
例えば、サーバ150は、IPアドレス「10.0.1.100」を「10.0.9.100」に変更して予め定められた期間が経過したとする。しかしながら、LAN290B配下のPC255Bから旧IPアドレス「10.0.1.100」を用いたHTTPによるアクセスが発生した場合に、情報処理装置100は、PC255Bに対して、HTTP応答1390を通知する。HTTP応答1390は、例えば、「サーバ10.0.1.100のIPアドレスは10.0.9.100に変更されています。ブックマークの変更をお願いします。」と記載したエラーページを、PC255BのWebブラウザーに表示させるように制御する。管理者による変更指示作業を必要とせずに、PC255Bのユーザーに対して、IPアドレス変更の反映を依頼することができる。
なお、具体的な処理としては、PC255Bから旧IPアドレス「10.0.1.100」を用いた通信が発生した場合に、MAC・IP管理テーブル1200の旧IPが使われた最終日時欄1240にその通信が行われた日時、旧IPを使ったリスト欄1250にPC255BのIPアドレスを記憶させる。そして、サーバ150で新IPアドレスに変更してから予め定められた期間が経過したことが判明した場合に、HTTP応答1390を通知する。
【0052】
図14は、本実施の形態による処理例を示すフローチャートである。アドレス取得モジュール110による処理例であって、端末のMACアドレスとネットワークアドレスの組を取得する処理例を示すものである。具体的には、MAC・IP管理テーブル500、又は、MAC・IP管理テーブル1200に、端末のMACアドレスとネットワークアドレスの組を登録する処理例を示すものである。なお、ステップS1404、ステップS1408、ステップS1412での登録は、MAC・IP管理テーブル500、又は、MAC・IP管理テーブル1200への登録である。
ステップS1400では、更新処理を開始する。
ステップS1402では、情報処理装置100がDHCPサーバ機能を有し、かつ、有効であるか否かを判断し、DHCPサーバ機能を有し、かつ、その機能が有効である場合はステップS1404へ進み、それ以外の場合はステップS1406へ進む。
ステップS1404では、DHCPサーバのリース情報から端末のMACアドレスとIPアドレスを登録する。
【0053】
ステップS1406では、ARPテーブルに未把握のLAN内のIPアドレスがあるか否かを判断し、ある場合はステップS1408へ進み、それ以外の場合はステップS1410へ進む。
ステップS1408では、未把握のIPアドレスにarpingを実行し、応答があれば、端末のMACアドレスとIPアドレスを登録する。
【0054】
ステップS1410では、最近のパケットキャプチャに未把握のLAN内のIPアドレスがあるか否かを判断し、ある場合はステップS1412へ進み、それ以外の場合は処理を終了する(ステップS1499)。
ステップS1412では、未把握のIPアドレスにarpingを実行し、応答があれば、端末のMACアドレスとIPアドレスを登録する。
ステップS1499では、更新処理を終了する。
【0055】
図15は、本実施の形態による処理例を示すフローチャートである。IPアドレス書き換えモジュール115による処理例であって、LAN外の端末からLAN内の端末へのパケット通信の処理例を示すものである。
ステップS1502では、LAN外の端末からLAN内(旧IPアドレス)の端末へのパケット送信であるか否かを判断し、LAN外の端末からLAN内(旧IPアドレス)の端末へのパケット送信である場合はステップS1504へ進み、それ以外の場合は処理を終了する(ステップS1599)。
【0056】
ステップS1504では、MAC・IP管理テーブル500に、「Dstは旧IPである」、かつ、「新IPは空(NULL)ではない」を満たすエントリがあるか否かを判断し、ある場合はステップS1506へ進み、それ以外の場合は処理を終了する(ステップS1599)。
ステップS1506では、Dstを一致したエントリの新IPアドレスに書き換える。
なお、戻りのパケットのSrcの書き換えは省略する。
【0057】
図16は、本実施の形態による処理例を示すフローチャートである。IPアドレス書き換えモジュール115による処理例であって、LAN内の端末からLAN外の端末へのパケット通信の処理例を示すものである。
ステップS1602では、LAN内(新IPアドレス)の端末からLAN外の端末へのパケットであるか否かを判断し、LAN内(新IPアドレス)の端末からLAN外の端末へのパケットである場合はステップS1604へ進み、それ以外の場合は処理を終了する(ステップS1699)。
【0058】
ステップS1604では、LAN外からLAN内(新IPアドレス)への通信が過去一度もないか否かを判断し、一度もない場合はステップS1606へ進み、それ以外の場合は処理を終了する(ステップS1699)。例えば、新IP通信管理テーブル900を用いて判断すればよい。
ステップS1606では、MAC・IP管理テーブル500に、「Srcは新IPである」を満たすエントリがあるか否かを判断し、ある場合はステップS1608へ進み、それ以外の場合は処理を終了する(ステップS1699)。
ステップS1608では、Srcを一致したエントリの旧IPアドレスに書き換える。
なお、戻りのパケットのDstの書き換えは省略する。
【0059】
なお、本実施の形態としてのプログラムが実行されるコンピュータのハードウェア構成は、
図17に例示するように、一般的なコンピュータであり、具体的にはパーソナルコンピュータ、サーバとなり得るコンピュータ等である。つまり、具体例として、処理部(演算部)としてCPU1701を用い、記憶装置としてRAM1702、ROM1703、HDD1704を用いている。HDD1704として、例えば、HDD(Hard Disk Driveの略)、フラッシュ・メモリであるSSD(Solid State Driveの略)等を用いてもよい。アドレス取得モジュール110、IPアドレス書き換えモジュール115、ネットワークインタフェースモジュール120等のプログラムを実行するCPU1701と、そのプログラムやデータを記憶するRAM1702と、本コンピュータを起動するためのプログラム等が格納されているROM1703と、新旧ネットワーク情報記憶モジュール105等としての機能を有する補助記憶装置であるHDD1704と、キーボード、マウス、タッチスクリーン、マイク、カメラ(視線検知カメラ等を含む)等に対する利用者の操作(動作、音声、視線等を含む)に基づいてデータを受け付ける受付装置1706と、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、スピーカー等の出力装置1705と、ネットワークインタフェースカード等の通信ネットワークと接続するための通信回線インタフェース1707、そして、それらをつないでデータのやりとりをするためのバス1708により構成されている。これらのコンピュータが複数台互いにネットワークによって接続されていてもよい。
【0060】
前述の実施の形態のうち、コンピュータ・プログラムによるものについては、本ハードウェア構成のシステムにソフトウェアであるコンピュータ・プログラムを読み込ませ、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働して、前述の実施の形態が実現される。
なお、
図17に示すハードウェア構成は、1つの構成例を示すものであり、本実施の形態は、
図17に示す構成に限らず、本実施の形態において説明したモジュールを実行可能な構成であればよい。例えば、プロセッサーとして、GPU(Graphics Processing Unitの略、GPGPU(General-Purpose computing on Graphics Processing Unitsの略)を含む)を用いてもよいし、一部のモジュールを専用のハードウェア(例えば特定用途向け集積回路(具体例として、ASIC(Application Specific Integrated Circuitの略)等がある)や再構成可能な集積回路(具体例として、FPGA(Field-Programmable Gate Arrayの略)等がある)で構成してもよく、一部のモジュールは外部のシステム内にあり通信回線で接続している形態でもよく、さらに
図17に示すシステムが複数互いに通信回線によって接続されていて互いに協調動作するようにしてもよい。また、特に、パーソナルコンピュータの他、携帯情報通信機器(携帯電話、スマートフォン、モバイル機器、ウェアラブルコンピュータ等を含む)、情報家電、ロボット、複写機、ファックス、スキャナ、プリンタ、複合機などに組み込まれていてもよい。
【0061】
なお、説明したプログラムについては、記録媒体に格納して提供してもよく、また、そのプログラムを通信手段によって提供してもよい。その場合、例えば、前記説明したプログラムについて、「プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」の発明として捉えてもよい。
「プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、プログラムのインストール、実行、プログラムの流通等のために用いられる、プログラムが記録されたコンピュータで読み取り可能な記録媒体をいう。
なお、記録媒体としては、例えば、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)であって、DVDフォーラムで策定された規格である「DVD-R、DVD-RW、DVD-RAM等」、DVD+RWで策定された規格である「DVD+R、DVD+RW等」、コンパクトディスク(CD)であって、読出し専用メモリ(CD-ROM)、CDレコーダブル(CD-R)、CDリライタブル(CD-RW)等、ブルーレイ・ディスク(Blu-ray(登録商標) Disc)、光磁気ディスク(MO)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ、ハードディスク、読出し専用メモリ(ROM)、電気的消去及び書換可能な読出し専用メモリ(EEPROM(登録商標))、フラッシュ・メモリ、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、SD(Secure Digitalの略)メモリーカード等が含まれる。
そして、前記のプログラムの全体又はその一部は、前記記録媒体に記録して保存や流通等させてもよい。また、通信によって、例えば、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、メトロポリタン・エリア・ネットワーク(MAN)、ワイド・エリア・ネットワーク(WAN)、インターネット、イントラネット、エクストラネット等に用いられる有線ネットワーク、又は無線通信ネットワーク、さらにこれらの組み合わせ等の伝送媒体を用いて伝送させてもよく、また、搬送波に乗せて搬送させてもよい。
さらに、前記のプログラムは、他のプログラムの一部分若しくは全部であってもよく、又は別個のプログラムと共に記録媒体に記録されていてもよい。また、複数の記録媒体に分割して記録されていてもよい。また、圧縮や暗号化等、復元可能であればどのような態様で記録されていてもよい。
【符号の説明】
【0062】
100…情報処理装置
105…新旧ネットワーク情報記憶モジュール
110…アドレス取得モジュール
115…IPアドレス書き換えモジュール
120…ネットワークインタフェースモジュール
150…サーバ
155…PC
190…LAN
200…ルータ
255…PC
290…LAN
295…通信回線