IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ カシオ計算機株式会社の特許一覧

特許7338314情報処理装置、売上データ処理装置及びプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】情報処理装置、売上データ処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G07G 1/12 20060101AFI20230829BHJP
【FI】
G07G1/12 311B
G07G1/12 361C
G07G1/12 341D
G07G1/12 321Z
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2019146978
(22)【出願日】2019-08-09
(65)【公開番号】P2021026735
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2022-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】當摩 和義
(72)【発明者】
【氏名】高橋 弘
【審査官】平野 貴也
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-102195(JP,A)
【文献】特開2009-217597(JP,A)
【文献】特開平01-185792(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07G 1/00 - 5/00
G06Q 30/0283
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が所定の複数の要素項目のいずれかを表す複数の条件要素の組み合わせにより定まる、商品又は役務の提供条件を表す提供条件情報と、商品又は役務ごとに、一又は二以上の特定の前記提供条件に対してそれぞれ当該商品又は役務の価格が設定されている価格設定情報と、に基づいて商品又は役務の提供価格を特定する提供価格特定手段を備え、
前記提供条件情報は、前記複数の条件要素の各々が表す前記要素項目を示す情報を含み
前記提供価格特定手段は、
前記価格設定情報において、前記提供条件情報が表す前記提供条件に対して設定されている価格が特定できる場合には、当該価格を前記提供価格として特定し、
前記価格設定情報において、前記提供条件情報が表す前記提供条件に対して設定されている価格が特定できない場合には、当該提供条件を除くいずれかの前記提供条件であって価格が設定されている代替提供条件を所定の規則に従って特定し、当該代替提供条件に対して設定されている価格を前記提供価格として特定し、
前記提供条件情報が表す前記提供条件に係る前記複数の条件要素のうち、所定の優先条件要素を除いた条件要素の少なくとも一部の前記要素項目を変更する要素項目変更処理と、前記要素項目変更処理において前記要素項目が変更された前記複数の条件要素の組み合わせに対応する前記提供条件を前記代替提供条件として特定する代替提供条件特定処理と、を実行することで、前記規則に従って前記代替提供条件を特定することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
各々が所定の複数の要素項目のいずれかを表す複数の条件要素の組み合わせにより定まる、商品又は役務の提供条件を表す提供条件情報と、商品又は役務ごとに、一又は二以上の特定の前記提供条件に対してそれぞれ当該商品又は役務の価格が設定されている価格設定情報と、に基づいて商品又は役務の提供価格を特定する提供価格特定手段を備え、
前記提供条件情報は、前記複数の条件要素の各々が表す前記要素項目を示す情報を含み、
前記複数の条件要素のそれぞれには優先順位が定められており、
前記提供価格特定手段は、
前記価格設定情報において、前記提供条件情報が表す前記提供条件に対して設定されている価格が特定できる場合には、当該価格を前記提供価格として特定し、
前記価格設定情報において、前記提供条件情報が表す前記提供条件に対して設定されている価格が特定できない場合には、当該提供条件を除くいずれかの前記提供条件であって価格が設定されている代替提供条件を所定の規則に従って特定し、当該代替提供条件に対して設定されている価格を前記提供価格として特定し、
前記提供条件情報が表す前記提供条件に係る前記複数の条件要素のうち、前記優先順位に応じた一の条件要素の前記要素項目を変更する要素項目変更処理と、前記要素項目変更処理において前記要素項目が変更された前記複数の条件要素の組み合わせに対応する前記提供条件を前記代替提供条件として特定する代替提供条件特定処理と、を実行することで、前記規則に従って前記代替提供条件を特定することを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
前記提供価格特定手段は、前記代替提供条件特定処理を実行する前に、前記要素項目変更処理において前記要素項目が変更された前記複数の条件要素の組み合わせに対応する前記提供条件が、前記価格設定情報において価格が設定されている提供条件となるまで前記要素項目変更処理を繰り返し実行することを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
ユーザの第1の入力操作に基づいて前記優先条件要素を設定する優先条件要素設定手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
各々が所定の複数の要素項目のいずれかを表す複数の条件要素の組み合わせにより定まる、商品又は役務の提供条件を表す提供条件情報と、商品又は役務ごとに、一又は二以上の特定の前記提供条件に対してそれぞれ当該商品又は役務の価格が設定されている価格設定情報と、に基づいて商品又は役務の提供価格を特定する提供価格特定手段を備え、
前記提供条件情報は、前記複数の条件要素に含まれる条件要素の数以上の桁を有する価格番号の情報を含み、
前記複数の条件要素の各々は、前記価格番号における互いに異なるいずれかの桁に対応し、
前記価格番号は、各前記条件要素に対応する桁の値が、前記条件要素が表す前記複数の要素項目のいずれかに対応する条件値となっており、
前記提供価格特定手段は、
前記価格設定情報において、前記提供条件情報が表す前記提供条件に対して設定されている価格が特定できる場合には、当該価格を前記提供価格として特定し、
前記価格設定情報において、前記提供条件情報が表す前記提供条件に対して設定されている価格が特定できない場合には、当該提供条件を除くいずれかの前記提供条件であって価格が設定されている代替提供条件を所定の規則に従って特定し、当該代替提供条件に対して設定されている価格を前記提供価格として特定することを特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
商品又は役務の提供が行われる場合に前記提供条件情報を取得する提供条件情報取得手段を備え、
前記提供条件情報取得手段は、前記複数の条件要素についてそれぞれ前記条件値を取得し、取得した前記条件値に、前記価格番号において各条件要素に対応する桁の単位数を乗じて得られた数を、前記複数の条件要素について加算することで前記価格番号を算出することを特徴とする請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
商品又は役務の提供が行われる場合に前記提供条件情報を取得する提供条件情報取得手段を備え、
前記提供条件情報取得手段は、商品又は役務の提供状況に係る提供状況情報に基づいて前記複数の条件要素のうち一部の条件要素の前記要素項目を特定することを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
商品又は役務の提供が行われる場合に前記提供条件情報を取得する提供条件情報取得手段と、
前記複数の条件要素のうち所定の条件要素に係る前記複数の要素項目のいずれかをユーザに選択させるための条件選択画面を表示部に表示させる第1の表示制御手段と、
を備え、
前記提供条件情報取得手段は、前記条件選択画面におけるユーザの選択結果に基づいて、前記所定の条件要素の前記要素項目を特定することを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記第1の表示制御手段は、前記複数の要素項目を表す複数の項目名が商品又は役務ごとに予め定められて記憶されている項目名情報に基づいて、前記条件選択画面において、提供する商品又は役務に対応する前記複数の項目名を表示させることを特徴とする請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
各々が所定の複数の要素項目のいずれかを表す複数の条件要素の組み合わせにより定まる、商品又は役務の提供条件を表す提供条件情報と、商品又は役務ごとに、一又は二以上の特定の前記提供条件に対してそれぞれ当該商品又は役務の価格が設定されている価格設定情報と、に基づいて商品又は役務の提供価格を特定する提供価格特定手段と、
前記複数の条件要素の可能な組み合わせに対応する複数の前記提供条件のうち少なくとも一部の前記提供条件に対応する価格を、ユーザの第2の入力操作に基づいて設定し、当該設定した価格に基づいて前記価格設定情報を生成する価格設定情報生成手段と、
前記価格設定情報生成手段により前記価格設定情報が生成される場合に、前記複数の提供条件における、ユーザの前記第2の入力操作に基づく価格の設定状況を示す価格設定画面を表示部に表示させる第2の表示制御手段と、
を備え、
前記提供価格特定手段は、
前記価格設定情報において、前記提供条件情報が表す前記提供条件に対して設定されている価格が特定できる場合には、当該価格を前記提供価格として特定し、
前記価格設定情報において、前記提供条件情報が表す前記提供条件に対して設定されている価格が特定できない場合には、前記複数の提供条件のうち価格が設定されていない提供条件の各々について、価格が設定されている提供条件のいずれかである仮代替提供条件を所定の規則に従って特定し、
前記第2の表示制御手段は、前記価格設定画面において、前記価格が設定されている提供条件については、当該提供条件に対して設定されている価格を表示させ、前記価格が設定されていない提供条件については、前記仮代替提供条件に対して設定されている価格を表示させることを特徴とする情報処理装置。
【請求項11】
前記第2の表示制御手段は、前記価格設定画面において、前記価格が設定されている提供条件に対応する価格と、前記価格が設定されていない提供条件に対応する価格と、を異なる態様で表示させることを特徴とする請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の情報処理装置と、
前記提供価格特定手段により特定された前記提供価格の情報を含む商品又は役務の売上データを生成する売上データ生成手段と、
を備えることを特徴とする売上データ処理装置。
【請求項13】
情報処理装置に設けられたコンピュータを、
各々が所定の複数の要素項目のいずれかを表す複数の条件要素の組み合わせにより定まる、商品又は役務の提供条件を表す提供条件情報と、商品又は役務ごとに、一又は二以上の特定の前記提供条件に対してそれぞれ当該商品又は役務の価格が設定されている価格設定情報と、に基づいて商品又は役務の提供価格を特定する提供価格特定手段として機能させ、
前記提供条件情報は、前記複数の条件要素の各々が表す前記要素項目を示す情報を含み、
前記提供価格特定手段は、
前記価格設定情報において、前記提供条件情報が表す前記提供条件に対して設定されている価格が特定できる場合には、当該価格を前記提供価格として特定し、
前記価格設定情報において、前記提供条件情報が表す前記提供条件に対して設定されている価格が特定できない場合には、当該提供条件を除くいずれかの前記提供条件であって価格が設定されている代替提供条件を所定の規則に従って特定し、当該代替提供条件に対して設定されている価格を前記提供価格として特定し、
前記提供条件情報が表す前記提供条件に係る前記複数の条件要素のうち、所定の優先条件要素を除いた条件要素の少なくとも一部の前記要素項目を変更する要素項目変更処理と、前記要素項目変更処理において前記要素項目が変更された前記複数の条件要素の組み合わせに対応する前記提供条件を前記代替提供条件として特定する代替提供条件特定処理と、を実行することで、前記規則に従って前記代替提供条件を特定することを特徴とするプログラム。
【請求項14】
情報処理装置に設けられたコンピュータを、
各々が所定の複数の要素項目のいずれかを表す複数の条件要素の組み合わせにより定まる、商品又は役務の提供条件を表す提供条件情報と、商品又は役務ごとに、一又は二以上の特定の前記提供条件に対してそれぞれ当該商品又は役務の価格が設定されている価格設定情報と、に基づいて商品又は役務の提供価格を特定する提供価格特定手段として機能させ、
前記提供条件情報は、前記複数の条件要素の各々が表す前記要素項目を示す情報を含み、
前記複数の条件要素のそれぞれには優先順位が定められており、
前記提供価格特定手段は、
前記価格設定情報において、前記提供条件情報が表す前記提供条件に対して設定されている価格が特定できる場合には、当該価格を前記提供価格として特定し、
前記価格設定情報において、前記提供条件情報が表す前記提供条件に対して設定されている価格が特定できない場合には、当該提供条件を除くいずれかの前記提供条件であって価格が設定されている代替提供条件を所定の規則に従って特定し、当該代替提供条件に対して設定されている価格を前記提供価格として特定し、
前記提供条件情報が表す前記提供条件に係る前記複数の条件要素のうち、前記優先順位に応じた一の条件要素の前記要素項目を変更する要素項目変更処理と、前記要素項目変更処理において前記要素項目が変更された前記複数の条件要素の組み合わせに対応する前記提供条件を前記代替提供条件として特定する代替提供条件特定処理と、を実行することで、前記規則に従って前記代替提供条件を特定することを特徴とするプログラム。
【請求項15】
情報処理装置に設けられたコンピュータを、
各々が所定の複数の要素項目のいずれかを表す複数の条件要素の組み合わせにより定まる、商品又は役務の提供条件を表す提供条件情報と、商品又は役務ごとに、一又は二以上の特定の前記提供条件に対してそれぞれ当該商品又は役務の価格が設定されている価格設定情報と、に基づいて商品又は役務の提供価格を特定する提供価格特定手段として機能させ、
前記提供条件情報は、前記複数の条件要素に含まれる条件要素の数以上の桁を有する価格番号の情報を含み、
前記複数の条件要素の各々は、前記価格番号における互いに異なるいずれかの桁に対応し、
前記価格番号は、各前記条件要素に対応する桁の値が、前記条件要素が表す前記複数の要素項目のいずれかに対応する条件値となっており、
前記提供価格特定手段は、
前記価格設定情報において、前記提供条件情報が表す前記提供条件に対して設定されている価格が特定できる場合には、当該価格を前記提供価格として特定し、
前記価格設定情報において、前記提供条件情報が表す前記提供条件に対して設定されている価格が特定できない場合には、当該提供条件を除くいずれかの前記提供条件であって価格が設定されている代替提供条件を所定の規則に従って特定し、当該代替提供条件に対して設定されている価格を前記提供価格として特定することを特徴とするプログラム。
【請求項16】
情報処理装置に設けられたコンピュータを、
各々が所定の複数の要素項目のいずれかを表す複数の条件要素の組み合わせにより定まる、商品又は役務の提供条件を表す提供条件情報と、商品又は役務ごとに、一又は二以上の特定の前記提供条件に対してそれぞれ当該商品又は役務の価格が設定されている価格設定情報と、に基づいて商品又は役務の提供価格を特定する提供価格特定手段、
前記複数の条件要素の可能な組み合わせに対応する複数の前記提供条件のうち少なくとも一部の前記提供条件に対応する価格を、ユーザの第2の入力操作に基づいて設定し、当該設定した価格に基づいて前記価格設定情報を生成する価格設定情報生成手段、
前記価格設定情報生成手段により前記価格設定情報が生成される場合に、前記複数の提供条件における、ユーザの前記第2の入力操作に基づく価格の設定状況を示す価格設定画面を表示部に表示させる第2の表示制御手段、
として機能させ、
前記提供価格特定手段は、
前記価格設定情報において、前記提供条件情報が表す前記提供条件に対して設定されている価格が特定できる場合には、当該価格を前記提供価格として特定し、
前記価格設定情報において、前記提供条件情報が表す前記提供条件に対して設定されている価格が特定できない場合には、前記複数の提供条件のうち価格が設定されていない提供条件の各々について、価格が設定されている提供条件のいずれかである仮代替提供条件を所定の規則に従って特定し、
前記第2の表示制御手段は、前記価格設定画面において、前記価格が設定されている提供条件については、当該提供条件に対して設定されている価格を表示させ、前記価格が設定されていない提供条件については、前記仮代替提供条件に対して設定されている価格を表示させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、売上データ処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、商品又は役務の売上データの登録等の処理を行う売上データ処理装置(例えばECR(Electronic Cash Register))が知られている。
【0003】
現実の商取引では、同一種類の商品又は役務であっても、その提供条件(例えば、時刻、場所、又は商品のサイズ等)に応じて提供価格を異ならせる場合がある。これに対し、売上データ処理装置が有する情報処理装置により、提供条件に合った提供価格を特定し、この提供価格に基づいて売上データの処理を行う技術が知られている。例えば、特許文献1には、時間帯に応じて提供価格を変更する技術が開示されている。また、特許文献2には、商品のサイズに応じて提供価格を変更する技術が開示されている。また、特許文献3には、異なる複数の商品をセットで提供する場合に、単品で提供する場合とは提供価格を異ならせる技術が開示されている。これらの技術はいずれも、複数の提供条件の各々に対して商品又は役務の価格をユーザが予め設定しておき、実際の商品又は役務の提供時に、提供条件に対して設定されている価格を提供価格として都度特定することで適切な提供価格での商取引の処理を可能とするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平3-278198号公報
【文献】特開2014-146170号公報
【文献】特開2017-58826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、提供条件が複数の条件要素の組み合わせにより定まる場合には、可能な提供条件の数が多くなりやすく、条件要素の数によっては膨大な数に上ることもある。このような場合には、全ての提供条件に対して価格を予め設定する作業が煩雑であり、また、全ての提供条件に対して適切な価格を誤りなく設定することが容易でないという課題がある。
【0006】
この発明の目的は、簡易な設定で、複数の条件要素の組み合わせにより定まる提供条件に応じた適切な提供価格で商品又は役務を提供することができる情報処理装置、売上データ処理装置及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の情報処理装置は、
各々が所定の複数の要素項目のいずれかを表す複数の条件要素の組み合わせにより定まる、商品又は役務の提供条件を表す提供条件情報と、商品又は役務ごとに、一又は二以上の特定の前記提供条件に対してそれぞれ当該商品又は役務の価格が設定されている価格設定情報と、に基づいて商品又は役務の提供価格を特定する提供価格特定手段を備え、
前記提供条件情報は、前記複数の条件要素の各々が表す前記要素項目を示す情報を含み
前記提供価格特定手段は、
前記価格設定情報において、前記提供条件情報が表す前記提供条件に対して設定されている価格が特定できる場合には、当該価格を前記提供価格として特定し、
前記価格設定情報において、前記提供条件情報が表す前記提供条件に対して設定されている価格が特定できない場合には、当該提供条件を除くいずれかの前記提供条件であって価格が設定されている代替提供条件を所定の規則に従って特定し、当該代替提供条件に対して設定されている価格を前記提供価格として特定し、
前記提供条件情報が表す前記提供条件に係る前記複数の条件要素のうち、所定の優先条件要素を除いた条件要素の少なくとも一部の前記要素項目を変更する要素項目変更処理と、前記要素項目変更処理において前記要素項目が変更された前記複数の条件要素の組み合わせに対応する前記提供条件を前記代替提供条件として特定する代替提供条件特定処理と、を実行することで、前記規則に従って前記代替提供条件を特定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、簡易な設定で、複数の条件要素の組み合わせにより定まる提供条件に応じた適切な提供価格で商品又は役務を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】売上データ処理装置の外観を示す図である。
図2】売上データ処理装置の主要な機能構成を示すブロック図である。
図3】複数の条件要素の組み合わせにより定まる提供条件の例を説明する図である。
図4】価格設定データの内容例を示す図である。
図5】商品登録処理の制御手順を示すフローチャートである。
図6】売上登録画面を示す図である。
図7】時刻条件要素設定データの内容例を示す図である。
図8】場所条件要素設定データの内容例を示す図である。
図9】価格番号算出処理の制御手順を示すフローチャートである。
図10】提供価格特定処理の制御手順を示すフローチャートである。
図11】価格設定画面を示す図である。
図12】価格設定画面の他の例を示す図である。
図13】特定の一部の提供条件に対してのみ価格が設定されている価格設定データの例を示す図である。
図14】優先条件要素設定データの内容例を示す図である。
図15】価格シフトの動作を説明する図である。
図16】価格シフトの動作を説明する図である。
図17】価格シフトを行う場合の提供価格特定処理の制御手順を示すフローチャートである。
図18】価格シフトの機能を用いる場合の価格設定画面を示す図である。
図19】優先条件要素が「場所優先」となっている場合の価格設定画面を示す図である。
図20】価格の設定動作における価格設定画面の表示内容の変化の例を示す図である。
図21】売上登録画面を示す図である。
図22】テーブル選択画面を示す図である。
図23】テーブル選択後の売上登録画面を示す図である。
図24】サイズ選択画面を示す図である。
図25】条件要素項目名データの内容例を示す図である。
図26】他の商品についてのサイズ選択画面を示す図である。
図27】他の商品についてのサイズ選択画面を示す図である。
図28】付け合わせ設定データの内容例を示す図である。
図29】付け合わせ選択画面を示す図である。
図30】割り材サイズ選択画面を示す図である。
図31】付け合わせ選択画面において「オレンジ」の付け合わせ選択ボタンが選択された場合に表示される売上登録画面を示す。
図32】付け合わせ選択画面においてキャンセルボタンが選択された場合に表示される売上登録画面を示す。
図33】サイズ選択画面及び付け合わせ選択画面の他の表示態様を示す図である。
図34】変形例1に係る付け合わせ条件要素の要素項目を示す図である。
図35】変形例2に係る売上登録画面を示す図である。
図36】変形例2に係るサイズ選択画面を示す図である。
図37】変形例3に係る売上データ処理システムを示す図である。
図38】端末装置の表示部に表示された売上登録画面、サイズ選択画面及び付け合わせ選択画面を示す図である。
図39】クリーニング店で用いられる提供条件の例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の情報処理装置、売上データ処理装置及びプログラムに係る実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
(売上データ処理装置の構成)
図1は、本発明の情報処理装置及び売上データ処理装置の実施形態としての売上データ処理装置100の外観を示す図である。
図2は、売上データ処理装置100の主要な機能構成を示すブロック図である。
本実施形態の売上データ処理装置100は、例えばレストランやカフェといった飲食店に設置されて用いられる。売上データ処理装置100は、顧客に提供(販売)する商品又は役務(以下、単に商品と記す)の種別や、その提供数などの情報を特定する入力操作を受け付け、この入力操作等により登録された情報に基づいて提供価格を特定し、商品の売上データを算出して登録するECRである。また、本実施形態の売上データ処理装置100は、顧客から領収した代金を格納し、レシートなどを印刷する機能を有する。
【0012】
図1及び図2に示されるように、売上データ処理装置100は、CPU11(Central Processing Unit)、RAM12(Random Access Memory)、記憶部13、操作表示部14、計時部15、顧客用表示部16、印刷部17、ドロア18、通信部19などを備える。これらの各部は、バス20により接続されている。また、CPU11、RAM12、記憶部13、操作表示部14及び計時部15により情報処理装置1が構成される。
【0013】
CPU11は、記憶部13に記憶された各種制御用のプログラム131や設定データを読み出してRAM12に記憶させ、当該プログラム131を実行して各種演算処理を行う。CPU11は、プログラム131に従って各種処理を実行することにより、提供価格特定部111(提供価格特定手段)、提供条件情報取得部112(提供条件情報取得手段)、優先条件要素設定部113(優先条件要素設定手段)、第1の表示制御部114(第1の表示制御手段)、第2の表示制御部115(第2の表示制御手段)、価格設定情報生成部116(価格設定情報生成手段)、及び売上データ生成部117(売上データ生成手段)などとして機能する。
【0014】
RAM12は、CPU11に作業用のメモリ空間を提供し、一時データを記憶する。RAM12は、不揮発性メモリを含んでいてもよい。RAM12には、商品の提供状況(例えば、商品の提供時刻及び提供場所)に係る提供状況データ121(提供状況情報)、及び後述する価格番号の算出結果を含む価格番号データ122(提供条件情報)などが記憶される。なお、これらの提供状況データ121及び価格番号データ122は、記憶部13に記憶されてもよい。
【0015】
記憶部13は、CPU11により実行される各種制御用のプログラム131や設定データといった各種データを記憶する。プログラム131は、コンピュータ読み取り可能なプログラムコードの形態で記憶部13に格納されている。記憶部13としては、例えばHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、フラッシュメモリなどが用いられ、また、ROM(Read Only Memory)やDRAM(Dynamic Random Access Memory)などが併用されてもよい。
記憶部13には、設定データとして、時刻条件要素設定データ132、場所条件要素設定データ133、価格設定データ134(価格設定情報)、条件要素項目名データ135(項目名情報)、優先条件要素設定データ136、付け合わせ設定データ137、売上データ138などが記憶されている。これらのデータの内容については、後述する。
なお、売上データ処理装置100の記憶部13に記憶されているプログラム131及び各種設定データの一部又は全部を外部のサーバ等に記憶させておき、売上データ処理装置100がサーバ等から通信部19を介して必要な情報を取得して動作するようにしてもよい。
【0016】
操作表示部14は、表示部141と、表示部141の表示画面に重ねられて設けられたタッチパネル142とを備える。なお、操作表示部14には、キーボードやマウスといった、ユーザからの入力操作を受け付けるタッチパネル142以外の入力デバイスがさらに設けられていてもよい。
【0017】
操作表示部14の表示部141は、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイなどにより構成される。表示部141は、CPU11から出力された制御信号に従って、表示画面上に売上データ処理に係るメニューやステータス、タッチパネル142により受け付けられる入力操作の対象を示す操作キーなどの表示を行う。
【0018】
操作表示部14のタッチパネル142は、表面がユーザの指先や所定のスタイラスなどにより接触されると、当該接触を入力操作として受け付け、接触が検知された位置(座標)を示す信号をCPU11に出力する。本実施形態のタッチパネル142は、表面が指先などにより接触されることによる内部の導電膜と表面との間の静電容量の変化に基づいて接触を検出する静電容量方式のタッチパネルである。なお、タッチパネル142の方式は静電容量方式に限られず、抵抗膜方式、電磁誘導方式といった他の方式であってもよい。また、タッチパネル142は、表示部141の表示画面に重ねられたものに限られず、表示部141と一体的に設けられていてもよい。
【0019】
顧客用表示部16は、LCD、有機ELディスプレイ、CRTディスプレイなどにより構成され、売上データ処理装置100を操作するユーザと対面する顧客に対して、商品名や提供価格などの各種情報を表示する。
【0020】
印刷部17は、CPU11から出力された制御信号に従い、レシートやジャーナルなどを用紙に印刷するプリンタである。
【0021】
ドロア18は、金銭、商品券等を格納する引き出しであり、CPU11による制御下で開放する開放機構を有する。
【0022】
通信部19は、ネットワークケーブルなどを介してデータサーバといった外部機器と通信を行う。また、通信部19は、店員等のユーザが使用するハンディターミナル(携帯型の端末装置)との間で無線通信を行ってもよい。
【0023】
(売上データ処理装置の基本動作)
次に、売上データ処理装置100の基本動作について説明する。
売上データ処理装置100は、商品の提供に際して、操作表示部14に対するユーザの入力操作等に基づいて、顧客に提供する商品の種別、個数、販売価格等を特定し、これらの情報を含む商品の売上データ138を生成して記憶部13に記憶する。蓄積された売上データ138は、店舗の売上や在庫などの管理に用いることができる。
【0024】
本実施形態では、商品の提供価格は、複数の条件要素の組み合わせにより定まる商品の提供条件に基づいて決定される。
店舗における商品の提供では、同一種別の商品であっても、商品のサイズや付け合わせの有無などによって提供価格を変える場合がある。また、商品の提供時刻(例えば、ランチタイムであるか否か)によって提供価格を変える場合もある。さらには、商品の提供場所によって提供価格を変える場合もある。例えば、店舗内にレストラン、バー、ガーデンといった複数の異なるエリアが設けられていたり、VIPルームが設けられていたりする場合において、顧客が着席しているテーブルのエリアやVIPルームであるか否かに応じて商品の提供価格を変える場合がある。
これらの例における商品のサイズ、付け合わせの有無、商品の提供時刻、及び商品の提供場所が、提供条件を定める条件要素に相当する。本実施形態では、これらの条件要素が複数組み合わされて提供条件が定められる。
【0025】
売上データ処理装置100では、複数の条件要素の可能な組み合わせに対応する複数の提供条件の各々に対して、商品の価格(単価)を予め設定しておくことができる。売上データ処理装置100は、商品の提供の際に提供条件を特定し、この提供条件に対して設定されている価格を商品の提供価格として特定する。そして、得られた提供価格を用いて上述のように売上データ138を生成する。このように複数の条件要素の組み合わせにより定まる提供条件に応じて提供価格を異ならせる方法は、「マルチ単価」とも呼ばれる。
なお、売上データ処理装置100は、複数の提供条件のうち一部の提供条件に対してのみ価格が設定されている場合であっても、適切に提供価格を特定することができる。この場合の動作については後述する。
【0026】
本実施形態では、提供条件を定める条件要素として、商品の提供時刻に係る「時刻条件要素」、商品の提供場所に係る「場所条件要素」、商品の提供に付随する他の商品の提供の有無に係る「付け合わせ条件要素」、提供する商品の特徴(本実施形態では、サイズ)に係る「サイズ条件要素」の4つが用いられる場合を例に挙げて説明する。
【0027】
図3は、複数の条件要素の組み合わせにより定まる提供条件の例を説明する図である。
図3に示すように、複数の条件要素の各々は、それぞれ所定の複数の要素項目(水準)のいずれかを表す。また、各要素項目には、要素項目に対応する条件値が定められている。
図3の例では、時刻条件要素は、「通常時間」及び「ランチタイム」の2つの要素項目のいずれかを表す。すなわち、時刻条件要素は、商品の提供時間がランチタイムであるか、又はランチタイムを除いた通常時間であるか、を表す。「通常時間」の条件値は「0」であり、「ランチタイム」の条件値は「1」である。
また、場所条件要素は、「通常テーブル」及び「VIPルーム」の2つの要素項目のいずれかを表す。すなわち、場所条件要素は、商品の提供場所(ここでは、顧客が着席しているテーブル)がVIPルームのテーブルであるか、又はVIPルーム以外の通常テーブルであるか、を表す。「通常テーブル」の条件値は「0」であり、「VIPルーム」の条件値は「1」である。
また、付け合わせ条件要素は、「単品」及び「ミックス」の2つの要素項目のいずれかを表す。すなわち、付け合わせ条件要素は、商品を単品で提供するか、他の商品とミックスして(例えば、酒に割り材をミックスして)提供するか、を表す。「単品」の条件値は「0」であり、「ミックス」の条件値は「1」である。なお、「ミックス」には、割り材をミックスする場合のほか、付け合わせ(つまみ等)を添付する場合も含まれ得る。
また、サイズ条件要素は、「Mサイズ」、「Sサイズ」及び「Lサイズ」の3つの要素項目のいずれかを表す。すなわち、サイズ条件要素は、商品をどのようなサイズで提供するかを表す。「Mサイズ」の条件値は「1」であり、「Sサイズ」の条件値は「2」であり、「Lサイズ」の条件値は「3」である。
【0028】
また、これらの時刻条件要素、場所条件要素、付け合わせ条件要素、及びサイズ条件要素の要素項目の組み合わせごとに、1つの価格番号が対応付けられている。この価格番号に対して、商品の価格がそれぞれ設定される(図4参照)。
価格番号は、条件要素の数と同一の桁数、すなわち4桁である。また、4つの条件要素の各々は、価格番号における互いに異なるいずれかの桁に対応している。具体的には、時刻条件要素は価格番号の左端の桁(千の位)に対応し、場所条件要素は価格番号の左から2番目の桁(百の位)に対応し、付け合わせ条件要素は価格番号の左から3番目の桁(十の位)に対応し、サイズ条件要素は価格番号の右端の桁(一の位)に対応している。また、価格番号における各条件要素に対応する桁の値は、条件要素が表す要素項目の条件値となっている。例えば、時刻条件要素が「1:ランチタイム」、場所条件要素が「0:通常テーブル」、付け合わせ条件要素が「1:ミックス」、サイズ条件要素が「3:Lサイズ」である提供条件に対応する価格番号は、各条件要素の条件値を左から順に並べた「1013」となっている。
このように、1つの価格番号は、複数の条件要素における要素項目の1つの組み合わせ、すなわち1つの提供条件を表す。
【0029】
図4は、価格設定データ134の内容例を示す図である。
価格設定データ134は、「商品コード」、「価格番号」及び「価格」のデータ列を有するテーブルデータである。
「商品コード」は、商品ごとに予め定められている、商品を特定するための符号である。商品コードは、ここでは5桁の数字とされているが、文字や記号などを含むものであってもよい。
「価格番号」は、図3の右端の列に示されている価格番号と同一である。
「価格」は、価格番号が表す提供条件に対して設定されている商品の価格である。
図4では、商品コードが「00123」である商品に対応する部分のみが示されているが、価格設定データ134には、他の商品についての価格番号及び価格設定値の組み合わせに係るデータ行がさらに含まれている。
【0030】
売上データ処理装置100は、商品の提供時刻、提供場所、付け合わせの有無、及びサイズに基づいて商品の提供条件、すなわち価格番号を特定し、価格設定データ134において価格番号に対して設定されている価格を商品の提供価格として特定する。
【0031】
(提供価格の特定処理を含む商品登録処理)
次に、商品提供時に商品やその売上を登録するために実行される商品登録処理のCPU11による制御手順について説明する。商品登録処理には、上述した提供価格の特定のための処理が含まれる。
【0032】
図5は、商品登録処理の制御手順を示すフローチャートである。
商品登録処理が開始されると、CPU11は、計時部15が計時している現在時刻を取得し(ステップS101)、提供状況データ121に記憶させる。
【0033】
CPU11は、売上登録画面30を表示部141に表示させる(ステップS102)。ステップS102の処理は、CPU11の第1の表示制御部114により実行される。
【0034】
図6は、売上登録画面30を示す図である。
売上登録画面30は、時刻表示領域301と、テンキー302と、商品選択ボタン303と、付け合わせ選択ボタン304と、売上表示領域305と、を含む。
時刻表示領域301には、ステップS101で取得された現在時刻が表示されている。
テンキー302には、テーブル番号指定ボタン3021が含まれており、テーブル番号指定ボタン3021を選択する入力操作(タッチパネル142のうちテーブル番号指定ボタン3021の両域内に指などを接触させる操作。以下では、単に「(ボタンを)選択する」とも記す)を行った後にテンキーを選択してテーブル番号を入力することで、顧客が着席しているテーブル番号を選択して登録することができる。
商品選択ボタンは、「ウイスキー」、「ウォッカ」、「ジン」及び「ビール」の4種類の商品名が表示された4つのボタンと、「Mサイズ」、「Sサイズ」及び「Lサイズ」のサイズが表示された3つのボタンとを含む。4つの商品名のボタンのうち1つを選択し、3つのサイズのボタンのうち1つを選択することで、提供する商品の種類及びサイズを選択して登録することができる。
付け合わせ選択ボタン304は、ここでは割り材をミックスするか否か、またミックスする割り材の種類を選択するために用いられる。付け合わせ選択ボタン304は、「割る」、「割らない」とそれぞれ表記された2つのボタンと、「ソーダ」、「水」、「オレンジ」及び「コーラ」の4種類の割り材が表示された4つのボタンとを含む。「割る」又は「割らない」のいずれかのボタンを選択した上で、「割る」のボタンを選択した場合にさらに4つの割り材のボタンのうち1つを選択することで、割り材をミックスするか否か、及びミックスする割り材の種類を選択して登録することができる。
売上表示領域305には、商品の提供条件に応じた提供価格が表示される。
売上登録画面30は、複数の条件要素のうち所定の条件要素(ここでは、場所条件要素、付け合わせ条件要素及びサイズ条件要素)に係る複数の要素項目のいずれかをユーザに選択させるための条件選択画面に相当する。
【0035】
売上登録画面30が表示されると、CPU11(提供条件情報取得部112)は、提供状況データ121及び時刻条件要素設定データ132に基づいて時刻条件要素の条件値を取得する(ステップS103)。すなわち、CPU11は、提供状況データ121に基づいて時刻条件要素の要素項目を特定する。
【0036】
図7は、時刻条件要素設定データ132の内容例を示す図である。
時刻条件要素設定データ132は、「開始時刻」、「終了時刻」、「時刻条件要素の条件値」、「要素項目」の列データを含むテーブルデータである。時刻条件要素設定データ132では、各行データの「開始時刻」及び「終了時刻」により特定される時間帯について、ランチタイムに該当する場合には「時刻条件要素の条件値」が「1」とされており、ランチタイム以外の通常時間に該当する場合には「時刻条件要素の条件値」が「0」とされている。
CPU11は、提供状況データ121に記憶されている商品の提供時刻が、時刻条件要素設定データ132のどの行データの時間帯に該当するかを判別し、該当する行データの「時刻条件要素の条件値」を取得する。
なお、これに代えて、ステップS103の実行時において計時部15が計時している時刻を用いて「時刻条件要素の条件値」を取得してもよい。この場合には、計時部15が計時している現在時刻のデータが「提供状況情報」に相当する。
【0037】
CPU11は、上述したテンキー302に対するユーザの入力操作に基づいて、顧客が着席しているテーブルのテーブル番号を取得し、提供状況データ121における商品の提供場所を表すデータとして記憶させる(ステップS104)。
【0038】
CPU11(提供条件情報取得部112)は、提供状況データ121及び場所条件要素設定データ133に基づいて場所条件要素の条件値を取得する(ステップS105)。すなわち、CPU11は、提供状況データ121に基づいて場所条件要素の要素項目を特定する。
【0039】
図8は、場所条件要素設定データ133の内容例を示す図である。
場所条件要素設定データ133は、「先頭テーブル番号」、「末尾テーブル番号」、「場所条件要素の条件値」、「要素項目」の列データを含むテーブルデータである。場所条件要素設定データ133では、各行データの「先頭テーブル番号」から「末尾テーブル番号」までのテーブル群について、VIPルームのテーブルである場合には「場所条件要素の条件値」が「1」とされており、VIPルーム以外の通常テーブルに該当する場合には「場所条件要素の条件値」が「0」とされている。
CPU11は、ステップS104で取得したテーブル番号が、場所条件要素設定データ133のどの行データのテーブル群に該当するかを判別し、該当する行データの「場所条件要素の条件値」を取得する。
【0040】
CPU11(提供条件情報取得部112)は、上述した商品選択ボタン303に対するユーザの入力操作に基づいて、提供する商品の種類及びサイズを特定し、サイズ条件要素の条件値を取得する(ステップS106)。すなわち、CPU11は、売上登録画面30におけるユーザの選択結果に基づいて、サイズ条件要素の要素項目を特定する。ここでは、CPU11は、「Mサイズ」のボタンが選択された場合には条件値として「1」を取得し、「Sサイズ」のボタンが選択された場合には条件値として「2」を取得し、「Lサイズ」のボタンが選択された場合には条件値として「3」を取得する。
【0041】
CPU11(提供条件情報取得部112)は、上述した付け合わせ選択ボタン304に対するユーザの入力操作に基づいて、付け合わせ有無(割り材をミックスするか否か)、及び付け合わせ商品(ミックスする割り材の種類)を特定し、付け合わせ条件要素の条件値を取得する(ステップS107)。すなわち、CPU11は、売上登録画面30におけるユーザの選択結果に基づいて、付け合わせ条件要素の要素項目を特定する。ここでは、CPU11は、「割らない」のボタンが選択された場合には条件値として「0」を取得し、「割る」のボタンが選択された場合には条件値として「1」を取得する。
【0042】
CPU11(提供条件情報取得部112)は、後述する価格番号算出処理を呼び出して実行し、取得した4つの条件要素の条件値に基づいて価格番号を算出する(ステップS108)。
【0043】
CPU11(提供価格特定部111)は、後述する提供価格特定処理を呼び出して実行し、算出した価格番号に基づいて商品の提供価格を特定する(ステップS109)。
【0044】
CPU11(売上データ生成部117)は、提供する商品の内容と、特定された提供価格と、に基づいて売上データ138を生成する(ステップS110)。ここでは、商品が付け合わせなしで(単品で)販売される場合には、ステップS109で特定された提供価格を売上表示領域305に表示させ、売上として計上する。また、商品が付け合わせありで提供される場合には、ミックスする割り材の提供価格を別途特定し、ステップS109で特定された提供価格と、割り材の提供価格とを加算して売上表示領域305に表示させ、売上として計上する。
ステップS110の処理が終了すると、CPU11は、商品登録処理を終了させる。
【0045】
図9は、価格番号算出処理のCPU11(提供条件情報取得部112)による制御手順を示すフローチャートである。
価格番号算出処理が呼び出されると、CPU11は、価格番号データ122における価格番号に0を代入する(ステップS201)。
【0046】
CPU11は、時刻条件要素の条件値が「1(ランチタイム)」であるか否かを判別し(ステップS202)、時刻条件要素の条件値が「1」であると判別された場合には(ステップS202で“YES”)、価格番号に1000を加算する(ステップS203)。ステップS202、S203の処理は、「時刻条件要素の条件値に、価格番号において時刻条件要素に対応する桁の単位数(すなわち1000)を乗じて得られた数を価格番号に加算する処理」と言い換えることもできる。
【0047】
時刻条件要素の条件値が「1」ではないと判別された場合(ステップS202で“NO”)、又はステップS203の処理が終了した場合には、CPU11は、場所条件要素の条件値が「1(VIPルーム)」であるか否かを判別する(ステップS204)。場所条件要素の条件値が「1」であると判別された場合には(ステップS204で“YES”)、CPU11は、価格番号に100を加算する(ステップS205)。ステップS204、S205の処理は、「場所条件要素の条件値に、価格番号において場所条件要素に対応する桁の単位数(すなわち100)を乗じて得られた数を価格番号に加算する処理」と言い換えることもできる。
【0048】
場所条件要素の条件値が「1」ではないと判別された場合(ステップS204で“NO”)、又はステップS205の処理が終了した場合には、CPU11は、付け合わせ条件要素の条件値が「1(ミックス)」であるか否かを判別する(ステップS206)。付け合わせ条件要素の条件値が「1」であると判別された場合には(ステップS206で“YES”)、CPU11は、価格番号に10を加算する(ステップS207)。ステップS206、S207の処理は、「付け合わせ条件要素の条件値に、価格番号において付け合わせ条件要素に対応する桁の単位数(すなわち10)を乗じて得られた数を価格番号に加算する処理」と言い換えることもできる。
【0049】
付け合わせ条件要素の条件値が「1」ではないと判別された場合(ステップS206で“NO”)、又はステップS207の処理が終了した場合には、CPU11は、サイズ条件要素の条件値が「3(Lサイズ)」であるか否かを判別する(ステップS208)。付け合わせ条件要素の条件値が「3」であると判別された場合には(ステップS208で“YES”)、CPU11は、価格番号に3を加算する(ステップS209)。サイズ条件要素の条件値が「3」ではないと判別された場合には(ステップS208で“NO”)、CPU11は、サイズ条件要素の条件値が「2」であるか否かを判別する(ステップS210)。CPU11は、サイズ条件要素の条件値が「2」であると判別された場合には(ステップS210で“YES”)、価格番号に2を加算し(ステップS211)、サイズ条件要素の条件値が「2」ではない(すなわち「1」である)と判別された場合には(ステップS210で“NO”)、価格番号に1を加算する(ステップS212)。ステップS208~S212の処理は、「サイズ条件要素の条件値に、価格番号においてサイズ条件要素に対応する桁の単位数(すなわち1)を乗じて得られた数を価格番号に加算する処理」と言い換えることもできる。
【0050】
CPU11は、得られた価格番号を価格番号データ122に記憶させ(ステップS213)、価格番号算出処理を終了させる。
このように、価格番号算出処理は、複数の条件要素の各々の条件値に、価格番号において各条件要素に対応する桁の単位数を乗じて得られた数を、複数の条件要素について加算し、提供条件情報としての価格番号を算出して取得する処置である。
【0051】
図10は、提供価格特定処理のCPU11(提供価格特定部111)による制御手順を示すフローチャートである。
提供価格特定処理が呼び出されると、CPU11は、価格番号データ122に記憶されている価格番号を取得する(ステップS301)。
【0052】
CPU11は、価格設定データ134において、ステップ301で取得した価格番号に対して設定されている価格を提供価格として特定する(ステップS302)。例えば、価格番号が「1103」である場合には、図4において「1103」に対応する価格である「800円」を提供価格として特定する。
ステップS302の処理が終了すると、CPU11は、価格特定処理を終了させる。
【0053】
(価格の設定動作)
次に、価格設定データ134における価格を設定するための動作について説明する。
売上データ処理装置100では、ユーザの入力操作(第2の入力操作)に基づいて、各価格番号に対応する商品の価格を設定することができる。この価格の設定は、所定の価格設定画面31を表示部141に表示させた状態で行われる。価格設定画面31は、複数の提供条件における、ユーザの入力操作に基づく価格の設定状況を示す画面であり、CPU11の第2の表示制御部115による制御下で表示される。
【0054】
図11は、価格設定画面31を示す図である。
価格設定画面31では、各提供条件に対応する価格を設定するための設定テーブル311と、設定テーブル311の表示基準を選択するためのドロップダウンリスト312と、設定テーブル311における設定内容を価格設定データ134に反映させるための決定ボタン313と、画面を1つ前の状態に遷移させるためのキャンセルボタン314とが表示されている。また、価格設定画像31内の右上には、価格の設定対象の商品の「商品コード」及び「商品名」を示すテーブル315が表示されている。図11では、商品「ウイスキー」についての価格設定画面31が示されている。
【0055】
図11(a)の設定テーブル311は、時刻条件要素の要素項目が「通常時間」である各提供条件についての価格を設定するためのテーブルである。図11(a)の設定テーブル311は、ドロップダウンリスト312において表示基準として「通常時間」を選択することにより表示させることができる。図11(a)の設定テーブル311では、場所条件要素の2つの要素項目が縦軸とされ、付け合わせ条件要素及びサイズ条件要素の6通りの組み合わせが横軸とされている。
他方で、図11(b)の設定テーブル311は、時刻条件要素の要素項目が「ランチタイム」である各提供条件についての価格を設定するためのテーブルである。図11(b)の設定テーブル311は、ドロップダウンリスト312において表示基準として「ランチタイム」を選択することにより表示させることができる。図11(b)の設定テーブル311では、場所条件要素の2つの要素項目が縦軸とされ、また付け合わせ条件要素及びサイズ条件要素の6通りの組み合わせが横軸とされている。
【0056】
図11(a)及び図11(b)の価格設定画面31において設定テーブルの1つのセルを選択すると、図示略のテンキーが表示され、ユーザがこのテンキーにより価格を入力することで、各セルに(すなわち、セルに対応する提供条件に対して)価格を設定することができる。すなわち、CPU11(価格設定情報生成部116)は、複数の条件要素の可能な組み合わせに対応する複数の前記提供条件のいずれかに対応する価格を、ユーザの入力操作に基づいて設定する。
そして、セルに価格が設定された状態で決定ボタン313を選択すると、CPU11(価格設定情報生成部116)は、価格の設定状態を価格設定データ134に反映させて記憶させる(価格設定データ134を生成する)。図11(a)及び図11(b)では、参考のために各セルに価格とともに価格番号が付記されているが、実際のセルには価格のみが表示される。
【0057】
図12は、価格設定画面31の他の例を示す図である。
図12(a)の設定テーブル311は、場所条件要素の要素項目が「通常テーブル」である各提供条件についての価格を設定するためのテーブルである。図12(a)の設定テーブル311は、ドロップダウンリスト312において表示基準として「通常テーブル」を選択することにより表示させることができる。図12(a)の設定テーブル311では、時間条件要素の2つの要素項目が縦軸とされ、付け合わせ条件要素及びサイズ条件要素の6通りの組み合わせが横軸とされている。
他方で、図12(b)の設定テーブル311は、場所条件要素の要素項目が「VIPルーム」である各提供条件についての価格を設定するためのテーブルである。図12(b)の設定テーブル311は、ドロップダウンリスト312において表示基準として「VIPルーム」を選択することにより表示させることができる。図12(b)の設定テーブル311では、時間条件要素の2つの要素項目が縦軸とされ、また付け合わせ条件要素及びサイズ条件要素の6通りの組み合わせが横軸とされている。
図12(a)及び図12(b)においても、セルに価格が設定された状態で決定ボタン313を選択することで、価格の設定状態を価格設定データ134に反映させることができる。
ユーザは、価格を設定する観点に応じて、表示させる価格設定画面31を図11(a)、図11(b)、図12(a)及び図12(b)の中から適宜選択することができる。
【0058】
(一部の提供条件にのみ価格が設定されている場合の提供価格の特定動作)
次に、価格設定データ134において、複数の提供条件のうち一部の特定の提供条件に対してのみ価格が設定されている場合の、売上データ処理装置100による提供価格の特定動作について説明する。
【0059】
条件要素が多数組み合わされると、商品の提供条件の数が非常に多くなり、条件要素の数や各条件要素の要素項目の数によっては、1つの商品の提供条件が数千種以上となる場合もある。このような場合には、全ての提供条件に対してユーザが価格を予め設定するのに著しく手間が掛かり、また、全ての提供条件に対してユーザが適切な価格を誤りなく設定することが容易でない。
【0060】
そこで、本実施形態の売上データ処理装置100では、特定の一部の提供条件に対してのみ価格を設定しておき、価格が設定されていない提供条件については、代替の価格を提供価格として特定することができるようになっている。詳しくは、価格設定データ134において、算出された価格番号が表す提供条件に対して設定されている価格が特定できない場合には、当該提供条件を除くいずれかの提供条件であって価格が設定されている代替提供条件を所定の規則に従って特定し、この代替提供条件に対して設定されている価格を提供価格として特定する。
以下では、提供条件に対して価格が設定されていない場合に、代替提供条件を特定し、この代替特定条件に設定されている価格を代替の価格として取得する動作及び機能を「価格シフト」と記す。
以下、この価格シフトの機能を用いた提供価格の特定動作について説明する。
【0061】
図13は、特定の一部の提供条件に対してのみ価格が設定されている価格設定データ134の例を示す図である。
図13の価格設定データ134では、時刻条件要素の条件値が「1(ランチタイム)」であり、かつ場所条件要素の条件値が「1(VIPルーム)」である6つの提供条件について、価格が設定されていない。なお、図13では、説明の便宜上、価格が未設定の6つの行データ(レコード)が存在しているように描かれているが、実際の価格設定データ134では、これら6つの行データそのものが含まれていない(レコードが存在しない)。ただし、図13のように、行データを設けて価格のデータを未入力状態としてもよい。
【0062】
価格設定データ134が図13に示す状態となっている場合において、算出された価格番号が表す提供条件に対して価格が設定されている(設定されている価格が特定できる)場合、すなわち、算出された価格番号が「0001」~「1013」のいずれかである場合には、設定されている価格が提供価格として特定される。
他方で、算出された価格番号が表す提供条件に対して設定されている価格が特定できない場合、すなわち、算出された価格番号が「1101」~「1113」のいずれかである場合には、当該価格番号に対応する4つの条件要素のうち所定の優先条件要素を除いた条件要素の要素項目を変更して、代替提供条件を特定する。そして、この代替提供条件に対して設定されている価格を提供価格として特定する。
【0063】
本実施形態では、優先条件要素は「時刻条件要素」又は「場所条件要素」のいずれかとされている。この優先条件要素は、優先条件要素設定データ136において設定されている。
図14は、優先条件要素設定データ136の内容例を示す図である。
優先条件要素設定データ136では、「時刻条件要素」及び「場所条件要素」に対してそれぞれ「優先フラグ」が対応付けられている。「時刻条件要素」及び「場所条件要素」のうち一方の優先フラグが「1」となり、他方の優先フラグが「0」となるように設定される。優先フラグが「1」となっている条件要素が、上記の優先条件要素に相当する。優先フラグは、図示略の設定画面におけるユーザからの入力操作(第1の入力操作)に基づいて、CPU11(優先条件要素設定部113)が設定する。図14の例では、「時刻条件要素」の優先フラグが「1」となっており、時刻条件要素が優先条件要素となっている。時刻条件要素が優先条件要素となっている状態を、以下では「時刻優先」とも記す。また、場所条件要素が優先条件要素となっている状態を、以下では「場所優先」とも記す。
【0064】
算出された価格番号が表す提供条件に対して設定されている価格が特定できず、かつ「時刻優先」となっている場合には、図15に示すように、価格番号のうち時刻条件要素に対応する桁(千の位)を固定し、場所条件要素に対応する桁(百の位)を変更する。この変更後の価格番号が表す提供条件が、代替提供条件に相当する。そして、この代替提供条件に対して設定されている価格が提供価格として特定される。
図15の例における価格番号の変更は、「ランチタイム」かつ「VIPルーム」の提供条件に対して価格が設定されていない場合に、時刻条件要素「ランチタイム」を優先(固定)しつつ、場所条件要素の「VIPルーム」を「通常テーブル」に変更し、「ランチタイム」かつ「通常テーブル」の提供条件の価格を代用する、というものである。
【0065】
他方で、価格番号が表す提供条件に対して設定されている価格が特定できず、かつ「場所優先」となっている場合には、図16に示すように、価格番号のうち場所条件要素に対応する桁(百の位)を固定し、時刻条件要素に対応する桁(千の位)を変更する。この変更後の価格番号が表す提供条件が、代替提供条件に相当する。そして、この代替提供条件に対して設定されている価格が提供価格として特定される。
図16の例における価格番号の変更は、「ランチタイム」かつ「VIPルーム」の提供条件に対して価格が設定されていない場合に、場所条件要素「VIPルーム」を優先(固定)しつつ、時間条件要素の「ランチタイム」を「通常時間」に変更し、「通常時間」かつ「VIPルーム」の提供条件の価格を代用する、というものである。
【0066】
このように、売上データ処理装置100のCPU11(提供価格特定部111)は、複数の条件要素のうち、所定の優先条件要素を除いた条件要素の少なくとも一部の要素項目を変更する処理(要素項目変更処理)と、当該要素項目変更処理において要素項目が変更された複数の条件要素の組み合わせに対応する提供条件を代替提供条件として特定する処理(代替提供条件特定処理)と、を実行することで、代替提供条件を所定の規則に従って特定し、価格シフトを行って提供価格を特定する。
【0067】
なお、図13図16の例では、時刻条件要素及び場所条件要素のうち優先条件要素となっていない一方を変更することで、価格が設定されている代替提供条件を特定できるようになっているが、時刻条件要素又は場所条件要素を変更して得られた提供条件においても価格が設定されていない場合もあり得る。このような場合には、残る付け合わせ条件要素及びサイズ条件要素の一方をさらに変更して、価格が設定されている代替提供条件の特定を試みることができる。この場合における付け合わせ条件要素及びサイズ条件要素にも、優先順位が設定されていてもよい。したがって、全ての条件要素について、優先順位が定められていてもよい。この優先順位は、ユーザの入力操作に応じて設定することができるようになっていてもよい。
すなわち、この場合のCPU11(提供価格特定部111)は、複数の条件要素のうち、優先順位に応じた一の条件要素の要素項目を変更する要素項目変更処理と、当該要素項目変更処理において要素項目が変更された複数の条件要素の組み合わせに対応する提供条件を代替提供条件として特定する代替提供条件特定処理と、を実行することで、代替提供条件を所定の規則に従って特定し、価格シフトを行う。その際、CPU11は、要素項目変更処理において要素項目が変更された複数の条件要素の組み合わせに対応する提供条件が、価格設定データ134において価格が設定されている提供条件となるまで要素項目変更処理を繰り返し実行する。
【0068】
具体的には、例えば複数の条件要素の優先順位が、優先順位の高い方から時刻条件要素、サイズ条件要素、付け合わせ条件要素、場所条件要素の順となっており、算出された価格番号が「1103」である場合には、以下の手順で代替提供条件が特定される。すなわち、まず場所条件要素が変更されて、「1003」の価格番号に価格が設定されているか否かが判別される。この段階で代替提供条件が特定できない場合には、付け合わせ条件要素を変更した「1113」又は「1013」の価格番号に価格が設定されているか否かが判別される。この段階でも代替提供条件が特定できない場合には、サイズ条件要素を変更した「1102」、「1101」、「1112」、「1111」、「1012」又は「1011」の価格番号に価格が設定されているか否かが判別される。各段階で得られた価格番号に価格が設定されている場合に、当該価格番号の提供条件が代替提供条件として特定される。各段階における複数の変更後の価格番号のうちいずれを優先するかについて、さらに詳細に優先順位が定められていてもよい。
なお、上記に代えて、いずれかの段階で、商品に予め定められている基準価格を提供価格として特定するようにしてもよい。例えば、「時間優先」又は「場所優先」のアルゴリズムに基づいて代替提供条件が特定できない場合に、基準価格を提供価格として用いることとしてもよい。
【0069】
図17は、価格シフトを行う場合の提供価格特定処理のCPU11による制御手順を示すフローチャートである。
図17のフローチャートは、図10の提供価格特定処理におけるステップS302をステップS302aに変更し、ステップS303~S310を追加したものに相当する。
【0070】
図17の提供価格特定処理が呼び出されると、CPU11は、価格番号を取得し(ステップS301)、価格設定データ134において、取得した価格番号に対して価格が設定されているか否かを判別する(ステップS302a)。取得した価格番号に対して価格が設定されていると判別された場合には(ステップS302aで“YES”)、CPU11は、設定されている価格を提供価格として特定し(ステップS303)、提供価格特定処理を終了させる。
【0071】
取得した価格番号に対して価格が設定されていないと判別された場合には(ステップS302aで“NO”)、CPU11は、優先条件要素設定データ136を参照して優先条件要素を特定する(ステップS304)。
【0072】
CPU11は、優先条件要素が場所条件要素であるか否かを判別する(ステップS305)。CPU11は、優先条件要素が場所条件要素であると判別された場合には(ステップS305で“YES”)、価格番号における時間条件要素に対応する桁を変更し(ステップS306:要素項目変更処理)、優先条件要素が場所条件要素ではない(すなわち、時間条件要素である)と判別された場合には(ステップS305で“NO”)、価格番号における場所条件要素に対応する桁を変更する(ステップS307:要素項目変更処理)。
【0073】
ステップS306又はステップS307の処理が終了すると、CPU11は、価格設定データ134において、変更後の価格番号に価格が設定されているか否かを判別する(ステップS308)。変更後の価格番号に価格が設定されていないと判別された場合には(ステップS308で“NO”)、CPU11は、所定の優先順位に従って、価格番号における付け合わせ条件要素又はサイズ条件要素に対応する桁を変更し(ステップS309:要素項目変更処理)、処理をステップS308に戻す。なお、CPU11は、ステップS309の開始時に、所定の動作設定に従って、ステップS306又はステップS307で行われた桁の変更を元に戻してもよい。
ステップS309の処理は、ステップS308の処理において、変更後の価格番号に価格が設定されていると判別されるまで繰り返し実行される。
【0074】
変更後の価格番号に価格が設定されていると判別された場合には(ステップS308で“YES”)、CPU11は、変更後の価格番号の提供条件を代替提供条件として特定し、当該価格番号に対して設定されている価格を提供価格として特定する(ステップS310:代替提供条件特定処理)。ステップS304~S310の処理が、所定の規則に従って代替提供条件を特定するための処理に相当する。
ステップS310の処理が終了すると、CPU11は、提供価格特定処理を終了する。
【0075】
(価格シフトの機能を用いた価格の設定動作)
次に、価格シフトの機能を用いて、価格設定データ134における価格を設定する場合の動作について説明する。
図18は、価格シフトの機能を用いる場合の価格設定画面31を示す図である。
図18(a)及び図18(b)の価格設定画面31では、優先条件要素が表示されている(ここでは「時刻優先」とされている)。ただし、これに限られず、優先条件要素は内部的な処理にのみ用いて価格設定画面31には表示しないようにしてもよい。図18(a)は、表示基準として「通常時間」が選択されている価格設定画面31であり、優先条件要素が表示されている点を除いて図11(a)の価格設定画面31と同一である。
【0076】
図18(b)は、図11(b)の価格設定画面31と同様に、表示基準として「ランチタイム」が選択されている。ただし、設定テーブル311のうち上段(すなわち「通常テーブル」の行)の各セルにはユーザからの入力操作により価格が設定されている一方、下段(すなわち「VIPルーム」の行)の各セルは、価格の設定がなされていない未設定セルとなっている。
【0077】
ここで、各未設定セルには、上述した提供価格の推定と同一の規則により、設定されるべき価格が価格シフトの機能により決定されて表示されている。すなわち、複数の提供条件のうち価格が設定されていない提供条件(未設定セルに対応する提供条件)の各々について、価格が設定されている提供条件のいずれかである仮代替提供条件が所定の規則に従って特定され、未設定セルには、仮代替提供条件に対して設定されている価格が表示される。仮代替提供条件を特定するための処理は、図17の提供価格特定処理におけるステップS304~S310の処理と同様である。各未設定セルに対応する仮代替提供条件は、設定テーブル311における価格の設定状況に応じて定まるため、価格の設定状況の変化に応じて都度変更される。
【0078】
図18(b)の例では、「時間優先」であるため、未設定セルに対応する価格番号における、場所条件要素に対応する桁(百の位)を変更した価格番号に対応する仮代替提供条件(ここでは、1段目のセルに相当)が特定され、この仮代替提供条件に対して設定されている価格が、未設定セルに表示される。また、場所条件要素に対応する桁の変更では価格が設定されている仮代替提供条件を特定できない場合には、さらに他の条件要素(付け合わせ条件要素及びサイズ条件要素)を変更して仮代替提供条件の特定が試みられる。
価格設定画面における価格シフトの動作は、CPU11の提供価格特定部111により行われる。
【0079】
図18(b)における下段の6つの未設定セルは、図13において価格が設定されていない6つの提供条件に対応する。価格設定画面31における価格シフトは、上述した提供価格の特定時の価格シフトと同一のアルゴリズムで行われるため、図18(b)の下段の各セルにおいて価格シフトの機能を用いて表示されている価格は、図15において価格シフトにより特定される提供価格と同一となる。
【0080】
また、価格設定画面31では、既に価格が設定されている提供条件に対応する価格と、価格が設定されていない提供条件に対応する価格(価格シフトによる価格)とが、異なる態様で表示される。具体的には、図18(b)の設定テーブル311のうち、価格が設定されている上段の各セルについてはセルの背景が白色とされる一方、価格が設定されておらず価格シフトにより価格が表示されている下段の各未設定セルについてはセルの背景が着色される。なお、これに代えて、又はこれに加えて、フォントの大きさや色、セルの枠の太さなどを変更してもよい。
【0081】
図19は、図18と同一の価格の設定状況において、優先条件要素が「場所優先」となっている場合の価格設定画面31を示す図である。
この場合には、図19(b)の設定テーブル311の下段における各未設定セルには、「場所優先」のアルゴリズムの価格シフトで特定された価格が表示される。すなわち、未設定セルに対応する価格番号における、時間条件要素に対応する桁(千の位)を変更した価格番号に対応する仮代替提供条件が特定され、この仮代替提供条件に対して設定されている価格が、未設定セルに表示される。この価格シフトは、上述した提供価格の特定時の価格シフトと同一のアルゴリズムで行われるため、図19(b)の下段の各セルにおいて価格シフトの機能を用いて表示されている価格は、図16において価格シフトにより特定される提供価格と同一となる。
【0082】
図20は、価格の設定動作における価格設定画面31の表示内容の変化の例を示す図である。図20(a)~図20(d)は、図18(b)に示す設定状況に至るまでの価格設定画面31の表示の変化を示したものである。
図20(a)は、いずれのセルにも価格が設定されていない状態を示す。ここでは、全てのセルの価格が「0」と表示されており、また未設定セルであるため背景が着色されている。なお、これに代えて、全てのセルの価格が未設定である場合に所定の基準価格を各セルに表示させるようにしてもよい。
【0083】
図20(b)は、場所条件要素が「通常テーブル」であり、付け合わせ条件要素が「単品」であり、サイズ条件要素が「Mサイズ」であるセルC1に「400円」の価格が設定された状態を示す。この段階では、セルC1のみ背景が白色とされ、他の未設定セルは背景が着色されている。また、各未設定セルは、上述のアルゴリズムの価格シフトにより特定された価格である「400円」が表示されている。詳しくは、上段の未設定セルについては、「時間優先」のアルゴリズムでは仮代替提供条件が特定できないため、付け合わせ条件要素及び/又はサイズ条件要素を変更することで仮代替提供条件(セルC1に対応する提供条件)が特定され、セルC1の価格が価格シフトによる価格として表示されている。また、下段の未設定セルについては、「時間優先」のアルゴリズムに基づき、価格シフトによる価格として、上段の各セルの価格が表示されている。
【0084】
図20(c)は、場所条件要素が「通常テーブル」であるセルのうち、付け合わせ条件要素が「単品」であるセルC1~C3に価格が設定されている状態を示す。この段階では、セルC1~C3のみ背景が白色とされ、他の未設定セルは背景が着色されている。また、上段のうち付け合わせ条件要素が「ミックス」である未設定セルC4~C6には、付け合わせ条件要素を変更した条件要素に対応するセルC1~C3の価格が、価格シフトによる価格として表示されている。また、下段の未設定セルについては、「時間優先」のアルゴリズムに基づき、価格シフトによる価格として、上段の各セルの価格が表示されている。
【0085】
図20(d)は、上段の各セルに価格が設定された状態を示している。図20(d)は、図18(b)と同一の状態である。
【0086】
(売上登録画面の他の例)
次に、売上登録画面の他の例について説明する。上述した提供価格の特定を伴う商品登録動作を行うための売上登録画面は、図6に示したものに限られず、例えば以下に説明する売上登録画面40が用いられてもよい。売上登録画面40、及び当該売上登録画面40に付随して表示されるテーブル選択画面41、サイズ選択画面42、付け合わせ選択画面43、割り材サイズ選択画面44は、「条件選択画面」の一態様である。
以下では、価格設定データ134の内容が図13に示す状態となっており、優先条件要素の設定が「場所優先」となっている場合を例に挙げて説明する。
【0087】
図21は、売上登録画面40を示す図である。
図21の売上登録画面40には、時刻条件要素表示領域401と、時刻表示領域403と、テーブル番号表示領域404と、商品選択ボタン405と、が含まれている。売上登録画面40は、図5の商品登録処理のステップS102において表示部141に表示される。
時刻条件要素表示領域401には、時刻表示領域403に表示されている現在時刻と、時刻条件要素設定データ132と、に基づいて特定された時刻条件要素の要素項目(ここでは「ランチタイム」)が表示されている。したがって、売上登録画面40を表示させる処理は、図5の商品登録処理のステップS101~S103の処理を含む。
テーブル番号表示領域404には、顧客が着席しているテーブル番号が表示される。図21では、テーブル番号が未選択の状態となっている。
商品選択ボタン405は、提供する商品の選択に用いられる。複数の商品選択ボタン405の各々は、1種類の商品に対応する。図21では、時刻条件要素以外の条件要素が未確定の状態であるため、商品選択ボタン405には価格が表示されていない。あるいは、確定している時刻条件要素のみに基づいて代表価格を商品選択ボタン405に表示してもよい。
図21の売上登録画面40において、テーブル番号を特定するための所定の入力操作(例えば、テーブル番号表示領域404内を選択する入力操作)がなされると、テーブル選択画面41が表示される。
【0088】
図22は、テーブル選択画面41を示す図である。
テーブル選択画面41には、エリア選択タブ411と、テーブルボタン412と、が含まれている。
エリア選択タブ411は、店舗が有する複数のエリア(ここでは、「レストラン」、「バー」及び「ガーデン」)に対応しており、いずれかのエリア選択タブ411を選択することで、対応するエリアの画面に切り替えることができる。図22では、「レストラン」のエリアが表示されている。
各テーブルボタン412は、1つのテーブルを表し、そのテーブルに対応するテーブル番号が付記されている。図22では、テーブル番号「1」~「12」、「100」~「110」のテーブルが表示されている。図8の場所条件要素設定データに示すように、このうちテーブル番号「100」~「110」は「VIPルーム」のテーブルである。
いずれかのテーブルボタン412を選択することで、顧客が着席しているテーブルのテーブル番号を取得し、場所条件要素の要素項目を確定させることができる。テーブル選択画面41に対する入力操作に基づいてテーブル番号を取得し、場所条件要素の要素項目を確定させる処理は、図5の商品登録処理のステップS104、S105に対応する。
【0089】
図23は、テーブル選択後の売上登録画面40を示す図である。
テーブル選択画面41においていずれかのテーブルボタン412が選択されると、図23に示す売上登録画面40が表示される。
図23の売上登録画面40では、時刻条件要素表示領域401に隣接する場所条件要素表示領域402において、登録されたテーブル番号に応じた場所条件要素の要素項目(ここでは「VIPルーム」)が表示されている。
また、商品選択ボタン405には、時刻条件要素表示領域401及び場所条件要素表示領域402に表示されている時刻条件要素及び場所条件要素に対応する代表価格が表示されている。ここでは、時刻条件要素が「ランチタイム」、場所条件要素が「VIPルーム」である提供条件のうち、付け合わせ条件要素が「単品」、サイズ条件要素が「Mサイズ」である提供条件の価格が代表価格として表示されている。どの提供条件の価格を代表価格として用いるかは、予め設定されて記憶部13に記憶されている。
【0090】
図23に示す売上登録画面40においていずれかの商品選択ボタン405が選択されると、売上登録画面40に重ねてサイズ選択画面42が表示される。
図24は、サイズ選択画面42を示す図である。
サイズ選択画面42には、サイズ選択ボタン421と、キャンセルボタン422と、が含まれている。
サイズ選択ボタン421は、サイズ条件要素の各要素項目に対応し、商品のサイズの選択に用いられる。サイズ選択ボタン421には、要素項目の項目名421aと、各要素項目に対応して設定されている価格とが表示されている。この段階では、付け合わせの有無は指定されていないため、サイズ選択ボタン421に表示される価格は、付け合わせ条件要素が「単品」である提供条件の価格とされる。
キャンセルボタン422が選択されると、図23の売上登録画面40に戻る。
【0091】
サイズ選択ボタン421の項目名421aは、条件要素項目名データ135に基づいて表示される。
図25は、条件要素項目名データ135の内容例を示す図である。
条件要素項目名データ135は、「商品コード」、「商品名」、「条件要素」、「条件要素の項目名」の列データを有するテーブルデータである。条件要素項目名データ135は、商品ごとに、特定の条件要素の各要素項目の項目名が設定されたデータである。図25の条件要素項目名データ135では、商品名「ウイスキー」の「サイズ条件要素」について、要素項目1~3の項目名がそれぞれ「Mサイズ」、「Sサイズ」、「Lサイズ」とされている。図24のサイズ選択ボタン421の項目名421aには、条件要素項目名データ135におけるこれらの設定内容が反映されている。
すなわち、CPU11(第1の表示制御部114)は、サイズ選択ボタン421を表示させる処理では、複数の要素項目を表す複数の項目名が商品又は役務ごとに予め定められて記憶されている条件要素項目名データ135に基づいて、サイズ選択画面42において、提供する商品に対応する複数の項目名421aを表示させる。
【0092】
図26及び図27は、他の商品についてのサイズ選択画面42を示す図である。
図26は、商品選択ボタン405により「ビール」が選択された場合のサイズ選択画面42を示す。このサイズ選択画面42のサイズ選択ボタン421には、条件要素項目名データ135において商品名「ビール」の要素項目1~4に設定されている項目名である「グラス」、「中ジョッキ」、「大ジョッキ」及び「ピッチャー」が表示されている。
図27は、商品選択ボタン405により「ワイン」が選択された場合のサイズ選択画面42を示す。このサイズ選択画面42のサイズ選択ボタン421には、条件要素項目名データ135において商品名「ワイン」の要素項目1~3に設定されている項目名である「グラス」、「デカンタ」及び「ボトル」が表示されている。
【0093】
図24に示すサイズ選択画面42においていずれかのサイズ選択ボタン421が選択されると、サイズ条件要素の要素項目が確定する。また、付け合わせ設定データ137が参照されて、選択中の商品に付け合わせの設定があるか否かが特定される。
【0094】
図28は、付け合わせ設定データ137の内容例を示す図である。
付け合わせ設定データ137は、「商品コード」、「商品名」、「付け合わせ設定」、及び複数の「割り材」のデータ列を有するテーブルデータであり、商品ごとに「付け合わせ設定」及び「割り材」のデータが対応付けられている。
「付け合わせ設定」は、値が「1」である場合には、対応する商品に付け合わせの設定があることを示し、値が「0」である場合には、対応する商品に付け合わせの設定がないことを示す。付け合わせの設定がない商品については、付け合わせ条件要素が常に「単品」に設定されることとなる。
「割り材」は、「付け合わせ設定」が「1」である商品に設定されている割り材の種類を示す。
【0095】
選択中の商品について付け合わせの設定がある場合には、サイズ選択画面42のサイズ選択ボタン421が選択されると、売上登録画面40に重ねて付け合わせ選択画面43が表示される。サイズ選択画面42に対する入力操作によりサイズ条件要素の要素項目を確定させる処理は、図5の商品登録処理のステップS106に対応する。
一方、選択中の商品について付け合わせの設定がない場合には、付け合わせ選択画面43は表示されず、サイズ選択ボタン421が選択されるとサイズ選択画面42から直接売上登録画面40(図32)に戻る。
【0096】
図29は、付け合わせ選択画面43を示す図である。
ここでは、図24のサイズ選択画面42において「Mサイズ」のサイズ選択ボタン421が選択された場合の付け合わせ選択画面43が示されている。付け合わせ選択画面43には、付け合わせ選択ボタン431と、キャンセルボタン432と、が含まれている。
付け合わせ選択ボタン431には、付け合わせ設定データ137において、選択中の商品に設定されている割り材の種類と、その価格が表示されている。いずれかの付け合わせ選択ボタン431を選択することで、付け合わせ条件要素が「ミックス」に確定し、ミックスする割り材が登録される。
一方、キャンセルボタン432が選択されると、付け合わせ条件要素が「単品」に確定する。
付け合わせ選択画面43に対する入力操作により付け合わせ条件要素の要素項目を確定させる処理は、図5の商品登録処理のステップS107に対応する。
また、いずれかの付け合わせ選択ボタン431又はキャンセルボタン432が選択された段階で、全ての条件要素の要素項目が確定し、提供条件が特定される。提供条件が特定されると、価格番号算出処理(図5のステップS108)により価格番号が算出され、提供価格特定処理(図5のステップS109)により提供価格が特定される。
【0097】
なお、付け合わせ選択ボタン431を選択した場合に、さらに図30のように割り材のサイズ(量)を選択する割り材サイズ選択画面44を表示させてもよい。割り材サイズ選択画面44における割り材サイズ選択ボタン441のいずれかを選択することで、割り材のサイズを変更することができる。
【0098】
図31は、付け合わせ選択画面43において「オレンジ」の付け合わせ選択ボタン431が選択された場合に表示される売上登録画面40を示す。この場合には、時刻条件要素が「ランチタイム」、場所条件要素が「VIPルーム」、付け合わせ条件要素が「ミックス」、サイズ条件要素が「Mサイズ」で確定し、提供条件を示す価格番号は「1111」となる。図13の価格設定データ134では、価格番号「1111」に対して価格が設定されていないため、「場所優先」のアルゴリズムに従って、図16に示すように代替提供条件として価格番号「0111」の提供条件が特定され、提供価格が「550円」と特定される。
図31の売上登録画面40では、ウイスキーの提供価格「550円」と、割り材であるオレンジの提供価格「200円」とが売り上げとして計上され、売上データ138が生成されて記憶部13に記憶される。この処理は、図5の商品登録処理のステップS110に対応する。
【0099】
図32は、付け合わせ選択画面43においてキャンセルボタン432が選択された場合に表示される売上登録画面40を示す。この場合には、時刻条件要素が「ランチタイム」、場所条件要素が「VIPルーム」、付け合わせ条件要素が「単品」、サイズ条件要素が「Mサイズ」で確定し、提供条件を示す価格番号は「1101」となる。図13の価格設定データ134では、価格番号「1101」に対して価格が設定されていないため、「場所優先」のアルゴリズムに従って、図16に示すように代替提供条件として価格番号「0101」の提供条件が特定され、提供価格が「600円」と特定される。
図32の売上登録画面40では、ウイスキーの提供価格「600円」が売り上げとして計上され、売上データ138が生成されて記憶部13に記憶される。
【0100】
なお、サイズ選択画面42及び付け合わせ選択画面43は、図33に示すように、商品選択ボタン405が選択された段階で、商品選択ボタン405と重ならない画面上部の小ウィンドウ内に表示されてもよい。この場合には、サイズ選択画面42のサイズ選択ボタン421及び付け合わせ選択画面43の付け合わせ選択ボタン431を選択せずに次の商品の商品選択ボタン405を選択することで、サイズ条件要素及び付け合わせ条件要素については所定のデフォルト設定が選択されたものとして処理される。デフォルト設定の内容は、特には限られないが、例えばサイズ条件要素は「Mサイズ」、付け合わせ条件要素は「単品」とすることができる。
【0101】
(変形例1)
次に、上記実施形態の変形例1について説明する。
上記実施形態では、付け合わせ条件要素の要素項目は、付け合わせのない「単品」(条件値「0」)、及び付け合わせのある「ミックス」(条件値「1」)のいずれかとされていたが、これに代えて、図34に示すように、付け合わせのない「単品」(条件値「0」)、他の商品を付け合わせる「ミックス(親)」(条件値「1」)、及び他の商品に付け合わされる「ミックス(子)」(条件値「2」)の3水準とすることもできる。これによれば、例えば商品「オレンジジュース」について、単品で提供する場合(条件値「0」)、オレンジジュースを菓子等の付け合わせとともに提供する場合(条件値「1」)、及び他の酒の割り材としてオレンジジュースを提供する場合(条件値「2」)のそれぞれの提供価格を別個の値に設定することができる。
【0102】
(変形例2)
次に、上記実施形態の変形例2について説明する。
上記実施形態では、価格設定データ134に設定された価格、又は所定のアルゴリズムの価格シフトにより特定された価格が提供価格とされたが、これに加えて、ユーザがこれらの提供価格に関わらず個別に価格を設定できるようにしてもよい。
【0103】
図35は、変形例2に係る売上登録画面40を示す図である。
本変形例の売上登録画面40では、個別価格設定用のテンキー406が表示されており、テンキー406を用いてユーザが所望の価格を入力することで、個別価格407を設定することができる。
図36は、個別価格407を設定した状態で商品選択ボタン405を選択した場合のサイズ選択画面42を示す図である。図36に示されるように、このサイズ選択画面42では、価格設定データ134で設定されている価格は参照されず、全てのサイズのサイズ選択ボタン421において個別価格407が表示される。所望のサイズ選択ボタン421を選択し、必要に応じて付け合わせを選択することで、ユーザがテンキー406により設定した個別価格407で売上を計上することができる。
【0104】
(変形例3)
次に、上記実施形態の変形例3について説明する。
上記実施形態では、売上登録画面40、テーブル選択画面41、サイズ選択画面42及び付け合わせ選択画面43を売上データ処理装置100の表示部141に表示させて、これらの画面においてユーザの入力操作を受け付けた。これに対し、本変形例では、売上データ処理装置100、及び店員等のユーザが使用するハンディターミナル等の携帯型の端末装置200により売上データ処理システム300が構成され、このうち端末装置200に設けられた表示部に各種画面が表示され、当該画面においてユーザの入力操作が受け付けられる。
【0105】
図37は、変形例3に係る売上データ処理システム300を示す図である。
売上データ処理システム300は、売上データ処理装置100と、売上データ処理装置100の通信部19との間で無線データ通信が可能な端末装置200と、を備える。端末装置200は、表示部及びタッチパネルを有する図示略の操作表示部を備え、表示部に売上登録画面40、テーブル選択画面41、サイズ選択画面42及び付け合わせ選択画面43が表示される。
【0106】
図38は、端末装置200の表示部に表示された売上登録画面40、サイズ選択画面42及び付け合わせ選択画面43を示す図である。このうち図38(a)は売上登録画面40を示し、図38(b)はサイズ選択画面42を示し、図38(c)は付け合わせ選択画面43を示す。
図38(a)の売上登録画面40は、時刻条件要素表示領域401、場所条件要素表示領域402、時刻表示領域403、テーブル番号表示領域404、及び商品選択ボタン405などを含み、図23の売上登録画面40と同等の入力操作を受け付けることができる。
図38(b)のサイズ選択画面42は、サイズ選択ボタン421及びキャンセルボタン422等を含み、図24のサイズ選択画面42と同等の入力操作を受け付けることができる。
図38(c)の付け合わせ選択画面43は、付け合わせ選択ボタン431及びキャンセルボタン432等を含み、図29の付け合わせ選択画面43と同等の入力操作を受け付けることができる。
【0107】
本変形例では、端末装置200が有する図示略のCPUにより価格番号の算出、提供価格の特定、及び売上データの生成の少なくとも一部を実行してもよい。端末装置200のCPUにより価格番号の算出及び提供価格の特定を行う場合には、端末装置200が情報処理装置を構成する。
【0108】
(変形例4)
次に、上記実施形態の変形例4について説明する。
上記実施形態では、飲食店の店舗における商品登録に売上データ処理装置100を用いたが、本変形例では、クリーニング店におけるサービスの登録に売上データ処理装置100を用いる。
【0109】
図39は、クリーニング店で用いられる提供条件の例を説明する図である。
図39の例では、提供条件を定める条件要素として、サービスを提供する曜日に係る「曜日条件要素」、顧客の種別に係る「顧客種別条件要素」、染み抜きオプションの有無に係る「染み抜き条件要素」、サービスの対象となる衣服の色に係る「色条件要素」の4つが用いられる。
曜日条件要素の要素項目は、「平日(条件値「0」)」及び「土日(条件値「1」)」である。曜日条件要素は、価格番号の千の位に対応する。
顧客種別条件要素の要素項目は、「一般客(条件値「0」)」及び「ゴールド客(条件値「1」)」である。顧客種別条件要素は、価格番号の百の位に対応する。
染み抜き条件要素の要素項目は、「染み抜き無し(条件値「0」)」及び「染み抜き有り(条件値「1」)」である。染み抜き条件要素は、価格番号の十の位に対応する。
色条件要素の要素項目は、「白(条件値「1」)」、「黒(条件値「2」)」及び「その他(条件値「3」)」である。色条件要素は、価格番号の一の位に対応する。
このような条件要素の組み合わせにより定められる提供条件についても、上記実施形態と同様に価格番号を対応付けてそれぞれ価格を設定することにより、提供条件に応じた柔軟な提供価格でサービスを提供することができる。
【0110】
なお、上記実施形態の飲食店や、本変形例のクリーニング店に限られず、本発明は種々の業態に適用することができる。提供条件を定める条件要素は、業態に応じて適宜定めることができるが、例えば、売上データ処理装置100が置かれている状況により定まる条件要素(時間、曜日、日付等)、取引毎に固定的に定まる条件要素(テーブルの場所、顧客の種別、店内での飲食/持ち帰り等)、商品の修飾に係る条件要素(付け合わせの有無、染み抜きの有無等)、商品の属性に係る条件要素(サイズ、色、形、重さ等)などを用いることができる。また、条件要素の数は4つに限られず、2以上の任意の数とすることができる。
【0111】
以上のように、上記実施形態の売上データ処理装置100が有する情報処理装置1は、商品又は役務の提供条件を表す提供条件情報としての価格番号と、商品又は役務ごとに、一又は二以上の特定の提供条件に対してそれぞれ当該商品又は役務の価格が設定されている価格設定データ134と、に基づいて商品又は役務の提供価格を特定する提供価格特定部111として機能するCPU11を備え、提供条件は、各々が所定の複数の要素項目のいずれかを表す複数の条件要素の組み合わせにより定まり、CPU11の提供価格特定部111は、価格設定データ134において、価格番号が表す提供条件に対して設定されている価格が特定できる場合には、当該価格を提供価格として特定し、価格設定データ134において、価格番号が表す提供条件に対して設定されている価格が特定できない場合には、当該提供条件を除くいずれかの提供条件であって価格が設定されている代替提供条件を所定の規則に従って特定し、代替提供条件に対して設定されている価格を提供価格として特定する。
これによれば、複数の条件要素の組み合わせに対応する全ての提供条件に対して価格を設定しなくても、価格が設定されていない提供条件を含む全ての提供条件について適切な提供価格を特定することができる。よって、提供条件が多数に上る場合に提供条件に対して価格を設定する手間を軽減することができる。また、提供条件の数が多いほど、ユーザが不適切な価格を設定してしまう問題が生じやすいが、上記構成によれば、一部の提供条件に対してのみ価格を設定すれば、他の提供条件については価格シフトにより適切な提供価格が特定されるため、提供価格が不適切となる不具合の発生を抑制することができる。また、価格が設定されている提供条件の中から所定の規則に従って代替提供条件を特定し、価格シフトが行われて提供価格が特定されるため、価格が設定されていない場合に単に固定の基準価格を用いる従来技術と比較して、より適切な提供価格を特定することができる。
このように、上記構成によれば、ユーザは、簡易な設定で、複数の条件要素の組み合わせにより定まる提供条件に応じた適切な提供価格で商品又は役務を提供することができる。
【0112】
また、複数の条件要素の各々が表す要素項目を示す価格番号を用いることで、価格番号から各条件要素の要素項目を直接特定することができる。
【0113】
また、CPU11の提供価格特定部111は、価格番号が表す提供条件に係る複数の条件要素のうち、所定の優先条件要素を除いた条件要素の少なくとも一部の要素項目を変更する要素項目変更処理と、要素項目変更処理において要素項目が変更された複数の条件要素の組み合わせに対応する提供条件を代替提供条件として特定する代替提供条件特定処理と、を実行することで、上記規則に従って代替提供条件を特定する。これによれば、優先条件要素が共通する提供条件の中から代替提供条件を特定する価格シフトが行われるため、予め所望の優先条件要素を定めておくことで、より適切な提供価格を特定することができる。
【0114】
また、複数の条件要素には優先順位が定められており、CPU11の提供価格特定部111は、価格番号が表す提供条件に係る複数の条件要素のうち、優先順位に応じた一の条件要素の要素項目を変更する要素項目変更処理と、要素項目変更処理において要素項目が変更された複数の条件要素の組み合わせに対応する提供条件を代替提供条件として特定する代替提供条件特定処理と、を実行することで、上記規則に従って代替提供条件を特定する。これによれば、条件要素の優先順位に応じた妥当性の高い提供価格を特定することができる。
【0115】
また、CPU11の提供価格特定部111は、代替提供条件特定処理を実行する前に、要素項目変更処理において要素項目が変更された複数の条件要素の組み合わせに対応する提供条件が、価格設定データ134において価格が設定されている提供条件となるまで要素項目変更処理を繰り返し実行する。このように、優先順位に応じて条件要素の要素項目の変更を繰り返すことで、選択可能な提供価格の中で最も妥当性の高い提供価格を特定することができる。
【0116】
また、CPU11は、ユーザの入力操作に基づいて優先条件要素を設定する優先条件要素設定部113として機能する。これによれば、ユーザの価格設定方針に沿ったアルゴリズムで価格シフトが行われて提供価格が特定されるようにすることができる。
【0117】
また、価格番号は、複数の条件要素に含まれる条件要素の数以上の桁を有し、複数の条件要素の各々は、価格番号における互いに異なるいずれかの桁に対応し、価格番号は、各条件要素に対応する桁の値が、条件要素が表す複数の要素項目のいずれかに対応する条件値となっている。これによれば、価格番号の各桁の数値から簡易に各条件要素の要素項目を特定することができる。
【0118】
また、CPU11は、商品又は役務の提供が行われる場合に価格番号を算出して取得する提供条件情報取得部112として機能し、提供条件情報取得部112は、複数の条件要素についてそれぞれ条件値を取得し、取得した条件値に、価格番号において各条件要素に対応する桁の単位数を乗じて得られた数を、複数の条件要素について加算することで価格番号を算出する。これによれば、簡易な処理により価格番号を算出して提供条件を特定することができる。
【0119】
また、提供条件情報取得部112は、商品又は役務の提供状況に係る提供状況データ121に基づいて複数の条件要素のうち時刻条件要素及び場所条件要素を特定する。これによれば、提供条件を特定するためのユーザの手間を軽減することができる。
【0120】
また、CPU11は、複数の条件要素のうち所定の条件要素に係る複数の要素項目のいずれかをユーザに選択させるための条件選択画面としての売上登録画面40、テーブル選択画面41、サイズ選択画面42及び付け合わせ選択画面43を表示部141に表示させる第1の表示制御部114として機能し、提供条件情報取得部112は、条件選択画面におけるユーザの選択結果に基づいて、所定の条件要素の要素項目を特定する。これによれば、直感的で簡易な入力操作により条件要素の要素項目を指定することができる。
【0121】
また、第1の表示制御部114は、複数の要素項目を表す複数の項目名が商品又は役務ごとに予め定められて記憶されている条件要素項目名データ135に基づいて、サイズ選択画面42において、提供する商品又は役務に対応する複数の項目名を表示させる。これによれば、商品又は役務ごとに、商品等に合った適切な項目名を表示して、要素項目の選択を受け付けることができる。よって、ユーザにとってより違和感が少なく、かつ要素項目の選択肢をイメージしやすい表示内容の条件選択画面とすることができる。例えば、商品「ビール」については、図26のように要素項目の項目名として「グラス」、「中ジョッキ」、「大ジョッキ」及び「ピッチャー」が表示される一方、商品「ワイン」については、図27のように要素項目の項目名として「グラス」、「デカンタ」及び「ボトル」を表示することで、各商品の要素項目の選択肢をユーザがイメージしやすくすることができる。
【0122】
また、CPU11の価格設定情報生成部116は、複数の条件要素の可能な組み合わせに対応する複数の提供条件のうち少なくとも一部の提供条件に対応する価格を、ユーザの入力操作に基づいて設定し、当該設定した価格に基づいて価格設定データ134を生成する。これによれば、ユーザが所望の提供条件に対して所望の価格を設定することができる。
【0123】
また、CPU11は、価格設定情報生成部116により価格設定データ134が生成される場合に、複数の提供条件における、ユーザの入力操作に基づく価格の設定状況を示す価格設定画面31を表示部141に表示させる第2の表示制御部115として機能し、CPU11の提供価格特定部111は、複数の提供条件のうち価格が設定されていない提供条件の各々について、価格が設定されている提供条件のいずれかである仮代替提供条件を上記所定の規則に従って特定し、第2の表示制御部115は、価格設定画面31において、価格が設定されている提供条件については、当該提供条件に対して設定されている価格を表示させ、価格が設定されていない提供条件については、仮代替提供条件に対して設定されている価格を表示させる。これによれば、価格設定画面31において、価格が設定されていない提供条件については、実際の商品の提供時に価格シフトにより特定されることとなる価格を表示することができる。よって、ユーザは、価格が未設定の各提供条件について価格シフトにより特定されることとなる価格を視覚的に把握しつつ、所望の提供条件に対して価格を設定することができる。このため、実際の商品の提供時に価格シフトにより特定されることとなる価格が適切な値となるように、各提供条件に対して設定する価格を調整することができる。
【0124】
また、第2の表示制御部115は、価格設定画面31において、価格が設定されている提供条件に対応する価格と、価格が設定されていない提供条件に対応する価格と、を異なる態様で表示させる。これによれば、ユーザは、価格が設定されていない提供条件(すなわち、実際の商品の提供時に価格シフトにより価格が特定されることとなる提供条件)を視覚的に分かりやすく把握することができる。
【0125】
また、上記実施形態の売上データ処理装置100は、上記の情報処理装置1と、特定された提供価格の情報を含む商品又は役務の売上データ138を生成する売上データ生成部117として機能するCPU11と、を備える。これによれば、売上データ処理装置100において、簡易な設定で適切に商品又は役務の提供価格を特定することができる。
【0126】
また、上記実施形態のプログラム131は、情報処理装置1に設けられたコンピュータとしてのCPU11を、商品又は役務の提供条件を表す提供条件情報としての価格番号と、商品又は役務ごとに、一又は二以上の特定の提供条件に対してそれぞれ当該商品又は役務の価格が設定されている価格設定データ134と、に基づいて商品又は役務の提供価格を特定する提供価格特定手段として機能させ、提供条件は、各々が所定の複数の要素項目のいずれかを表す複数の条件要素の組み合わせにより定まり、提供価格特定手段は、価格設定データ134において、価格番号が表す提供条件に対して設定されている価格が特定できる場合には、当該価格を提供価格として特定し、価格設定データ134において、価格番号が表す提供条件に対して設定されている価格が特定できない場合には、当該提供条件を除くいずれかの提供条件であって価格が設定されている代替提供条件を所定の規則に従って特定し、代替提供条件に対して設定されている価格を提供価格として特定する。
このようなプログラムにより情報処理装置1を動作させることで、ユーザは、簡易な設定で、複数の条件要素の組み合わせにより定まる提供条件に応じた適切な提供価格で商品又は役務を提供することができる。
【0127】
以上の説明では、本発明に係るプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体として記憶部13のHDD、SSD等を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、フラッシュメモリや、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も本発明に適用される。
【0128】
なお、上記実施形態における記述は、本発明に係る情報処理装置、売上データ処理装置及びプログラムの一例であり、これに限定されるものではない。
例えば、価格番号の桁数を条件要素の数より多くし、条件要素に対応しない桁の数値により他の情報を表してもよい。
【0129】
また、提供条件情報は、価格番号の形式に限られず、例えば、提供条件に一対一に対応するID等の符号であってもよい。この場合には、当該符号と、複数の条件要素の要素項目の組み合わせとが対応付けられているテーブルデータを予め用意して、複数の条件要素の要素項目の組み合わせから一の符号が特定できるようにするとともに、価格設定データ134において、各符号に対して価格を設定すればよい。
【0130】
また、上記実施形態では、場所条件要素の要素項目として「通常テーブル」及び「VIPルーム」を例に挙げて説明したが、これに限定する趣旨ではない。例えば、図22のテーブル選択画面41における「レストラン」、「バー」及び「ガーデン」のエリアをそれぞれ場所条件要素の要素項目としてもよい。この場合には、店舗のエリアごとに提供条件及び提供価格を異ならせることができる。
【0131】
また、上記実施形態では、価格シフトの動作において、まず「時間優先」のアルゴリズムによる場所条件要素の変更、又は「場所優先」のアルゴリズムによる時刻条件要素の変更を行う例で説明したが、これに限定する趣旨ではなく、付け合わせ条件要素又はサイズ条件要素から先に変更して代替提供条件を特定してもよい。
【0132】
また、上記実施形態では、付け合わせ条件要素の「ミックス」の価格が「単品」の価格より低く設定されており、飲み物に割り材をミックスして提供する場合には、飲み物本体の価格を低減させた上で割り材の価格を加算して売り上げを計上した。しかしながら、これは1つの設定例であり、これに限定されない。例えば、付け合わせ条件要素が「ミックス」である提供条件の価格を、付け合わせ条件要素が「単品」である提供条件の価格より高く設定し、飲み物本体及び割り材を含む全体の価格を価格設定データ134に設定して提供価格を特定してもよい。
【0133】
また、上記実施形態では、操作表示部14のタッチパネル142に対する接触操作で各種情報の入力を行う例を用いて説明したが、これに限定されない。例えば、図6の売上登録画面30の各ボタンに対応する物理ボタンを設け、この物理ボタンを押下する入力操作により各種情報の入力を行ってもよい。
【0134】
また、上記実施形態では、提供条件に応じて特定される提供価格が単一の商品の単価である例を用いて説明したが、これに限られず、例えば、複数の商品の組み合わせからなるセット商品の提供価格を提供条件に応じて特定してもよい。
【0135】
また、上記実施形態における情報処理装置1及び売上データ処理装置100の各構成要素の細部構成及び細部動作に関しては、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能であることは勿論である。
【0136】
本発明の実施の形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
商品又は役務の提供条件を表す提供条件情報と、商品又は役務ごとに、一又は二以上の特定の前記提供条件に対してそれぞれ当該商品又は役務の価格が設定されている価格設定情報と、に基づいて商品又は役務の提供価格を特定する提供価格特定手段を備え、
前記提供条件は、各々が所定の複数の要素項目のいずれかを表す複数の条件要素の組み合わせにより定まり、
前記提供価格特定手段は、
前記価格設定情報において、前記提供条件情報が表す前記提供条件に対して設定されている価格が特定できる場合には、当該価格を前記提供価格として特定し、
前記価格設定情報において、前記提供条件情報が表す前記提供条件に対して設定されている価格が特定できない場合には、当該提供条件を除くいずれかの前記提供条件であって価格が設定されている代替提供条件を所定の規則に従って特定し、当該代替提供条件に対して設定されている価格を前記提供価格として特定することを特徴とする情報処理装置。
<請求項2>
前記提供条件情報は、前記複数の条件要素の各々が表す前記要素項目を示す情報を含むことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
<請求項3>
前記提供価格特定手段は、
前記提供条件情報が表す前記提供条件に係る前記複数の条件要素のうち、所定の優先条件要素を除いた条件要素の少なくとも一部の前記要素項目を変更する要素項目変更処理と、
前記要素項目変更処理において前記要素項目が変更された前記複数の条件要素の組み合わせに対応する前記提供条件を前記代替提供条件として特定する代替提供条件特定処理と、
を実行することで、前記規則に従って前記代替提供条件を特定することを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
<請求項4>
前記複数の条件要素には優先順位が定められており、
前記提供価格特定手段は、
前記提供条件情報が表す前記提供条件に係る前記複数の条件要素のうち、前記優先順位に応じた一の条件要素の前記要素項目を変更する要素項目変更処理と、
前記要素項目変更処理において前記要素項目が変更された前記複数の条件要素の組み合わせに対応する前記提供条件を前記代替提供条件として特定する代替提供条件特定処理と、
を実行することで、前記規則に従って前記代替提供条件を特定することを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
<請求項5>
前記提供価格特定手段は、前記代替提供条件特定処理を実行する前に、前記要素項目変更処理において前記要素項目が変更された前記複数の条件要素の組み合わせに対応する前記提供条件が、前記価格設定情報において価格が設定されている提供条件となるまで前記要素項目変更処理を繰り返し実行することを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
<請求項6>
ユーザの第1の入力操作に基づいて前記優先条件要素を設定する優先条件要素設定手段を備えることを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
<請求項7>
前記提供条件情報は、前記複数の条件要素に含まれる条件要素の数以上の桁を有する価格番号の情報を含み、
前記複数の条件要素の各々は、前記価格番号における互いに異なるいずれかの桁に対応し、
前記価格番号は、各前記条件要素に対応する桁の値が、前記条件要素が表す前記複数の要素項目のいずれかに対応する条件値となっていることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
<請求項8>
商品又は役務の提供が行われる場合に前記提供条件情報を取得する提供条件情報取得手段を備え、
前記提供条件情報取得手段は、前記複数の条件要素についてそれぞれ前記条件値を取得し、取得した前記条件値に、前記価格番号において各条件要素に対応する桁の単位数を乗じて得られた数を、前記複数の条件要素について加算することで前記価格番号を算出することを特徴とする請求項7に記載の情報処理装置。
<請求項9>
商品又は役務の提供が行われる場合に前記提供条件情報を取得する提供条件情報取得手段を備え、
前記提供条件情報取得手段は、商品又は役務の提供状況に係る提供状況情報に基づいて前記複数の条件要素のうち一部の条件要素の前記要素項目を特定することを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の情報処理装置。
<請求項10>
商品又は役務の提供が行われる場合に前記提供条件情報を取得する提供条件情報取得手段と、
前記複数の条件要素のうち所定の条件要素に係る前記複数の要素項目のいずれかをユーザに選択させるための条件選択画面を表示部に表示させる第1の表示制御手段と、
を備え、
前記提供条件情報取得手段は、前記条件選択画面におけるユーザの選択結果に基づいて、前記所定の条件要素の前記要素項目を特定することを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の情報処理装置。
<請求項11>
前記第1の表示制御手段は、前記複数の要素項目を表す複数の項目名が商品又は役務ごとに予め定められて記憶されている項目名情報に基づいて、前記条件選択画面において、提供する商品又は役務に対応する前記複数の項目名を表示させることを特徴とする請求項10に記載の情報処理装置。
<請求項12>
前記複数の条件要素の可能な組み合わせに対応する複数の前記提供条件のうち少なくとも一部の前記提供条件に対応する価格を、ユーザの第2の入力操作に基づいて設定し、当該設定した価格に基づいて前記価格設定情報を生成する価格設定情報生成手段を備えることを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載の情報処理装置。
<請求項13>
前記価格設定情報生成手段により前記価格設定情報が生成される場合に、前記複数の提供条件における、ユーザの前記第2の入力操作に基づく価格の設定状況を示す価格設定画面を表示部に表示させる第2の表示制御手段を備え、
前記提供価格特定手段は、前記複数の提供条件のうち価格が設定されていない提供条件の各々について、価格が設定されている提供条件のいずれかである仮代替提供条件を前記所定の規則に従って特定し、
前記第2の表示制御手段は、前記価格設定画面において、前記価格が設定されている提供条件については、当該提供条件に対して設定されている価格を表示させ、前記価格が設定されていない提供条件については、前記仮代替提供条件に対して設定されている価格を表示させることを特徴とする請求項12に記載の情報処理装置。
<請求項14>
前記第2の表示制御手段は、前記価格設定画面において、前記価格が設定されている提供条件に対応する価格と、前記価格が設定されていない提供条件に対応する価格と、を異なる態様で表示させることを特徴とする請求項13に記載の情報処理装置。
<請求項15>
請求項1~14のいずれか一項に記載の情報処理装置と、
前記提供価格特定手段により特定された前記提供価格の情報を含む商品又は役務の売上データを生成する売上データ生成手段と、
を備えることを特徴とする売上データ処理装置。
<請求項16>
情報処理装置に設けられたコンピュータを、
商品又は役務の提供条件を表す提供条件情報と、商品又は役務ごとに、一又は二以上の特定の前記提供条件に対してそれぞれ当該商品又は役務の価格が設定されている価格設定情報と、に基づいて商品又は役務の提供価格を特定する提供価格特定手段として機能させ、
前記提供条件は、各々が所定の複数の要素項目のいずれかを表す複数の条件要素の組み合わせにより定まり、
前記提供価格特定手段は、
前記価格設定情報において、前記提供条件情報が表す前記提供条件に対して設定されている価格が特定できる場合には、当該価格を前記提供価格として特定し、
前記価格設定情報において、前記提供条件情報が表す前記提供条件に対して設定されている価格が特定できない場合には、当該提供条件を除くいずれかの前記提供条件であって価格が設定されている代替提供条件を所定の規則に従って特定し、当該代替提供条件に対して設定されている価格を前記提供価格として特定することを特徴とするプログラム。
【符号の説明】
【0137】
1 情報処理装置
11 CPU
111 提供価格特定部
112 提供条件情報取得部
113 優先条件要素設定部
114 第1の表示制御部
115 第2の表示制御部
116 価格設定情報生成部
117 売上データ生成部
12 RAM
121 提供状況データ(提供状況情報)
122 価格番号データ(提供条件情報)
13 記憶部
131 プログラム
132 時刻条件要素設定データ
133 場所条件要素設定データ
134 価格設定データ(価格設定情報)
135 条件要素項目名データ(項目名情報)
136 優先条件要素設定データ
137 付け合わせ設定データ
138 売上データ
14 操作表示部
141 表示部
142 タッチパネル
15 計時部
16 顧客用表示部
17 印刷部
18 ドロア
19 通信部
20 バス
30 売上登録画面
31 価格設定画面
40 売上登録画面
41 テーブル選択画面
42 サイズ選択画面
43 付け合わせ選択画面
44 割り材サイズ選択画面
100 売上データ処理装置
200 端末装置
300 売上データ処理システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39