(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】ヘッドホン用のヘッドバンド及びヘッドホン
(51)【国際特許分類】
H04R 1/10 20060101AFI20230829BHJP
【FI】
H04R1/10 103
(21)【出願番号】P 2019156684
(22)【出願日】2019-08-29
【審査請求日】2022-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(72)【発明者】
【氏名】上村 真史
【審査官】冨澤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-088607(JP,A)
【文献】特許第7176471(JP,B2)
【文献】中国実用新案第207304858(CN,U)
【文献】実開昭58-082089(JP,U)
【文献】国際公開第2013/099417(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弧状に湾曲し、
外側に位置する外フレーム部と前記外フレーム部に沿って内側に位置する内フレーム部とが、外形に沿った弧状の空間であって少なくとも一方の端部側に
ある開口部で開口する芯材収容部を備え
たスリーブとして第1の曲げ剛性を有
して形成されたバンド基体と、
弧状に湾曲し、前記芯材収容部に挿抜可能に挿着され前記第1の曲げ剛性よりも大きい第2の曲げ剛性を有する芯材と、
を含んで構成され
、
前記芯材収容部の前記開口部は前記バンド基体の端部から所定距離離れているヘッドホン用のヘッドバンド。
【請求項2】
弧状に湾曲し、内部に長手方向に延在し少なくとも一方の端部側に開口する芯材収容部を備えて第1の曲げ剛性を有するバンド基体と、
弧状に湾曲し、前記バンド基体の前記芯材収容部に挿抜可能に挿着され前記第1の曲げ剛性よりも大きい第2の曲げ剛性を有する芯材と、
を含んで構成され、
前記芯材は、一方の端部に径方向に突出又は陥没した第1係合部を有し、前記バンド基体は、前記芯材収容部に挿着された前記芯材の前記第1係合部と係合可能な第2係合部を有することを特徴とす
るヘッドホン用のヘッドバンド。
【請求項3】
前記芯材は、前記一方の端部に、前記第2係合部と係合せずに突出する指掛かり部を有することを特徴とする請求項2記載のヘッドホン用のヘッドバンド。
【請求項4】
前記バンド基体は光透過性を有する部位を有し、前記バンド基体の内部の前記芯材を外部から前記光透過性を有する部位を通して視認可能であることを特徴とする請求項
2又は請求項3記載のヘッドホン用のヘッドバンド。
【請求項5】
スピーカユニットを収容した左耳用及び右耳用の一対の本体部と、
前記一対の本体部が両端部に連結された請求項1~4のいずれか1項に記載のヘッドホン用のヘッドバンドと、を備えたヘッドホン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドホン用のヘッドバンド及びヘッドホンに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、使用時に頭部に付与される側圧を微調整できるヘッドバンドを備えたヘッドホンが記載されている。このヘッドホンは、ヘッドバンドに、使用者の頭部に対応して湾曲する板ばねと、この板ばねの外側に配置されて板ばねの両端間距離を調整する調整用部材と、調整用部材の位置を調整する位置調整機構とを有する。
【0003】
特許文献1に記載されたヘッドホンは、使用者が位置調整機構によって調整用部材の位置を調整することで、板ばねの両端間距離が変更され側圧を調整できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
多くの量販店では、顧客がヘッドホンを試聴でき、好みの音質のヘッドホンを選んで購入できるようになっている。一方、ヘッドバンドを備えたいわゆるオーバーヘッドタイプのヘッドホンにおいて、頭部への装着状態で側頭部を付勢するいわゆる側圧は、ヘッドホン毎に、また、顧客の頭部の大きさや形状毎に異なるものとなる。
そのため、顧客は、試聴で音質が気に入ったヘッドホンであっても、側圧が好みでないと購入をあきらめる場合が多く、ヘッドホンの側圧を顧客の好みに合わせられることが望まれている。
その観点で、特許文献1のヘッドホンのヘッドバンドは望ましい構造を有するが、部品点数が多く構造が複雑でコスト高になると共に外観意匠に制約が多い、という点で改善の余地がある。
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、側圧調整が可能であってもコスト上昇が抑制され外観意匠の自由度が高い、ヘッドホン用のヘッドバンド及びヘッドホンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は次の構成を有する。
1)弧状に湾曲し、外側に位置する外フレーム部と前記外フレーム部に沿って内側に位置する内フレーム部とが、外形に沿った弧状の空間であって少なくとも一方の端部側にある開口部で開口する芯材収容部を備えたスリーブとして第1の曲げ剛性を有して形成されたバンド基体と、
弧状に湾曲し、前記芯材収容部に挿抜可能に挿着され前記第1の曲げ剛性よりも大きい第2の曲げ剛性を有する芯材と、
を含んで構成され、
前記芯材収容部の前記開口部は前記バンド基体の端部から所定距離離れているヘッドホン用のヘッドバンドである。
2) スピーカユニットを収容した左耳用及び右耳用の一対の本体部と、
前記一対の本体部が両端部に連結された1)に記載のヘッドホン用のヘッドバンドと、を備えたヘッドホンである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、側圧調整が可能であってもコスト上昇が抑制され外観意匠の自由度が高い、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態に係るヘッドホンの実施例であるヘッドホン91の正面図である。
【
図2】
図2は、
図1におけるS2-S2位置での断面図である。
【
図3】
図3は、ヘッドホン91のバンド部2に装着される芯材3を示す正面図である。
【
図5】
図5は、
図1におけるA部を
図1の手前斜め右下方から見上げた第1の斜視図である。
【
図6】
図6は、
図1におけるA部を
図1の手前斜め右下方から見上げた第2の斜視図である。
【
図7】
図7は、バンド部2に芯材3A,3Bを装着したときのそれぞれの作用を説明する模式的正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の形態に係るヘッドホンを、実施例のヘッドホン91により説明する。
【0011】
(実施例)
図1は、ヘッドホン91の自然状態での正面図である。ヘッドホン91は、使用者の頭部に掛けるヘッドバンドであるバンド部2を備えた、いわゆるオーバーヘッドタイプのヘッドホンである。
図2は、
図1におけるS2-S2位置での断面図である。
【0012】
ヘッドホン91は、右耳用及び左耳用の一対の本体部1と、一対の本体部1を連結するヘッドホン用のヘッドバンドとしてのバンド部2と、を備える。バンド部2は、両端部それぞれに本体部1を連結する連結部5を備える。
本体部1は、ハウジング11と、ハウジング11の内部に収容されたスピーカユニット12と、ハウジング11に対し着脱可能に装着されヘッドホン91の使用時に耳或いは頭部に接触するパッド部13とを有する。
【0013】
連結部5は、支持板14,本体支持部15,延出片16,及び延出片支持部17を有する。
支持板14は、本体支持部15を有し、本体支持部15は、本体部1を例えば揺動可能に支持している。
延出片16は、支持板14の上端部から上方に延出し延出片支持部17によって支持されている。延出片支持部17は、延出片16を、上下方向に移動可能に、かつ任意の上下位置で維持できるように支持する。
【0014】
ヘッドホン91を頭部に装着した状態で、バンド部2は
図1に示される自然状態に対し、広がる方向に弾性的に変形している。
そのため、バンド部2に生じる、変形に対する弾性反発力によって、パッド部13を有する一対の本体部1が互いに接近する方向で側頭部を押圧する。この本体部1が側頭部を押しつける圧力を側圧と称する。
【0015】
図1及び
図2に示されるように、バンド部2は、弧状に湾曲した形状のバンド基体2Kと、バンド基体2Kの内部に挿着された芯材3とを有する。
バンド基体2Kは、弧状に形成され外側に位置する外フレーム部21と、外フレーム部21に沿う弧状に形成され内側に位置する内フレーム部22が外内方向に組み合わされて形成されている。
【0016】
外フレーム部21及び内フレーム部22は樹脂材で形成されて径の拡縮方向に可撓性を有している。詳しくは、芯材3を含まずに外フレーム部21及び内フレーム部22で形成されたバンド基体2Kは、自然状態で
図1に示される弧状の形状に維持され、第1の曲げ剛性である曲げ剛性St2を有し、外力によって径の拡縮方向に変形可能である。
【0017】
芯材3を含まずに外フレーム部21及び内フレーム部22で構成されたバンド基体2Kの曲げ剛性St2及び弾性反発力は、そのヘッドホン91を頭部に装着した際に十分な側圧を生じるほど大きくない。
一方で、第2の曲げ剛性となる芯材3の曲げ剛性St3は、曲げ剛性St2よりも大きく、同じ変形量で変形させた場合の弾性反発力もバンド基体2Kより大きい。
すなわち、ヘッドホン91は、バンド部2に芯材3を挿着することで、頭部に装着して使用するために十分な側圧が得られるようになっている。
【0018】
図2に示されるように、内フレーム部22は、外側面22eにおいて、長手方向に延び外側から内側に向けて抉られた溝部22aを有する。溝部22aの横断面形状は、例えば厚さ方向に薄い扁平の矩形である。
溝部22aは、内フレーム部22の一方の端部(
図1における左端)の第1端部TB1から、少なくとも反対側の他方端(
図1における右端)の第2端部TB2の近傍位置まで形成されている。
バンド基体2Kにおいて、溝部22aは外フレーム部21に塞がれて、外フレーム部21の内面21cと共に外形に沿った弧状の空間V2を形成する。
すなわち、バンド基体2Kは、空間V2を形成する袋部22cを有するスリーブとして形成されている。
【0019】
詳しくは、袋部22cは、バンド基体2Kの第1端部TB1の側に開口し、バンド基体2Kの内部において外形に沿う湾曲形状で長手方向に延在し、第2端部TB2の近傍部位を底部22a1(
図1参照)とする有底の袋状部位として形成されている。
バンド基体2Kは、袋部22cの替わりに、第2端部TB2の側も、第1端部TB1の側と同様に開口する貫通孔を有していてもよい。
すなわち、バンド基体2Kは、少なくとも一方の端部(第1端部)側に開口し、芯材3を収容する袋状又は貫通孔の芯材収容部を有する。
ここでは、芯材収容部が袋部22cの場合を説明する。
【0020】
図3及び
図4に示されるように、芯材3は、例えば弧状に湾曲した基部3aを有する。基部3aは、例えば湾曲した板状部材である。
基部3aの一方の端部TB3aには、幅方向に延び、径方向の外方に高さt3で突出した外突部3b及び内方に突出した内突部3cが形成されている。
外突部3bは、例えば半円柱状に突出し、内突部3cは、三角柱状或いは四角柱状に突出している。
基部3aは、この例において、幅D3が一定、かつ外突部3b及び内突部3c以外の部位の厚さt3が一定であり、硬質樹脂又はばね性を有する金属などの材料で形成されている。
芯材3は、湾曲の度合として自然状態で曲率半径Rを維持し、バンド基体2Kの曲げ剛性St2よりも大きい曲げ剛性St3を有し、曲率半径Rを大小に変化させる拡縮方向に弾性変形可能である。
【0021】
図5は、
図1におけるA部を、
図1の手前斜め右下方から見上げた斜視図である。具体的には、
図5は、内フレーム部22の第1端部TB1における袋部22cの出口である22c1及びその近傍を示している。また、袋部22cに挿着する芯材3の基部3aにおける、挿着の先頭側となる端部TB3b(
図3参照)の一部も併せて示してある。
【0022】
内フレーム部22の第1端部TB1は、
図1にも示されるように、外フレーム部21側から内フレーム部22の径方向の厚さである高さ方向に離れるに従って本体部1から離れる方向に傾斜した傾斜面22dとなっている。袋部22cは、傾斜面22dの開口部22c1において開口している。
【0023】
外フレーム部21には、その長手方向において、開口部22c1から所定距離だけ離れた位置に凹部21aが形成されている。
所定距離は、芯材3を袋部22cに挿入し、端部TB3bが袋部22cの底部22a1に当接した状態で、外突部3bが自ずと凹部21aに進入する距離である。
外フレーム部21の幅方向における凹部21aの形成位置は、開口部22c1に対応した位置である。また、外フレーム部21の幅方向及び長手方向それぞれにおける凹部21aの幅及び長さは、芯材3の端部TB3bを開口部22c1から袋部22cの中に挿入させたときに、反対側の端部TB3aの外突部3bが進入可能なように、外突部3bの平面視外形よりも大きく形成されている。
【0024】
外フレーム部21の内面21cにおいて、凹部21aの開口部22c1とは反対側に、開口部22c1から離れるに従って内面21cから深く抉れるように傾斜した傾斜部21bを有する。
【0025】
以上の構成により、ヘッドホン91は、芯材3をバンド基体2Kに挿着して使用する。
芯材3のバンド基体2Kへの挿着は、例えば、次のように行う。
図5に示されるように、芯材3の基部3aを、外突部3b及び内突部3cが形成されてない側の端部TB3bを先頭として、開口部22c1から袋部22cの内部に挿入する(矢印DRa参照)。
基部3aの袋部22cへの挿入が進行し、基部3aの端部TB3aが開口部22c1に接近すると、
図6に示されるように、外突部3bが傾斜部21bを摺動し(矢印DRb)、さらに挿入を進めると、外突部3bは凹部21aに嵌り込み、芯材3はバンド基体2Kに保持される。
外突部3bが傾斜部21bを摺動して上昇することによって、基部3aの変形が穏やかに進む。これにより、作業者は、外突部3bの凹部21aへの進入で完了する芯材3のバンド基体2Kへの挿着を、良好な感触で行うことができる。
【0026】
バンド基体2Kに挿着された芯材3は、例えば指を内突部3cに掛け、袋部22cから引き出して取り外すことができる。すなわち、内突部3cは指掛かり部として機能する。
外突部3bは、半円柱状に形成されていることから、凹部21aに対し引っ掛かることなく容易に係合し、芯材3に対し袋部22cから引き出す力が指などで付与された際に良好に離脱する。
内突部3cは、三角柱状或いは四角柱状に形成されていることから、作業者は指を内突部3cに対し滑らずにしっかり掛けることができ、芯材3の抜き取り作業を確実に行うことができる。
これらにより、作業者は、芯材3をバンド基体2Kに対して容易に挿抜することができる。
【0027】
バンド基体2Kの曲率半径は、バンド基体2Kが保持した芯材3の自然状態での曲率半径に依存する。例えば、芯材3の湾曲度合が曲率半径Rで示される場合、
図1に示されるように、バンド基体2Kは自然状態で曲率半径Rの湾曲形状を有するヘッドバンドとして機能する。
すなわち、ヘッドホン91のバンド部2は、バンド基体2Kの湾曲度合を、バンド基体2Kに装着した芯材3の湾曲度合に応じて変えることができる。湾曲度合の数値指標として曲率半径を用いることができる。
【0028】
バンド基体2Kの曲率半径の大きさは、ヘッドホン91の使用時の側圧に影響する。すなわち、ヘッドホン91は、バンド基体2Kの曲率半径が小さいほど、頭部装着時にバンド基体2Kを大きく広げることになる。そのため、使用状態において芯材3の弾性反発力がより大きくなり、本体部1のパッド部13が頭部を付勢する力である側圧が大きくなる。
【0029】
芯材3の曲率半径Rの違いによる側圧の違いを、模式図である
図7を参照して説明する。
ヘッドホン91に挿着されている曲率半径Rの芯材3を、自然状態で曲率半径Rよりも小さい曲率半径RAを有する芯材3Aに入れ替えた場合、バンド部2の曲率半径は芯材3Aの曲率半径RAに応じて小さくなり、一対の本体部1同士の自然状態での距離が小さくなる(矢印A参照)。
そのため、芯材3Aを用いたヘッドホン91の使用時の側圧は、芯材3を用いた場合の側圧よりも大きい。
【0030】
一方、ヘッドホン91に挿着されている曲率半径Rの芯材3を、自然状態で曲率半径Rよりも大きい曲率半径RBを有する芯材3Bに入れ替えた場合、バンド部2の曲率半径は芯材3Bの曲率半径RBに応じて大きくなり、一対の本体部1同士の自然状態での距離は大きくなる(矢印B参照)。
そのため、芯材3Bを用いたヘッドホン91の使用時の側圧は、芯材3を用いた場合の側圧よりも小さい。
【0031】
このように、使用者は、ヘッドホン91の側圧を、例えば異なる曲率半径を有する複数の芯材3の中から選択してバンド基体2Kに装着することで、好みの大きさにできる。
【0032】
以上のように、ヘッドホン91は、芯材3の入れ替えのみで側圧調整が可能である。すなわち、ヘッドホン91は、部品点数が少なく構造が簡単でコスト上昇を抑制して側圧調整が可能になっている。
また、ヘッドホン91は、使用状態において、芯材3の大部分の部位がバンド基体2K内に挿抜可能に収められるので、バンド部2のデザインに対する制約は少なく、外観意匠の自由度は高い。また、芯材3における外部に露出する部分は、バンド基体2Kの内側に位置して外部から視認されにくい。そのため、ヘッドホン91の外観意匠は高品位に確保される。
【0033】
以上詳述した実施例は、上述の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変形した変形例としてもよい。
【0034】
バンド部2として、芯材3の外突部3bを第1係合部としバンド基体2Kの凹部21aを第2係合部として両係合部が係合可能な例を説明したが、凹凸関係が逆であってもよい。すなわち、バンド部2は、芯材3側の第1係合部を陥没した凹部とし、バンド基体2K側の第1係合部を突出する突部として、第1係合部と第2係合部とが係合可能であってもよい。
【0035】
芯材3をバンド基体2Kに取り付ける構造は、芯材3の第1係合部をバンド基体2Kの第2係合部に係合させて芯材3をバンド基体2Kに取り付ける構造に限定されない。例えば、芯材3をねじによってバンド基体2Kに取り付ける構造にしてもよい。
【0036】
ヘッドホン91は、芯材3を、曲げ剛性及び曲率半径の少なくとも一方が異なるものに替えることで使用時の側圧を調整できる。
例えば、第1の芯材3に対し曲率半径Rが同じでも曲げ剛性St3が異なる第2の芯材3は、頭部への装着で同じ量だけ拡張するよう変形させた場合の反発力が異なる。そのため、側圧を調整することができる。
芯材3の曲げ剛性St3は、材質或いは断面形状に基づいて設定できる。
芯材3は、湾曲した板状部材に限定されず、例えば湾曲した柱状或いは棒状材であってもよい。
【0037】
バンド基体2Kの少なくとも一部の部位を光透過性材料で形成した窓部とし、袋部22cに挿着した芯材3の有無を外部から窓部を通して視認可能にしてもよい。
これにより、芯材3の有無を視覚的に判断可能となって挿着判別性が向上すると共に、芯材3を、曲げ剛性St3或いは曲率半径R毎に異なる色で形成することで、バンド基体2Kに挿着された芯材3の曲げ剛性St3或いは曲率半径Rを、ヘッドホン91を実際に装着せずに把握できる。
また、窓部を、光透過性を有する材料のうちの透明材料で形成し、芯材3の外面に、文字、記号、図柄などの表示を設けてもよい。これにより、ヘッドホン91は、使用者などが、バンド基体2Kの窓部を通して芯材3に付与されたこれらの表示を視認でき意匠性が向上する、芯材3の品番、曲げ剛性、曲率半径などの情報を、芯材3を抜き取らずに取得でき利便性が向上する、などの効果が得られる。
【0038】
ヘッドホン91の製造者及び販売者は、次の販売方法でヘッドホン91を販売できる。
【0039】
販売者は、顧客がヘッドホン91を頭部に試装着したときに、異なる複数の側圧が得られるよう曲げ剛性St3或いは曲率半径Rが異なる複数種類の芯材3を予め店頭に用意し顧客に選択可能にしておく。
顧客がヘッドホン91を購入する際に、曲げ剛性St3或いは曲率半径Rの異なる複数種類の芯材3を適宜選択してバンド基体2Kに順番に取り付け、実際に頭部に試装着して側圧の感触を比較してもらう。
この試装着により、顧客に好みの側圧となる芯材3の種類を選定してもらう。そして、販売者は、顧客が選定した種類の芯材3をバンド基体2Kの袋部22cに挿着した完成品のヘッドホンとして、或いは顧客自身が挿着できるように、選択した種類の芯材3と、芯材3が挿着されていない半完成品のヘッドホンとを関連づけて販売する。
芯材3は、単品でも販売し、ヘッドホン91を他の人と共用する場合や、側圧替えを楽しむなど、の利用に供する。
【符号の説明】
【0040】
1 本体部
11 ハウジング
12 スピーカユニット
13 パッド部
14 支持板
15 本体支持部
16 延出片
17 延出片支持部
2 バンド部
2K バンド基体
21 外フレーム部
21a 凹部
21b 傾斜部
21c 内面
22 内フレーム部
22a 溝部
22a1 底部
22c 袋部
22c1 開口部
22d 傾斜面
22e 外側面
3,3A,3B 芯材
3a 基部
3b 外突部
3c 内突部
5 連結部
91 ヘッドホン
D3 幅
R,RA,RB 曲率半径
St2,St3 曲げ剛性
TB1 第1端部
TB2 第2端部
TB3a,TB3b 端部
t3 厚さ
V2 空間