(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】天吊型空気調和機
(51)【国際特許分類】
F24F 13/20 20060101AFI20230829BHJP
F24F 1/0007 20190101ALI20230829BHJP
【FI】
F24F1/0007 401Z
F24F1/0007 321
F24F13/20 207
(21)【出願番号】P 2019159960
(22)【出願日】2019-09-02
【審査請求日】2022-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】100083404
【氏名又は名称】大原 拓也
(72)【発明者】
【氏名】中川 洋史
【審査官】安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-217608(JP,A)
【文献】特開2021-038879(JP,A)
【文献】実開昭50-031738(JP,U)
【文献】実開昭57-066418(JP,U)
【文献】実開昭58-051122(JP,U)
【文献】実開昭62-097411(JP,U)
【文献】実開昭62-124413(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/0007
F24F 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被空調室の天井に設置され、内部が仕切板によって室内熱交換器とドレンパンが収納される熱交換器室と送風ファンが収納される送風機室とに仕切られている筐体を備え、上記筐体は、上記天井と対向する天面パネル、上記熱交換器室の底面に配置される前面パネル、左側の側面パネル、右側の側面パネルおよび後面パネルを含み、上記室内熱交換器は、左側もしくは右側のいずれか一方の端部に冷媒が流入・流出する配管連結部を有し、上記配管連結部に室外機と接続するための接続配管が連結されている天吊型空気調和機において、
上記筐体には、上記後面パネル側の左コーナー部と右コーナー部とに、それぞれ、上記接続配管を上記筐体内から筐体外に引き出し可能とする配管引出部が設けられて
おり、
上記送風機室内の上記送風ファンと上記後面パネルとの間に形成される空間に上記接続配管が引き回され、
上記送風機室の下面にエアフィルターを有する空気吸込口が設けられており、上記仕切板と上記後面パネルとの間には上記エアフィルターのフィルターガイドを兼ねる梁金具が架け渡されており、上記梁金具と上記天面パネルとの間に、上記送風ファンと上記後面パネルとの間に引き回される上記接続配管の押さえ金具が設けられることを特徴とする天吊型空気調和機。
【請求項2】
上記左側の側面パネルもしくは上記右側の側面パネルのいずれか一方の側面パネルの外面側に形成される空間内に電装品箱が配置され
ることを特徴とする請求項1に記載の天吊型空気調和機。
【請求項3】
上記各側面パネルには搬送時に上記筐体の強度を高める補強ステーが着脱可能に取り付けられており、当該空気調和機の設置時には、上記補強ステーが上記押さえ金具として用いられることを特徴とする請求項
1に記載の天吊型空気調和機。
【請求項4】
上記各配管引出部には、上記側面パネルに設けられた第1引出部と、上記後面パネルに設けられた第2引出部と、上記天面パネルに設けられた第3引出部とが含まれていることを特徴とする請求項1ないし
3のいずれか1項に記載の天吊型空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吊り下げボルト等により被空調室の天井に設置される天吊型空気調和機(室内機)に関し、さらに詳しく言えば、室外機に接続する接続配管の筐体からの引き出し構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
天吊型空気調和機は、吊り下げボルト等により被空調室の天井に設置される。天吊型空気調和機の筐体は、被空調室の天井と対向する天面パネル、被空調室の床面と対向する前面パネル(底面パネルとも言う)、左側の側面パネル、右側の側面パネルおよび後面パネルを有し、多くの場合扁平である。
【0003】
筐体内は、仕切板によって室内熱交換器とドレンパンが収納される熱交換器室と、送風ファン(シロッコファン)が収納される送風機室とに仕切られている。
【0004】
通常では、前面パネル側に熱交換器室が配置され、後面パネル側に送風機室が配置されており、熱交換器室側の筐体の前方に空気吹出口が設けられ、送風機室の底面側に空気吸込口が設けられている。空気吸込口にはエアフィルタを有する吸込グリルが取り付けられ、空気吹出口には風向板が設けられている。
【0005】
これによれば、送風ファンの運転により、室内空気は空気吸込口から筐体内に吸い込まれ、熱交換器を通って冷媒と熱交換されたのち、筐体の前方の空気吹出口から室内に向けて吹き出される。
【0006】
筐体内には、電装品箱(電装品収納部)が設けられている。電装品箱内には、送風ファンや風向板の駆動モータの運転や、動作状態(運転状態)を表示する表示器の表示等を制御する部品等が収納されている。
【0007】
従来の天吊型空気調和機において、電装品箱は、例えば特許文献1に記載されているように、送風機室内のファンケーシングと後面パネルとの間に設けられている。また、室内熱交換器には、室外機と接続するための接続配管が取り付けられる。
【0008】
室内熱交換器は、左側もしくは右側のいずれか一方の端部に冷媒が流入・流出する配管連結部を有し、接続配管は、その配管連結部に連結され、設置現場において筐体から引き出される。
【0009】
例えば、配管連結部が室内熱交換器の右側にあって、接続配管がその右側の配管連結部に連結されるとすれば、接続配管は右側の側面パネルの内面に沿って後面パネルの右側のコーナー部にまで引き回され、そこから側方(横出し)、後方(後出し)、上方(上出し)のいずれかに向けて引き出される。
【0010】
ところで、設置現場の状況(室外機の位置や部屋の間取り等)によっては接続配管を後面パネルの左側のコーナー部から引き出したい場合がある。その場合には、接続配管を後面パネルの右側のコーナー部から送風機室内の後面パネル側の空き空間に沿って後面パネルの左側のコーナー部にまで引き回すことが望ましい。
【0011】
しかしながら、上記したように送風機室内の後面パネル側には電装品箱が配置されているため、接続配管を送風機室内を通すには、送風機室内に新たに配管スペースを作らなければならない。これには例えば筐体の設計変更を要する。
【0012】
そこで、筐体を壁面から離して配管スペースをつくり、その配管スペース内に接続配管を通して後面パネルの例えば左側のコーナー部にまで導くようにしている(例えば特許文献1の
図4参照)。しかしながら、これには化粧カバーで接続配管を目隠しする等の追加施工が必要になる、という問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、本発明の課題は、室外機との接続配管を室内機の筐体内で引き回すことができる天吊型空気調和機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するため、本発明は、被空調室の天井に設置され、内部が仕切板によって室内熱交換器とドレンパンが収納される熱交換器室と送風ファンが収納される送風機室とに仕切られている筐体を備え、上記筐体は、上記天井と対向する天面パネル、上記熱交換器室の底面に配置される前面パネル、左側の側面パネル、右側の側面パネルおよび後面パネルを含み、上記室内熱交換器は、左側もしくは右側のいずれか一方の端部に冷媒が流入・流出する配管連結部を有し、上記配管連結部に室外機と接続するための接続配管が連結されている天吊型空気調和機において、
上記筐体には、上記後面パネル側の左コーナー部と右コーナー部とに、それぞれ、上記接続配管を上記筐体内から筐体外に引き出し可能とする配管引出部が設けられており、上記送風機室内の上記送風ファンと上記後面パネルとの間に形成される空間に上記接続配管が引き回され、上記送風機室の下面にエアフィルターを有する空気吸込口が設けられており、上記仕切板と上記後面パネルとの間には上記エアフィルターのフィルターガイドを兼ねる梁金具が架け渡されており、上記梁金具と上記天面パネルとの間に、上記送風ファンと上記後面パネルとの間に引き回される上記接続配管の押さえ金具が設けられることを特徴としている。
【0016】
本発明には、上記左側の側面パネルもしくは上記右側の側面パネルのいずれか一方の側面パネルの外面側に形成される空間内に電装品箱が配置される態様が含まれる。
【0018】
本発明の好ましい態様によれば、上記各側面パネルには搬送時に上記筐体の強度を高める補強ステーが着脱可能に取り付けられており、当該空気調和機の設置時には、上記補強ステーが上記押さえ金具として用いられる。
【0019】
また、上記各配管引出部には、上記側面パネルに設けられた第1引出部と、上記後面パネルに設けられた第2引出部と、上記天面パネルに設けられた第3引出部とが含まれていることも本発明の特徴の一つである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、室外機との接続配管を室内機の筐体内で引き回すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明による天吊型空気調和機を床面側から見上げた外観斜視図。
【
図4】上記天吊型空気調和機の吸込グリルを開いた状態で示す底面側斜視図。
【
図6】(a)上記天吊型空気調和機の側面図、(b)そのB-B線断面図。
【
図7】上記天吊型空気調和機のサイドカバーの空気吹出口側への回り込み部分を示す拡大図。
【
図8】表示器を有する側のサイドカバーを側面パネルに取り付けた状態を示す底面図。
【
図9】上記表示器を有する側のサイドカバーを単体として示す底面図。
【
図10】上記天吊型空気調和機において電装品箱の取付け位置を示す斜視図。
【
図11】上記天吊型空気調和機において接続配管の引き回し状態を示す底面図。
【
図12】上記天吊型空気調和機において接続配管の引き出し可能方向を示す床面側から見上げた外観斜視図。
【
図13】上記天吊型空気調和機において筐体の両コーナー部分に設けられる接続配管用の引出窓を示す要部斜視図。
【
図14】上記天吊型空気調和機において前面パネルの吊り下げ構造を示す断面図。
【
図15】上記前面パネルの吊り下げフックを示す底面図。
【
図16】上記前面パネルの吊り下げ状態を示す斜視図。
【
図18】上記前面パネルの仮固定手段を示す斜視図。
【
図19】前面パネルの先端部の係止構造を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、
図1ないし
図19を参照しながら、本発明のいくつかの実施形態について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0023】
《全体構成》
まず、
図1ないし
図5を参照して、本発明による天吊型空気調和機1は、被空調室内の天井に設置される室内機で、扁平な筐体10を備えている。この実施形態の説明において、上方(上面側)、前方(前面側)、後方(後面側)、側方(側面側)、下方(底面側)は
図1を基準にしており、前方(前面側)は紙面手前側を指している。
【0024】
筐体10は、図示しない吊り下げボルト等により被空調室(室内)の天井に吊り下げられて設置される。なお図示しないが、壁吊り設置として、逆L字状のハンガー装置に支持されて天井近くに設置される場合もある。
【0025】
筐体10は、天井面と対向する天面パネル(天面板)11と、左側の側面パネル(側面板)12Lと、左側の側面パネル(側面板)12Rと、前面パネル(前面板)13と、後面パネル(後面板)14とを備えている。
【0026】
左側の側面パネル12Lと、左側の側面パネル12Rを区別する必要がない場合には、総称として側面パネル12とする。なお、
図1,2において、側面パネル12は化粧用のサイドカバー15(15L,15R)が被せられているため見えていない。これらの各パネル11~14は板金製で、特に前面パネル13には化粧鋼板が用いられるが、各パネル11~14は合成樹脂製であってもよい。
【0027】
図3に示すように、筐体10の内部は仕切板16により、前後方向に熱交換器室17と送風機室18とに区画されている。熱交換器室17内には、室内熱交換器171とドレンパン172が収納されている。
【0028】
ドレンパン172は例えば発泡スチロール製で、露受け皿として室内熱交換器171の下方に配置されている。前面パネル13は化粧カバーとしてドレンパン172の底面に沿って配置されている。後述するように、前面パネル13は着脱可能で、ドレンパン172のメンテナンス時(例えば清掃時)に外される。
【0029】
熱交換器室17の前方(筐体10の前端側)には空気吹出口20が設けられている。空気吹出口20は横長の開口部で、その内部には上下風向板21が設けられている。また、上下風向板21の後ろ側には左右風向板22が設けられている。
【0030】
送風機室18の内部には、送風機としてのシロッコファン181が収納されている。この例では、
図4に示すように、4台のシロッコファン181が用いられている。シロッコファン181のファンケーシンク182の吹出口が仕切板16を貫通して熱交換器室17内に入り込んでいる。
【0031】
送風機室18の底面が空気吸込口30になっている。空気吸込口30内にはエアフィルタ32を有する吸込グリル31が設けられている。吸込グリル31は前面パネル13の後端に接するように配置されており、前面パネル13と吸込グリル31とにより、筐体10の底面が構成されている。吸込グリル31はその後端311側が後面パネル14の下端に軸支されており、
図4に示すように、回転させて開くことができる。
【0032】
シロッコファン181の運転により、室内空気が吸込グリル31のエアフィルタ32を通して送風機室18内に吸い込まれ、ファンケーシンク182から熱交換器室17内に吹き出され、室内熱交換器171にて冷媒と熱交換された後、空気吹出口20から室内に向けて吹き出され、室内の空調が行われる。
【0033】
《筐体の外形形状(サイドカバー)》
側面パネル12L,12Rには、それぞれ、化粧用のサイドカバー15L,15Rが取り付けられる。サイドカバー15L,15Rは左右対称であるため、それらを区別する必要がない場合には、総称としてサイドカバー15と言う。
【0034】
図6(a)(b)を参照して、サイドカバー15は、床面側から見上げた際、筐体10を薄く見せてボリューム感を減ずるため、天井側の上部領域151と、床面側の下部領域152とに区画されている。
【0035】
サイドカバー15は、上部領域151と下部領域152の境界部分153が筐体10の外方に向けて突出する断面くの字状の外形を備えている。すなわち、左側のサイドカバー15Lは、その境界部分153が左側に突出するように断面くの字状に形成され、右側のサイドカバー15Rは、その境界部分153が右側に突出するように断面くの字状に形成されている。
【0036】
これによれば、天井に設置されている筐体10を見上げた際に、上部領域151の全部もしくは一部が下部領域152により隠され、筐体10が薄く見える。また、壁吊り設置の場合、ハンガー部が見えにくくなることにより、筐体10が浮いているように見せることができる。
【0037】
これらの効果をより高めるには、境界部分153における上部領域151側に、所定幅(例えば、12mm程度)の段差部154が境界部分153に沿って形成されることが好ましい。これによれば、上部領域151よりも下部領域152が筐体10の外側に配置されるため、上部領域151がより見えにくくなる。
【0038】
下部領域152は帯状面を呈して、一方の例えば右側のサイドカバー15Rから天面パネル11の前面カバー部110を経て他方の左側のサイドカバー15Lにかけて一連に繋がるように形成されている。
【0039】
図6を参照して、前面カバー部110は、下部領域152が天面パネル11側に回り込むに伴って境界部分153および段差部154が天面パネル11に突き当たって消失する終端部111から空気吹出口20側の筐体10の前端10aにかけての部分であり、空気吹出口20の上面に相当する。
【0040】
好ましくは、天面パネル11の前面カバー部110に、上記終端部111から上記前端10aに向けて下り勾配となる傾斜面を持たせるとともに、サイドカバー15の下部領域152を空気吹出口20の上縁側に回り込むように湾曲させて、
図7に示すように、下部領域152のサイドカバー15から前面カバー部110に至る角部C1に大きな曲率の第1曲面を持たせて角を落とすとよい。
【0041】
これによれば、視覚効果により下部領域152が一連の帯状面として一体感をもって捉えられ、筐体10のボリューム感、横への張り出し感が軽減でき、実際の幅よりもコンパクトに見せる効果が奏される。
【0042】
なお、この効果をより際立たせるうえで、
図7に示すように、空気吹出口20の角部201および上下風向板21の角部211にも、下部領域152のサイドカバー15から前面カバー部110に至る角部C1と同様な曲率の曲面を持たせることが好ましい。
【0043】
また、帯状の下部領域152が後面パネル14側にも回り込んでいる感じを表現するため、サイドカバー15の下部領域152を後面パネル14側に回り込むように湾曲させて、
図2に示すように、下部領域152の後端側の角部C2に所定曲率の縦長の第2曲面を持たせるとよい。これによれば、前方からの見上げ視線で、下部領域152の後端側の角部C2に実際よりも大きな曲面がとれているように見せる効果が奏される。
【0044】
《表示器》
次に、
図8,
図9を併せて参照して、当該天吊空気調和機1の運転状態(冷房、暖房、除湿、タイマー運転等の動作状態)を表示する表示器40の配置について説明する。
【0045】
サイドカバー15(15L,15R)は、その周縁に筐体10側に回り込むフランジ部155を備えている。本発明において、表示器40は前面パネル13側ではなく、サイドカバー15(この実施形態では、右側のサイドカバー15R)のフランジ部155に配置されている。
【0046】
表示器40はオプション部品であり、表示器40を必要としない場合には、表示器40の取付け箇所に例えばブランド名や機種名等を表示した銘板(プレート)430が嵌め込まれることになるが、サイドカバー15のフランジ部155に表示器40を取り付けるようにしたことにより、サイドカバー15を取り外すだけでそれらの作業を容易に行うことができる。
【0047】
表示器40は、表示用の制御基板等を有する表示器本体410と、表示器本体410の表示面側に取り付けられる着脱自在な表示カバー420とを備えている。表示器本体410には、表示項目に見合う数の発光ダイオード411が搭載されており、また、表示カバー420には例えば半透明なプレートが用いられ、ピクト表示として発光ダイオードに対応する位置に所定のアイコンマーク421が複数描かれている。
【0048】
表示器本体410は、フランジ部155の一部分に嵌め込まれビス止めされるが、フランジ部155のうちの空気吹出口20から離れた後面パネル14側寄りの位置に配置されることが好ましい。特に好ましくは、吸込グリル31には空気吹出口20とは異なり風向板のような可動部品がなく目線が行きにくいことから、表示器40は吸込グリル31の脇に配置されるとよい。
【0049】
また、ピクト表示(アイコンマーク421)にしても、筐体10の前面側から見て縦並びではなく、吸込グリル31の横桟313と平行な横並び配置が好ましい。これによれば、筐体10の前面側から見てピクト表示の視認性に差がでない。また、デザインの統一化もはかることができる。
【0050】
《電装品箱》
図10を併せて参照して、本発明において、電装品箱50は側面パネル12L,12Rのいずれか一方の側面パネル12の外面側に設けられる。具体的には、側面パネル12とサイドカバー15により形成される空間S(
図6(b)参照)内に配置される。これによれば、サイドカバー15を外すことにより電装品箱50に容易にアクセスすることができ、例えば部品交換等の作業が行いやすくなり作業性が向上する。
【0051】
好ましくは、表示器40に近い側の側面パネル12、この実施形態では、右側の側面パネル12Rに配置されるとよい。これによれば、電装品箱50と表示器40との配線長が短くなり、筐体10内に長い配線を引き回す必要がなくなる。
【0052】
図示しないが、室内熱交換器171は左側もしくは右側の一端に冷媒配管の配管連結部を備えている。配管連結部には配管温度センサーや電子膨張弁等(ともに図示しない)が設けられているため、より好ましくは、室内熱交換器171の上記配管連結部も電装品箱50が設けられる側の側面パネル12(この実施形態では、右側の側面パネル12R)側に配置されるとよい。
【0053】
すなわち、電装品箱50は、左側の側面パネル12Lもしくは右側の側面パネル12Rのうちの、表示器40を有するサイドカバー15が取り付けられ、かつ、室内熱交換器171の配管連結部が配置される側の側面パネル12に取り付けられることが好ましい。
【0054】
なお、側面パネル12は、天吊り用の吊り具(図示しない)が設けられるだけの強度を有する板金製であることから、電装品箱50を取付け易い。また、上記したように、サイドカバー15が筐体10の外方に突出する断面くの字状に形成されているため、それに合わせて電装品箱50の中央部分510を山型状(例えば、切り妻屋根状)に形成することができ、これによれば、その頂部の部分に背の高い部品を配置することができる。
【0055】
《接続配管の引き回し》
次に、
図3、
図11ないし
図13を参照して、室外機と接続するための接続配管Pの引き回しについて説明する。本発明によれば、室外機と接続するための接続配管Pを室外機の配置や室内の間取り等に応じて、後面パネル14側の左コーナー部141Lと右コーナー部141Rのいずれからでも引き出すことができる。なお、接続配管Pにはガス側配管と液側配管とが含まれている。
【0056】
本発明によると、先に説明したように、電装品箱50がシロッコファン181と後面パネル14との間ではなく側面パネル12とサイドカバー15により形成される空間S内に配置されることから、
図3に示すように、送風機室18内のシロッコファン181と後面パネル14との間の空間を接続配管Pを通す配管スペース180として利用することができる。
【0057】
ここで、室内熱交換器171の配管連結部が右側に配置されているとすれば、
図10に示すように、接続配管Pは、その配管連結部から右側の側面パネル12Rに沿って後面パネル14の右コーナー部141Rに向かい、そこから上出し、後ろ出し、横出し(右)のいずれかが選択される。
図10では後ろ出しが選択されている。
【0058】
これに対して、接続配管Pを左コーナー部141Lから引き出す場合、接続配管Pは、右コーナー部141Rから引き出された後、左コーナー部141Lに向かってほぼ直角に折り曲げられ、シロッコファン181と後面パネル14との間の配管スペース180を通されて左コーナー部141Lに至る。そして、接続配管Pは、上出し、後ろ出し、横出し(左)のいずれかが選択される。
【0059】
この配管引き出し作業を容易とするため、
図11に示すように、右コーナー部141Rと左コーナー部141Lには、それぞれ、3方向に引き出し可能とする配管引出部190が設けられている。
図11は、接続配管Pを右コーナー部141Rから横引出し(Ps)、後出し(Pb)する態様と、左コーナー部141Lから後出し(Pb)する態様を示している。
【0060】
図13に示すように、左コーナー部141Lの配管引出部190には、側面パネル12に設けられた横出し用の第1引出部191と、後面パネル14に設けられた後ろ出し用の第2引出部192と、天面パネルに設けられた上出し用の第3引出部193とが含まれている。
【0061】
この実施形態において、このうち、横出し用の第1引出部191と後ろ出し用の第2引出部192は予め打ち抜かれた開口部として形成されているが、上出し用の第3引出部193は例えば打撃を加えることにより容易に除去することができる蓋付きのノックアウトホールからなる。横出し用の第1引出部191と後ろ出し用の第2引出部192をノックアウトパネルによる引出部としてもよい。
【0062】
なお、上出し用の第3引出部193は、右コーナー部141Rと左コーナー部141Lの双方に設けられる必要はない。本実施例では、室内熱交換器171の配管連結部側の右コーナー部141R側に設けられている。
【0063】
ここで、
図3ないし
図5を参照して、送風機室18の空気吸込口30内において、仕切板16と後面パネル14との間には、エアフィルター32のフィルターガイドを兼ねる骨格材としての梁金具33が複数本(この例では3本)架け渡されている。
【0064】
この実施形態によれば、梁金具33と天面パネル11との間に、シロッコファン181と後面パネル14との間の配管スペース180内を通される接続配管Pを押さえる押さえ金具34が設けられる。
【0065】
図4と
図5に示すように、側面パネル12の送風機室18側は、シロッコファン181の支持部材を取り付けるためと横出し用の第1引出部191のためにU字状に大きく抉られており強度不足となっているため、各側面パネル12(12L,12R)には、筐体10の機械的な強度を高める補強ステー35が着脱可能に設けられている。
【0066】
この補強ステー35は、当該天吊型空気調和機1が天井に設置された後は側面パネル12から取り外されてもよい部品である。そこで、本発明では、補強ステー35を押さえ金具34として用い、補強ステー35の有効利用を図っている。
【0067】
《前面パネルの吊り下げ》
室内機のメンテナンス時、例えばドレンパン172を筐体10から外して清掃する等のドレンパンのメンテナンス時に前面パネル13を外すことになるが、前面パネル13は化粧鋼板からなり、大きいこともあってかなりの重量があることから、前面パネル13の取外し、取付け時には一人では支えきれない場合がある。そこで、本発明では、前面パネル13を筐体10に吊り下げ可能とする構成を採用している。
【0068】
図3、
図13ないし
図16を参照して、前面パネル13の吸込グリル31側の後端131には逆L字状のアングル部135が形成されている。アングル部135は、前面パネル13の後端131から垂直に立ち上がる縦板部135aと、縦板部135aの上端から直角に折り曲げられた横板部135bとが含まれている。
【0069】
仕切板16の下端には、ほぼ直角に折り曲げられたフランジ部161が一体に形成されている。フランジ部161には梁金具33の一端が取り付けられている。前面パネル13がドレンパン172の底面を覆っている通常時、
図13に示すように、横板部135bはフランジ部161の下面に接している。
【0070】
図14を併せて参照して、横板部135bの底面側には、左右一対の同軸的な軸受溝137a,137aを有する軸受金具137が溶接等により固着されている。軸受金具137により、前面パネル13の後端131に吊り下げフック60が取り付けられる。
【0071】
吊り下げフック60は丸棒の鋼線材よりなる。吊り下げフック60はほぼコ字状に折り曲げられ全体として門型で、頂部601と、頂部601の両端が同方向に平行に延びる左右一対の脚部602,602と、脚部602,602の下端から同軸として互いに反対方向に折り曲げられた軸部603,603とを有している。
【0072】
吊り下げフック60は、その頂部601が梁金具33の上面331側に配置された状態(引っ掛けられた状態)で、軸部603,603が軸受金具137の軸受溝137a,137a内に係合している。
【0073】
吊り下げフック60は、少なくとも左右の2箇所、好ましくは各梁金具33ごとに設けられるとよい。また、吊り下げフック60の頂部601と、梁金具33の上面331はともに水平であることが好ましく、これによれば、前面パネル13を吊り下げた状態で、前面パネル13の左右方向の揺れが防止される。
【0074】
また、
図14に示すように、前面パネル13の後端131側のアングル部135内に、吸込グリル31の開く側の先端312が面一状に入り込み、前面パネル13と吸込グリル31との間にも隙間が生じないようにしている。
【0075】
そのための構成として、アングル部135の縦板部135aには係合孔136が形成されている。これに対して、吸込グリル31は互いに平行な複数の横桟313…備えているが、その内の先端側の横桟313aは前後方向(
図13において左右方向)にスライド可能であり、横桟313aには、そのスライドに伴って係合孔136に対して出入りする係合片314が設けられている。
【0076】
また、
図17に示すように、前面パネル13の側縁の内面側には、係合爪138が設けられている。係合爪138は、板金製の平板でくの字状の鉤部を備えている。これに対して、側面パネル12の側縁側には、係合爪138の相手方となる係合孔123が設けられている。係合孔123は前後方向に延びるスリット状の孔である。
【0077】
通常時、前面パネル13は筐体10に数箇所でネジ止めされている。ドレンパン172のメンテナンス時にそのネジを外すと、前面パネル13はドレンパン172から離れ落下しようとするが、係合爪135が係合孔123の縁に引っかかるため、前面パネル13はドレンパン172から若干離れた位置に保持される(仮固定)。なお、前面パネル13を開く際には、
図4に示すように、先に吸込グリル31が開かれる。
【0078】
前面パネル13は、ネジが外されると前後方向にスライド可能になる。そこで、前面パネル13を前側(
図17において手前側、
図3において左側)にスライドさせて係合爪135を係合孔123から外す。
【0079】
これにより、
図15に示すように、前面パネル13がその後端131側の吊り下げフック60を支点として吊り下げられる。このとき、前面パネル13の重量は筐体10のほぼ中央部分にかかるため、筐体10に偏荷重がかからずバランスよく吊り下げられることになる。
【0080】
また、上記したように、吊り下げフック60の頂部601と、梁金具33の上面331をともに水平とすることにより、前面パネル13を吊り下げた状態で、前面パネル13の左右方向の揺れが防止される。
【0081】
前面パネル13は、ドレンパン172のメンテナンス後にドレンパン172を覆う元の位置に戻されてネジ止めされるが、
図19に示すように、前面パネル13の先端側には折返し部133が形成されているとともに、これと対応するドレンパン172側には、折返し部133が嵌合する窪み173が形成されている。
【0082】
窪み173内には前面パネル13の折返し部133が着脱可能に引っ掛けられる係止突起174が形成されている。上記したように、前面パネル13は、ネジが外されると前後方向にスライド可能になるため、前面パネル13を
図19において左方向にずらすと、折返し部133が係止突起174から外れ、前面パネル13を
図19において右方向にずらすと、折返し部133が係止突起174に係止される。これにより、前面パネル13の先端側に隙間が生じないようにしている。
【符号の説明】
【0083】
1 天吊型空気調和機
10 筐体
11 天面パネル
12(12L,12R) 側面パネル
13 前面パネル
135 アングル部
135a 縦板部
135b 横板部
136 係合孔
137 軸受金具
137a 軸受溝
138 係合爪
14 後面パネル
141(141L,141R) コーナー部
15(15L,15R) サイドカバー
151 上部領域
152 下部領域
153 境界部分
154 段差部
155 フランジ部
16 仕切板
17 熱交換器室
171 室内熱交換器
172 ドレンパン
18 送風機室
180 配管スペース
181 シロッコファン
20 空気吹出口
21 風向板
30 空気吸込口
31 吸込グリル
313 横桟
313a 先端側の横桟
314 係合片
32 エアフィルタ
33 梁金具
34 押さえ金具
35 補助ステー
40 表示器
410 表示器本体
420 表示カバー
50 電装品箱
60 吊り下げフック
601 頂部
602 脚部
603 軸部